(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】栄養組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/12 20160101AFI20250128BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20250128BHJP
A23D 7/00 20060101ALI20250128BHJP
A23D 7/005 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
A23L33/12
A23L33/125
A23D7/00 504
A23D7/005
(21)【出願番号】P 2023530369
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 JP2022023893
(87)【国際公開番号】W WO2022270369
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2021105180
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小久保 英利
(72)【発明者】
【氏名】三浦 英智
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-050935(JP,A)
【文献】国際公開第2009/096579(WO,A1)
【文献】特開2020-127387(JP,A)
【文献】特開2012-136471(JP,A)
【文献】特開2012-135257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/12
A23L 33/125
A23D 7/00
A23D 7/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質と、糖質と、乳化剤とを含む
乳化栄養組成物であって、
前記
乳化栄養組成物中の前記脂質の含有量は
4.4g/100kcal以上であって、
前記糖質は、イソマルツロースを含み、
前記乳化栄養組成物中のイソマルツロースの含有量は、2.5g/100kcal以上であり、
前記
乳化栄養組成物中の前記乳化剤の含有量は、0.60g/100kcal以下であり、
前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を
40質量%以上の割合で含む、
乳化栄養組成物。
【請求項2】
前記脂質の含有量に対する前記乳化剤の含有量の比率が6.5質量%以下である、
請求項1に記載の
乳化栄養組成物。
【請求項3】
前記乳化剤はレシチンと有機酸モノグリセリドであり、
前記レシチンと前記有機酸モノグリセリドの質量比は、3:7~7:3である、請求項1又は2に記載の乳化栄養組成物。
【請求項4】
前記糖質の含有量が、15g/100kcal以下である、
請求項1又は2に記載の
乳化栄養組成物。
【請求項5】
熱量が0.6kcal/mL以上である、
請求項1又は2に記載の
乳化栄養組成物。
【請求項6】
前記
乳化栄養組成物は、さらに、たんぱく質を含む、
請求項1又は2に記載の
乳化栄養組成物。
【請求項7】
前記乳化栄養組成物は、血糖値上昇抑制用である、
請求項1又は2に記載の
乳化栄養組成物。
【請求項8】
乳化栄養組成物の乳化安定性向上方法であって、
脂質を含む油相と、糖質を含む水相とを調製する調製工程と、
前記油相及び前記水相を、0.60g/100kcal以下の乳化剤を添加して混合する乳化工程とを含み、
前記
乳化栄養組成物中の前記脂質の含有量は、
4.4g/100kcal以上であって、
前記糖質は、イソマルツロースを含み、
前記乳化栄養組成物中の前記イソマルツロースの含有量は、2.5g/100kcal以上であり、
前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を
40質量%以上の割合で含む、
乳化安定性向上方法。
【請求項9】
乳化栄養組成物の製造方法であって、
脂質を含む油相と、糖質を含む水相とを調製する調製工程と、
前記油相及び前記水相を、0.60g/100kcal以下の乳化剤を添加して混合する乳化工程とを含み、
前記
乳化栄養組成物中の前記脂質の含有量は、
4.4g/100kcal以上であって、
前記糖質は、イソマルツロースを含み、
前記乳化栄養組成物中の前記イソマルツロースの含有量は、2.5g/100kcal以上であり、
前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を
40質量%以上の割合で含む、
乳化栄養組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病患者や、血糖値の高い高齢者の栄養補給のために、血糖値上昇が抑制された栄養組成物が求められている。血糖値上昇を抑制するための基本的手法は、栄養組成物における糖質の含有量を制限することである。ここで、糖質の含有量を制限した場合であっても、栄養組成物の熱量を維持することが必要となるため、これを補う観点から脂質の含有量を増加させることが必要となる。
また、血糖値上昇を抑制する観点から、栄養組成物の糖質としてパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を使用することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、窒素源、脂質及び糖質を含有する栄養組成物であって、窒素源に遊離イソロイシン及び/又は遊離ロイシンを含有し、脂質に中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有し、糖質にパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)及び/又はトレハロースを含有することを特徴とする高血糖抑制用栄養組成物が記載されている。この栄養組成物は、長期間摂取した場合でも栄養バランスに優れ、かつ投与後の高血糖を抑制でき、インスリン投与量を軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、栄養組成物における脂質の含有量を増加させようとすると、その乳化安定性が課題となる。
乳化安定性を高める方法としては、乳化剤の含有量を増加させる方法がある。しかしながら、乳化剤には特有の好ましくない風味があり、その含有量は極力少ない方が好ましい。
そこで、本発明は、脂質の含有量が所定量以上であり、乳化剤の含有量が所定量以下であっても、乳化安定性が良好な栄養組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、脂質の含有量が所定量以上の栄養組成物において、脂質の全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合を一定以上とすることで、乳化剤の含有量が少なくとも乳化安定性が良好な栄養組成物が得られることを見出した。
また、本発明者らは、上記課題を解決するための研究開発過程で、栄養組成物中のパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量を増加させると、乳化安定性が低下することを見出した。本発明者らは、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を含有する栄養組成物においても、栄養組成物に含まれる脂質の全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合を一定以上とすることで、乳化剤の含有量が少なくとも乳化安定性が良好な栄養組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0007】
前記課題を解決する本発明は、脂質と、糖質と、乳化剤とを含む栄養組成物であって、
前記栄養組成物中の前記脂質の含有量は、3.5g/100kcal以上であって、
前記栄養組成物中の前記乳化剤の含有量は、0.60g/100kcal以下であり、
前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を20質量%以上の割合で含む、栄養組成物である。
上記特徴を有する栄養組成物は、脂質の含有量が所定量以上であり、乳化剤の含有量が所定量以下であっても、乳化安定性が良好である。
【0008】
また、本発明の好ましい形態では、前記糖質は、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を含む。
糖質としてパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を含むことによって、血糖値が上昇しにくくなる。
【0009】
また、本発明の好ましい形態では、前記栄養組成物中のパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量は、2g/100kcal以上である。
パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を2g/100kcal以上含有することによって、甘みが感じられ、かつ血糖値が上昇しにくくなる。
【0010】
また、本発明の好ましい形態では、脂質の含有量に対する乳化剤の含有量の比率が6.5質量%以下である。
乳化剤の含有量の比率を一定以下とすることによって、乳化剤特有の好ましくない風味を低減することができる。
【0011】
また、本発明の好ましい形態では、糖質の含有量が、15g/100kcal以下である。
糖質の含有量を前記範囲とすることによって、血糖値が上昇しにくくなる。
【0012】
また、本発明の好ましい形態では、熱量が0.6kcal/mL以上である。
熱量を前記範囲とすることによって、熱量を効率よく摂取することができる。
【0013】
また、本発明の好ましい形態では、栄養組成物は、さらに、たんぱく質を含む。
【0014】
また、本発明の好ましい形態では、栄養組成物は、血糖値上昇抑制用である。
【0015】
また、本発明は、栄養組成物の乳化安定性向上方法であって、
脂質を含む油相と、糖質を含む水相とを調製する調製工程と、
前記油相及び前記水相を、0.60g/100kcal以下の乳化剤を添加して混合する乳化工程とを含み、
前記栄養組成物中の前記脂質の含有量は、3.5g/100kcal以上であって、
前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を20質量%以上の割合で含む、
乳化安定性向上方法でもある。
【0016】
また、本発明は、
栄養組成物の製造方法であって、
脂質を含む油相と、糖質を含む水相とを調製する調製工程と、
前記油相及び前記水相を、0.60g/100kcal以下の乳化剤を添加して混合する乳化工程とを含み、
前記栄養組成物中の前記脂質の含有量は、3.5g/100kcal以上であって、
前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を20質量%以上の割合で含む、
栄養組成物の製造方法でもある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、脂質の含有量が所定量以上であり、乳化剤の含有量が所定量以下であっても、乳化安定性が良好な栄養組成物を提供することができる。本発明の好ましい形態では、血糖値上昇が抑制され、一定以上の熱量を有する乳化安定性が良好な栄養組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】試験例1における脂肪付着相対面積の評価の写真
【
図3】試験例2における脂肪付着相対面積の評価の写真
【
図5】試験例3における脂肪付着相対面積の評価の写真
【
図7】試験例4における脂肪付着相対面積の評価の写真
【
図9】試験例5における脂肪付着相対面積の評価の写真
【
図10】試験例5における脂肪付着相対面積のグラフ
【
図11】試験例6における脂肪付着相対面積の評価の写真
【
図12】試験例6における脂肪付着相対面積のグラフ
【
図13】試験例7における脂肪付着相対面積の評価の写真
【
図14】試験例7における脂肪付着相対面積のグラフ
【
図15】試験例8における脂肪付着相対面積の評価の写真
【
図16】試験例8における脂肪付着相対面積のグラフ
【
図17】試験例9における脂肪付着の相対面積の評価の写真
【
図18】試験例9における脂肪付着相対面積のグラフ
【
図19】試験例10における脂肪付着相対面積の評価の写真
【
図20】試験例10における脂肪付着相対面積のグラフ
【
図22】試験例11における血糖値上昇曲線下面積のグラフ
【
図23】試験例13における脂肪付着相対面積の評価の写真
【
図24】試験例13における脂肪付着相対面積のグラフ
【
図25】試験例14における脂肪付着相対面積の評価の写真
【
図26】試験例14における脂肪付着相対面積のグラフ
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、特許請求の範囲に記載された範囲内において適宜変更が可能である。
【0020】
本発明に係る栄養組成物は、脂質と、糖質と、乳化剤とを含む。以下、本発明に係る栄養組成物に含まれる成分について説明する。
【0021】
[成分]
<脂質>
本発明に係る脂質として、例えばMCT、魚油、植物油を好ましく用いることができる。また、植物油として、大豆油、菜種油、米油、コーン油、やし油、オリーブ油、ひまわり油、パーム油、フラックス油、エゴマ油、サフラワー油を好ましく用いることができる。
【0022】
本発明に係る栄養組成物の100kcalあたりの脂質の含有量は3.5g以上であって、好ましくは3.8g以上、4.1g以上、より好ましくは4.2g以上、4.3g以上、4.4g以上である。
100kcalあたりの脂質の含有量を上記範囲内とすることで、脂質由来のエネルギーを多く含む栄養組成物とすることができる。
本発明に係る栄養組成物の100kcalあたりの脂質の含有量は、好ましくは10.0g以下、9.0g以下、8.0g以下、7.0g以下、6.2g以下であり、より好ましくは6.0g以下、5.5g以下、5.0g以下、さらに好ましくは4.5g以下、4.4g以下である。
100kcalあたりの脂質の含有量を上記上限以下とすることによって、乳化安定性をより改善することができる。
【0023】
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりの脂質の含有量は、好ましくは2.1g以上、2.5g以上、3.0g以上、3.5g以上、より好ましくは4.0g以上、4.5g以上、5.0g以上、5.5g以上、さらに好ましくは6.0g以上、6.1g以上、6.2g以上、6.3g以上、6.4g以上、6.5g以上、6.6g以上、6.7g以上、6.8g以上、6.9g以上、7.0g以上である。
栄養組成物の100mLあたりの脂質の含有量を上記範囲内とすることで、エネルギーの濃度が高く、エネルギーの摂取効率の良い栄養組成物とすることができる。
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりの脂質の含有量は、好ましくは20.0g以下、19.0g以下、18.0g以下、17.0g以下、16.0g以下、15.0g以下、14.0g以下、13.0g以下、12.0g以下、11.0g以下、より好ましくは10.0g以下、9.5g以下、9.0g以下、8.0g以下、7.5g以下、7.1g以下である。
栄養組成物の100mLあたりの脂質の含有量を上記範囲内とすることで、乳化安定性をより改善することができる。
【0024】
また、前記脂質は、その構成脂肪酸中に、中鎖脂肪酸を含む。
なお、本明細書中において、中鎖脂肪酸とは、炭素数8~10の脂肪酸を指す。中鎖脂肪酸の例として、カプリル酸、カプリン酸が挙げられる。
【0025】
また、前記脂質は、その全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合が20質量%以上であり、好ましくは21質量%以上、22質量%以上、23質量%以上、24質量%以上、25質量%以上、26質量%以上、27質量%以上、28質量%以上、29質量%以上、30質量%以上、31質量%以上、32質量%以上、33質量%以上、34質量%以上、35質量%以上、36質量%以上、37質量%以上、38質量%以上、39質量%以上、40質量%以上、より好ましくは41質量%以上、42質量%以上、43質量%以上、44質量%以上、45質量%以上、46質量%以上である。
また、前記脂質は、その全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合が、好ましくは90質量%以下、89質量%以下、88質量%以下、87質量%以下、86質量%以下、85質量%以下、84質量%以下、83質量%以下、82質量%以下、81質量%以下、80質量%以下、79質量%以下、78質量%以下、77質量%以下、76質量%以下、75質量%以下、74質量%以下、73質量%以下、72質量%以下、71質量%以下、70質量%以下、69質量%以下、68質量%以下、67質量%以下、66質量%以下、65質量%以下、64質量%以下、63質量%以下、62質量%以下、61質量%以下、60質量%以下、59質量%以下、58質量%以下、57質量%以下、56質量%以下、55質量%以下、54質量%以下、53質量%以下、52質量%以下、51質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0026】
脂質原料としてMCTを7質量%以上90質量%以下含むことによって、製造される栄養組成物に含まれる脂質の構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合を上記範囲内とすることができる。なお、本明細書中においてMCTとは、構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を実質的に100質量%含む油脂のことをいう。
【0027】
また、前記脂質は、その構成脂肪酸中に、さらにn-3系脂肪酸を含むことができる。
n-3系脂肪酸の例として、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、α-リノレン酸(ALA)などが挙げられるが、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)を含むことが特に好ましい。
【0028】
脂質の全構成脂肪酸中のドコサヘキサエン酸(DHA)の割合は、下限としては、好ましくは0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上であり、上限としては、0.6質量%以下、0.5質量%以下、0.4質量%以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0029】
脂質の全構成脂肪酸中のエイコサペンタエン酸(EPA)の割合は、下限としては、好ましくは0.2質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上であり、上限としては、1.3質量%以下、1.0質量%以下、0.8質量%以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0030】
脂質原料として、魚油を1質量%以上6質量%以下含むことで、製造される栄養組成物の脂質の全構成脂肪酸中のドコサヘキサエン酸(DHA)、及びエイコサペンタエン酸(EPA)の割合を上記範囲内とすることができる。
魚油として、原料となる魚(イワシ、サバ、カツオ、マグロ、スケソウダラ等)を煮熟し、煮汁の中から油を分離して適宜精製したものを用いることができる。
【0031】
また、脂質原料として、植物油を10質量%以上93質量%以下含むことが好ましい。
【0032】
<糖質>
本発明に係る栄養組成物は、糖質を含み、その100kcalあたりの含有量は、好ましくは15g以下、14g以下、13g以下、12g以下、11g以下、10g以下である。
【0033】
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりの糖質の含有量は、好ましくは30g以下、29g以下、28g以下、27g以下、26g以下、より好ましくは25g以下、24g以下、23g以下、22g以下、21g以下、さらに好ましくは20g以下、19g以下、18g以下、特に好ましくは17g以下である。
ここで、糖質とは、炭水化物のうち、食物繊維以外の成分をいう。
【0034】
糖質として、二糖類、オリゴ糖、デンプン分解物、果糖を好ましく用いることができる。
二糖類として、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)、ショ糖、麦芽糖、セロビオース、ラクトース、イソマルトース、トレハロースを特に好ましく用いることができる。また、オリゴ糖として、ラクチュロース、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖を特に好ましく用いることができる。また、デンプン分解物として、デキストリン、マルトデキストリン、マルトオリゴ糖、粉飴、高分岐デキストリンを特に好ましく用いることができる。
【0035】
本発明に係る栄養組成物の100kcalあたりのパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量は、下限としては、好ましくは2.0g以上、2.1g以上、より好ましくは2.2g以上、2.3g以上、2.4g以上、2.5g以上、2.6g以上、2.7g以上、2.8g以上、2.9g以上、3.0g以上、3.1g以上、3.2g以上、3.3g以上、3.4g以上、3.5g以上、3.6g以上、3.7g以上、さらに好ましくは3.8g以上である。
また、本発明に係る栄養組成物の100kcalあたりのパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量は、上限としては、好ましくは10.0g以下、9.5g以下、9.0g以下、8.5g以下、8.0g以下、7.5g以下、より好ましくは7.0g以下、6.5g以下、6.0g以下、5.5g以下、さらに好ましくは5.0g以下、4.5g以下、4.0g以下、3.9g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0036】
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりのパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量は、下限としては、好ましくは1.2g以上、1.5g以上、2.0g以上、2.5g以上、3.0g以上、より好ましくは3.5g以上、4.0g以上、4.5g以上、5.0g以上、5.5g以上、さらに好ましくは6.0g以上、6.1g以上である。
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりのパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量は、上限としては、好ましくは20.0g以下、19.0g以下、18.0g以下、17.0g以下、16.0g以下、より好ましくは15.0g以下、14.0g以下、13.0g以下、12.0g以下、11.0g以下、10.0g以下、9.0g以下、8.0g以下、さらに好ましくは7.9g以下、7.8g以下、7.7g以下、7.6g以下、7.5g以下、7.4g以下、7.3g以下、7.2g以下、7.1g以下、7.0g以下、6.9g以下、6.8g以下、6.7g以下、6.6g以下、6.5g以下、6.4g以下、6.3g以下、6.2g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0037】
糖質中のパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の割合は、下限としては、好ましくは20質量%以上、25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、31質量%以上、32質量%以上、33質量%以上、34質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、36質量%以上であり、上限としては、好ましくは、90質量%以下、89質量%以下、88質量%以下、87質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、59質量%以下、58質量%以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量を上記範囲内とすることで、甘みが感じられ、かつ血糖値が上昇しにくくなる。
【0038】
なお、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)以外の二糖類を含有する場合は、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量を上述の通りにしてもよいし、二糖類の含有量の合計に、上述のパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量を適用してもよい。
【0039】
また、本発明に係る栄養組成物の100kcalあたりのオリゴ糖の含有量は、下限としては、好ましくは0.1g以上、0.2g以上であり、上限としては、2.0g以下、1.0g以下、0.8g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0040】
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりのオリゴ糖の含有量は、下限としては、好ましくは0.06g以上、0.1g以上、0.2g以上、0.5g以上であり、上限としては、3.0g以下、2.0g以下、1.5g以下、1.0g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
オリゴ糖を含むことによって、腸内環境を改善することができる。
【0041】
また、本発明に係る栄養組成物の100kcalあたりのデンプン分解物の含有量は、下限としては、好ましくは1.0g以上、2.0g以上、3.0g以上であり、上限としては、好ましくは12.0g以下、11.0g以下、10.0g以下、9.0g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0042】
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりのデンプン分解物の含有量は、下限としては、好ましくは0.6g以上、1.0g以上、2.0g以上、3.0g以上であり、上限としては、好ましくは24g以下、22g以下、20g以下、19g以下、18g以下、17g以下、16g以下、15g以下、14g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0043】
<乳化剤>
本発明に係る栄養組成物は乳化剤を含み、その含有量は0.60g/100kcal以下である。
100kcalあたりの乳化剤の含有量は、下限としては、好ましくは0.01g以上、0.02g以上、0.03g以上、0.04g以上、0.05g以上、0.06g以上、0.07g以上、0.08g以上、0.09g以上、0.10g、0.11g以上、0.12g以上、0.13g以上、0.14g以上、0.15g以上である。
また、100kcalあたりの乳化剤の含有量は、上限としては、好ましくは0.60g以下、0.59g以下、0.58g以下、0.57g以下、0.56g以下、0.55g以下、0.54g以下、0.53g以下、0.52g以下、0.51g以下、0.50g以下、0.49g以下、0.48g以下、0.47g以下、0.46g以下、0.45g以下、0.44g以下、0.43g以下、0.42g以下、0.41g以下、0.40g以下、0.39g以下、0.38g以下、0.37g以下、0.36g以下、0.35g以下、0.34g以下、0.33g以下、0.32g以下、0.31g以下、0.30g以下、0.29g以下、0.28g以下、0.27g以下、0.26g以下、0.25g以下、0.24g以下、0.23g以下、0.22g以下、0.21g以下、0.20g以下、0.19g以下、0.18g以下、0.17g以下、0.16g以下、0.15g以下、0.14g以下、0.13g以下、0.12g以下、0.11g以下、0.10g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0044】
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりの乳化剤の含有量は、下限としては、好ましくは以上0.006g以上、より好ましくは0.01g以上、さらに好ましくは0.10g以上、特に好ましくは0.20g以上である。
また、本発明に係る栄養組成物100mLあたりの乳化剤の含有量は、上限としては、好ましくは0.50g以下、より好ましくは0.30g以下、さらに好ましくは0.20g以下、特に好ましくは0.15g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0045】
また、脂質の含有量に対する乳化剤の含有量の比率は、下限としては、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、2.0質量%以上、3.0質量%以上、さらに好ましくは3.5質量%以上、3.6質量%以上、3.7質量%以上、3.8質量%以上、3.9質量%以上である。
また、脂質の含有量に対する乳化剤の含有量の比率は、上限としては、好ましくは6.5質量%以下、6.0質量%以下、5.5質量%以下、5.0質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下、4.4質量%以下、4.3質量%以下、4.2質量%以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0046】
乳化剤の含有量を上記上限以下とすることで、乳化剤に特有の風味を低減することができる。本発明に係る栄養組成物は、乳化剤の含有量を上記範囲内としても、良好な乳化安定性を有する。
【0047】
乳化剤としては、食用として用いることができるものであれば特に制限されず、レシチン、有機酸モノグリセリド、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が例示できる。
その中でもレシチン、有機酸モノグリセリドを好ましく用いることができる。
レシチンと有機酸モノグリセリドの両方を含むことが特に好ましく、その質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは3:7~7:3、さらに好ましくは4:6~6:4である。
【0048】
<食物繊維>
本発明に係る栄養組成物は、食物繊維を含むことが好ましい。
食物繊維として水溶性食物繊維を用いることが好ましい。また、血糖値上昇抑制効果を有する食物繊維を用いることが好ましい。食物繊維は、高粘性または低粘性のいずれのものも使用することができる。
血糖値上昇抑制効果を有することが知られている水溶性食物繊維としては、イヌリン、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グァーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、βグルカン、アルギン酸塩、グァーガム、寒天などを好適に例示することができる。これらの1又は複数を配合することも可能である。特に、難消化性デキストリン及びイヌリンから選ばれる1又は複数を好ましく用いることができる。
【0049】
本発明に係る栄養組成物の100kcalあたりの食物繊維の含有量は、下限としては、好ましくは1.0g以上、2.0g以上であり、上限としては、好ましくは5.0g以下、4.0g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0050】
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりの食物繊維の含有量は、下限としては、好ましくは0.6g以上、1.0g以上、1.5g以上、2.0g以上であり、上限としては、好ましくは10.0g以下、9.0g以下、8.0g以下、7.0g以下、6.0g以下、5.0g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0051】
本発明に係る栄養組成物の100kcalあたりのイヌリンの含有量は、下限としては、好ましくは0.1g以上、0.5g以上であり、上限としては、好ましくは2.5g以下、2.0g以下、1.5g以下、1.0g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0052】
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりのイヌリンの含有量は、下限としては、好ましくは0.06g以上、0.1g以上、0.2g以上、0.3g以上、0.4g以上、0.5g以上、1.0g以上であり、上限としては、好ましくは4.0g以下、3.5g以下、3.0g以下、2.5g以下、2.0g以下、1.5g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0053】
また、本発明に係る栄養組成物の100kcalあたりの難消化性デキストリンの含有量は、下限としては、好ましくは1.0g以上、2.0g以上であり、上限としては、好ましくは4.0g以下、3.0g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0054】
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりの難消化性デキストリンの含有量は、下限としては、好ましくは0.6g以上、1.0g以上、2.0g以上、3.0g以上であり、上限としては、好ましくは8.0g以下、6.0g以下、4.0g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
食物繊維を含むことによって、腸内環境を改善することができる。また、血糖値抑制作用を有する食物繊維を含むことによって、栄養組成物の血糖値抑制効果をより高めることができる。
【0055】
<たんぱく質>
本発明に係る栄養組成物は、たんぱく質を含むことが好ましい。たんぱく質の種類は、乳たんぱく質、卵たんぱく質、コラーゲン等の動物性たんぱく質、大豆たんぱく質、米たんぱく質、小麦たんぱく質等の植物性たんぱく質等、食品に用いられるものであれば特に制限されない。本発明において、乳たんぱく質が特に好ましく用いられる。乳たんぱく質として、カゼイン、ナトリウムカゼイネート、カルシウムカゼイネート、カリウムカゼイネート、ミセラカゼイン(MCC)、乳たんぱく質濃縮物(MPC)、乳たんぱく質分離物(MPI)、乳たんぱく質加水分解物(MPH)、濃縮ホエイたんぱく質(WPC)、ホエイたんぱく質分離物(WPI)等を用いることができる。
【0056】
本発明に係る栄養組成物の100kcalあたりのたんぱく質の含有量は、下限としては、好ましくは1.0g以上、2.0g以上、3.0g以上であり、上限としては、好ましくは6.0g以下、5.0g以下、4.0g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0057】
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりのたんぱく質の含有量は、下限としては、好ましくは0.6g以上、1.0g以上、2.0g以上、3.0g以上、4.0g以上、5.0g以上であり、上限としては、好ましくは12.0g以下、10.0g以下、7.0g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0058】
<その他の成分>
本発明に係る栄養組成物には、本技術の効果を損なわない範囲内で、適宜任意成分を用いることができる。任意成分として、例えば、ビタミン、ミネラル、カルチニン、乳・乳製品、安定化剤、増粘剤、pH調整剤、矯味矯臭剤、香料、色素、ビフィズス菌粉末、乳酸菌粉末が挙げられる。
【0059】
[熱量]
本発明に係る栄養組成物の熱量は、好ましくは0.6kcal/mL以上、1.0kcal/mL以上、1.3kcal/mL以上、1.4kcal/mL以上、1.5kcal/mL以上、1.6kcal/mL以上、1.7kcal/mL以上、1.8kcal/mL以上、1.9kcal/mL以上、2.0kcal/mL以上である。
栄養組成物の熱量を上記範囲とすることで、効率よくエネルギーを摂取することができる。
【0060】
本発明に係る栄養組成物の熱量は、主に脂質、炭水化物、たんぱく質に由来する熱量であることが好ましい。
本明細書において、脂質エネルギー比率、炭水化物エネルギー比率、たんぱく質エネルギー比率とは、栄養組成物中の熱量のうち、脂質、炭水化物、たんぱく質にそれぞれに由来する熱量の比率を示す。
【0061】
本発明に係る栄養組成物の脂質エネルギー比率は、下限としては、好ましくは30%以上、35%以上、40%以上であり、上限としては、好ましくは60%以下、55%以下、50%以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0062】
本発明に係る栄養組成物の炭水化物エネルギー比率は、下限としては、好ましくは30%以上、35%以上、40%以上であり、上限としては、好ましくは60%以下、55%以下、50%以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0063】
また、炭水化物エネルギー比率の中でも、糖質に由来するエネルギーの比率を、糖質エネルギー比率と呼ぶ。本発明に係る栄養組成物の糖質エネルギー比率は、下限としては、好ましくは25%以上、30%以上、35%以上であり、上限としては、好ましくは55%以下、50%以下、45%以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0064】
本発明に係る栄養組成物のたんぱく質エネルギー比率は、下限としては、好ましくは5%以上、10%以上であり、上限としては、好ましくは25%以下、20%以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
【0065】
[血糖値上昇抑制用の栄養組成物]
本発明に係る栄養組成物は、血糖値上昇抑制用であることが好ましい。
本明細書において「血糖値上昇抑制」及び「血糖値上昇を抑制」は、特に食後において、血糖値の急激な上昇を抑制する作用、血糖値を低下ないし降下させる作用、糖の吸収を緩やかにする作用、高血糖状態を改善する作用などを指す。
本発明の栄養組成物は、血糖値上昇抑制用とすることができる。
【0066】
[形態]
本発明に係る栄養組成物は、液状でも半固形状でもよいが、特に液状であることが好ましい。
本発明に係る栄養組成物の20℃における粘度は、上限としては、好ましくは100000mPa・s以下、10000mPa・s以下、1000mPa・s以下、100mPa・s以下、50mPa・s以下、30mPa・s以下である。
また、本発明に係る栄養組成物の20℃における粘度は、下限としては、0.1mPa・s以上、より好ましくは1mPa・s以上である。
【0067】
また、本発明に係る栄養組成物は、経口用の栄養組成物として提供できる他、経鼻投与用の栄養組成物、胃瘻チューブ投与用の栄養組成物として提供することもできる。
【0068】
[製造方法]
本発明の栄養組成物は、脂質を含む油相と、糖質を含む水相とをそれぞれ調製し、乳化剤を添加して乳化させることによって、製造することができる。水相は、好ましくはたんぱく質及び糖質を含む。
その他好ましい態様としては、上述の好ましい態様を適用することができる。
【0069】
油相と水相の質量比は、1:6~1:60であることが好ましい。
【0070】
[乳化安定性向上方法]
また、本発明は、栄養組成物の乳化安定性向上方法であって、脂質を含む油相と、糖質を含む水相とを調製する調製工程と、前記油相及び前記水相を、0.60g/100kcal以下の乳化剤を添加して混合する乳化工程とを含み、前記栄養組成物中の前記脂質の含有量は、3.5g/100kcal以上であって、前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を20質量%以上の割合で含む、乳化安定性向上方法でもある。水相は、好ましくはたんぱく質及び糖質を含む。
上記乳化安定性向上方法は、特に、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を含む栄養組成物において、乳化安定性を向上させる。
その他好ましい態様としては、上述の好ましい態様を適用することができる。
【実施例】
【0071】
<試験例1:乳化安定性試験(脂質含有量の影響)>
試験例1では、乳化安定性に対する脂質含有量による影響を調べるため、脂質含有量の異なる2つのサンプルを調製し、乳化安定性を調べた。
脂質を含む油相と、たんぱく質及び糖質を含む水相とをそれぞれ調製し、乳化剤を添加して乳化さることによって、栄養組成物を製造した。乳化剤として、レシチンと有機酸モノグリセリドを重量比率1:1で用いた。対照例、及び比較例1-1の熱量は1.6kcal/mL、たんぱく質含有量は3.8g/100kcalとなるように調製した。
また、対照例、及び比較例1-1の脂質の脂質エネルギー比率、脂質含有量、全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合(中鎖脂肪酸比率)、糖質エネルギー比率、糖質含有量、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量、乳化剤含有量は表1に示す通りである。
【0072】
製造した栄養組成物28mLを50mL容の遠沈管に入れ、5000g、3分間、20℃にて遠心分離を行い脂肪の浮上を促した後、乳化安定性について以下の評価を行った。
【0073】
・遠沈管への脂肪付着
遠心分離後に液状の内容物を別の容器に移した後、遠沈管上部に残留した脂肪成分の量を目視によって評価した。-~+++の評価基準は以下の通りである。1つの試験内で、脂肪付着が明らかにあるもののうち、最も量が少ないものを+とした。++、+++については、脂肪付着が明らかにあるもののうち、最も量が少ないものを基準とした相対量とした。また、脂肪付着が明らかにあるもののうち、最も量が少ないものに対し脂肪付着が2倍未満のものは、+とした。
遠沈管への脂肪付着の量が少ないほど乳化安定性が良いといえる。
-:脂肪付着がまったく認められない
±:脂肪付着が明瞭ではないがある
+:脂肪付着が明らかにある
++:脂肪付着が+の2倍以上3倍未満ある
+++:脂肪付着が+の3倍以上ある
【0074】
・遠沈管残留物の重量
遠心分離後に液状の内容物を別の容器に移した後、遠沈管の重量を測定し、あらかじめ測定した遠沈管のみの重量を差し引いて、遠沈管残留物分の重量を測定した。遠沈管残留物分の重量は、遠沈管上部に付着した脂肪成分と遠沈管下部に残留した沈殿物の総重量であり、少ないほど乳化安定性が良いといえる。
【0075】
・脂肪付着相対面積
遠心分離後に液状の内容物を別の容器に移した後、脂肪付着が見られる、遠心分離の際に内側となった側面を正面とし、写真を撮影した(
図1)。画像解析ソフトImageJを用いて、脂肪付着部位周囲を四角形で囲い評価範囲とし、評価範囲内における脂肪付着面積を数値化した。同時に評価する遠沈管は同じ形状および面積の四角形を評価範囲とした。対照例の脂肪付着面積を1.000とし、比較例1-1の脂肪付着面積を相対的に算出し、脂肪付着相対面積とした。脂肪付着相対面積が少ないほど、乳化安定性が良いといえる。
【0076】
結果を表2に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを
図2に示す。
【0077】
【0078】
【0079】
いずれの評価でも、対照例と比較して、比較例1-1の方が、乳化剤含有量が多いにもかかわらず、乳化安定性が低かった。
以上より、栄養組成物の脂質含有量を多くすると、乳化安定性が低下する傾向が示された。
【0080】
<試験例2:乳化安定性試験(パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量の影響)>
試験例2では、乳化安定性に対するパラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量による影響を調べるため、パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量の異なるサンプルを調製し、乳化安定性を調べた。
脂質を含む油相と、たんぱく質及び糖質を含む水相とをそれぞれ調製し、乳化剤を添加して乳化させることによって、栄養組成物を製造した。乳化剤として、レシチンと有機酸モノグリセリドを重量比率1:1で用いた。対照例、及び比較例2-1~2-6の熱量は1.6kcal/mL、たんぱく質含有量は3.8g/100kcalとなるように調製した。
また、対照例、及び比較例2-1~2-6の脂質の脂質エネルギー比率、脂質含有量、全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合、糖質エネルギー比率、糖質含有量、パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量、乳化剤含有量は表3に示す通りである。
表3に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、対照例の面積を1.000として算出した。
結果を表4に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を
図3に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを
図4に示す。
【0081】
【0082】
【0083】
いずれの評価でも、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量が多いほど乳化安定性が悪化する傾向がみられた。
以上より、脂質を一定以上含む栄養組成物において、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)は乳化安定性を用量依存的に悪化させることが示された。
【0084】
<試験例3:乳化安定性試験(中鎖脂肪酸比率の影響)>
試験例3~9では、乳化安定性に対する中鎖脂肪酸比率による影響を調べるため、中鎖脂肪酸比率の異なるサンプルを調製し、乳化安定性を調べた。
脂質を含む油相と、たんぱく質及び糖質を含む水相とをそれぞれ調製し、乳化剤を添加して乳化させることによって、栄養組成物を製造した。乳化剤として、レシチンと有機酸モノグリセリドを重量比率1:1で用いた。対照例、及び比較例3-1、実施例3-1の熱量は1.6kcal/mL、たんぱく質含有量は3.8g/100kcalとなるように調製した。
また、対照例、及び比較例3-1、実施例3-1の脂質の脂質エネルギー比率、脂質含有量、全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合、糖質エネルギー比率、糖質含有量、パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量、乳化剤含有量は表5に示す通りである。
表5に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、対照例の面積を1.000として算出した。
結果を表6に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を
図5に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを
図6に示す。
【0085】
【0086】
【0087】
いずれの評価でも、比較例3-1と比較して、中鎖脂肪酸比率の高い実施例3-1の方が、乳化安定性が良好な結果となった。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量0g/100kcalの栄養組成物において、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
【0088】
<試験例4:乳化安定性試験(中鎖脂肪酸比率の影響)>
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表7に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例4-1の面積を1.000として算出した。
結果を表7に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を
図7に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを
図8に示す。
【0089】
【0090】
いずれの評価でも、比較例4-1と比較して、中鎖脂肪酸比率の高い実施例4-1の方が、乳化安定性が良好な結果となった。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量2.29g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
【0091】
<試験例5:乳化安定性試験(中鎖脂肪酸比率の影響)>
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表8に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例5-1の面積を1.000として算出した。
結果を表8に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を
図9に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを
図10に示す。
【0092】
【0093】
いずれの評価でも、比較例5-1と比較して、中鎖脂肪酸比率の高い実施例5-1の方が、乳化安定性が良好な結果となった。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量3.86g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
【0094】
<試験例6:乳化安定性試験(中鎖脂肪酸比率の影響)>
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表9に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例6-1の面積を1.000として算出した。
結果を表9に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を
図11に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを
図12に示す。
【0095】
【0096】
いずれの評価でも、比較例6-1と比較して、中鎖脂肪酸比率の高い実施例6-1の方が、乳化安定性が良好な結果となった。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量4.58g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
【0097】
<試験例7:乳化安定性試験(中鎖脂肪酸比率の影響)>
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表10に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例7-1の面積を1.000として算出した。
結果を表10に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を
図13に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを
図14に示す。
【0098】
【0099】
いずれの評価でも、比較例7-1と比較して、中鎖脂肪酸比率の高い実施例7-1の方が、乳化安定性が良好な結果となった。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量6.11g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
【0100】
<試験例8:乳化安定性試験(中鎖脂肪酸比率の影響)>
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表11に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例8-1の面積を1.000として算出した。
結果を表11に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を
図15に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを
図16に示す。
【0101】
【0102】
いずれの評価でも、比較例8-1と比較して、中鎖脂肪酸比率の高い実施例8-1の方が、乳化安定性が良好な結果となった。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量6.87g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
【0103】
<試験例9:乳化安定性試験(中鎖脂肪酸比率の影響)>
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表12に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例9-1の面積を1.000として算出した。
結果を表12に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を
図17に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを
図18に示す。
【0104】
【0105】
いずれの評価でも、比較例9-1と比較して、中鎖脂肪酸比率の高い実施例9-1の方が、乳化安定性が良好な結果となった。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量9.16g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
【0106】
試験例3~9の結果より、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量が0~9.16g/100kcalの範囲内で、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
【0107】
<試験例10:乳化安定性試験(さらに乳化剤含有量を減らした場合の比較)>
試験例10では、さらに乳化剤含有量を減らした場合の、乳化安定性対するパラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量と中鎖脂肪酸比率の影響について調べた。
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量と、乳化剤含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表13に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例10-1の面積を1.000として算出した。
結果を表13に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を
図19に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを
図20に示す。
【0108】
【0109】
いずれの評価でも、比較例10-1と比較して、実施例10-1の方が、乳化安定性が良好な結果となった。
以上より、脂肪含有量が多い栄養組成物において、乳化剤含有量を少なくしても、脂質の構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸比率を高くすることと、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を含むことの組み合わせによって、高脂肪であっても乳化安定性が良好な液状栄養組成物が得られることが示された。
【0110】
<試験例11:血糖値測定>
試験例11では、栄養組成物の摂取による血糖値への影響を調べた。
脂質を含む油相と、たんぱく質および糖質を含む水相とをそれぞれ調製し、乳化剤を添加して乳化させることによって、栄養組成物を製造した。乳化剤として、レシチンと有機酸モノグリセリドを重量比率1:1で用いた。対照例、及び実施例11-1の熱量は1.6kcal/mL、たんぱく質含有量は3.8g/100kcalとなるように調製した。
また、対照例、及び実施例11-1の脂質の脂質エネルギー比率、脂質含有量、全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合、糖質エネルギー比率、糖質含有量、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量、乳化剤含有量は表14に示す通りである。
対象者は成人男女9名とした。試験開始から終了までにFreestyleリブレProセンサー(アボットジャパン合同会社製)を上腕に装着し、15分毎に血糖値を測定した。朝空腹時に1時間安静にした後、いずれかの試験食品125mLを摂取し、その後さらに2時間安静に過ごした。その後3日以上の間隔を空け、もう一方の試験食品について同様に試験を実施した。朝空腹時の血糖値を差し引いた血糖値上昇量および曲線下面積を評価した。各時点の血糖上昇量および曲線下面積の平均値を算出し、対照例と実施例11-1との有意差検定を対応のあるt検定にて行い、危険率5%以下を有意とした。
【0111】
【0112】
・ベースラインからの変化
摂取時の血糖値を基準とした、血糖上昇量を
図21に示す。食後45分の血糖上昇量は、対照例が39±14mg/dLであったのに対し、実施例11-1では27±14mg/dLであり、有意に抑制された。
【0113】
・血糖値上昇曲線下面積(iAUC)
血糖値上昇曲線下面積(iAUC)を、
図22に示す。iAUCは有意に抑制された。
【0114】
以上より、本発明に係る栄養組成物は、血糖値上昇を抑制できることが示された。
【0115】
<試験例12:保存試験>
表15に実施例12-1の組成を示す。実施例12-1は、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)、高分岐デキストリン、乳たんぱく質、難消化性デキストリン、MCT、植物油、でんぷん分解物、ラクチュロース、イヌリン、精製魚油、酵母エキス、乾燥酵母、カルニチン、乳酸菌(殺菌)、カゼインナトリウム、pH調整剤、乳化剤、塩化カリウム、香料、カラメル色素を混合する事によって調製された。なお乳化剤配合量は、0.175g/100kcalとし、レシチンと有機酸モノグリセリドを重量比率1:1で用いた。
実施例12-1を超高温殺菌し、125mLずつ紙パックに無菌充填した上で、常温にて6か月間静置保管した。6か月間静置保管した実施例12-1の脂肪浮上の程度を目視で確認したところ、使用上問題となるような脂肪浮上は認められず、良好な状態であった。
【0116】
【0117】
<試験例13:乳化安定性試験(中鎖脂肪酸比率の影響)>
乳化安定性に対する中鎖脂肪酸比率による影響を調べるため、中鎖脂肪酸比率の異なるサンプルを調製し、乳化安定性を調べた。
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表16に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例13-1の面積を1.000として算出した。
結果を表16に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を
図23に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを
図24に示す。
【0118】
【0119】
いずれの評価でも、比較例13-1と比較して、中鎖脂肪酸比率の高い実施例13-1及び実施例13-2の方が、乳化安定性が良好な結果となった。特に、中鎖脂肪酸比率がより高い実施例13-2において、乳化安定性が良好な結果となった。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量3.86g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
【0120】
<試験例14:乳化安定性試験(中鎖脂肪酸比率の影響)>
脂質含有量が多い条件における、乳化安定性に対する中鎖脂肪酸比率による影響を調べるため、脂質含有量が多い条件で中鎖脂肪酸比率の異なるサンプルを調製し、乳化安定性を調べた。
脂質を含む油相と、たんぱく質及び糖質を含む水相とをそれぞれ調製し、乳化剤を添加して乳化させることによって、栄養組成物を製造した。乳化剤として、レシチンと有機酸モノグリセリドを重量比率1:1で用いた。比較例14-1、実施例14-1、実施例14-2の熱量は1.6kcal/mL、たんぱく質含有量は3.8g/100kcalとなるように調製した。
また、比較例14-1、実施例14-1、実施例14-2の脂質の脂質エネルギー比率、脂質含有量、全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合、糖質エネルギー比率、糖質含有量、パラチノース
(登録商標)(イソマルツロース)含有量、乳化剤含有量は表17に示す通りである。
表17に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例14-1の面積を1.000として算出した。
結果を表18に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を
図25に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを
図26に示す。
【0121】
【0122】
【0123】
いずれの評価でも、比較例14-1と比較して、中鎖脂肪酸比率の高い実施例14-1及び実施例14-2の方が、乳化安定性が良好な結果となった。特に、中鎖脂肪酸比率がより高い実施例14-2において、乳化安定性が良好な結果となった。
以上より、脂肪含有量が6.11g/kcalと特に多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量3.86g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明によれば、安定な栄養組成物を提供することができる。