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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20250128BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250128BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
G09F9/00 346Z
G09F9/00 308Z
G09F9/00 338
G09F9/30 330
H05K1/03 670
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2023564333
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 JP2021044049
(87)【国際公開番号】W WO2023100281
(87)【国際公開日】2023-06-08
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三保谷 拓史
(72)【発明者】
【氏名】西岡 忠司
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-151382(JP,A)
【文献】国際公開第2017/006856(WO,A1)
【文献】特開2007-256723(JP,A)
【文献】特開2010-212338(JP,A)
【文献】特開2015-170574(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108983477(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111556648(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1368
G09F9/00-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
H05K1/18
3/32-3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電性材料を介して実装されたICチップと、
第2導電性材料を介して実装されたFPCとを備えた表示装置であって、
上記ICチップと上記FPCとは、互いに隣り合うように配置され、
上記ICチップと上記FPCとの間には、上記第1導電性材料と上記第2導電性材料とを隔て、かつ上記FPCと離間する隔壁部材が設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された表示装置において、
上記隔壁部材は、上記ICチップと上記FPCが実装される被実装基板に固定されていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された表示装置において、
上記隔壁部材は、上記ICチップと上記FPCが対向する方向とは直交する方向に沿って延びるテープ状に形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1つに記載された表示装置において、
上記ICチップを覆うように設けられたIC保護テープを備え、
上記IC保護テープには、上記ICチップにおける上記FPCに対向する端部以外の端部を囲うスペーサが設けられており、
上記隔壁部材は上記スペーサと同一材料により形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1~3の何れか1つに記載された表示装置において、
上記ICチップを覆うように設けられたIC保護テープを備え、
上記IC保護テープには、上記ICチップと上記FPCが対向する方向とは直交する方向を折り曲げの軸として折り曲げた折曲部が設けられており、
上記隔壁部材は、上記折曲部からなることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載された表示装置において、
上記IC保護テープは、上記折り曲げの軸に沿って切り込みが形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1~3の何れか1つに記載された表示装置において、
上記ICチップを覆うように設けられたIC保護テープと、
上記IC保護テープ上に上記ICチップを覆うように設けられたメタルテープとを備え、
上記隔壁部材は上記メタルテープの下面に固定されていることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載された表示装置において、
上記メタルテープの下面は粘着面として形成され、
上記メタルテープの下面に上記隔壁部材の上面が粘着固定されていることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載された表示装置において、
上記ICチップと上記FPCが実装される被実装基板と上記隔壁部材とのタック性は、該隔壁部材と上記メタルテープとのタック性よりも高いことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項7~9の何れか1つに記載された表示装置において、
上記IC保護テープには、上記ICチップにおける上記FPCに対向する端部以外の端部を囲うスペーサが設けられており、
上記隔壁部材は上記スペーサと同一材料により形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1つに記載された表示装置において、
上記ICチップと上記FPCとの間の距離は4mm以下であることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項11に記載された表示装置において、
上記ICチップと上記FPCが対向する方向における上記隔壁部材の厚さは150μm以上であることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項1~12の何れか1つに記載された表示装置において、
上記隔壁部材の上記ICチップ側の側面は粘着面として形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1つに記載された表示装置において、
表示領域と、該表示領域の周囲に設けられた額縁領域とを有する表示パネルと、
上記表示パネルにおける上記額縁領域の一端部に接続されたフレキシブル基板とを備え、
上記フレキシブル基板には、上記ICチップと上記FPCとが実装されていることを特徴とする表示装置。
【請求項15】
請求項1~13の何れか1つに記載された表示装置において、
表示領域と、該表示領域の周囲に設けられた額縁領域とを有する表示パネルを備え、
上記表示パネルにおける上記額縁領域の一端部には、上記ICチップと上記FPCとが実装されていることを特徴とする表示装置。
【請求項16】
第1導電性材料を介して実装されたICチップと、
上記ICチップに隣り合うように、第2導電性材料を介して実装されたFPCと、
上記ICチップと上記FPCとの間に設けられ、上記第1導電性材料と上記第2導電性材料とを隔てる隔壁部材と、
上記ICチップを覆うように設けられたIC保護テープとを備えた表示装置の製造方法であって、
上記ICチップ上に上記IC保護テープを貼り付けるIC保護テープ貼付工程を備え、
上記IC保護テープ貼付工程において、上記隔壁部材を形成することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載された表示装置の製造方法において、
上記IC保護テープには、上記FPC側端部から突出する突出部が設けられており、
上記IC保護テープ貼付工程において、上記ICチップと上記FPCが対向する方向とは直交する方向を折り曲げの軸として上記突出部を折り曲げることにより、上記隔壁部材を形成することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項18】
請求項16又は17に記載された表示装置の製造方法において、
上記FPCに不良が生じたときに、不良FPCを剥がして、新しいFPCを再実装するリワーク工程を備え、
上記リワーク工程において、上記隔壁部材が存在していることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項19】
第1導電性材料を介して実装されたICチップと、
上記ICチップに隣り合うように、第2導電性材料を介して実装されたFPCと、
上記ICチップと上記FPCとの間に設けられ、上記第1導電性材料と上記第2導電性材料とを隔てる隔壁部材と、
上記ICチップを覆うように設けられたIC保護テープと、
上記IC保護テープ上に上記ICチップを覆うように設けられたメタルテープとを備え、
上記隔壁部材が上記メタルテープの下面に固定された表示装置の製造方法であって、
上記ICチップ上に上記IC保護テープを貼り付けるIC保護テープ貼付工程と、
上記IC保護テープが貼り付けられた上記ICチップ上に上記メタルテープを貼り付けるメタルテープ貼付工程とを備え、
上記メタルテープ貼付工程において、上記メタルテープを貼り付けることにより、上記隔壁部材を形成することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載された表示装置の製造方法において、
上記FPCに不良が生じたときに、不良FPCを剥がして、新しいFPCを再実装するリワーク工程を備え、
上記リワーク工程は、上記メタルテープを剥がすメタルテープ剥離工程を備え、
上記メタルテープ剥離工程において、上記メタルテープを剥がした後に、上記隔壁部材が該メタルテープから剥がれて残存していることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項21】
請求項16~20の何れか1つに記載された表示装置の製造方法において、
上記表示装置は、
表示領域と、該表示領域の周囲に設けられた額縁領域とを有する表示パネルと、
上記表示パネルにおける上記額縁領域の一端部に接続されたフレキシブル基板とを備え、
上記フレキシブル基板には、上記ICチップと上記FPCとが実装されており、
上記IC保護テープ貼付工程の前において、
上記第1導電性材料を介して上記ICチップが実装された上記フレキシブル基板に、上記第2導電性材料を介して、上記FPCを熱圧着して実装するFPC実装工程を備えることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項22】
請求項16~20の何れか1つに記載された表示装置の製造方法において、
上記表示装置は、
表示領域と、該表示領域の周囲に設けられた額縁領域とを有する表示パネルを備え、
上記表示パネルにおける上記額縁領域の一端部には、上記ICチップと上記FPCとが実装されており、
上記IC保護テープ貼付工程の前において、
上記表示パネルに、上記第1導電性材料を介して、上記ICチップを熱圧着して実装するICチップ実装工程と、
上記ICチップが実装された上記表示パネルに、上記第2導電性材料を介して、上記FPCを熱圧着して実装するFPC実装工程とを備えることを特徴とする表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に代わる表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス(electroluminescence、以下「EL」とも称する)素子を用いた自発光型の有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置では、可撓性を有する樹脂基板上に有機EL素子や種々のフィルム等が積層された構造の表示パネルに、直接又はフィルム状の基板を介して、駆動用IC(integrated circuit)チップやFPC(flexible printed circuit)等の電子部品が実装されたフレキシブルパネル構造を有するフレキシブルな有機EL表示装置が提案されている。電子部品は、例えば、導電性ペーストや異方性導電性フィルム(anisotropic conductive film:ACF)等の導電性材料(導電性接着剤)を用いて圧着実装される。
【0003】
ところで、圧着実装されたFPCに不良が生じたときには、不良FPCを基板から剥がして、新しいFPCを再実装する工程(リワーク工程)を実施する。リワーク工程の際、不良FPCを剥がした跡には、圧着実装に使用した導電性材料の残渣が付着しているため、残渣の付着箇所に残渣除去用の剥離液を塗布する。このとき、塗布された剥離液が不良FPCに隣接する他の電子部品(例えばICチップ等)やその圧着実装に用いられた導電性材料に接触してしまう場合がある。この場合、ICチップの圧着実装にも同様の導電性材料が使用されているため、ICチップの実装(接続)状態に悪影響を及ぼし、ICチップに起因する表示装置の不良を引き起こすおそれがある。
【0004】
例えば、特許文献1には、PCB(主配線基板)にACFを介して接続された、互いに隣接するTCP(枝配線基板)の間に、TCPを接続する各端子よりもサイズの大きい二つのダミーパッドを配置し、これらダミーパッド同士が例えば1.5mm以上離間された平面表示装置が提案されている。この平面表示装置では、ダミーパッド間の領域にて、ACFを切断除去しておくことで、リペア(リワーク工程)を行う際にACFを除去する溶剤(剥離液)が拡がることに起因する、リワーク対象のTCPに隣接するTCPとPCBとの接続個所における端子接続不良の発生を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-258767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の表示装置では、リワーク対象の電子部品(例えばFPC等)と、それに隣接する他の電子部品(例えばICチップ等)との距離が近い(例えば1~2mm程度の)場合、ダミーパッド間の領域にてACFを切断除去していても、剥離液をICチップに接触させないように残渣除去することはそもそも困難である。また、各端子よりもサイズの大きい二つのダミーパッドを所定距離以上離間して配置することは、表示装置を構成する表示パネルをモジュール化して小型化を図る流れに逆行している。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、互いに隣接するICチップとFPCとが導電性材料を介して圧着実装された表示装置において、FPCを剥がして再実装するときに、導電性材料の残渣を剥離する剥離液との接触に起因するICチップの接続不良の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、第1導電性材料を介して実装されたICチップと、第2導電性材料を介して実装されたFPCとを備えた表示装置であって、上記ICチップと上記FPCとは、互いに隣り合うように配置され、上記ICチップと上記FPCとの間には、上記第1導電性材料と上記第2導電性材料とを隔てる隔壁部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る表示装置の製造方法は、第1導電性材料を介して実装されたICチップと、上記ICチップに隣り合うように第2導電性材料を介して実装されたFPCと、上記ICチップと上記FPCとの間に設けられ、上記第1導電性材料と上記第2導電性材料とを隔てる隔壁部材と、上記ICチップを覆うように設けられたIC保護テープとを備えた表示装置の製造方法であって、上記ICチップ上に上記IC保護テープを貼り付けるIC保護テープ貼付工程を備え、上記IC保護テープ貼付工程において、上記隔壁部材を形成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る表示装置の製造方法は、第1導電性材料を介して実装されたICチップと、上記ICチップに隣り合うように第2導電性材料を介して実装されたFPCと、上記ICチップと上記FPCとの間に設けられ、上記第1導電性材料と上記第2導電性材料とを隔てる隔壁部材と、上記ICチップを覆うように設けられたIC保護テープと、上記IC保護テープ上に上記ICチップを覆うように設けられたメタルテープとを備え、上記隔壁部材が上記メタルテープと一体に形成された表示装置の製造方法であって、上記ICチップ上に上記IC保護テープを貼り付けるIC保護テープ貼付工程と、IC保護テープが貼り付けられた上記ICチップ上に上記メタルテープを貼り付けるメタルテープ貼付工程とを備え、上記メタルテープ貼付工程において、上記メタルテープを貼り付けることにより上記隔壁部材を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、互いに隣接するICチップとFPCとが導電性材料を介して圧着実装された表示装置において、FPCを剥がして再実装するときに、導電性材料の残渣を剥離する剥離液との接触に起因するICチップの接続不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置の概略構成を示す平面図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置の表示領域の平面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置の端子部を示す、図1中のIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置の変形例における端子部を示す断面図であり、図3に相当する図である。
図5図5は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置を構成する隔壁部材を設置する工程を説明するための斜視図である。
図6図6は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置を構成するFPCを剥離して再実装するリワーク工程を説明するための斜視図である。
図7図7は、本発明の第2の実施形態に係る有機EL表示装置の端子部を示す断面図であり、図3に相当する図である。
図8図8は、本発明の第2の実施形態に係る有機EL表示装置を構成する隔壁部材を設置する工程を説明するための斜視図であり、図5に相当する図である。
図9図9は、本発明の第3の実施形態に係る有機EL表示装置の端子部を示す断面図であり、図3に相当する図である。
図10図10は、本発明の第3の実施形態に係る有機EL表示装置を構成する隔壁部材を設置する工程を説明するための斜視図であり、図5に相当する図である。
図11図11は、本発明の第3の実施形態に係る有機EL表示装置を構成するFPCを剥離して再実装するリワーク工程を説明するための斜視図であり、図6に相当する図である。
図12図12は、本発明の第4の実施形態に係る有機EL表示装置の概略構成を示す平面図であり、図1に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0014】
《第1の実施形態》
図1図6は、本発明に係る表示装置の第1の実施形態を示している。なお、以下の各実施形態では、発光素子を備えた表示装置として、有機EL素子を備えた有機EL表示装置を例示する。ここで、図1は、本実施形態の有機EL表示装置50aの概略構成を示す平面図である。図2は、有機EL表示装置50aの表示領域Dの平面図である。図3は、有機EL表示装置50aの端子部Tを示す、図1中のIII-III線に沿った断面図である。図4は、有機EL表示装置50aの変形例における端子部Tを示す断面図であり、図3に相当する図である。図5は、有機EL表示装置50aを構成する隔壁部材30aを設置する工程を説明するための斜視図である。図6は、有機EL表示装置50aを構成するFPC21を剥離して再実装するリワーク工程を説明するための斜視図である。
【0015】
有機EL表示装置50aは、図1に示すように、例えば、矩形状に設けられた画像表示を行う表示領域Dと、表示領域Dの周囲に枠状に設けられた額縁領域Fとを有する表示パネル40を備える。なお、本実施形態では、矩形状の表示領域Dを例示したが、この矩形状には、例えば、辺が円弧状になった形状、角部が円弧状になった形状、辺の一部に切り欠きがある形状等の略矩形状も含まれる。なお、有機EL表示装置50aでは、表示パネル40を構成する基板表面に平行な方向X(図1参照)と、方向Xに垂直で且つ該基板表面に平行な方向Y(図3,4参照)と、方向X及び方向Yに垂直な方向Z(図3,4参照)とが規定されている。
【0016】
表示領域Dには、図2に示すように、複数のサブ画素Pがマトリクス状に配列されている。また、表示領域Dでは、図2に示すように、例えば、赤色の表示を行うための赤色発光領域Lrを有するサブ画素P、緑色の表示を行うための緑色発光領域Lgを有するサブ画素P、及び青色の表示を行うための青色発光領域Lbを有するサブ画素Pが互いに隣り合うように設けられている。なお、表示領域Dでは、例えば、赤色発光領域Lr、緑色発光領域Lg及び青色発光領域Lbを有する隣り合う3つのサブ画素Pにより、1つの画素が構成されている。
【0017】
額縁領域Fには、図1中下端部に、図1中の横方向(方向X)に延びるように、端子部Tが設けられている。
【0018】
端子部Tには、図1に示すように、可撓性を有するフレキシブル基板41(その一端)が実装されている。フレキシブル基板41は、フィルム状の基板であり、例えば、ポリイミド樹脂等により構成される。フレキシブル基板41は、導電性材料(不図示)を介して端子部Tに電気的に接続される。導電性材料としては、例えば、導電性ペースト、ACF等が挙げられる。
【0019】
フレキシブル基板41には、図1及び図3に示すように、ICチップ11が実装されている。つまり、フレキシブル基板41は、ICチップ11が実装された被実装基板として、フィルム状の基板を意味するCOF(Chip on Film)といえる(以下、ICチップ11が実装されたフレキシブル基板41を「COF41」とも称する)。
【0020】
また、COF41には、図1及び図3に示すように、FPC21が実装されている。FPC21は、ICチップ11以外の様々な機能部品が実装されたフィルム状の基板であり、ICチップ11が実装されたCOF41とは区別される。つまり、COF41は、FPC21(フィルム状の基板)が実装された被実装基板として、FOF(Film on Film)実装のCOF(フィルム状の基板)ともいえる(以下、FPC21が実装されたCOF41を「FOF実装型COF41」とも称する)。
【0021】
ICチップ11は、図1及び図3に示すように、第1導電性材料10を介して、フレキシブル基板41に実装される(電気的に接続される)。第1導電性材料10としては、例えば、導電性ペースト、ACF等が挙げられる。第1導電性材料10の中では、ACFが好ましい。
【0022】
FPC21は、図1及び図3に示すように、第2導電性材料20を介して、COF41に実装される(電気的に接続される)。第2導電性材料20としては、例えば、導電性ペースト、ACF等が挙げられる。第2導電性材料20の中では、ACFが好ましい。
【0023】
FPC21とICチップ11とは、図1及び図3に示すように、方向Yに互いに隣り合うように配置される。具体的には、表示領域D側から端子部T側に向かって、ICチップ11及びFPC21が順に配置されている。ICチップ11とFPC21との間の距離は、特に限定されないが、例えば4mm以下である。なお、表示パネル40モジュールの小型化を図るためには、上記距離は1~2mm程度である。
【0024】
ICチップ11及びFPC21をフレキシブル基板41に実装する導電性材料として、図1及び図3に示すように、第1導電性材料10と第2導電性材料20とが個別に設けられる。つまり、ICチップ11及びFPC21は、別々の導電性材料を介してフレキシブル基板41に実装される。換言すると、ICチップ11及びFPC21をフレキシブル基板41に実装する導電性材料として、共通の導電性材料は使用されない。
【0025】
ICチップ11上には、図3図6に示すように、ICチップ11を保護するためのIC保護テープ44が設けられる(図1ではIC保護テープ44が省略されている)。IC保護テープ44は、ICチップ11を覆うように設けられる。IC保護テープ44は、テープ本体42aと、スペーサ43とを備える。
【0026】
テープ本体42aは、ICチップ11の上面を保護するものである。そのため、テープ本体42aは、図3図6に示すように、ICチップ11の上面を覆うように設けられる。テープ本体42aは、ICチップ11のサイズ(面積)と同程度か又は少し大きく形成される。具体的には、図3及び図4に示すように、テープ本体42aは、表示領域D側端部(FPC21側端部とは反対側の端部)がICチップ11(その端部)から方向Yに突出しており、ICチップ11よりも大きく形成されている。テープ本体42aは、例えば、透明PET(polyethylene terephthalate)等の樹脂フィルムにより構成される。
【0027】
また、テープ本体42aは、その下面が粘着面として形成された粘着テープである。そのため、テープ本体42aの下面(粘着面)には、スペーサ43が貼り付けられている。これにより、テープ本体42aとスペーサ43とが一体となったIC保護テープ44が構成される。
【0028】
スペーサ43は、ICチップ11に応力が掛かって折れたり破損することを防止するための補強材である。そのため、スペーサ43は、ICチップ11の周囲に設けられる。具体的には、スペーサ43は、図3図6に示すように、ICチップ11におけるFPC21側端部(FPC21に対向する端部)以外の端部(3辺)を囲うように設けられる。スペーサ43は、平面視でコ字(U字)状に形成される。換言すると、スペーサ43には、方向YのFPC21側に開放する開口が形成される。
【0029】
スペーサ43は、例えば、PETフィルム(東レ(株)製、型式:ルミラー(登録商標)X30、厚さ0.2mm)等の比較的硬度の高い樹脂材料により構成される。スペーサ43の上面及び下面は、粘着面として形成されていてもよく、粘着性がなくてもよい。スペーサ43の下面が粘着面でない場合、該下面とFOF実装型COF41の上面とは、密着されていなくてもよい。スペーサ43の下面とFOF実装型COF41の上面との間には、第1導電性材料10の厚さよりも十分小さい隙間が空いていてもよい。
【0030】
スペーサ43の方向X及び方向Y長さは、特に限定されず、ICチップ11のサイズに応じて適宜決定すればよい。スペーサ43の厚さ(幅)は、特に限定されないが、例えば150μm以上である。スペーサ43の高さ(図3では方向Z長さ)は、特に限定されず、第1導電性材料10及びICチップ11の厚さ(図3では方向Z長さ)に応じて適宜決定すればよい。
【0031】
IC保護テープ44が貼り付けられたICチップ11上には、図3及び図4に示すように、ICチップ11を電磁遮蔽するためのメタルテープ45aが設けられる(図1ではメタルテープ45aが省略されている)。そのため、メタルテープ45aは、少なくともICチップ11の上面を覆うように設けられる。なお、メタルテープ45aは、図3及び図4に示すように、FOF実装型COF41上(FOF実装型COF41と平面視で重畳する部分)におけるFPC21の上面も覆うように設けられていてもよい。換言すると、メタルテープ45aは、FOF実装型COF41を覆うように設けられていてもよい。この場合、メタルテープ45aにより、FOF実装型COF41の上面が保護される。
【0032】
メタルテープ45aは、例えば、透明PET(polyethylene terephthalate)等の樹脂フィルムに金属箔等が設けられて一体に構成される。メタルテープ45aは、その下面が粘着面として形成された粘着テープである。そのため、メタルテープ45aは、図3及び図4に示すように、ICチップ11上に貼り付けられたIC保護テープ44と、FPC21とに貼り付けられる。
【0033】
FOF実装型COF41の下面には、裏面テープ(不図示)が設けられていてもよい。この場合、裏面テープにより、FOF実装型COF41の下面が保護される。
【0034】
ここで、図1及び図3に示すように、有機EL表示装置50aでは、ICチップ11とFPC21との間に、隔壁部材30aが設けられる。FOF実装型COF41に実装されたFPC21に不良が生じたときに、不良FPC21を剥がして、新しいFPC21を再実装する工程(以下、FOF実装のリワーク工程のため「FOFリワーク工程」とも称する)を実施する。FOFリワーク工程では、不良FPC21を剥がした跡に残る(不良FPC21の圧着接続に用いられた)第2導電性材料20の残渣を除去する必要がある。そのため、残渣除去用の溶剤である剥離液25を、第2導電性材料20の残渣が付着した不良FPC21の実装跡に塗布する。このとき、不良FPC21の実装跡に隣接するICチップ11(具体的には、ICチップ11の圧着接続に用いられた第1導電性材料10)に剥離液25が接触して付着するのを防止する障壁として、隔壁部材30aが機能する。つまり、隔壁部材30aは、FOFリワーク工程における剥離液侵入防止用の壁(仕切り)といえる。隔壁部材30aは、第1導電性材料10と第2導電性材料20とを隔てる仕切りである。
【0035】
なお、隔壁部材30aは、図3図6に示すように、スペーサ43共に、ICチップ11の全周囲(4辺)を囲うように構成される。具体的には、隔壁部材30aは、スペーサ43の開口(ICチップ11のFPC21側端部)に対向するように設けられる。そのため、隔壁部材30aは、スペーサ43で構成されるICチップ11の補強材の一部としても機能する。
【0036】
隔壁部材30aは、図3図6に示すように、ICチップ11及びFPC21が対向する方向Yとは直交する方向X(図1参照)に沿って延びるテープ状に形成される。テープ状の隔壁部材30aは、例えば、スペーサ43と同一材料により形成される。そのため、テープ状の隔壁部材30aの厚さ(図1及び図3では方向Y長さ)は、特に限定されないが、例えば150μm以上である。なお、テープ状の隔壁部材30aの長手方向(図1では方向X、長辺)長さは、特に限定されず、ICチップ11の方向X長さに応じて適宜決定すればよい。テープ状の隔壁部材30aの短手方向(図3では方向Z、短辺)長さは、特に限定されず、第1導電性材料10及びICチップ11の厚さ(図3では方向Z長さ)に応じて適宜決定すればよいが、少なくともICチップ11の高さ以上あればよい。
【0037】
隔壁部材30aは、図3に示すように、FOF実装型COF41上に設けられる。具体的には、隔壁部材30aは、ICチップ11及びFPC21(これらを圧着接続する第1導電性材料10及び第2導電性材料20)からそれぞれ離間するように、FOF実装型COF41の上面に立っている。テープ状の隔壁部材30aは、その長手方向辺と厚さ方向辺とで構成される一面を底面(下面)とする立壁として立設される。そのため、上記したICチップ11とFPC21との間の距離の下限値は、隔壁部材30aの厚さ以上である。
【0038】
隔壁部材30aは、FOF実装型COF41の上面に固定される。これにより、隔壁部材30aは、立壁としての設置状態が維持される。隔壁部材30aの下面とFOF実装型COF41の上面との固定方法としては、例えば、隔壁部材30aの下面を粘着面として形成し、該下面をFOF実装型COF41の上面に貼り付けることにより、両者を粘着固定する方法;隔壁部材30aの下面、又はFOF実装型COF41の上面における隔壁部材30a固定部位に熱、紫外線、湿気、酸素遮断等により硬化する硬化性樹脂(接着剤)を予め塗布し、硬化性樹脂を硬化させることにより、両者を接着固定する方法等が挙げられる。
【0039】
隔壁部材30aは、図3に示すように、メタルテープ45aから離間している。つまり、隔壁部材30aは、メタルテープ45aの下面(粘着面)には固定されていない。なお、隔壁部材30aとメタルテープ45aとは、固定されていなければよく、接触していてもよい。
【0040】
《第1の実施形態の変形例》
なお、隔壁部材30aは、図4に示すように、FPC21から離間する一方、ICチップ11と接触するように、FOF実装型COF41の上面に立っていてもよい。具体的には、隔壁部材30aは、ICチップ11の一方(FPC21側)の側面の少なくとも一部に粘着固定されていてもよい。この場合、隔壁部材30aのICチップ11側の側面は、粘着面として形成される。なお、隔壁部材30aの下面は、粘着面として形成されていてもよく、粘着性がなくてもよい。隔壁部材30aの下面が粘着面でない場合、該下面とFOF実装型COF41の上面とは、密着されていなくてもよい。隔壁部材30aの下面とFOF実装型COF41の上面との間には、第1導電性材料10の厚さよりも十分小さい隙間が空いていてもよい。この場合でも、剥離液25は、比較的粘性の高い溶液又はペーストであるため、上記隙間からICチップ11側に侵入するのを抑制できる。
【0041】
有機EL表示装置50aの変形例、即ち隔壁部材30aのICチップ11側の側面は粘着面として形成されるという構成は、後述する実施形態にも適用できる。
【0042】
以上のように構成される有機EL表示装置50aは、互いに隣接するICチップ11及びFPC21と、ICチップ11及びFPC21の間に配置された隔壁部材30aとを備える。隔壁部材30aは、ICチップ11及びFPC21をそれぞれ実装するための第1導電性材料10と第2導電性材料20とを隔てる仕切りとして設けられる。なお、有機EL表示装置50aでは、ICチップ11、FPC21及び隔壁部材30aは、表示パネル40の額縁領域Fにおける端子部Tに接続されたフレキシブル基板41に実装される。
【0043】
次に、本実施形態の有機EL表示装置50a及びその変形例の製造方法について説明する。有機EL表示装置50aの製造方法は、IC保護テープ貼付工程を備える。また、有機EL表示装置50aの製造方法は、IC保護テープ貼付工程の前に、COF圧着工程と、FPC実装工程とを備える。
【0044】
<COF圧着工程>
表示パネル40の端子部Tに、第1導電性材料10を介してICチップ11が実装されたフレキシブル基板41(COF41)を実装する。具体的には、端子部Tに、第1導電性材料10及び第2導電性材料20とは異なる(別の)導電性材料を介して、COF41を熱圧着して実装する。
【0045】
<FPC実装工程>
COF41に、第2導電性材料20を介してFPC21を熱圧着してFOF実装する。これにより、FOF実装型COF41が形成される。つまり、FPC実装工程は、COF41にFPC21を実装するFOF実装工程ともいえる。
【0046】
<IC保護テープ貼付工程>
ICチップ11上にIC保護テープ44を貼り付ける。具体的には、例えば治具を用いて、IC保護テープ44を構成するスペーサ43がICチップ11のFPC21側端部を除く3辺を囲うように、IC保護テープ44を構成するテープ本体42aをICチップ11の上面に貼り付ける。
【0047】
続いて、図5に示すように、ICチップ11とFPC21との間に、隔壁部材30aを設ける。具体的には、第1導電性材料10と第2導電性材料20との間におけるFOF実装型COF41上に、立壁としてテープ状の隔壁部材30aが立設するように、隔壁部材30aの下面を貼り付ける(粘着固定する)又は接着固定する。隔壁部材30aとFOF実装型COF41との密着により、第1導電性材料10と第2導電性材料20とが仕切られる。このように、有機EL表示装置50aの製造方法では、IC保護テープ貼付工程において、隔壁部材30aを形成する。
【0048】
<その他の工程>
有機EL表示装置50aの製造方法は、必要に応じて、その他の工程として、メタルテープ貼付工程、裏面テープ貼付工程、リワーク工程等を備えていてもよい。
【0049】
〔メタルテープ貼付工程〕
メタルテープ貼付工程は、IC保護テープ貼付工程の後に実施される。メタルテープ貼付工程では、IC保護テープ44が貼り付けられたFOF実装型COF41上にメタルテープ45aを貼り付ける。具体的には、例えば治具を用いて、メタルテープ45aを、ICチップ11上に貼り付けられたIC保護テープ44(具体的には、IC保護テープ44を構成するテープ本体42a)とFPC21とに貼り付ける。これにより、ICチップ11は、IC保護テープ44を介して、メタルテープ45aで覆われるため、電磁遮蔽される。
【0050】
〔裏面テープ貼付工程〕
有機EL表示装置50aが裏面テープを備える場合には、裏面テープ貼付工程を実施してもよい。裏面テープ貼付工程では、FOF実装型COF41のメタルテープ45aが貼り付けられる面(表面)とは反対側の裏面に、例えば治具を用いて、裏面テープを貼り付ける。なお、裏面テープ貼付工程は、IC保護テープ貼付工程の前後、又はメタルテープ貼付工程の前後の何れに実施してもよい。
【0051】
〔リワーク工程〕
FPC実装工程で実装されたFPC21に不良が生じたときには、リワーク工程を実施する。リワーク工程は、不良FPC21をFOF実装型COF41から剥がして、新しいFPC21をCOF41に再実装する工程である。つまり、リワーク工程は、FOF実装をリワークするFOFリワーク工程である。
【0052】
FOFリワーク工程は、メタルテープ剥離工程と、FPC剥離工程と、剥離液塗布工程と、第2導電性材料除去工程と、FPC再実装工程とを備える。なお、FOFリワーク工程は、有機EL表示装置50aの製造方法が裏面テープ貼付工程を備える場合には、裏面テープ剥離工程を備えていてもよい。また、FOFリワーク工程において、IC保護テープ44は、作業性の点で特に邪魔にならないため、IC保護テープ44を剥離する工程は不要である。
【0053】
(メタルテープ剥離工程)
メタルテープ貼付工程で貼り付けられたメタルテープ45aを、IC保護テープ44及びFPC21から引き剥がす。隔壁部材30aは、FOF実装型COF41に粘着固定又は接着固定されている一方、メタルテープ45aには粘着固定されていない。そのため、メタルテープ45aを剥がすときに、隔壁部材30aは、FOF実装型COF41から剥がれ難い。
【0054】
なお、メタルテープ剥離工程では、IC保護テープ44がICチップ11から剥がれないようにする。仮に、IC保護テープ44がICチップ11から剥がれた場合には、FOFリワーク工程後に、IC保護テープ貼付工程を再度実施すればよい。
【0055】
(裏面テープ剥離工程)
裏面テープ貼付工程が実施されている場合には、裏面テープをFOF実装型COF41から引き剥がす。
【0056】
(FPC剥離工程)
FOF実装型COF41から不良FPC21を引き剥がす。具体的には、FOF実装型COF41における不良FPC21実装部を加熱しながら、不良FPC21を剥がす。
【0057】
(剥離液塗布工程)
COF41における不良FPC21実装部跡に剥離液25を塗布する。具体的には、不良FPC21実装部跡に残る第2導電性材料20の残渣を覆うように、剥離液25を塗布する。なお、剥離液25は、一般に使用される市販品を使用できる。例えば、ACF用の剥離液25(リペア液)としては、日立化成(株)製、型式:RP-04等が挙げられる。
【0058】
図6に示すように、剥離液25を塗布するときには(具体的には、一連のリワーク工程において)、隔壁部材30aがCOF41上に存在している。隔壁部材30aは、剥離液25がICチップ11側に侵入するのを防止する壁として機能する。隔壁部材30aにより、剥離液塗布工程の作業中に、剥離液25がICチップ11や第1導電性材料10に接触して付着するという不都合が生じ難い。
【0059】
(第2導電性材料除去工程)
剥離液を塗布してから所定時間経過後に、不良FPC21実装部跡に固着する第2導電性材料20の残渣を、例えば綿棒やヘラ等で擦って除去する。具体的には、剥離液25により膨潤して浮き上がった第2導電性材料20の残渣と剥離液25とを拭き取って清掃する。隔壁部材30aにより、第2導電性材料除去工程の作業中も、剥離液25がICチップ11や第1導電性材料10に接触して付着するという不都合が生じ難い。
【0060】
(FPC再実装工程)
新しいFPC21を用いて、FPC実装工程と同様の工程を実施する。具体的には、COF41における不良FPC21実装部跡に、新しい第2導電性材料20を介して、新しいFPC21を熱圧着することにより、FOF再実装する。
【0061】
上記一連のリワーク工程の後、必要に応じて、メタルテープ貼付工程、裏面テープ貼付工程等を実施する。以上のようにして、本実施形態の有機EL表示装置50aを製造することができる。
【0062】
<効果>
以上説明したように、本実施形態に係る有機EL表示装置50a(変形例を含む)及びその製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0063】
有機EL表示装置50aは、第1導電性材料10を介して実装されたICチップ11と、第2導電性材料20を介して実装されたFPC21との間には、第1導電性材料10と第2導電性材料20とを隔てる隔壁部材30aが設けられている。隔壁部材30aは、FPC21を剥がして再実装するときに、第2導電性材料20の残渣除去用の剥離液25がICチップ11又は第1導電性材料10に接触するのを防止する壁(仕切り)として機能する。隔壁部材30aにより、ICチップ11とFPC21とが互いに隣り合うように配置され、しかもその距離が比較的近い表示パネル構造であっても、ICチップ11の実装部が剥離液25で侵食され難いため、剥離液25との接触に起因するICチップ11の接続不良の発生を抑制できる。
【0064】
有機EL表示装置50aの製造方法は、従来備えるIC保護テープ貼付工程において、隔壁部材30aを形成できるため、有機EL表示装置50aを容易に製造できる。
【0065】
また、有機EL表示装置50aの製造方法は、リワーク工程において、剥離液25を不良FPC21実装部跡に塗布するときに(剥離液塗布工程)、隔壁部材30aがFOF実装型COF41上に存在している。そのため、剥離液塗布工程及びその後に続く第2導電性材料除去工程において、剥離液25がICチップ11の実装部に接触するおそれを気にせずに、剥離液塗布や残渣除去等の作業を行うことができる。換言すると、リワーク工程の作業性の向上を図ることができる。
【0066】
有機EL表示装置50a及びその製造方法によれば、どのような構造のモジュールであってもリワークを確実に実施できるため、表示装置の信頼性(品質)の向上を図ることができる。
【0067】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図7及び図8は、本発明に係る表示装置の第2の実施形態を示している。図7は、本実施形態の有機EL表示装置50bの端子部Tを示す断面図であり、図3に相当する図である。図8は、有機EL表示装置50bを構成する隔壁部材30bを設置する工程を説明するための斜視図であり、図5に相当する図である。
【0068】
有機EL表示装置50bの全体構成は、端子部Tの構成以外、上記第1の実施形態の場合と同じであるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0069】
有機EL表示装置50bは、図7及び図8に示すように、上記第1の実施形態の有機EL表示装置50aを構成する隔壁部材30aの代わりに、隔壁部材30bを備える。また、IC保護テープ44の構成が有機EL表示装置50aとは異なる。
【0070】
有機EL表示装置50bでは、図8に示すように、IC保護テープ44を構成するテープ本体42aには、そのFPC21側端部から方向Yに(FPC21側に向かって)突出する突出部42bが設けられる。突出部42bとテープ本体42aとの間には、ICチップ11とFPC21が対向する方向Yとは直交する方向X(図1参照)に沿って、折り曲げの軸が形成される。具体的には、折り曲げの軸に沿って、折り曲げを容易にする切り込み(切れ目)42cが形成されている。上記構成により、突出部42bは、テープ本体42aに対して、90°(直角)に折り曲げ可能になっている。
【0071】
そして、突出部42bが、図8に示す矢印の方向に、切り込み42cに沿って、90°に折り曲げられることにより、図7に示すように、隔壁部材30bが形成される。そのため、隔壁部材30bは、例えば、テープ本体42aと同一材料により形成される。
【0072】
隔壁部材30bは、その下面が粘着面として形成されてFOF実装型COF41に粘着固定されていてもよく、上記と同様の方法によりFOF実装型COF41に接着固定されていてもよい。また、有機EL表示装置50bに、有機EL表示装置50aの変形例を適用してもよい。つまり、隔壁部材30bのICチップ11側の側面は、粘着面として形成されていてもよい。
【0073】
本実施形態の有機EL表示装置50bは、上記第1の実施形態の有機EL表示装置50aの製造方法におけるIC保護テープ貼付工程を、次のように変更することにより製造できる。
【0074】
<IC保護テープ貼付工程>
IC保護テープ貼付工程において、ICチップ11上にIC保護テープ44を貼り付けた後に、隔壁部材30bを別途設けるのではなく、突出部42bを、図8に示す矢印の方向に、切り込み42cに沿って90°に折り曲げる。このように、突出部42bを折り曲げるだけで、隔壁部材30bが形成される。そのため、例えば、切り込み42c(折り曲げの軸)が、ICチップ11のFPC21側端部(辺)に沿うように、IC保護テープ44を貼り付ければよい。
【0075】
<効果>
以上説明したように、本実施形態に係る有機EL表示装置50bによれば、上記と同様の効果を得ることができる。また、有機EL表示装置50bでは、上記の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0076】
有機EL表示装置50bでは、IC保護テープ44を構成する突出部42bにより、隔壁部材30bが構成されるため、隔壁部材30bを別途設ける必要がない。つまり、部品点数の低減を図ることができる。
【0077】
有機EL表示装置50bの製造方法では、IC保護テープ貼付工程において、突出部42bを、テープ本体42aに対して折り曲げるだけで、隔壁部材30bが形成される。つまり、IC保護テープ44と隔壁部材30aとを個別に貼り付ける場合と比較して、貼り付け作業がIC保護テープ44のみの1回となるため、IC保護テープ貼付工程における貼り付け作業性の向上を図ることができる。なお、隔壁部材30aを接着固定する場合と比較しても、その工程が不要になるため、同様の効果が得られる。
【0078】
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図9図11は、本発明に係る表示装置の第3の実施形態を示している。図9は、本実施形態の有機EL表示装置50cの端子部を示す断面図であり、図3に相当する図である。図10は、本実施形態の有機EL表示装置50cを構成する隔壁部材30cを設置する工程を説明するための斜視図であり、図5に相当する図である。図11は、本実施形態の有機EL表示装置50cを構成するFPC21を剥離して再実装するリワーク工程を説明するための斜視図であり、図6に相当する図である。
【0079】
有機EL表示装置50cの全体構成は、端子部Tの構成以外、上記第1の実施形態の場合と同じであるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
有機EL表示装置50cは、図9図11に示すように、上記第1の実施形態の有機EL表示装置50aを構成する隔壁部材30aの代わりに、隔壁部材30cを備える。また、有機EL表示装置50cは、メタルテープ45bを備える。
【0081】
有機EL表示装置50cでは、図9に示すように、メタルテープ45aの下面に、隔壁部材30cが設けられる(固定される)。具体的には、隔壁部材30cは、メタルテープ45aと一体に形成される。これにより、隔壁部材30cとメタルテープ45aとが一体となったメタルテープ45bが構成される。なお、隔壁部材30cは、例えば、IC保護テープ44を構成するスペーサ43と同一材料により形成される。
【0082】
メタルテープ45aは、その下面が粘着面として形成される。これにより、メタルテープ45aの下面に、隔壁部材30cの上面が粘着固定される。なお、メタルテープ45aの下面が粘着性を有するため、隔壁部材30cの上面は、粘着性がなくてもよいが、粘着面に形成されていてもよい。
【0083】
また、隔壁部材30cは、その下面が粘着面として形成されてFOF実装型COF41に粘着固定されていてもよく、上記と同様の方法によりFOF実装型COF41に接着固定されていてもよい。なお、有機EL表示装置50cに、有機EL表示装置50aの変形例を適用してもよい。つまり、隔壁部材30cのICチップ11側の側面は、粘着面として形成されていてもよい。
【0084】
ここで、隔壁部材30cにおいて、下面のタック性(隔壁部材30cとFOF実装型COF41との間のタック性)は、上面のタック性(隔壁部材30cとメタルテープ45aとの間のタック性)よりも高い。具体的には、隔壁部材30cの下面とFOF実装型COF41の上面との粘着力(タック力)は、隔壁部材30cの上面とメタルテープ45aの下面とのタック力よりも強い。このように、タック力に差異をつける方法としては、例えば、メタルテープ45aの下面(粘着面)のタック力よりも強いタック力を有する粘着面を隔壁部材30cの下面に設ける方法;メタルテープ45aの下面のタック力よりも強いタック力を有する硬化性樹脂を、隔壁部材30cの下面、又はFOF実装型COF41の上面における隔壁部材30a固定部位に塗布する方法等が挙げられる。
【0085】
本実施形態の有機EL表示装置50cは、上記第1の実施形態の有機EL表示装置50aの製造方法におけるIC保護テープ貼付工程及びメタルテープ貼付工程を、次のように変更することにより製造できる。具体的には、有機EL表示装置50cの製造方法は、隔壁部材30cを備えていない従来の有機EL表示装置の製造方法と同様の工程のみで製造できる。
【0086】
<IC保護テープ貼付工程>
有機EL表示装置50cの製造方法では、IC保護テープ貼付工程において、隔壁部材30cを形成しない。具体的には、IC保護テープ44をICチップ11の上面に貼り付けるだけでよい。つまり、隔壁部材30aをFOF実装型COF41上に貼り付ける(粘着固定する)又は接着固定する作業や、突出部42bを折り曲げる作業は不要である。
【0087】
〔メタルテープ貼付工程〕
図10に示すように、メタルテープ貼付工程において、隔壁部材30cとメタルテープ45aとが一体に構成されたメタルテープ45bを、ICチップ11とFPC21との間に隔壁部材30cが配置されるように、例えば治具を用いて、FOF実装型COF41上に貼り付ける。メタルテープ45bを貼り付けることにより、隔壁部材30cが形成される。このように、有機EL表示装置50cの製造方法では、IC保護テープ貼付工程ではなく、メタルテープ貼付工程において、隔壁部材30cを形成する。
【0088】
〔リワーク工程〕
有機EL表示装置50cの製造方法において、リワーク工程における各工程の手順は、有機EL表示装置50aの製造方法と同様である。
【0089】
(メタルテープ剥離工程)
リワーク工程におけるメタルテープ剥離工程において、図11に示すように、メタルテープ45bを構成するメタルテープ45aを、IC保護テープ44及びFPC21から引き剥がす。このとき、メタルテープ45bを構成する隔壁部材30cの上面と下面とのタック性の違いを利用して、隔壁部材30cがメタルテープ45aから剥がれてFOF実装型COF41上に残存する。具体的には、隔壁部材30cの下面とFOF実装型COF41との粘着力が、隔壁部材30cの上面とメタルテープ45aとの粘着力よりも強いため、FOF実装型COF41に隔壁部材30cが粘着固定又は接着固定されたまま、隔壁部材30cからメタルテープ45aだけを剥がすことができる。このように、有機EL表示装置50cの製造方法では、一連のリワーク工程において、メタルテープ45aをFOF実装型COF41から剥がした後に、メタルテープ45aから剥がれて分離した隔壁部材30cがFOF実装型COF41上に存在している。有機EL表示装置50cでは、メタルテープ45aを剥がすことにより、隔壁部材30cが形成されるように構成されている。
【0090】
<効果>
以上説明したように、本実施形態に係る有機EL表示装置50cによれば、上記と同様の効果を得ることができる。また、有機EL表示装置50cでは、上記の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0091】
有機EL表示装置50cでは、隔壁部材30cがメタルテープ45aと一体に形成されているため、隔壁部材30cを別途設ける必要がない。つまり、部品点数の低減を図ることができる。
【0092】
有機EL表示装置50cの製造方法では、隔壁部材30cとメタルテープ45aとが一体に形成されたメタルテープ45bを用いて、従来のメタルテープ貼付工程を実施すればよい。つまり、IC保護テープ貼付工程を含めて、隔壁部材30cを備えていない従来の有機EL表示装置の製造方法と同様の工程のみで製造できるため、作業性の向上をさらに図ることができる。
【0093】
《第4の実施形態》
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図12は、本発明に係る表示装置の第4の実施形態を示している。図12は、本実施形態の有機EL表示装置50dの概略構成を示す平面図であり、図1に相当する図である。
【0094】
有機EL表示装置50dの全体構成は、端子部Tの構成以外、上記第1の実施形態の場合と同じであるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0095】
上記第1の実施形態の有機EL表示装置50aでは、ICチップ11及びFPC21が、表示パネル40(その額縁領域Fにおける端子部T)に接続されたフレキシブル基板41を介して実装されるのに対して、本実施形態の有機EL表示装置50dでは、図12に示すように、表示パネル40(その額縁領域Fにおける端子部T)に直接実装される。そのため、有機EL表示装置50dでは、隔壁部材30aも表示パネル40に直接実装される。つまり、有機EL表示装置50dは、フレキシブル基板41を備えていない。
【0096】
なお、有機EL表示装置50dには、有機EL表示装置50aの変形例、有機EL表示装置50b及び有機EL表示装置50cの何れの構成も適用できる。つまり、有機EL表示装置50dは、隔壁部材30aの代わりに、隔壁部材30b又は隔壁部材30cを備えていてもよい。
【0097】
本実施形態の有機EL表示装置50dは、上記第1の実施形態の有機EL表示装置50aの製造方法における各工程において、フレキシブル基板41(COF41)を、表示パネル40(その額縁領域Fにおける端子部T)に読み替えることにより製造できる。また、有機EL表示装置50dの製造方法は、FPC実装工程の前に、ICチップ実装工程を備える。
【0098】
〔ICチップ実装工程〕
ICチップ実装工程では、表示パネル40の端子部Tに、第1導電性材料10を介してICチップ11を熱圧着して実装する。つまり、ICチップ実装工程は、ICチップ11が表示パネル40に直接実装されたCOP(Chip on Plastic)を形成するCOP形成工程ともいえる。
【0099】
<FPC実装工程>
ICチップ11が実装された表示パネル40(COP)に、第2導電性材料20を介してFPC21を熱圧着して実装する。
【0100】
<効果>
以上説明したように、本実施形態に係る有機EL表示装置50dによれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0101】
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、表示装置として有機EL表示装置を例に挙げて説明したが、本発明は、電流によって駆動される複数の発光素子を備えた表示装置に適用することができる。例えば、量子ドット含有層を用いた発光素子であるQLED(Quantum-dot light emitting diode)を備えた表示装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上説明したように、本発明は、フレキシブルな表示装置について有用である。
【符号の説明】
【0103】
D 表示領域
F 額縁領域
T 端子部
10 第1導電性材料
11 ICチップ
20 第2導電性材料
21 FPC
25 剥離液
30a,30b,30c 隔壁部材
40 電子部品
41 フレキシブル基板(COF)
42a テープ本体
42b 突出部
43 スペーサ
44 IC保護テープ
45a,45b メタルテープ
50a,50b,50c,50d 有機EL表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12