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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】箱形ルーフおよびその施工法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/04 20060101AFI20250127BHJP
【FI】
E21D9/04 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024045918
(22)【出願日】2024-03-22
【審査請求日】2024-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000189903
【氏名又は名称】植村 誠
(73)【特許権者】
【識別番号】501200491
【氏名又は名称】植村 賢治郎
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】植村 誠
(72)【発明者】
【氏名】植村 賢治郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 智哉
(72)【発明者】
【氏名】山下 康彦
(72)【発明者】
【氏名】河内 忠史
(72)【発明者】
【氏名】金城 永秀
(72)【発明者】
【氏名】舩越 宏治
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-100005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/04
E21D 9/06~9/093
F16L 1/00~1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略正方形断面の箱形筒体である単位筒体を接続して所定の長さに形成する箱形ルーフにおいて、単位筒体が縦列する箱形ルーフの途中に単位筒体と同外径で長さ方向に伸縮する伸縮箱形筒体を、この伸縮箱形筒体は前側筒体とこれに嵌合する後側筒体からなり、前側筒体と後側筒体間に架け渡すジャッキを4隅に配設したものとして、組み込んだことを特徴とする箱形ルーフ。
【請求項2】
伸縮箱形筒体は、前側筒体とこれに嵌合する後側筒体からなり、いずれか一方の筒体は縮径して他方に挿入される請求項1記載の箱形ルーフ。
【請求項3】
縮径される筒体は縮径しない部分が一部延長して縮径部分の上に矩形凸部となり、これが他方の筒体の矩形凹部切欠きに挿入される請求項2記載の箱形ルーフ。
【請求項4】
地下構造物として設置するコンクリート函体の推進の際の防護工として、設置する予定のコンクリート函体の外縁に合致するように、矩形断面の箱形筒体の鋼管である箱形ルーフを配列し、この箱形ルーフはあらかじめ横断区間の全長である発進立坑と到達立坑間に押入れて貫通させ、その後方にコンクリート函体を据え付けて、箱形ルーフを押し出すと共にコンクリート函体を推進させ、箱形ルーフとコンクリート函体を置換設置する場合に、箱形ルーフは単位筒体が縦列する箱形ルーフの途中に、単位筒体が縦列する箱形ルーフの途中に単位筒体と同外径で長さ方向に伸縮する伸縮箱形筒体を、この伸縮箱形筒体は前側筒体とこれに嵌合する後側筒体からなり、前側筒体と後側筒体間に架け渡すジャッキを4隅に配設したものとして、単位筒体と同外径で長さ方向に伸縮する伸縮箱形筒体を組み込み、箱形ルーフ全体の押し出し工程の間に、伸縮箱形筒体の伸長でその前部分の箱形ルーフのみ押し出す工程を介在させる箱形ルーフの施工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道、道路等の下部地中に大幅員の地下構造物を横断方向に掘進建設する際に上部交通に支障を与えることなく既往の交差構造物を施工することができる地中構造物の構築に使用する箱形ルーフおよびその施工法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道等においては、地下で交差する構造物の構築工法は、当初は開削工法による仮線工法や線路仮受工法(工事桁工法)が主流であった。しかし、列車本数の増加に伴い、線路内作業の多い開削工法の採用が難しくなってきた。
【0003】
そこで、列車の運行を確保した状態で、線路下に交差構造物を構築できる工法として非開削工法が開発された。これは推進工法と称せられるもので、大幅員の鉄筋コンクリート製の地下構造物としてのプレキャストコンクリート函体(ボックスカルバート)を推し進める。
【0004】
この推し進めはプレキャストコンクリート函体(ボックスカルバート)の先端に鋼製フードによる刃口を取り付け、刃口の内部で掘削を行い前方に空隙を設けるとともに、発進立坑に設置した元押しジャッキでこのコンクリート函体を推し進めることにより行われる。
【0005】
ところで、鉄道、道路等の下部地中に大幅員のプレキャストコンクリート函体(ボックスカルバート)を横断方向に掘進させるには、上部交通を支承するための防護工が必要となり、かかる防護工として従来鋼管等を水平に並列させるパイプルーフを設けるパイプルーフ工法などが挙げられる。
【0006】
パイプルーフ工法は、線路の防護工としてあらかじめ線路下にパイプルーフ(鋼管)を挿入する工法であり、支保工により鋼管ごとに線路を仮受した後に、パイプルーフ下の土砂を掘削してコンクリート函体を構築する。
【0007】
パイプルーフ工法では、パイプ(鋼管)をアーチ状または柱列状に水平に打設したルーフや壁の内側を本体構造物を掘進させるものであり、その分、土被り分とパイプ(鋼管)の直径分に加えてコンクリート函体の天端位置が低いものとなり、深い位置での推進となってしまう。
【0008】
さらに、パイプルーフを形成するパイプは撤去できないため建設費用が高くなる等の問題点がある。
【0009】
そこで、コンクリート函体の推進工法を行なう場合の防護工として、箱形ルーフが提唱される。箱形ルーフは、パイプルーフの代わりに線路等を防護するもので、箱形ルーフを用いる箱形ルーフ工法はこの箱形ルーフを押し出しながら構造物本体を線路下に設置する工法で、地中に掘進させる地下構造物の防護工を別工事として施工することなく、地下構造物の掘進と同時に行うので安全かつ確実に、しかも安価に工事ができ、また土被りも浅く施工できる。
【0010】
図15に示すように、箱形ルーフは単位筒体17aを接続して所定の長さに形成するものであり、この単位筒体17aは800×800(mm)または1000×1000(mm)の略正方形断面の箱形筒体であり、長さ3~6mのものを長さ方向に順次接続して必要長を埋設することができ、さらに継手を介して横方向に並列させる。
【0011】
箱形ルーフ17の単位筒体17aは端部の隅角部に接続フランジ17cを形成し、この接続フランジ17c同士をボルト、ナット19で締結するか、もしくはこのボルト、ナット19で締結は、単位筒体17aの端部隅角を外向き開放の箱抜き20として、この箱抜き20の部分において行なう。
【0012】
このように箱抜き20を設ける場合には、箱形ルーフの外側からボルト、ナット19の締結もしくは解除の作業を行える。
【0013】
箱形ルーフ17には、上面等外側面に板厚9~12mmの帯状鋼板からなるフリクションカットプレート21を載置しもので、このフリクションカットプレート21の長さは単位筒体17aとほぼ同程度で、単位筒体17aを接続する際に溶接により接続して長くしていく。
【0014】
鉄道などの上部交通の脇に鋼矢板などの土留部材を打設して、発進立坑と到達立坑9を築造し、図17に示すように、発進立坑3内に推進機として元押しジャッキ4を設置してこれで箱形ルーフ17を単位筒体17aごとに到達立坑に向けて圧入させる。
【0015】
箱形ルーフ17は先端に刃口管18を取り付け、その切羽を人力またはオーガー等による機械で掘削し、推し進める。図中14は掘削した土砂の排出を行う土砂排土管である。
【0016】
また、箱形ルーフ17の上面にはフリクションカットプレート21を取り付けて、箱形ルーフ17とともに押出すことで地中に配設し、固定部材26でフリクションカットプレート21を発進立坑3側に固定する。
【0017】
フリクションカットプレート21は先端のみを箱形ルーフ17の先端、例えば前記刃口管18に溶接し、それ以外の部分は固定せずに載せただけの状態として、箱形ルーフ17とともに押出す。
【0018】
箱形ルーフ17は単位筒体17aを1本ずつ圧入するものであり1ピースずつ長さ方向に継ぎ足して発進立坑3と到達立坑9までの必要長を埋設し、さらにこうして埋設した1本目に対して2本目、3本目…と順次埋設して並列させる。
次いで、図15に示すように発進立坑3内に地下構造物としてのコンクリート函体1をセットし、反力壁5とコンクリート函体1との間には元押しジャッキ4を設け、コンクリート函体1の先端に刃口2を設ける。
【0019】
刃口2内および前方の切羽の土砂を掘削する。箱形ルーフ17が防護工として作用する。
【0020】
掘削し、排土した分空隙ができるので、元押しジャッキ4を伸長してコンクリート函体1を押し進め、同時にコンクリート函体1を介してフリクションカットプレート21を残しながら箱形ルーフ17を押し進める。
【0021】
コンクリート函体1はフリクションカットプレート21の内側を進み、フリクションカットプレート21がコンクリート函体1の推進の際の地山とのフリクションカットをなす。
【0022】
図中6は元押しジャッキ4と反力壁5との間に介在させるストラットを示す。このようにして箱形ルーフ17の前進とコンクリート函体1の前進とを同時に行い、到達立坑9に箱形ルーフ17の単位筒体17aの1ピース分が完全に出たならば、接続フランジ17c同士のボルト、ナット19締結を解除して長さ方向に分割し、順次撤去する。
【0023】
そして、コンクリート函体1の先端が到達立坑9に達したならば、刃口2などを撤去し適宜裏込めグラウトを行って施工を完了する。
【0024】
このように、箱形ルーフは、構造物の土被りが浅くできるので取付道路勾配が緩くなり、安全で使い易いアンダーパスが設置でき、取付道路区間が短縮できるため既成市街地でも適用しやすくなり、工事全体の掘削深が浅くなるためアンダーパス全体の工事費が安くなり、構造物は管理しやすい明かりの状態で製作でき、防護工は箱形ラーメン構造物を設置できるので横断長が長い場合にも適用でき、また、防護工としての箱形ルーフは再利用できるので経済的である。
【0025】
下記特許文献はルーフ用筒体が下方にたわむことを防止し、施工性の向上を図ることのできる地下構造物の構築方法におけるルーフ用筒体の沈下防止装置および沈下防止方法として提案したものである。
【文献】特許第3702265号公報
【0026】
上部にフリクションカッタープレートを配設した箱形ルーフを発進坑から地中に圧入して並列させ、発進坑に残る箱形ルーフ用筒体の後部に地下構造物を配設し、フリクションカッターを地中に残置しながら地下構造物を掘進させる地下構造物の構築方法において、前記箱形ルーフ用筒体の内部に長さ方向にわたって該ルーフ用筒体の下方へのたわみ部分を引き上げる引き上げ用の索条を貫通させた。
【0027】
箱形ルーフ用筒体の内部に長さ方向にわたって貫通させた索条を水平方向に引っ張ることで、該索条に作用する上下の垂直方向への分力が箱形ルーフ用筒体に伝達され、箱形ルーフ用筒体のたるみ部分が引き上げられて、たるみが解消される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
箱形ルーフを押し出すのに箱形ルーフの施工長が長くなると、前記のようにたわみを生じ易くなり、また、押し出す力も大きなものが必要となる。
【0029】
コンクリート函体の推進を行う推進力(推進ジャッキもしくけん引ジャッキ)をもってコンクリート函体で箱形ルーフを押し出すには押し出す力が足りなくなるおそれがある。
【0030】
また、図示は省略するが箱形ルーフの根本に小ジャッキを配設した推進筒を組み込み、小ジャッキの推進力で箱形ルーフを押し出すことも行われているが、これでも箱形ルーフ全体を押し出す力が乏しい場合が生じる。
【0031】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、施工長が長い場合でも箱形ルーフをたわみを生じさせずに、確実に押し出すことができる箱形ルーフおよびその施工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
前記目的を達成するため本発明の箱形ルーフは、第1に、略正方形断面の箱形筒体である単位筒体を接続して所定の長さに形成する箱形ルーフにおいて、単位筒体が縦列する箱形ルーフの途中に単位筒体と同外径で長さ方向に伸縮する伸縮箱形筒体を、この伸縮箱形筒体は前側筒体とこれに嵌合する後側筒体からなり、前側筒体と後側筒体間に架け渡すジャッキを4隅に配設したものとして、組み込んだことを要旨とするものである。
【0033】
第2に、伸縮箱形筒体は、前側筒体とこれに嵌合する後側筒体からなり、いずれか一方の筒体は縮径して他方に挿入されること、第3に、縮径される筒体は縮径しない部分が一部延長して縮径部分の上に矩形凸部となり、これが他方の筒体の矩形凹部切欠きに挿入されることを要旨とするものである。
【0034】
本発明の箱形ルーフの施工法は、地下構造物として設置するコンクリート函体の推進の際の防護工として、設置する予定のコンクリート函体の外縁に合致するように、矩形断面の箱形筒体の鋼管である箱形ルーフを配列し、この箱形ルーフはあらかじめ横断区間の全長である発進立坑と到達立坑間に押入れて貫通させ、その後方にコンクリート函体を据え付けて、箱形ルーフを押し出すと共にコンクリート函体を推進させ、箱形ルーフとコンクリート函体を置換設置する場合に、箱形ルーフは単位筒体が縦列する箱形ルーフの途中に、単位筒体が縦列する箱形ルーフの途中に単位筒体と同外径で長さ方向に伸縮する伸縮箱形筒体を、この伸縮箱形筒体は前側筒体とこれに嵌合する後側筒体からなり、前側筒体と後側筒体間に架け渡すジャッキを4隅に配設したものとして、単位筒体と同外径で長さ方向に伸縮する伸縮箱形筒体を組み込み、箱形ルーフ全体の押し出し工程の間に、伸縮箱形筒体の伸長でその前部分の箱形ルーフのみ押し出す工程を介在させることを要旨とするものである。
【0035】
請求項1記載の本発明によれば、単位筒体が縦列する箱形ルーフの途中に単位筒体と同外径で長さ方向に伸縮する伸縮箱形筒体を組み込んだことにより、この伸縮箱形筒体を伸長させることで、その前にある単位筒体列を押し出すことができ、コンクリート函体の推進を行う推進力での箱形ルーフの押し出しにこの押し出を加えて、長い施工長の箱形ルーフでも前後分割して押し出し、全体をたわみを生じさせずに、確実に押し出すことができる。
【0036】
また、伸縮箱形筒体を伸長し切った状態では、その後方の部分の箱形ルーフを押し出せば、伸縮箱形筒体は縮小して再度の押し出しに備えることができる。
【0037】
さらに、伸縮箱形筒体はジャッキにより前側筒体とこれに嵌合する後側筒体とを摺動させて確実に伸縮できるものであり、また、ジャッキを4隅に配設したので、中央部には作業員や排土用の台車が通行する空間を確保でき、さらに、4隅でジャッキを作用させることで、このジャッキの推進力を伸縮箱形筒体の前方の箱形ルーフにも均等に伝達して、前方の箱形ルーフを偏ることなく安定して押し出すことができる。
【0038】
請求項2記載の本発明によれば、伸縮箱形筒体は、前側筒体とこれに嵌合する後側筒体からなり、いずれか一方の筒体は縮径して他方に挿入されることで、伸縮箱形筒体の伸長、縮小時に前側筒体と後側筒体との間に隙間を生じることもなく、土砂が内部に混入するおそれもない。
【0039】
請求項3記載の本発明によれば、縮径される筒体は縮径しない部分が一部延長して縮径部分の上に矩形凸部となり、これが他方の筒体の矩形凹部切欠きに挿入されることで、矩形凸部が伸縮箱形筒体の伸縮の際のガイドとなり、スムーズに伸縮できる。
【0040】
請求項4記載の本発明によれば、箱形ルーフは単位筒体が縦列する箱形ルーフの途中に単位筒体と同外径で長さ方向に伸縮する伸縮箱形筒体を組み込み、箱形ルーフ全体の押し出し工程の間に、伸縮箱形筒体の伸長でその前部分の箱形ルーフのみ押し出す工程を介在させることで、その前にある単位筒体列を押し出すことができ、コンクリート函体の推進を行う推進力での箱形ルーフの押し出しにこの押し出を加えて、長い施工長の箱形ルーフでも前後分割して押し出し、全体をたわみを生じさせずに、確実に押し出すことができる。
【発明の効果】
【0041】
以上述べたように本発明の箱形ルーフおよびその施工法は、施工長が長い場合でも箱形ルーフをたわみを生じさせずに、確実に押し出すことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の箱形ルーフの施工法の第1工程を示す側面図である。
図2】本発明の箱形ルーフの施工法の第2工程を示す側面図である。
図3】本発明の箱形ルーフの施工法の第3工程を示す側面図である。
図4】本発明の箱形ルーフの施工法の第4工程を示す側面図である。
図5】本発明の箱形ルーフの施工法の第5工程を示す側面図である。
図6】本発明の箱形ルーフの施工法の第6工程を示す側面図である。
図7】本発明の箱形ルーフの施工法の最終工程を示す側面図である。
図8】本発明の箱形ルーフの伸縮箱形筒体の縮小時の横断平面図である。
図9】本発明の箱形ルーフの伸縮箱形筒体の伸長時の横断平面図である。
図10】本発明の箱形ルーフの伸縮箱形筒体の正面図である。
図11図8のB-B線矢視図である。
図12図8のC-C線矢視図である。
図13】本発明の箱形ルーフの伸縮箱形筒体の縮小時の平面図である。
図14】本発明の箱形ルーフの伸縮箱形筒体の伸長時の平面図である。
図15】箱形ルーフ工法の概要を示す側面図である。
図16】箱形ルーフの接続を示す斜視図である。
図17】箱形ルーフの発進を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1図7は本発明の箱形ルーフの施工法の各工程を示す側面図で、図中17は略正方形断面の箱形筒体である単位筒体17aを接続して所定の長さに形成する箱形ルーフであり、この箱形ルーフの17の詳細については前記従来例で説明した通りである。
【0044】
本発明はこの単位筒体17aが縦列する箱形ルーフ17の途中に単位筒体17aと同外径で長さ方向に伸縮する伸縮箱形筒体40を組み込んだ。伸縮箱形筒体40も略正方形断面の箱形筒体である。
【0045】
この伸縮箱形筒体40は図10図14に示すように、前側筒体41とこれに嵌合する後側筒体42からなり、前側筒体41と後側筒体42間に架け渡す油圧ジャッキ43を4隅に配設した。
【0046】
前側筒体41とこれに嵌合する後側筒体42のうちいずれか一方の筒体(図示では後側筒体42)は、外筒壁42aとこの外筒壁42aより縮径して前に突き出る内筒壁42bとからなり、外筒壁42aは前側筒体41と同外径で、内筒壁42bが前側筒体41に挿入される。
【0047】
前記縮径される筒体である後側筒体42は縮径しない外筒壁42aの一部分が延長して縮径部分である内筒壁42b上に矩形凸部45となり、これが他方の前側筒体41の矩形凹部切欠き46に伸縮のためのガイドとして挿入されるようにした。
【0048】
前記前側筒体41と後側筒体42のいずれもジャッキ台座44を形成して、このジャッキ台座44に突設するフランジに油圧ジャッキ43をピンにより軸着する。
【0049】
油圧ジャッキ43はジャッキ台座44を含めて、上下左右の4隅に配置されるもので、伸縮箱形筒体40の中央には排土用の台車47の通行が許容できる空間が確保される。
【0050】
次に本発明の箱形ルーフの施工法について説明する。図1に示すように、鉄道などの上部交通の脇に鋼矢板などの土留部材13を打設して、発進立坑3と到達立坑9を築造し、発進立坑3内に推進機として元押しジャッキ4を設置してこれで箱形ルーフ17を単位筒体17aごとに到達立坑9に向けて圧入させる。
【0051】
箱形ルーフ17は先端に刃口管18を取り付け、その切羽を人力またはオーガー等による機械で掘削し、推し進める。
【0052】
箱形ルーフ17は単位筒体17aを1本ずつ圧入するものであり1ピースずつ長さ方向に継ぎ足して発進立坑3と到達立坑9までの必要長を埋設する。
【0053】
箱形ルーフ17は地下構造物として設置するコンクリート函体の推進の際の防護工として、設置する予定のコンクリート函体の外縁に合致するように配置されるものであるが、箱形ルーフ17の単位筒体17aが縦列する途中に伸縮箱形筒体40を組み込み(図4以下参照)、この伸縮箱形筒体40も同様に元押しジャッキ4で推進させる。
【0054】
そして箱形ルーフ17をある程度の長さ施工した段階で、箱形ルーフ17の全体の押し出し工程の間に、伸縮箱形筒体40の伸長でその前部分の箱形ルーフ17のみ押し出す工程を介在させる。
【0055】
すなわち、伸縮箱形筒体40は油圧ジャッキ43を伸長することで図8から図9に示すように伸縮箱形筒体40が伸び、それにより前部分の箱形ルーフ17を押し出す。
【0056】
また、伸縮箱形筒体40が伸びたならば、油圧ジャッキ43をフリーとして後方の箱形ルーフ17を押すことにより伸縮箱形筒体40は元の縮小状態に戻る。
【0057】
このようにして箱形ルーフ17配設したならば、発進立坑3内(図示では到達立坑9内)に地下構造物としてのコンクリート函体1をセットし、元押しジャッキを設け、コンクリート函体1の先端に刃口2を設ける。刃口2内および前方の切羽の土砂を掘削する。箱形ルーフ17が防護工として作用する。
【0058】
掘削し、排土した分空隙ができるので、元押しジャッキを伸長してコンクリート函体1を押し進め、同時にコンクリート函体1を介してフリクションカットプレート21を残しながら箱形ルーフ17を押し進める。
【0059】
この箱形ルーフ17を押し進めるに際して、コンクリート函体1と箱形ルーフ17のとの間に小ジャッキ22を介在させるようにしてもよい。箱形ルーフ17は、コンクリート函体1の設置側に小ジャッキ22を収納したジャッキ収容管24を配設する。
【0060】
小ジャッキ22を伸長してコンクリート函体1を反力としてフリクションカットプレート21を残しながら箱形ルーフ17を1本ずつ順次押し進め、一通り箱形ルーフ17が前進したならば、小ジャッキ22を縮め、今度は元押しジャッキによりコンクリート函体1を掘進させる。
【0061】
かかるコンクリート函体1とともに箱形ルーフ17を推し進める工程の間に前記伸縮箱形筒体40の伸長でその前部分の箱形ルーフ17のみ押し出す工程を介在させることもできる。
【符号の説明】
【0062】
1…コンクリート函体
2…刃口
3…発進立坑
4…元押しジャッキ
5…反力壁
6…ストラット
7…基礎コンクリート
9…到達立坑
13…土留部材
14…土砂排土管
17…箱形ルーフ
17a…単位筒体
17c…接続フランジ
18…刃口管
19…ボルト、ナット
20…箱抜き
21…フリクションカットプレート
22…小ジャッキ
24…ジャッキ収容管
26…固定部材
40…伸縮箱形筒体
41…前側筒体
42…後側筒体
42a…外筒壁
42b…内筒壁
43…油圧ジャッキ
44…ジャッキ台座
45…矩形凸部
46…矩形凹部切欠き
47…台車
【要約】
【課題】施工長が長い場合でも箱形ルーフをたわみを生じさせずに、確実に押し出すことができる箱形ルーフおよびその施工法を提供する。
【解決手段】略正方形断面の箱形筒体である単位筒体17aを接続して所定の長さに形成する箱形ルーフ17において、単位筒体17aが縦列する箱形ルーフ17の途中に単位筒体17aと同外径で長さ方向に伸縮する伸縮箱形筒体40を組み込んだ。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17