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  • 特許-外壁構造および外壁構造を備える建築物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】外壁構造および外壁構造を備える建築物
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/14 20060101AFI20250128BHJP
   E04D 3/40 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
E04D13/14 D
E04D3/40 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023566482
(86)(22)【出願日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 JP2023017157
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 伸治
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋輝
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-88275(JP,A)
【文献】特開平10-102695(JP,A)
【文献】特開2020-183638(JP,A)
【文献】特開2017-172156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/14
E04D 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下屋が設けられる外壁を備える建築物の外壁構造であって、
前記外壁を構成する柱と、
前記柱に取り付けられる第1下地材と、
前記第1下地材よりも下の位置で前記柱に取り付けられる第2下地材と、
前記第1下地材に取り付けられる外装材と、
前記下屋を構成する下屋軸部材と、
前記外装材と前記下屋軸部材との間に設けられる水切部材と、を備え、
前記第1下地材は、前記下屋軸部材よりも上の位置で前記柱に取り付けられ、
前記第2下地材は、前記下屋軸部材よりも下の位置で前記柱に取り付けられる、
外壁構造。
【請求項2】
前記第1下地材は、前記柱の外面に接触するように前記柱に取り付けられる、
請求項1に記載の外壁構造。
【請求項3】
前記水切部材は、上下方向に延びる水切上部と、前記水切上部の下端から延びる水切中間部と、前記水切中間部の下端から延びる水切下部と、を備え、
前記水切上部は、上下方向において、前記第1下地材の下端面よりも下に位置し、
前記水切上部の外面は、水平方向において、前記第1下地材の外面と同じところ、または、前記第1下地材の外面よりも室内側に位置し、
前記水切下部は、前記下屋の上に位置する、
請求項1に記載の外壁構造。
【請求項4】
前記第1下地材から前記下屋軸部材にわたって敷かれる境界防水シートをさらに備え、
前記境界防水シートの上部は、前記水切上部と前記柱との間に配置される、
請求項3に記載の外壁構造。
【請求項5】
前記水切部材を支持する水切支持部材をさらに備え、
前記水切支持部材は、前記第1下地材の下端面よりも下の位置で、前記柱に固定される、
請求項1に記載の外壁構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の外壁構造を備える、建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、下屋付近の外壁構造および外壁構造を備える建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
下屋付近の外壁構造として、特許文献1に記載の技術が知られている。
特許文献1に記載の建築物において、下屋(同文献では、1階の屋根)に交差する2階の外壁について、外壁の構造が開示されている。2階の外壁には、水切部材(同文献では、水切り板)が設けられる。外装材(同文献では、外壁材)は、防水シートを介して柱または間柱に取り付けられる。水切部材は、外装材の下端付近に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-088275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、下屋に交差する外壁は下地材を有する。下地材がある外壁構造において、施工性に改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する外壁構造は、下屋が設けられる外壁を備える建築物の外壁構造であって、前記外壁を構成する柱と、前記柱に取り付けられる第1下地材と、前記第1下地材よりも下の位置で前記柱に取り付けられる第2下地材と、前記第1下地材に取り付けられる外装材と、前記下屋を構成する下屋軸部材と、前記外装材と前記下屋軸部材との間に設けられる水切部材と、を備え、前記第1下地材は、前記下屋軸部材よりも上の位置で前記柱に取り付けられ、前記第2下地材は、前記下屋軸部材よりも下の位置で前記柱に取り付けられる。この構成によれば、下屋の上から下にかけて柱に沿って下地材が設けられる場合に比べて、外壁の施工の自由度を高くすることができる。
【0006】
(2)上記(1)に記載の外壁構造において、前記第1下地材は、前記柱の外面に接触するように前記柱に取り付けられる。この構成によれば、第1下地材を2つの柱の間に配置する場合に比べて、第1下地材の施工を簡単に行うことができる。
【0007】
(3)上記(1)または(2)に記載の外壁構造において、前記水切部材は、上下方向に延びる水切上部と、前記水切上部の下端から延びる水切中間部と、前記水切中間部の下端から延びる水切下部と、を備え、前記水切上部は、上下方向において、前記第1下地材の下端面よりも下に位置し、前記水切上部の外面は、水平方向において、前記第1下地材の外面と同じところ、または、前記第1下地材の外面よりも室内側に位置し、前記水切下部は、前記下屋の上に位置する。この構成によれば、水切上部の外面が第1下地材の外面よりも外側に位置する場合に比べて、第1下地材に流れる水のうちの多くの水を水切上部によって受けることができる。そして、水切下部によって水を下屋に導くことができる。
【0008】
(4)上記(3)に記載の外壁構造において、前記第1下地材から前記下屋軸部材にわたって敷かれる境界防水シートをさらに備え、前記境界防水シートの上部は、前記水切上部と前記柱との間に配置される。この構成によれば、水切部材よりも内側に水が侵入する場合、その水を柱よりも内側に侵入することを抑制できる。
【0009】
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の外壁構造において、前記水切部材を支持する水切支持部材をさらに備え、前記水切支持部材は、前記第1下地材の下端面よりも下の位置で、前記柱に固定される。この構成によれば、下屋の上から下にかけて柱に沿って下地材が設けられ、かつ、水切支持部材が下地材に設けられる場合に比べて、外壁の施工の自由度を高くすることができる。
【0010】
(6)課題を解決する建築物は、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の外壁構造を備える。この構成によれば、建築物の施工の自由度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の外壁構造および建築物によれば、施工の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】建築物の模式図である。
図2図1の2-2線に沿う、外壁構造の断面図である。
図3】第1参考例の外壁について、外壁構造の断面図である。
図4】第2参考例の外壁について、外壁構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<建築物>
図1図4を参照して、建築物1、および、建築物1の外壁構造2について説明する。本実施形態で、外側は、水平方向において対象に対して室外に近い所を示す。内側は、水平方向において対象に対して室内に近い所を示す。
【0014】
図1に示されるように、建築物1は、外壁10と、下屋20と、を備える。本実施形態では、建築物1は、さらに、屋根50を備える。本実施形態の建築物1において、下屋20は外壁10に設けられる。
【0015】
屋根50は、建築物1内の室内空間の上を覆う。下屋20は、上下方向DZにおいて外壁10の中間部分に設けられる。下屋20は傾斜してもよい。具体的には、下屋20は、外壁10に対して外方に向かって斜め下方に延びる。下屋20は水平に延びてもよい。下屋20は、玄関ポーチの屋根を構成してもよい。下屋20は、デッキの屋根を構成してもよい。下屋20は、窓または扉の上に設けられる庇として構成されてもよい。下屋20は、建築物1において平屋部分の屋根を構成してもよい。平屋部分は、建築物1において、2階建て部分よりも高さが低い1階建て部分を示す。
【0016】
建築物1は、下屋20付近における外壁構造2を含む。本実施形態における外壁構造2は、下屋20が交差するように設けられる外壁10の構造を示す。以下、外壁構造2の例として、下屋20が交差するように設けられる2階の外壁10の構造を説明する。
【0017】
<外壁構造>
外壁構造2は、外壁10を構成する柱11と、柱11に取り付けられる第1下地材12と、第1下地材12よりも下の位置で柱11に取り付けられる第2下地材13と、を備える。外壁構造2は、さらに、第1下地材12に取り付けられる外装材14と、下屋20を構成する下屋軸部材21と、備える。外壁構造2は、さらに、外装材14と下屋軸部材21との間に設けられる水切部材30を備える。また、外壁構造2は、水切支持部材35をさらに備える。
【0018】
柱11は、建築物1の軸組構造を構成する主柱、および、主柱の間に配置される間柱を含む。主柱および間柱は、木材によって構成される。間柱は、主柱よりも細い。主柱は、建築物1の1階から2階まで延びる通し柱であってよい。主柱は、上下方向DZにおいて建築物1の中間部分に配置される横架材15に垂直に立てられる柱であってもよい。本実施形態では、柱11の上端は、2階を覆う屋根50まで延びる。柱11の下端は、横架材15まで延びる。柱11の下端は、下屋軸部材21の内端部21Aよりも下に位置する。
【0019】
隣り合う2個の柱11は、水平に延びる柱連結部材16によって結合されてもよい。柱連結部材16は、柱11の外面11Aよりも内側に設けられる。柱連結部材16は、2つの柱11の側面の間に配置される。他の例では、柱連結部材16は、複数の柱11を貫くように設けられる。
【0020】
<下屋>
下屋20は、下屋軸部材21と、下屋軸部材21の上に設けられる下屋下地材22(野地板とも呼ばれる)と、下屋下地材22の上に設けられる屋根材23と、を備える。屋根材23は、金属製屋根材、陶製屋根材、および、コンクリート製屋根材を含む。水平に延びる下屋20の場合、屋根材23は、アスファルト、および、コンクリートを含む。本実施形態では、屋根材23は、屋根材23の下端が他の屋根材23の上端に載るように配置される。屋根材23の上部は、位置決め部材24(「瓦桟」とも呼ばれる)に載せられる。屋根材23の上部は、釘によって位置決め部材24を介して下屋下地材22に固定される。下屋下地材22の上面には屋根防水シート25が敷かれる。
【0021】
下屋軸部材21は、勾配梁および垂木を含む。勾配梁および垂木は、木材または金属部材によって構成される。また、下屋軸部材21は、水平に延びる水平部材を含む。水平部材は、木材または金属部材によって構成される。
【0022】
下屋軸部材21は、柱11の近くに配置される内端部21Aを有する。下屋軸部材21の内端部21Aは、軸支持部材26の上に載せられた状態で、結合部材によって軸支持部材26に固定される。結合部材は、ボルト、釘、リベット、および、結合金具を含む。
【0023】
軸支持部材26は、水平に延びる。軸支持部材26は、複数の柱11に渡るように設けられる。軸支持部材26は、第2下地材13を介して柱11に取り付けられる。軸支持部材26は、釘によって柱11に固定される。軸支持部材26は、下屋軸部材21の内端部21Aよりも下の位置で柱11に固定される。
【0024】
<第1下地材、第2下地材、および、外装材>
第1下地材12は、木製の板状部材によって構成される。第1下地材12は、下屋軸部材21よりも上の位置で柱11に取り付けられる。第1下地材12は、柱11の外面11Aに接触するように柱11に取り付けられる。第1下地材12は、複数の柱11に渡るように配置される。そして、第1下地材12は釘によって柱11に取り付けられる。
【0025】
第1下地材12の外面12Aには、壁防水シート17が取り付けられる。壁防水シート17の下端部17Aは、水切部材30の水切上部31の外面31Aを覆う。壁防水シート17の下端部17Aは、接着剤または接着部材によって、水切部材30の水切上部31に固定される。
【0026】
外装材14は、第1下地材12の外側に取り付けられる。外装材14は、水平に設けられる横材(図示略)を介して第1下地材12に取り付けられる。横材は、胴縁とも呼ばれる。横材は、壁防水シート17を介して第1下地材12に取り付けられる。横材は、木材によって構成される。外装材14は、金属製サイディング、窯業系サイディング、木製サイディング、コンクリート製サイディング、および、樹脂製サイディングを含む。
【0027】
第2下地材13は、木製の板状部材によって構成される。第2下地材13は、下屋軸部材21よりも下の位置で柱11に取り付けられる。第2下地材13は、柱11の外面11Aに接触するように柱11に取り付けられる。第2下地材13は、複数の柱11に渡るように配置される。そして、第2下地材13は釘によって柱11に取り付けられる。
【0028】
なお、第2下地材13は、下屋20よりも下であってかつ外壁10よりも内側に位置する。このため、第2下地材13には外装材14は取り付けられない。第2下地材13は、外壁10を補強する。具体的には、第2下地材13は、複数の柱11に渡って設けられることによって外壁10を補強する。
【0029】
複数の柱11は、下屋軸部材21の上に配置される第1下地材12によって互いに結合されるとともに、下屋軸部材21の下に配置される第2下地材13によって互いに結合される。この構造によって、外壁10の強度が高められる。
【0030】
<水切部材>
水切部材30は、樹脂または金属板によって構成される。水切部材30は、上下方向DZに延びる水切上部31と、水切上部31の下端から延びる水切中間部32と、水切中間部32の下端から延びる水切下部33と、を備える。水切中間部32は、水切上部31の下端から傾斜するように延びる。水切下部33は、水切中間部32の下端から下方に延びる。水切部材30は、上述のように外装材14の下端付近に配置される。
【0031】
水切部材30は、水切支持部材35によって支持される。水切部材30の水切中間部32の一部が水切支持部材35に固定される。水切部材30が水切支持部材35によって支持された状態において、水切部材30の各部位は、次のように配置される。水切上部31は、上下方向DZにおいて、第1下地材12の下端面12Bよりも下に位置する。水切上部31の外面31Aは、水平方向において、第1下地材12の外面12Aと同じところ、または、第1下地材12の外面12Aよりも室内側に位置する。水切下部33は、下屋20の上に位置する。具体的には、水切下部33は、下屋20において最も外壁10に近いところの屋根材23の上に配置される。水切中間部32は、水切部材30が外壁10に取り付けられた状態において、屋根材23の傾斜と同じように傾斜するように構成される。
【0032】
外壁構造2には、防水部材37を備えてもよい。防水部材37は、水切部材30よりも内側に設けられる。防水部材37は、水切支持部材35から屋根材23まで延びる。防水部材37は、樹脂または金属板で構成される。防水部材37の上端は、水切支持部材35に固定される。水切支持部材35の下端は、シール材38を介して屋根材23に固定される。
【0033】
水切支持部材35は水切部材30および防水部材37を支持する。水切支持部材35は、第1下地材12の下端面12Bよりも下の位置で、かつ、下屋下地材22よりも上の位置で、柱11に固定される。水切支持部材35は、柱11に接触する第1側面35Aと、防水部材37が取り付けられる第2側面35Bと、水切部材30が載せられる上面35Cと、を有する。
【0034】
<境界防水シート>
外壁構造2は、第1下地材12の下端から下屋軸部材21にわたって敷かれる境界防水シート40をさらに備える。境界防水シート40の上部は、水切上部31と柱11との間に配置される。
【0035】
境界防水シート40は、補助パネル41によって案内されてもよい。補助パネル41は、第1下地材12の下端から下屋軸部材21にわたるように、柱11および下屋軸部材21に取り付けられる。補助パネル41は、金属または樹脂によって構成される。境界防水シート40は、補助パネル41の外面に沿うように敷かれる。
【0036】
<実施形態の作用>
図3および図4を参照して本実施形態の作用を説明する。
図3は、第1参考例の外壁構造2を示す。この例では、柱11の外面11Aに下地材81が設けられる。下地材81は、上下方向DZにおいて、下屋20よりも上の位置から下屋20よりも下の位置まで延びる。このような外壁構造2の場合、柱11に下地材81を取り付けた後でなければ、下屋軸部材21および軸支持部材26を取り付けることができない。このため、下屋20の施工は、下地材81の取り付け後に行われる。
【0037】
図4は、第2参考例の外壁構造2を示す。この例では、2つの柱11の間に下地材82が設けられる。具体的には、下地材82は、下地材82の外面82Aが柱11の外面11Aと面一となるように、2つの柱11の間に取り付けられる。下地材82は、上下方向DZにおいて、下屋20よりも上の位置から下屋20よりも下の位置まで延びる。さらに、追加下地材83が下屋20よりも上の位置で下地材82に取り付けられる。軸支持部材26は、柱11に固定される。このような外壁構造2の場合、柱11に下地材82を取り付ける前でも、下屋軸部材21を取り付けることができる。しかし、2つの柱11の間に下地材82を取り付ける必要があるため、多くの手数を要する。
【0038】
本実施形態では、第1下地材12および第2下地材13は、別々に柱11の外面11Aに取り付けられる。そして、軸支持部材26は、第1下地材12よりも下の位置で、第2下地材13を介して柱11に固定される。このような構造のため、第1下地材12が取り付けられる前に、軸支持部材26を柱11に取り付けることができる。このため、第1下地材12の施工状況に関係なく、柱11に対して下屋20の施工を進めることができる。
【0039】
<実施形態の効果>
(1)外壁構造2は、柱11と、第1下地材12と、第2下地材13と、第1下地材12に取り付けられる外装材14と、下屋軸部材21と、水切部材30と、を備える。第1下地材12は、下屋軸部材21よりも上の位置で柱11に取り付けられる。第2下地材13は、下屋軸部材21よりも下の位置で柱11に取り付けられる。この構成によれば、下屋20の上から下にかけて柱11に沿って下地材81、82が設けられる場合に比べて、外壁構造2の施工の自由度を高くすることができる。
【0040】
(2)第1下地材12は、柱11の外面11Aに接触するように柱11に取り付けられる。この構成によれば、第1下地材12を2つの柱11の間に配置する場合に比べて、第1下地材12の施工を簡単に行うことができる。
【0041】
(3)水切部材30は、水切上部31と水切中間部32と水切下部33を備える。水切上部31は、上下方向DZにおいて、第1下地材12の下端面12Bよりも下に位置する。水切上部31の外面31Aは、水平方向において、第1下地材12の外面12Aと同じところ、または、第1下地材12の外面12Aよりも室内側に位置する。水切下部33は、下屋20の上に位置する。この構成によれば、水切上部31の外面31Aが第1下地材12の外面12Aよりも外側に位置する場合に比べて、第1下地材12に流れる水のうちの多くの水を水切上部31によって受けることができる。そして、水切下部33によって水を下屋20に導くことができる。
【0042】
(4)外壁構造2は、境界防水シート40を備える。境界防水シート40は、第1下地材12から下屋軸部材21にわたって敷かれる。境界防水シート40の上部は、水切上部31と柱11との間に配置される。この構成によれば、水切部材30よりも内側に水が侵入する場合、その水を柱11よりも内側に侵入することを抑制できる。
【0043】
(5)外壁構造2は、水切部材30を支持する水切支持部材35を備える。水切支持部材35は、第1下地材12の下端面12Bよりも下の位置で、柱11に固定される。この構成によれば、下屋20の上から下にかけて柱11に沿って下地材81が設けられ、かつ、水切支持部材35が下地材81に設けられる場合に比べて、外壁構造2の施工の自由度を高くすることができる。例えば、第1下地材12を柱11に取り付けた後に、水切支持部材35を柱11に取り付けることができる。また、逆に、水切支持部材35を柱11に取り付けた後に、第1下地材12を柱11に取り付けることもできる。
【0044】
(6)建築物1は、上記(1)~(5)のいずれか1つの外壁構造2を備える。この構成によれば、建築物1の施工の自由度を高くすることができる。
<変形例>
上記実施形態は、建築物1および外壁構造2が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。建築物1および外壁構造2は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0045】
(1)実施形態では、下屋軸部材21は軸支持部材26に固定されている。これに対して、下屋軸部材21は、柱11に直接に固定されてもよい。
(2)実施形態では、下屋20は、外壁10に対して外方に向かって斜め下方に延びる。これに対して、下屋20は、正面視において、左に下方に傾斜する第1傾斜部と、右に向かって下方に傾斜する第2傾斜部とを有してもよい。
【0046】
(3)実施形態では、第1下地材12および第2下地材13は、柱11の外面11Aに設けられている。これに対して、第1下地材12および第2下地材13のいずれか一方は、柱11の間に設けられてもよい。また、第1下地材12および第2下地材13ともに、柱11の間に設けられてもよい。この場合でも、実施形態の(1)の効果を奏する。
【0047】
(4)実施形態では、軸支持部材26は、第2下地材13を介して柱11に取り付けられる。これに対して、軸支持部材26は、直接に柱11に取り付けられてもよい。この場合、第2下地材13は、軸支持部材26よりも下の位置で柱11に固定される。
【0048】
本明細書は、次の技術を開示する。
[付記1]
付記1の技術は、下屋が設けられる外壁を備える建築物の外壁構造である。外壁構造は、前記外壁を構成する柱と、前記柱に取り付けられる第1下地材と、前記第1下地材よりも下の位置で前記柱に取り付けられる第2下地材と、前記第1下地材に取り付けられる外装材と、前記下屋を構成する下屋軸部材と、前記外装材と前記下屋軸部材との間に設けられる水切部材と、を備える。前記第1下地材は、前記下屋軸部材よりも上の位置で前記柱に取り付けられる。前記第2下地材は、前記下屋軸部材よりも下の位置で前記柱に取り付けられる。
【0049】
[付記2]
付記1に記載の外壁構造において、前記第1下地材は、前記柱の外面に接触するように前記柱に取り付けられる。
【0050】
[付記3]
付記1に記載の外壁構造において、前記水切部材は、上下方向に延びる水切上部と、前記水切上部の下端から延びる水切中間部と、前記水切中間部の下端から延びる水切下部と、を備える。前記水切上部は、上下方向において、前記第1下地材の下端面よりも下に位置する。前記水切上部の外面は、水平方向において、前記第1下地材の外面と同じところ、または、前記第1下地材の外面よりも室内側に位置する。前記水切下部は、前記下屋の上に位置する。
【0051】
[付記4]
付記3に記載の外壁構造において、前記外壁構造は、前記第1下地材から前記下屋軸部材にわたって敷かれる境界防水シートをさらに備える。前記境界防水シートの上部は、前記水切上部と前記柱との間に配置される。
【0052】
[付記5]
付記1に記載の外壁構造において、前記外壁構造は、前記水切部材を支持する水切支持部材をさらに備える。前記水切支持部材は、前記第1下地材の下端面よりも下の位置で、前記柱に固定される・
[付記6]
付記6の技術は、付記1~5のいずれか一つに記載の外壁構造を備える、建築物である。
【符号の説明】
【0053】
DZ…上下方向、1…建築物、2…外壁構造、10…外壁、11…柱、11A…外面、12…第1下地材、12A…外面、13…第2下地材、14…外装材、20…下屋、21…下屋軸部材、30…水切部材、31…水切上部、31A…外面、32…水切中間部、33…水切下部、35…水切支持部材、40…境界防水シート、82A…外面。
【要約】
外壁構造(2)は、下屋(20)が設けられる外壁(10)を備える建築物の外壁構造(2)であって、外壁(10)を構成する柱(11)と、柱(11)に取り付けられる第1下地材(12)と、第1下地材(12)よりも下の位置で柱(11)に取り付けられる第2下地材(13)と、第1下地材(12)に取り付けられる外装材(14)と、下屋(20)を構成する下屋軸部材(21)と、外装材(14)と下屋軸部材(21)との間に設けられる水切部材(30)と、を備える。第1下地材(12)は、下屋軸部材(21)よりも上の位置で柱(11)に取り付けられる。第2下地材(13)は、下屋軸部材(21)よりも下の位置で柱(11)に取り付けられる。
図1
図2
図3
図4