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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】全固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20250128BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20250128BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20250128BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20250128BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/13
H01M4/62 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021554208
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(86)【国際出願番号】 JP2020036904
(87)【国際公開番号】W WO2021079700
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2019192584
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 禎一
(72)【発明者】
【氏名】塚田 岳夫
【審査官】窪田 陸人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-054720(JP,A)
【文献】国際公開第2012/144298(WO,A1)
【文献】特開2014-192041(JP,A)
【文献】特開2016-207540(JP,A)
【文献】特開2012-186135(JP,A)
【文献】特開2012-243645(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0102543(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0212250(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極層と、負極層と、前記正極層と前記負極層との間にある固体電解質層と、前記正極層及び前記負極層のそれぞれに並んでその外周に配置するサイドマージン層と、を備える積層体を備え、
前記正極層は、正極集電体と、前記正極集電体に接する正極活物質層と、を有し、
前記負極層は、負極集電体と、前記負極集電体に接する負極活物質層と、を有し、
前記正極活物質層と前記負極活物質層とのうち少なくとも一方は、内部に複数の空隙と複数の炭素材とを有し、
前記サイドマージン層のうちの少なくとも一部は、内部に複数の空隙と炭素材とを有し、
前記正極活物質層と前記負極活物質層とのうち前記複数の炭素材及び前記複数の空隙を含む層における前記複数の空隙の断面外周の8%以上は、前記正極活物質層と前記負極活物質層とのうち前記複数の炭素材及び前記複数の空隙を含む層における前記複数の炭素材のいずれかと接しており且つ前記サイドマージン層における複数の空隙のうちの8%以上は、前記サイドマージン層における複数の炭素材のいずれかと接している、全固体電池。
【請求項2】
前記積層体に備えられる前記複数の炭素材はそれぞれ形状異方性を有し、
それぞれの炭素材の長軸方向は、前記正極活物質層又は前記負極活物質層が広がる面内方向に配向している、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項3】
前記積層体に備えられる前記複数の炭素材の平均長軸長さは、0.2μm以上40μm以下であり、
前記積層体に備えられる前記複数の炭素材の平均短軸長さは、0.4μm以上5μm以下である、請求項1又は2に記載の全固体電池。
【請求項4】
前記正極活物質層と前記負極活物質層とのうち前記複数の炭素材及び前記複数の空隙を含む層における前記複数の炭素材の占める割合は、2%以上40%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の全固体電池。
【請求項5】
前記正極活物質層と前記負極活物質層とのうち前記複数の炭素材及び前記複数の空隙を含む層における前記複数の空隙の占める割合は、2%以上15%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の全固体電池。
【請求項6】
前記正極層及び前記負極層と交差する切断面において、
前記積層体に備えられる前記複数の炭素材の断面外周の10%以上70%以下がいずれかの空隙と接している、請求項1~のいずれか一項に記載の全固体電池。
【請求項7】
前記積層体は、前記正極層と前記負極層とのうち少なくとも一方と前記固体電解質層との間に、イオン伝導性を有する中間層を有し、
前記中間層は、複数の空隙を有し、
前記中間層において複数の空隙が占める割合が0.1%以上8%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の全固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体電池に関する。
本願は、2019年10月23日に、日本に出願された特願2019-192584号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池は種々の用途で利用されている。電池は、例えば携帯電池等にも利用され、小型軽量化、薄膜化、信頼性の向上が求められている。電解液を用いた電池は、液漏れおよび液の枯渇等の問題がある。そこで、固体電解質を用いた全固体電池に注目が集まっている。
【0003】
全固体電池は、正極層と負極層と固体電解質層とを有する。正極または負極は、全固体電池を充放電すると膨張収縮する。正極又は負極の膨張収縮によって生じた歪みは、クラックの発生原因の一つであり、各層の積層界面における剥離の原因の一つである。
【0004】
例えば、特許文献1には、空隙率の異なる3層の固体電解質層を正極層と負極層との間に有する全固体電池が開示されている。空隙率の異なる3層の固体電解質層は、内部応力を緩和し、クラックの発生を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2013/175993号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クラック及び界面剥離は、内部抵抗が増大する原因の一つであり、サイクル特性の低下の原因の一つである。
【0007】
特許文献1には、クラックを抑制する一つの手法が記載されている。しかしながら、構造が複雑であり、製造しにくい。また積層方向の厚みが増え、全固体電池全体の厚みが増加する。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、クラックの発生及び積層界面における剥離を抑制できる全固体電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、内部応力の発生原因である負極層又は正極層の中に複数の空隙と複数の炭素材とを互いに接するように配置することで、全固体電池に生じる内部応力を緩和し、クラック又は界面剥離の発生を抑制できることを見出した。すなわち、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0010】
(1)第1の態様にかかる全固体電池は、正極層と、負極層と、前記正極層と前記負極層との間にある固体電解質層とを備え、前記正極層は、正極集電体と、前記正極集電体に接する正極活物質層と、を有し、前記負極層は、負極集電体と、前記負極集電体に接する負極活物質層と、を有し、前記正極活物質層と前記負極活物質層とのうち少なくとも一方は、内部に複数の空隙と複数の炭素材とを有し、前記複数の空隙のうちの8%以上は、前記複数の炭素材のいずれかと接している。
【0011】
(2)上記態様にかかる全固体電池において、前記正極層及び前記負極層のそれぞれに並んでその外周に配置するサイドマージン層のうちの少なくとも一部は、内部に複数の空隙を有していてもよい。
【0012】
(3)上記態様にかかる全固体電池において、前記正極層及び前記負極層のそれぞれに並んでその外周に配置するサイドマージン層のうちの少なくとも一部は、内部に複数の空隙と炭素材とを有し、前記複数の空隙のうちの8%以上は、前記複数の炭素材のいずれかと接していてもよい。
【0013】
(4)上記態様にかかる全固体電池において、前記複数の炭素材はそれぞれ形状異方性を有し、それぞれの炭素材の長軸方向は、前記正極活物質層又は前記負極活物質層が広がる面内方向に配向してもよい。
【0014】
(5)上記態様にかかる全固体電池において、前記複数の炭素材の平均長軸長さは、0.2μm以上40μm以下であり、前記複数の炭素材の平均短軸長さは、0.4μm以上5μm以下であってもよい。
【0015】
(6)上記態様にかかる全固体電池において、前記正極活物質層と前記負極活物質層とのうち前記複数の炭素材及び前記複数の空隙を含む層における前記複数の炭素材の占める割合は、2%以上40%以下であってもよい。
【0016】
(7)上記態様にかかる全固体電池において、前記正極活物質層と前記負極活物質層とのうち前記複数の炭素材及び前記複数の空隙を含む層における前記複数の空隙の占める割合は、2%以上15%以下であってもよい。
【0017】
(8)上記態様にかかる全固体電池の前記正極層及び前記負極層と交差する切断面において、前記複数の炭素材の断面外周の10%以上70%以下がいずれかの空隙と接していてもよい。
【0018】
(9)上記態様にかかる全固体電池は、前記正極層と前記負極層とのうち少なくとも一方と前記固体電解質層との間に、イオン伝導性を有する中間層を有してもよく、前記中間層は、複数の空隙を有し、前記中間層において複数の空隙が占める割合が0.1%以上8%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
上記態様にかかる全固体電池は、クラックの発生及び積層界面における剥離を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態にかかる全固体電池の断面模式図である。
図2】本実施形態にかかる全固体電池の要部の拡大図である。
図3】本実施形態に係る全固体電池の平面模式図である。
図4】本実施形態に係る全固体電池の平面模式図である。
図5】第1変形例にかかる全固体電池の要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0022】
まず方向について定義する。後述する正極層1及び負極層2が積層されている方向をz方向とする。また後述する正極層1及び負極層2が広がる面内方向のうちの一方向をx方向として、x方向と直交する方向をy方向とする。
【0023】
[全固体電池]
図1は、第1実施形態にかかる全固体電池の要部を拡大した断面模式図である。図1に示すように、全固体電池10は、積層体4を有する。積層体4は、複数の正極層1と、複数の負極層2と、正極層1と負極層2との間にある固体電解質層3とを有する。正極層1は、第1電極層の一例であり、負極層2は、第2電極層の一例である。第1電極層と第2電極層は、いずれか一方が正極として機能し、他方が負極として機能する。正極層1と負極層2は、対応する極性の外部端子にそれぞれ接続し、正極層1と負極層2とは互いに接することはない。
【0024】
正極層1はそれぞれ第1外部端子5に接続され、負極層2はそれぞれ第2外部端子6に接続されている。第1外部端子5及び第2外部端子6は、外部との電気的な接点である。
【0025】
(積層体)
積層体4は、複数の正極層1と複数の負極層2と複数の固体電解質層3とを有する。固体電解質層3はそれぞれ、正極層1と負極層2との間に配置されている。正極層1と負極層2の間で固体電解質層3を介したリチウムイオンの授受により、全固体電池10の充放電が行われる。
【0026】
「正極層および負極層」
正極層1及び負極層2は、例えば、積層体4内にそれぞれ複数ある。正極層1及び負極層2は、固体電解質層3を挟んでz方向に交互に積層されている。それぞれの正極層1及び負極層2は、xy面内に広がる。それぞれの正極層1の第1端部は第1外部端子5に接続され、第2端部は第2外部端子6に向って延びる。それぞれの正極層1の第2端部は、第2外部端子6とは接続されない。それぞれの負極層2の第1端部は第2外部端子6に接続され、第2端部は第1外部端子5に向って延びる。それぞれの負極層2の第2端部は、第1外部端子5とは接続されない。正極層1と第2外部端子6との間及び負極層2と第1外部端子5との間には、固体電解質層3と同様の材料がある。正極層1のx方向における端面のうち、第2外部端子6に近い側の端面を正極端面S1とし、負極層2のx方向における端面のうち第1外部端子5に近い側の端面を負極端面S2とする。正極端面S1,S2は、例えばx方向と垂直な面である。
【0027】
正極層1は、正極集電体層1Aと正極活物質層1Bとを有する。負極層2は、負極集電体層2Aと負極活物質層2Bとを有する。
【0028】
正極集電体層1A及び負極集電体層2Aは、xy面内に広がる。正極集電体層1A及び負極集電体層2Aは、導電性に優れる材料を含む。正極集電体層1A及び負極集電体層2Aは、全固体電池10をxy平面に沿って区分した際に、導電性に優れる材料を50%以上含む部分である。導電性に優れる材料は、例えば、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケルである。銅は、正極活物質、負極活物質及び固体電解質と反応しにくい。例えば、正極集電体層1A及び負極集電体層2Aに銅を用いると、全固体電池10の内部抵抗を低減できる。正極集電体層1Aと負極集電体層2Aを構成する物質は、同一でもよいし、異なってもよい。
【0029】
正極集電体層1Aは、後述する正極活物質を含んでもよい。負極集電体層2Aは、後述する負極活物質を含んでもよい。それぞれの集電体層に含まれる活物質の含有比は、集電体として機能する限り特に限定はされない。正極集電体層1Aにおける導電性材料と正極活物質との体積比率は、例えば、90:10~70:30の範囲内である。同様に、負極集電体層2Aにおける導電性材料と負極活物質との体積比率は、例えば、90:10~70:30の範囲内である。正極集電体層1A及び負極集電体層2Aがそれぞれ正極活物質及び負極活物質を含むと、正極集電体層1Aと正極活物質層1Bとの密着性及び負極集電体層2Aと負極活物質層2Bとの密着性が向上する。
【0030】
正極活物質層1B及び負極活物質層2Bは、xy面内に広がる。正極活物質層1Bは、正極集電体層1Aの片面又は両面に形成される。正極集電体層1Aのうち対向する負極層2が存在しない側の面には、正極活物質層1Bは無くてもよい。また負極活物質層2Bは、負極集電体層2Aの片面又は両面に形成される。負極集電体層2Aのうち対向する正極層1が存在しない側の面には、負極活物質層2Bは無くてもよい。例えば、積層体4の最上層又は最下層に位置する正極層1又は負極層2は、片面に正極活物質層1B又は負極活物質層2Bを有さなくてもよい。
【0031】
正極活物質層1B及び負極活物質層2Bは、充放電時に電子を授受する活物質を含む。正極活物質層1Bは、正極活物質を含む。負極活物質層2Bは負極活物質を含む。正極活物質層1B及び負極活物質層2Bは、それぞれ導電助剤や結着剤等を含んでもよい。正極活物質及び負極活物質は、リチウムイオンを効率的に挿入、脱離できることが好ましい。
【0032】
正極活物質及び負極活物質は、例えば、遷移金属酸化物、遷移金属複合酸化物である。正極活物質及び負極活物質は、具体的には例えば、リチウムマンガン複合酸化物LiMnMa1-a(0.8≦a≦1、Ma=Co、Ni)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、一般式:LiNiCoMn(x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMbPO(ただし、Mbは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素)、リン酸バナジウムリチウム(Li(PO又はLiVOPO)、LiMnO-LiMcO(Mc=Mn、Co、Ni)で表されるLi過剰系固溶体正極、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<s<1.3、0.9<t+u+v<1.1)で表される複合金属酸化物等である。
【0033】
正極活物質層1B又は負極活物質層2Bを構成する活物質には明確な区別がなく、2種類の化合物の電位を比較して、より貴な電位を示す化合物を正極活物質として用い、より卑な電位を示す化合物を負極活物質として用いることができる。
【0034】
正極活物質層1Bと負極活物質層2Bとのうち少なくとも一方は、内部に複数の空隙と複数の炭素材とを有する。図2は、本実施形態にかかる全固体電池10の正極層1と固体電解質層3との界面近傍を拡大した模式図である。図2に示す正極活物質層1Bは複数の空隙Vと複数の炭素材Cを有する。図2では、正極活物質層1Bを例示したが、負極活物質層2Bが複数の空隙Vと複数の炭素材Cを有してもよく、正極活物質層1B及び負極活物質層2Bが複数の空隙Vと複数の炭素材Cを有してもよい。
【0035】
複数の炭素材Cは、正極活物質層1B又は負極活物質層2Bを構成する活物質の間にある。炭素材Cは、正極活物質層1B又は負極活物質層2B内における電子の伝導を助ける。炭素材Cは、導電助剤と呼ばれる場合がある。炭素材Cは、例えば、鱗片状の黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、グラフェンである。
【0036】
正極活物質層1B又は負極活物質層2Bにおいて複数の炭素材Cが占める割合(以下、複数の炭素材Cの面積率と称する。)は、例えば2%以上40%以下が好ましく、3%以上30%以下がより好ましい。複数の炭素材Cの面積率は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)によって得られた複数の断面画像の平均値である。
【0037】
まず正極活物質層1Bのxz断面とyz断面をそれぞれ5枚ずつ撮影する。それぞれの画像において正極活物質層1Bの面積をそれぞれ求める。実際のSEM像において正極集電体層1Aと正極活物質層1Bとの界面及び正極活物質層1Bと固体電解質層3との界面は、平坦ではない。そのため正極活物質層1Bの面積は、正極集電体層1Aと正極活物質層1Bとの界面の平均高さ位置に広がるxy平面と、正極活物質層1Bと固体電解質層3との界面の平均高さ位置に広がるxy平面と、の間に挟まれる領域の面積として換算する。
【0038】
次いで、それぞれの画像における複数の炭素材Cの面積を求める。複数の炭素材Cの面積は、例えば、以下の手順で求められる。まず、撮影した画像のそれぞれから炭素材Cを抽出する。炭素材Cは、他の部分と画像における見え方が異なり区分できる。それぞれの画像における複数の炭素材Cの正極活物質層1Bにおける面積率を求め、平均値を算出することで複数の炭素材Cの面積率が求まる。
【0039】
それぞれの炭素材Cは、例えば、形状異方性を有する。図2では、炭素材Cを模式的に楕円で図示した。しかしながら、炭素材Cの形状は問わない。それぞれの炭素材Cの形状は、例えば、不定形である。炭素材Cが不定形の場合、炭素材Cを包含する面積が最も小さい楕円を当該炭素材Cの形状と擬制し、擬制した楕円の長軸方向の長さと短軸方向の長さを、当該炭素材Cの長軸方向の長さと短軸方向の長さとする。ここで、炭素材Cの形状と擬制する楕円の決定は以下のように行う。炭素材Cを包含する、面積が最も小さい楕円のうち、楕円の長軸方向の長さLLeを炭素材Cの長さが最も長い方向(長軸方向)の長さLLcに重ね合わせたときに(LLe=LLc)、短軸方向の長さSLeが最も短い楕円を、この炭素材Cの形状と擬制する。
【0040】
炭素材Cのアスペクト比は、2以上29以下であってもよく、5以上16以下であることが好ましく、8以上13以下であることがより好ましい。アスペクト比は、長軸方向の長さを短軸方向の長さで割った値である。
【0041】
炭素材Cの平均長軸長さは、例えば0.2μm以上100μm以下であり、0.5μmより大きく40μm以下であることが好ましい。炭素材Cの平均短軸長さは、例えば0.1μm以上50μm以下であり、好ましくは0.2μm以上20μm以下であり、より好ましくは0.4μm以上5μm以下である。炭素材Cが複数ある場合における炭素材Cの長軸方向及び短軸方向の平均長さは、上述の10枚の二値化画像のそれぞれから形状の大きい炭素材Cを2つずつ抽出し、計20個の炭素材Cの平均値として求める。
【0042】
またそれぞれの炭素材Cは、xy面内に配向していることが好ましい。「xy面内に配向する」とは、炭素材Cの長軸方向がz方向から45度以上傾いていることを意味する。また炭素材Cの長軸方向は、xy平面が広がる面内方向と略一致することが好ましい。炭素材Cの長軸方向が面内方向と略一致するとは、炭素材Cの長軸方向のxy平面に対する傾き角が10度以下であることを意味する。ここで、全ての炭素材Cがxy面内に配向している、又は、炭素材Cの長軸方向が面内方向と略一致している必要はない。例えば、50%以上の炭素材Cがxy面内に配向している、又は、50%以上の炭素材Cの長軸方向が面内方向と略一致していることが好ましい。
【0043】
複数の空隙Vは、正極活物質層1B又は負極活物質層2Bの内部にある。活物質は充放電時の電子の伝導を担うため、正極活物質層1B及び負極活物質層2B内に活物質を密に充填することが一般的である。複数の空隙Vは、意図的に設けられたものである。
【0044】
正極活物質層1B又は負極活物質層2Bにおいて複数の空隙Vが占める割合(以下、空隙率と称する。)は、例えば2%以上15%以下であり、5%以上12%以下が好ましく、8%以上12%以下がより好ましい。空隙率は、例えば、理論質量と実測質量の差を実測質量で割ることで求められる。理論質量は、正極活物質層1B又は負極活物質層2Bの平均密度に体積をかけて求められる。実測質量は、実測した質量である。
【0045】
いずれかの空隙Vは、炭素材Cと接する。それぞれの空隙Vは、炭素材Cの近傍にある。炭素材Cと接する空隙Vの割合は、8%以上であり、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。また炭素材Cと接する空隙Vの割合は、80%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましい。また例えば、xz面で切断した切断面において、複数の炭素材Cの断面外周の10%以上70%以下がいずれかの空隙Vと接していることが好ましい。
【0046】
空隙Vを炭素材Cと接するように配置するためには、正極活物質層1B又は負極活物質層2Bを作製する際のペースト化の工程の前に、炭素材Cにフィラーを担持させることが好ましい。具体的には、衝撃式圧縮剪断型粒子複合化装置を用いた乾式機械的粒子複合化によって、炭素材Cにフィラーを担持させることができ、炭素材に接する空隙率を、炭素材Cに担持するフィラーの量を調整することで制御できる。
【0047】
「固体電解質層」
固体電解質層3は、それぞれの正極層1と負極層2との間に位置する。後述するように、正極層1と第2外部端子6との間及び負極層2と第1外部端子5との間において、固体電解質層3と同様の材料のサイドマージン層11、12を備えていてもよい。
【0048】
固体電解質層3は、固体電解質を含む。固体電解質は、外部から印加された電場によってイオンを移動させることができる物質(例えば、粒子)である。例えば、リチウムイオンは、外部から印加された電場によって固体電解質内を移動する。また固体電解質は、電子の移動を阻害する絶縁体である。
【0049】
固体電解質は、例えば、リチウムを含む。固体電解質は、例えば、酸化物系材料、硫化物系材料のいずれでもよい。固体電解質は、例えば、ペロブスカイト型化合物、リシコン型化合物、ガーネット型化合物、ナシコン型化合物、チオリシコン型化合物、ガラス化合物、リン酸化合物のいずれでもよい。La0.5Li0.5TiOは、ペロブスカイト型化合物の一例である。Li14Zn(GeOは、リシコン型化合物の一例である。Li7LaZr12はガーネット型化合物の一例である。LiZr(PO、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO3、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li1.55Al0.2Zr1.7Si0.259.7512、Li1.4Na0.1Zr1.5Al0.5(PO、Li1.4Ca0.25Er0.3Zr1.7(PO3.2、Li1.4Ca0.25Yb0.3Zr1.7(PO3.2は、ナシコン型化合物の一例である。Li3.25Ge0.250.754、LiPSは、チオリシコン型化合物の一例である。LiS-P5、LiO-V-SiOは、ガラス化合物の一例である。LiPO、Li3.5Si0.50.5、Li2.9PO3.30.46はリン酸化合物の一例である。固体電解質は、これらの化合物を1種以上含んでもよい。
【0050】
固体電解質の形状は特に問わない。固体電解質の形状は、例えば、球状、楕円体状、針状、板状、鱗片状、チューブ状、ワイヤ状、ロッド状、不定形である。固体電解質の粒径は、例えば、0.1μm以上10μm以下であり、0.3μm以上9μm以下でもよい。粒子の粒径は、粒度分布測定により得られる測定値(D50)より求める。D50は、粒度分布測定で得られた分布曲線における積算値が50%である粒子の直径である。粒子の粒度分布は、例えば、レーザ回折・散乱法(マイクロトラック法)を用いた粒度分布測定装置により測定される。
【0051】
「サイドマージン層」
積層体4は、図1に示すように、正極層1および負極層2のそれぞれに並んでその外周に配置し、固体電解質を含むサイドマージン層11、12を備える。サイドマージン層11、12をそれぞれ、正極サイドマージン層、負極サイドマージン層ということがある。図3は、図1中の切断線A-A線に沿う断面図である。図4は、図1中の切断線B-B線に沿う断面図である。図3及び図4では、説明の便宜上、第1外部端子5及び第2外部端子6を合わせて図示している。
サイドマージン層11は、第1領域R11aと第2領域R11bとを有する。第1領域R11aは、サイドマージン層11のうち第2外部端子6に近い領域であり、第2領域R11bは、サイドマージン層11のうち第1外部端子5に近い領域である。サイドマージン層11のx方向の端面のうち第2外部端子6側の端面を第1端面S11とし、第1端面S11と正極層1までの最小距離をL11aとし、第2外部端子6の側面に架かる部分の長さをL11bとすると、第1領域R11aは、第1端面S11から長さL11a×2+L11bの領域である。第2領域R11bは、第1端面S11から長さL11a×2+L11b以上離れた領域である。
同様にサイドマージン層12は、第1領域R12aと第2領域R12bとを有する。第1領域R12aは、サイドマージン層12のうち第1外部端子5に近い領域であり、第2領域R12bは、サイドマージン層12のうち第2外部端子6に近い領域である。サイドマージン層12のx方向の端面のうち第1外部端子5に近い端面を第1端面S12とし、第2端面S12と負極層2までの最小距離をL12aとすると、第1領域R12aは、第1端面S12から長さL12a×2+L12bの領域である。第2領域R12bは、第1端面S12から長さL12a×2+L12b以上離れた領域である。
【0052】
サイドマージン層11、12が含む固体電解質は、固体電解質層3が含む固体電解質と同じであっても、異なっていてもよい。
【0053】
サイドマージン層11、12は、固体電解質層3と正極層1との段差、ならびに固体電解質層3と負極層2との段差を解消するために設けることが好ましい。したがってサイドマージン層11、12は、固体電解質層3の主面において、正極層1ならびに負極層2以外の領域に、正極層1または負極層2と略同等の高さで(すなわち、正極層1および負極層2のそれぞれに並んで配置するように)形成される。サイドマージン層11、12の存在により、固体電解質層3と正極層1ならびに固体電解質層3と負極層2との段差が解消されるため、固体電解質3と各電極層との緻密性が高くなり、全固体電池の焼成による層間剥離(デラミネーション)や反りが生じにくくなる。
【0054】
サイドマージン層11、12のうちの少なくとも一部は、内部に複数の空隙と炭素材とを有するものとすることができる。サイドマージン層11、12が内部に複数の空隙と炭素材とを有さない場合、サイドマージン層11、12は、固体電解質層3と同じ構成とすることができる。サイドマージン層11、12のいずれも内部に複数の空隙と炭素材とを有することが好ましい。サイドマージン層11、12の内部に含まれる複数の空隙と炭素材の構成は、正極活物質層1Bと負極活物質層2Bとの少なくとも一方に含まれる複数の空隙Vと炭素材Cの構成と同様のものとすることができる。
【0055】
サイドマージン層11、12のうちの少なくとも一部に含まれる複数の空隙のうちいずれかの空隙は、炭素材と接する。それぞれの空隙は、炭素材の近傍にある。炭素材と接する空隙の割合は、8%以上であり、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。ここで、サイドマージン層11,12が内部に複数の空隙と炭素材とを有する場合、サイドマージン層11,12の炭素材は、それぞれ第2外部端子6の近傍及び第1外部端子5の近傍を避けて存在することが好ましい。例えば、第1領域R11a,R12aにおける炭素材の割合は、それぞれ第2領域R11b、第2領域R12bの炭素材の割合より少ないことが好ましい。また例えば、第1領域R11a,R12aにおける炭素材の割合は、7%以下であると自己放電を抑制できるため好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。また炭素材Cと接する空隙Vの割合は、80%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましい。
【0056】
サイドマージン層11、12の第2領域R11b、第2領域R12bにおいて複数の炭素材が占める割合(以下、サイドマージン層における複数の炭素材の面積率と称する。)は、例えば2%以上40%以下が好ましく、3%以上30%以下がより好ましい。サイドマージン層における複数の炭素材の面積率は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって得られた複数の断面画像の平均値を用いて、正極活物質層1B又は負極活物質層2Bにおいて複数の炭素材Cが占める割合と同様の方法で求められる。
【0057】
サイドマージン層11、12の空隙率は、3%以上であることが好ましい。サイドマージン層11、12の空隙率は、正極活物質層1B及び負極活物質層2Bと同様の方法で求められる。
【0058】
(端子)
第1外部端子5及び第2外部端子6は、例えば、導電性に優れる材料が用いられる。第1外部端子5及び第2外部端子6は、例えば、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズ、ニッケルのいずれかである。第1外部端子5及び第2外部端子6は、単層でも複数層でもよい。
【0059】
(保護層)
全固体電池10は、積層体4や端子を電気的、物理的、化学的に保護する保護層を外周に有してもよい。保護層は、例えば、絶縁性、耐久性、耐湿性に優れ、環境的に安全な材料が好ましい。保護層は、例えば、ガラス、セラミックス、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂である。保護層の材料は1種類だけでも良いし、複数を併用してもよい。保護層は単層でもよいし、複数層でもよい。保護層は、熱硬化性樹脂とセラミックスの粉末を混合させた有機無機ハイブリットが好ましい。
【0060】
次いで、本実施形態に係る全固体電池の製造方法を説明する。
全固体電池10は、同時焼成法により作製してもよいし、逐次焼成法により作製してもよい。同時焼成法は、各層を形成する材料を積層した後、一括焼成する方法である。逐次焼成法は、各層を積層するごとに焼成する方法である。同時焼成法は、逐次焼成法より作業工程が簡便である。また同時焼成法により作製された積層体4は、逐次焼成法により作製された積層体4より緻密である。以下、同時焼成法を用いる場合を例に説明する。
【0061】
まず積層体4を構成する各層のペーストを作製する。正極集電体層1A、正極活物質層1B、固体電解質層3、サイドマージン層11、12、負極活物質層2B及び負極集電体層2Aとなる材料をそれぞれペースト化する。ペースト化の方法は、特に限定されない。例えば、ビヒクルに各材料の粉末を混合してペーストが得られる。ビヒクルは、液相における媒質の総称である。ビヒクルには、溶媒、バインダーが含まれる。
【0062】
正極活物質層1Bと負極活物質層2Bとのうち少なくとも一方のヒビクルには、フィラー及び炭素材Cを添加する。サイドマージン層11、12の内部に空隙と炭素材とを含める場合、サイドマージン層11、12のヒビクルにもフィラー及び炭素材を添加する。フィラーは、炭素材Cに付着させて添加する。フィラーは、例えば、脱バインダー、樹脂材料、炭素材料である。フィラーは、いずれも焼成時に揮発する。フィラーとして用いられる炭素材料は焼成時に揮発し、炭素材Cとは区別できる。フィラーは、例えば、造孔材である。造孔材は、例えばプリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂粒子である。炭素材Cに付着したフィラーは、焼成時に揮発することで空隙Vとなる。
【0063】
次いで、グリーンシートを作製する。グリーンシートは、ペーストをシート状に加工したものである。グリーンシートは、例えば、ペーストをPET(ポリエチレンテレフタラート)などの基材に所望の順序で塗布し、必要に応じ乾燥させた後、基材から剥離して得られる。ペーストの塗布方法は、特に限定されない。例えば、スクリーン印刷、塗布、転写、ドクターブレード等の公知の方法を採用することができる。
【0064】
正極活物質層1B及び負極活物質層2Bのグリーンシートを作製する際に、塗布速度を制御したり、開口を有するメッシュを介して塗布することで、炭素材Cが面内方向に配向する。
【0065】
作製したそれぞれのグリーンシートは、所望の順序、積層数で積み重ねられる。必要に応じアライメント、切断等を行い、積層体を作製する。並列型又は直並列型の電池を作製する場合は、正極集電体層の端面と負極集電体層の端面が一致しないように、正極集電体層及び負極集電体層をアライメントする。
【0066】
積層体は、以下に説明する正極活物質層ユニット及び負極活物質層ユニットを準備してから作製してもよい。
【0067】
まずPETフィルム上に固体電解質層用ペーストをドクターブレード法でシート状に形成し、乾燥させる。次いで、固体電解質層のグリーンシート上に、スクリーン印刷により正極活物質層用ペーストを印刷し、乾燥させる。
【0068】
次いで、乾燥した正極活物質層用ペースト上に、スクリーン印刷により正極集電体層用ペーストを印刷し乾燥させる。さらに乾燥した正極集電体層用ペースト上に、スクリーン印刷により正極活物質層用ペーストを再度印刷し、乾燥させる。そして、正極層以外の固体電解質層シートの領域に、サイドマージン層用ペーストをスクリーン印刷し、乾燥することで正極層と略同等の高さのサイドマージン層を形成する。
そして、PETフィルムを剥離することで正極ユニットを作製する。正極ユニットは、固体電解質層3の主面に正極活物質層1B/正極集電体層1A/正極活物質層1Bがこの順で積層された正極層1とサイドマージン層11と、が形成されている。
【0069】
同様の手順にて負極ユニットも作製する。負極ユニットは、固体電解質層3の主面に負極活物質層2B/負極集電体層2A/負極活物質層2Bがこの順に積層された負極層2とサイドマージン層12とが形成されている。
【0070】
次いで、正極ユニットと負極ユニットとを積層する。正極ユニットと負極ユニットとは、それぞれのユニットの固体電解質層同士が対面しないように積層する。積層された積層体は、正極活物質層1B/正極集電体層1A/正極活物質層1B/固体電解質層3/負極活物質層2B/負極集電体層2A/負極活物質層2B/固体電解質層3の順で積層されている。正極ユニットと負極ユニットとは、正極集電体層1Aが積層体の第1の端面に露出し、負極集電体層2Aが第1の端面と反対の第2の端面に露出するように、ずらして積み重ねられる。積層方向の最上層及び最下層には、例えば、所定厚みの固体電解質層用シートをさらに積み重ね、乾燥させる。
【0071】
次いで、作製した積層体を一括して圧着する。圧着は加熱しながら行う。加熱温度は、例えば、40~95℃とする。次いで、圧着した積層体を焼結する。焼結は、例えば、窒素雰囲気下で500℃以上1100℃以下の温度域で加熱する。焼成時間は、例えば、0.1~3時間とする。焼結により積層体4が得られる。この際に、フィラーは空隙Vとなる。
【0072】
焼結体は、アルミナなどの研磨材とともに円筒型の容器に入れ、バレル研磨してもよい。研磨により焼結体の角が面取りされる。研磨は、サンドブラスト等で行ってもよい。
【0073】
最後に、積層体4に第1外部端子5と第2外部端子6をつける。第1外部端子5は、それぞれの正極集電体層1Aと電気的に接続されるように形成する。第2外部端子6は、それぞれの負極集電体層2Aと電気的に接続されるように形成する。例えば、積層体4の側面から露出した正極集電体層1Aに第1外部端子5を接続し、積層体4の側面から露出した負極集電体層2Aに第2外部端子6を接続する。第1外部端子5及び第2外部端子6は、例えば、スパッタ法、ディッピング法、スプレーコート法等で作製できる。
【0074】
本実施形態にかかる全固体電池は、正極活物質層1Bと負極活物質層2Bとのうち少なくとも一方が複数の炭素材Cと複数の空隙Vとを有し、複数の空隙Vのうちの少なくとも一部がいずれかの炭素材Cと接することで、クラック及び積層界面における剥離の発生を抑制できる。クラック及び積層界面における剥離の発生が抑制されると、全固体電池のサイクル特性が向上する。
【0075】
正極活物質層1B及び負極活物質層2Bは、電子の伝導性を高めるために密に形成される。そのため、正極活物質層1B及び負極活物質層2Bにおける空隙が極力ないようにすることが一般的である。これに対して、後述の実施例で検討した結果、空隙Vを炭素材Cに接して設けることで、サイクル特性が改善されることが分かった。
【0076】
空隙Vを炭素材Cと接することでサイクル特性が改善する理由は明確ではない。空隙Vが単体で存在する場合よりも、充放電時における活物質の膨張収縮に伴う応力をより緩和できる。応力が加わった際に、空隙V、炭素材C、活物質の順に歪みやすい。つまり、空隙Vが炭素材Cに沿って形成されることで、応力が活物質、炭素材C、空隙Vの順に伝搬し、応力が段階的に緩和されているためかもしれない。
【0077】
また炭素材Cが形状異方性を有すると、炭素材Cは短軸方向につぶれやすく、活物質の体積変化を適切に緩衝できる。正極活物質層1B及び負極活物質層2Bは、主にz方向に膨張収縮する。炭素材Cがxy面内に配向すると、炭素材Cの短軸方向がz方向となる。炭素材Cは短軸方向につぶれやすく、炭素材Cの短軸方向がz方向となることで、より効果的にクラック及び界面剥離を抑制できる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0079】
(第1変形例)
図3は、第1変形例にかかる全固体電池の要部を拡大した断面図である。図3は、全固体電池の正極層1と固体電解質層3との界面近傍を拡大した図である。図3に示す全固体電池は、正極層1と固体電解質層3との間に中間層7を有する点が、図2に示す全固体電池と異なる。図3では、正極層1と固体電解質層3との間に中間層7を有する例を示したが、負極層2と固体電解質層3との間に中間層7を有してもよい。
【0080】
中間層7は、xy面内に広がり、正極活物質層1B又は負極活物質層2Bと固体電解質層3との間に位置する。中間層7は、正極活物質層1B又は負極活物質層2Bを構成する活物質と固体電解質層3を構成する固体電解質との間の組成を有する層である。例えば、正極活物質層1B又は負極活物質層2Bがリン酸バナジウムリチウム(Li(PO、LiVTi(PO、LiVOPO)であり、固体電解質がリン酸ジルコニウムリチウム(LiZr(PO)の場合、中間層7はバナジウムを含むリン酸ジルコニウムリチウム又はジルコニウムを含むリン酸バナジウムリチウムである。バナジウムを含むリン酸ジルコニウムリチウムは、リン酸ジルコニウムリチウムのジルコニウムの一部がバナジウムに置換されたものである。ジルコニウムを含むリン酸バナジウムリチウムは、リン酸バナジウムリチウムのバナジウムの一部がジルコニウムに置換されたものである。中間層7は、正極活物質層1B又は負極活物質層2Bと固体電解質層3との間の接合強度を高める。
【0081】
中間層7は、例えば、複数の空隙V2を有してもよい。中間層7において複数の空隙V2が占める割合は0.1%以上8%以下であることが好ましい。中間層7も複数の空隙V2を有すると、活物質の膨張収縮に伴う内部応力を緩和でき、クラック及び界面剥離の発生をより効果的に抑制できる。また中間層7における複数の空隙V2が占める割合が高すぎないことで、正極活物質層1B又は負極活物質層2Bと固体電解質層3との間の接合強度を維持でき、界面剥離の発生をより効果的に抑制できる。
【0082】
中間層7は、予め構成元素を調整した層を別途作製し、固体電解質層3と正極活物質層1B又は負極活物質層2Bとの間に挿入して得られる。また焼成条件を調整して、固体電解質層3の構成元素(例えばジルコニウム)を正極活物質層1B又は負極活物質層2Bに熱拡散させてもよいし、正極活物質層1B又は負極活物質層2Bの構成元素(例えばバナジウム)を固体電解質層3に熱拡散させてもよい。
【0083】
第1変形例にかかる全固体電池は、第1実施形態にかかる全固体電池と同様の効果を奏する。また中間層7により正極活物質層1B又は負極活物質層2Bと固体電解質層3との間の接合強度を高め、界面剥離の発生をより効果的に抑制できる。
【実施例
【0084】
(実施例1)
実施例1の全固体電池は以下のようにして作製した。
【0085】
(活物質の作製)
活物質として、以下の方法で作製したリン酸バナジウムリチウムを用いた。LiCOとVとNHPOとを出発材料とし、ボールミルで16時間湿式混合を行い、脱水乾燥した後に得られた粉体を850℃で2時間、窒素水素混合ガス中で仮焼した。仮焼品をボールミルで湿式粉砕を行った後、脱水乾燥して活物質を得た。この作製した粉体がLi(POと同様の結晶構造であることを、X線回折装置を使用して確認した。
【0086】
(活物質層用ペーストの作製)
活物質層用ペーストは、ともに得られた活物質の粉末95.4部と、フィラー0.6部と、部扁平形状の炭素材粉末4部に、バインダーとしてエチルセルロース15部と、溶媒としてジヒドロターピネオール65部とを加えて、混合・分散して正極活物質層用ペーストおよび負極活物質層用ペーストを作製した。フィラーは、ポリプロピレンとした。炭素材は、鱗片状黒鉛とした。炭素材の長軸方向の長さは0.5μm、短軸方向の長さは0.1μmで、アスペクト比は5.0であった。フィラーは、衝撃式圧縮剪断型粒子複合化装置を用いて炭素材に担持させた。
【0087】
(固体電解質の作製)
固体電解質として、以下の方法で作製したLZP系ナシコン型化合物(例:LiZr1.7Ca0.3(PO)を用いた。LiCOとZrOとCaCOとNHPOを出発材料として、ボールミルで16時間湿式混合を行った後、脱水乾燥し、次いで得られた粉末を900℃で2時間、大気中で仮焼した。仮焼後、ボールミルで16時間湿式粉砕を行った後、脱水乾燥して固体電解質の粉末を得た。作製した粉体の結晶構造がLZP系ナシコン型化合物と同様であることは、X線回折装置(XRD)を使用して確認した。
【0088】
(固体電解質層用ペーストの作製)
固体電解質層用ペーストは、固体電解質の粉末100部に、溶媒としてエタノール100部、トルエン200部を加えてボールミルで湿式混合し、その後、ポリビニールブチラール系バインダー16部とフタル酸ベンジルブチル4.8部をさらに投入し、混合して固体電解質層用ペーストを作製した。
【0089】
(固体電解質層用シートの作製)
固体電解質層用ペーストをドクターブレード法でPETフィルムを基材としてシートを成形し、厚さ15μmの固体電解質層用シートを得た。
【0090】
(集電体層用ペーストの作製)
正極集電体および負極集電体として、Cuと活物質であるリン酸バナジウムチタンリチウムとを体積比率で80/20となるように混合した後、得られた混合物100部と、バインダーとしてエチルセルロース10部と、溶媒としてジヒドロターピネオール50部を加えて混合・分散し、集電体層用ペーストを作製した。
【0091】
(中間層用基材の作製)
中間層用基材の作製は、活物質として作製したリン酸バナジウムリチウムの粉末と固体電解質で作製したLZP系ナシコン型化合物粉末とをボールミルで16時間湿式混合を行い、脱水乾燥した後に得られた粉体を850℃で2時間、窒素水素混合ガス中で仮焼した。仮焼品をボールミルで湿式粉砕を行った後、脱水乾燥して中間層用基材粉末を得た。
【0092】
(中間層用ペーストの作製)
中間層用ペーストは、中間層用基材粉末100部に、フィラー(ポリエチレン)0.5部と、バインダーとしてエチルセルロース15部と、溶媒としてジヒドロターピネオール65部とを加えて、混合・分散して中間層用ペーストを作製した。
【0093】
(外部端子ペーストの作製)
銀粉末とエポキシ樹脂、溶剤とを混合および分散させて、熱硬化型の外部電極ペーストを作製した。
【0094】
これらのペーストを用いて、以下のようにして実施例1の全固体電池を作製した。
【0095】
(正極層ユニットの作製)
まず固体電解質層用シート上に、スクリーン印刷を用いて厚さ0.2μmの中間層(第一正極中間層と呼ぶ)を形成し、80℃で10分間乾燥した。次に、その上にスクリーン印刷を用いて厚さ5μmの正極活物質層(第一正極活物質層と呼ぶ)を形成し、80℃で10分間乾燥した。さらにその上にスクリーン印刷を用いて厚さ5μmの正極集電体層を形成し、80℃で10分間乾燥した。さらにその上に、スクリーン印刷を用いて厚さ5μmの正極活物質層(第二正極活物質層と呼ぶ)を再度形成し、80℃で10分間乾燥した。さらにその上にスクリーン印刷を用いて厚さ0.2μmの中間層(第二正極中間層と呼ぶ)を再度形成し、80℃で10分間乾燥することで、固体電解質層用シートに正極層を作製した。次いで、正極層の一端の外周に、スクリーン印刷を用いて正極層と略同一平面の高さのサイドマージン層を形成し、80℃で10分間乾燥した。次いで、PETフィルムを剥離することで、正極層ユニットのシートを得た。
【0096】
(負極層ユニットの作製)
次いで固体電解質層用シート上に、スクリーン印刷を用いて厚さ0.2μmの中間層(第一負極中間層と呼ぶ)を形成し、80℃で10分間乾燥した。次に、その上に厚さ5μmの負極活物質層(第一負極活物質層と呼ぶ)を形成し、80℃で10分間乾燥した。さらにその上に、スクリーン印刷を用いて厚さ5μmの負極集電体層を形成し、80℃で10分間乾燥した。さらにその上に、スクリーン印刷を用いて厚さ5μmの負極活物質層(第二負極活物質層と呼ぶ)を再度形成し、80℃で10分間乾燥した。さらにその上にスクリーン印刷を用いて厚さ0.2μmの中間層(第二負極中間層と呼ぶ)を再度形成し、80℃で10分間乾燥することで、固体電解質層用シートに負極層を作製した。次いで、負極層の一端の外周に、スクリーン印刷を用いて負極層と略同一平面の高さのマージン層を形成し、80℃で10分間乾燥した。次いで、PETフィルムを剥離することで、負極層ユニットのシートを得た。
【0097】
(積層体の作製)
正極層ユニットと負極層ユニットを交互にそれぞれの一端が一致しないようにオフセットしながら複数積層し、積層基板を作製した。さら積層基板の両主面に、外層として固体電解質シートを複数積層し、200μmの外層を設けた。これを金型プレスにより熱圧着した後、切断して未焼成の全固体電池の積層体を作製した。次いで、積層体を脱バイ・焼成することで、全固体電池の積層体を得た。積層体の焼成は、窒素中で昇温速度200℃/時間で焼成温度1000℃まで昇温して、その温度に2時間保持し、自然冷却後に取り出した。フィラーは空隙となり、空隙の一部は炭素材と接していた。
【0098】
(外部電極形成工程)
全固体電池の積層体の端面に外部端子ペーストを塗布し、150℃、30分の熱硬化を行い、一対の外部電極を形成した。
【0099】
作製した全固体電池の寸法は、おおよそ4.5mm×3.2mm×1.1mmであった。
【0100】
作製した全固体電池の初期容量及びサイクル特性を求めた。初期容量及びサイクル特性は、二次電池充放電試験装置を用いて行った。電圧範囲は、0.2Vから2.6Vまでとした。まずプレ処理として初回の充電のみを0.2C定電流充電にて行った。その後、サイクル特性を求めるための充放電を行った。充電は定電流定電圧で行った。充電は、0.2Cの電流値で充電し、2.6Vに到達後、0.2C電流値の5%の電流値になったときに終了した。放電は、0.1Cでの電流値で放電する条件で行った。なお、サイクル特性は容量維持率(%)として評価した。容量維持率(%)は、1サイクル目の放電容量を初期放電容量とし、初期放電容量に対する100サイクル後の放電容量の割合である。容量維持率(%)は、以下の数式で表される。
容量維持率(%)=(「100サイクル後における放電容量」/「1サイクル目の放電容量」)×100
【0101】
また同様の条件で作製した全固体電池を切断し、正極活物質層及び負極活物質層における炭素材の面積率、空隙率等を求めた。
【0102】
(実施例2~6)
アスペクト比を略一定にした条件で、炭素材の長軸長さと短軸長さを変更した点が実施例1と異なる。炭素材の長軸長さ、短軸長さ及びアスペクト比は、正極活物質層及び負極活物質層のグリーンシートに添加する炭素材の形状で調整した。実施例2~6においても実施例1と同様の測定を行った。
【0103】
(実施例7~12)
炭素材の長軸長さと短軸長さを変更した点が実施例1と異なる。炭素材の長軸長さ、短軸長さ及びアスペクト比は、正極活物質層及び負極活物質層のペーストに添加する炭素材の形状で調整した。実施例7~12においても実施例1と同様の測定を行った。
【0104】
(実施例13~18)
炭素材の短軸長さを一定として、炭素材の長軸長さ及びアスペクト比を変更した点が実施例1と異なる。炭素材の長軸長さ及びアスペクト比は、正極活物質層及び負極活物質層のペーストに添加する炭素材の形状で調整した。実施例13~18においても実施例1と同様の測定を行った。
【0105】
(実施例19~24)
長軸長さ5.1μm、短軸長さ0.9μmの炭素材を用い、正極活物質層及び負極活物質層を占める炭素材の割合及び空隙率を変更した点が実施例1と異なる。正極活物質層及び負極活物質層を占める炭素材の割合は、正極活物質層及び負極活物質層のペーストに添加する炭素材の量で調整した。空隙率は、正極活物質層及び負極活物質層のペーストに添加するフィラーの量で調整した。実施例19~24においても実施例1と同様の測定を行った。
【0106】
(実施例25~30)
複数の空隙のうち炭素材と接している空隙の割合を変更した点が実施例1と異なる。炭素材と接する空隙の割合は、衝撃式圧縮剪断型粒子複合化装置にてフィラーを担持させる量を調整し、炭素材に担持するフィラーの量を調整した。実施例25~30においても実施例1と同様の測定を行った。
【0107】
(実施例31)
長軸長さ10.0μm、短軸長さ0.9μmの炭素材を用い、正極活物質層及び負極活物質層のペーストを作製する際に、メッシュを用いなかった。その他の条件は、実施例1と同様にした。実施例31の炭素材は、特に所定の方向に配向することなく、長軸の方向がランダムであった。実施例31においても実施例1と同様の測定を行った。
【0108】
(実施例32~36)
長軸長さ10.0μm、短軸長さ0.9μmの炭素材を用い、正極活物質層及び負極活物質層の空隙率を変更した。空隙率は添加するフィラーの量で調整した。その他の条件は、実施例1と同様にした。実施例32~36においても実施例1と同様の測定を行った。
【0109】
(実施例37)
中間層に添加するフィラーの量を変化させ、中間層の空隙率を変更した点が、実施例21と異なる。その他の条件は、実施例21と同様とした。
【0110】
(比較例1)
長軸長さ10.0μm、短軸長さ0.9μmの炭素材を用い、炭素材に接する空隙の割合を2%とした点が実施例1と異なる。その他の条件は、実施例1と同じとした。
【0111】
(実施例12-2)
実施例12-2では、サイドマージン層(空隙あり)用ペーストを用いて、サイドマージン層を印刷し、サイドマージン層の全ての内部に複数の空隙と複数の炭素材とを有する全固体電池を作製した。その他の条件は、実施例12と同じとした。
【0112】
(サイドマージン層(空隙あり)用ペーストの作製)
サイドマージン層(空隙あり)用ペーストは、固体電解質の粉末98.6部と、フィラー0.4部と、部扁平形状の炭素材粉末1部に、バインダーとしてエチルセルロース15部と、溶媒としてジヒドロターピネオール65部とを加えて、混合・分散してサイドマージン層(空隙あり)用ペーストを作製した。フィラーは、ポリプロピレンとした。炭素材は、鱗片状黒鉛とした。炭素材の長軸方向の長さは0.2μm、短軸方向の長さは0.1μmで、アスペクト比は2.0であった。フィラーは、衝撃式圧縮剪断型粒子複合化装置を用いて炭素材に担持させた。
【0113】
(実施例12-3~12-6)
実施例12-3~12-6では、サイドマージン層の空隙率が異なるようにフィラーの量を調整した。その他の条件は、実施例12-2と同じとした。実施例12では、サイドマージン層の空隙率は2%未満であった。表3では、表1の実施例12においてサイドマージン層の空隙率を追加して、実施例12-1と表記した。実施例12-2~12-6においても実施例1と同様の測定を行い、さらにサイドマージン層の空隙率を測定した。
【0114】
(実施例101~136)
実施例101~136として、中間層を形成する工程を除き、全固体電池を作製した。すなわち実施例101~136の全固体電池は、中間層を有さない。その他の条件については、実施例101~136は、それぞれ実施例1~36と同じとした。
【0115】
(比較例2)
比較例2として、中間層を形成する工程を除き、全固体電池を作製した。すなわち、比較例2の全固体電池は、中間層を有さない。比較例2のその他の条件は、比較例1と同じとした。
【0116】
上記結果を表1~5にまとめた。なお、表1~5における初期容量は、実施例1の初期容量を100%とした際の比率である。表4及び5には、実施例101~136及び比較例2の結果が示されている。実施例101~136及び比較例2の全固体電池は、中間層を有さない。そのため、実施例101~136及び比較例2の全固体電池において中間層における空隙の面積率は測定されなかった。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】
【符号の説明】
【0122】
1…正極層、1A…正極集電体層、1B…正極活物質層、2…負極層、2A…負極集電体層、2B…負極活物質層、3…固体電解質層、4…積層体、5…第1外部端子、6…第2外部端子、C…炭素材、V,V2…空隙
図1
図2
図3
図4
図5