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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/26 20060101AFI20250128BHJP
   B60Q 1/50 20060101ALI20250128BHJP
   F21S 43/239 20180101ALI20250128BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20250128BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20250128BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20250128BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20250128BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20250128BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20250128BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20250128BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250128BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20250128BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20250128BHJP
【FI】
B60Q1/26 Z
B60Q1/50 Z
F21S43/239
F21S43/237
F21S43/245
F21W102:13
F21W103:10
F21W103:35
F21W103:20
F21W103:55
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y115:15
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021573090
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(86)【国際出願番号】 JP2021000854
(87)【国際公開番号】W WO2021149559
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2020007366
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】山本 典正
(72)【発明者】
【氏名】小泉 浩哉
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-201278(JP,A)
【文献】特開2017-174656(JP,A)
【文献】特開2012-248358(JP,A)
【文献】特開2018-092753(JP,A)
【文献】特開2015-018668(JP,A)
【文献】独国実用新案第202019003710(DE,U1)
【文献】特開2020-004960(JP,A)
【文献】特開2020-009656(JP,A)
【文献】国際公開第2019/035433(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/26
B60Q 1/50
F21S 43/239
F21S 43/237
F21S 43/245
F21W 102/13
F21W 103/10
F21W 103/35
F21W 103/20
F21W 103/55
F21Y 115/10
F21Y 115/30
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光ユニットと、
前記導光ユニットの第1端面に沿って配置され、それぞれが第1色で発光する第1光源と前記第1色と異なる第2色で発光する第2光源を含む、複数の第1発光ユニットと、
前記複数の第1発光ユニットを独立に制御することにより、前記導光ユニットの発光する色と、前記導光ユニットの発光部分の大きさおよび位置を制御するコントローラと、
前記導光ユニットの前記第1端面と反対側の第2端面に沿って配置され、それぞれが前記第1色で発光する第3光源と前記第2色で発光する第4光源を含む、複数の第2発光ユニットと、
を備え、
前記コントローラは、(i)前記複数の第1発光ユニットにおいて前記第1光源を発光させ、前記複数の第2発光ユニットにおいて前記第3光源を発光させ、(ii)前記複数の第1発光ユニットにおいて、前記第1光源を時間とともに徐々に減光すると同時に、前記第2光源を時間とともに徐々に増光し、(iii)前記複数の第2発光ユニットにおいて、前記第3光源を時間とともに徐々に減光すると同時に、第4光源を時間とともに徐々に増光することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記導光ユニットは、前記複数の第1発光ユニットに対応し、それぞれが、前記複数の第1発光ユニットの対応するひとつを始点として延在する、複数の導光体を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記導光ユニットは、前記複数の第1発光ユニットおよび前記複数の第2発光ユニットに対応し、それぞれが、前記複数の第1発光ユニットの対応するひとつから、前記複数の第2発光ユニットの対応するひとつに向かって延在する、複数の導光体を含むことを特徴とする請求項に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記複数の導光体には、それぞれの延在方向に対して、離散的な複数のステップが形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記導光ユニットは1枚の導光パネルであり、
前記導光パネルの前記第1端面には、前記第1発光ユニットごとに設けられたコリメート光学系が設けられ、あるいは形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記導光ユニットは積層構造を有し、
前記積層構造の各層は、異なる高さにステップを有し、
前記第1発光ユニットは、積層構造の1層ごとに、前記第1光源と前記第2光源のペアを備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記第1色と前記第2色の一方はターコイズであることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項8】
車両のフロントグリルに実装されることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項9】
ヘッドランプまたはリアコンビネーションランプに実装されることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車などに用いられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具の光源として、従来の白熱電球等の電球(バルブ)に代えて、発光ダイオードや半導体レーザなどの半導体光源の採用が進められている。こうした半導体光源は、電球に比べて、導光体との組み合わせによるデザインの多様性、省電力化といった多くの利点を有する。
【0003】
特に近年では、車両用灯具には、自動車の走行に必要な機能に加えて、おもてなしランプのように、自動車の付加価値を高めるための機能が要求されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-92753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示はかかる状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、発光する色を切り替え可能であり、また発光部分の大きさや位置を制御可能な車両用灯具の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は車両用灯具に関する。車両用灯具は、導光ユニットと、導光ユニットの第1端面に沿って配置され、それぞれが第1色で発光する第1光源と第1色と異なる第2色で発光する第2光源を含む複数の第1発光ユニットと、複数の第1発光ユニットを制御するコントローラと、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本開示の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示のある態様によれば、発光する色を切り替え可能であり、また発光部分の位置や大きさを制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る車両用灯具を示す図である。
図2図2(a)~(d)は、車両用灯具の例示的な発光態様を示す図である。
図3図3(a)、(b)は、車両用灯具による点灯パターンの遷移例を説明する図である。
図4図4(a)、(b)は、図3(a)、(b)の遷移に対応するタイムチャートである。
図5図5(a)、(b)は、Y方向の発光領域の移動を説明する図である。
図6図6(a)、(b)は、図5(a)、(b)の遷移に対応するタイムチャートである。
図7】第1色での発光状態から、第2色での発光状態への遷移の一例を示す図である。
図8図7の遷移に対応するタイムチャートである。
図9】車両用灯具を備えるフロントグリルを示す図である。
図10】実施の形態2に係る車両用灯具を示す図である。
図11】車両用灯具の断面図である。
図12】実施の形態3に係る車両用灯具を示す図である。
図13】車両用灯具を備えるヘッドランプを示す図である。
図14】車両用灯具を備えるリアコンビネーションランプを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。またこの概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、実施形態の欠くべからざる構成要素を限定するものではない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0011】
一実施形態に係る車両用灯具は、導光ユニットと、導光ユニットの第1端面に沿って配置され、それぞれが第1色で発光する第1光源と第1色と異なる第2色で発光する第2光源を含む複数の第1発光ユニットと、複数の第1発光ユニットを制御するコントローラと、を備える。
【0012】
この構成によれば、発光する色を切り替え可能であり、また導光ユニットの発光部分の大きさや位置を制御できる。
【0013】
一実施形態において、車両用灯具は、導光ユニットの第1端面と反対側の第2端面に沿って配置され、それぞれが、第1色で発光する第3光源と第2色で発光する第4光源を含む、複数の第2発光ユニットをさらに備えてもよい。これにより、光の導波方向に関して、明るさのムラを低減できる。また光の導波方向に関して発光部分の位置や大きさを制御できるようになる。
【0014】
一実施形態において、導光ユニットは、複数の第1発光ユニットおよび複数の第2発光ユニットに対応し、それぞれが、複数の第1発光ユニットの対応するひとつから、複数の第2発光ユニットの対応するひとつに向かって延在する、複数の導光体を含んでもよい。これにより、第1発光ユニットと第2発光ユニットのペアごとに、光を導光体に閉じ込めることができ、発光ユニットペアごとの発光部分の境界を明確化することができる。
【0015】
一実施形態において、複数の導光体には、その延在方向に対して、離散的な複数のステップが形成されていてもよい。これにより、複数の発光部分をマトリクス状に配置することができる。
【0016】
一実施形態において、導光ユニットは1枚の導光パネルであってもよい。導光パネルの第1端面には、第1発光ユニットごとに設けられたコリメート光学系が設けられ、あるいは形成され、導光パネルの第2端面には、第2発光ユニットごとに設けられたコリメート光学系が設けられ、あるいは形成されていてもよい。
【0017】
一実施形態において、導光パネルには、光の導波方向に対して、離散的な複数のステップが形成されていてもよい。さらに複数のステップは、複数の第1発光ユニットの配列方向に関して、離散的に形成されてもよい。
【0018】
一実施形態において、コントローラは、(i)複数の第1発光ユニットにおいて第1光源を発光させ、複数の第2発光ユニットにおいて第3光源を発光させ、(ii)複数の第1発光ユニットにおいて、第1光源を時間とともに徐々に減光すると同時に、第2光源を時間とともに徐々に増光し、(iii)複数の第2発光ユニットにおいて、第3光源を時間とともに徐々に減光すると同時に、第4光源を時間とともに徐々に増光してもよい。
【0019】
これにより、第1色での発光状態から、第2色での発光状態に切り替える際に、光の導波方向に沿って、時間的に変化させることができる。
【0020】
一実施形態において、第1色と第2色の一方はターコイズであってもよい。これにより、自動運転中であることを示すランプとして利用できる。
【0021】
一実施形態において、第1色と第2色の一方は白色であってもよい。これによりDRL(Daytime Running Lamp)やポジションランプ(クリアランスランプ)として、あるいはおもてなしランプとして利用できる。
【0022】
一実施形態において、第1色と第2色の一方は赤であってもよいし、アンバーであってもよい。これによりストップランプやターンランプとして利用できる。
【0023】
一実施形態において、車両用灯具は、車両のフロントグリルに実装されてもよい。また車両用灯具は、ヘッドランプまたはリアコンビネーションランプに実装されてもよい。また車両用灯具は、室内灯であってもよい。
【0024】
(実施形態)
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示の本質的なものであるとは限らない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態に係る車両用灯具100を示す図である。車両用灯具100は、導光ユニット110と、複数(N個)の第1発光ユニット120_1~120_N、複数(N個)の第2発光ユニット130_1~130_Nおよびコントローラ140を備える。
【0026】
複数の第1発光ユニット120_1~120_Nは、導光ユニット110の第1端面S1に沿って配置される。第1発光ユニット120は、第1色で発光する第1光源122と第1色と異なる第2色で発光する第2光源124を含む。第1光源122および第2光源124は、LED(発光ダイオード)、LD(レーザダイオード)、有機EL(Electro Luminescence)などの半導体発光素子を用いることができる。第1発光ユニット120は、第1光源122および第2光源124に加えて、それらの点灯回路(駆動回路)を含む。点灯回路の構成は、光源の種類に応じて設計すればよい。
【0027】
複数の第2発光ユニット130_1~130_Nは、導光ユニット110の第1端面S1と反対側の第2端面S2に沿ってX方向に配列される。第2発光ユニット130は、第1発光ユニット120と同様に、第1色で発光する第3光源132と第2色で発光する第4光源134を含む。
【0028】
各第1発光ユニット120は、第1光源122、第2光源124の出射光L1,L2が、導光ユニット110の第1端面S1に入射するように位置決めされている。同様に各第2発光ユニット130は、第3光源132、第4光源134の出射光L3,L4が、導光ユニット110の第2端面S2に入射するように位置決めされている。
【0029】
第1発光ユニット120の第1光源122および第2光源124の出射光L1,L2は、導光ユニット110内を、第1端面S1と略垂直な方向(Y方向)に導波する。第2発光ユニット130の第3光源132、第4光源134の出射光L3,L4は、導光ユニット110内を、第2端面S2と略垂直な方向(Y方向)に、光L1,L2と逆向きに導波する。
【0030】
第1色および第2色は特に限定されず、車両用灯具100の用途に応じて決めればよい。たとえば第1色を白色、第2色をターコイズとしてもよい。本実施の形態では、第1発光ユニット120における第1光源122と第2光源124は相補的に点灯し、同様に第2発光ユニット130における第3光源132と第4光源134は相補的に点するものとする。
【0031】
コントローラ140は、複数の第1発光ユニット120_1~120_Nおよび複数の第2発光ユニット130_1~130_Nを制御する。具体的にはコントローラ140は、複数の光源122,124,132,134のオン、オフおよび光量を独立に制御可能に構成される。
【0032】
本実施の形態において、導光ユニット110は、N個の導光体112_1~112_Nを含む。N個の導光体112_1~112_Nは、N個の第1発光ユニット120、第2発光ユニット130に対応付けられる。i番目の導光体112_iは、対応する第1発光ユニット120_iの出射光と、対応する第2発光ユニット130_iの出射光を導波させる。言い換えれば、i番目の導光体112_iは、対応する第1発光ユニット120_iから、対応する第2発光ユニット130_iに向かって延在する。
【0033】
N個の導光体112_1~112_Nはそれぞれ、その延在方向(Y方向)に関して離散的な複数M個のステップ(粗面あるいはレンズアレイ)114_1~114_Mが形成されている。図1の例では、すべての導光体112について、ステップ数Mは5であり等しいが、導光体112ごとにステップ数Mは異なっていてもよい。
【0034】
図1の車両用灯具100では、複数のステップ114がM行N列のマトリクス状に配置され、独立した発光領域となる。
【0035】
以上が車両用灯具100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0036】
図2(a)~(d)は、車両用灯具100の例示的な発光態様を示す図である。ここではM=4,N=6として示す。
【0037】
図2(a)では、M行N列のすべての発光領域が、第1色で点灯している。コントローラ140は、すべての第1発光ユニット120において第1光源122を点灯状態、第2光源124を消灯状態としており、すべての第2発光ユニット130において第3光源132を点灯状態、第4光源134を消灯状態としている。
【0038】
図2(b)では、M行N列のすべての発光領域が、第2色で点灯している。コントローラ140は、すべての第1発光ユニット120において第2光源124を点灯状態、第1光源122を消灯状態としており、すべての第2発光ユニット130において第4光源134を点灯状態、第3光源132を消灯状態としている。
【0039】
図2(c)では、N列のうち、一部の列(3列目と4列目)の発光領域が、第1色で発光している。コントローラ140は、3列目と4列目において、第1光源122および第3光源132を点灯状態、第2光源124および第4光源134を消灯状態とする。残りの1,2,5,6列目の発光ユニット120_1,120_2,120_5,120_6,130_1,130_2,130_5,130_6は消灯状態である。
【0040】
同様にして、N列のうち、一部の列の発光領域を、第2色で発光させることも可能である。
【0041】
図2(d)では、N列のうち、一部の列(1列目、4列目~6列目)の発光領域が、第1色で発光しており、残りの列(2列目、3列目)の発光領域が、第2色で発光している。コントローラ140は、1列目、4列目~6列目において、第1光源122および第3光源132を点灯状態、第2光源124および第4光源134を消灯状態とする。また3列目と4列目において、第1光源122および第3光源132を消灯状態、第2光源124および第4光源134を点灯状態とする。
【0042】
このように、車両用灯具100によれば、複数の発光領域の状態(色および点灯/消灯)を列ごとに独立に制御することができる。以下、複数の発光領域の状態の組み合わせを点灯パターンと称する。
【0043】
車両用灯具100は、点灯パターンを時間とともに変化させることにより、アニメーション(動き)を演出することも可能である。図3(a)、(b)は、車両用灯具100による点灯パターンの遷移例を説明する図である。
【0044】
図3(a)では、第1色の発光領域が、図中、右から左に向かって移動していく。図3(b)では、一番左の列から順に点灯していくシーケンシャル点灯を示す。
【0045】
図4(a)、(b)は、図3(a)、(b)の遷移に対応するタイムチャートである。i列目の第1光源122、第3光源132の点灯、消灯状態を、122_i,132_iと表記している。
【0046】
図3(a)や(b)において、消灯状態として示す発光領域を、第2色で点灯させることも可能である。
【0047】
図3(a)、(b)および図4(a)、(b)では、X方向の発光領域の移動を説明したが、車両用灯具100は、Y方向についても、発光領域を移動させることができる。
【0048】
図5(a)、(b)は、Y方向の発光領域の移動を説明する図である。図6(a)、(b)は、図5(a)、(b)の遷移に対応するタイムチャートである。
【0049】
図5(a)は、上半分の発光領域が点灯した第1状態φから、下半分の発光領域が点灯した第2状態φへの遷移を示す。図6(a)に示すように、第1状態φでは、複数の第1発光ユニット120の第1光源122_1~122_6が点灯しており、複数の第2発光ユニット130は消灯状態である。第1光源122_1~122_6の出射光は、導光ユニット110内を下向きに導波するが、光源からの距離が遠ざかるほど減衰するため、下側の領域の輝度は、上側の領域の輝度より低い。つまり、上半分だけ点灯しているように見える。
【0050】
第2状態φでは、複数の第2発光ユニット130の第3光源132_1~132_6が点灯しており、複数の第1発光ユニット120は消灯状態である。第3光源132_1~132_6の出射光は、導光ユニット110内を上向きに導波するが、光源からの距離が遠ざかるほど減衰するため、上側の領域の輝度は、下側の領域の輝度より低い。つまり、下半分だけ点灯しているように見える。
【0051】
複数の第1発光ユニット120は消灯し、複数の第2発光ユニット130の第3光源132が点灯している。
【0052】
図5(b)は、第1状態φから第2状態φに徐々に遷移する様子を示す。この遷移は、図6(b)の制御によって実現できる。図6(b)の制御では、第1光源122、第3光源132の輝度が、連続的に制御可能となっている。
【0053】
図7は、第1色での発光状態から、第2色での発光状態への遷移の一例を示す図である。図8は、図7の遷移に対応するタイムチャートである。
【0054】
はじめにコントローラ140は、(i)複数の第1発光ユニット120において第1光源122_1~122_6を発光させ、複数の第2発光ユニット130において第3光源132_1~132_6を発光させている。この状態では、図7の(i)に示すように、パネル全体が、第1色で発光する。
【0055】
コントローラ140(ii)複数の第1発光ユニット120_1~120_6において、第1光源122_1~122_6を時間とともに徐々に減光すると同時に、第2光源124_1~124_6を時間とともに徐々に増光する。これにより図7の(ii)に示すように、パネルの上半分が、第1色から第2色に変化する。
【0056】
さらにコントローラ140は、(iii)複数の第2発光ユニット130_1~130_6において、第3光源132_1~132_6を時間とともに徐々に減光すると同時に、第4光源134_1~134_6を時間とともに徐々に増光する。これにより、パネルの下半分が第1色から第2色に遷移し、最終的に図7の(iii)に示すように、パネル全面が第2色となる。
【0057】
続いて、車両用灯具100の用途を説明する。車両用灯具100は、自動車のフロントグリルに実装してもよい。
【0058】
図9は、車両用灯具100を備えるフロントグリル700を示す図である。導光ユニット110は、横方向に配列される複数の導光体112を備える。各導光体112の上端面側には、図示しない第1発光ユニット120が設けられ、下端面には図示しない第2発光ユニット130が設けられる。
【0059】
このフロントグリル700において、第1色は白色、第2色はターコイズとすることができる。白色は、DRLやクリアランスランプ、おもてなしランプとしての機能を持たせることができる。フロントグリル700を搭載する車両が自動運転で走行する際には、フロントグリル700をターコイズで発光させることにより、当該車両が自動運転中であることを周囲の交通参加者に知らせることができる。
【0060】
なお、車両用灯具100の複数の発光領域の形状は長方形に限定されず、図9に示すように平行四辺形であってもよいし、三角形、五角形、六角形、八角形などの多角形や、円、楕円など、その他の形状であってもよい。発光領域の形状は、導光体112に設けられるステップの形状に応じて設計してもよい。あるいは、矩形のステップを形成しておき、導光ユニット110の表面に、発光領域の部分がくりぬかれたエクステンションやマスクを被せてもよい。
【0061】
なお、実施の形態1において、導光ユニット110の高さが低い場合、複数の第2発光ユニット130は省略してもよい。
【0062】
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2に係る車両用灯具200を示す図である。車両用灯具200の基本構造は、実施の形態1の車両用灯具100と同様であり、導光ユニット210、複数の第1発光ユニット220、複数の第2発光ユニット230を備える。
【0063】
実施の形態1と同様に、導光ユニット210は、複数の第1発光ユニット220、第2発光ユニット230に対応する複数の導光体212を備える。
【0064】
実施の形態2では、各導光体212は、厚さ方向に複数(図10では3枚)の導光板214a~241cを積層した構造を有している。
【0065】
第1発光ユニット220は、導光板214#(#=a~c)ごとに、第1光源222#および第2光源224#のペアを有する。同様に第2発光ユニット230は、導光板214#ごとに、第3光源232#および第4光源234#のペアを有する。
【0066】
コントローラ240は、各第1発光ユニット220に関して、複数の第1光源222a~222c、複数の第2光源224a~224cの点消灯を独立に制御可能である。同様にコントローラ240は、各第2発光ユニット230に関して、複数の第3光源232a~232c、複数の第4光源234a~234cの点消灯を独立に制御可能である。
【0067】
図11は、車両用灯具200の断面図である。導光板214a1~214cにはそれぞれ、異なる高さにステップ216a~216cが形成されている。導光板214_iに対応する第2光源224、第4光源234を点灯させると、導光板214_iに設けられたステップが、第2色で発光する。また導光板214_iに対応する第1光源222、第3光源232を点灯させると、導光板214_iに設けられたステップが、第1色で発光する。
【0068】
以上が車両用灯具200の構成である。この車両用灯具200によれば、各第1発光ユニット220において、複数の第1光源222a~222c(232a~232c)、複数の第2光源224a~224c(234a~234c)の点消灯を制御することにより、どの高さのステップを発光させるかを選択することができる。
【0069】
(実施の形態3)
図12は、実施の形態3に係る車両用灯具300を示す図である。車両用灯具300は、導光ユニット310、複数の第1発光ユニット320、複数の第2発光ユニット330、コントローラ340を備える。実施の形態3では、導光ユニット310が、1枚の導光パネル312で構成されている。
【0070】
導光パネル312には、マトリクス状に配置された複数のステップが形成されている。また導光ユニット310の第1端面S1側には、第1発光ユニット320ごとに、コリメート光学系314が設けられる。コリメート光学系は導光ユニット310と一体に形成されてもよい。図12に示すように、導光ユニット310が1枚のパネルである場合、言い換えると、隣接する発光ユニットのビームが、同一の導光体内を導波する構成においては、各ビームの導波経路を制限するために、コリメート光学系314を設けるとよい。コリメート光学系314_iは、対応する第1発光ユニット320_iの出射光を平行光(平面波)とし、ビーム広がりを抑制し、導光ユニット310内を高さ方向(Y方向)に導波させる。なお図1図10に示すように、導光ユニット110(210)が、複数の導光体112(212)として分離して形成される場合には、導光ユニットごとにビームが閉じ込められるため、コリメート光学系は設けてもよいし、省略してもよい。
【0071】
同様に導光ユニット310の第2端面S2側には、第2発光ユニット330ごとに、コリメート光学系316が設けられる。コリメート光学系316_iは、対応する第2発光ユニット330_iの出射光を平行光(平面波)とし、広がりを抑制し、導光ユニット310内を導波させる。
【0072】
コリメート光学系314,316は、導光ユニット310の第1端面S1、第2端面S2に設けた凸状の部材であってもよい。
【0073】
コリメート光学系314,316をうまく設計することにより、複数の第1発光ユニット320の出射光を、導光パネル312内で干渉せずに導波させることが可能となる。
【0074】
なお、図12の車両用灯具300において、複数の第2発光ユニット330と複数のコリメート光学系316は省略してもよい。
【0075】
続いて車両用灯具300の用途を説明する。図13は、車両用灯具300を備えるヘッドランプ800を示す図である。ヘッドランプ800は、ロービーム802、ハイビーム804、クリアランスランプ806、ターンランプ兼ADSランプ810を備える。クリアランスランプ806は、DRLを兼ねていてもよい。
【0076】
ターンランプ兼ADS(Automated Driving System)ランプ810は、車両用灯具300であり、ターンランプとして機能するときにはアンバーで発光し、ADSランプとして機能するときにはターコイズで発光する。したがって、車両用灯具300は、第1色がアンバー、第2色がターコイズとして設計される。
【0077】
図13において導光パネル312の全面に、連続的なステップを形成してもよい。あるいは図12に示すように、マトリクス状にステップを形成してもよい。あるいは1行N列でステップを形成してもよい。
【0078】
図14は、車両用灯具300を備えるリアコンビネーションランプ900を示す図である。リアコンビネーションランプ900は、テイルランプ兼ADSランプ910と、ターンランプ兼ADSランプ920を備える。
【0079】
テイルランプ兼ADSランプ910と、ターンランプ兼ADSランプ920はそれぞれ、図12の車両用灯具300である。テイルランプ兼ADSランプ910は、テイルランプとして機能するとき赤色で発光し、ADSランプとして機能するとき、アンバーで発光する。したがって、第1色が赤、第2色がターコイズとして設計される。
【0080】
ターンランプ兼ADSランプ920は、ターンランプとして機能するとき、アンバーで発光し、ADSランプとして機能するとき、ターコイズで発光する。したがって、第1色がアンバー、第2色がターコイズとして設計される。
【0081】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本開示を説明したが、実施の形態は、本開示の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本開示の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本開示は、車両用灯具に利用できる。
【符号の説明】
【0083】
100…車両用灯具,110…導光ユニット,S1…第1端面,S2…第2端面,112…導光体,120…第1発光ユニット,122…第1光源,124…第2光源,130…第2発光ユニット,132…第3光源,134…第4光源,140…コントローラ,200…車両用灯具,210…導光ユニット,212…導光体,214…導光板,220…第1発光ユニット,222…第1光源,224…第2光源,230…第2発光ユニット,232…第3光源,234…第4光源,300…車両用灯具,310…導光ユニット,S1…第1端面,S2…第2端面,312…導光パネル,314,316…コリメート光学系,320…第1発光ユニット,322…第1光源,324…第2光源,330…第2発光ユニット,332…第3光源,334…第4光源,700…フロントグリル,800…ヘッドランプ,900…リアコンビネーションランプ,910…テイルランプ兼ADSランプ,920…ターンランプ兼ADSランプ。
図1
図2
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