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特許7626701ボール飛行データから、所定のオフライン情報を考慮するストロークゲインドパフォーマンス指標を計算するためのシステム及び方法
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  • 特許-ボール飛行データから、所定のオフライン情報を考慮するストロークゲインドパフォーマンス指標を計算するためのシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】ボール飛行データから、所定のオフライン情報を考慮するストロークゲインドパフォーマンス指標を計算するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20250128BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
A63B69/36 541P
A63B71/06 U
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021535935
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 US2019067615
(87)【国際公開番号】W WO2020132329
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】62/782,247
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/940,534
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エム. ブローディー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン アール. ジャーツソン
(72)【発明者】
【氏名】エリック エム. ヘンリクソン
(72)【発明者】
【氏名】ポール ディ. ウッド
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0126308(US,A1)
【文献】特表2015-501710(JP,A)
【文献】マーク・ブローディ,ゴルフデータ革命 SG指標で「一打の重み」を可視化する,プレジデント社,2014年06月22日,110-131,296-299
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボール飛行データから、所定のオフライン情報を考慮するストロークゲインドパフォーマンス指標を計算する方法であって、
プロセッサによって、第1のゴルフクラブからの第1の複数のショットに関連する第1のデータセットにアクセスすることと、
前記プロセッサによって、前記第1のデータセットから第1のパフォーマンス指標を、以下のステップ、即ち、
(i)前記第1のゴルフクラブからの前記第1の複数のショットの各々について、目標距離に対応する所定の予測ホールアウト値と、実際のキャリー距離に対応する所定の予測ホールアウト値と、の間の差を少なくとも考慮することによって、ストロークゲインド値のセットを計算するステップであって、前記目標距離は、目標位置までの距離である、前記計算するステップと、
(ii)前記ストロークゲインド値のセットの各々に対して所定のオフラインペナルティ関数を実行して、前記第1のゴルフクラブからの前記第1の複数のショットの各々について各ペナルティパラメータを導出するステップであって、前記各ペナルティパラメータは、前記第1の複数のショットの各々の前記目標位置に対する落下位置を含むオフライン情報によって決定される、前記導出するステップと
(iii)前記各ペナルティパラメータを、対応するストロークゲインド値に適用するステップと、
(iv)前記各ペナルティパラメータによって変更された前記ストロークゲインド値のセットを平均するステップと、
によって生成することと、
前記プロセッサによって、第2のゴルフクラブからの第2の複数のショットに関連する第2のデータセットにステップ(i)~(iv)を適用することによって導出される第2のパフォーマンス指標を生成することと、
前記第1のパフォーマンス指標と前記第2のパフォーマンス指標とのうち大きい方を特定することによって、前記第1のゴルフクラブと前記第2のゴルフクラブとの間の選択を推奨することと、
を備え、
前記所定のオフラインペナルティ関数は、前記目標位置と開始ショット位置との間の物理座標から構成される複数の所定の地理的領域を定義し、
前記複数の所定の地理的領域の各々は、前記各ペナルティパラメータの所定の入力値を定義し、
第1の地理的領域は、対応する前記ペナルティパラメータにヌル値を提供し、
前記第1の地理的領域は、前記目標位置と前記開始ショット位置との間の線形経路に沿って延在し、前記目標位置に近づくほど幅が広がる、方法。
【請求項2】
前記複数の所定の地理的領域は、前記第1の地理的領域の第1の側辺に沿って延在する第2の地理的領域を含み、
前記第2の地理的領域は、前記目標位置から少なくとも部分的にオフセットされており、かつ、前記第1の地理的領域の外側にあり、
前記第2の地理的領域は、前記第1のゴルフクラブからの前記第1の複数のショットのうち、前記第2の地理的領域内に落下し、かつ、前記目標位置に対してオフラインであるいくつかのショットについての前記各ペナルティパラメータの所定の入力値を定義する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ボール飛行データから、所定のオフライン情報を考慮するストロークゲインドパフォーマンス指標を計算するように構成されたコンピューティングシステムであって、
開始位置からゴルフクラブによって打たれた複数のゴルフショットの各々について飛行データを提供するトラッキングデバイスであって、前記飛行データは、落下位置と目標位置との間のポストショット距離を含む、前記トラッキングデバイスと、
前記トラッキングデバイスと動作可能に通信するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記複数のゴルフショットの各々について、ストロークゲインド値を計算するように構成され、
前記ストロークゲインド値は、前記落下位置から前記目標位置までの所定の予測ホールアウト値であって、前記ポストショット距離と、前記目標位置と前記開始位置との間の合計距離と、を考慮した前記所定の予測ホールアウト値を定義し、
前記プロセッサは、前記複数のゴルフショットの各々について、前記開始位置と前記目標位置との間の所定の勾配マップに対する前記落下位置に基づく可変ペナルティパラメータを適用することによって、前記各ストロークゲインド値を、オフライン情報を考慮した改善ストロークゲインド値に変換するように構成され、
前記勾配マップは、前記落下位置と前記可変ペナルティパラメータとの大小関係を示すマップであり、
前記改善ストロークゲインド値は、前記所定の勾配マップに対する前記落下位置に基づく固有の予測ホールアウト値であって、前記オフライン情報を考慮する前記固有の予測ホールアウト値を定義し、
前記所定の勾配マップは、前記目標位置と開始ショット位置との間の物理座標から構成される複数の所定の地理的領域を備え、前記複数の所定の地理的領域の各々は、前記可変ペナルティパラメータの所定の入力値を定義し、
第1の地理的領域は、対応する前記可変ペナルティパラメータにヌル値を提供し、
前記第1の地理的領域は、前記目標位置と前記開始ショット位置との間の線形経路に沿って延在し、前記目標位置に近づくほど幅が広がる、コンピューティングシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記改善ストロークゲインド値が、代替ゴルフクラブと、前記代替ゴルフクラブによって打たれた別の複数のゴルフショットと、に関連する代替の改善ストロークゲインド値よりも大きいことを特定することによって、前記複数のゴルフショットを打つために使用されたゴルフクラブの選択を推奨するように、さらに構成される、請求項3に記載のコンピューティングシステム。
【請求項5】
前記プロセッサと動作可能に通信する表示部であって、前記プロセッサによる指示に応じて、前記可変ペナルティパラメータを使用して前記ストロークゲインド値のそれぞれを変換するために利用されるオフライン特性を視覚的に示すように、前記目標位置と、前記所定の勾配マップと、前記複数のゴルフショットの前記落下位置と、を表示するための前記表示部をさらに備える、請求項3に記載のコンピューティングシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記複数のゴルフショットのうちの所与の1ショットに関連する所与の落下位置に関連する情報を所定の前記勾配マップに関連する区分関数に適用することによって、前記所与の落下位置の前記可変ペナルティパラメータを計算するように、さらに構成され、
前記区分関数は、前記落下位置が前記所定の勾配マップに対してどこに位置するかに基づいて、前記可変ペナルティパラメータの値を出力するように構成される、請求項3に記載のコンピューティングシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、特定のコース又は練習場の固有の特性に対応するように、前記所定の勾配マップ及び前記区分関数を変更するようにさらに構成される、請求項6に記載のコンピューティングシステム。
【請求項8】
前記所定の勾配マップの第2の地理的領域は、オフラインであって、前記可変ペナルティパラメータの正の値に対応し、
前記勾配マップの第2の部分は、前記目標位置に対してオンラインであって、前記可変ペナルティパラメータのヌル値に対応する、請求項3に記載のコンピューティングシステム。
【請求項9】
プロセッサのためのコンピュータプログラムであって、コード化された指示によって、前記プロセッサが、
第1のゴルフクラブからの複数のゴルフショットに関連する飛行データにアクセスすることであって、前記飛行データは、前記複数のゴルフショットの各々について、落下位置と目標位置との間のポストショット距離を含む、前記アクセスすることと、
前記複数のゴルフショットの各々について、ストロークゲインド値を計算することと、
以下を含む動作、即ち、
開始位置と前記目標位置との間の所定の勾配マップに対する前記落下位置に基づいて、前記複数のゴルフショットの各々について可変ペナルティパラメータを生成することと、
前記複数のゴルフショットの各々について、対応する前記可変ペナルティパラメータを前記ストロークゲインド値に適用することと、
を実行することによって、前記第1のゴルフクラブのパフォーマンス指標を計算することと、を実現するコンピュータプログラムであって、
前記所定の勾配マップは、前記目標位置と開始ショット位置との間の物理座標から構成される複数の所定の地理的領域を備え、前記複数の所定の地理的領域の各々は、前記可変ペナルティパラメータの所定の入力値を定義し、
第1の地理的領域は、対応する前記可変ペナルティパラメータにヌル値を提供し、
前記第1の地理的領域は、前記目標位置と前記開始ショット位置との間の線形経路に沿って延在し、前記目標位置に近づくほど幅が広がる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月26日に出願された米国仮特許出願第62/940,534号の優先権を主張し、さらに、2018年12月19日に出願された米国仮特許出願第62/782,247号の優先権を主張する。上記の全ての開示の内容は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
本開示は、コンピュータによって実施されるゴルフショット分析及び最適なクラブ選択のためのコンピューティング技術及びトラッキング技術に関し、より詳細には、トラッキングデバイスからキャプチャされたボール飛行データを利用して、所定の勾配マップに対応する可変ペナルティパラメータに対応するキャリー情報及び所定のオフライン情報を考慮するストロークゲインドパフォーマンス指標を導出する、コンピューティング及びトラッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
マーク・ブローディ(Mark Broadie)によって提唱された現在のストロークゲインド統計及び関連する方法は、ゴルフのラウンド又はゴルフのホール後のゴルファーの全体的なパフォーマンスを評価する。ストロークゲインド指標は、様々な開始位置、それに対応するゴルフホールからの距離、及び条件(ティー、フェアウェイ、ラフ、サンド、グリーン、リカバリー、水など)から、「ホールアウト」までに予測されるストローク値を計算するために、蓄積されたプロ及びアマチュアのデータを考慮する方法に関連する。例えば、ゴルフコースでのドライバーショットの場合、ボールは、ある状態(ティー)から別の状態(フェアウェイ、ラフ等)に移行する。そのショットによるストロークゲインドは、開始位置からホールアウトまでに予測されるストロークから、終了位置からホールアウトまでに予測されるストロークとすでに打たれた1回のストロークとを引いたものとして計算され得る。現在のストロークゲインド方法によって、ゴルファーは、ラウンドしながら、自分のパフォーマンスを評価し、どこでショットが失われた(即ち、ボールを水に打ち込んだ)のか、及び、自分のゲームの様々な側面を改善することによって、どこでストロークをセーブすることができるのかを判断することができる。ストロークゲインド方法は、前述の機能を実行するように構成されたコンピューティングデバイスによって実施することができる。
【0004】
しかしながら、ストロークゲインドパフォーマンス指標は、ミスヒット(ミスショット)の重大度を考慮しておらず、統計分析中に、単にターゲットエリアを外したショット全てに等しくペナルティが与えられるにすぎない(即ち、フェアウェイから1ヤード外れたショットは、フェアウェイから30ヤード外れたショットと同等に良くないものとみなされる)。さらに、ストロークゲインド指標は、ゴルフコースを除いて、全ての地形(例えば、ゴルフ練習場やデジタルゴルフシミュレータ)に適用することができない。従って、現在のストロークゲインド統計は、ゴルフのラウンドをプレーするときに利用することができるだけであり、練習中又はフィッティングセッション中に必要とされる分析に関しては技術的に欠けている。
【0005】
当技術分野では、任意の地形(ゴルフコースに限定されない)に沿ったゴルフショットを分析するために使用可能であり、かつ、地形に沿った目標ホール及び目標距離に対してゴルファーがどのように特定のゴルフクラブを一貫して打つかに基づいて、クラブの選択を推奨するための機能を実施するために使用可能な技術が、技術的に必要とされている。とりわけ、これらの考察を念頭に置いて、本開示の様々な態様は考案され、開発された。
【0006】
本願は、少なくとも1つのカラー写真を含む。カラー写真を含むこの特開の写しは、要求があり、かつ、必要な手数料が納付されたときに、特許庁により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ゴルファーによって打たれた複数のゴルフショットからボール飛行データを生成し、ゴルファーのパフォーマンスを評価するためにボール飛行データから1つ又は複数のパフォーマンス指標を計算するためのシステムの図である。
【0008】
図2】目標位置及び開始位置を鑑みてオフラインであると考えられる特定のゴルフショットを考慮する勾配マップを定義するペナルティパラメータ関数の所定の特徴に基づいて、個々のゴルファーを評価するためのパフォーマンス指標を導出するために、図1のシステムを実施する1つのプロセスを表すプロセスフロー図である。
【0009】
図3】開始位置と目標位置との間の可変ペナルティパラメータを考慮するパフォーマンス指標を導出するために、1つ又は複数のゴルフクラブに関連するゴルフボール飛行データに適用され得る、予め定義された勾配マップ又は勾配マッピングのグラフィック画像である。
【0010】
図4A】ゴルフショットからゴルフボール飛行データを生成するトラッキングデバイスによって監視されながら、1つ又は複数のゴルフクラブを使用して自然の地形に対して複数のゴルフショットを行うゴルファーの斜視図を示す図である。
【0011】
図4B】ゴルフショットからゴルフボール飛行データを生成するトラッキングデバイスによって監視されながら、1つ又は複数のゴルフクラブを使用して仮想地形又は人工地形に対して複数のゴルフショットを行うゴルファーの斜視図を示す図である。
【0012】
図5】2つの異なるゴルフクラブによって打たれた複数のゴルフショットに関連するボール飛行データからの基本的なショット分散表示を示すグラフィック画像である。
【0013】
図6A】ゴルフクラブの複数のショットに関連付けられたボール飛行データを考慮して、ストロークゲインドパフォーマンス指標を生成するためのアルゴリズムを含む、コンピュータによって実施される方法の簡略化されたブロック図である。
【0014】
図6B】可変オフラインペナルティ又はその関数パラメータを提案するための履歴ショット情報に関連する着色ドットを示すグラフである。
【0015】
図7A】2つの別個のストロークゲインドパフォーマンス指標を生成し、あるゴルフクラブを他のゴルフクラブと対比して推奨するためにその指標を比較するための、コンピュータによって実施される方法の簡略化されたブロック図である。
【0016】
図7B】各ショットに対する勾配マップ及び関連する可変ペナルティパラメータの適用を示すために様々な色で強調された図5の複数のゴルフショットを示す、改善されたショット分散表示のグラフ画像である。
【0017】
図7C】2つの別個のクラブの2つの別個の計算されたストロークゲインドパフォーマンス指標を示す。
【0018】
図8】本明細書で説明するストロークゲインドパフォーマンス指標を適用するのに有用な1つのシナリオを示すためのショットデータをプロットするグラフである。
【0019】
図9】本明細書で説明するストロークゲインドパフォーマンス指標を適用するのに有用な1つのシナリオを示すためのショットデータをプロットするグラフである。
【0020】
図10】本明細書で説明されるストロークゲインドパフォーマンス指標を適用するのに有用な1つのシナリオを示すためのショットデータをプロットするグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
対応する参照符号は、図面中の対応する要素を示す。図面で使用される見出しは、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0022】
本開示の態様は、ゴルフショットのストロークゲインド値に関連するパフォーマンス指標であって、事前定義されたオフライン情報を考慮したパフォーマンス指標を計算するためのコンピュータによって実施されるシステム及び関連する方法に関する。ストロークゲインド値の計算は、あるゴルフクラブを別のゴルフクラブと対比してコンピュータによって実施される推奨を生成することを含む多くの有用な用途に使用されてよい。いくつかの実施形態では、パフォーマンス指標は、トラッキング装置のトラッキングデバイスのうちの1つ又は複数を使って監視される複数のゴルフショットから生成される飛行データに適用される勾配マップを定義する所定のペナルティ関数に部分的に関係する。可変ペナルティパラメータは、何らかの理由で望ましくないと考えられるゴルフショットに効果的にペナルティを与える。より具体的には、例えば、開始位置と目標位置(例えば、ゴルフホール)との間の長軸に対して10ヤードのオフラインであると判定されたゴルフショットは、0.2のペナルティパラメータ値を定義してよく、一方で、開始位置と目標位置との間の長軸に対して20ヤードのオフラインであると判定されたゴルフショットは、0.50のペナルティパラメータ値を定義してよい。これにより、可変ペナルティパラメータは、何らかの理由でオフラインであるゴルフショットにペナルティを与え、そのショットに関して全体のストロークゲインド値に影響を与える。いくつかの実施形態では、勾配マップ及び関連するペナルティパラメータは、あらゆる数の異なる用途に適合するようにカスタム調整又は変更されてよい。その結果、パフォーマンス指標は、特定の地形又は特定のコースに固有の特性、又はあらゆる数の所望の条件を考慮してもよい。このように、コンピュータによって実施されるシステムは、オフラインショットにペナルティを与えることができない、又は固有のコース特性を考慮することができない従来のクラブ選択/ショット分析システムに対して、技術的に改善されたものである。
【0023】
換言すれば、パフォーマンス指標は、ストロークゲインド数値を、一連のゴルフショットの各々に割り当てる。より大きなストロークゲインド値は、通常、ゴルファーにとって成功の可能性がより高いことに対応する。実行されると、パフォーマンス指標は、ゴルフをプレーする前に、例えば練習の場面において、ある特定のゴルフクラブを使う場合の潜在的な成功を評価してゴルファーを支援するためのデータポイントを提供する。パフォーマンス指標は、勾配マッピングで定義されているショット距離とオフライン距離とを追跡可能であるあらゆる地形(即ち、ゴルフ練習場、ゴルフシミュレータ、ゴルフコース)で使用されてよい。さらに、ゲインドパフォーマンス指標は、ある特定のゴルフクラブでの成功の可能性を本質的に評価することができるので、コンピューティングデバイスによる最適なクラブの選択/推薦を支援できる。さらに、ゲインドパフォーマンス指標は、どのクラブでティーボックスから打ち出すかを決定する際に、ゴルファーの意思決定を向上できる(例えば、ドライバーよりもフェアウェイウッドに対応するより大きなストロークゲインド値を用いて、ゴルファーがドライバーよりもフェアウェイウッドを選択することを提案してもよい)。
【0024】
図1を参照すると、コンピュータによって実施されるシステム(以下、「システム」)100が示されており、このシステムは、ゴルファー101に関連する複数のゴルフショットから飛行データを生成し、あるゴルフクラブと別のゴルフクラブとの間の推薦をさらに生成するために使用され得るパフォーマンス指標を実行するために、実施されてよい。一般的に、システム100は、ゴルファー101によって打たれた複数のゴルフショットからボール飛行データ104を生成するトラッキング装置102と、ボール飛行データ104及び本明細書で説明する他の態様を表示する表示装置106と、ボール飛行データにアクセスし、表示装置106と動作可能に通信するコンピューティングデバイス108とを含む。コンピューティングデバイス108は、ボール飛行データ104を入力し、ゴルフクラブ間の推薦を向上するために使用され得るストロークゲインドパフォーマンス指標(例えば、図6Aの607)を生成するための機能を実行するか、又はそうでなければ生成するように構成される。パフォーマンス指標は、ストロークゲインド統計に対する改善から導出され、本明細書でさらに説明するように、勾配マップを定義する可変ペナルティパラメータを利用する。
【0025】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス108は、プロセッサ110と、コンピューティングデバイス108の(又は別個に実装される)メモリ112と、ネットワークインターフェース(又は複数のネットワークインターフェース)114と、前述の要素を相互接続するためのバス116(又は無線媒体)と、を含む。ネットワークインターフェース114は、ネットワーク120(例えば、インターネット、Bluetooth接続、ローカルエリアネットワーク(LAN)など)に関連するリンク(例えば、有線又は無線リンク)を介してデータを通信するための機械的、電気的、及び信号伝達のための回路を含む。当業者によって理解されるように、ネットワークインターフェース114は、異なる様々な通信プロトコルを使用してデータを送信及び/又は受信するように構成されてよい。
【0026】
図示されるように、コンピューティングデバイス108は、ネットワークインターフェース114を介して又は他の方法で、トラッキング装置102からのボール飛行データ104にアクセスする。一般的に、一度アクセスされ、及び/又は一度データベース122内に記憶されると、プロセッサ110は、複数のサービス130を実行して、任意の数の所定の条件に基づいて、個々のゴルファーのパフォーマンスを評価する(例えば、特定のクラブについてのゴルファーのパフォーマンスを評価する、及び/又は特定の地形についてのゴルファーのパフォーマンスを評価する)のに有用な様々なデータポイントを計算する。例えば、ストロークゲインド値計算サービス130Bは、1つ又は複数のゴルフボールショットから、初期ストロークゲインド値を特定するために実行されてもよく、パフォーマンス指標計算サービス130Cは、本明細書でさらに説明されるように、可変ペナルティパラメータに基づいてそのストロークゲインド値を変更及び/又は変換することによって、パフォーマンス指標を特定するためにさらに実行されてもよい。複数のサービス130は、プロセッサ110によって実行されるか、又は他の方法で実施される、任意の数の要素又はモジュールを含んでよい。したがって、いくつかの実施形態では、複数のサービス130の1つ又は複数は、プロセッサ110によって実行可能であり、工程、機能、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、オブジェクト、ソフトウェアパッケージ、クラス、又は、指示、データ構造、又はプログラム文の任意の組み合わせなどのうちの1つ又は複数を表し得るコード及び/又はマシン実行可能指示として実装されてよい。言い換えると、本明細書で説明される複数のサービス130のうちの1つ又は複数は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、又は、それらの任意の組合せによって実施されてよい。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア又はマイクロコードで実施される場合、必要なタスクを実行するためのプログラムコード又はコードセグメント(例えば、コンピュータプログラム製品)は、コンピュータ読み取り可能な媒体又は機械読み取り可能な媒体(例えば、メモリ112)に記憶されてよく、プロセッサ110は、そのコードによって定義されるタスクを実行する。
【0027】
システム100は、非限定的であり、当業者によって、追加の要素が理解されるであろう。いくつかの実施形態では、例えば、コンピューティングデバイス108は、個々のゴルファー又はフィッターに対応し得るポータブルデバイス132と動作可能に通信する。ポータブルデバイス132は、ユーザインターフェース134を実行するため、及び本明細書で説明されるパフォーマンス指標に関連するデータにアクセスするために使用され得るスマートフォン、ラップトップ、タブレット、又はその他のポータブルデバイスを含んでよく、ゴルファーがシステム100で評価された後に、クラブ推薦及び他のフィードバック情報を受信してよい。さらに、図示されていないが、システム100は、可変ペナルティパラメータ及び勾配マップを調整するため、又は本明細書に記載される機能を変更するために使用され得るプロゴルファーショット情報、コース情報、クラブ情報、及び、他の形態の情報などの、外部装置からのデータを活用してもよい。
【0028】
次に、図2のプロセスフロー図200を参照して、システム100を実施する1つの方法を説明する。ブロック202を参照すると、図3の勾配マップ300などの勾配マップが、可変ペナルティパラメータに基づいて定義、生成、又はアクセスされてよい。一般的に、勾配マップ300は、地形302に沿ったゴルフショットを評価するために使用され得る視覚表現である。可変ペナルティパラメータ関数(図6Aに記載)によって定義される勾配マップ300は、ゴルフショットが勾配マップ300に沿って落下する場所に基づいて、可変ペナルティパラメータ304の特定の値を指定する。一般的に、勾配マップ300は、ミスの重大さを考慮するように構成されるので、地形302に沿ったある特定のティーショットに続いて、より距離の長い及び/又は正確なゴルフショットを得ることに対して、成功の可能性のより正確な指標を提供する。
【0029】
図3では、勾配マップ300は、地形302に沿ったキャリー距離に対応するy軸と、オフライン距離に対応するX軸とを有するX-Yグラフを使用して示されている。いくつかの実施形態では、図示されるように、勾配マップ300は、ティー位置などの開始位置306と、ゴルフホールなどの目標位置308とを含むか、又は考慮する。図示される勾配マップ300の構成では、キャリー距離が長く(目標位置308により近く落下し)、より直線的である(例えば、目標位置308とより直線的に並んだ地形302に沿った位置に落下する)ゴルフショットは、ペナルティが少ない又は全く無い。したがって、開始位置306と目標位置308との間でオフラインであると考えられないショットに対して、勾配マップ300によって定義される可変ペナルティパラメータ304は低減される。
【0030】
いくつかの実施形態では、勾配マップ300は、開始位置306と目標位置308との間の長軸312に対して、ゴルフショットが「オフライン」であるか否か、及びどの程度であるかを示すジオメトリック領域310を画定する。例えば、勾配マップ300では、長軸312に沿って延びるジオメトリック領域310Aは、画定された領域内に落下するゴルフショットの可変ペナルティパラメータ304としてヌル値を提供し、ジオメトリック領域310Bは、画定された領域内に落下するゴルフショットに0.25のペナルティパラメータ値を提供し、ジオメトリック領域310Cは、画定された領域内に落下するゴルフショットに0.50のペナルティパラメータ値を提供する。図示されるように、ジオメトリック領域310Aは、形状が略直線的であり、ジオメトリック領域310Bは、ジオメトリック領域310Bの周囲に延在し、目標位置308に近接して幅が広がるか、又は幅が増加する。このように、長い距離を打たれたショットは、たとえある程度オフラインであると考えられたとしても、即ち、勾配マップ300においてゴルフショットにとって理想的な落下位置であるとみなされるジオメトリック領域310A内に落下しないと考えられるショットであっても、ペナルティが小さい。
【0031】
勾配マップ300の例では、ジオメトリック領域310A内に打たれたショット、又は10ヤード未満のオフライン(長軸312Bから10ヤード未満)のショットは、地形302のフェアウェイ部分に到達すると見なされてもよく、又は、開始位置306及び目標位置308の位置を考慮して「オンライン」と見なされてもよい。しかしながら、長軸312Bからさらに離れたジオメトリック領域310、特に開始位置306に近いそのようなジオメトリック領域310に沿って落下するショットは、地形302のラフ部分内にあると考えられるか、又はそうでなければ、リカバリー(例えば、ペナルティのためにプレー内でドロップすること、より寛容な地形へと後方又は側方にプレーすること)を必要とする。勾配マップ300の目標の1つは、50ヤードのオフラインのショットは、一般的に、コース上のウォーターハザード、砂地、背の高い芝生(深いラフ)、森林域、又はリカバリー位置に落下するか、OBである可能性が高いため、50ヤードのオフラインのショットを30ヤードのオフラインのショットよりも悪いということを反映することである。図3から、37ヤードのオフラインであって300ヤードのキャリーは、25ヤードのオフラインであって250ヤードのキャリーとほぼ同等であると判定できる。さらに、15ヤードのオフラインであって290ヤードのキャリーは、0ヤードのオフラインであって260ヤードのキャリーとほぼ同等であると判定できる。
【0032】
ブロック204を参照すると、可変ペナルティパラメータ304及び関連する勾配マップ300が所望のように定義又は構成されると、ゴルファー101の複数のゴルフショットからのボール飛行データ104が、トラッキング装置102によって生成され、コンピューティングデバイス108にアクセス可能になる又は送信されてよく、その結果、ボール飛行データ104は、本明細書にさらに記載されるように、ゴルファー101を評価するために勾配マップ300に適用されてよい。図4A~4Bは、異なる環境/設定におけるボール飛行データ104を生成するためのトラッキング装置102の実施を示す。例えば、図4Aは、ゴルフボールショットが自然地形又は物理地形(地形354A)上で打たれるときのボール飛行データ104の生成を示し、図4Bは、ゴルフボールショットが仮想地形(例えば地形354B)に対して打たれるときのボール飛行データ104の生成を示す。いずれの場合も、ゴルファー101は、ボール飛行データ104を生成するために、任意の数のスイングを実行してよい。
【0033】
図4A図4Bに示すように、ゴルファー101は、トラッキング装置102に関連付けられたショット位置350に沿って位置決めされ、地形354に沿って位置する目標位置353の方向にゴルフボール352を打つように準備する。ショット位置350は、マット(例えば、合成芝)の形態のティーボックス、又はゴルフ練習場の天然芝領域であってもよく、本開示はこの点に関して限定されない。一般的に、トラッキング装置102は、ゴルファー101が地形354に向かってゴルフボール352を打つときの様々な特徴をキャプチャすることによって、ボール飛行データ104を生成する。より具体的には、トラッキング装置102は、スイングパス、クラブの向き、及び/又はボールの飛行などの、ゴルファーのスイング(図4Bの390)の様々な特徴を記録することができ、かつ、ショット位置350から地形354に沿った落下位置(不図示)までのゴルフボールの飛行をトラッキング又は予測することができる複数のトラッキングデバイス356又はボール監視機器、指定トラッキングデバイス352A及びトラッキングデバイス352Bを含む。さらに、トラッキングデバイス356によって生成されたボール飛行データ104は、落下位置、ゴルフボール352がショット位置350から落下位置まで移動した総距離、及び、目標位置308などの目標位置までの残りの距離を特定又は予測してよい。トラッキングデバイス356は、1つ又は任意の数のカメラと、センサと、ビデオグラフィックデバイスと、地形354に沿ったゴルフボール352の飛行をトラッキングし、地形354に沿った緯度及び経度の物理座標の形態であってもよい最終落下位置を特定するために利用され得る任意の他のそのようなデバイスと、を含んでよい。いくつかの実施形態では、トラッキングデバイス356は、TrackManシステム、又は、落下位置を所定の精度値に示してゴルフショットの完全な軌道を測定し、インパクト及び打ち出し情報とともに、リアルタイムでショットの三次元(3D)軌道をマッピングする他のそのような商業システムなどの、レーダーベースのシステムを含んでもよい。トラッキングデバイス356は、GCQuadシステム、又は、ゴルフボール352のショットの正確な打ち出し条件(ボール速度、打ち出し角度、及びスピン速度など)を特定する高速4点カメラを備えた他のそのような商業システムのなどの、光学システムをさらに含んでもよく、これは、ゴルフボール352のショットの最終落下位置を特定又は予測するために、ボール飛行アルゴリズムと組み合わされてよい。更に、ボール飛行データ104の生成を補助するために、センサが、ゴルフボール352内又はゴルファー101によって使用されるクラブ358内に設けられてよい。
【0034】
図4Aに示されるように、ゴルフボール352の飛行に関する情報は、有線又は無線接続及び任意の所望の送信プロトコルを使用して、コンピューティングデバイス108に伝えられ、コンピューティングデバイス108は、ゴルフボールの打撃の態様を出力装置360に任意で出力してよい。1つの具体的な例では、出力装置360は、コンピューティングデバイス108と動作可能に接続されたモニタ及び/又はコンピュータスピーカであってよく、オーディオ及び/又はデジタルディスプレイを提供する。出力装置360は、図示されるように、開始位置350の位置又はその近傍に配置されてよい。所望であれば、出力装置360は、本明細書でさらに説明されるように、ストロークゲインドパフォーマンス指標を導出するためにボール飛行データ104が収集されている際に、打ち出しモニタデータ、ショット分散ディスプレイ、又はゴルファー101の個々のスイング及び打撃に関する他の情報を表示してよい。別の例として、出力装置360は、ゴルファー101又はフィッターのスマートフォン又は他の携帯型電子デバイス(ゴルフGPSデバイスなど)であってもよく、それとの通信は、任意で、携帯電話ネットワーク、インターネット、又は他の通信ネットワークを介する無線であってもよい。
【0035】
図示のように、トラッキングデバイス356は、例えば、ゴルファーがトラッキング装置356の所で打つように、ゴルファー101の周囲の任意の場所に配置されてもよいし、又は、そのようなデバイスが、ゴルファーの背中の後ろ側でゴルファー101の踵端側に沿って配置される。さらに、追加のトラッキングデバイス又は測定装置が、頭上又は事実上どこにでも配置されてよく、これらの装置は、ゴルファーの動きのビデオ画像などのデータを記録することができ、又は、速度、方向、向き、及び他の特性などのゴルフクラブの部分又はボールの動きに関連するデータ又は特性をトラッキング及び記録することができる。
【0036】
トラッキング装置102は、様々な補助的な構成及び特徴のうちの任意のものを含んでもよい。例えば、図4Bのように、トラッキング装置102は、ゴルファー101が、自分のショット、練習スイング、及び/又はトラッキングデバイス356によってボール飛行データ104を生成するためのスイングを実行する際にボールを打ち込むことができるネット380を含む。ネット380により、屋内、プロショップ、又は利用可能な土地が限られているゴルフ練習場などの、より限られたスペースにおいて、ショットのトラッキングが可能となり得る。特に図示されていないが、仮想地形354Bは、速度センサ又は力センサ、ビデオグラフィックデバイス、及びショット位置350から仮想落下位置(不図示)までのボールの飛行をトラッキングするために利用され得る他のデバイスを含む、さらなる測定デバイスを収容又は保護するか、又は含んでよい。
【0037】
図2のブロック204に戻って参照すると、トラッキング装置102は、ゴルファー101が目標又は目標位置に向かって所与の地形に沿って打つ任意の数のショットについてボール飛行データ104を生成してよい。複数のゴルフショットについてのショット分散表示500の基本的な表現が図5に示されている(これは図1の表示装置106に沿ってレンダリングされてよい)。図示の例では、ショット分散表示500は、開始位置506及び目標位置508に対して、所与の地形502に沿った複数のゴルフショットをプロットしており、これらのショットは、クラブタイプ504に対応している。図示の具体例では、複数のショット510が、「クラブA」タイプのクラブに対応してショット分散表示500に沿ってプロットされており、複数のショット512が、「クラブB」タイプのクラブに対応してショット分散表示500に沿ってプロットされている。さらに、図示のように、ショット分散表示500は、複数のショット510に関連付けられた第1のスタット領域を画定する境界520と、複数のショット512に関連付けられた第2のスタット領域を画定する境界522とを含んでもよい。境界520及び522の各々は、対応するゴルフクラブで打たれた複数のショット(例えば、分散の視覚的尺度)を示してもよい。境界520及び522の各々は、さらに、所定領域(例えば、90%)内にショットの特定の所定のパーセンテージを包含してよく、一方で、いくつかのショットは、その特定の境界の外(例えば、10%)であってもよい。図5は、楕円形状を有する境界520及び522を示すが、本開示はこの点に関して限定されず、本明細書に記載される実施形態は、他の適切な形状(例えば、円形、長方形など)を有する境界を含んでよい。
【0038】
図5の例では、ショット分散表示500が、基本的なホールアウトまでのストローク値を特定するのに使用されてもよい。しかしながら、図示された個々のショットは、オフライン情報を考慮していない。特に、ショット分散表示500は、オフラインショットにペナルティを与えず、有用な方法でショットを互いに区別もしない。言い換えると、ショット分散表示500及び関連情報は、技術的に欠けている。
【0039】
図2のブロック206、ブロック208、及びブロック210を参照すると、数値の形のストロークゲインドパフォーマンス指標は、コンピューティングデバイス108によって実行可能な図6Aのロジック及び機能に従って、複数のショット510及び/又は複数のショット512について計算される。図示されるように、図6Aのブロック602及びブロック604において、トラッキング装置102によって生成されたボール飛行データ104は、前述のようにコンピューティングデバイス108によってアクセスされてよい。
【0040】
次に、ブロック604及びブロック606に示すように、コンピューティングデバイス108は、各ショットのキャリー及びオフライン情報をアルゴリズム601に適用し、各ショットに対応する改善ストロークゲインド値を計算する。特に、最初のステップとして、アルゴリズム601は、各ショットについてトラッキング装置102によって提供されたキャリー及びオフライン情報を処理し、この情報を、図6Aに「距離パフォーマンスパラメータ」として表される初期ストロークゲインド値に変換する。この初期計算のために、アルゴリズム601は、ほとんど全てのゴルファーがドライバーで打つことを選択するであろう425ヤードの長さのホールを仮定している。様々な距離及び開始条件(ティー、フェアウェイ、ラフ、サンド、グリーン)からのPGAツアーゴルファーのホールアウトまでの平均ストロークが、ベースライン情報として使用され、表1に記述されている。
【0041】
【表1】
【0042】
425ヤードからのホールアウトまでの平均ストロークは4.04である。そして、フェアウェイのホールアウトまでのストロークベースラインが、フェアウェイにたどり着くショットのストロークゲインド値を割り当てるために使用されてよい。例えば、フェアウェイへ305ヤード移動するショットは、残り120ヤードあり、ホールアウトまで2.85のストロークがあると予測される。平均的なショットは、ホールアウトまで、4.04から3.04ストロークまで移動するはずである。この例のドライバーショットは、ホールアウトまで3.04ではなく2.85ストロークなので、平均よりも0.19ストローク良好であった。シングルショットのストロークゲインドの形式方程式は、以下のように示される。
ストロークゲインド=開始時のホールアウトまでのストローク-最終時のホールアウトまでのストローク-1
【0043】
距離パフォーマンスパラメータ値(fairway_sg)を決定するためのアルゴリズム601の具体的な機能は、以下のように定義されてよい。
式1:
入力:キャリー、オフライン
出力:SG(ストロークゲインド)

starting_sth=4.04
end_dist=425-キャリー

fairway_sth=-3.36089E-15*end_dist+7.05134E-12*end_dist-5.30361E-09*end_dist+1.80822E-06*end_dist-2.83067E-04*end_dist+2.21293E-02*end_dist+2.05282E+00

fairway_sg=starting_sth-fairway_sth-1
【0044】
図6Aにさらに示すように、アルゴリズム601は、ショットのオフライン情報に基づいて可変ペナルティパラメータ値を最終的に割り当てるオフラインペナルティ区分関数603を適用することによって、オフラインショットにペナルティを与えるように構成される。一般的に、オフラインペナルティ区分関数603は、図3に示す勾配マップ300を定義する。言い換えれば、オフラインペナルティ区分関数603の構造は、システム100が勾配マップ300によって表される可変ペナルティパラメータをどのように適用するかを決定する。各コースがフェアウェイ、ペナルティ、及びホール/グリーンの配置の固有のエリアであるので、これらの勾配マップ300は、プレーされるコースに応じて変わる。前述のように、オフラインペナルティ区分関数603によって定義される勾配マップ300は、ジオメトリック領域310及びそれらに対応するペナルティパラメータ値によって示されるように、縦軸312に近い距離及びショットに有利である。しかしながら、他の実施形態では、オフラインペナルティ区分関数603は、所望に応じて、勾配マップ300を再構成するように変更され、所望に応じて地形302に沿った特定の領域にペナルティを与えてよい。言い換えれば、可変ペナルティパラメータの一般的な勾配、及び最終的なストロークゲインド値は、所望に応じてオフラインペナルティ区分関数603に変更を適用することによって、異なる実施形態ごとに調整されてよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、オフラインペナルティ区分関数603は、以下のように定義されてよい。
式2:
10ヤード未満のオフライン値の場合、オフラインペナルティ=0
10ヤードを超えるが20ヤード未満のオフライン値の場合、オフラインペナルティ=(オフライン-10)*(-1.3/50)
20ヤードを超えるオフライン値の場合、オフラインペナルティ=-0.26+(オフライン-20)*(-0.59/40)
【0046】
オフラインペナルティ区分関数603は、ショットのオフライン距離が長いほど、そのショットがラフ、サンド、水に入ってしまうか、又はOBになってしまう可能性が高くなるということを考慮する。図6Bに示す履歴ボール飛行データは、オフラインティーショット又は他のショットについてより正確な予想ペナルティを出力するように、オフラインペナルティ区分関数603を構成するために使用されてよい。図6Bにおいて、着色ドットは提案されたオフラインペナルティであり、黒線は平均の観測履歴データである。曲線は、10ヤード未満のオフラインのドライバーショットが、ほぼ常にフェアウェイに到ることを示唆しており、したがって、そのようなドライバーショットは、フェアウェイに到ることに関して、ストロークゲインド(SG)ペナルティを受けない。一方、35ヤードのオフラインのドライバーショットは、フェアウェイに到ることに関して、約0.5ストロークのペナルティが与えられる。例えば、305ヤードのダウンラインのドライバーショットが、35ヤードのオフラインであると仮定すると、そのストロークゲインド値は、同じ0.19ストロークに-0.5ストロークのオフラインペナルティを加えたものになる。よって、ストロークゲインド値は、-0.31ストロークである(式2により計算)。この同じ定式が適用されて、キャリー及びオフラインのいかなる組合せについてストロークゲインド値が決定されてよい。
【0047】
図6Aのブロック606にさらに示されるように、コンピューティングデバイス108は、アルゴリズム601をさらに実行して、以下のように式1及び式2からのロジック及び値を活用することによって、各ショットについて改善ストロークゲインド値605を導出する。
式3:
(改善ストロークゲインド値(SG)):SG=fairway_sg+offline_penalty
【0048】
式1~3は単に例示的なものであり、改善ストロークゲインド値605を最終的に計算するために説明したロジックからの逸脱は、本発明の開示によって企図されることを理解されたい。
【0049】
ブロック608を参照すると、改善ストロークゲインド値605は、ボール飛行データ104に基づいて、所定の状態エリアのショット各々又はショットの各部についてコンピューティングデバイス108によって計算されてよく、改善ストロークゲインド値605は、オフラインペナルティ区分関数603によって定義されるオフラインペナルティ(可変ペナルティパラメータ)を考慮する。さらに、改善ストロークゲインド値605の合計は、ストロークゲインドパフォーマンス指標607を定義するために、平均化されてよい。
【0050】
ストロークゲインドパフォーマンス指標607は、クラブ選択の技術的評価を改善するために、様々な異なるシナリオで使用されてよい。例えば、ストロークゲインドパフォーマンス指標607は、練習セッション、クラブのフィッティング(認定された用具フィッターが、ゴルファーに、そのゴルファーのスイングに特に合わせられたクラブを提供する)、精度の高いクラブとディスタンスクラブとの比較、所望のショット(即ち、ドロー、フェード、ハイ、ロー)を生み出すための特定の重心(CG)位置、又は特定のゴルフコース(即ち、コースの右側又は左側により多くのペナルティがあるゴルフコース)に適用されてよい。以下に記載されるのは、ストロークゲインドパフォーマンス指標607が、特定の用途に関して、適用、変更、又は活用され得る一連の例である。
【実施例
【0051】
例1:クラブA対クラブB
【0052】
図7Aのブロック702A~702B及びブロック704A~704Bを参照し、図6Aに記載される一般的なロジックを適用して、ボール飛行データ104の第1部分及び第2部分、又は第1データセット及び第2データセットを利用することによって、ストロークゲインドパフォーマンス指標607の第1の例が、クラブ「A」について計算されてよく、ストロークゲインドパフォーマンス指標607の第2の例がクラブ「B」について計算されてよい。いくつかの実施形態では、参照されるクラブ「A」及びクラブ「B」は、ドライバーを含んでよいが、本開示はこの点に関して限定されない。一般的に、ストロークゲインドパフォーマンス指標607のうち大きい方に関連付けられたクラブが、ゴルファーがより効率的に目標位置(ホール)に到達することを可能にするクラブであるとして推奨されてよい。この概念は、図7B及び図7Cにさらに示されている。図7Bは、複数のショット722としてまとめて図7Bに示されている複数のショット510及び複数のショット512の各々について、改善ストロークゲインド値(「sg_driver」)を(図6Aの機能を使用して)提供することによって、図5のショット分散表示500を改良する、改善ショット分散表示720を示す。図5と同様に、ショット分散表示720は、開始位置506及び目標位置508に対して、同じ地形502に沿って複数のショット722をプロットしている。複数のショット722に適用される色の多様さによって示されるように、ショット分散表示720は、図3及び図6Aに記載されるようなオフラインショットに対する可変ペナルティパラメータを考慮しており、開始位置506と目標位置508との間の縦軸730に対して異なる位置にプロットされたショットが、異なる(改善)ストロークゲインド値740を計算するために使用される。図示のように、0.25のストロークゲインド値が、赤色でハイライトされ、縦軸730及び目標位置508に近接してプロットされた複数のショット722の一部について計算される。これらのショットは、理想的であり、通常はオフラインではないと考えられるため、この領域内の複数のショットについて計算されたストロークゲインド値は、通常、縦軸730及び目標位置508から遠く離れてプロットされたショットのものよりも大きくなる。
【0053】
図7Cは、2つの別個のストロークゲインドパフォーマンス指標を導出するために、複数のショット510及び複数のショット512に関連付けられたボール飛行データ104が、図6Aのアルゴリズム601及び図7Aの機能に適用され得ることを示す。具体的には、図6A及び図7Aを参照すると、複数のショット510に関連付けられたボール飛行情報104について、第1パフォーマンス指標750がコンピューティングデバイス108によって計算されてもよく、複数のショット512に関連付けられたボール飛行情報104について、第2パフォーマンス指標752がコンピューティングデバイス108によって計算されてもよい。本明細書に記載されるように、第1パフォーマンス指標750は、第2パフォーマンス指標752よりも大きい値であると判断されるため、複数のショット510を打つために使用されるクラブタイプ504が、複数のショット512を打つために使用されるクラブタイプ504よりも推奨されてよい。
【0054】
クラブAとクラブBを比較するこの具体的なシナリオでは、ドライバーストロークゲインド指標を導出するための基礎となる機能は、指定されたターゲットライン又は縦軸730の右側及び左側へのショットに等しくペナルティを与えるように設計される。第1パフォーマンス指標750及び第2パフォーマンス指標752は、いずれかのクラブでゴルファーが成功する可能性を正確に測定するための数値を提供する。これにより、ゴルファーに、競争優位性が与えられる。ゴルファーは、生データ(即ち、打ち出し、ボール速度、キャリー、スピンなど)ならびにコース上での成功の可能性の観点から自身のパフォーマンスを評価しつつ、成功の可能性が最も高いドライバーを有することができる。
【0055】
例2:精度対距離
【0056】
図8を参照すると、図6A及び図7Aについて説明した機能を鑑みて、クラブフィッティング中に、精度の高いゴルフクラブ(即ち、平均275ヤードのダウンライン及びオフラインで5ヤード飛ばす44インチのドライバー)のパフォーマンスと、ディスタンスゴルフクラブ(即ち、平均300ヤード及びオフラインで12ヤード飛ばす46インチのドライバー)のパフォーマンスと、を比較するために、ストロークゲインドパフォーマンス指標607が使用されてよい。ストロークゲインドパフォーマンス指標607は、ゴルファーがオフライン及びダウンラインでゴルフショットを打つ通りに、成功する可能性のバランスをとる。少なくともいくつかの実施形態では、ゴルフショットのダウンライン距離が長いほど、成功の可能性がより高い。さらに、ゴルフショットがより正確にオンラインで打たれるほど、成功の可能性がより高い。しかしながら、ダウンライン距離は短いが、よりオンラインである方がよいか、それとも、ダウンライン距離は長いが、よりオフラインである方がよいかを評価することは困難であり得る。
【0057】
距離を稼ぐために長いシャフトのドライバー(即ち、46インチのドライバー)でプレーするゴルファーがいる一方で、精度を上げるために短いシャフトのドライバー(即ち、44インチのドライバー)でプレーするゴルファーもいる(平均的なドライバーシャフト長は、約45インチ)。ストロークゲインドパフォーマンス指標607は、ゴルファーが、精度の高いドライバー(ドライバーA)とディスタンスドライバー(ドライバーB)とのどちらからより利益を得るかを正確に評価するために使用されてよい。例えば、ゴルファーは、ストロークゲインドパフォーマンス指標を計算するために、ドライバーAで「X」ショット打ってよい。次いで、ゴルファーは、ストロークゲインドパフォーマンス指標を計算するために、ドライバーBで「X」ショット打ってよい。このテストに続いて、両方のゴルフクラブのストロークゲインドパフォーマンス指標が比較されてよく、高い方の指標に関連するクラブが選択されてよい。この具体的なシナリオでは、ドライバーストロークゲインド指標(勾配)は、指定されたターゲットラインの右側及び左側へのショットに等しくペナルティを与えるように設計される。そして、ゴルファーは、精度の高いドライバーであろうと、ディスタンスドライバーであろうと、ゴルファーの成功の可能性を正確に測定するための数値を有することができる。これにより、ゴルファーに競争優位性が与えられる。ゴルファーは、生データ(即ち、打ち出し、ボール速度、キャリー、スピンなど)ならびにコース上での成功の可能性の観点から自身のパフォーマンスを評価しつつ、成功の可能性が最も高いドライバーを有することができる。
【0058】
例3:特定のCG位置
【0059】
図9を参照すると、図6A及び図7Aについて説明した機能に鑑みて、クラブフィッティング中に、特定のCG位置を有するゴルフクラブ(即ち、ドローするヒール側CG配置を有するドライバー)の性能と、第2のCG位置を有する第2のゴルフクラブ(即ち、フェードするトウ側CG配置を有するドライバー)の性能と、を比較するために、ストロークゲインドパフォーマンス指標607が使用されてよい。ストロークゲインドパフォーマンス指標607は、ゴルファーがオフライン及びダウンラインでゴルフショットを打つ通りに、成功する可能性のバランスをとる。いくつかの実施形態では、ダウンライン距離がより長いゴルフショットは、より高い成功の可能性に対応する。さらに、より正確にオンラインでゴルフショットが打たれるほど、成功の可能性がより高い。しかしながら、ほとんどの場合、ドローショットは、より遠くに行くが、オンラインを維持することはより困難であり、一方、フェードショットは、オンラインに制御することはより容易であるが、遠くへ打つことは困難である。ゴルファーは、スイングに適切なCG位置を有するゴルフクラブで打たないことがよくある(即ち、ニュートラルCGで、良くないスライスを打つゴルファーや、ニュートラルCGで、良くないフックを打つゴルファーなど)。良くないスライス(即ち、25ヤードのオフライン)を打つゴルファーが、ヒール側CG位置を有するドライバーで打つ場合、そのゴルフクラブの重み付けによって、スライスが相殺され、ドローが促進されるため、ドライバーの精度を高められる(即ち、元の25ヤードのオフラインが12ヤードのオフラインになる)。
【0060】
ゴルファーのスライススイングの効果を打ち消すために(かつ、真っすぐなオンラインショットを生成するために)、ヒール側の近くにCGを配置しているクラブヘッドを使用する(即ち、トップスピンのドローショットを打つ)ゴルファーがいる一方で、ゴルファーのフックスイングの効果を打ち消すために(かつ、真っすぐなオンラインショットを生成するために)、トウ側の近くにCGを配置しているクラブヘッドを使用する(即ち、アンダースピンのフェードショットを打つ)ゴルファーもいる。ストロークゲインドパフォーマンス指標607は、ゴルファーが中央CGドライバー(ドライバーA)又はヒール側CGドライバー(ドライバーB)のどちらからより利益を得るかを正確に評価するために使用されてよい。例えば、ゴルファーは、ドライバーAで「X」ショット打ってよく、ストロークゲインドパフォーマンス指標607が計算されてよい。そして、ゴルファーは、ドライバーBで「X」ショット打ってよく、ストロークゲインドパフォーマンス指標607が計算されてよい。このテストに続いて、両方のゴルフクラブのドライバーストロークゲインドパフォーマンス指標を比較して、より高い指標を有するクラブが選択されてよい。この具体的なシナリオでは、ドライバーストロークゲインド指標(勾配)は、指定されたターゲットラインの右側及び左側へのショットに等しくペナルティを与えるように設計される。スライススイングする傾向のあるゴルファーは、スライススイングの傾向を打ち消して、より真っ直ぐなショットを生成するヒール側CGを有するドライバーヘッドを使用すると、ドライバーストロークゲインド指標が高くなる可能性が高い。ゴルファーは、中央CGドライバーであろうと、ヒール側ドライバーであろうと、ゴルファーの成功の可能性を正確に測定するための数値を有することができる。これにより、ゴルファーに競争優位性が与えられる。ゴルファーは、生データ(即ち、打ち出し、ボール速度、キャリー、スピンなど)ならびにコース上での成功の可能性の観点から自身のパフォーマンスを評価しつつ、成功の可能性が最も高いドライバーを有することができる。
【0061】
さらに、ストロークゲインドパフォーマンス指標607は、ゴルファーが中央CGドライバー(ドライバーA)又はトウ側CGドライバー(ドライバーB)のどちらからより利益を得るかを正確に評価するために使用されてよい。例えば、ゴルファーは、ストロークゲインドパフォーマンス指標607を計算するために、ドライバーAで「X」ショット打ってよい。そして、ゴルファーは、ストロークゲインドパフォーマンス指標607を計算するために、ドライバーBで「X」ショット打ってよい。このテストに続いて、両方のゴルフクラブのストロークゲインドパフォーマンス指標を比較して、より高い指標を有するクラブが選択されてよい。この具体的なシナリオでは、ドライバーストロークゲインド指標(勾配)は、指定されたターゲットラインの右側及び左側へのショットに等しくペナルティを与えるように設計される。フックスイングする傾向のあるゴルファーは、フックスイングの傾向を打ち消して、より真っ直ぐなショットを生成するトウ側CGを有するドライバーヘッドを使用すると、ドライバーストロークゲインド指標が高くなる可能性が高い。ゴルファーは、中央CGドライバーであろうと、トウ側ドライバーであろうと、ゴルファーの成功の可能性を正確に測定するための数値を有することができる。これにより、ゴルファーに競争優位性が与えられる。ゴルファーは、生データ(即ち、打ち出し、ボール速度、キャリー、スピンなど)ならびにコース上での成功の可能性の観点から自身のパフォーマンスを評価しつつ、成功の可能性が最も高いドライバーを有することができる。
【0062】
さらに、クラブフィッティング中に、特定の打ち出しのゴルフクラブのパフォーマンス(即ち、低い打ち出しを伴う前方側CG配置を有するドライバー)と、特定の打ち出しの第2のゴルフクラブのパフォーマンス(即ち、高い打ち出しを伴う深いCG配置を有するドライバー)と、を比較するために、ストロークゲインドパフォーマンス指標607が使用されてよい。ストロークゲインドパフォーマンス指標607は、ゴルファーがオフライン及びダウンラインでゴルフショットを打つ通りに、ゴルファーが成功する可能性のバランスをとる。少なくともいくつかの実施形態では、ダウンライン距離が長いゴルフショットほど、成功の可能性がより高い。さらに、より正確にオンラインでゴルフショットが打たれるほど、成功の可能性がより高い。しかしながら、場合によって、湿った条件下では、キャリー距離が長い高ショットが好ましく、乾燥した風の強い条件下では、より遠くまで転がる低ショットが好ましい。
【0063】
転がることで距離を稼ぐために(乾燥した条件下又は風の強い条件下であることが多い)、打撃面の近くにCGを配置しているクラブヘッドで打つ(即ち、低い打ち出しの低スピンショットを打つ)ゴルファーがいる一方で、転がることで距離を稼ぐために(ボールがほとんど転がらない湿った条件下であることが多い)、クラブの後部近くにCGを有するクラブヘッドで打つ(即ち、高い打ち出しショットを打つ)ゴルファーもいる。ストロークゲインドパフォーマンス指標607は、ゴルファーが低い打ち出しショット(ドライバーA)又は高い打ち出しショット(ドライバーB)のどちらからより利益を得るかを正確に評価するために使用されてよい。例えば、ゴルファーは、ドライバーAのストロークゲインドパフォーマンス指標を計算するために、ドライバーAで「X」ショット打ってよい。そして、ゴルファーは、ドライバーBのストロークゲインドパフォーマンス指標を計算するために、ドライバーBで「X」ショット打ってよい。このテストに続いて、両方のゴルフクラブのドライバーストロークゲインドパフォーマンス指標が比較されてよく、より高い指標を有するクラブが選択されてよい。この具体的なシナリオでは、ドライバーストロークゲインド指標(勾配)は、指定されたターゲットラインの右側及び左側へのショットに等しくペナルティを与えるように設計される。そして、ゴルファーは、低い打ち出しのドライバーであろうと、高い打ち出しのドライバーであろうと、ゴルファーの成功の可能性を正確に測定するための数値を有することができる。これにより、ゴルファーに競争優位性が与えられる。ゴルファーは、生データ(即ち、打ち出し、ボール速度、キャリー、スピンなど)ならびにコース上での成功の可能性の観点から自身のパフォーマンスを評価しつつ、成功の可能性が最も高いドライバーを有することができる。
【0064】
例4:コース特有の勾配
【0065】
図10を参照すると、図6A及び図7Aについて説明した機能を鑑みて、いくつかの実施形態では、練習セッション又はフィッティングセッション中に、2つのゴルフクラブの特定のゴルフコースでのパフォーマンスを比較するため、例えば、指定されたコースの18ホールの平均オフラインペナルティを正確に表示するために、ストロークゲインドパフォーマンス指標607が調整(及び使用)又は再構成されてよい。例えば、例示的な参照ゴルフコースでは、海が18ホールのうちの8ホールの右側全体に沿うコース配置となっている。この配置は、右へオフラインになるというペナルティに劇的に影響を及ぼす。18ホールのうちの他の10ホールは、様々なフェアウェイ幅と、左や右にオフラインになるときの様々なペナルティを有するが、ホールのうちの8ホールにおいて右にオフラインになるという強いペナルティで平均されると、ストロークゲインドパフォーマンス指標607は、標準的なストロークゲインドパフォーマンス指標よりも、右にオフラインになるペナルティが大きくなるように構成されてよい。言い換えれば、アルゴリズム601のオフラインペナルティ区分関数603は、右にオフラインなるショットに対してより強いペナルティ(ストロークゲインへの損失)を提供する可変ペナルティパラメータを適用するように構成されてもよい。この構成は、このシナリオにおいて特別に構成されるようなオフラインペナルティ区分関数603によって適用されるより強いペナルティを示すために、勾配マップ300などの対応する勾配マップに影響を及ぼしてよい。さらに、アルゴリズム601のオフラインペナルティ区分関数603が上述のように構成される場合、この構成は、当然に、このシナリオで最終的に計算されるストロークゲインドパフォーマンス指標607の計算を調整する。
【0066】
そして、この調整されたパフォーマンス指標607は、練習セッション又はフィッティングセッション中において、コースをプレーする前にこの例示的な参照ゴルフコースについて2つのゴルフクラブのパフォーマンスを比較するために使用されてよい。前述のように、転がることで距離を稼ぐために、ヒール側の近くにCGを配置しているクラブヘッドを好む(即ち、トップスピンのドローショットを打つ)ゴルファーがいる一方、ボールは落下して止まるので、正確さを得るために、トウ側近くにCGを配置しているクラブヘッドを好む(即ち、アンダースピンのフェードショットを打つ)ゴルファーもいる。しかし、(フェードを打つために)トウ近くにCGを有するクラブヘッドで打つゴルファーが、大幅に右にミスする傾向がある場合、ストロークゲインドパフォーマンス指標は、ゴルファーが、コースにおいて、フェードバイアス(ドライバーA)又はドローバイアス(ドライバーB)のどちらからより利益を得るかを正確に評価するために使用されてよい。例えば、ゴルファーは、ドライバーAのストロークゲインドパフォーマンス指標を計算するために、ドライバーAで「X」ショット打ってよい。そして、ゴルファーは、ドライバーBのストロークゲインドパフォーマンス指標を計算するために、ドライバーBで「X」ショット打ってよい。このテストに続いて、両方のゴルフクラブのドライバーストロークゲインドパフォーマンス指標が比較されてよく、対象の例示的なゴルフコースにおいて、より高い指標を有するクラブが選択されてよい。この具体的なシナリオでは、ドライバーストロークゲインド指標(勾配)は、左側へのショットよりも右側へのショットにより大きなペナルティを与えるように設計される。そして、ゴルファーは、フェードバイアスのドライバーであろうと、ドローバイアスのドライバーであろうと、コースにおけるゴルファーの成功の可能性を正確に測定するための数値を有することができる。これにより、特定のゴルフコースをプレーする前に、ゴルファーに競争優位性が提供される。ゴルファーは、生データ(即ち、打ち出し、ボール速度、キャリー、スピンなど)ならびにコース上での成功の可能性の観点から自身のパフォーマンスを評価しつつ、特定のコースでの成功の可能性が最も高いドライバーを有することができる。
【0067】
ゴルフのルールは、時々変更されることがあるので(例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、英国ゴルフ協会(R&A)などのゴルフの標準化組織及び/又は運営組織により、新しい規則が採用されたり、古いルールが廃止又は改定される場合がある)、本明細書に説明される装置、方法、及び製造品に関するゴルフ用具は、任意の特定の時点におけるゴルフのルールに適合している場合もあり、適合していない場合もある。従って、本明細書で説明される装置、方法、及び製造品に関するゴルフ用具は、適合する又は不適合のゴルフ用具として広告され、売り出され、及び/又は販売される場合がある。本明細書で説明される装置、方法、及び製造品は、この点に関して限定されない。
【0068】
1つ以上のクレームされた要素の置換は、再構成を構成し、修正を構成しない。更に、効果、他の利点、及び問題解決法が、特定の実施形態に関して記載されてきた。しかしながら、それらの効果、利点、問題解決法、及びいかなる効果、利点、又は問題解決法をもたらし得る、又はさらに顕著にさせ得る要素又は要素群は、決して、請求項のいずれか又は請求項すべてに重要な、必要な、又は必須の特徴、或いは要素であると解釈されるべきではない。
【0069】
上記の例は、任意のタイプのゴルフクラブに関連して説明又は利用されてよい。あるいは、本明細書で説明される装置、方法、及び製造品は、ホッケースティック、テニスラケット、釣り竿、野球バットなどの、これらの代替形態のスポーツ用品を使用してショット距離を分析することが所望される他の種類のスポーツ用品に適用可能であってよい。更に、本明細書で開示された実施形態及び限定は、その実施形態及び/又は限定が、(1)請求項において明示的に特許請求されておらず、かつ(2)均等論の下で請求項中の明示的な要素及び/又は限定の均等物である又は均等物の可能性がある場合、公有の原則(doctrine of dedication)の下で公衆に供されることはない。
【0070】
前述の記載から、特定の実施形態を図示及び説明したが、当業者には明らかなように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々に変形をすることができることを理解されたい。そのような変更及び変形は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲及び教示の範囲内である。
以下の項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
ボール飛行データから、所定のオフライン情報を考慮するストロークゲインドパフォーマンス指標を計算する方法であって、
プロセッサによって、第1のゴルフクラブからの第1の複数のショットに関連する第1のデータセットにアクセスすることと、
前記プロセッサによって、前記第1のデータセットから第1のパフォーマンス指標を、以下のステップ、即ち、
(i)前記第1のゴルフクラブからの前記第1の複数のショットの各々について、目標距離に対応する所定の予測ホールアウト値と、実際のキャリー距離に対応する所定の予測ホールアウト値と、の間の差を少なくとも考慮することによって、ストロークゲインド値のセットを計算するステップと、
(ii)前記ストロークゲインド値のセットの各々に対して所定のオフラインペナルティ関数を実行して、前記第1のゴルフクラブからの前記第1の複数のショットの各々について各ペナルティパラメータを導出するステップであって、前記各ペナルティパラメータは、前記第1の複数のショットの各々の前記目標位置に対する落下位置を含むオフライン情報によって決定される、前記導出するステップと
(iii)前記各ペナルティパラメータを、対応するストロークゲインド値に適用するステップと、
(iv)前記各ペナルティパラメータによって変更された前記ストロークゲインド値のセットを平均するステップと、
によって生成することと、
前記プロセッサによって、第2のゴルフクラブからの第2の複数のショットに関連する第2のデータセットにステップ(i)~(iv)を適用することによって導出される第2のパフォーマンス指標を生成することと、
前記第1のパフォーマンス指標と前記第2のパフォーマンス指標とのうち大きい方を特定することによって、前記第1のゴルフクラブと前記第2のゴルフクラブとの間の選択を推奨することと、
を備える、方法。
(項目2)
前記所定のオフラインペナルティ関数は、前記目標位置と開始ショット位置との間の物理座標から構成される複数の所定の地理的領域を定義し、
前記複数の所定の地理的領域の各々は、前記各ペナルティパラメータの所定の入力値を定義する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記複数の所定の地理的領域は、前記目標位置と前記開始ショット位置との間の線形経路に沿って延在する第1の領域と、前記第1の領域の第1の側辺に沿って延在する少なくとも1つの第2の領域と、を含み、
前記第2の領域は、前記目標位置から少なくとも部分的にオフセットされており、かつ、前記第1の領域の外側にあり、
前記第2の領域は、前記第1のゴルフクラブからの前記第1の複数のショットのうち、前記第2の領域内に落下し、かつ、前記目標位置に対してオフラインであるいくつかのショットについての前記各ペナルティパラメータの所定の入力値を定義する、項目2に記載の方法。
(項目4)
ボール飛行データから、所定のオフライン情報を考慮するストロークゲインドパフォーマンス指標を計算するように構成されたコンピューティングシステムであって、
開始位置からゴルフクラブによって打たれた複数のゴルフショットの各々について飛行データを提供するトラッキングデバイスであって、前記飛行データは、落下位置と目標位置との間のポストショット距離を含む、前記トラッキングデバイスと、
前記トラッキングデバイスと動作可能に通信するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記複数のゴルフショットの各々について、ストロークゲインド値を計算するように構成され、
前記ストロークゲインド値は、前記落下位置から前記目標位置までの所定の予測ホールアウト値であって、前記ポストショット距離と、前記目標位置と前記開始位置との間の合計距離と、を考慮した前記所定の予測ホールアウト値を定義し、
前記プロセッサは、前記複数のゴルフショットの各々について、前記開始位置と前記目標位置との間の所定の勾配マップに対する前記落下位置に基づく可変ペナルティパラメータを適用することによって、前記各ストロークゲインド値を、オフライン情報を考慮した改善ストロークゲインド値に変換するように構成され、
前記改善ストロークゲインド値は、前記所定の勾配マップに対する前記落下位置に基づく固有の予測ホールアウト値であって、前記オフライン情報を考慮する前記固有の予測ホールアウト値を定義する、コンピューティングシステム。
(項目5)
前記プロセッサは、前記改善ストロークゲインド値が、代替ゴルフクラブと、前記代替クラブによって打たれた別の複数のゴルフショットと、に関連する代替の改善ストロークゲインド値よりも大きいことを特定することによって、前記複数のゴルフショットを打つために使用されたゴルフクラブの選択を推奨するように、さらに構成される、項目4に記載のコンピューティングシステム。
(項目6)
前記プロセッサと動作可能に通信する表示部であって、前記プロセッサによる指示に応じて、前記可変ペナルティパラメータを使用して前記ストロークゲインド値のそれぞれを変換するために利用されるオフライン特性を視覚的に示すように、前記目標位置と、前記所定の勾配マップと、前記複数のゴルフショットの前記落下位置と、を表示するための前記表示部をさらに備える、項目4に記載のコンピューティングシステム。
(項目7)
前記プロセッサは、前記複数のゴルフショットのうちの所与の1ショットに関連する所与の落下位置に関連する情報を所定の前記勾配マップに関連する区分関数に適用することによって、前記所与の落下位置の前記可変ペナルティパラメータを計算するように、さらに構成され、
前記区分関数は、前記落下位置が前記所定の勾配マップに対してどこに位置するかに基づいて、前記可変ペナルティパラメータの値を出力するように構成される、項目4に記載のコンピューティングシステム。
(項目8)
前記プロセッサは、特定のコース又は練習場の固有の特性に対応するように、前記勾配マップ及び前記区分関数を変更するようにさらに構成される、項目7に記載のコンピューティングシステム。
(項目9)
前記勾配マップの第1の部分は、オフラインであると考えられ、前記可変ペナルティパラメータの正の値に対応し、
前記勾配マップの第2の部分は、前記目標位置に対してオンラインであると考えられ、前記可変ペナルティパラメータのヌル値に対応する、項目4に記載のコンピューティングシステム。
(項目10)
コード化された指示を有する、一次的でない有形のコンピュータ可読媒体であって、
前記指示は、プロセッサによって実行されると、
第1のゴルフクラブからの複数のゴルフショットに関連する飛行データにアクセスすることであって、前記飛行データは、前記複数のゴルフショットの各々について、落下位置と目標位置との間のポストショット距離を含む、前記アクセスすることと、
前記複数のゴルフショットの各々について、ストロークゲインド値を計算することと、
以下を含む動作、即ち、
開始位置と前記目標位置との間の所定の勾配マッピングに対する前記落下位置に基づいて、前記複数のゴルフショットの各々について可変ペナルティパラメータを生成することと、
前記複数のゴルフショットの各々について、前記可変ペナルティパラメータを前記ストロークゲインド値に適用することと、
を実行することによって、前記第1のゴルフクラブのパフォーマンス指標を計算することと、
を実現するコンピュータ可読媒体。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10