(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】カーテンエアバッグアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60R 21/2338 20110101AFI20250131BHJP
B60R 21/232 20110101ALI20250131BHJP
【FI】
B60R21/2338
B60R21/232
(21)【出願番号】P 2022514713
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 US2020039548
(87)【国際公開番号】W WO2021061244
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-11
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(74)【代理人】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シャオホン
(72)【発明者】
【氏名】笹倉 裕規
【合議体】
【審判長】八木 誠
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-528301(JP,A)
【文献】特開2013-052748(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0098573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 - 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車14用の膨張可能なカーテンエアバッグアセンブリ10であって、
膨張可能なエアバッグ24と、
後方の第1の端部28
Bと
前方の第2の端部28
Aとの間に固定された長さを有するテザー28と、
ガイド部材44とを備え、
前記テザー28が、前記第1の端部28
Bとガイド部材44との間に第1の調節可能な長さ部分を有し、かつ前記第2の端部28
Aと前記ガイド部材44との間に第2の調整可能な長さ部分を有するように、前記ガイド部材44が前記テザー28を摺動可能に受容し、
前記テザー28の前記第1の端部28
B、及び前記ガイド部材44が両方とも、前記膨張可能なエアバッグ24に取り付けられ、
スモールオーバーラップ衝突又は斜め衝突によって引き起こされる車両の回転から生じる前方外側軌道に沿って移動する乗員頭部を保護可能にすべく、
前記エアバッグ24の前方部分を前記自動車14の幅方向内側に屈曲させ、かつ、前記テザー28の前方の第2端部28Aを前記自動車14の一部に固定しつつ、前記ガイド部材44を前記エアバッグ25の前記前方部分に取り付け、前記テザー28及び前記ガイド部材44が、協働して、
展開時において前記第2の調整可能な長さ部分が前後に延び、前記第1の調節可能な長さ部分が前記第2の調整可能な長さ部分に対して、少なくとも30度傾斜して斜め上後方向に延びるように構成することによって、展開時の前記膨張可能なエアバッグ24の展開位置を制御することを特徴とする、膨張可能なカーテンエアバッグアセンブリ10。
【請求項2】
前記テザー28の前記第1の端部28
B、及び前記ガイド部材44が両方とも、前記膨張可能なエアバッグ24の膨張可能でない部分に取り付けられている、ことを特徴とする、請求項1に記載の膨張可能なカーテンエアバッグアセンブリ10。
【請求項3】
前記膨張可能なエアバッグが、長さ方向の長さ、高さ方向の高さ、及び深さ方向の深さを有する膨張可能なカーテンエアバッグ24であり、
前記テザー28が、第1の端部28
Bと第2の端部28
Aとの間に固定された長さを有し、
前記ガイド部材44が、前記膨張可能なエアバッグ24に取り付けられている、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の膨張可能な
カーテンエアバッグアセンブリ10。
【請求項4】
前記ガイド部材が、ループ44を含む、ことを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の膨張可能なカーテンエアバッグアセンブリ10。
【請求項5】
前記ガイド部材44が、前記膨張可能なエアバッグ24の外側に面するパネルの外側に取り付けられている、ことを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の膨張可能なカーテンエアバッグアセンブリ10。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の
カーテンエアバッグアセンブリ10によって、乗員を保護する方法であって、
前記膨張可能なエアバッグは、長さ方向の長さ、高さ方向の高さ、及び深さ方向の深さを有し、前記方法は、
前記膨張可能なエアバッグを膨張させて、前記膨張可能なエアバッグ24の前記深さを増大させ、かつ前記膨張可能なエアバッグ24の前記高さ方向及び前記膨張可能なエアバッグ24の前記長さ方向の両方において、前記テザー28の前記第1の端部28
Bと前記第2の端部28
Aとの間の距離を減少させる、ことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月24日に出願された米国特許出願第16/580,549号に対する優先権を主張する。上記出願の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、自動車の安全システム用の膨張可能な拘束具に関する。より具体的には、本開示は、自動車用のカーテンエアバッグ、及びカーテンエアバッグを用いて自動車の乗員を保護する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションは、必ずしも先行技術ではない本開示に関連する背景技術情報を提供する。
【0004】
膨張可能な安全拘束装置又はエアバッグは、一般に、自動車に備えられている。事故の場合、車両内のセンサは、異常な減速を測定して、インフレータ内に含まれる装薬の点火をトリガする。装薬からの膨張ガスは、導管を通って移動し、エアバッグを充填して瞬時に膨張させ、車両内の乗客を車両の内部との有害な衝撃から保護する。典型的には、エアバッグは、通常の車両操作中に不可視である車両トリム内に隠されている。
【0005】
従来のエアバッグシステムは、横方向衝撃及び車両転覆から車両の乗員を保護するためのカーテンエアバッグシステムを含む。膨張可能なカーテンエアバッグは、典型的には、車両の屋根がサイドウィンドウ及びピラーと出会う角部に沿って収納されている。これらの膨張可能なカーテンエアバッグは、ヘッドライナの縁部においてヘッドライナトリムの後方に収納されてもよい。
【0006】
様々なエアバッグシステムでは、テザーが、車両の乗員区画内のエアバッグの位置決めを制御するために用いられる。例えば、テザーの一端は、車両に取り付けられてもよく、テザーの他端は、エアバッグに取り付けられてもよい。テザーによって生成される張力は、エアバッグの収納位置と展開位置との間のテザー長さの差に依存する。例えば、テザーが長い連続湾曲形状に沿ってヘッドライナに収納され、かつテザーが展開時に真っ直ぐである場合、展開時のテザー張力の量を減少させることができる。
【0007】
既知のカーテンエアバッグアセンブリは、それらの意図された使用に好適であることが示されているが、関連技術の改善に対する継続的な必要性は残っている。例えば、特定のエアバッグ用途では、展開時にテザー張力を増大させて、展開されたエアバッグをより理想的に位置決めすることが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0008】
本セクションは、開示の全般的な要約を提供するものであり、その全範囲又は全ての機能の包括的な開示ではない。
【0009】
1つの特定の態様によれば、本教示は、膨張可能なエアバッグ、テザー、及び少なくとも1つのテザーガイド部材を含む、自動車用のエアバッグアセンブリを提供する。テザー及びガイド部材は、協働して、展開時の膨張可能なエアバッグの位置決めを制御する。テザーは、第1の端部と第2の端部との間に固定された長さを有する。少なくとも1つのガイド部材は、テザーが第1の端部と少なくとも1つのガイド部材との間に第1の調節可能な長さ部分を有し、かつテザーが第2の端部と少なくとも1つのガイド部材との間に第2の調整可能な長さ部分を有するように、テザーを摺動可能に受容する。
【0010】
別の態様によれば、本教示は、膨張可能なエアバッグ、テザー、及び少なくとも1つのガイド部材を含む、自動車用のカーテンエアバッグアセンブリを提供する。膨張可能なエアバッグは、長さ方向の長さ、高さ方向の高さ、及び深さ方向の深さを有する。テザーの第1の端部は、膨張可能なエアバッグに取り付けられている。少なくとも1つのガイド部材は、膨張可能なエアバッグに取り付けられており、テザーが第1の端部と少なくとも1つのガイド部材との間に第1の調節可能な長さ部分を有し、かつ第2の端部と少なくとも1つのガイド部材との間に第2の調整可能な長さ部分を有するように、テザーを摺動可能に受容する。テザーの第1の調整可能な長さ部分は、長さ方向及び高さ方向によって画定される平面において、テザーの第2の調整可能な長さ部分に対して非ゼロの角度にある。テザー及び少なくとも1つのガイド部材は、協働して、展開時の膨張可能なエアバッグの位置決めを制御する。
【0011】
更に別の特定の態様によれば、本教示は、カーテンエアバッグを展開する方法を提供する。本方法は、膨張可能なエアバッグを膨張させて、膨張可能なエアバッグの深さを増大させ、かつ膨張可能なエアバッグの高さ方向及び膨張可能なエアバッグの長さ方向の両方において、テザーの第1の端部と第2の端部との間の距離を減少させることを含む。
【0012】
適用可能な更なる領域は、本明細書に提供されている説明から明らかになるであろう。本要約における説明及び特定の例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に記載の図面は、選択された実施形態のみを説明するためのものであって全ての可能な実装形態を説明するためのものではなく、かつ本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0014】
【
図1】カーテンエアバッグアセンブリが例示的な自動車内での収納構成で示されている、本教示によるカーテンエアバッグアセンブリの側面図である。
【0015】
【
図2】広げられた膨張前の状態で示されている、
図1のエアバッグの一部の側面図である。
【0016】
【
図3】膨張可能なカーテンエアバッグが展開構成で示されている、
図1のカーテンエアバッグアセンブリの側面図である。
【0017】
【
図4】膨張可能なカーテンエアバッグが再び展開構成で示されている、
図1のカーテンエアバッグアセンブリの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、例示的な実施形態を、添付の図面を参照してより完全に説明する。
【0019】
例示的な実施形態は、本開示が徹底的であり、当業者にその範囲を完全に伝達するように提供されている。本開示の実施形態を徹底して理解するために、特定の構成要素、装置、及び方法の例などの多数の具体的詳細を説明する。当業者であれば、特定の詳細を採用する必要がなく、例示的な実施形態が本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことが明らかであろう。周知のプロセス、周知の装置構造、及び周知の技術は、本明細書において詳細に説明されない。
【0020】
「接続された」、「結合された」、及び「連通している」という語句は、機械的な、電気的な、磁気的な、電磁気的な、流体的な、及び熱的な相互作用を含む、2つ以上の物体間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、互いに直接接していなくても、互いに結合され得る。「当接する」という用語は、互いに直接物理的に接触している物品を指すが、物品は必ずしも一緒に取り付けられていなくてもよい。「流体連通」という語句は、1つの特徴内の流体が他の特徴内を通過することができるように接続された2つの特徴を指す。本明細書で使用される「例示的な」は、典型的又は代表的な例又は実例として機能することを意味し、必ずしも特別又は好ましいことを意味するものではない。
【0021】
図1~
図4を参照すると、本教示によるエアバッグアセンブリが例示されており、概して参照文字10で識別される。エアバッグアセンブリ10は、自動車14の乗員拘束システム12の一部である。図面全体を通して例示される実施形態では、エアバッグアセンブリは、カーテンエアバッグアセンブリ10である。しかしながら、本教示の特定の態様は、他のエアバッグに関連して使用され得る。
【0022】
図面に示される自動車14は、本質的に例示的であると理解されるであろう。自動車14は、自動車14の長さに沿って配向された長手方向16、自動車14の一方の側部から対向する側部に配向された横方向18、及び垂直上下に配向された垂直方向20を有する。「内側」及び「外側」という用語は、本明細書では、横方向18における相対的な配向を指すために使用され得る。例えば、「外側」は、自動車の長手方向中心面よりも車両の側面に近い又はそれに面している相対位置を指す。逆に、「内側」は、自動車の側面よりも車両の長手方向中心面に近い又はそれに面している相対位置を指す。「内側」及び「外側」は、横方向18における2つの物体の整列を必要とせず、むしろ、これらの用語は単に、上記のような側面又は中間面に対する近接性に関連する。
【0023】
エアバッグアセンブリ10は、従来、インフレータ21、管22、及び膨張可能なカーテンエアバッグ24を含み得る。膨張可能なカーテンエアバッグ24は、インフレータ21から管22を通してガスを受容する。エアバッグアセンブリ10はまた、衝突/転覆又は差し迫った衝突/転覆を検出し、作動信号をインフレータ21に送信する、センサ及び制御システム(図示せず)を含む。インフレータ21は、火工式貯蔵ガス、又は組み合わせインフレータなどの複数のタイプのうちの1つであってもよく、単一又は多段インフレータであってもよい。インフレータ21は、膨張可能なカーテンエアバッグ24に対して任意の好適な場所に保管され得る。インフレータ21が火工式インフレータである場合、インフレータ21は、作動信号の受信に応じて膨張ガスを急速に生成するように点火する噴射剤を含み得る。
【0024】
膨張可能なカーテンエアバッグ24は、(
図1に示される)収納状態及び(
図2及び
図3に示される)展開状態の両方において、車両14内の長手方向16に沿って延び得る。膨張可能なカーテンエアバッグは、長手方向16の長さ、垂直方向20の高さ、及び横方向18の深さを有する。膨張可能なカーテンエアバッグ24は、自動車14の屋根レール26に結合されてもよく、又はその隣にあってもよい。
【0025】
エアバッグアセンブリ10はまた、膨張可能なカーテンエアバッグ24の所望の展開配向を制御及び維持するための1つ以上のテザーを含み得る。本教示は、前方テザー28に関連して図面に示されている。後部テザー又は他のテザー(図示せず)もまた、本教示の範囲内に組み込まれ得る。以下で更に論じるように、テザー28は、膨張可能なカーテンエアバッグ24の膨張時に車両14の乗員を保護するために、膨張可能なカーテンエアバッグ24を所望の位置に保つのに役立つ張力を提供する。
【0026】
実際の衝突又は差し迫った衝突の場合、膨張可能なカーテンエアバッグ24は、車両14の1人以上の乗客と、車両のサイドウィンドウ及びピラー(横ウィンドウ及び/又はフロントガラスとリアウィンドウとの間の構造)などの車両14の1つ以上の側面との間の車両14の側部に沿って、垂直方向20において下向きに拡張することができる。ピラーは、Aピラー30、Bピラー32、及びCピラー34を含み得、例えば、その全てをそれらのそれぞれの上端において屋根レール26に接合し得る。図示の実施形態では、膨張可能なカーテンエアバッグ24は、自動車14のAピラー30からCピラー34まで延びている。膨張可能なカーテンエアバッグ24の膨張により、それぞれ、横方向18での膨張可能なカーテンエアバッグ24の深さを増大させ、かつ垂直方向20及び長手方向16での膨張可能なカーテンエアバッグ24の高さ及び長さを減少させる。
【0027】
エアバッグアセンブリ10に加えて、他のエアバッグを車両内に設置してもよい。例えば、別個の運転席側エアバッグ36(
図4を参照)を使用して、乗員(すなわち、運転者)を、ステアリングホイール38及び計器パネル40を含む車両14の前面との様々な衝突から保護することができる。運転者側エアバッグ36及び膨張可能なエアバッグカーテン24を用いれば、エアバッグアセンブリ10は、前述の側面に対する衝撃のクッションだけでなく、Aピラー30及び/又は計器パネル40の外側部分(すなわち、ステアリングホイール38の外側)に対する衝撃のクッションによっても、補足的な保護を提供することができる。
【0028】
膨張可能なカーテンエアバッグ24は通常、収納構成に存在してもよく、膨張可能なカーテンエアバッグ24は、横ヘッドライナトリムなどの車両14の内部トリムの後方に隠されている。自動車14内に設置する前に、膨張可能なカーテンエアバッグ24がその断面形状の高さ又は幅よりもはるかに大きい長さを備えた経路に沿って延びる細長い形状をとるように、膨張可能なカーテンエアバッグ24は、丸め、折り畳み、又はそれらの組み合わせなどによって、収納構成に圧縮され得る。
【0029】
いったん収納構成に圧縮されると、膨張可能なカーテンエアバッグ24は、輸送及び設置を容易にするために、包装具、締結具などの従来の使用を通して収納構成に保持され得る。膨張可能なカーテンエアバッグ24は、膨張可能なカーテンエアバッグ24の長さに沿って分布した複数の取り付けアセンブリ42を用いて自動車14に固定され得る。取り付けアセンブリ42の各々は、従来通り、膨張可能なカーテンエアバッグ24に固定されたタブ、タブを屋根レール26に固定する締結具、及び膨張可能なカーテンエアバッグ24を取り囲んで展開するまで膨張可能なカーテンエアバッグ24を収納構成に保つ包装具を含み得る。
【0030】
作動すると、インフレータ21は、膨張ガスを生成及び/又は管22内に解放することができる。管22から、膨張ガスが、膨張可能なカーテンエアバッグ24に急速に入ることができ、それによって膨張可能なカーテンエアバッグ24に拡張を開始させる。膨張可能なカーテンエアバッグ24は、収納構成を出て、拡張された形状をとることができる。この展開が完了すると、
図3及び
図4に示されるように、膨張可能なカーテンエアバッグ24は展開構成にあると言われ得る。
【0031】
膨張可能なカーテンエアバッグ24は、一般に、ファブリックなどの可撓性材料の2つの層から形成されてもよく、膨張可能なカーテンエアバッグ24の内側に内側ファブリック層、及び膨張可能なカーテンエアバッグ24の外側に外側ファブリック層を含んでもよい。一例によれば、膨張可能なカーテンエアバッグ24は、一般に、織物ナイロンファブリックから構成されるが、他のファブリック又は可撓性材料が使用されてもよい。内側及び外側のファブリック層は、例えば周辺ステッチを介して、周辺縁部において一緒に固定されてもよい。代替的には、内側及び外側のファブリック層は、機械的締結、接着剤、ワンピース織り、RF溶接、超音波溶接、又は当該技術分野で既知の任意の他の好適な方法を介して一緒に固定されてもよい。
【0032】
膨張可能なカーテンエアバッグ24の内側及び外側のファブリック層は、複数の膨張可能なチャンバを画定するように接合されている。「チャンバ」は、本体内の内部空洞として画定され得る。チャンバ及び他の特徴を含む、図面に例示されている膨張可能なカーテンエアバッグ24の構成は、本教示が関係する限り、主に例示的であると理解されるであろう。
【0033】
特に
図4の上面図を参照すると、上面図は、展開構成にある膨張可能なカーテンエアバッグ24を備えたエアバッグアセンブリ10を示している。更に、
図3は、車両の乗員の頭部、より具体的には運転者の頭部によって通常は占有される乗員ゾーンを示している。
図4では、衝突又は転覆から自動車14が急速に減速する場合に、車両14に対する乗員の頭部の前方軌道52、外側軌道54、及び前方外側軌道56を識別する。前方軌道52は、通常の(すなわち、スモールオーバーラップ衝突でも斜め衝突でもない)前面衝突中に、頭部が乗員ゾーンから移動し得る位置である。外側軌道54は、膨張可能なカーテンエアバッグ24が膨張する車両の側部に対する衝撃などの側部衝撃中に、又は車両の転覆が生じている間に、頭部が乗員ゾーンから移動し得る位置である。前方外側軌道56は、スモールオーバーラップ衝突又は斜め衝突中に、頭部が乗員ゾーンから移動し得る位置である。
【0034】
示されるように、前方外側軌道56は、スモールオーバーラップ衝突又は斜め衝突によって引き起こされる車両の回転から生じ、乗員の頭部をステアリングホイール38の外側に、Aピラー30及び/又は計器パネル40の外側部分に向かって移動させる傾向があり得る。膨張可能なカーテンエアバッグ24の前方位置の存在は、頭部をAピラー30及び/又は計器パネル40との衝撃から保護するのに役立ち得る。したがって、膨張可能なカーテンエアバッグ24の前方部分は、エアバッグアセンブリ10が転覆又はスモールオーバーラップ衝突又は斜め衝突の場合に、強化された保護を提供することを可能にし得る。
【0035】
前方テザー28は、衝突の場合に乗員を保護するために、展開された膨張可能なカーテンエアバッグ24の最適な位置を維持するために使用され得る。そのような最適な位置決めにより、例えば、
図4に示されるように、前方外側軌道56に沿った移動に応じて、運転者の頭部を保護することができる。テザー28は、第1の端部28
B及び第2の端部28
Aを有する。第1の端部28
Bは、膨張可能なカーテンエアバッグ24に接続されてもよく、第2の端部28
Aは、屋根レール26などの自動車14の一部に固定されてもよい。例えば、第2の端部28
Aは、取り付けアセンブリ42のうちの1つに固定されてもよく、したがって、締結具を使用して取り付けアセンブリ42のタブを屋根レール26に固定する状態で、屋根レール26に固定されてもよい。第1の端部28
Bは、膨張可能なクッションエアバッグ24に直接固定され得る。例えば、第
1の端部28Bは、その膨張可能でない部分において、膨張可能なクッションエアバッグ24の外側に面するパネルの外側に固定され得る。
【0036】
エアバッグアセンブリ10は、テザー28を摺動可能に受容するための少なくとも1つのガイド部材44を更に含む。図示の実施形態では、少なくとも1つのガイド部材は、ループの形態の単一のガイド部材44を含む。エアバッグアセンブリ10は、本教示の範囲内の追加のガイド部材44を含み得ることが理解されるであろう。また、ガイド部材44は、テザー28を摺動可能に受容するための任意の他の適切な構造で置き換えられ得ることも理解されるであろう。ガイド部材44は、好ましくは低摩擦材料で形成され得る。ガイド部材44は、その膨張可能でない部分において、膨張可能なクッションエアバッグ24の外側に面するパネルの外側に固定され得る。
【0037】
テザー28は、第1の端部28
Bとガイド部材44との間に第1の調節可能な長さ部分58、及び第2の端部28
Aとガイド部材44との間に第2の調節可能な長さ部分60を含む。膨張可能なカーテンエアバッグ24が展開されると、テザー28は、ガイド部材44を通って摺動し、それによって、第1及び第2の調節可能な長さ部分58及び60の長さを調整することができる。
図2に示されるように、例えば、第1の調節可能な長さ部分58は、膨張可能なカーテンエアバッグ24の長さ方向及び膨張可能なカーテンエアバッグ24の高さ方向によって画定される平面において、第2の調節可能な長さ部分60に対して非ゼロの角度であり得る。非ゼロの角度は、好ましくは少なくとも15°、より好ましくは少なくとも30°である。
【0038】
膨張可能なカーテンエアバッグ24の膨張時に、膨張可能なカーテンエアバッグ24の深さは、車両の乗員50を保護する目的で増大する。この深さの増大の結果として、膨張可能なカーテンエアバッグ24の長さ及び高さの寸法が低減され、テザーの第1の端部と第2の端部との間の距離は、高さ方向及び長さ方向の両方において低減される。テザー28は、特に頭部の前方外側軌道56の場合に、自動車14内の膨張可能なカーテンエアバッグ24の形成された端部を位置決めして乗員50を保護するように機能する。
【0039】
本開示の特定の実施形態及び用途が、例示及び説明されてきたが、本発明は、本明細書に開示される正確な構成及び構成要素に限定されないことを理解されたい。当業者には明らかであろう様々な修正、変更、及び変形は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及びシステムの配置、動作、及び詳細において行われ得る。エアバッグアセンブリ10は、車両14の運転者側での使用において示されている。図示の実施形態では、車両は、右ハンドル運転用自動車14である。同様に構成された(すなわち、鏡像又は近鏡像)エアバッグアセンブリが、エアバッグアセンブリ10に対して追加的又は代替的に、自動車14の乗客側に使用されてもよい。例えば、エアバッグアセンブリ10の構成は、単なる例示であることが再び理解されるであろう。膨張可能なカーテンエアバッグの様々なタイプ及び構成が、本開示の範囲内で利用され得る。例えば、代替の実施形態では、膨張可能なカーテンエアバッグの様々なサイズ、形状、及び比率が使用され得る。自動車メーカは、車両内の所望の場所、予想される衝突タイプ及び重症度、車両の乗員のありそうな習慣、並びに自動車の安全技術分野の当業者によって認識される任意の他の基準に基づいて、そのような代替の実施形態から選択することができる。