(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】対走行騒音の音量音質制御の安定化方法
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20250128BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
H04R3/00 310
B60R11/02 S
(21)【出願番号】P 2023184376
(22)【出願日】2023-10-27
【審査請求日】2023-10-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392004015
【氏名又は名称】角元 純一
(72)【発明者】
【氏名】角元 純一
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-148161(JP,A)
【文献】特開2018-182480(JP,A)
【文献】特開2013-062609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/00-11/06
G10K 11/00-13/00
G10K 15/00-15/12
G10L 13/00-13/10
G10L 19/00-19/26
G10L 21/00-21/18
G10L 25/00-25/93
G10L 99/00
H03F 1/00- 3/45
H03F 3/50- 3/52
H03F 3/62- 3/64
H03F 3/68- 3/72
H03G 1/00- 3/34
H04R 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力再生信号とは本案の信号処理の再生信号の入力とし、
出力再生信号とは本案の信号処理の再生信号の
出力とし、
元再生信号とはスピーカーの駆動信号と固定定数で結合している信号とし、
実機における最適な元再生信号はパワアンプの入力とし、
強度とは一定時間内の信号の最大値とし、
機能とは特定の作用を司るところの電子素子と電子回路とアルゴリズムとプログラムの
いずれかの手段とし、
走行振動加速度信号とは車体の構造体につながる構造物に装着した加速度センサーの出力を増幅した信号とし、
走行振動加速度信号の強度を走行振動加速度強度とし、
車の走行騒音の強度を走行騒音強度とし、
実測結果において、走行振動加速度強度が走行騒音強度と一次相関の関係にあることを利用することを第1とし、
車のオーディオ再生装置を再生装置とし、
再生装置の元再生信号から、スピーカーが発生する振動を介して、さらに構造体と空気を介して加速度センサーに至る振動の結合経路を結合路とし、
実測結果において、加速度センサーによる結合路の強度が音波検出のマイクロホン
を使った場合に比べ、著しく小さいことを利用することを第2とし、
この著しく小さい、とは実測値で 13dB の差が有効である、と判断できることによるものとし、
結合路を模擬する機能を模擬結合路とし、
模擬結合路の出力信号の強度を模擬結合信号強度とし、
模擬結合信号強度に乗ずる係数を誤差補正係数とし、
誤差補正係数は1より大きい値とし、
模擬結合信号強度に誤差補正係数を乗じた強度を補正後模擬結合強度とし、
補正後模擬結合強度が模擬結合路と実結合路との特性の相違による誤差によって、
制御系の動作が不安定範囲へ侵入する確率が左右される性質を利用するものとし、
このことは、誤差補正係数の調節によって、
制御系の精度の犠牲と制御系の安定性の双方を天秤にかけ、必要精度と必要安定性の双方を、実用性に照らして満足できる状態への追い込みが可能なことを利用するものとし、
誤差補正係数を用いることを第3とし、
この 満足できる状態への追い込み とは、理論値と実測値で 30dB の改善が可能である、と判断できることとし、
走行振動加速度強度から補正後模擬結合信号強度を差し引いた値を
補正後走行振動加速度強度とし、
補正後走行振動加速度強度の度合いに依存させて、再生装置の入力再生信号の強度の抑揚の度合いを制御する機能を有することを第4とし、
補正後走行振動加速度強度の度合いに依存させて、再生装置の入力再生信号の音量と音質の度合いの制御機能を有することを第5とし、
第1と第2と第3と第4と第5を有し出力再生信号を得ることを特徴とし、
図11に示すところの、
元再生信号 Sreply に模擬結合路 PseudoC を作用させ、
その出力信号から、分割帯域ではない全帯域信号の一定時間内の
最大値PK()を求め、
その出力信号に、閉ループを持つ音響制御系の安定度を確保すべく、
強度模擬結合の誤差補正係数 R を作用させ、
その出力信号をR*(PK(PseudoC(SReply)) とし、
走行振動加速度に対応する信号 ACCin に、分割帯域ではない全帯域信号の一定時間内の最大値を得る PK() を作用させ、その出力信号を PK(ACCin) とし、
差信号
PK(ACCin)-R*PK(PseudoC(Sreply)) が、
図6に示すところの、
Measured max(noise)=max(Noise+Signal)-max(Signal) の欄の値が max(Noise) の欄の値と極めて高い精度で実験的に一致すること、即ち、二つの独立信号の双方の一定時間内の最大値の差がそれぞれの信号の実効値に正確に一致することを利用し、
走行騒音に依存しない暗騒音に相当する値を Bias とし、
RNL=PK(ACCin)-R*PK(PseudoC(Sreply))-Bias を走行騒音に対応する信号とし、
その信号に、
図11(a)に示す、走行騒音に対応して音質と音量の制御範囲の最小値の RNLstart と 最大値の RNLmax からなる補正特性 Expansion Curve を作用させ、
その補正特性上の出力信号 Expgain を補正制御信号とし、
補正制御信号は、再生系全体の音量と音質 と 信号強度の抑揚 とを制御するものとし、
再生系全体の音量音質制御とは、図11の TVRC のブロックの 音量係数 TVR と
音質音量制御信号発生機能 TVRctrl と 時定数機能 S/Q から構成されるところの
全体音量音質補正機能とし、
信号強度の抑揚の制御 とは、図11の 強度抑揚補正機能 EXPC のブロックの
伸張係数 EXP と
伸張制御信号生成機能 Expctrl と 元再生入力信号の一定時間内の最大値を得る PK() と 時定数機能 Q/Q と 時定数機能 Qh/S から構成されるところの強度抑揚補正機能とする、
ところの、
車の再生装置の音質音量制御方法。
【請求項2】
補正後走行振動加速度強度の度合いに依存させて、再生装置の入力再生信号の明瞭度の
抑揚の度合いを制御する機能を有することを第6とし、
明瞭度の抑揚の度合いとは一般的な明瞭度ではなく、図3(a)を一例とする常時変化している明瞭度のこととし、
第6と請求項1の第1と第2と第3と第4と第5を有することを特徴とし、
第11図に示す、補正後走行振動加速度強度 RNL に依存するところの 補正制御信号 EXPgain の度合いに依存させて、
CLRctrl と CLR とから構成される補正後明瞭度の抑揚の度合いの制御機能とするところの
車の再生装置の音質音量制御方法。
【請求項3】
PK() は()内の信号の強度とし、
Q/Q を高速アタック、高速レリース、の時定数とし、
Qh/S を高速アタック、最大値ホールド、低速レリース、の時定数とし、
時定数の高速と低速はアタックとレリースの相対的な関係であって、
それぞれの速度とホールド時間は設計的に個々に決定されるものとし、
請求項1の補正後走行振動加速度強度に最小点 RLNstart から最大点 RNLmax の範囲
を設け、
RNLstart から RNLmax に対応させ、傾斜を持つ補正制御特性 EXPgain を設け、
EXPgain を入力再生信号の、強度の抑揚の補正に利用するとし、
再生装置の入力再生信号の強度を入力再生信号強度 PK(Sin) とし、
PK(Sin) を時定数の異なる2個の時定数機能 Q/Q と Qh/S の共通入力とし、
Q/Q の出力のレリースと Qh/S の出力のレリースの時間差によって生じる双方の出力の差を利用するものとし、
Qh/S 側の出力から Q/Q 側の出力を差し引いた信号でもって、
伸張制御信号の元になる信号 QhS(PK(Sin))-QQPK(Sin)) を生成し、
補正制御信号 Expgain を作用させて、QhS(PK(Sin))-QQPK(Sin)) を正規化した信号を得る機能を 伸張制御信号生成機能 Expctrl とし、
Expctrl の出力を 伸張制御信号 Kexp とし、
Kexp を 強度抑揚補正機能 EXP の入力とし、
Kexp でもって、補正後走行振動加速度に対応する入力再生信号の抑揚の度合いを補正することを第7とし、
請求項1の第4が第7であることを特徴とする音質音量制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
閉ループを持つ系の制御の安定性
適応フィルター
環境音制御
【背景技術】
【0002】
環境ノイズ対応音量音質制御
音響信号処理
車体の走行振動
車の走行騒音
【0003】
請求項で定義した用語と記号は明細書においても同様とする。
走行騒音と走行振動加速度は特に断りがない記述では同意とする。
以下、本案の開発過程における考察その1から12までは背景技術に関する考察である。
【0004】
本案の開発過程における考察 その1.走行騒音対策の現状について
乗用車の走行騒音対策は第一に吸音材による。
即ち振動エネルギーをできる限り熱エネルギーに変換する方法が最も効果的である。
しかし、吸音性能と重量やコストの間にはトレードオフの関係があって妥協で選択せざるを得ない。特に小型車ほど軽量化が優先される傾向にある。
一方、能動的に走行騒音を抑制する手法もあるが、実用的には 500Hz までの範囲で 3dB 程度の抑制が限度であって、この性能に関し市場で良い評価を受ける水準にはない。
結果、コストが厳しい車については、走行騒音はやむを得ないとして、せめて車内の
リスニングに際し、走行騒音に見合った再生音の音質音量制御が一般的に使われる。
【0005】
本案の開発過程における考察 その2.走行騒音のばらつきの主要因について
図1が示すように同じ走行速度でも走行騒音強度は小型車でも中型車でもほぼ同様であって 約20dB のばらつきがある。
このばらつきは路面状態とエンジンの回転数や負荷の状態によるものである。
市場の状況をくまなく掌握してはいないが、多くの車種では走行騒音に代えて、走行速度に依存させた音量音質制御となっている。
図1の実測値例から、同じ走行速度下の 20dB のばらつきには、走行速度対応の方法では対処できないことがわかる。
【0006】
本案の開発過程における考察 その3.入力再生信号強度と走行騒音強度の関係について
図2は、再生信号強度と走行騒音の関係の説明図である。
再生信号より走行騒音が大きい場合、信号が何であれリスニングができる状態にはない。
再生信号の強度の抑揚が大きい場合、再生音が強すぎて音量を上げても騒々しい範囲と
弱くて聞こえない範囲が混在し、アナウンスの場合、騒々しいが内容を聞き取れない、
という不都合が発生する。
強度の抑揚を一定化することで、必要以上に最大強度を上げることなく、内容を聞き取れる再生音強度に調節することができる。
【0007】
本案の開発過程における考察 その4.アナウンス信号の明瞭成分強度の抑揚について
図3は、比較的低明瞭度のアナウンス信号に関し、サンプルから抽出した明瞭成分強度の抑揚とその対策方法の一例を示す。図は 8ddB の補正例を示すが、
実験的な確認ではあるが明瞭成分強度の適正な最大補正量は 約10dB である。
この例では、明瞭成分強度の変動が大きいことがわかる。
明瞭成分の弱強度の部分に伸張を作用させ、一定化することができる。
この課題は、単純に音量を上げれば解決できるように思われるが、信号そのものの強度と明瞭成分強度とは必ずしも一次相関の関係にない。一様に強度を上げることは不要な成分が過大強調され不快感が伴うことから、音量を上げるだけでは解決できない。
【0008】
本案の開発過程における考察 その5.総合的に必要な再生信号の強度補正量について
平均の走行騒音強度の変化範囲が 110km/h までで 20dB、
この内、入力再生信号強度の変化範囲が 10dB、明瞭成分の抑揚範囲が 10dB とすると
双方まとめて 20dB となる。しかし、抑揚と明瞭成分の強度抑揚は完全独立ではなく、
共通する要因もあることから、統計的に 13dB が実用的な必要範囲である。
路面状態による走行騒音強度のばらつき範囲が平均から +-10dB、
おおざっぱであるが合計 20dB+10dB+13dB=43dB の強度制御範囲が必要である。
安定して制御できる強度範囲が 約43dB 必要であることは本案の本質である。
【0009】
本案の開発過程における考察 その6.43dB の強度制御について
43dB という数値は、本案に至る実験や試験販売の商品に組み込んでのフィールドから得られた値であって、普遍性を持つ数値ではない。しかし、複数の複雑な要因を持つ課題を総合しての経験的な数値であることから、商品設計には十分に意味を持つ数値である。
極めて精密な実験室レベルの音響信号処理ができたとしても、閉ループを持つ系の強度 を 43dB の範囲での制御の精度と安定性の確保は一般常識に照らして簡単ではない。
そのことは、2023年現在の一般小型車や小型ハイブリッド車や小型EV車のこの種の機能の実情から判断して明らかである、と言える。
【0010】
本案の開発過程における考察 その7.目標数値 43dB への対処方法について
その 約43dB の対処方法は三つある、
第1に、再生系と検出系の結合に起因するところの閉ループの強度ゲインを大幅に小さくする走行騒音検出方法。
第2に、走行騒音の検出信号強度に混入する再生音成分強度の正確で大幅な除去。
第3に、模擬結合路と実結合路の乖離による不安定要因の除去。
【0011】
本案の開発過程における考察 その8.車体の振動加速度と走行騒音の関係について
図4は、DINキャッビネットに収納され、プリントキバン上に実装の、
加速度センサーの出力強度と騒音強度の周波数帯ごとの関係の実測例を示す。
いずれの周波数帯域も加速度センサーと騒音の関係には +-2dB程度 のばらつきはあるものの、総じて一次相関を持つことを示している。
即ち、車の構造体の振動加速度がエアーマイクロホンの出力を代用できることを示す。
【0012】
本案の開発過程における考察 その9.スピーカーと加速度センサーの強度結合について
車体の振動加速度と元再生信号の結合がどの程度であるかは極めて重要である。
図5は、マイクロホンと加速度センサーの閉ループ結合強度の実測例の比較である。
結果、加速度センサーによる結合はマイクロホンより 13dB から 14dB 小さい。
即ち、走行騒音を車体の加速度で代用することで閉ループ結合を 13dB 改善できる。
【0013】
本案の開発過程における考察 その10.再生信号成分が混じった走行騒音の
検出信号強度から元再生信号成分強度の除去について
図6は、特願2017-077577の表1の引用である。
X を元再生信号成分とし、Y を検出環境騒音とするとき
この表から、0.05% の精度で騒音の強度から騒音に含まれる元再生成分強度を分離できることを示す。
この表は理論値である。
実働状態での精度は、
元再生信号から相殺信号を生成するところの模擬結合路特性 と 実働状態の結合経路 との相違によって決まる。この相違が 約10% の誤差やドリフト に収めることができることから、実質的に可能な相殺量は 約20dB となる。
【0014】
本案の開発過程における考察 その11.模擬結合路の誤差対策について
上記 その10に記述の誤差に関連して、制御系の安定度を最優先にする必要があることから、制御系の実態との乖離による不安定領域へ侵入する可能性の分、
1 より大きい係数を模擬結合路の出力強度に乗じて補正を加える。
さらに必要に応じて固定的に存在する振動強度分を除去する。
係数による補正によって、約20dB の制御の安定範囲を確保できる。
【0015】
本案の開発過程における考察 その12.総合的な改善について
考察 その9 と その10 と その11 は、
都合 13dB+20dB+10dB=43dB の制御範囲の改善に使えることを示す。
いずれも理論的普遍性を持つ数値ではないが、実験的に検証済みの数値である。
この種の機能を持つ実用の装置の設計にとって、抽象的な理論は全く役に立たないが、
実測による検証結果は商品設計に応用可能であることを保証する。
即ち、いずれも公知の検出方法と各種信号処理手法を利用し、組み合わせるによって、
これまで達成できなかった高性能広範囲の走行騒音対音質音量制御が可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
文献は多数あるが、いずれも純理論的な考察であって実用商品を作るに際し直面する多くの課題の解決に役立つ記述はない。
本案の開発過程における考察その1から12までが非特許文献に代わる参考資料である。
【特許文献】
【0017】
特願 2018-70016 音響システム、音響再生装置、および音響再生方法
特願 2015-149105 車載用音響再生装置
特願 2011-52671 車載用音響再生装置
特願 2007-2-1622 自動音質制御装置、および、集積回路
特願 2002-149930 音声再生装置
特願 2001-188599 オーディオ信号復号装置
特願 平10-323316
上記はいずれも、
車の構造物の振動加速度強度の記述がない。
検出した振動加速度強度から高精度で再生信号強度の結合分を差し引き補正する方法の記述がない。
入力再生信号強度の抑揚範囲と走行騒音強度の変動範囲と明瞭成分強度の抑揚範囲に関係するところの、総合的に必要な入力再生信号の強度の制御範囲に関する記述とその解決方法の記述がない。
が上げられる。
このことは、43dB の制御範囲という現状問題の改善という課題に照らして、
本案とは本質的に異なる内容である、と言える。
特願 2017-077577 騒音スペクトル検出方法と対騒音音量音質制御方法
騒音と再生音が混ざった信号から騒音強度を正確に検出する方法であって、
走行騒音対応の総合的に絶対必要量の制御可能範囲の改善に関するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
課題その1
走行車の車内の走行騒音に対応しての音質と音量の制御に際し、
特に再生する信号が声の場合、変化する声の強度が弱い範囲で聞き取れない。
途切れる回数が多くなると全体が聞き取れなくなる。
聞き取れるまで音量を上げると、もともと走行騒音強度が強い範囲では
聞くに堪えない強烈な音量となる。結果、音量は上げられない、という結果になる。
再生信号が音楽の場合であっても同様である。
【0019】
課題その2
強度に抑揚がある入力再生信号の弱強度の範囲を補強することで、強度が一様になって、聞き取りやすくなる。しかし、再生スピーカーから走行騒音検出へ至る結合路があって、系は閉ループを形成している。
増幅度を上げると閉ループの強度結合に正帰還が作用し、
強度制御が不安定になる。強度の制御系には信号の瞬時値の結合はないので通常の線形系の発振現象はないが、強度の状態の結合でも条件によっては正帰還が作用する。
このことから、走行騒音に対応する音量音質の制御性能には限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
下記の複数の機能を組み合わせる。
【0021】
手段1.走行騒音の検出を音圧ではなく、車体の構造物の走行振動加速度を利用する。
走行騒音強度と車体の一部の振動加速度強度との相関関係の実測値を
図2に示す。
どの周波数帯域においても振動加速度強度と走行騒音強度の一次相関が認められる。
走行騒音強度を振動加速度強度に代えることで 約13dB の強度制御範囲を確保する。
【0022】
手段2.振動加速度の検出信号強度に含まれる元再生信号成分強度を差し引くことで、
走行騒音と一次相関を持つ正確な振動加速度の強度を抽出する。
【0023】
手段3.模擬結合路の誤差分に対して、
模擬結合路の出力信号強度に 1 より大きい補正係数 R を作用させる。
【0024】
手段4.
検出され計算された正確で安全な補正後走行振動加速度の強度値もって、
入力再生信号の強度の抑揚を補正し均一化する。
必要に応じて、入力再生信号がアナウンスの場合の明瞭成分の抑揚を補正し均一化する。
【0025】
手段5
検出され計算された正確で安全な補正後走行振動加速度の強度と
決め細かい信号処理の組み合わせでもって、43dB の安定した制御範囲を確保する。
それらは、
補正後走行振動加速度強度の度合いに応じて再生信号強度の抑揚の度合いを補正する。
補正後走行振動加速度の強度の度合いに応じて再生信号の明瞭成分強度の抑揚の度合いを補正する。
補正後走行振動加速度の強度の度合いでもって、再生信号の音量音質強度を補正する。
の組み合わせである。
【発明の効果】
【0026】
手段1による効果1
音ではなく、走行騒音と強度相関を持つ車体の一部の振動加速度を利用することで、
再生系と加速度検出機能の結合を軽減する。
この軽減効果は実測例で 13dB から 14dB である。
【0027】
手段2による効果2
PK(Y)=PK(X+Y)-P(X)
の信号処理でもって、検出信号の強度に含まれる元再生信号成分強度を正確に取り除く。
この効果は理論上 74dB であるが、実質は模擬結合路と実結合路の相違による 約10% の誤差が見積もられることから、実質 約20dB である。
【0028】
手段3による効果3
P(X+Y)-R*P(X)
または
P(X+Y)-R*P(X)-Bias
なる 1より大きい比例係数 R と、
必要に応じて固定バイアス Bias を作用させることで、
検出信号の強度に含まれる誤差による制御系の不安定要因を除去できる。
【0029】
手段4による効果4
強度の抑揚がある入力再生信号の弱強度の部分に伸張を作用させ補正する。
伸張の適切な最大範囲の 10dB を改善できる。
【0030】
手段5による効果5
強度の抑揚が均一化された再生信号の音量音質に対して、検出処理された走行振動加速度の強度に対応させて音量音質を補正する。この補正範囲 約 20dB を確保できる。
【0031】
手段1から5による総合効果
入力再生信号の強度制御の必要範囲 43dB を確保できる。
複数の方法を組み合わせることは本案の本質である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】走行速度と走行騒音の関係の実測例、(a)小型車の場合で聴感補正曲線が A の場合、(b)中型車の場合で聴感補正がない場合
【
図2】一例のアナウンス信号強度の抑揚と走行騒音の関係の説明図、(a)アナウンスの再生信号強度の抑揚の様子と走行騒音の関係、(b)走行騒音環境下でアナウンスの再生信号強度を上げた場合の、再生信号の抑揚の様子と走行騒音の関係、 (c)強い走行騒音環境下でのアナウンス再生信号強度の抑揚を一定化した場合の再生信号と走行騒音の関係
【
図3】アナウンス信号の明瞭成分強度の抑揚の説明図、(a)明瞭度が良くないアナウンス信号の一例の明瞭成分強度の変化、(b)
図3(a)の明瞭成分強度の抑揚を改善した信号の一例
【
図4】加速度センサーの出力強度と騒音強度の周波数帯ごとの相関関係の実測例
【
図5】音響マイクロホンと加速度センサーの閉ループの結合強度の実測例、(a)センサーの種類による閉ループ結合度の比較測定結果、(b)
図5(a)の測定結果の測定方法のブロック図
【
図6】検出した振動加速度に含まれる再生音強度を差し引くことで正確な振動加速度を算出できることを示す理論上の数値表。特願2017-077577 からの抜粋
【
図7】走行振動加速度強度による走行騒音対応制御特性の説明図
【
図8】対走行振動加速度強度の音量音質補正の説明図
【
図9】対走行振動加速度強度による制御系の閉ループゲイン余裕の説明図
【
図11】本案の具現化のためのソフトウェア設計のための詳細なブロック図の一例
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
軽量化が必修の小型車中型車の再生装置
【産業上の利用可能性】
【0034】
電子回路プリントキバンに組み込まれた加速度センサー
オーディオプロセッサ向けソフトウェア。
【実施例】
【0035】
音響システムのように、人の官能が伴う評価を受けるハードウェアとソフトウェアからな
る工業製品の評価項目には、形容詞で評価されるものが少なくない。
このような場合、機能を数値で表現しなければならない場合、数値には 約 とか
おおざっぱに という前置きが伴う。本案の説明に使う数値には約とかおおざっぱの修飾があるが、これらは 統計的に と同意であって本案の本質を損ねるものではない。
音質の評価は人の官能による総合評価であって、例えば何かの要因が 1dB ネガティブに変化したとして、多種多様な要因の一部に若干の劣化を作用させるものである。
本案に至る過程では、改善策の一例を試してみて、不足であれば、さらなる改善策を
試みる、という典型的なカットアンドトライの手法を何層も重ねることでトレードオフの
範囲を広げた経緯がある。
本案の本質は、
合計で 約43dB の必要性な制御範囲のその内訳が
強度の抑揚と明瞭度の抑揚に共通して必要な制御量が 約13dB
走行騒音の速度依存分の平均値に対応して必要な制御量が 約20dB
走行騒音の路面状態とエンジンの回転や負荷に対応して必要な制御量が 約10dB
合計で 約43dB の必要な制御範囲を満足する方法、その内訳が
走行振動加速度をもって走行騒音の代用とすることで改善できる制御範囲が 約13dB
制御系の閉ループ結合路を遮断することで改善できる制御範囲が 約20dB
実結合路と模擬結合路の誤差要因を除去することで改善できる制御範囲が 約10dB
いずれも複数ファクターの合計の、改善量でもって必要量を満足するところである。
以下,図面についての説明である。
【0036】
図1は、走行速度と走行騒音の関係の実測例である。
横軸は走行速度 単位は [km/h] 縦軸は騒音計の読み 単位は [dB]
Running Speed は走行速度である。
いずれも、測定方法は走行中の速度計の読みと騒音計の読みで記録したものである。
測定数を多くすることで統計的にデータの信頼度を確保している。
縦軸は dB で対数、 横軸は km/h なので 比例、 であるので、
縦軸横軸の相関関係を見るには、例えば走行速度が 2倍 ごとの走行騒音を確認する。
図1(a)は、小型車の場合、
Road Noise (A-Curve) はグラフが走行速度と走行騒音の関係の実測例であって、
聴感補正が A である。
低音成分を除去しての騒音レベルなので、騒音の数値は実感よりは小さい数値を示す。
A Small Class Car は供試品が小型車の一例であることを示す。
図1(b)は、中型車の場合、
Road Noise (Proportional) はグラフが走行速度と走行騒音の関係の実測例であって、
聴感補正なしである。
低音成分を除去しない騒音レベルなので、実感よりは大きい数値を示す。
A Middle Class Car は供試品が中型車の一例であることを示す。
図1(a)と
図1(b)に共通して、以下の3項目があって、これらは本案の本質である。
第1に、走行速度と走行騒音の関係は平均において、ほぼ一次相関の関係にある。
第2に、同速度上の走行騒音の変動範囲がおおざっぱに 約20dB あるので、その速度の平均傾向から +-10dB 上下に変動している、と言える。
第3に、この変動は主として路面の状態とエンジンの負荷によるエンジン音に依存する。
【0037】
図2は、再生信号強度の抑揚と走行騒音の関係の一例の説明図である。
RNL は走行騒音レベル、Weak は再生信号の強度が騒音に対し弱過ぎる範囲、Strong は再生信号の強度が騒音に対し強すぎる範囲、Stable は再生信号の強度が騒音に対し均衡している範囲を示す。
一般的に再生信号には強度の抑揚がある。特にアナウンス信号の強度の抑揚は個人差が
大きい。情報を伝達するという意味での優れたアナウンサーの強度の抑揚は小さいが、
通常のトークの場面での声には感情などの表現が作用して強度の抑揚は大きい。
特に走行騒音が大きい場合、音楽であってもアナウンスであっても強度が弱い範囲では
全く聞こえない。
そこで、聞き取れるレベルまで強度を上げると、強度が強い範囲では運転に差し支えるほどの強烈な音量となる。
対策として、再生信号の強度の均一化が最適な手法であることは公知である。
図2の説明は、強度が弱い部分の補正に際し、その範囲の再生信号を増幅しなければならない、という課題を示す。おおざっぱに、約10dB の補強が必要であるが、再生装置が
音響結合を有する閉ループを持つことから補強が強くなるほど、制御系が不安定になる。強度の抑揚に対し、約10dB の補正が必要性であることは本案の本質である。
【0038】
図2(a)は、アナウンスの再生信号強度の抑揚の様子と走行騒音の関係を示す。
再生音よりも走行騒音が強くなるとリスナーは音量を上げる操作が必要となる。
【0039】
図2(b)は、走行騒音環境下でアナウンスの再生信号強度を上げた場合、
再生信号の抑揚の様子と走行騒音の関係を示す。
騒音が強い場合、再生音は、強度の抑揚に応じて強すぎと弱すぎの双方が発生する。
【0040】
図2(c)は、強い走行騒音環境下でのアナウンス再生信号強度の抑揚を一定化した場合の再生信号と走行騒音の関係を示す。
騒音が弱い状態での抑揚を補正した信号には違和感があるが、強い騒音下では、その違和感は弱まり、むしろ全範囲で聞き取れることがリスニングにとって良い結果となる。
特に、再生信号の内容がニュースやトークである場合、内容の聞き取り率の最大化と音量による不快さの最小化をバランスさせなければならない。
【0041】
図3は、アナウンス信号の明瞭成分の抑揚の説明図である。
アナウンスの明瞭成分の強度は元々のアナウンス信号の強度にも依存するが、
アナウンス信号の強度にかかわらず別の要因にも依存する。個性や発声の時の姿勢や感情など、様々な条件によって明瞭成分の強度が声の大きさにかかわらず変動する。
騒音が強くなると、強度を均一化した再生音でも、明瞭成分強度が弱い範囲では、聞き取り率が下がる。強い騒音環境で聞き取り率を改善するためには強度の均一化だけではなく明瞭成分強度の均一化が必要となる。このことは手法も含め公知である。
本案との関係で重要な点は、おおざっぱに 約 10dB の明瞭成分強度補正が必要な点にある。再生音と明瞭成分の強度補強で最大 20dB という計算になるが、共通要因もあって、実質は双方合わせて 13dB 程度と見積もることができる。
Clearness Element in UN-Clear Announcement & Improvement は、
図が不明瞭なアナウンス信号 約20秒 の明瞭成分強度とその改善方法の説明である。
Required Level は明瞭度の必要水準である。
Signal having big dispersion in clearness は明瞭成分の抑揚が大きい例を示す。
Improved Clearness は供試信号の明瞭成分強度の抑揚の改善例を示す。
Clearness is improved as 3 points to 21 points in required level by 8 dB of clearness conditioning は この改善例では、明瞭成分強度を 8dB 上げることで
必要な明瞭成分の強度を超えるポイントが 3個 から 21個 に改善できていることを示す。
【0042】
図3(a)は、明瞭度が良くないアナウンス信号の一例の明瞭成分強度の変化である。
その信号は元の再生信号から抽出した明瞭成分である。
必要な明瞭度の強度を超えるポイントは 3個 である。
【0043】
図3(b)は、
図3(a)の明瞭成分強度の抑揚を改善した信号の一例
必要な明瞭度の強度を超えるポイントは 21個 である。
【0044】
図4は、加速度センサーの出力強度と騒音強度の周波数帯ごとの関係の実測例である。
縦軸横軸ともに検出電圧換算であるので、図から、検出加速度と走行騒音は +-2dB 以内の誤差範囲で一次相関の関係にある。車体に連結している機構部の振動加速度の検出信号強度が走行騒音強度に代替えできることを示す。このことは本案の本質の一つである。
Correlation between mechanical vibration & noise SPL は、
図が振動加速度と走行騒音の相関関係を示す実測例であることを示す。
Horizontal; Acceleration on the body [mV], Vertical; Noise SPL at the driver’s location [mV] は,
図の横軸が車の機構の一部の振動加速度であって、単位は検出器の出力電圧 単位 [mV] 図の縦軸が運転席の走行騒音であって、単位は検出器の出力電圧 単位 [mV] である。
32Hz,63Hz は周波数範囲が 32Hzから63Hz の帯域であることを示す。
4000Hz まで、7つの周波数帯の測定結果のそれぞれを示す。
【0045】
図5は、音響マイクロホンと加速度センサーの再生系における閉ループの結合強度の実測例である。走行振動加速度を騒音に代用することで 約13[dB] の制御範囲の改善ができることを示す。振動加速度を走行騒音検出に利用することは本案の本質である。
閉ループの結合度に関して、マイクロホンを使った騒音の検出では必要な制御範囲に対応できるほど制御系を安定させることができないのが実情である。
個々のカーオーディオの実測データを検証してはいないが、2023年現在、
走行騒音対応の機能で、少なくとも小型車や中型車でユーザーの潜在的な要求を満足している、という評価がある車はない、と言える。
重要なファクターの一つは走行騒音のセンサーである。
図4の説明で、走行振動加速度と走行騒音が一次相関の関係にある実測結果を示したが、スピーカーから加速度センサーに至る音響結合がマイクロホンよりはるかに弱いことが必修条件である。
【0046】
Sample Car: Middle Class は、供試の車が中型車であることを示す。
Pilot Signal: 20---100Hz Random Noise は、測定のためのパイロット信号が
20Hz から 100Hz の範囲のランダムノイズであることを示す。
Sensor は、表の縦の欄がセンサーの種類、
Location は、表の縦の欄がセンサーの設置場所、
Signal Output to the Howling Point は、表の縦の欄が、パワアンプのゲイン調節によって閉ループがハウリングを起こす直前のセンサーの検出電圧であって、単位は [mV]、
Improved Gain Ratio [dB] は、表の縦の欄が閉ループの結合強度の改善度の倍率、
()内は 倍率の dB 換算であることを示す。
Microphone Non-Porlar は、センサーが無指向性のマイクロホン、
Acceleration Vertical-Polar は、センサーが垂直方向の加速度検出
Driver’s Head Rest は、測定点が運転席のヘッドレスト、
Din-Box Frame は、測定点が DINボックスのフレーム、
PCB installed in the DIN Box Cabinet は、測定点が DINボックスに収納された
キャビネットの中のプリントキバン、
Microphone は、マイクロホン、
Acceleration は、加速度センサー、
Switch は、センサーの切り替えスイッチ、
M,N,A はそれぞれ、スイッチが マイクロホン側、ニュートラル、加速度センサー側、
Sensor Amp は、センサーの出力信号の増幅回路、
OSC 20-100Hz Random Noise は測定用の信号が 20Hz から 100Hz の範囲のランダムノイズ、
MIX は、加算、
Power Amp は、ゲイン調整が可能なパワアンプ、
Speaker L, Speaker R はそれぞれ左右の再生スピーカー、
V は測定用信号の出力レベル測定用の電圧計、
である。
固定のバイアス信号を加速度信号に加えておいて、ハウリングポイントでのバイアス信号レベルの電圧計の読みで得た結合の度合いである。
マイクロホンの場合の 200[mV] が基準になっていて、850[mV] 1100[mV] はそれぞれ、4.25倍([12.6[dB]) 5.5倍(14.8[dB]) 分結合が弱くなっていることを示す。
図5(a)は、センサーの種類による閉ループ結合度の比較測定結果である。
図5(b)は、
図5(a)の測定結果の測定方法のブロック図である。
【0047】
図6は、振動加速度に含まれる再生音強度を差し引くことで正確な振動加速度を算出できることを示す理論上の数値表である。本案の本質は理論上正確な信頼できる騒音算出方法を利用した上で、模擬結合路と実際の装置の結合路との間の乖離による誤差の補正方法によって制御範囲を 約10dB 改善できることが本案の本質である。
この表は、特願2017-077577 から抜粋したものであって、騒音と再生音が混ざった信号から正確に騒音の強度を算出できることを示す。
ただし、騒音と再生音は互いに無相関の場合である。
走行騒音と再生音は一般的には完全に独立していて、双方は無相関である。
この表と本案との関係のある部分は
max(Noise)、max(Sig)、max(Noise+Sig)、max(noise+Sig)-max(sig) である
それぞれ縦の欄が、その時刻付近の、
ノイズの強度、再生入力信号の強度、ノイズと再生信号が混ざった信号の強度、
ノイズと再生信号が混ざった信号の強度 から ノイズの強度、を差し引いた値、
であることを示す。
Y を純粋の走行振動加速度とし、X を再生信号から振動加速度のセンサーに至る結合路によってセンサーの検出信号に混入する信号とし、
PK(Y)=PK(X+Y)-PK(X) が高精度で成り立つことを示す。
即ち、正確な走行振動加速度強度を割り出すことが可能である。
例えば、 PK(Y) が 30 の場合で、PK(x) が 1.0 の時、Pk(X+Y)-PK(X) の値は
29.986 であって、その精度は 0.05% である。理論上、驚異的な精度で純粋な走行騒音を検出できることを示す。実際は、模擬結合路と実際の結合路の間の乖離によって、約10% の誤差が発生する。制御量で 約20dB に相当する、それでも極めて有効な手法である。
【0048】
図7は、走行振動加速度強度による補正倍率の説明図である。
横軸は走行振動加速度強度、縦軸は補正倍率である。
Expansion Curve は図が伸張の特性例であることを示す。
RNL は走行振動加速度強度、
EXPgain は、補正制御信号、
RNLstart は、入力再生信号強度の抑揚補正の最小点、
RNLmax は、入力再生信号強度の抑揚補正の最大点、
EXPmax は、最大補正率、である。
補正の傾斜範囲は RNLstart に始まり RNLmax までである。
補正特性 EXPgain は入力再生信号強度の抑揚の補正、明瞭成分の抑揚の補正、
音量音質補正の元になる中間信号である。
数値による具体的な制御特性は設計的に決定される。
【0049】
図8は、走行振動加速度強度による音質音量補正の説明図である。
本案の本質は補正後振動加速度強度に対応して音質と音量を補正するところにある。
走行振動加速度は走行速度に伴って、
低音成分は走行速度が遅い状態から立ち上がり、高音成分は高速になるほど強くなる傾向にある。したがって、走行騒音に対応する強度の リスナーにとっての最適な制御 は
再生周波数帯域に応じて異なる。
この図は、低音と高音と全体音量の3種類についての制御例を示す。
横軸は走行振動、縦軸は強度の補正倍率である。
Compensation Curve は図が強度補正の特性例であることを示す。
図7と同記号は説明を省略する。
Gain Compensation は強度補正量、
0dB は補正なし、
Sample1 Sample2 Sample3 はそれぞれ 全体強度、低音強度、高音強度の補正例、
S1max,S2max,S3max は、それぞれ Sample1,Sample2,Sample3 の最大補正量、
である。
数値による具体的な制御特性は設計的に決定される。
【0050】
図9は、対走行振動加速度強度による再生信号強度の制御系の閉ループゲイン余裕の改善前後の説明図である。横軸は強度補正量、縦軸はゲイン余裕である。
信号強度の制御系の閉ループゲイン余裕は線形系の制御ほど難しくはなく、途中経路の
強度の誤差補正さえすれば系は安定する。しかし、安定方向への誤差補正が過ぎると精度が悪くなるので、誤差補正の度合いは性能と安定性のトレードオフ関係で決定する。
閉ループゲイン余裕が 3dB としても 6dB としても本案による改善後の全制御範囲が大幅に広がることを示す。43dB はその目標値であって、実現可能な数値である。
Gain Margin by Compensation は図が強度補正によるゲインマージン、
Total Gain Compensation: Variation by RNL & Signal は、
横軸が RNL と信号の状態に依存する全ゲイン補正即ち強度補正量、
Loop Gain Margin は制御系のゲイン余裕、
0dB, 3dB, 6dB は閉ループゲイン余裕、
Before Improved は改善前の特性、
After Improved は改善後の特性、
である。
複数の要素の組み合わせにより全制御範囲を大幅に改善することが本案の本質である。
【0051】
図10は、本案の具現化のための基本設計の説明のブロック図であって、
検出部、制御信号生成部、制御部からなる。
EXPC は EXP からなる強度抑揚補正機能、
CLRC は CLR と CLRctrl からなる明瞭成分強度抑揚補正機能、
TVRC は TVR と TVctrl からなる全体音量音質補正機能、
である。
Expctrl, CLRctrl, TVRctrl は RNL に対応した、中間信号であって EXPgain
を受けて、それぞれ Kexp, Kclr, Ktvr の制御信号を生成する。
EXP、CLR、TVR は、それぞれの制御信号を受けての制御機能である。
Coupling Detection は検出した振動加速度に含まれる元再生信号成分強度の算出を
司る。
Sreplay は元再生信号、
PseudoC() 模擬結合路、
Pk() ()内の強度、
R 模擬結合路の出力の強度の誤差補正係数、
R*PK(PseudoC(Sreplay))はその出力である。
【0052】
ACC Detection は走行振動加速度の検出機能である。
センサー素子は通常、組み込みが便利な電子回路のプリントキバンに装着する。
センサーの装着場所は設計的に決定する。
Accin は走行振動加速度の検出信号、
PK() は()内の強度、
PK(ACCin) は走行振動加速度強度、
Bias は暗騒音または雑多なノイズの固定分である。
Bias が性能に影響を及ぼさない場合、これを設ける必要はない。
PK(ACCin) はスピーカーが発生する振動成分強度を含んでいることから、
系全体の制御に使う走行振動加速度強度 RNL は
PK(ACCin) から R*(PK(PSEUDOC(Sreplay)) と Bias を差し引いて作られる。
RNL= PK(ACCin)-R*(PK(PSEUDOC(Sreplay))-Bias である。
RNL は 補正後走行振動加速度強度 である。
【0053】
図11は、本案の具現化へのソフトハード設計用の詳細なブロック図の一例である。
以下、
図10のブロック図を基に、
図10の各ブロックとの対比での説明である。
図11の
図10と同記号は同機能である。
二重丸印 adjusted for the best は最良の状態に調節設定されるファクターである。
以下、概略説明
【0054】
図中、(a)について、
Compensation Curve は、グラフが RNL の変動範囲に対する制御信号の変化を示す。
補正後走行振動加速度強度 RNL に対する 補正制御信号 EXPgain の関係を示す。
実測の結果、車種や路面状態にもよるが、
停止状態から例えば時速20km程度以下で再生信号に何らかの補正を作用させると聴感上、違和感がある。このことは、聴感特性にも依存する。低速走行でも強い超低音騒音があるが聴覚にはさして感じない。しかし再生中の楽曲が超低音を含む場合、超低音の再生音は
騒音の超低音にマスキングされ、感じにくくなる。しかし、ここで超低音を補強すると、
違和感を覚えるケースもある。例えば 20km/h が この境界 RNLstart に相当する。
高速走行で路面状態が悪い場合、走行騒音は極めて強くなる。
騒音対応の制御には制御範囲に制約もあって、最大点 が必要である。
RNLmax がこの値に相当する。
RNLstart と RNLmax の値は設計的に決定される。
【0055】
図中、(b)の(b1)から(b6)について、
(b1)に示す強度が一定の走行振動加速度強度 RNL に対し、
(b2)に示す強度に抑揚を持つ入力再生信号に対応する各部の信号の変化を示す。
横軸は時間経過、縦軸はそれぞれの信号強度である。
t0, t1, t2, t3, t4, t5, t6 はそれぞれ信号の変化のタイミングである。
(b1)は補正後走行振動加速度 RNL 騒音が一定の状態、
(b2)は信号 Sin の強度が短時間内、例えば 1秒以内の変化、
(b3)は時定数機能 Qh/S の出力 QhS(PK(Sin))、
(b4)は時定数機能 Q/Q の出力 QQ(PK(Sin))、
(b5)は伸張制御信号 Kexp、
(b6)は走行騒音が大きい状態で、抑揚が補正された信号 Sexp の強度、
の変化を示す。
RNL が強い という条件で、
Sin が弱い時間帯では伸長が作用し、入力再生信号の抑揚が補正される。
【0056】
図中、(b)の(b7)について、
(b7)は 入力再生信号 Sin が一定の強度を継続する状態での、
補正後走行振動加速度 RNL が急激に変化する場合の各部の信号の変化を示す。
RNL の急激な変化は、主として高速走行中に路面状態の不連続な変化による。
t7 から t16 までは 信号の変化のタイミングである。
t8 から t9 の間は短い時間の強い RNL、
t10 から t11 の間は短い時間の弱い RNL、
t12 から t14 の間は長い時間の強い RNL、
t16 以後は中程度の RNL、
騒音が強くなる方向には追従を遅くして、Sout の強度をゆっくりと上昇制御、
アタックタイムは、一例では 8秒 程度と比較的長く、
走行騒音が突然大きくなった場合、
応答速度を早くすると聴感上違和感があることから実験的に得た一手法である。
騒音が弱くなる方向には追従を早くして、Sout の強度を急速に下降制御、
レリースタイムは、一例では 1秒 程度と比較的短い。
走行騒音大きい状態から突然小さくなった場合、応答速度が遅ければ聴感上違和感があることからレリースを早くしなければならない。
遅い、早い、ゆっくり、急速 の具体的数値は設計的に選択決定される。
【0057】
ACC Detection 走行振動加速度検出機能について
ACCin, Detected Road Noise は検出された走行振動加速度信号入力、
PK(ACCin) は ACCin の強度
走行振動加速度信号には、
スピーカーから加速度センサーに至る結合路による元再生信号成分と、
固定の何らかの振動成分が含まれる。
Bias について、
Bias は実動作状態にある系が持つ恒常的な振動雑音と検出系が発生する雑音の相殺のための値である。
RNL=PK(ACCin)- R*(PK(PSEUDOC(Sreply))-Bias は補正後走行振動加速度強度である。
【0058】
Coupling Detection 結合路の補正強度信号生成機能について
PseudoC() はスピーカーから加速度センサーに至る結合路の模擬結合路である。
その特性は組み込み先の車の実態に合わせて設計的に決定される。
Pseudo Coupled Signal は、その出力、
PK() は()内の信号の強度を出力、
R は 1 より大きい係数であり、
R*(PK(PseudoC(Sreply)) はその出力、
R は 模擬結合路 の実態との誤差を補正する係数である。
この誤差により発生する制御系の動作不安定を回避するために係数 R を挿入する。
その値は、
制御系の精度確保のために最小限、
制御系が不安定域に入らないよう最大限、
のトレードオフ関係の双方が全機能の最善状態にあるべく設計的に決定する。
【0059】
EXPC 強度抑揚補正機能について
EXP は伸張係数である。
伸張制御信号生成機能 EXPctrl は、補正制御信号 Expgain と 再生入力信号 Sin を入力とし、伸張制御信号 Kexp を生成し、伸張係数 EXP を制御する。
入力再生信号の強度 PK(Sin) は高速アタックとホールドと
低速レリース の時定数機能 Qh/S によって ピーク値を一定時間ホールドし、QhS(PK(Sin)) を出力する。
一方、 PK(Sin) は高速アタック、高速レリースの時定数機能 Q/Q によって
QQ(PK(Sin)) を生成する。
そして、QhS(PK(Sin))-QQ(PK(Sin)) が生成され、
伸張制御信号生成機能 Expctrl は、
QhS(PK(Sin))-QQ(PK(Sin)) を EXPgain に依存する係数を乗じて制御に適切なレンジの伸張制御信号 Kexp を生成する。
強度変化のある入力再生信号は、
弱騒音では何も作用せず、強騒音では、走行振動加速度強度に応じて、
Kexp が 伸張係数 EXP を制御し,
入力再生信号強度の弱い範囲が伸張され、抑揚が抑制される。
【0060】
明瞭成分強度補正について
明瞭成分の強度の補正手法そのものは公知であって、本案の本質ではない。
本案の本質は明瞭成分の強度を走行騒音に対応する補正後振動加速度強度に対応させて
制御するところにある。
明瞭度成分強度の補正は、強騒音下で、主として再生信号がニュースや解説番組など、
内容を正確に伝えるアナウンス信号の場合に有効な機能である。
一般的に、明瞭成分は音声の第1、第2、第3フォルマントと子音の再生に必要な
高域成分であって、実験的には 1000Hz から 7000Hz の帯域の成分である。
音声の場合、ピッチ成分の強度は明瞭度にとって逆効果に作用するので、ピッチは存在するものの、ピッチ成分のエネルギーを除去することで明瞭度は格段に上がる。
明瞭成分の強度の補正手法そのものは公知であって、本案の本質ではない。本案の本質は明瞭成分の強度を走行振動加速度の強度に対応させて補正するところにある。
補正制御信号 EXPgain を入力とする 明瞭成分伸張制御機能 CLRctrl が出力する ところの 明瞭成分伸張制御信号 Kclr が明瞭成分の強度を制御する。
CLR は明瞭度の制御機能である。
一例では、1000Hz から 7000Hz の帯域成分を抽出し、Kctrl でその強度を制御する。具体的には強度の抑揚の制御なので、EXPctrl と同じ構成で代用できる。
公知の機能なので詳細説明を省略する。
【0061】
音量音質強度の補正について
音量音質の強度の補正手法そのものは公知であって、本案の本質ではない。
本案の本質は再生信号の強度を走行騒音に対応する補正後振動加速度強度に対応させて
制御するところにある。
補正制御信号 EXPgain を受けて、音質音量制御信号発生機能 TVRctrl によって
生成されるところの 音質音量制御信号 Ktvr が音量音質強度を制御する。
音量と低音と高音に分けての音量音質制御の一例を
図5に示す。
制御の時間依存の特性は聴感上、効果が最大限に、違和感が最小限になるように、
トレードオフ関係が調節される。特に、遅いアタックと早いレリースが重要である。
その様子は
図11(b7)の説明のとおりである。
【符号の説明】
【0062】
Road Noise (A-Curve) 走行速度と走行騒音の関係の A 補正の実測例
A Small Class Car 供試品が小型車
Road Noise (Proportional) 走行速度と走行騒音の関係の補正なしの実測例
A Middle Class Car 供試品が中型車
Running Speed [km/h] 車の走行速度 [km/h]
dB 騒音レベル
【0063】
RNL 走行騒音レベル
Weak 再生音強度が騒音に対し弱過ぎる範囲
Strong 再生音強度が騒音に対し強すぎる範囲
Stable 再生信号強度が騒音に対し均衡している範囲
【0064】
Clearness Element in UN-Clear Announcement & Improvement
不明瞭なアナウンス信号の明瞭成分強度とその改善方法
Required Level 明瞭成分の必要水準
Signal Having Big Dispersion in Clearness
明瞭成分強度の抑揚が大きい例
Improved Clearness 明瞭成分強度の抑揚の改善例
Clearness is improved as 3 points to 21 points in the required level by 8dB of clearness conditioning 8dB の明瞭成分の強度の改善により、
必要水準を満足する ポイントが 3個 から 21個 に改善
【0065】
Correlation between mechanical vibration & noise SPL
走行振動加速度強度と走行騒音の相関の実測例
Horizontal; Acceleration on the body [mV]
横軸はボディーの振動加速度 単位[mv]
Vertical; Noise SPL at the driver’s location [mV]
縦軸は運転席の騒音 単位[mv]
AAHz,BBHz 帯域が AAHz から BBHz
【0066】
Sample Car: Middle Class 供試の車が中型車
Pilot Signal: 20---100Hz Random Noise
測定のためのパイロット信号が
20Hz から 100Hz の範囲のランダムノイズ
Sensor 表の縦の欄がセンサーの種類
Location 表の縦の欄がセンサーの設置場所
Signal Output to the Howling Point
表の縦の欄が、閉ループがハウリングを起こす直前のセンサーの検出電圧
Improved Gain Ratio [dB] 表の縦の欄が閉ループの結合強度の改善度の倍率、
Microphone Non-Porlar センサーが無指向性のマイクロホン、
Acceleration Vertical-Polar センサーが垂直方向の加速度検出
Driver’s Head Rest 測定点が運転席のヘッドレスト
Din-Box Frame 測定点が DINボックスのフレーム
PCB installed in the DIN Box Cabinet
測定点が DINボックスに収納されたキャビネットの中のプリントキバン
Microphone マイクロホンセンサー
Acceleration 加速度センサー
Switch センサーの切り替えスイッチ、
M,N,A スイッチが それぞれ、マイクロホン側、ニュートラル、加速度センサー側
Sensor Amp センサーの出力信号の増幅回路
OSC 20-100Hz Random Noise
測定用の信号が 20Hz から 100Hz のランダムノイズ、
MIX 加算、
Power Amp ゲイン調整が可能なパワアンプ、
Speaker L, Speaker R それぞれ左右の再生スピーカー
V 測定用信号の出力レベル測定用電圧計
【0067】
A way to detect Noise from (Noise+Signal)
騒音と信号の混成信号から騒音を抽出する一方法
max(Noise) ノイズの強度
max(Sig) 再生入力信号の強度
max(Noise+Sig) ノイズと元再生信号成分が混ざった信号の強度
max(noise+Sig)-max(sig)
ノイズと元再生信号が混ざった信号の強度 から
ノイズの強度を差し引いた値
Y 騒音
X 結合路によってセンサーの検出信号に混入する元再生信号成分
PK(Y) 騒音強度
PK(X) センサーの検出信号に混入する再生信号成分強度
PK(X+Y) 騒音と再生信号成分の混成信号の強度
PK(X+Y)-P(x) 実機の誤差を含まない理論上の計算による騒音強度
【0068】
Expansion Curve 伸張の特性例
RNL 走行振動加速度強度
Expansion 伸張率
EXPgain 補正制御信号
RNLstart 補正を作用させる最低走行振動加速度強度、
RNLmax 補正を作用させる最高走行振動加速度強度
EXPmax 最大伸張率
【0069】
Compensation Curve 強度補正の特性例
RNL 走行振動加速度強度
Gain Compensation 強度補正量
RNLstart 音量音質補正の最小点
RNLmax 音量音質補正の最大点
0dB 補正なし
Sample1,Sample2,Sample3 それぞれ、全体強度、低音強度、高音強度の補正例
S1max,S2max,S3max それぞれ、全体強度、低音強度、高音強度の最大補正量
【0070】
Gain Margin by Compensation 強度補正によるゲイン余裕
Total Gain Compensation: Variation by RNL & Signal
横軸が RNL と信号の状態に依存する全ゲイン補正量
Loop Gain Margin 制御系の閉ループゲイン余裕
0dB, 3dB, 6dB それぞれ閉ループゲイン余裕
Before Improved,After Improved それぞれ、改善前、改善後の特性例
43dB 本案による制御範囲の改善範囲が 43dB
【0071】
Sin,Sout,Sreplay それぞれ、入力再生信号、出力再生信号、元再生信号
EXPC, CLRC, TVRC それぞれ、
強度抑揚補正機能、明瞭成分強度抑揚補正機能能、全体音量音質補正機能
EXP、CLR、TVR それぞれ、信号強度の抑揚と明瞭成分強度と音質音量の強度調節機能
Expctrl、CLRctrl、TVRctrl それぞれ、制御信号 Kexp、Kclr、Ktvr を生成
Coupling Detection 振動加速度に含まれる元再生信号成分強度の算出
PseudoC() 模擬結合路
Pk() ()内信号の強度
R 強度模擬結合路の誤差補正係数
ACCdetection 走行振動加速度の検出機能
Accin 走行振動加速度の検出信号、
PK(ACCin) 走行振動加速度強度
Bias 暗騒音または雑多なノイズの固定分
RNL 補正後走行振動加速度強度
Compensation Curve RNL から EXPgain を生成
抑揚、明瞭度、音量音質 の補正用の制御信号
CMP RNL から EXPgain を生成する機能
EXPgain 補正制御信号
【0072】
ACCin, Detected Road Noise 検出された振動加速度信号入力
PK(ACCin) ACCin の強度
RNL=PK(ACCin)- R*(PK(PSEUDOC(Sreply))-Bias
補正後走行振動加速度強度
Expansion Curve RNL の変動範囲に対する補正制御信号の変化
EXPgain 補正制御信号
Qh/S ピーク値の一定時間ホールド機能を持つ時定数機能
Q/Q,S/Q それぞれ時定数機能
t 時間経過
t0, t1,,,t6 信号の変化のタイミング
(b1) 一定の RNL
(b2) 抑揚のある Sin の強度
(b3) 伸張の制御信号生成の中間信号
(b4) 伸張の制御信号生成の中間信号
(b5) 伸張制御信号
(b6) 伸張後の信号強度
t7, t8,,,t16 信号の変化のタイミング
(b7) Sin の強度が一定で走行騒音が大きく変化する場合の各部の信号
【要約】 (修正有)
【課題】環境ノイズに対応した再生装置の音質音量制御方法を提供する。
【解決手段】走行騒音の検出を音圧ではなく車の構造物の振動加速度PK(ACCin)を利用し、再生から検出に至る結合路を模擬する模擬結合路PseudoCの誤差に起因する不定要因に対し、模擬結合路の出力強度に安全係数を乗じた信号R*PK(PseudoC(Sreplay))で結合路を相殺し、相殺後の走行振動加速度強度RNLにより、再生信号の強度の抑揚の度合いEXPと再生信号の音声明瞭成分の抑揚の度合いCLRと音量音質の度合いTVRを補正する。
【選択図】
図10