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特許7626564坑井パッドおよびそれら周囲の地形ベースの自動検出
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  • 特許-坑井パッドおよびそれら周囲の地形ベースの自動検出 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】坑井パッドおよびそれら周囲の地形ベースの自動検出
(51)【国際特許分類】
   E21B 43/00 20060101AFI20250128BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250128BHJP
【FI】
E21B43/00 Z
G06T7/00 350B
G06T7/00 640
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022570095
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2021064215
(87)【国際公開番号】W WO2021254762
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】16/904,747
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ティム
(72)【発明者】
【氏名】クライン、レヴェンテ
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10460169(US,B1)
【文献】特表2007-515621(JP,A)
【文献】特開2016-004452(JP,A)
【文献】特開2014-178775(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108597166(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 43/00 - 43/40
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、プロセッサによって、
地形の特性に基づいて、潜在的な坑井パッドのロケーションを識別することと、
第1の機械学習モデルを使用して、前記潜在的な坑井パッドのロケーションのうち第1のロケーションからのガス排出を記述するスペクトル・データを含む第1のデータ・セットに少なくとも部分的に基づいて、前記ガス排出の識別、組成、および容量を検出し、それにより前記第1のロケーションにおける第1の坑井パッドの存在を特定することと、
第2の機械学習モデルを使用して、前記第1のロケーションの前記地形の特性、前記スペクトル・データおよび履歴データに基づき、前記第1の坑井パッドの閾値距離内の、火災、地滑り、および洪水からなる群から選択される前記第1の坑井パッドに影響を及ぼす可能性のある環境事象を検出し、前記環境事象から前記第1の坑井パッドへの損害の可能性を予測することと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記潜在的な坑井パッドのロケーションのうち、坑井パッドのない第2のロケーションについて、前記第1のロケーションの地形の特性との類似性に少なくとも部分的に基づいて、前記第2のロケーションにおける第2の坑井パッドに適切なロケーションの可能性スコアを提供することと、
前記第2の機械学習モデルを使用して、前記第2のロケーションの前記地形の特性および履歴データに基づき、前記第2のロケーションにおける前記環境事象に起因する損害の可能性を予測することと
をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記第1のデータ・セットは、ガスの動きに関連するデータを含み、前記第1の機械学習モデルまたは前記第1の機械学習モデルと他のモデルとの組み合わせによって、前記第1の坑井パッドが前記ガス排出の源であるかどうかを判定することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
コンピュータに、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法を実行させる、コンピュータ・プログラム。
【請求項5】
コンピュータ可読命令を有するメモリ、および、
前記コンピュータ可読命令を実行するための1つまたは複数のプロセッサ
を備えるシステムであって、
前記コンピュータ可読命令は、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法を実施するために前記1つまたは複数のプロセッサを制御する命令を含む、システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、コンピュータベースの検出システムに関し、より詳細には、作動条件下での坑井パッド(well pad)およびその周囲の地形ベースの自動検出に関する。
【背景技術】
【0002】
パッド掘削は、坑井パッドと呼ばれる単一のコンパクトな区画の土地から複数の裸孔(wellbore)が掘削される、掘削技術である。裸孔とは、油井を画定する穴である。坑井パッドとは、掘削リグが裸孔を掘削するために開墾されている一区画の土地である。坑井パッドは、典型的には4から5平方エーカーであり、任意数の油井を含むことができる。パッド掘削は、水平掘削と共に垂直掘削を使用する。掘削リグは地中に垂直に裸孔を掘削し、裸孔が特定の深さに達すると、掘削リグは任意の所与の方向に水平に掘削する。掘削リグが坑井の掘削を完了すると、地面からいずれかの石油を抽出するために石油リグが配置される。石油抽出プロセスは、石油リグ、防護壁、および貯蔵タンクを含む、特殊機器を必要とする。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態は、坑井パッドの地形ベースの自動検出を対象とする。非限定的な例示のコンピュータ実装方法は、第1の機械学習モデルを使用して、第1のロケーションからのガス排出を記述するスペクトル・データを含む第1のデータ・セットに少なくとも部分的に基づいて、第1のロケーションにおける第1の坑井パッドを検出することを含む。坑井パッドの閾値距離内の環境事象を検出すること。環境事象から第1の坑井パッドへの損害の可能性を決定すること。
【0004】
一実施形態によれば、環境事象は火災、地滑り、または洪水である。
【0005】
一実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、第2のロケーションおよび第1のロケーションの地形の類似性に少なくとも部分的に基づいて、第2のロケーションにおける第2の坑井パッドについて適切なロケーションを予測するステップを含む。コンピュータ実装方法は、第2のロケーションにおける環境事象に起因して、損害の可能性を予測するステップをさらに含む。
【0006】
一実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、第2の機械学習モデルを使用して、第1のデータ・セットから特徴を抽出して、ロケーションの地形を決定することをさらに含む。
【0007】
一実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、地形に少なくとも部分的に基づいて、潜在的な坑井パッドの境界を画成する(delineate a boundary)ためにデータをコード化することをさらに含む。
【0008】
一実施形態によれば、第1の機械学習モデルは、画成された有界の潜在的な坑井パッドがガス排出源であるかどうかを判定する。
【0009】
一実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、ガス排出の識別、組成、および容量を決定すること、ならびに、排出を規制要件と比較することをさらに含む。
【0010】
本発明の他の実施形態は、コンピュータ・システムおよびコンピュータ・プログラム製品において上記方法の特徴を実装する。
【0011】
追加の技術的特徴および利点は、本発明の技術を介して実現される。本発明の実施形態および態様は本明細書に詳細に記述され、請求する主題の一部と見なされる。より良く理解するために、詳細な説明および図面を参照されたい。
【0012】
本明細書に記載される独占権の詳細は、本明細書の結論における特許請求の範囲において具体的に指摘され、明確に請求される。本発明の実施形態の前述および他の特徴および利点は、添付の図面と共に記載される下記の詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の1つまたは複数の実施形態に従った、坑井パッド検出システムの構成要素のブロック図である。
図2A】複数の潜在的な坑井パッドを示す航空ソースからの画像である。
図2B】坑井パッド関連特徴を含む単一の坑井パッドを示す拡大画像である。
図3A】本発明の1つまたは複数の実施形態に従った、坑井パッド境界が示された地図である。
図3B】本発明の1つまたは複数の実施形態に従った、可視光画像なしの坑井パッド境界を示す図である。
図4】本発明の1つまたは複数の実施形態に従った、坑井パッド検出のためのプロセスを示す流れ図である。
図5】本発明の1つまたは複数の実施形態に従った、クラウド・コンピューティング環境を示す図である。
図6】本発明の1つまたは複数の実施形態に従った、抽象化モデル層を示す図である。
図7】本発明の1つまたは複数の実施形態を実装する際に使用するための、コンピュータ・システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に示される図面は例示的である。本発明の思想から逸脱することなく、図面または図面に記載される動作に対する多くの変形が存在し得る。たとえば、アクションは異なる順序で実行可能であるか、あるいは、アクションは追加、削除、または修正可能である。また、「結合される」という用語およびその変形は、2つの要素間に通信経路を有することを記述し、要素間に介在する要素/接続のない要素間の直接接続を示唆するものではない。これらの変形のすべては本明細書の一部と見なされる。
【0015】
本発明の1つまたは複数の実施形態は、空間的に関係する画像上で機械学習技術を使用して、物理的構造体を識別し、坑井パッドを検出し、それらの坑井パッドに対する洪水、山火事、地滑りのリスクを評価するためのシステムおよび方法を提供する。
【0016】
営利企業および規制当局は、排出レベルを決定し、リスクを正確に評価するために、坑井パッドの数およびロケーションに関する正確な情報を必要とする。現行の規制は、坑井パッド・オペレータが、坑井パッドを取り囲む区域内の、洪水、地滑り、および山火事などの特定の環境事象の下で、動作を中止することを必要とする。洪水、地滑り、または山火事の事象において、規制当局は、オペレータが坑井パッド近くの動作を中止したことを検証しなければならない。
【0017】
したがって、坑井パッド近くの有害な環境事象をリモートに検出するため、および、こうした環境事象の中心点と任意の近くの坑井パッドとの間の距離を計算するための、機能を有することが望ましい。環境事象が任意の坑井パッドに接近する速度を計算すること、および、坑井パッド・オペレータに事前の警告を与えるために到着時間を計算することも望ましい。従来のコンピュータベースの検出システムは、機械学習アルゴリズムによる目的分類のための赤、緑、および青(RGB)帯からなる写真画像に依拠する。しかしながら、これらの機械学習アルゴリズムはしばしば、旧式のトレーニングおよび不正確な訓練データに関してトレーニングされる。情報はしばしば、ソースに応じて異なる形式で提供され、結果として高い誤差限界が生じる可能性がある。
【0018】
本発明の1つまたは複数の実施形態は、坑井パッドを識別するための、地形、石油抽出機器、およびガス排出の組合せを検出するために、スペクトル画像データを使用する方法およびシステムを提供することによって、上記の欠点のうちの1つまたは複数に対処する。衛星から抽出されるスペクトル情報を使用して、山火事、洪水、および地滑りを示すことが可能な赤外線または高温の痕跡(signature)を検出することもできる。本明細書で説明する方法およびシステムはさらに、坑井パッドおよび任意の近くの環境条件を識別するために使用される機械学習ユニットをトレーニングするための、リアルタイムおよび現在のトレーニング・データを生成する。
【0019】
次に図1を見ると、本発明の1つまたは複数の実施形態に従った坑井パッド検出システム100が全体として示されている。坑井パッド検出システム100は、データ前処理ユニット102、地形検出ユニット104、および坑井パッド検出ユニット106を含む。坑井パッド検出システム100は、通信ネットワーク112を介して、少なくとも1つのセンサ108および少なくとも1つのデータベース110とデータを交換するように動作可能でもある。センサ108は、衛星、航空機、気球、無人航空機(UAV)、または他の航空ソースに取り付け可能である。データベース110は、土地の区画を記述するデータを含む任意の記憶デバイスとすることができる。
【0020】
データ前処理ユニット102は、土地の区画を記述するデータを受信し、地形検出ユニット104および坑井パッド検出ユニット106による分析用のデータを作成する。データ前処理ユニット102は複数のソースからデータを受信し、ソースに関係なく受信したデータを整理するように動作可能である。データは、衛星画像、スペクトル画像、デジタル・マップ、または、土地の区画を記述する他のデータを含むことができる。データは、たとえば、ロケーション、キャプチャ時間、基準画像に基づいて検出された変化、環境事象への近さ、石油生産のレベル、検出ガスのレベル、または他の適切な基準のうちの、1つまたは複数に基づいて整理可能である。データ前処理ユニット102は、異なるソース(すなわち、異なるセンサ108およびデータベース110)からのデータを正規化するための、正規化ユニット114を含む。データ前処理ユニット102はさらに、地形関連特徴、坑井パッド関連特徴、および環境事象関連特徴などの、特有の特徴をデータから抽出するための、特徴抽出ユニット116を含む。たとえば、坑井パッドの地形は、一般に、土地の平坦な矩形部分、皆無かまたはそれに近い植生、および掘削機器の分布を含む。特徴抽出ユニット116は、スペクトル・シグネチャまたは衛星画像あるいはその両方を含むデータからのこれらの特性を示す特徴を抽出することができる。特徴抽出ユニット116は、植生のタイプ、ならびに、山、洞窟、および水域を含む自然構造体などの、周辺域を記述する特徴を抽出することもできる。
【0021】
場合によっては、これらの特徴のうちの1つまたは複数は、坑井パッドを含まない区域に関連付けることができる。したがって、坑井パッドを含むことが可能な地形と、坑井パッドを含まない地形とを区別するために、特徴抽出ユニット116は、他の地形に関連付けることが可能な特徴を識別することもできる。特徴抽出ユニット116はさらに、特徴が、坑井パッドを伴う地形または坑井パッドを伴わない地形のどちらを示すかを示すために、メタデータを用いてデータをコード化することができる。特徴抽出ユニット116は、坑井パッド地形と同様であるが坑井パッドを含まない地形を示す特徴を抽出することもできる。たとえば、いくつかの農業環境は、坑井パッド地形に関連付けられた1つまたは複数の特徴を含むが、いずれの坑井パッドも含まない。したがって、特徴抽出ユニット116は、農作物または農場関連構造物に関連付けられた特徴を抽出することができる。地形検出ユニット104および坑井パッド検出ユニット106は、この情報を使用して、坑井パッド地形と他の地形とを区別することができる。
【0022】
データ前処理ユニット102は、データ増強ユニット118をさらに含む。トレーニング機械学習ユニットは、典型的には大きなデータ・セットを必要とする。データ増強ユニット118は元のデータを操作することによって新規データ点/画像を作成する。たとえば、データ増強ユニット118は画像データを受信し、トレーニング・データのサイズを増加させるために画像の複数の改変を作り出すことができる。改変は、ミラー画像の生成、画像の回転、色の変更、画像のトリミング、画像の拡縮、または他の改変を含むことができる。改変された画像は、次に、地形検出ユニット104および坑井パッド検出ユニット106をトレーニングするためのより大きなデータ・セットを作り出すために、元のデータ・セットに付加される。データ増強ユニット118は、幾何学的変換、色空間増強、カーネル・フィルタ、混合画像、ランダム消去、特徴空間増強、敵対的トレーニング、敵対的生成ネットワーク(GAN)、ニューラル・スタイル変換、およびメタ学習などの、異なる増強技術を使用することができる。
【0023】
地形検出ユニット104は、データ前処理ユニット102からデータを受信し、坑井パッドを示す地形特徴についてデータを分析することができる。地形特徴抽出ユニット120は、潜在的な坑井パッドに関連付けられた地形を示す特徴を検出する。地形を示す特徴は、地形ニューラル・ネットワーク・モデル122によって分析され、地形(すなわち、平坦または起伏のある、植生または非植生、境界、自然特徴など)を特徴付ける。地形ニューラル・ネットワーク・モデル122はさらに、地形の履歴スナップショットまたは画像から地形への変化を追跡することができる。スナップショットは、「ベースライン」であると見なされ、地形ニューラル・ネットワーク・モデル122は、こうした変化がベースラインから発生した空間および時間を識別することができる。これらの変化は、新規構造、新規機器、土地利用の変化、植生の変化、植生のタイプ、および水域レベルとすることができる。変化を検出することによって、地形検出ユニット104は、いずれかの変化が坑井パッドを示すかどうかを判定することができる。たとえば、道路構造は、道路が坑井パッドへと構築されていることを示し得る。
【0024】
分析されていない土地の区画の地形を分類するとき、地形特徴抽出ユニット120は、データ前処理ユニット102および地理空間時間データ・プラットフォーム124からデータを受信する。地理空間時間データ・プラットフォーム124は、地図、衛星画像、気象ドローン・データ、およびセンサベース・デバイス・データを含む、データのリポジトリを含む。地形特徴抽出ユニット120および地理空間時間データ・プラットフォーム124の両方からのデータが、特定の区画の土地に関係することが可能である。地理空間時間データ・プラットフォーム124から受信したデータを使用して、データ前処理ユニット102から受信したデータを増強する。地形特徴抽出ユニット120は、増強されたデータを処理し、任意の地形関連特徴を抽出する。
【0025】
地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、地形特徴抽出ユニット120から抽出した特徴を受信し、情報を処理し、土地の地形を分類することができる。地形はたとえば、土地の標高、植生、および人造物(道路、建物、インフラストラクチャ)を記述するトポグラフィとすることができる。地形は、川、道路、山、および建物などの任意の他の特徴への、土地上のロケーションの近接を含むこともできる。地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、ロケーションが坑井パッドに関連付けられた可能性が高い地形を有するかどうかを判定するために地形の情報を記憶する、データ、たとえばラスタまたはビット・マップ画像を分析することができる。
【0026】
データに基づいて、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、傾斜、ガスの存在、および植生のタイプなどの、土地の区画の特性を決定することができる。たとえば、地形の傾斜は、画像データ内の2つの隣接ピクセルの値における差に注目することによって決定可能である。差がゼロの場合、地形は平坦である。しかしながら、差が正の数の場合、傾斜は差を計算するために使用される第1のピクセルに向かって傾斜し、負の傾斜は、地形が第2のピクセルへと傾斜している可能性があることを示す。スペクトル画像データを検査することによって、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、ガスを識別し、土地の区画にわたるガス濃度の密度マップを作成することができる。また、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、画像からのスペクトル特性を植生指数(たとえば、正規化差植生指数)と比較することによって、植生を検出することができる。太陽光が異なる植生に当たると、植生は一定の波長を吸収し、他の波長を反射する。植生の細胞構造は近赤外線(NIR)波長光を反射するように進化し、葉緑素または植物の色素は光の可視波長を吸収する。したがって、地形特徴抽出ユニット120は、画像の一部が可視光よりも高い割合の赤外光を表示するものと判定した場合、その部分をまばらな植生に対して濃い植生を有する部分として分類することができる。地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、洪水、地滑り、または山火事などの環境事象も識別可能である。たとえば、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、時系列データを受信し、識別された火災または水の位置が変化していること、および、ある方向に移動していることを特定することができる。他の場合に、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、時系列データを分析し、物体(すなわち、岩、樹木、または建物)の位置が同じ方向に移動していることを特定し、地滑りが発生していることを特定することができる。
【0027】
地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、地形の特性に基づいて、土地の一部分を潜在的な坑井パッド・ロケーションとして識別可能である。地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、事前に識別された坑井パッドの地形の特性を有する地形に部分的に基づいて識別する。たとえば、事前に識別された坑井パッドの地形は、概して、植生のない幾何学的形状として特徴付けられた土地の一部を含み、幾何学的形状のサイズは、植生のない坑井パッド周辺の平均的な幾何学的形状区域の閾値内であり、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、地形を坑井パッドの潜在的ロケーションとして識別可能である。坑井パッドの潜在的ロケーションを記述するデータを特定した後、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、坑井パッドの潜在的ロケーションをセグメント化するためにデータをコード化することができる。境界は、機械による読み取りが可能なコードの形とすることができる。図3Aおよび図3Bで見られるように、コードは、潜在的な坑井パッドを画定する例示の境界を備える土地の任意の画像を増強するように、坑井パッド検出システム100に命じることもできる。その後、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、地域内の各潜在的な坑井パッド・ロケーションを識別するために、セグメント化された画像をラベル付けすることができる。
【0028】
潜在的な坑井パッドについて境界を画成することに加えて、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、各潜在的な坑井パッドを取り囲む地形内の物体を分類することができる。たとえば、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、スペクトル画像、地理空間時間データ・プラットフォームからのデータ、および植生指数を使用して、各潜在的な坑井パッドを取り囲む植生の密度またはタイプを分類することができる。地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、潜在的な坑井パッドの近くの他の物体を識別することもできる。たとえば、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、地理空間時間データ・プラットフォーム124によって提供されたデータを使用して、山、水、または街などの他のロケーションへの近接を識別および決定することができる。地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122はさらに、坑井パッドが、各識別された植生、物体に近接していること、または特定の地形プロファイルを有すること、あるいはその両方の可能性を、決定することができる。この分析において、潜在的な坑井パッドのロケーションと物体との間の距離は、視線に基づいて計算される。こうした計算は、区域内の最も近い潜在的な坑井パッドを識別し、それらの間の差または類似性を検出するために実施される。
【0029】
たとえば、多くの場合、地面から石油を抽出するために使用されるパイプの水平範囲によって決定される、2つの坑井パッドの間で維持される最小距離が存在する。地理空間記録から、潜在的な坑井パッドのロケーションが事前に識別された坑井パッドからの最小距離の外側にあるかどうかを判定するために、任意のパイプの方向および長さは、潜在的な坑井パッドのロケーションと事前に識別された坑井パッドとの間の距離と組み合わされる。
【0030】
地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、坑井パッドの潜在的なロケーションを取り囲む区域を分析して、任意の環境事象、たとえば、坑井パッドに損害を与える可能性のある竜巻、ハリケーン、火災、または洪水を検出することができる。環境事象が検出された場合、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122はさらに、環境事象が潜在的な坑井パッドのロケーションに近付く速度を決定するために、時系列データを分析する。地形検出ユニット104は、さらに、潜在的な坑井パッドのロケーションと環境事象との間の閾値安全距離を決定するように動作可能である。
【0031】
地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、坑井パッドのない土地の一部が坑井パッドにとって適切となるかどうかを予測することもできる。たとえば、決定された油井パッドが1つまたは複数の特定の特徴(すなわち、平坦なトポグラフィ、特定タイプの植生への近接、および、他の識別された坑井パッドへの近接)を有することの閾値よりも高い可能性を有する場合、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、坑井パッドはないが、坑井パッドの潜在的ロケーションとしての特徴を有する土地を識別することができる。地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、さらに、潜在的ロケーションをその特徴に基づいてランク付けすることができる。たとえば、各地形関連特徴には、坑井パッドに関連付けられている可能性を表すスコアが提供可能である。このスコアに基づいて、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、1つのロケーションを、別のロケーションよりも坑井パッドの可能性がより高いロケーションとしてランク付けすることができる。地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、坑井パッドの適切なロケーションまたは不適切なロケーションのいずれかを示すことから各特徴を割り当てること、および可能性スコアを割り当てることが可能である。各可能性スコアは、特徴が坑井パッドの地形に関連付けられる可能性がどの程度であるかの表現である。各可能性スコアは、ロケーションが坑井パッドにより適しているかまたはあまり適していないかにつながる、2つまたはそれ以上の特徴の組合せを、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122が識別したかどうかに基づいて、さらに重み付けすることができる。
【0032】
坑井パッド検出ユニット106は、潜在的な坑井パッドのロケーションが実際の坑井パッドを含むかどうかを判定するために、地形検出ユニット104からデータを受信する。坑井パッド検出ユニット106は、マルチスケール物体検出のための複数の機械学習モデルを含む。坑井パッド検出ユニット106は、地形の識別された特徴に基づいて、機械学習モデルを選択することができる。たとえば、坑井パッド検出ユニット106は、領域畳み込みニューラル・ネットワーク(R-CNN)モデル・ユニット126を使用することができる。R-CNNモデル・ユニット126は、地形検出ユニットからデータを受信し、地形が坑井パッドを含むかどうかを判定する。本発明のいくつかの実施形態において、R-CNN 126は、第1に、地形検出ユニットから受信した画像内に境界ボックスを生成し、各境界ボックス上で分類器を実行する。異なる物体を分類すると、R-CNNモデル・ユニット126は重複分類を除去し、画像内の他の検出された物体に基づいてボックスを再スコアリングする。本発明の他の実施形態において、坑井パッド検出ユニット106は、You Only Look Twice(YOLT)モデル・ユニット128を使用することもできる。YOLTモデル・ユニット128は、スライディング・ウィンドウを使用することによって、画像内の小さな密集した物体を探すのを支援し、画像のサンプリング・レートを増加させる。さらに、YOLTのニューラル・ネットワーク・アーキテクチャは、密度の高い最終畳み込み層を含めることによって、他のニューラル・ネットワークから区別することができる。本発明のさらに他の実施形態において、坑井パッド検出ユニット106は、単一ショット検出器(SSD)モデル・ユニット130を使用することもできる。SSDモデル・ユニット130は、バックボーン・モデルおよびSSDヘッドを含む。バックボーン・モデルは、特徴を抽出するために使用される画像分類ニューラル・ネットワークである。SSDヘッドは、バックボーン・モデル・ニューラル・ネットワークの終わりに追加される1つまたは複数の畳み込み層を含む。
【0033】
坑井パッド検出ユニット106は、地形検出ユニット104によって決定された地形特徴に基づいて、適切なニューラル・ネットワーク・モデルを選択する。坑井パッド検出ユニット106は、実際の坑井パッドの存在を特定するために、適切なニューラル・ネットワーク・モデルを使用して、潜在的な坑井パッドのロケーションを分析する。坑井パッド検出ユニット106は、任意の検出されたガスと坑井パッドに関連付けられたガスとを比較することができる。ガスは、独自のスペクトル特性を有し、特有の周波数および波長において電磁波を反射する。たとえば、メタンまたは二酸化炭素は、一般に坑井パッドから排出されるガスである。したがってガスの存在は、潜在的な坑井パッドのロケーションが、実のところ、実際の坑井パッドを含むことを示すことができる。
【0034】
坑井パッド検出ユニット106は、風、温度勾配、または他の現象に起因するガスの動きを考慮することができる。坑井パッド検出ユニット106は、ガス・データに流体工学モデルを適用して、プルーム(Plume)を空間的に拡張させ、さらにまた濃度を薄めることも可能な、風による乱流を補償することができる。こうしたプルームの分散は画像全体に拡張可能であり、範囲、形状、および予測される濃縮に関してニューラル・ネットワークに伝えられる。モデルのうちの1つまたは複数の適用に基づいて、その後、坑井パッド検出ユニット106は、土地の区画が坑井パッドを含むかどうかの判定を支援するために、ガス源を特定することができる。
【0035】
坑井パッド検出ユニット106はさらに、ロケーションにおいて検出された機械類および機器と坑井パッドに関連付けられた機械類とを比較するために、適切なニューラル・ネットワーク・モデルを使用することができる。たとえば坑井パッド検出ユニット106は、ロケーションが坑井パッドを含むかどうかを判定するために、配管、石油リグ、ガス・コンテナ・トラック、ならびに他の機器および機械類の存在を検出することができる。場合によっては、空気中に十分なガスが存在する場合、ガスのスペクトル特性は、ガスの下の物理的構造体を示す可視光データを覆いつくす可能性がある。したがって、坑井パッド検出ユニット106は、適切なニューラル・ネットワーク・モデルを使用して、任意の物理的構造体が潜在的な坑井パッド上に存在するかどうかを判定するために、潜在的ロケーションの時系列画像を分析することができる。
【0036】
坑井パッド検出ユニット106は、坑井パッドに影響を及ぼす環境事象の可能性を決定することもできる。たとえば坑井パッド検出ユニット106は、ロケーションが環境事象によって影響を受けることになる可能性を予測するために、適切なニューラル・ネットワーク・モデルを使用して地形データを分析する。たとえば、ロケーションが地滑りによってどのように影響を受ける可能性があるか。坑井パッド検出ユニット106は、坑井パッドに山火事の危険が迫っているかどうかを判定するために、山火事の速度を分析することもできる。坑井パッド検出ユニット106はさらに、天気予報、電子ニュース記事、および予測を最適化するための他の情報などの、履歴データを分析するために、自然言語処理技術を使用するように動作可能である。坑井パッド検出ユニット106は、適切なニューラル・ネットワーク・モデルを使用することが可能であり、坑井パッドが環境事象によって損傷する可能性と、坑井パッドのないロケーションが環境事象によって影響を受けるかどうかも予測するために、データを適用する。この意味で、坑井パッド検出ユニット106は、土地の一部が坑井パッド・ロケーションと見なされることの適合性を決定するのを助けることができる。
【0037】
ロケーションが実際の坑井パッドを含むとの決定に応答して、坑井パッド検出ユニット106は、環境事象データに応答して坑井パッド・オペレータに警告することもできる。環境事象の速度および最小安全閾値距離に基づいて、坑井パッド検出ユニット106は、環境事象の説明、環境事象の速度、および、環境事象が最小安全閾値距離を超える前に坑井パッドの動作を中止するために利用可能な最大時間を含む警告を、坑井パッド・オペレータに伝送することができる。最小安全閾値距離は、環境事象および地形に基づいて変動可能である。
【0038】
坑井パッド検出ユニット106は、さらに、規制当局からの任意のシャットダウン命令を含む既存の規制を、坑井パッドが順守しているかどうかを判定するために、適切なニューラル・ネットワーク・モデルを使用することができる。坑井パッド検出ユニット106は、坑井パッドからの任意の排出ガスの識別および組成をデータとして受信し、坑井パッドが適用可能な排出基準に準拠しているかどうかを判定するために、この値を、規制を介して確立された閾値と比較する。これは、坑井パッドが命令に応答してシャットダウンするかどうかを判定するために、シャットダウン命令後にガス排出の存在およびレベルを検出することを含む。
【0039】
センサ108は、分光学のためのデータを収集するように動作可能な任意のセンサとすることができる。分光学は、電磁スペクトルの何らかの部分からのデータの調査および測定を含む。センサ108は、たとえば、中分解能撮像分光放射計(MODIS)または可視赤外撮像放射計スイート(VIIRS)などのリモート・イメージング・センサ、あるいは、スペクトル・データをキャプチャ可能な、様々な波長で取得される光検出および測距システム(LIDAR)を、含むことができる。センサ108は、石油およびガス事業によって生成可能な化学的プルームを検出するために、赤外スペクトル帯に敏感なガス撮像装置をさらに含むことができる。スペクトル帯とは、電磁スペクトルに沿った電磁信号の様々なレンジである。化学的プルームの例は、坑井パッドから漏出するガスであるメタン、CH、石油およびガスの自然副産物である二酸化硫黄、SO、および、坑井パッドのポンプおよびコンプレッサから放出されるガスである二酸化窒素、NOを含む。スペクトル帯を使用して、それぞれのガスのスペクトル・シグネチャを検出することができる。センサのスペクトル・レンジは、対象となる任意の化学種のスペクトル特徴を含むように構成可能である。
【0040】
坑井パッド検出システム100は、センサ108またはデータベース110のいずれかからデータを受信し、これを分析して、坑井パッドを識別する。データは、センサ108が土地の一画を通過する際にリアルタイムで回復可能であるか、または、データは事前にデータベース110内に記憶可能である。坑井パッド検出システム100は、第三者、たとえば坑井パッドを操作する会社、市税務当局、規制当局、または保険会社から、データを受信するようにも動作可能である。
【0041】
通信ネットワーク112は、インターネット、光ファイバ、マイクロ波、xDSL(デジタル加入者回線)、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)技術、衛星、ワイヤレス・セルラ技術、ブルートゥース技術、または任意の他の適切な通信技術、あるいはその組合せを含むことができる。
【0042】
「ニューラル・ネットワーク」および「機械学習」という語句は、データから学習する電子システムの機能を広義に記述している。機械学習システム、エンジン、またはモジュールは、外部クラウド環境(たとえば、クラウド・コンピューティング環境50)などで、現在未知の入力と出力との間の機能的な関係を学習するようにトレーニング可能な、機械学習アルゴリズムを含むことができる。1つまたは複数の実施形態において、機械学習機能は、現在未知の機能を実行するようにトレーニングされる能力を有する地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122を使用して実装可能である。機械学習および認知科学において、ニューラル・ネットワークは、動物の生体神経回路網、特に脳から発想を得た、統計学習モデル群である。ニューラル・ネットワークは、多数の入力に依存するシステムおよび機能を推定または近似するために使用可能である。
【0043】
地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122は、シミュレートされた「ニューロン」として働き、電子信号の形で互いの間で「メッセージ」を交換する、相互接続されたプロセッサ要素のいわゆる「神経形態学的」システムとして具体化可能である。生体ニューロン間でメッセージを搬送するシナプス神経伝達物質接続のいわゆる「可塑性」と同様に、シミュレートされたニューロン間で電子メッセージを搬送する、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122内の接続には、所与の接続の強さまたは弱さに対応する数値的重みが提供される。トレーニングの間、重みは、地形ニューラル・ネットワーク・モデル・ユニット122を入力に適合させ、学習可能にする経験に基づいて、調節および調整可能である。ネットワークの設計者によって決定された機能によって重み付けおよび変換された後、これらの入力ニューロンの活性化は、しばしば「隠れ」ニューロンと呼ばれる他のダウンストリームニューロンに渡される。このプロセスは、出力ニューロンが活性化されるまで繰り返される。活性化された出力ニューロンは、どちらの文字が読み取られたかを特定する。
【0044】
図2Aは、区域全体にわたる坑井パッド200、202の分布を示す画像である。図2Bは、単一の坑井パッド204の拡大画像である。図2Bに示されるように、坑井パッド204は概して矩形の形状を有し、車道206にごく接近している。坑井パッド204は、皆無かそれに近い植生を伴う概して平坦な地形を有し、保護フェンス208によって囲まれている。貯蔵タンク212は坑井パッドの頂部に位置し、抽出ポイント214が坑井パッド204の中心に指定されている。汚染源は、いずれかの特徴の上またはこれらの特徴の間に、坑井パッド全体にわたる確率分布で発生可能である。
【0045】
図3Aは、センサ108によって収集されたデータから生成される境界画成マップ300を示す。境界画成マップ300は、衛星画像または自律航空機画像などの、1つまたは複数の空中画像を含むことができる。いくつかの実施形態において、センサ108は、レーザ光を用いてターゲット(たとえば、土地)を照明することによって、ターゲットまでの距離を測定する、光検出および測距(LIDAR)システムを含む。境界画成マップ300は、所定の時間スパンにわたる特定の地理的区域の1つまたは複数の衛星画像から生成可能である。検出された各坑井パッド302は、境界画成マップ300上に画成された境界を含む。図3Bは、地表画像なしの境界画成マップ300からの坑井パッド境界画成を示す。各境界画成は多角形を有し、坑井パッドの外周または複数の隣接する坑井パッドの外周を示す。
【0046】
図4を参照すると、本発明の1つまたは複数の実施形態に従った、坑井パッド検出のためのプロセスの流れ図が示される。ブロック402において、坑井パッド検出システムは土地の区画に関するデータを受信する。土地は1つまたは複数の坑井パッドを含むことができる。データは、空中ベース・ソースまたはデータベースを含む、1つまたは複数のソースから受信可能である。ブロック404において、坑井パッド検出システムは、土地の分析された区画のデータから、任意の地理空間データを選択する。地理空間データは、土地の区画の特性に関する任意のデータを指す。これは、土地の表面プロファイル、任意の構造体、事前に識別された坑井パッド、機器、または土地上の他の人造物を記述するデータを含む。地理空間データは、山、渓谷、水域、および他の自然ロケーションへの近接を含む、周辺の地形も同様に記述する、任意のデータも含む。ブロック406において、坑井パッド検出システムは、土地の地形関連特徴を決定するために機械学習モデルをデータに適用する。データを機械学習モデルに提供する前に、事前に処理されていない場合、坑井パッド検出システムは、ブロック408においてデータを前処理する。坑井パッド検出システムはさらに、土地の区画の各部分を潜在的な坑井パッドとして識別する境界を用いて、データに注釈を付ける。ブロック410において、坑井パッド検出システムは、坑井パッドを含むかまたは含まないものとして、各潜在的な坑井パッドを分類するために、地形特有の機械学習モデルをデータに適用する。ブロック412において、坑井パッド検出は、任意の追加の前処理をデータに提供する。地形特有の機械学習モデルは、坑井パッドに関連付けられた任意のガスが境界区域のいずれかから排出されているかどうかを判定するために、データを分析する。地形特有の機械学習モデルは、坑井パッドに関連付けられた任意の機械類または機器が境界区域のいずれかに見られるかどうかを判定するためにも、データを分析する。ブロック414において、坑井パッド検出システムは、境界区域が坑井パッドを含むかまたは含まないかに関してデータに注釈を付ける。いずれかのガスが識別された場合、坑井パッド検出システムは、時系列データに基づいて、ガスの容量および排出レートを決定する。その後、坑井パッド検出システムは、ガスの識別およびガスの容量を、いずれかの適用可能排出基準またはシャットダウン命令と比較する。
【0047】
坑井パッド検出システムは、さらに、閾値内でまたは排出基準を上回って排出されるガスの容量の、任意の軽減を支援するように動作可能である。坑井パッド検出システムは、坑井パッドの上のガスの組成も分析し、異なるガス間の混合比を計算し、ここでメタンは漏れから排出されるが、二酸化窒素は機器の動作によって排出可能である。比較に基づいて、坑井パッド検出システムは、ガス排出および適用可能排出基準を開示するレポートを生成することができる。坑井パッド検出システムは、さらに、ガス排出および任意の適用可能な排出基準に基づいて、石油リグを低速化すること、石油リグを高速化すること、または石油を使用不可にすることのいずれかによって、いずれかの石油リグを制御するようにエンティティに指示するために、通信をリモートに確立することができる。坑井パッド検出システムは、さらに、別の航空機または衛星との通信をリモートに確立して、発見したものを検証するため、あるいは、ガス排出が排出基準の下まで、またはシャットダウン命令に従って、低下したかどうかを判定するために、後続のデータを収集するようにそのコースを変更することができる。
【0048】
本開示は、クラウド・コンピューティングに関する詳細な説明を含むが、本明細書に記載される教示の実装は、クラウド・コンピューティング環境に限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の実施形態は、現在知られているかまたは後に開発される任意の他のタイプのコンピューティング環境と共に実装することができる。
【0049】
クラウド・コンピューティングは、最少の管理努力またはサービス・プロバイダとの対話を用いて、即時に提供および解除が可能な、構成可能コンピューティング・リソース(たとえば、ネットワーク、ネットワーク帯域幅、サーバ、処理、メモリ、ストレージ、アプリケーション、仮想機械、およびサービス)の共有プールへの便利なオンデマンド・ネットワーク・アクセスを実行可能にするための、サービス配布のモデルである。このクラウド・モデルは、少なくとも5つの特性、少なくとも3つのサービス・モデル、および、少なくとも4つの展開モデルを含むことができる。
【0050】
特性は下記のとおりである。
【0051】
オンデマンド・セルフサービス:クラウド消費者は、サービス・プロバイダとヒトとの対話を必要とすることなく、必要に応じて自動的に、サーバ時間およびネットワーク・ストレージなどのコンピューティング能力を、一方的に提供することができる。
【0052】
広範なネットワーク・アクセス:能力は、ネットワークを介して利用可能であり、異機種環境にあるシンまたはシック・クライアント・プラットフォーム(たとえば、携帯電話、ラップトップ、およびPDA)による使用を促進する標準機構を介してアクセスされる。
【0053】
リソース・プーリング:プロバイダのコンピューティング・リソースは、マルチテナント・モデルを使用して複数の消費者にサービスを提供するために、要求に従って動的に割り当ておよび再割り当てされた異なる物理リソースおよび仮想リソースと共にプールされる。消費者は一般に、提供されたリソースの正確なロケーションにわたる制御または知識を有さないが、高い抽象度でロケーション(たとえば、国、州、またはデータセンタ)を指定することが可能であるという点において、ロケーション独立性の印象が存在する。
【0054】
迅速な順応性:能力は、即時にスケール・アウトするために、迅速かつ順応的に、場合によっては自動的に提供可能であり、即時にスケール・インするために迅速に解除可能である。消費者にとって、提供のために利用可能な能力は、無制限であるように見えることが多く、任意の時間に任意の数量で購入可能である。
【0055】
測定されたサービス:クラウド・システムは、サービスのタイプ(たとえば、ストレージ、処理、帯域幅、およびアクティブなユーザ・アカウント)に適した何らかの抽象度において、計測能力を活用することによって、リソースの使用を自動的に制御および最適化する。リソース使用率は、監視、制御、および報告可能であり、利用されるサービスのプロバイダおよび消費者の両方に対する透明性を提供する。
【0056】
サービス・モデルは下記のとおりである。
【0057】
Software as a Service(SaaS):消費者に提供される能力は、クラウド・インフラストラクチャ上で実行するプロバイダのアプリケーションを使用することである。アプリケーションには、ウェブ・ブラウザなどのシン・クライアント・インターフェース(たとえば、ウェブベースの電子メール)を介して、様々なクライアント・デバイスからアクセス可能である。消費者は、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、ストレージ、あるいは個々のアプリケーション能力をも含む、下位のクラウド・インフラストラクチャを管理または制御しないが、限定されたユーザ固有のアプリケーション構成設定は例外である可能性がある。
【0058】
Platform as a Service(PaaS):消費者に提供される能力は、クラウド・インフラストラクチャ上に、プロバイダによってサポートされるプログラミング言語およびツールを使用して作成された、消費者作成または獲得アプリケーションを展開することである。消費者は、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、またはストレージを含む、下位のクラウド・インフラストラクチャを管理または制御しないが、展開されたアプリケーションおよび可能なアプリケーション・ホスト環境構成の制御は有する。
【0059】
Infrastructure as a Service(IaaS):消費者に提供される能力は、処理、ストレージ、ネットワーク、および他の基本的なコンピューティング・リソースを提供することであり、消費者は、オペレーティング・システムおよびアプリケーションを含むことが可能な、任意選択のソフトウェアを展開および実行することができる。消費者は、下位のクラウド・インフラストラクチャを管理または制御しないが、オペレーティング・システム、ストレージ、展開されたアプリケーションの制御は有し、場合によってはネットワーキング構成要素(たとえば、ホスト・ファイアウォール)の選択の限定制御を有する。
【0060】
展開モデルは下記のとおりである。
【0061】
プライベート・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、組織のためだけに運営される。組織または第三者によって管理可能であり、施設内または施設外に存在可能である。
【0062】
コミュニティ・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、いくつかの組織によって共有され、共有する問題(たとえば、ミッション、セキュリティ要件、ポリシー、およびコンプライアンス問題)を有する特定のコミュニティをサポートする。組織または第三者によって管理可能であり、施設内または施設外に存在可能である。
【0063】
パブリック・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、一般市民または大企業グループが利用できるように作られ、クラウド・サービスを販売する組織によって所有される。
【0064】
ハイブリッド・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、依然として固有のエンティティであるが、データおよびアプリケーションの移植性(たとえば、クラウド間の負荷バランシングのためのクラウド・バースト)を可能にする、標準化技術またはプロプライエタリ技術によって結び付けられた、2つまたはそれ以上のクラウド(プライベート、コミュニティ、またはパブリック)の複合である。
【0065】
クラウド・コンピューティング環境は、ステートレス、疎結合、モジュール方式、および意味相互運用性に焦点を置いた、サービス指向である。クラウド・コンピューティングの中心は、相互接続されたノードのネットワークを含むインフラストラクチャである。
【0066】
次に図5を参照すると、例示的クラウド・コンピューティング環境50が示されている。図に示されるように、クラウド・コンピューティング環境50は、1つまたは複数のクラウド・コンピューティング・ノード10を含み、これらと通信するために、クラウド消費者は、たとえば、携帯情報端末(PDA)または携帯電話54A、デスクトップ・コンピュータ54B、ラップトップ・コンピュータ54C、または自動車用コンピュータ・システム54N、あるいはその組合せなどの、ローカル・コンピューティング・デバイスを使用することができる。ノード10は、互いに通信可能である。それらは、前述のようなプライベート、コミュニティ、パブリック、またはハイブリッドのクラウド、あるいはそれらの組合せなどの、1つまたは複数のネットワークにおいて、物理的または仮想的にグループ化可能である(図示せず)。これにより、クラウド・コンピューティング環境50は、インフラストラクチャ、プラットフォーム、またはソフトウェア、あるいはその組合せを、サービスとして提供することが可能となり、クラウド消費者はローカル・コンピューティング・デバイス上にリソースを保持する必要がない。図5に示されるコンピューティング・デバイス54A~Nのタイプは単なる例示的なものであり、コンピューティング・ノード10およびクラウド・コンピューティング環境50は、任意のタイプのネットワークまたはネットワーク・アドレス指定可能接続あるいはその両方を介して(たとえば、ウェブ・ブラウザを使用して)、任意のタイプのコンピュータ化デバイスと通信可能であることを理解されよう。
【0067】
次に図6を参照すると、クラウド・コンピューティング環境50(図5)によって提供される機能抽象層のセットが示されている。図6に示される構成要素、層、および機能は、単なる例示のためのものであり、本発明の実施形態はこれらに限定されないことを、あらかじめ理解されたい。図に示されるように、下記の層および対応する機能が提供される。
【0068】
ハードウェアおよびソフトウェア層60は、ハードウェアおよびソフトウェア構成要素を含む。ハードウェア構成要素の例は、メインフレーム61、RISC(縮小命令セット・コンピュータ)アーキテクチャ・ベース・サーバ62、サーバ63、ブレード・サーバ64、ストレージ・デバイス65、ならびに、ネットワークおよびネットワーキング構成要素66を含む。いくつかの実施形態において、ソフトウェア構成要素は、ネットワーク・アプリケーション・サーバ・ソフトウェア67およびデータベース・ソフトウェア68を含む。
【0069】
仮想化層70は、仮想サーバ71、仮想ストレージ72、仮想プライベート・ネットワークを含む仮想ネットワーク73、仮想アプリケーションおよびオペレーティング・システム74、および仮想クライアント75の、仮想エンティティの例が提供可能な、抽象層を提供する。
【0070】
一例において、管理層80は下記に記載する機能を提供することができる。リソース提供81は、クラウド・コンピューティング環境内でタスクを実行するために利用されるコンピューティング・リソースおよび他のリソースの動的調達を提供する。計測および価格設定82は、クラウド・コンピューティング環境内でリソースが利用される際のコスト追跡、および、これらのリソースの消費に対する課金またはインボイス作成を提供する。一例において、これらのリソースはアプリケーション・ソフトウェア・ライセンスを含むことができる。セキュリティはクラウド消費者およびタスクについての識別検証、ならびにデータおよび他のリソースの保護を提供する。ユーザ・ポータル83は、消費者およびシステム管理者のためにクラウド・コンピューティング環境へのアクセス権を提供する。サービス・レベル管理84は、要求されたサービス・レベルに合致するように、クラウド・コンピューティング・リソース割り振りおよび管理を提供する。サービス・レベル合意書(SLA)計画および達成85は、SLAに従って将来の要件が見込まれる、クラウド・コンピューティング・リソースについての事前取り決めおよび調達を提供する。
【0071】
作業負荷層90は、クラウド・コンピューティング環境が利用可能な機能の例を提供する。この層から提供可能な作業負荷および機能の例は、マッピングおよびナビゲーション91、ソフトウェア開発およびライフサイクル管理92、仮想教室教育配布93、データ分析処理94、トランザクション処理95、および画像からの坑井パッド分類96を含む。
【0072】
本開示は、現在既知であるかまたは後に開発される任意の他のタイプのコンピューティング環境と共に実装可能であることを理解されよう。たとえば、図7は、本明細書で説明する技術を実装するための処理システム700のブロック図を示す。例において、処理システム700は、1つまたは複数の中央処理ユニット(プロセッサ)721a、721b、721cなど(集合的または総称的にプロセッサ721または処理デバイスあるいはその両方と呼ばれる)を有する。本開示の態様において、各プロセッサ721は、縮小命令セット・コンピュータ(RISC)マイクロプロセッサを含むことができる。プロセッサ721は、システム・バス733を介してシステム・メモリ(たとえば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)724)および様々な他の構成要素に結合される。読み取り専用メモリ(ROM)722は、システム・バス733に結合され、処理システム700の特定の基本機能を制御する基本入力/出力システム(BIOS)を含むことができる。
【0073】
さらに、システム・バス733に結合される入力/出力(I/O)アダプタ727およびネットワーク・アダプタ726が示される。I/Oアダプタ727は、ハード・ディスク723またはストレージ・デバイス725あるいはその両方、または任意の他の同様の構成要素と通信する、小型コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)アダプタとすることができる。I/Oアダプタ727、ハード・ディスク723、およびストレージ・デバイス725は、本明細書では集合的に大容量ストレージ734と呼ばれる。処理システム700上での実行のためのオペレーティング・システム740は、大容量ストレージ734内に記憶可能である。ネットワーク・アダプタ726は、システム・バス733を外部ネットワーク736と相互接続し、処理システム700が他のこうしたシステムと通信できるようにする。
【0074】
ディスプレイ(たとえば、ディスプレイ・モニタ)735が、グラフィクスの多いアプリケーションおよびビデオ・コントローラの性能を向上させるためのグラフィクス・アダプタを含むことが可能なディスプレイ・アダプタ732によって、システム・バス733に接続される。本開示の一態様において、アダプタ726、727、または732、あるいはその組合せは、中間バス・ブリッジ(図示せず)を介してシステム・バス733に接続される、1つまたは複数のI/Oバスに接続可能である。ハード・ディスク・コントローラ、ネットワーク・アダプタ、およびグラフィクス・アダプタなどの周辺デバイスを接続するのに適切なI/Oバスは、典型的には、Peripheral Component Interconnect(PCI)などの共通プロトコルを含む。追加の入力/出力デバイスは、ユーザ・インターフェース・アダプタ728およびディスプレイ・アダプタ732を介してシステム・バス733に接続されるように示されている。入力デバイス729(たとえば、キーボード、マイクロフォン、タッチスクリーンなど)、入力ポインタ730(たとえば、マウス、トラックパッド、タッチスクリーンなど)、またはスピーカ731、あるいはその組合せは、たとえば、複数のデバイス・アダプタを単一の集積回路に集積させるスーパーI/Oチップを含むことが可能な、ユーザ・インターフェース・アダプタ728を介して、システム・バス733に相互接続可能である。
【0075】
本開示のいくつかの態様において、処理システム700はグラフィクス処理ユニット737を含む。グラフィクス処理ユニット737は、ディスプレイへの出力を対象としたフレーム・バッファにおける画像の作成を加速させるために、メモリを操作および変更するように設計された、特殊電子回路である。一般に、グラフィクス処理ユニット737は、コンピュータ・グラフィクスおよび画像処理の操作において非常に効率的であり、データの大きなブロックの処理が並列に行われるアルゴリズムについて、汎用CPUよりも効果的にする高度な並列構造を有する。
【0076】
したがって、本明細書において構成されるように、処理システム700は、プロセッサ721の形の処理能力、システム・メモリ(たとえば、RAM724)および大容量ストレージ734を含むストレージ能力、キーボード729およびマウス730などの入力手段、ならびに、スピーカ731およびディスプレイ735を含む出力能力を含む。本開示のいくつかの態様において、システム・メモリ(たとえば、RAM724)および大容量ストレージ734の一部は、集合的に、処理システム700内に示される様々な構成要素の機能を連係させるために、オペレーティング・システム740を記憶する。
【0077】
本発明の様々な実施形態は、本明細書において、関連する図面を参照しながら説明する。本発明の代替実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなく考案可能である。様々な接続および位置関係(たとえば、上、下、隣接など)は、下記の説明および図面における要素間で説明される。これらの接続または位置関係あるいはその両方は、特に指定のない限り、直接または間接的とすることができ、本発明はこの点において限定されるものとは意図されない。したがって、エンティティの結合は直接または間接的結合のいずれかを指すことが可能であり、エンティティ間の位置関係は、直接または間接的位置関係とすることができる。さらに、本明細書で説明する様々なタスクおよび処理ステップは、本明細書では詳細に説明していない追加のステップまたは機能を有する、より包括的な手順またはプロセスに組み込むことができる。
【0078】
本明細書で説明する方法の1つまたは複数は、データ信号上で論理機能を実装するための論理ゲートを有する離散論理回路、適切な組合せ論理ゲートを有する特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル・ゲート・アレイ(PGA)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などの、各々が当分野で周知である技術のいずれかまたはそれらの組合せを用いて実装可能である。
【0079】
簡単にするために、本発明の態様の作成および使用に関する従来の技術は、本明細書では詳細に説明できるかまたはできない。特に、本明細書で説明する様々な技術的特徴を実装するためのコンピューティング・システムおよび特定のコンピュータ・プログラムの様々な態様は、周知である。したがって、簡略にするために、多くの従来の実装の詳細は、本明細書では単に簡潔に言及するか、あるいは周知のシステムまたはプロセスあるいはその両方の詳細を提供することなく、全体として省略される。
【0080】
いくつかの実施形態において、様々な機能または動作は、所与のロケーションにおいて、または1つまたは複数の装置またはシステムの動作と共に、あるいはその両方で、実行可能である。いくつかの実施形態において、所与の機能または動作の一部は、第1のデバイスまたはロケーションにおいて実行可能であり、機能または動作の残りの部分は、1つまたは複数の追加のデバイスまたはロケーションにおいて実行可能である。
【0081】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのみのものであり、限定することは意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明白に示していない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用されるとき、「備える(comprises)」または「備えている(comprising)」という用語は、明言された特徴、整数、ステップ、動作、要素、または構成要素、あるいはその組合せの存在を指定するものであるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、またはそれらのグループ、あるいはその組合せの存在または追加を除外するものではないことを、さらに理解されよう。
【0082】
下記の特許請求の範囲におけるすべての手段またはステップならびに機能要素の、対応する構造、材料、動作、および等価物は、具体的に請求される他の請求要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または動作を含むことが意図される。本開示は、例示および説明の目的で提示しているが、網羅的であるかまたは開示される形に限定されることは意図していない。当業者であれば、本開示の範囲および思想から逸脱することなく、多くの改変および変形が明らかとなろう。実施形態は、本開示の原理および実際の適用例を最も良く説明するために、および、企図された特定の使用に適するような様々な改変と共に様々な実施形態についての開示を他の当業者が理解できるようにするために、選択および説明された。
【0083】
本明細書に示される図面は例示的である。本開示の思想を逸脱することなく、記載される図面またはステップ(または動作)に対する多くの変形が可能である。たとえば、アクションは異なる順序で実行可能であるか、またはアクションは追加、削除、または改変が可能である。また、「結合される(coupled)」という用語は、2つの要素間に信号経路を有することを記述し、間に介在要素/接続のない、要素間の直接接続を示唆するものではない。これらの変形のすべては、本開示の一部であると見なされる。
【0084】
下記の定義および略語は、特許請求の範囲および本明細書の解釈のために使用されるものである。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含む(contains)」、または「含んでいる(containing)」、あるいはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることが意図される。たとえば、要素のリストを備える組成、混合、プロセス、方法、品目、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていないか、あるいはこうした組成、混合、プロセス、方法、品目、または装置に固有の、他の要素を含むことができる。
【0085】
加えて、「例示的」という用語は、本明細書では「例、実例、または例示として働く」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的」として記載されるいずれの実施形態または設計も、必ずしも、他の実施形態または設計よりも好ましいかまたは有利であるものとは解釈されない。「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」という用語は、1より大きいかまたは等しい任意の整数、すなわち、1、2、3、4などを含むものと理解される。「複数の」という用語は、2つよりも大きいかまたは等しい任意の整数、すなわち、2、3、4、5などを含むものと理解される。「接続」という用語は、間接的「接続」および直接「接続」の両方を含むことができる。
【0086】
「約」、「ほぼ」、「およそ」という用語、およびそれらの変形は、本明細書の出願時に利用可能な機器に基づく、特定の量の測定に関連付けられた誤差の程度を含むことが意図される。たとえば「約」は、所与の値の±8%または5%、または2%の範囲を含むことができる。
【0087】
本発明は、任意の可能な技術的詳細レベルの統合における、システム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組合せとすることができる。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実施させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有する、コンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0088】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持および記憶することが可能な、有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、たとえば、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光ストレージ・デバイス、電磁ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、または前述の任意の適切な組合せとすることが可能であるが、限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより特定の例の非網羅的リストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック(R)、フロッピ(R)・ディスク、パンチカードまたは命令が記録された溝内の隆起構造などの機械的コード化デバイス、および、前述の任意の適切な組合せを含む。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で使用される場合、それ自体が、電波または他の自由に伝搬する電磁波、導波路または他の伝送媒体(たとえば、光ファイバ・ケーブルを介して渡される光パルス)を介して伝搬する電磁波、または、ワイヤを介して伝送される電気信号などの、一過性信号であるものと解釈されるべきではない。
【0089】
本明細書で説明するコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスへ、あるいは、外部コンピュータまたは外部記憶デバイスへ、ネットワークを介して、たとえばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、またはワイヤレス・ネットワーク、あるいはその組合せを介して、ダウンロード可能である。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバ、あるいはその組合せを備えることができる。ネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースは、各コンピューティング/処理デバイスにおいて、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体内に記憶するために転送する。
【0090】
本発明の動作を実施するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路要素向け構成データ、あるいは、Smalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および、「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで作成されたソース・コードまたはオブジェクト・コードのいずれか、とすることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、全体としてユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロン型ソフトウェア・パッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上および部分的にリモート・コンピュータ上で、あるいは、全体としてリモート・コンピュータまたはサーバ上で、実行可能である。後者のシナリオにおいて、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介して、ユーザのコンピュータに接続可能であるか、または、外部コンピュータ(たとえば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに接続可能である。いくつかの実施形態において、たとえばプログラム可能な論理回路要素、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラム可能な論理アレイ(PLA)を含む、電子回路要素は、本発明の態様を実行するために、電子回路要素を個人向けにするようにコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0091】
本発明の態様は、本明細書において、本発明の実施形態に従った方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャートまたはブロック図あるいはその両方を参照しながら説明する。フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の各ブロック、および、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装可能であることを理解されよう。
【0092】
このようなコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作を実施するための手段を作り出すべく、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを作り出すことが可能である。このようなコンピュータ可読プログラム命令は、記憶された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体が命令を含む製品を備え、この命令がフローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作の態様を実施するべく、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイス、あるいはその組合せに、特定の方式で機能するように指示することも可能である。
【0093】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイスで実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作を実施するべく、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスにロードされ、コンピュータ実装プロセスを作り出すように、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させることも可能である。
【0094】
図面内のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態に従ったシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。この点で、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を備える、モジュール、セグメント、または命令の一部を表すことができる。いくつかの代替実装において、ブロックに示された機能は、図内に示された順序以外で行うことができる。たとえば、順番に示された2つのブロックは、実際には、ほぼ同時に実行されてよいか、またはブロックは時折、関連する機能に応じて逆順で実行可能である。ブロック図またはフローチャートあるいはその両方の各ブロック、および、ブロック図またはフローチャートあるいはその両方のブロックの組合せは、指定された機能または動作を実行するか、あるいは特定用途向けハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せを実施する、特定用途向けハードウェアベース・システムによって実装可能であることにも留意されよう。
【0095】
本発明の様々な実施形態の説明を例示のために提示してきたが、網羅的であること、または開示される実施形態に限定されることは意図されない。当業者であれば、説明した実施形態の範囲および思想を逸脱することなく、多くの改変および変形が明らかとなろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際の適用例、または、市場に見られる技術を上回る技術的改良を最も良く説明するため、あるいは、本明細書で説明する実施形態を他の当業者が理解できるようにするために、選択された。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7