(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】フタラジノン誘導体及びその中間体を調製するプロセス
(51)【国際特許分類】
C07D 403/10 20060101AFI20250128BHJP
【FI】
C07D403/10
(21)【出願番号】P 2022564083
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(86)【国際出願番号】 IB2020000318
(87)【国際公開番号】W WO2021214502
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-04-03
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522410189
【氏名又は名称】アイディーエンス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100174252
【氏名又は名称】赤津 豪
(72)【発明者】
【氏名】リュウ、クンチョル
(72)【発明者】
【氏名】リー、ソクテク
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ヘラン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ウォンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジニョン
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534143(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0037116(KR,A)
【文献】The Journal of Organic Chemistry,1961年,Vol. 26,pp. 2525-2528,DOI: 10.1021/jo01351a600
【文献】Protective groups in organic synthesis,1999年,pp. 506-507, 581,ISBN 0-471-16019-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を調製する方法であって、
【化1】
式4の化合物を調整すること、及び、前記式4の化合物を脱保護することを含み、
【化2】
式中、X
1はフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフルオロアセチル(Tfa)及びp-メトキシベンジル(PMB)からなる群から選択されるアミン保護基であり、前記式4の化合物が式2の化合物を式3の化合物と反応させることによって調製され、
【化3】
式中、X
1は、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフルオロアセチル(Tfa)及びp-メトキシベンジル(PMB)からなる群から選択されるアミン保護基であり、HAは酸付加塩を形成する酸であり、
【化4】
前記式4の化合物を調製することが、少なくとも1種のアミドカップリング試薬及び少なくとも1種の塩基の存在下で行われ、
前記少なくとも1種のアミドカップリング試薬が、1,1’-カルボニルジイミダゾール、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され、前記少なくとも1種の塩基が、トリエチルアミンである、
方法。
【請求項2】
HAが塩酸(HCl)、臭化水素酸(HBr)又はヨウ化水素酸(HI)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
X
1が、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、及びp-メトキシベンジル(PMB)からなる群から選択されるアミン保護基である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記式4の化合物を非求核性塩基と反応させることを含み、式4のX
1がフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記式4の化合物をアルカリ塩基と反応させることを含み、式4のX
1がトリフルオロアセチル(Tfa)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記式4の化合物を酸と反応させることを含み、式4のX
1がp-メトキシベンジル(PMB)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記式1の化合物を酸と反応させて、前記式1の化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製することを更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
式2の化合物が、
【化5】
アミン保護基X
1を式6の化合物に導入して、式7の化合物を調製すること、及び
アゼチジン窒素保護基X
2を前記式7の化合物から除去して、調整され、
【化6】
【化7】
式中、X
1はフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフルオロアセチル(Tfa)及びp-メトキシベンジル(PMB)からなる群から選択されるアミン保護基であり、
X
2は
ブトキシカルボニル(Boc)、トリフェニルメチル(Trt)及びテトラヒドロピラニル(THP)からなる群から選択されるアゼチジン窒素保護基であり、
HAは、酸付加塩を形成する酸である、
方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
アミン保護基X
1を式6の化合物に導入することにより、式7の化合物が調製され、
【化8】
【化9】
式中、X
1はフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフルオロアセチル(Tfa)及びp-メトキシベンジル(PMB)からなる群から選択されるアミン保護基であり、
X
2は
ブトキシカルボニル(Boc)、トリフェニルメチル(Trt)及びテトラヒドロピラニル(THP)からなる群から選択されるアゼチジン窒素保護基である、
方法。
【請求項10】
HAが塩酸(HCl)、臭化水素酸(HBr)又はヨウ化水素酸(HI)である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記式2の化合物が以下の化合物、すなわち、
式2aの(9H-フルオレン-9-イル)メチル(アゼチジン-3-イルメチル)(シクロプロピル)カルバマート塩酸塩、
【化10】
式2bのN-(アゼチジン-3-イルメチル)-N’-シクロプロピル-2,2,2-
トリフルオロアセトアミド塩酸塩、
【化11】
及び式2cのN-(アゼチジン-3-イルメチル)-N’-(4-メトキシベンジル)シクロプロパンアミン塩酸塩
【化12】
からなる群から選択される、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記式4の化合物が以下の化合物、すなわち、
式4aの(9H-フルオレン-9-イル)メチルシクロプロピル([1-(2-フルオロ-5-[(4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)メチル]ベンゾイル)アゼチジン-3-イル]メチル)カルバマート、
【化13】
式4bのN-シクロプロピル-2,2,2-トリフルオロ-N’-([1-(2-フルオロ-5-[(4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)メチル]ベンゾイル)アゼチジン-3-イル]メチル)アセトアミド、
【化14】
及び式4cの4-(3-[3-([シクロプロピル(4-メトキシベンジル)アミノ]メチル)アゼチジン-1-カルボニル]-4-フルオロベンジル)フタラジン-1(2H)-オン
【化15】
からなる群から選択される、方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法であって、前記式7の化合物が以下の化合物、すなわち、
式7aのtert-ブチル3-([([(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル)(シクロプロピル)アミノ]メチル)アゼチジン-1-カルボキシラート、
【化16】
式7bのtert-ブチル3-[(シクロプロピル-2,2,2-トリフルオロアセトアミド)メチル]アゼチジン-1-カルボキシラート、
【化17】
及び式7cのtert-ブチル3-([シクロプロピル(4-メトキシベンジル)アミノ]メチル)アゼチジン-1-カルボキシラート
【化18】
からなる群から選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年4月21日に出願された米国特許出願第63/013,310号の優先権を主張するものであり、その内容を参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0002】
[技術分野]
本発明は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤であるフタラジノン誘導体を調製する方法、これらの調製方法に使用される中間体、中間体を調製する方法、並びに高純度及び高収率をもたらす方法から調製される前記誘導体を含む組成物及び生成物に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1(米国特許第9,682,973号)は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤として抗癌活性を有するフタラジノン誘導体、そのラセミ体、鏡像異性体若しくはジアステレオマー、又は薬学的に許容されるその塩を開示する。
【0004】
該特許文献は、フタラジノン誘導体を調製する方法、特に、実施例143及び171においては、下記反応スキーム1に示されるように、4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン又は薬学的に許容されるその塩を調製する方法を開示する。
【0005】
【0006】
4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン又は薬学的に許容されるその塩を上記調製方法に従って調製すると、各ステップにおいて、反応が終了せず、その結果、出発物質に対して極めて低い全収率で最終生成物が得られる。さらに、複数の不純物が生成するため、カラムクロマトグラフィによる精製が必要である。さらに、調製される中間体の大部分が液相中に存在するため、各ステップで定量的反応を達成することが困難であり、品質再現性が悪いために大量(例えば、大規模及び商業)生産への適用が困難である。
【0007】
特に、4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル(アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オンの合成プロセス(実施例143、ステップ2)では、反応が24時間以上進行しても終了しない。さらに、複数の関連物質が生成するため、実質的に純粋な試料を得るためには、カラムクロマトグラフィを含めて、追加の精製工程が必要であり、これは最終収率を減少させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン又は薬学的に許容されるその塩を調製する方法であって、1種又は複数種の中間体が固相で得られ、不純物形成の減少によって追加の精製工程を必要とせず、それによって大量(例えば、大規模及び商業)生産に適した方法で全収率を増加させる方法を提供することである。
【0010】
別の一態様は、上記調製方法に使用することができる1種又は複数種の新規な中間体を提供することである。
【0011】
別の一態様は、1種又は複数種の中間体を調製する方法を提供することである。
【0012】
本発明の方法から調製される式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含有する組成物及び生成物も提供される。
【0013】
本発明の他の目的及び効果は、添付図面と共に以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本明細書に記載されていない内容については、本発明の技術分野又は類似分野における熟練者であれば十分に認識し、推論し得るので、その説明を省略する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を調製する方法が提供される。
【0015】
【0016】
該方法は、式4の化合物を脱保護して式1の化合物を調製するステップ(a2)を含み、
【0017】
【0018】
式中、X1はアミン保護基である。
【0019】
本発明の別の一態様によれば、式2の化合物を式3の化合物と反応させるステップ(a1)を含む、式4の化合物を調製する方法が提供される。
【0020】
【0021】
式中、X1はアミン保護基であり、HAは、酸付加塩を形成する酸である。
【0022】
【0023】
本発明の別の一態様によれば、式2の化合物を調製する方法が提供される。
【0024】
【0025】
該方法は、
アミン保護基X1を式6の化合物に導入して、式7の化合物を調製するステップ(b1)、及び
アゼチジン窒素保護基X2を式7の化合物から除去して、式2の化合物を調製するステップ(b2)を含み、
【0026】
【0027】
【0028】
式中、X1はアミン保護基であり、
X2はアゼチジン窒素保護基であり、
HAは、酸付加塩を形成する酸である。
【0029】
本発明の別の一態様によれば、式2の化合物が提供される。
【0030】
【0031】
式中、X1はアミン保護基であり、
HAは、酸付加塩を形成する酸である。
【0032】
本発明の別の一態様によれば、式4の化合物が提供される。
【0033】
【0034】
式中、X1はアミン保護基である。
【0035】
本発明の別の一態様によれば、式7の化合物が提供される。
【0036】
【0037】
式中、X1はアミン保護基であり、
X2はアゼチジン窒素保護基である。
【発明の効果】
【0038】
本発明の一態様によれば、本方法に従って生成される1種又は複数種の中間体が固相で得られ、したがって中間体の分離がより簡便になる可能性がある。各プロセスにおいては、中間体を生成する反応は、最小限の副反応及び低レベルの不純物で終了する可能性があり、したがって、実質的に純粋な化合物を得るための分離及び精製に以前は必要であったカラムクロマトグラフィを行う必要がない。不純物の生成が減少し、中間体の分離が容易であるため、最終生成物を高純度及び高収率で得られる可能性がある。したがって、本発明の一態様に係る調製方法は、4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン又は薬学的に許容されるその塩をより高純度及びより高収率で、より経済的に調製できる可能性があり、したがって、大量(例えば、大規模及び商業)生産に適している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0040】
別段の記載がない限り、本発明で使用されるすべての術語は、本発明の関連技術分野の熟練者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、好ましい方法又は実施例が本明細書で記述されるが、それらと類似又は等価なものも本発明の範囲に含まれる。さらに、「含む」という用語は、包括的な意味を有するように意図され、列挙した要素以外の追加の要素を含むことができる。
【0041】
別段の記載がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量などの諸性質、反応条件などを表すすべての数値は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されることを理解されたい。
【0042】
本明細書では「式の化合物」という用語は、式に限定されることを意図したものではない。1つの構造が示されるときには、別段の記載がない限り、そのすべての可能な立体異性体及び互変異性体が含まれると理解される。
【0043】
「保護基」という用語は、アミノ基、アルコール基などの官能基を、それと共有結合を介して結合することによって、意図しない反応から保護し、保護基を適切な試薬で処理した後に官能基を再生する(すなわち、脱保護する)ことを可能にする官能基を指す。
【0044】
本明細書では、「本方法に従って生成される中間体は固相で得られる」という用語は、例えば、濾過及び乾燥、又は当該技術分野で既知の類似のステップによって、中間体が固形で得られることを意味する。
【0045】
「周囲温度」という用語は、約1℃から約30℃の範囲の屋内周囲温度を指す。
【0046】
本明細書で参考文献として引用したすべての刊行物の内容を参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0047】
本発明に開示された説明及び実施形態は、それぞれ他の説明及び実施形態に適用することができる。すなわち、本発明に開示された種々の要素のすべての組合せが本発明の範囲に属する。さらに、本発明の範囲は、以下に記載される特定の記述によって限定されるべきではない。
【0048】
本発明の一態様は、式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を調製する方法を提供する。
【0049】
【0050】
該方法は、式4の化合物を脱保護して式1の化合物を調製するステップ(a2)を含み、
【0051】
【0052】
式中、X1はアミン保護基である。
【0053】
式4の化合物は、式2の化合物を式3の化合物と反応させるステップ(a1)によって調製することができる。
【0054】
【0055】
式中、X1はアミン保護基であり、HAは、酸付加塩を形成する酸である。
【0056】
【0057】
本発明の別の一態様は、式2の化合物を式3の化合物と反応させるステップ(a1)を含む、式4の化合物を調製する方法を提供する。
【0058】
【0059】
【0060】
式中、
X1はアミン保護基であり、
HAは、酸付加塩を形成する酸である。
【0061】
HAは、上記のように、酸付加塩を形成する任意の酸であり得る。例えば、酸付加塩は、ハロゲン化水素酸塩であり得る。ハロゲン化水素酸としては、塩酸(HCl)、臭化水素酸(HBr)又はヨウ化水素酸(HI)、好ましくは塩酸(HCl)が挙げられる。
【0062】
ステップ(a1)においては、式4の化合物は、式2の化合物と式3の化合物とのアミド結合によって得られる可能性がある。ステップ(a2)においては、式1の化合物は、式4の化合物のアミン基の保護基であるX1を除去することによって得られる可能性がある。
【0063】
一実施形態においては、式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を調製する方法は、下記反応スキーム2によって表すことができる。
【0064】
【0065】
ステップ(a1)で使用される式3の化合物は、当該技術分野で既知の任意の方法、例えば、WO2004/080976に開示された方法(「重要な中間体の合成」のb項参照)に従って調製することができる。
【0066】
一実施形態においては、式2の化合物は、HAが塩酸である塩酸塩の形態であり得る。X1は、ステップ(a1)の反応においてX1が結合するアミン基を保護することができる任意のアミン保護基であり得る。このアミン保護基としては、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフルオロアセチル(Tfa)又はp-メトキシベンジル(PMB)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0067】
式4の化合物を調製するステップ(a1)は、式2の化合物のアゼチジンアミンと式3の化合物のカルボキシル基との間でアミド結合を形成することができる任意の条件下で行うことができる。
【0068】
一実施形態においては、ステップ(a1)は、アミドカップリング試薬の存在下で行うことができる。アミドカップリング試薬とは、アミンとの反応中に反応物のカルボキシル基を活性化してアミド基を形成することができる試薬を指す。アミドカップリング試薬としては、塩化トリメチルアセチル、1,1’-カルボニルジイミダゾール、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)又はそれらの任意の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
【0069】
ステップ(a1)は、塩基の存在下、例えば、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1種の塩基の存在下で行うことができる。
【0070】
一実施形態においては、ステップ(a1)は、少なくとも1種のアミドカップリング試薬と少なくとも1種の塩基の両方の存在下で行うことができる。
【0071】
一実施形態においては、ステップ(a1)は、塩化トリメチルアセチル、1,1’-カルボニルジイミダゾール、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1種のアミドカップリング剤と、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1種の塩基との両方の存在下で行うことができる。
【0072】
ステップ(a1)における反応では、反応を阻害しない溶媒を使用することができる。例えば、溶媒は、アセトニトリル、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド及びそれらの任意の組合せから選択することができる。一実施形態においては、溶媒はトルエンであり得る。
【0073】
ステップ(a1)における反応は、約-20℃~還流温度、一部の実施形態では約-20℃~約120℃、別の実施形態では約-10℃~約40℃の温度で行うことができる。
【0074】
ステップ(a1)では、反応生成物である式4の化合物が固相で得られる可能性がある。すなわち、式4の化合物が濾過及び乾燥によって固形で得られる可能性がある。
【0075】
式1の化合物を調製するステップ(a2)は、アミン保護基X1を式4の化合物から除去する反応であり、アミン保護基X1を除去する反応条件は、アミン保護基X1の種類により異なり得る。
【0076】
一実施形態においては、式1の化合物を調製するステップ(a2)は、X1がフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)であるときには、式4の化合物を非求核性塩基と反応させることを含むことができる。非求核性塩基は、特定のタイプに限定されず、アミン保護基X1を効果的に除去することができる任意の非求核性塩基であり得る。例えば、非求核性塩基は、ピペリジン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン及びそれらの任意の組合せから選択することができる。この場合、ステップ(a2)における反応溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド又はそれらの任意の組合せであり得る。例えば、X1がフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)であるときには、非求核性塩基及び溶媒は、それぞれ、ピペリジン及びアセトニトリル、ジイソプロピルエチルアミン及びテトラヒドロフラン、又は8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン及びN,N-ジメチルホルムアミドであり得る。
【0077】
別の一実施形態においては、ステップ(a2)では、X1がトリフルオロアセチル(Tfa)であるときには、式4の化合物をアルカリ塩基と反応させ得る。アルカリ塩基は、特定のタイプに限定されず、アミン保護基X1を効果的に分離することができる任意のアルカリ塩基であり得る。例えば、アルカリ塩基は、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又はそれらの任意の組合せであり得る。この場合、ステップ(a2)における反応溶媒は、C1~C4直鎖アルコール、C1~C4分岐アルコール又はそれらの任意の組合せに水を添加した溶媒であり得る。例えば、X1がトリフルオロアセチル(Tfa)であるときには、アルカリ塩基及び溶媒は、それぞれ、水酸化カリウム及びイソプロピルアルコール/水、炭酸カリウム及びメタノール/水、水酸化ナトリウム及びメタノール/水、又は炭酸ナトリウム及びエタノール/水であり得る。
【0078】
更に別の一実施形態においては、ステップ(a2)では、X1がp-メトキシベンジル(PMB)であるときには、式4の化合物を酸と反応させ得る。酸は、特定のタイプに限定されず、アミン保護基を効果的に除去することができる任意の酸であり得る。例えば、トリフルオロ酢酸を試薬及び溶媒として使用することができる。この場合、ステップ(2)の反応においては、式4の化合物の重量とトリフルオロ酢酸の体積の比(w/v)は、約1:5~約1:40であり得る。例えば、X1がp-メトキシベンジル(PMB)であるときには、ステップ(a2)の反応で使用される式4の化合物とトリフルオロ酢酸の比(w/v)は、約1:10であり得る。
【0079】
ステップ(a2)では、反応生成物である式1の化合物が固相で得られる可能性がある。すなわち、式1の化合物が濾過及び乾燥によって固形で得られる可能性がある。
【0080】
式1の化合物を酸と反応させて式1の化合物の酸付加塩を調製するステップ(a3)を更に行って、式1の化合物の薬学的に許容される塩を調製することができる。式1の化合物の酸付加塩の調製は、当業者が有機化学分野の常識に基づいて適切な方法を用いて行うことができる。式1の化合物の酸付加塩は、任意の薬学的に許容される酸付加塩、例えば、遊離酸から形成される酸付加塩であり得る。遊離酸は、無機酸でも有機酸でもよい。無機酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸又はリン酸であり得る。有機酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、L-若しくはD-酒石酸、DL-酒石酸、クエン酸、乳酸、安息香酸、マンデル酸、サリチル酸、ケイ皮酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、グリコール酸、ピルビン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸又はそれらの任意の組合せであり得るが、それらに限定されない。
【0081】
一実施形態では、酸付加塩は無機酸付加塩であり、一実施形態では、塩酸付加塩であり得る。式1の化合物の酸付加塩を調製するステップ(a)における反応は、酸付加塩の形成を阻害しない任意の溶媒中で行うことができる。例えば、溶媒は、アルコール、ケトン、エーテル、酢酸エステル、ジクロロメタン、クロロホルム及びそれらの任意の組合せから選択することができ、一部の実施形態においては、C1~C5アルコール、C3~C10ケトン、C2~C10エーテル、C2~C4アルキルアセタート、ジクロロメタン、クロロホルム又はそれらの任意の組合せであり得る。
【0082】
ステップ(a3)における反応は、約-20℃~還流温度の温度で、一部の実施形態では約-20℃~約50℃の温度で、別の実施形態では約-10℃~約30℃の温度で行うことができる。
【0083】
一実施形態においては、式1の化合物の塩酸塩は、約-20℃~還流温度の範囲の温度で、無水塩酸又は濃塩酸を式1で表される化合物に、アルコール、アルコールとケトンの混合物、アルコールとジクロロメタンの混合物、アルコールとクロロホルムの混合物、アルコールとエーテルの混合物、又はアルコールと酢酸エステルの混合物の溶媒と一緒に添加することによって調製することができる。例えば、アルコール、ケトン、エーテル及び酢酸エステルは、それぞれ、C1~C5アルコール、C3~C10ケトン、C2~C10エーテル及びC2~C4アルキルアセタートであり得る。
【0084】
一実施形態においては、式1の化合物の塩酸塩は、約-20℃~還流温度以下の範囲の温度で、無水塩酸又は濃塩酸を式1で表される化合物に、アルコール、アルコールとケトンの混合物、アルコールとジクロロメタンの混合物、アルコールとクロロホルムの混合物、又はアルコールとエーテルの混合物の溶媒と一緒に添加し、次いで、こうして形成された固体を濾過し、乾燥することによって調製することができる。例えば、アルコール、ケトン及びエーテルは、それぞれ、C1~C5アルコール、C3~C10ケトン及びC2~C10エーテルであり得る。
【0085】
ステップ(a3)では、反応生成物である式1の化合物の酸付加塩が固相で得られる可能性がある。すなわち、式1の化合物の酸付加塩が濾過及び乾燥によって固形で得られる可能性がある。
【0086】
別の一態様においては、上記式2の化合物を調製する方法が提供される。
【0087】
該方法は、
アミン保護基X1を式6の化合物に導入して式7の化合物を調製するステップ(b1)、及び
アゼチジン窒素保護基X2を式7の化合物から除去することによって式2の化合物を調製するステップ(b2)
を含み、
【0088】
【0089】
【0090】
上記式中、X1はアミン保護基であり、X2はアゼチジン窒素保護基である。
【0091】
一実施形態においては、式2の化合物は、式2中のHAが塩酸である酸付加塩であり得る。
【0092】
アミン保護基X1を式6の化合物に導入して式7の化合物を調製するステップ(b1)の反応においては、式2の化合物を式7の化合物から調製するときには、すなわちステップ(b2)の反応においては、アミン保護基X1は、式7の化合物のアゼチジン環の窒素に属さない第二級アミン基を保護し得る。したがって、アミン保護基X1は、式7の化合物のアゼチジン窒素保護基X2の脱保護反応による式2の酸付加塩化合物の調製においては、アゼチジン環に含まれない第二級アミン基を保護することができる任意の保護基であり得る。例えば、アミン保護基X1は、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフルオロアセチル(Tfa)又はp-メトキシベンジル(PMB)であり得る。
【0093】
ステップ(b1)の反応においては、アミン保護基X1を式6の化合物に導入することができる試薬は、アミン保護基X1の具体的なタイプに応じて変わり得る。例えば、ステップ(b1)の反応は、式6の化合物を、フルオレニルメトキシカルボニルクロリド、無水トリフルオロ酢酸、4-メトキシベンジルクロリド及びそれらの任意の組合せから選択される試薬と反応させることによって行うことができる。
【0094】
ステップ(b1)の反応は、塩基の存在下で行うことができる。塩基は、アミン保護基X1を式6の化合物に導入する反応を阻害しない限り、任意の塩基であり得る。例えば、塩基は第三級アミンであり得る。例えば、第三級アミンは、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン及びそれらの任意の組合せから選択することができる。
【0095】
一実施形態においては、ステップ(b)の反応は、アミン保護基X1を導入することができる試薬と塩基の両方の存在下で行うことができる。例えば、ステップ(b)の反応は、フルオレニルメトキシカルボニルクロリド、無水トリフルオロ酢酸、4-メトキシベンジルクロリド及びそれらの任意の組合せから選択される試薬と、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン及びそれらの任意の組合せから選択される塩基の両方の存在下で行うことができる。
【0096】
ステップ(b)の反応に使用される溶媒は、反応を阻害しない限り、特定のタイプに限定されない。例えば、溶媒は、アセトニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド及びそれらの任意の組合せから選択することができる。
【0097】
ステップ(b1)の反応は、約-20℃~還流温度以下の温度で、一部の実施形態では約-20℃~約120℃の温度で、別の実施形態では約-10℃~約80℃の温度で行うことができる。
【0098】
ステップ(b1)の反応後に行われる式2の化合物を調製するステップ(b2)の反応は、アゼチジン窒素保護基X2を式7の化合物から除去し、代わりに水素で置換するプロセスを含むことができる。アゼチジン窒素保護基X2は、アミン保護基X1が除去されないまま除去することができる任意の保護基であって、水素で置換され得る任意の保護基であり得る。例えば、アゼチジン窒素保護基X2は、ブトキシカルボニル(Boc)、トリフェニルメチル(Trt)及びテトラヒドロピラニル(THP)からなる群から選択することができる。一実施形態においては、アゼチジン窒素保護基X2は、ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0099】
ステップ(b2)における水素による置換のプロセスは、約-20℃~還流温度の温度で、一部の実施形態では約0℃~約90℃の温度で行うことができる。
【0100】
例えば、ステップ(b2)の反応における水素による置換のプロセスは、式7の化合物を酸と反応させて、アゼチジン窒素保護基X2を式7の化合物から除去し、水素で置換することによって行うことができる。酸は、特定のタイプに限定されず、アゼチジン窒素保護基X2を効果的に除去し、式2の酸付加塩を形成することができる任意の酸であり得る。例えば、酸は、ハロゲン化水素酸、例えば、塩酸、臭化水素酸又はヨウ化水素酸であり得る。一実施形態においては、酸は、無水塩酸又は濃塩酸であり得る。
【0101】
ステップ(b2)の反応における水素置換プロセスで使用される溶媒は、対応する反応を阻害しない任意の溶媒であり得る。例えば、アゼチジン窒素保護基X2がブトキシカルボニル(Boc)であるときには、溶媒は、アセトン、酢酸エチル、C1~C4直鎖又は分岐アルコール及びそれらの任意の組合せから選択することができる。
【0102】
一実施形態においては、X2がブトキシカルボニル(Boc)であるときには、ステップ(b2)の反応に使用される酸及び溶媒は、それぞれ、塩酸及びアセトン、又は塩酸及び酢酸エチル、又は塩酸及びイソプロピルアルコール、又は塩酸及びエタノール、又は塩酸及びメタノールであり得る。
【0103】
式2の酸付加塩は、ステップ(b2)の反応において酸を溶媒に添加してX2を式7の化合物から除去し、代わりに水素で置換した後に、後処理プロセスのない蒸発によって、又は適切な溶媒を添加した沈殿によって、調製することができる。酸付加塩を沈殿させるために添加される適切な溶媒は、酢酸エチル、アセトン、n-ヘキサン、イソプロピルアルコール及びそれらの任意の組合せから選択することができるが、それらに限定されない。任意の適切な溶媒は、対応する反応において溶媒に要求される条件を考慮して当業者が選択することができる。
【0104】
一実施形態においては、式2の化合物の酸付加塩のうちの一つの塩酸塩は、濃塩酸を式7の化合物にメタノール中で添加し、反応させ、反応生成物を減圧下で濃縮し、次いで酢酸エチルを添加して還流し、周囲温度で撹拌し、次いで濾過し、乾燥することにより調製することができる。
【0105】
式6の化合物は、式5で表される化合物の還元的アミノ化反応のステップ(b0)によって調製することができる。
【0106】
【0107】
式5においては、X2はアゼチジン窒素保護基である。
【0108】
ステップ(b0)の反応においては、式5の化合物の還元的アミノ化反応は、当業者が当該技術分野で既知の常識に基づいて行うことができる。一実施形態においては、ステップ(b0)の反応では、トリフルオロエタノールを溶媒として用い、水素化ホウ素ナトリウムを用い、触媒も添加剤もなしで還元的アミノ化を進めることによって、式6の化合物を高収率で調製することができる(Synthesis 2011、No.3、p.490~496参照)。
【0109】
一実施形態においては、式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を調製する方法は、下記反応スキーム3によって表すことができる。
【0110】
【0111】
例えば反応スキーム3で表される、本発明の例示的な調製方法に従って、4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン又は薬学的に許容されるその塩をより高純度及びより高収率で調製することができる。一実施形態においては、収率は、例えば米国特許第9,682,973号に開示されている、公知の方法で得られる収率よりも約3~10倍、好ましくは5~8倍高い可能性がある。別の一実施形態においては、本方法で得られる最終生成物は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、最も好ましくは少なくとも99%(99.5%又は99.9%を含む)のHPLCの面積百分率によって特定される純度を有し得る。
【0112】
式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を調製する方法においては、本発明の一態様によれば、本方法に従って生成される1種又は複数種の中間体(例えば、式2又は4の化合物)が固相で得られ、したがって中間体の分離がより簡便になる可能性がある。各プロセスにおいては、中間体を生成する反応が終了し、関連物質の生成が少なく、したがって、分離及び精製に以前は必要であったカラムクロマトグラフィを行う必要がない。関連物質の生成が減少し、中間体の分離が容易であるため、最終生成物が高収率で得られる可能性がある。さらに、大量(例えば、大規模及び商業)生産に適していないプロセスであるカラムクロマトグラフィを回避することができ、品質再現性が改善され得るので、該方法を大量生産に有利に適用することができる。
【0113】
別の一態様においては、式2の化合物が提供される。
【0114】
【0115】
式2においては、X1はアミン保護基であり、HAは酸付加塩を形成する酸である。
【0116】
アミン保護基X1は、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフルオロアセチル(Tfa)及びp-メトキシベンジル(PMB)からなる群から選択することができるが、それらに限定されない。
【0117】
HAは、酸付加塩を形成する任意の酸であり得る。例えば、HAはハロゲン化水素酸であり得る。ハロゲン化水素酸は、塩酸、臭化水素酸又はヨウ化水素酸、例えば、塩酸であり得る。
【0118】
式2の化合物は、固相中の新規な中間化合物であり、これは、上述したように、既存の方法では式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩の調製に使用されなかった。式2の化合物を中間体として使用すると、後続ステップのすべての生成物を、中間体を含めて、固相で得ることができる。次いで、精製工程を最小限にして、式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を高収率及び高純度で調製する方法が得られる可能性がある。したがって、式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を高収率及び高純度で大量(例えば、大規模及び商業)生産することができる。
【0119】
一実施形態においては、式2の化合物を以下の化合物からなる群から選択することができる。
【0120】
式2aの(9H-フルオレン-9-イル)メチル(アゼチジン-3-イルメチル)(シクロプロピル)カルバマート塩酸塩、
【0121】
【0122】
式2bのN-(アゼチジン-3-イルメチル)-N’-シクロプロピル-2,2,2-トリフルオロアセトアミド塩酸塩、
【0123】
【0124】
式2cのN-(アゼチジン-3-イルメチル)-N’-(4-メトキシベンジル)シクロプロパンアミン塩酸塩。
【0125】
【0126】
別の一態様においては、式4の化合物が提供される。
【0127】
【0128】
式中、X1はアミン保護基である。
【0129】
アミン保護基X1は、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフルオロアセチル(Tfa)及びp-メトキシベンジル(PMB)からなる群から選択することができるが、それらに限定されない。
【0130】
式4の化合物は、固相中の新規な中間化合物であり、これは、上述したように、既存の方法では式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩の調製に使用されなかった。式4の化合物を中間体として使用すると、式1の化合物が固相で得られる可能性がある。次いで、精製工程を最小限にすることができ、その結果、式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を高収率及び高純度で調製する方法が得られる。したがって、式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を高収率及び高純度で大量(例えば、大規模及び商業)生産することができる。
【0131】
一実施形態においては、式4の化合物を以下の化合物からなる群から選択することができる。
【0132】
式4aの(9H-フルオレン-9-イル)メチルシクロプロピル([1-(2-フルオロ-5-[(4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)メチル]ベンゾイル)アゼチジン-3-イル]メチル)カルバマート、
【0133】
【0134】
式4bのN-シクロプロピル-2,2,2-トリフルオロ-N’-([1-(2-フルオロ-5-[(4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)メチル]ベンゾイル)アゼチジン-3-イル]メチル)アセトアミド、
【0135】
【0136】
式4cの4-(3-[3-([シクロプロピル(4-メトキシベンジル)アミノ]メチル)アゼチジン-1-カルボニル]-4-フルオロベンジル)フタラジン-1(2H)-オン。
【0137】
【0138】
別の一態様においては、式7の化合物が提供される。
【0139】
【0140】
式中、X1はアミン保護基であり、
X2はアゼチジン窒素保護基である。
【0141】
アミン保護基X1は、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフルオロアセチル(Tfa)及びp-メトキシベンジル(PMB)からなる群から選択することができるが、それらに限定されない。
【0142】
アゼチジン窒素保護基X2は、ブトキシカルボニル(Boc)、トリフェニルメチル(Trt)及びテトラヒドロピラニル(THP)からなる群から選択することができる。一実施形態においては、アゼチジン窒素保護基X2は、ブトキシカルボニル(Boc)であり得る。
【0143】
式7の化合物は、新規な中間化合物であり、これは、上述したように、既存の方法では式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩の調製に使用されなかった。
【0144】
一実施形態においては、式7の化合物を以下の化合物からなる群から選択することができる。
【0145】
式7aのtert-ブチル3-([([(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル)(シクロプロピル)アミノ]メチル)アゼチジン-1-カルボキシラート、
【0146】
【0147】
式7bのtert-ブチル3-[(シクロプロピル-2,2,2-トリフルオロアセトアミド)メチル]アゼチジン-1-カルボキシラート、
【0148】
【0149】
式7cのtert-ブチル3-([シクロプロピル(4-メトキシベンジル)アミノ]メチル)アゼチジン-1-カルボキシラート。
【0150】
【0151】
本発明の別の一態様においては、本発明の方法を使用して、式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む原薬、医薬組成物又は医薬品を調製する。式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を原薬として使用するときには、本明細書に記載の中間化合物が不純物として存在してもよい。式2~7の化合物の各々の量は、不純物として存在するときには、微量レベルで存在するように、例えば、原薬の約1.0%以下、約0.5%以下、約0.2%以下、約0.1%以下であるように、又は全く存在しないように制御することができる。
【0152】
したがって、一態様においては、本発明の方法によって調製される式1の化合物の実質的に純粋な形態が、医薬組成物又は医薬品の調製における原薬としての使用のために提供される。一実施形態においては、本発明は、実質的に純粋な原薬を含む医薬組成物を包含し、式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、原薬中に約90%、約95%、約97%、約99%、約99.5%又は約99.9%を超える量で存在する。純度百分率は、当該技術分野で周知の方法を用いて決定することができる。例えば、純度百分率は、適切なクロマトグラフィ(例えば、HPLC)検出条件下でのすべてのピークのピーク面積の合計からの測定ピーク面積の百分率を参照することによって決定することができる。
【0153】
一態様においては、本発明は、したがって、有効量の式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を有効成分として含む医薬組成物を提供し、前記化合物は本発明の方法から調製される(例えば、本明細書に記載の1種以上の中間体、並びに反応スキーム1及び反応スキーム2)。本発明の医薬組成物は、PARP阻害剤に感受性の癌を含めた癌を治療するために患者に投与することができる。こうした製剤は、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、着色剤及び防腐剤、並びに他の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。
【0154】
別の一非限定的実施形態においては、本発明は、式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む生成物を提供する。
【0155】
【0156】
式中、式1の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、例えば、反応スキーム2及び反応スキーム3に示したように、上記本発明の方法によって製造される。
【0157】
以下、本発明を以下の実施例を参照して更に詳細に記述する。しかしながら、これらの実施例は、単なる説明のためのものであって、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0158】
tert-ブチル3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボキシラート(式6a)の調製
【0159】
【0160】
tert-ブチル3-ホルミルアゼチジン-1-カルボキシラート1.0kgを反応器に添加し、トリフルオロエタノール6.5kgをそれに添加した。シクロプロピルアミン0.3kgを0℃で添加し、周囲温度で1時間撹拌し、続いて反応器を0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム0.2kgを徐々に添加し、周囲温度で1時間撹拌し、次いで反応器を0℃に冷却した。水10.0kgをそれに徐々に添加した後、反応混合物をジクロロメタン6.7kgで抽出し、こうして得られた水層を更にジクロロメタン6.7kgで抽出した。有機層を15%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウム0.5kgで処理し、濾過し、次いで減圧濃縮して、化合物6a 0.98kgを黄色オイルとして得た(収率80.1%)。化合物6aを別個の精製プロセスなしに後続のプロセスに使用した。
1H NMR(CDCl3、400MHz)δ 3.99(t、2H)、3.60~3.57(m、2H)、2.90(d、2H)、2.66~2.62(m、1H)、2.11~2.06(m、1H)、1.59(br、1H)、1.44(s、9H)、0.46~0.42(m、2H)、0.32~0.28(m、2H)
【実施例2】
【0161】
tert-ブチル3-([([(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル)(シクロプロピル)アミノ]メチル)アゼチジン-1-カルボキシラート(式7a:X1=Fmoc)の調製
【0162】
【0163】
ジクロロメタン4.0kgを反応器に添加し、実施例1で調製したtert-ブチル3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボキシラート300.0g及びジイソプロピルエチルアミン188.4gをそれに順次添加し、次いで反応器を0℃に冷却した。反応器の内部温度が20℃を超えないように9-フルオレニルメトキシカルボニルクロリド377.2gを反応器に徐々に添加し、反応混合物を1時間撹拌した。水5.0kgをそれに添加して有機層を洗浄し、有機層を更に1N塩酸水溶液5.0kgで洗浄した。有機層を更に15%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウム250.0gで処理し、濾過し、減圧濃縮して、化合物7a 576.7gを黄色オイルとして定量的に得た。化合物7aを別個の精製プロセスなしに後続のプロセスに使用した。
1H NMR(CDCl3、400MHz)δ 7.72(d、2H)、7.56(d、2H)、7.36(t、2H)、7.30~7.26(m、2H)、4.52(d、2H)、4.17(t、1H)、3.89~3.85(m、2H)、3.56(m、2H)、3.30(m、2H)、2.60(m、1H)、2.28(m、1H)、1.43(s、9H)、0.61(m、2H)、0.45(m、2H)
【実施例3】
【0164】
tert-ブチル3-[(シクロプロピル-2,2,2-トリフルオロアセトアミド)メチル]アゼチジン-1-カルボキシラート(式7b:X1=Tfa)の調製
【0165】
【0166】
ジクロロメタン2.7kgを反応器に添加し、実施例1で調製したtert-ブチル3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボキシラート200.0gをそれに添加した。トリエチルアミン107.3gをそれに添加し、次いで反応器を0℃に冷却した。反応器の内部温度が20℃を超えないように無水トリフルオロ酢酸222.7gを反応器に徐々に添加し、反応混合物を1時間撹拌した。水2.0kgをそれに添加して有機層を洗浄し、有機層を更に1N塩酸水溶液2.0kgで洗浄した。有機層を更に7%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウム100.0gで処理し、濾過し、減圧濃縮して、化合物7b 284.8gを白色固体及び黄色オイルとして定量的に得た。化合物7bを別個の精製プロセスなしに後続のプロセスに使用した。
1H NMR(CDCl3、400MHz)δ 3.99(t、2H)、3.60~3.57(m、2H)、2.90(d、2H)、2.68~2.60(m、1H)、2.10~2.06(m、1H)、1.44(s、9H)、0.46- 0.41(m、2H)、0.32~0.28(m、2H)
【実施例4】
【0167】
tert-ブチル3-([シクロプロピル(4-メトキシベンジル)アミノ]メチル)アゼチジン-1-カルボキシラート(式7c:X1=PMB)の調製
【0168】
【0169】
アセトニトリル1.4kgを反応器に添加し、実施例1で調製したtert-ブチル3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボキシラート226.3g及びトリエチルアミン111.3gをそれに順次添加し、次いで反応器を0℃に冷却した。4-メトキシベンジルクロリド156.6gをそれに徐々に添加し、周囲温度で終夜撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、水2.0kg及び酢酸エチル(EA)1.8kgをそれに添加して、有機層を分離した。有機層を更に0.5N塩酸水溶液2.0kgで洗浄した。
【0170】
有機層を更に7%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウム100.0gで処理し、濾過し、次いで減圧濃縮して、化合物7c 285.8gを黄色オイルとして得た(収率82.5%)。化合物7cを別個の精製プロセスなしに後続のプロセスに使用した。
1H NMR(CDCl3、400MHz)δ 7.17~7.13(m、2H)、6.85- 6.82(m、2H)、3.88(t、2H)、3.80(s、3H)、3.65(s、2H)、3.47~3.43(m、2H)、2.78~2.72(m、1H)、2.66(d、2H)、1.72~1.67(m、1H)、1.41(s、9H)、0.51~0.47(m、2H)、0.37~0.34(m、2H)
【実施例5】
【0171】
(9H-フルオレン-9-イル)メチル(アゼチジン-3-イルメチル)(シクロプロピル)カルバマート塩酸塩(式2a:X1=Fmoc、HA=HCl)の調製
【0172】
【0173】
エタノール1.0Lを反応器に添加し、実施例2で調製したtert-ブチル3-([([(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル)(シクロプロピル)アミノ]メチル)アゼチジン-1-カルボキシラート100.0g及び濃塩酸24.8mLをそれに順次添加し、次いで得られた混合物を加熱した。反応を還流温度で30分間進行させ、次いで反応混合物を減圧濃縮した。酢酸エチル170mL及びn-ヘキサン430mLを残留物に添加し、周囲温度で終夜撹拌し、濾過し、次いで40℃で乾燥させて、化合物2a 78.2gを得た(収率91.2%)。
1H NMR(CDCl3、400MHz)δ 9.63(br、1H)、9.40(br、1H)、7.75~7.70(m、2H)、7.60~7.55(m、2H)、7.38(t、2H)、7.32~7.29(m、2H)、4.52(d、2H)、4.18(t、1H)、3.99(m、2H)、3,81(m、2H)、3,44~3.28(m、2H)、2.94(m、1H)、2,27(m、1H)、0,60~0.59(m、2H)、0,43(m、2H)
【実施例6】
【0174】
N-(アゼチジン-3-イルメチル)-N’-シクロプロピル-2,2,2-トリフルオロアセトアミド塩酸塩(式2b:X1=Tfa、HA=HCl)の調製
【0175】
【0176】
メタノール650mLを反応器に添加し、実施例3で調製したtert-ブチル3-[(シクロプロピル-2,2,2-トリフルオロアセトアミド)メチル]アゼチジン-1-カルボキシラート64.5g及び濃塩酸22.0mLをそれに順次添加し、次いで得られた混合物を加熱した。反応を還流温度で1時間進行させ、次いで反応混合物を減圧濃縮した。イソプロピルアルコール50mL及び酢酸エチル600mLを残留物に添加し、周囲温度で終夜撹拌し、濾過し、次いで40℃で乾燥させて、化合物2b 44.7gを得た(収率86.3%)。
1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ 9.39(br、2H)、3.98~3.93(m、2H)、3.77~3.72(m、2H)、3.67(d、2H)、3.09~3.01(m、1H)、2.96~2.90(m、1H)、0.88~0.86(m、4H)
【実施例7】
【0177】
N-(アゼチジン-3-イルメチル)-N’-(4-メトキシベンジル)シクロプロパンアミン塩酸塩(式2c:X1=PMB、HA=HCl)の調製
【0178】
【0179】
イソプロピルアルコール520mLを反応器に添加し、実施例4で調製したtert-ブチル3-([シクロプロピル(4-メトキシベンジル)アミノ]メチル)アゼチジン-1-カルボキシラート52.0g及び濃塩酸19.0mLをそれに順次添加し、次いで得られた混合物を加熱した。反応を還流温度で6時間進行させ、次いで反応混合物を減圧濃縮した。イソプロピルアルコール85mL及びn-ヘキサン210mLを残留物に添加し、周囲温度で終夜撹拌し、濾過し、次いで減圧乾燥させて、化合物2c 34.0gを得た(収率80.1%)。
1H NMR(CDCl3、400MHz)δ 9.29~9.18(m、2H)、7.54(m、2H)、6.89~6.88(m、2H)、4.41(m、3H)、4.24(m、2H)、3.92(m、2H)、3.77(m、3H)、3.68(m、2H)、2.58(m、1H)、1.40~1.36(m、1H)、1.00(m、1H)、0.91(m、1H)、0.71(m、1H)
【実施例8】
【0180】
(9H-フルオレン-9-イル)メチルシクロプロピル([1-(2-フルオロ-5-[(4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)メチル]ベンゾイル)アゼチジン-3-イル]メチル)カルバマート(式4a:X1=Fmoc)の調製
【0181】
【0182】
ジクロロメタン300mLを反応器に添加し、2-フルオロ-5-[(4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)メチル]安息香酸29.8g及び1,1’-カルボニルジイミダゾール17.9gをそれに順次添加した。反応を周囲温度で1時間進行させ、次いで反応器を15℃に冷却した。次いで、実施例5で調製した(9H-フルオレン-9-イル)メチル(アゼチジン-3-イルメチル)(シクロプロピル)カルバマート塩酸塩42.3gをそれに添加し、ジイソプロピルアミン19.4gをそれに徐々に添加した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌し、水300mLをそれに添加して有機層を洗浄し、次いで有機層を更に1N塩酸水溶液及び1N炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を更に5%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウム10.0gで処理し、濾過し、次いで減圧濃縮した。酢酸エチル70mL及びn-ヘキサン350mLを残留物に添加し、周囲温度で終夜撹拌し、濾過し、次いで50℃で乾燥させて、化合物4a 63.2gを得た(収率91.3%)。
1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ 12.60(s、1H)、8.26~8.24(m、1H)、7.97(d、1H)、7.90~7.78(m、4H)、7.65~7.62(m、2H)、7.48~7.28(m、7H)、4.51~4.48(m、2H)、4.32(s、2H)、4.26~4.23(m、1H)、3.97~3.86(m、2H)、3.62~3.56(m、2H)、3.30~3.25(m、2H)、2.24(m、1H)、1.24~1.23(m、1H)、0.48(m、2H)、0.38~0.35(m、2H)
【実施例9】
【0183】
N-シクロプロピル-2,2,2-トリフルオロ-N’-([1-(2-フルオロ-5-[(4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)メチル]ベンゾイル)アゼチジン-3-イル]メチル)アセトアミド(式4b:X1=Tfa)の調製
【0184】
【0185】
ジクロロメタン300mLを反応器に添加し、2-フルオロ-5-[(4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)メチル]安息香酸29.8g、次いで1,1’-カルボニルジイミダゾール17.9gをそれに順次添加した。反応を周囲温度で1時間進行させ、反応器を15℃に冷却し、次いで実施例6で調製したN-(アゼチジン-3-イルメチル)-N’-シクロプロピル-2,2,2-トリフルオロアセトアミド塩酸塩28.5g、次いでトリエチルアミン19.4gをそれに徐々に添加した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した後、水300mLを添加して有機層を洗浄し、次いで有機層を更に1N塩酸水溶液及び1N炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を5%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウム10.0gで処理し、濾過し、次いで減圧濃縮した。メタノール400mLを残留物に添加し、0℃で2時間撹拌し、濾過し、次いで50℃で乾燥させて、化合物4b 44.7gを得た(収率89.1%)。
1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ 12.62(s、1H)、8.27~8.25(m、1H)、7.97(d、1H)、7.90~7.86(m、1H)、7.83~7.79(m、1H)、7.48~7.46(m、2H)、7.24~7.19(m、1H)、4.33(s、2H)、4.14~4.02(m、2H)、3.79~3.62(m、4H)、3.01~2.91(m、1H)、2.88~2.85(m、1H)、0.87~0.68(m、4H)
【実施例10】
【0186】
4-(3-[3-([シクロプロピル(4-メトキシベンジル)アミノ]メチル)アゼチジン-1-カルボニル]-4-フルオロベンジル)フタラジン-1(2H)-オン(式4c:X1=PMB)の調製
【0187】
【0188】
ジクロロメタン300mLを反応器に添加し、2-フルオロ-5-[(4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)メチル]安息香酸29.8g及び1,1’-カルボニルジイミダゾール17.9gをそれに順次添加した。反応を周囲温度で1時間進行させ、次いで反応器を15℃に冷却した。次いで、実施例7で調製したN-(アゼチジン-3-イルメチル)-N’-(4-メトキシベンジル)シクロプロパンアミン塩酸塩31.1gをそれに添加し、トリエチルアミン19.4gをそれに徐々に添加した。
【0189】
反応混合物を周囲温度で1時間撹拌し、水300mLをそれに添加して有機層を洗浄し、次いで有機層を1N塩酸水溶液及び1N炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を5%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウム10.0gで処理し、濾過し、次いで減圧濃縮した。トルエン300mLを残留物に添加し、周囲温度で終夜撹拌し、濾過し、次いで50℃で乾燥させて、化合物4c 47.0gを得た(収率81.2%)。
1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ 12.61(s、1H)、8.26(d、1H)、7.98(d、1H)、7.92~7.87(m、1H)、7.84~7.80(m、1H)、7.52~7.48(m、2H)、7.43~7.42(m、1H)、7.26~7.12(m、2H)、6.97(d、2H)、4.32(m、2H)、4.26(m、2H)、4.18~4.09(m、2H)、3.90~3.82(m、2H)、3.77(s、3H)、3.36(m、1H)、3.32(m、2H)、2.55~2.50(m、1H)、1.19~1.13(m、1H)、0.86~0.85(m、1H)、0.80~0.75(m、1H)、0.69~0.68(m、1H)
【実施例11】
【0190】
4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン(式1)(1)の調製
【0191】
【0192】
アセトニトリル150mLを反応器に添加し、実施例8で調製した(9H-フルオレン-9-イル)メチルシクロプロピル([1-(2-フルオロ-5-[(4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)メチル]ベンゾイル)アゼチジン-3-イル]メチル)カルバマート30.0g及びピペリジン34.5gをそれに順次添加し、周囲温度で1時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮した後、2N塩酸水溶液300mLを残留物に添加し、1時間撹拌し、次いで珪藻土で濾過した。次いで、濾液を1N水酸化ナトリウム溶液でpH9以上に調節し、ジクロロメタン300mLを添加して抽出した。
【0193】
水層に更にジクロロメタン300mLを添加して抽出し、次いで有機層をそれと混合し、5%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで濃縮した。メタノール80mL及びジクロロメタン40mLを残留物に添加し、次いでアセトン150mLをそれに徐々に添加した。生成した固体を周囲温度で終夜撹拌し、濾過し、40℃で乾燥させて、化合物1 17.5gを得た(収率:90.1%)。
1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ 12.62(s、1H)、8.27~8.25(m、1H)、7.97(d、1H)、7.90~7.86(m、1H)、7.84~7.79(m、1H)、7.46~7.43(m、2H)、7.22~7.18(m、1H)、4.32(s、2H)、4.04~3.56(m、4H)、2.73~2.63(m、3H)、2.30(br、1H)、2.00~1.95(m、1H)、0.33~0.12(m、4H)
【実施例12】
【0194】
4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン(式1)(2)の調製
【0195】
【0196】
メタノール300mLを反応器に添加し、実施例9で調製したN-シクロプロピル-2,2,2-トリフルオロ-N’-([1-(2-フルオロ-5-[(4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)メチル]ベンゾイル)アゼチジン-3-イル]メチル)アセトアミド30.0g、次いで反応器を0℃に冷却した。反応器の内部温度が20℃を超えないように20%炭酸カリウム水溶液60mLを反応器に徐々に添加し、反応混合物を周囲温度で終夜撹拌した。水240mL及び300mLのジクロロメタン300mLをそれに添加して水層を抽出し、次いで水層を更にジクロロメタン300mLで抽出した。次いで、有機層をそれと混合し、5%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで濃縮した。メタノール100mL及びジクロロメタン50mLを残留物に添加し、次いでアセトン200mLをそれに徐々に添加した。生成した固体を周囲温度で終夜撹拌し、濾過し、40℃で乾燥させて、化合物1 22.4gを得た(収率92.1%)。
1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ 12.59(s、1H)、8.27~8.25(m、1H)、7.97(d、1H)、7,91~7,87(m、1H)、7.84~7.80(m、1H)、7.46~7,42(m、2H)、7,22~7,18(m、1H)、4,32(s、2H)、4.04~3.55(m、4H)、2.74~2.63(m、3H)、2.30(br、1H)、2.02~1.97(m、1H)、0.34~0.14(m、4H)
【実施例13】
【0197】
4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン(式1)(3)の調製
【0198】
【0199】
トリフルオロ酢酸100mLを反応器に添加し、実施例10で調製した4-(3-[3-([シクロプロピル(4-メトキシベンジル)アミノ]メチル)アゼチジン-1-カルボニル]-4-フルオロベンジル)フタラジン-1(2H)-オン10.0gをそれに添加し、60℃で1時間撹拌した。次いで、反応器を0℃に冷却し、100mLのジクロロメタン100mLをそれに添加し、次いで水100mLをそれに徐々に添加した。水層を更にジクロロメタン100mLで洗浄し、1N水酸化ナトリウム水溶液でpH9以上に調節し、次いでジクロロメタン100mLで抽出した。水層を更にジクロロメタン100mLで抽出し、有機層をそれと混合し、5%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで濃縮した。メタノール60mL及びジクロロメタン30mLを残留物に添加し、アセトン120mLをそれに徐々に添加した。生成した固体を周囲温度で終夜撹拌し、濾過し、40℃で乾燥させて、化合物1 13.4gを得た(収率86.9%)。
1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ 12.59(s、1H)、8.27~8.25(m、1H)、7.98(d、1H)、7.91~7.87(m、1H)、7.85~7.80(m、1H)、7.46~7.42(m、2H)、7.23~7.18(m、1H)、4.32(s、2H)、4.04~3.55(m、4H)、2.74~2.63(m、3H)、2.30(br、1H)、2.02~1.97(m、1H)、0,34~0.14(m、4H)
【実施例14】
【0200】
4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン(式1a)(1)の塩酸塩の調製
【0201】
【0202】
メタノール40mL及びアセトン100mLを反応器に添加し、実施例11で調製した4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン10.0gをそれに添加し、次いで反応器を0℃に冷却した。濃塩酸2.4gをそれに30分間徐々に添加し、周囲温度で終夜撹拌し、濾過し、40℃で乾燥させて、化合物1a 10.4gを得た(収率95.7%及びHPLC純度99.86%(面積%))。
1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ 12.61(s、1H)、9.37(br、2H)、8.27~8.25(m、1H)、7.98(d 1H)、7.93~7.88(m、1H)、7.85~7.81(m、1H)、7.49~7.45(m、2H)、7.25~7.20(m、1H)、4.33(s、2H)、4.13~3.82(m、4H)、3.31~3.22(m、2H)、3.07~3.00(m、1H)、2.65~2.60(m、1H)、0.91~0.67(m、4H)
【実施例15】
【0203】
4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン(式1a)(2)の塩酸塩の調製
【0204】
【0205】
エタノール40mL及び酢酸エチル60mLを反応器に添加し、実施例12で調製した4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン10.0gをそれに添加し、次いで反応器を0℃に冷却した。濃塩酸2.4gをそれに30分間徐々に添加し、周囲温度で終夜撹拌し、濾過し、40℃で乾燥させて、化合物1a 10.4gを得た(収率92.1%及びHPLC純度99.86%(面積%))。
1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ 12,60(s、1H)、9.19(br、2H)、8.27~8.25(m、1H)、7.98(d、1H)、7.93~7.89(m、1H)、7.85~7.81(m、1H)、7.50~7.44(m、2H)、7.25~7.20(m、1H)、4.33(s、2H)、4.13~3.81(m、4H)、3.30~3.22(m、2H)、3.05~2.98(m、1H)、2.65~2.61(m、1H)、0.88~0.68(m、4H)
【実施例16】
【0206】
4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン(式1a)(3)の塩酸塩の調製
【0207】
【0208】
エタノール50mL及びtert-ブチルメチルエーテル100mLを反応器に添加し、実施例13で調製した4-[3-(3-[(シクロプロピルアミノ)メチル]アゼチジン-1-カルボニル)-4-フルオロベンジル]フタラジン-1(2H)-オン10.0gをそれに添加し、次いで反応器を0℃に冷却した。濃塩酸2.4gをそれに30分間徐々に添加し、周囲温度で終夜撹拌し、濾過し、40℃で乾燥させて、化合物1a 10.6gを得た(収率97.2%及びHPLC純度99.80%(面積%))。
1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ 12.60(s、1H)、9.23(br、2H)、8.27~8.25(m、1H)、7.98(d、1H)、7.93~7.89(m、1H)、7.85~7.81(m、1H)、7.50~7.44(m、2H)、7.25~7.20(m、1H)、4.33(s、2H)、4.13~3.81(m、4H)、3.28~3.22(m、2H)、3.08~2.97(m、1H)、2.66~2.62(m、1H)、0.89~0.68(m、4H)
【0209】
記述した実施形態は、すべての点で単なる説明のためのものであって、限定的なものではないと考えるべきである。当業者は、本発明が、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的形態で実施され得ることを認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、上記記述ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味及び均等の範囲に入るすべての変更が本発明の範囲に包含される。