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特許7626881近等温の作動空間を有するスターリングエンジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】近等温の作動空間を有するスターリングエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02G 1/053 20060101AFI20250128BHJP
   F02G 1/044 20060101ALI20250128BHJP
   F25B 9/14 20060101ALN20250128BHJP
【FI】
F02G1/053 A
F02G1/044 A
F25B9/14 510B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023575399
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 US2022031554
(87)【国際公開番号】W WO2022256302
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-01-28
(31)【優先権主張番号】63/196,463
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523456032
【氏名又は名称】ノルド、ジョナサン
(74)【代理人】
【識別番号】100138760
【弁理士】
【氏名又は名称】森 智香子
(72)【発明者】
【氏名】ノルド、ジョナサン
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第10319806(DE,A1)
【文献】特開昭47-032462(JP,A)
【文献】特開2012-193739(JP,A)
【文献】特開平10-213012(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0149494(US,A1)
【文献】米国特許第04446698(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0239640(US,A1)
【文献】特開2015-161252(JP,A)
【文献】米国特許第04353683(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02G 1/053
F02G 1/044
F25B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2のピストンシリンダアセンブリであって、各ピストンシリンダアセンブリが、
作動流体を収容する内部ボアを備えるシリンダと、
前記内部ボアの第1の端部を施蓋し、少なくとも1つの貫通孔とそれぞれ連通する2以上の横向きの谷を内側に向かって呈し、隣接する横向きの谷が横向きの山によって分離されるホットヘッドと、
前記内部ボアの前記第1の端部の反対側の第2の端部を施蓋し、少なくとも1つの貫通孔とそれぞれ連通する2以上の横向きの谷を内側に向かって呈し、隣接する横向きの谷が横向きの山によって分離される、コールドヘッドと、
前記シリンダの前記内部ボア内に長手方向に移動するように受け入れられ、(i)前記ホットヘッドと向かい合う1つの長手方向端部において、前記ホットヘッドの前記2以上の横向きの谷に対応するように位置合わせされた2以上の横向きの山を呈し、ホットピストンクラウンの前記2以上の横向きの山のうちの隣接する1つが、それぞれの横向きの谷によって分離される、ホットピストンクラウンと、(ii)前記コールドヘッドと向かい合う別の長手方向端部において、前記コールドヘッドの前記2以上の横向きの谷に対応するように位置合わせされた2以上の横向きの山を呈し、ホットピストンクラウンの前記2以上の横向きの山のうちの隣接する1つが、それぞれの横向きの谷によって分離される、コールドピストンクラウンと、を備える、ピストンと、
第1のピストンシリンダアセンブリの前記ホットヘッドの前記少なくとも1つの貫通孔と、第2のピストンシリンダアセンブリの前記コールドヘッドの前記少なくとも1つの貫通孔との間に連通結合された第1の流体流路と、
コールドピストンシリンダアセンブリの前記ホットヘッドの前記少なくとも1つの貫通孔と、ホットピストンシリンダアセンブリの前記コールドヘッドの前記少なくとも1つの貫通孔との間に連通結合された第2の流体流路と、を備えるピストンシリンダアセンブリを備え、
前記山および前記谷によって呈される大した表面積が、前記ピストンの長手方向へのストロークの対応する端部において、前記ホットピストンクラウンおよび前記ホットヘッド間、かつ前記コールドピストンクラウンおよび前記コールドヘッド間の、それぞれの熱交換を増大させる、熱機関。
【請求項2】
前記第1および前記第2の流体流路が、第1および第2の再生器をそれぞれ備え、前記熱機関が、単動アルファ形態スターリングエンジンを備える、請求項に記載の熱機関。
【請求項3】
ホット及びコールドピストンシリンダアセンブリの第1の対が、前記ピストンに接続され、前記コールドヘッドを通って長手方向に延伸するピストンシャフトを各々備える、請求項に記載の熱機関。
【請求項4】
前記ホット及びコールドピストンシリンダアセンブリの前記ピストンシャフトにそれぞれ結合された第1および第2のリニア誘導ジェネレータをさらに備える、請求項に記載の熱機関。
【請求項5】
前記ホットピストンシリンダアセンブリの前記ホットヘッドに熱的に結合された加熱器と、
前記コールドピストンシリンダアセンブリの前記コールドヘッドに熱的に結合された冷却器と、をさらに備える、請求項に記載の熱機関。
【請求項6】
第1、第2、第3、第4のピストンシリンダアセンブリであって、各ピストンシリンダアセンブリが、
作動流体を収容する内部ボアを備えるシリンダと、
前記内部ボアの第1の端部を施蓋し、少なくとも1つの貫通孔とそれぞれ連通する2以上の横向きの谷を内側に向かって呈し、隣接する横向きの谷が横向きの山によって分離されるホットヘッドと、
前記内部ボアの前記第1の端部の反対側の第2の端部を施蓋し、少なくとも1つの貫通孔とそれぞれ連通する2以上の横向きの谷を内側に向かって呈し、隣接する横向きの谷が横向きの山によって分離される、コールドヘッドと、
前記シリンダの前記内部ボア内に長手方向に移動するように受け入れられ、(i)前記ホットヘッドと向かい合う1つの長手方向端部において、前記ホットヘッドの前記2以上の横向きの谷に対応するように位置合わせされた2以上の横向きの山を呈し、ホットピストンクラウンの前記2以上の横向きの山のうちの隣接する1つが、それぞれの横向きの谷によって分離される、ホットピストンクラウンと、(ii)前記コールドヘッドと向かい合う別の長手方向端部において、前記コールドヘッドの前記2以上の横向きの谷に対応するように位置合わせされた2以上の横向きの山を呈し、ホットピストンクラウンの前記2以上の横向きの山のうちの隣接する1つが、それぞれの横向きの谷によって分離される、コールドピストンクラウンと、を備える、ピストンと、
前記第1のピストンシリンダアセンブリの前記ホットヘッドの前記少なくとも1つの貫通孔と、前記第2のピストンシリンダアセンブリの前記コールドヘッドの前記少なくとも1つの貫通孔との間に連通結合された第1の流体流路と、
前記第2のピストンシリンダアセンブリの前記ホットヘッドの前記少なくとも1つの貫通孔と、前記第3のピストンシリンダアセンブリの前記コールドヘッドの前記少なくとも1つの貫通孔との間に連通結合された第2の流体流路と、
前記第3のピストンシリンダアセンブリの前記ホットヘッドの前記少なくとも1つの貫通孔と、前記第4のピストンシリンダアセンブリの前記コールドヘッドの前記少なくとも1つの貫通孔との間に連通結合された第3の流体流路と、
前記第4のピストンシリンダアセンブリの前記ホットヘッドの前記少なくとも1つの貫通孔と、前記第1のピストンシリンダアセンブリの前記コールドヘッドの前記少なくとも1つの貫通孔との間に連通結合された第4の流体流路と、を備えるピストンシリンダアセンブリを備え、
前記山および前記谷によって呈される大した表面積が、前記ピストンの長手方向へのストロークの対応する端部において、前記ホットピストンクラウンおよび前記ホットヘッド間、かつ前記コールドピストンクラウンおよび前記コールドヘッド間の、それぞれの熱交換を増大させる、熱機関。
【請求項7】
前記第1、前記第2、前記第3、前記第4の流体流路が、再生器を各々備え、前記熱機関が、複動アルファ形態スターリングエンジンを備える、請求項に記載の熱機関。
【請求項8】
前記第1、前記第2、前記第3、前記第4のピストンシリンダアセンブリが、前記ピストンに接続され、前記コールドヘッドを通って長手方向に延伸するピストンシャフトを各々備える、請求項に記載の熱機関。
【請求項9】
前記第1、前記第2、前記第3、前記第4のピストンシリンダアセンブリの前記ピストンシャフトにそれぞれ結合された第1、第2、第3、第4のリニア誘導ジェネレータをさらに備える、請求項に記載の熱機関。
【請求項10】
前記ホットピストンシリンダアセンブリの前記ホットヘッドに熱的に結合された加熱器と、
前記コールドピストンシリンダアセンブリの前記コールドヘッドに熱的に結合された冷却器と、をさらに備える、請求項に記載の熱機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月3日出願の米国仮特許出願番号第63/196,463号、発明の名称「STIRLING ENGINE WITH ISOTHERMAL WORKING SPACES」に対する35U.S.C.§119(e)に基づく優先権の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、概してスターリングサイクルエンジンに関し、より特定的には、アルファ形態スターリングサイクルエンジンに関する。
【背景技術】
【0003】
スターリングサイクルエンジン(「スターリングエンジン」)は、空気または他の気体(作動流体)の異なる温度での周期的な圧縮および膨張によって作動し、その結果、熱エネルギーの機械的作用への正味の変換をもたらす熱機関である。より具体的には、スターリングエンジンは、永久的な気体状作動流体を有する密閉サイクルの再生式熱機関である。密閉サイクルとは、この文脈においては、作動流体がシステム内に永久的に収容される熱力学的システムを意味し、再生式とは、再生器として知られる特定のタイプの内部熱交換器および蓄熱器の使用を表す。
【0004】
スターリングエンジンの基本モデルは、アルファ、ベータ、そしてガンマである。一般的な複動スターリングエンジンは、4つのシリンダからなり、SiemensまたはRiniaスターリングエンジンとして既知である。スターリングサイクルにおける機械的効率が高いことに起因して、複動スターリングエンジンは、単動スターリングエンジンと比較して性能が優れている。
【0005】
スターリングエンジンの効率は、各圧縮段階中に必要とされる機械的作用の量と、膨張段階によってもたらされる機械的作用の量によって著しく影響を受ける。圧縮中、圧縮空間内の気体は、圧力が増加する。しかし、ボイル、シャルル、およびゲイ・リュサックの気体の法則による気体の挙動に起因して、気体の温度もまた上昇する。上昇した温度に起因して、圧力は温度が上昇しなかった場合よりも上昇する。したがって、さらなる入力機械的作用が圧縮中に必要とされる。現在の技術の圧縮空間の設計におけるピストンおよびヘッドは、非常にわずかな熱伝達能力しか提供しない。したがって、金属圧縮空間では、コンポーネントは圧縮プロセスに望ましい低温付近にあるが、各々の圧縮段階時にこれらのコンポーネントによって吸収される熱は、非常にわずかしかない。
【0006】
同様に、膨張時、膨張空間内の気体の圧力は低下する。しかし、ボイル、シャルル、ゲイ・リュサックの気体の法則による気体の挙動に起因して、気体の温度もまた低下する。低下する温度に起因して、温度が低下しなかった場合よりも大きく圧力が低下する。したがって、膨張時にはより少ない機械的出力が利用される。現在の技術での膨張空間の設計では、ピストンおよびヘッドが非常にわずかな熱伝達能力しか提供しない。したがって、金属膨張空間コンポーネントは、膨張プロセスに望ましい高温付近にあるが、各々の膨張段階時にこれらのコンポーネントによって供給される熱は、非常にわずかしかない。
【0007】
スターリングサイクル機械またはスターリングエンジンの動作原理は、2002年5月7日付でKamenらに対し発行された米国特許第6,381,958号にさらに詳述されおり、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【発明の概要】
【0008】
1つの態様では、ピストンシリンダアセンブリは、内部ボアを備えるシリンダを含む。ピストンシリンダアセンブリは、内部ボアの第1の端部を施蓋し、1以上の貫通孔を含む第1のヘッドを含む。ピストンシリンダアセンブリは、内部ボア内に長手方向に移動するように受け入れられたピストンを含む。ピストンは、第1のヘッドの内面と向かい合うピストンの第1の長手方向端部に、第1のピストンクラウンを含む。ピストンシリンダアセンブリは、第1のピストンクラウンとピストンの各長手方向側の第1のヘッドとの間の内部ボア内に受け入れられる作動流体を含む。作動流体は、第1のヘッドの内面と第1のピストンクラウンとの間でそれぞれ互いに整列する少なくとも1つの谷と少なくとも1つの山との間を通る。作動流体は、第1のヘッドの1以上の貫通孔を通って内部ボアの外に出る。少なくとも1つの谷および少なくとも1つの山は、第1のヘッドおよび第1のピストンクラウンの表面積を増大させて、作動流体との熱交換を増大させる。
【0009】
1つの態様では、本開示は、作動流体を収容する内部ボアを備えるシリンダを含むピストンシリンダアセンブリを備える。別の態様では、ピストンシリンダアセンブリは、内部ボアの第1の端部を施蓋し、少なくとも1つの貫通孔とそれぞれ連通する2以上の横向きの谷を内側に向かって呈するホットヘッドを含む。隣接する横向きの谷は、横向きの山によって分離される。ホットヘッドの少なくとも1つの貫通孔は、第1の流体流路を介して、第2のピストンシリンダアセンブリのコールドヘッドの少なくとも1つの貫通孔に連通結合される。ピストンシリンダアセンブリは、内部ボアの第1の端部の反対側の第2の端部を施蓋し、少なくとも1つの貫通孔とそれぞれ連通する2以上の横向きの谷を内側に向かって呈するコールドヘッドを含む。隣接する横向きの谷は横向きの山によって分離される。コールドヘッドの少なくとも1つの貫通孔は、第2の流体流路を介して、第3のピストンシリンダアセンブリのホットヘッドの少なくとも1つの貫通孔に連通結合される。別の態様では、ピストンシリンダアセンブリは、シリンダの内部ボア内に長手方向に移動するように受け入れられたピストンを含む。別の態様では、ピストンは、ホットヘッドと向かい合う1つの長手方向端部にホットピストンクラウンを含む。ホットピストンクラウンは、ホットヘッドの2以上の横向きの谷に対応するように位置合わせされた2以上の横向きの山を呈する。ホットピストンクラウンの2以上の横向きの山のうちの隣接する1つは、それぞれの横向きの谷によって分離される。別の態様では、ピストンは、コールドヘッドと向かい合う別の長手方向端部にコールドピストンクラウンを含む。別の態様では、コールドピストンクラウンは、コールドヘッドの2以上の横向きの谷に対応するように位置合わせされた2以上の横向きの山を呈する。ホットピストンクラウンの2以上の横向きの山のうちの隣接する1つは、それぞれの横向きの谷によって分離される。山および谷によって呈される増大した表面積は、ピストンの長手方向へのストロークの対応する端部において、ホットピストンクラウンおよびホットヘッド間、かつコールドピストンクラウンおよびコールドヘッド間の、それぞれの熱交換を増大させる。
【0010】
別の態様では、本開示は、熱機関を備え、これは第1、第2、第3、第4のピストンシリンダアセンブリを含む。別の態様では、エンジン内の各シリンダアセンブリは、高温および低温作動空間の両方をもって構成される。別の態様では、各ピストンシリンダアセンブリは、作動流体を収容する内部ボアを備えるシリンダを含む。各ピストンシリンダアセンブリは、内部ボアの第1の端部を施蓋し、少なくとも1つの貫通孔とそれぞれ連通する2以上の横向きの谷を内側に向かって呈するホットヘッドを含む。隣接する横向きの谷が、横向きの山によって分離される。各ピストンシリンダアセンブリが、内部ボアの第1の端部の反対側の第2の端部を施蓋し、少なくとも1つの貫通孔とそれぞれ連通する2以上の横向きの谷を内側に向かって呈するコールドヘッドを含む。隣接する横向きの谷は、横向きの山によって分離される。各ピストンシリンダアセンブリは、シリンダの内部ボア内に長手方向に移動するように受け入れられたピストンを含む。各ピストンは、ホットヘッドと向かい合う1つの長手方向端部において、ホットヘッドの2以上の横向きの谷に対応するように位置合わせされた2以上の横向きの山を呈するホットピストンクラウンを含む。ホットピストンクラウンの2以上の横向きの山のうちの隣接する1つは、それぞれの横向きの谷によって分離される。各ピストンは、コールドヘッドと向かい合う別の長手方向端部において、コールドヘッドの2以上の横向きの谷に対応するように位置合わせされた2以上の横向きの山を呈するコールドピストンクラウンを含む。ホットピストンクラウンの2以上の横向きの山のうちの隣接する1つは、それぞれの横向きの谷によって分離される。各ピストンシリンダアセンブリは、第1のピストンシリンダアセンブリのホットヘッドの少なくとも1つの貫通孔と、第2のピストンシリンダアセンブリのコールドヘッドの少なくとも1つの貫通孔との間に連通結合された第1の流体流路を含む。各ピストンシリンダアセンブリは、第2のピストンシリンダアセンブリのホットヘッドの少なくとも1つの貫通孔と、第3のピストンシリンダアセンブリのコールドヘッドの少なくとも1つの貫通孔との間に連通結合された第2の流体流路を含む。各ピストンシリンダアセンブリは、第3のピストンシリンダアセンブリのホットヘッドの少なくとも1つの貫通孔と、第4のピストンシリンダアセンブリのコールドヘッドの少なくとも1つの貫通孔との間に連通結合された第3の流体流路を含む。各ピストンシリンダアセンブリは、第4のピストンシリンダアセンブリのホットヘッドの少なくとも1つの貫通孔と、第1のピストンシリンダアセンブリのコールドヘッドの少なくとも1つの貫通孔との間に連通結合された第4の流体流路を含む。山および谷によって呈される増大した表面積が、ピストンの長手方向へのストロークの対応する端部において、ホットピストンクラウンおよびホットヘッド間、かつコールドピストンクラウンおよびコールドヘッド間の、それぞれの熱交換を増大させる。
【0011】
複動アルファスターリングサイクルエンジンは、高温および低温作動空間の各々のセット間で熱力学的プロセスを達成するための所望の位相角関係をもって、作動空間の間で流体を移動させるための経路を有するさまざまな数の複動シリンダ(たとえば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上)をもって構成され得ることは注目する価値がある。
【0012】
加えて、2つの固定ヘッド(ホットおよびコールド)が反対方向を向いている必要がないことは注目に値する。たとえば、コールドエンドは、シリンダの他の部分よりも大きな直径で段差を付けることができる。たとえば、米国特許第4,169,434号の図3を参照されたい(これは、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。このように、ピストンクラウンはピストンの段差部分にあり、ヘッドはボアの段差部分にある。別の態様では、本開示は、ベータエンジンにおける熱伝達表面積のこの増加を伴うクラウンおよびヘッドの実装を提供する。
【0013】
本発明のよりさらなる実施形態は、外部燃焼エンジンまたは機械を加熱するための加熱要素の1以上の実施形態に関し、エンジンの作動流体を加熱するためのバーナー要素と、バーナーにおける点火燃焼を促進するための空気または他の気体を提供する送風機と、加熱要素から放出される熱排気からの流入空気を加熱するための排気マニホールド壁によって分離された、流入空気通路と排気通路とを画定する予熱器と、流入空気と混合するための燃料を供給するための燃料噴射器と、燃料/空気混合物に点火する点火器と、燃料/空気混合物を受け入れて混合物の点火を促すための入口を画定するプレチャンバと、プレチャンバの下方に直線的に配置され、プレチャンバ内で発生し点火された火炎を維持支援する燃焼チャンバと、バーナーの点火および燃焼動作を制御する電子制御ユニットと、を備え、燃焼チャンバは排気通路に接続され、排気通路内に排出燃焼気体が押し込まれて流入空気を加熱し、続いてエンジンまたは機械を燃焼させ加熱する。本発明のこれらの態様は排他的であることは意図されず、本発明の他の特徴、態様、および利点は、添付の特許請求の範囲および添付の図面と併せて読まれた場合、当業者には容易に明らかになろう。
【0014】
従来のスターリング機械は、密閉された可逆的な熱力学的サイクルであり、原動機または冷却器として実装されることができる。エンジンに対しては、熱がサイクルに供給されて機械動力が生成され、一方冷却器に対しては、機械動力が供給されてその出力が冷却能力となる。理想的なスターリングサイクルは、作動流体に作用する以下の3つの熱力学的プロセスを含む。1)等温膨張-膨張空間および関連する熱交換器が一定の高熱温度に維持され、気体が熱源からの熱を吸収して近等温膨張する。2)定容積(等容または等積として既知)熱除去。この場合、気体が再生器を通過し、そこで冷却され、次のサイクルで使用するために再生器に熱エネルギーを伝達する。3)等温圧縮-圧縮空間と関連する熱交換器が一定の低熱温度に維持され、気体が近等温圧縮を受けて熱をコールドシンクに廃棄する。理論上の熱効率は、仮説的なカルノーサイクルの熱効率、すなわちあらゆる熱機関によって達成可能である最も高い効率と等しい。スターリング機械は、作動するために温度差が必要である。1以上の実施形態では、熱はヒータによって供給される。しかし、スターリング機械は、圧縮空間シリンダでは、たとえば氷等の低温源等、膨張空間シリンダにおいては室温等の、温度差によって作動することができる。スターリングエンジンは、摂氏1度の温度差で動作することが示されている。
【0015】
概して、各スターリング機械は、熱機関あるいは冷却器であっても、2つの作動空間を有する。エンジンの高温側は太陽集光器によって高温に維持され、エンジンの低温側は周囲に曝される。冷却器の低温側は貯蔵タンクに取り付けられ、冷却器の高温側は周囲に曝される。周囲の温度はエンジンの高温側より低く、冷却器の低温側より高い。システムは、2つの独立した作動流体回路を有し、1つはエンジン用、もう1つは冷却器用である。エンジンサイクルでは、作動流体は太陽集熱器によって維持される高温Thと周囲の中間温度T0との間を遷移する。冷却器については、作動流体は周囲の中間温度T0と貯蔵タンクの最低温度Tlとの間で動作する。エンジンサイクル内部で循環する流体は、冷却器内を流れる流体とは異なるタイプまたは異なる平均作動圧力であってもよい。
【0016】
これら及び他の特徴は、以下に例示される実施形態においてさらに十分に説明される。概して、一実施形態の特徴を別の実施形態の特徴と組み合わせて使用してもよく、実施形態は本発明の範囲を限定することは意図されていないことが理解されるべきである。
【0017】
説明が進むにつれてより明らかになるであろう本発明のさまざまな例示的な実施形態が、添付の図面と併せて以下の詳細な説明で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】1以上の実施形態による、作動流体への強化された対流熱伝達を有する2つのフリーピストンによって、2つのリニア誘導ジェネレータをそれぞれ駆動するアルファ形態スターリングエンジンの機能図を図示する。
図2】1以上の実施形態による、複動アルファ形態スターリングエンジンの機能図を図示する。
図3】1以上の実施形態による、アルファ形態スターリングエンジンの2つのピストンのそれぞれのシャフト角度に基づく総体積の関数としての圧力のプロット図を図示する。
図4】1以上の実施形態による、4気筒複動フリーピストンスターリングエンジンの一例の、一対のホットおよびコールドピストンシリンダアセンブリの一例の三次元上面図を図示する。
図5】1以上の実施形態による、4気筒複動フリーピストンスターリングエンジンの一例の、単一のピストンシリンダアセンブリの三次元上面図を図示する。
図6】1以上の実施形態による、図4の単一のピストンシリンダアセンブリの加熱された上部と緊密に熱係合するホットピストンクラウンの三次元上面図を示す。
図7】1以上の実施形態による、図4の単一のピストンシリンダアセンブリの円筒形側壁エンクロージャおよびホットピストンクラウンの三次元上面図を図示する。
図8】1以上の実施形態によるホットヘッドの三次元上面図を図示する。
図9】1以上の実施形態による、図4の単一のピストンシリンダアセンブリの冷却された上部と緊密に熱係合するコールドピストンクラウンの三次元上面図を示す。
図10】1以上の実施形態による、図4の単一のピストンシリンダアセンブリの円筒形側壁エンクロージャおよびコールドピストンクラウンの三次元上面図を図示する。
図11】1以上の実施形態による、図10のコールドピストンクラウンの三次元底面図を図示する。
図12】1以上の実施形態による1以上の実施形態による、らせん形のフィンを有する作動空間の固定ヘッド側の三次元上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
単動(2つのピストン)または複動(4つのピストン)アルファ形態スターリングエンジンは、各ピストンシリンダアセンブリのホットピストンクラウンとホットヘッドとの間の、およびコールドピストンクラウンとコールドヘッドとの間の熱交換を増大させ、熱エネルギーの機械的運動への変換を増大させる。熱交換は、対応する横向きの山および谷を提示することによってもたらされ、これらは、表面積の増大と、スターリングエンジン内に封止された作動気体の対流的な流体流量の増大とを作り出す。
【0020】
図1は、熱機関、具体的にはアルファ形態スターリングエンジン100の機能図を描画し、作動流体108への対流熱伝達を強化しながら、ピストンロッド107を介してピストン106によって2つのリニア誘導ジェネレータ104をそれぞれ駆動する第1および第2のピストンシリンダアセンブリ102a~102bを有する。作動流体108の例は、空気、二酸化炭素、窒素、キセノン、クリプトン、アルゴン、ヘリウムおよび/またはそれらの混合物を含む。第1および第2のピストンシリンダアセンブリ102a~102bは、それぞれホットおよびコールドピストンシリンダアセンブリとして構成されるが、同一の構成要素であることができる。1以上の実施形態では、図1に描画されているように、ピストン106が自由に動くことができる。1以上の実施形態では、ピストン106は、クランクシャフトまたはワッブルプレート等を介して機械的に結合され、機械的運動を組み合わせ、相対的な運動の遅れを実施させることができる。各ピストンシリンダアセンブリ102a~102bは、各ピストンシリンダアセンブリ102a~102bの円筒形エンクロージャ112の高温部(上部)に熱結合された外部熱交換器110を加熱する加熱器108を作動させることによって、部分的に熱差を有することができる。冷却器114は、円筒形エンクロージャ112の低温部(下部)に熱結合され、熱エネルギーを周囲環境に戻す。後述するように、各ピストンシリンダアセンブリ102a~102bの上部と下部との間の熱差は、隣接するピストンシリンダアセンブリ102a~102b間の流体結合によっても同様に提供される。円筒形エンクロージャ112は、ホットヘッド120によって閉じられる上部高温円形開口118である一端と、コールドヘッド124によって閉じられる下部低温円形開口122である他端とを有するシリンダ116を含む。シリンダ116は、長手方向移動のためにそれぞれのピストン106を受け入れる円筒形ボア126を有し、作動流体108を、ピストン106による移動方向にある圧縮空間128と、ピストン106によって空けられた膨張空間130とに分離する。
【0021】
1以上の実施形態では、シリンダおよびピストンは、アルミニウム、銅、クロム、鉄合金、コバルト基超合金、炭化ケイ素、および窒化ケイ素からなる群のいずれか1つから機械加工され得る。鉄の合金は、ニッケル、クロム、コバルト、コロンビウム、モリブデン、およびタングステンのいずれか1つであってもよい。別の実施形態では、シリンダの膨張空間および圧縮空間は、熱伝導性材料であるべきである。アルミニウムおよび銅の両方が、高い熱伝導率を有することは既知である。非限定的な例では、シリンダおよびピストンは銅製である。別の非限定的な例では、シリンダおよびピストンはアルミニウム製である。
【0022】
1以上の実施形態では、シリンダ内側の接触面およびピストンの外面は、抗力を低減するために高度に研磨される。別の実施形態では、クランクシャフトおよびフライホイールは、ダクタイル鋳鉄アルミニウムまたはアルミニウム合金、もしくは工具鋼を鍛造するかまたは鋳造することによって製造される。1以上の実施形態では、各ピストンは、ピストンリングを含む。別の非限定的な例では、シリンダの内側部分は、ピストンリングが乗る大きなボアを備える。別の非限定的な例では、ピストンおよびシリンダは、スターリングエンジンのサイズに対する縮尺にされている。非限定的な例では、ピストンは、シリンダボア長さの1/4の高さを有し得る。
【0023】
概して、作動空間および再生器を形成するピストンおよびシリンダは、スターリングサイクル機械の基本的な機械部品である。1以上の実施形態では、スターリング熱機関セクションおよびスターリング冷却器セクションは、実質的な気体の逃げがないように各々密閉される。1以上の実施形態では、再生器は、熱を容易に伝導し、高い表面積を有する材料で構成される。高温の気体が冷却されたシリンダに伝達されると、最初に再生器を通過して駆動させ、そこで熱の一部が蓄積される。低温の気体が伝達し返されると、この熱が回収され、このようにして再生器が作動気体を「予熱」および「予冷」し、効率が劇的に向上する。
【0024】
非限定的な例では、ヘリウムガスが、エンジンおよび冷却器内の作動流体であってもよい。エンジン側で循環する作動流体は、冷却器側で流れるものとは異なるタイプまたは異なる平均作動圧力であってもよい。作動流体は、ヘリウム、水素、空気、エタノール、窒素、空気とエタノールとの組み合わせ、六フッ化硫黄、ペルフルオロブタン、ペルフルオロプロパン、およびオクタフルオロシクロブタンナノ流体によって例示されるフッ素化合物、ナノ流体、空気とエタノールとZnOナノ粒子との組み合わせからなる群から選択され得る。
【0025】
ホットヘッド120およびコールドヘッド124の貫通孔132は、ボア126内で内向きに向かい合う横向きの谷134と気体管136との間を連通する。横向きの谷134は、横向きの山138によって分離される。各ピストン106は、それぞれのホットヘッド120に向かい合い、ホットヘッド120の横向きの谷134および横向きの山138と交互嵌合するかまたは噛み合う相補的な横向きの谷144によって分離された相補的な横向きの山142を有するホットピストンクラウン140を含み、作動流体108、ホットヘッド120、およびホットピストンクラウン140間の熱エネルギーの放射および対流伝達のための表面積の増大および近接を提供する。同様に、各ピストン106は、それぞれのコールドヘッド124に向かい合い、コールドヘッド124の横向きの谷134および横向きの山138と交互嵌合するかまたは噛み合う相補的な横向きの谷144によって分離された相補的な横向きの山142を有するコールドピストンクラウン146を含み、作動流体108、コールドヘッド124、およびコールドピストンクラウン146間の熱エネルギーの放射および対流伝達のための表面積の増大および近接を提供する。
【0026】
いくつかの実施では、(例えば図6に)示される横向きの谷および山以外の横向きの谷および山を使用することができる。たとえば、ピン、ブロック、らせん、または他の形状を有する横向きの谷および山が、直線状の横向きの谷および山の代わりに使用されることができる。
【0027】
エンジンとして作動するために、スターリングエンジンは熱を吸収し、気体を膨張させ、廃熱を排除し、気体を圧縮または収縮させる必要がある。1以上の実施形態では、スターリングエンジンの主な構成要素は再生器であり、これは高温空間と低温空間との間に配置される。再生器は、作動気体の流れが逆転し、次のサイクルにおいて熱を使用できるようになるまで、そうでなければ環境に放出されなければならない熱の一部を再生器内に蓄えることによって機能する。スターリングエンジンの再生器は、内部熱交換器として機能し、エンジンのホットおよびコールド部品間に配置される。作動流体はこの上を両方向に向かって流れ、一つのサイクルからの熱を蓄え、次のサイクルで使用する。再生器は、熱を大気中に向かって消耗させるのではなく、エンジン内で熱を再利用するために使用される。一般的に、このことが全体的な効率と動力出力とを向上させる。
【0028】
1以上の実施形態では、再生器は作動流体と再生器の流路壁との間で熱を伝達する。流体は、ヘリウムか、または好適な熱力学的性質を有し、エンジン構成要素と化学的に反応しない別の気体を使用することができる。典型的な再生器は,全体形状が略円筒形で、マトリックスを含む1以上の軸方向通路を含み、作動流体への、そして作動流体からの熱を伝達するための多数の流路と大きな表面積を有する、開放された熱伝導性構造体である。再生器は、マトリックスに蓄熱することが可能である断熱壁を有する。高温の粒子が通過する間、熱は高温の流体から伝達され、再生器のマトリックスに蓄えられる。戻りの経路では、この熱が再生され、再生器を通過する低温の流体に伝達される。
【0029】
利用可能な再生器には多くのタイプがある。1以上の実施形態では、本開示で使用される再生器は側方(軸方向)に低い熱伝導率、横断方向(半径方向)に高い熱伝導率を有する。再生器のマトリックスは、スチールウール、スチールフェルト、スタックスクリーン、パックボール、金属箔、金属メッシュ、金属スポンジ、炭素繊維、穿孔熱分解グラファイトスタック、開放気孔金属発泡体ならびにパラレルプレート、およびこれらの組み合わせを含むさまざまな構成要素で作られることができる。マトリックス材料は、ステンレス鋼、銅、青銅、アルミニウム、モネル400、およびこれらの組み合わせのいずれかであってもよい。非限定的な例では、本開示で使用される再生器は、スチールウールでライニングを施されたステンレス鋼シリンダであってもよい。さらに非限定的な例では、再生器は、密に間隔を置かれた薄い金属板のメッシュで構成されてもよい。
【0030】
第1のピストンシリンダアセンブリ102aは、ホットヘッド120内の貫通孔132と第2のピストンシリンダアセンブリ102bのコールドヘッド124内の貫通孔132との間に流体連通を提供する第1の流体流路150aを有する。第1の流体流路150aは、各貫通孔132を再生器154のそれぞれの高温側及び低温側152、153に接続する気体管136を含む。このように、再生器154は、2つのピストンシリンダアセンブリ102a~102b間の気体管136によって提供される通路内に配置され、厳密には必要ではないが、スターリングエンジン100の効率を向上させる役割を果たす。再生器154は、典型的には、熱を吸収して放棄することができる大きな表面積を有する金属またはセラミックのマトリックス155である。金属は、フェロクロム合金またはニッケル鋼等の熱交換材料として高温用途に使用するために好適な任意の金属または金属合金であってもよい。気体が第1のピストンシリンダアセンブリ102aから第2のピストンシリンダアセンブリ102bまで循環すると、作動流体108の熱の一部が再生器154に伝達され、それによって、作動流体108を冷却することを助ける。その後、作動流体108が第2のピストンシリンダアセンブリ102bから第1のピストンシリンダアセンブリ102aまで循環すると、再生器154の熱の一部が作動流体108に伝達され、それによって作動流体108を暖めることを助ける。再生器154は、加熱器108によって作動流体108に投入されなければならない熱量と、冷却器114によって気体から除去されなければならない廃熱量との両方を低減させる。このようにして、再生器154は燃料消費を低減させ、全体的な作業サイクルの効率を向上させる。2つのシリンダ間の第1の流体流路150aによって提供される気体伝達通路は、本質的にデッドスペースであり、可能な限り短く保たれるべきである。
【0031】
排気温度が500℃以下の使用環境下で使用されるスターリングエンジンの場合、気体管/チューブが高い熱伝導率を有する銅製であると、熱交換効率を高めることができる。気体管が銅製である場合、加熱部ヘッドも銅製またはステンレス鋼製である。排気温度が約500℃~800℃の使用環境下で使用されるスターリングエンジンの場合、強度を確保するために気体管はステンレス鋼製である。気体管がステンレス鋼製である場合、加熱部ヘッドはステンレス鋼製である。使用環境下での排気成分が腐食性成分を含有する場合、銅またはステンレス鋼製の気体管および加熱部ヘッドは、表面コーティング、たとえばクロム系表面コーティング、セラミックフレーム溶射(コーティング)、またはNiもしくはカーボンコーティングを使用した表面コーティングを施し、それによって耐久性を向上させる。排気温度が800℃以上の使用環境下で、たとえば塩素系腐食性の排気もしくは硝酸またはフッ化水素酸等の腐食性の排気の使用環境下で使用されるスターリングエンジンの場合、気体管がチタンまたはニッケルクロム合金製であると信頼性および耐久性が向上し、エンジンの重量を大きく低減させることができる。チタンはステンレス鋼と比較して約40~50%低い密度を有し、強度が高くかつ密度が低いため、ステンレス鋼と比較して部材を薄くすることができ、これは、焼却炉およびガラス溶解炉で使用されるスターリングエンジンに特に好適である。気体管がチタン製である場合、加熱部ヘッドはステンレス鋼製である。チタンおよびニッケルクロム合金の場合、加熱部ヘッドは、溶接条件を調整することによって優れた溶接性を示し、気体管は、排気流路を構成する煙道に挿入される。
【0032】
エンジン性能は、動力および効率の両方において、エンジンの膨張容積内の作動気体の温度が可能な限り高いときに最も高くなる。しかし、作動気体の最高温度は、典型的には、加熱器ヘッドの性質によって制限される。チューブ加熱器ヘッドを有する外部燃焼エンジンの場合、最高温度は加熱器チューブの冶金性質によって制限される。加熱器チューブが高温になりすぎると、それらは軟化して破損し、結果としてエンジンが運転停止する場合がある。一方、高すぎる温度では、チューブが極度に酸化して故障する。したがって、エンジン性能にとって、加熱器チューブの温度を制御することが重要である。温度検出装置、たとえば熱電対を用いて加熱器チューブの温度を測定し得る。温度センサの取り付け方式は、加熱器チューブにセンサを熱的に接合し、センサをより高温の燃焼気体から隔離し得る。当該取り付け方式は、加熱器ヘッドの寿命の間、加熱器チューブ付近で生じる燃焼気体および衝突する火炎の高温酸化環境に耐えるために十分に堅固であるべきである。取り付けソリューションの1つのセットは、熱電対を加熱器チューブに直接ろう付けまたは溶接することを含む。熱電対は、最も高温の燃焼気体に曝される加熱器チューブの一部に取り付けられる。他の可能な取り付け方式が、温度センサの交換を可能にする。一実施形態では、温度センサは加熱器チューブに熱的に接合されたサーモウェル内にある。別の実施形態では、取り付け方式は、温度センサを加熱器チューブに対して機械的に保持するマウント、たとえばスリーブである。
【0033】
第1のピストンシリンダアセンブリ102aのコールドヘッド124の貫通孔132は、別の再生器を介して、隣接するピストンシリンダアセンブリのホットヘッド120と流体連通している。第2のピストンシリンダアセンブリ102bのホットヘッド120の貫通孔132は、別の再生器を介して、隣接するピストンシリンダアセンブリのコールドヘッド124と流体連通している。単動であるスターリングエンジン100では、再生器を含むブロックA~B、156a~156b間に第2の流路150bが設けられている。
【0034】
各リニア誘導ジェネレータ104は、長手方向への往復移動のために可動子162に遠位で接続されたピストンロッド107を受けるジェネレータエンクロージャ160を含む。屈曲ばね164は、ピストンロッド107を弾力的に中央に位置させるように、ジェネレータエンクロージャ160の開口部166を横断して位置づけられる。ステータコイル168は、ジェネレータエンクロージャ160の内部ボア170の周囲に位置づけられ、可動子162の移動によって誘導電流を誘導させる。
【0035】
単動アルファ形態としての作動では、スターリングエンジン100は、空気または他の気体(作動流体108)の異なる温度での周期的な圧縮および膨張によって作動し、その結果、熱エネルギーの機械的作用への正味の変換をもたらす。より具体的には、スターリングエンジン100は、永久的な気体状作動流体108を有する密閉サイクルの再生式熱機関である。密閉サイクルとは、この文脈においては、作動流体108がシステム内に永久的に収容される熱力学的システムを意味し、再生式とは、再生器154として知られる特定のタイプの内部熱交換器と蓄熱器の使用を表す。一定量の空気または他の作動流体108が、それぞれホット及びコールドピストンシリンダアセンブリである第1および第2のピストンシリンダアセンブリ102a~102bの中に封入され、二者間を前後に往復運動する。空気は、第1のピストンシリンダアセンブリ102aで加熱されて膨張し、第2のピストンシリンダアセンブリ102bで冷却され、ここで作動流体108が機械的作用の入力によって圧縮される。
【0036】
サイクルの第1の部分では、作動流体108(気体)が加熱されて膨張し、第1のピストンシリンダアセンブリ102a内のピストン106をシリンダ116の底まで押し、ピストンロッド107を作動させて作用を達成する。膨張が継続し、第1の流体流路150aを介した第2のピストンシリンダアセンブリ102bに向かう作動流体108の流れを生じさせる。第2のピストンシリンダアセンブリ102bのピストン106は、そのサイクルにおいて第1のピストンシリンダアセンブリ102aのピストン106よりも約90度(4分の1回転)遅れて下方に押され、高温の作動流体108からより多くの作用を抽出する。サイクルの第2の部分では、作動流体108は最大体積に達し、フライホイールまたはクランクシャフト等のシステム内に運動量を蓄える。1以上の実施形態では、フライホイールに代えて、場合によってはカムと呼ばれる偏心ディスクを使用して、エンジンの圧縮比を高めることができる。1以上の実施形態では、カムの形状を、作動気体の最大体積と作動気体の最小体積との比率を最大にするように調整できるため、圧縮比を増大させることができる。1以上の実施形態では、より高い圧縮比は、結果としてエンジン効率をより高くする。
【0037】
複動アルファ形態スターリングエンジン200(図2)を参照すると、隣接するピストンシリンダアセンブリ102a~102dのそれぞれの前後の、各々90度を有する4つのピストンシリンダアセンブリ102a~102dが、4つのフェーズ各々を通じて継続的に達成される作用の生産を維持することができる。ここで、スターリングエンジン100内の運動量または異なるピストンシリンダアセンブリからの補助により、第1のピストンシリンダアセンブリ102aのピストン106が逆方向に押され、第2のピストンシリンダアセンブリ102b内の作動流体108のほとんどが第1のピストンシリンダアセンブリ102aの中に押し込まれる。第2のピストンシリンダアセンブリ102b内の作動流体108は膨張し、第2のピストンシリンダアセンブリ102bを冷却する。サイクルの第3の部分では、第1のピストンシリンダアセンブリ102aのピストン106が、そのストロークの頂点に達すると、ほぼすべての気体が第2のピストンシリンダアセンブリ102bに伝達され、そこで冷却を継続して作動流体108が収縮し、圧力がさらに減少する。減圧により、ピストン106が上昇することが可能になる。スターリングエンジン100内の運動量または隣接するピストンシリンダアセンブリからの作動流体108は、第2のピストンシリンダアセンブリ102b内の作動流体108を圧縮し、作動流体108を第1のピストンシリンダアセンブリ102aに向かって押し戻す。サイクルの第4の部分では、作動流体108は最小体積に達し、第1のピストンシリンダアセンブリ102a内に押し込まれ、ここで作動流体が第1のピストンシリンダアセンブリ102a内のピストン106を下方に押し始める。作動流体108は、第1のピストンシリンダアセンブリ102a内で再度加熱され、ここで圧力が増加して作動流体108が膨張し、その動力ストロークにおいて第1のピストンシリンダアセンブリ102aのピストン106を下方に押し、サイクルは再び開始する。
【0038】
図2は、複動アルファ形態スターリングエンジン100aの機能図を描画し、第1、第2、第3および第4のピストンシリンダアセンブリ102a~102dを含み、これらは第1、第2、第3および第4の流体流路150a~150dによってそれぞれ流体連通し、再生器154を各々有する。第1の流体流路150aは、第1のピストンシリンダアセンブリ102aのホットヘッド120の貫通孔132と、第2のピストンシリンダアセンブリ102bのコールドヘッド124との間に流体連通を提供する。第2の流体流路150bは、第2のピストンシリンダアセンブリ102bのホットヘッド120の貫通孔132と第3のピストンシリンダアセンブリ102cのコールドヘッド124との間に流体連通を提供する。第3の流体流路150cは、第3のピストンシリンダアセンブリ102cのホットヘッド120の貫通孔132と第4のピストンシリンダアセンブリ102dのコールドヘッド124との間の流体連通を提供する。第4の流体流路150dは、第4のピストンシリンダアセンブリ102dのホットヘッド120の貫通孔132と第1のピストンシリンダアセンブリ102aのコールドヘッド124との間に流体連通を提供する。
【0039】
図3は、アルファ形態スターリングエンジンの2つのピストンのそれぞれのシャフト角度に基づく総体積に応じた圧力のグラフプロット300を描画する。スターリングエンジンは、以下のフェーズ、すなわち(1)近等温(一定温度)の圧縮(機械的作用がサイクルに入力される)、(2)近一定体積の加熱(熱エネルギーがサイクルに入力される)、(3)近等温の膨張(機械的仕事がサイクルから出力される)、(4)近一定体積の冷却(熱エネルギーが除去され、大部分は再利用のために貯蔵される)を(概して)利用することによって、機械的作用出力を生成するように設計されている。スターリングサイクルに近似した熱機関は、1816年にロバート・スターリング牧師による発明以来、200年以上にわたって多くの異なる構成で実施されてきた。ここで、これらの描画された実施形態では、スターリングエンジンは、文献で「複動アルファ」形態と称されている構成で提示される。本実施形態では、この配置を4気筒フリーピストン構成で使用している。本構成では、各シリンダの圧縮空間は、作動気体が隣接するシリンダの膨張空間との間を行き来する熱交換経路(冷却器、再生器、および加熱器から成る)と連通している。上記のプロセス1~4は、これら2つのピストンを略正弦波運動を通して、2つのピストン間で約90度の位相をもって動かすことによって達成される。
【0040】
フェーズ1)0度までの角度で始まる。圧縮空間ピストンは、最大圧縮空間容積に近い状態のこのフェーズで開始し、膨張空間が半分の容積に近くなり、最小容積まで減少するにつれて容積が減少する。このフェーズでは、結果として主に圧縮空間内部で作動気体が圧縮され、最大角度90度で終了する。
【0041】
フェーズ2)90度までの角度で始まり、圧縮空間はほぼ半分の体積であり、膨張空間が最小体積であると体積が減少するが、180度までの角度でこのフェーズの終わりまでに体積はほぼ半分に増加する。これにより、結果として作動気体が圧縮空間から熱交換経路を通って膨張空間に伝達される。作動気体は、熱交換経路を通るこの伝達中に加熱される。
【0042】
フェーズ3)180度までの角度で始まり、圧縮体積がその最小体積から増加し始めると、膨張空間体積が急速に増加する。このフェーズでは、結果として作動気体の大部分が膨張空間内で膨張し、270度までの角度で終了する。
【0043】
フェーズ4)270度までの角度で始まり、膨張空間は最大体積であるが、圧縮空間が半分の体積に近くなると体積が減少し始め、360度までの角度でこのフェーズの終わりまでに最大容積近くまで体積が増加する。これにより、結果として作動気体が膨張空間から熱交換経路を通って圧縮空間に伝達される。作動気体は、熱交換経路を通るこの伝達中に冷却される。
【0044】
図4は、4気筒複動フリーピストンスターリングエンジン100bの一例である、ホットおよびコールドピストンシリンダアセンブリ102a~102bの対の一例を示した三次元上面図を描画する。各ピストンシリンダアセンブリ102a~102bは、外部熱交換器110および冷却器114を含む。各ピストンシリンダアセンブリ102a~102bは、それぞれのリニア誘導ジェネレータ104を駆動する。
【0045】
図5は、4気筒複動フリーピストンスターリングエンジン100bの一例の単一のピストンシリンダアセンブリ102aの三次元上面図を描画する。冷却液通路174を通る冷却液流172によって冷却される冷却液マニホールド171は、冷却器114と熱的に接触し、コールドヘッド124と熱伝導的に接触するクロスフレーム176を含む。
【0046】
図6は、外部熱交換器110によって加熱される単一のピストンシリンダアセンブリ102aの上部のホットヘッド120と緊密に熱係合するホットピストンクラウン140の三次元平面図を描画する。ホットヘッド120は、横向きの山138間の横向きの谷134と連通する貫通孔を含む。ホットピストンクラウン140は、ホットヘッド120との熱伝達のための断面積を増加させる相補的な横向きの谷144の側面に位置する相補的な横向きの山142を有する。
【0047】
図7は、単一のピストンシリンダアセンブリ102aのホットピストンクラウン140を受け入れるシリンダ116の三次元上面図を描画する。
【0048】
図8は、ホットヘッド120の三次元上面図を描画する。ホットヘッド120の各々の側面上の横向きの谷134および横向きの山138は、流路長を中央の横向きの谷134により近づけて近似させるために、流路をより蛇行させて増大させる。
【0049】
図9は、図4の単一のピストンシリンダアセンブリの冷却された下部と緊密に熱係合しているコールドピストンクラウンの三次元底面図を描画する。
【0050】
図10は、単一のピストンシリンダアセンブリ102aのコールドヘッド124を受け入れるシリンダ116の三次元上面図を描いている。
【0051】
図11は、コールドピストンクラウン146の三次元上面図を描画する。コールドヘッド124の各々の側面上の横向きの谷134および横向きの山138は、中央の横向きの谷134上で、流路の長さをより近似させるために流路を増大させるために、より蛇行した経路を有する。コールドヘッド124の中心孔180は、ピストンロッド107(図1)のためである。
【0052】
図12は、作業空間(圧縮空間または膨張空間のいずれか)の代替する固定ヘッド220側の三次元上面図を描画する。固定ヘッド220の各々の側面上の横向きに谷234および横向きの山238を有する。1以上の実施形態では、固定ヘッド220は、横向きの谷234に孔(図示せず)を有する。1以上の実施形態では、孔は、互いに略等距離に間隔を置かれ、各流れ領域からの流れがより均等になることを確実にする。1以上の実施形態では、このヘッドの横向きの山238(フィン)は、いくつかの場所においてその内部に置かれた間隙(図示せず)を有し(フィン部分は存在せず、らせんのさらに下方にいくらかの距離で再び存在する)、作動気体が固定ヘッド220のフィンの上方を往復運動するピストンの谷に流入/流出することを可能にする。1以上の実施形態では、フィンがらせんに存在しないこれらの隙間においては、固定ヘッド220のフィンの上方を往復するピストンの谷に流入/流出する作動気体の流れを可能にするための孔(図示せず)が存在する。1以上の実施形態では、固定ヘッド220は、ピストンロッド107(図示せず)のためのコールドヘッドの中心孔(図示せず)を有する。
【0053】
らせん状フィンの主な利点は、らせん状のレイアウトを使用して設計された場合、さまざまな流れ領域がはるかに直線的であり(作動気体の流れを通さなければならない急カーブがほとんどない)、より類似した流れおよび熱伝達特性を示す(ある流れ領域を別の流れ領域と比較した場合)ことである。
【0054】
1以上の実施形態では、フィンまたはピンを代替的に使用して、高温の流体燃焼生成物と固体加熱器ヘッドとの間の界面面積を増大させ、熱を伝達するようにさせ得る。ホットヘッド及びコールドヘッドの追加の実施形態は、たとえば米国特許第6,381,958号および6,966,182号に開示され、これらは参照によりその全体が組み込まれる。ヘッドのサイズに依存して、数百または数千の内部伝フィンおよび/またはピンと外部伝熱フィンおよび/またはピンが望ましい場合がある。伝熱フィン/ピンを有するヘッドを製造するための1つの方法は、ヘッドおよびフィン/ピン(または他の突起)を一体型ユニットとして鋳造することを含む。ヘッドおよびピンを一体型ユニットとして製造するための鋳造法は、たとえば、インベストメント鋳造、砂型鋳造、ダイカストを含む。
【0055】
1以上の実施形態では、鋳造物は所望の部品のネガ型を作ることによって作られる。すべての製品鋳造(砂型、インベストメント、射出)の形態は、材料を金型に注入し、その後所望のネガ型またはポジ型を残して金型を材料から取り外すことにより、延長面および細部を形成することを伴う。金型を材料から取り外すことは、すべての延長面が少なくとも平行であることを必要とする。実際、良い設計手法は、きれいに離型できるようにこれらの延長面にわずかな抜き勾配をつける必要がある。シリンダの外側または内側に放射状のピンを形成することは、異なる方向に引き離される数十~数百の部品を金型に収容する必要がある。1以上の実施形態では、生産砂型、インベストメント、または金属射出鋳造法を用いて、スターリング熱交換器の内側または外側の面上にピンまたはフィンを鋳造し得る。1以上の実施形態では、円筒を有する部品の内部および外部に延びる突起、たとえばピンを有するヘッドの鋳造が、さまざまな実施形態により、インベストメントまたはロストワックス鋳造に加えて、砂型鋳造、ダイカスト、または他の鋳造プロセスによって達成され得る。内部または外部の突起、またはその両方が、ヘッドの一部として一体的に鋳造され得る。
【0056】
スターリングサイクルエンジンのサイズを小さく保つために、加熱器ヘッドを通過する燃焼気体からの熱流束を最大にすることが重要である。これに対し先行技術は、作動流体への熱伝達が達成される管のループを採用していたが、ループは、より複雑なループ形状および余分な材料に起因して、低い信頼性(ループが機械的に脆弱であるため)およびより高いコストを生み出す。熱流束に対する制限制約は加熱器ヘッド材料の熱機械特性であり、燃焼チャンバの高温に耐えると同時に、加圧ヘッドの構造的完全性を維持することができなければならない。最高設計温度は、加熱器ヘッドの最も高温になる点によって決定され、これは典型的には壁の最上部である。理想的には、加熱器の壁の高温セクション全体が、この最高温度になると、たとえば燃料の流れを制御することによって制御され得る。
【0057】
スターリングサイクル機械のいくつかの実施形態では、潤滑流体が使用される。潤滑流体がクランクケースから漏れることを防止するため、封止が使用される。いくつかの実施形態では、潤滑流体はオイルである。潤滑流体を使用して、クランクケース内のエンジン部品(図示せず)、たとえば流体動圧圧送潤滑式ベアリングを潤滑するために使用される。エンジンの可動部を潤滑することは、エンジン部品間の摩擦をさらに低減し、エンジン効率およびエンジン寿命をさらに向上させることに役立つ。いくつかの実施形態では、潤滑流体はオイルサンプとしても既知であるエンジンの底部に置かれ得、クランクケース全体に分配され得る。潤滑流体は,潤滑流体ポンプによってエンジンの異なる部品に分配され得、潤滑流体ポンプは、フィルタ付きの入口を介してサンプから潤滑流体を収集し得る。例示的な実施形態では、潤滑流体はオイルであるため、本明細書では潤滑流体ポンプをオイルポンプと称する。しかしながら、「オイルポンプ」という用語は、例示的な実施形態と、オイルが潤滑流体として使用される他の実施形態とを説明するためにのみ使用され、この用語は、潤滑流体または潤滑流体ポンプを限定するものと解釈されるものではない。
【0058】
1以上の実施形態では、本発明の装置は、クランクケース内に潤滑流体ポンプを含み得る。いくつかの実施形態では、潤滑流体ポンプは、ポンプ駆動アセンブリによって駆動される機械式潤滑流体ポンプであり、ポンプ駆動アセンブリは、クランクシャフトに接続され、それによって駆動される。いくつかの実施形態では、潤滑流体ポンプは電気式潤滑流体ポンプである。該機械は、クランクシャフトに接続されたモータをさらに含んでもよい。該機械は、クランクシャフトに接続されたジェネレータをさらに含んでもよい。
【0059】
いくつかの実施態様では、上述した圧縮比は、たとえばピストンまたはシリンダ、もしくは両方の形状を調整することによって増大させることができる。たとえば、シリンダの体積は変えられることができる。圧縮比の増大は、断熱的な加熱および冷却を増大させ、そのため再生器全体にわたる温度差が減少し、効率の向上につながる。
【0060】
上記で説明したように、いくつかのスターリングエンジンの1つの特徴は、再生器全体にわたるエネルギー損失である。バイパスチューブまたは一方向弁は、再生器を排除することができるように構成されることができる。作動気体が再生器を通過するとき、いくらかのエネルギーが失われるため、再生器の排除によりエネルギーの損失を低減することができる。再生器の排除はまた、再生器に伴うデッドボリュームを排除する。このようにして、作動気体の断熱的な加熱温度が作動気体の断熱的な冷却温度と同じかまたはそれより高くなるように圧縮比を調整し、それによって、再生器を排除することができる。
【0061】
熱エネルギーは、太陽放射または燃焼気体等のさまざまな熱源から提供され得る。たとえば、前述したようなバーナーを使用して、作動流体を加熱するために使用される高温の燃焼気体を生成し得る。本発明のスターリングエンジンを、廃熱およびバイオマス等の熱源を十分に活用する発電装置および動力装置として利用することができる。別の態様では、本明細書に記載のスターリングエンジンアセンブリを備える、熱エネルギーから電気エネルギーを生成するための太陽熱発電システムが提供される。
【0062】
別の実施形態では、本発明は、スターリングエンジンを使用する方法に向けられ、エンジンが、膨張チャンバを熱交換器と接続させ、圧縮チャンバをヒートシンクと接続させる少なくとも1つの再生器を有する少なくとも1つのシリンダを備え、動力および変位ピストンが、少なくとも1つのシリンダの内側で移動し、膨張チャンバと圧縮チャンバとの間の少なくとも1つの再生器を通して作動媒体を移動させ、少なくとも1つの熱交換器が、膨張チャンバ内の作動媒体を加熱し、少なくとも1つのヒートシンクが、圧縮チャンバ内の作動媒体を冷却する、方法であって、エンジンがフライホイールに接続されることを特徴とする。別の実施形態では、本発明は、少なくとも2つのスターリングエンジンを使用する方法に向けられ、少なくとも2つのエンジンが、少なくとも1つのエンジンが熱原動機として機能し、第2のものが冷却エンジンまたはヒートポンプとして反対に動作するように駆動するように結合される。別の実施形態では、可逆的に作動するスターリングは、外部エネルギーによって駆動される。
【0063】
本明細書に記載されるさまざまな加熱器ヘッドの実施形態およびそれらの製造のための方法は、複数の加熱器ヘッド構成で機能するように適合され得ることが理解されるべきである。
【0064】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の参照語を含むことに留意しなければならない。したがって、たとえば「着色剤」への言及は、2以上のそのような薬剤を含む。
【0065】
特段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似または同等の多くの方法および材料を本発明の実施に使用することができるが、好ましい材料および方法を本明細書に記載する。
【0066】
当業者には理解されるように、本発明の方法および組成物は、先行技術の方法および組成物に関連する不利益および欠点を実質的に低減または除去する。
【0067】
本開示で使用される場合、用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、およびルート語「備える(comprise)」からの他の派生語は、任意の記載された特徴、要素、整数、ステップ、または構成要素の存在を特定する拡張可能な用語であることが意図され、1以上の他の特徴、要素、整数、ステップ、構成要素、またはそれらの群の存在または付加を除外することは意図されていないことに留意すべきである。
【0068】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示される。しかしながら、開示された実施形態は本発明の単なる例示であり、さまざまな形態で具現化され得ることが理解されるべきである。したがって、本明細書に開示される特定の構造および機能の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に特許請求の範囲の基礎として、また事実上あらゆる適切な詳細構造において本発明をさまざまに使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0069】
本明細書に開示される本発明の例証的な実施形態が上述の目的を実現することは明らかであるが、当業者においては、数々の変更および他の実施形態を案出し得ることが理解されよう。よって、添付の特許請求の範囲は、本発明の本質および範囲内にあるすべてのそのような変更および実施形態を網羅するものであることが理解されよう。
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