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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】車両用制動装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 66/00 20060101AFI20250128BHJP
   F16D 51/50 20060101ALI20250128BHJP
   F16D 65/22 20060101ALI20250128BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20250128BHJP
   F16D 121/24 20120101ALN20250128BHJP
   F16D 125/06 20120101ALN20250128BHJP
   F16D 125/40 20120101ALN20250128BHJP
【FI】
F16D66/00 Z
F16D51/50
F16D65/22
B60T13/74 G
F16D121:24
F16D125:06 Z
F16D125:40
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021038711
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138691
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 康平
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-092092(JP,A)
【文献】特開2002-067914(JP,A)
【文献】特開2010-276047(JP,A)
【文献】特開昭57-077244(JP,A)
【文献】特開昭62-038334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 66/00
F16D 51/50
F16D 65/22
B60T 13/74
F16D 121/24
F16D 125/06
F16D 125/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と共に回転するブレーキ回転体と、
制動時に前記ブレーキ回転体に押し当てられる摩擦部材と、
前記摩擦部材の回転を阻止することにより、車輪に制動力を付与するトルク受け部と、
直動変換部を収容し前記トルク受け部に固定される固定部、及び前記摩擦部材を駆動させて前記ブレーキ回転体に押し当てる可動部を有する駆動装置と、
前記固定部に設置され、前記固定部に加わる力を検出する一つの荷重センサと、
前記一つの前記荷重センサの検出値に基づき前記制動力を算出する算出部と、
を備え
前記摩擦部材は、第1摩擦部材及び第2摩擦部材を備え、
前記第1摩擦部材と前記第2摩擦部材とは、前記トルク受け部に対して変位可能であるアジャスタによって接続されている、車両用制動装置。
【請求項2】
車輪と共に回転するブレーキ回転体と、
制動時に前記ブレーキ回転体に押し当てられる摩擦部材と、
前記摩擦部材の回転を阻止することにより、車輪に制動力を付与するトルク受け部と、
直動変換部を収容し前記トルク受け部に固定される固定部、及び前記摩擦部材を駆動させて前記ブレーキ回転体に押し当てる可動部を有する駆動装置と、
前記固定部に設置され、前記固定部に加わる力を検出する一つの荷重センサと、
前記一つの前記荷重センサの検出値に基づき前記制動力を算出する算出部と、
を備え
前記固定部は、前記トルク受け部の貫通孔に挿通されて前記トルク受け部に固定されており、
前記荷重センサは、前記トルク受け部の前記貫通孔内において、前記トルク受け部と前記固定部とに挟まれて配置され、固定部材で前記固定部に固定されており、
前記摩擦部材は、第1摩擦部材及び第2摩擦部材を備え、
前記第1摩擦部材と前記第2摩擦部材とは、前記トルク受け部に対して変位可能であるアジャスタによって接続されている、車両用制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用制動装置として、例えば特開2002-67914号公報に記載のようにドラムブレーキを用いたものが知られている。この車両用制動装置では、制動力を算出するために、アンカ本体に荷重センサが設けられている。この構成によれば、ブレーキシューとアンカ本体との間の当接荷重を検出することで、精度良く実際の制動力を算出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-67914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記車両用制動装置では、構成上、アンカ本体がホイール内の下部に配置されている。したがって、アンカ本体に設置される荷重センサもホイール内の下部に配置される。この配置では、荷重センサの配線は、ホイールを縦断するように配策しなければならず、ハブ、ブレーキシュー、及びアーム等の可動部品の間を通過する配線の取り回しが煩雑になりやすい。
【0005】
本発明の目的は、制動力の検出精度を低下させることなく、配線の煩雑化を抑制することができる車両用制動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用制動装置は、車輪と共に回転するブレーキ回転体と、制動時に前記ブレーキ回転体に押し当てられる摩擦部材と、前記摩擦部材の回転を阻止することにより、車輪に制動力を付与するトルク受け部と、直動変換部を収容し前記トルク受け部に固定される固定部、及び前記摩擦部材を駆動させて前記ブレーキ回転体に押し当てる可動部を有する駆動装置と、前記固定部に設置され、前記固定部に加わる力を検出する一つの荷重センサと、前記一つの前記荷重センサの検出値に基づき前記制動力を算出する算出部と、を備え、前記摩擦部材は、第1摩擦部材及び第2摩擦部材を備え、前記第1摩擦部材と前記第2摩擦部材とは、前記トルク受け部に対して変位可能であるアジャスタによって接続されている。
また、本発明の車両用制動装置は、車輪と共に回転するブレーキ回転体と、制動時に前記ブレーキ回転体に押し当てられる摩擦部材と、前記摩擦部材の回転を阻止することにより、車輪に制動力を付与するトルク受け部と、直動変換部を収容し前記トルク受け部に固定される固定部、及び前記摩擦部材を駆動させて前記ブレーキ回転体に押し当てる可動部を有する駆動装置と、前記固定部に設置され、前記固定部に加わる力を検出する一つの荷重センサと、前記一つの前記荷重センサの検出値に基づき前記制動力を算出する算出部と、を備え、前記固定部は、前記トルク受け部の貫通孔に挿通されて前記トルク受け部に固定されており、前記荷重センサは、前記トルク受け部の前記貫通孔内において、前記トルク受け部と前記固定部とに挟まれて配置され、固定部材で前記固定部に固定されており、前記摩擦部材は、第1摩擦部材及び第2摩擦部材を備え、前記第1摩擦部材と前記第2摩擦部材とは、前記トルク受け部に対して変位可能であるアジャスタによって接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、荷重センサは、駆動装置のうち、トルク受け部に固定される固定部に配置される。このため、トルク受け部が受ける荷重を精度良く検出することができる。当該荷重と実際の制動力とは高い精度で対応しているため、実際の制動力を精度良く算出することができる。また、荷重センサは、一般に車輪(ホイール)内の上部に設置される駆動装置に設けられるため、配線の煩雑化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の車両用制動装置の構成図(車両左側から見た断面図)である。
図2】第1実施形態の車両用制動装置の構成図(車両上方から見た断面図)である。
図3】第2実施形態の車両用制動装置の構成図(車両上方から見た断面図)である。
図4】第3実施形態の車両用制動装置の構成図(車両左側から見た断面図)である。
図5】第3実施形態の車両用制動装置の構成図(車両上方から見た断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。また、説明に用いる各図は概念図である。以下の説明において、車両前方を前方と称し、車両後方を後方と称する。
【0010】
<第1実施形態>
第1実施形態の車両用制動装置1は、図1及び図2に示すように、デュオサーボタイプのドラムブレーキであって、回転ドラム(「ブレーキ回転体」に相当する)2と、第1ブレーキシュー(「第1摩擦部材」に相当する)31と、第2ブレーキシュー(「第2摩擦部材」に相当する)32と、アジャスタ33と、トルク受け部を構成するバックプレート4と、駆動装置5と、荷重センサ6と、ブレーキECU7と、を備えている。
【0011】
回転ドラム2は、車輪と共に回転する部材である。第1ブレーキシュー31及び第2ブレーキシュー32は、制動時に回転ドラム2に押し当てられる摩擦部材である。第1ブレーキシュー31及び第2ブレーキシュー32は、それぞれ外周側にライニング30を備える凸弧状の部材である。第1ブレーキシュー31は、相対的に前方に配置されたリーディングシューである。第2ブレーキシュー32は、相対的に後方に配置されたトレーリングシューである。第1ブレーキシュー31及び第2ブレーキシュー32は、円弧状に配置されている。
【0012】
第1ブレーキシュー31及び第2ブレーキシュー32は、シューホールドピン(図示略)により、互いに拡開可能にバックプレート4に設けられている。第1ブレーキシュー31及び第2ブレーキシュー32は、リターンスプリング(図示略)で接続されており、力が加わってないときに初期位置に戻るように構成されている。
【0013】
アジャスタ33は、一端から他端に力を伝達する部材であって、長さを調整可能な棒状部材である。アジャスタ33は、シューアジャスタやフローティングサポートとも呼ばれる。アジャスタ33の一端(前端)は第1ブレーキシュー31の下端部に固定され、アジャスタ33の他端(後端)は第2ブレーキシュー32の下端部に固定されている。アジャスタ33は、バックプレート4に当接しておらず、バックプレート4に対して移動可能である。このように、第1ブレーキシュー31と第2ブレーキシュー32とは、バックプレート4に対して変位可能であるアジャスタ33によって接続されている。
【0014】
バックプレート4は、車輪を回転可能に支持している車体部材(図示略)に固定されている。バックプレート4は、第1ブレーキシュー31及び第2ブレーキシュー32の回転を阻止することにより、車輪に制動力を付与するトルク受け部として機能する。バックプレート4には、駆動装置5が固定されている。
【0015】
駆動装置5は、第1ブレーキシュー31を駆動させるアクチュエータである。第1実施形態の駆動装置5は、電気モータ55で第1ピストン52を駆動させる電動メカニカルブレーキ(EMB)を構成している。駆動装置5は、第1ブレーキシュー31の上端部と第2ブレーキシュー32の上端部との間に配置されている。駆動装置5は、固定部51と、第1ピストン(「可動部」に相当する)52と、第2ピストン53と、直動変換部54と、電気モータ55と、第1ストッパ561と、第2ストッパ562と、を備えている。
【0016】
固定部51は、駆動装置5のうちバックプレート4に固定されている部分である。固定部51は、駆動装置5のハウジングともいえる。より詳細に、固定部51は、第1シリンダ部511と、第2シリンダ部512と、収容部513と、を備えている。第1シリンダ部511は、固定部51の車両前方部分を構成し、第1ブレーキシュー31に対向するように配置されている。第1シリンダ部511は、車両前方に開口する有底筒状に形成されている。第1シリンダ部511の底部には、直動変換部54のねじ軸541が挿通される貫通孔511aが形成されている。
【0017】
第2シリンダ部512は、固定部51の車両後方部分を構成し、第2ブレーキシュー32に対向するように配置されている。第2シリンダ部512は、車両後方に開口する筒状に形成されている。第2シリンダ部512は、第1シリンダ部511と同軸的に配置されている。つまり、第1シリンダ部511の中心軸と第2シリンダ部512の中心軸とは、同一直線上に位置する。
【0018】
収容部513は、直動変換部54及び荷重センサ6を収容する部分であって、第1シリンダ部511と第2シリンダ部512との間に位置している。収容部513は、バックプレート4よりも車両外側に位置する第1シリンダ部511及び第2シリンダ部512と、バックプレート4よりも車両内側に位置する電気モータ55とを接続するように、車両左右方向に延びている。収容部513は、バックプレート4の貫通孔40に挿通され、バックプレート4に固定されている。固定部51が受けたトルクは、バックプレート4のうち貫通孔40を形成する部分が受ける。なお、固定部51が受けたトルクは、固定部51とバックプレート4を締結する締結部が受けてもよい。
【0019】
第1ピストン52は、第1ブレーキシュー31を駆動させて回転ドラム2に押し当てる可動部を構成している。第1ピストン52は、第1ブレーキシュー31の上端部に対向配置されている。第1ピストン52は、第1シリンダ部511内に配置されたナット部材である。第1ピストン52は、第1シリンダ部511に対して前後方向に移動可能で且つ回転不能に配置されている。つまり、第1ピストン52及び第1シリンダ部511には、第1ピストン52が第1シリンダ部511に対して軸回りに回転しないように、図示略の回転止め機構(例えばレール溝とレールとの係合)が形成されている。
【0020】
第1ピストン52は、直動変換部54のねじ軸541に螺合し、ねじ軸541の回転に応じて前後に移動する。つまり、ねじ軸541が正回転すると第1ピストン52が前方(第1ブレーキシュー31側)に移動し、ねじ軸541が逆回転すると第1ピストン52が後方に移動する。
【0021】
第2ピストン53は、第2シリンダ部512内に前後方向に移動可能に配置されたピストン部材である。第2ピストン53は、第2ブレーキシュー32の上端部に対向配置されている。
【0022】
直動変換部54は、電気モータ55の出力軸551の回転運動を第1ピストン52の直線運動に変換する機構である。直動変換部54は、出力軸551から減速機を介してねじ軸541に動力を伝達するように構成されている。第1ピストン52は、直動変換部54の一部を構成しているといえる。
【0023】
電気モータ55は、駆動装置5の駆動源であって、ブレーキECU7により制御される。電気モータ55の駆動力は、出力軸551及び直動変換部54を介して第1ピストン52に伝達される。
【0024】
第1ストッパ561及び第2ストッパ562は、固定部51とは別体であって、固定部51に対して前後方向に係合する部分である。第1ストッパ561は、板状部材であって、その前面が収容部513内に形成された突起(内壁部)51aに当接している。第1ストッパ561の前方への移動は、突起51aにより規制される。
【0025】
第2ストッパ562は、板状部材であって、第1ストッパ561の後方に配置されている。第2ストッパ562の後面は、収容部513内に形成された突起(内壁部)51bに当接している。第2ストッパ562の後方への移動は、突起51bにより規制される。第1ストッパ561と第2ストッパ562との間には、荷重センサ6が配置されている。
【0026】
荷重センサ6は、固定部51に設置され、固定部51に加わる力(荷重)を検出するセンサである。荷重センサ6は、例えばひずみゲージを備えている。荷重センサ6は、第1ストッパ561と第2ストッパ562とに挟まれて配置されており、第1ストッパ561及び第2ストッパ562から受ける前後方向(軸方向)の力を検出する。荷重センサ6の検出結果は、配線(図示略)を介してブレーキECU7に送信される。第1実施形態では、荷重センサ6は駆動装置5内に配置されており、駆動装置5及び荷重センサ6が1つのユニットになっているといえる。このユニットは、車輪内における上方部分に配置されている。
【0027】
ブレーキECU7は、プロセッサやメモリ等を備える電子制御ユニットである。ブレーキECU7は、制動要求に応じて駆動装置5を制御する。ブレーキECU7が制動要求に応じて電気モータ55の出力軸551を正回転させると、第1ピストン52が前進して第1ブレーキシュー31を回転ドラム2に押し当てる。これにより、車輪及び回転ドラム2の回転に対して摩擦力(抵抗力)が発生し、制動力となる。ブレーキECU7は、荷重センサ6の検出値に基づいて制動力を算出する算出部71を備えている。
【0028】
(車両走行中における制動)
図1の矢印に示すように、車両走行時に制動制御が実行されると、第1ピストン52が第1ブレーキシュー31を押圧する力F1により、各所にP1、R1、Fc、P2、R2、F2が発生する(F1<F2)。力F2は、第2ブレーキシュー32に対する第2ピストン53の反力であって、力F1に対して摩擦力による増加分が付加された値である。
【0029】
第1ピストン52の押圧力F1に対する第1ブレーキシュー31からの反力(=F1)は、直動変換部54、第1ストッパ561、荷重センサ6、及び第2ストッパ562を介して固定部51及びバックプレート4が受けることができる。また、第2ブレーキシュー32が第2ピストン53を押圧する力(=F2)は、第2ピストン53、第2ストッパ562、荷重センサ6、及び第1ストッパ561を介して固定部51及びバックプレート4が受けることができる。
【0030】
走行中の制動では、力F2が力F1よりも大きく、荷重センサ6は前方に力F2で押圧される。荷重センサ6は、この力(荷重)を検出し、ブレーキECU7に送信する。この力は、制動力と高い精度で対応しているため、ブレーキECU7は、実際に発生している制動力を高精度で算出することができる。
【0031】
(停車状態における制動)
車両が停車している状態で制動制御が実行されると、走行中と異なり回転ドラム2が回転していないため、回転ドラム2の回転による摩擦力が発生しない。このため、力Fc、F2は小さくなり、荷重センサ6は、後方に押圧され、第1ピストン52が第1ブレーキシュー31を押圧する力F1に相当する荷重(第1ブレーキシュー31の反力)を検出する。この力(軸力)は、駆動装置5の出力に対応している。したがって、ブレーキECU7は、停車中の荷重センサ6の検出値に基づいて、駆動装置5の出力を算出することができる。これにより、例えば、駆動装置5の出力の校正や、パーキングブレーキロック時の軸力の検出が可能となる。
【0032】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態によれば、荷重センサ6は、駆動装置5の中において、バックプレート4に固定される固定部51に配置される。このため、バックプレート4が受ける荷重を精度良く検出することができる。当該荷重と実際の制動力とは高い精度で対応しているため、実際の制動力を精度良く算出することができる。また、荷重センサ6は、一般に車輪(ホイール)内の上部に設置される駆動装置5に設けられるため、配線の煩雑化が抑制可能となる。また、駆動装置5と荷重センサ6とのユニット化が可能となり、配線のシンプル化や組み付け作業性の向上も可能となる。
【0033】
<第2実施形態>
第2実施形態の車両用制動装置1Aは、第1実施形態と比較して、主に荷重センサ6の配置位置の点で異なっている。以下、異なる点について説明する。第2実施形態の説明において第1実施形態の説明及び図面を適宜参照できる。
【0034】
図3に示すように、第2実施形態の荷重センサ6は、バックプレート4の貫通孔40内において、バックプレート4と固定部51(収容部513)とに挟まれて配置されている。固定の一例を説明すると、バックプレート4と荷重センサ6との間に固定部材61が配置されている。前後方向に延びるピン部材62が、固定部材61を貫通して固定部51の外壁に固定されている。これにより、固定部材61が固定部51に固定され、荷重センサ6が固定部材61と固定部51とに挟まれて固定される。また、左右方向に延びるピン部材63が、固定部材61を貫通してバックプレート4に固定される。これにより、固定部材61がバックプレート4に固定される。
【0035】
第2実施形態では、第2ピストン53がなく、第1ピストン52に対向する固定部51の後端部(第2シリンダ部512に相当する部分)が中実の柱状(棒状)に形成されている。この固定部51の後端部は、第2ブレーキシュー32に対向配置されている。
【0036】
第2実施形態では、走行中に制動制御が実行されると、第1実施形態同様、固定部51の後端部は、第2ブレーキシュー32から押圧力(=F2)で押圧される。この押圧力は、固定部51及び荷重センサ6を介してバックプレート4が受ける。この際、荷重センサ6は、固定部51から(弾性変形により)前方への押圧力を受け、その荷重を検出する。この荷重は、第1実施形態同様、実際の制動力と高精度に対応している。ブレーキECU7は、荷重センサ6の検出値に基づいて実際の制動力を算出することができる。
【0037】
第2実施形態によっても、車輪内の上部に位置する駆動装置5の固定部51に荷重センサ6が配置されるため、配線の煩雑化を抑制することができる。また、駆動装置5と荷重センサ6とのユニット化が可能となる。このように第2実施形態によっても、第1実施形態同様の効果が発揮される。なお、第2実施形態の構成では、停車状態における制動時の軸力の検出は難しい。
【0038】
<第3実施形態>
第3実施形態の車両用制動装置1Bは、第1実施形態と比較して、電気モータ55の駆動力が直動変換部54で変換されて第2ピストン53にも伝達される点で異なっている。以下、異なる点について説明する。第3実施形態の説明において第1実施形態の説明及び図面を適宜参照できる。
【0039】
図4及び図5に示すように、第3実施形態では、ねじ軸541の後方に、荷重センサ6を介して、直動変換部54の一部であるねじ軸542が配置されている。ねじ軸542は、第2シリンダ部512の底面に形成された貫通孔512aに挿通されている。第2シリンダ部512は、後方に開口した有底筒状に形成されている。ねじ軸541、542は、電気モータ55の正回転により、第1ピストン52が前方に移動し、且つ第2ピストン53が後方に移動するように構成されている。
【0040】
荷重センサ6は、収容部513内において、ねじ軸541とねじ軸542との間に配置されている。第1ストッパ561は、荷重センサ6とねじ軸541との間に配置されている。第2ストッパ562は、荷重センサ6とねじ軸542との間に配置されている。第1実施形態同様、第1ストッパ561は固定部51により前方への移動が規制され、第2ストッパ562は固定部51により後方への移動が規制されている。
【0041】
第3実施形態の構成によっても、走行中の制動によって、第2ブレーキシュー32の押圧力は、第2ピストン53、ねじ軸542、第2ストッパ562、荷重センサ6、及び第1ストッパ561を介して固定部51及びバックプレート4が受ける。この際、荷重センサ6は、第2ストッパ562からの前方への押圧力を検出する。この力は、実際の制動力と高精度に対応しており、ブレーキECU7は実際の制動力を高精度に算出することができる。また、停車状態における制動力も、第1実施形態同様に算出できる。また、荷重センサ6が駆動装置5内に配置されているため、配線の煩雑化を抑制することができる。また、駆動装置5と荷重センサ6とのユニット化が可能となる。
【0042】
<その他>
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、ブレーキシューは、上記実施形態のように2つでなくてもよく、1つ(例えば環状のブレーキシュー)でもよい。また、駆動装置5は、EMBに限らず、例えば油圧で可動部(ピストン)を駆動させる油圧式の駆動装置であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1、1A、1B…車両用制動装置、2…回転ドラム(ブレーキ回転体)、31…第1ブレーキシュー(第1摩擦部材)、32…第2ブレーキシュー(第2摩擦部材)、33…アジャスタ、4…バックプレート(トルク受け部)、5…駆動装置、51…固定部、52…第1ピストン(可動部)、6…荷重センサ、71…算出部。
図1
図2
図3
図4
図5