(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】抽出用バッグ
(51)【国際特許分類】
B65D 77/00 20060101AFI20250128BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20250128BHJP
A47J 31/02 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
B65D77/00 E
A47J31/06 160
A47J31/02
(21)【出願番号】P 2021081744
(22)【出願日】2021-05-13
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391024744
【氏名又は名称】不双産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保彦
(72)【発明者】
【氏名】夏目 尚
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/018302(WO,A1)
【文献】特開2019-069098(JP,A)
【文献】特開2012-239473(JP,A)
【文献】特開2010-110335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/00
A47J 31/06
A47J 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水性材料から成る平袋状のバッグ本体と、前記バッグ本体の両表面にそれぞれ固定されカップ等の容器に係止する一対のホルダとを具備して、前記バッグ本体の上端部を破断して開口を形成し、前記開口から抽出液を注ぎ入れる抽出用バッグにおいて、
前記ホルダは、剛性薄板で形成され、前記開口の縁側に貼着された上側補強部と、前記上側補強部の下側に設けられた係止部を備え、
前記上側補強部は、上縁が左右対称の凸状になっており、前記上縁の頂部から真っ直ぐ下方に向かって下縁に至る途中まで延びる上下方向主弱剛性部と、前記上縁の左右方向でそれぞれ下がった位置から互いに近づく方向に斜め下方に向かって前記下縁に至る途中まで延びる一対の斜め方向弱剛性部が設けられており、
前記一対のホルダのそれぞれの係止部が前記表面から引き起こされて前記容器の縁に係止されると、前記弱剛性部が共に外方に引っ張られることで前記開口縁が真円状またはそれに近い円状に開かれることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項2】
請求項1に記載した抽出用バッグにおいて、
上側補強部の一対の斜め方向弱剛性部は、上縁の左右方向でそれぞれ下がった位置から前記上縁の接線にほぼ直交しながら斜め下方に向かって延びることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項3】
請求項1または2に記載した抽出用バッグにおいて、
上側補強部の上縁には、頂部の左右両側に下がり度合いの緩やかな緩変縁が形成されており、
前記緩変縁に、上下方向主弱剛性部を挟んで、前記上縁から真っ直ぐ下方に向かって下縁に至る途中まで延びる上下方向補弱剛性部が一対設けられていることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した抽出用バッグにおいて、
上側補強部の上縁は、頂部とその左右両側45°までの範囲であることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載した抽出用バッグにおいて、
上側補強部は円弧類似状をなしていることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項6】
請求項5に記載した抽出用バッグにおいて、
上側補強部の左右両側が更に左右方向外方に連なって全体として円弧類似状をなした外側補強部を構成しており、ホルダがバッグ本体に重ね合わされたときに、その外縁が前記ホルダの外輪郭の一部を構成することを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項7】
請求項6に記載した抽出用バッグにおいて、
外側補強部は帯状をしており、前記外側補強部の左右方向中心の下に連なって上下方向に延びる中央補強部が設けられており、共にバッグ本体に貼着されていることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項8】
請求項7に記載した抽出用バッグにおいて、
上側補強部には幅寸法が大きい太帯状部分があり、そこに斜め方向弱剛性部が設けられていることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項9】
請求項7または8に記載した抽出用バッグにおいて、
ホルダは一枚の剛性薄板が連なった状態で形成されており、
係止部は中央補強部の下側を基端として左右両側からそれぞれ上方に延び、上側で曲がって左右外方にそれぞれ回り込んで下側で連なっており、逆V字状に引き起こされることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項10】
請求項9に記載した抽出用バッグにおいて、
外側補強部と中央補強部に対して係止部はスリット状の切込みにより分離されて引き起こし可能に構成されていることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載した抽出用バッグにおいて、
弱剛性部はホルダの剛性薄板のスリット状またはV字状乃至U字状の切込みにより構成されていることを特徴とする抽出用バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコーヒー粉、茶葉等の抽出用バッグに係り、特にバッグ本体とこのバッグ本体に取り付けられたホルダとから成る抽出用バッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コーヒー粉、茶葉等を封入した透水性材料製のバッグ本体と、このバッグ本体の表面に固定された厚紙製の一対のホルダとから成る抽出用バッグが広く用いられており、この抽出用バッグには、例えば特許文献1に記載されたものがある。
この抽出用バッグを使用する場合には、バッグ本体の上端部を破り取って開口を形成する。次いで、一対のホルダをそれぞれ引き起こしてカップの縁に係止させて、バッグ本体をカップに支持する状態とする。この状態ではバッグ本体の一部とホルダの一部がカップに入り込み、また、バッグ本体の開口の近傍部分は一対のホルダによって支持されて、開口が開いた状態に保持されている。この状態にした後に、この開口から湯等の抽出液を注ぎ入れて抽出を行う。
【0003】
ところで、特許文献1では、ホルダは開口縁に沿って左右方向に延びる部分を備えており、バッグ本体の開口を大きい状態で維持させようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、その場合には、バッグ本体の開口は四角形になってしまう。
コーヒー粉を抽出する際には、開口の中心から外側に向かって「の」の字を描くように湯を注ぐことでコーヒー粉全体に平均して湯を巡らせ、丸く膨らませて蒸らすので、バッグ本体の角部には未抽出のコーヒー粉が大量に残されてしまい、抽出ムラができてしまう。そのため、開口を真円状またはそれに近い状態にしたい。
加えて、利便性の要請に応えて、一対のホルダをそれぞれ引き起こしてカップの縁に係止させるだけの簡便な動作で開口を真円状またはそれに近い状態で開き、且つその開き状態を安定的に維持したい。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、一対のホルダをそれぞれ引き起こしてカップの縁に係止させるだけの簡便な動作で開口を真円状またはそれに近い状態で開き、且つその開き状態を安定的に維持できる、新規且つ有用な抽出用バッグを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、透水性材料から成る平袋状のバッグ本体と、前記バッグ本体の両表面にそれぞれ固定されカップ等の容器に係止する一対のホルダとを具備して、前記バッグ本体の上端部を破断して開口を形成し、前記開口から抽出液を注ぎ入れる抽出用バッグにおいて、前記ホルダは、剛性薄板で形成され、前記開口の縁側に貼着された上側補強部と、前記上側補強部の下側に設けられた係止部を備え、前記上側補強部は、上縁が左右対称の凸状になっており、前記上縁の頂部から真っ直ぐ下方に向かって下縁に至る途中まで延びる上下方向主弱剛性部と、前記上縁の左右方向でそれぞれ下がった位置から互いに近づく方向に斜め下方に向かって前記下縁に至る途中まで延びる一対の斜め方向弱剛性部が設けられており、前記一対のホルダのそれぞれの係止部が前記表面から引き起こされて前記容器の縁に係止されると、前記弱剛性部が共に外方に引っ張られることで前記開口縁が真円状またはそれに近い円状に開かれることを特徴とする抽出用バッグである。
請求項2の発明は、請求項1に記載した抽出用バッグにおいて、上側補強部の一対の斜め方向弱剛性部は、上縁の左右方向でそれぞれ下がった位置から前記上縁の接線にほぼ直交しながら斜め下方に向かって延びることを特徴とする抽出用バッグである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した抽出用バッグにおいて、上側補強部の上縁には、頂部の左右両側に下がり度合いの緩やかな緩変縁が形成されており、前記緩変縁に、上下方向主弱剛性部を挟んで、前記上縁から真っ直ぐ下方に向かって下縁に至る途中まで延びる上下方向補弱剛性部が一対設けられていることを特徴とする抽出用バッグである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した抽出用バッグにおいて、
上側補強部の上縁は、頂部とその左右両側45°までの範囲であることを特徴とする抽出用バッグである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載した抽出用バッグにおいて、
上側補強部は円弧類似状をなしていることを特徴とする抽出用バッグである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載した抽出用バッグにおいて、上側補強部の左右両側が更に左右方向外方に連なって全体として円弧類似状をなした外側補強部を構成しており、ホルダがバッグ本体に重ね合わされたときに、その外縁が前記ホルダの外輪郭の一部を構成することを特徴とする抽出用バッグである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載した抽出用バッグにおいて、外側補強部は帯状をしており、前記外側補強部の左右方向中心の下に連なって上下方向に延びる中央補強部が設けられており、共にバッグ本体に貼着されていることを特徴とする抽出用バッグである。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載した抽出用バッグにおいて、上側補強部には幅寸法が大きい太帯状部分があり、そこに斜め方向弱剛性部が設けられていることを特徴とする抽出用バッグである。
【0014】
請求項9の発明は、請求項7または8に記載した抽出用バッグにおいて、ホルダは一枚の剛性薄板が連なった状態で形成されており、係止部は中央補強部の下側を基端として左右両側からそれぞれ上方に延び、上側で曲がって左右外方にそれぞれ回り込んで下側で連なっており、逆V字状に引き起こされることを特徴とする抽出用バッグである。
【0015】
請求項10の発明は、請求項9に記載した抽出用バッグにおいて、外側補強部と中央補強部に対して係止部はスリット状の切込みにより分離されて引き起こし可能に構成されていることを特徴とする抽出用バッグである。
【0016】
請求項11の発明は、請求項1から10のいずれかに記載した抽出用バッグにおいて、弱剛性部はホルダの剛性薄板のスリット状またはV字状乃至U字状の切込みにより構成されていることを特徴とする抽出用バッグである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の抽出用バッグによれば、一対のホルダをそれぞれ引き起こしてカップの縁に係止させるだけの簡便な動作で開口を真円状またはそれに近い状態で開き、且つその開き状態を安定的に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る抽出用バッグの開封前の平面図である。
【
図2】
図1のホルダから補強部を抽出した図である。
【
図3】
図1の抽出用バッグの開封後の斜視図である。
【
図4】
図1の抽出用バッグをカップにセットした状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る抽出用バッグ1を図面にしたがって説明する。
図1、
図2で、符号3はバッグ本体を示し、このバッグ本体3は透水性を有する材料、例えばポリエチレン繊維製不織布によって構成されている。バッグ本体3は、長方形のシートを二つ折りにして折り曲げ部を形成し、この折り曲げ部が形成された下辺以外の三辺をシールして矩形の平袋状に成形されている。バッグ本体3の上部には上辺縁部に平行に易破断部としてミシン目5が設けられている。このミシン目5で上端側が破断されて開封されると、
図3に示すように、バッグ本体3が開口する。従って、ミシン目5のあったところが、開口縁7となる。
バッグ本体3にはコーヒー粉(図示省略)が封入されている。
【0020】
バッグ本体3の両表面部3a、3aには一対のホルダ9、9がそれぞれ固定されている。このホルダ9は一枚の剛性薄板で構成されている。剛性薄板の素材としては紙、プラスチック等があるが、この実施の形態では厚紙になっている。ホルダ9の外輪郭は打ち抜きにより形成されており、ホルダ9の内側ではスリット状の切込みにより分離されて複数の部位が形成されている。従って、内側には厚紙に面状の欠損部分は存在しない。また、部位どうしは連なっている。
ホルダ9は左右対称に構成されており、その中心線(L)をバッグ本体3の表面部3aの左右方向中心線に合わせた状態で、ミシン目5の下側で固定されている。
以下、ホルダ9の各部位の構成について説明する。
【0021】
符号11は外側補強部を示す。この外側補強部11は外縁13が左下側~上側~右下側に連なって3/4超の円弧類似状をなしている。この外縁13のうち頂部とその左右α(=45°)の範囲までで凸状の上縁13aが構成されている。この上縁13aのうち頂部とその近傍が左右方向外側に比べて下がり度合いの緩やかな、すなわち曲率半径の大きな緩変縁13bになっている。
外側補強部11は左右両側が湾曲帯状に形成されており、外縁13にほぼ相似状に内縁15、15が形成されている。外縁13と内縁15は外方に向かって凸状になった凸曲縁17を介して連なっている。内縁15、15のうち、上縁13aの相似状の内側に位置するもので下縁15a、15aが構成されている。
【0022】
外側補強部11のうち、上縁13aと下縁15a、15aを上下の縁とする部分で、開口縁7側に沿って左右方向に帯状に延び、両端側が下がった上側補強部19が構成されている。上側補強部19の左右方向中心の下からは上下方向に延びる中央補強部21が連なっている。すなわち、上側補強部19の下縁15a、15aはこの中央補強部21で分断されている。
中央補強部21は下方に向かって途中まで先細りになり、更にそこを括れにして下方に向かって今度は先太りになっている。従って、上側補強部19から中央補強部21に連なる部分は逆三角形状のある程度の面積を有する逆三角領域23になっている。また、上側補強部19の下縁15aと中央補強部21の縦縁21aは凹曲線をなすように連続している。更に、緩変縁13bの左右外方では、帯状部分の幅寸法が僅かではあるが大きくなっている太帯状部分25がある。
外側補強部11と中央補強部21は、その境界も含めて全面的にバッグ本体3に対して貼着されている。
【0023】
中央補強部21の下端部は左右方向に延長して逆T字状になっているが、この左右の突出部分に係止部27が連なっている。係止部27は、一対のアーム片29、29と一対の係止片31、31と摘み部33とからなる。
係止部27は蛇行帯状になっており、一方端が中央補強部21の下端部の左延長部分21bに連なり、上方に向かって延びた後に向きを変えて左外方に回り込み、下方に向かって延びた後に更に向きを変えて右横方に向かって延びて、左右方向中心線(L)を超えている。右側でも対象な形状に構成されており、他方端が中央補強部21の下端部の右延長部分21cに連なっている。中央補強部21の下端部の左右延長部分21b、21cからそれぞれ上方に向かって延びる部分が、アーム片29、29に相当し、左右外方に回り込んで下方に向かって延びる部分が、係止片31、31に相当し、横方向で連なった部分が摘み部33に相当する。
【0024】
中央補強部21と外側補強部11の間にアーム片29と係止片31が入り込んでおり、それぞれはスリット状の切込みを介して分離されている。従って、外側補強部11はホルダ9がバッグ本体3の表面部3aに重ね合わされたときに、外縁13と凸曲縁17、17と摘み部33の外縁33aでホルダ9の外輪郭が構成されている。また、上記構成により、上側補強部19の下側に係止部27が位置する。
係止部27は、バッグ本体3の表面部3aに貼着されていないので、それぞれのホルダ9、9の摘み部33、33を指で摘まんで互いに外方に引っ張ると、
図3に示すように、係止片31とアーム片29がつられて引き起こされ、アーム片29と係止片31とが逆V字状に開く。
【0025】
ホルダ9は上記のように構成されており、そこに、弱剛性部がスリット状の切込みにより形成されている。
符号35は上下方向主弱剛性部を構成する切込みであり、この切込み35は上縁13aの頂部から真っ直ぐ下方に向かって延びている。すなわち、逆三角領域23の下端頂角に向かって延びている。切込み35の奥端35aは、下縁15aと下縁15aを滑らかに繋ぐ仮想線(A)の極近傍に位置しており、下側から幅広の中央補強部21が臨んでいる。
切込み35を跨いだ上縁13aの接線は、切込み35の上下に延びる方向に対してほぼ直交している。すなわち、切込み35を左右方向の中心線とすると、その左右両側及び下側の近傍領域37はほぼ左右対称になっている。
【0026】
符号39は上下方向補弱剛性部を構成する切込みであり、この切込み39は緩変縁13bから真っ直ぐ下方に向かって延びている。従って、切込み39と切込み35は平行に延びている。切込み39の長さは切込み35の長さの約1/2程度になっている。切込み39は太帯状部分25に形成されているが、その奥端39aは下縁15aよりも十分に上方にある。また、切込み39を跨いだ緩変縁13bの接線は、切込み39の上下に延びる方向に対してほぼ直交している。すなわち、切込み39を左右方向の中心線とすると、その左右両側及び下側の近傍領域41はほぼ左右対称になっている。
切込み39は左右対称に一対設けられている。
【0027】
符号43は斜め方向弱剛性部を構成する切込みであり、この切込み43は緩変縁13bの左右方向外方の下がった位置の上縁13aから左右方向中心線(L)に近づくように斜め下方に向かって延びている。傾斜角度(θ)は約30°になっている。切込み43の長さは切込み39の長さより僅かに長くなっているが、太帯状部分25に形成されているので、その奥端43aは、下縁15aよりも十分に上方にある。また、切込み43を跨いだ上縁13aの接線は、切込み43の斜めに延びる方向に対してほぼ直交している。すなわち、切込み43を左右方向の中心線とすると、その左右両側及び下側の近傍領域45はほぼ左右対称になっている。
切込み43は左右対称に一対設けられている。
【0028】
切込み35、39、39、43、43は上記のようにホルダ9に形成されている。
この抽出用バッグ1は、ミシン目5を破断すると開封されるので、
図3に示すように、ホルダ9の係止部27のアーム片29と係止片31が逆V字状に引き起こし可能になる。
従って、一対のホルダ9、9のそれぞれの摘み部33、33を指で摘まんで互いに外方に向かって引っ張って、係止片31、31とアーム片29、29を引き起こし、係止片31、31をカップCの縁に係止させると、
図4に示す状態になり、ホルダ9が引っ張られる。アーム片29と係止片31のバネ性により、カップCの縁にフィットする。
【0029】
切込み35は指で引っ張られる力がそのまま掛かる部位になっており、外方に引っ張られて大きく逃げる。その際には、切込み35の近傍領域37がバッグ本体3の表面部3a諸共引きずられる。従って、表面部3aは切込み35を中心とする凸曲状になって外方に膨らむ。切込み35を長く、すなわち深くすると、逃げ距離は稼げるが、切込み35を中心として鋭角状になる。
そのために、一対の切込み39、39が設けられている。切込み39は切込み35よりも短いが、表面部3aは切込み39を中心とする凸曲状になって外方に膨らんで逃げる。切込み35と逃げ方向がほぼ同じなので、切込み35と切込み39、39の協働により、切込み35の引っ張り方向に対して一つの凸曲面の形成が実現できている。
【0030】
また、ホルダ9の中心から左右方向外方にずれると、指で引っ張られる方向と交差した方向に力が掛かるが、そこに太帯状部分25が位置し、切込み43は斜め方向に延びるように形成されているので、切込み35と同様に外方に逃げることが可能になっている。従って、表面部3aは切込み43を中心とする凸曲状に膨らむ。
抽出用バッグ1では、開口縁7がほぼ真円状に開くように、それぞれの切込みがそれぞれの位置に対応した逃げ距離と凸曲面の膨らみ度合いをもたらすように最適設計されており、
図5のイメージ図に示すように、その開口縁7はほぼ真円状になる。
【0031】
切込み35を入れることで、ホルダ9の開口縁7側の剛性は弱く、すなわちコシが柔らかくなるが、ホルダ9の全体としてのコシは十分に確保されるので、カップCの上で起立しながら、この開き状態が安定的に維持される。
【0032】
この抽出用バッグ1では、
図4に示すカップに使用した際に開口縁7がほぼ真円状に開くように設計されている。
カップの形状やサイズが異なれば、力の掛かり度合いが部位毎に異なってくるので、使用が想定されるカップに対応して開口縁がほぼ真円状に開くように、ホルダ紙の形状・サイズや、切込みのピッチや深さ、角度を調整パラメータとして、最適な弱剛性部が設計されている。
【0033】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、弱剛性部をスリット状の切込みで構成していたが、ミシン目状の切込みで形成してもよい。また、スリット状の切込みの代わりにV字状乃至U字状の切込みで弱剛性部を形成することも可能である。
さらには、弱剛性部の数を増やすことも可能である。また、ホルダ9を構成する素材の厚みを部分的に薄くすることで弱剛性部を構成することも可能である。
【0034】
弱剛性部はホルダ9に左右対称に設ければよく、数は特に制限されない。例えば、中心及び左右一対の合計3個でも、中心及び左右三対の合計7個でもよい。このように、弱剛性部は如何様にも配置できる。
また、上記したように、弱剛性部は如何様にも配置できるので、ホルダ9の形状を変更しても開口縁が真円状またはそれに近い円状に開かれるように構成することが可能になっている。例えば、外側補強部11をその他から分離して構成することも、ホルダ9の上縁の凸状を全体が湾曲せずに左右側だけが湾曲したような形状にすることも可能になっている。
【符号の説明】
【0035】
1…抽出用バッグ 3…バッグ本体 3a…表面部 5…ミシン目 7…開口縁
9…ホルダ 11…外側補強部 13…外縁 13a…上縁 13b…緩変縁
15…内縁 15a…下縁 17…凸曲縁 19…上側補強部
21…中央補強部 21a…縦縁 21b、21c…延長部分 23…逆三角領域
25…太帯状部分 27…係止部 29…アーム片 31…係止片
33…摘み部 33a…外縁 35…切込み 35a…奥端 37…近傍領域
39…切込み 39a…奥端 41…近傍領域 43…切込み
43a…奥端 45…近傍領域
L…ホルダの左右方向中心線 A…仮想線 α…上側補強部の範囲
θ…切込みの傾斜角度 C…カップ