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特許7626824フラックス塗布状態検査装置及びフラックス塗布状態検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】フラックス塗布状態検査装置及びフラックス塗布状態検査方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20250128BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20250128BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
H05K3/34 512B
G01B11/02 H
G01N21/956 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023184937
(22)【出願日】2023-10-27
【審査請求日】2024-12-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 健介
(72)【発明者】
【氏名】神戸 聡
(72)【発明者】
【氏名】今泉 汐理
(72)【発明者】
【氏名】奥田 学
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-047067(JP,A)
【文献】特開2008-235739(JP,A)
【文献】特開2007-103660(JP,A)
【文献】特開平09-152317(JP,A)
【文献】実開平04-105581(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00 - 3/46
G01B 11/02
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の電極に塗布された、紫外光を吸収可能なフラックスを検査するためのフラックス塗布状態検査装置であって、
前記基板に対し紫外光を照射可能な照射手段と、
前記基板に照射された紫外光を撮像可能な撮像手段と、
前記基板に設けられた基準部を基準として、搭載予定の部品に対応するとともに該部品が搭載される複数の電極を包含する前記基板における検査領域を、前記部品ごとに設定する検査領域設定手段と、
前記照射手段によって前記検査領域に対し紫外光を照射しつつ、前記撮像手段によって該検査領域に照射された紫外光を撮像して得た撮像画像に基づき、フラックスの塗布状態に係る良否判定を行う判定手段とを備え、
前記判定手段は、前記検査領域ごとに該検査領域における所定の輝度閾値以上の輝度を有する部分の面積を算出するとともに、算出した面積に基づきフラックスの塗布状態を判定するように構成されていることを特徴とするフラックス塗布状態検査装置。
【請求項2】
前記照射手段から照射される紫外光の波長を100nm以上300nm以下に設定したことを特徴とする請求項1に記載のフラックス塗布状態検査装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、その光軸が前記基板と直交するようにして前記基板の上方に配置されており、
前記照射手段から前記基板に対し照射される紫外光の入射角を0°以上30°以下に設定したことを特徴とする請求項1に記載のフラックス塗布状態検査装置。
【請求項4】
透明又は半透明のフラックスの検査に用いられることを特徴とする請求項1に記載のフラックス塗布状態検査装置。
【請求項5】
前記基板としてのガラスエポキシ基板の電極に塗布されるフラックスの検査に用いられることを特徴とする請求項1に記載のフラックス塗布状態検査装置。
【請求項6】
基板の電極に塗布された、紫外光を吸収可能なフラックスを検査するためのフラックス塗布状態検査方法であって、
前記基板に対し紫外光を照射する照射工程と、
前記基板に照射された紫外光を撮像する撮像工程と、
前記基板に設けられた基準部を基準として、搭載予定の部品に対応するとともに該部品が搭載される複数の電極を包含する前記基板における検査領域を、前記部品ごとに設定する検査領域設定工程と、
前記照射工程によって前記検査領域に対し紫外光を照射しつつ、前記撮像工程によって該検査領域に照射された紫外光を撮像して得た撮像画像に基づき、フラックスの塗布状態に係る良否判定を行う判定工程とを含み、
前記判定工程では、前記検査領域ごとに該検査領域における所定の輝度閾値以上の輝度を有する部分の面積を算出するとともに、算出した面積に基づきフラックスの塗布状態を判定することを特徴とするフラックス塗布状態検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対するフラックスの塗布状態を検査するための検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリント基板上に電子部品を実装する場合、まずプリント基板上に配設された電極上にクリーム半田が印刷される。次いで、クリーム半田が印刷されたプリント基板に対し、クリーム半田の粘性に基づいて電子部品が仮止めされる。そして、電子部品の仮止め後、プリント基板がリフロー炉へ導かれ、所定のリフロー工程を経ることで半田付けが行われる。
【0003】
また、小型化や実装不良の発生抑制などを図るべく、電子部品として、ボールグリッドアレイ(BGA)など、底面に、複数の球形状のバンプ(半田ボール)が規則的に配列された半導体パッケージが提案されている。電子部品としてこのような半導体パッケージをプリント基板に実装する場合には、電極に対しバンプを載置すればよく、クリーム半田を印刷する必要はない。しかしながら、プリント基板に対しこのような半導体パッケージを実装するにあたっては、電極上にバンプを載置する前に、半田の濡れ性を高めるべく、電極にフラックスを塗布しておくことが好ましい。
【0004】
ここで、電極に対するフラックスの塗布状態が不適切なものとなっていると、プリント基板に対する電子部品の接合強度が不十分なものとなる等の不具合が生じるおそれがある。そのため、プリント基板に電子部品を載置する前に、フラックスの塗布状態を予め検査しておくことが好ましい。フラックスの塗布状態を検査するための検査装置としては、撮像機により撮影されたフラックスと、パターン認識された電極(回路パターン)とを比較することによって、フラックスの塗布状態を検査するものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の検査装置において、塗布されたフラックスの面積は電極(印刷回路)の全面の面積よりも広くなるように設定されており、また、フラックスは不透明なものとされている。従って、撮影機によりフラックスを撮影することはできても、フラックスが塗布された電極(印刷回路)を撮影することはできない。それ故、検査においては、検査領域として、実際の電極ではなく、あくまでパターン認識された電極を利用して、すなわち、仮想的に推定された電極の存在領域を利用して、フラックスの塗布状態が検査される。従って、十分な検査精度を確保するためには、実際の電極の位置に合うよう適切な検査領域を設定する必要がある。
【0006】
ここで、実際の電極の位置に合う適切な検査領域を設定するための手法としては、例えば、プリント基板に設けられたマークを基準として用いる手法が考えられる(例えば、特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-271165号公報
【文献】特開2005-286309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、マークを基準として用いる場合において、極めて小さなピッチで複数の電極が設けられるプリント基板(例えば、BGAなどの半導体パッケージが搭載されるプリント基板)に係る検査を行うときには、適切な検査領域を設定するために極めて高精度の処理が必要となるおそれがある。このような高精度の処理を行うことは、処理負担の増大ひいては検査効率の低下に繋がる。
【0009】
一方、処理負担を軽減するために処理を簡略化すれば、検査領域と実際の電極の位置との間で「ずれ」が生じやすくなり、結果的に、十分な検査精度を確保することができないおそれがある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検査領域を比較的簡単な処理で設定可能としながら、良好な検査精度を得ることができるフラックス塗布状態検査装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0012】
手段1.基板の電極に塗布された、紫外光を吸収可能なフラックスを検査するためのフラックス塗布状態検査装置であって、
前記基板に対し紫外光を照射可能な照射手段と、
前記基板に照射された紫外光を撮像可能な撮像手段と、
前記基板に設けられた基準部を基準として、搭載予定の部品に対応するとともに該部品が搭載される複数の電極を包含する前記基板における検査領域を、前記部品ごとに設定する検査領域設定手段と、
前記照射手段によって前記検査領域に対し紫外光を照射しつつ、前記撮像手段によって該検査領域に照射された紫外光を撮像して得た撮像画像に基づき、フラックスの塗布状態に係る良否判定を行う判定手段とを備え、
前記判定手段は、前記検査領域ごとに該検査領域における所定の輝度閾値以上の輝度を有する部分の面積を算出するとともに、算出した面積に基づきフラックスの塗布状態を判定するように構成されていることを特徴とするフラックス塗布状態検査装置。
【0013】
上記手段1によれば、検査領域設定手段によって、搭載予定の部品に対応するとともに該部品が搭載される複数の電極を包含する検査領域が設定される。例えば、搭載予定の部品がBGAであり、該部品が複数の電極に対し搭載される場合、これら電極を含む領域が検査領域として設定される。つまり、個々の電極1つ1つを検査領域として設定するのではなく、1の部品が搭載されることとなる複数の電極に対応して1の検査領域が設定される。従って、検査領域を比較的大まかに設定すればよいことになるから、比較的簡単な処理をもって検査領域を設定することができる。これにより、処理負担の軽減ひいては検査効率の向上を図ることができる。
【0014】
さらに、上記手段1によれば、判定手段によって、検査領域ごとに該検査領域における所定の輝度閾値以上の輝度を有する部分の面積が算出されるとともに、算出された面積に基づきフラックスの塗布状態が判定される。すなわち、紫外光がフラックスでは吸収される一方、電極では反射されるため、撮像画像において、フラックスは暗部となり、電極は明部となるところ、フラックスで覆われていない(本来フラックスで覆われるべき)電極に係る面積が、輝度閾値以上の輝度を有する部分の面積として算出される。その上で、輝度閾値以上の輝度を有する部分の面積(フラックスで覆われていない電極に係る面積)に基づき、フラックスの塗布状態が検査される。従って、フラックスの塗布状態の検査を、1の部品に対応する複数の電極ごとではなく、これら電極の全てを対象として一括的に行うことができる。そのため、比較的大まかな検査領域を設定しながらも良好な検査精度を得ることが可能となる。これにより、極めて小さなピッチで複数の電極が設けられる基板(例えば、BGAが搭載される基板)に係る検査を行うような場合であっても、十分な検査精度を確保することができる。
【0015】
手段2.前記照射手段から照射される紫外光の波長を100nm以上300nm以下に設定したことを特徴とする手段1に記載のフラックス塗布状態検査装置。
【0016】
上記手段2によれば、フラックスにおいて紫外光がより吸収されやすくなるため、撮像画像において、フラックスをより暗い状態とすることができる。そのため、撮像画像において、電極の輝度とフラックスの輝度との差をより大きなものとすることができ、フラックス及び電極をより正確に特定することができる。これにより、検査精度の更なる向上を図ることができる。
【0017】
尚、検査精度を一層高めるという点では、紫外光の波長を、200nm以上300nm以下とすることがより好ましく、220nm以上280nm以下とすることがより一層好ましく、230nm以上260nm以下とすることが最も好ましい。
【0018】
手段3.前記撮像手段は、その光軸が前記基板と直交するようにして前記基板の上方に配置されており、
前記照射手段から前記基板に対し照射される紫外光の入射角を0°以上30°以下に設定したことを特徴とする手段1に記載のフラックス塗布状態検査装置。
【0019】
上記手段3によれば、電極にて反射された紫外光が撮像手段へとより至りやすくなるため、撮像画像において、電極の輝度とフラックスの輝度との差を一層大きなものとすることができる。その結果、撮像画像においてフラックス及び電極を一層正確に特定することが可能となり、検査精度を一層高めることができる。
【0020】
尚、検査精度をさらに高めるという点では、基板に対する紫外光の入射角を、0°以上20°以下とすることがより好ましく、0°以上15°以下とすることがより一層好ましく、0°以上10°以下とすることが最も好ましい。
【0021】
手段4.透明又は半透明のフラックスの検査に用いられることを特徴とする手段1に記載のフラックス塗布状態検査装置。
【0022】
照射手段は、可視光ではなく紫外光を照射するため、上記手段4のようにフラックスが透明又は半透明であっても、撮像画像において、フラックスを暗部として表すことができる。従って、検査対象のフラックスが透明又は半透明であっても、フラックスの塗布状態を精度よく検査することができる。
【0023】
手段5.前記基板としてのガラスエポキシ基板の電極に塗布されるフラックスの検査に用いられることを特徴とする手段1に記載のフラックス塗布状態検査装置。
【0024】
上記手段5によれば、撮像画像において、電極及び基板(特に素地部)の明暗がよりつきやすくなり、明部(電極)に係る面積をより正確に特定することができる。これにより、検査精度を一層向上させることができる。
【0025】
手段6.基板の電極に塗布された、紫外光を吸収可能なフラックスを検査するためのフラックス塗布状態検査方法であって、
前記基板に対し紫外光を照射する照射工程と、
前記基板に照射された紫外光を撮像する撮像工程と、
前記基板に設けられた基準部を基準として、搭載予定の部品に対応するとともに該部品が搭載される複数の電極を包含する前記基板における検査領域を、前記部品ごとに設定する検査領域設定工程と、
前記照射工程によって前記検査領域に対し紫外光を照射しつつ、前記撮像工程によって該検査領域に照射された紫外光を撮像して得た撮像画像に基づき、フラックスの塗布状態に係る良否判定を行う判定工程とを含み、
前記判定工程では、前記検査領域ごとに該検査領域における所定の輝度閾値以上の輝度を有する部分の面積を算出するとともに、算出した面積に基づきフラックスの塗布状態を判定することを特徴とするフラックス塗布状態検査方法。
【0026】
上記手段6によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【0027】
尚、上記各手段に係る技術事項を適宜組み合わせてもよい。従って、例えば、上記手段2に係る技術事項に対し、上記手段4に係る技術事項を組み合わせてもよい。また、上記手段6に対し、上記手段2~5に係る技術事項のうちの少なくとも1つを適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】プリント基板の平面模式図である。
図2】電極を示すために電子部品などを省略したプリント基板の平面模式図である。
図3】プリント基板の部分拡大断面模式図である。
図4】電子部品の斜視模式図である。
図5】電極に搭載される前の電子部品などを示す部分拡大断面図である。
図6】プリント基板の製造ラインの構成を示すブロック図である。
図7】電極に塗布されたフラックスなどを示すプリント基板の部分拡大平面模式図である。
図8】フラックス塗布状態検査装置を模式的に示す概略構成図である。
図9】フラックス検査状態検査装置の機能構成を示すブロック図である。
図10】1の電極群を構成する複数の電極の全てがフラックスで適切に一括して覆われている場合におけるプリント基板の部分拡大平面模式図である
図11】1の電極群を構成する複数の電極の全てがフラックスで適切に一括して覆われている場合における輝度画像を示す模式図である。
図12】複数の電極のうちの一部がフラックスで適切に覆われておらず、露出している場合におけるプリント基板の部分拡大平面模式図である。
図13】複数の電極のうちの一部がフラックスで適切に覆われておらず、露出している場合における輝度画像を示す模式図である。
図14】複数の電極をそれぞれ個別にフラックスで覆う構成において、複数の電極のうちの一部が適切に覆われておらず、露出している場合におけるプリント基板の部分拡大平面模式図である。
図15】複数の電極をそれぞれ個別にフラックスで覆う構成において、複数の電極のうちの一部が適切に覆われておらず、露出している場合における輝度画像を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、「基板」としてのプリント基板の構成について説明する。
【0030】
図1~3に示すように、プリント基板1(以下、単に「基板1」という)は、いわゆるガラスエポキシ基板であり、ガラスエポキシ樹脂等からなる平板状のベース基板2に、銅箔からなる電極3(図1では不図示)などが形成されたものである。電極3上には、半田粒をフラックスで練ってなる半田4を介してチップ等の電子部品5が搭載されている。本実施形態では、電子部品5が「部品」に相当する。
【0031】
また、ベース基板2における電極3や回路パターン(電極パターン)を除く部位は、ガラスエポキシ樹脂やレジスト等からなる素地部6であり、本実施形態では、緑色を呈している。
【0032】
さらに、図4に示すように、本実施形態における電子部品5は、その底面に、複数のバンプ4aが規則的に並んでなる、いわゆるボールグリッドアレイ(BGA)である。各バンプ4aは、後述するリフロー装置14におけるリフロー工程において溶融して電極3の表面を広がることで、最終的に半田4を構成する。そして、ベース基板2は、1の電子部品5における各バンプ4aの搭載対象となる複数の電極3からなる電極群3x(図2参照)を有しており、ベース基板2に対し電子部品5を搭載する際には、電極群3xを構成する各電極3に対し各バンプ4aが搭載されるようになっている。また、ベース基板2は、複数(例えば4つ)の電極群3xを備えており、各電極群3xに対し1つずつ電子部品5が搭載されるようになっている。尚、本実施形態において、1の電極群3xを構成する複数の電極3のピッチは、非常に小さなもの(例えば、1.8mm以下又は0.5mm以下)とされている。
【0033】
さらに、図5に示すように、電極群3xに対する電子部品5の搭載前において、電極群3x(電極3)の表面を含むベース基板2の表面には、予めフラックス7が塗布されている。フラックス7は、電極3や電子部品5、半田4における金属酸化膜を除去し、半田4の濡れ性を高めるために使用される。フラックス7は、紫外光を吸収可能なものであり、また、透明又は半透明であって視認しにくいものである。さらに、本実施形態において、フラックス7は、1の電極群3xを構成する複数の電極3を個別に覆うのではなく、これら電極3の全てを一括して覆っている。
【0034】
加えて、ベース基板2には、電子部品5の搭載位置を特定するためのマーク8が設けられている(図1,2参照)。マーク8は、ベース基板2におけるフラックス7で覆われない部分に設けられており、後述する検査領域KRの特定にも利用される。本実施形態では、マーク8が「基準部」に相当する。尚、「基準部」として、所定の電極3や回路パターン(電極パターン)、印刷部などを利用してもよい。
【0035】
次に、基板1を製造する製造ライン(製造工程)について説明する。図6に示すように、製造ライン10には、その上流側(図6上側)から順に、フラックス塗布装置11、フラックス塗布状態検査装置12、部品実装機13、リフロー装置14及びリフロー後検査装置15が設置されている。基板1は、これら装置に対しこの順序で搬送されるように設定されている。
【0036】
フラックス塗布装置11は、基板1における少なくとも電極3の表面に対しフラックス7の塗布を行う。フラックス塗布装置11は、例えば、基板1上に所定のマスクを配置した上で、スクリーン印刷を利用して電極3の表面にフラックス7を塗布する。勿論、フラックス塗布装置11は、所定のディスペンサーによってフラックス7を塗布するものなどであってもよい。
【0037】
また、フラックス塗布装置11は、図7に示すように、1の電極群3xを構成する複数の電極3を一括して覆うようにフラックス7を塗布する。図7,10,12,14は、基板1の部分拡大平面模式図であり、これら図では、図示の便宜上、フラックス7に斜線を付しているが、フラックス7は透明又は半透明であるため、実際には、フラックス7の塗布領域を目視によって明確に把握することは容易ではない。
【0038】
フラックス塗布状態検査装置12は、電極3に塗布されたフラックス7の塗布状態を検査するためのものである。フラックス塗布状態検査装置12については後に説明する。
【0039】
部品実装機13は、電極3などに電子部品5を搭載する部品実装工程(マウント工程)を行う。これにより、電子部品5は、バンプ4aを介して電極群3xに載置される。
【0040】
リフロー装置14は、バンプ4aなどを加熱溶融させるためのリフロー工程を行うものである。リフロー工程を経た基板1において、バンプ4aは、溶融して電極3の表面を広がるとともに最終的に固化して半田4となる。そして、半田4によって電極3と電子部品5とが接合された状態となる。
【0041】
リフロー後検査装置15は、リフロー工程において半田接合が適切に行われたか否か等について検査するリフロー後検査工程を行う。例えばリフロー工程後の基板1の画像データ等を用いて電子部品5における位置ずれの有無などを検査する。
【0042】
この他、図示は省略するが、製造ライン10は、フラックス塗布装置11とフラックス塗布状態検査装置12との間などの上記各装置間に、基板1を移送するためのコンベア等を備えている。また、フラックス塗布状態検査装置12と部品実装機13との間やリフロー後検査装置15の下流側には分岐装置が設けられている。そして、フラックス塗布状態検査装置12やリフロー後検査装置15にて良品判定された基板1は、そのまま下流側へ案内される一方、検査装置12,15の少なくとも一方にて不良品判定された基板1は分岐装置により不良品貯留部(不図示)へと排出されるようになっている。
【0043】
次に、フラックス塗布状態検査装置12の構成について説明する。図8,9に示すように、フラックス塗布状態検査装置12は、基板1の搬送や位置決め等を行う搬送機構31と、フラックス7の検査を行うための検査ユニット32と、搬送機構31や検査ユニット32の駆動制御をはじめ、検査装置12における各種制御や画像処理、演算処理を実行する制御装置33とを備えている。
【0044】
搬送機構31は、基板1の搬入出方向に沿って配置された一対の搬送レール31aと、各搬送レール31aに対し回転可能に配設された無端のコンベアベルト31bとを備えている。また、図示は省略するが、搬送機構31には、前記コンベアベルト31bを駆動するモータ等の駆動手段と、基板1を所定位置に位置決めするためのチャック機構とが設けられている。搬送機構31は、制御装置33(後述する搬送機構制御部338)により駆動制御される。
【0045】
上記構成の下、フラックス塗布状態検査装置12へ搬入された基板1は、搬入出方向と直交する幅方向の両側縁部がそれぞれ搬送レール31aに挿し込まれるとともに、コンベアベルト31b上に載置される。続いて、コンベアベルト31bが動作を開始し、基板1が所定の検査位置まで搬送される。基板1が検査位置に達すると、コンベアベルト31bが停止するとともに、前記チャック機構が作動する。このチャック機構の動作により、コンベアベルト31bが押し上げられ、コンベアベルト31bと搬送レール31aの上辺部によって基板1の両側縁部が挟持された状態となる。これにより、基板1が検査位置に位置決め固定される。検査が終了すると、チャック機構による固定が解除されるとともに、コンベアベルト31bが動作を開始する。これにより、基板1は、フラックス塗布状態検査装置12から搬出される。勿論、搬送機構31の構成は、上記形態に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0046】
検査ユニット32は、搬送レール31a(基板1の搬送路)の上方に配設されており、照明装置321及びカメラ322を備えている。本実施形態では、照明装置321が「照射手段」を構成し、カメラ322が「撮像手段」を構成する。
【0047】
また、検査ユニット32は、X軸方向(図8左右方向)の移動を可能とするX軸移動機構323、及び、Y軸方向(図8前後方向)の移動を可能とするY軸移動機構324をも備えている。両移動機構323,324は、制御装置33(後述する移動機構制御部337)により駆動制御される。
【0048】
照明装置321は、フラックス塗布状態検査装置12による検査対象となる基板1に対し、紫外光を照射する。照明装置321から照射される紫外光の波長は、100nm以上300nm以下に設定されている。尚、紫外光の波長を、200nm以上300nm以下とすることがより好ましく、220nm以上280nm以下とすることがより一層好ましく、230nm以上260nm以下とすることが最も好ましい。
【0049】
また、照明装置321は、基板1に対し、鉛直上方又は斜め上方からの光の照射を行う。照明装置321から基板1(特に検査領域)に対する紫外光の入射角θは、0°以上30°以下に設定されている。尚、入射角θを、0°以上20°以下とすることがより好ましく、0°以上15°以下とすることがより一層好ましく、0°以上10°以下とすることが最も好ましい。本実施形態では、照明装置321から基板1に対し紫外光を照射する工程が「照射工程」に相当する。
【0050】
カメラ322は、その光軸Oが検査対象の基板1に直交するようにして該基板1の真上に配置されており、該基板1における所定の検査領域KR(図7等における、二点鎖線からなる矩形で囲まれた領域)を真上から撮像する。尚、本実施形態において、検査領域KRは、搭載予定の電子部品5ごとに設定されており、1の電極群3xを構成する複数の電極3の全てを包含する領域とされている。検査領域KRは、後述する検査領域設定部335により設定される。
【0051】
カメラ322は、照明装置321から照射される紫外光に感度を有するCCDカメラ等で構成されており、制御装置33(後述するカメラ制御部333)により動作制御される。制御装置33の動作制御により、カメラ322は、照明装置321から基板1に対する紫外光の照射が行われている状態で、検査領域KRにおける基板1から反射した紫外光の撮像を行う。これにより、検査領域KRに係る輝度画像が取得される。輝度画像は、それぞれ輝度に係るデータを有する多数の画素を備えたものである。本実施形態では、カメラ322によって、照明装置321から照射され基板1を反射した紫外光を撮像する工程が「撮像工程」に相当する。また、輝度画像が「撮像画像」に相当する。
【0052】
尚、1の電極群3xを構成する複数の電極3の全てがフラックス7で適切に一括して覆われている場合(例えば、図10参照)、輝度画像における検査領域KRにおいて、電極3は表れず、フラックス7が暗部として表れる(例えば、図11参照)。一方、電極3の一部又は全部がフラックス7で適切に覆われておらず、露出した電極3である露出電極3eが存在している場合(例えば、図12参照)、輝度画像における検査領域KRにおいて、露出電極3eが明部として表れる(例えば、図13参照)。尚、複数の電極3をそれぞれ個別にフラックス7で覆う構成において、電極3の一部が適切に覆われておらず、露出電極3eが存在している場合(例えば、図14参照)にも、輝度画像における検査領域KRにおいて、露出電極3eが明部として表れる(例えば、図15参照)。
【0053】
カメラ322によって取得された輝度画像は、制御装置33(後述の画像取込部334)に転送される。制御装置33は、該輝度画像に基づきフラックス7の塗布状態に関する検査処理を実行する。
【0054】
制御装置33は、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、各種プログラムや固定値データ等を記憶するROM(Read Only Memory)、各種演算処理の実行に際して各種データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)及びこれらの周辺回路等を含んだコンピュータからなる。
【0055】
制御装置33は、CPUが各種プログラムに従って動作することで、メイン制御部331、照明制御部332、カメラ制御部333、画像取込部334、検査領域設定部335、判定部336、移動機構制御部337、搬送機構制御部338などの各種機能部として機能する。
【0056】
但し、上記各種機能部は、上記CPU、ROM、RAMなどの各種ハードウェアが協働することで実現されるものであり、ハード的又はソフト的に実現される機能を明確に区別する必要はなく、これらの機能の一部又は全てがICなどのハードウェア回路により実現されてもよい。本実施形態では、検査領域設定部335が「検査領域設定手段」を構成し、判定部336が「判定手段」を構成する。
【0057】
さらに、制御装置33には、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される入力部340、液晶ディスプレイ等で構成される、表示画面を備えた表示部341、各種データやプログラム、演算結果、検査結果等を記憶可能な記憶部342、外部と各種データを送受信可能な通信部343などが設けられている。まず、記憶部342及び通信部343について説明する。
【0058】
記憶部342は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成されており、各種情報を記憶する。記憶部342は、画像記憶部342a、検査用情報記憶部342b及び検査結果記憶部342cを備えている。
【0059】
画像記憶部342aは、カメラ322により撮像され取得された輝度画像を記憶する。画像記憶部342aに記憶された画像は、適宜表示部341に表示させることが可能である。
【0060】
検査用情報記憶部342bは、フラックス7の検査に用いられる各種情報を記憶する。例えば、検査用情報記憶部342bには、輝度画像の二値化を行ったり良否判定を行ったりする際に用いられる各種閾値や、設計データ及び製造データなどが記憶されている。設計データ及び製造データには、フラックス7の塗布予定領域、理想的な塗布状態におけるフラックス7のサイズ(例えば、フラックス7の面積、輪郭長等)、電子部品5の実装領域などが含まれる。
【0061】
検査結果記憶部342cは、判定部336によるフラックス7の塗布状態に係る検査結果データを記憶する。また、検査結果記憶部342cには、検査結果データを確率統計的に処理した統計データなども記憶される。これらの検査結果データや統計データは、適宜表示部341に表示させることが可能となっている。
【0062】
通信部343は、例えば有線LAN(Local Area Network)や無線LAN等の通信規格に準じた通信インターフェースなどを備え、外部と各種データを送受信可能に構成されている。例えば判定部336により行われた検査の結果などが通信部343を介して外部に出力されたり、リフロー後検査装置15により行われた検査の結果が通信部343を介して入力されたりする。
【0063】
次に、制御装置33を構成する上記各種機能部について詳しく説明する。まず、移動機構制御部337及び搬送機構制御部338について説明し、その後、メイン制御部331等について説明する。
【0064】
移動機構制御部337は、X軸移動機構323及びY軸移動機構324を駆動制御する機能部であり、メイン制御部331からの指令信号に基づき、検査ユニット32の位置を制御する。移動機構制御部337は、X軸移動機構323及びY軸移動機構324を駆動制御することにより、検査ユニット32を、検査位置に位置決め固定された基板1における任意の検査領域KRの上方位置へ移動させることができる。そして、基板1に設定された複数の検査領域KRに検査ユニット32が順次移動されつつ、該検査領域KRに係る検査が実行されていくことで、全ての検査領域KRにおけるフラックス7の検査が実行される。
【0065】
搬送機構制御部338は、搬送機構31を駆動制御する機能部であり、メイン制御部331からの指令信号に基づき、基板1の搬送位置を制御する。
【0066】
次いで、メイン制御部331等について説明する。メイン制御部331は、フラックス塗布状態検査装置12全体の制御を司る機能部であり、照明制御部332やカメラ制御部333など他の機能部と各種信号を送受信可能に構成されている。
【0067】
照明制御部332は、照明装置321を駆動制御する機能部である。照明制御部332は、メイン制御部331からの指令信号に基づき、照明装置321から基板1に対する光の照射又は照射停止に関するタイミング制御などを行う。
【0068】
カメラ制御部333は、カメラ322を駆動制御する機能部である。カメラ制御部333は、メイン制御部331からの指令信号に基づき、カメラ322における撮像動作のタイミングなどを制御する。
【0069】
画像取込部334は、カメラ322により撮像され取得された輝度画像を取り込むための機能部である。画像取込部334によって取り込まれた輝度画像は、画像記憶部342aに記憶される。
【0070】
検査領域設定部335は、基板1に設けられたマーク8を基準として、検査領域KRを電子部品5ごとに設定する。本実施形態において、検査領域設定部335は、フラックス7の塗布予定領域に対応する検査領域KRを設定する。より詳しくは、検査領域設定部335は、基板1に設けられた所定のマーク8や検査用情報記憶部342bに記憶された設計データや製造データに基づき、フラックス7の塗布予定領域を把握するとともに、把握した塗布予定領域から検査領域KRを設定する。本実施形態において、検査領域KRは、フラックス7の塗布予定領域よりも一回り大きな領域であって、該フラックス7が塗布される予定の全ての電極3を含む領域に設定される。本実施形態では、検査領域設定部335によって検査領域KRを設定する工程が「検査領域設定工程」に相当する。尚、設計データや製造データ上における電子部品5の実装領域に基づき、検査領域KRを設定してもよい。
【0071】
判定部336は、基板1に塗布されたフラックス7の検査を行う。より詳しくは、判定部336は、まず、検査用情報記憶部342bに記憶された閾値に基づき輝度画像の二値化処理を行うことで、二値化画像を取得する。二値化画像において、フラックス7に対応する部位は暗部(0)となり、フラックス7で覆われず、外部に露出した電極3に対応する部位は明部(1)となる。
【0072】
次いで、判定部336は、二値化画像における明部に相当する画素の連結成分を特定する処理を行うとともに、特定された連結成分(塊部分)ごとに、連結成分(塊部分)の面積(本実施形態では画素数)を算出する。結果的に、判定部336は、電極群3xを構成する複数の電極3のそれぞれにおけるフラックス7で覆われていない部分の面積を算出することとなる。
【0073】
その上で、判定部336は、算出した塊部分の面積と検査用情報記憶部342bに予め記憶された面積閾値とを比較する。そして、判定部336は、少なくとも1の塊部分の面積が面積閾値以上である場合、少なくとも1の電極3に対するフラックス7の塗布が不十分であるとして、フラックス7の塗布状態を「不良」と判定する。一方、判定部336は、全ての塊部分の面積が面積閾値を下回る場合、1の電極群3xを構成する複数の電極3に対しフラックス7が適切に塗布されているとして、フラックス7の塗布状態を「良」と判定する。
【0074】
そして、判定部336は、全ての検査領域KRを対象として上述の判定を行い、少なくとも1つの検査領域KRにおいてフラックス7の塗布状態を「不良」と判定した場合には、検査対象の基板1を、フラックス7の塗布状態の点で「不良」と判定する。一方、判定部336は、全ての検査領域KRを対象として上述の判定を行った結果、全ての検査領域KRにおいてフラックス7の塗布状態を「良」と判定した場合には、検査対象の基板1を、フラックス7の塗布状態の点で「良」と判定する。尚、良否判定結果(検査結果データ)は、検査結果記憶部342cに記憶される。本実施形態では、判定部336によってフラックス7の塗布状態に係る良否判定を行う工程が「判定工程」に相当する。
【0075】
以上詳述したように、本実施形態によれば、検査領域設定部335は、個々の電極3一つ一つを検査領域として設定するのではなく、1の電子部品5が搭載されることとなる複数の電極3に対応して1の検査領域KRを設定する。従って、検査領域KRを比較的大まかに設定すればよいことになるから、比較的簡単な処理をもって検査領域KRを設定することができる。これにより、処理負担の軽減ひいては検査効率の向上を図ることができる。
【0076】
さらに、判定部336は、検査領域KRごとに該検査領域KRにおける所定の輝度閾値以上の輝度を有する部分(明部の連結成分)の面積を算出するとともに、算出した面積に基づきフラックス7の塗布状態を判定する。従って、フラックス7の塗布状態の検査を、1の電子部品5に対応する複数の電極3ごとではなく、これら電極3の全てを対象として一括的に行うことができる。そのため、比較的大まかな検査領域KRを設定しながらも良好な検査精度を得ることが可能となる。これにより、極めて小さなピッチで複数の電極3が設けられる基板1(例えば、BGAが搭載される基板)に係る検査を行うような場合であっても、十分な検査精度を確保することができる。
【0077】
また、照明装置321から照射される紫外光の波長が100nm以上300nm以下とされているため、フラックス7において紫外光がより吸収されやすくなる。従って、輝度画像において、フラックス7をより暗い状態とすることができ、電極3の輝度とフラックス7の輝度との差をより大きなものとすることができる。これにより、フラックス7及び電極3をより正確に特定することができ、検査精度の更なる向上を図ることができる。
【0078】
さらに、照明装置321から基板1に対し照射される紫外光の入射角θが0°以上30°以下に設定されているため、電極3にて反射された紫外光が撮像手段へとより至りやすくなる。従って、輝度画像において、電極3の輝度とフラックス7の輝度との差を一層大きなものとすることができる。その結果、輝度画像においてフラックス7及び電極3を一層正確に特定することが可能となり、検査精度を一層高めることができる。
【0079】
加えて、照明装置321は、可視光ではなく紫外光を照射するため、フラックス7が透明又は半透明であっても、輝度画像において、フラックス7を暗部として表すことができる。従って、検査対象のフラックス7が透明又は半透明であっても、フラックス7の塗布状態を精度よく検査することができる。
【0080】
併せて、基板1がガラスエポキシ基板であるため、輝度画像において、電極3及び基板1(特に素地部6)の明暗がよりつきやすくなり、明部(電極3)に係る面積をより正確に特定することができる。これにより、検査精度を一層向上させることができる。
【0081】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0082】
(a)上記実施形態において、判定部336は、電極群3xを構成する複数の電極3のそれぞれにおけるフラックス7で覆われていない部分の面積を算出している。これに対し、判定部336は、これら電極3におけるフラックス7で覆われていない部分の合計面積を算出するものであってもよい。そして、判定部336は、算出した合計面積と面積閾値とを比較することで、フラックス7の塗布状態に係る良否判定を行ってもよい。
【0083】
(b)上記実施形態において、基板1はガラスエポキシ基板とされているが、その他のタイプの基板であってもよい。従って、例えば、基板1はセラミック基板などであってもよい。
【0084】
(c)上記実施形態において、フラックス7は透明又は半透明であるが、不透明であってもよい。
【0085】
また、上記実施形態において、フラックス7は、1の電極群3xを構成する複数の電極3の全てを一括して覆うものとされているが、これら電極3を個別に覆うものであってもよい。
【0086】
(d)上記実施形態では、電子部品5としてBGAを挙げているが、電子部品5は、その他の半導体パッケージ〔例えば、CSP(Chip Size Package)など〕であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…プリント基板(基板)、3…電極、5…電子部品(部品)、7…フラックス、12…フラックス塗布状態検査装置、321…照明装置(照射手段)、322…カメラ(撮像手段)、335…検査領域設定部(検査領域設定手段)、336…判定部(判定手段)、KR…検査領域。
【要約】
【課題】検査領域を比較的簡単な処理で設定可能としながら、良好な検査精度を得ることができるフラックス塗布状態検査装置などを提供する。
【解決手段】フラックス塗布状態検査装置12は、基板に紫外光を照射する照明装置321と、基板に照射された紫外光を撮像するカメラ322と、基板に設けられた基準部を基準として、搭載予定の部品に対応するとともに該部品が搭載される複数の電極を包含する基板1における検査領域を、前記部品ごとに設定する検査領域設定部335と、カメラ322によって検査領域に照射された紫外光を撮像して得た輝度画像に基づき、フラックスの塗布状態に係る良否判定を行う判定部336とを備える。判定部336は、検査領域ごとに該検査領域における所定の輝度閾値以上の輝度を有する部分の面積を算出するとともに、算出した面積に基づきフラックスの塗布状態を判定する。
【選択図】 図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15