IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電設株式会社の特許一覧 ▶ atma株式会社の特許一覧

特許7626378図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法
<>
  • 特許-図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法 図1
  • 特許-図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法 図2
  • 特許-図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法 図3
  • 特許-図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法 図4
  • 特許-図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法 図5
  • 特許-図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法 図6
  • 特許-図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法 図7
  • 特許-図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法 図8
  • 特許-図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法 図9
  • 特許-図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法 図10
  • 特許-図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法 図11
  • 特許-図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20250128BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250128BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06T7/00 610C
G06T11/60 100A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024133841
(22)【出願日】2024-08-09
【審査請求日】2024-08-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183392
【氏名又は名称】住友電設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519003608
【氏名又は名称】atma株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】辻 和幸
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴大
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-045564(JP,A)
【文献】特開2013-105247(JP,A)
【文献】特開2002-024307(JP,A)
【文献】特開2009-140478(JP,A)
【文献】特開2009-231944(JP,A)
【文献】特開2004-192576(JP,A)
【文献】特開2012-093831(JP,A)
【文献】特開2016-024527(JP,A)
【文献】特開2020-030648(JP,A)
【文献】特開2007-052808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/398
G06T 1/00
G06T 7/00 - 7/90
G06T 11/00 -11/80
G06V 10/00 -30/424
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を抽出する図面差分抽出システムであって、
複数のバージョンの図面データ群を含むプロジェクトのデータの選択を受け付ける第1受け付け部と、
前記第1受け付け部により前記プロジェクトのデータの選択を受け付ければ、選択された前記プロジェクトのデータの中から、前記旧バージョンの図面データ群の選択および前記新バージョンの図面データ群の選択を受け付ける第2受け付け部と、
前記第2受け付け部により前記旧バージョンの図面データ群の選択および前記新バージョンの図面データ群の選択を受け付ければ、前記旧バージョンの図面データ群のページ番号を前記新バージョンの図面データ群のページ番号に割り当てて前記旧バージョンの図面データ群のページと前記新バージョンの図面データ群のページとを紐付ける紐付け処理を行う紐付け処理部と、
前記紐付け処理部により紐付け処理された前記旧バージョンの図面データ群のページに対応する前記新バージョンの図面データ群のページと前記旧バージョンの図面データ群のページとの内容の追加削除およびページ数の増減を含む差分を抽出する差分抽出部と、
前記差分抽出部により抽出された前記差分のデータを生成する差分データ生成部と、
前記差分データ生成部により生成された前記差分のデータを出力するよう制御する出力制御部と、を備え
前記紐付け処理部は、ユーザーにより囲われた領域である図面データ中の選択領域内にある文字データを図面データ名として用い、各前記図面データの同じ前記選択領域内にある前記図面データ名の一致度合いに応じて前記紐付け処理を行う、図面差分抽出システム。
【請求項2】
前記出力制御部は、図面データ上で囲われた領域を指定領域として検知すれば、指定された前記指定領域を拡大すると共に、前記差分のデータとして前記旧バージョンの図面データに前記新バージョンの図面データを併記して表示するよう制御する、請求項1に記載の図面差分抽出システム。
【請求項3】
前記出力制御部は、前記差分のデータのうちの追加または削除を含む変更箇所の色を変更がない箇所の色と異ならせて表示するよう制御する、請求項1または請求項2に記載の図面差分抽出システム。
【請求項4】
前記出力制御部は、前記旧バージョンの図面データ群のページと前記新バージョンの図面データ群のページとを紐付けた紐付け結果を表示するよう制御する、請求項1または請求項2に記載の図面差分抽出システム。
【請求項5】
前記出力制御部は、前記紐付け結果をページ番号に対応させて並べて表示するよう制御する、請求項4に記載の図面差分抽出システム。
【請求項6】
前記出力制御部は、前記紐付け結果のうち、対応するページが無い場合、空欄で表示して前記紐付け結果を表示するよう制御する、請求項4に記載の図面差分抽出システム。
【請求項7】
前記紐付け処理部は、OCRにより前記選択領域内にある画像を読み取って文字として認識し、前記図面データ名の一致度合いを判断する、請求項1または請求項2に記載の図面差分抽出システム。
【請求項8】
前記紐付け処理部による前記紐付け処理の結果を手動により修正可能である、請求項1または請求項2に記載の図面差分抽出システム。
【請求項9】
前記差分抽出部における前記差分の判断基準を示す画素数は、1ピクセル以上3ピクセル以下である、請求項1または請求項2に記載の図面差分抽出システム。
【請求項10】
前記複数のバージョンの図面データ群を含む図面データファイルのデータを記憶する記憶部をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の図面差分抽出システム。
【請求項11】
前記出力制御部は、前記紐付け処理部における紐付け処理結果として前記旧バージョンの図面データ群に前記新バージョンの図面データ群を併記し、ページ番号順に並べて表示するよう制御すると共に、押下を検知することにより前記旧バージョンの図面データ群の間または前記新バージョンの図面データ群の間に空白ページを挿入するボタンを表示するよう制御する、請求項1または請求項2に記載の図面差分抽出システム。
【請求項12】
前記差分データ生成部により生成された前記差分のデータを、前記旧バージョンの図面データ群のファイル名および前記新バージョンの図面データ群のファイル名と共に前記記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部をさらに備え、
前記出力制御部は、前記記憶制御部により記憶するよう制御された前記差分のデータを、前記旧バージョンの図面データ群のファイル名および前記新バージョンの図面データ群のファイル名と共に表示するよう制御する、請求項10に記載の図面差分抽出システム。
【請求項13】
前記出力制御部は、前記差分のデータとして前記旧バージョンの図面データに前記新バージョンの図面データを併記する際に、前記旧バージョンの図面データ群および前記新バージョンの図面データ群を併せて表示すると共に、前記旧バージョンの図面データ群の中から併記された前記旧バージョンの図面データの表示および前記新バージョンの図面データ群の中から併記された前記新バージョンの図面データの表示を他の図面データの表示と異ならせて表示するよう制御する、請求項1または請求項2に記載の図面差分抽出システム。
【請求項14】
旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を抽出する図面差分抽出システムが実行する図面差分抽出方法であって、
図面差分抽出システムが、
複数のバージョンの図面データ群を含むプロジェクトのデータの選択を受け付ける第1受け付け工程と、
前記プロジェクトのデータの選択を受け付ければ、選択された前記プロジェクトのデータの中から、前記旧バージョンの図面データ群の選択および前記新バージョンの図面データ群の選択を受け付ける第2受け付け工程と、
前記旧バージョンの図面データ群の選択および前記新バージョンの図面データ群の選択を受け付ければ、前記旧バージョンの図面データ群のページ番号を前記新バージョンの図面データ群のページ番号に割り当てて前記旧バージョンの図面データ群のページと前記新バージョンの図面データ群のページとを紐付ける紐付け処理を行う工程と、
紐付け処理された前記旧バージョンの図面データ群のページに対応する前記新バージョンの図面データ群のページと前記旧バージョンの図面データ群のページとの内容の追加削除およびページ数の増減を含む差分を抽出する工程と、
抽出された前記差分のデータを生成する工程と、
生成された前記差分のデータを出力するよう制御する工程と、を実行し、
前記紐付け処理を行う工程は、ユーザーにより囲われた領域である図面データ中の選択領域内にある文字データを図面データ名として用い、各前記図面データの同じ前記選択領域内にある前記図面データ名の一致度合いに応じて前記紐付け処理を実行する、図面差分抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、図面差分抽出システムおよび図面差分抽出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の図面を取得する取得部を備える画像処理装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の画像処理装置は、取得された複数の図面の各々において、図形要素を抽出する抽出部と、抽出された図形要素の各々について、異なる画像間の類似度を算出する算出部と、算出された類似度が第一閾値以上、第二閾値未満の図形要素について、変更された図形要素として画像における差分を表示装置に出力する出力部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-145231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば施工管理において、建築現場の間取りといった図面を示す複数のページを有する図面データ群を、一つのファイル名で取り纏める場合がある。このような場合において、複数のページを有する図面データ群の一部を更新したり、図面データのページを削除したり、または図面データのページ数を増加させたりして、新しいバージョンの図面データ群を作成する場合がある。旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との間において、変更のあったポイントは微差である場合も多く、差分が把握しづらい場合も多々ある。差分を容易に把握しやすければ、図面データ群を利用するユーザーにとって利便性の向上に繋がる。
【0005】
そこで、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を容易に把握することができる図面差分抽出システムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った図面差分抽出システムは、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を抽出する図面差分抽出システムである。図面差分抽出システムは、複数のバージョンの図面データ群を含むプロジェクトのデータの選択を受け付ける第1受け付け部と、第1受け付け部によりプロジェクトのデータの選択を受け付ければ、選択されたプロジェクトのデータの中から、旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付ける第2受け付け部と、第2受け付け部により旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付ければ、旧バージョンの図面データ群のページ番号を新バージョンの図面データ群のページ番号に割り当てて旧バージョンの図面データ群のページと新バージョンの図面データ群のページとを紐付ける紐付け処理を行う紐付け処理部と、紐付け処理部により紐付け処理された旧バージョンの図面データ群のページに対応する新バージョンの図面データ群のページと旧バージョンの図面データ群のページとの内容の追加削除およびページ数の増減を含む差分を抽出する差分抽出部と、差分抽出部により抽出された差分のデータを生成する差分データ生成部と、差分データ生成部により生成された差分のデータを出力するよう制御する出力制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
このような図面差分抽出システムによると、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1における図面差分抽出システムの概要を示す概略図である。
図2図2は、実施の形態1における図面差分抽出システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、上記した図面差分抽出システムを用いて図面の差分を抽出する際の主な処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、プロジェクト名が複数併記された表示画面の一例を示す図である。
図5図5は、複数のバージョンの図面データ群を表示した場合の表示画面の一例を示す図である。
図6図6は、選択結果を示す表示画面の一例を示す図である。
図7図7は、紐付け処理部における紐付け処理中の表示画面の一例を示す図である。
図8図8は、旧バージョンの図面データ群のページと新バージョンの図面データ群のページとを紐付けた紐付け結果を表示する場合の表示画面の一例を示す図である。
図9図9は、空白ページ画像を挿入した場合の表示画面の一例を示す図である。
図10図10は、差分を抽出する処理における代表的な工程を示すフローチャートである。
図11図11は、差分のデータを表示する色を旧バージョンの図面データと新バージョンの図面データとで異ならせて表示する場合の表示画面の一例を示す図である。
図12図12は、指定領域を拡大すると共に差分のデータとして旧バージョンの図面データに新バージョンの図面データを併記して表示する場合の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
(1)本開示に係る図面差分抽出システムは、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を抽出する図面差分抽出システムである。図面差分抽出システムは、複数のバージョンの図面データ群を含むプロジェクトのデータの選択を受け付ける第1受け付け部と、第1受け付け部によりプロジェクトのデータの選択を受け付ければ、選択されたプロジェクトのデータの中から、旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付ける第2受け付け部と、第2受け付け部により旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付ければ、旧バージョンの図面データ群のページ番号を新バージョンの図面データ群のページ番号に割り当てて旧バージョンの図面データ群のページと新バージョンの図面データ群のページとを紐付ける紐付け処理を行う紐付け処理部と、紐付け処理部により紐付け処理された旧バージョンの図面データ群のページに対応する新バージョンの図面データ群のページと旧バージョンの図面データ群のページとの内容の追加削除およびページ数の増減を含む差分を抽出する差分抽出部と、差分抽出部により抽出された差分のデータを生成する差分データ生成部と、差分データ生成部により生成された差分のデータを出力するよう制御する出力制御部と、を備える。
【0010】
本開示に係る図面差分抽出システムによると、複数のバージョンの図面データ群を含むプロジェクトのデータの選択を受け付け、旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付けると、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群とを紐付け処理部により紐付け処理した後に比較し、内容の追加削除およびページ数の増減を含む差分を抽出する。そして、抽出した差分から差分のデータを生成して出力する。そうすると、旧バージョンの図面データ群の各ページに対応した新バージョンの図面データ群の各ページの差分を抽出するため、差分を把握したいユーザーによるページの紐付け作業を省略することができる。また、差分のデータは、出力制御部により出力されるため、出力の結果物からユーザーが容易に差分を把握することができる。したがって、上記構成の図面差分抽出システムによると、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を容易に把握することができる。なお、差分抽出部による差分の抽出については、ページの並び替えがあった場合にも差分があるものとして抽出するものである。
【0011】
(2)上記(1)において、紐付け処理部は、図面データ中の選択領域内にある文字データを図面データ名として用い、各図面データの同じ選択領域内にある図面データ名の一致度合いに応じて紐付け処理を行ってもよい。このようにすることにより、図面データ群に含まれる図面データにおいて、同じ選択領域内にある図面データ名の異なる図面データが図面データ群に含まれていた場合に、その図面データを排除して紐付け処理を行いやすくすることができる。したがって、より高精度に紐付け処理を行うことができる。
【0012】
(3)上記(1)または(2)において、出力制御部は、図面データ上で囲われた領域を指定領域として検知すれば、指定領域を拡大すると共に、差分のデータとして旧バージョンの図面データに新バージョンの図面データを併記して表示するよう制御してもよい。このようにすることにより、指定領域について抽出された差分を出力する際に、ユーザーが視認しやすい。したがって、視覚的に差分を容易に把握することができる。
【0013】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、出力制御部は、差分のデータのうちの追加または削除を含む変更箇所の色を変更がない箇所の色と異ならせて表示するよう制御してもよい。このようにすることにより、差分のデータのうちの追加または削除を含む変更箇所を色彩の相違により視覚的により認識しやすくすることができる。したがって、視覚的に差分をさらに容易に把握することができる。
【0014】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、出力制御部は、旧バージョンの図面データ群のページと新バージョンの図面データ群のページとを紐付けた紐付け結果を表示するよう制御してもよい。このようにすることにより、表示された紐付け結果を見ることにより、対応するページ番号において、旧バージョンの図面データと新バージョンの図面データとの間に差分があるか否かを容易に把握することができる。したがって、より利便性の向上を図ることができる。
【0015】
(6)上記(5)において、出力制御部は、紐付け結果をページ番号に対応させて並べて表示するよう制御してもよい。このようにすることにより、ページ番号に対応する紐付け結果を一目で認識することができる。したがって、さらに利便性の向上を図ることができる。
【0016】
(7)上記(5)または(6)において、出力制御部は、紐付け結果のうち、対応するページが無い場合、空欄で表示して紐付け結果を表示するよう制御してもよい。このようにすることにより、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との間において、対応するページ番号の有無を容易に把握することができる。そうすると、新バージョンの図面データ群に対し、ページが削除されたか追加されたかを容易に認識することができる。したがって、旧バージョンの図面データ群に対する新バージョンの図面データ群のページ数の増減を容易に把握することができる。
【0017】
(8)上記(2)から(7)において、紐付け処理部は、OCR(Optical Character Recognition)により選択領域内にある画像を読み取って文字として認識し、図面データ名の一致度合いを判断してもよい。このようにすることにより、選択領域内にある画像を読み取って文字として認識し、文字を識別して図面データの一致度合いを判断するため、より適切に一致度合いを判断することができる。したがって、より適切に紐付け処理を行うことができる。
【0018】
(9)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、紐付け処理部による紐付け処理の結果を手動により修正可能であってもよい。このようにすることにより、紐付け結果を見てユーザーが手動により修正することができる。そうすると、紐付け処理の結果をよりユーザーの求めるものに近くすることができる。したがって、より的確に紐付け処理を行うことができる。
【0019】
(10)上記(1)から(9)のいずれかにおいて、差分抽出部における差分の判断基準を示す画素数は、1ピクセル以上3ピクセル以下であってもよい。このようにすることにより、差分の判断基準を対象となる図面データ等に応じて変更することができる。したがって、よりユーザーの求める差分抽出を行うことができる。
【0020】
(11)上記(1)から(10)のいずれかにおいて、図面差分抽出システムは、複数のバージョンの図面データ群を含む図面データファイルのデータを記憶する記憶部をさらに備えてもよい。このようにすることにより、記憶部に記憶された図面データファイルに基づいて、図面データ群を選択させ、差分を抽出することができる。したがって、外部からのデータの入力等を不要としながら、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を容易に把握することができる。
【0021】
(12)上記(1)から(11)のいずれかにおいて、出力制御部は、紐付け処理部における紐付け処理結果として旧バージョンの図面データ群に新バージョンの図面データ群を併記して表示し、ページ番号順に並べて表示するよう制御すると共に、押下を検知することにより旧バージョンの図面データ群の間または新バージョンの図面データ群の間に空白ページを挿入するボタンを表示するよう制御してもよい。このようにすることにより、紐付け処理結果を見比べて対比することが容易になると共に、ページ数の増減があった場合でも、ボタンを押下して空白ページを挿入することにより、対応するページ番号を並べて表示することができる。したがって、対応するページの比較およびページ数の増減箇所を容易に把握することができる。
【0022】
(13)上記(11)において、差分データ生成部により生成された差分のデータを、旧バージョンの図面データ群のファイル名および新バージョンの図面データ群のファイル名と共に記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部をさらに備えてもよい。出力制御部は、記憶制御部により記憶するよう制御された差分のデータを、旧バージョンの図面データ群のファイル名および新バージョンの図面データ群のファイル名と共に表示するよう制御してもよい。このようにすることにより、差分データ生成部により生成された差分のデータが複数記憶されていた場合でも、旧バージョンの図面データ群のファイル名および新バージョンの図面データ群のファイル名と共に差分のデータが表示されるため、どの差分のデータであるかの認識が容易となる。したがって、よりユーザーフレンドリーな図面差分抽出システムとすることができる。
【0023】
(14)上記(3)から(13)のいずれかにおいて、出力制御部は、差分のデータとして旧バージョンの図面データに新バージョンの図面データを併記する際に、旧バージョンの図面データ群および新バージョンの図面データ群を併せて表示すると共に、旧バージョンの図面データ群の中から併記された旧バージョンの図面データの表示および新バージョンの図面データ群の中から併記された新バージョンの図面データの表示を他の図面データの表示と異ならせて表示するよう制御してもよい。このようにすることにより、旧バージョンの図面データ群の中から併記された旧バージョンの図面データおよび新バージョンの図面データ群の中から併記された新バージョンの図面データを容易に認識することができる。したがって、よりユーザーフレンドリーな図面差分抽出システムとすることができる。
【0024】
(15)本開示の図面差分抽出方法は、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を抽出する図面差分抽出方法である。図面差分抽出方法は、複数のバージョンの図面データ群を含むプロジェクトのデータの選択を受け付ける第1受け付け工程と、プロジェクトのデータの選択を受け付ければ、選択されたプロジェクトのデータの中から、旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付ける第2受け付け工程と、旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付ければ、旧バージョンの図面データ群のページ番号を新バージョンの図面データ群のページ番号に割り当てて旧バージョンの図面データ群のページと新バージョンの図面データ群のページとを紐付ける紐付け処理を行う工程と、紐付け処理された旧バージョンの図面データ群のページに対応する新バージョンの図面データ群のページと旧バージョンの図面データ群のページとの内容の追加削除およびページ数の増減を含む差分を抽出する工程と、抽出された差分のデータを生成する工程と、生成された差分のデータを出力するよう制御する工程と、を備える。
【0025】
このような図面差分抽出方法によると、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を容易に把握することができる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の図面差分抽出システムの実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0027】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1における図面差分抽出システムについて説明する。図1は、実施の形態1における図面差分抽出システムの概要を示す概略図である。図2は、実施の形態1における図面差分抽出システムの構成を示すブロック図である。
【0028】
図1および図2を参照して、実施の形態1における図面差分抽出システム10は、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を抽出する。図面差分抽出システム10は、図面の差分を抽出する際の端末となる端末装置11と、ネットワーク12を介して端末装置11と接続されるサーバー13と、を含む。なお、サーバー13については、物理的に所定の箇所に設けられたサーバーでもよいし、クラウド上に設けられるクラウドサーバーであってもよい。
【0029】
サーバー13は、ネットワーク12と接続するためのサーバーネットワークインターフェース部21と、サーバー13自身を制御するサーバー制御部22と、種々のデータを記憶する記憶部(サーバー記憶部)としてのサーバーハードディスク23と、を含む。サーバー13は、サーバーネットワークインターフェース部21により、ネットワーク12を介して端末装置11に通信可能である。なお、本明細書における通信については、有線、無線を問わない。また、ネットワーク12は、インターネット、社内イントラネット等を含む。サーバーネットワークインターフェース部21は、端末装置11から送信されるデータを受信する。サーバー制御部22は、サーバーネットワークインターフェース部21を介したサーバー13の外部とのデータの授受、サーバーハードディスク23へのデータの記憶およびサーバーハードディスク23に記憶されたデータの外部への送信等を制御する。なお、本実施形態においては、サーバーハードディスク23は、複数のバージョンの図面データ群を含む図面データファイルのデータを記憶する。本実施形態においては、図面データファイルの形式は、PDF(Portable Document Format)ファイルである。
【0030】
端末装置11は、ネットワーク12と接続するための端末装置ネットワークインターフェース部31と、端末装置11自身を制御する端末装置制御部32と、種々のデータを記憶する端末装置記憶部としての端末装置ハードディスク33と、を含む。端末装置11は、端末装置ネットワークインターフェース部31により、ネットワーク12を介してサーバー13に通信可能である。端末装置制御部32は、端末装置ネットワークインターフェース部31を介した端末装置11の外部とのデータの授受、端末装置ハードディスク33へのデータの記憶および端末装置ハードディスク33に記憶されたデータの外部への送信等を制御する。
【0031】
端末装置11には、表示画面17を有するディスプレイ14と、キーボード15と、マウス16とが接続されている。端末装置11の情報、端末装置ハードディスク33に記憶された情報がディスプレイ14の表示画面17に表示される。後述する出力制御部40による出力は、例えば端末装置11に接続されたディスプレイ14の表示画面17を用いて行われる。端末装置11を利用するユーザーは、キーボード15およびマウス16を使って、ディスプレイ14の表示画面17に表示される画面を確認しながら、端末装置11へのデータの入力等を行う。
【0032】
次に、端末装置制御部32の構成について説明する。端末装置制御部32は、第1受け付け部34と、第2受け付け部35と、紐付け処理部36と、差分抽出部37と、差分データ生成部38と、記憶制御部39と、出力制御部40と、を含む。第1受け付け部34は、複数のバージョンの図面データ群を含むプロジェクトのデータの選択を受け付ける。第2受け付け部35は、第1受け付け部34によりプロジェクトのデータの選択を受け付ければ、選択されたプロジェクトのデータの中から、旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付ける。紐付け処理部36は、第2受け付け部35により旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付ければ、旧バージョンの図面データ群のページ番号を新バージョンの図面データ群のページ番号に割り当てて旧バージョンの図面データ群のページと新バージョンの図面データ群のページとを紐付ける紐付け処理を行う。差分抽出部37は、紐付け処理部36により紐付け処理された旧バージョンの図面データ群のページに対応する新バージョンの図面データ群のページと旧バージョンの図面データ群のページとの内容の追加削除およびページ数の増減を含む差分を抽出する。差分データ生成部38は、差分抽出部37により抽出された差分のデータを生成する。記憶制御部39は、差分データ生成部38により生成された差分のデータを、旧バージョンの図面データ群のファイル名および新バージョンの図面データ群のファイル名と共に記憶部としてのサーバーハードディスク23に記憶するよう制御する、出力制御部40は、差分データ生成部38により生成された差分のデータを出力するよう制御する。これらの構成については、後に詳述する。
【0033】
次に、図面差分抽出システム10を用いて図面の差分を抽出する方法について説明する。図3は、上記した図面差分抽出システム10を用いて図面の差分を抽出する際の主な処理の流れを示すフローチャートである。図3を併せて参照して、まず端末装置11において、図面の差分を抽出する画面を立ち上げる、そうすると、表示画面17において、複数のバージョンの図面データ群を含む図面データファイルのデータの一覧が表示される(図3においてステップS11、以下「ステップ」を省略する)。この場合、複数のバージョンの図面データ群を含む図面データファイルをプロジェクトという名前で表示する。
【0034】
図4は、プロジェクト名が複数併記された表示画面17の一例を示す図である。図4を併せて参照して、一覧画面41aによれば、idに関する項目42aの列と、プロジェクト名の項目42bの列と、プロジェクトのデータを作成した作成者の項目42cの列と、作成日の項目42dの列と、更新日の項目42eの列と、が表示されている。各項目42a、項目42b、項目42c、項目42d、項目42eには、複数のプロジェクトのデータが表示されている。具体的には、idを1、プロジェクト名を「AAA」、作成者を「XXX」、作成日を「2023/7/1(2023年7月1日)」、更新日を「2023/8/1(2023年8月1日)」としたプロジェクトのデータ43a、idを2、プロジェクト名を「BBB」、作成者を「YYY」、作成日を「2023/8/1」、更新日を「2023/9/1」としたプロジェクトのデータ43b、idを3、プロジェクト名を「CCC」、作成者を「ZZZ」、作成日を「2023/9/1」、更新日を「2023/10/1」としたプロジェクトのデータ43cが表示されている。
【0035】
ユーザーは、表示画面17の一覧画面41aに表示されたプロジェクトのうちのいずれかを、差分の抽出を要求するプロジェクトとして選択する。そうすると、第1受け付け部34は、第1受け付け工程として、プロジェクト名の選択、すなわち、複数のバージョンの図面データ群を含むプロジェクトのデータの選択を受け付ける(S12)。プロジェクトのデータの選択を受け付けると(S12において、YES)、次に、第2受け付け部35は、プロジェクトに含まれる複数のバージョンの図面データ群を表示する(S13)。
【0036】
図5は、複数のバージョンの図面データ群を表示した場合の表示画面17の一例を示す図である。図5を併せて参照して、一覧画面41bによれば、旧バージョンの図面データ群として選択させるためのチェックボックス44aの列と、新バージョンの図面データ群として選択させるためのチェックボックス44bの列と、バージョンの番号44cを示す列と、ファイル名44dを示す列と、アップロード者44eを示す列と、アップロード日44fを示す列と、表示されている。具体的には、バージョンを「1」、ファイル名を「AAA.pdf」、アップロード者を「XXX」、アップロード日を「2023/7/1」としたデータ45aと、バージョンを「2」、ファイル名を「AAA.pdf」、アップロード者を「XXX」、アップロード日を「2023/8/1」としたデータ45bとが表示されている。
【0037】
第1受け付け部34によりプロジェクトのデータの選択を受け付ければ、第2受け付け部35は、第2受け付け工程として、複数のバージョンの図面データ群の中から、旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付ける(S14)。この場合、チェックボックス44aの列とチェックボックス44bの列のいずれかにユーザーからチェックが入力されることを検知することにより受け付ける。この場合、端末装置11にアップロードすることにより端末装置11に取り込まれる。
【0038】
旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付けると(S14において、YES)、図6に示すように、選択結果が表示画面17に表示される。図6は、選択結果を示す表示画面17の一例を示す図である。図6を併せて参照して、表示画面17には、選択を示すチェックボックス46aと、差分結果のデータのバージョンを示す番号46bと、選択された旧PDFバージョンの番号46cと、選択された新PDFバージョンの番号46dと、作成者46eと、作成日46fと、が表示されている。具体的には、バージョンを「1」、旧PDFバージョン番号を「1」、新PDFバージョン番号を「2」、作成者を「XXX」、作成日を「2023/9/1」としたデータ47aが表示されている。
【0039】
第2受け付け部35により旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付ければ、紐付け処理工程として、紐付け処理部36は、紐付け処理を行う(S15)。具体的には、紐付け処理部36は、旧バージョンの図面データ群のページ番号を新バージョンの図面データ群のページ番号に割り当てて旧バージョンの図面データ群のページと新バージョンの図面データ群のページとを紐付ける。紐付け処理部36は、紐付け処理が終了後、即時に紐付け結果を表示する画面に遷移する。ここで、紐付け処理部36は、紐付け処理が終了する前に、即時に紐付け結果を表示する画面に遷移する旨を紐付け処理中に表示する。
【0040】
また、紐付け処理部36は、図面データ中の選択領域内にある文字データを図面データ名として用い、各図面データの同じ選択領域内にある図面データ名の一致度合いに応じて紐付け処理を行う。また、紐付け処理部36は、OCRにより選択領域内にある画像を読み取って文字として認識し、図面データ名の一致度合いを判断する。また、紐付け処理部36は、紐付け処理の結果を手動により修正可能である。なお、紐付け処理部36による紐付け処理の終了後、本実施形態においては、出力制御部40は、紐付け結果を表示する(S16)。すなわち、出力制御部40は、旧バージョンの図面データ群のページと新バージョンの図面データ群のページとを紐付けた紐付け結果を表示するよう制御する。本実施形態においては、出力制御部40は、紐付け結果をページ番号に対応させて並べて表示するよう制御する。
【0041】
図7は、紐付け処理部36における紐付け処理中の表示画面17の一例を示す図である。図7を併せて参照して、表示画面17には、図面データ51が表示されており、図面データ51の下部の領域に、一点鎖線で囲まれた選択領域52が示されている。選択領域52は、ユーザーにより囲われた領域であり、選択領域52内にある文字データを図面データ名として用いる。なお、選択領域52の選択が完了すれば、「領域選択完了」のボタン53をクリックして、選択領域52の選択を画定させる。そして、各図面データの同じ選択領域内にある図面データ名の一致度合いに応じて紐付け処理を行う。また、図7においては、図面データ51の中央の領域に、紐付け処理が終了後、即時に紐付け結果を表示する画面に遷移する旨の表示がなされている。具体的には、領域54において、「ページの自動紐付けを行っています」とのメッセージが表示されている。紐付け処理が終了後、次の画面に遷移する。
【0042】
図8は、旧バージョンの図面データ群のページと新バージョンの図面データ群のページとを紐付けた紐付け結果を表示する場合の表示画面17の一例を示す図である。図8を併せて参照して、表示画面17は、上下二段に分割されており、上段61aにおいて、図面一覧を表示し、下段61bにおいて、選択ページを並列して表示している。上段61aは、さらに上下二つの領域に分割されており、上側の第1領域62aには、旧バージョンの図面データ群がページ番号63a順に表示されている。下側の第2領域62bには、新バージョンの図面データ群がページ番号63a順に表示されている。すなわち、旧バージョンの図面データ群のページ番号に新バージョンの図面データ群のページ番号を割り当てて上段61aにおいて表示している。また、下段61bには、上段61aの図面一覧において旧バージョンの図面データ群の中から選択された1枚の図面データ64aの拡大された図面データ65aおよび新バージョンの図面データ群の中から選択された1枚の図面データ64bの拡大された図面データ65bが表示されている。図面データ65aと図面データ65bとは、本実施形態においては、左右方向に並べて配置されている。このような表示画面17を視認することにより、紐付け結果を容易に把握することができる。
【0043】
出力制御部40は、紐付け処理部36における紐付け処理結果として旧バージョンの図面データ群に新バージョンの図面データ群を併記して表示し、ページ番号順に並べて表示するよう制御すると共に、押下を検知することにより旧バージョンの図面データ群の間または新バージョンの図面データ群の間に空白ページ画像を挿入するボタンを表示するよう制御する。図9は、空白ページ画像67a、空白ページ画像67bを挿入した場合の表示画面17の一例を示す図である。図9を併せて参照して、具体的には、図面データ64aの両サイドには、ボタン66aが表示されている。また、図面データ64bの両サイドには、ボタン66bが表示されている。マウスにおけるクリック等、ボタン66aの押下を検知することにより、押下されたボタン66aに近いサイドに空白ページ画像67aを挿入する。また、ボタン66bの押下を検知することにより、押下されたボタン66bに近いサイドに空白ページ画像67bを挿入する。
【0044】
このようにすることにより、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との間において、対応するページ番号の有無を容易に把握することができる。そうすると、新バージョンの図面データ群に対し、ページが削除されたか追加されたかを容易に認識することができる。したがって、旧バージョンの図面データ群に対する新バージョンの図面データ群のページ数の増減を用意に把握することができる。
【0045】
また、本実施形態においては、出力制御部40は、紐付け結果をページ番号に対応させて並べて表示するよう制御する。よって、ページ番号に対応する紐付け結果を一目で認識することができる。したがって、さらに利便性の向上を図ることができる。
【0046】
また、紐付け処理部36による紐付け処理の終了後、差分抽出部37は、差分抽出工程において、差分を抽出する(S17)。具体的には、差分抽出部37は、紐付け処理された旧バージョンの図面データ群のページに対応する新バージョンの図面データ群のページと旧バージョンの図面データ群のページとの内容の追加削除およびページ数の増減を含む差分を抽出する。本実施形態においては、差分抽出部37における差分の判断基準を示す画素数は、1ピクセル以上3ピクセル以下である。
【0047】
ここで、差分を抽出する際の処理の流れの一例について説明する。図10は、差分を抽出する処理における代表的な工程を示すフローチャートである。図10を参照して、まず、差分を抽出する対象を選定する(S21)。すなわち、差分を見たい、確認したい旧バージョンの図面データ群およびこれに対応する新バージョンの図面データ群を選択する。そして、旧バージョンの図面データ群における図面データに対応する新バージョンの図面データ群における図面データ中の線(線は文字も含む)を膨張させる(S22)。この場合、例えば、2ピクセル分だけ膨張させる。そして、膨張させた線を含む新バージョンの図面データと旧バージョンの図面データとの差分を抽出する(S23)。具体的には例えば、膨張させた線を含む新バージョンの図面データと旧バージョンの図面データとを重ね合わせて、重ならない部分を抽出する。なお、この差分は、旧バージョンの図面データに対して増加または変更した差分に相当する。その後、旧バージョンの図面データと新バージョンの図面データとを入れ替えて同様の処理を実施する。すなわち、新バージョンの図面データ群における図面データに対応する旧バージョンの図面データ群における図面データ中の線(線は文字も含む)を膨張させる(S24)。そして、膨張させた線を含む旧バージョンの図面データと新バージョンの図面データとの差分を抽出する(S25)。なお、この差分は、旧バージョンの図面データに対して削除または変更した差分に相当する。これをページの画像がなくなるまで繰り返す(S26)。なお、上記内容は対応するページ内における差分の抽出であるが、ページが追加された場合やページが削除された場合も差分として抽出する。
【0048】
その後、差分抽出部37により抽出された差分のデータを差分データ生成部38により生成する(S18)。そして、記憶制御部39は、差分データ生成部38により生成された差分のデータを、旧バージョンの図面データ群のファイル名および新バージョンの図面データ群のファイル名と共にサーバーハードディスクに記憶するよう制御する(S19)。また、出力制御部40は、差分データ生成部38により生成された差分のデータを出力するよう制御する(S20)。この場合、出力制御部40は、ユーザーの要求に応じて、出力を制御する。例えば、出力制御部40は、差分のデータを表示する色を旧バージョンの図面データと新バージョンの図面データとで異ならせて表示するよう制御する。具体的には、出力制御部40は、差分のデータのうちの追加または削除を含む変更箇所の色を変更がない箇所の色と異ならせて表示するよう制御する。
【0049】
図11は、差分のデータを表示する色を旧バージョンの図面データと新バージョンの図面データとで異ならせて表示する場合の表示画面17の一例を示す図である。図11を参照して、表示画面17に表示される図面データ71には、差分のデータ72および差分のデータ73が表示されている。図11において、差分のデータ72を一点鎖線で示し、差分のデータ73を二点鎖線で示す。差分のデータ72については、旧バージョンの図面データにはなかった差分、すなわち、新バージョンの図面データにおいて増加された差分であり、例えば青字で示される。また、差分のデータ73については、旧バージョンの図面データには存在しており、新バージョンの図面データになかった差分、すなわち、新バージョンの図面データにおいて削除された差分であり、例えば赤字で示される。なお、変更がない箇所の色は、黒色である。図11においては、出力制御部40は、差分のデータのうちの追加または削除を含む変更箇所の色を変更がない箇所の色と異ならせて表示するよう制御する。なお、変更がない箇所の色については、黒色から、例えば、灰色といった明度を変えて表示してもよいし、彩度を変えて表示してもよいし、明度および彩度を両方変えて表示してもよい。
【0050】
また、出力制御部40は、図面データ上で囲われた領域を指定領域として検知すれば、指定領域を拡大すると共に、差分のデータとして旧バージョンの図面データに新バージョンの図面データを併記して表示するよう制御する。図12は、指定領域を拡大すると共に差分のデータとして旧バージョンの図面データに新バージョンの図面データを併記して表示する場合の表示画面17の一例を示す図である。図12は、図11における破線で示す指定領域74を拡大した場合の表示画面17である。図12を参照して、表示画面17には、指定領域74で指定された領域を拡大すると共に、差分のデータとして旧バージョンの図面データ75に新バージョンの図面データ76を併記して表示されている。このようにして、差分のデータを表示する。
【0051】
上記図面差分抽出システム10によると、複数のバージョンの図面データ群を含むプロジェクトのデータの選択を受け付け、旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付けると、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群とを紐付け処理部36により紐付け処理した後に比較し、内容の追加削除およびページ数の増減を含む差分を抽出する。そして、抽出した差分から差分のデータを生成して出力する。そうすると、旧バージョンの図面データ群の各ページに対応した新バージョンの図面データ群の各ページの差分を抽出するため、差分を把握したいユーザーによるページの紐付け作業を省略することができる。また、差分のデータは、出力制御部40により出力されるため、出力の結果物からユーザーが容易に差分を把握することができる。したがって、上記構成の図面差分抽出システム10によると、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を容易に把握することができる。
【0052】
本実施形態においては、紐付け処理部36は、図面データ中の選択領域内にある文字データを図面データ名として用い、各図面データの同じ選択領域内にある図面データ名の一致度合いに応じて紐付け処理を行ってもよい。このようにすることにより、図面データ群に含まれる図面データにおいて、同じ選択領域内にある図面データ名の異なる図面データが図面データ群に含まれていた場合に、その図面データを排除して紐付け処理を行いやすくすることができる。したがって、より高精度に紐付け処理を行うことができる。
【0053】
本実施形態において、出力制御部40は、図面データ上で囲われた領域を指定領域74として検知すれば、指定領域74を拡大すると共に、差分のデータとして旧バージョンの図面データ75に新バージョンの図面データ76を併記して表示するよう制御する。よって、指定領域74について抽出された差分を出力する際に、ユーザーが視認しやすい。したがって、視覚的に差分を容易に把握することができる。
【0054】
本実施形態において、出力制御部40は、差分のデータのうちの追加または削除を含む変更箇所の色を変更がない箇所の色と異ならせて表示するよう制御する。よって、差分のデータのうちの追加または削除を含む変更箇所を色彩の相違により視覚的により認識しやすくすることができる。したがって、視覚的に差分をさらに容易に把握することができる。
【0055】
本実施形態において、紐付け処理部36は、OCRにより選択領域内にある画像を読み取って文字として認識し、図面データ名の一致度合いを判断する。よって、選択領域内にある画像を読み取って文字として認識し、文字を識別して図面データの一致度合いを判断するため、より適切に一致度合いを判断することができる。したがって、より適切に紐付け処理を行うことができる。
【0056】
本実施形態においては、差分抽出部37における差分の判断基準を示す画素数は、1ピクセル以上3ピクセル以下である。よって、差分の判断基準を対象となる図面データ等に応じて変更することができる。したがって、よりユーザーの求める差分抽出を行うことができる。
【0057】
本実施形態においては、図面差分抽出システム10は、複数のバージョンの図面データ群を含む図面データファイルのデータを記憶する記憶部としてのサーバーハードディスク23を含む。よって、サーバーハードディスク23に記憶された図面データファイルに基づいて、図面データ群を選択させ、差分を抽出することができる。したがって、外部からのデータの入力等を不要としながら、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を容易に把握することができる。
【0058】
本実施形態においては、出力制御部40は、紐付け処理部36における紐付け処理結果として旧バージョンの図面データ群に新バージョンの図面データ群を併記して表示し、ページ番号順に並べて表示するよう制御すると共に、押下を検知することにより旧バージョンの図面データ群の間または新バージョンの図面データ群の間に空白ページを挿入するボタンを表示するよう制御する。よって、紐付け処理結果を見比べて対比することが容易になると共に、ページ数の増減があった場合でも、ボタンを押下して空白ページを挿入することにより、対応するページ番号を並べて表示することができる。したがって、対応するページの比較およびページ数の増減箇所を容易に把握することができる。
【0059】
本実施形態において、図面差分抽出システム10は、差分データ生成部38により生成された差分のデータを、旧バージョンの図面データ群のファイル名および新バージョンの図面データ群のファイル名と共に記憶部に記憶するよう制御する記憶制御部39を含む。出力制御部40は、記憶制御部39により記憶するよう制御された差分のデータを、旧バージョンの図面データ群のファイル名および新バージョンの図面データ群のファイル名と共に表示するよう制御する。よって、差分データ生成部38により生成された差分のデータが複数記憶されていた場合でも、旧バージョンの図面データ群のファイル名および新バージョンの図面データ群のファイル名と共に差分のデータが表示されるため、どの差分のデータであるかの認識が容易となる。したがって、よりユーザーフレンドリーな図面差分抽出システムとすることができる。
【0060】
本実施形態において、出力制御部40は、差分のデータとして旧バージョンの図面データに新バージョンの図面データを併記する際に、旧バージョンの図面データ群および新バージョンの図面データ群を併せて表示すると共に、旧バージョンの図面データ群の中から併記された旧バージョンの図面データの表示および新バージョンの図面データ群の中から併記された新バージョンの図面データの表示を他の図面データの表示と異ならせて表示するよう制御する。よって、旧バージョンの図面データ群の中から併記された旧バージョンの図面データおよび新バージョンの図面データ群の中から併記された新バージョンの図面データを容易に認識することができる。したがって、よりユーザーフレンドリーな図面差分抽出システムとすることができる。
【0061】
なお、本実施形態において、旧バージョンの図面データに新バージョンの図面データを併記する向きは、選択可能であってもよい。このようにすることにより、ユーザーの意図に沿った向きに差分のデータを併記することができる。したがって、よりユーザーの要求に応じた出力をすることができる。
【0062】
また、本実施形態において、出力制御部40は、紐付け結果のうち、対応するページが無い場合、空欄で表示して紐付け結果を表示するよう制御してもよい。このようにすることにより、旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との間において、対応するページ番号の有無を容易に把握することができる。そうすると、新バージョンの図面データ群に対し、ページが削除されたか追加されたかを容易に認識することができる。したがって、旧バージョンの図面データ群に対する新バージョンの図面データ群のページ数の増減を容易に把握することができる。
【0063】
なお、上記の実施の形態において、紐付け処理部36による紐付け処理の結果を手動により修正可能であってもよい。このようにすることにより、紐付け結果を見てユーザーが手動により修正することができる。そうすると、紐付け処理の結果をよりユーザーの求めるものに近くすることができる。したがって、より的確に紐付け処理を行うことができる。
【0064】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態において、サーバーハードディスクが複数のバージョンの図面データ群を含む図面データファイルのデータを記憶することとしたが、これに限らず、端末装置ハードディスクが複数のバージョンの図面データ群を含む図面データファイルのデータを記憶することとしてもよい。さらに、例えばネットワークに接続される他の記憶装置において、複数のバージョンの図面データ群を含む図面データファイルのデータを記憶することにしてもよい。
【0065】
また、上記の実施の形態において、旧バージョンの図面データに新バージョンの図面データを併記する向きは、選択可能であってもよい。このようにすることにより、ユーザーの意図に沿った向きに差分のデータを併記することができる。したがって、よりユーザーの要求に応じた出力をすることができる。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
10 図面差分抽出システム、11 端末装置、12 ネットワーク、13 サーバー、14 ディスプレイ、15 キーボード、16 マウス、17 表示画面、21 サーバーネットワークインターフェース部、22 サーバー制御部、23 サーバーハードディスク、31 端末装置ネットワークインターフェース部、32 端末装置制御部、33 端末装置ハードディスク、34 第1受け付け部、35 第2受け付け部、36 紐付け処理部、37 差分抽出部、38 差分データ生成部、39 記憶制御部、40 出力制御部、41a,41b 一覧画面、42a,42b,42c,42d,42e 項目、43a,43b,43c,45a,45b,47a データ、44a,44b, チェックボックス、44c 番号、44d ファイル名、44e アップロード者、44f アップロード日、51,64a,64b,65a,65b,71,75,76 図面データ、52 選択領域、53 ボタン、54 領域、61a,61c 上段、61b 下段、62a,62c 第1領域、62b,62d 第2領域、63a ページ番号、66a,66b 空欄、72,73 差分データ、74 指定領域。
【要約】
【課題】旧バージョンの図面データ群と新バージョンの図面データ群との差分を容易に把握することができる図面差分抽出システムを提供する。
【解決手段】図面差分抽出システムは、旧バージョンの図面データ群の選択および新バージョンの図面データ群の選択を受け付ければ、旧バージョンの図面データ群のページ番号を新バージョンの図面データ群のページ番号に割り当てて旧バージョンの図面データ群のページと新バージョンの図面データ群のページとを紐付ける紐付け処理を行う紐付け処理部と、紐付け処理された旧バージョンの図面データ群のページに対応する新バージョンの図面データ群のページと旧バージョンの図面データ群のページとの内容の追加削除およびページ数の増減を含む差分を抽出する差分抽出部と、抽出された差分のデータを生成する差分データ生成部と、生成された差分のデータを出力するよう制御する出力制御部と、を備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12