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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】半導体構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 12/00 20230101AFI20250128BHJP
   H10D 30/60 20250101ALI20250128BHJP
【FI】
H10B12/00 681A
H10B12/00 671B
H10D30/60 M
H10D30/60 V
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022551314
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 CN2022098145
(87)【国際公開番号】W WO2023231075
(87)【国際公開日】2023-12-07
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】202210598976.8
(32)【優先日】2022-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522246670
【氏名又は名称】チャンシン メモリー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGXIN MEMORY TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】リー ヨンシャン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ミン-フイ
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111211122(CN,A)
【文献】特開2008-277826(JP,A)
【文献】特開2009-224520(JP,A)
【文献】国際公開第2014/112496(WO,A1)
【文献】特開2013-232488(JP,A)
【文献】米国特許第11056175(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
H10D 30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造の製造方法であって、
基板を提供することと、
前記基板内にイオン注入領域を形成することであって、前記イオン注入領域の上表面と前記基板の上表面との間には間隔がある、ことと、
前記基板内に初期ワード線トレンチを形成することであって、前記初期ワード線トレンチは、前記基板の上表面から前記イオン注入領域内まで延在される、ことと、
前記初期ワード線トレンチに対して拡幅処理を実行して、ワード線トレンチを形成することであって、前記ワード線トレンチの底部の幅は、前記ワード線トレンチの最小幅より大きい、ことと、を含
前記初期ワード線トレンチに対して拡幅処理を実行して、前記ワード線トレンチを形成することは、
インサイチュ工程により、前記初期ワード線トレンチの側壁及び底部に犠牲誘電体層を形成することであって、前記イオン注入領域内に位置する前記犠牲誘電体層の厚さは、残りの前記犠牲誘電体層の厚さより大きい、ことと、
前記犠牲誘電体層を除去して、前記ワード線トレンチを形成することと、を含む、前記半導体構造の製造方法。
【請求項2】
前記基板内にフッ素イオン又はホウ素イオンを注入して、前記イオン注入領域を形成する、
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項3】
前記イオン注入領域のイオン濃度は1×1017cm~1×1022cmであり、
前記イオン注入領域と前記基板の上表面との間の距離は100nm~200nmである、
請求項2に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項4】
前記ワード線トレンチを形成した後、前記半導体構造の製造方法は、
前記基板内に第1導電型のイオンを注入して、前記イオン注入領域を除去し、第1ドープ領域を形成することであって、前記第1ドープ領域の底部は、前記ワード線トレンチの底部より低く、前記第1ドープ領域の頂部は、前記ワード線トレンチの底部より高い、ことと、
前記基板内に第2導電型のイオンを注入して、第2ドープ領域を形成することであって、前記第2ドープ領域は、前記第1ドープ領域の上方に位置し且つ前記基板の上表面まで延在され、前記ワード線トレンチは、前記第2ドープ領域を貫通して前記第1ドープ領域内まで延在され、前記第1ドープ領域は第1導電型のドープ領域であり、前記第2ドープ領域は第2導電型のドープ領域である、ことと、
前記ワード線トレンチの側壁及び底部にゲート酸化物層を形成することと、
前記ゲート酸化物層の表面にワード線導電層を形成することであって、前記ワード線導電層の頂部は前記ワード線トレンチの頂部より低い、ことと、
前記ワード線トレンチ内に充填誘電体層を形成することであって、前記充填誘電体層は、前記ワード線導電層の頂部に位置し且つ少なくとも前記ワード線トレンチを完全に充填する、ことと、を更に含む、
請求項1ないしのいずれか一項に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項5】
前記第1導電型はP型であり、前記第2導電型はN型である、
請求項に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項6】
前記第1ドープ領域内のイオン濃度は1×1016cm~1×1020cmであり、前記第2ドープ領域内のイオン濃度は1×1016cm~1×1020cmである、
請求項に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項7】
前記イオン注入領域は第1ドープ領域であり、前記基板内にイオン注入領域を形成する前に、前記半導体構造の製造方法は、
前記基板内に第2ドープ領域を形成することを更に含み、前記第2ドープ領域は、前記第1ドープ領域の上方に位置し且つ前記基板の上表面まで延在され、前記初期ワード線トレンチは、前記第2ドープ領域を貫通して前記第1ドープ領域内まで延在され、前記第1ドープ領域は第1導電型のドープ領域であり、前記第2ドープ領域は第2導電型のドープ領域である、
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項8】
前記初期ワード線トレンチに対して拡幅処理を実行して、前記ワード線トレンチを形成することは、
ウエットエッチング溶液を用いて前記初期ワード線トレンチをウエットエッチングして、前記ワード線トレンチを得ることを含み、前記第1ドープ領域内の一部の前記初期ワード線トレンチに対する前記ウエットエッチング溶液のエッチング速度は、前記第2ドープ領域内の一部の前記初期ワード線トレンチに対する前記ウエットエッチング溶液のエッチング速度より大きい、
請求項に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項9】
前記第1導電型はP型であり、前記第2導電型はN型であり、前記ウエットエッチング溶液は、アンモニア水と過酸化水素の混合液を含む、
請求項に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項10】
前記第1ドープ領域内のイオン濃度は1×1016cm~1×1020cmであり、前記第2ドープ領域内のイオン濃度は1×1016cm~1×1020cmであり、
前記第1ドープ領域と前記基板の上表面との間の距離は100nm~200nmである、
請求項に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項11】
前記ワード線トレンチを形成した後、前記半導体構造の製造方法は、
前記ワード線トレンチの側壁及び底部にゲート酸化物層を形成することと、
前記ゲート酸化物層の表面にワード線導電層を形成することであって、前記ワード線導電層の頂部は、前記ワード線トレンチの頂部より低い、ことと、
前記ワード線トレンチ内に充填誘電体層を形成することであって、前記充填誘電体層は、前記ワード線導電層の頂部に位置し且つ少なくとも前記ワード線トレンチを完全に充填する、ことと、を更に含む、
請求項ないし10のいずれか一項に記載の半導体構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本願は、2022年05月30日に中国特許局に提出された、出願番号が202210598976.8である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が参照により本願に援用される。
【0002】
本開示の実施例は、半導体製造技術分野に関し、特に、半導体構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体記憶デバイス(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:Dynamic Random Access Memory)の高度な集積化に伴い、半導体基板上の単位セルの面積はそれに応じてだんだんと縮小しており、金属酸化物半導体(MOS)トランジスタのチャネル長もだんだんと減少し、チャネル長の減少はショートチャンネル效果(Short channel effect)の発生につながりやすい。
【0004】
半導体記憶デバイスの高度な集積化を保つために、現在の主流のDRAM工程では、メモリセルトランジスタとして、埋め込み型ワード線(BW:Buried Wordline)MOSを使用し、これにより、ショートチャネル効果をある程度低減し、デバイスのリーク現象を減らすことができる。
【0005】
しかしながら、メモリセルのサイズの縮小により、BWトレンチのサイズも縮小するため、BWトレンチに充填される金属の断面積も減少し、これは、ワード線(WL:Wordline)の電気抵抗の増加をもたらし、これにより、消費電力が高くなり、電気抵抗(R)寄生容量(C)の充放電プロセスによって引き起こされる信号遅延(RC遅延と略称)が増大する。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施例の各実施例は、半導体構造及びその製造方法を提供する。
【0007】
いくつかの実施例によれば、本開示の実施例の1つの態様は、半導体構造の製造方法を提供し、前記半導体構造の製造方法は、
基板を提供することと、
前記基板内にイオン注入領域を形成することであって、前記イオン注入領域の上表面と前記基板の上表面との間には間隔がある、ことと、
前記基板内に初期ワード線トレンチを形成することであって、前記初期ワード線トレンチは、前記基板の上表面から前記イオン注入領域内まで延在される、ことと、
前記初期ワード線トレンチに対して拡幅処理を実行して、ワード線トレンチを形成することであって、前記ワード線トレンチの底部の幅は前記ワード線トレンチの最小幅より大きい、ことと、を含む。
【0008】
いくつかの実施例によれば、前記基板内にフッ素イオン又はホウ素イオンを注入して、前記イオン注入領域を形成する。
【0009】
いくつかの実施例によれば、前記イオン注入領域のイオン濃度は1×1017cm~1×1022cmであり、
前記イオン注入領域と前記基板の上表面との間の距離は100nm~200nmである。
【0010】
いくつかの実施例によれば、前記初期ワード線トレンチに対して拡幅処理を実行して、前記ワード線トレンチを形成することは、
インサイチュ(in-situ)工程により、前記初期ワード線トレンチの側壁及び底部に犠牲誘電体層を形成することであって、前記イオン注入領域内に位置する前記犠牲誘電体層の厚さは、残りの前記犠牲誘電体層の厚さより大きい、ことと、
前記犠牲誘電体層を除去して、前記ワード線トレンチを形成することと、を含む。
【0011】
いくつかの実施例によれば、前記ワード線トレンチを形成した後、前記半導体構造の製造方法は、
前記基板内に第1導電型のイオンを注入して、前記イオン注入領域を除去し、第1ドープ領域を形成することであって、前記第1ドープ領域の底部は、前記ワード線トレンチの底部より低く、前記第1ドープ領域の頂部は、前記ワード線トレンチの底部より高い、ことと、
前記基板内に第2導電型のイオンを注入して、第2ドープ領域を形成することであって、前記第2ドープ領域は、前記第1ドープ領域の上方に位置し且つ前記基板の上表面まで延在され、前記ワード線トレンチは、前記第2ドープ領域を貫通して前記第1ドープ領域内まで延在され、前記第1ドープ領域は第1導電型のドープ領域であり、前記第2ドープ領域は第2導電型のドープ領域である、ことと、
前記ワード線トレンチの側壁及び底部にゲート酸化物層を形成することと、
前記ゲート酸化物層の表面にワード線導電層を形成することであって、前記ワード線導電層の頂部は前記ワード線トレンチの頂部より低いことと、
前記ワード線トレンチ内に充填誘電体層を形成することであって、前記充填誘電体層は、前記ワード線導電層の頂部に位置し且つ少なくとも前記ワード線トレンチを完全に充填する、ことと、を更に含む。
【0012】
いくつかの実施例によれば、前記第1導電型はP型であり、前記第2導電型はN型である。
【0013】
いくつかの実施例によれば、前記第1ドープ領域内のイオン濃度は1×1016cm~1×1020cmであり、前記第2ドープ領域内のイオン濃度は1×1016cm~1×1020cmである。
【0014】
いくつかの実施例によれば、前記イオン注入領域は第1ドープ領域であり、前記基板内にイオン注入領域を形成する前に、前記半導体構造の製造方法は、
前記基板内に第2ドープ領域を形成することを更に含み、前記第2ドープ領域は、前記第1ドープ領域の上方に位置し且つ前記基板の上表面まで延在され、前記初期ワード線トレンチは、前記第2ドープ領域を貫通して前記第1ドープ領域内まで延在され、前記第1ドープ領域は第1導電型のドープ領域であり、前記第2ドープ領域は第2導電型のドープ領域である。
【0015】
いくつかの実施例によれば、前記初期ワード線トレンチに対して拡幅処理を実行して、前記ワード線トレンチを形成することは、
ウエットエッチング溶液を用いて前記初期ワード線トレンチをウエットエッチングして、前記ワード線トレンチを得ることを含み、前記第1ドープ領域内の一部の前記初期ワード線トレンチに対する前記ウエットエッチング溶液のエッチング速度は、前記第2ドープ領域内の一部の前記初期ワード線トレンチに対する前記ウエットエッチング溶液のエッチング速度より大きい。
【0016】
いくつかの実施例によれば、前記第1導電型はP型であり、前記第2導電型はN型であり、前記ウエットエッチング溶液は、アンモニア水と過酸化水素の混合液を含む。
【0017】
いくつかの実施例によれば、前記第1ドープ領域内のイオン濃度は1×1016cm~1×1020cmであり、前記第2ドープ領域内のイオン濃度は1×1016cm~1×1020cmであり、
前記第1ドープ領域と前記基板の上表面との間の距離は100nm~200nmである。
【0018】
いくつかの実施例によれば、前記ワード線トレンチを形成した後、前記半導体構造の製造方法は、
前記ワード線トレンチの側壁及び底部にゲート酸化物層を形成することと、
前記ゲート酸化物層の表面にワード線導電層を形成することであって、前記ワード線導電層の頂部は前記ワード線トレンチの頂部より低いことと、
前記ワード線トレンチ内に充填誘電体層を形成することであって、前記充填誘電体層は、前記ワード線導電層の頂部に位置し且つ少なくとも前記ワード線トレンチを完全に充填する、ことと、を更に含む。
【0019】
いくつかの実施例によれば、本開示の実施例の別の態様は、半導体構造を提供し、前記半導体構造は、基板及びワード線トレンチを備え、
前記基板内には、第1ドープ領域及び第2ドープ領域が設けられており、前記第2ドープ領域は、前記基板の上表面から前記基板内まで延在され、前記第1ドープ領域は、前記第2ドープ領域の下方に位置し、前記第1ドープ領域は第1導電型のドープ領域であり、前記第2ドープ領域は第2導電型のドープ領域であり、
前記ワード線トレンチは、前記第2ドープ領域を貫通して前記第1ドープ領域内まで延在され、前記ワード線トレンチの底部の幅は前記ワード線トレンチの最小幅より大きい。
【0020】
いくつかの実施例によれば、前記第1ドープ領域内のイオン濃度は1×1016cm~1×1020cmであり、前記第2ドープ領域内のイオン濃度は1×1016cm~1×1020cmであり、
前記第1導電型はP型であり、前記第2導電型はN型であり、
前記第1ドープ領域と前記基板の上表面との間の距離は100nm~200nmである。
【0021】
いくつかの実施例によれば、前記半導体構造は更に、ゲート酸化物層、ワード線導電層及び充填誘電体層を備え、
前記ゲート酸化物層は、前記ワード線トレンチの側壁及び底部に位置し、
前記ワード線導電層は、前記ゲート酸化物層の表面に位置し、前記ワード線導電層の頂部は前記ワード線トレンチの頂部より低く、
前記充填誘電体層は、前記ワード線導電層の頂部に位置し且つ少なくとも前記ワード線トレンチを完全に充填する。
【0022】
本開示の実施例は、少なくとも以下の利点を有し得る。
【0023】
本開示の実施例に係る半導体構造の製造方法は、基板内にイオン注入領域を形成することにより、初期ワード線トレンチが形成された後、初期ワード線トレンチに対して拡幅処理を実行してワード線トレンチを形成することができ、これにより、形成されたワード線トレンチの底部断面積を増やすことができ、後続の製造過程で形成されるワード線の電気抵抗を減らし、デバイスの消費電力の増加やRC遅延の増大を回避することができる。
【0024】
本開示の実施例に係る半導体構造は、底部断面積が比較的大きいワード線トレンチを備え、これにより、後続の製造過程で形成されるワード線の電気抵抗を減らし、デバイスの消費電力の増加やRC遅延の増大を回避することができる。
【0025】
本開示の実施例の1つまたは複数の実施例の詳細は、以下の図面および説明で提案される。本開示の実施例の他の特徴、目的および利点は、明細書、図面および特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】埋め込み型ワード線工程において、ドライエッチングにより埋め込み型ワード線の山形のトレンチを形成した後に得られた構造の概略的な断面構造図である。
図2】埋め込み型ワード線工程において、ワード線構造を形成した後に得られた構造の概略的な断面構造図である。
図3】本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の製造方法のフローチャートである。
図4】本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の製造方法において、ステップS1で得られた構造の概略的な断面構造図である。
図5】本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の製造方法において、ステップS2で得られた構造の概略的な断面構造図である。
図6】本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の製造方法において、ステップS3で得られた構造の概略的な断面構造図である。
図7】本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の製造方法のステップS4のフローチャートである。
図8】本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の製造方法において、ステップS401で得られた構造の概略的な断面構造図である。
図9】本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の製造方法において、ステップS402で得られた構造の概略的な断面構造図である。
図10】本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の製造方法において、ワード線トレンチを形成した後のフローチャートである。
図11】本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の製造方法において、ステップS512で得られた構造の概略的な断面構造図である。
図12】本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の製造方法において、ステップS513で得られた構造の概略的な断面構造図である。
図13】本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の製造方法において、ステップS515で得られた構造の概略的な断面構造図であり、更に、本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の概略的な断面構造図である。
図14】本開示の実施例のうちの1つの実施例に係る半導体構造の製造方法において、基板内に第2ドープ領域を形成することによって得られた構造の概略的な断面構造図である。
図15】本開示の実施例の別の実施例に係る半導体構造の製造方法において、ステップS3で得られた構造の概略的な断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の実施例の技術的解決策をより明確に説明するために、以上は、実施例の説明で使用される図面について簡単に紹介した。以上に説明した図面は、本開示の実施例のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な作業なしに、これらの図面に従って他の図面を得ることもできることは自明である。
【0028】
本開示の実施例をより容易に理解させるために、以下、関連する図面を参照して本開示の実施例についてより全般的に説明する。図面には、本開示の実施例の好ましい実施例を示されている。しかしながら、本開示の実施例は様々な形態で実現でき、本明細書に記載の実施例に限定されるべきではない。それどころか、これらの実施例を提供する目的は、本開示の実施例の開示される内容をより明確且つ完全にすることである。
【0029】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示の実施例が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において、本開示の実施例の説明で使用される用語は、特定の実施例を説明するためのものに過ぎず、本開示の実施例を限定することを意図するものではない。
【0030】
理解すべきこととして、要素又は層が他の要素又は層の「上に位置する」場合、他の要素又は層の上に直接存在し得るか、又はその間に介在する要素又は層が存在し得る。理解すべきこととして、第1、第2などの用語を使用して各要素、構成要素、領域、層、ドープタイプ及び/又は部分を説明することができるが、これらの要素、構成要素、領域、層、ドープタイプ及び/又は部分は、これらの用語に限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、ドープタイプ又は部分を別の要素、構成要素、領域、層、ドープタイプと区別するためにのみ使用される。したがって、本開示の実施例の教示から逸脱することなく、以下で論じる第1要素、構成要素、領域、層、ドープタイプ又は部分は、第2要素、構成要素、領域、層又は部分と呼ばれてもよく、例えば、第1ドープ領域は第2ドープ領域と呼ばれ得、同様に、第2ドープ領域は第1ドープ領域と呼ばれ得、第1ドープ領域と第2ドープ領域は異なるドープ領域であり、例えば、第1ドープ領域は第1導電型のドープ領域であってもよく、第2ドープ領域は、第2ドープ領域は第2導電型のドープ領域であってもよい。或いは、第1ドープ領域は第2ドープ領域は第2導電型のドープ領域であってもよく、第2ドープ領域は第1導電型のドープ領域であってもよい。
【0031】
本明細書では、「…の下に位置する」、「…の上に位置する」などの空間関係用語は、図に示される、ある要素又は特徴と他の要素又は特徴との間の関係を説明するために使用され得る。理解すべきこととして、図に示されている向きに加えて、空間関係用語は、使用中及び動作中のデバイスの異なる向きを更に含む。例えば、図のデバイスが裏返される場合、「他の要素の下に位置する」という向きが他の要素又は特徴の「上」に位置するという向きになると説明される。したがって、「…の上に位置する」という用語は、上及び下の2つの向きを含み得る。更に、デバイスは、他の向き(例えば、90度回転又は他の向き)を含んでもよく、本明細書で使用される空間用語はそれに応じて解釈される。
【0032】
本明細書において、単数形の「1」、「1つ」及び「前記/当該」は、文脈で他の方式を明白に指示しない限り、複数形を含んでもよい。更に理解すべきこととして、「構成」及び/又は「含む」という用語が本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在が確定され得るが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在又は追加は除外されない。また、本明細書において、「及び/又は」という用語は、関連するリストされた項目の任意及び全ての組み合わせを含む。
【0033】
本明細書では、本開示の実施例の理想化された実施例(及び中間構造)の概略図である断面図を参照して本発明の実施例を説明し、このようにして、製造技術及び/又は公差による、示される形状の変化が予想される。したがって、本開示の実施例は、本明細書で示される領域の特定の形状に限定されるものではなく、例えば、製造技術による形状の偏差を含むものである。したがって、図に示される領域は、実質的には例示的なものであり、これらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すものではなく、本開示の実施例の範囲を限定するものではない。
【0034】
図1図15を参照されたい。留意すべきこととして、本実施例で提供される図面は、本開示の実施例の基本構想を例示的に説明するためのものに過ぎず、図面において、本開示の実施例に関連する構成要素のみが示されており、図面は、実際の実施におけるコンポーネントの数、形状及びサイズに従って描かれたものではなく、実際の実施では、各コンポーネントの形態、数量及び比率は任意に変更されてもよく、コンポーネントのレイアウトパターンもより複雑である可能性がある。
【0035】
半導体記憶デバイスの高度な集積化を保つために、現在の主流のDRAM工程では、メモリセルトランジスタとして、埋め込み型ワード線を使用し、これにより、ショートチャネル効果をある程度低減し、デバイスのリーク現象を減らすことができる。
【0036】
DRAM埋め込み型ワード線工程では、図1に示すように、通常、先ず、ドライエッチング(dry etching)により基板1’内に島状構造を形成し、次に、ドライエッチングにより埋め込み型ワード線山形トレンチを形成し、その後、図2に示すように、熱酸化工程を実行してゲート酸化物層132’を形成し、次に、金属133’及び充填誘電体層134’を下から上に順次堆積して、ワード線構造を形成する。
【0037】
しかしながら、メモリセルのサイズの縮小により、埋め込み型ワード線トレンチのサイズも縮小するため、埋め込み型ワード線トレンチに充填される金属の断面積も減少し、これは、ワード線の電気抵抗の増加をもたらし、これにより、消費電力が高くなり、RC遅延が増大する。
【0038】
先行技術の欠陥を考慮して、本開示の実施例いくつかの実施例は、半導体構造の製造方法を提供する。
【0039】
図3を参照すると、そのうちの1つの実施例では、当該製造方法は、次のステップを含み得る。
【0040】
ステップS1において、基板を提供する。
【0041】
ステップS2において、基板内にイオン注入領域を形成し、イオン注入領域の上表面と、基板の上表面との間には間隔がある。
【0042】
ステップS3において、基板内に初期ワード線トレンチを形成し、初期ワード線トレンチは、基板の上表面からイオン注入領域内まで延在される。
【0043】
ステップS4において、初期ワード線トレンチに対して拡幅処理を実行して、ワード線トレンチを形成し、ワード線トレンチの底部の幅は、ワード線トレンチの最小幅より大きい。
【0044】
本開示の実施例に係る半導体構造の製造方法は、基板内にイオン注入領域を形成することにより、初期ワード線トレンチが形成された後、初期ワード線トレンチに対して拡幅処理を実行してワード線トレンチを形成することができ、これにより、形成されたワード線トレンチの底部断面積を増やすことができ、後続の製造過程で形成されるワード線の電気抵抗を減らし、したがって、デバイスの消費電力を低減し、RC遅延を減らすことができる。
【0045】
以下、図4図15を参照して、本開示の実施例に係る半導体構造の製造方法についてより詳細に説明する。
【0046】
ステップS1の場合、図4に示すように、基板1を提供する。
【0047】
本開示の実施例は、基板1の材質に対して特に限定しない。例えば、基板1は、ケイ素基板、サファイア基板、ガラス基板、炭化ケイ素基板、窒化ガリウム基板又はガリウム砒素基板のうちのいずれか1つ又は複数を含み得るが、これらに限定されない。つまり、基板1の材質は、ケイ素、サファイア、ガラス、炭化ケイ素、窒化ガリウム又はガリウム砒素のうちのいずれか1つ又は複数を含み得るが、これらに限定されない。
【0048】
いくつかの可能な実施例では、ステップS1の前に、当該製造方法は、初期基板をエッチングして、図4に示される島状構造を形成するステップを更に含み得る。本開示の実施例は、初期基板のエッチング方式に対して特に限定しない。例えば、ドライエッチングにより初期基板をエッチングすることができるが、この方式に限定されない。
【0049】
ステップS2の場合、図5に示すように、基板1内にイオン注入領域11を形成する。具体的には、イオン注入領域11の上表面と基板1の上表面との間に間隔がある必要がある。
【0050】
本開示の実施例は、イオン注入領域11のイオン濃度に対して特に限定しない。例えば、イオン注入領域11のイオン濃度は1×1017cm~1×1022cmであり得、例えば、イオン注入領域11のイオン濃度は1×1017cm、1×1018cm、1×1019cm、1×1020cm、1×1021cm又は1×1022cm等であり得る。
【0051】
本開示の実施例は、イオン注入領域11と基板1の上表面との間の距離の大きさに対して特に限定しない。例えば、イオン注入領域11と基板1の上表面との間の距離は100nm~200nmであり得、例えば、イオン注入領域11と基板1の上表面との間の距離は100nm、125nm、150nm、175nm又は200nmであり得る。
【0052】
ステップS3の場合、図6に示すように、基板1内に初期ワード線トレンチ12を形成する。具体的には、初期ワード線トレンチ12は、基板1の上表面からイオン注入領域11まで延在される必要がある。
【0053】
本開示の実施例は、初期ワード線トレンチ12を形成する方式に対して特に限定しない。例えば、ドライエッチングにより基板1内に初期ワード線トレンチ12を形成することができるが、これに限定されない。
【0054】
例えば、ケイ素基板内に初期ワード線トレンチ12を形成するステップは、以下の方式で実行され得る。例えば、エッチングガスとして四フッ化炭素(CF)を使用してケイ素基板をドライエッチングし、四フッ化炭素は、容量結合プラズマ(CCP)又は誘導結合プラズマ(ICP)内でトリフルオロメチル(CF)及びフッ素(F)の中性ラジカルに解離される。これらのフッ素の中性ラジカルは、電子不飽和により反応活性が高いため、ケイ素基板と反応しやすく、揮発性を有する四フッ化ケイ素(SiF)を形成し、最終的に初期ワード線トレンチ12を形成する。
【0055】
本開示の実施例は、初期ワード線トレンチ12の幅に対して特に限定しない。1つの実施例では、ステップS2で形成される初期ワード線トレンチ12の幅は、後続の製造プロセスで形成されるワード線トレンチ13の幅の1/3~2/3であり得、例えば、ステップS2で形成される初期ワード線トレンチ12の幅は、後続の製造プロセスで形成されるワード線トレンチ13の幅の1/3、1/2又は2/3等であり得る。
【0056】
また、本開示の実施例は、初期ワード線トレンチ12の深さに対して特に限定しない。1つの実施例では、初期ワード線トレンチ12の底部がイオン注入領域11内に位置するようにすることができる。
【0057】
ステップS4の場合、図8及び図9を参照すると、初期ワード線トレンチ12に対して拡幅処理を実行して、ワード線トレンチ13を形成する。具体的には、ワード線トレンチ13の底部の幅d1は、ワード線トレンチ13の最小幅d2より大きい必要がある。いくつかの実施例では、ワード線トレンチ13の最小幅は、ワード線トレンチ13の上部(ワード線トレンチ13の底部の上の領域)の幅であってもよく、例えば、ワード線トレンチ13の上部は矩形である。
【0058】
本開示の実施例は、初期ワード線トレンチ12に対して拡幅処理を実行する方式に対して特に限定しない。図7を参照すると、1つの実施例では、ステップS4は、以下のステップを含み得る。
【0059】
ステップS401において、図8に示すように、インサイチュ工程により、初期ワード線トレンチ12の側壁及び底部に犠牲誘電体層131を形成する。具体的には、イオン注入領域11内に位置する犠牲誘電体層131の厚さは、残りの犠牲誘電体層131の厚さより大きい必要がある。
【0060】
ステップS402において、図9に示すように、犠牲誘電体層131を除去して、ワード線トレンチ13を形成する。
【0061】
ステップS401において、本開示の実施例は、犠牲誘電体層131を形成するインサイチュ(in-situ)工程の方式に対して特に限定しない。
【0062】
理解できることとして、基板1がケイ素基板を含む場合、エッチングにより初期ワード線トレンチ12を形成した後、露出した初期ワード線トレンチ12の側壁及び底部は、ケイ素(Si)を含むべきである。例えば、初期ワード線トレンチ12の側壁及び底部に犠牲誘電体層131を形成するステップは、以下の方式で実行され得る。熱酸化(例えば、ドライ酸素酸化又はウェット酸素酸化)工程により、エッチング後に露出したケイ素は二酸化ケイ素(SiO)に酸化され、犠牲誘電体層131が形成される。
【0063】
イオン注入領域11内の初期ワード線トレンチ12内のケイ素の反応速度は比較的速いため、より多くのケイ素が消費され、これにより、イオン注入領域11内に形成される犠牲誘電体層131の厚さが、残りの犠牲誘電体層131の厚さより大きくなる。
【0064】
本開示の実施例は、イオン注入領域11内に注入されるイオンの種類に対して特に限定しない。例えば、基板1内にフッ素イオンを注入することにより、イオン注入領域11を形成してもよい。ここで、基板1内にフッ素イオンを注入することにより、ケイ素元素と酸素(O)元素の活性化エネルギを低下させることができ、Si-Si結合よりも活性の低いSi-F結合が形成され、つまり、Si-F結合はより切断されやすく、つまり、酸素ガスがSi-Fを切断し、Si-O結合を形成しやすくなる。したがって、形成されるイオン注入領域11の酸化速度はより高く、より多くのケイ素を消費することができ、より厚い犠牲誘電体層131の形成に役立つ。
【0065】
例えば、フッ素イオンを基板1内に注入してイオン注入領域11を形成するステップは、以下の方式で実行され得る。例えば、三フッ化ホウ素(BF)をイオン源として使用し、三フッ化ホウ素をイオン化した後、電場によって加速して質量分析器に送り込み、質量分析器の磁場を用いて、フッ素イオン(F+又はF++)を選別し、加速器によりフッ素イオンのエネルギを120KeVに達させ、基板1の上表面との距離が100nm~200nmである領域で、ドープ濃度が1×1017cm~1×1022cmであるイオン注入領域11を形成する。
【0066】
ステップS402において、本開示の実施例は、犠牲誘電体層131を除去する方式に対して特に限定しない。例えば、ウエットエッチング(wet etching)工程を用いて犠牲誘電体層131を除去することができるが、これに限定されない。
【0067】
また、本開示の実施例は、ステップS402で使用されるウエットエッチング溶液の種類に対して特に限定しない。例えば、希釈したフッ化水素酸(DHF:Diluted Hydrofluoric Acid)又は緩衝酸化ケイ素エッチング溶液(BOE)を用いて犠牲誘電体層131を完全に除去することができるが、これに限定されない。
【0068】
以下、図10を参照すると、1つの実施例では、当該製造方法は、ワード線トレンチ13を形成した後、以下のステップを更に含み得る。
【0069】
ステップS511において、基板1内に第1導電型のイオンを注入して、イオン注入領域11を除去し、第1ドープ領域141を形成する。具体的には、第1ドープ領域141の底部は、ワード線トレンチ13の底部より低い必要があり、第1ドープ領域141の頂部はワード線トレンチ13の底部より高い必要がある。
【0070】
ステップS512において、基板1内に第2導電型のイオンを注入して、第2ドープ領域142を除去する。具体的には、図11に示すように、第2ドープ領域142は、第1ドープ領域141の上に位置し且つ基板1の上表面まで延在される必要があり、また、ワード線トレンチ13は、第2ドープ領域142を貫通して第1ドープ領域141内まで延在される必要があり、ここで、第1ドープ領域141は第1導電型のドープ領域であり、第2ドープ領域142は第2導電型のドープ領域である。
【0071】
ステップS513において、図12に示すように、ワード線トレンチ13の側壁及び底部にゲート酸化物層132を形成する。
【0072】
ステップS514において、ゲート酸化物層132の表面にワード線導電層133を形成する。具体的には、ワード線導電層133の頂部は、ワード線トレンチ13の頂部より低い。
【0073】
ステップS515において、ワード線トレンチ13内に充填誘電体層134を形成する。具体的には、図13に示すように、充填誘電体層134は、ワード線導電層133の頂部に位置し且つ少なくともワード線トレンチ13を完全に充填する必要がある。
【0074】
本開示の実施例は、ゲート酸化物層132を形成する方式に対して特に限定しない。例えば、フリーラジカル酸化工程、物理気相堆積(PVD:Physical Vapor Deposition)工程、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)工程、流体化学気相堆積(FCVD:Flowable Chemical Vapor Deposition)工程、高密度プラズマ堆積(HDP:High Density Plasma)工程、プラズマ増強堆積工程又は原子層堆積工程などのいずれかにより、ワード線トレンチ13の側壁及び底部にゲート酸化物層132を形成することができるが、これらの方式に限定されない。
【0075】
また、本開示の実施例は、ゲート酸化物層132の材質に対して特に限定しない。例えば、ゲート酸化物層132は、二酸化ケイ素層、高k誘電体材料層又は他の誘電体材料層などのうちの任意の1つ又は複数を含み得るが、これらに限定されず、つまり、ゲート酸化物層132の材質は、二酸化ケイ素、高k誘電体材料又は他の誘電体材料などのうちの任意の1つ又は複数を含み得るが、これらに限定されない。
【0076】
例えば、850℃~1050℃のフリーラジカル酸化工程によってゲート酸化物層132を形成することができ、例えば、850℃、900℃、950℃、1000℃又は1050℃などのフリーラジカル酸化工程によってゲート酸化物層132を形成することができる。酸素中性フリーラジカル(O)又は酸水素中性フリーラジカル(OH)は、水素(H)と酸素(O)が反応して水を形成する過程の中間生成物であり、核外の電子は飽和しておらず、化学活性が強いため、フリーラジカルは、比較的弱い化学結合を切断してからより強い化学結合を形成することができ、したがって、より品質の高いゲート酸化物層132を得ることができる。
【0077】
例えば、フリーラジカル酸化工程によってゲート酸化物層132を形成する過程では、反応圧力を20Torr以内に制御することができ、圧力が低いと、ガス分子の平均自由行程が長くなり、そのため、より長いラジカル寿命を得ることができる。
【0078】
本開示の実施例は、ワード線導電層133を形成する方式に対して特に限定しない。例えば、物理気相堆積工程、化学気相堆積工程、流体化学気相堆積工程、高密度プラズマ堆積工程、プラズマ増強堆積工程又は原子層堆積工程などのいずれかによって、ゲート酸化物層132の表面にワード線導電層133を形成することができるが、これらの方式に限定されない。
【0079】
例えば、ゲート酸化物層132の表面にワード線導電層133を形成するステップは、以下の方式で実行され得る。例えば、ゲート酸化物層132の表面にワード線導電材料層を形成し、一部のワード線導電材料層をエッチバックして、ワード線導電層133を形成する。
【0080】
また、本開示の実施例は、ワード線導電層133の材質に対して特に限定しない。例えば、ワード線導電層133の材質は、窒化チタン(TiN)、チタン(Ti)、ケイ化タングステン(SiW)又はタングステン(W)等のうちの1つ又は複数を含み得るが、これらに限定されない。
【0081】
例えば、ゲート酸化物層132の表面にワード線導電層133を形成するステップは、以下の方式で実行されてもよい。例えば、良好なステップカバレッジを備えた化学気相堆積工程よって、タングステン金属をワード線導電材料層として堆積し、この過程における反応ガスは、シラン(SiH)及び六フッ化タングステン(WF)を含み得るが、これらに限定されず、その後、ドライエッチングによりワード線導電材料層をエッチバックし、この過程におけるエッチングガスは、六フッ化硫黄を使用してもよいが、これに限定されない。
【0082】
本開示の実施例は、充填誘電体層134を形成する方式に対して特に限定しない。例えば、物理気相堆積工程又は化学気相堆積工程の任意の1の工程により、ワード線トレンチ13内に充填誘電体層134を形成することができる。
【0083】
本開示の実施例は、充填誘電体層134の材質に対して特に限定しない。例えば、充填誘電体層134の材質は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素(Si)又は酸窒化ケイ素(SiON)などのうちの1つ又は複数を含み得るが、これらに限定されない。
【0084】
例えば、ワード線トレンチ13内に充填誘電体層134を形成するステップは、以下の方式で実行され得る。例えば、化学気相堆積法を用いて、ヘキサクロロジシラン(SiCl、略してHCD)又はジクロロシラン(SiHCl、略してDCS)をアンモニア(NH)と反応させて、填充誘電体材料層として窒化ケイ素を形成し、次に、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により充填誘電体層134を形成する。
【0085】
本開示の実施例では、第1導電型はP型であり得、この場合、第2導電型はN型である必要がある。
【0086】
例えば、P型の第1ドープ領域141を形成するステップは、以下の方式で実行され得る。例えば、三フッ化ホウ素のイオン化によって生成されたホウ素イオン(B+)をイオン源として使用し、イオン注入工程により、ホウ素イオンがドープされたP型の第1ドープ領域141を形成する。
【0087】
例えば、N型の第2ドープ領域142を形成するステップは、以下の方式で実行され得る。例えば、リン(P)の蒸気イオン化によって生成されたリンイオン(P+)をイオン源として使用し、イオン注入工程により、第1ドープ領域141の上方に、リンイオンがドープされたN型の第2ドープ領域142を形成する。
【0088】
本開示の実施例は、第1ドープ領域141内のイオン濃度、及び第2ドープ領域142内のイオン濃度に対して特に限定しない。例えば、第1ドープ領域141内のイオン濃度は1×1016cm~1×1020cmであり得、例えば、第1ドープ領域141内のイオン濃度は1×1016cm、1×1017cm、1×1018cm、1×1019cm又は1×1020cm等であり得る。例えば、第2ドープ領域142内のイオン濃度は1×1016cm~1×1020cmであり得、例えば、第2ドープ領域142内のイオン濃度は1×1016cm、1×1017cm、1×1018cm、1×1019cm又は1×1020cm等であり得る。
【0089】
例えば、基板1内にホウ素(B)イオンを注入することにより、イオン注入領域11を形成してもよい。基板1内にホウ素イオンを注入することによりイオン注入領域11を形成する場合、イオン注入領域を第1ドープ領域141として使用することができる。この場合、基板1内にイオン注入領域11(本実施例では第1ドープ領域141であってもよい)を形成する場合、当該製造方法は、基板1内に第2ドープ領域142を形成するステップを更に含み得る。
【0090】
具体的には、図14に示すように、第2ドープ領域142は、第1ドープ領域141の上に位置し且つ基板1の上表面まで延在される必要がある。
【0091】
留意すべきこととして、第1ドープ領域141及び第2ドープ領域142を形成する方式については、上記の内容を参照することができ、ここでは繰り返して説明しない。
【0092】
この場合、ステップS3で得られる構造は、図15に示すようなものであり得、初期ワード線トレンチ12は、第2ドープ領域142を貫通して第1ドープ領域141内まで延在され、ここで、第1ドープ領域141は第1導電型のドープ領域であり、第2ドープ領域142は第2導電型のドープ領域である。
【0093】
留意すべきこととして、初期ワード線トレンチ12を形成する方式については、上記の内容を参照することができ、ここでは繰り返して説明しない。いくつかの実施例では、初期ワード線トレンチ12の上部の幅は、例えば、ワード線トレンチ13上部の幅の1/2より小さく、初期ワード線トレンチ12の上部の幅が比較的大きい場合、後続の拡幅処理過程では、初期ワード線トレンチ12上部の幅は大きくなるため、隣接するワード線トレンチ13間の間隔が小さくなり、これは、後続のビット線コンタクトパッドの製造に不利であり、ビット線コンタクトパッドはワード線トレンチ13間に位置し、ワード線トレンチ13間の間隔は小さいため、ビット線コンタクトパッドとワード線トレンチ13との接続をもたらし、つまり、ビット線はワード線に直接接続されるため、メモリの性能に影響を与える。
【0094】
1つの実施例では、第1導電型はP型であり得、この場合、第2導電型はN型である必要がある。
【0095】
1つの実施例では、ステップS4は、以下のステップを更に含み得る。
【0096】
ウエットエッチング溶液を用いて初期ワード線トレンチ12(図6に示す)をウエットエッチングして、ワード線トレンチ13を得、引き続き図11を参照すると、図11は、本実施例においてワード線トレンチ13を得た後の構造の概略的な断面構造図である。
【0097】
具体的には、形成されたワード線トレンチ13底部の幅がワード線トレンチ13の最小幅より大きくなるように、第1ドープ領域141内の一部の初期ワード線トレンチ12に対するウエットエッチング溶液のエッチング速度は、第2ドープ領域142内の一部の初期ワード線トレンチ12に対するウエットエッチング溶液のエッチング速度より大きい必要がある。
【0098】
本開示の実施例は、ウエットエッチング溶液の種類に対して特に限定しない。例えば、ウエットエッチング溶液は、アンモニア水と過酸化水素(H)の混合液を含み得るが、これに限定されない。
【0099】
初期ワード線トレンチ12をウエットエッチングする過程では、第1ドープ領域141の正孔濃度は、その上に位置する第2ドープ領域142の正孔濃度よりもはるかに高いので、過酸化水素のイオン化後に形成される過酸化水素イオン(HO2-)は、より高い正孔濃度を有する第1ドープ領域141の表面のケイ素と結合しやすく、反応して二酸化ケイ素を形成し、その後、二酸化ケイ素は、溶液中の水酸イオン(OH)と反応してケイ酸イオン(SiO 2-)を生成し、溶液に溶解される。したがって、第1ドープ領域141のウエットエッチング速度が比較的速く、より多くのケイ素を消費することができ、第1ドープ領域141の上に位置する第2ドープ領域142のウエットエッチングが比較的遅く、より少ないケイ素を消費する。このようにして、形成されるワード線トレンチ13の底部をより広げる。
【0100】
引き続き図12及び図13を参照すると、1つの実施例では、ウエットエッチング溶液を用いて初期ワード線トレンチ12をウエットエッチングして、ワード線トレンチ13を得た後、当該製造方法は、以下のステップを更に含み得る。
【0101】
図12に示すように、ワード線トレンチ13の側壁及び底部にゲート酸化物層132を形成し、ゲート酸化物層132の表面にワード線導電層133を形成し、ワード線導電層133の頂部はワード線トレンチ13の頂部より低く、図13に示すように、ワード線トレンチ13内に充填誘電体層134を形成し、充填誘電体層134は、ワード線導電層133の頂部に位置し、少なくともワード線トレンチ13を完全に充填する。
【0102】
留意すべきこととして、ゲート酸化物層132、ワード線導電層133及び充填誘電体層134を形成する方式については、上記の内容を参照することができ、ここでは繰り返して説明しない。
【0103】
理解されたいこととして、図3図7及び図10のフローチャートにおける各ステップは、矢印の指示に従って順次に表示されているが、これらのステップは、必ずしも矢印が示す順序で順番に実行されるとは限らない。本明細書で明示的に指定されていない限り、これらのステップの実行順番は厳しく限定せず、これらのステップは、他の順番で実行されてもよい。さらに、図3図7及び図10の少なくとも一部のステップは、複数のステップ又は複数の段階を含み得、これらのステップ又は段階は、必ずしも同時に実行されるわけではなく、異なる時点に実行されてもよく、これらのステップ又は段階の実行順番も、必ずしも順次実行されるわけではなく、他のステップや他のステップにおけるステップや段階の少なくとも一部と順番に又は交替で実行されてもよい。
【0104】
いくつかの実施例によれば、本開示の実施例は、半導体構造を更に提供する。
【0105】
引き続き図13を参照すると、1つの実施例では、当該半導体構造は、基板1、及びワード線トレンチ13を備えることができる。
【0106】
基板1内141には、第1ドープ領域141及び第2ドープ領域142が設けられており、ここで、第2ドープ領域142は、基板1の上表面から基板1内まで延在され、第1ドープ領域141は第2ドープ領域142の下方に位置し、具体的には、第1ドープ領域141は第1導電型のドープ領域であり得、この場合、第2ドープ領域142は第2導電型のドープ領域であり得る。
【0107】
ワード線トレンチ13は、第2ドープ領域142を貫通して第1ドープ領域141内まで延在され、具体的には、ワード線トレンチ13底部の幅は、ワード線トレンチ13の最小幅より大きい必要がある。
【0108】
本開示の実施例に係る半導体構造は、底部断面積が比較的大きいワード線トレンチ13を備え、これにより、後続の製造過程で形成されるワード線の電気抵抗を減らし、したがって、デバイスの消費電力を低減し、RC遅延を減らすことができる。
【0109】
本開示の実施例は、第1ドープ領域141と基板1の上表面との間の距離の大きさに対して特に限定しない。例えば、第1ドープ領域141と基板1の上表面との間の距離は100nm~200nmであり得、例えば、第1ドープ領域141と基板1の上表面との間の距離は100nm、125nm、150nm、175nm又は200nmであり得る。
【0110】
引き続き図13を参照すると、1つの実施例では、当該半導体構造は更に、ゲート酸化物層132、ワード線導電層133及び充填誘電体層134を備えることができる。
【0111】
具体的には、ゲート酸化物層132は、ワード線トレンチ13の側壁及び底部に位置し、ワード線導電層133は、ゲート酸化物層132の表面に位置し、ワード線導電層133の頂部はワード線トレンチ13の頂部より低く、充填誘電体層134は、ワード線導電層133の頂部に位置し且つ少なくともワード線トレンチ13を完全に充填する。
【0112】
留意すべきこととして、本開示の実施例の製造方法は全て、対応する半導体構造の製造に使用され得、したがって、方法の実施例と構造の実施例との間の技術的特徴は、矛盾しないことを前提として相互に置き換え及び補足することができ、これにより、当業者に本開示の実施例の技術的内容を理解させることができる。
【0113】
本明細書の各実施例は漸進的に説明されており、各実施例は、他の実施例との違いに焦点を合わせており、各実施例間の同じまたは類似な部分は相互に参照することができる。
【0114】
上記の実施例の各技術的特徴を任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするために、上述の実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについて説明されていないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、それらは全て、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0115】
上記の実施例は、本開示の実施例のいくつかの実施形態を説明するだけであり、その説明は、比較的具体的且つ詳細であるが、本願の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者にとって、本開示の実施例の構想から逸脱することなく、いくつかの変形又は改善を加えることができ、このような変形又は改善は全て、本開示の実施例の保護範囲に含まれることに留意されたい。したがって、本開示の実施例の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15