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特許7626693プローブ格納治具、プローブ格納システムおよびプローブ格納方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】プローブ格納治具、プローブ格納システムおよびプローブ格納方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/06 20060101AFI20250128BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20250128BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
G01R1/06 D
G01R1/073 D
H01L21/66 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021189201
(22)【出願日】2021-11-22
(65)【公開番号】P2023076046
(43)【公開日】2023-06-01
【審査請求日】2024-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 敏永
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-8872(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0121867(KR,A)
【文献】特開平4-252963(JP,A)
【文献】特表2005-512063(JP,A)
【文献】特表2010-519508(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0265275(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06
G01R 1/073
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンチレバー構造のアーム部および前記アーム部の固定端に接続する支持部を有するプローブを格納するプローブ格納治具であって、
対向する上面および下面で両面がそれぞれ定義され、前記上面から前記下面まで貫通する貫通孔がそれぞれ形成された第1ガイドプレートと第2ガイドプレートとを積層した構成を有し、
前記第1ガイドプレートおよび前記第2ガイドプレートのそれぞれの前記貫通孔を貫通し、上方から見て前記支持部の上部が露出し、下方から見て前記アーム部の自由端の先端が露出した状態で前記プローブを保持し、
前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートにより前記プローブを挟むように、前記貫通孔の貫通方向と交差する方向に、前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートが相対的に移動可能に構成されている
プローブ格納治具。
【請求項2】
前記第1ガイドプレートの前記上面に、前記支持部から突出する凸部が当接する、請求項1に記載のプローブ格納治具。
【請求項3】
前記プローブの隣接する2つの側面が、前記第1ガイドプレートの前記貫通孔の内壁面に当接し、
前記プローブの他の隣接する2つの側面が、前記第2ガイドプレートの前記貫通孔の内壁面に当接する
請求項1又は2に記載のプローブ格納治具。
【請求項4】
前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートの積層体に積層され、前記プローブが貫通する前記貫通孔が形成された第3ガイドプレートを更に備え、
前記第3ガイドプレートが、前記貫通方向と交差する方向に前記第1ガイドプレートおよび前記第2ガイドプレートに対して相対的に移動可能に構成されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプローブ格納治具。
【請求項5】
被検査体の検査に使用されるプローブおよび前記プローブを格納するプローブ格納治具を備えるプローブ格納システムであって、
カンチレバー構造のアーム部および前記アーム部の固定端に接続する支持部を有し、前記支持部から突出する凸部が設けられた前記プローブと、
対向する上面および下面で両面がそれぞれ定義され、前記上面から前記下面まで貫通する貫通孔がそれぞれ形成された第1ガイドプレートと第2ガイドプレートとを積層した構成を有するプローブ格納治具と
を備え、
前記プローブ格納治具が、前記第1ガイドプレートおよび前記第2ガイドプレートのそれぞれの前記貫通孔を貫通する前記プローブを保持し、
前記第1ガイドプレートの前記上面に前記プローブの前記凸部が当接し、
前記プローブ格納治具の上方から見て前記支持部の上部が露出し、
前記プローブ格納治具の下方から見て前記アーム部の自由端の先端が露出し、
前記プローブ格納治具が、前記貫通孔の貫通方向と交差する方向に、前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートが相対的に移動可能に構成され、前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートにより前記プローブが挟まれている、
プローブ格納システム。
【請求項6】
前記プローブの隣接する2つの側面が、前記第1ガイドプレートの前記貫通孔の内壁面に当接し、
前記プローブの他の隣接する2つの側面が、前記第2ガイドプレートの前記貫通孔の内壁面に当接する
請求項5に記載のプローブ格納システム。
【請求項7】
前記アーム部を下方とし前記支持部を上方として前記プローブ格納治具が前記プローブを保持した場合に、前記プローブの重心よりも上方の位置に前記凸部が配置されている、請求項5又は6に記載のプローブ格納システム。
【請求項8】
前記プローブ格納治具が、前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートの積層体に積層され、前記プローブが貫通する前記貫通孔が形成された第3ガイドプレートを更に備え、
前記第3ガイドプレートが、前記貫通方向と交差する方向に前記第1ガイドプレートおよび前記第2ガイドプレートに対して相対的に移動可能に構成されている、
請求項5乃至7のいずれか1項に記載のプローブ格納システム。
【請求項9】
被検査体の検査に使用されるプローブをプローブ格納治具に格納するプローブ格納方法であって、
カンチレバー構造のアーム部および前記アーム部の固定端に接続する支持部を有するプローブを準備し、
対向する上面および下面で両面がそれぞれ定義され、前記上面から前記下面まで貫通する貫通孔がそれぞれ形成された第1ガイドプレートと第2ガイドプレートとを積層した構成を有するプローブ格納治具を準備し、
前記プローブ格納治具の上方から見て前記支持部の上部が露出し、かつ前記プローブ格納治具の下方から見て前記アーム部の自由端の先端が露出するように、前記プローブを前記第1ガイドプレートおよび前記第2ガイドプレートのそれぞれの前記貫通孔に挿入し、
前記貫通孔の貫通方向と交差する方向に前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートを相対的に移動させて、前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートによって前記プローブを挟んだ状態で、前記プローブ格納治具で前記プローブを保持する、
プローブ格納方法。
【請求項10】
前記第1ガイドプレートの前記上面に前記支持部から突出する凸部を当接させる、請求項9に記載のプローブ格納方法。
【請求項11】
前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートの積層体に積層され、前記プローブが貫通する前記貫通孔が形成された第3ガイドプレートを更に備える前記プローブ格納治具を準備し、
前記貫通方向と交差する方向に前記第1ガイドプレートおよび前記第2ガイドプレートに対して相対的に前記第3ガイドプレートを移動させて、前記プローブを前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートによって挟まれた状態の前記プローブの姿勢を調整する、
請求項9乃至10のいずれか1項に記載のプローブ格納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の検査に使用されるプローブを格納するプローブ格納治具、プローブ格納システムおよびプローブ格納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路などの被検査体の検査に、被検査体に接触させるプローブを有する電気的接続装置が用いられている。電気的接続装置を用いた検査では、プローブの一方の端部を被検査体の電極端子に接触させる。プローブの他方の端部は、電気的接続装置の回路基板に配置された接続端子と電気的に接続される。接続端子は、テスタなどの検査装置と電気的に接続されている。プローブを介して、被検査体と検査装置との間で信号を送受信することができる。
【0003】
プローブは、例えば安定な姿勢でプローブを保持する治具に格納して保管される。以下において、プローブを格納する治具を「プローブ格納治具」と称する。また、プローブとプローブ格納治具を含む構成を「プローブ格納システム」と称する。プローブを回路基板に接合して電気的接続装置を組み立てる場合には、ハンドラーなどを用いてプローブがプローブ格納治具から取り出される。プローブ格納治具から取り出されたプローブは、1つずつ回路基板に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第2846851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気的接続装置を組み立てる場合に、プローブを回路基板に接合する前にプローブの欠陥を確認することが望ましい。本発明は、プローブの欠陥の確認が容易なプローブ格納治具、プローブ格納システム、およびプローブ格納方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、カンチレバー構造のアーム部およびアーム部の固定端に接続する支持部を有するプローブを格納するプローブ格納治具が提供される。プローブ格納治具は、対向する上面および下面で両面がそれぞれ定義された第1ガイドプレートと第2ガイドプレートとを積層した構成を有する。第1ガイドプレートと第2ガイドプレートのそれぞれに、上面から下面まで貫通する貫通孔が形成されている。プローブ格納治具は、プローブ格納治具の上方から見て支持部の上部が露出し、プローブ格納治具の下方から見てアーム部の自由端の先端が露出した状態で、第1ガイドプレートおよび第2ガイドプレートのそれぞれの貫通孔を貫通したプローブを保持する。プローブ格納治具は、第1ガイドプレートと第2ガイドプレートによりプローブを挟むように、第1ガイドプレートと第2ガイドプレートが移動可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プローブの欠陥の確認が容易なプローブ格納治具、プローブ格納システムおよびプローブ格納方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るプローブ格納治具の構成を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係るプローブ格納治具の構成を示す図1のII-II方向に沿った模式的な断面図である。
図3図3は、実施形態に係るプローブ格納治具の構成を示す模式的な平面図である。
図4図4は、実施形態に係るプローブ格納治具の全体の構成を示す模式的な平面図である。
図5図5は、比較例のプローブ格納治具の構成を示す模式図である。
図6A図6Aは、実施形態に係るプローブ格納方法を説明するための模式的な正面図である(その1)。
図6B図6Bは、実施形態に係るプローブ格納方法を説明するための模式的な断面図である(その1)。
図6C図6Cは、実施形態に係るプローブ格納方法を説明するための模式的な平面図である(その1)。
図7A図7Aは、実施形態に係るプローブ格納方法を説明するための模式的な正面図である(その2)。
図7B図7Bは、実施形態に係るプローブ格納方法を説明するための模式的な断面図である(その2)。
図7C図7Cは、実施形態に係るプローブ格納方法を説明するための模式的な平面図である(その2)。
図8図8は、実施形態の変形例に係るプローブ格納治具の構成を示す模式図である。
図9図9は、プローブ格納治具に格納されたプローブの姿勢の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の長さや厚みの比率などは現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0010】
図1に示す本発明の実施形態に係るプローブ格納治具10は、被検査体の検査に使用されるプローブ20を格納する。図1に示すように、プローブ20は、カンチレバー構造のアーム部21およびアーム部21の固定端201に接続する支持部22を有する。
【0011】
プローブ格納治具10は、対向する上面および下面で両面がそれぞれ定義された第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112とを積層した構成を有する。第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112のそれぞれに、上面から下面まで貫通する貫通孔100が形成されている。
【0012】
プローブ格納治具10は、プローブ格納治具10の上方から見て支持部22の上部が露出し、プローブ格納治具10の下方から見てアーム部21の自由端202の先端が露出した状態で、プローブ20を保持する。ここで、プローブ格納治具10の上方から見るとは、プローブ20の支持部22からアーム部21の方向を見ることである。プローブ格納治具10の下方から見るとは、プローブ20のアーム部21から支持部22の方向を見ることである。より詳細には、プローブ格納治具10は、プローブ20が第1ガイドプレート111および第2ガイドプレート112のそれぞれの貫通孔100を貫通する状態で、プローブ20を保持する。プローブ20をプローブ格納治具10に格納した状態において、第1ガイドプレート111の上面の上方に、プローブ20の支持部22の上部が露出する。第2ガイドプレート112の下面の下方に、プローブ20のアーム部21の自由端202の先端210が露出する。先端210は、被検査体に接触する部分である。
【0013】
なお、プローブ格納治具10の上方に支持部22の上部が位置していなくても、支持部22の上部がプローブ格納治具10の上方から見て露出していてもよい。以下において、支持部22の上部が外部から観察可能な状態を、プローブ格納治具10の上方に支持部22の上部が露出しているとも表記する。また、プローブ格納治具10の下方にアーム部21の自由端202の先端が位置していなくても、自由端202の先端がプローブ格納治具10の下方から見て露出していてもよい。以下において、自由端202の先端が外部から観察可能な状態を、プローブ格納治具10の下方にアーム部21の自由端202の先端が露出しているとも表記する。
【0014】
以下において、第1ガイドプレート111および第2ガイドプレート112などのプローブ格納治具10を構成するガイドプレートを、ガイドプレートのそれぞれを限定しない場合は、ガイドプレート11と表記する。ガイドプレート11は、それぞれ貫通孔100を有する。
【0015】
図1に示すように、貫通孔100の貫通方向、すなわちガイドプレート11の厚さ方向を、Z方向とする。図1において、Z方向は紙面の上下方向であり、X方向は紙面の左右方向、Y方向は紙面の奥行方向である。実施形態の説明においては、Y方向から見た図を正面図とする。正面図は、Z方向に平行な平面に沿ったガイドプレート11の切断面を示す。
【0016】
図1に示すように、プローブ20の支持部22に、Z方向から見て支持部22から外側に向いて突出する凸部23が設けられている。プローブ格納治具10に格納されたプローブ20の凸部23が、第1ガイドプレート111の上面に当接する。プローブ20の凸部23は、プローブ20が貫通孔100の内部を落下しないようにストッパーとして機能する。複数の凸部23を有するプローブ20では、それぞれの凸部23は同じ高さに配置されていてもよい。
【0017】
図1に示すプローブ格納システムでは、第1ガイドプレート111の上面にプローブ20の凸部23が当接して、第1ガイドプレート111の上面の上方に支持部22の上部が露出する。アーム部21を下方とし支持部22を上方としてプローブ格納治具10がプローブ20を保持した場合に、プローブ20の重心よりも上方の位置に凸部23が配置されることが好ましい。プローブ20の重心より凸部23が上方にあることにより、プローブ格納治具10がプローブ20を支持する位置よりもプローブ20の重心の位置が下方になる。プローブ20の重心をプローブ20が支持される位置よりも下方にすることにより、プローブ格納治具10は、プローブ20の姿勢が安定した状態で、プローブ20を保持できる。
【0018】
図2は、図1のII-II方向に沿ったプローブ格納治具10の断面図である。図3は、プローブ格納治具10をZ方向から見た平面図である。図3に示すように、平面図は、凸部23より下方の位置でのプローブ20のXY平面に沿った断面を示す(以下において同様。)。また、平面図では、第2ガイドプレート112の貫通孔100を、第1ガイドプレート111を透過して破線で表示している。詳細は後述するが、プローブ格納治具10は、貫通孔100の貫通方向と交差する方向に、第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112が相対的に移動可能に構成されている。例えば、プローブ格納治具10は、貫通孔100の貫通方向に垂直な方向であるXY平面において、第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112が相対的に移動可能に構成されている。
【0019】
貫通方向から見た平面視において、プローブ20は矩形状である。また、平面視で、貫通孔100は矩形状である。平面視で、プローブ20の外形状と貫通孔100の形状は相似であってもよい。図1図3に示すように、プローブ20の隣接する2つの側面が、第1ガイドプレート111の貫通孔100の内壁面に当接する。そして、プローブ20の他の隣接する2つの側面が、第2ガイドプレート112の貫通孔100の内壁面に当接する。
【0020】
つまり、貫通孔100の内壁面に対向するプローブ20の4つの辺が、第1ガイドプレート111の貫通孔100の内壁面および第2ガイドプレート112の貫通孔100の内壁面のいずれかと当接している。プローブ20の4つの辺が貫通孔100の内壁面と当接することにより、プローブ格納治具10はプローブ20を安定して保持する。
【0021】
プローブ20の支持部22の側面には、固着剤25が配置されている。例えば、固着剤25に半田材を使用し、電気的接続装置を組み立てる工程において、リフロー半田付けによってプローブ20の支持部22の上面と回路基板を接合する。固着剤25によって支持部22と回路基板の電極端子を接合することにより、プローブ20と回路基板に形成された回路パターンが電気的に接続される。固着剤25が配置された部分をプローブ格納治具10の上方に露出させることにより、プローブ格納治具10に格納された状態で固着剤25の状態を観察することができる。
【0022】
なお、支持部22の上面が回路基板と接合する領域である場合に、図1に示すように、支持部22の上部の一部をZ方向に延伸させた部分(以下、「延伸部分」という。)に、固着剤25を配置してもよい。以下において、プローブ20の回路基板と接合する領域を「接合部」とも称する。図1に示すプローブ20では、延伸部分の上面が接合部である。延伸部分の側面に固着剤25を配置することにより、リフロー半田付けの際に延伸部分の上面の周囲に半田材が流れる。半田材を接合部の周囲に流すことにより、回路基板に固着剤25が広がることを抑制できる。
【0023】
1つのプローブ格納治具10に複数のプローブ20を格納することができる。例えば、図4に示すように、円盤状のガイドプレート11に複数の貫通孔100を形成してもよい。ガイドプレート11に形成された複数の貫通孔100のそれぞれにプローブ20が挿入されて、プローブ格納治具10が複数のプローブ20を格納する。ガイドプレート11に形成する貫通孔100の配置は、所望のレイアウトに従って任意に設定可能である。
【0024】
図1に示したプローブ格納システムでは、プローブ格納治具10の上方にプローブ20の支持部22の上部が露出する。このため、支持部22の上面が回路基板と接合する接合部である場合に、プローブ格納治具10に格納した状態でプローブ20の接合部の状態を観察できる。したがって、プローブ20を回路基板と接合することが困難であるような欠陥が接合部に生じている場合に、電気的接続装置を組み立てる工程の前に接合部の欠陥を検出できる。例えば、接合部に欠損があるプローブ20や固着剤25の量が接合に不十分なプローブ20を、電気的接続装置の組み立て工程から除外できる。
【0025】
また、図1に示したプローブ格納システムでは、プローブ格納治具10の下方にプローブ20のアーム部21の先端210が露出する。このため、プローブ格納治具10に格納した状態でプローブ20のアーム部21の先端210の状態を観察できる。したがって、先端210が被検査体に接触させることが困難であるような欠陥がアーム部21に生じている場合に、電気的接続装置を組み立てる工程の前にアーム部21の欠陥を検出できる。例えば、アーム部21の先端210が曲がっていたり折れたりしているプローブ20を、電気的接続装置の組み立て工程から除外できる。
【0026】
以下に、図1に示したプローブ格納システムとの比較のために、図5に示す比較プローブ格納治具10Mにプローブ20を格納する場合を検討する。比較プローブ格納治具10Mは、第1スリットプレート11Mと第2スリットプレート12Mを有する。第1スリットプレート11Mと第2スリットプレート12Mは、櫛歯状のスリットをそれぞれ有する。
【0027】
比較プローブ格納治具10Mでのプローブ20の格納では、例えば図5に矢印M1および矢印M2で示すように、プローブ20が第1スリットプレート11Mのスリットと第2スリットプレート12Mのスリットに挿入される。プローブ20のアーム部21の先端210を上方に向けて、第1スリットプレート11Mのスリットにプローブ20の支持部22が挟持される。そして、第2スリットプレート12Mのスリットにプローブ20のアーム部21が挟持される。
【0028】
したがって、比較プローブ格納治具10Mにプローブ20を格納した状態では、プローブ20の接合部を観察できない。接合部を観察できないため、比較プローブ格納治具10Mからプローブ20を取り出した後でなければ、プローブ20の接合部の欠陥を検出することができない。また、プローブ20の自重により、プローブ20が、第1スリットプレート11Mのスリットおよび第2スリットプレート12Mのスリットに保持されている。このため、比較プローブ格納治具10Mに格納したプローブ20を安定して運搬するためには、プローブ20を比較プローブ格納治具10Mに固定する機構が必要である。
【0029】
一方、プローブ格納治具10を用いたプローブ格納システムでは、プローブ格納治具10の上方にプローブ20の接合部が露出し、プローブ格納治具10の下方にプローブ20のアーム部21の先端210が露出する。したがって、プローブ格納治具10にプローブ20を格納した状態で、プローブ20の接合部および先端210を観察することができる。更に、プローブ格納治具10がプローブ20を支持する位置よりも、プローブ20の重心が下方にある。プローブ20の重心が下方にあるため、プローブ格納治具10に格納されたプローブ20の姿勢が安定する。したがって、プローブ20をプローブ格納治具10に固定しなくても、プローブ20を安定した姿勢で、プローブ格納治具10に格納したプローブ20を運搬することができる。
【0030】
以上に説明したように、実施形態に係るプローブ格納治具10は、プローブ20の接合部およびアーム部21の先端210が露出した状態で、プローブ20を格納する。したがって、プローブ格納治具10によれば、プローブの欠陥の確認が容易である。
【0031】
以下に、図6A図6B図6C図7A図7B図7Cを参照して、プローブ格納治具10にプローブ20を格納するプローブ格納方法の例を説明する。なお、図6A図7Aは正面図、図6B図7B図1のII-II方向に沿った断面図、図6C図7CはZ方向から見た平面図である。図6A図6B図6C図7A図7B図7Cでは、固着剤25の図示を省略している。
【0032】
まず、プローブ格納治具10およびプローブ20を準備する。そして、図6A図6B図6Cに示すように、プローブ格納治具10において、Z方向から見て第1ガイドプレート111の貫通孔100の位置と第2ガイドプレート112の貫通孔100の位置を一致させる。次いで、プローブ20を、第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112のそれぞれの貫通孔100に挿入する。具体的には、第1ガイドプレート111の上面に支持部22に形成された凸部23が当接するまで、第1ガイドプレート111の上面の側からプローブ20が貫通孔100に挿入される。
【0033】
凸部23が第1ガイドプレート111の上面に当接するまでプローブ20を貫通孔100に挿入すると、第1ガイドプレート111の上面の上方に、支持部22の上部が露出する。そして、第2ガイドプレート112の下面の下方に、アーム部21の自由端202の先端210が露出する。
【0034】
次に、図7A図7B図7Cに示すように、貫通孔100の貫通方向(Z方向)と交差する方向に、第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112を相対的に移動させる。例えば、図7Aに示すように、X方向について、第1ガイドプレート111を矢印DX1に示すように紙面の右方向に移動させ、第2ガイドプレート112を矢印DX2に示すように紙面の左方向に移動させる。そして、Y方向について、第1ガイドプレート111を矢印DY1に示すように紙面の右方向に移動させ、第2ガイドプレート112を矢印DY2に示すように紙面の左方向に移動させる。すなわち、図7Cに示すように、XY平面において、第1ガイドプレート111を矢印DZ1に示すように紙面の右下方向に移動させ、第2ガイドプレート112を矢印DZ2に示すように紙面の左上方向に移動させる。なお、第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112のいずれか一方の位置を固定し、他方の位置を移動させてもよい。
【0035】
第1ガイドプレート111がプローブ20に対して相対的に移動することにより、第1ガイドプレート111の貫通孔100の第1内壁面101がプローブ20に当接する。一方、第1内壁面101に対向する第2内壁面102は、プローブ20から離間している。また、第2ガイドプレート112がプローブ20に対して相対的に移動することにより、第1内壁面101と同じ向きの第2ガイドプレート112の第3内壁面103とプローブ20とが離間し、第3内壁面103に対向する第4内壁面104がプローブ20に当接する。
【0036】
上記のように第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112をXY平面で移動させることにより、プローブ20が第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112によって挟まれる。プローブ格納治具10は、ガイドプレート11によってプローブ20を挟むことにより、プローブ20の位置を固定する。
【0037】
以上に説明したプローブ格納方法によれば、プローブ20の接合部およびアーム部21の先端210が露出した状態で、プローブ格納治具10にプローブ20が格納される。したがって、実施形態に係るプローブ格納方法によれば、プローブの欠陥の確認が容易である。
【0038】
<変形例>
上記では、プローブ格納治具10の有するガイドプレート11が2枚である例を説明した。プローブ格納治具10の有するガイドプレート11の枚数は、3枚以上であってもよい。例えば、図8に示すように、プローブ格納治具10が、第3ガイドプレート113を更に有してもよい。第3ガイドプレート113は、第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112の積層体に積層される。第3ガイドプレート113に、プローブ20が貫通する貫通孔100が形成されている。第3ガイドプレート113は、貫通方向と交差する方向に第1ガイドプレート111および第2ガイドプレート112に対して相対的に移動可能に構成されている。
【0039】
例えば図9に示すように、第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112によって挟まれたプローブ20が、Z方向に対して傾いてプローブ格納治具10に格納される可能性がある。第3ガイドプレート113を有するプローブ格納治具10は、第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112により傾いて挟まれたプローブ20の姿勢を調整することができる。
【0040】
すなわち、図9に示す状態において、第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112に対して相対的に、第3ガイドプレート113をXY平面で移動させる。具体的には、第1ガイドプレート111と第2ガイドプレート112によって挟まれたプローブ20の側面に、プローブ20の傾きを矯正する方向に押圧を加えるように第3ガイドプレート113を移動させる。図8に示したプローブ格納治具10によれば、上記のように第3ガイドプレート113を移動させることにより、プローブ格納治具10に保持されたプローブ20の姿勢を調整することも可能である。
【0041】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0042】
例えば、上記ではプローブ格納治具10が、第1ガイドプレート111の上面に当接するストッパーとして凸部23を有するプローブ20を格納する例を説明した。しかし、プローブ20に凸部23が無くてもよい。すなわち、ストッパーの無いプローブ20をプローブ格納治具10の貫通孔100に挿入して、プローブ20の位置を安定させる。このとき、プローブ格納治具10の上方に支持部22の上部が露出し、プローブ格納治具10の下方に先端210が露出した状態で、プローブ格納治具10がプローブ20を保持する。そして、ガイドプレート11を移動させてプローブ20の位置を固定する。
【0043】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0044】
10…プローブ格納治具
11…ガイドプレート
20…プローブ
21…アーム部
22…支持部
25…固着剤
100…貫通孔
101…第1内壁面
102…第2内壁面
103…第3内壁面
104…第4内壁面
111…第1ガイドプレート
112…第2ガイドプレート
113…第3ガイドプレート
201…固定端
202…自由端
210…先端
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9