(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】映像記録システム、自動運転システム、および映像記録方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20250128BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2023047042
(22)【出願日】2023-03-23
(62)【分割の表示】P 2021533078の分割
【原出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2019130771
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019131256
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】茂木 陽太郎
(72)【発明者】
【氏名】項 警宇
(72)【発明者】
【氏名】前田 優
(72)【発明者】
【氏名】河野 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】大澤 弘幸
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-080518(JP,A)
【文献】特開2019-032739(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0104992(KR,A)
【文献】特開2008-102762(JP,A)
【文献】特開2014-170387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G07C 1/00-15/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転と、前記自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、
前記車両または前記車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、前記事故確認映像を逐次取得する映像取得部と、
前記車両が前記自動運転と前記非自動運転とのいずれの運転状態かを特定する運転特定部(1203)と、
前記事故確認映像と、前記運転特定部で特定した前記事故確認映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存する保存処理部(1207、1207a、11207)を備え
、
前記事故確認映像と前記運転状態を特定できる情報は、対応付け指標により互いに対応づけられており、
前記記録装置として、
前記事故確認映像を前記対応付け指標とともに保存する映像記録装置(1021)と、前記運転状態を特定できる情報を前記対応付け指標とともに保存する運転状態記録装置(1127)とを備え、
前記対応付け指標はタイムスタンプであり、
前記タイムスタンプに用いられる計測時刻を計測する計時部(1124,11203)と、
前記計測時刻とGNSS人工衛星が送信する時刻に基づく基準時刻との時刻差をもとに、単位経過時間当たりの時刻誤差を算出する時刻補正部(1125,11204)と、をさらに備え、
前記映像記録装置および前記運転状態記録装置には、前記タイムスタンプとともに、前記時刻誤差も記録されている、映像記録システム。
【請求項2】
自動運転と、前記自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、
前記車両または前記車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、前記事故確認映像を逐次取得する映像取得部と、
前記車両が前記自動運転と前記非自動運転とのいずれの運転状態かを特定する運転特定部(1203)と、
前記事故確認映像と、前記運転特定部で特定した前記事故確認映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存する保存処理部(1207、1207a、11207)を備え
、
前記事故確認映像と前記運転状態を特定できる情報は、対応付け指標により互いに対応づけられており、
前記記録装置として、
前記事故確認映像を前記対応付け指標とともに保存する映像記録装置(1021)と、前記運転状態を特定できる情報を前記対応付け指標とともに保存する運転状態記録装置(1127)とを備え、
前記対応付け指標はタイムスタンプであり、
前記タイムスタンプに用いられる計測時刻を計測する計時部(1124,11203)と、
前記計測時刻とGNSS人工衛星が送信する時刻に基づく基準時刻との時刻差をもとに、単位経過時間当たりの時刻誤差と、前記時刻誤差を母集団とした標準偏差である時刻精度とを、算出する時刻補正部(1125,11204)と、をさらに備え、
前記映像記録装置および前記運転状態記録装置には、前記タイムスタンプとともに、前記時刻精度も記録されている、映像記録システム。
【請求項3】
前記映像記録装置および前記運転状態記録装置には、前記タイムスタンプとともに、前記時刻誤差及び前記時刻精度が記録されている、請求項
2に記載の映像記録システム。
【請求項4】
前記事故確認映像に、前記車両の周辺が撮影された映像が含まれる、請求項1~
3のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【請求項5】
前記事故確認映像に、前記車両の車室内が撮影された映像が含まれる、請求項1~
3のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【請求項6】
前記車両に設けられて前記車両の周辺を撮影する車外用カメラ(1051)で撮影する映像である車外映像を前記事故確認映像として逐次取得する車外映像取得部(1201)を、前記映像取得部として備え、さらに、
前記車両と前記車両の周辺障害物との間及び前記車両の周辺車両同士の間の少なくともいずれかの対象間の衝突危険性の有無を判定する危険性判定部(1204)と、
前記危険性判定部で前記対象間の前記衝突危険性が有りと判定することをトリガに、前記車外映像取得部で逐次取得する前記車外映像と、前記運転特定部で特定したその車外映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを、前記記録装置に保存する保存対象とする保存対象決定部(1205)とを備える請求項
4に記載の映像記録システム。
【請求項7】
前記保存対象決定部は、前記危険性判定部で前記対象間の前記衝突危険性が有りと判定していない場合であっても、前記車両の前記運転状態が、前記自動運転から前記非自動運転に切り替わることをトリガに、前記車外映像取得部で逐次取得する前記車外映像と、前記運転特定部で特定するその車外映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを前記保存対象とする請求項
6に記載の映像記録システム。
【請求項8】
自動運転と、前記自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、
前記車両または前記車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、前記事故確認映像を逐次取得する映像取得部と、
前記車両が前記自動運転と前記非自動運転とのいずれの運転状態かを特定する運転特定部(1203)と、
前記事故確認映像と、前記運転特定部で特定した前記事故確認映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存する保存処理部(1207、1207a、11207)を備え
、
前記事故確認映像に、前記車両の周辺が撮影された映像が含まれ、
前記車両に設けられて前記車両の周辺を撮影する車外用カメラ(1051)で撮影する映像である車外映像を前記事故確認映像として逐次取得する車外映像取得部(1201)を、前記映像取得部として備え、さらに、
前記車両と前記車両の周辺障害物との間及び前記車両の周辺車両同士の間の少なくともいずれかの対象間の衝突危険性の有無を判定する危険性判定部(1204)と、
前記危険性判定部で前記対象間の前記衝突危険性が有りと判定することをトリガに、前記車外映像取得部で逐次取得する前記車外映像と、前記運転特定部で特定したその車外映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを、前記記録装置に保存する保存対象とする保存対象決定部(1205)とを備え、
前記保存対象決定部は、前記危険性判定部で前記対象間の前記衝突危険性が有りと判定していない場合であっても、前記車両の前記運転状態が、前記自動運転から前記非自動運転に切り替わることをトリガに、前記車外映像取得部で逐次取得する前記車外映像と、前記運転特定部で特定するその車外映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを前記保存対象とする、映像記録システム。
【請求項9】
前記危険性判定部で前記対象間の前記衝突危険性が有りと判定したその対象間の事故の発生を検出する事故検出部(1206)を備え、
前記保存処理部は、前記事故検出部で前記事故の発生を検出する場合に、少なくとも前記事故の発生までの前記保存対象を前記記録装置に保存する請求項
6~8のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【請求項10】
前記保存処理部は、前記事故検出部で前記事故の発生を検出する場合に、前記事故の発生の所定時間後までの前記保存対象を前記記録装置に保存する請求項
9に記載の映像記録システム。
【請求項11】
前記保存処理部は、前記事故検出部で前記事故の発生を検出しないまま、前記危険性判定部で前記衝突危険性が有りと判定した前記対象間についての前記危険性判定部での判定結果が、前記衝突危険性が有りから無しに切り替わる場合には、前記保存対象を前記記録装置に保存しない請求項
9又は1
0に記載の映像記録システム。
【請求項12】
前記事故検出部で前記事故の発生を検出した場合に、前記事故の発生を前記車両の外部のセンタに通信を介して通報するとともに、前記保存対象を前記センタに通信を介して送信する通報処理部(1208)を備える請求項
9~1
1のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【請求項13】
前記危険性判定部は、前記車両と前記車両の周辺障害物との間及び前記車両の周辺車両同士の間のいずれの前記対象間の前記衝突危険性の有無も判定するものであり、
前記保存対象決定部は、前記危険性判定部で前記車両の周辺車両同士の間の前記衝突危険性が有りと判定する場合には、これらの周辺車両に含まれる周辺車両と前記車両との前記衝突危険性の有無を前記危険性判定部で判定するのに用いた情報も、前記保存対象とする請求項
6~1
2のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【請求項14】
前記危険性判定部は、前記対象間の距離が、予め設定された数学的公式モデルによって算出される、その対象間の安全性を評価するための基準となる距離である安全距離未満の場合に、前記衝突危険性が有りと判定する一方、前記安全距離以上の場合に、前記衝突危険性が無しと判定する請求項
6~1
3のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【請求項15】
前記車両に設けられて前記車両の周辺を撮影する車外用カメラ(1051)で撮影する映像である車外映像を前記事故確認映像として逐次取得する車外映像取得部(1201)を、前記映像取得部として備え、さらに、
前記車両の前記運転状態が、前記自動運転から前記非自動運転に切り替わることをトリガに、前記車外映像取得部で逐次取得する前記車外映像と、前記運転特定部で特定したその車外映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを、前記記録装置に保存する保存対象とする保存対象決定部(1205)とを備える請求項
4に記載の映像記録システム。
【請求項16】
自動運転と、前記自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、
前記車両または前記車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、前記事故確認映像を逐次取得する映像取得部と、
前記車両が前記自動運転と前記非自動運転とのいずれの運転状態かを特定する運転特定部(1203)と、
前記事故確認映像と、前記運転特定部で特定した前記事故確認映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存する保存処理部(1207、1207a、11207)を備え
、
前記事故確認映像に、前記車両の周辺が撮影された映像が含まれ、
前記車両に設けられて前記車両の周辺を撮影する車外用カメラ(1051)で撮影する映像である車外映像を前記事故確認映像として逐次取得する車外映像取得部(1201)を、前記映像取得部として備え、さらに、
前記車両の前記運転状態が、前記自動運転から前記非自動運転に切り替わることをトリガに、前記車外映像取得部で逐次取得する前記車外映像と、前記運転特定部で特定したその車外映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを、前記記録装置に保存する保存対象とする保存対象決定部(1205)とを備える、映像記録システム。
【請求項17】
前記車両と前記車両の周辺障害物との間の事故及び前記車両の周辺車両同士の事故の少なくともいずれかの事故を検出する事故検出部(1206)を備え、
前記保存処理部は、前記事故検出部で前記事故の発生を検出する場合に、少なくとも前記事故の発生までの前記保存対象を前記記録装置に保存する請求項
15又は16に記載の映像記録システム。
【請求項18】
前記車両と前記車両の周辺障害物との間及び前記車両の周辺車両同士の間の少なくともいずれかの対象間の衝突危険性の有無を判定する危険性判定部(1204)を備え、
前記事故検出部は、前記危険性判定部で前記対象間の前記衝突危険性が有りと判定したその対象間の事故の発生を検出することで、前記車両と前記車両の周辺障害物との間の事故及び前記車両の周辺車両同士の事故の少なくともいずれかの事故を検出するものであって、
前記保存処理部は、前記事故検出部で前記事故の発生を検出しないまま、前記危険性判定部で前記衝突危険性が有りと判定した前記対象間についての前記危険性判定部での判定結果が、前記衝突危険性が有りから無しに切り替わる場合には、前記保存対象を前記記録装置に保存しない請求項17に記載の映像記録システム。
【請求項19】
前記事故検出部で前記事故の発生を検出した場合に、前記事故の発生を前記車両の外部のセンタに通信を介して通報するとともに、前記保存対象を前記センタに通信を介して送信する通報処理部(1208)を備える請求項17又は18に記載の映像記録システム。
【請求項20】
前記保存処理部(1207a)は、前記保存対象決定部で前記保存対象を決定した場合に、前記トリガから一定期間分のその保存対象を前記記録装置に保存する請求項
6、15又は16に記載の映像記録システム。
【請求項21】
自動運転と、前記自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、
請求項1~20のいずれか1項に記載の映像記録システムと、前記車両の周辺を監視する周辺監視センサ(1005)での検出結果を用いて前記車両の走行環境を認識する走行環境認識部(1022)と、
前記走行環境認識部で認識する前記走行環境を用いて、前記自動運転で前記車両を走行させるための走行計画を生成する走行計画部(1024)と、
前記走行計画部で生成する前記走行計画に沿って前記車両の走行制御を行わせる自動運転機能部(1026)とを備える自動運転システム。
【請求項22】
自動運転と、前記自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、コンピュータによって実行される映像記録方法であって、
前記コンピュータが、
前記車両または前記車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、前記事故確認映像を逐次取得し、
前記車両が前記自動運転と前記非自動運転とのいずれの運転状態かを特定し、
逐次取得する前記事故確認映像と、前記事故確認映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存
し、
前記事故確認映像と前記運転状態を特定できる情報は、対応付け指標により互いに対応づけられており、
前記記録装置として、
前記事故確認映像を前記対応付け指標とともに保存する映像記録装置(1021)と、前記運転状態を特定できる情報を前記対応付け指標とともに保存する運転状態記録装置(1127)とが備えられ、
前記対応付け指標はタイムスタンプであり、
前記タイムスタンプに用いられる計測時刻を計測し、
前記計測時刻とGNSS人工衛星が送信する時刻に基づく基準時刻との時刻差をもとに、単位経過時間当たりの時刻誤差を算出し、
前記映像記録装置および前記運転状態記録装置には、前記タイムスタンプとともに、前記時刻誤差も記録する映像記録方法。
【請求項23】
自動運転と、前記自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、コンピュータによって実行される映像記録方法であって、
前記コンピュータが、
前記車両または前記車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、前記事故確認映像を逐次取得し、
前記車両が前記自動運転と前記非自動運転とのいずれの運転状態かを特定し、
逐次取得する前記事故確認映像と、前記事故確認映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存
し、
前記事故確認映像と前記運転状態を特定できる情報は、対応付け指標により互いに対応づけられており、
前記記録装置として、
前記事故確認映像を前記対応付け指標とともに保存する映像記録装置(1021)と、前記運転状態を特定できる情報を前記対応付け指標とともに保存する運転状態記録装置(1127)とが備えられ、
前記対応付け指標はタイムスタンプであり、
前記タイムスタンプに用いられる計測時刻を計測し、
前記計測時刻とGNSS人工衛星が送信する時刻に基づく基準時刻との時刻差をもとに、単位経過時間当たりの時刻誤差と、前記時刻誤差を母集団とした標準偏差である時刻精度とを、算出し、
前記映像記録装置および前記運転状態記録装置には、前記タイムスタンプとともに、前記時刻精度も記録する映像記録方法。
【請求項24】
自動運転と、前記自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、コンピュータによって実行される映像記録方法であって、
前記コンピュータが、
前記車両または前記車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、前記事故確認映像を逐次取得し、
前記車両が前記自動運転と前記非自動運転とのいずれの運転状態かを特定し、
逐次取得する前記事故確認映像と、前記事故確認映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存
し、
前記事故確認映像に、前記車両の周辺が撮影された映像が含まれ、
前記車両に設けられて前記車両の周辺を撮影する車外用カメラ(1051)で撮影する映像である車外映像を前記事故確認映像として逐次取得し、
前記車両と前記車両の周辺障害物との間及び前記車両の周辺車両同士の間の少なくともいずれかの対象間の衝突危険性の有無を判定し、
前記対象間の前記衝突危険性が有りと判定することをトリガに、前記車外映像と、前記車外映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを、前記記録装置に保存する保存対象に決定し、
前記保存対象の決定においては、前記対象間の前記衝突危険性が有りと判定していない場合であっても、前記車両の前記運転状態が、前記自動運転から前記非自動運転に切り替わることをトリガに、前記車外映像と、前記車外映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを前記保存対象とする映像記録方法。
【請求項25】
自動運転と、前記自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、コンピュータによって実行される映像記録方法であって、
前記コンピュータが、
前記車両または前記車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、前記事故確認映像を逐次取得し、
前記車両が前記自動運転と前記非自動運転とのいずれの運転状態かを特定し、
逐次取得する前記事故確認映像と、前記事故確認映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存
し、
前記事故確認映像に、前記車両の周辺が撮影された映像が含まれ、
前記車両に設けられて前記車両の周辺を撮影する車外用カメラ(1051)で撮影する映像である車外映像を前記事故確認映像として逐次取得し、
前記車両の前記運転状態が、前記自動運転から前記非自動運転に切り替わることをトリガに、前記車外映像と、前記車外映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを、前記記録装置に保存する保存対象とする映像記録方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年7月15日に日本に出願された特許出願第2019-130771号および2019年7月16日に日本に出願された特許出願第2019-131256号を基礎としており、基礎の出願の内容を、全体的に、参照により援用している。
【技術分野】
【0002】
本開示は、映像記録システム、自動運転システム、および映像記録方法に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1には、目標車両の運転状態を推定し、その状態と運転規則を比較することで、潜在的な事故責任値(以下、潜在事故責任値)を演算する装置が開示されている。この装置は、演算した潜在事故責任値を記憶し、事故後に出力する。
【0004】
特許文献2には、車両の事故の原因を特定可能とするために、衝突の発生又はそのおそれの高いことを検出した場合に、車両の進行方向前方の映像をカメラで撮影して保存する技術が開示されている。また、車両の運転操作を自動化する自動運転が知られている。自動運転の度合いとしては、例えば米国自動車技術会(Society of Automotive Engineers:SAE)が定義しているように、複数の段階が存在し得る。例えば、運転操作が完全に自動化される車両においては、乗員は、周囲の安全監視義務といった運転者としての法律上の責任を負わなくなることが想定されている。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/115963号
【文献】特開2009-157554号公報
【発明の概要】
【0006】
潜在事故責任値は、事故が起きてしまった場合に、事故に関わっている車両に対して事故の責任を決定する際に用いることができる。潜在事故責任値を用いて、事故に関わっている車両に対する事故の責任を決定するためには、潜在事故責任値の信頼性が高くなければならない。しかし、潜在事故責任値は、単なるスカラー値であり、改ざんされる恐れがある。よって、潜在事故責任値の信頼性を確認できることが望まれる。また、潜在事故責任値が改ざんされていなくても、装置のメーカー、バージョン等が異なると、潜在事故責任値の決定アルゴリズムが異なる可能性がある。そうすると、同じ状況でも、装置のメーカー、バージョン等の違いにより、潜在事故責任値の値が異なる恐れがある。よって、潜在事故責任値の信頼性を、後で別の装置により確認できることが望まれる。
【0007】
また、潜在事故責任値は、予め定められている決定方法で決定される値である。それに対して、実際の事故が起きる状況は様々である。したがって、潜在事故責任値が改ざんされていなくても、周囲の状況を考慮すると、潜在事故責任値が、事故を起こした車両の責任を適切に表していない可能性もある。この点でも、潜在事故責任値が信頼できるかを確認できることが望まれる。また、潜在事故責任値から決定できる責任の有無についても、信頼できるかを確認できることが望まれる。以下では、潜在事故責任値と、潜在事故責任値から決定できる責任の有無を含む概念を、潜在事故責任情報とする。
【0008】
特許文献2に開示の技術では、衝突の発生又はそのおそれの高いことを検出した場合に、自車の進行方向前方の映像を保存する。しかしながら、自車が自動運転の度合い(以下、自動運転レベル)を切り替え可能な車両である場合に、保存した映像からでは、自動運転中の走行映像か、非自動運転中の走行映像かを区別することが難しい。よって、事故が発生した場合に、保存した映像から自車の自動運転に責任がないことを証明することが難しい。また、自車の周辺車両同士に事故が発生した場合にも、保存した映像から自車の自動運転に責任がないことを証明することが難しい。
【0009】
この開示の1つの目的は、事故の発生に対して自動運転に責任がないことを証明しやすくすることを可能にする映像記録システム、自動運転システム、および映像記録方法を提供することにある。
【0010】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、開示した技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
上記目的を達成するための映像記録システムに係る1つの開示は、
自動運転と、自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、
車両または車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、事故確認映像を逐次取得する映像取得部と、
車両が自動運転と非自動運転とのいずれの運転状態かを特定する運転特定部と、
事故確認映像と、運転特定部で特定した事故確認映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存する保存処理部を備え、
事故確認映像と運転状態を特定できる情報は、対応付け指標により互いに対応づけられており、
記録装置として、
事故確認映像を対応付け指標とともに保存する映像記録装置と、運転状態を特定できる情報を対応付け指標とともに保存する運転状態記録装置とを備え、
対応付け指標はタイムスタンプであり、
タイムスタンプに用いられる計測時刻を計測する計時部と、
計測時刻とGNSS人工衛星が送信する時刻に基づく基準時刻との時刻差をもとに、単位経過時間当たりの時刻誤差を算出する時刻補正部と、をさらに備え、
映像記録装置および運転状態記録装置には、タイムスタンプとともに、時刻誤差も記録されている、映像記録システムである。
上記目的を達成するための映像記録システムに係る1つの開示は、
自動運転と、自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、
車両または車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、事故確認映像を逐次取得する映像取得部と、
車両が自動運転と非自動運転とのいずれの運転状態かを特定する運転特定部と、
事故確認映像と、運転特定部で特定した事故確認映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存する保存処理部を備え、
事故確認映像と運転状態を特定できる情報は、対応付け指標により互いに対応づけられており、
記録装置として、
事故確認映像を対応付け指標とともに保存する映像記録装置と、運転状態を特定できる情報を対応付け指標とともに保存する運転状態記録装置とを備え、
対応付け指標はタイムスタンプであり、
タイムスタンプに用いられる計測時刻を計測する計時部と、
計測時刻とGNSS人工衛星が送信する時刻に基づく基準時刻との時刻差をもとに、単位経過時間当たりの時刻誤差と、時刻誤差を母集団とした標準偏差である時刻精度とを、算出する時刻補正部と、をさらに備え、
映像記録装置および運転状態記録装置には、タイムスタンプとともに、時刻精度も記録されている、映像記録システムである。
上記目的を達成するための映像記録システムに係る1つの開示は、
自動運転と、自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、
車両または車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、事故確認映像を逐次取得する映像取得部と、
車両が自動運転と非自動運転とのいずれの運転状態かを特定する運転特定部と、
事故確認映像と、運転特定部で特定した事故確認映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存する保存処理部を備え、
事故確認映像に、車両の周辺が撮影された映像が含まれ、
車両に設けられて車両の周辺を撮影する車外用カメラで撮影する映像である車外映像を事故確認映像として逐次取得する車外映像取得部を、映像取得部として備え、さらに、
車両と車両の周辺障害物との間及び車両の周辺車両同士の間の少なくともいずれかの対象間の衝突危険性の有無を判定する危険性判定部(1204)と、
危険性判定部で対象間の衝突危険性が有りと判定することをトリガに、車外映像取得部で逐次取得する車外映像と、運転特定部で特定したその車外映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを、記録装置に保存する保存対象とする保存対象決定部とを備え、
保存対象決定部は、危険性判定部で対象間の衝突危険性が有りと判定していない場合であっても、車両の運転状態が、自動運転から非自動運転に切り替わることをトリガに、車外映像取得部で逐次取得する車外映像と、運転特定部で特定するその車外映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを保存対象とする、映像記録システムである。
上記目的を達成するための映像記録システムに係る1つの開示は、
自動運転と、自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、
車両または車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、事故確認映像を逐次取得する映像取得部と、
車両が自動運転と非自動運転とのいずれの運転状態かを特定する運転特定部と、
事故確認映像と、運転特定部で特定した事故確認映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存する保存処理部を備え、
事故確認映像に、車両の周辺が撮影された映像が含まれ、
車両に設けられて車両の周辺を撮影する車外用カメラで撮影する映像である車外映像を事故確認映像として逐次取得する車外映像取得部を、映像取得部として備え、さらに、
車両の運転状態が、自動運転から非自動運転に切り替わることをトリガに、車外映像取得部で逐次取得する車外映像と、運転特定部で特定したその車外映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを、記録装置に保存する保存対象とする保存対象決定部とを備える、映像記録システムである。
【0012】
上記目的を達成するための映像記録方法に係る1つの開示は、
自動運転と、自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられる映像記録方法であって、
車両または車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、事故確認映像を逐次取得し、
車両が自動運転と非自動運転とのいずれの運転状態かを特定し、
逐次取得する事故確認映像と、事故確認映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存し、
事故確認映像と運転状態を特定できる情報は、対応付け指標により互いに対応づけられており、
記録装置として、
事故確認映像を対応付け指標とともに保存する映像記録装置と、運転状態を特定できる情報を対応付け指標とともに保存する運転状態記録装置とが備えられ、
対応付け指標はタイムスタンプであり、
タイムスタンプに用いられる計測時刻を計測し、
計測時刻とGNSS人工衛星が送信する時刻に基づく基準時刻との時刻差をもとに、単位経過時間当たりの時刻誤差を算出し、
映像記録装置および運転状態記録装置には、タイムスタンプとともに、時刻誤差も記録する、映像記録方法である。
上記目的を達成するための映像記録方法に係る1つの開示は、
自動運転と、自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、コンピュータによって実行される映像記録方法であって、
コンピュータが、
車両または車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、事故確認映像を逐次取得し、
車両が自動運転と非自動運転とのいずれの運転状態かを特定し、
逐次取得する事故確認映像と、事故確認映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存し、
事故確認映像と運転状態を特定できる情報は、対応付け指標により互いに対応づけられており、
記録装置として、
事故確認映像を対応付け指標とともに保存する映像記録装置と、運転状態を特定できる情報を対応付け指標とともに保存する運転状態記録装置とが備えられ、
対応付け指標はタイムスタンプであり、
タイムスタンプに用いられる計測時刻を計測し、
計測時刻とGNSS人工衛星が送信する時刻に基づく基準時刻との時刻差をもとに、単位経過時間当たりの時刻誤差と、時刻誤差を母集団とした標準偏差である時刻精度とを、算出し、
映像記録装置および運転状態記録装置には、タイムスタンプとともに、時刻精度も記録する映像記録方法である。
上記目的を達成するための映像記録方法に係る1つの開示は、
自動運転と、自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、コンピュータによって実行される映像記録方法であって、
コンピュータが、
車両または車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、事故確認映像を逐次取得し、
車両が自動運転と非自動運転とのいずれの運転状態かを特定し、
逐次取得する事故確認映像と、事故確認映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存し、
事故確認映像に、車両の周辺が撮影された映像が含まれ、
車両に設けられて車両の周辺を撮影する車外用カメラで撮影する映像である車外映像を事故確認映像として逐次取得し、
車両と車両の周辺障害物との間及び車両の周辺車両同士の間の少なくともいずれかの対象間の衝突危険性の有無を判定し、
対象間の衝突危険性が有りと判定することをトリガに、車外映像と、車外映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを、記録装置に保存する保存対象に決定し、
保存対象の決定においては、対象間の衝突危険性が有りと判定していない場合であっても、車両の運転状態が、自動運転から非自動運転に切り替わることをトリガに、車外映像と、車外映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを保存対象とする映像記録方法である。
上記目的を達成するための映像記録方法に係る1つの開示は、
自動運転と、自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、コンピュータによって実行される映像記録方法であって、
コンピュータが、
車両または車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、事故確認映像を逐次取得し、
車両が自動運転と非自動運転とのいずれの運転状態かを特定し、
逐次取得する事故確認映像と、事故確認映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存し、
事故確認映像に、車両の周辺が撮影された映像が含まれ、
車両に設けられて車両の周辺を撮影する車外用カメラ(1051)で撮影する映像である車外映像を事故確認映像として逐次取得し、
車両の運転状態が、自動運転から非自動運転に切り替わることをトリガに、車外映像と、車外映像が取得される時点における車両の運転状態を特定できる情報とを、記録装置に保存する保存対象とする映像記録方法である。
【0013】
上記映像記録システムおよび映像記録方法によれば、車両または車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を記録装置に保存する。よって、その事故確認映像をもとに、事故の原因をより究明しやすくなる。
また、事故確認映像は、事故確認映像が取得される時点における車両の運転状態が自動運転であるか非自動運転であるかを特定できる情報と対応付けられる。よって、事故確認映像が取得された時点の車両の運転状態が、自動運転であるか非自動運転であるかを特定することが可能になる。従って、事故確認映像から事故が生じたことを確認できる場合、その事故が、自動運転時のものか非自動運転時のものかを区別しやすくなる。従って、事故確認映像から事故の発生に対して自車に責任があると判断される場合であっても、その事故確認映像が、自動運転時のものか非自動運転時のものかを区別することで、自車の自動運転に責任がないことを証明することが可能になる。その結果、自動運転と、この自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両において、事故の発生に対して自動運転に責任がないことを証明しやすくすることが可能になる。
【0014】
上記目的を達成するための自動運転システムは、
自動運転と、自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、
上記映像記録システムと、
車両の周辺を監視する周辺監視センサでの検出結果を用いて車両の走行環境を認識する走行環境認識部と、
走行環境認識部で認識する走行環境を用いて、自動運転で車両を走行させるための走行計画を生成する走行計画部と、
走行計画部で生成する走行計画に沿って車両の走行制御を行わせる自動運転機能部とを備える自動運転システムである。
【0015】
これによれば、前述の映像記録システムを含むので、自動運転と非自動運転とを切り替え可能な車両において、事故の発生に対して自動運転に責任がないことを証明しやすくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態の潜在事故責任値決定装置100の構成を示す図。
【
図2】潜在事故責任値決定装置100が実行する処理を示めすフローチャート。
【
図3】潜在事故情報AL
infoを取り出す処理を示すフローチャート。
【
図4】第2実施形態の潜在事故責任値決定装置200の構成を示す図。
【
図5】潜在事故責任値決定装置200が実行する処理を示す図。
【
図6】第3実施形態の潜在事故責任値決定装置300の構成を示す図。
【
図7】潜在事故責任値決定装置300が実行する処理を示す図。
【
図8】他車潜在事故情報AL
info(oc)を受信したときに無線通信部360が実行する処理を示す図。
【
図9】第4実施形態の潜在事故責任値決定装置400の構成を示す図。
【
図10】潜在事故責任値決定装置400が実行する処理を示す図。
【
図11】第5実施形態の潜在事故責任値決定装置500の構成を示す図。
【
図13】周辺情報取得部570が実行する処理の一例を示す図。
【
図14】自車両1と周辺車両とが時刻同期を行う際の処理を示す図。
【
図15】第6実施形態の潜在事故責任値決定装置600が実行する処理を示す図。
【
図16】第6実施形態において責任値サーバSrが実行する処理を示す図。
【
図17】第7実施形態の潜在事故責任値決定装置700を示す図。
【
図18】時刻補正部744が実行する時刻補正処理を示す図。
【
図19】対象車両挙動決定部741が実行する処理を示す図。
【
図20】潜在事故責任値決定部751が実行する処理を示す図。
【
図21】第8実施形態の潜在事故責任値決定装置800の構成を示す図。
【
図22】潜在事故責任値決定装置800が実行する処理を示めすフローチャート。
【
図24】車両用システム1001及び自動運転装置1002の概略的な構成を示す図。
【
図25】車外用カメラ1051の配置の一例を示す図。
【
図26】映像処理装置1020の概略的な構成を示す図。
【
図27】映像処理装置1020での映像保存関連処理の流れの一例を示す図。
【
図28】映像処理装置1020aの概略的な構成の一例を示す図。
【
図29】第21実施形態の車両用システム1101の構成を示す図。
【
図30】
図29の映像処理装置1120が備える構成を示す図。
【
図31】第31実施形態の走行記憶システムの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態の潜在事故責任値決定装置100の構成を示す図である。潜在事故責任値決定装置100は走行記憶装置および走行記憶システムとしての機能も備える。潜在事故責任値決定装置100は、自車両1に搭載されている。自車両1は、ある潜在事故責任値決定装置100を基準としたとき、その潜在事故責任値決定装置100が搭載されている車両である。
【0018】
車両は、道路上を走行する車両であれば特に限定はない。普通乗用車、トラック、バスなどが車両に含まれる。潜在事故責任値決定装置100は、潜在事故責任値ALvalを逐次決定する。潜在事故責任値ALvalは、自車両1の周辺に存在する周辺車両から選択した対象車両と自車両1との間に事故が生じた場合における、自車両1の責任の程度を示すスカラー値である。「事故が生じた場合」であるので、まだ事故は生じていない。まだ生じていない事故であるので、潜在的に想定される事故である。この潜在事故責任値ALvalと、責任の有無を判断する所定の閾値とを比較することで、自車両1の責任の有無が分かる。したがって、潜在事故責任値ALvalは、自車両1の責任の有無を示す情報である。つまり、潜在事故責任値ALvalは、自車両1の責任の有無を示す潜在事故責任情報の一例である。上記の閾値は、たとえば0である。潜在事故責任値ALvalは、自車両1の周辺に存在する複数の周辺車両に対してそれぞれ決定する。
【0019】
自車両1とは別の車両にも潜在事故責任値決定装置100は搭載される。潜在事故責任値決定装置100は、複数の車両に搭載される。各潜在事故責任値決定装置100は、その潜在事故責任値決定装置100が搭載された車両を自車両1として、潜在事故責任値ALvalを逐次決定する。
【0020】
潜在事故責任値決定装置100は、センサ部110と、地図記憶部120と、ルールDB記憶部130と、センサ統合部140と、事故責任判断部150とを備えている。
【0021】
センサ部110は、複数のセンサ111、112を備えている。センサ111は、周辺車両の挙動を検出するセンサであり、周辺車両の挙動を示すセンサ値Sを出力する。センサ111には、カメラを含ませることができる。他にも、センサ111には、ミリ波レーダ、LIDARを含ませることもできる。
図1には、センサ111として、センサ111a、111bを示している。これらセンサ111a、111bを区別しないときはセンサ111と記載する。また、センサ111は1種類でもよいし3種類以上の複数でもよい。
【0022】
センサ112は、自車両1の位置および自車両1の挙動を検出する自車両挙動センサである。現在の自車両1の位置(以下、自車位置)Pを逐次検出できれば、自車両1の挙動である自車両1の速度、進行方向を決定できる。よって、センサ112は、現在の自車位置Pを検出するセンサのみであってもよい。センサ112には、自車両1の位置を検出するためのGNSS受信機も含ませることができる。他にも、センサ112には、車速センサ、ヨーレートセンサ、加速度センサなどを含ませることができる。
図1には、1つのセンサ112を示しているが、センサ112は複数であってもよい。また、LIDAR等により検出した自車両1の周辺の形状と高精度地図とを照合することで現在の自車位置Pを検出することができる。この場合、センサ111をセンサ112としても利用していることになる。よって、専用のセンサ112を備えずに、センサ111をセンサ112として利用してもよい。
【0023】
地図記憶部120は、デジタル道路地図を記憶した記憶部である。デジタル道路地図は上述の高精度地図であってもよいし、高精度地図ではない、通常の道路地図であってもよい。高精度地図は、道路にある車線等の道路標示の位置、道路標識の種類と位置、道路周辺の立体物なども表された地図である。本明細書において、記憶部は、コンピュータにより読み取り可能な有形の記憶媒体を備えている。記憶媒体としては、たとえば、フラッシュメモリを用いることができる。ルールDB記憶部130は、ルールデータベース(以下、ルールDB)が記憶された記憶部である。ルールDBは、場所別の走行ルールが格納されたデータベースである。場所別の走行ルールには、一方通行などの通行方向、制限速度、優先非優先の区別などが含まれる。
【0024】
センサ統合部140および事故責任判断部150の潜在事故責任値決定部151は、少なくとも1つのプロセッサを備えた構成により実現できる。たとえば、センサ統合部140および潜在事故責任値決定部151は、CPU、ROM、RAM、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えたコンピュータにより実現できる。ROMには、汎用的なコンピュータを、センサ統合部140および潜在事故責任値決定部151として機能させるためのプログラムが格納されている。CPUが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、ROMに記憶されたプログラムを実行することで、コンピュータはセンサ統合部140および潜在事故責任値決定部151として機能する。これらの機能が実行されることは、プログラムに対応する方法が実行されることを意味する。
【0025】
センサ統合部140は、対象車両挙動決定部141とルール取得部142とを備える。対象車両挙動決定部141は、センサ部110からセンサ値Sを取得する。そして、取得したセンサ値Sに基づいて、対象車両の相対挙動Vstateを逐次決定する。
【0026】
対象車両は、自車両1の周辺に存在している周辺車両から選択した車両である。ある車両が自車両1の周辺に存在しているかどうかは、たとえば、自車両1を基準として定まる周辺領域にその車両が位置しているかどうかにより決定することができる。周辺領域は、自車両1を中心とし、車両の前後方向および左右方向に平行な辺を持つ矩形領域とすることができる。矩形の大きさは、車両の前方向を、車両の停止距離程度とすることができる。車両の後方は、車両の前方向と同じとしてもよいし、それよりも短くしてもよい。車両の左右方向における矩形の大きさは、1車線分の長さとすることができる。なお、周辺領域大きさは、種々に設定可能である。また、周辺領域の形状も種々に設定可能である。たとえば、周辺領域の形状は、真円形あるいは楕円形であってもよい。
【0027】
周辺領域に存在している、自車両1以外の車両(以下、他車両)であって、自車両1との間に別の他車両が存在していない他車両は対象車両とする。また、自車両1との間に別の他車両が存在している他車両も、周辺領域に存在していれば、対象車両としてもよい。
【0028】
相対挙動Vstateには、相対位置および相対速度が含まれる。相対位置は、相対距離と相対方位により表すことができる。相対挙動Vstateは、自車両1の位置と対象車両の位置の変化から決定することもできる。対象車両の位置は、対象車両に搭載されたセンサ112が検出し、その位置を無線通信により自車両1の潜在事故責任値決定装置100が取得してもよい。この場合、対象車両挙動決定部141は、対象車両に搭載されたセンサ部110が検出したセンサ値Sを取得し、そのセンサ値Sに基づいて対象車両の相対挙動Vstateを決定することになる。
【0029】
ルール取得部142は、現在の自車位置Pにおける事故責任ルールを取得する。事故責任ルールには、位置により異なる交通ルールと、位置によらないルールとが含まれる。ルール取得部142は、位置により異なる交通ルールを取得するために、センサ値Sに基づいて定まる自車位置Pと地図記憶部120に記憶された道路地図とに基づいて、自車両1の道路上の位置を特定する。そして、特定した道路上の位置に基づいて定まる交通ルールをルールDB記憶部130から取得する。ルールDB記憶部130から取得する交通ルールは、自車位置Pを含む自車位置Pの周辺の交通ルール(以下、周辺交通ルールRdb)である。
【0030】
周辺交通ルールRdbを取得する理由は、自車位置Pが変化するたびに頻繁にルールDB記憶部130から交通ルールを取得しないようにするためである。位置によらないルールは、たとえば、速度に応じて定まる必要車間距離である。位置によらないルールも、ルールDB記憶部130の所定の記憶領域に記憶しておけばよい。以下、自車位置Pおよびその周辺の交通ルールと位置によらないルールとを合わせて周辺交通ルールRdbとする。
【0031】
事故責任判断部150は、自車両1に関連する事故が生じた場合に、その事故に対する自車両1の責任を判断する部分である。事故責任判断部150は、潜在事故責任値決定部151と、潜在事故記憶部152と、外部I/F部153とを備えている。
【0032】
潜在事故責任値決定部151は、潜在事故責任情報決定部の一例であり、潜在事故責任情報の一例である潜在事故責任値ALvalを決定する。潜在事故責任値ALvalは、対象車両と自車両1との間に事故が生じた場合における、自車両1の責任の程度を示す値である。潜在事故責任値決定部151は、潜在事故責任値ALvalを、対象車両挙動決定部141が決定した対象車両の相対挙動Vstateと、ルール取得部142が取得した事故責任ルールとに基づいて決定する。
【0033】
対象車両の相対挙動Vstateにより、対象車両が自車両1に対する位置の変化が分かる。したがって、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールに含まれている交通ルールを比較することで、対象車両が交通ルールを守って走行しているかどうかを判断することができる。対象車両が交通ルールを守らずに走行している場合には、対象車両と自車両1との間で事故が起きてしまった場合、事故の責任の多くの部分を対象車両が負う必要がある。
【0034】
また、対象車両の相対挙動Vstateにより、対象車両が急減速した、対象車両が急加速した、対象車両が自車両1に幅寄せしてきたなどが分かる。対象車両が急加速、急減速、幅寄せなどの挙動をしている状態で対象車両と自車両1との間に事故が生じた場合には、事故の責任の多くの部分を対象車両が負う必要がある場合がある。
【0035】
このように、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールとから、対象車両と自車両1との間で事故が生じてしまった場合の対象車両の事故の責任の程度を決定することができる。対象車両の事故の責任の程度をα%などの数値で表せば、対象車両と自車両1との間で事故が生じてしまった場合の自車両1の責任の程度も、100-α(%)などの数値で表すことができる。この数値が潜在事故責任値ALvalである。
【0036】
なお、対象車両の相対挙動Vstateには、自車両1の挙動が反映される。したがって、自車両1の挙動は用いずに、潜在事故責任値ALvalを決定することはできる。しかし、対象車両の相対挙動Vstateとは別に自車両1の挙動も用いて潜在事故責任値を決定してもよい。
【0037】
潜在事故責任値ALvalを決定する具体的な方法に特に制限はない。たとえば、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールとから潜在事故責任値ALvalが定まるマップを用いて潜在事故責任値ALvalを決定することができる。それ以外にも、事故責任ルールから定まる複数の関数を用意しておき、ルール取得部142が取得した事故責任ルールから、今回、潜在事故責任値ALvalを決定する関数を選択する。そして、選択した関数と、今回、対象車両挙動決定部141で決定した対象車両の相対挙動Vstateとから、潜在事故責任値ALvalを決定してもよい。上記マップや関数は、潜在事故責任値ALvalを決定する予め設定されている関係である。潜在事故責任値決定部151は、決定した潜在事故責任値ALvalを潜在事故記憶部152に記憶する。
【0038】
潜在事故記憶部152は、書き込み可能な不揮発性記憶媒体を備えている。潜在事故記憶部152には、潜在事故責任値ALvalとともに、その潜在事故責任値ALvalを決定するために用いたセンサ値Sが記憶される。これら潜在事故責任値ALvalと、センサ値Sのセットを潜在事故情報ALinfoとする。なお、センサ値Sは、潜在事故責任値ALvalを決定するために用いた情報である責任値決定情報Rinfoの一例である。また、潜在事故責任値ALvalは潜在事故責任情報の一例であるので、責任値決定情報Rinfoは潜在事故責任情報を決定するために用いる情報、すなわち、責任決定情報の一例である。
【0039】
センサ値Sは、詳しくは、潜在事故責任値ALvalを決定するために用いた対象車両の相対挙動Vstateを決定するために用いた値である。潜在事故責任値決定部151が、対象車両挙動決定部141からセンサ値Sを取得して、その後、取得したセンサ値Sを潜在事故記憶部152に記憶することができる。また、潜在事故責任値決定部151が対象車両挙動決定部141に指示して、センサ値Sを潜在事故記憶部152に記憶させてもよい。
【0040】
外部I/F部153は、潜在事故責任値決定装置100の外部にある外部装置と接続可能である。外部I/F部153は、信号の送受信機能を備える。外部I/F部153に接続された外部装置に、潜在事故記憶部152に記憶された潜在事故情報ALinfoが、外部I/F部153を介して出力される。
【0041】
[潜在事故情報AL
infoを記憶するまでの処理]
次に、潜在事故責任値決定装置100が潜在事故情報AL
infoを潜在事故記憶部152に記憶するまでの処理を説明する。潜在事故責任値決定装置100は、
図2に示す処理を、自車両1が走行している間、周期的に実行する。
図2に示す処理を実行することが、走行記憶方法を実行することに相当する。実行周期は、100msあるいはそれ以下とすることができる。ただし、必ずしも100ms以下である必要はなく、100msよりも長くてもよい。
【0042】
ステップ(以下、ステップを省略)S1では、対象車両挙動決定部141がセンサ部110からセンサ値Sを取得する。S2、S3も対象車両挙動決定部141が実行する。S2では、自車両1の周囲から対象車両を1台選択する。ここで選択する対象車両は、前回の
図2の処理において選択した周辺車両とは異なる車両とすることができる。ただし、ある周辺車両が、他の周辺車両と比較して特に注意が必要な状況である場合、その特に注意が必要な周辺車両を対象車両として選択する頻度を、他の周辺車両よりも高くしてもよい。S3では、センサ値Sを用いて対象車両の相対挙動V
stateを決定する。
【0043】
S4、S5はルール取得部142が実行する。S4では、S1で取得したセンサ値Sに含まれている自車位置Pに基づいて、周辺交通ルールRdbをルールDB記憶部130から取得する。S5では、自車位置PとS4で取得した周辺交通ルールRdbとに基づいて自車位置Pにおける交通ルールを決定する。自車位置Pにおける交通ルールと位置によらないルールとを合わせて、次のS6で使う事故責任ルールを決定する。
【0044】
S6、S7は潜在事故責任値決定部151が実行する。S6では、S3で決定した対象車両の相対挙動VstateとS5で決定した事故責任ルールとに基づいて潜在事故責任値ALvalを演算する。S7では、S6で演算した潜在事故責任値ALvalと、S1で取得したセンサ値Sをセットにし、潜在事故情報ALinfoとして潜在事故記憶部152に記憶する。潜在事故情報ALinfoには、自車位置Pと現在時刻を含ませることができる。
【0045】
[潜在事故情報AL
infoの取り出し処理]
図3に、潜在事故情報AL
infoを潜在事故責任値決定装置100から取り出す処理を示す。
図3に示す処理は、外部I/F部153に接続可能な機能を持つ外部装置が実行する。外部装置は、たとえば、携帯型の情報読み出し装置である。この情報読み出し装置は、たとえば警察官や保険会社の従業員が持つ。
【0046】
外部装置が
図3に示す処理を実行する場合として、自車両1に関わる事故が生じ、自車両1に搭載された潜在事故責任値決定装置100から潜在事故責任値AL
valが提出された場合がある。外部装置は、潜在事故責任値決定装置100から提出された潜在事故責任値AL
valを検証するために
図3に示す処理を実行する。外部装置が持つI/F部が外部I/F部153に接続された状態で、所定の取得開始操作を外部装置の操作者が行うことで
図3に示す処理が開始される。外部装置は、
図3に示す処理を実行可能な、コンピュータなどの演算装置を備える。
【0047】
S11では、外部装置は、外部I/F部153へ取得要求を送信する。この取得要求は、潜在事故情報ALinfoの取得を要求する信号である。取得要求には、要求する潜在事故情報ALinfoを、事故に対する潜在事故情報ALinfoに限定するための事故特定情報を含ませることができる。事故特定情報は、事故が生じた位置および時刻とすることができる。外部I/F部153は、この要求を受信すると、潜在事故記憶部152から潜在事故情報ALinfoを読み出し、外部装置へ送信する。
【0048】
S12では、外部I/F部153から送信された事故時の潜在事故情報ALinfoを取得する。S12で取得した潜在事故情報ALinfoは、潜在事故責任値ALvalを決定することができる、第1実施形態の潜在事故責任値決定装置100とは別の潜在事故責任値決定装置に提供される。もちろん、外部装置自体がその潜在事故責任値決定装置であってもよい。潜在事故情報ALinfoが提供された潜在事故責任値決定装置は、提供された潜在事故情報ALinfoを用いて潜在事故責任値ALval決定する。なお、潜在事故情報ALinfoが提供された潜在事故責任値決定装置が潜在事故責任値ALvalを決定する処理などは、第2実施形態で詳しく説明する。
【0049】
[第1実施形態まとめ]
この第1実施形態の潜在事故責任値決定装置100は、潜在事故記憶部152に、潜在事故責任値ALvalと対応づけてセンサ値Sを記憶する。このセンサ値Sを潜在事故記憶部152から読み出すことで、事後的に、潜在事故責任値ALvalを決定することができる。事後的に決定した潜在事故責任値ALvalを、センサ値Sに対応付けられて記憶されている潜在事故責任値ALvalと比較することで、記憶されている潜在事故責任値ALvalの信頼性を後で確認できる。よって、潜在事故責任値ALvalが改ざんされているかどうかを確認することができる。
【0050】
また、潜在事故責任値決定装置100のバージョンの違いやメーカーの違いにより、同じセンサ値Sでも異なる潜在事故責任値ALvalが決定されることもある。しかし、第1実施形態の潜在事故責任値決定装置100は、潜在事故情報ALinfoを読み出すことができ、潜在事故情報ALinfoにはセンサ値Sが含まれている。よって、事故が生じた場合に、事故に関与した複数の車両からそれぞれセンサ値Sを読み出して、同じ潜在事故責任値決定手法で、事故に関与した複数の車両の潜在事故責任値ALvalを決定することができる。
【0051】
さらに、センサ値Sを潜在事故責任値ALvalとセットで記憶することで、異常なセンサ値Sが原因で、潜在事故責任値ALvalが異常な値になっているかどうかを確認することもできる。
【0052】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0053】
図4は、第2実施形態の潜在事故責任値決定装置200の構成を示す図である。潜在事故責任値決定装置200は潜在事故責任決定装置の一例である。潜在事故責任値決定装置200は、第1実施形態で説明した自車両1に搭載されている潜在事故責任値決定装置100が決定した潜在事故責任値AL
valの信頼性を検証する装置である。そのために、潜在事故責任値決定装置100と同様にして潜在事故責任値AL
valを決定する。潜在事故責任値決定装置200は自車両1に搭載されていないので、第2実施形態では、自車両1を責任値決定車とする。責任値決定車は責任決定車に相当する。潜在事故責任値決定装置200は責任値決定車の外に設置される。第2実施形態の潜在事故責任値決定装置200は車両に搭載されている必要はない。たとえば、潜在事故責任値決定装置200は、警察署や保険会社に設置する固定型とすることができる。
【0054】
潜在事故責任値決定装置200はセンサ部110を備えていない。センサ統合部240は、対象車両挙動決定部241とルール取得部242を備える。これら対象車両挙動決定部241とルール取得部242が実行する処理は、第1実施形態の対象車両挙動決定部141およびルール取得部142と同じである。
【0055】
対象車両挙動決定部241と対象車両挙動決定部141の違いは、対象車両挙動決定部141ではセンサ値Sを用いるのに対して、対象車両挙動決定部241では他車センサ値S(OC)を用いる点である。また、ルール取得部242とルール取得部142の違いも、ルール取得部142ではセンサ値Sを用いるのに対して、ルール取得部242では他車センサ値S(OC)を用いる点である。
【0056】
事故責任判断部250は、潜在事故責任値決定部251、潜在事故記憶部252、外部I/F部253、潜在事故検証部254を備える。これらのうち、潜在事故記憶部252は、第1実施形態の潜在事故記憶部152と同じである。
【0057】
外部I/F部253には、第1実施形態の外部I/F部153と機能は同じである。外部I/F部253には他車潜在事故情報ALinfo(OC)が入力される。他車潜在事故情報ALinfo(OC)は、第1実施形態の潜在事故責任値決定装置100など、潜在事故責任値決定装置200以外の装置で決定された潜在事故情報ALinfoである。つまり、外部I/F部253は他車潜在事故情報ALinfo(oc)を取得する。
【0058】
第2実施形態の他車潜在事故情報ALinfo(oc)は、情報の内容は、第1実施形態で説明した潜在事故情報ALinfoである。よって、他車潜在事故情報ALinfo(oc)には、センサ値Sが含まれている。他車潜在事故情報ALinfo(oc)に含まれているセンサ値Sは、第1実施形態で説明したように、責任値決定情報Rinfoの一例であり、責任値決定情報Rinfoは責任決定情報の一例である。したがって、センサ値Sを取得する外部I/F部253は、責任決定情報取得部である。また、他車潜在事故情報ALinfo(oc)に含まれているセンサ値Sおよび潜在事故責任値ALvalを、それぞれ、他車センサ値S(OC)および他車潜在事故責任値ALval(OC)とする。外部I/F部253は、入力された他車潜在事故情報ALinfo(oc)に含まれている他車センサ値S(OC)をセンサ統合部240に入力する。
【0059】
センサ統合部240の対象車両挙動決定部241は、第1実施形態の対象車両挙動決定部141と同様に、入力された他車センサ値S(OC)から、対象車両の相対挙動Vstateを決定する。センサ統合部240のルール取得部242は、入力された他車センサ値S(OC)に自車位置Pが含まれている。そこで、その自車位置Pに基づいて、第1実施形態のルール取得部142と同様に、ルールDB記憶部130から自車位置Pにおける事故責任ルールを取得する。
【0060】
潜在事故責任値決定部251が実行する処理は、潜在事故責任値決定部151と同じである。潜在事故責任値決定部251は潜在事故責任情報決定部の一例である。潜在事故責任値決定部251は、ルール取得部242から取得した事故責任ルールと、対象車両挙動決定部241から取得した対象車両の相対挙動Vstateから、対象車両に対する責任値決定車の潜在事故責任値ALvalを決定する。決定した潜在事故責任値ALvalは、潜在事故検証部254に入力される。
【0061】
潜在事故検証部254には、潜在事故責任値決定部251が決定した潜在事故責任値ALvalに加え、外部I/F部253が取得した他車潜在事故情報ALinfo(oc)に含まれている他車潜在事故責任値ALval(OC)が入力される。潜在事故検証部254は、これら潜在事故責任値ALvalと他車潜在事故責任値ALval(OC)を比較して、他車潜在事故責任値ALval(OC)が信頼できるかどうかを検証する。潜在事故検証部254は、検証した結果(以下、検証結果Cret)を、外部I/F部253を介して、外部装置に出力する。
【0062】
図5に、潜在事故責任値決定装置200が実行する処理を示している。
図5に示す処理を実行することが、潜在事故責任決定方法を実行することに相当する。潜在事故責任値決定装置200は、他車潜在事故情報AL
info(oc)が入力された場合に
図5に示す処理を実行する。
【0063】
S20では、外部I/F部253に他車潜在事故情報AL
info(oc)が入力される。理解を容易にするために、
図5にはS20としてこの処理が示されているが、S20は
図5の処理を開始する条件と考えることもできる。
【0064】
S21~S23は対象車両挙動決定部241が実行する。S21では他車センサ値S(OC)を外部I/F部253から取得する。S22では、S2と同様にして、責任値決定車の周囲から対象車両を1台選択する。S23では、S3と同様にして、他車センサ値S(OC)を用いて対象車両の相対挙動Vstateを決定する。
【0065】
S24、S25はルール取得部242が実行する。S24では、S21で取得した他車センサ値S(OC)に含まれている自車位置Pを責任値決定車の位置とし、その位置に基づいて、周辺交通ルールRdbをルールDB記憶部130から取得する。S25では、責任値決定車の位置とS24で取得した周辺交通ルールRdbとに基づいて、責任値決定車の位置における交通ルールを決定する。責任値決定車の位置における交通ルールと位置によらないルールとを合わせて、次のS26で使う事故責任ルールを決定する。
【0066】
S26、S27は潜在事故責任値決定部251が実行する。S26では、S23で決定した対象車両の相対挙動VstateとS25で決定した事故責任ルールとに基づいて潜在事故責任値ALvalを演算する。S27では、S26で演算した潜在事故責任値ALvalを潜在事故検証部254に送信する。
【0067】
S28~S30は潜在事故検証部254が実行する。S28では、外部I/F部253から他車潜在事故責任値ALval(OC)を取得し、その他車潜在事故責任値ALval(OC)と、S27で送信された潜在事故責任値ALvalとの差分の絶対値が、閾値Cthよりも小さいかどうかを判断する。閾値Cthは事前に設定する値である。
【0068】
上記差分の絶対値が閾値Cthよりも小さい場合にはS28の判断結果がYESになりS29に進む。S29では、「相違なし」という検証結果Cretを外部I/F部253に出力する。上記差分の絶対値が閾値Cth以上である場合にはS28の判断結果がNOになりS30に進む。S30では、「相違あり」という検証結果Cretを外部I/F部253に出力する。外部I/F部253は、この検証結果を、外部I/F部253に接続されている外部装置に出力する。
【0069】
[第2実施形態のまとめ]
この潜在事故責任値決定装置200は、他車センサ値S(OC)を取得し(S21)、その他車センサ値S(OC)に基づいて潜在事故責任値ALvalを決定する(S26)。そして、決定した潜在事故責任値ALvalを、この潜在事故責任値決定装置200とは別の装置である潜在事故責任値決定装置100が決定した他車潜在事故責任値ALval(OC)と比較する。これにより、潜在事故責任値決定装置100が決定した他車潜在事故責任値ALval(OC)の信頼性を後で確認できる。
【0070】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態の潜在事故責任値決定装置300の構成を示す図である。潜在事故責任値決定装置300は、第1実施形態の潜在事故責任値決定装置100と同じセンサ部110、地図記憶部120、ルールDB記憶部130、センサ統合部140を備える。潜在事故責任値決定装置300は、事故責任判断部350を備える。事故責任判断部350は、潜在事故責任値決定装置100と同じ潜在事故責任値決定部151と外部I/F部153を備えている。事故責任判断部350は、他に潜在事故記憶部352を備えている。また、潜在事故責任値決定装置300は無線通信部360を備えている。
【0071】
潜在事故記憶部352は、書き込み可能な記憶媒体を備えている。潜在事故記憶部352には、潜在事故責任値ALvalとともに、その潜在事故責任値ALvalを決定するために用いた対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールが記憶される。第3実施形態では、これら潜在事故責任値ALval、対象車両の相対挙動Vstate、事故責任ルールのセットを潜在事故情報ALinfoとする。なお、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールは、潜在事故責任値ALvalを決定するために用いた情報である責任値決定情報Rinfoの一例である。
【0072】
無線通信部360は、無線通信回路とその無線通信回路を制御する制御部を備えた構成である。無線通信部360は、外部I/F部153と潜在事故記憶部352に接続されている。なお、
図6では、無線通信部360と潜在事故記憶部352が直接接続されているが、無線通信部360と潜在事故記憶部352は外部I/F部153を介して接続されていてもよい。
【0073】
無線通信部360は、自車両1の外部と無線通信する。無線通信部360が備える制御部は、潜在事故記憶部352から情報を読み出す機能も備える。無線通信部360は、潜在事故記憶部352に記憶されている潜在事故情報ALinfoを、逐次、外部に無線送信する。また、無線通信部360は、自車両1の外部から送信された他車潜在事故情報ALinfo(oc)を受信した場合に、その他車潜在事故情報ALinfo(oc)を潜在事故記憶部352に記憶する。他車潜在事故情報ALinfo(oc)を記憶する潜在事故記憶部352は外部情報記憶部に相当する。
【0074】
[潜在事故情報AL
infoを送信するまでの処理]
次に、潜在事故責任値決定装置300が潜在事故情報AL
infoを外部に送信するまでの処理を説明する。潜在事故責任値決定装置300は、
図7に示す処理を、自車両1が走行している間、周期的に実行する。実行周期は、第1実施形態の
図2に示す処理と同じ周期とすることができる。
【0075】
図7において、S1~S6は、
図2のS1~S6と同じである。
図7では、S6を実行後、S37を実行する。S37では、S6で演算した潜在事故責任値AL
valと、S3で決定した対象車両の相対挙動V
stateと、S5で決定した事故責任ルールとをセットにして、潜在事故情報AL
infoとして潜在事故記憶部352に記憶する。この潜在事故情報AL
infoには、自車位置Pと現在時刻を含ませることができる。また、自車両1を特定する情報(たとえば、車両IDなど)を、含ませることもできる。潜在事故責任値AL
val、対象車両の相対挙動V
state、事故責任ルールは、それぞれ、それらを決定した潜在事故責任値決定部151、対象車両挙動決定部141、ルール取得部142が、潜在事故記憶部352に記憶する。
【0076】
S38は無線通信部360が実行する。S38では、S37で潜在事故記憶部352に記憶した潜在事故情報AL
infoを無線通信部360から外部に送信する。潜在事故情報AL
infoの送信先に特に限定はない。送信先は、たとえば、責任値サーバSr(
図6参照)、路側通信機、自車両1の周囲に存在している周辺車両などがあり、それらの1つ以上に送信することができる。また、送信相手を特定しないブロードキャスト方式で潜在事故情報AL
infoを送信してもよい。
【0077】
[他車潜在事故情報AL
info(oc)を受信したときの処理]
図8は、無線通信部360が他車両から他車潜在事故情報AL
info(oc)を受信したときの処理を示すフローチャートである。他車両に潜在事故責任値決定装置300が搭載されていれば、他車両に搭載された潜在事故責任値決定装置300は、
図7を実行して潜在事故情報AL
infoを逐次送信する。
【0078】
自車両1が他車両の近くに位置している場合には、自車両1に搭載された潜在事故責任値決定装置300は、他車両から潜在事故情報ALinfoを受信する。第3実施形態では、自車両1が送信した潜在事故情報ALinfoと区別するために、他車両に搭載された潜在事故責任値決定装置300が送信した潜在事故情報ALinfoを、他車潜在事故情報ALinfo(oc)とする。
【0079】
図8において、S41では、他車両から送信された他車潜在事故情報AL
info(oc)を、無線通信部360が受信する。S42では、無線通信部360は、受信した他車潜在事故情報AL
info(oc)を、潜在事故記憶部352に記憶する。
【0080】
[第3実施形態のまとめ]
第3実施形態の潜在事故責任値決定装置300も、第1実施形態の潜在事故責任値決定装置100と同様、潜在事故情報ALinfoを記憶する。ただし、第3実施形態での潜在事故情報ALinfoは、責任値決定情報Rinfoが、センサ値Sではなく、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールである。センサ値Sのデータ量は、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールのデータ量に比べて多くなる傾向にある。特に、センサ値Sが画像データである場合や、複数種類のセンサ値Sから得られた相対挙動をフュージョンして最終的な対象車両の相対挙動Vstateを決定する場合には、センサ値Sのデータ量は、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールのデータ量に比べて多くなる。
【0081】
換言すれば、第3実施形態のように、潜在事故情報ALinfoに含まれる責任値決定情報Rinfoを対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールとすることで、潜在事故情報ALinfoのデータ量を少なくすることができる。第3実施形態では、潜在事故情報ALinfoのデータ量が少ないことを活用し、逐次、潜在事故情報ALinfoを無線通信部360から無線送信している。潜在事故情報ALinfoのデータ量が少ないので、逐次、潜在事故情報ALinfoを無線通信部360から送信しても、他の通信が制限されてしまう程度が少なくなる。
【0082】
そして、潜在事故情報ALinfoを逐次外部に無線送信することで、その潜在事故情報ALinfoを、直接的あるいは間接的に取得した他車両は、自車両1の潜在事故責任値ALvalを、信頼性を検証可能な状態で取得することができる。
【0083】
潜在事故責任値ALvalは、事故が起きやすい車両挙動であるかどうかを表しているとも言える。したがって、潜在事故情報ALinfoを取得した他車両は、自車両1が、事故が起きやすい車両挙動であるかどうかを、信頼性を検証可能な状態で取得して、運転を実施することができる。
【0084】
また、他車両が走行中に送信した潜在事故情報ALinfo(OC)を、逐次、潜在事故記憶部352に記憶することで、強固に潜在事故情報ALinfo(OC)の改ざんを防止することができる。
【0085】
なお、車両が走行中に送信した潜在事故情報ALinfo(OC)を記憶する機能を、責任値サーバSrなどの所定の装置のみに持たせることもできる。複数の車両に搭載された複数の潜在事故責任値決定装置300のうちの一部または全部は、他車両が走行中に送信した潜在事故情報ALinfoを、他車両が、事故が起きやすい車両挙動であるかどうかの判断に用いる。つまり、複数の車両に搭載された複数の潜在事故責任値決定装置300のうちの一部または全部は、他車両が走行中に送信した潜在事故情報ALinfoを、潜在事故情報ALinfoの改ざん防止用に用いなくてもよい。この場合、潜在事故責任値決定装置300が備える潜在事故記憶部352は、揮発性の記憶媒体とすることもできる。
【0086】
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態の潜在事故責任値決定装置400の構成を示す図である。潜在事故責任値決定装置400は、事故責任判断部450と無線通信部360を備えた構成である。潜在事故責任値決定装置400は、潜在事故責任値決定装置200と同様、外部から他車潜在事故情報AL
info(oc)を取得して、他車潜在事故情報AL
info(oc)に含まれている潜在事故責任値AL
valを検証する。潜在事故責任値決定装置400も潜在事故責任決定装置の一例である。潜在事故責任値決定装置400は、潜在事故責任値決定装置200と同様、車両に搭載されている必要はない。たとえば、潜在事故責任値決定装置400は、警察署や保険会社に設置する固定型とすることができる。
【0087】
ただし、潜在事故責任値決定装置400が受信する他車潜在事故情報ALinfo(oc)は、第3実施形態で説明したものである。したがって、潜在事故責任値決定装置400が受信する他車潜在事故情報ALinfo(oc)には、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールが含まれている。したがって、潜在事故責任値決定装置400は、これらを決定する部分である対象車両挙動決定部241およびルール取得部242は備えていない。
【0088】
事故責任判断部450は、潜在事故責任値決定部451、外部I/F部453、潜在事故検証部454を備える。潜在事故責任値決定部451は第2実施形態の潜在事故責任値決定部251と同じであり、潜在事故責任情報決定部の一例である。潜在事故検証部454は第2実施形態の潜在事故検証部254と同じである。
【0089】
外部I/F部453は、無線通信部360と接続されており、無線通信部360が受信した他車潜在事故情報ALinfo(oc)を取得する。他車潜在事故情報ALinfo(oc)には責任値決定情報Rinfoが含まれているので、外部I/F部453は責任決定情報取得部である。
【0090】
他車潜在事故情報ALinfo(oc)に含まれている対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールを、潜在事故責任値決定部451に出力する。また、外部I/F部453は、他車潜在事故情報ALinfo(oc)に含まれている他車潜在事故責任値ALval(OC)を潜在事故検証部454に出力する。
【0091】
潜在事故責任値決定部451は、それら対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールから、潜在事故責任値ALvalを決定する。潜在事故検証部454は、潜在事故責任値ALvalと他車潜在事故情報ALinfo(oc)を比較する。そして、他車潜在事故情報ALinfo(oc)が信頼できるかどうかを検証した検証結果Cretを外部I/F部453を介して無線通信部360へ出力する。無線通信部360は、その検証結果Cretを外部に無線送信する。
【0092】
図10に、潜在事故責任値決定装置400が実行する処理を示している。潜在事故責任値決定装置400は、他車潜在事故情報AL
info(oc)を無線通信部360が受信した場合に
図10に示す処理を実行する。
【0093】
S50では、無線通信部360が受信した他車潜在事故情報ALinfo(oc)が外部I/F部453に入力される。S51~S53は潜在事故責任値決定部451が実行する。S51では、外部I/F部453から、他車潜在事故情報ALinfo(oc)に含まれている対象車両の相対挙動Vstate(OC)と事故責任ルールを取得する。S52では、S51で取得した対象車両の相対挙動Vstate(OC)および事故責任ルールに基づいて、潜在事故責任値ALvalを演算する。S53では、S52で演算した潜在事故責任値ALvalを潜在事故検証部454に送信する。
【0094】
S54~S56は潜在事故検証部454が実行する。S54では、外部I/F部453から他車潜在事故責任値ALval(OC)を取得し、その他車潜在事故責任値ALval(OC)と、S53で送信された潜在事故責任値ALvalとの差分の絶対値が、閾値Cthよりも小さいかどうかを判断する。
【0095】
上記差分の絶対値が閾値Cthよりも小さい場合にはS54の判断結果がYESになりS55に進む。S55では、「相違なし」という検証結果Cretを外部I/F部453に出力する。上記差分の絶対値が閾値Cth以上である場合にはS54の判断結果がNOになりS56に進む。S56では、「相違あり」という検証結果Cretを外部I/F部453に出力する。外部I/F部453は、この検証結果を無線通信部360へ送信する。無線通信部360は、検証結果を、外部に無線送信する。
【0096】
[第4実施形態のまとめ]
第4実施形態の潜在事故責任値決定装置400は、他車潜在事故情報ALinfo(oc)に含まれている対象車両の相対挙動Vstate(OC)と事故責任ルールを取得し(S51)、それら対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールとに基づいて潜在事故責任値ALvalを決定する(S52)。そして、決定した潜在事故責任値ALvalを、他車潜在事故情報ALinfo(oc)に含まれている他車潜在事故責任値ALval(OC)と比較する。これにより、他車両で決定された他車潜在事故責任値ALval(OC)の信頼性を確認できる。
【0097】
また、潜在事故責任値決定装置400が受信する他車潜在事故情報ALinfo(oc)には、責任値決定情報Rinfoとして、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールが含まれている。この他車潜在事故情報ALinfo(oc)は、第2実施形態の他車潜在事故情報に比べ、データ量を少なくすることができる。そのため、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールが含まれている他車潜在事故情報ALinfo(oc)は、走行中に逐次送信しやすい。
【0098】
潜在事故責任値決定装置400は、逐次送信される他車潜在事故情報ALinfo(oc)を受信して、逐次、他車潜在事故情報ALinfo(oc)に含まれている他車潜在事故責任値ALval(OC)の信頼性を検証する。よって、早期に潜在事故責任値ALvalの信頼性を検証できることになるので、他車潜在事故責任値ALval(OC)を決定した装置が故障しているかどうかを早期に判断することができる。
【0099】
<第5実施形態>
図11に第5実施形態の潜在事故責任値決定装置500を示す。第5実施形態の潜在事故責任値決定装置500は、第1実施形態と同じセンサ部110、地図記憶部120、ルールDB記憶部130を備えている。
【0100】
また、潜在事故責任値決定装置500は、センサ統合部540、事故責任判断部550、無線通信部560、および周辺情報取得部570を備えている。説明の便宜上、符号を異ならせているが、センサ統合部540、事故責任判断部550は、第1実施形態のセンサ統合部140、第3実施形態の事故責任判断部350と同じである。また、無線通信部560は、第3実施形態の無線通信部360と同じである。
【0101】
センサ統合部540、対象車両挙動決定部541とルール取得部542を備える。これら対象車両挙動決定部541およびルール取得部542は、それぞれ、第1実施形態の対象車両挙動決定部141、ルール取得部142と同じであり、対象車両挙動決定部541は、責任決定情報取得部である。事故責任判断部550は、潜在事故責任値決定部551、潜在事故記憶部552、外部I/F部553を備える。潜在事故責任値決定部551、潜在事故記憶部552、外部I/F部553は、それぞれ、第3実施形態の事故責任判断部350が備える潜在事故責任値決定部151、潜在事故記憶部352、外部I/F部153と同じである。潜在事故責任値決定部551は、潜在事故責任値決定部151と同じく、潜在事故責任情報決定部の一例である。
【0102】
周辺情報取得部570は、コンピュータにより実現することができる。周辺情報取得部570は、自車両1の周辺に存在する周辺車両のうちの関連周辺車両から、周辺責任決定情報である周辺責任値決定情報RSinfoを取得し、その周辺責任値決定情報RSinfoを潜在事故記憶部552に記憶する。周辺責任値決定情報RSinfoを取得するタイミングは、自車両1が事故を起こしたときとすることができる。また、自車両1が事故を起こしたかどうかに関係なく、周期的に、周辺責任値決定情報RSinfoを取得してもよい。
【0103】
関連周辺車両は、周辺車両のうち対象車両以外の周辺車両である。
図12に示す例において、車両Aが対象車両であるとき、車両B、C、D、E、F、G、H、Iが関連周辺車両である。
【0104】
周辺責任値決定情報RSinfoは、すでに説明した自車両1にとっての責任値決定情報Rinfoの主体を、関連周辺車両とした情報である。つまり、周辺責任値決定情報RSinfoは、関連周辺車両と、その関連周辺車両の周囲に存在する車両との間で事故が生じた場合における関連周辺車両の責任の程度を示す周辺潜在事故責任値を決定するために用いる情報である。なお、周辺潜在事故責任値は周辺潜在事故責任情報の一例である。関連周辺車両の周囲に存在する車両には、自車両1が含まれることがある。
【0105】
周辺責任値決定情報RSinfoには、具体的には、関連周辺車両にとっての対象車両に対する潜在事故責任値ALvalを決定するための責任値決定情報Rinfoを含ませることができる。また、周辺責任値決定情報RSinfoには、関連周辺車両にとっての対象車両に対する潜在事故責任値ALvalも周辺責任値決定情報RSinfoに含ませることができる。また、周辺責任値決定情報RSinfoとして、それら責任値決定情報Rinfoと潜在事故責任値ALvalのいずれか一方のみとすることもできる。
【0106】
図13に、周辺情報取得部570が実行する処理の一例を示す。
図13に示す処理は、自車両1が事故を起こしたことを条件として開始する。自車両1が事故を起こしたかどうかは、自車両1に生じる加速度が所定の閾値を超えたことにより検出することができる。
【0107】
S61では、事故時のタイムスタンプを取得する。事故時のタイムスタンプは、自車両1が事故を起こしたときの時刻を示すものである。事故が生じたことは、たとえば、センサ値Sを取得する対象車両挙動決定部541が決定することができる。また、潜在事故責任値決定装置500とは別の装置が、事故が生じたことを検出し、周辺情報取得部570は、その別の装置から事故時のタイムスタンプを取得してもよい。
【0108】
S62では、関連周辺車両に、周辺責任値決定情報RSinfoの取得要求を無線通信部560から送信する。S62を実行するとき、関連周辺車両は自車両1の周囲に存在する。したがって、近距離無線通信により、自車両1の周囲に、周辺責任値決定情報RSinfoの取得要求を送信することで、関連周辺車両に、上記取得要求を送信することができる。この場合、通信方式は、ブロードキャスト方式とすることができる。ただし、通信方式は、ブロードキャスト方式に限られず、ユニキャスト方式やマルチキャスト方式で上記取得要求を送信してもよい。ユニキャスト方式やマルチキャスト方式で取得要求を送信する場合、広域通信により、上記取得要求を送信してもよい。
【0109】
この取得要求には、S61で取得したタイムスタンプが示す時刻(すなわち事故が生じた時刻)の周辺責任値決定情報RSinfoを要求するメッセージが含まれている。取得要求を受信した車両は、取得要求に含まれている時刻についての周辺責任値決定情報RSinfoを自車両1に送信する。なお、時刻誤差を考慮して、事故時を含む前後一定時間の周辺責任値決定情報RSinfoを自車両1に送信するようにしてもよい。S63では、関連周辺車両から送信された事故時の周辺責任値決定情報RSinfoを、無線通信部360を介して取得する。
【0110】
S64では、S63で取得した周辺責任値決定情報RSinfoを、潜在事故情報ALinfoとともに、潜在事故記憶部552に記憶する。
【0111】
図14には、自車両1と周辺車両とが時刻同期を行う際の処理を示している。
図14に示す処理は、たとえば周辺情報取得部570が実行する。
図14に示す処理は、予め設定されている時刻同期周期ごとに周期的に実行する。
【0112】
S71では、非同期車両に同期要求を送信する。
図14の処理を実行することで相互に時刻同期が完了した後の一定期間は、同期済みの車両とする。非同期車両は、周辺車両のうちで、同期済みとなっていない車両である。S71を実行する前に、周辺車両と相互に通信を行い、各周辺車両に対して、非同期車両であるか同期済みの車両であるかが決定できている場合には、非同期車両を特定して、同期要求を送信することができる。しかし、同期要求を受信した車両において同期の要否を判断することもできる。したがって、S71では、送信相手を特定せずに周囲に同期要求を送信してもよい。
【0113】
同期要求には、自車両1で用いている時刻が含まれている。この時刻は同期要求を生成した時刻である。非同期車両が同期要求を受信した場合、同期要求に含まれている時刻に基づいて、同期要求を受信した周辺車両で用いている時刻を補正する。補正後の時刻は、同期要求に含まれている時刻でもよいし、同期要求に含まれている時刻に、自車両1内での処理時間、同期要求の伝播時間、周辺車両内での処理時間を加えた時間とすることもできる。自車両1内での処理時間を考慮する場合、自車両1内での処理時間は、同期要求に含ませる。同期要求の伝播時間は、自車両1の位置と周辺車両の位置とから、自車両から周辺車両までの距離を算出し、その距離をもとに伝播時間を算出する。周辺車両内での処理時間は、周辺車両が搭載している潜在事故責任値決定装置において予め設定されている。
【0114】
非同期車両であった周辺車両は、時刻同期を行ったあと、同期返事を自車両1へ送信する。同期返事には、時刻同期を行ったこと、周辺車両のID、時刻同期後の同期返事生成時刻が含まれる。S72では、非同期車両が送信した同期返事を受信する。S73では、同期返事に含まれている同期返事生成時刻と同期返事を受信したときの自車両1の時刻との時間差が閾値以下かどうかを判断する。
【0115】
S73の判断結果がNOである場合には、同期返事を送信した周辺車両との間で時刻同期ができていないことになる。そこで、S73の判断結果がNOであればS71に戻る。一方、S73の判断結果がYESである場合、S74に進む。S74では、同期返事を送信した周辺車両との間で同期完了とする。同期完了とした場合、同期返事を送信した周辺車両を同期済みの車両とする。また、同期済みの車両とした周辺車両に対して、同期済みの車両としたことを送信してもよい。
【0116】
[第5実施形態のまとめ]
以上、説明した第5実施形態の潜在事故責任値決定装置500では、周辺情報取得部570が、関連周辺車両の周辺責任値決定情報RSinfoを取得する(S63)。そして、その周辺責任値決定情報RSinfoを、潜在事故情報ALinfoとともに、潜在事故記憶部552に記憶する。
【0117】
これにより、潜在事故情報ALinfoとともに周辺責任値決定情報RSinfoを解析することができる。この解析により、直接的には、責任値決定車である自車両1の挙動に事故の問題があるとしても、関連周辺車両の挙動に事故原因の多くの部分があると認定できる状況であったかどうかを判断することができる。
【0118】
具体的に説明する。たとえば、
図12に示す状況において、自車両1が左方向に移動して車両Bと衝突したとする。この場合、車両Bに対する自車両1の潜在事故責任値AL
valは高い値になる。しかし、事故時、反対車線を走行する車両Hが中央線を超えて自車両1が走行している車線に入ってきていたとする。そして、自車両1は、そのまま走行していては車両Hと衝突する状況にあったとする。そのため、自車両1は、車両Hとの衝突を避けるために車線を変更し、車両Bと衝突してしまった。このような状況であったことは、潜在事故情報AL
infoだけでは分かりにくい。しかし、周辺責任値決定情報RS
infoを解析することで容易に明らかにできる。
【0119】
上記は一例であり、事故を起こした車両以外に、事故の責任があることもある。周辺責任値決定情報RSinfoは無線通信により取得する。そのため、周辺責任値決定情報RSinfoを解析することで、自車両1からでは直接見ることができない周辺車両の挙動も解析して事故の原因を判断することができる。
【0120】
<第6実施形態>
第6実施形態の潜在事故責任値決定装置600は、
図11に示すように、ハードウェア構成は、第5実施形態の潜在事故責任値決定装置500と同じである。潜在事故責任値決定装置600は、第3実施形態の潜在事故責任値決定装置300と同様に、
図7を実行して、周期的に自車両の潜在事故情報AL
infoを外部に送信する。送信先は、周辺車両と責任値サーバSrである。
【0121】
また、潜在事故責任値決定装置600は、
図15に示す処理も実行する。
図15に示す処理は無線通信部560が実行する。S81では、事故車両からの通信が途絶えたことを検出する。周辺車両から周期的に送信されていた、その周辺車両にとっての自車両(すなわちその周辺車両)の潜在事故情報AL
infoが受信できなくなった場合に、その周辺車両の潜在事故情報AL
infoを送信していた車両を事故車両とする。
【0122】
S82では、事故車両から最後に受信した事故車両の潜在事故情報ALinfoを潜在事故記憶部552に記憶する。S83では、責任値サーバSrに、事故車両に関する情報を有することを送信する。事故車両に関する情報は、具体的には、事故車両が送信した事故車両の潜在事故情報ALinfoである。
【0123】
責任値サーバSrは、
図16に示す処理を周期的に実行する。S91では、事故車両からの通信が途絶えたことを検出する。S92では、事故車両から最後に受信した事故車両の潜在事故情報AL
infoを、所定の事故情報記憶部に記憶する。この潜在事故情報AL
infoには、事故車両の位置が含まれている。S93では、S92で記憶した潜在事故情報AL
infoに含まれている事故車両の位置、および、他車両からも逐次送信されている、その他車両の潜在事故情報AL
infoから、事故車両の周辺に存在した周辺車両を特定する。他車両の潜在事故情報AL
infoには他車両の位置が含まれており、この他車両の位置と、S92で記憶した潜在事故情報AL
infoに含まれている事故車両の位置から、事故車両の周辺に存在した周辺車両を特定できる。
【0124】
S94では、S93で特定した周辺車両に、事故車両の潜在事故情報ALinfoの送信を要求し、その要求を受けて周辺車両が送信した、事故車両の潜在事故情報ALinfoを、事故情報記憶部に記憶する。
【0125】
上記処理を行う責任値サーバSrは、責任決定情報取得部を備えていることになる。また、責任値サーバSrは、潜在事故責任値決定部を備える。責任値サーバSrの潜在事故責任値決定部は、取得した事故車両の潜在事故情報ALinfoを用いて、事故車両に代わり、事故車両の潜在事故責任値ALvalを決定する。
【0126】
[第6実施形態のまとめ]
この第6実施形態では、責任値サーバSrは、事故車両からの通信が途絶えた場合(S61)、事故車両から最後に受信した事故車両の潜在事故情報ALinfoを記憶し(S92)、また、事故車両の周辺からも、事故車両が送信した潜在事故情報ALinfoを取得する(S94)。このようにすることで、事故車両からは、事故後に事故車両の潜在事故情報ALinfoを取り出せない場合でも、責任値サーバSrは、事故車両の潜在事故責任値ALvalを決定することができる。
【0127】
<第7実施形態>
図17に第7実施形態の潜在事故責任値決定装置700を示す。潜在事故責任値決定装置700は走行記録システムとしての機能を備える。第7実施形態の潜在事故責任値決定装置700は、第1実施形態と同じセンサ部110、地図記憶部120、ルールDB記憶部130を備えている。さらに、潜在事故責任値決定装置700は、センサ統合部740および事故責任判断部750を備えている。
【0128】
また、潜在事故責任値決定装置700が搭載されている自車両1は、車内LAN11と基準時計12を備えている。車内LAN11は、自車両1の内部に構築された通信ネットワークであり、複数のネットワーク線を備えた構成である。潜在事故責任値決定装置700が備える種々の要素は、この車内LAN11を介して、自車両1に搭載された他の装置との間で信号の送受信ができる。また、潜在事故責任値決定装置700が備える要素間の信号の送受信が、この車内LAN11により行われてもよい。
【0129】
基準時計12は、基準となる時刻(以下、基準時刻)を計測する。自車両1がGNSS受信機を備えている場合、基準時計12に、GNSS受信機が内蔵している時計を用いることができる。GNSS受信機が内蔵している時計は、GNSS人工衛星が送信する時刻に基づいて逐次、補正されている。ただし、基準時計12には、自車両1の外部から取得する時刻に基づいて補正する機能を備えていない時計を用いてもよい。基準時計12は、車内LAN11に接続されており、車内LAN11を介して、自車両1に搭載された他の装置へ、基準時刻を示す信号を送信することができる。
【0130】
[センサ統合部740の説明]
センサ統合部740は、対象車両挙動決定部741と、第1実施形態と同じルール取得部142と、計時部743と、時刻補正部744と、責任決定情報記憶部745を備えている。
【0131】
計時部743は、現在の時刻を計測する。以下、計時部743が計測している時刻を計測時刻とする。計時部743が時刻を計測する方式としては、タイマーのカウンタ値によって時刻を計測する方式、クロック生成器を備え、クロック数を計測することで時刻を計測する方式など、種々の方式を採用することができる。
【0132】
時刻補正部744は、コンピュータの機能として実現できる。時刻補正部744は、基準時計12から基準時刻を取得し、計時部743が計測している計測時刻を、基準時計12から取得した基準時刻に補正する。時刻を補正する周期は、事前に設定された一定周期とすることができる。また、時刻補正部744は、センサ統合部740の起動時など、不定期に生じる所定の事象が生じたときに時刻を補正してもよい。また、一定周期と不定期な事象が生じたときとを組み合わせて、計測時刻を補正する時点を決定してもよい。
【0133】
図18に、時刻補正部744が実行する時刻補正処理を示す。S101では、基準時計12から基準時刻を取得する。S102では、計時部743から計測時刻を取得し、計測時刻と基準時刻との時刻差を算出する。S103では、S102で算出した時刻差をもとに、計測時刻を補正してからの単位経過時間当たりの時刻誤差を更新する。今回のS102で算出した上記時刻差を、計測時刻を補正してからの経過時間で割ることで、今回の時刻誤差を算出できる。そして、前回までに算出した時刻誤差と、今回算出した時刻誤差を母集団として平均値を算出する。この平均値が、更新後の時刻誤差である。
【0134】
S104では、計測時刻の時刻精度を更新する。時刻精度は上記母集団の標準偏差とすることができる。更新後の時刻誤差および計時刻度は、センサ統合部740が備える所定のメモリに記憶する。
【0135】
S105では、計時部743の計測時刻をS101で取得した基準時刻とする補正を行う。このように、第7実施形態の時刻補正部744は、計測時刻を補正するだけでなく、時刻誤差および時刻精度を更新する。
【0136】
説明を
図17に戻す。第7実施形態における対象車両挙動決定部741は、第1実施形態の対象車両挙動決定部141が実行する処理に加え、次の処理も実行する。対象車両挙動決定部741は、計時部743から計測時刻を取得し、その計測時刻をタイムスタンプとしてセンサ値Sを責任決定情報記憶部745に記憶させる処理を実行する。対象車両挙動決定部741は、この処理を、自車両1が走行している間、周期的に実行する。実行周期は、第1実施形態において潜在事故情報AL
infoを記憶する周期と同じとすることができる。
【0137】
また、対象車両挙動決定部741は、計測時刻とともに、時刻補正部744が更新した最新の時刻誤差と時刻精度も責任決定情報記憶部745に記憶する。責任決定情報記憶部745は、書き込み可能な不揮発性メモリを備えた構成である。
【0138】
図19に、対象車両挙動決定部741が実行する処理を示す。S111はS1と同じ処理であり、センサ値Sを取得する。S112はS2と同じ処理であり、自車両1の周囲から対象車両を1台選択する。S113はS3と同じ処理であり、S111で取得したセンサ値Sを用いて対象車両の相対挙動V
stateを決定する。S114では、S111で取得したセンサ値Sに含まれている自車位置Pと、S113で決定した相対挙動V
stateを潜在事故責任値決定部751に出力する。
【0139】
S115では、計時部743から計測時刻を取得し、また、時刻補正部744が更新した時刻誤差、時刻精度も取得する。S116では、S111で取得したセンサ値Sを、S115で取得した計測時刻、時刻誤差、時刻精度とともに、責任決定情報記憶部745に記憶する。
【0140】
[事故責任判断部750の説明]
次に、事故責任判断部750を説明する。事故責任判断部750は、センサ統合部740とは別のコンピュータにより実現される。事故責任判断部750は、潜在事故責任値決定部751と、潜在事故責任記憶部752と、計時部753と、時刻補正部754とを備えている。なお、事故責任判断部750は外部I/F部153を備えておらず、外部I/F部153とは車内LAN11を介して接続されている。
【0141】
計時部753は、現在の時刻を計測する。計時部753は、計時部743と同じ構成とすることができる。時刻補正部754は、コンピュータの機能として実現できる。時刻補正部754は、時刻補正部744と同じ機能であり、
図18に示す処理を実行して、計時部753に対して計測時刻を補正し、時刻誤差および時刻精度を更新する。
【0142】
潜在事故責任値決定部751は、第1実施形態の潜在事故責任値決定部151と同様にして潜在事故責任値ALvalを演算する。また、潜在事故責任値決定部751は、計時部753から計測時刻を取得し、その計測時刻をタイムスタンプとして潜在事故責任値ALvalを潜在事故責任記憶部752に記憶させる処理を実行する。潜在事故責任値決定部751は、この処理を自車両1が走行している間、周期的に実行する。実行周期は対象車両挙動決定部741と同じ周期であることが好ましい。
【0143】
また、潜在事故責任値決定部751は、計測時刻とともに、時刻補正部754が更新した最新の時刻誤差と時刻精度も潜在事故責任記憶部752に記憶する。潜在事故責任記憶部752は、書き込み可能な不揮発性メモリを備えた構成である。センサ統合部740と事故責任判断部750が別のコンピュータであるので、潜在事故責任記憶部752は、責任決定情報記憶部745とは別のハードウェアである。
【0144】
図20に、潜在事故責任値決定部751が実行する処理を示す。S121は
図2のS4と同じ処理であり、自車位置Pの周辺の周辺交通ルールR
dbを取得する。S122はS5と同じ処理であり、自車位置Pにおける交通ルールを決定する。S123はS6と同じ処理であり、潜在事故責任値AL
valを演算する。
【0145】
S124では、計時部753から計測時刻を取得し、また、時刻補正部754が更新した時刻誤差、時刻精度も取得する。S125では、S123で演算した潜在事故責任値ALvalを、S124で取得した計測時刻、時刻誤差、時刻精度とともに、潜在事故責任記憶部752に記憶する。
【0146】
責任決定情報記憶部745に記憶された、センサ値Sと計測時刻のセットを、時刻付きのセンサ値Sとする。潜在事故責任記憶部752に記憶された潜在事故責任値ALvalと計測時刻のセットを時刻付きの潜在事故責任値ALvalとする。また、第7実施形態では、時刻付きのセンサ値Sには、時刻誤差と時刻精度も含まれており、時刻付きの潜在事故責任値ALvalにも、時刻誤差と時刻精度が含まれている。時刻付きのセンサ値S、時刻付きの潜在事故責任値ALvalは、外部I/F部153を経由して、外部装置に出力できる。
【0147】
[第7実施形態まとめ]
この第7実施形態では、責任決定情報であるセンサ値Sを計測時刻とともに責任決定情報記憶部745に記憶する。潜在事故責任値ALvalは計測時刻とともに、責任決定情報記憶部745とは別の記憶部である潜在事故責任記憶部752に記憶する。センサ値Sおよび潜在事故責任値ALvalは、計測時刻とともに記憶されることで、タイムスタンプが付与されたことになる。タイムスタンプは、センサ値Sおよび潜在事故責任値ALvalにとって、それらが取得、あるいは、演算された時刻を示しているに過ぎない。しかし、タイムスタンプにより、潜在事故責任値ALvalとその潜在事故責任値ALvalを算出するために用いたセンサ値Sは、事後的に対応付け可能である。タイムスタンプは、潜在事故責任値ALvalとセンサ値Sを互いに対応付け可能とする対応付け指標であると言える。
【0148】
次の実施形態では、責任決定情報記憶部745に記憶したセンサ値Sを用いて、潜在事故責任記憶部752に記憶した潜在事故責任値ALvalを検証する実施形態を説明する。
【0149】
外部装置には、検証が必要な時刻により特定される時刻付きの潜在事故責任値ALvalが出力される。また、外部装置には、時刻付きの潜在事故責任値ALvalと同じ時刻を含む所定の時刻範囲の時刻付きのセンサ値Sが出力される。時刻範囲は、時刻誤差、または、時刻誤差と時刻精度を考慮しても、時刻付きの潜在事故責任値ALvalの算出に用いたセンサ値Sが含まれるように設定される。
【0150】
時刻補正部744、754が、計時部743、753が計測している計測時刻を補正した瞬間は、2つの計時部743、753が計測している計測時刻は、同期していると考えることができる。
【0151】
しかし、補正からの経過時間が長くなるに従い、2つの計時部743、753がそれぞれ計測している計測時刻の差は大きくなる。そこで、外部装置は、時刻付きの潜在事故責任値ALvalと同じ時刻の時刻付きのセンサ値Sだけでなく、その時刻を含む所定の時刻範囲の時刻付きのセンサ値Sを取得する。時刻範囲は、事前に設定することができる。また、時刻付きの潜在事故責任値ALvalに含まれている時刻誤差を参照して、上記時刻範囲を決定してもよい。
【0152】
<第8実施形態>
図21は、第8実施形態の潜在事故責任値決定装置800の構成を示す図である。潜在事故責任値決定装置800は、第7実施形態で説明した自車両1に搭載されている潜在事故責任値決定装置700が決定した潜在事故責任値AL
valの信頼性を検証する装置である。潜在事故責任値決定装置800は第2実施形態の潜在事故責任値決定装置200と類似の構成である。潜在事故責任値決定装置800も潜在事故責任決定装置の一例である。潜在事故責任値決定装置800は、警察署や保険会社に設置する固定型とすることができる。
【0153】
潜在事故責任値決定装置800は、地図記憶部120、ルールDB記憶部130、センサ統合部840、事故責任判断部850を備える。センサ統合部840は、対象車両挙動決定部841、ルール取得部842を備える。事故責任判断部850は、潜在事故責任値決定部851、外部I/F部853、潜在事故検証部854を備える。外部I/F部853は外部I/F部153と同じである。センサ統合部840と事故責任判断部850が備える要素のうち、外部I/F部853以外は、
図22に示すフローチャートを用いて説明する。
【0154】
外部I/F部853には、第7実施形態において時刻付きのセンサ値Sと時刻付きの潜在事故責任値ALvalを読み出した外部装置が接続される。外部I/F部853に入力される時刻付きのセンサ値Sは、第2実施形態において外部I/F部153に入力されるセンサ値Sと同様、他車センサ値S(OC)である。また、外部I/F部853に入力される時刻付きの潜在事故責任値ALvalは、第2実施形態において外部I/F部153に入力される潜在事故責任値ALvalと同様、他車潜在事故責任値ALval(OC)である。
【0155】
次に、
図22のフローチャートを説明する。このフローチャートに示す処理は、外部装置が外部I/F部853に接続された後、所定の開始条件が成立した場合に開始する。所定の開始条件は、たとえば、ユーザが開始操作をしたことである。
【0156】
S130は、潜在事故検証部854が実行する処理であり、外部I/F部853を介して、外部装置から、検証が必要な時刻の時刻付きの潜在事故責任値ALvalを取得する。ここで取得する潜在事故責任値ALvalを、他車潜在事故責任値ALval(OC)とする。検証が必要な時刻は、1つの時刻のみとは限らず、ある範囲の時刻であるときもある。検証が必要な時刻の範囲は、事故の状況などから、潜在事故責任値決定装置800を操作するユーザが設定できる。この検証が必要な時刻の範囲に含まれる個々の時刻付きの潜在事故責任値ALvalに対して、以下の処理を実行する。
【0157】
S131からS134は、対象車両挙動決定部841が実行する。S131では、外部I/F部853を介して、外部装置から、上記時刻範囲の時刻付きのセンサ値Sを取得する。外部装置から取得する時刻付きのセンサ値Sは、時刻付きの他車センサ値S(OC)である。
【0158】
S132では、検証に用いる他車センサ値S
(OC)の時刻範囲を決定する。S132の処理は
図23に詳しく示す。
図23において、S1321では、S130で取得した時刻付きの潜在事故責任値AL
valを計測した計測時刻を時刻誤差で補正する。
【0159】
S1322では、S130で取得した時刻付きの潜在事故責任値ALvalに含まれている時刻精度に基づいて、センサ値Sにより検証する潜在事故責任値ALvalの時刻範囲を決定する。たとえば、S1321で補正した後の潜在事故責任値ALvalを計測した時刻を中心とする±σの範囲を、センサ値Sにより検証する潜在事故責任値ALvalの時刻範囲とする。なお、σは標準偏差である。
【0160】
S1323では、S131で取得した時刻付きのセンサ値Sを計測した計測時刻を時刻誤差で補正する。S1324では、S131で取得した時刻付きのセンサ値Sに含まれている時刻精度に基づいて、検証に用いる他車センサ値S(OC)の時刻範囲を決定する。たとえば、S1322で決定した時刻範囲の最小値から、さらに、センサ値Sの-σを引いた時刻を、検証に用いる他車センサ値S(OC)の最小値とする。そして、S1322で決定した時刻範囲の最大値に、さらに、センサ値Sのσを加えた時刻を、検証に用いる他車センサ値S(OC)の最大値とする。
【0161】
説明を
図22に戻す。S133は、
図5のS22と同じであり、責任値決定車の周囲から対象車両を1台選択する。S134では、S131で取得した他車センサ値S
(OC)を用い、S133で選択した対象車両に対して、S132で決定した時刻範囲に含まれる各時刻の対象車両の相対挙動V
stateを決定する。
【0162】
S135、S136は、ルール取得部842が実行する。S135では、S131で取得した他車センサ値S(OC)に含まれている自車位置Pを責任値決定車の位置とし、その位置に基づいて、周辺交通ルールRdbをルールDB記憶部130から取得する。S136では、責任値決定車の位置とS135で取得した周辺交通ルールRdbとに基づいて、責任値決定車の位置における交通ルールを決定する。責任値決定車の位置における交通ルールと位置によらないルールとを合わせて、次のS137で使う事故責任ルールを決定する。
【0163】
S137、S138は潜在事故責任値決定部851が実行する。S137では、S134で決定した各時刻の対象車両の相対挙動Vstateと、S136で決定した事故責任ルールとに基づいて、各時刻の潜在事故責任値ALvalを演算する。S138では、S137で演算した各時刻の潜在事故責任値ALvalを潜在事故検証部854に送信する。
【0164】
S139、S140は、潜在事故検証部854が実行する。S139では、S130で取得した他車潜在事故責任値ALval(OC)が信頼できるかどうかを検証する。検証の対象となる1つの他車潜在事故責任値ALval(OC)に対して、S137では、複数の時刻における潜在事故責任値ALvalが演算されている。2つの計時部743、753の時刻精度を考慮しているからである。
【0165】
検証の具体的手法は、種々の方法を採用可能である。たとえば、S137で演算した全部の潜在事故責任値ALvalについて他車潜在事故責任値ALval(OC)との差を算出する。全部の潜在事故責任値ALvalについて算出した差が、いずれも、閾値Cthよりも小さい場合に、検証結果を相違なしとする。
【0166】
また、S137で演算した各時刻の潜在事故責任値ALvalに対して、第2実施形態と同じ方法で、個別に検証結果を決定してもよい。個別に検証結果を決定する場合、計測誤差を補正したのみの計測時刻との時刻差に応じて、検証結果の信頼性を付加してもよい。
【0167】
S140では、S139で決定した検証結果を、外部I/F部853に接続されている外部装置など、所定の出力対象装置に出力する。
【0168】
[第8実施形態まとめ]
事故が生じた場合、自車両1と対象車両の相対位置が、数十センチ、あるいは、それ以下の相違であっても、事故の程度に大きく影響する。この程度の相違は、十ミリ秒程度でも生じる可能性がある。
【0169】
そこで、前述した第7実施形態の潜在事故責任値決定装置700は、センサ値Sおよび計測時刻とともに、計時部743の時刻誤差と時刻精度を記憶する。また、潜在事故責任値決定装置700は、潜在事故責任値ALvalおよび計測時刻とともに、計時部753の時刻誤差と時刻精度を記憶する。
【0170】
そして、この潜在事故責任値決定装置800では、計時部743の時刻誤差と時刻精度、および、計時部753の時刻誤差と時刻精度を考慮して、検証に用いる他車センサ値S(OC)の時刻範囲を決定する。このようにすることで、センサ値Sと、潜在事故責任値ALvalを別々に記憶しても、高い信頼性で潜在事故責任値ALvalを検証できる。
【0171】
<第9実施形態>
第9実施形態として、第7、8実施形態の変形例を説明する。第8実施形態では、計時部743の時刻誤差と時刻精度、および、計時部753の時刻誤差と時刻精度、合計4つの要素を考慮して、検証に用いる他車センサ値S(OC)の時刻範囲を決定していた。
【0172】
しかし、これらの4つの要素を全部考慮する必要はない。これら4つのうちの任意の3つ、任意の2つ、任意の1つを考慮して時刻範囲を決定してもよい。したがって、潜在事故責任値決定装置700では、これら4つのうちの任意の3つ、任意の2つ、任意の1つのみを、センサ値Sおよび潜在事故責任値ALvalとともに記憶すればよい。
【0173】
たとえば、計時部743の時刻誤差と、計時部753の時刻誤差のみを考慮して検証に用いる他車センサ値S(OC)の時刻範囲を決定してもよい。この場合、責任決定情報記憶部745は、センサ値Sおよび計時部743の計測時刻とともに計時部743の計測誤差を記憶し、潜在事故責任記憶部752は、潜在事故責任値ALvalおよび計時部753の計測時刻とともに計時部753の計測誤差を記憶する。
【0174】
時刻誤差のみを考慮する場合、時刻誤差を補正し、補正後の計測時刻が潜在事故責任値ALvalに付与された計測時刻と一致する他車センサ値S(OC)を、検証に用いる他車センサ値S(OC)に決定する。
【0175】
また、精度のみ、すなわち、計時部743の時刻精度、および、計時部753の時刻精度のいずれか一方または両方のみを考慮し、時刻誤差は考慮せずに、検証に用いる他車センサ値S(OC)の時刻範囲を決定してもよい。この場合、責任決定情報記憶部745は、センサ値Sおよび計時部743の計測時刻とともに計時部743の計測精度を記憶し、潜在事故責任記憶部752は、潜在事故責任値ALvalおよび計時部753の計測時刻とともに計時部753の計測精度を記憶する。
【0176】
<第10実施形態>
第10実施形態は、第7、9実施形態の変形例である。第7、9実施形態では、計測時刻とともに、その計測時刻の時刻誤差および時刻精度の少なくとも一方を記憶する実施形態を説明した。
【0177】
しかし、計測時刻の時刻誤差および時刻精度のどちらも記憶しなくてもよい。このようにすると、潜在事故責任値ALvalを検証した検証結果の信頼性は、第8、第9実施形態よりも劣るけれども、潜在事故責任値ALvalを検証することは可能である。
【0178】
<第11実施形態>
これまでの実施形態では、記憶部152、252、352、552、752に記憶する潜在事故責任情報が、潜在事故責任値ALvalであった。しかし、潜在事故責任値ALvalと責任の有無を判断する所定の閾値とを比較して得られる責任の有無を、潜在事故責任値ALvalに代えて記憶してもよい。また、上記責任の有無を、潜在事故責任値ALvalとともに記憶してもよい。
【0179】
また、第2、4、8実施形態においても、潜在事故検証部254、454、854に出力する潜在事故責任情報が、上記責任の有無であってもよい。
【0180】
<第12実施形態>
第3実施形態では、潜在事故情報ALinfoに、責任値決定情報Rinfoとして、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールが含まれていた。しかし、事故責任ルールは、位置が特定できれば、ルールDB記憶部130から取得することができる。したがって、潜在事故情報ALinfoに位置が決定できる情報が含まれている場合には、責任値決定情報Rinfoに事故責任ルールが含まれていなくてもよい。
【0181】
<第13実施形態>
第5実施形態では、潜在事故責任値決定装置500は周辺責任値決定情報RSinfoを周期的に送信していた。しかし、潜在事故責任値決定装置500は、責任値サーバSrなどの要求に応じて、周辺責任値決定情報RSinfoを事故後に送信するようにしてもよい。このようにすると、周期的に周辺責任値決定情報RSinfoを送信する場合に比較して、通信データ量を削減することができる。したがって、周辺責任値決定情報RSinfoに、画像データが含まれているなど、周辺責任値決定情報RSinfoのデータ量が多い場合に特に有効である。
【0182】
<第14実施形態>
第1実施形態では、潜在事故情報ALinfoに含まれている責任値決定情報Rinfoがセンサ値Sであった。また、第3実施形態では、潜在事故情報ALinfoに含まれている責任値決定情報Rinfoは、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールであった。しかし、センサ値S、および、対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールを、ともに潜在事故情報ALinfoに含ませてもよい。
【0183】
<第15実施形態>
第1実施形態では、責任値決定情報であるセンサ値Sに自車位置Pが含まれていてもよいことを説明した。それに加え、あるいは、それに代えて、潜在事故情報ALinfoに、自車両1の挙動を検出する自車両挙動センサであるセンサ112が検出した検出値を含ませてもよい。センサ112が検出した検出値は、たとえば、車速、ヨーレート、加速度である。また、センサ112が検出する検出値には、上述したものの他、ステアリング角度、ステアリングトルク、ブレーキ油圧、アクセル開度、制御要求値など、自車両1の挙動に関する種々の値を含ませてもよい。
【0184】
潜在事故情報ALinfoにセンサ112が検出した検出値が責任値決定情報に含まれている場合、センサ112が検出した検出値が、潜在事故責任値ALval、および、センサ値Sに対応づけられていることになる。
【0185】
また、第3実施形態の潜在事故情報ALinfo、すなわち、センサ値Sに代えて対象車両の相対挙動Vstateと事故責任ルールが含まれている潜在事故情報ALinfoに、センサ112が検出した検出値から定まる自車両1の挙動を含ませてもよい。
【0186】
潜在事故情報ALinfoに、自車両1の挙動が含まれる場合、自車両1の挙動が、潜在事故責任値ALval、および、対象車両の相対挙動Vstateに対応づけられていることになる。
【0187】
また、第7実施形態において、計測時刻とともに記憶するセンサ値Sに、センサ112が検出した検出値を含ませてもよい。この場合、センサ112が検出した検出値が、センサ111が検出したセンサ値Sすなわち責任値決定情報に対応付けられ、かつ、潜在事故責任値ALvalに対応可能に記憶されることになる。
【0188】
<第16実施形態>
これまでの実施形態では、潜在事故責任情報と、その潜在事故責任情報を決定するために用いた事故責任決定情報を対応付けて、または、対応付け可能に記憶していた。これに対して、以下の実施形態では、潜在事故責任情報に代えて、その潜在事故責任情報の一例にもなり得る映像を記憶する。また、自動運転時の事故の責任を示す情報として利用できる事故責任決定情報に代えて、車両が自動運転中であるか非自動運転中であるかを示す運転状態を記憶する。これらの相違があるので、システム構成がこれまでの実施形態とは相違する。
【0189】
[車両用システム1001の概略構成]
以下、本開示の第16実施形態について図面を用いて説明する。
図24に示す車両用システム1001は、自動運転の度合いを切り替え可能な車両で用いられるものであり、自動運転装置1002、ロケータ1003、地図データベース(以下、地
図DB)1004、周辺監視センサ1005、車両制御ECU1006、車両センサ1007、及び通信モジュール1008を含んでいる。車両用システム1001を用いる車両は、必ずしも自動車に限るものではないが、以下では自動車に用いる場合を例に挙げて説明を行う。以下では、車両用システム1001を用いる車両を自車と呼ぶ。
【0190】
自車は、事故に対して法律上の責任を負うと規定される度合いの自動運転と、この自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両であればよい。自動運転の度合い(以下、自動化レベル)としては、例えばSAEが定義しているように、複数のレベルが存在し得る。自動化レベルは、例えばSAEの定義では、以下のようにレベル0~5に区分される。
【0191】
レベル0は、システムが介入せずに運転者が全ての運転タスクを実施するレベルである。運転タスクは、例えば操舵及び加減速とする。レベル0は、いわゆる手動運転に相当する。レベル1は、システムが操舵と加減速とのいずれかを支援するレベルである。レベル2は、システムが操舵と加減速とのいずれをも支援するレベルである。レベル1~2は、いわゆる運転支援に相当する。
【0192】
レベル3は、高速道路等の特定の場所ではシステムが全ての運転タスクを実施可能であり、緊急時に運転者が運転操作を行うレベルである。レベル3では、システムから運転交代の要求があった場合に、運転手が迅速に対応可能であることが求められる。レベル3は、いわゆる条件付き自動運転に相当する。レベル4は、対応不可能な道路,極限環境等の特定状況下を除き、システムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。レベル4は、いわゆる高度自動運転に相当する。レベル5は、あらゆる環境下でシステムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。レベル5は、いわゆる完全自動運転に相当する。レベル3~5は、いわゆる自動運転に相当する。
【0193】
ここで、事故に対して法律上の責任を負うと規定される度合いの自動運転は、法律に従って定められるものであって、例えば自動化レベルがレベル3以上の自動運転であってもよいし、自動化レベルがレベル4以上の自動運転であってもよい。非自動運転は、レベル0の手動運転であってもよいし、レベル2以下の運転支援までを含んでもよい。本実施形態では、一例として、自車が、自動化レベル3以上の自動運転(以下、単に自動運転)と、レベル0の手動運転(以下、単に手動運転)とに切り替え可能なものとして説明を続ける。
【0194】
ロケータ1003は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサを備えている。GNSS受信機は、複数の測位衛星からの測位信号を受信する。慣性センサは、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを備える。ロケータ1003は、GNSS受信機で受信する測位信号と、慣性センサの計測結果とを組み合わせることにより、ロケータ1003を搭載した自車の車両位置(以下、自車位置)を逐次測位する。自車位置は、例えば緯度経度の座標で表されるものとする。なお、自車位置の測位には、自車に搭載された車速センサから逐次出力される信号から求めた走行距離を用いる構成としてもよい。
【0195】
地
図DB1004は、不揮発性メモリであって、リンクデータ,ノードデータ,道路形状,構造物等の地図データを格納している。地図データは、道路形状及び構造物の特徴点の点群からなる3次元地図であってもよい。地図データとして、道路形状及び構造物の特徴点の点群からなる3次元地図を用いる場合、ロケータ1003は、GNSS受信機を用いずに、この3次元地図と、道路形状及び構造物の特徴点の点群を検出するLIDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)若しくは車外用カメラ等の周辺監視センサ1005での検出結果とを用いて、自車位置を特定する構成としてもよい。なお、3次元地図は、REM(Road Experience Management)によって撮像画像をもとに生成されたものであってもよい。
【0196】
周辺監視センサ1005は、自車の周辺環境を監視する自律センサである。一例として、周辺監視センサ1005は、歩行者,人間以外の動物,自車以外の車両等の移動する移動物体、及びガードレール,縁石,樹木等の静止している静止物体といった自車周辺の物体の認識に用いられる。他にも、自車周辺の走行区画線等の路面標示の認識にも用いられる。周辺監視センサ1005としては、例えば、自車周囲の所定範囲を撮像する車外用カメラ、自車周囲の所定範囲に探査波を送信するミリ波レーダ、ソナー、LIDAR等の測距センサがある。周辺監視センサ1005としては、他にも、自車周囲の音を集音する集音器等が挙げられる。本実施形態では、周辺監視センサ1005として、車外用カメラ1051、ミリ波レーダ52、及びLIDAR53を用いる場合を例に挙げて説明を行う。
【0197】
車外用カメラ1051は、車載カメラの一例であって、逐次撮影する映像をセンシング情報として自動運転装置1002へ逐次出力する。一例として、車外用カメラ1051としては、
図25に示すように、車外用カメラ1051F,1051R,1051L,1051Reが自車に設けられる。
【0198】
車外用カメラ1051Fは、自車の前方の所定範囲を撮影範囲とするカメラである。車外用カメラ1051Fは、例えば自車の車室内のルームミラー付近,フロントガラスの上端等の、自車前方に対する運転者の視界を遮らない位置に設ける構成とすればよい。また、車外用カメラ1051Fは、例えば自車のフロントバンパの車幅方向中央部付近に設ける構成としてもよい。
【0199】
車外用カメラ1051Rは、自車の右後側方の所定範囲を撮影範囲とするカメラである。車外用カメラ1051Rは、例えば自車の右サイドミラー付近に設ける構成とすればよい。車外用カメラ1051Lは、自車の左後側方の所定範囲を撮影範囲とするカメラである。車外用カメラ1051Lは、例えば自車の左サイドミラー付近に設ける構成とすればよい。
【0200】
車外用カメラ1051Reは、自車の後方の所定範囲を撮影範囲とするカメラである。車外用カメラ1051Reは、例えば、自車のリアバンパの車幅方向中央部付近等の、運転者の後方確認のための視界を遮らない位置に設置されればよい。また、車外用カメラ1051Reは、例えばリアウィンドウの上端付近等に設ける構成としてもよい。
【0201】
車外用カメラ1051F,1051R,1051L,1051Reは、撮影範囲が重複していても構わない。車外用カメラ1051として、車外用カメラ1051F,1051R,1051L,1051Reを設けることで、自車の全周を撮影範囲とすることが好ましい。なお、車外用カメラ1051は、自車の全周を撮影範囲とする構成に限らず、一部の撮影範囲に限る構成とてもよい。
【0202】
車両制御ECU1006は、自車の走行制御を行う電子制御装置である。走行制御としては、加減速制御及び/又は操舵制御が挙げられる。車両制御ECU1006としては、操舵制御を行う操舵ECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU及びブレーキECU等がある。車両制御ECU1006は、自車に搭載された電子制御スロットル、ブレーキアクチュエータ、EPS(Electric Power Steering)モータ等の各走行制御デバイスへ制御信号を出力することで走行制御を行う。
【0203】
車両センサ1007は、自車の各種状態を検出するためのセンサ群である。車両センサ1007としては、車速センサ,操舵センサ,加速度センサ,ヨーレートセンサ,運転切替用のスイッチ,ブレーキ踏力センサ,ステアリングトルクセンサ等がある。車速センサは、自車の車速を検出する。操舵センサは、自車の操舵角を検出する。加速度センサは、自車の前後加速度,横加速度等の加速度を検出する。加速度センサは負方向の加速度である減速度も検出するものとすればよい。ヨーレートセンサは、自車の角速度を検出する。運転切替用のスイッチは、自車の自動運転と手動運転とを切り替える設定を行うためのスイッチである。運転切替用のスイッチとしては、例えばステアリングのスポーク部に設けられるステアリングスイッチ等を用いればよい。ブレーキ踏力センサは、ブレーキペダルに加わる踏力を検出する。ステアリングトルクセンサは、ステアリングホイールに印加される操舵トルクを検出する。
【0204】
通信モジュール1008は、公衆通信網を介して自車の外部のセンタと通信を行う。例えば、外部のセンタのサーバ(以下、外部サーバ)と通信を行う構成とすればよい。通信モジュール1008は、警察,保険会社等の外部サーバに、通報を行ったり、自動運転装置1002で保存した映像を送信したりする。また、通信モジュール1008は、地図データを配信する外部サーバから配信される地図データを受信し、地
図DB1004に格納してもよい。
【0205】
自動運転システムとして機能する自動運転装置1002は、例えばプロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで自動運転に関する処理,自車周辺の映像の保存に関する(以下、映像保存関連処理)等の各種の処理を実行する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。なお、自動運転装置1002の詳細については、以下で述べる。
【0206】
[自動運転装置1002の概略構成]
続いて、
図24を用いて、自動運転装置1002の概略構成を説明する。
図24に示すように、自動運転装置1002は、映像処理装置1020、記録装置1021、走行環境認識部1022、自動運転部1023、及び運転切替制御部1027を機能ブロックとして備えている。なお、自動運転装置1002が実行する機能の一部又は全部を、一つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、自動運転装置1002が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
【0207】
映像処理装置1020は、映像記録システムの一例であって、例えばプロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで映像保存関連処理を実行する。映像保存関連処理では、映像処理装置1020が、所定のトリガに応じて、車外用カメラ1051で撮影した映像を記録装置1021に保存する。映像処理装置1020の詳細については、後述する。記録装置1021は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである。本実施形態では、記録装置1021が自動運転装置1002に備えられる構成を示すが、必ずしもこれに限らない。例えば、記録装置1021は、自動運転装置1002以外に備えられる構成としてもよい。記録装置1021は、自車に搭載される構成としてもよいし、映像処理装置1020が通信モジュール1008を介してアクセス可能なサーバに備えられる構成としてもよい。
【0208】
走行環境認識部1022は、ロケータ1003から取得する自車位置、地
図DB1004から取得する地図データ、周辺監視センサ1005から取得するセンシング情報等から、自車の走行環境を認識する。一例として、走行環境認識部1022は、これらの情報を用いて、自車の周囲の物体の位置、形状、及び移動状態を認識し、実際の走行環境を再現した仮想空間を生成する。走行環境認識部1022では、周辺監視センサ1005から取得したセンシング情報から、自車の周辺車両との距離,自車に対する周辺車両の相対速度等も走行環境として認識するものとすればよい。また、通信モジュール1008を介して周辺車両等の位置情報,速度情報を取得できる場合には、これらの情報も用いて走行環境を認識する構成としてもよい。
【0209】
自動運転部1023は、運転者による運転操作の代行に関する処理を行う。自動運転部1023は、
図24に示すように、走行計画部1024、確認部1025、及び自動運転機能部1026をサブ機能ブロックとして備えている。
【0210】
走行計画部1024は、走行環境認識部1022で認識する走行環境を用いて、自動運転によって自車を走行させるための走行計画を生成する。例えば、中長期の走行計画として、経路探索処理を行って、自車位置から目的地へ向かわせるための推奨経路を生成する。また、中長期の走行計画に沿った走行を行うための短期の走行計画として、車線変更のための操舵、速度調整のための加減速、及び障害物回避のための操舵及び制動等の実行が決定される。走行計画部1024での走行計画の生成は、例えば機械学習等によって行う構成とすればよい。
【0211】
確認部1025は、走行計画部1024で生成する走行計画の安全性を評価する。一例として、確認部1025は、走行計画の安全性の評価をより容易にするために、安全運転の概念を数式化した数学的公式モデルを用いて、走行計画の安全性を評価すればよい。数学的公式モデルとしては、例えばRSS(Responsibility Sensitive Safety)モデルを用いることができる。確認部1025は、対象間の距離が、予め設定された数学的公式モデルによって算出される、車両間の安全性を評価するための基準となる距離(以下、安全距離)以上か否かで安全性を評価すればよい。対象間の距離は、対象間の前後方向の距離であったり、対象間の左右方向の距離であったりしてもよい。ここで言うところの対象間とは、自車と周辺障害物との間,自車の周辺車両同士の間等である。周辺障害物としては、例えば自車の周辺車両の他、歩行者,路上落下物等の静止物が挙げられる。
【0212】
確認部1025は、対象間の距離が、安全距離以上の場合に、走行計画部1024で生成する走行計画の安全性有りと評価すればよい。一方、確認部1025は、対象間の距離が、安全距離未満の場合に、走行計画部1024で生成する走行計画の安全性無しと評価すればよい。確認部1025は、安全性有りと評価した走行計画を自動運転機能部1026に出力すればよい。一方、確認部1025は、安全性無しと評価した走行計画については、安全性有りと評価される走行計画に修正して自動運転機能部1026に出力すればよい。
【0213】
なお、確認部1025での安全性の評価に用いられる数学的公式モデルは、事故が完全に生じないことを担保するものではなく、安全距離未満となった場合に衝突回避のための適切な行動を取りさえすれば事故の責任を負う側にならないことを担保するためのものである。例えば、自車と周辺障害物との距離が安全距離未満となった場合に、自車が衝突回避のための適切な行動を取った場合であっても、周辺障害物が移動体である場合には周辺障害物の行動次第で事故が発生し得る余地がある。なお、周辺障害物としては、周辺車両のみを対象とする構成としてもよい。
【0214】
自動運転機能部1026は、確認部1025で安全性有りと評価される走行計画に従い、自車の加減速及び/又は操舵を車両制御ECU1006に自動で行わせることで、運転者による運転操作の代行を行わせ、自動運転を行わせる。
【0215】
運転切替制御部1027は、自動運転と手動運転との切り替えを制御する。運転切替制御部1027は、自動運転可能なエリアにおいて、運転者による自動運転への切り替え操作を検出することにより、自動運転部1023によって自動運転を開始させる。また、運転切替制御部1027は、長中期の走行計画を参照し、自動運転可能なエリアが終了する手前にて、自動運転から手動運転に計画的に切り替える。他にも、運転切替制御部1027は、突発的に走行環境認識部1022による走行環境の認識が困難となり、自動運転の継続が困難な場合に、自動運転から手動運転に切り替える。なお、自動運転から手動運転に切り替える場合には、運転交代を要求する通知を事前に行う構成とすればよい。
【0216】
他にも、運転切替制御部1027は、自動運転時において、運転者による自動運転への切り替え操作を検出することにより、自動運転から手動運転に切り替える。運転者による自動運転への切り替え操作としては、運転切替用のスイッチに対する、自動運転から手動運転への設定の切り替え操作が挙げられる。また、運転者による自動運転への切り替え操作としては、運転者によるオーバーライドが挙げられる。一例としては、運転切替制御部1027は、ブレーキ踏力センサで検出する踏力,ステアリングトルクセンサで検出する操舵トルクが閾値を超える場合を、オーバーライドとして検出すればよい。
【0217】
[映像処理装置1020の概略構成]
続いて、
図26を用いて、映像処理装置1020の概略構成を説明する。
図26に示すように、映像処理装置1020は、映像取得部1201、一時保存部1202、運転特定部1203、危険性判定部1204、保存対象決定部1205、事故検出部1206、保存処理部1207、及び通報処理部1208を機能ブロックとして備えている。なお、自動運転装置1002が実行する機能の一部又は全部を、一つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、自動運転装置1002が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
【0218】
映像取得部1201は、車外用カメラ1051で撮影する車外映像を逐次取得する。映像取得部1201が車外映像取得部に相当する。また、車外映像には、自車に生じた事故、または自車の周辺で生じた事故の状況を確認できる映像が含まれている可能性がある。したがって、車外映像は事故確認映像である。映像取得部1201は、逐次取得する車外映像を一時保存部1202に格納する。一時保存部1202は、揮発性メモリであって、逐次格納される車外映像を一時的に保存する。一時保存部1202は一定の過去までの車外映像を格納するリングバッファとすればよい。
【0219】
なお、映像取得部1201は、車外用カメラ1051で撮影する車外映像を逐次取得する構成に限らず、自車の室内を撮影する室内用カメラで撮影する室内映像も逐次取得する構成としてもよい。室内用カメラとしては、自車の運転者をモニタリングするDSM(Driver Status Monitor)のカメラを利用する構成としてもよい。DSMは、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニット等とによって構成されている。一例として、DSMは、近赤外カメラによって運転者の顔を撮像した撮像画像から、運転者の顔向き,覚醒度,運転不能状態等を検出すればよい。
【0220】
運転特定部1203は、自車が自動運転と非自動運転とのいずれの運転状態かを特定する。運転特定部1203は、運転切替制御部1027をモニタすることで、自車が自動運転と非自動運転とのいずれの運転状態かを特定すればよい。本実施形態の例では、自車が自動運転中の場合であったり、手動運転から自動運転に切り替わったりした場合には、自車の運転状態が自動運転と特定する。一方、自車が手動運転中の場合であったり、自動運転から手動運転に切り替わったりした場合には、自車の運転状態が非自動運転と特定する。
【0221】
危険性判定部1204は、自車と自車の周辺障害物との間及び自車の周辺車両同士の間といった対象間の衝突危険性の有無を判定する。危険性判定部1204は、対象間の距離が、確認部1025で算出する安全距離未満の場合に、対象間の衝突危険性有りと判定すればよい。一方、危険性判定部1204は、対象間の距離が、確認部1025で算出する安全距離以上の場合に、対象間の衝突危険性無しと判定すればよい。危険性判定部1204は、自車と自車の周辺障害物との間及び自車の周辺車両同士の間のうちのいずれかでも、対象間の距離が安全距離未満となる場合に、衝突危険性有りと判定すればよい。
【0222】
保存対象決定部1205は、危険性判定部1204で対象間の衝突危険性が有りと判定することをトリガに、映像取得部1201で逐次取得する車外映像と、運転特定部1203で特定したその車外映像が取得される時点における自車の運転状態を特定できる情報とを、紐付けて(すなわち対応付けて)記録装置1021に保存する保存対象とする。自車の運転状態を特定できる情報は、例えば自車の運転状態が自動運転か非自動運転かを示すフラグ(以下、運転状態フラグ)とすればよい。車外映像と運転状態フラグとの紐付けは、例えばタイムスタンプ等で行う構成とすればよい。
【0223】
一例として、保存対象決定部1205は、危険性判定部1204で対象間の衝突危険性が有りと判定した時点以降に一時保存部1202に格納される車外映像を保存対象とする。また、保存対象決定部1205は、この車外映像が取得された時点に対応する運転状態フラグを、この車外映像に紐付けて一時保存部1202に格納する構成とすればよい。なお、運転状態フラグは、車外映像のフレームごとに紐付けられる構成としてもよい。また、同じ種類の運転状態フラグが紐付けられる、連続した複数フレームに対して、運転状態フラグが一つ紐付けられる構成としてもよい。運転状態フラグは、対応する車外映像に紐付けられる構成であれば、一時保存部1202に格納される構成に限らず、他のメモリに格納される構成としてもよい。
【0224】
また、保存対象決定部1205は、自車の運転状態が、自動運転から非自動運転に切り替わることをトリガに、映像取得部1201で逐次取得する車外映像と、運転特定部1203で特定したその車外映像が取得される時点における自車の運転状態を特定できる情報とを、紐付けて記録装置1021に保存する保存対象とする。保存対象決定部1205は、自車の運転状態が、自動運転から非自動運転に切り替わることを、例えば運転特定部1203で特定する自車の運転状態から判断すればよい。
【0225】
一例として、保存対象決定部1205は、運転特定部1203で特定する運転状態が自動運転から非自動運転に切り替わった時点以降に一時保存部1202に格納される車外映像を保存対象とする。また、保存対象決定部1205は、この車外映像が取得された時点に対応する運転状態フラグを、この車外映像に紐付けて一時保存部1202に格納する構成とすればよい。
【0226】
保存対象決定部1205は、車外映像と運転状態とを紐付けて保存対象とする構成に限らず、車外映像と運転状態とに、この車外映像が取得された時点に対応する室内映像,危険性判定部1204での衝突危険性の有無の判定に用いた情報(以下、危険性判定関連情報)等も紐付けて保存対象とする構成としてもよい。ここで言うところの危険性判定関連情報としては、例えば対象間の距離が挙げられる。
【0227】
保存対象決定部1205は、自車の周辺車両同士の間の衝突危険性が有りと判定する場合には、これらの周辺車両に含まれる周辺車両と自車との衝突危険性の有無を危険性判定部1204で判定するのに用いた危険性判定関連情報も、車外映像と運転状態とに紐付けて保存対象とすることが好ましい。これによれば、周辺車両同士の間で事故が発生した場合に、これらの周辺車両に含まれる周辺車両と自車との衝突危険性の有無を危険性判定部1204で判定するのに用いた危険性判定関連情報を記録として残すことが可能になる。よって、周辺車両同士の間で事故が発生する前の自車と周辺車両との近接度合いを検証することが可能になり、自車の自動運転が周辺車両同士の間での事故に責任がないことが証明しやすくなる。
【0228】
事故検出部1206は、対象間の事故の発生を検出する。事故検出部1206は、危険性判定部1204で対象間の衝突危険性が有りと判定したその対象間の事故の発生を検出する。事故検出部1206は、自車と周辺障害物との間の事故であれば、例えば車両センサ1007のうちの加速度センサの信号から事故の発生を検出すればよい。他にも、事故検出部1206は、エアバッグ装置のエアバッグ展開信号から自車と周辺障害物との間の事故の発生を検出する等してもよい。また、事故検出部1206は、自車の周辺車両同士の間の事故であれば、例えば走行環境認識部1022で認識した走行環境における周辺車両同士の重なりから事故の発生を検出すればよい。他にも、車車間通信で得られる周辺車両の情報から事故の発生を検出する等してもよい。
【0229】
保存処理部1207は、事故検出部1206で対象間の事故の発生を検出する場合に、少なくともこの事故の発生までの、保存対象決定部1205で保存対象と決定した保存対象を一時保存部1202から読み出して記録装置1021に保存する。つまり、危険性判定部1204で対象間の衝突危険性が有りと判定することをトリガに保存対象決定部1205で保存対象を決定していた場合には、この対象間の衝突危険性が有りと判定した時点から少なくともこの対象間の事故の発生までに映像取得部1201で逐次取得される車外映像と、この車外映像が取得された時点に対応する運転状態フラグ等とが紐付けて、記録装置1021に保存される。
【0230】
これによれば、対象間の衝突危険性が有りと判定された時点から少なくともこの対象間で事故が発生した時点までの車外映像と、この車外映像が取得された時点に対応する運転状態フラグ等とを記録装置1021に保存することが可能になる。よって、少なくとも事故発生時から対象間の衝突危険性が有りと判定された時点までの車外映像を用いて事故を検証することが可能になる。対象間の衝突危険性が有りと判定された時点までの車外映像を用いて事故を検証することが可能になることにより、事故の原因をより究明しやすくなる。また、車外映像が取得された時点に対応する運転状態フラグが車外映像に紐付けられるため、車外映像から事故の発生に対して自車に責任があると判断される場合であっても、その車外映像が、自動運転時のものか非自動運転時のものかを区別することで、自車の自動運転に責任がないことを証明することが可能になる。その結果、事故に対して法律上の責任を負うと規定される度合いの自動運転と、この自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両において、事故の発生に対して自動運転に責任がないことを証明しやすくすることが可能になる。
【0231】
一方、自車の運転状態が、自動運転から非自動運転に切り替わることをトリガに保存対象決定部1205で保存対象を決定していた場合には、自動運転から非自動運転への切り替わり時点から少なくとも対象間の事故の発生までに映像取得部1201で逐次取得される車外映像と、この車外映像が取得された時点に対応する運転状態フラグ等とが紐付けて、記録装置1021に保存される。
【0232】
これによれば、対象間で事故が発生した場合に、自動運転から非自動運転への切り替わり時点から少なくともこの対象間で事故が発生した時点までの車外映像と、この車外映像が取得された時点に対応する運転状態フラグ等とを記録装置1021に保存することが可能になる。よって、少なくとも事故発生時からこの切り替わり時点までの車外映像を用いて事故を検証することが可能になる。自車の自動運転の度合いが、自動運転から非自動運転に切り替わってから上述の事故が発生する場合、運転者は、自動運転時に事故が発生したと勘違いして主張する可能性がある。これに対して、このような勘違いが生じる可能性のある期間の車外映像を記録装置に保存しておくことが可能になる。また、車外映像が取得された時点に対応する運転状態フラグが車外映像に紐付けられるため、車外映像から事故の発生に対して自車に責任があると判断される場合であっても、その車外映像が、自動運転時のものか非自動運転時のものかを区別することで、自車の自動運転に責任がないことを証明することが可能になる。その結果、事故に対して法律上の責任を負うと規定される度合いの自動運転と、この自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両において、事故の発生に対して自動運転に責任がないことを証明しやすくすることが可能になる。
【0233】
保存処理部1207は、事故検出部1206で対象間の事故の発生を検出する場合に、この事故の発生の所定時間後までの、保存対象決定部1205で保存対象と決定した保存対象を記録装置1021に保存することが好ましい。ここで言うところの所定時間とは、任意に設定可能な値である。これによれば、事故の発生後の車外映像も用いて事故を検証することが可能になる分だけ、事故の原因をさらに究明しやすくなる。
【0234】
保存処理部1207は、事故検出部1206で対象間の事故の発生を検出しないまま、危険性判定部1204で衝突危険性が有りと判定した対象間についての危険性判定部1204での判定結果が、衝突危険性が有りから無しに切り替わる場合には、保存対象決定部1205で決定した保存対象を記録装置1021に保存しない。記録装置1021に保存しなかった、一時保存部1202に格納されている保存対象は、一定以上の過去のデータとなったデータから順次消去されていくことになる。
【0235】
これによれば、対象間の衝突危険性が有りと判定した時点まで遡った車外映像を保存可能とすることで事故の原因を究明しやすくしつつ、事故の発生に関係のない可能性の高い車外映像をより精度良く記録装置1021に保存させないようにして記録装置1021の容量を圧迫しにくくすることが可能になる。
【0236】
保存処理部1207は、自動運転から非自動運転に切り替わることをトリガに保存対象決定部1205で保存対象を決定していた場合であって、事故検出部1206で対象間の事故の発生を検出しないまま、自動運転から非自動運転への切り替わり時点からの経過時間が規定時間に達した場合には、保存対象決定部1205で決定した保存対象を記録装置1021に保存しない構成とすればよい。規定時間は、任意に設定可能な時間とする。これによれば、事故の発生に関係のない可能性の高い車外映像は記録装置1021に保存せずに記録装置1021の容量を圧迫しにくくすることが可能になる。
【0237】
なお、自動運転から非自動運転に切り替わることをトリガに保存対象決定部1205で保存対象を決定していた場合であっても、事故検出部1206で対象間の事故の発生を検出する前に危険性判定部1204で対象間の衝突危険性が有りと判定していた場合には、以上の処理を行う構成とすればよい。
【0238】
通報処理部1208は、事故検出部1206で対象間の事故の発生を検出した場合に、通信モジュール1008を介して警察,保険会社等の外部サーバに、事故の発生を通報する。また、通報処理部1208は、事故の発生を通報するとともに、記録装置1021に保存した保存対象をこの外部サーバに送信する。これによれば、警察,保険会社で事故の発生に対応することが可能になるとともに、保存対象の情報をもとに事故の責任の所在を判断することが可能になる。また、事故の発生を検出した場合に、保存対象を外部サーバに送信するので、保存対象の情報を改竄することが困難になる。よって、保存対象の情報から、事故の発生に対して自動運転に責任がないことをさらに証明しやすくなる。なお、通報処理部1208は、事故検出部1206で対象間の事故の発生を検出した場合に、記録装置1021に保存するより前に保存対象を外部サーバに送信する構成としてもよい。
【0239】
[映像処理装置1020での映像保存関連処理]
ここで、
図27のフローチャートを用いて、映像処理装置1020での映像保存関連処理の流れの一例について説明を行う。コンピュータによって映像保存関連処理に含まれるステップが実行されることが、映像記録方法が実行されることに相当する。
図27のフローチャートは、自車の内燃機関又はモータジェネレータを始動させるためのスイッチ(以下、パワースイッチ)がオンになった場合に開始する構成とすればよい。
図27の例では、走行環境認識部1022が自車の走行環境を逐次認識しているものとする。
図27の例では、映像取得部1201が、車外用カメラ1051で撮影する車外映像を逐次取得して一時保存部1202に逐次格納しているものとする。
【0240】
まず、ステップS1001では、危険性判定部1204が、自車と自車の周辺障害物との間及び自車の周辺車両同士の間といった対象間の衝突危険性の有無を判定する。ステップS1002では、自車と自車の周辺障害物との間の衝突危険性が有りと判定した場合(S1002でYES)には、ステップS1004に移る。一方、自車と自車の周辺障害物との間の衝突危険性が無しと判定した場合(S1002でNO)には、ステップS1003に移る。
【0241】
ステップS1003では、自車の周辺車両同士の間の衝突危険性が有りと判定した場合(S1003でYES)には、ステップS1004に移る。一方、自車の周辺車両同士の間の衝突危険性が無しと判定した場合(S1003でNO)には、ステップS1012に移る。なお、S1002とS1003との処理は、順番が入れ替わってもよい。
【0242】
ステップS1004では、保存対象決定部1205が、対象間の衝突危険性が有りと判定した時点からの、映像取得部1201で逐次取得する車外映像と、運転特定部1203で特定したその車外映像が取得される時点における運転状態フラグとを、紐付けて記録装置1021に保存する保存対象とする。保存対象決定部1205での保存対象の決定は、保存処理部1207で保存対象の記録装置1021への保存の有無が確定するまで継続されるものとする。
【0243】
ステップS1005では、事故検出部1206が、先のステップで衝突危険性が有りと判定した対象間の事故の発生を検出した場合(S1005でYES)には、ステップS1006に移る。一方、事故検出部1206が、先のステップで衝突危険性が有りと判定した対象間の事故の発生を検出していない場合(S1005でNO)には、ステップS1009に移る。
【0244】
ステップS1006では、保存処理部1207が、少なくともS1005で検出した事故の発生までの、保存対象決定部1205で保存対象と決定した保存対象を一時保存部1202から読み出して記録装置1021に保存する。例えば、S1005で検出した事故の発生の所定時間後までの、保存対象決定部1205で保存対象と決定した保存対象を一時保存部1202から読み出して記録装置1021に保存すればよい。ステップS1007では、通報処理部1208が、通信モジュール1008を介して警察,保険会社等の外部サーバに、事故の発生を通報するとともに、S1006で記録装置1021に保存した保存対象をこの外部サーバに送信する。
【0245】
ステップS1008では、映像保存関連処理の終了タイミングであった場合(S1008でYES)には、映像保存関連処理を終了する。一方、映像保存関連処理の終了タイミングでなかった場合(S1008でNO)には、S1001に戻って処理を繰り返す。映像保存関連処理の終了タイミングの一例としては、自車のパワースイッチがオフになった場合等がある。
【0246】
ステップS1009では、危険性判定部1204が、対象間の衝突危険性の有無を判定する。ステップS1010では、先のステップで衝突危険性が有りと判定した対象間の衝突危険性の判定結果が、衝突危険性が有りから衝突危険性が無しに切り替わった場合(S1010でYES)には、ステップS1011に移る。一方、衝突危険性が有りのままであった場合(S1010でNO)には、S1004に戻って保存対象の決定を継続し、処理を繰り返す。
【0247】
ステップS1011では、保存処理部1207が、保存対象決定部1205で保存対象と決定していた保存対象を記録装置1021に保存せず、ステップS1008に移る。前述したように、記録装置1021に保存しなかった、一時保存部1202に格納されている保存対象は、一定以上の過去のデータとなったデータから順次消去されていくことになる。
【0248】
ステップS1012では、運転特定部1203で特定する運転状態が自動運転から非自動運転に切り替わった場合(S1012でYES)には、ステップS1014に移る。一方、運転特定部1203で特定する運転状態が自動運転から非自動運転に切り替わっていない場合(S1012でNO)には、ステップS1013に移る。
【0249】
ステップS1013では、保存対象決定部1205が、映像取得部1201で逐次取得する車外映像を保存対象とせずに、ステップS1008に移る。一方、ステップS1014では、保存対象決定部1205が、運転特定部1203で特定する運転状態が自動運転から非自動運転に切り替わった時点からの、映像取得部1201で逐次取得する車外映像と、運転特定部1203で特定したその車外映像が取得される時点における運転状態フラグとを、紐付けて記録装置1021に保存する保存対象とする。この保存対象決定部1205での保存対象の決定も、保存処理部1207で保存対象の記録装置1021への保存の有無が確定するまで継続されるものとする。
【0250】
ステップS1015では、事故検出部1206が、対象間の事故の発生を検出した場合(S1015でYES)には、ステップS1006に移る。一方、事故検出部1206が、対象間の事故の発生を検出していない場合(S1015でNO)には、ステップS1016に移る。なお、事故検出部1206は、運転特定部1203で特定する運転状態が自動運転から非自動運転に切り替わった後に危険性判定部1204で衝突危険性が有りと判定していた対象間の事故の発生を検出する構成としてもよい。
【0251】
ステップS1016では、保存処理部1207が、S1012で自動運転から非自動運転へ切り替わった時点からの経過時間が規定時間に達した場合(S1016でYES)には、ステップS1017に移る。一方、この経過時間が規定時間に達していない場合(S1016でNO)には、S1014に戻って、保存対象の決定を継続し、処理を繰り返す。ステップS1017では、保存処理部1207が、保存対象決定部1205で保存対象と決定していた保存対象を記録装置1021に保存せず、ステップS1008に移る。
【0252】
[第16実施形態のまとめ]
本実施形態の構成によれば、前述したように、事故に対して法律上の責任を負うと規定される度合いの自動運転と、この自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両において、事故の発生に対して自動運転に責任がないことを証明しやすくすることが可能になる。
【0253】
また、本実施形態の構成によれば、危険性判定部1204で自車の周辺車両同士の間の衝突危険性が有りと判定したことをトリガに、車外映像と運転状態とを紐付けて保存対象とする。よって、自車との衝突危険性が有りと判定されなくても、車外映像を保存して、自車の周辺車両同士で事故が発生した場合のその事故の原因の究明を行いやすくしたり、その事故に対する自車の責任の有無を判断しやすくしたりすることが可能になる。
【0254】
<第17実施形態>
第16実施形態では、危険性判定部1204で自車と周辺障害物と間の衝突危険性が有りと判定すること(以下、第1条件)、危険性判定部1204で自車の周辺車両同士の間の衝突危険性が有りと判定すること(以下、第2条件)、及び自車の運転状態が自動運転から非自動運転に切り替わること(以下、第3条件)を、保存対象を決定するトリガとする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第1~第3条件の一部を、保存対象を決定するトリガとする構成としてもよい。
【0255】
一例として、第1~第3条件のうちの第1条件のみを上述のトリガにする構成を採用する場合には、
図27のフローチャートのS1003,S1012,S1014~S1017の処理を省略し、S1002でNOの場合にS1013に移るようにすればよい。第1~第3条件のうちの第2条件のみを上述のトリガにする構成を採用する場合には、
図27のフローチャートのS1002,S1012,S1014~S1017の処理を省略し、S1001の後にS1003に移り、S1003でNOの場合にS1013に移るようにすればよい。第1~第3条件のうちの第3条件のみを上述のトリガにする構成を採用する場合には、
図27のフローチャートのS1001~1005,S1009~S1011の処理を省略し、S1001の後にS1012に移り、S1008でNOの場合にS1012に移るようにすればよい。
【0256】
第1~第3条件のうちの第1条件のみを上述のトリガに含まない構成を採用する場合には、
図27のフローチャートのS1002の処理を省略し、S1001の後にS1003に移るようにすればよい。第1~第3条件のうちの第2条件のみを上述のトリガに含まない構成を採用する場合には、
図27のフローチャートのS1003の処理を省略し、S1002でNOの場合にS1012に移るようにすればよい。第1~第3条件のうちの第3条件のみを上述のトリガに含まない構成を採用する場合には、
図27のフローチャートのS1012,S1014~S1017の処理を省略し、S1003でNOの場合にS1013に移るようにすればよい。
【0257】
いずれの構成であっても、第16実施形態と同様に、車外映像が、自動運転時のものか非自動運転時のものかを区別することは可能になる。よって、事故に対して法律上の責任を負うと規定される度合いの自動運転と、この自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両において、事故の発生に対して自動運転に責任がないことを証明しやすくすることが可能になる。
【0258】
<第18実施形態>
第16実施形態では、保存対象決定部1205で決定される保存対象が一時保存部1202に一時的に格納され、この保存対象を保存処理部1207が記録装置1021に保存することで保存対象が記録装置1021に保存される構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、保存対象決定部1205で決定される保存対象が記録装置1021に格納され、この保存対象を保存処理部1207が記録装置1021から消去しないことで保存対象が記録装置1021に保存される構成としてもよい。
【0259】
この場合、保存処理部1207は、事故検出部1206で対象間の事故の発生を検出するか否かにかかわらず、保存対象を一時保存部1202から読み出して記録装置1021に格納する。そして、事故検出部1206で対象間の事故の発生を検出した場合に、保存処理部1207は記録装置1021に格納した保存対象を消去しないことでこの保存対象を記録装置1021に保存する。一方、第16実施形態で保存処理部1207が保存対象を記録装置1021に保存しない条件と同様の条件を満たした場合に、保存処理部1207は、記録装置1021に格納した保存対象を消去することでこの保存対象を記録装置1021に保存しない。
【0260】
以上の構成であっても、第16実施形態と同様に、車外映像が、自動運転時のものか非自動運転時のものかを区別することは可能になる。よって、事故に対して法律上の責任を負うと規定される度合いの自動運転と、この自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両において、事故の発生に対して自動運転に責任がないことを証明しやすくすることが可能になる。
【0261】
<第19実施形態>
第16実施形態では、事故検出部1206で対象間の事故の発生を検出しないまま、危険性判定部1204で衝突危険性が有りと判定した対象間についての危険性判定部1204での判定結果が、衝突危険性が有りから無しに切り替わる場合に、保存対象決定部1205で決定した保存対象を記録装置1021に保存しない構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、危険性判定部1204で衝突危険性が有りと判定してからの経過時間が、事故検出部1206で対象間の事故の発生を検出しないまま、規定時間に到達した場合に、保存対象決定部1205で決定した保存対象を記録装置1021に保存しない構成としてもよい。ここで言うところの規定時間とは、任意に設定可能な時間である。
【0262】
以上の構成によっても、対象間の衝突危険性が有りと判定した時点まで遡った車外映像を保存可能とすることで事故の原因を究明しやすくしつつ、事故の発生に関係のない可能性の高い車外映像は記録装置1021に保存せずに記録装置1021の容量を圧迫しにくくすることが可能になる。
【0263】
<第20実施形態>
第16実施形態では、保存処理部1207が、事故検出部1206で事故の発生を検出する場合に、少なくとも事故の発生までの保存対象を記録装置1021に保存する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、事故の発生を検出するか否かにかかわらず一定期間分の保存対象を記録装置1021に保存する構成(以下、第20実施形態)としてもよい。ここで、図を用いて第20実施形態の構成について説明を行う。
【0264】
第20実施形態の車両用システム1001は、自動運転装置1002に映像処理装置1020の代わりに映像処理装置1020aを含む点を除けば、第16実施形態の車両用システム1001と同様である。第20実施形態の自動運転装置1002も、映像処理装置1020の代わりに映像処理装置1020aを含む点を除けば、第16実施形態の自動運転装置1002と同様である。
【0265】
ここで、
図28を用いて映像処理装置1020aの概略構成の一例を説明する。映像処理装置1020aは、映像取得部1201、一時保存部1202、運転特定部1203、危険性判定部1204、保存対象決定部1205、及び保存処理部1207aを機能ブロックとして備えている。映像処理装置1020aは、保存処理部1207の代わりに保存処理部1207aを備える点と、事故検出部1206及び通報処理部1208を備えない点とを除けば、第16実施形態の映像処理装置1020と同様である。
【0266】
保存処理部1207aは、保存対象決定部1205で保存対象と決定した一定期間分の保存対象を記録装置1021に保存する。ここで言うところの一定期間とは、任意に設定可能な期間とする。保存処理部1207aは、保存対象決定部1205で保存対象の決定が開始される場合に、保存対象の決定が開始されてから一定期間、保存対象が決定される都度、その保存対象を記録装置1021に格納することで、一定期間分の保存対象を記録装置1021に保存すればよい。
【0267】
第20実施形態の構成によれば、対象間の衝突危険性が有りと判定された時点から一定期間分の車外映像と、この車外映像が取得された時点に対応する運転状態フラグ等とを記録装置1021に保存することが可能になる。よって、対象間の事故が発生した場合に、対象間の衝突危険性が有りと判定された時点から一定期間分の車外映像を用いて事故を検証することが可能になる。対象間の衝突危険性が有りと判定された時点までの車外映像を用いて事故を検証することが可能になることにより、事故の原因をより究明しやすくなる。また、車外映像が取得された時点に対応する運転状態フラグが車外映像に紐付けられるため、車外映像から事故の発生に対して自車に責任があると判断される場合であっても、その車外映像が、自動運転時のものか非自動運転時のものかを区別することで、自車の自動運転に責任がないことを証明することが可能になる。その結果、事故に対して法律上の責任を負うと規定される度合いの自動運転と、この自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両において、事故の発生に対して自動運転に責任がないことを証明しやすくすることが可能になる。
【0268】
また、第20実施形態の構成によれば、自動運転から非自動運転への切り替わり時点から一定期間分の車外映像と、この車外映像が取得された時点に対応する運転状態フラグ等とを記録装置1021に保存することが可能になる。よって、この切り替わり時点から一定期間分の車外映像を用いて事故を検証することが可能になる。自車の自動運転の度合いが、自動運転から非自動運転に切り替わってから上述の事故が発生する場合、運転者は、自動運転時に事故が発生したと勘違いして主張する可能性がある。これに対して、このような勘違いが生じる可能性のある期間の車外映像を記録装置に保存しておくことが可能になる。また、車外映像が取得された時点に対応する運転状態フラグが車外映像に紐付けられるため、車外映像から事故の発生に対して自車に責任があると判断される場合であっても、その車外映像が、自動運転時のものか非自動運転時のものかを区別することで、自車の自動運転に責任がないことを証明することが可能になる。その結果、事故に対して法律上の責任を負うと規定される度合いの自動運転と、この自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両において、事故の発生に対して自動運転に責任がないことを証明しやすくすることが可能になる。
【0269】
<第21実施形態>
次に、第21実施形態を説明する。
図29に第21実施形態の車両用システム1101の構成を示す。車両用システム1101は、自動運転装置1002に代えて、自動運転装置1102を備える。自動運転装置1102は、自動運転部1023に代えて自動運転部1123を備え、映像処理装置1020に代えて映像処理装置1120を備える。
【0270】
第16実施形態では、車外映像と自車の運転状態を特定できる情報とを紐付けて保存対象としていた。これに対して、第21実施形態では、車外映像と自車の運転状態を特定できる情報とを、事後的な対応付けを可能にしつつ別々に保存する。
【0271】
また、この車両用システム1101は、自車の走行中、連続して車外映像と自車の運転状態を特定できる情報を保存する。つまり、車両用システム1101では、衝突危険性の有無によらず、また、自動運転中であるかどうかによらず、連続して車外映像と自車の運転状態を特定できる情報を保存する。
【0272】
車外映像と自車の運転状態を特定できる情報とを、事後的な対応付けを可能としつつ別々に保存するために、自動運転部1123は、計時部1124と、時刻補正部1125と、運転特定部1126と、運転状態記録装置1127とを備える。また、車両用システム1101が搭載された自車には、車内LAN11と基準時計12が備えられている。車内LAN11および基準時計12は第7実施形態で説明したものと同じである。
【0273】
第21実施形態において、車内LAN11には、
図29に示すように、基準時計12の他に時刻補正部1125と映像処理装置1120も接続されている。なお、
図29に示す時刻補正部1125と映像処理装置1120以外の要素も車内LAN11に接続されていてもよい。
【0274】
計時部1124は、
図17の計時部743と同じであり、現在の時刻(すなわち計測時刻)を計測する。時刻補正部1125は、
図17の時刻補正部744と同じ機能であり、基準時計12から基準時刻を取得し、計時部1124が計測している計測時刻を、基準時計12から取得した基準時刻に補正する。また、時刻補正部1125は、時刻補正部744と同様にして、計時部1124の時刻誤差と時刻精度を、逐次、更新する。
【0275】
運転特定部1126は、第16実施形態では、映像処理装置1020が備えている構成である。この実施形態では自動運転部1123が備える。運転特定部1126は映像処理装置1020が備えている運転特定部1203と同じく、自車が自動運転と非自動運転とのいずれの運転状態かを特定する。また、計時部1124から、計測時刻、時刻誤差、時刻精度を取得する。そして、特定した運転状態を、計時部1124が計測している計測時刻、計時部1124の時刻誤差、時刻精度とともに、運転状態記録装置1127に保存する。
【0276】
運転状態記録装置1127は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである。運転状態記録装置1127は、記録装置1021とは別のハードウェアである。運転状態記録装置1127は、運転状態を特定できる情報および計測時刻等の記憶している情報を、有線手段あるいは無線手段により車両外部の装置に出力する。
【0277】
[映像処理装置1120の概略構成]
図30に、映像処理装置1120の構成を示している。
図30に示すように、映像処理装置1120は、
図26と同じ映像取得部1201、事故検出部1206、通報処理部1208を備える。また、映像処理装置1120は、計時部11203、時刻補正部11204、保存処理部11207を備える。なお、この映像処理装置1120は、
図26の映像処理装置1020が備えている運転特定部1203、危険性判定部1204、保存対象決定部1205、一時保存部1202は備えていない。
【0278】
運転特定部1203を備えていない理由は、本実施形態では、自動運転部1123が運転特定部1126を備えているからである。危険性判定部1204、保存対象決定部1205、一時保存部1202を備えていない理由は、本実施形態では、車外映像を常時、保存するからである。
【0279】
計時部11203は、計時部1124と同じであり、現在の時刻(すなわち計測時刻)を計測する。時刻補正部11204は、時刻補正部1125と同じ機能であり、基準時計12から基準時刻を取得し、計時部11203が計測している計測時刻を、基準時計12から取得した基準時刻に補正する。また、時刻補正部11204は、時刻補正部1125と同様にして、計時部11203の時刻誤差と時刻精度を、逐次、更新する。
【0280】
保存処理部11207は、計時部11203から、計測時刻、時刻誤差、時刻精度を取得し、映像取得部1201から車外映像を取得する。そして、それら車外映像、計測時刻、時刻誤差、時刻精度を、記録装置1021に逐次に保存する。この実施形態において、記録装置1021は映像記録装置として機能している。
【0281】
この実施形態では、運転状態は計測時刻とともに運転状態記録装置1127に保存する。車外映像は、計測時刻とともに運転状態記録装置1127とは別の記憶部である記録装置1021に記憶する。運転状態および車外映像は、計測時刻とともに保存されることで、タイムスタンプが付与されたことになる。互いに別の記憶装置に記憶されている運転状態と車外映像は、タイムスタンプにより事後的に対応付け可能である。運転状態と車外映像を、事後的に対応付けることにより、この実施形態の車両用システム1101も、第16実施形態で説明した種々の効果が得られる。
【0282】
また、この実施形態では、運転状態にタイムスタンプ(すなわち計測時刻)が付与されていることに加えて、その計測時刻の時刻誤差と時刻精度も運転状態記録装置1127に記憶されている。また、車外映像にも、タイムスタンプ(すなわち計測時刻)が付与されていることに加えて、その計測時刻の時刻誤差と時刻精度も記録装置1021に記憶されている。これら時刻誤差および時刻精度を考慮すると、より高い信頼性で、事故の原因、事故の責任が、どの車両にあるかなどを究明することができる。
【0283】
<第22実施形態>
第21実施形態では、運転状態記録装置1127に、運転状態を特定したときの計測時刻に対する時刻誤差と時刻精度を保存していた。しかし、時刻誤差と時刻精度の一方のみを保存してもよいし、また、時刻誤差と時刻精度を、ともに保存しないようにしてもよい。
【0284】
また、車外映像を取得したときの計測時刻に対する時刻誤差と時刻精度についても、時刻誤差と時刻精度の一方のみを保存してもよいし、時刻誤差と時刻精度を、ともに保存しないようにしてもよい。
【0285】
<第23実施形態>
第16、20、21実施形態では、事故確認映像として車外映像を保存している。しかし、事故が生じた場合、車両の室内の状況を確認する必要が生じることもある。換言すれば、室内映像も、事故の状況を確認できる可能性がある事故確認映像である。そこで、車外映像に代えて、車両の室内映像を保存してもよい。室内映像は、運転席付近を撮影した映像、後部座席を撮影した映像、運転席と助手席を撮影した映像、それらの映像を組み合わせた映像など、車両の室内の種々の部分を撮影した映像を含ませることができる。また、車外映像と室内映像を、ともに保存してもよい。
【0286】
<第24実施形態>
第16実施形態では、自動運転装置1002と車両制御ECU1006とが別体である構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自動運転装置1002が車両制御ECU1006の機能も担う構成としてもよい。また、自動運転装置1002がロケータ1003の機能も担う構成としてもよい。
【0287】
<第25実施形態>
前述の実施形態では、映像処理装置1020,1020aが自動運転装置1002に含まれる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、映像処理装置1020,1020aが自動運転装置1002に含まれない構成としてもよい。
【0288】
<第26実施形態>
第16実施形態では、対象間の距離が、予め設定された数学的公式モデルによって算出される安全距離以上か否かに応じて、対象間の衝突危険性の有無を危険性判定部1204が判定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えばTTC(Time To Collision)等の他の指標によって対象間の衝突危険性の有無を危険性判定部1204が判定する構成としてもよい。
【0289】
<第27実施形態>
第16実施形態では、自動運転装置1002に確認部1025を備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自動運転装置1002に確認部1025を備えない構成としてもよい。
【0290】
<第28実施形態>
また、映像処理装置1020,1020aは、映像取得部1201で取得する室内映像から乗員の異常行動を検出した場合に、通信モジュール1008を介して外部サーバに通報を行う構成としてもよい。室内映像からの乗員の異常行動の検出は、画像認識技術によって検出すればよい。乗員の異常行動の一例としては、運転者の運転不能状態,運転者の居眠り,運転者のよそ見等が挙げられる。
【0291】
<第29実施形態>
また、映像処理装置1020,1020aが記録装置1021に保存した保存対象の情報は、通信モジュール1008を介した通信以外で外部に出力可能な構成であってもよい。例えば、記録装置1021を挿抜可能な記録媒体とすることで、記録装置1021に保存した保存対象の情報を外部に出力可能としてもよい。
【0292】
<第30実施形態>
第16実施形態以降、ここまでの実施形態では、運転状態における自動運転を、事故に対して法律上の責任を負うと規定される度合いの自動運転としていた。しかし、運転状態における自動運転に、より下のレベルの自動運転を含ませてもよい。また、運転状態として、自動運転のレベルを保存してもよい。
【0293】
<第31実施形態>
第1~第15実施形態と第16~第30実施形態とを組み合わせ、潜在事故責任情報と、責任決定情報に加え、事故確認映像を、互いに、対応付けて、あるいは、対応付け可能に記憶してもよい。
図31には、第7実施形態の潜在事故責任値決定装置700と、第21実施形態の車両用システム1101を組み合わせた走行記憶システムを示している。ただし、
図31は、図示の都合上、センサ統合部740、事故責任判断部750、周辺監視センサ1005、自動運転部1103、映像処理装置1120がそれぞれ備える内部構成は、図示を一部省略している。
【0294】
この実施形態では、責任決定情報、潜在事故責任情報、運転状態、事故確認映像が、それぞれ別の記憶部あるいは記憶装置に、互いに事後的に対応付可能に記憶される。
【0295】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。また、本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0296】
本開示には、以上の実施形態に基づく以下の技術的思想も含まれる。
【0297】
(技術的思想1)
車両に搭載される走行記憶システムであって、
前記走行記憶システムが搭載されている車両である自車両(1)の周囲に存在する周辺車両の挙動を示すセンサ値を検出するセンサから前記センサ値を取得し、前記センサ値に基づいて、前記周辺車両から選択した対象車両の前記自車両に対する相対挙動を逐次決定する対象車両挙動決定部(141)と、
前記自車両の現在位置における事故責任ルールを取得するルール取得部(142、542)と、
前記対象車両の相対挙動と、前記ルール取得部が取得した前記事故責任ルールとに基づいて、前記対象車両と前記自車両との間に潜在的に想定される事故に対する前記自車両の責任の有無を示す潜在事故責任情報を逐次決定する潜在事故責任情報決定部と、
前記潜在事故責任情報と、前記潜在事故責任情報を決定するために用いた情報である責任決定情報とを対応づけて、または対応付け可能に記憶する記憶部(152、352、552、745、752)を備える走行記憶システム。
【0298】
(技術的思想2)
技術的思想1に記載の走行記憶システムであって、
前記潜在事故責任情報と前記責任決定情報は、対応付け指標により互いに対応づけ可能になっており、
前記記憶部として、
前記潜在事故責任情報を前記対応付け指標とともに記憶する潜在事故責任記憶部(752)と、
前記責任決定情報を前記対応付け指標とともに記憶する責任決定情報記憶部(745)とを備える、走行記憶システム。
【0299】
(技術的思想3)
前記対応付け指標はタイムスタンプであり、
前記潜在事故責任記憶部および前記責任決定情報記憶部には、前記タイムスタンプとともに、前記タイムスタンプの誤差および精度の少なくとも一方も記憶されている、技術的思想2に記載の走行記憶システム。
【0300】
(技術的思想4)
前記潜在事故責任記憶部および前記責任決定情報記憶部には、前記タイムスタンプとともに、前記タイムスタンプの誤差および精度が記憶されている、技術的思想3に記載の走行記憶システム。
【0301】
(技術的思想5)
技術的思想1~4のいずれか1項に記載の走行記憶システムであって、
前記対象車両の相対挙動と、前記ルール取得部が取得した前記事故責任ルールとに基づいて、前記対象車両と前記自車両との間に潜在的に想定される事故に対する前記自車両の責任の程度を示す潜在事故責任値を前記潜在事故責任情報として逐次決定する潜在事故責任値決定部(151)を、前記潜在事故責任情報決定部として備え、
前記記憶部として、前記潜在事故責任値と、前記潜在事故責任値を決定するために用いた情報である責任値決定情報とを対応づけて記憶する潜在事故記憶部(152)を備える走行記憶システム。
【0302】
(技術的思想6)
前記責任決定情報として、前記センサ値が記憶されている、技術的思想1~5のいずれか1項に記載の走行記憶システム。
【0303】
(技術的思想7)
前記責任決定情報として、前記対象車両の相対挙動が記憶されている、技術的思想1~5のいずれか1項に記載の走行記憶システム。
【0304】
(技術的思想8)
前記責任決定情報として、前記センサ値とともに前記対象車両の相対挙動が記憶されている、技術的思想6に記載の走行記憶システム。
【0305】
(技術的思想9)
技術的思想1~8のいずれか1項に記載の走行記憶システムであって、
前記自車両または前記自車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、前記事故確認映像を逐次取得する映像取得部(1201)をさらに備え、
前記記憶部に、前記事故確認映像が、前記潜在事故責任情報と対応付けて、または対応付可能に記憶されている、走行記憶システム。
【0306】
(技術的思想10)
技術的思想1~9のいずれか1項に記載の走行記憶システムであって、
前記記憶部に、前記自車両の挙動を検出する自車両挙動センサが検出した検出値、または、前記検出値に基づいて定まる前記自車両の挙動が、前記潜在事故責任情報および前記責任決定情報のいずれか少なくとも一方と対応付けて、または、対応付可能に記憶されている、走行記憶システム。
【0307】
(技術的思想11)
前記記憶部に記憶された前記自車両の前記責任決定情報を、前記車両の外部に逐次送信する無線通信部(360、560)を備える、技術的思想1~10のいずれか1項に記載の走行記憶システム。
【0308】
(技術的思想12)
前記車両に搭載された無線通信部が、外部から送信された前記責任決定情報を受信した場合に、受信した前記責任決定情報を記憶する外部情報記憶部(352、552)を備える、技術的思想11に記載の走行記憶システム。
【0309】
(技術的思想13)
前記無線通信部(560)は、前記外部情報記憶部に記憶されている、外部から受信した前記責任決定情報を送信する、技術的思想12に記載の走行記憶システム。
【0310】
(技術的思想14)
潜在事故責任情報を決定する車両である責任決定車と、前記責任決定車の周囲に存在する周辺車両から選択した対象車両との間に潜在的に想定される事故に対する、前記責任決定車の責任の有無を示す潜在事故責任情報を決定するために用いる情報である責任決定情報を取得する責任決定情報取得部(253、453)と、
前記責任決定情報から前記潜在事故責任情報を決定する予め設定されている関係と、前記責任決定情報取得部が取得した前記責任決定情報とに基づいて、前記潜在事故責任情報を決定する潜在事故責任情報決定部(251、451)と、を備え、
前記責任決定車の外に設置される潜在事故責任決定装置。
【0311】
(技術的思想15)
前記責任決定情報取得部は、前記責任決定情報として、前記責任決定車に備えられているセンサが検出し、前記周辺車両の挙動を示すセンサ値を取得し、
前記センサ値に基づいて、前記周辺車両から選択した対象車両の前記責任決定車に対する相対挙動を逐次決定する対象車両挙動決定部(241)と、
前記潜在事故責任情報を決定する必要がある位置における事故責任ルールを取得するルール取得部(242)とを備え、
前記潜在事故責任情報決定部は、前記対象車両の相対挙動と、前記ルール取得部が取得した前記事故責任ルールとに基づいて、前記潜在事故責任情報を逐次決定する、技術的思想14に記載の潜在事故責任決定装置。
【0312】
(技術的思想16)
前記責任決定情報取得部(453)は、前記責任決定情報として、前記対象車両の相対挙動を取得し、
前記潜在事故責任情報決定部(451)は、前記対象車両の相対挙動と、前記潜在事故責任情報を決定する必要がある位置における事故責任ルールとに基づいて、前記潜在事故責任情報を逐次決定する、技術的思想14に記載の潜在事故責任決定装置。
【0313】
(技術的思想17)
前記責任決定情報取得部は、前記責任決定情報を、前記責任決定車の周辺に存在する周辺車両から取得する、技術的思想14~16のいずれか1項に記載の潜在事故責任決定装置。
【0314】
(技術的思想18)
潜在事故責任情報を決定する車両である責任決定車と、前記責任決定車の周囲に存在する周辺車両から選択した対象車両との間に潜在的に想定される事故に対する、前記責任決定車の責任の有無を示す潜在事故責任情報を決定するために用いる情報である責任決定情報を取得する責任決定情報取得部(541)と、
前記責任決定情報から前記潜在事故責任情報を決定する予め設定されている関係と、前記責任決定情報取得部が取得した前記責任決定情報とに基づいて、前記潜在事故責任情報を決定する潜在事故責任情報決定部(551)と、
前記周辺車両のうち前記対象車両以外の前記周辺車両である関連周辺車両について、前記関連周辺車両と前記関連周辺車両の周囲に存在する車両との間に潜在的に想定される事故に対する、前記関連周辺車両の責任の有無を示す周辺潜在事故責任情報を決定するために用いる周辺責任決定情報を取得する周辺情報取得部(570)と、を備える潜在事故責任決定装置。
【0315】
(技術的思想19)
自車両(1)の周囲に存在する周辺車両の挙動を示すセンサ値を検出するセンサから前記センサ値を取得し、前記センサ値に基づいて、
前記周辺車両から選択した対象車両の前記自車両に対する相対挙動を逐次決定し、
前記自車両の現在位置における事故責任ルールを取得し、
前記対象車両の相対挙動と、前記事故責任ルールとに基づいて、前記対象車両と前記自車両との間に潜在的に想定される事故に対する前記自車両の責任の有無を示す潜在事故責任情報を逐次決定し、
前記潜在事故責任情報と、前記潜在事故責任情報を決定するために用いた情報である責任決定情報とを対応づけて、または対応付け可能に記憶部に記憶する、走行記憶方法。
【0316】
(技術的思想20)
責任決定車の外で実行される潜在事故責任決定方法であって、責任決定車と、前記責任決定車の周囲に存在する周辺車両から選択した対象車両との間に潜在的に想定される事故に対する、前記責任決定車の責任の有無を示す潜在事故責任情報を決定するために用いる情報である責任決定情報を取得し、
前記責任決定情報から前記潜在事故責任情報を決定する予め設定されている関係と、取得した前記責任決定情報とに基づいて、前記潜在事故責任情報を決定する、潜在事故責任決定方法。
【0317】
(技術的思想21)
責任決定車と、前記責任決定車の周囲に存在する周辺車両から選択した対象車両との間に潜在的に想定される事故に対する、前記責任決定車の責任の有無を示す潜在事故責任情報を決定するために用いる情報である責任決定情報を取得し、
前記責任決定情報から前記潜在事故責任情報を決定する予め設定されている関係と、取得した前記責任決定情報とに基づいて、前記潜在事故責任情報を決定し、
前記周辺車両のうち前記対象車両以外の前記周辺車両である関連周辺車両について、前記関連周辺車両と前記関連周辺車両の周囲に存在する車両との間に潜在的に想定される事故に対する、前記関連周辺車両の責任の有無を示す周辺潜在事故責任情報を決定するために用いる周辺責任決定情報を取得する、潜在事故責任決定方法。
【0318】
(技術的思想22)
自動運転と、前記自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、
前記車両または前記車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、前記事故確認映像を逐次取得する映像取得部と、
前記車両が前記自動運転と前記非自動運転とのいずれの運転状態かを特定する運転特定部(1203)と、
前記事故確認映像と、前記運転特定部で特定した前記事故確認映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存する保存処理部(1207、1207a、11207)を備える、映像記録システム。
【0319】
(技術的思想23)
技術的思想22に記載の映像記録システムであって、
前記事故確認映像と前記運転状態を特定できる情報は、対応付け指標により互いに対応づけられており、
前記記録装置として、
前記事故確認映像を前記対応付け指標とともに保存する映像記録装置(1021)と、
前記運転状態を特定できる情報を前記対応付け指標とともに保存する運転状態記録装置(1127)とを備える、映像記録システム。
【0320】
(技術的思想24)
前記対応付け指標はタイムスタンプであり、
前記映像記録装置および前記運転状態記録装置には、前記タイムスタンプとともに、前記タイムスタンプの誤差および精度の少なくとも一方も記録されている、技術的思想23に記載の映像記録システム。
【0321】
(技術的思想25)
前記映像記録装置および前記運転状態記録装置には、前記タイムスタンプとともに、前記タイムスタンプの誤差および精度が記録されている、技術的思想24に記載の映像記録システム。
【0322】
(技術的思想26)
前記事故確認映像に、前記車両の周辺が撮影された映像が含まれる、技術的思想22~25のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【0323】
(技術的思想27)
前記事故確認映像に、前記車両の車室内が撮影された映像が含まれる、技術的思想22~26のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【0324】
(技術的思想28)
前記車両に設けられて前記車両の周辺を撮影する車外用カメラ(1051)で撮影する映像である車外映像を前記事故確認映像として逐次取得する車外映像取得部(1201)を、前記映像取得部として備え、さらに、
前記車両と前記車両の周辺障害物との間及び前記車両の周辺車両同士の間の少なくともいずれかの対象間の衝突危険性の有無を判定する危険性判定部(1204)と、
前記危険性判定部で前記対象間の前記衝突危険性が有りと判定することをトリガに、前記車外映像取得部で逐次取得する前記車外映像と、前記運転特定部で特定したその車外映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを、前記記録装置に保存する保存対象とする保存対象決定部(1205)とを備える技術的思想26に記載の映像記録システム。
【0325】
(技術的思想29)
前記保存対象決定部は、前記危険性判定部で前記対象間の前記衝突危険性が有りと判定していない場合であっても、前記車両の前記運転状態が、前記自動運転から前記非自動運転に切り替わることをトリガに、前記車外映像取得部で逐次取得する前記車外映像と、前記運転特定部で特定するその車外映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを前記保存対象とする技術的思想28に記載の映像記録システム。
【0326】
(技術的思想30)
前記危険性判定部で前記対象間の前記衝突危険性が有りと判定したその対象間の事故の発生を検出する事故検出部(1206)を備え、
前記保存処理部は、前記事故検出部で前記事故の発生を検出する場合に、少なくとも前記事故の発生までの前記保存対象を前記記録装置に保存する技術的思想28又は29に記載の映像記録システム。
【0327】
(技術的思想31)
前記保存処理部は、前記事故検出部で前記事故の発生を検出する場合に、前記事故の発生の所定時間後までの前記保存対象を前記記録装置に保存する技術的思想30に記載の映像記録システム。
【0328】
(技術的思想32)
前記保存処理部は、前記事故検出部で前記事故の発生を検出しないまま、前記危険性判定部で前記衝突危険性が有りと判定した前記対象間についての前記危険性判定部での判定結果が、前記衝突危険性が有りから無しに切り替わる場合には、前記保存対象を前記記録装置に保存しない技術的思想30又は31に記載の映像記録システム。
【0329】
(技術的思想33)
前記事故検出部で前記事故の発生を検出した場合に、前記事故の発生を前記車両の外部のセンタに通信を介して通報するとともに、前記保存対象を前記センタに通信を介して送信する通報処理部(1208)を備える技術的思想30~32のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【0330】
(技術的思想34)
前記危険性判定部は、前記車両と前記車両の周辺障害物との間及び前記車両の周辺車両同士の間のいずれの前記対象間の衝突危険性の有無も判定するものであり、
前記保存対象決定部は、前記危険性判定部で前記車両の周辺車両同士の間の衝突危険性が有りと判定する場合には、これらの周辺車両に含まれる周辺車両と前記車両との衝突危険性の有無を前記危険性判定部で判定するのに用いた情報も、前記保存対象とする技術的思想28~33のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【0331】
(技術的思想35)
前記危険性判定部は、前記対象間の距離が、予め設定された数学的公式モデルによって算出される、その対象間の安全性を評価するための基準となる距離である安全距離未満の場合に、前記衝突危険性が有りと判定する一方、前記安全距離以上の場合に、前記衝突危険性が無しと判定する技術的思想28~34のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【0332】
(技術的思想36)
前記車両に設けられて前記車両の周辺を撮影する車外用カメラ(1051)で撮影する映像である車外映像を前記事故確認映像として逐次取得する車外映像取得部(1201)を、前記映像取得部として備え、さらに、
前記車両の前記運転状態が、前記自動運転から前記非自動運転に切り替わることをトリガに、前記車外映像取得部で逐次取得する前記車外映像と、前記運転特定部で特定したその車外映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを、前記記録装置に保存する保存対象とする保存対象決定部(1205)とを備える技術的思想26に記載の映像記録システム。
【0333】
(技術的思想37)
前記車両と前記車両の周辺障害物との間の事故及び前記車両の周辺車両同士の事故の少なくともいずれかの事故を検出する事故検出部(1206)を備え、
前記保存処理部は、前記事故検出部で前記事故の発生を検出する場合に、少なくとも前記事故の発生までの前記保存対象を前記記録装置に保存する技術的思想36に記載の映像記録システム。
【0334】
(技術的思想38)
前記車両と前記車両の周辺障害物との間及び前記車両の周辺車両同士の間の少なくともいずれかの対象間の衝突危険性の有無を判定する危険性判定部(1204)を備え、
前記事故検出部は、前記危険性判定部で前記対象間の前記衝突危険性が有りと判定したその対象間の事故の発生を検出することで、前記車両と前記車両の周辺障害物との間の事故及び前記車両の周辺車両同士の事故の少なくともいずれかの事故を検出するものであって、
前記保存処理部は、前記事故検出部で前記事故の発生を検出しないまま、前記危険性判定部で前記衝突危険性が有りと判定した前記対象間についての前記危険性判定部での判定結果が、前記衝突危険性が有りから無しに切り替わる場合には、前記保存対象を前記記録装置に保存しない技術的思想37に記載の映像記録システム。
【0335】
(技術的思想39)
前記事故検出部で前記事故の発生を検出した場合に、前記事故の発生を前記車両の外部のセンタに通信を介して通報するとともに、前記保存対象を前記センタに通信を介して送信する通報処理部(1208)を備える技術的思想37又は38に記載の映像記録システム。
【0336】
(技術的思想40)
前記保存対象決定部で前記保存対象を決定した場合に、前記トリガから一定期間分のその保存対象を前記記録装置に保存する保存処理部(1207a)を備える技術的思想28又は36に記載の映像記録システム。
【0337】
(技術的思想41)
自動運転と、前記自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられ、
技術的思想22~40のいずれか1項に記載の映像記録システムと、前記車両の周辺を監視する周辺監視センサ(1005)での検出結果を用いて前記車両の走行環境を認識する走行環境認識部(1022)と、
前記走行環境認識部で認識する前記走行環境を用いて、前記自動運転で前記車両を走行させるための走行計画を生成する走行計画部(1024)と、
前記走行計画部で生成する前記走行計画に沿って前記車両の走行制御を行わせる自動運転機能部(1026)とを備える自動運転システム。
【0338】
(技術的思想42)
自動運転と、前記自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両で用いられる映像記録方法であって、
前記車両または前記車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を撮影する車載カメラから、前記事故確認映像を逐次取得し、
前記車両が前記自動運転と前記非自動運転とのいずれの運転状態かを特定し、
逐次取得する前記事故確認映像と、前記事故確認映像が取得される時点における前記車両の前記運転状態を特定できる情報とを対応付けて、または、対応付け可能に記録装置に保存する映像記録方法。
【0339】
技術的思想1の走行記憶システムおよび技術的思想19の走行記憶方法では、潜在事故責任情報と対応づけて、または対応付け可能に責任決定情報を記憶する。このようにすることで、責任決定情報を用いて、事後的に、潜在事故責任情報を決定することができる。事後的に決定した潜在事故責任情報を、責任決定情報に対応付けられて記憶されている、または、対応付け可能に記憶されている潜在事故責任情報と比較することで、潜在事故責任情報の信頼性を後で確認できる。
【0340】
技術的思想14の潜在事故責任決定装置および技術的思想20の潜在事故責任決定方法は、責任決定情報を取得して、その責任決定情報に基づいて潜在事故責任情報を決定することができる。したがって、この潜在事故責任決定装置が責任決定情報を事後的に取得する場合、および、潜在事故責任決定方法により責任決定情報を事後的に取得する場合には、事後的に、潜在事故責任情報を決定することができる。事後的に決定した潜在事故責任情報を、この潜在事故責任決定装置あるいはこの潜在事故責任決定方法を実行する装置以外の装置が決定した潜在事故責任情報と比較することで、潜在事故責任情報の信頼性を後で確認できる。なお、この潜在事故責任決定装置あるいはこの潜在事故責任決定方法を実行する装置以外の装置としては、たとえば、この潜在事故責任決定装置あるいはこの潜在事故責任決定方法を実行する装置が責任決定車以外に搭載されている場合において、その責任決定車に搭載された装置を例示することができる。
【0341】
技術的思想18の潜在事故責任決定装置および技術的思想21の潜在事故責任決定方法によれば、直接的には、責任決定車の挙動に事故の問題があるとしても、関連周辺車両の挙動に事故原因の多くの部分があると認定できる状況であったかどうかを判断することができる。その判断の結果、潜在事故責任情報は、責任決定車に対する事故の責任を適切に表しているか否か、すなわち、潜在事故責任情報の信頼性を確認することができる。
【0342】
技術的思想22の映像記録システムおよび技術的思想42の映像記録方法によれば、車両または車両の周辺で事故が生じた場合に事故の状況を確認できる可能性がある映像である事故確認映像を記録装置に保存する。よって、その事故確認映像をもとに、事故の原因をより究明しやすくなる。
【0343】
また、事故確認映像は、事故確認映像が取得される時点における車両の運転状態が自動運転であるか非自動運転であるかを特定できる情報と対応付けられる。よって、事故確認映像が取得された時点の車両の運転状態が、自動運転であるか非自動運転であるかを特定することが可能になる。従って、事故確認映像から事故が生じたことを確認できる場合、その事故が、自動運転時のものか非自動運転時のものかを区別しやすくなる。従って、事故確認映像から事故の発生に対して自車に責任があると判断される場合であっても、その事故確認映像が、自動運転時のものか非自動運転時のものかを区別することで、自車の自動運転に責任がないことを証明することが可能になる。その結果、自動運転と、この自動運転を実施しない非自動運転とに切り替え可能な車両において、事故の発生に対して自動運転に責任がないことを証明しやすくすることが可能になる。
【0344】
技術的思想41によれば、前述の映像記録システムを含むので、自動運転と非自動運転とを切り替え可能な車両において、事故の発生に対して自動運転に責任がないことを証明しやすくすることが可能になる。