(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】抗菌性組成物及び該抗菌性組成物を含む化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20250131BHJP
A01N 31/04 20060101ALI20250131BHJP
A01N 31/14 20060101ALI20250131BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20250131BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20250131BHJP
A61K 31/047 20060101ALI20250131BHJP
A61K 31/08 20060101ALI20250131BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20250131BHJP
A61P 31/02 20060101ALI20250131BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20250131BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 3/00 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 5/04 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 5/08 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 9/02 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250131BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
A61K8/34
A01N31/04
A01N31/14
A01P3/00
A61K8/39
A61K31/047
A61K31/08
A61P17/00 101
A61P31/02
A61P31/04
A61P43/00 121
A61Q1/02
A61Q1/04
A61Q3/00
A61Q5/00
A61Q5/04
A61Q5/06
A61Q5/08
A61Q5/12
A61Q7/00
A61Q9/02
A61Q13/00 100
A61Q17/04
A61Q19/00
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2019548152
(86)(22)【出願日】2018-10-03
(86)【国際出願番号】 JP2018037009
(87)【国際公開番号】W WO2019073874
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-09-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2017197709
(32)【優先日】2017-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】津島 康宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕之
(72)【発明者】
【氏名】八澤 麻貴子
(72)【発明者】
【氏名】山下 小丹
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】阪野 誠司
【審判官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-81736(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125392(WO,A1)
【文献】特開2013-216629(JP,A)
【文献】特開2002-322090(JP,A)
【文献】国際公開第2017/005485(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/124632(WO,A2)
【文献】独国特許出願公開第102013213170(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-99, 31/00-327, A61Q1/00-90/00, A01N1/00-65/48, A01P1/00-23/00, A61P17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,2-オクタンジオール及び炭素数6~8のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の(A)成分と、
トリプロピレングリコール
を含有する(B)成分と
を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比が、1:13~1:300である、抗菌性組成物。
【請求項2】
(A)成分が、炭素数6~8の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルから選択される少なくとも1種である、請求項
1に記載の抗菌性組成物。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の抗菌性組成物を含有する、化粧料。
【請求項4】
化粧料中の(B)成分の含有量が、化粧料全質量に対して、1~50質量%である、請求項
3に記載の化粧料。
【請求項5】
1,2-オクタンジオール及び炭素数6~8のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の(A)成分と、
トリプロピレングリコール
を含有する(B)成分と
を、(A)成分と(B)成分の質量比が1:13~1:300で、化粧料に添加することを含む、化粧料における(A)成分の抗菌効果を(B)成分により増強する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に対し高い安全性を有しながら、皮膚への刺激が少なく有意に高い抗菌性を有する抗菌性組成物および化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には、通常、防腐等の目的で抗菌剤や防黴剤が使用されている。こうした抗菌防黴剤としてパラベン類が使用されてきたが、近年ではパラベン類に対してアレルギー反応を起こす人が増加している。そのため、パラベン類を減量させ得る若しくはパラベン類に代替可能な人体に対して安全性の高い抗菌性組成物が求められていた。
【0003】
そこで、アルカンジオール類、アルキルグリセリルエーテル類等のジオール化合物及びこれらの混合物を抗菌剤として使用することが知られている。特許文献1には、3価以上のアルコールから1つの水酸基を取り除いた残基を有するジオール化合物からなる抗菌剤が開示されている。特許文献2には、2-エチルヘキシルグリセリルエーテルを含有する化粧料組成物が開示されている。特許文献3には、α-モノアルキルグリセリルエーテルを特徴とする抗菌剤が開示されている。特許文献4には、水、油溶性成分及びヘキシルグリセリルエーテルを含有する化粧料が開示されている。特許文献5には、1,2-アルカンジオールと、感光素201号、安息香酸及びその塩、フェノキシエタノール、4-イソプロピル-3-メチルフェノールのうちの1種以上とが組み合わされた防腐殺菌剤が開示されている。特許文献6には、アルカンジオール化合物やグリセリルエーテル化合物とカチオン化βグルカンとを含有する抗菌性組成物が開示されている。これらの組成物は、パラベン類を使用しないため人体に対する高い安全性を有しながら、抗菌剤として良好な性能を持つとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-016018号公報
【文献】特開2007-084464号公報
【文献】特開2004-043336号公報
【文献】特開2011-057647号公報
【文献】特開平11-322591号公報
【文献】特開2014-005209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの抗菌剤は、人体に対する安全性は高いものの、これらは抗菌抗黴剤として用いるためには抗菌性や抗黴性が十分ではない場合があり、化粧料に多量に添加する必要がある。そのため、これらの抗菌剤における抗菌性能の向上が望まれていた。
従って、本発明は、人体に対し高い安全性を有しながら、且つ有意に高い抗菌性を有する抗菌性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者等は鋭意検討したところ、皮膚に対する安全性が高い特定の化合物を組み合わせることで、有意に高い抗菌性を有する抗菌性組成物を見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、1,2-オクタンジオール及び炭素数6~8のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の(A)成分と、トリプロピレングリコールを含有する(B)成分とを含有し、(A)成分と(B)成分の質量比が、1:13~1:300である、抗菌性組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、人体に対し高い安全性を有しながら、皮膚への刺激が少なく保湿性能に優れ、有意に高い抗菌性を有する抗菌性組成物および化粧料を提供することができる。また、本発明の抗菌性組成物は、従来から化粧料に繁用されていたパラベンを減量させるか、またはパラベンの一部もしくは全部を代替することができる抗菌剤として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に使用する(A)成分は、炭素数6~8のアルキル基を有する1,2-アルカンジオールまたは炭素数6~8のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルである。また(A)成分としては、炭素数6~8のアルキル基を有する1,2-アルカンジオール及び炭素数6~8のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルの両方を含有してもよい。
【0009】
炭素数6~8のアルキル基を有する1,2-アルカンジオールとしては、炭素数6~8の直鎖アルキル基を有する1,2-アルカンジオール、炭素数6~8の分岐アルキル基を有する1,2-アルカンジオールが挙げられ、例えば、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオールが挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。これらの中でも、(B)成分との組合せによる抗菌性の相乗効果および高い抗菌性の観点から、1,2-オクタンジオールが好ましい。
【0010】
炭素数6~8のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルは、炭素数6~8の直鎖アルキル基、炭素数6~8の分岐アルキル基又は炭素数6~8のシクロアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルである。このような直鎖アルキル基、分岐アルキル基及びシクロアルキル基としては、例えば、ヘキシル基、2級ヘキシル基、ヘプチル基、2級ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、2級オクチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘプチル基等が挙げられる。モノアルキルグリセリルエーテルのアルキル基の炭素数が6未満の場合は抗菌性が低く抗菌剤として使用できない。一方、モノアルキルグリセリルエーテルのアルキル基の炭素数が8を超えると抗菌性が低下する上に肌への刺激性が強くなる場合がある。さらに水に対する溶解性が悪くなるため、水溶液の製品へ配合し難くなる。これらの直鎖アルキル基、分岐アルキル基又はシクロアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルは、単独で用いてもよいし、又は2種以上を用いてもよい。これらの中でも、(B)成分との組合せによる抗菌性の相乗効果および高い抗菌性の観点から、炭素数6~8の直鎖アルキル基または炭素数6~8の分岐アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルが好ましく、2-エチルヘキシルグリセリルエーテルまたはオクチルグリセリルエーテルが好ましい。このようなモノアルキルグリセリルエーテルを用いることによって、(B)成分と併用して用いたときに、より高い安全性および抗菌性を両立した抗菌性組成物を得ることができる。
【0011】
本発明に使用する(B)成分は、トリプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオールまたは3-メチル-1,3-ブタンジオールであり、これらを単独で用いてもよいし、又は2種以上を用いてもよい。(B)成分としてこのような成分を用いることで、化粧料における(A)成分の抗菌効果を増強して、高い抗菌性を有する抗菌性組成物を得ることができるとともに、皮膚への刺激が少なく保湿性能に優れる抗菌性組成物を得ることができる。これらの中でも、(A)成分の抗菌効果の増強の観点からは、トリプロピレングリコールまたは2-メチル-1,3-プロパンジオールが好ましく、2―メチル-1,3-プロパンジオールであることが特に好ましい。
【0012】
本発明の抗菌性組成物は、上記の(A)成分及び(B)成分を含有するものであり、このような成分を含有することで有意な相乗効果を示し、高い抗菌性を発揮することができる。
【0013】
本発明の抗菌性組成物の(A)成分および(B)成分の含有量については特に限定されないが、抗菌性の観点から、(A)成分と(B)成分の質量比は1:2~1:500であることが好ましく、1:5~1:400であることがより好ましく、1:10~1:300であることがさらに好ましく、1:13~1:300であることがさらにより好ましく、1:15~1:200であることが最も好ましい。このような質量比の中でも、例えば(A)成分が炭素数6~8のアルキル基を有する1,2-アルカンジオール、炭素数6~8の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルおよび、炭素数6~8の分岐アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも一種である場合は、(A)成分と(B)成分の質量比は1:20~1:200であることがより好ましく、1:50~1:180であることがさらにより好ましい。また、例えば(A)成分が炭素数6~8のシクロアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルである場合は、(A)成分と(B)成分の質量比は1:15~1:150であることがより好ましく、1:15~1:100であることがさらにより好ましい。(A)成分と(B)成分の含有質量比が上記範囲内であると、(B)成分による(A)成分の抗菌効果を特に増強することができ、よってこの相乗効果により(A)成分を高濃度とせずとも抗菌性組成物の抗菌性が特に良好となる。なお、各成分が2種以上の化合物からなる場合は、その合計質量をその成分の含有量として質量比を算出する。
【0014】
本発明の抗菌性組成物のpHは特に限定されないが、保存安定性や安全性の観点から、2~12であることが好ましく、3~11であることがより好ましい。
【0015】
本発明の抗菌性組成物は、公知の抗菌剤、防黴剤、殺菌剤、消毒剤と同様の目的用途に使用することができ、例えば、化粧料、医療用洗浄剤、家庭用洗浄剤、食品工業用洗浄剤、合成樹脂や日用品を抗菌加工するための抗菌剤、水性もしくは非水性塗料、医療用柔軟剤等に用いることができるが、本発明の抗菌性組成物は人体に対する安全性が高いことから、化粧料などの人体に直接触れるものに好適に使用することができる。
【0016】
本発明の抗菌性組成物の使用方法は特に限定されず、例えば、抗菌処理を施したい対象物にスプレーする方法、塗布する方法、基布等に含浸した状態で対象物に適用する方法、対象物に含浸させる方法、対象物を浸漬させる方法、対象物の成形加工時や調製時に配合する方法等を用いることができる。また、本発明の抗菌性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内でその実施態様に応じてその他の成分を含んでもよい。
【0017】
本発明の化粧料は、本発明の抗菌性組成物を含有する化粧料である。こうした化粧料としては、例えば、洗顔クリーム、洗顔フォーム、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、マッサージクリーム、コールドクリーム、モイスチュアクリーム、シェービングクリーム、日焼け止めクリーム、養毛剤、ヘアクリーム、ヘアリキッド、セットローション、ヘアブリーチ、カラーリンス、パーマネントウェーブ液、ハンドクリーム、口紅、各種パック、ファンデーション、化粧水、化粧液、乳液、オーデコロン、爪用化粧品、ウエットティッシュや抗菌シート等の衛生用品用薬液等が挙げられる。
【0018】
本発明の化粧料中の抗菌性組成物の配合量は、目的とする抗菌性を発揮できる量であれば特に限定されず、用途に応じて適宜調節できるが、抗菌性と安全性とを両立する観点から、化粧料全質量に対し、(A)成分の含有量が0.001~10質量%とすることが好ましく、0.01~3質量%とすることがより好ましく、0.1~2質量%とすることが最も好ましい。またこのとき、(A)成分の抗菌性を特異的に増強することで化粧料の抗菌性と安全性を効果的に両立する観点から、化粧料全質量に対し、(B)成分の含有量が1~50質量%であることが好ましく、4~30質量%であることがより好ましく、5~20質量%であることがさらに好ましく、5~15質量%であることがさらにより好ましく、5~10質量%であることが特に好ましい。
【0019】
本発明の化粧料は、本発明の抗菌性組成物の効果を阻害しない範囲内で使用目的に応じて保存時、使用時、使用後にて各種特性(溶解性、分散性、安定性、使用感、塗布性、浸透性、保湿性、安全性、意匠性、光学特性、芳香性、美白性等)を向上させるためにその他の成分を含んでもよく、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、キレート剤、低級アルコール、多価アルコール(本発明における(A)成分及び(B)成分を除く)、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤等の1種又は2種以上を必要に応じて適宜配合することができる。なお、下記において「POE」は「ポリオキシエチレン」を表し、「POP」は「ポリオキシプロピレン」を表す。
【0020】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0021】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0022】
ロウとしては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0023】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0024】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0025】
エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0026】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0027】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0028】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0029】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸Na)、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0030】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル;POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート、POE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-ジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0031】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0032】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン、ジェランガム等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0033】
水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等);ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0034】
キレート剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等が挙げられる。
【0035】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0036】
多価アルコール(但し本発明における(A)成分及び(B)成分を除く)としては、例えば、2価のアルコール(例えば、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,5,6-ヘキサンテトラオール、ペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);アルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0037】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-プシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0038】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアーガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0039】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0040】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。本発明の化粧料のpHは用途に応じて適宜調節すればよく、例えば3~11であってもよいが、肌への適用性等の観点からは、3.0~7.5であることが好ましい。
【0041】
ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0042】
その他の配合可能成分としては、例えば、消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキョウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。なお、以下の実施例等において「%」は特に記載が無い限り質量基準である。
【0044】
〔実施例1~27、比較例1~9〕
<使用した化合物>
(A)成分
A-1:2-エチルヘキシルグリセリルエーテル
A-2:オクチルグリセリルエーテル
A-3:シクロヘキシルグリセリルエーテル
(B)成分
B-1:2-メチル-1,3-プロパンジオール
B-2:トリプロピレングリコール
B-3:3-メチル-1,3-ブタンジオール
(C)成分(比較成分)
C-1:プロピレングリコール
C-2:ジプロピレングリコール
C-3:1,3-ブタンジオール
【0045】
<試験対象の微生物>
E.coli:Escherichia coli(細菌)ATCC 8739
P.aer:Pseudomonas aeruginosa(細菌)ATCC 9027
S.aur:Staphylococcus aureus(細菌)ATCC 6538
C.alb:Candida albicans(酵母)ATCC 10231
A.bra:Aspergillus brasiliensis(カビ)ATCC 16404
【0046】
<試験液の調製>
細菌はSCD(ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト)液体培地、酵母及びカビはブドウ糖寒天培地で前培養後、それぞれ0.9%NaCl水溶液で液中の生菌の濃度を106~107cfu/mLレベルに調整することで上記微生物を含む試験液を調製した。
【0047】
<試験方法>
マイクロプレートに各試験液を20μL分注した後、表1に記載の所定濃度の(B)成分、(C)成分および各種濃度の(A)成分を培地により希釈することで調製した抗菌性組成物180μLをそれぞれ添加・撹拌し混合溶液(試験用サンプル)とした。このとき、(A)成分、(B)成分、(C)成分は、混合溶液中で特定の質量%濃度となるよう調製した。次に各混合溶液について、細菌混合溶液は33℃の恒温槽で48時間、酵母混合溶液は25℃で3日間、カビ混合溶液は25℃で1週間それぞれ培養した。そして、培養後の各混合溶液の濁度を観察した。各種濃度で(A)成分を含むこれらの混合溶液の中で、それぞれの微生物について、(B)成分または(C)成分の配合条件毎(各混合溶液毎)に混濁やコロニー・菌糸の存在が見られなかった混合溶液(すなわち、試験対象の微生物の発育が阻止された混合溶液)を特定した。5種の微生物それぞれについて、その発育が阻止された混合溶液の中で最も低い(A)成分濃度を最小発育阻止濃度とした。そして、試験対象とした5種の微生物すべてに対して発育を阻止した濃度(すなわち5種の微生物の最小発育阻止濃度のうち最も高かった濃度)を5種最小発育阻止濃度(5種MIC)とした。また各実施例にて5種MIC調製条件での(A)成分と(B)成分の質量比(A):(B)を算出した。各抗菌性組成物の調製条件および試験結果を表1~表3に示す。なおMICの数値に+が付記されている数値は、MIC数値がその濃度以上であった(試験範囲のうち調製濃度を最も高くした条件でも微生物の発育を阻止しなかった)ことを示し、MIC数値に-が付記されている数値は、MIC濃度がその濃度以下であった(試験範囲のうち調製濃度を最も低くした条件でも微生物の発育を阻止した)ことを示す。また抗菌性(増強効果)の評価においては、+-が記載されている場合においても記載されているMIC数値を用いて評価を行った。
【0048】
【0049】
抗菌性(増強効果)の評価基準
A-1成分のみ(比較例1)の5種MIC値を基準とした時の5種MIC値により評価
◎:5種MICが0.1倍未満
〇:5種MICが0.1倍以上0.5倍未満
△:5種MICが0.5倍以上1.0倍未満
×:5種MICが1.0倍以上
【0050】
【0051】
抗菌性(増強効果)の評価基準
A-2成分のみ(比較例5)の5種MIC値を基準とした時の5種MIC値により評価
◎:5種MICが0.1倍未満
〇:5種MICが0.1倍以上0.5倍未満
△:5種MICが0.5倍以上1.0倍未満
×:5種MICが1.0倍以上
なお、実施例19、22、23、25及び26は参考例である。
【0052】
【0053】
抗菌性(増強効果)の評価基準
A-3成分のみ(比較例9)の5種MIC値を基準とした時の5種MIC値により判断
◎:5種MICが0.1倍未満
〇:5種MICが0.1倍以上0.5倍未満
△:5種MICが0.5倍以上1.0倍未満
×:5種MICが1.0倍以上
【0054】
上記の結果から、(A)成分と(B)成分とを併用した抗菌性組成物は、(B)成分の代わりに比較例成分である(C)成分を用いた例では観察されなかったような抗菌性の増強効果および抗菌性の向上が観察された。これにより本発明の抗菌性組成物は、(B)成分の添加によって(A)成分の抗菌効果が顕著に増強され、高い抗菌性を発揮することが示された。
【0055】
〔実施例28~33、比較例10~17〕
<使用した化合物>
(A)成分
A-4:1,2-オクタンジオール
A-5:ヘキシルグリセリルエーテル
(B)成分
B-1:2-メチル-1,3-プロパンジオール
B-2:トリプロピレングリコール
B-3:3-メチル-1,3-ブタンジオール
(C)成分(比較成分)
C-1:プロピレングリコール
C-2:ジプロピレングリコール
C-3:1,3-ブタンジオール
【0056】
<試験対象の細菌類>
E.coli:Escherichia coli(細菌)ATCC 8739
P.aer:Pseudomonas aeruginosa(細菌)ATCC 9027
【0057】
<試験液の調製>
SCD液体培地で前培養後、それぞれ0.9%NaCl水溶液で液中の生菌の濃度を106~107cfu/mLレベルに調整することで上記細菌を含む試験液を調製した。
【0058】
<試験方法>
マイクロプレートに各試験液を20μL分注した後、所定濃度の(B)成分、(C)成分および各種濃度の(A)成分を培地により希釈することで調製した抗菌性組成物180μLをそれぞれ添加・撹拌し混合溶液(試験用サンプル)とした。このとき、(A)成分、(B)成分、(C)成分は、混合溶液中で特定の質量%濃度となるよう調製した。次に各混合溶液について、33℃の恒温槽で48時間培養後、各混合溶液の濁度を観察した。各種濃度で(A)成分を含むこれらの混合溶液の中で、各細菌について、(B)成分または(C)成分の配合条件毎(各混合溶液毎)に混濁やコロニー・菌糸の存在が見られなかった混合溶液(すなわち、試験対象の細菌類の発育が阻止された混合溶液)の(A)成分の最低濃度を特定し、各細菌類に対する最小発育阻止濃度(MIC)とした。各抗菌性組成物の調製条件および試験結果を表4に示す。
【0059】
【0060】
上記の結果から、(A)成分と(B)成分とを併用した抗菌性組成物は、(B)成分の代わりに比較例成分である(C)成分を用いた例では観察されなかったような、抗菌性能の増強効果および抗菌性の向上が観察された。これにより本発明の抗菌性組成物は、(B)成分の添加によって(A)成分の抗菌効果が顕著に増強され、高い抗菌性を発揮することが示された。
【0061】
〔実施例34~37〕
<抗菌抗黴性の増強効果の評価1>
本発明の抗菌性組成物の増強効果の評価として、抗菌性組成物の構成を前述の(A)成分および(B)成分を用いて表5に示す通りに変更した以外は実施例1と同様の方法により、MICの測定および次式に従い各MICにおけるFIC(Fractional Inhibitory Concentration)指数の算出を行った。
【0062】
FIC指数は、2成分以上からなる組成物において抗菌性の相乗効果を評価する指数であり、FIC指数が小さいほど高い相乗効果を有することを表し、具体的にはFIC指数が1.0未満であれば組成物を構成する成分間に抗菌性の相乗効果があることを示し、1.0以上である場合は抗菌性の単純な相加効果または拮抗効果があることを示す。
FIC=A1/A0+B1/B0
式中、A0は(A)成分単独使用時のMIC値、A1はB成分と併用時のMICにおける(A)成分の濃度、B0は(B)成分単独使用時のMIC値、B1はA成分と併用時のMICにおける(B)成分の濃度を表す。このとき、各成分単独のMIC値は実施例1の試験方法と同様の方法により各成分単独で測定した結果の値を用い、併用時の各成分の濃度は、測定された抗菌性組成物のMIC値における各成分の濃度を用いた。FIC指数の算出結果を表5に示す。なお、試験に使用した細菌は下記のとおりである。
P.aer:Pseudomonas aeruginosa(細菌)ATCC 9027
【0063】
【0064】
〔実施例38~41〕
<抗菌抗黴性の増強効果の評価2>
本発明の抗菌性組成物の増強効果の評価として、抗菌性組成物の構成を前述の(A)成分および(B)成分を用いて表6に示す通りに変更した以外は実施例34と同様の方法により、各微生物に対するMICの測定およびFIC指数の算出を行った。算出された各微生物へのFIC指数について、最小FIC指数の値および下記FIC指数の総合評価基準1に基づくFIC総合評価結果を表6に示す。なお、試験に使用した微生物は下記のとおりである。
S.aur:Staphylococcus aureus(細菌)ATCC 6538
C.alb:Candida albicans(酵母)ATCC 10231
A.bra:Aspergillus brasiliensis(カビ)ATCC 16404
【0065】
FIC指数の総合評価基準1
◎:3種の微生物いずれの試験においてもFIC指数が1.0未満
○:3種の微生物のうち、2種での試験においてFIC指数が1.0未満
△:3種の微生物のうち、1種での試験においてFIC指数が1.0未満
×:3種の微生物いずれの試験においてもFIC指数が1.0以上
【0066】
【0067】
〔実施例42~49〕
<抗菌抗黴性の増強効果の評価3>
本発明の抗菌性組成物の増強効果の評価として、抗菌性組成物の構成を前述の(A)成分および(B)成分を用いて表7に示す通りに変更した以外は実施例34と同様の方法により、各微生物に対するMICの測定およびFIC指数の算出を行った。算出された各微生物へのFIC指数について、最小FIC指数の値および下記FIC指数の総合評価基準2に基づくFIC総合評価結果を表7に示す。なお、試験に使用した微生物は下記のとおりである。
S.aur:Staphylococcus aureus(細菌)ATCC 6538
A.bra:Aspergillus brasiliensis(カビ)ATCC 16404
【0068】
FIC指数の総合評価基準2
◎:2種の微生物いずれの試験においてもFIC指数が1.0未満
○:2種の微生物のうち、1種での試験においてFIC指数が1.0未満
×:2種の微生物いずれの試験においてもFIC指数が1.0以上
【0069】
【0070】
上記の結果から、本発明の抗菌性組成物は、(B)成分の添加によって特異的な相乗効果により(A)成分の抗菌効果が顕著に増強され、高い抗菌性を発揮することが示された。このような特異的な相乗効果により、(A)成分と(B)成分とを併用した抗菌性組成物は、(B)成分の代わりに比較成分である(C)成分を用いた例では観察されなかったような、顕著な抗菌性能の増強効果および抗菌性の向上が観察されたと考えられる。