(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】非接触給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20250128BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20250128BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20250128BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20250128BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20250128BHJP
H02J 50/30 20160101ALI20250128BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/40
H02J50/10
H02J50/12
H02J50/20
H02J50/30
H02J7/00 301D
(21)【出願番号】P 2021209837
(22)【出願日】2021-12-23
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲平
(72)【発明者】
【氏名】婦木 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智和
(72)【発明者】
【氏名】武田 重郎
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-182809(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0148986(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/80
H02J 50/40
H02J 50/10
H02J 50/12
H02J 50/20
H02J 50/30
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受電装置と、送電装置とを備える非接触給電システムであって、
前記受電装置は、
給電を要求する前記送電装置に対してビーコン信号を送信する送信部と、
前記送電装置から非接触給電により電力を受電する受電部とを有し、
前記送電装置は、
前記受電装置から前記ビーコン信号を受信する受信部と、
非接触給電により前記受電装置に電力を給電する給電部とを有し、
前記送電装置が前記受電装置に効率的に給電可能な効率条件を示す効率条件情報に基づいて、前記受信部が前記ビーコン信号を受信した複数の前記受電装置のうち、前記効率条件を満たす前記受電装置を、前記送電装置が給電する前記受電装置として決定する決定部を備え、
前記給電部は、前記決定部により決定された前記受電装置に対して電力を給電
し、
前記効率条件には、前記ビーコン信号の受信強度が強いことが含まれ、
前記決定部は、前記受信部が受信した前記ビーコン信号のうち、他の前記ビーコン信号に比して、受信強度が強い前記ビーコン信号を送信した前記受電装置を、前記送電装置が給電する前記受電装置として決定する、
ことを特徴とする非接触給電システム。
【請求項2】
複数の受電装置と、送電装置とを備える非接触給電システムであって、
前記受電装置は、
給電を要求する前記送電装置に対してビーコン信号を送信する送信部と、
前記送電装置から非接触給電により電力を受電する受電部とを有し、
前記送電装置は、
前記受電装置から前記ビーコン信号を受信する受信部と、
非接触給電により前記受電装置に電力を給電する給電部とを有し、
前記送電装置が前記受電装置に効率的に給電可能な効率条件を示す効率条件情報に基づいて、前記受信部が前記ビーコン信号を受信した複数の前記受電装置のうち、前記効率条件を満たす前記受電装置を、前記送電装置が給電する前記受電装置として決定する決定部を備え、
前記給電部は、前記決定部により決定された前記受電装置に対して電力を給電
し、
前記効率条件には、前記ビーコン信号の到来角と、前記受信部の指向性とが合致することが含まれ、
前記決定部は、前記受信部が受信した前記ビーコン信号のうち、他の前記ビーコン信号に比して、前記ビーコン信号の到来角が前記指向性と合致している前記ビーコン信号を送信した前記受電装置を、前記送電装置が給電する前記受電装置として決定する、
ことを特徴とする非接触給電システム。
【請求項3】
前記効率条件には、前記送電装置が前記受電装置に給電した電力が、前記受電装置において受電されるまでの間の損失が小さいことが含まれ、
前記決定部は、前記送電装置が前記受電装置に給電した給電電力と、前記受電装置が前記送電装置から受電した受電電力とに基づいて、複数の前記受電装置のうち、他の前記受電装置に比して前記損失が小さい前記受電装置を、前記送電装置が給電する前記受電装置として決定する、
請求項
1又は2に記載の非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力伝送信号を用いた非接触給電に関する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、受電装置が給電を要求する送電装置に対してビーコン信号を送信する。そして、送電装置は、受信したビーコン信号に基づいて、受電装置に給電を行う。ここで、送電装置に対して複数の受電装置がビーコン信号を送信し、送電装置が複数の受電装置に対して給電する場合、それぞれの受電装置に対する電力伝送信号が互いに干渉し、効率的に給電することが困難である場合がある。また、送電装置に対する受電装置の向きや、受電装置の距離によっては、送電装置が、複数の受電装置のいずれにも効率的に給電することが困難である場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する非接触給電システムは、複数の受電装置と、送電装置とを備える非接触給電システムであって、前記受電装置は、給電を要求する前記送電装置に対してビーコン信号を送信する送信部と、前記送電装置から非接触給電により電力を受電する受電部とを有し、前記送電装置は、前記受電装置から前記ビーコン信号を受信する受信部と、非接触給電により前記受電装置に電力を給電する給電部とを有し、前記送電装置が前記受電装置に効率的に給電可能な効率条件を示す効率条件情報に基づいて、前記受信部が前記ビーコン信号を受信した複数の前記受電装置のうち、前記効率条件を満たす前記受電装置を、前記送電装置が給電する前記受電装置として決定する決定部を備え、前記給電部は、前記決定部により決定された前記受電装置に対して電力を給電する、ことを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、複数の受電装置のうち、送電装置が効率的に給電することができる受電装置を決定することができる。
上記非接触給電システムにおいて、前記効率条件には、前記送電装置が前記受電装置に給電した電力が、前記受電装置において受電されるまでの間の損失が小さいことが含まれ、前記決定部は、前記送電装置が前記受電装置に給電した給電電力と、前記受電装置が前記送電装置から受電した受電電力とに基づいて、複数の前記受電装置のうち、他の前記受電装置に比して前記損失が小さい前記受電装置を、前記送電装置が給電する前記受電装置として決定してもよい。
【0007】
上記構成によれば、複数の受電装置のうち、送電装置が効率的に給電するに際して、損失が小さい受電装置を決定することができる。
上記非接触給電システムにおいて、前記効率条件には、前記ビーコン信号の受信強度が強いことが含まれ、前記決定部は、前記受信部が受信した前記ビーコン信号のうち、他の前記ビーコン信号に比して、受信強度が強い前記ビーコン信号を送信した前記受電装置を、前記送電装置が給電する前記受電装置として決定してもよい。
【0008】
上記構成によれば、複数の受電装置のうち、近傍に存在することで送電装置が効率的に給電することができる受電装置を決定することができる。
上記非接触給電システムにおいて、前記効率条件には、前記ビーコン信号の到来角と、前記受信部の指向性とが合致することが含まれ、前記決定部は、前記受信部が受信した前記ビーコン信号のうち、他の前記ビーコン信号に比して、前記ビーコン信号の到来角が前記指向性と合致している前記ビーコン信号を送信した前記受電装置を、前記送電装置が給電する前記受電装置として決定してもよい。
【0009】
上記構成によれば、複数の受電装置のうち、送電装置の給電方向と、受電装置が存在する位置とが合致することで送電装置が効率的に給電することができる受電装置を決定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の受電装置のうち、送電装置が効率的に給電することができる受電装置を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】非接触給電システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】非接触給電システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】決定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、図面を参照し、非接触給電システムを具体化した実施形態について説明する。
[非接触給電システム1の全体構成]
図1に示すように、非接触給電システム1は、送電装置10と、複数の受電装置20と、制御装置30とを備える。送電装置10は、例えば、受電装置20に対して電力伝送信号を用いた非接触給電により電力を給電する。詳しくは、非接触給電システム1では、非接触給電のためのマイクロ波方式を用いた無線による電力伝送を行う。すなわち、送電装置10と、受電装置20とは、受電装置20の受電アンテナと、送電装置10の送電アンテナとの間で、非接触給電のための電力伝送信号の送受信を行う。なお、本システムに適用される無線による電力伝送方式(非接触電力伝送方式)は、マイクロ波方式に限られず、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界共鳴方式、レーザー等を利用した方式であってもよい。また、本実施形態では、電力伝送信号の送受信が非接触給電に用いられるものとするが、非接触給電以外の用途で無線による電力伝送信号の送受信が行われてもよい。
【0013】
受電装置20は、送電装置10から送信された電力伝送信号を受信し、受信した電力により動作したり、自装置が備えるバッテリを充電したりする。制御装置30は、送電装置10が受電装置20に対する給電を制御する。
【0014】
ここで、受電装置20に対して電力伝送信号を適切に送信するため、送電装置10は、送電装置10に対する受電装置20の向きや、受電装置20までの距離に基づいて、送信する電力伝送信号の位相を適切に設定することが求められる。これに伴い、受電装置20は、給電を要求する送電装置10に対して、位相変更情報を含むビーコン信号を、所定の時間間隔毎に送信する。送電装置10は、受電装置20から受信したビーコン信号に含まれる位相変更情報に基づいて、受電装置20に対して給電する。
【0015】
一方で、送電装置10に対して複数の受電装置20がビーコン信号を送信し、送電装置10が複数の受電装置20に対して給電する場合、それぞれの受電装置20に対する電力伝送信号が互いに干渉し、効率的に給電することが困難である場合がある。また、送電装置10に対する受電装置20の向きや、受電装置20の距離によっては、送電装置10が、複数の受電装置20のいずれにも効率的に給電することが困難である場合がある。
【0016】
本実施形態の制御装置30は、送電装置10が複数の受電装置20からビーコン信号を受信した場合、送電装置10が効率的に給電できる受電装置20を決定する。以下、送電装置10の構成、受電装置20、及び制御装置30の構成の詳細について説明する。
【0017】
[送電装置10の構成]
図2に示すように、送電装置10は、例えば、アンテナ11と、通信部12と、変換部13と、バッテリ14と、制御部15とを備える。
【0018】
アンテナ11は、受電装置20との各種通信に用いられる。アンテナ11は、例えば、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、各種情報の送受信に係る情報通信とにおいて共用される。アンテナ11は、「給電部」の一例であり、アンテナ11が受電装置20に対して電力伝送信号を送信することは、「非接触給電により受電装置20に電力を給電する」ことの一例である。
【0019】
通信部12は、受電装置20との通信に係る各種制御を行う。通信部12は、例えば、アンテナ11を制御し、受電装置20が送信するビーコン信号を受信する。また、通信部12は、アンテナ11を制御し、受電装置20と各種情報を送受信する。各種情報の送受信に係る情報通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、ZigBee(登録商標)等により実現される。通信部12は、アンテナ11を制御し、受電装置20からビーコン信号を受信する処理において「受信部」の一例である。
【0020】
変換部13は、受電装置20に給電するに際して、電力を電力伝送信号に変換し、アンテナ11によって送信する。変換部13は、不図示の電力源から供給された電力を電力伝送信号に変換してもよく、後述するバッテリ14に蓄電される電力を電力伝送信号に変換してもよい。以降の説明では、変換部13が、バッテリ14に蓄電される電力を電力伝送信号に変換する場合について説明する。
【0021】
バッテリ14は、不図示の電力源から供給された電力を蓄電する。バッテリ14の満充電時の電力容量は、例えば、非接触給電システム1が備える受電装置20に対して、十分に電力を給電可能な電力容量である。
【0022】
制御部15は、送電装置10が備える各部を制御する。制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め送電装置10が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの非一過性の記憶媒体を備える記憶装置(不図示)に格納されていてもよい。制御部15は、例えば、通信部12により受信されたビーコン信号に基づいて、アンテナ11の位相を調整する。
【0023】
[受電装置20の構成]
受電装置20は、アンテナ21と、通信部22と、変換部23と、バッテリ24と、制御部25とを備える。
【0024】
アンテナ21は、送電装置10との各種通信に用いられる。アンテナ21は、例えば、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、各種情報の送受信に係る情報通信とにおいて共用される。アンテナ21は、「受電部」の一例であり、アンテナ21が送電装置10によって送信された電力伝送信号を受信することは、「送電装置10から非接触給電によって電力を受電する」ことの一例である。
【0025】
通信部22は、送電装置10との通信に係る各種制御を行う。通信部22は、例えば、アンテナ21を制御し、給電を要求する送電装置10に対してビーコン信号を送信する。また、通信部22は、アンテナ21を制御し、送電装置10と各種情報を送受信する。通信部22は、アンテナ21を制御し、送電装置10に対してビーコン信号を送信する処理において「送信部」の一例である。
【0026】
変換部23は、アンテナ21によって受信された電力伝送信号を直流電力に変換する。バッテリ24は、変換部23により変換された直流電力を蓄電する。受電装置20は、バッテリ24が蓄電する電力によって動作する。
【0027】
制御部25は、受電装置20が備える各部を制御する。制御部25は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部を含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め受電装置20が備えるHDDやフラッシュメモリなどの非一過性の記憶媒体に格納されていてもよい。制御部25は、例えば、所定の時間間隔毎にビーコン信号を送電装置10に送信するように、通信部22に指示する。
【0028】
[制御装置30の構成]
本実施形態の制御装置30は、送電装置10と情報の送受信可能に接続されている。制御装置30と、送電装置10とは、直接接続されていてもよく、不図示の通信部により各種情報の送受信に係る情報通信が行われてもよい。
【0029】
制御装置30は、制御部31と、記憶部40とを備える。制御部31は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部を含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め制御装置30が備えるHDDやフラッシュメモリなどの非一過性の記憶媒体を備える記憶部40に格納されていてもよい。
【0030】
記憶部40は、上述した各種記憶装置、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現されてもよい。記憶部40には、上述したプログラムの他、効率条件情報401が記憶される。効率条件情報401は、制御装置30が効率的に給電可能な受電装置20を決定する処理に用いられる効率条件を示す情報である。
【0031】
この一例では、効率条件情報401には、第1効率条件EC1と、第2効率条件EC2と、第3効率条件EC3との三つの効率条件を示す情報が含まれる場合について説明する。第1効率条件EC1は、例えば、送電装置10が受電装置20に給電した電力が、前記受電装置において受電されるまでの間の損失が小さいことである。第2効率条件EC2は、例えば、ビーコン信号の受信強度が強いことである。第3効率条件EC3は、例えば、ビーコン信号の到来角と、アンテナ11の指向性とが合致することである。
【0032】
制御部31は、例えば、決定部310を備える。決定部310は、効率条件情報401に示される効率条件に基づいて、ビーコン信号を受信した複数の受電装置20のうち、効率条件を満たす受電装置20を、送電装置10が給電する受電装置20として決定する。決定部310は、決定した受電装置20に対して給電をさせるように、送電装置10に指示する。送電装置10は、制御装置30の指示に基づいて、ビーコン信号を受信した複数の受電装置20のうち、決定部310により決定された受電装置20に対して給電を行う。
【0033】
[動作フロー]
以下、
図3を参照し、決定部310の処理の詳細について説明する。
図3に示すフローチャートの処理は、送電装置10が複数の受電装置20からビーコン信号を受信した場合に実行される。まず、決定部310は、効率条件情報401に示される効率条件に基づいて、送電装置10がビーコン信号を受信した複数の受電装置20のそれぞれについて、効率条件を満たすか否かを判定する(ステップS100)。
【0034】
決定部310は、第1効率条件EC1に基づいて受電装置20を決定する場合、受電装置20における受電電力を示す情報と、送電装置10が受電装置20に給電した給電電力を示す情報とを送電装置10から取得する。この場合、送電装置10は、ビーコン信号を受信した複数の受電装置20のいずれにも電力伝送信号を送信し、給電する。受電装置20のアンテナ21は、送電装置10によって送信された電力伝送信号を受信する。変換部23は、アンテナ21によって受信された電力伝送信号を直流電力に変換する。受電装置20の通信部22は、変換部23により変換された直流電力の大きさを、受電電力を示す情報として、送電装置10に送信する。送電装置10の通信部12は、受電装置20によって送信された受電電力を示す情報と、送電装置10が受電装置20に給電した給電電力を示す情報とを、制御装置30に出力する。
【0035】
決定部310は、各受電装置20から取得した受電電力を示す情報と、送電装置10が受電装置20に給電した給電電力を示す情報とを比較し、受電電力の損失が、他の受電装置20に比して小さい受電装置20を、効率条件を満たす受電装置20として決定する。
【0036】
また、決定部310は、第2効率条件EC2に基づいて受電装置20を決定する場合、送電装置10が受信したビーコン信号の受信強度を示す情報を送電装置10から取得する。決定部310は、送電装置10が受信したビーコン信号の受信強度を示す情報を比較し、受信強度が他の受電装置20に比して強い受電装置20を、効率条件を満たす受電装置20として決定する。
【0037】
また、決定部310は、第3効率条件EC3に基づいて受電装置20を決定する場合、送電装置10が受信したビーコン信号の到来角を示す情報と、アンテナ11の指向性を示す情報とを送電装置10から取得する。決定部310は、送電装置10が受信したビーコン信号の到来角を示す情報と、アンテナ11の指向性とを比較し、ビーコン信号の到来角が他の受電装置20に比して指向性と合致している受電装置20を、効率条件を満たす受電装置20として決定する。
【0038】
本実施形態の決定部310は、第1効率条件EC1、第2効率条件EC2、及び第3効率条件EC3とのうち、いずれかの効率条件を満たす受電装置20を、効率条件を満たす受電装置20として決定する。
【0039】
決定部310は、送電装置10に対してビーコン信号を送信した複数の受電装置20のうち、効率条件を満たすと判定した受電装置20について、送電装置10が給電すると決定する(ステップS102)。決定部310は、送電装置10に対してビーコン信号を送信した複数の受電装置20のうち、効率条件を満たさないと判定した受電装置20について、送電装置10が給電しないと決定する(ステップS104)。送電装置10は、決定部310の決定結果に基づいて、給電すると決定された受電装置20に対して電力伝送信号を送信し、給電しないと決定された受電装置20に対して電力伝送信号を送信しない。
【0040】
[実施形態の作用効果]
上記実施形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)決定部310は、効率条件に基づいて、送電装置10がビーコン信号を受信した複数の受電装置20のうち、効率条件を満たす受電装置20を、送電装置10が給電する受電装置20として決定する。
【0041】
かかる構成によれば、送電装置10は、決定部310の決定に基づいて、複数の受電装置20のうち、一意の受電装置20を給電することができる。送電装置10は、一意の受電装置20に対して給電することにより、複数の受電装置20のいずれにも給電する場合に比して、電力伝送信号に干渉が生じることを抑制することができ、効率的に受電装置20に給電することができる。
【0042】
(2)効率条件には、送電装置10が受電装置20に給電した電力が、受電装置20において受電されるまでの間の損失が小さいことを示す第1効率条件EC1が含まれる。決定部310は、送電装置10が受電装置20に給電した給電電力と、受電装置20が送電装置10から受電した受電電力とを比較する。決定部310は、複数の受電装置20のうち、他の受電装置20に比して損失が小さい受電装置20を、送電装置10が給電する受電装置20として決定する。かかる構成によれば、送電装置10は、決定部310の決定に基づいて、損失の少ない受電装置20に対して、効率的に給電することができる。
【0043】
(3)効率条件には、ビーコン信号の受信強度が強いことを示す第2効率条件EC2が含まれる。決定部310は、送電装置10が受信したビーコン信号のうち、他のビーコン信号に比して、受信強度が強いビーコン信号を送信した受電装置20を、送電装置10が給電する受電装置20として決定する。ここで、受信強度が強いビーコン信号を送信する受電装置20は、他の受電装置20に比して送電装置10に近い位置に存在する場合がある。送電装置10に近い受電装置20と、送電装置10から遠い受電装置20とでは、送電装置10に近い受電装置20の方が、給電効率が良い場合がある。かかる構成によれば、決定部310は、複数の受電装置20のうち、近傍に存在することで送電装置10が効率的に給電することができる受電装置20を決定することができる。したがって、送電装置10は、効率的に受電装置20に給電することができる。
【0044】
(4)効率条件には、ビーコン信号の到来角と、アンテナ11の指向性とが合致することを示す第3効率条件EC3が含まれる。決定部310は、送電装置10が受信したビーコン信号のうち、他のビーコン信号に比して、ビーコン信号の到来角がアンテナ11の指向性と合致しているビーコン信号を送信した受電装置20を、送電装置10が給電する受電装置20として決定する。ここで、到来角が送電装置10のアンテナ11と合致するビーコン信号を送信する受電装置20は、他の受電装置20に比して送電装置10から電力伝送信号を効率よく受信できる場合がある。かかる構成によれば、決定部310は、複数の受電装置20のうち、送電装置10の給電方向と、受電装置20が存在する位置とが合致することで送電装置10が効率的に給電することができる受電装置20を決定することができる。したがって、送電装置10は、効率的に受電装置20に給電することができる。
【0045】
上記各実施形態は以下のように変更してもよい。なお、上記実施形態および以下の各別例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせてもよい。
〇
図1に示す一例では、非接触給電システム1が備える受電装置20の数が、二つである場合について示しているが、これに限られない。非接触給電システム1が備える受電装置20は、一つであってもよく、三つ以上であってもよい。また、非接触給電システム1が備える受電装置20の数には、上限が設けられていてもよい。受電装置20の数の上限は、例えば、非接触給電システム1が備える送電装置10が給電可能な電力に応じて決定されてもよい。
【0046】
○上述では、送電装置10は、不図示の電力源から供給された電力によって動作する場合について説明したが、これに限られない。複数の非接触給電システム1が連携しており、送電装置10は、他の非接触給電システム1が備える送電装置10から送信された電力伝送信号によって給電され、動作してもよい。
【0047】
○上述では、効率条件情報401には、第1効率条件EC1と、第2効率条件EC2との二つの効率条件が含まれる場合について説明したが、これに限られない。効率条件情報401に含まれる効率条件は一つであってもよく、四つ以上であってもよい。
【0048】
○また、複数効率条件が存在する場合、各効率条件には、優先度が付加されていてもよい。例えば、第1効率条件EC1の優先度が、第2効率条件EC2、及び第3効率条件EC3よりも高く設定されている場合がある。この場合、決定部310は、第2効率条件EC2、及び第3効率条件EC3を満たすか否かに関わらず、第1効率条件EC1を満たすと判定した受電装置20を、効率条件を満たす受電装置20として決定する。
【0049】
○決定部310は、いずれかの効率条件を満たす受電装置20が複数存在する場合、複数の受電装置20のうち、効率条件のうち、高い優先度が付加された効率条件を満たす受電装置20を、効率条件を満たす受電装置20として決定してもよい。
【0050】
○上述では、決定部310は、第1効率条件EC1、第2効率条件EC2、及び第3効率条件EC3とのうち、いずれかの効率条件も満たす受電装置20を、効率条件を満たす受電装置20として決定する場合について説明したがこれに限られない。決定部310は、第1効率条件EC1、第2効率条件EC2、及び第3効率条件EC3とのうち、いずれの効率条件も満たす受電装置20を、効率条件を満たす受電装置20として決定してもよい。
【0051】
○上述では、送電装置10と、制御装置30とが別体で設けられている場合について説明したが、これに限られない。送電装置10は、例えば、制御装置30の機能を有していてもよい。この場合、送電装置10の記憶装置には、効率条件情報401が記憶され、送電装置10の制御部15は、決定部310を備える。また、非接触給電システム1が複数の送電装置10を備える場合、複数の送電装置10は、情報通信により決定した効率条件を満たす受電装置20を示す情報を互いに送受信し、それぞれが給電する受電装置20を統合的に決定してもよい。詳しくは、複数の送電装置10のうち、一部、又は全部の送電装置10が給電すると決定した受電装置20が一致した場合、送電装置10に付加された優先度に基づいて、優先度の高い送電装置10が、給電を決定した受電装置20に給電する。
【0052】
○上述では、アンテナ11、及びアンテナ21は、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、各種情報の送受信に係る情報通信とにおいて共用される場合について説明したが、これに限られない。送電装置10、及び受電装置20は、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、各種情報の送受信に係る情報通信とのそれぞれに用いられるアンテナを別体で備えていてもよい。例えば、送電装置10と、受電装置20との間で、各種情報の送受信に係る情報通信が頻繁に行われると、アンテナ11、及びアンテナ21は、電力伝送信号の送受信や、ビーコン信号の送受信が適切に行えなくなってしまう場合がある。送電装置10、及び受電装置20は、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、各種情報の送受信に係る情報通信とのそれぞれに用いられるアンテナを別体で備えることにより、ある通信が他の通信の妨げになることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…非接触給電システム
10…送電装置
20…受電装置
30…制御装置
11,21…アンテナ
12,22…通信部
13,23…変換部
14,24…バッテリ
15,25,31…制御部
40…記憶部
310…決定部
401…効率条件情報
EC1…第1効率条件
EC2…第2効率条件
EC3…第3効率条件。