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7626306判定システム、判定方法、及び判定プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】判定システム、判定方法、及び判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/16 20160101AFI20250128BHJP
   A23K 10/20 20160101ALI20250128BHJP
   A23K 10/26 20160101ALI20250128BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20250128BHJP
   A23K 10/37 20160101ALI20250128BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20250128BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20250128BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
A23K10/16
A23K10/20
A23K10/26
A23K10/30
A23K10/37
C12Q1/02
C12Q1/68
C12M1/34 A
C12M1/34 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021021726
(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公開番号】P2021132641
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2020030161
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】青木 里奈
(72)【発明者】
【氏名】早川 謙嗣
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-142687(JP,A)
【文献】特表2016-516991(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105338821(CN,A)
【文献】特開2001-178375(JP,A)
【文献】特開平11-098963(JP,A)
【文献】特表2009-512435(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0208470(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0303129(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101438771(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/16
A23K 10/20
A23K 10/26
A23K 10/30
A23K 10/37
C12Q 1/02
C12Q 1/68
C12M 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する判定システムであって、
前記検討対象物の特定情報を受け付け、
前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物における構成成分割合が30%以上である構成成分と、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかにおける構成成分割合が30%以上である構成成分とを対比し、前記構成成分割合が30%以上である構成成分の内、対応する前記構成成分の構成成分割合どうしの差の絶対値の合計値として求められる近似度に基づいて、前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する、判定手段を有する、
ことを特徴とする判定システム。
【請求項2】
前記判定手段が判定した結果を提示する結果提示手段を有する、請求項1に記載の判定システム。
【請求項3】
前記検討対象物が、植物体、動物体、バクテリア、菌類、及び原生生物の少なくとも一部である、請求項1から2のいずれかに記載の判定システム。
【請求項4】
前記検討対象物の特定情報が、前記検討対象物の名称、前記検討対象物の部位名、及び前記検討対象物の構成成分割合の少なくとも1以上を含む、請求項1から3のいずれかに記載の判定システム。
【請求項5】
前記判定手段が、前記検討対象物の特定情報をユーザーからの無線及び有線の少なくともいずれかの通信により受け付ける、請求項1から4のいずれかに記載の判定システム。
【請求項6】
前記判定手段が、
前記近似度が所定の閾値以下であるときに、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかが有ると判定する、請求項に記載の判定システム。
【請求項7】
前記所定の閾値が30以下である、請求項6に記載の判定システム。
【請求項8】
前記判定手段が、
前記検討対象物における構成成分割合が30%以上である構成成分と、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかにおける構成成分割合が30%以上である構成成分とが対応しない場合は、近似度を算出せずに、検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかが無いと判定する、請求項6に記載の判定システム。
【請求項9】
前記判定手段により前記検討対象物と代替可能な前記代替飼料を用いて飼育した生物Aの状態情報と、
前記代替飼料を用いずに飼育した生物Bの状態情報と、
を比較し評価する比較評価手段を更に有する、請求項1から8のいずれかに記載の判定システム。
【請求項10】
検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する判定方法であって、
検討対象物の特定情報を受け付け、
受け付けた前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物における構成成分割合が30%以上である構成成分と、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかにおける構成成分割合が30%以上である構成成分とを対比し、前記構成成分割合が30%以上である構成成分の内、対応する前記構成成分の構成成分割合どうしの差の絶対値の合計値として求められる近似度に基づいて、前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する、判定工程を含む、
ことを特徴とする判定方法。
【請求項11】
検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する判定プログラムであって、
検討対象物の特定情報を受け付け、
受け付けた前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物における構成成分割合が30%以上である構成成分と、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかにおける構成成分割合が30%以上である構成成分とを対比し、前記構成成分割合が30%以上である構成成分の内、対応する前記構成成分の構成成分割合どうしの差の絶対値の合計値として求められる近似度に基づいて、前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する、
処理をコンピュータに行わせることを特徴とする判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定システム、判定方法、及び判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品の廃棄物を魚や豚などの飼料に混合し、従来用いている飼料の代替を行う取り組みがなされている。
特に、魚の飼料には原料として魚粉が用いられているが、魚の天然資源保護のための漁獲量調整や、魚の養殖量の増加に伴う魚粉需要の高まりなどから魚粉の供給不足などが懸念されており、代替飼料の需要が高まっている。
【0003】
この問題に対して、藻類を利用することが試みられている。藻類はその種類によって含有する主成分が異なることが知られている。このため、複数の種類の藻類を用いて食料品を製造することが検討されており、実際に、含有する栄養成分が異なる複数の藻類を組み合わせて、宇宙食を製造したことが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、藻類は光合成により大気中の二酸化炭素を固定することができるものが多い。これらのことから、藻類の利用価値が非常に高いため、この藻類を広く利用することが試みられている。
【0004】
藻類を代替飼料として用いる方法としては、例えば、特定の培養条件下で藻類を培養することにより、魚粉に近いアミノ酸組成を有する藻類を培養し、この藻類を従来の飼料に用いられていた魚粉に置き換えた飼料を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、他の方法としては、例えば、サケ魚飼料に用いられている合成化学物質添加物を海藻に置換した飼料を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】ユーグレナ社、“JAXAらが始動する「Space Food X」に参画し、微細藻類の大量培養技術を生かした宇宙での新たな食料資源の開発に取り組みます”、[online]、2019年3月27日発行、インターネット<URL:https://www.euglena.jp/news/20190327-2/>
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-205045号公報
【文献】特開2012-533285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、実用飼料それ自体又はその配合成分として、検討対象物を代替利用することができるか否かを判定する、判定システム、判定方法、及び判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する、システム、方法、及びプログラムであって、前記検討対象物の特定情報を受け付け、前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定することにより、実用飼料それ自体又はその配合成分として、検討対象物を代替利用することができるか否かを判定する、判定システム、判定方法、及び判定プログラムを提供することができることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する判定システムであって、
前記検討対象物の特定情報を受け付け、
前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する、判定手段を有する、
ことを特徴とする判定システムである。
<2> 検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する判定方法であって、
検討対象物の特定情報を受け付け、
受け付けた前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する、判定工程を含む、
ことを特徴とする判定方法である。
<3> 検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する判定プログラムであって、
検討対象物の特定情報を受け付け、
受け付けた前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する、
処理をコンピュータに行わせることを特徴とする判定プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、実用飼料それ自体又はその配合成分として、検討対象物を代替利用することができるか否かを判定する、判定システム、判定方法、及び判定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施態様に係る判定システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、判定システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、判定システムの機能構成の一例を示す図である。
図4A図4Aは、検討対象物DBの一例を示す図である。
図4B図4Bは、実用飼料DBの一例を示す図である。
図4C図4Cは、判定結果DBの一例を示す図である。
図5図5は、端末装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、端末装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、判定システムにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、判定システムの機能構成の他の一例を示す図である。
図9A図9Aは、状態情報DBの一例を示す図である。
図9B図9Bは、状態情報DBが記憶する状態情報データの一例を示す図である。
図9C図9Cは、状態情報DBが記憶する状態情報データの他の一例を示す図である。
図9D図9Dは、状態情報DBが記憶する状態情報データの他の一例を示す図である。
図9E図9Eは、状態情報DBが記憶する状態情報データの他の一例を示す図である。
図9F図9Fは、状態情報DBが記憶する状態情報データの他の一例を示す図である。
図9G図9Gは、状態情報DBが記憶する状態情報データの他の一例を示す図である。
図10図10は、比較評価結果DBが記憶する比較評価結果データの一例を示す図である。
図11図11は、判定システムにおける処理手順の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(判定システム、判定方法、及び判定プログラム)
本発明の判定システムは、
検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する判定システムであって、
前記検討対象物の特定情報を受け付け、
受け付けた前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する、判定手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の判定方法は、
検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する判定方法であって、
前記検討対象物の特定情報を受け付け、
受け付けた前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する、判定工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の判定プログラムは、
検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する判定プログラムであって、
前記検討対象物の特定情報を受け付け、
受け付けた前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する、処理をコンピュータに行わせ、更に必要に応じてその他の処理をコンピュータに行わせる。
【0013】
本発明の判定方法は、本発明の判定方法に係る判定システムにより好適に行うことができ、判定工程は判定手段により好適に行うことができ、その他の工程はその他の手段により好適に行うことができる。
【0014】
本発明の判定システムにおける制御部等が行う制御は、本発明の判定方法を実施することと同義であるので、本発明の判定システムの説明を通じて本発明の判定方法の詳細についても明らかにする。また、本発明の判定プログラムは、ハードウェア資源としてのコンピュータ等を用いることにより、本発明の判定システムとして実現させることから、本発明の判定システムの説明を通じて本発明の判定プログラムの詳細についても明らかにする。
また、本発明の判定システムにおける各手段は、一体となっていてもよいし、別々になって(互いに離れて)いてもよい。各手段が別々となっている場合には、例えば、これらの各手段をイントラネットやインターネットなどのネットワークを用いて接続することが好ましい。
【0015】
従来技術では、代替飼料として用いることを検討する物質(検討対象物)を、実際に使用されている飼料(実用飼料)及び実用飼料を構成する配合成分(配合原料)の少なくともいずれかに代替することが可能であるか否かを、検討することができないという問題があった。
そこで本発明者らは、検討対象物の構成成分などの特定情報と、実用飼料及び実用飼料の配合成分の少なくともいずれかの特定情報とを照合することにより、検討対象物を実用飼料に代替利用することができる可能性があるか否かを判定するシステムを提供することができることを見出した。
【0016】
<判定手段及び判定工程>
前記判定手段は、検討対象物の特定情報を受け付け、
受け付けた前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する手段である。
前記判定工程は、検討対象物の特定情報を受け付け、
受け付けた前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する工程である。
前記判定工程は、前記判定手段により好適に実施することができる。
前記判定手段としては、上記の機能を実現可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のコンピュータ、サーバ装置、携帯端末などの処理装置(CPU等)及び記憶装置を用いて実現することができる。また、前記判定手段は、本発明を利用する使用者(ユーザ)が有する携帯端末(タブレット端末、スマートフォン等)における処理装置(CPU等)が実現する機能の一部としてもよい。
【0017】
-検討対象物-
前記検討対象物としては、後述する実用飼料及び実用飼料の配合成分の少なくともいずれかの代替物として利用することを検討する対象の物であって、生物が摂食することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物体、動物体、バクテリア、菌類、及び原生生物の少なくとも一部、食品加工工場等で生じる廃棄物などが挙げられる。
【0018】
前記生物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、陸上生物、水生生物、両生生物などが挙げられる。
前記陸上生物としては、例えば、陸上哺乳類、爬虫類、鳥類、昆虫類などが挙げられる。より具体的には、例えば、家畜、愛玩動物などが挙げられる。
前記水生生物としては、例えば、魚類、水生哺乳類、貝類などが挙げられる。
前記両生生物としては、例えば、両生類などが挙げられる。
【0019】
前記植物体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、牧草、穀物、野菜、これらの発酵物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記牧草としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の飼料などに用いられているものが挙げられる。
前記穀物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の飼料などに用いられているものが挙げられる。
前記野菜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記植物体の一部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、野菜のヘタ、野菜の種、野菜の外葉及び芯などが挙げられる。
【0020】
前記動物体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、哺乳類(例えば、牛、豚)、鳥類(例えば、鶏)、魚類(例えば、イワシ、サンマ、ニシン)、昆虫類(例えば、アメリカ水アブの幼虫、ミールワーム、コオロギ、イエバエ)、これらの発酵物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記動物体の一部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、肉粉、肉骨粉などが挙げられる。
【0021】
前記バクテリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シアノバクテリア門藻類、大腸菌、乳酸菌、枯草菌、メタン資化性菌、これらの発酵物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記バクテリアの一部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、抽出物などが挙げられる。
前記菌類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酵母、キノコ(例えば、椎茸、しめじ)、これらの発酵物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記菌類の一部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、抽出物などが挙げられる。
前記原生生物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真核藻類(例えば、緑色植物門藻類、紅色植物門藻類、灰色植物門藻類、不等毛植物門藻類、渦鞭毛植物門藻類、クロララクニオン植物門藻類、ハプト植物門藻類、クリプト植物門藻類、ユーグレナ植物門藻類)、これらの発酵物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記原生生物の一部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、抽出物などが挙げられる。
【0022】
前記食品加工工場等で生じる廃棄物として、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、大豆油粕、濃縮大豆たんぱく質(大豆を脱脂後、糖類、イソフラボンなどを除去したもの)、コーングルテンミール、トウモロコシ蒸留粕、ナタネ油粕、酒粕、米糠、酒類発酵残渣、食品残渣、野菜裁断片、果物裁断片、魚アラ、これらの発酵物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記検討対象物としては、特に、藻類が好ましい。前記藻類は、その種ごとに成分が異なり、前記藻類の組合せにより、所望の栄養成分を含有する飼料を調製することができる点で好ましい。
また、前記検討対象物としては、1種類の実用飼料に対して複数の検討対象物を用いて代替利用可能性を判定することが好ましい。例えば、2種の検討対象物を用いる場合、2種のうちの一の検討対象物と、他の検討対象物とを組み合わせて代替利用可能性を判定することにより、一の検討対象物では補完しきれなかった実用飼料の構成成分を他の検討対象物を用いて補完することができるか否かを判定することができる。
【0024】
-検討対象物の特定情報-
前記検討対象物の特定情報としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記検討対象物の名称、部位名、構成成分、構成成分割合(%)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記検討対象物の特定情報の少なくとも1つが構成成分割合(%)であると、前記実用飼料の構成成分との照合をより正確に行うことができるため好ましい。
前記検討対象物の特定情報が、前記検討対象物の名称の場合には、公知の検討対象物の構成成分などについてのデータベース(例えば、食品成分データベース(文部科学省、[online]、<URL:https://fooddb.mext.go.jp/index.pl>)など)やネットワークを参照することにより、前記検討対象物の構成成分の情報を入手し、前記検討対象物の特定情報と後述する前記実用飼料の特定情報とを照合(対比)し、前記検討対象物が前記実用飼料の代替飼料として利用可能か否かを判定することができる。
【0025】
前記部位名としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記検討対象物の一部分の名称を意味する。具体的には、例えば、野菜のヘタや種、魚の頭などが挙げられる。
【0026】
前記構成成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タンパク質、脂質、炭水化物、その他の成分などが挙げられる。なお、前記その他の成分としては、例えば、核酸、ビタミン、ミネラル、色素、などが挙げられる。
前記構成成分割合(%)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記検討対象物の全量に対する構成成分割合(%)、前記検討対象物の単位量当たりに対する構成成分割合(%)などが挙げられる。前記構成成分割合(%)に用いられる前記検討対象物の状態としては、特に制限はなく、生、乾燥のいずれでもよい。
なお、前記検討対象物の一部分を用いる場合には、前記構成成分割合(%)は、前記検討対象物の一部分が含有する構成成分の割合を意味する。
【0027】
前記タンパク質としては、例えば、タンパク質を構成するアミノ酸の種類などを表示することが挙げられる。
前記脂質としては、例えば、必須脂肪酸(例えば、リノレン酸(LNA)、n-3高度不飽和酸(n-3HUPA)、リノール酸(LA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA))の種類などが挙げられる。
前記炭水化物としては、例えば、食物繊維、単糖、オリゴ糖、多糖の種類などが挙げられる。
前記ビタミンとしては、例えば、水溶性、脂溶性の種類などが挙げられる。
前記ミネラルとしては、例えば、カルシウム、リン、カリウム、マグネシウムなどが挙げられる。
前記色素としては、例えば、カロテノイドなどが挙げられる。
なお、これらの成分はさらに細かく分類されていることが好ましい。前記組成、又は前記構成成分が、細かく分類されていることにより、実用飼料とのより詳細な対比が可能となる場合がある。
【0028】
-実用飼料-
前記実用飼料としては、愛玩動物(例えば、魚、犬、猫、鳥など)や家畜、養殖魚の飼料などに用いられているものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記実用飼料としては、1種単独の配合成分(原料)からなるものでもよく、2種以上の配合成分を混合した混合飼料でもよい。具体的には、1種単独の配合成分からなる前記実用飼料としては、例えば、魚粉そのものなどが挙げられ、2種以上の配合成分を混合した混合飼料としては、例えば、魚粉、オキアミミール、エビミール、及びイカミールなどを混合した飼料などが挙げられる。
【0029】
-実用飼料の特定情報-
前記実用飼料の特定情報としては、前記検討対象物の特定情報と同様の項目を有し、前記実用飼料及び実用飼料における配合成分(配合原料)の少なくともいずれかの構成成分、及び構成成分割合(%)の情報を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記構成成分としては、例えば、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律第32条第1項の規定に基づき農林水産大臣が定める飼料の品質に関する表示の基準の栄養成分量等の表示に基づき、粗タンパク質、粗脂肪、カルシウム、リン、粗繊維、粗灰分などが挙げられる。また、その他にも、公知の分析法及び推定法の少なくともいずれかにより換算値として求められるタンパク質、脂質、炭水化物、その他の成分などが挙げられる。
なお、本発明では、実用飼料の特定情報として、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律第32条第1項の規定に基づき農林水産大臣が定める飼料の品質に関する表示の基準の栄養成分量等の表示に基づき、粗タンパク質、粗脂肪、カルシウム、リン、粗繊維、粗灰分を用いる場合には、前記検討対象物の特定情報の「タンパク質」は「粗タンパク質」と、「脂質」は「粗脂肪」と、「炭水化物」は「粗繊維」と対応するものとし、前記検討対象物の特定情報と、実用飼料及び実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの特定情報とを照合する。なお、検討対象物の特定情報として、「タンパク質」、「脂質」、及び「炭水化物」以外の項目については、適宜使用者が実用飼料と対応する特定情報を選択してもよいし、そのすべての項目を用いる必要はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0030】
前記実用飼料及び実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの特定情報としては、(A)粗タンパク質(タンパク質)の含有量、及び(B)粗脂肪(脂質)の含有量の少なくともいずれかが明らかであれば、その構成成分の全てが既知でなくてもよい。このような場合には、前記(A)及び前記(B)の少なくともいずれか以外の特定情報が既知でない前記実用飼料に対して、構成成分割合(%)及び種類が近く、前記(A)及び前記(B)の少なくともいずれか以外の構成成分割合(%)が既知である他の実用飼料を用いて、既知でない特定情報を代替(補完)することが好ましい。このようにすることにより、実用飼料の特定情報が少ない場合においても、検討対象物との代替利用性を検討することができる。
なお、実用飼料と種類が近いとは、例えば、実用飼料と分類学上の属が同じである場合などを意味する。より具体的には、例えば、みかんの皮であれば、これと分類学上属が同じである、スダチの皮、はっさくの皮などが挙げられる。
また、前記実用飼料の特定情報としては、本発明のシステムの管理者のサーバ装置に保存されているものに限らず、外部のサーバ装置に保存されているデータを使用してもよい。
前記実用飼料の特定情報としては、例えば、牛用配混合飼料データベース(一般社団法人 日本科学飼料協会(Japan Scientific Feeds Association)、[online]、<URL:http://kashikyo.lin.gr.jp/database/jigyo.htm>)などが挙げられる。
【0031】
前記検討対象物の特定情報を受け付ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、端末装置から前記検討対象物の特定情報を入力し有線及び無線の少なくともいずれかの通信により前記特定情報を受け付ける方法などが挙げられる。
前記端末装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどが挙げられる。なお、本発明においては、本発明を利用する使用者(ユーザと称することがある)が有する端末を、検討対象物の特定情報を受け付ける手段の一例として利用することができ、本発明の判定システムにおける判定手段が取得する特定情報を、ユーザが有する端末により適宜取得することができる。
【0032】
前記判定手段において、「前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する」とは、受け付けた前記検討対象物の特定情報と、前記実用飼料の特定情報とを照合(対比)し、前記検討対象物が前記実用飼料の一部若しくは全部の構成成分を代替可能であるか、又は前記実用飼料の配合成分の一部若しくは全部の構成成分を代替可能であるか否かを判定することを意味する。
【0033】
このことについてより詳細に説明する。まず、(A1)「検討対象物と代替可能な、実用飼料の有無の判定」について説明する。例えば、検討対象物Aの特定情報として「タンパク質」及び「脂質」を用いる場合、検討対象物Aの特定情報と、実用飼料のデータベースにおける実用飼料の特定情報の「粗タンパク質」及び「粗脂肪」の項目を照合し、検討対象物Aの特定情報と、実用飼料の特定情報が対応し、かつ検討対象物Aの構成成分割合(%)と、実用飼料の構成成分割合(%)との差分が所定値以下である実用飼料が存在するか否か判定する。
なお、ここで「対応する」とは、一の項目と、他の項目とに関連性があることを意味し、この説明においては、検討対象物における「タンパク質」と実用飼料における「粗タンパク質」とが、検討対象物における「脂質」と実用飼料における「粗脂肪」とが、それぞれ対応する関係にあることを意味する。
前記所定値としては、特に制限はなく、使用者が検討対象物と実用飼料との同一性をどの程度求めるのかによって適宜変更することができる。所定値は小さいほど検討対象物と実用飼料との構成が近いことを意味する。
検討対象物Aの特定情報と、実用飼料の特定情報を照合した結果、検討対象物Aの特定情報と、実用飼料の特定情報が対応しており、かつ検討対象物Aの構成成分割合(%)と、実用飼料の構成成分割合(%)との差分が所定値以下である実用飼料1を特定した場合、実用飼料1における「粗タンパク質」、及び「粗脂肪」については検討対象物Aを代替可能である構成成分を有するため、前記判定手段は、「検討対象物Aと代替可能な、実用飼料1の構成成分が有る」と判定する。
【0034】
次に、(A2)「検討対象物と代替可能な、実用飼料における配合成分の有無の判定」について説明する。例えば、検討対象物Bの特定情報として「タンパク質」及び「脂質」を用いる場合、(A1)の場合と同様にまず、検討対象物Bの特定情報と、実用飼料のデータベースにおける実用飼料の特定情報の「粗タンパク質」及び「粗脂肪」の項目を照合し、検討対象物Bと代替可能な、実用飼料があるか否かを照合する。
検討対象物Bと代替可能な、実用飼料の構成成分が無い場合、実用飼料を構成する配合成分(配合原料)について「粗タンパク質」及び「粗脂肪」の項目と、検討対象物Bの特定情報とを照合する。これにより検討対象物Bの特定情報と、実用飼料の配合成分の特定情報とが対応し、かつ検討対象物Bの構成成分割合(%)と、実用飼料の配合成分の構成成分割合(%)との差分が所定値以下である実用飼料の配合成分が存在するか否か判定する。
検討対象物Bの特定情報と、実用飼料の配合成分の特定情報を照合した結果、検討対象物Bの特定情報と、実用飼料の配合成分の特定情報が対応しており、かつ検討対象物Bの構成成分割合(%)と、実用飼料の配合成分の構成成分割合(%)との差分が所定値以下である実用飼料2の配合成分2aを特定した場合には、実用飼料2の配合成分2aにおける「粗タンパク質」及び「粗脂肪」については検討対象物Bを代替可能であるため、前記判定手段は、「検討対象物Bと代替可能な、実用飼料2の配合成分2aが有る」と判定する。
このように、本発明の判定システムは、実用飼料及び実用飼料における配合成分として、検討対象物を代替利用することができるか否かを判定することができる。
【0035】
また、前記判定手段としては、前記検討対象物の構成成分割合(%)と、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの構成成分割合(%)とを対比し、その近似度に基づいて、前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定することが好ましい。
ここで、前記近似度は、前記検討対象物における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分と、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかにおける構成成分割合(%)が30%以上である構成成分とが対応し、かつ、前記構成成分割合(%)が30%以上である構成成分の内、対応する前記構成成分の構成成分割合(%)どうしの差の絶対値の合計値として求められる値を意味する。
例えば、(B1)検討対象物Cにおける構成成分割合(%)が30%以上である構成成分が、「タンパク質(48%)」、「脂質(40%)」であり、実用飼料3における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分が、「粗タンパク質(40%)」及び「粗脂肪(35%)」である場合を検討する。この場合、検討対象物Cと実用飼料3との対応する構成成分の構成成分割合(%)どうしの差の絶対値は、「タンパク質-粗タンパク質」が「8」、「脂質-粗脂肪」が「5」となるため、近似度は「13」となる。
また、例えば、(B2)検討対象物Dにおける構成成分割合(%)が30%以上である構成成分が、「タンパク質(30%)」、「脂質(50%)」であり、実用飼料4における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分が、「粗タンパク質(50%)」及び「粗脂肪(35%)」である場合を検討する。この場合、検討対象物Dと実用飼料4との対応する構成成分の構成成分割合(%)どうしの差の絶対値は、「タンパク質-粗タンパク質」が「20」、「脂質-粗脂肪」が「15」となるため、近似度は「35」となる。
また、例えば、(B3)検討対象物Eにおける構成成分割合(%)が30%以上である構成成分が、「タンパク質(48%)」、「脂質(40%)」であり、実用飼料5における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分が、「粗タンパク質(30%)」、「粗脂肪(30%)」、及び「粗灰分(30%)」である場合、構成成分割合(%)が30%以上である構成成分が対応していないため、検討対象物Eと実用飼料5との近似度を算出しない。
なお、「前記実用飼料における配合成分」の場合においても、「実用飼料」の場合と同様に、「検討対象物における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分」と、「実用飼料における配合成分」の構成成分割合(%)とを対比し、近似度を算出する。
【0036】
また、前記検討対象物と、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかと、のそれぞれにおける構成成分割合(%)をその値の大きさで順位付けした場合に、前記検討対象物と、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかと、のそれぞれにおける構成成分の順位が対応していることが好ましい。このようにすることにより、前記検討対象物を代替飼料として用いた際に、前記実用飼料の構成成分割合(%)を超える構成成分が存在してしまうことを防ぐことができる。なお、この場合、全ての構成成分が対応している必要はなく、前記検討対象物における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分と、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかにおける構成成分割合(%)が30%以上である構成成分と、が少なくとも対応していることが好ましい。
【0037】
また、前記判定手段は、前記近似度が所定の閾値以下であるときに、前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかが有ると判定することが好ましい。
例えば、前記所定の閾値が「30」である場合、上記(B1)で例示したように近似度が「13」であるときは、所定の閾値以下であるため、前記検討対象物Cは、前記実用飼料3と代替可能で有ると判定する。
また、例えば、前記所定の閾値が「30」である場合、上記(B2)で例示したように近似度が「35」であるときは、所定の閾値を超える値であるため、前記検討対象物Dは、前記実用飼料4とは代替可能で無いと判定し、他の実用飼料及び実用飼料における配合成分と代替可能であるかの判定を行う。
前記所定の閾値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記所定の閾値としては、例えば、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。前記所定の閾値が30以下であると、検討対象物と、実用飼料及び実用飼料における配合成分の少なくともいずれかとの差が小さいため、実用飼料及び実用飼料における配合成分の少なくともいずれかを検討対象物に代替し、使用した場合に家畜などの栄養不良を引き起こすなどのトラブルを抑制することができる。
【0038】
<その他の手段及びその他の工程>
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結果提示手段、比較評価手段などが挙げられる。
【0039】
<<結果提示手段>>
前記結果提示手段は、前記判定手段が判定した結果を提示する手段である。前記結果提示手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の判定システムの制御部と有線又は無線で接続した出力装置などが挙げられる。前記出力装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のコンピュータ、サーバ装置、携帯端末などの出力装置を用いて実現することができる。
前記判定手段が判定した結果を提示する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インターネット上のWebサイトやアプリケーション上で表示する方法、前記検討対象物の特定情報を提供した使用者にメール及び郵送の少なくともいずれかで送信する方法などが挙げられる。
【0040】
<<比較評価手段>>
前記比較評価手段は、前記判定手段により前記検討対象物と代替可能な前記代替飼料を用いて飼育した生物Aの状態情報と、前記代替飼料を用いずに飼育した生物Bの状態情報と、を比較し評価する手段である。
前記比較評価手段としては、上記の機能を実現可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のコンピュータ、サーバ装置、携帯端末などの処理装置(CPU等)及び記憶装置を用いて実現することができる。また、前記比較評価手段は、本発明を利用する使用者(ユーザ)が有する携帯端末(タブレット端末、スマートフォン等)における処理装置(CPU等)が実現する機能の一部としてもよい。
【0041】
ここで、前記比較評価手段が行う処理について、さらに詳細に説明する。
まず、前記比較評価手段は、前記代替飼料を用いて飼育した生物Aの飼育開始後における前記生物Aの状態情報を取得する。
ここで、「飼育開始後」とは、飼育を開始した直後から飼育を実施している期間を意味する。なお、飼育を実施している期間は、飼育を開始した直後から、状態情報を取得した時点までの間とも表現することができる。
前記比較評価手段は、前記生物の状態情報を取得し、取得した状態情報に基づいて前記生物Aの状態(品質)が良いか、悪いかを比較評価する。
ここで、生物の「状態(品質)が良い」とは、味、香り、食感、色、艶が良いことを意味する。
さらに、生物の「状態(品質)が悪い」とは、味、香り、食感、色、艶が悪いことを意味する。
【0042】
本発明の判定システムを利用する使用者(以下、ユーザと称することがある)は、本発明の判定システムを用いて判定した代替飼料を用いて飼育した生物(以下、生物Aと称する)の状態情報を取得する。前記ユーザが取得した状態情報と、前記代替飼料を用いずに飼育した生物(以下、生物Bと称する)の状態情報と、を前記比較評価手段により比較し評価することで、前記代替飼料を用いることによる生物への影響を評価することができる。これにより、前記検討対象物を前記代替飼料に変更したことによる利点(メリット)及び欠点(デメリット)の情報を取得することができる。このような情報を取得することができると、例えば、養殖や畜産産業において、代替飼料を用いたことによる効果についての情報を提供することができる。また、生産者などが、代替飼料を用いることによる効果を期待して、他の生物に対しても代替飼料を実施することを検討することができる。
【0043】
前記生物Aとしては、前記検討対象物において説明した生物と同様である。
前記生物Bとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記生物Aと同じ生物であることが好ましい。前記生物Bが前記生物Aと同じ生物であると、前記代替飼料を用いた影響を単純に比較することができる。
【0044】
なお、前記生物Bの状態情報はユーザが用意してもよいし、本発明の判定システムを利用する他のユーザの情報を利用してもよいし、本発明の判定システムを有する所有者が用意してもよいが、前記ユーザが用意することが好ましい。前記ユーザが前記生物Bのデータを用意することによって、前記生物Aとの比較をする際に、代替飼料以外の要因(例えば、飼育期間、飼育温度、飼育数(個体数)密度、など)を同条件とした場合の比較評価を行うことができる。このようにすることで、代替飼料を用いたことの効果をより単純に比較することができるため、確度の高い情報を取得することができる。
【0045】
前記生物A及び前記生物Bの状態情報としては、前記生物A及び前記生物Bの状態を示す情報であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記状態情報としては、例えば、前記生物A及び前記生物Bの飼育(生育)環境情報、前記生物A及び前記生物Bの情報、飼育(生育)者情報などが挙げられる。
【0046】
前記生物A及び前記生物Bの飼育(生育)環境情報(以下、単に「飼育環境情報」と称することがある)としては、前記生物A及び前記生物Bの飼育環境における情報であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飼育施設情報(屋内又は屋外)、飼育密度(kg/m)、飼育環境温度(℃)、飼育環境湿度(%)、溶存酸素濃度(mg/L)などが挙げられる。
前記飼育環境情報を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記飼育施設情報を取得する方法としては、例えば、本発明の判定システムを利用するユーザにより、飼育する生物種、飼育する施設が屋内外のいずれかであるか、飼育する施設の大きさ、飼育地域などの情報を入力させることにより得ることができる。
前記飼育密度(kg/m)を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、実重量測定結果の平均値と飼育数、飼育環境容積を用いて算出する方法などが挙げられる。
前記飼育環境温度(℃)を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温度計、温度センサなどが挙げられる。
前記飼育環境湿度(%)を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿度計、湿度センサなどが挙げられる。
前記溶存酸素濃度(mg/L)を取得する方法としては、例えば、DOセンサなどが挙げられる。
【0047】
前記生物A及び前記生物Bの情報としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飼育期間(日)、大きさ(体長(長さ(cm)、太さ(cm)、幅(cm)など))、体色、重量(g)、増量率(%)、餌摂取量(g)、糞量(g)、死亡率(%)、栄養成分比率(%)(粗タンパク質、粗脂肪、カルシウム、リン、粗繊維、粗灰分など)、切り身の色、におい(風味)、食感などが挙げられる。これらは、飼育している系(即ち、生簀)毎の平均値などの統計量を情報として取得、及び使用する。
前記生物の大きさの情報を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カメラにより画像を取得し測定する方法などが挙げられる。
前記生物の体色の情報を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カメラにより画像を取得し測定する方法などが挙げられる。
なお、前記色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、RGB表色系、XYZ表色系(xyY表色系)、L色空間、L色空間、マンセル表色系などで表される色情報などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記画像情報の取得条件としては、同じ色に対して安定した結果が得られる条件であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、D50(昼光、CIE標準光源)に近似した分光分布を有するLED照明のみを光源として用いた照明条件下で測定することが好ましい。上記照明条件下であると、常に同様の条件下でノイズの少ない色情報を得ることができる。
前記生物の重量(g)の情報を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サンプリングした個体の重量を測定する方法などが挙げられる。
前記生物の増量率(%)の情報は、前記重量(g)の情報から算出することができる。
前記生物の餌摂取量(g)の情報を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、給餌量をそのまま摂取量とする方法などが挙げられる。
前記生物の糞量(g)の情報を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、試験終了時に排水口から固形物を取り出し、乾燥後に重量を測定する方法などが挙げられる。
前記生物の死亡率(%)の情報を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、実際に死亡した個体数から算出する方法などが挙げられる。
前記生物の栄養成分比率(%)(粗タンパク質、粗脂肪、カルシウム、リン、粗繊維、粗灰分など)の情報を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タンパク質の測定方法としては窒素定量換算法や直接的なタンパク質の測定、脂質はエーテル抽出法、酸分解法、カルシウムは原子吸光光度法、リンは、バナドモリブデン酸吸光光度法、粗繊維はろ過法、粗灰分は直接灰化法などが挙げられる。
前記生物の切り身の色の情報を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カメラにより画像を取得する方法などが挙げられる。
前記生物のにおい(風味)の情報を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガスクロマトグラフィーを用いた方法などが挙げられる。
前記生物の食感の情報を取得する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テクスチャーアナライザを用いた方法などが挙げられる。
【0048】
前記飼育(生育)者情報としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飼育者の名前、住所、飼育家畜情報(種類、数、年数など)などが挙げられる。
前記飼育(生育)者情報を取得する方法としては、例えば、本発明の判定システムを利用するユーザにより、情報を入力させることにより得ることができる。
【0049】
前記比較評価手段は、生物の種類毎に、品質が良い状態と、品質が悪い状態とにおける、生物の状態情報を機械学習(Machine Learning)したものであることが好ましい。
【0050】
前記機械学習としては、例えば、[1]収穫した際における品質が良いと判断された生物の任意の時点におけるその生物の状態と、[2]収穫した際における品質が悪いと判断された生物の任意の時点におけるその生物の状態と、について機械学習(Machine Learning)を行うことにより、前記生物の状態を前記生物の任意の時点における状態情報から推定可能な機械学習のモデルを得ることが好ましい。
前記比較評価手段が、前記生物の種類毎に「品質が良い状態」及び「品質が悪い状態」における前記生物の状態情報を機械学習したモデルであると、前記代替飼料を用いることによる生物への影響を評価することができる。これにより、前記検討対象物を前記代替飼料に変更したことによる利点(メリット)及び欠点(デメリット)の情報を取得することができる。また、飼育期間において前記生物の状態情報を取得することにより、前記生物(生物A)の収穫時の状態を推定することができ、飼育方針の再検討などの機会を得ることができる。
前記機械学習の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニューラルネットワークを用いた方法、遺伝的プログラミングを用いた方法、サポートベクターマシン(SVM)を用いた方法などが挙げられる。
得られた機械学習のモデル(学習済みモデル)を用いて、推定した生物(生物A)の状態情報を比較評価する。また、このようにして比較評価した生物の状態情報は、後述する生物の比較評価結果データベースに記録することが好ましい。
前記機械学習のモデル(学習済みモデル)を有する比較評価手段としては、例えば、ビジュアルアナライザー(ビジュアルアナライザー IRISVA400、アルファ・モス・ジャパン社製)などが挙げられる。
【0051】
前記比較評価部の学習済みモデルにおける、前記生物(生物A)の状態情報と、前記生物の品質との関係としては、例えば、品質が既知の生物と、その生物の状態情報とが紐づけられた関係である。即ち、前記比較評価部において、前記生物の品質と、状態情報とが紐づけられている。
【0052】
本発明の判定プログラムは、使用するコンピュータの構成、並びにオペレーティングシステムの種類及びバージョンなどに応じて、各種のプログラミング言語を用いて作成することができる。
【0053】
本発明の判定プログラムは、ハードディスクなどの記録媒体に記録しておいてもよいし、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc-ROM)、MO(Magneto-Optical)ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体に記録しておいてもよい。
また、コンピュータから情報通信ネットワークを通じてアクセス可能な外部記憶領域(他のコンピュータなど)に、本発明の判定プログラムを記録しておいてもよい。この場合、外部記憶領域に記録された本発明の判定プログラムを、必要に応じて、外部記憶領域から情報通信ネットワークを通じて、記録媒体にインストールして使用することができる。
なお、本発明の判定プログラムは、複数の記録媒体に、任意の処理毎に分割されて記録されていてもよい。
【0054】
本発明の判定プログラムによる処理は、判定システムを構成する制御部を有するコンピュータを用いて実行することができる。
【0055】
以下、本発明の一実施形態を説明するが、本発明は、この実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、判定システムのハードウェア構成、及び機能構成の第1の実施形態について説明する。
【0056】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0057】
<判定システムのハードウェア構成>
図1は、本発明の一実施態様に係る判定システム100の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、判定システム100は、判定手段100’と、端末装置200A、端末装置200B、端末装置200C、…にそれぞれ搭載されている入力手段201a、201b、201c、…とを有する。
前記判定手段100’は、ネットワーク300を介して入力手段201a、201b、201c、…と通信可能に接続されている。
【0058】
なお、入力手段201a、201b、201c、…は、装置の構成についてそれぞれ同様であることから、以下では「入力手段201」と称してまとめて説明する。
また、端末装置200A、200B、200C、…は、区別が必要でないときは、単に、「端末装置200」と称することもある。
【0059】
図2は、判定システム100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2で示すように、判定システム100は、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置102、補助記憶装置103、通信インターフェース104、入力装置105a、出力装置106aの各部を有し、入力装置105b、及び出力装置106bを有する端末装置200と、ネットワーク300を介して接続している。これらの各部は、バス107を介してそれぞれ接続されている。
CPU101は、種々の制御や演算を行う処理装置である。CPU101は、主記憶装置102などが記憶するOS(Operating System)やプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。即ち、CPU101は、本発明では、判定プログラムを実行することにより、判定システム100の制御部130として機能する。
また、CPU101は、判定システム100全体の動作を制御する。なお、本発明では、判定システム100全体の動作を制御する装置をCPU101としたが、これに限ることなく、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)などとしてもよい。
主記憶装置102は、各種プログラムを記憶するとともに、各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。
主記憶装置102は、例えば、ROM及びRAM(Random Access Memory)の少なくともいずれかを有する。
ROMは、例えば、BIOS(Basic Input/Output System)、本発明の判定プログラムなどの各種プログラムなどを記憶している。ROMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ROMとしては、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)などが挙げられる。
RAMは、ROMや補助記憶装置などに記憶された各種プログラムが、CPU101により実行される際に展開される作業範囲として機能する。RAMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。RAMとしては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などが挙げられる。
【0060】
補助記憶装置103としては、各種情報を記憶できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。また、補助記憶装置103は、CDドライブ、DVDドライブ、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)ドライブなどの可搬記憶装置としてもよい。
【0061】
通信インターフェース104としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、無線又は有線を用いた通信デバイスなどが挙げられる。
【0062】
入力装置105aとしては、判定システム100に対する各種要求や情報の入力を受け付けることができれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどが挙げられる。また、入力装置105aがタッチパネル(タッチディスプレイ)である場合は、入力装置105aが出力装置106aを兼ねることができる。
【0063】
出力装置106aとしては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、ディスプレイなどが挙げられる。出力装置106aに用いられるディスプレイとしては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどが挙げられる。
【0064】
端末装置200は、入力装置105bと、出力装置106bとを有している。端末装置としては、入力装置105bを有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スマートフォンなどが挙げられる。また、端末装置200は、出力装置106bとして、表示画面を有する。表示画面としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどが挙げられる。
【0065】
なお、判定システム100におけるCPU101~出力装置106aは、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドの一部であってもよい。
【0066】
<判定システムの機能構成>
図3は、判定システム100の機能構成の一例を示す図である。
この図3に示すように、判定システム100は、通信部110、記憶部120、制御部130、入力部140、出力部150を有する。判定システム100においては、例えば、通信インターフェース104により通信部110の機能が実現され、主記憶装置102及び補助記憶装置103により記憶部120の機能が実現され、CPU101及び主記憶装置102により制御部130の機能が実現され、入力装置105a及び105bにより入力部140の機能が実現され、出力装置106a及び106bにより出力部150の機能が実現される。
【0067】
通信部110は、例えば、各種のデータを外部の装置(例えば、クラウドサーバなど)と送受信する。
【0068】
記憶部120は、例えば、各種プログラムを記憶すると共に、検討対象物DB121と、実用飼料DB122と、判定結果DB123とを有する。
【0069】
図4Aは、検討対象物DB121が記憶する検討対象物データの一例を示す図である。
図4Aに示すように、検討対象物DB121は、「検討対象物No.」、「名称」、「部位名」、「構成成分」などのデータ項目を含む。
図4Bは、実用飼料DB122が記憶する実用飼料データの一例を示す図である。
図4Bに示すように、実用飼料DB122は、「実用飼料No.」、「名称」、「配合成分(配合原料)」、「構成成分」などのデータ項目を含む。
【0070】
図4Cは、判定結果DB123が記憶する判定結果データの一例を示す図である。
図4Cに示すように、判定結果DB123は、「検討対象物No.」、「実用飼料No.」、「検討対象物と実用飼料との近似度」、「判定結果」などのデータ項目を含む。
【0071】
制御部130は、例えば、記憶部120に記憶された各種プログラムを実行するとともに、判定システム100全体の動作を制御する。制御部130は、照合部131と、判定部132とを有する。
【0072】
制御部130は、通信部110により受信した検討対象物の特定情報のデータを受け付け、検討対象物DB121へ受け付けた検討対象物の特定情報のデータを記憶させる。
照合部131は、受け付けた検討対象物の特定情報のデータと、実用飼料DB122に記憶した実用飼料のデータとに基づいて、近似度を算出し、判定結果DB123に算出結果を記憶させる。
判定部132は、算出した近似度が所定の閾値以下であるか否かを判定する。
【0073】
ここで、制御部130が行う制御について、具体例を用いてより詳細に説明する。
例えば、図4Aに記載されているように、検討対象物[10001]として「シアノバクテリア(Synechocystis sp. PCC 6803)」を、実用飼料として「ハマチ用飼料」(株式会社ヒガシマル製)を用いる場合について説明する。なお、「シアノバクテリア(Synechocystis sp. PCC 6803)」の特定情報としては、Flux Balance Analysis of Photoautotrophic Metabolism、Avantika A. Shastri and John A. Morgan、Biotechnol. Prog.2005,21,1617-1626を参照した。
まず、使用者は、検討対象物の特定情報として、例えば、「名称」、「構成成分」、「構成成分割合(%)」を入力する。判定システムが検討対象物の特定情報を受け付けると、検討対象物の特定情報と実用飼料DB122の実用飼料の特定情報とを照合する。即ち、検討対象物の構成成分割合(%)と、実用飼料及び実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの構成成分割合(%)とを対比し、近似度を算出する。
近似度の算出については、例えば、図4Aから図4Cに示す場合においては、検討対象物[10001]における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分と実用飼料DBにおける構成成分割合(%)が30%以上である構成成分とが対応しているため、構成成分割合が(%)が30%以上である構成成分の内、対応する構成成分割合(%)どうしの差の絶対値の合計を算出する。その結果、検討対象物[10001]における「タンパク質(51%)」と、実用飼料[A0001]及び[A0002]における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分「粗タンパク質」とが対応しており、検討対象物[10001](タンパク質(51%))と実用飼料[A0001](粗タンパク質(53%))との近似度は「2」、検討対象物[10001]と実用飼料[A0002](粗タンパク質(45%))との近似度は「6」となる。
なお、実用飼料[A0003]においては、検討対象物[10001]における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分「タンパク質(51%)」と、実用飼料[A0003]における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分「粗脂肪(30%)」とが対応していないため、近似度を算出しない。
ここで、判定部132は、算出した近似度が「所定の閾値」以下であるか否かを判定する。この例においては、例えば、「所定の閾値」を「10」と使用者が定めた場合には、図4Cに示すように、判定部132は、近似度が「10」以下である実用飼料[A0001]及び[A0002]は、判定結果として「検討対象物[10001]と代替可能な、実用飼料における構成成分が有る」と判定する。一方、近似度を算出していない実用飼料[A0003]については、判定部132は、判定結果として「検討対象物と代替可能な、実用飼料における構成成分が無い」と判定する。これらの判定結果は、判定結果DBに記憶される。
【0074】
また、検討対象物[10002]として「緑藻(Chlamydomonas sp. JSC4)」を、実用飼料として「ハマチ用飼料」(株式会社ヒガシマル製)を用いる場合について説明する。なお、「緑藻(Chlamydomonas sp. JSC4)」の特定情報としては、Optimizing biodiesel production in marine Chlamydomonas sp. JSC4 through metabolic profiling and an innovative salinity-gradient strategy, Ho et al. Biotechnology for Biofuels 2014, 7:97を参照した。
まず、上述したのと同様に、近似度を算出する。具体的には、検討対象物[10002]における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分「脂質(41.1%)」、「炭水化物(33.2%)」と、実用飼料[A10001]~[A0003]における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分とを対比した。その結果、検討対象物[10002]と、実用飼料[A10001]~[A0003]とは対応する構成成分がないため、近似度を算出しない。
ここで、判定部132は、近似度を算出していない実用飼料[A0001]~[A0003]について、判定結果として「検討対象物と代替可能な、実用飼料における構成成分が無い」と判定する。これらの判定結果は、判定結果DBに記憶される。
【0075】
次に、図4Aに記載されているように、検討対象物として2種の検討対象物を混合した検討対象物[10003]を、実用飼料として「ハマチ用飼料」(株式会社ヒガシマル製)を用いる場合について説明する。
検討対象物[10003]は、図4Aに示すように、上述の(a)「シアノバクテリア(Synechocystis sp. PCC 6803)」と(b)「緑藻(Chlamydomonas sp. JSC4)」とを(a):(b)=1:2となるように混合した検討対象物である。
まず、上述したのと同様に、近似度を算出する。具体的には、検討対象物[10003]における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分「脂質(30.7%)」と、実用飼料[A0001]及び[A0002]における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分「粗タンパク質」とが対応していないため、近似度を算出しない。実用飼料[A0003]においては、検討対象物[10003]における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分「脂質(30.7%)」と、実用飼料[A0003]における構成成分割合(%)が30%以上である構成成分「粗脂肪(30.0%)」とが対応しているため、構成成分割合(%)が30%以上である構成成分の内、対応する構成成分の構成成分割合(%)どうしの差の絶対値の合計値を算出する。その結果、検討対象物[10003](脂質(30.7%))と実用飼料[A0003](粗脂肪(30.0%))との近似度は「0.7」となる。
ここで、判定部132は、算出した近似度が「所定の閾値」以下であるか否かを判定する。この例においては、例えば、「所定の閾値」を「10」と使用者が定めた場合には、図4Cに示すように、判定部132は、近似度が「10」以下である実用飼料[A0003]は、判定結果として「検討対象物[10003]と代替可能な、実用飼料における構成成分が有る」と判定する。一方、近似度を算出していない実用飼料[A0001]及び[A0002]については、判定部132は、判定結果として「検討対象物と代替可能な、実用飼料における構成成分が無い」と判定する。これらの判定結果は、判定結果DBに記憶される。
【0076】
なお、上述した実施例においては、2種以上の検討対象物を用いる場合について、その組成比が明らかな場合の例を示したが、複数の検討対象飼料の特定情報があれば、その組成比は必ずしも必要ではなく、照合する実用飼料に対して最適な2種以上の検討対象物の組成比と代替利用することが可能か否かの判定結果を提示するようにすることもできる。
【0077】
入力部140は、例えば、判定システム100に対する各種指示を受け付ける。
【0078】
出力部150は、例えば、判定部132が判定した結果を、出力装置106に出力する。
【0079】
なお、判定システムのハードウェア構成及び機能構成の説明では、それぞれの要素が一体となった例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、一部の要素を独立させて、それぞれを通信インターフェースでネットワーク接続する形態であってもよい。より具体的には、例えば、検討対象物DB121と、実用飼料DB122とを、クラウドサーバ上の領域に保存するような形態であってもよい。
【0080】
次に、端末装置200のハードウェア構成及び機能構成について説明する。
【0081】
端末装置200は検討対象物の特定情報を判定システム100に送信するために使用者などに使用される装置である。
【0082】
<端末装置のハードウェア構成>
図5は、端末装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、端末装置200のハードウェア構成は、図2の判定システム100のハードウェア構成において、ネットワーク300を介して端末装置200が記載されていない以外は同様であるため、説明を省略する。
【0083】
<端末装置の機能構成>
図6は、端末装置200の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、端末装置200の機能構成としては、通信部210と、記憶部220と、制御部230と、入力部240と、出力部250と、を有する。
【0084】
通信部210は、制御部230の指示に基づき、通信インターフェース204を用いて、受け付けた検討対象物の特定情報を判定システム100へ送信する。
さらに、通信部210は、判定システム100から情報を受け付ける。
記憶部220は、判定システム100から受信した情報を補助記憶装置203に記憶する。
また、制御部230は、判定システム100に情報を送受信する制御を行う。
【0085】
次に、本発明の判定プログラムの処理手順を示す。図7は、判定システム100の制御部130における判定プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0086】
ステップS101では、判定システム100の制御部130は、通信部110から検討対象物の特定情報を受け付け、処理をS102へ移行する。
ステップS102では、照合部131は、受け付けた検討対象物の特定情報における検討対象物の構成成分割合(%)と、実用飼料及び実用飼料の配合成分の少なくともいずれかの構成成分割合(%)とを照合(対比)し、処理をS103へ移行する。
ステップS103では、判定部132は、検討対象物の構成成分割合(%)と、実用飼料及び実用飼料の配合成分の少なくともいずれかの構成成分割合(%)との近似度を算出し、処理をS104へ移行する。
ステップS104では、判定部132は、構成成分の近似度が閾値以下であるか否か判定し、近似度が閾値以下である場合には、処理をS105へ移行し、近似度が閾値以上又は近似度を算出していない場合には、処理をS106へ移行する。
ステップS105では、判定部132は、検討対象物と代替可能な、実用飼料及び実用飼料における配合成分の少なくともいずれかが有ると判定し、処理をS107へ移行する。
ステップS106では、判定部132は、検討対象物と代替可能な、実用飼料及び実用飼料における配合成分の少なくともいずれかは無いと判定し、処理をS107へ移行する。
ステップS107では、判定部132は、判定結果を結果提示手段に提示させ、本処理を終了させる。
【0087】
以上、説明したように、本発明の判定システムを用いることにより、実用飼料それ自体又は実用飼料の配合成分として、検討対象物を代替利用することができるか否かを判定することができる。
なお、上記説明では、1種類の検討対象物と、1種類の実用飼料との照合を行う場合について説明したが、1種類の実用飼料において、照合した一の検討対象物とは異なる検討対象物とを更に組み合わせて代替利用可能性を判定することにより、一の検討対象物では補完しきれなかった構成成分についての代替利用可能性を判定することができる。
【0088】
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、第2の実施形態においては、第1の実施形態において、さらに価格情報設定手段を設けた以外は、第1の実施形態と同様である。以下、第1の実施形態と異なる部分について説明を行う。
【0089】
<判定システムのハードウェア構成>
第2の実施形態において、判定システム100のハードウェア構成は第1の実施形態と同様である。
【0090】
<判定システムの機能構成>
図8は、判定システム100の機能構成の他の一例を示す図である。
図8において、第1の実施形態である図3との相違点は、記憶部120に状態情報DB124、及び比較評価結果DB125をさらに有する点、及び制御部130に比較評価部133をさらに有する点である。
【0091】
ここで、状態情報DBについて、図面を参照してより詳細に説明する。
図9A図9Gは、状態情報DBが記憶する状態情報テーブルの一例を示す図である。
状態情報DB124としては、例えば、「生物A:状態情報テーブル(飼育環境情報)」、「生物A:状態情報テーブル(生物情報)」、及び「生物A:状態情報テーブル(飼育者情報)」、並びに、「生物B:状態情報テーブル(飼育環境情報)」、「生物B:状態情報テーブル(生物情報)」、及び「生物B:状態情報テーブル(飼育者情報)」などが挙げられる。
図9A図9Gにおいては、生物A及び生物Bとして「ハマチ」を飼育した場合における例を示す。
なお、図9B図9Gにおいて、同じ記号や符号で表されているものは、同じ数値を表すものではなく、単に数値が記憶されていることを示すものである。
【0092】
図9Bに示すように、「生物A:状態情報テーブル(飼育環境情報)」は、「生物A(ハマチ)生簀No.」、「データ取得日」、「飼育施設」、「飼育期間(日)」、「飼料種」、「飼育密度(kg/m)」、「飼育環境温度(℃)」、及び「溶存酸素濃度(mg/L)」などのデータ項目を含む。
図9Cに示すように、「生物A:状態情報テーブル(生物情報)」は、「生物A(ハマチ)生簀No.」、「体長(cm)」、「重量(g)」、「増量率(%)」、「餌摂取量(g)」、「糞量(g)」、「死亡率(%)」、及び「栄養成分比率(%)(「粗タンパク質(%)」、「粗繊維(%)」、「粗灰分(%)」、「カルシウム(%)」、「リン(%)」)」などのデータ項目を含む。
図9Dに示すように、「生物A:状態情報テーブル(飼育者情報)」は、「生物A(ハマチ)生簀No.」、「飼育者名」、「住所」、「飼育家畜情報(「種類」、「数(kg)」、「年数(年)」)」などのデータ項目を含む。
図9Eに示すように、「生物B:状態情報テーブル(飼育環境情報)」は、「生物B(ハマチ)生簀No.」、「データ取得日」、「飼育施設」、「飼育期間(日)」、「飼料種」、「飼育密度(kg/m)」、「飼育環境温度(℃)」、及び「溶存酸素濃度(mg/L)」などのデータ項目を含む。
図9Fに示すように、「生物B:状態情報テーブル(生物情報)」は、「生物B(ハマチ)生簀No.」、「体長(cm)」、「重量(g)」、「増量率(%)」、「餌摂取量(g)」、「糞量(g)」、「死亡率(%)」、及び「栄養成分比率(%)(「粗タンパク質(%)」、「粗繊維(%)」、「粗灰分(%)」、「カルシウム(%)」、「リン(%)」)」などのデータ項目を含む。
図9Gに示すように、「生物B:状態情報テーブル(飼育者情報)」は、「生物B(ハマチ)生簀No.」、「飼育者名」、「住所」、「飼育家畜情報(「種類」、「数(kg)」、「年数(年)」)」などのデータ項目を含む。
【0093】
図10は、比較評価結果DB125が記憶する比較評価結果テーブルの一例を示す図である。
図10に示すように、比較評価結果DB125は、「生物A(ハマチ)生簀No.」、「生物B(ハマチ)生簀No.」、及び「比較評価結果」などのデータ項目を含む。
【0094】
状態情報DBが記憶する各データについては、各状態情報は、過去に取得した情報をそのまま用いてもよいし、状態情報データにおける1バッチ(整理番号、生簀No.)毎の統計値を用いてもよく、状態情報データにおける項目(例えば、状態情報データにおけるリン濃度)毎の統計値を用いてもよい。
【0095】
制御部130は、例えば、記憶部120に記憶された各種プログラムを実行するとともに、判定システム100全体の動作を制御する。第2の実施形態において、制御部130は、比較評価部133を制御する。
【0096】
比較評価部133は、判定部132により検討対象物と代替可能な代替飼料を用いて飼育した生物Aの状態情報を受け付け、状態情報DB124へ取得した状態情報データを記憶する。
また、比較評価部133は、状態情報DB124に記憶したデータと、状態情報DB124へ記憶した実用飼料を用いて飼育した生物Bのデータと、に基づいて、生物Aのデータ取得時点における生物Aの状態を評価する。
【0097】
ここで、制御部130が行う制御について、具体例を用いてより詳細に説明する。
例えば、図9Bに記載されているように、生物Aとして「ハマチ」を、代替飼料として「10001」を用いた場合について説明する。
まず、使用者は、「生物Aの状態情報(飼育環境情報)」として、「飼育施設」、「飼育期間(日)」「飼料種」、「飼育密度(kg/m)」、「飼育環境温度(℃)」、「溶存酸素濃度(mg/L)」を入力する。このとき、使用者は、図9D及び図9Gなどに示すような飼育者情報を同時に入力してもよい。これにより、気候や飼育状況が近い飼育状況の実用飼料を用いたデータを選択して比較評価することもできる。
判定システム100が「生物Aの状態情報(飼育環境情報)」を受け付けると、比較評価部133は「生物Aの状態情報(飼育環境情報)」と「生物Bの状態情報(飼育環境情報)」とを照合する。即ち、「生物Aの状態情報(飼育環境情報)」とデータ項目が一致する、又は近いデータ項目を有する「生物Bの状態情報(飼育環境情報)」のデータを検索及び抽出する。
なお、「近いデータ項目を有する」とは、例えば、「飼育施設」は完全に一致しており、「飼育期間(日)」、「飼育密度(kg/m)」、「飼育環境温度(℃)」、及び「溶存酸素濃度(mg/L)」のデータ項目については、「生物Aの状態情報(飼育環境情報)」におけるデータ項目の数値の±5%以内の数値範囲に入る対応するデータ項目を2つ以上有する、ことなどとする。「近いデータ項目を有する」の判断基準については、目的に応じて適宜使用者が設定することができる。
次に、使用者は、「生物Aの状態情報(生物情報)」として、「体長(cm)」、「重量(g)」、「増量率(%)」、「餌摂取量(g)」、「糞量(g)」、「死亡率(%)」、及び「栄養成分比率(%)(「粗タンパク質(%)」、「粗繊維(%)」、「粗灰分(%)」、「カルシウム(%)」、「リン(%)」)」を入力する。これらのデータ項目は手入力でもよいし、飼育環境に取り付けた無線又は有線で接続したセンサなどを用いて取得してもよい。
入力した「生物Aの状態情報(飼育環境情報)」と、データ項目が一致する又は近いデータ項目を有する「生物Bの状態情報(飼育環境情報)」のデータを照合し抽出したら、図9C及び図9Fに示す「生物Aの状態情報(生物情報)」の各データ項目と、「生物Bの状態情報(生物情報)」における対応するデータ項目と、を比較する。
比較評価部133は、比較した結果を比較評価結果DB125へ記憶させる。
【0098】
出力部150は、例えば、比較評価部133が評価した結果を、出力装置106に出力する。
【0099】
次に、本発明の判定プログラムの処理手順を示す。図11は、判定システム100の制御部130における判定プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0100】
ステップS201では、判定システム100の制御部130は、通信部110から代替飼料を用いて飼育した生物Aの状態情報を受け付け、処理をS102へ移行する。
ステップS202では、判定システム10の制御部130の比較評価部133は、受け付けた生物Aの状態情報と、対応する実用飼料を用いて飼育した生物Bの状態情報と、を照合し、処理をS203へ移行する。
ステップS203では、受け付けた生物Aが、照合した生物Bと比較し、状態(品質)が良いか否か評価し、処理をS204へ移行する。
ステップS204では、評価結果を比較評価結果DBへ記憶させ、処理をS205へ移行する。
ステップS205では、評価結果を結果提示手段に提示させ、本処理を終了させる。
【0101】
以上、説明したように、本発明の判定システムを用いることにより、前記ユーザが取得した状態情報と、前記代替飼料を用いずに飼育した生物(以下、生物Bと称する)の状態情報と、を前記比較評価手段により比較し評価することで、前記代替飼料を用いることによる生物への影響を評価することができる。これにより、前記検討対象物を前記代替飼料に変更したことによる利点(メリット)及び欠点(デメリット)の情報を取得することができる。このような情報を取得することができると、例えば、魚などの養殖産業において、代替飼料を用いたことによる効果についての情報を提供することができる。また、生産者などが、代替飼料を用いることによる効果を期待して、他の生物に対しても代替飼料を実施することを検討することができる。
【0102】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する判定システムであって、
前記検討対象物の特定情報を受け付け、
前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する、判定手段を有する、
ことを特徴とする判定システムである。
<2> 前記判定手段が判定した結果を提示する結果提示手段を有する、前記<1>に記載の判定システムである。
<3> 前記検討対象物が、植物体、動物体、バクテリア、菌類、及び原生生物の少なくとも一部である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の判定システムである。
<4> 前記検討対象物の特定情報が、前記検討対象物の名称、前記検討対象物の部位名、及び前記検討対象物の構成成分割合の少なくとも1以上を含む、前記<1>から<3>のいずれかに記載の判定システムである。
<5> 前記判定手段が、前記検討対象物の特定情報をユーザーからの無線及び有線の少なくともいずれかの通信により受け付ける、前記<1>から<4>のいずれかに記載の判定システムである。
<6> 前記判定手段が、
前記検討対象物の構成成分割合と、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの構成成分割合とを対比し、その近似度に基づいて、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する、前記<1>から<5>のいずれかに記載の判定システムである。
<7> 前記近似度が、
前記検討対象物における構成成分割合が30%以上である構成成分と、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかにおける構成成分割合が30%以上である構成成分とが対応し、かつ、
前記構成成分割合が30%以上である構成成分の内、対応する前記構成成分の構成成分割合どうしの差の絶対値の合計値として求められる、前記<6>に記載の判定システムである。
<8> 前記判定手段が、
前記近似度が所定の閾値以下であるときに、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかが有ると判定する、前記<7>に記載の判定システムである。
<9> 前記判定手段により前記検討対象物と代替可能な前記代替飼料を用いて飼育した生物Aの状態情報と、
前記代替飼料を用いずに飼育した生物Bの状態情報と、
を比較し評価する比較評価手段を更に有する、前記<1>から<8>のいずれかに記載の判定システムである。
<10> 検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する判定方法であって、
検討対象物の特定情報を受け付け、
受け付けた前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する判定工程を含む、ことを特徴とする判定方法である。
<11> 検討対象物の代替飼料としての代替利用可能性を判定する判定プログラムであって、
検討対象物の特定情報を受け付け、
受け付けた前記検討対象物の特定情報と、実用飼料の特定情報とを照合し、
前記検討対象物と代替可能な、前記実用飼料及び前記実用飼料における配合成分の少なくともいずれかの有無を判定する、処理をコンピュータに行わせることを特徴とする判定プログラムである。
【0103】
前記<1>から<9>のいずれかに記載の判定システム、前記<10>に記載の判定方法、及び前記<11>に記載の判定プログラムによると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0104】
100 判定システム
100’ 判定手段
121 検討対象物データベース
122 実用飼料データベース
123 判定結果データベース
124 状態情報データベース
125 比較評価結果データベース
131 照合部
132 判定部
133 比較評価部
200 端末機(端末装置)
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10
図11