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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】梱包体付き鉛蓄電池
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/88 20060101AFI20250128BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20250128BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
B65D85/88
B65D77/04 B
B65D77/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021149563
(22)【出願日】2021-09-14
(65)【公開番号】P2023042321
(43)【公開日】2023-03-27
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 優
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-168258(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0266848(US,A1)
【文献】特開2000-340199(JP,A)
【文献】特開平11-198963(JP,A)
【文献】特開平09-272526(JP,A)
【文献】特開2012-224374(JP,A)
【文献】特開2009-218030(JP,A)
【文献】特開平11-167907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
B65D 85/88
H01M 50/105
H01M 50/30-50/392
B65D 5/00- 5/76
B65D 85/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの排気口を有する鉛蓄電池と、
前記鉛蓄電池を梱包する梱包体と、を備え、
前記梱包体は、前記鉛蓄電池の全体を覆い、少なくとも1つの通気口を有する梱包フィルムを含み、
前記通気口は、前記梱包フィルムにおいて、前記鉛蓄電池の天面を覆う部分にのみ設けられており、
前記通気口の直径は1mm以下である、梱包体付き鉛蓄電池。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包体付き鉛蓄電池であって、
前記梱包体は、前記梱包フィルムで覆われた前記鉛蓄電池を収容する梱包箱を含む、梱包体付き鉛蓄電池。
【請求項3】
ガスの排気口を有する鉛蓄電池と、
前記鉛蓄電池を梱包する梱包体と、を備え、
前記梱包体は、
前記鉛蓄電池を収容する梱包箱と、
前記梱包箱の全体を覆い、少なくとも1つの通気口を有する梱包フィルムと、を含み、
前記通気口は、前記梱包フィルムにおいて、前記鉛蓄電池の天面を覆う部分にのみ設けられており、
前記通気口の直径は1mm以下である、梱包体付き鉛蓄電池。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の梱包体付き鉛蓄電池であって、
前記梱包体は、電解液に接触すると変色する検出シートを含み、
前記検出シートは、前記排気口に貼り付けられる、梱包体付き鉛蓄電池。
【請求項5】
請求項4に記載の梱包体付き鉛蓄電池であって、
前記梱包フィルムで覆われた前記鉛蓄電池、又は、前記鉛蓄電池を収容する梱包箱を含み、
前記梱包箱の、前記排気口と対向する位置には窓部が開口しており、
前記梱包フィルムは透明である、梱包体付き鉛蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包体付き鉛蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池は、充放電に伴ってガスが発生するため、排気口を有している。特許文献1に記載の鉛蓄電池は、液口栓に排気孔(排気口)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-023999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配送や持ち運びの際に、鉛蓄電池が転倒したり、傾いた状態で荷扱いされたりすると、排気口から電解液(希硫酸)が漏れ出し、エンドユーザや配送作業者(以下、エンドユーザ等)が電解液に触れる可能性がある。そのため、対策を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
梱包体付き鉛蓄電池は、ガスの排気口を有する鉛蓄電池と、鉛蓄電池を梱包する梱包体と、を備え、梱包体は、鉛蓄電池の全体を覆い、少なくとも1つの通気口を有する梱包フィルムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の構成では、鉛蓄電池の全体がフィルムで覆われているため、排気口から電解液が漏れ出たとしても、エンドユーザ等が電解液に触れることを抑制できる。また、フィルムは通気口を有しており、鉛蓄電池で発生したガスを梱包体の外部に排気することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】鉛蓄電池の斜視図
図2】鉛蓄電池の部分断面図
図3】鉛蓄電池の排気経路を示す断面図
図4】検出シートを貼り付ける位置を示す図
図5】検出シートに電解液を滴下した結果を示す図
図6】鉛蓄電池を収容した梱包箱の斜視図
図7】実施形態1に係る梱包体における梱包手順の説明図
図8】シュリンク包装の説明図
図9】実施形態1に係る梱包体付き鉛蓄電池の断面図
図10】実施形態1に係る梱包体付き鉛蓄電池の効果説明図
図11】実施形態2に係る梱包体における梱包手順の説明図
図12】実施形態2に係る梱包体付き鉛蓄電池の断面図
図13】実施形態2に係る梱包体付き鉛蓄電池の効果説明図
図14】鉛蓄電池(ENタイプ)の斜視図
図15】鉛蓄電池(ENタイプ)の排気経路を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
図1から図10を参照して、実施形態1に係る梱包体付き鉛蓄電池1について説明する。梱包体付き鉛蓄電池1は、鉛蓄電池10と、鉛蓄電池10を梱包する梱包体35と、を備える。
【0009】
1.鉛蓄電池10の構造
図1は、鉛蓄電池10の斜視図、図2は鉛蓄電池10の部分断面図である。図1に示すように、鉛蓄電池10は、天面10A、側面10B、底面10Cを有する略直方体状である。図1中の矢線は上下方向を表している。鉛蓄電池10は、底面10Cが水平になるように置かれた状態で使用される。
【0010】
図1及び図2に示すように、鉛蓄電池10は、極板群11と、電解液Wと、極板群11及び電解液Wを収容し上方が開口した電槽12と、電槽12の開口を封止する蓋20と、端子部21P、21Nと、を備える。
【0011】
電槽12は、上面に開口を有する略直方体形状の容器であり、例えば合成樹脂により形成されている。電槽12は隔壁13を有する。電槽12の内部は、隔壁13によって、複数のセル室14に仕切られている。複数のセル室14には、それぞれに極板群11が収容されている。
【0012】
電槽12の開口は、開口に対応する形状を有する蓋20で封止されている。蓋20の下面の周縁部分と、電槽12の開口の周縁部分とが、例えば熱溶着により接合されている。蓋20に、端子部21P、21Nが設けられている。
【0013】
蓋20には、各セル室14に対応する位置に補水口22が上下方向に貫設されており、蓋20は補水口22を封止する液口栓30を備えている。図1に示す例では、蓋20は一列に並ぶ6つの液口栓30を備えている。鉛蓄電池10に補水を行う際には、液口栓30を取り外して補水口22から補水液を補給する。
【0014】
図3に示すように、液口栓30は略円筒形状をしており、上下方向に貫通する排気口31が貫設されている。排気口31は、鉛蓄電池10の充放電(自己放電を含む)に伴って電槽内で発生した酸素ガスや水素ガス(以下、単に「ガス」と表記する)を鉛蓄電池10の外部に排出する機能を有する。
【0015】
液口栓30は、排気口31の内部において、防沫体32とフィルタ33とを保持している。防沫体32は、複数の防沫板を備えている。防沫板によって液口栓30の内部空間が迷路状に区画され、電解液Wが容易に漏れ出ないようになっている。
【0016】
フィルタ33は、液口栓30の内部において、防沫体32の上方に位置する。フィルタ33は、鉛蓄電池10からの水蒸気の放出を抑制するとともに、外部スパークが浸入することを抑制する。
【0017】
電槽12内で発生したガスは、図3の矢線で示す経路を通って鉛蓄電池10の外部に排出される。鉛蓄電池10が傾斜したり転倒したりした場合には、電解液Wが、ガスと同じ経路を通って、排気口31から外部に漏出することがある。以降の説明において、鉛蓄電池10の排気口31から電解液Wが漏出することを、特に「液漏れ」と表記する。
【0018】
2.鉛蓄電池10の梱包体35について
梱包体35は、鉛蓄電池10の配送時や保管時における梱包用であり、梱包フィルム40と、梱包箱50と、検出シート45と、を含む(図9参照)。梱包フィルム40は、例えばポリプロピレンやポリエチレン等の透明な合成樹脂からなる薄膜であり、加熱すると収縮する性質を有している。梱包フィルム40は耐酸性であり、電解液W(希硫酸)によって変質しない。梱包フィルム40は、鉛蓄電池10の全体を覆っている。
【0019】
梱包フィルム40は、微小な通気口41を少なくとも1つ有している。通気口41の直径は、後述する収縮後の時点において、電解液Wの液滴よりも小さく、例えば1mm以下である。
【0020】
収縮後における梱包フィルム40の、天面10Aに対向する部分を第1面40A、側面10Bに対向する部分を第2面40B、底面10Cに対向する部分を第3面40Cとする。通気口41は、第1面40Aにのみ設けられている。第2面40B及び第3面40Cには、通気口41は存在しない。梱包フィルム40は透明であり、エンドユーザ等は梱包フィルム40を開封しなくても、鉛蓄電池10を視認することができる。
【0021】
3.検出シート45について
次に、検出シート45について、図4及び図5を参照して説明する。検出シート45の片面には接着剤が塗布されており、任意の場所に貼り付けて固定できる。本実施形態では、検出シート45は蓋20に貼り付けられ、6つある排気口31の全てを、短冊状に切り出した1枚の検出シート45で覆っている。
【0022】
検出シート45は、電解液Wに接触すると変色する性質を有している。任意のサイズに切り出した検出シート45の中央付近に電解液Wを滴下したときの色の変化を、図5に示す。電解液Wが検出シート45に接触すると染み込み、染み込んだ部分が変色して変色箇所46となる。図5において、検出シート45の中央部分が変色箇所46、変色箇所46の周囲が未変色箇所47である。変色箇所46と未変色箇所47の境界部分において、特に色の違いが大きくなっている。電解液Wの滴下後時間が経過して検出シート45が乾燥しても、変色箇所46の色は元に戻らない。
【0023】
図4に示すように排気口31の上に検出シート45を貼り付けると、液漏れが発生した場合には、検出シート45に電解液Wが染み込んで、染み込んだ部分が変色して変色箇所46となる。変色箇所46をエンドユーザ等が視認すれば、液漏れが発生している、又は、過去に発生していたと判断できる。
【0024】
検出シート45としては、一般的な上質紙等の吸水性を有する紙を、任意の大きさに切断したものを用いることができる。なお、図5は、検出シート45として、緑色の上質紙を用いた場合の写真である。緑色に限らず、検出シート45として色紙を用いることで、変色した部分の視認性がより高まって、液漏れの発生を認識しやすくなる。
【0025】
検出シート45の片面に塗布される接着剤は、一般的に付箋に用いられているような、接着力が弱く、容易に剥がせる接着剤である。不要になった検出シート45は、容易に剥がすことができる。また、接着力が弱いため、検出シート45は、排気口31からのガスの排出を妨げない。
【0026】
4.梱包箱50について
図6に示す梱包箱50は、鉛蓄電池10を梱包するための段ボール箱である。梱包箱50は、所定形状の段ボール板を折り曲げで形成され、天面50A、側面50B、底面50Cで囲まれた直方体状である。梱包箱50の内部の空間には、梱包フィルム40で包装された状態の鉛蓄電池10が収容される。
【0027】
天面50Aは、第1フラップ51と第2フラップ52の、2枚のフラップからなる。2枚のフラップは梱包箱50の天面50A側にある開口を開閉する蓋として機能する。
【0028】
第2フラップ52には、長方形状に開口した窓部53が設けられている。梱包箱50の内部に鉛蓄電池10を収容して梱包箱50の蓋を閉じたときに、窓部53は、検出シート45の上方に位置する。エンドユーザ等は、窓部53を介して、梱包箱50の内部に収容された検出シート45を視認できる。
【0029】
5.鉛蓄電池10の梱包手順
梱包体35によって鉛蓄電池10を梱包する手順を、図7の(A)~(E)を参照して説明する。
【0030】
梱包前の鉛蓄電池10に対し(A)、上方から、6つの排気口31を全て覆うように、1枚の検出シート45を貼り付ける(B)。次に、鉛蓄電池10の全体を梱包フィルム40でシュリンク包装する(C)。次に、シュリンク包装された鉛蓄電池10を、梱包箱50に収容する(D)。次に、第1フラップ51及び第2フラップ52を閉じる(E)。
【0031】
ここで、シュリンク包装の工程について、図8の(A)~(C)を参照して説明する。シュリンク包装は、上述した梱包フィルム40のような、加熱により収縮する性質を有するシュリンクフィルムで被包装物を覆い、その後シュリンクフィルムを加熱して収縮させ、被包装物に密着させる包装手段である。
【0032】
まず、梱包フィルム40で鉛蓄電池10を包み、その後梱包フィルム40の端縁を熱溶着等の方法で接着して封止する。このようにすると、図8(A)に示すように、気密された袋状の梱包フィルム40の内部に、鉛蓄電池10と空気が収容されている状態になる。また、天面10Aと対向する部分の梱包フィルム40を針状物等で穿つことにより、通気口41を形成する。
【0033】
次に、図8(B)に示すように、梱包フィルム40の周囲から熱風を当てる等して加熱する。梱包フィルム40は温度の上昇に伴い収縮し、図8(C)に示すように鉛蓄電池10の側面10B、底面10Cに密着する。天面10Aにおいては、天面10Aから端子部21P、21Nが上方に延びているため、梱包フィルム40は端子部21P、21Nを柱とするテント状になる。加熱前に梱包フィルム40の内部を満たしていた空気は、梱包フィルム40が収縮するときに、通気口41を通って排出される。
【0034】
図7及び図8の手順によって梱包された、梱包体付き鉛蓄電池1の断面図を図9に示す。梱包フィルム40は、検出シート45が貼り付けられた鉛蓄電池10の全体を外側から覆っている。そして、梱包箱50は、梱包フィルム40に覆われた鉛蓄電池10をさらに外側から覆っている。通気口41は、第1面40Aにのみ存在し、第2面40B及び第3面40Cには存在しない。
【0035】
6.効果説明
梱包体付き鉛蓄電池1は、梱包フィルム40によって、鉛蓄電池10の全体が覆われている。そのため、配送や持ち運びの際に、鉛蓄電池10が転倒したり、傾いた状態で荷扱いされたりすることで、排気口31から電解液Wが漏れても、梱包フィルム40がない場合と比べて、エンドユーザ等が電解液Wに触れにくくなる。
【0036】
また、梱包フィルム40は通気口41を有しているため、通気性を確保することができ、鉛蓄電池10の内部で発生したガスを、排気口31と通気口41を通して、梱包フィルム40の外に排出できる。
【0037】
梱包体付き鉛蓄電池1は、梱包フィルム40で覆われた鉛蓄電池10を収容する梱包箱50を有している。
【0038】
図10に示すように、電解液Wが梱包フィルム40の通気口41から漏出しても、漏出した電解液Wは梱包箱50で吸収されるため、エンドユーザ等が、電解液Wにより一層触れにくくなる。
【0039】
梱包体付き鉛蓄電池1では、通気口41は、梱包フィルム40における、鉛蓄電池10の天面10Aを覆う部分(第1面40A)にのみ設けられており、鉛蓄電池10の側面10Bを覆う部分(第2面40B)には設けられていない。
【0040】
梱包体付き鉛蓄電池1は、転倒して天面10Aが横になると、排気口31から電解液が漏れ出る可能性がある。このとき、電解液Wは、天面10Aを伝って下方の側面10B側に流れ、側面10Bと第2面40Bとの間に溜まりやすい。通気口41は、電解液Wが溜まりやすい第2面40Bを避けて、第1面40Aにのみ設けられている。そのため、鉛蓄電池10が転倒等して液漏れが発生しても、漏れ出た電解液Wが通気口41に到達しにくく、エンドユーザ等が電解液Wに触れにくくなる。
【0041】
梱包体付き鉛蓄電池1では、電解液Wに接触すると変色する検出シート45が、排気口31に貼り付けられている。
【0042】
液漏れが発生して排気口31から電解液Wが漏出すると、電解液Wと検出シート45が接触して染み込み、染み込んだ箇所において検出シート45が変色する。エンドユーザ等は、検出シート45の変色箇所46の有無を視認することで、液漏れが発生したか否かを判断できる。これにより、エンドユーザ等が、電解液Wに触れにくくなる。
【0043】
梱包体付き鉛蓄電池1では、梱包フィルム40は透明であり、梱包箱50の、排気口31と対向する位置に窓部53が開口している。エンドユーザ等は、梱包箱50の外部から、窓部53及び梱包フィルム40を介して、検出シート45の変色の有無を視認できる。
【0044】
このようにすると、エンドユーザ等は、梱包箱50を開けたり、梱包フィルム40を開封したりしなくても、鉛蓄電池10に液漏れが発生しているか否かを判断できる。これにより、エンドユーザ等が、電解液Wに触れにくくなる。
【0045】
<実施形態2>
図11から図13を参照して、実施形態2に係る梱包体付き鉛蓄電池101について説明する。以下、実施形態2において実施形態1と実質的に同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
梱包体135の梱包の手順を、図11(A)~(D)を参照して説明する。梱包前の鉛蓄電池10に対し(A)、上方から、6つの排気口31を覆うように、1枚の検出シート45を貼り付ける(B)。次に、鉛蓄電池10を、梱包箱150に対して上方から収容して、第1フラップ151及び第2フラップ152を閉じる(C)。次に、梱包箱150全体を、フィルム140でシュリンク包装する(D)。
【0047】
上記の手順によって梱包された、梱包体付き鉛蓄電池101の断面図を図12に示す。梱包箱150は、検出シート45が貼り付けられた鉛蓄電池10を収容している。フィルム140は、梱包箱150の全体を、さらに外側から覆っている。
【0048】
収縮後の梱包フィルム140のうち、天面10Aに対向する部分を第1面140A、側面10Bに対向する部分を第2面140B、底面10Cに対向する部分を第3面140Cとする。通気口141は、第1面140Aにのみ設けられており、第2面140B及び第3面140Cには設けられていない。
【0049】
梱包体35と梱包体135との違いは、各部材(梱包フィルム及び梱包箱)が鉛蓄電池10を覆う順番である。梱包体35では、図9に示すように、鉛蓄電池10に近い方から、梱包フィルム40、梱包箱50の順である。これに対して、梱包体135では、図12に示すように、鉛蓄電池10に近い方から、梱包箱150、フィルム140の順である。
【0050】
梱包体付き鉛蓄電池101の効果について、図13を参照して説明する。鉛蓄電池10に液漏れが発生した場合、電解液Wは鉛蓄電池10のすぐ外側を覆っている梱包箱50によって吸収されるか、又はせき止められる。梱包箱150で吸収しきれなかった、又はせき止められなかった電解液Wは、梱包箱150の外側に到達するが、梱包箱150の外側はフィルム140で覆われている。フィルム140は、通気口141を除いて電解液Wを通さないため、フィルム140の外側に漏出する電解液Wの量を低減できる。これにより、エンドユーザ等が、電解液Wに触れにくくなる。
【0051】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0052】
(1)上記実施形態では、梱包される鉛蓄電池10として、排気口31が鉛蓄電池10の天面10Aに位置する、いわゆるJISタイプを例示して説明した。これ以外にも、図14に示すような、いわゆるENタイプの鉛蓄電池60にも本発明は適用可能である。
【0053】
ENタイプの鉛蓄電池60では、各セルで発生したガスは、液口栓63の上方に排出されるのではなく、蓋61の内部において横方向に排出される。複数の液口栓63から排出されたガスは、蓋61の内部を通り、蓋61の側面に設けられた排気口62からまとめて排出される。鉛蓄電池60の内部におけるガスの排気経路を、図15の矢線で示す。鉛蓄電池60が液漏れするときは、電解液Wがガスの排気経路と同一の経路をたどって、排気口62から外部に漏出する。
【0054】
蓋61の側面にある排気口62に検出シートを貼り付け、梱包箱の窓部を、排気口62に対向する位置に設けることで、本発明をENタイプの鉛蓄電池60にも適用できる。
【0055】
(2)上記実施形態では、通気口41、141が、第1面40A、140Aに設けられている場合を例示した。通気口は、第1面40A、140A以外の面である、第2面40B、140Bや、第3面40C、140Cに設けられていてもよい。このようにすると、鉛蓄電池60から電解液Wが漏出しても、フィルムがない場合と比べて、エンドユーザ等が電解液に触れにくくなる。
【0056】
(3)上記実施形態では、6つの排気口31を1枚の検出シート45で覆う場合を例示したが、それぞれの排気口31を、各1枚の検出シートで覆うようにしてもよい。また、1枚の検出シートで2つ以上の排気口31を覆ってもよい。
【0057】
(4)上記実施形態では、検出シート45の片面に接着剤を塗布して蓋20上に貼り付け、固定する場合を例示したが、粘着テープを用いて固定してもよい。
【0058】
(5)上記実施形態では、検出シート45として上質紙を用いる場合について説明した。検出シート45としては、上質紙以外の紙やリトマス試験紙等、電解液Wに接触すると変色する性質であれば適用可能である。
【0059】
(6)上記実施形態では、梱包フィルム40を用いたシュリンク包装によって、鉛蓄電池10や梱包箱50を包装した。しかし、シュリンク包装以外の手段によって鉛蓄電池10等を包装してもよい。また、シュリンク包装以外の手段で鉛蓄電池10等を包装する場合であって、梱包フィルム40の内部の空気を排出する必要がない場合は、通気口41の形成は包装後であってもよい。
【0060】
(7)上記実施形態では、梱包箱50の天面50Aは2枚のフラップ(第1フラップ51及び第2フラップ52)で形成されている場合を例示したが、フラップは1枚でもよい。
【0061】
(8)上記実施形態では、第2フラップ52に窓部53が設けられている場合を例示したが、窓部は第1フラップ51に設けられていてもよい。また、2つのフラップの両方に窓部が設けられていてもよい。
【0062】
(9)上記実施形態では、上方が開口した梱包箱50に対して上方から鉛蓄電池10を収容する場合を例示したが、梱包箱の開口は側方や下方にあってもよい。
【0063】
(10)窓部53は、検出シート45を外部から視認できる位置に開口していればよく、梱包箱50における窓部53の位置は、天面50Aに限定されない。
【0064】
(11)上記実施形態では、鉛蓄電池10の全体を覆う包装手段として梱包フィルム40によるシュリンク包装を行ったが、シュリンク包装は一例であり、他の包装手段によって鉛蓄電池10を包装してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 梱包体付き鉛蓄電池
10 鉛蓄電池
10A 天面
20 蓋
30 液口栓
31 排気口
35 梱包体
40 フィルム
40A 第1面
41 通気口
45 検出シート
50 梱包箱
53 窓部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15