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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   H10F 39/18 20250101AFI20250128BHJP
   H10F 30/20 20250101ALI20250128BHJP
   H10D 86/40 20250101ALI20250128BHJP
   H10D 30/67 20250101ALI20250128BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20250128BHJP
   H04N 25/60 20230101ALI20250128BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20250128BHJP
   G06F 3/042 20060101ALN20250128BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L31/10 A
H01L31/10 G
H01L31/10 Z
H01L29/78 613Z
H01L29/78 618B
H01L27/146 C
H04N25/76
H04N25/60
G06T1/00 400H
G06F3/042 472
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021134415
(22)【出願日】2021-08-19
(65)【公開番号】P2023028605
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝田 忠義
(72)【発明者】
【氏名】尾関 芳孝
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-118229(JP,A)
【文献】特開2021-100081(JP,A)
【文献】特開2013-161810(JP,A)
【文献】特開2009-272452(JP,A)
【文献】特開2016-167276(JP,A)
【文献】特開2015-212645(JP,A)
【文献】特開2019-106214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 31/10
H01L 29/786
H04N 25/76
H04N 25/60
G06T 1/00
G06F 3/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられた複数のトランジスタと、
第1方向に延在する複数の走査線と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数の信号線と、
複数の前記走査線及び複数の前記信号線で囲まれた領域にそれぞれ設けられ、p型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層を含む複数のフォトダイオードと、
前記走査線に重なって、前記第1方向に延在するシールド配線と、を有し、
前記シールド配線は、複数の前記信号線のうち前記トランジスタに電源電位を供給する電源信号線と電気的に接続される
検出装置。
【請求項2】
前記シールド配線は、複数の前記信号線と同層に設けられる
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
複数の前記信号線は、前記フォトダイオードにリセット信号を供給するリセット信号線を含み、
前記シールド配線は、前記電源信号線と接続され前記電源信号線と交差する方向に延在する第1シールド配線と、前記リセット信号線と接続され前記リセット信号線と交差する方向に延在する第2シールド配線と、を含む
請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
複数の前記信号線は、前記フォトダイオードからの信号を出力する出力信号線を含み、
前記出力信号線は、前記第1方向で、前記第1シールド配線と前記第2シールド配線との間で、前記第1シールド配線及び前記第2シールド配線と離隔して設けられる
請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記シールド配線は、複数の前記走査線が設けられる層と、複数の前記信号線が設けられる層との間の層に設けられた金属層で形成される
請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
前記シールド配線と前記電源信号線との間に設けられた絶縁膜を有し、
前記シールド配線は、前記絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して前記電源信号線と電気的に接続される
請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記シールド配線は、平面視で、前記走査線と重なって前記第1方向に延在し、複数の前記信号線と交差して設けられる
請求項5又は請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記シールド配線は、前記第2方向で、前記走査線よりも大きい幅を有し、
平面視で、前記シールド配線の前記フォトダイオードと隣り合う領域で、幅方向に凹む凹部が形成される
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項9】
複数の前記信号線は、前記フォトダイオードからの信号を出力する出力信号線を含み、
複数の前記出力信号線のそれぞれに対応する複数のスイッチ素子を有し、複数の前記スイッチ素子により、複数の前記出力信号線と検出回路との接続を切り替える信号線選択回路を有する
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項10】
複数の前記フォトダイオードは、それぞれ、
前記p型半導体層、前記i型半導体層及び前記n型半導体層が直接、接して積層された複数の第1領域と、
少なくとも前記p型半導体層と前記i型半導体層とが離隔して積層された第2領域とを有し、
隣り合う前記第1領域は、少なくとも前記p型半導体層で接続される
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項11】
前記p型半導体層は、前記トランジスタの半導体層と同層に設けられる
請求項10に記載の検出装置。
【請求項12】
前記第1領域は、前記基板に垂直な方向からの平面視で、三角格子状に配置される
請求項10又は請求項11に記載の検出装置。
【請求項13】
基板と、
前記基板に設けられた複数のトランジスタと、
第1方向に延在する複数の走査線と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数の信号線と、
複数の前記走査線及び複数の前記信号線で囲まれた領域にそれぞれ設けられ、p型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層を含む複数のフォトダイオードと、
前記走査線に重なって前記第1方向に延在し、固定電位が供給されるシールド配線と、を有している
検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マイクロレンズと光センサとの間に、開口が設けられた遮光層を有する光学撮像装置について記載されている。このような光センサとして、PIN型のフォトダイオードが知られている。PIN型のフォトダイオードは、p型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層が積層された構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2020/0089928号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PIN型のフォトダイオードは、センサ面積を大きくすることで光電流を増大し検出感度を向上させることができる。一方で、センサ面積を大きくするとフォトダイオードと走査線との距離が小さくなり、寄生容量が増大する可能性がある。この寄生容量によりフォトダイオードからの出力信号のばらつきが生じ、検出精度が低下する場合がある。
【0005】
本発明は、検出精度を向上させることが可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出装置は、基板と、前記基板に設けられた複数のトランジスタと、第1方向に延在する複数の走査線と、前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数の信号線と、複数の前記走査線及び複数の前記信号線で囲まれた領域にそれぞれ設けられ、p型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層を含む複数のフォトダイオードと、前記走査線に重なって、前記第1方向に延在するシールド配線と、を有し、前記シールド配線は、複数の前記信号線のうち前記トランジスタに電源電位を供給する電源信号線と電気的に接続される。
【0007】
本発明の一態様の検出装置は、基板と、前記基板に設けられた複数のトランジスタと、第1方向に延在する複数の走査線と、前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数の信号線と、複数の前記走査線及び複数の前記信号線で囲まれた領域にそれぞれ設けられ、p型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層を含む複数のフォトダイオードと、前記走査線に重なって前記第1方向に延在し、固定電位が供給されるシールド配線と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、第1実施形態に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図1B図1Bは、変形例1に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図1C図1Cは、変形例2に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図1D図1Dは、変形例3に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、検出素子を示す回路図である。
図5図5は、検出素子の動作例を示すタイミング波形図である。
図6図6は、複数の検出素子を示す平面図である。
図7図7は、1つの検出素子が有するフォトダイオードの平面図である。
図8図8は、図6のVIII-VIII’断面図である。
図9図9は、第1実施形態に係る検出装置の、複数の検出素子と、走査線駆動回路及び信号線選択回路との接続関係を示す回路図である。
図10図10は、検出素子の読出期間の動作例を示すタイミング波形図である。
図11図11は、第2実施形態に係る複数の検出素子を示す平面図である。
図12図12は、図11のXII-XII’断面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る検出素子を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
図1Aは、実施形態に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。図1Bは、変形例1に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。図1Cは、変形例2に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。図1Dは、変形例3に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
【0012】
図1Aに示すように、照明装置付き検出機器120は、検出装置1と、照明装置121と、を有する。検出装置1は、アレイ基板2と、光学フィルタ7と、接着層125と、カバー部材122と、を有する。つまり、アレイ基板2の表面に垂直な方向において、アレイ基板2、光学フィルタ7、接着層125、カバー部材122の順に積層されている。接着層125は、透光性を有し且つ光学フィルタ7とカバー部材122とを接着させるものであればよい。なお、検出領域AAに相当する領域に接着層125は無い構造であっても構わない。検出領域AAに接着層125が無い場合、検出領域AAの外側の周辺領域GAに相当する領域で接着層125がカバー部材122と光学フィルタ7とを接着させ、検出領域AAには空気層が設けられている構造となる。また、検出領域AAに設けられる接着層125は、単に光学フィルタ7の保護層と言い換えてもよい。
【0013】
図1Aにおいて、照明装置121は、検出装置1のカバー部材122を兼ねる導光板と、カバー部材122(導光板)の一方端又は両端に並ぶ複数の光源123を有する、いわゆるサイドライト型のフロントライトである。当該カバー部材122は、光を照射する光照射面121aを有している。この照明装置121によれば、カバー部材122の光照射面121aから検出対象である指Fgに向けて光L1が照射される。光源として、例えば、所定の色の光を発する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられる。
【0014】
また、図1Bに示すように、照明装置121は、検出装置1の検出領域AAの直上に1又は複数の光源(例えば、LED)を有するものであってもよく、光源を備えた照明装置121はカバー部材122としても機能する。
【0015】
また、照明装置121は、図1Bの例に限らず、図1Cに示すように、光源をカバー部材122の側方や上方に設けられていてもよく、指Fgの側方や上方から指Fgに光L1を照射してもよい。
【0016】
さらには、図1Dに示すように、照明装置121は、検出装置1の検出領域に設けられた光源(例えば、LED)を有する、いわゆる直下型のバックライトであってもよい。この場合、照明装置121の導光板は検出装置1のカバー部材122とは別部材となり、検出装置1の下方に配置される。
【0017】
照明装置121から照射された光L1は、検出対象である指Fgにより光L2として反射される。検出装置1は、指Fgで反射された光L2(光L2の陰影、又は反射光の強さ)を検知することで、指Fgの表面の凹凸(例えば、指紋)を検出する。さらに、検出装置1は、指紋の検出に加え、指Fgの内部で反射した光L2を検出することで、生体に関する情報を検出してもよい。生体に関する情報は、例えば、静脈等の血管像や脈拍、脈波等である。照明装置121からの光L1の色は、検出対象に応じて異ならせてもよい。なお、本実施形態においては、検出装置1は指Fg(指紋)を被検出体(検出対象)としているが、被検出体としては指Fgのみならず、掌や手首、足裏等、生体の一部で有ればその部位は問わない。
【0018】
カバー部材122は、アレイ基板2及び光学フィルタ7を保護するための部材であり、アレイ基板2及び光学フィルタ7を覆っている。上述のように、カバー部材122が照明装置121の導光板を兼ねる構造でもよい。図1C及び図1Dに示すカバー部材122が照明装置121と分離されている構造においては、カバー部材122は、例えばガラス基板である。なお、カバー部材122はガラス基板に限定されず、樹脂基板や樹脂フィルム等であってもよく、これらの基板やフィルムを積層した複数層からなる構成でもよい。また、カバー部材122が設けられていなくてもよい。この場合、アレイ基板2及び光学フィルタ7の表面に絶縁膜等の保護層が設けられ、指Fgは検出装置1の保護層に接する。
【0019】
光学フィルタ7は、指Fg等の被検出体で反射された光L2のうち、第3方向Dzに進行する成分をアレイ基板2のフォトダイオード30(図6、7参照)に向けて透過させ、斜め方向に進行する成分を遮蔽する光学素子である。光学フィルタ7は、コリメートアパーチャ、あるいは、コリメータとも呼ばれる。なお、光学フィルタ7は、設けられなくてもよい。
【0020】
なお、上記照明装置付き検出機器120は、図1Bに示すように、照明装置121に換えて表示パネル126が設けられていてもよい。表示パネル126は、例えば、有機ELディスプレイパネル(OLED:Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイパネル(マイクロLED、ミニLED)であってもよい。或いは、表示パネル126は、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や、表示素子として電気泳動素子を用いた電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)であってもよい。この場合、表示パネル126から照射された表示光(光L1)が指Fgで反射され、当該反射光は表示パネル126を通り抜けて光学フィルタ7に到達する。かかる点を鑑みると、表示パネル126は、少なくとも検出領域AAに光透過性の基板や積層膜によって構成される光透過部を有していることが好ましい。そして、かかる光L2に基づいて、指Fgの指紋や生体に関する情報を検出することができる。
【0021】
図2は、実施形態に係る検出装置を示す平面図である。なお、図2以下で示す、第1方向Dxは、基板21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、基板21の法線方向である。なお、平面視とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係を示す。
【0022】
図2に示すように、検出装置1は、アレイ基板2(基板21)と、センサ部10と、走査線駆動回路15と、信号線選択回路16と、検出回路48と、制御回路102と、電源回路103と、を有する。
【0023】
基板21には、配線基板110を介して制御基板101が電気的に接続される。配線基板110は、例えば、フレキシブルプリント基板やリジット基板である。配線基板110には、検出回路48が設けられている。制御基板101には、制御回路102及び電源回路103が設けられている。制御回路102は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やその他のICチップである。制御回路102は、センサ部10、走査線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給し、センサ部10の動作を制御する。電源回路103は、電源電位VDDや基準電位VCOM(図4参照)等の電圧信号をセンサ部10、走査線駆動回路15及び信号線選択回路16に供給する。なお、本実施形態においては、検出回路48が配線基板110に配置される場合を例示したがこれに限られない。検出回路48は、基板21の上に配置されてもよい。また、検出回路48に制御回路102及び電源回路103の一部又は全部を組み込む構成も採用可能である。
【0024】
基板21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AA内には、センサ部10の各素子(検出素子3)が設けられている。周辺領域GAは、検出領域AAの外側の領域であり、各素子(検出素子3)が設けられない領域である。すなわち、周辺領域GAは、検出領域AAの外周と基板21の外縁部との間の領域である。周辺領域GA内には、走査線駆動回路15及び信号線選択回路16が設けられる。走査線駆動回路15は、検出領域AAの左右辺の一方に沿って周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。なお、当該走査線駆動回路15は後述の如く第2方向Dyに沿って検出領域AAの両側に設けられる構成も採用可能である。信号線選択回路16は、検出領域AAの下辺に沿って設けられ、センサ部10と検出回路48との間に設けられる。
【0025】
センサ部10の複数の検出素子3は、それぞれ、センサ素子として1又は複数のフォトダイオード30を有する光センサである。フォトダイオード30は、光電変換素子であり、それぞれに照射される光に応じた電気信号を出力する。より具体的には、フォトダイオード30は、PIN(Positive Intrinsic Negative)フォトダイオードである。また、フォトダイオード30はOPD(Organic Photo Diode)と言い換えてもよい。検出素子3は、検出領域AAにマトリクス状に配列される。各検出素子3が有するフォトダイオード30は、走査線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号(例えば、リセット制御信号RST、読出制御信号RD)に従って検出を行う。各フォトダイオード30は、それぞれに照射される光に応じて電気信号を変化させ、当該電気信号の変化が各検出素子3における検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力される。検出装置1は、各検出素子3からの検出信号Vdetに基づいて生体に関する情報を検出する。
【0026】
図3は、実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、検出装置1は、検出制御回路11と検出部40と、を有する。検出制御回路11の機能の一部又は全部は、制御回路102に含まれる。また、検出部40のうち、検出回路48以外の機能の一部又は全部は、制御回路102に含まれる。
【0027】
検出制御回路11は、走査線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御回路11は、スタート信号STV、クロック信号CK等の各種制御信号を走査線駆動回路15に供給する。また、検出制御回路11は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。
【0028】
走査線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数の走査線(読出制御走査線GLrd、リセット制御走査線GLrst(図4参照))を駆動する回路である。走査線駆動回路15は、複数の走査線を順次又は同時に選択し、選択された走査線にゲート駆動信号(例えば、リセット制御信号RST、読出制御信号RD)を供給する。これにより、走査線駆動回路15は、走査線に接続された検出素子3を選択する。
【0029】
信号線選択回路16は、複数の出力信号線SL(図4参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路16は、検出制御回路11から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された出力信号線SLと検出回路48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、フォトダイオード30の検出信号Vdetを検出部40に出力する。
【0030】
検出部40は、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、記憶回路46と、検出タイミング制御回路47と、を備える。検出タイミング制御回路47は、検出制御回路11から供給される制御信号に基づいて、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、が同期して動作するように制御する。
【0031】
検出回路48は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE:Analog Front End)である。検出回路48は、少なくとも検出信号増幅回路42及びA/D変換回路43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅回路42は、検出信号Vdetを増幅する回路であり、例えば、積分回路である。A/D変換回路43は、検出信号増幅回路42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0032】
信号処理回路44は、検出回路48の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理回路44は、指Fgが検出面に接触又は近接した場合に、検出回路48からの信号に基づいて指Fgや掌の表面の凹凸(指紋、掌紋)を検出できる。また、信号処理回路44は、検出回路48からの信号に基づいて生体に関する情報を検出してもよい。生体に関する情報は、例えば、指Fgや掌の血管像、脈波、脈拍、血中酸素飽和度等である。
【0033】
記憶回路46は、信号処理回路44で演算された信号を一時的に保存する。記憶回路46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0034】
座標抽出回路45は、センサ部10の各検出素子3から出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指Fg等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出回路45は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。
【0035】
次に、検出装置1の回路構成例について説明する。図4は、検出素子を示す回路図である。図4に示すように、検出素子3は、フォトダイオード30、リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfを有する。リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfは、1つのフォトダイオード30に対応して設けられる。リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。ただし、これに限定されず、各トランジスタは、それぞれp型TFTで構成されてもよい。なお、図4においては1つのフォトダイオード30が示されているが、後述のように検出素子3が複数のフォトダイオード30を有する構成も採用可能である。或いは、これら複数のフォトダイオード30が並列的に接続されていることをもってこれら複数のフォトダイオード30を1のフォトダイオード30と捉えること可能である(この場合、以下に示す通り、複数のフォトダイオード30夫々は部分フォトダイオード30Sとして説明される)。
【0036】
フォトダイオード30のアノードには、基準電位VCOMが印加される。フォトダイオード30のカソードは、ノードN1に接続される。ノードN1は、容量Cs、リセットトランジスタMrstのソース又はドレインの一方及びソースフォロワトランジスタMsfのゲートに接続される。さらにノードN1には、寄生容量Cp、C1、入力容量Crst、Csfが存在する。フォトダイオード30に光が入射した場合、フォトダイオード30から出力された信号(電荷)は、容量Csに蓄積される。
【0037】
ここで、容量Csは、例えば、フォトダイオード30のp型半導体層33とn型半導体層32(図7参照)との間に形成される容量である。寄生容量Cp、C1は、容量Csに付加された容量であり、アレイ基板2に設けられた各種配線、電極間に形成される容量である。より具体的には、寄生容量C1は、フォトダイオード30のカソード(n型半導体層32)と、走査線(例えば、読出制御走査線GLrd)との間に形成される容量である。また、入力容量Crst、Csfは、それぞれ、リセットトランジスタMrst及びソースフォロワトランジスタMsfを入力側からみた容量であり、より具体的には、ゲート-ソース間容量とゲート-ドレイン間容量とを合わせた容量である。
【0038】
リセットトランジスタMrstのゲートは、リセット制御走査線GLrstに接続される。リセットトランジスタMrstのソース又はドレインの他方には、リセット電位Vrstが供給される。リセットトランジスタMrstがリセット制御信号RSTに応答してオン(導通状態)になると、ノードN1の電位がリセット電位Vrstにリセットされる。基準電位VCOMは、リセット電位Vrstよりも低い電位を有しており、フォトダイオード30は、逆バイアス駆動される。
【0039】
ソースフォロワトランジスタMsfは、電源電位VDDが供給される端子と読出トランジスタMrd(ノードN2)との間に接続される。ソースフォロワトランジスタMsfのゲートは、ノードN1に接続される。ソースフォロワトランジスタMsfのゲートには、フォトダイオード30で発生した信号(電荷)が供給される。これにより、ソースフォロワトランジスタMsfは、フォトダイオード30で発生した信号(電荷)に応じた電圧信号を読出トランジスタMrdに出力する。なお、以下では、電源電位VDDとして所定の電位を有する固定電位(直流電位)が採用されているが、所定の電位間を所定の周期で振動する交流波形を有するものを電源電位として採用することも可能である。
【0040】
読出トランジスタMrdは、ソースフォロワトランジスタMsfのソース(ノードN2)と出力信号線SL(ノードN3)との間に接続される。読出トランジスタMrdのゲートは、読出制御走査線GLrdに接続される。読出トランジスタMrdが読出制御信号RDに応答してオンになると、ソースフォロワトランジスタMsfから出力される信号、すなわち、フォトダイオード30で発生した信号(電荷)に応じた電圧信号が、検出信号Vdetとして出力信号線SLに出力される。
【0041】
なお、図4に示す例では、リセットトランジスタMrst及び読出トランジスタMrdは、それぞれ、2つのトランジスタが直列に接続されて構成されたいわゆるダブルゲート構造である。ただし、これに限定されず、リセットトランジスタMrst及び読出トランジスタMrdは、シングルゲート構造でもよく、3つ以上のトランジスタが直列に接続されたマルチゲート構造でもよい。また、1つの検出素子3の回路は、リセットトランジスタMrst、ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdの3つのトランジスタを有する構成に限定されない。検出素子3は、2つ、又は、4つ以上のトランジスタを有していてもよい。
【0042】
図5は、検出素子の動作例を示すタイミング波形図である。図5に示すように、検出素子3は、リセット期間Prst、露光期間Pch及び読出期間Pdetの順に検出を実行する。電源回路103は、リセット期間Prst、露光期間Pch及び読出期間Pdetに亘って、基準電位VCOMをフォトダイオード30のアノードに供給する。
【0043】
走査線駆動回路15は、時刻t0に、リセット制御走査線GLrstに供給されるリセット制御信号RSTをハイ(高レベル電圧)とし、リセット期間Prstが開始する。リセット期間Prstにおいて、リセットトランジスタMrstがオン(導通状態)となり、ノードN1の電位がリセット電位Vrstの電位に上昇する。
【0044】
走査線駆動回路15は、時刻t1に、読出制御走査線GLrdに供給される読出制御信号RDをハイ(高レベル電圧)とする。これにより、読出トランジスタMrdがオン(導通状態)となる。
【0045】
走査線駆動回路15は、時刻t2に、リセット制御信号RSTをロウ(低レベル電圧)とし、リセット期間Prstが終了する。時刻t2において、リセットトランジスタMrstがオフ(非導通状態)となる。ノードN1の電位は、フォトダイオード30に照射された光に応じた信号が蓄積されて、(Vrst-ΔVn1)に低下する。なお、ΔVn1は、フォトダイオード30に照射された光に応じた信号(電圧変動分)である。
【0046】
時刻t3において出力信号線SLから出力される検出信号Vdetの電位は、(Vrst-Vthsf-Vrdon)となる。なお、Vthsfは、ソースフォロワトランジスタMsfのしきい値電圧Vthsfである。Vrdonは、読出トランジスタMrdのオン抵抗に起因する電圧降下である。
【0047】
走査線駆動回路15は、時刻t3に、読出制御信号RDをロウ(低レベル電圧)とする。これにより、読出トランジスタMrdがオフ(非導通状態)となり、ノードN2の電位は一定となり、出力信号線SLから出力される検出信号Vdetの電位もロウ(低レベル電圧)となる。
【0048】
走査線駆動回路15は、時刻t4に、再び読出制御信号RDをハイ(高レベル電圧)とする。これにより、読出トランジスタMrdがオン(導通状態)となり、露光期間Pchが終了し、読出期間Pdetが開始する。読出期間Pdetに出力される検出信号Vdet2の電位は、時刻t3に取得された検出信号Vdet1の電位から信号ΔVn1分低下し、(Vrst-Vthsf-Vrdon-ΔVn1)となる。
【0049】
検出部40は、時刻t3での検出信号Vdet1と、時刻t5での検出信号Vdet2との差分の信号(ΔVn1)に基づいて、フォトダイオード30に照射された光を検出できる。例えば、図5に示す信号ΔVn1aは、照度が低い場合に生じる信号(電圧変動分)であり、信号ΔVn1bは、照度が高い場合に生じる信号(電圧変動分)である。検出装置1は、検出素子3単位で、信号ΔVn1aと、信号ΔVn1bとの差分に基づいて光L2の強さを検出できる。かかる検出素子3個々の検出結果を集積することにより、例えば検出面に接触又は近接対向する指の指紋や血管像(静脈パターン)等を検出することができる。
【0050】
なお、図5では、1つの検出素子3の動作例を示しているが、走査線駆動回路15が、リセット制御走査線GLrst、読出制御走査線GLrdを順次、時分割的に走査することで、検出領域AA全体の検出素子3で検出することができる。また、信号線選択回路16が、複数の出力信号線SLを順次又は同時に選択し、選択された出力信号線SLと検出回路48とを接続することで、検出領域AA全体の検出素子3で検出することができる。信号線選択回路16の構成及び動作例については、後述する。
【0051】
ここで、フォトダイオード30に付加される容量の合計を容量Cn1とすると、容量Cn1は、下記の式(1)で表される。なお、容量Cs、寄生容量Cp、入力容量Crst、Csfは、図4で上述したフォトダイオード30のカソード(ノードN1)に等価的に接続された各種容量である。
Cn1=Cs+Crst+Csf+Cp+C1 ・・・ (1)
【0052】
信号ΔVn1は、下記の式(2)で表される。なお、ΔQは、露光期間Pchに蓄積された電荷を表し、Ipは、フォトダイオード30に照射された光に応じて流れる光電流を表し、Tは、露光時間(時刻t3から時刻t4までの期間)を表す。
ΔVn1=ΔQ/Cn1=(Ip×T)/Cn1 ・・・ (2)
【0053】
式(2)に示すように、容量Cn1を小さくすることで、信号ΔVn1を大きくすることができる。すなわち、同じ検出条件で、同じ被検出体を検出した場合であっても、容量Cn1を小さくすることで、検出装置1の検出感度を向上できる。あるいは、容量Cn1のばらつきを小さくすることで、信号ΔVn1のばらつきを小さくすることができる。すなわち、寄生容量C1を抑制することで、検出装置1の検出ばらつきを抑制できることが示された。
【0054】
次に、検出素子3の平面構成及び断面構成について説明する。図6は、複数の検出素子を示す平面図である。なお、図6では、図面を見やすくするために、フォトダイオード30及び各トランジスタの構成を一部省略して示している。
【0055】
図6に示すように、1つの検出素子3は、2つの走査線(読出制御走査線GLrd、リセット制御走査線GLrst)と、4つの信号線(出力信号線SL、電源信号線SLsf、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcom)とを含む。検出素子3は、さらに第1シールド配線SLsf-aと、第2シールド配線SLrst-aと、を含む。
【0056】
読出制御走査線GLrd及びリセット制御走査線GLrstは、第1方向Dxに延在し、第2方向Dyに並んで配置される。出力信号線SL、電源信号線SLsf、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomは、第2方向Dyに延在し、第1方向Dxに並んで配置される。
【0057】
検出素子3は、2つの走査線(読出制御走査線GLrdとリセット制御走査線GLrst)と、2つの信号線(例えば、隣接する検出素子3の2つの電源信号線SLsf)とで囲まれた領域で規定される。
【0058】
図6に示すように、フォトダイオード30は、複数の部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8を有する。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8は、三角格子状に配置される。
【0059】
より具体的には、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3は、第2方向Dyに配列される。部分フォトダイオード30S-4、30S-5は、第2方向Dyに配列され、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3で構成される素子列と第1方向Dxに隣り合う。部分フォトダイオード30S-6、30S-7、30S-8は、第2方向Dyに配列され、部分フォトダイオード30S-4、30S-5で構成される素子列と第1方向Dxに隣り合う。隣接する素子列間で、部分フォトダイオード30Sの第2方向Dyでの位置が、互い違いに配置される。
【0060】
部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8には、それぞれ、光学フィルタ7を通して光L2が入射する。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8は、電気的に接続され、1つのフォトダイオード30として機能する。つまり、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8のそれぞれが出力する信号が統合されて、フォトダイオード30から1つの検出信号Vdetが出力される。なお以下の説明では、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8を区別して説明する必要が無い場合には、単に部分フォトダイオード30Sと表す。
【0061】
図6に示すように、第1方向Dxで、電源信号線SLsf、出力信号線SL、リセット信号線SLrst、基準信号線SLcom、電源信号線SLsf、・・・の順に繰り返し配列される。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3は、第1方向Dxで、基準信号線SLcomと、隣接する検出素子3に接続された電源信号線SLsfとの間に配置される。部分フォトダイオード30S-4、30S-5、・・・、30S-8は、第1方向Dxで、出力信号線SLとリセット信号線SLrstとの間に配置される。また、各部分フォトダイオード30Sは、第2方向Dyで読出制御走査線GLrdと、リセット制御走査線GLrstとの間に配置される。
【0062】
第1シールド配線SLsf-a及び第2シールド配線SLrst-aは、それぞれ読出制御走査線GLrdに重なって、第1方向Dxに延在する。第1シールド配線SLsf-a及び第2シールド配線SLrst-aは、各信号線(電源信号線SLsf、出力信号線SL、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcom)と同層に設けられ、それぞれ、複数の信号線のうち各トランジスタに固定電位(電源電位VDD又はリセット電位Vrst)を供給する信号線と電気的に接続される。これにより、第1シールド配線SLsf-a及び第2シールド配線SLrst-aには、所定の固定電位が供給される。
【0063】
より詳細には、第1シールド配線SLsf-aは、電源信号線SLsfと接続され、電源信号線SLsfと交差する方向(第1方向Dx)に延在する。第1シールド配線SLsf-aには、電源信号線SLsfと同じ電位を有する信号(電源電位VDD)が供給される。第1シールド配線SLsf-aは、電源信号線SLsfから、第1方向Dxの一方(図6右側)に延在する部分と、第1方向Dxの他方(図6左側)に延在する部分とを含む。これにより、第1シールド配線SLsf-aは、第1方向Dxの一方(図6右側)で、電源信号線SLsfと出力信号線SLとの間に位置する読出制御走査線GLrdを覆うとともに、第1方向Dxの他方(図6右側)で、電源信号線SLsfと基準信号線SLcomとの間に位置する読出制御走査線GLrdを覆う。また、第1シールド配線SLsf-aは、出力信号線SL及び基準信号線SLcomと離隔して設けられる。
【0064】
第2シールド配線SLrst-aは、リセット信号線SLrstと接続されリセット信号線SLrstと交差する方向である第1方向Dxに延在する。第2シールド配線SLrst-aには、リセット信号線SLrstと同じ電位を有する信号(リセット電位Vrst)が供給される。第2シールド配線SLrst-aは、第1方向Dxの他方(図6左側)に延在し、リセット信号線SLrstと出力信号線SLとの間に位置する読出制御走査線GLrdを覆う。また、第2シールド配線SLrst-aは、出力信号線SLと離隔して設けられる。
【0065】
言い換えると、複数の信号線のうちフォトダイオード30からの検出信号Vdetを出力する出力信号線SLは、第1方向Dxで、第1シールド配線SLsf-aと第2シールド配線SLrst-aとの間に配置され、第1シールド配線SLsf-a及び第2シールド配線SLrst-aと離隔して設けられる。また、複数の信号線のうちフォトダイオード30に基準電位VCOMを供給する基準信号線SLcomは、第1方向Dxで、第1シールド配線SLsf-aと第2シールド配線SLrst-aとの間に配置され、第1シールド配線SLsf-a及び第2シールド配線SLrst-aと離隔して設けられる。
【0066】
また、第1シールド配線SLsf-a及び第2シールド配線SLrst-aの、それぞれの第2方向Dyでの幅は、読出制御走査線GLrdの第2方向Dyでの幅よりも大きい。第1シールド配線SLsf-aには、部分フォトダイオード30S-3と隣り合う領域で、幅方向(第2方向Dy)に凹む凹部SLsf-bが形成される。また、第2シールド配線SLrst-aには、部分フォトダイオード30S-8と隣り合う領域で、幅方向(第2方向Dy)に凹む凹部SLrst-bが形成される。これにより、第1シールド配線SLsf-a及び第2シールド配線SLrst-aは、部分フォトダイオード30Sと非重畳に設けられ、部分フォトダイオード30Sとのショートが発生することを抑制できる。
【0067】
読出制御走査線GLrdには、第2方向Dyに延在する分岐部GLrd-aが接続され分岐部GLrd-aには、読出トランジスタMrdのゲート電極84(図7参照)が接続される。分岐部GLrd-aは、電源信号線SLsfと重なって設けられる。
【0068】
電源信号線SLsfは、分岐部GLrd-aと重なる部分で、分岐部GLrd-aと重ならない部分よりも大きい幅を有する拡幅部SLsf-cを有する。これにより、分岐部GLrd-aの全体が拡幅部SLsf-cで覆われる。
【0069】
このような構成により、第1シールド配線SLsf-aは、読出制御走査線GLrdを覆って設けられ、電源信号線SLsfから固定電位が供給される。第2シールド配線SLrst-aは、読出制御走査線GLrdを覆って設けられ、リセット信号線SLrstから固定電位が供給される。第1シールド配線SLsf-a及び第2シールド配線SLrst-aは、読出制御走査線GLrdのほとんどの領域を覆う。
【0070】
これにより、読出制御走査線GLrdとフォトダイオード30(特に、部分フォトダイオード30S-3、30S-8)との間に形成される寄生容量C1(図5参照)を抑制することができる。この結果、上述した式(2)に示すように、検出装置1の検出感度を向上させることができる。読出制御走査線GLrdに読出制御信号RDが供給され、読出制御走査線GLrdの電位が変化した場合にも、寄生容量C1が抑制されているので、ノードN1(フォトダイオード30のカソード)の電位の変化が抑制される。また、読出制御走査線GLrdと、複数の部分フォトダイオード30Sとの配置関係(距離)のばらつきにより生じる寄生容量C1のばらつきを抑制することができ、結果として、検出装置1の検出ばらつきを抑制できる。
【0071】
次に、フォトダイオード30及び各トランジスタの詳細な構成について説明する。図7は、1つの検出素子が有するフォトダイオードの平面図である。図7では、フォトダイオード30及び検出素子3が有する各トランジスタの平面構成を拡大して示す。なお、図7において、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8のそれぞれに重畳して設けられた開口OP1は、光学フィルタ7(図1各図参照)の導光部に対応しており、開口OP1と重なる領域でそれぞれ光L2が照射される。
【0072】
部分フォトダイオード30Sは、それぞれi型半導体層31、n型半導体層32及びp型半導体層33を含む。i型半導体層31及びn型半導体層32は、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)である。p型半導体層33は、例えば、ポリシリコン(p-Si)である。なお、半導体層の材料は、これに限定されず、ポリシリコン、微結晶シリコン等であってもよい。
【0073】
n型半導体層32は、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。p型半導体層33は、p-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。i型半導体層31は、例えば、ノンドープの真性半導体であり、n型半導体層32及びp型半導体層33よりも低い導電性を有する。
【0074】
また、図7では、p型半導体層33とi型半導体層31(及びn型半導体層32)とが互いに重畳すると共に直接接続された実効的なセンサ領域である第1領域R1を点線で示している。部分フォトダイオード30Sは、それぞれ、少なくとも第1領域R1を有して構成される。言い換えると、複数の(図7においては8つの)第1領域R1は、平面視で三角格子状に配置される。光学フィルタ7の開口OP1は、第1領域R1と重畳して設けられる。
【0075】
部分フォトダイオード30Sは、平面視で、それぞれ円形状又は半円形状で形成される。ただし、これに限定されず、部分フォトダイオード30Sは、多角形状等であってもよい。また、複数の部分フォトダイオード30Sは、互いに異なる形状を有していてもよい。
【0076】
第2方向Dyに配列された部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3のn型半導体層32は、連結部CA1により電気的に接続される。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3のp型半導体層33は、連結部CA2により電気的に接続される。
【0077】
また、部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8のn型半導体層32(i型半導体層31)は、基部BA1により電気的に接続される。部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8のp型半導体層33は、基部BA2により電気的に接続される。基部BA1、基部BA2は、略五角形状に形成され、頂点の位置に部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8が設けられる。なお、基部BA1、基部BA2は、連続して形成された五角形状に限定されず、他の形状であってもよい。基部BA1、基部BA2は、中央部分にn型半導体層32及びp型半導体層33が形成されず環状に形成されてもよい。
【0078】
基部BA1と、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3のi型半導体層31及びn型半導体層32とは、第1方向Dxで離隔して配置される。一方、部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8のp型半導体層33に接続される基部BA2と、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3のp型半導体層33とは、リセット信号線SLrstと基準信号線SLcomの下方を第1方向Dxに沿って通過する連結部CA2aにより電気的に接続される。これにより、1つのフォトダイオード30を構成する複数の部分フォトダイオード30Sが電気的に接続される。
【0079】
下部導電層35は、部分フォトダイオード30S、連結部CA1、CA2、CA2a及び基部BA1、BA2と重なる領域に設けられる。下部導電層35は、部分フォトダイオード30Sと重畳する部分が円形状に形成されている。ただし、下部導電層35は、部分フォトダイオード30Sと異なる形状であってもよい。また、下部導電層35は、少なくとも第1領域R1と重畳する部分に設けられていればよい。下部導電層35には、p型半導体層33と同じ基準電位VCOMが供給され、下部導電層35とp型半導体層33との間の寄生容量を抑制する。
【0080】
上部導電層34は、複数の部分フォトダイオード30Sのn型半導体層32を電気的に接続する。具体的には、上部導電層34は、部分フォトダイオード30S-1、30S-3と重畳する位置で、絶縁膜27(図8参照)に設けられたコンタクトホールH1、H2を介して、それぞれのn型半導体層32と電気的に接続される。上部導電層34の接続部34aは、連結部CA1、CA2、CA2a及び部分フォトダイオード30S-2と重畳してT字状に形成され、接続部34bと接続される。また、上部導電層34の接続部34bは、基部BA1と重畳する位置で、絶縁膜27(図8参照)に設けられたコンタクトホールH3を介して、基部BA1のn型半導体層32と電気的に接続される。
【0081】
さらに、上部導電層34は、接続部34bからフォトダイオード30と非重畳の領域に延在し、接続部34cと接続される。上部導電層34の接続部34cは、コンタクトホールH4を介して各トランジスタ(リセットトランジスタMrst及びソースフォロワトランジスタMsf(図4参照))と電気的に接続される。なお、上部導電層34は、どのように設けられていてもよく、例えば、部分フォトダイオード30Sの一部を覆っていてもよいし、部分フォトダイオード30Sの全体を覆って設けられていてもよい。
【0082】
リセットトランジスタMrst、ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdは、フォトダイオード30と非重畳の領域に設けられる。ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdは、例えば、フォトダイオード30と第1方向Dxに隣り合って設けられる。また、リセットトランジスタMrstは、部分フォトダイオード30S-4と第2方向Dyに隣り合って配置され、かつ、第1方向Dxで部分フォトダイオード30S-1と部分フォトダイオード30S-6との間に配置される。
【0083】
リセットトランジスタMrstの半導体層61の一端は、リセット信号線SLrstに接続される。半導体層61の他端は、コンタクトホールを介して接続配線SLcn3(ノードN1)に接続される。リセット信号線SLrstの、半導体層61と接続される部分がソース電極として機能し、接続配線SLcn3の、半導体層61と接続される部分がドレイン電極63として機能する。半導体層61は、U字状に形成され、2箇所でリセット制御走査線GLrstと交差する。半導体層61の、リセット制御走査線GLrstと重なる部分にチャネル領域が形成され、リセット制御走査線GLrstの半導体層61と重なる部分が、それぞれゲート電極として機能する。
【0084】
ソースフォロワトランジスタMsfは、半導体層65と、ソース電極66と、ドレイン電極67と、ゲート電極68とを有する。半導体層65の一端は、コンタクトホールを介して電源信号線SLsfに接続される。半導体層65の他端は、コンタクトホールを介して接続配線SLcn1(ノードN2)に接続される。電源信号線SLsfの、半導体層65と接続される部分がドレイン電極67として機能し、接続配線SLcn1の、半導体層65と接続される部分がソース電極66として機能する。
【0085】
ゲート電極68の一端側は、第1方向Dxに延在し、半導体層65と重畳する。ゲート電極68の他端側は、第2方向Dyに延在し、接続配線SLcn3と電気的に接続される。これにより、リセットトランジスタMrstは、接続配線SLcn3を介して、ソースフォロワトランジスタMsfのゲートに電気的に接続される。
【0086】
読出トランジスタMrdは、半導体層81と、ソース電極82と、ドレイン電極83と、ゲート電極84とを有する。半導体層81の一端は、コンタクトホールH16(図8参照)を介して接続配線SLcn1に接続される。半導体層81の他端は、コンタクトホールH15(図8参照)を介して出力信号線SLから第1方向Dxに分岐された接続配線SLcn2に接続される。接続配線SLcn1の、半導体層81と接続される部分がドレイン電極83として機能し、接続配線SLcn2の、半導体層81と接続される部分がソース電極82として機能する。2つのゲート電極84は第2方向Dyに並んで設けられ、半導体層81と重なる。2つのゲート電極84は、第2方向Dyに延在し電源信号線SLsfと重畳する分岐部GLrd-a(図6参照)を介して、読出制御走査線GLrdと電気的に接続される。このような構成で、ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdは、出力信号線SLに接続される。
【0087】
出力信号線SLは、ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdと、部分フォトダイオード30S-6、30S-7、30S-8との間に配置される。出力信号線SLは、部分フォトダイオード30S-6、30S-7、30S-8に沿ってジグザグ線状に設けられる。
【0088】
リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomは、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3と、部分フォトダイオード30S-4、30S-5との間に配置される。リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomは、部分フォトダイオード30Sに沿ってジグザグ線状に設けられ、連結部CA2aと交差する。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3と、部分フォトダイオード30S-4、30S-5とが連結部CA2aで接続されているので、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomと重畳して基部BA1、BA2が設けられる構成に比べて、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomの寄生容量を抑制することができる。
【0089】
基準信号線SLcomは、コンタクトホールH11を介して下部導電層35と電気的に接続される。また、基準信号線SLcomは、コンタクトホールH12を介して連結部CA2と電気的に接続される。これにより、基準信号線SLcomは、各部分フォトダイオード30Sのp型半導体層33と電気的に接続される。
【0090】
本実施形態では、光学フィルタ7の複数の開口OP1ごとに部分フォトダイオード30Sが設けられている。これにより、直接光が当たらない領域におけるフォトダイオード30の領域面積、すなわちフォトダイオード30を構成する3層構成の領域面積が削減されているので、フォトダイオード30としての寄生容量を抑制することができる。また、複数の部分フォトダイオード30Sを素子内に点在させる構成であるので、各トランジスタ及び配線の配置の自由度を向上させることができ、各トランジスタ及び配線がフォトダイオード30と可及的非重畳に設けられている。したがって、本実施形態では、各トランジスタ及び配線と重畳してフォトダイオード30を設けた場合に比べて、フォトダイオード30の寄生容量を抑制することができる。
【0091】
なお、図6に示すフォトダイオード30及び各トランジスタの平面構造は、あくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、1つのフォトダイオード30が有する部分フォトダイオード30Sの数は、7個以下でもよいし、9個以上でもよい。部分フォトダイオード30Sの配置は、三角格子状に限定されず、例えば、マトリクス状に配置されていてもよい。
【0092】
図8は、図6のVIII-VIII’断面図である。なお、図8では、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-7の断面構成とともに、検出素子3が有する読出トランジスタMrdの断面構成を示している。なお、図8で図示されないソースフォロワトランジスタMsf、リセットトランジスタMrstの断面構成も、読出トランジスタMrdと同様である。
【0093】
図8に示すように、基板21は絶縁基板であり、例えば、石英、無アルカリガラス等のガラス基板、又はポリイミド等の樹脂基板が用いられる。ゲート電極84は、基板21の上に設けられる。絶縁膜22、23は、ゲート電極84を覆って基板21の上に設けられる。絶縁膜22、23及び絶縁膜24、25、26は、無機絶縁膜であり、例えば、酸化シリコン(SiO)や窒化シリコン(SiN)等である。
【0094】
半導体層81は、絶縁膜23の上に設けられる。半導体層81は、例えば、ポリシリコンが用いられる。ただし、半導体層81は、これに限定されず、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicone)等であってもよい。読出トランジスタMrdは、ゲート電極84が半導体層81の下側に設けられたボトムゲート構造であるが、ゲート電極84が半導体層81の上側に設けられたトップゲート構造でもよく、ゲート電極84が半導体層81の上側及び下側に設けられたデュアルゲート構造でもよい。
【0095】
絶縁膜24、25は、半導体層81を覆って絶縁膜23の上に設けられる。ソース電極82及びドレイン電極83は、絶縁膜25の上に設けられる。ソース電極82は、コンタクトホールH15を介して半導体層81の高濃度不純物領域と接続される。また、ドレイン電極83は、コンタクトホールH16を介して、半導体層81の高濃度不純物領域に接続される。ソース電極82及びドレイン電極83は、例えば、チタンとアルミニウムとの積層構造であるTiAlTiやTiAl等の積層膜で構成されている。
【0096】
次に、フォトダイオード30の断面構成について説明する。図8では、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-7について説明するが、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-7についての説明は、他の部分フォトダイオード30Sにも適用できる。図8に示すように、下部導電層35は、ゲート電極84と同層に基板21の上に設けられる。絶縁膜22及び絶縁膜23は、下部導電層35の上に設けられる。フォトダイオード30は、絶縁膜23の上に設けられる。言い換えると、下部導電層35は、基板21と、p型半導体層33との間に設けられる。下部導電層35が、ゲート電極84と同じ材料で形成されることで遮光層として機能し、下部導電層35は、フォトダイオード30への基板21側からの光の侵入を抑制できる。
【0097】
第3方向Dzで、i型半導体層31は、p型半導体層33とn型半導体層32との間に設けられる。本実施形態では、絶縁膜23の上に、p型半導体層33、i型半導体層31及びn型半導体層32の順に積層されている。
【0098】
具体的には、p型半導体層33は、半導体層81と同層に、絶縁膜23の上に設けられる。絶縁膜24、25、及び、26は、p型半導体層33を覆って設けられる。絶縁膜24及び絶縁膜25は、p型半導体層33と重なる位置にコンタクトホールH13が設けられる。絶縁膜26は、絶縁膜25の上に設けられ、コンタクトホールH13の内壁を構成する絶縁膜24及び絶縁膜25の側面を覆う。また、絶縁膜26には、p型半導体層33と重なる位置にコンタクトホールH14が設けられる。
【0099】
i型半導体層31は、絶縁膜26の上に設けられ、絶縁膜24から絶縁膜26を貫通するコンタクトホールH14を介してp型半導体層33と接続される。n型半導体層32は、i型半導体層31の上に設けられる。
【0100】
より詳細には、フォトダイオード30は、第1領域R1と、第2領域R2と、第3領域R3とを有する。複数の第1領域R1は、部分フォトダイオード30Sのそれぞれに対応して設けられる。複数の第1領域R1は、それぞれ、p型半導体層33、i型半導体層31及びn型半導体層32が直接、接して積層される。言い換えると、第1領域R1は、コンタクトホールH14の底面で規定される領域である。
【0101】
第2領域R2は、複数の第1領域R1の間に設けられる。第2領域R2は、基板21に垂直な方向(第3方向Dz)で、少なくともp型半導体層33とi型半導体層31とが、離隔して積層される。より具体的には、第2領域R2は、p型半導体層33とi型半導体層31との間に設けられた絶縁膜24、25、26を有する。ただし、これに限定されず、第2領域R2は、p型半導体層33とi型半導体層31との間に1層又は2層の絶縁膜を有していてもよいし、4層以上の絶縁膜を有していてもよい。
【0102】
第2領域R2で、p型半導体層33とi型半導体層31との間に設けられた絶縁膜24、25、26の厚さ(絶縁膜24、25の厚さti1と絶縁膜26の厚さti2の合計の厚さ)は、i型半導体層31の厚さti3よりも厚い。絶縁膜24、25の厚さti1は、絶縁膜26の厚さti2よりも厚い。また、第2領域R2のp型半導体層33とn型半導体層32との距離は、第1領域R1のp型半導体層33とn型半導体層32との距離よりも大きい。なお、i型半導体層31及び各絶縁膜24、25、26の厚さ関係は上記に限定されず、i型半導体層31の厚さよりも絶縁膜24、25、26の3層の合計の厚さの方が小さくなる構成も採用可能である。第2領域R2においては、i型半導体層31(及び/又はn型半導体層32)とp型半導体層33との間に所定厚さの絶縁膜24、25、26が存在していることが必要である一方、その絶縁膜24、25、26の厚さは様々な厚さのものを採用可能である。
【0103】
第2領域R2は、平面視で、第1領域R1の周囲に設けられ、かつ、連結部CA1、CA2及び基部BA1、BA2を含む。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3は、絶縁膜26の上に積層されたi型半導体層31及びn型半導体層32からなる連結部CA1と、絶縁膜23の上に形成されたp型半導体層33からなる連結部CA2とで接続される。同様に部分フォトダイオード30S-4から部分フォトダイオード30S-8は、絶縁膜26の上に積層されたi型半導体層31及びn型半導体層32からなる基部BA1と、絶縁膜23の上に形成されたp型半導体層33からなる基部BA2とで接続される。
【0104】
このような構成により、第2領域R2でi型半導体層31とp型半導体層33との間に形成される単位面積あたりの容量は、第1領域R1でi型半導体層31とp型半導体層33との間に形成される単位面積あたりの容量よりも小さくなる。したがって、本実施形態のフォトダイオード30は、第2領域R2のi型半導体層31及びn型半導体層32を第1領域R1と同様に絶縁膜25、26を介することなくp型半導体層33に積層した場合と比べて、1つのフォトダイオード30の容量Cs(図4参照)を小さくすることができる。この結果、上述した式(2)に示すように、同じ光が照射され、同じ露光時間Tだけ露光された検出条件であっても、信号ΔVn1を大きくすることができ、検出装置1の検出感度を向上させることができる。なお、上記ではi型半導体層31とp型半導体層33との間に形成される容量について言及しているが、i型半導体層31とn型半導体層32とが直接接しており、かつ、i型半導体層31を介してp型半導体層とn型半導体層とが対向していることを鑑みると、上記容量についての言及は、p型半導体層33とn型半導体層32間の容量に置き換えることができることはもちろんである。
【0105】
第3領域R3は、p型半導体層33が設けられ、i型半導体層31及びn型半導体層32はp型半導体層33と非重畳に設けられる。第3領域R3は、上述したp型半導体層33からなる連結部CA2aが設けられた領域である。つまり、第3領域R3では、隣り合う複数の第1領域R1は少なくともp型半導体層33で接続される。また、第3領域R3では、p型半導体層33の上に絶縁膜24、25が設けられ、p型半導体層33の上に設けられた絶縁膜24、25の上にリセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomが設けられる。言い換えると、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomの上には、i型半導体層31及びn型半導体層32の空隙部SPが設けられる。このような構成により、i型半導体層31及びn型半導体層32がリセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomと重畳して設けられる構成に比べて、各信号線と、n型半導体層32の絶縁を確保できる。
【0106】
絶縁膜27は、フォトダイオード30を覆って絶縁膜26の上に設けられる。絶縁膜27は、フォトダイオード30及び絶縁膜26に直接、接して設けられる。絶縁膜27は、感光性アクリル等の有機材料からなる。絶縁膜27は、絶縁膜26よりも厚い。なお、これらの厚さ関係は互いに入れ替わっていても構わない。絶縁膜27は、無機絶縁材料に比べ、段差のカバレッジ性が良好であり、i型半導体層31及びn型半導体層32の側面を覆って設けられる。
【0107】
上部導電層34は、絶縁膜27の上に設けられる。上部導電層34は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料である。上部導電層34は、絶縁膜27の表面に倣って設けられ、絶縁膜27に設けられたコンタクトホールH1、H3を介してn型半導体層32と接続される。これにより、複数の部分フォトダイオード30Sからそれぞれ出力される信号(光電流Ip)は、共通の上部導電層34で統合されて、ソースフォロワトランジスタMsf、読出トランジスタMrd(図4参照)を介して、1つの検出信号Vdetとして出力される。
【0108】
なお、コンタクトホールH1は、第1領域R1と重畳する位置に設けられ、部分フォトダイオード30S-1のn型半導体層32と上部導電層34とがコンタクトホールH1の底面で接続される。また、部分フォトダイオード30S-2、30S-7の第1領域R1にはコンタクトホールH1、H3が形成されていない。コンタクトホールH3は、第2領域R2と重畳する位置に設けられる。部分フォトダイオード30S-1の第1領域R1の幅は、部分フォトダイオード30S-2、30S-7の第1領域R1の幅よりも大きい。ただし、上部導電層34は、任意の箇所でn型半導体層32と接続されていればよく、複数の部分フォトダイオード30Sの第1領域R1の幅、形状を等しく形成してもよい。
【0109】
絶縁膜28は、上部導電層34を覆って絶縁膜27の上に設けられる。絶縁膜28は、無機絶縁膜である。絶縁膜28は、フォトダイオード30への水分の侵入を抑制する保護層として設けられる。
【0110】
保護膜29は、絶縁膜28の上に設けられる。保護膜29は、有機保護膜である。保護膜29は、検出装置1の表面を平坦化するように形成される。
【0111】
本実施形態では、フォトダイオード30のp型半導体層33及び下部導電層35が、各トランジスタと同層に設けられるので、フォトダイオード30を各トランジスタと異なる層に形成した場合に比べて製造工程を簡略化できる。
【0112】
なお、図8に示すフォトダイオード30の断面構成は、あくまで一例である。これに限定されず、例えば、フォトダイオード30は、各トランジスタと異なる層に設けられていてもよい。また、p型半導体層33、i型半導体層31及びn型半導体層32の積層順も、図8に限定されず、n型半導体層32、i型半導体層31及びp型半導体層33の順に積層されていてもよい。
【0113】
第1シールド配線SLsf-aは、読出制御走査線GLrdと重なって、各信号線(例えば出力信号線SL)と同層に設けられる。すなわち、第1シールド配線SLsf-aは、絶縁膜25の上に設けられ、隣り合う部分フォトダイオード30Sのi型半導体層31及びn型半導体層32と異なる層に設けられる。なお、図8では、第2シールド配線SLrst-aは図示されないが、第2シールド配線SLrst-aも第1シールド配線SLsf-aと同層に絶縁膜25の上に設けられる。
【0114】
次に、信号線選択回路16の構成及び動作例について説明する。図9は、第1実施形態に係る検出装置の、複数の検出素子と、走査線駆動回路及び信号線選択回路との接続関係を示す回路図である。図10は、検出素子の読出期間の動作例を示すタイミング波形図である。
【0115】
図9に示すように、複数の検出素子3は、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。第1方向Dxに配列される複数の検出素子3を、検出素子3(m)、3(m+1)、3(m+2)、3(m+3)と表す。ただし、検出素子3(m)、3(m+1)、3(m+2)、3(m+3)を区別して説明する必要がない場合は、単に検出素子3と表す。なお、出力信号線SL、読出制御走査線GLrd及びリセット制御走査線GLrstも同様に表す。
【0116】
図9に示すように、検出装置1は、第1走査線駆動回路15Aと、第2走査線駆動回路15Bとを有する。読出制御走査線GLrd(n)、GLrd(n+1)は、第1走査線駆動回路15Aに接続される。リセット制御走査線GLrst(n)、GLrst(n+1)は、第2走査線駆動回路15Bに接続される。
【0117】
出力信号線SL(m)、SL(m+1)、SL(m+2)、SL(m+3)は、検出素子3(m)、3(m+1)、3(m+2)、3(m+3)のそれぞれに対応して設けられる。
【0118】
信号線選択回路16は、複数のスイッチ素子SW(m)、SW(m+1)、SW(m+2)、SW(m+3)を有する。複数のスイッチ素子SW(m)、SW(m+1)、SW(m+2)、SW(m+3)は、複数の出力信号線SL(m)、SL(m+1)、SL(m+2)、SL(m+3)のそれぞれに対応して設けられる。具体的には、複数のスイッチ素子SW(m)、SW(m+1)、SW(m+2)、SW(m+3)は、複数の出力信号線SL(m)、SL(m+1)、SL(m+2)、SL(m+3)と、検出回路48との、接続と非接続とを切り替える。
【0119】
図10は、図5に示す読出期間Pdetを拡大して示す。なお、図10では、理解を容易にするために、各検出素子3に同じ強度の光L2が照射された場合のノードN1での電位Vn1、Vn1’を、強調して模式的に示している。
【0120】
図10に示すように、信号線選択回路16は、制御回路102からの選択信号ASW(図2参照)に基づいて、複数のスイッチ素子SW(m)、SW(m+1)、SW(m+2)、SW(m+3)を順次、時分割的にオン(接続状態)とする。
【0121】
読出期間Pdet1で、スイッチ素子SW(m)がオンとなり、出力信号線SL(m)と検出回路48とが接続される。時刻t41でスイッチ素子SW(m)がオフ(非接続状態)となり、所定期間経過後、読出期間Pdet2で、スイッチ素子SW(m+1)がオンとなり、出力信号線SL(m+1)と検出回路48とが接続される。時刻t42でスイッチ素子SW(m+1)がオフとなり、所定期間経過後、読出期間Pdet3で、スイッチ素子SW(m+2)がオンとなり、出力信号線SL(m+2)と検出回路48とが接続される。時刻t43でスイッチ素子SW(m+2)がオフとなり、所定期間経過後、読出期間Pdet4で、スイッチ素子SW(m+3)がオンとなり、出力信号線SL(m+3)と検出回路48とが接続される。時刻t44でスイッチ素子SW(m+3)がオフとなり、検出素子3(m)から検出素子3(m+3)の検出信号Vdetの読み出しが終了する。
【0122】
上述したように、本実施形態の検出装置1は、シールド配線(第1シールド配線SLsf-a及び第2シールド配線SLrst-a)が設けられており、寄生容量C1(図5参照)が抑制されている。このため、シールド配線がなく寄生容量C1が生じた場合のノードN1での電位Vn1’(図10では二点鎖線で示す)の経時的な変化が抑制され、時刻t41、t42、t43、t44でのノードN1での電位Vn1は、理想的には、一定の値を示す。
【0123】
したがって、本実施形態では、信号線選択回路16の動作により、複数の検出素子3の読み出しのタイミングのずれが生じた場合であっても、寄生容量C1による電位変動を抑制して、検出精度を向上させることができる。
【0124】
以上説明したように、本実施形態の検出装置1は、基板21(アレイ基板2)と、基板21に設けられた複数のトランジスタ(例えば、リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsf)と、第1方向Dxに延在する複数の走査線(例えば読出制御走査線GLrd)と、第1方向Dxと交差する第2方向Dyに延在する複数の信号線(例えば、電源信号線SLsf、出力信号線SL、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcom)と、複数の走査線及び複数の信号線で囲まれた領域にそれぞれ設けられ、p型半導体層33、i型半導体層31及びn型半導体層32を含む複数のフォトダイオード30と、走査線に重なって、第1方向Dxに延在するシールド配線(第1シールド配線SLsf-a及び第2シールド配線SLrst-a)と、を有する。シールド配線は、複数の信号線のうちトランジスタに電源電位を供給する電源信号線SLsfと電気的に接続される。
【0125】
これにより、読出制御走査線GLrdとフォトダイオード30(部分フォトダイオード30S)との間に形成される寄生容量C1(図5参照)を抑制することができる。この結果、上述した式(2)に示すように、検出装置1の検出感度を向上させることができる。また、読出制御走査線GLrdと近い位置の複数の部分フォトダイオード30Sとの間に形成される寄生容量C1が効果的に抑制され、結果として、複数の部分フォトダイオード30Sの配置関係により生じる寄生容量C1のばらつきを抑制することができる。したがって、検出装置1の検出ばらつきを抑制できる。
【0126】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態に係る複数の検出素子を示す平面図である。図12は、図11のXII-XII’断面図である。図13は、第2実施形態に係る検出素子を示す回路図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0127】
第1実施形態では、シールド配線(第1シールド配線SLsf-a及び第2シールド配線SLrst-a)は、各信号線と同層に設けられる構成について説明した。ただし、シールド配線は、信号線と異なる層に設けられていてもよい。
【0128】
図11に示すように、第2実施形態に係る検出装置1Aにおいて、シールド配線MLは、各信号線(電源信号線SLsf、出力信号線SL、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcom)と異なる層に設けられた金属層で形成される。シールド配線MLは、読出制御走査線GLrdと重なって第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数の信号線(電源信号線SLsf、出力信号線SL、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcom)と交差して設けられる。シールド配線MLは、コンタクトホールH20を介して電源信号線SLsfと電気的に接続される。
【0129】
シールド配線MLには、第1実施形態と同様に、第2方向Dyで読出制御走査線GLrdよりも大きい幅を有し、部分フォトダイオード30Sと隣り合う領域に凹部ML-a、ML-bが形成される。また、シールド配線MLは、読出制御走査線GLrdの分岐部GLrd-aと重なって第2方向Dyに延在するシールド配線分岐部ML-cを有する。
【0130】
シールド配線MLは、第1方向Dxに配列された複数の検出素子3(フォトダイオードPD)に亘って連続して設けられる。ただし、これに限定されず、スリットが設けられ、検出素子3ごとに離隔して設けられていてもよい。
【0131】
図12に示すように、シールド配線MLは、読出制御走査線GLrdが設けられる層と、複数の信号線(例えば電源信号線SLsf)が設けられる層との間に設けられる。より詳細には、シールド配線MLは、絶縁膜24の上に設けられ、p型半導体層33が設けられた層よりもi型半導体層31及びn型半導体層32に近い層に設けられる。シールド配線MLと電源信号線SLsfとの間に絶縁膜25が設けられる。シールド配線MLは、絶縁膜25に設けられたコンタクトホールH20を介して電源信号線SLsfと電気的に接続される。
【0132】
第2実施形態では、上述した第1実施形態に比べてシールド配線MLが読出制御走査線GLrdに近い層に設けられる。これにより、シールド配線MLは電界のフリンジ成分を効果的に遮蔽することができ、寄生容量C1を抑制することができる。
【0133】
図13に示すように、シールド配線MLとノードN1(フォトダイオード30のカソード(n型半導体層32))との間に寄生容量C1-1が形成される。また、シールド配線MLと読出制御走査線GLrdとの間に寄生容量C1-2が形成される。ノードN1は、シールド配線MLを介して読出制御走査線GLrdと容量結合する。このため、読出制御走査線GLrdに読出制御信号RDが供給され、読出制御走査線GLrdの電位が変化した場合にも、シールド配線MLが固定電位(電源電位VDD)に接続されているので、ノードN1(フォトダイオード30のカソード)の電位の変化が抑制される。なお、図13に示すノードN1と読出制御走査線GLrdとの間の容量結合についての説明は、上述した第1実施形態にも適用できる。
【0134】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0135】
1 検出装置
2 アレイ基板
3 検出素子
7 光学フィルタ
10 センサ部
15 走査線駆動回路
16 信号線選択回路
21 基板
30 フォトダイオード
30S、30S-1、30S-2、30S-3、30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8 部分フォトダイオード
31 i型半導体層
32 n型半導体層
33 p型半導体層
34 上部導電層
35 下部導電層
BA1、BA2 基部
CA1、CA2、CA2a 連結部
Mrst リセットトランジスタ
Mrd 読出トランジスタ
Msf ソースフォロワトランジスタ
ML シールド配線
R1 第1領域
R2 第2領域
R3 第3領域
SLsf 電源信号線
SLrst リセット信号線
SLcom 基準信号線
SLsf-a 第1シールド配線
SLrst-a 第2シールド配線
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13