(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】フォルダブルディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20250128BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20250128BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20250128BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20250128BHJP
H10K 50/115 20230101ALI20250128BHJP
【FI】
G09F9/30 308Z
G09F9/30 365
G09F9/00 350Z
G09F9/00 312
H10K77/10
H10K59/10
H10K50/115
(21)【出願番号】P 2024502741
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2022008278
(87)【国際公開番号】W WO2023162221
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2024-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 真由子
(72)【発明者】
【氏名】村尾 岳洋
(72)【発明者】
【氏名】富樫 泰之
(72)【発明者】
【氏名】二宮 郁雄
(72)【発明者】
【氏名】菊地 亮
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第212061687(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2021/0068276(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112767843(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0330614(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0132987(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112419900(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
H05B 44/00
H05B 45/60
H05B 33/00 - 33/28
H10K 50/00 - 99/00
H01L 51/50
H01L 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ部材と、前記ヒンジ部材を介して連結された第1筐体及び第2筐体とを含む筺体ユニットと、
可撓性表示層及び支持基板を含む可撓性表示パネルと、を備え、
前記支持基板は、前記可撓性表示層と前記筺体ユニットとの間に備えられ、
前記支持基板の第1の部分が前記第1筐体に固定され、前記支持基板の第2の部分が前記第2筐体に固定されて、前記可撓性表示パネルが前記筺体ユニットに固定されており、
前記第1筐体の前記支持基板側の面と前記第2筐体の前記支持基板側の面とを同一平面上に並ぶように配置し、前記可撓性表示パネルを非屈曲状態にした第1状態で、前記筺体ユニットは、前記同一平面に対して平坦である平坦部と前記同一平面に対して段差を有する一つ以上の段差部とを有し、
前記支持基板は、前記支持基板の前記第1の部分と前記第2の部分との間に第3の部分を有し、
前記支持基板の前記第3の部分は、前記第1状態で、前記段差部と重畳する第1領域と、前記平坦部と重畳する第2領域とを含み、
前記支持基板の前記第1領域における前記第1領域の体積に対して前記第1領域の開口群の開口の体積が占める第1割合は、前記支持基板の前記第2領域における前記第2領域の体積に対して前記第2領域の開口群の開口の体積が占める第2割合よりも低い、フォルダブルディスプレイ。
【請求項2】
前記開口群の前記開口のそれぞれは、前記支持基板の前記可撓性表示層側の面から前記支持基板の前記筺体ユニット側の面までを貫通する開口である、請求項1に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項3】
前記第1割合は、60%以下である、請求項1または2に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項4】
前記第2割合は、55%以上、75%以下である、請求項1または2に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項5】
前記第1領域と接する前記第2領域の一部は、複数の領域に分かれており、
前記複数の領域のそれぞれにおいては、各領域の体積に対して前記各領域の開口群の開口の体積が占める割合が異なり、
前記複数の領域のそれぞれにおいては、前記第1領域から遠くなる程、前記第1割合以上、前記第2割合以下の範囲において、前記複数の領域のそれぞれの前記割合が増加する、請求項1から4の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項6】
前記第1領域と接し、前記第1筐体に固定されている前記支持基板の前記第1の部分の一部は、複数の領域に分かれており、
前記複数の領域のそれぞれにおいては、各領域の体積に対して前記各領域の開口群の開口の体積が占める割合が異なり、
前記複数の領域のそれぞれにおいては、前記第1領域から遠くなる程、前記複数の領域のそれぞれの前記割合が減少する、請求項1から5の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項7】
前記第1領域と接し、前記第2筐体に固定されている前記支持基板の前記第2の部分の一部は、複数の領域に分かれており、
前記複数の領域のそれぞれにおいては、各領域の体積に対して前記各領域の開口群の開口の体積が占める割合が異なり、
前記複数の領域のそれぞれにおいては、前記第1領域から遠くなる程、前記複数の領域のそれぞれの前記割合が減少する、請求項1から6の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項8】
前記平坦部は、前記ヒンジ部材によって形成され、
前記段差部は、複数個であり、
前記複数個の段差部は、前記第1筐体と前記ヒンジ部材との間の隙間と、前記第2筐体と前記ヒンジ部材との間の隙間とを含む、請求項1から7の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項9】
前記複数個の段差部は、前記ヒンジ部材の一部に設けられた凹部をさらに含む、請求項8に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項10】
前記凹部には、接着剤が形成されており、
前記支持基板の前記第3の部分の一部は、前記接着剤によって前記ヒンジ部材に固定されている、請求項9に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項11】
前記凹部は、前記可撓性表示パネルの屈曲中心に沿って設けられている、請求項9または10に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項12】
前記複数個の段差部は、前記ヒンジ部材の一部に設けられた凸部をさらに含む、請求項8から11の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項13】
前記筺体ユニットは、前記第1筐体と、前記第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結する前記ヒンジ部材からなり、
前記第1筐体の前記支持基板側の面と前記第2筐体の前記支持基板側の面とを対向するように配置し、前記可撓性表示パネルを屈曲状態にした第2状態においては、前記可撓性表示パネルは滴形状である、請求項8から12の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項14】
前記平坦部は、前記第1筐体において前記支持基板の前記第1の部分が固定されている部分以外と、前記第2筐体において前記支持基板の前記第2の部分が固定されている部分以外とによって形成され、
前記段差部は、前記第1筐体と前記第2筐体との間の隙間を含む、請求項1から7の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項15】
前記筺体ユニットは、前記第1筐体と、前記第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結する前記ヒンジ部材からなり、
前記支持基板の一方の端部を含む領域が前記第1筐体の一方の端部を含む領域に固定され、前記支持基板の他方の端部を含む領域が前記第2筐体の一方の端部を含む領域に固定されて、前記可撓性表示パネルが前記筺体ユニットに固定されており、
前記平坦部は、前記第1筐体の前記一方の端部を含む領域以外の部分と、前記第2筐体の前記一方の端部を含む領域以外の部分とによって形成され、
前記段差部は、前記第1筐体と前記第2筐体との間の隙間を含み、
前記第1筐体の前記支持基板側の面と前記第2筐体の前記支持基板側の面とを対向するように配置し、前記可撓性表示パネルを屈曲状態にした第2状態においては、前記可撓性表示パネルはU字形状である、請求項1から7の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項16】
前記支持基板は、金属基板または、樹脂基板である、請求項1から15の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項17】
前記支持基板の厚さは、100μm以上、300μm以下である、請求項1から16の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項18】
前記可撓性表示パネルは、前記可撓性表示層と前記支持基板との間に、1層以上の樹脂層を含むクッション層をさらに備えている、請求項1から17の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項19】
前記クッション層は、第1粘着層と、第1フィルム層と、第2粘着層と、第2フィルム層と、第3粘着層とを、前記支持基板側からこの順に備えており、
前記第1フィルム層及び前記第2フィルム層は、それぞれ、樹脂層であり、
前記第1フィルム層の弾性率は、前記第2フィルム層の弾性率よりも高い、請求項18に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項20】
前記クッション層は、第1粘着層と、第1フィルム層と、第2粘着層と、第2フィルム層と、第3粘着層とを、前記支持基板側からこの順に備えており、
前記第1粘着層は、
25℃における剪断貯蔵弾性率が、5.0×10
4Pa以上、1.0×10
6Pa以下であり、
試験速度0.5mm/分、圧縮ひずみ40%の条件で測定した圧縮応力が、500KPa以上、1200KPa以下である、請求項18または19に記載のフォルダブルディスプレイ。
【請求項21】
前記可撓性表示層は、量子ドットを含む発光層または有機発光層を含む、請求項1から20の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フォルダブルディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
フォルダブルディスプレイの分野では、満足できる程の屈曲性が得られないという問題があり、屈曲性を改善するための研究が活発に行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、フォルダブルディスプレイについて、形状を維持し、屈曲させた状態(折り畳んだ状態)と非屈曲状態(開いた状態)を繰り返した際、たるみや変形が生じることを防止するため、フォルダブルディスプレイに備えられたバックプレートに開口を設けた構成について記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、屈曲性を良くするため、フォルダブルディスプレイを屈曲させた状態(折り畳んだ状態)で、フォルダブルディスプレイに備えられたフレキシブルフレームにおいて曲率が大きい屈曲中心部には開口の占める割合が大きくなるように複数の開口を設け、フォルダブルディスプレイに備えられたフレキシブルフレームにおいて曲率が小さい部分には開口の占める割合がより小さくなるように複数の開口を設けた構成について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許公報「US9983424B2」
【文献】国際特許公開公報「WO2019/088372A1」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載のフォルダブルディスプレイでは、一般的にフォルダブルディスプレイが備えているヒンジ部材を含む筺体ユニットにおいて段差部が生じることを考慮せずに、屈曲性を向上させるという観点からフォルダブルディスプレイに備えられたバックプレートまたはフレキシブルフレームに開口を設けている。したがって、特許文献1及び2に記載のフォルダブルディスプレイでは、ヒンジ部材を含む筺体ユニットに生じる段差部の影響を大きく受ける構成となっており、満足できる程のフォルダブルディスプレイの衝撃耐性を確保することができない。もしくは、衝撃耐性を確保しようとすると、逆に屈曲性が悪くなり、衝撃耐性と屈曲性を同時に確保することができない。
【0007】
特許文献1に記載のフォルダブルディスプレイでは、屈曲部を保護したり、屈曲部のたるみや変形を防止したりするために、バックプレートとして、開口部を持つプレートとは別に、もう一枚追加で無機材料の層を設けることが開示されている。しかしながら、このように無機材料の層が追加されることで屈曲性が悪くなるため、曲率が大きいフォルダブルディスプレイや、2種類の曲率を持つフォルダブルディスプレイでは、満足できる屈曲性を確保することができない。
【0008】
また、特許文献2に記載のフォルダブルディスプレイでは、支持基板の開口を埋めるためシリコーン層を設けた構成について記載されているが、このようにシリコーン層を設けた場合には、満足できる程の屈曲性を確保しにくい上、製造過程において生じたシリコーン塗布ムラなどにより、ディスプレイの見栄えが非常に悪くなりやすい。
【0009】
本開示の一態様は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、従来よりも衝撃耐性を向上しつつ、屈曲性に優れたフォルダブルディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のフォルダブルディスプレイは、前記の課題を解決するために、
ヒンジ部材と、前記ヒンジ部材を介して連結された第1筐体及び第2筐体とを含む筺体ユニットと、
可撓性表示層及び支持基板を含む可撓性表示パネルと、を備え、
前記支持基板は、前記可撓性表示層と前記筺体ユニットとの間に備えられ、
前記支持基板の第1の部分が前記第1筐体に固定され、前記支持基板の第2の部分が前記第2筐体に固定されて、前記可撓性表示パネルが前記筺体ユニットに固定されており、
前記第1筐体の前記支持基板側の面と前記第2筐体の前記支持基板側の面とを同一平面上に並ぶように配置し、前記可撓性表示パネルを非屈曲状態にした第1状態で、前記筺体ユニットは、前記同一平面に対して平坦である平坦部と前記同一平面に対して段差を有する一つ以上の段差部とを有し、
前記支持基板は、前記支持基板の前記第1の部分と前記第2の部分との間に第3の部分を有し、
前記支持基板の前記第3の部分は、前記第1状態で、前記段差部と重畳する第1領域と、前記平坦部と重畳する第2領域とを含み、
前記支持基板の前記第1領域における前記第1領域の体積に対して前記第1領域の開口群の開口の体積が占める第1割合は、前記支持基板の前記第2領域における前記第2領域の体積に対して前記第2領域の開口群の開口の体積が占める第2割合よりも低い。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、従来よりも衝撃耐性を向上しつつ、屈曲性に優れたフォルダブルディスプレイを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1のフォルダブルディスプレイの非屈曲状態(開いた状態)を示す図であって、実施形態1のフォルダブルディスプレイの概略的な構成を示す断面図である。
【
図2】実施形態1のフォルダブルディスプレイを屈曲させた状態(折り畳んだ状態)を示す図である。
【
図3】(a)、(b)及び(c)は、実施形態1のフォルダブルディスプレイに備えられた支持基板に設けられた開口パターンの一例を示す図である。
【
図4】(a)は、実施形態1のフォルダブルディスプレイに備えられた支持基板に設けられた開口パターンの一例における開口の大きさと開口のピッチとを示す図であり、(b)及び(c)は、実施形態1のフォルダブルディスプレイに備えられた支持基板に設けられた開口パターンの一例における開口の大きさと、実施形態1のフォルダブルディスプレイに備えられた画素の一例における画素の大きさとを比較した図である。
【
図5】実施形態1のフォルダブルディスプレイに備えられた支持基板に設けられた開口パターンの一例における一つの開口と、実施形態1のフォルダブルディスプレイに備えられた画素の一例における画素の大きさとの関係を説明するための図である。
【
図6】実施形態1のフォルダブルディスプレイに備えられた可撓性表示パネルの概略的な構成を示す図である。
【
図7】実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイの非屈曲状態(開いた状態)を示す図であって、実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイの概略的な構成を示す断面図である。
【
図8】実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイを屈曲させた状態(折り畳んだ状態)を示す図である。
【
図9】実施形態1のフォルダブルディスプレイ及び実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイの衝撃耐性の評価結果を示す図である。
【
図10】実施形態1のフォルダブルディスプレイ及び実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイに備えられたクッション層の第1フィルム層が、プラスチックフィルムである場合と、メタルフィルムである場合とを比較した屈曲テストの評価結果を示す図である。
【
図11】実施形態1のフォルダブルディスプレイ及び実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイに備えられたクッション層の第1粘着層が、ハード粘着剤の場合と、ソフト粘着剤の場合とを比較した衝撃耐性の評価結果を示す図である。
【
図12】実施形態2のフォルダブルディスプレイに備えられた支持基板に設けられた開口パターンの一例を示す図である。
【
図13】実施形態3のフォルダブルディスプレイの非屈曲状態(開いた状態)を示す図であって、実施形態3のフォルダブルディスプレイの概略的な構成を示す断面図である。
【
図14】実施形態3のフォルダブルディスプレイを屈曲させた状態(折り畳んだ状態)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、
図1から
図14に基づいて説明すれば、次の通りである。以下、説明の便宜上、特定の実施形態にて説明した構成と同一の機能を有する構成については、同一の符号を付記し、その説明を省略する場合がある。
【0014】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1の非屈曲状態(開いた状態)を示す図であって、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1の概略的な構成を示す断面図である。
【0015】
図1に示すように、フォルダブルディスプレイ1は、ヒンジ部材2h1・2h2・2h3と、ヒンジ部材2h1・2h2・2h3を介して連結された第1筐体2a及び第2筐体2bと、を含む筺体ユニット2と、支持基板3及び可撓性表示層5を含む可撓性表示パネル8と、を備えている。
図1の左右方向であるY方向Yと直交する
図1の奥行方向であるX方向Xにおいて、図示してないが、第1筐体2aと第2筐体2bとはヒンジ部材2h1・2h2・2h3を介して連結されている。
【0016】
本実施形態においては、
図1に示すように、フォルダブルディスプレイ1が、支持基板3と可撓性表示層5との間に後述するクッション層4をさらに備え、可撓性表示層5の上層として、後述する機能層6及び可撓性カバー7を備え、筺体ユニット2の下層として、筐体カバー19を備えている場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。すなわち、本実施形態においては、可撓性表示パネル8が、支持基板3と、クッション層4と、可撓性表示層5と、機能層6と、可撓性カバー7とを含む場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはなく、可撓性表示パネル8は、支持基板3と可撓性表示層5とを含んでいればよい。また、フォルダブルディスプレイ1は、筐体カバー19を備えていなくてもよい。
【0017】
支持基板3は、筺体ユニット2と可撓性表示層5との間に備えられている。支持基板3の第1の部分の一例である支持基板3の一方の端部を含む領域NBR1が第1筐体2aに固定され、支持基板3の第2の部分の一例である支持基板3の他方の端部を含む領域NBR2が第2筐体2bに固定されて、可撓性表示パネル8が筺体ユニット2に固定されている。支持基板3の一方の端部を含む領域NBR1を第1筐体2aに固定し、支持基板3の他方の端部を含む領域NBR2を第2筐体2bに固定する際には、例えば、粘着剤を用いてもよく、ネジなどを用いてもよい。
【0018】
支持基板3の一方の端部を含む領域NBR1及び支持基板3の他方の端部を含む領域NBR2を含む部分が、可撓性表示パネル8の非屈曲領域であり、支持基板3の一方の端部を含む領域NBR1と支持基板3の他方の端部を含む領域NBR2との間の支持基板3の第3の部分BRを含む部分が可撓性表示パネル8の屈曲領域である。
【0019】
図1に示すように、第1筐体2aの支持基板3側の面と第2筐体2bの支持基板3側の面とを同一平面上に並ぶように配置し、可撓性表示パネル8を非屈曲状態にした第1状態で、筺体ユニット2は、前記同一平面に対して平坦である平坦部2Pと前記同一平面に対して段差を有する一つ以上の段差部2d1・2d2とを有する。本実施形態においては、筺体ユニット2が2種類の段差部2d1・2d2を有する場合を一例に挙げて説明するがこれに限定されることはなく、例えば、後述する本実施形態の変形例のように筺体ユニットが3種類以上の段差部を有していてもよく、後述する実施形態3のように筺体ユニットが1種類の段差部を有していてもよい。
【0020】
支持基板3の第3の部分BRは、上述した第1状態で、段差部2d1・2d2と重畳する第1領域(例えば、
図1において点線で示す領域Bを含む)と、平坦部2Pと重畳する第2領域(例えば、
図1において点線で示す領域Aを含む)とを含む。すなわち、支持基板3の第3の部分BRの第1領域は、段差部2d1と重畳する支持基板3の第3の部分BRの領域と、段差部2d2と重畳する支持基板3の第3の部分BRの領域とを合わせた領域であり、支持基板3の第3の部分BRの第2領域は、平坦部2Pと重畳する支持基板3の第3の部分BRの領域である。
【0021】
図1に示すように、支持基板3の前記第1領域における前記第1領域の体積に対して前記第1領域の開口群の開口3dの体積が占める第1割合は、支持基板3の前記第2領域における前記第2領域の体積に対して前記第2領域の開口群の開口3dの体積が占める第2割合よりも低い。
【0022】
図1に示すように、平坦部2Pは、ヒンジ部材2h1・2h2・2h3によって形成される。段差部2d1は、第1筐体2aとヒンジ部材2h1との間の隙間を含み、段差部2d2は、第2筐体2bとヒンジ部材2h3との間の隙間を含む。
【0023】
図2は、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1を屈曲させた状態(折り畳んだ状態)を示す図である。
【0024】
図2に示すように、第1筐体2aの支持基板3側の面と第2筐体2bの支持基板3側の面とを対向するように配置し、第1筐体2aと第2筐体2bとの間の距離を近づけたフォルダブルディスプレイ1を折り畳んだ状態、すなわち、可撓性表示パネル8を屈曲状態にした第2状態においては、可撓性表示パネル8は滴形状である。
【0025】
なお、
図2に示すように、フォルダブルディスプレイ1を折り畳んだ状態においては、ヒンジ部材2h1とヒンジ部材2h2との間に隙間2S1が生じ、ヒンジ部材2h2とヒンジ部材2h3との間に隙間2S2が生じている。
【0026】
図3の(a)、
図3の(b)及び
図3の(c)は、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1に備えられた支持基板3に設けられた開口パターンの一例を示す図である。
【0027】
図3の(a)に示す支持基板3に設けられた開口パターンは、該当領域の体積に対して該当領域の開口群の開口3dの体積が占める割合が約65%、すなわち、該当領域の体積に対して該当領域の支持基板3の材料の体積が占める割合が約35%である場合の一例である。
【0028】
図3の(b)に示す支持基板3に設けられた開口パターンは、該当領域の体積に対して該当領域の開口群の開口3dの体積が占める割合が約50%、すなわち、該当領域の体積に対して該当領域の支持基板3の材料の体積が占める割合が約50%である場合の一例である。
【0029】
図3の(c)に示す支持基板3に設けられた開口パターンは、該当領域の体積に対して該当領域の開口群の開口3dの体積が占める割合が約40%、すなわち、該当領域の体積に対して該当領域の支持基板3の材料の体積が占める割合が約60%である場合の一例である。
【0030】
なお、
図3の(a)、
図3の(b)及び
図3の(c)に示すY方向Yは
図1に示すY方向Yと同じ方向であり、
図3の(a)、
図3の(b)及び
図3の(c)に示すX方向Xは、
図1に示すX方向Xと同じ方向である。
【0031】
なお、本実施形態においては、
図3の(a)、
図3の(b)及び
図3の(c)に示すように、支持基板3に設けられた開口パターンにおける開口3dが、X方向の長さがY方向の長さよりも長い長方形で形成した場合を一例に挙げて説明したが、支持基板3に設けられた開口パターンにおける開口3dの形状は特に限定されない。例えば、開口3dの形状は、円形状であっても、六角形形状であっても、ひし形形状であっても、Y字形状であってもよい。
【0032】
本実施形態においては、支持基板3に設けられた開口群の開口3dのそれぞれが、支持基板3の可撓性表示層5側の面から支持基板3の筺体ユニット2側の面までを貫通する開口である場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。例えば、支持基板3に設けられた開口群の開口3dのそれぞれは、その一部の開口3dのみが支持基板3の可撓性表示層5側の面から支持基板3の筺体ユニット2側の面までを貫通する開口であり、残りの開口3dは、支持基板3の可撓性表示層5側の面から支持基板3の筺体ユニット2側の面までを貫通しない開口であってもよい。さらに、支持基板3に設けられた開口群の開口3dのそれぞれは、全て支持基板3の可撓性表示層5側の面から支持基板3の筺体ユニット2側の面までを貫通しない開口であってもよい。
【0033】
本実施形態においては、支持基板3が、厚さ150μmで形成された金属基板である場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはなく、支持基板3は樹脂基板であってもよい。
【0034】
金属基板の材料としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、チタン及び銅のうちの少なくとも1つを含む材料を用いることができる。
【0035】
樹脂基板の材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート及び炭素繊維強化プラスチックを用いることができる。
【0036】
なお、支持基板3の厚さは、支持基板3の製造の容易さと、支持基板3の可撓性を確保することとを考慮すると、100μm以上、300μm以下であることが好ましい。
【0037】
なお、支持基板3が樹脂基板である場合には、例えば、パンチングや型抜きを行うことで、支持基板3に開口群、すなわち、複数の開口3dを形成できる。一方、支持基板3が金属基板である場合には、例えば、マスクパターンを用いた露光及び現像の後、エッチング加工を行うことで、支持基板3に開口群、すなわち、複数の開口3dを形成できる。
【0038】
支持基板3の第3の部分BRは、上述した第1状態で、段差部2d1・2d2と重畳する第1領域における前記第1領域の体積に対して前記第1領域の開口群の開口3dの体積が占める第1割合は、フォルダブルディスプレイ1の衝撃耐性を確保するという点から、60%以下であることが好ましい。一方、支持基板3の第3の部分BRは、上述した第1状態で、平坦部2Pと重畳する第2領域における前記第2領域の体積に対して前記第2領域の開口群の開口3dの体積が占める第2割合は、フォルダブルディスプレイ1の屈曲性を確保するという点から、前記第1割合よりも大きいのであれば、55%以上、75%以下であることが好ましい。
【0039】
したがって、支持基板3の第3の部分BRにおいて段差部2d1・2d2と重畳する第1領域においては、例えば、
図3の(b)に示す支持基板3に設けられた開口パターンまたは
図3の(c)に示す支持基板3に設けられた開口パターンを好適に用いることができ、支持基板3の第3の部分BRにおいて平坦部2Pと重畳する第2領域においては、例えば、
図3の(a)に示す支持基板3に設けられた開口パターンを好適に用いることができる。
【0040】
図4の(a)は、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1に備えられた支持基板3に設けられた開口パターンの一例における開口3dの大きさと開口3dのピッチとを示す図である。
【0041】
図4の(a)には、Y方向Yにおける開口3dと開口3dの間の支持基板材料の線幅WAと、Y方向Yにおける開口3dの幅WBと、X方向Xにおける開口3dと開口3dの間の支持基板材料の線幅WCと、X方向Xにおける開口3dの幅WDとが図示されている。
【0042】
本実施形態においては、支持基板3に、X方向Xにおける開口3dの幅WDがY方向Yにおける開口3dの幅WBよりも大きく、X方向Xにおける開口3dと開口3dの間の支持基板材料の線幅WCがY方向Yにおける開口3dと開口3dの間の支持基板材料の線幅WAよりも大きい、同一形状の複数の開口3dからなる開口パターンを設けた場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。上述したように、支持基板3の前記第1領域における前記第1領域の体積に対して前記第1領域の開口群の開口3dの体積が占める第1割合が、支持基板3の前記第2領域における前記第2領域の体積に対して前記第2領域の開口群の開口3dの体積が占める第2割合よりも低いのであれば、例えば、支持基板3に設けられる開口パターンにおいて、開口の形状は同一でなくてもよく、Y方向Yにおける開口3dと開口3dの間の支持基板材料の線幅WAとX方向Xにおける開口3dと開口3dの間の支持基板材料の線幅WCとの関係も適宜決定することができ、Y方向Yにおける開口の幅WBとX方向Xにおける開口の幅WDとの関係も適宜決定することができる。
【0043】
図4の(b)は、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1に備えられた支持基板3に設けられた開口パターンの一例における開口3dの大きさと、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1に備えられた画素の一例である、複数のサブ画素をS-ストライプ配列した場合における画素PIXの大きさとを比較した図である。
【0044】
図4の(b)に示すように、支持基板3に設けられた開口群のうちの一つの開口3d上には、可撓性表示層5に備えられ、赤色サブ画素RSPと緑色サブ画素GSPと青色サブ画素BSPとがS-ストライプ配列された画素PIXが複数個配置される。
【0045】
図4の(c)は、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1に備えられた支持基板3に設けられた開口パターンの一例における開口3dの大きさと、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1に備えられた画素の一例である、複数のサブ画素をダイヤモンドペンタイル配列した場合における画素PIX’の大きさとを比較した図である。
【0046】
図4の(c)に示すように、支持基板3に設けられた開口群のうちの一つの開口3d上には、可撓性表示層5に備えられ、赤色サブ画素RSPと緑色サブ画素GSPと青色サブ画素BSPとがダイヤモンドペンタイル配列された画素PIX’が複数個配置される。
【0047】
図5は、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1に備えられた支持基板3に設けられた開口パターンの一例における一つの開口3dと、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1に備えられた画素の一例における画素PIX・PIX’の大きさとの関係を説明するための図である。
【0048】
図5に示す開口3dの配置例1、すなわち、開口3dからなる開口群の配置例1の場合、Y方向Yにおける開口3dと開口3dの間の支持基板材料の線幅WAは90μmで、Y方向Yにおける開口3dの幅WBは225μmで、X方向Xにおける開口3dと開口3dの間の支持基板材料の線幅WCは150μmで、X方向Xにおける開口3dの幅WDは2220μmである。この場合の該当領域の体積に対して該当領域の開口群の開口3dの体積が占める割合が約65%、すなわち、該当領域の体積に対して該当領域の支持基板3の材料の体積が占める割合(支持基板3の材料占有率)が約35%であり、支持基板3の第3の部分BRにおいて平坦部2Pと重畳する第2領域において好適に用いることができる
図3の(a)に示す支持基板3に設けられた開口パターンである。
【0049】
図5に示す開口3dの配置例2、すなわち、開口3dからなる開口群の配置例2の場合、Y方向Yにおける開口3dと開口3dの間の支持基板材料の線幅WAは195μmで、Y方向Yにおける開口3dの幅WBは221μmで、X方向Xにおける開口3dと開口3dの間の支持基板材料の線幅WCは154μmで、X方向Xにおける開口3dの幅WDは2221μmである。この場合の該当領域の体積に対して該当領域の開口群の開口3dの体積が占める割合が約50%、すなわち、該当領域の体積に対して該当領域の支持基板3の材料の体積が占める割合(支持基板3の材料占有率)が約50%であり、支持基板3の第3の部分BRにおいて段差部2d1・2d2と重畳する第1領域において好適に用いることができる。
【0050】
図5に示す開口3dの配置例1及び配置例2の何れの場合でも、複数のサブ画素をS-ストライプ配列した一つの画素PIXのサイズを100μm×100μmとした場合、開口3dのY方向Yには2個の画素PIXが配列可能であり、開口3dのX方向Xには22個の画素PIXが配列可能であり、支持基板3に設けられた開口群のうちの一つの開口3d上には、可撓性表示層5に備えられ、赤色サブ画素RSPと緑色サブ画素GSPと青色サブ画素BSPとがS-ストライプ配列された画素PIXが44個配置される。
【0051】
また、
図5に示す開口3dの配置例1及び配置例2の何れの場合でも、複数のサブ画素をダイヤモンドペンタイル配列した一つの画素PIX’のサイズを60μm×60μmとした場合、開口3dのY方向Yには3個の画素PIX’が配列可能であり、開口3dのX方向Xには37個の画素PIX’が配列可能であり、支持基板3に設けられた開口群のうちの一つの開口3d上には、可撓性表示層5に備えられ、赤色サブ画素RSPと緑色サブ画素GSPと青色サブ画素BSPとがダイヤモンドペンタイル配列された画素PIX’が111個配置される。
【0052】
図5に示す適用可能な開口3dの配置例のように、開口3dの配置例は上述した開口3dの配置例1及び配置例2に限定されることはなく、例えば、Y方向Yにおける開口3dと開口3dの間の支持基板材料の線幅WAは50μm以上、500μm以下で、Y方向Yにおける開口3dの幅WBは100μm以上、400μm以下で、X方向Xにおける開口3dと開口3dの間の支持基板材料の線幅WCは100μm以上、300μm以下で、X方向Xにおける開口3dの幅WDは1000μm以上、4000μm以下とすることができる。
【0053】
図5に示す適用可能な開口3dの配置例の場合、画素のサイズを40μm×40μm以上、400μm×400μm以下とした場合、開口3dのY方向Yには1個以上、10個以下の画素が配列可能であり、開口3dのX方向Xには2個以上、100個以下の画素が配列可能であり、支持基板3に設けられた開口群のうちの一つの開口3d上には、可撓性表示層5に備えられた画素が2個以上、1000個以下配置される。
【0054】
図6は、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1に備えられた可撓性表示パネル8の概略的な構成を示す図である。
【0055】
図6に示すように、本実施形態においては、可撓性表示パネル8が、支持基板3と、クッション層4と、可撓性表示層5と、機能層6と、可撓性カバー7とを含む。
【0056】
本実施形態においては、支持基板3と可撓性表示層5との間に備えられたクッション層4が、第1粘着層14と、第1フィルム層15と、第2粘着層16と、第2フィルム層17と、第3粘着層18とを、支持基板3側からこの順に備えている場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。例えば、クッション層4は、1層以上の樹脂層を含んでいることが好ましいが、これに限定されることはなく、金属材料で形成された層を含んでいてもよい。
【0057】
第1フィルム層15及び第2フィルム層17の少なくとも一方を、例えば、PET、PEN、ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂などで形成することが好ましい。本実施形態においては、第1フィルム層15及び第2フィルム層17のそれぞれをPETで形成したが、これに限定されることはない。
【0058】
また、第1フィルム層15の弾性率及び第2フィルム層17の弾性率は、1GPa以上、8GPa以下であることが好ましく、3GPa以上、6GPa以下であることがさらに好ましい。
【0059】
また、本実施形態においては、第1フィルム層15の弾性率が第2フィルム層17の弾性率よりも高くなるようにした。
【0060】
第1粘着層14は、15μm以上、75μm以下で形成することが好ましい。第1フィルム層15は、20μm以上、100μm以下で形成することが好ましく、25μm以上、75μm以下で形成することがさらに好ましい。第2粘着層16は、15μm以上、100μm以下で形成することが好ましい。第2フィルム層17は、20μm以上、100μm以下で形成することが好ましい。第3粘着層18は、15μm以上、75μm以下で形成することが好ましい。
【0061】
なお、第1粘着層14、第2粘着層16及び第3粘着層18は、どのような種類の粘着剤を用いて形成してもよい。例えば、25℃における剪断貯蔵弾性率が、5.0×104Pa以上、1.0×106Pa以下であり、試験速度0.5mm/分、圧縮ひずみ40%の条件で測定した圧縮応力が、500KPa以上、1200KPa以下であるハード粘着剤(比較的硬い粘着剤)を用いてもよく、25℃における剪断貯蔵弾性率が、2.0×104Pa以上、5.0×104Pa以下であり、試験速度0.5mm/分、圧縮ひずみ40%の条件で測定した圧縮応力が、80KPa以上、300KPa以下であるソフト粘着剤(比較的柔らかい粘着剤)を用いてもよい。
【0062】
本実施形態においては、第1粘着層14を25℃における剪断貯蔵弾性率が、5.0×104Pa以上、1.0×106Pa以下であり、試験速度0.5mm/分、圧縮ひずみ40%の条件で測定した圧縮応力が、500KPa以上、1200KPa以下であるハード粘着剤(比較的硬い粘着剤)を用いて形成することで、フォルダブルディスプレイ1の衝撃耐性をさらに向上できる。
【0063】
可撓性表示層5は、例えば、可撓性基板と、薄膜トランジスタ層と、複数のサブ画素を含む画素が複数個備えられた表示層とを含む。前記表示層は、例えば、液晶表示層であってもよく、複数のサブ画素毎に発光素子が備えられた表示層であってもよい。前記表示層が複数のサブ画素毎に発光素子が備えられた表示層である場合には、前記発光素子は、量子ドットを含む発光層または有機発光層を備えていてもよい。なお、可撓性表示層5は、例えば、10μm以上、100μm未満で形成することが好ましいが、これに限定されることはない。
【0064】
図6に示すように、可撓性表示層5上に備えられた機能層6は、第4粘着層9と、タッチパネル10と、第5粘着層11と、偏光板12と、第6粘着層13とを、可撓性表示層5側からこの順に備えている。
【0065】
第4粘着層9は、15μm以上、50μm以下で形成することが好ましい。タッチパネル10は、30μm以上、50μm以下の厚さで形成することが好ましい。第5粘着層11は、15μm以上、50μm以下で形成することが好ましい。偏光板12は、30μm以上、50μm以下の厚さで形成することが好ましい。第6粘着層13は、15μm以上、50μm以下で形成することが好ましい。なお、第4粘着層9、第5粘着層11及び第6粘着層13は、どのような種類の粘着剤を用いて形成してもよい。例えば、上述したソフト粘着剤(比較的柔らかい粘着剤)または上述したハード粘着剤(比較的硬い粘着剤)を用いてもよい。
【0066】
図6に示すように、機能層6上には可撓性カバー7が備えられている。可撓性カバー7の一例としては、ハードコート加工が施された周知のウィンドウフィルムが挙げられる。可撓性カバー7の厚さは、50μm以上、100μm以下で形成することが好ましい。
【0067】
図7は、実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイ1aの非屈曲状態(開いた状態)を示す図であって、実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイ1aの概略的な構成を示す断面図である。
【0068】
図7に示すように、フォルダブルディスプレイ1aに備えられた筺体ユニット2’は、ヒンジ部材2h1・2h2’・2h3を含む。ヒンジ部材2h2’の一部には、段差部である凹部2d3が設けられている。したがって、フォルダブルディスプレイ1aに備えられた筺体ユニット2’の場合、段差部2d1・2d2に加えて、段差部である凹部2d3をさらに含む点において、上述したフォルダブルディスプレイ1とは異なる。
【0069】
段差部である凹部2d3には、接着剤が形成されていてもよく、この場合、支持基板3aの第3の部分BRの一部を前記接着剤によってヒンジ部材2h2’に固定させることができる。なお、使用する前記接着剤の種類及び前記接着剤の形成方法については、例えば、国際特許公開公報「WO2020/065936A1」に記載されている接着剤の種類及び接着剤の形成方法を用いてもよい。
【0070】
なお、本実施形態においては、ヒンジ部材2h2’の一部に段差部として凹部2d3が設けられている場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはない。図示してないが、ヒンジ部材2h1・2h2’・2h3の一部には段差部として凸部が設けられていてもよい。前記凸部の一例としては、ヒンジ部材2h1・2h2’・2h3に備えられたネジなどの部材を挙げることができる。
【0071】
図7に示すように、支持基板3aの第3の部分BRは、上述した第1状態で、段差部2d1・2d2及び凹部2d3と重畳する第1領域(例えば、
図7において点線で示す領域B及び領域Cを含む)と、平坦部2Pと重畳する第2領域(例えば、
図7において点線で示す領域Aを含む)とを含む。すなわち、支持基板3aの第3の部分BRの第1領域は、段差部2d1と重畳する支持基板3の第3の部分BRの領域と、段差部2d2と重畳する支持基板3aの第3の部分BRの領域と、凹部2d3と重畳する支持基板3aの第3の部分BRの領域とを合わせた領域であり、支持基板3aの第3の部分BRの第2領域は、平坦部2Pと重畳する支持基板3aの第3の部分BRの領域である。
【0072】
図7に示すように、支持基板3aの前記第1領域における前記第1領域の体積に対して前記第1領域の開口群の開口3dの体積が占める第1割合は、支持基板3aの前記第2領域における前記第2領域の体積に対して前記第2領域の開口群の開口3dの体積が占める第2割合よりも低い。
【0073】
図8は、実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイ1aを屈曲させた状態(折り畳んだ状態)を示す図である。
【0074】
図8に示すように、第1筐体2aの支持基板3a側の面と第2筐体2bの支持基板3a側の面とを対向するように配置し、第1筐体2aと第2筐体2bとの間の距離を近づけたフォルダブルディスプレイ1aを折り畳んだ状態、すなわち、可撓性表示パネル8aを屈曲状態にした第2状態においては、可撓性表示パネル8aは滴形状である。
【0075】
また、
図8に示すように、凹部2d3は、可撓性表示パネル8aの屈曲中心に沿って設けられていることが好ましい。
【0076】
図9は、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1及び実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイ1aの衝撃耐性の評価結果を示す図である。
【0077】
図9に示す衝撃耐性の評価結果は、フォルダブルディスプレイ1及びフォルダブルディスプレイ1aを上述した第1状態にした上で各評価を行った結果である。
【0078】
ボール落下(Ball drop)評価は、所定のスチールボール(重さ24g、φ18mm)を所定の高さから可撓性カバー7に落下させて行った結果であり、ペン落下(Pen drop)評価は、所定のペン(重さ19g、ペン先はエラストマー)を所定の高さから可撓性カバー7に落下させて行った結果であり、段差感触(ペン摺動(Pen tracing))評価は、ペン先を可撓性カバー7に力を加えて手動で摺動して感触を確認した。
【0079】
図9に示す支持基板の材料占有率は、該当領域の体積に対して該当領域の支持基板3の材料の体積が占める割合(支持基板3の材料占有率)を意味し、(100%-支持基板3の材料占有率)が該当領域の体積に対して該当領域の支持基板3の開口3dの体積が占める割合となる。
【0080】
図9に示す高さは、上述した評価後にフォルダブルディスプレイ1・1aにおいて、5cm刻みで落球評価した際に、輝点や輝線などの不具合が出ない最大高さを意味する。また、
図9中に記載の(※)は輝点や輝線などの不具合が出てない今回行った評価の上限の高さを意味する。筐体ユニットを保護する目的で、今回の上限の高さを決めたが、実際は、さらに高い位置からの落球でも不具合が出ないこともあり得る。
【0081】
ボール落下(Ball drop)評価においては、ボールを段差部2d1・2d2・2d3の位置に落下させた場合、支持基板3の材料占有率が40%以上、50%以下(支持基板3の開口3d占有率が50%以上、60%以下)の場合に、支持基板3の材料占有率が30%以上、35%以下(支持基板3の開口3d占有率が65%以上、70%以下)の場合と比較して、衝撃耐性が5cm向上することが確認できる。また、ボールを段差部2d1・2d2・2d3の縁の位置に落下させた場合にも、支持基板3の材料占有率が40%以上、50%以下(支持基板3の開口3d占有率が50%以上、60%以下)及び支持基板3の材料占有率が50%以上、65%以下(支持基板3の開口3d占有率が35%以上、50%以下)の場合に、支持基板3の材料占有率が30%以上、35%以下(支持基板3の開口3d占有率が65%以上、70%以下)の場合と比較して、衝撃耐性が5cm向上することが確認できる。さらに、支持基板3の材料占有率が70%以上、80%以下(支持基板3の開口3d占有率が20%以上、30%以下)の場合に、支持基板3の材料占有率が30%以上、35%以下(支持基板3の開口3d占有率が65%以上、70%以下)の場合と比較して、衝撃耐性が10cm向上することが確認できる。以上から、段差部2d1・2d2・2d3の縁と重畳する領域においても、支持基板3の材料占有率が40%以上(支持基板3の開口3d占有率が60%以下)とすることが好ましい。なお、平坦性の高い部分であるヒンジ部材2h2’の平坦部、ヒンジ部材2h1・2h2・2h3の平坦部及び非屈曲部である第1筐体2a及び第2筐体2bについては、衝撃耐性がもともと高いので、支持基板3の材料占有率(支持基板3の開口3d占有率)を変えても衝撃耐性の向上効果は得られなかった。
【0082】
ペン落下(Pen drop)評価においては、ペンを、段差部2d1・2d2・2d3の位置に落下させた場合及びペンを段差部2d1・2d2・2d3の縁の位置に落下させた場合において、支持基板3の材料占有率が40%以上(支持基板3の開口3d占有率が60%以下)の場合に、衝撃耐性の向上効果を得ることができた。支持基板3の材料占有率が50%以上では、衝撃耐性効果はさらに大きくなった。なお、平坦性の高い部分であるヒンジ部材2h2’の平坦部、ヒンジ部材2h1・2h2・2h3の平坦部及び非屈曲部である第1筐体2a及び第2筐体2bについては、衝撃耐性がもともと高いので、支持基板3の材料占有率(支持基板3の開口3d占有率)を変えても衝撃耐性の向上効果は得られなかった。
【0083】
段差感触(ペン摺動(Pen tracing))評価は、段差部2d1・2d2・2d3の位置についてのみ行っており、支持基板3の材料占有率が40%以上、50%以下(支持基板3の開口3d占有率が50%以上、60%以下)の場合に、支持基板3の材料占有率が30%以上、35%以下(支持基板3の開口3d占有率が65%以上、70%以下)の場合と比較して、段差感触が大きく減ることが確認でき、支持基板3の材料占有率が50%以上(支持基板3の開口3d占有率が50%以下)の場合には、段差感触がほぼなくなることが確認できる。
【0084】
図10は、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1及び実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイ1aに備えられたクッション層4の第1フィルム層15が、プラスチックフィルムである場合と、メタルフィルムである場合とを比較した屈曲テストの評価結果を示す図である。
【0085】
図10に示す屈曲テストは、フォルダブルディスプレイ1・1aを、上述した第1状態から上述した第2状態を経て再び上述した第1状態にした回数によって、フォルダブルディスプレイ1・1aの各層に剥離などが生じていないかを確認した結果である。なお、
図10に示す屈曲テストの結果は、速度7rpmで行った場合の結果である。
【0086】
図10に示すように、クッション層4の第1フィルム層15がメタルフィルムである場合には、屈曲に対して満足する程の耐久性が得られないが、クッション層4の第1フィルム層15を、本実施形態のように、PETなどのプラスチックフィルムとする場合、屈曲に対して満足する程の耐久性を有するフォルダブルディスプレイ1・1aを実現することができる。また、
図10中に記載の(※)は剥離などの不具合が出てない今回行った評価の上限の回数を意味する。したがって、実際は、上記上限の回数より大きい回数において不具合が出ないこともあり得る。
図10中に記載のNGはその回数で剥離が生じたことを、OKはその回数で剥離が生じていないことを意味する。
【0087】
図11は、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1及び実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイ1aに備えられたクッション層4の第1粘着層14が、ハード粘着剤の場合と、ソフト粘着剤の場合とを比較した衝撃耐性の評価結果を示す図である。
【0088】
図11に示すように、ペン落下(Pen drop)評価においては、ペンを、段差部2d1・2d2・2d3の位置に落下させた場合及びペンを段差部2d1・2d2・2d3の縁の位置に落下させた場合において、クッション層4の第1粘着層14として、ハード粘着剤を用いた場合及びソフト粘着剤を用いた場合の何れの場合も、支持基板3の材料占有率が50%以上(支持基板3の開口3d占有率が50%以下)の場合に、支持基板3の材料占有率が30%以上、35%以下(支持基板3の開口3d占有率が65%以上、70%以下)の場合と比較して、衝撃耐性の向上効果が得られた。特に、クッション層4の第1粘着層14として、ハード粘着剤を用いた場合には、ペンを段差部2d1・2d2・2d3の縁の位置に落下させた場合に大きな衝撃耐性の向上効果が得られた。
【0089】
以上のように、実施形態1のフォルダブルディスプレイ1及び実施形態1の変形例であるフォルダブルディスプレイ1aにおいては、筺体ユニット2・2’が第1筐体2aと、第2筐体2bと、第1筐体2aと第2筐体2bを連結するヒンジ部材2h1・2h2・2h3、または第1筐体2aと第2筐体2bを連結するヒンジ部材2h1・2h2’・2h3とで構成されている場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはない。例えば、筺体ユニットは、第3筺体と、第1筐体2a及び第2筐体2bの何れか一方と前記第3筺体とを連結する他のヒンジ部材とをさらに備えていてもよい。さらに、筺体ユニットは、N(Nは4以上の自然数である)個の筺体と、N-1個のヒンジ部材とを備えていてもよい。このように、複数の屈曲領域を備えているフォルダブルディスプレイについても上述した支持基板3・3aを適用することで、従来よりも衝撃耐性を向上しつつ、屈曲性に優れたフォルダブルディスプレイを実現できる。
【0090】
〔実施形態2〕
次に、
図12に基づき、本発明の実施形態2について説明する。本実施形態のフォルダブルディスプレイにおいては、支持基板の第1領域と接する第2領域の一部が複数の領域に分かれている点において、実施形態1で説明したフォルダブルディスプレイ1・1aとは異なる。その他については実施形態1において説明したとおりである。説明の便宜上、実施形態1の図面に示した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0091】
図12は、実施形態2のフォルダブルディスプレイに備えられた支持基板に設けられた開口パターンの一例を示す図である。
【0092】
図12に示すように、支持基板の第3の部分BRは、上述した第1状態で、段差部2d1・2d2及び凹部2d3と重畳する第1領域(例えば、
図12の領域B及び領域Cを含む)と、平坦部2Pと重畳する第2領域(例えば、
図12の領域A及び領域D2~D5を含む)とを含む。
【0093】
本実施形態においては、段差部2d1・2d2及び凹部2d3と重畳する第1領域のみでなく、段差部2d1・2d2の縁及び凹部2d3の縁と重畳する領域にも、支持基板の材料占有率が40%以上(支持基板の開口占有率が60%以下)の領域を形成している。したがって、平坦部2Pと重畳する第2領域の一部は、支持基板の材料占有率が40%以上(支持基板の開口占有率が60%以下)の領域となっており、平坦部2Pと重畳する第2領域の残りの一部は、支持基板の材料占有率が40%より小さい(支持基板の開口占有率が60%より大きい)領域となっている。このような構成とすることで、実施形態1で上述したように、さらに衝撃耐性の高いフォルダブルディスプレイを実現することができる。
【0094】
本実施形態においては、上述したように、段差部2d1・2d2及び凹部2d3と重畳する第1領域のみでなく、段差部2d1・2d2の縁及び凹部2d3の縁と重畳する領域にも、支持基板の材料占有率が40%以上(支持基板の開口占有率が60%以下)の領域を形成している場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、段差部2d1・2d2の縁と重畳する領域及び凹部2d3の縁と重畳する領域の何れか一方のみに支持基板の材料占有率が40%以上(支持基板の開口占有率が60%以下)の領域を形成してもよい。
【0095】
図12に示すように、支持基板の第1領域と接する第2領域の一部が複数の領域に分かれており、前記複数の領域のそれぞれにおいては、各領域の体積に対して前記各領域の開口群の開口の体積が占める割合が異なり、前記複数の領域のそれぞれにおいては、前記第1領域から遠くなる程、支持基板の材料占有率が40%以上(支持基板の開口占有率が60%以下)から支持基板の材料占有率が40%より小さい数値(支持基板の開口占有率が60%より大きい数値)の範囲において、前記複数の領域のそれぞれの支持基板の材料占有率が減少する(前記複数の領域のそれぞれの支持基板の開口の占有率が増加する)。このような構成によれば、支持基板に生じるうねりを改善できる。
【0096】
第1領域と接し、第1筐体2aに固定されている支持基板の一方の端部を含む領域の一部、すなわち、
図12に示す領域D1は、複数の領域に分かれており、前記複数の領域のそれぞれにおいては、各領域の体積に対して前記各領域の開口群の開口の体積が占める割合が異なり、前記複数の領域のそれぞれにおいては、前記第1領域から遠くなる程、前記複数の領域のそれぞれの支持基板の材料占有率が増加する(前記複数の領域のそれぞれの支持基板の開口の占有率が減少する)。このような構成によれば、支持基板に生じるうねりをさらに改善できる。
【0097】
また、第1領域と接し、第2筐体2bに固定されている支持基板の他方の端部を含む領域の一部、すなわち、
図12に示す領域D6は、複数の領域に分かれており、前記複数の領域のそれぞれにおいては、各領域の体積に対して前記各領域の開口群の開口の体積が占める割合が異なり、前記複数の領域のそれぞれにおいては、前記第1領域から遠くなる程、前記複数の領域のそれぞれの支持基板の材料占有率が増加する(前記複数の領域のそれぞれの支持基板の開口の占有率が減少する)。このような構成によれば、支持基板に生じるうねりをさらに改善できる。
【0098】
なお、本実施形態においては、前記複数の領域のそれぞれの支持基板の材料占有率が連続的に減少または増加する場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはなく、前記複数の領域のそれぞれの支持基板の材料占有率は段階的に減少または増加してもよい。前記複数の領域のそれぞれの支持基板の材料占有率が連続的に変化する場合には、Y方向Yにおける開口3dの幅WB(
図4の(a)参照)を連続的に増加または減少させることで実現できる。
【0099】
〔実施形態3〕
次に、
図13及び
図14に基づき、本発明の実施形態3について説明する。本実施形態のフォルダブルディスプレイ1bは、フォルダブルディスプレイ1bを屈曲させた状態(折り畳んだ状態)で可撓性表示パネル8bがU字形状である点において、実施形態1及び2で説明したフォルダブルディスプレイ1・1aとは異なる。その他については実施形態1及び2において説明したとおりである。説明の便宜上、実施形態1及び2の図面に示した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0100】
図13は、実施形態3のフォルダブルディスプレイ1bの非屈曲状態(開いた状態)を示す図であって、実施形態3のフォルダブルディスプレイ1bの概略的な構成を示す断面図である。
【0101】
図13に示すように、支持基板3bの第1の部分の一例である支持基板3bの一方の端部を含む領域NBR1が筐体ユニット2’’の第1筐体2aの一方の端部を含む領域に固定され、支持基板3bの第2の部分の一例である支持基板3bの他方の端部を含む領域NBR2が筐体ユニット2’’の第2筐体2bの一方の端部を含む領域に固定されて、可撓性表示パネル8bが筺体ユニット2’’に固定されている。筐体ユニット2’’の平坦部2Pは、第1筐体2aの前記一方の端部を含む領域以外の部分と、第2筐体2bの前記一方の端部を含む領域以外の部分とによって形成される。段差部2d6は、第1筐体2aと第2筐体2bとの間の隙間を含む。
【0102】
図13に示すように、支持基板3bの第3の部分BRは、上述した第1状態で、段差部2d6と重畳する第1領域(例えば、
図13において点線で示す領域Eを含む)と、平坦部2Pと重畳する第2領域(例えば、
図13において点線で示す領域Fを含む)とを含む。
【0103】
図13に示すように、支持基板3bの前記第1領域における前記第1領域の体積に対して前記第1領域の開口群の開口3dの体積が占める第1割合は、支持基板3bの前記第2領域における前記第2領域の体積に対して前記第2領域の開口群の開口3dの体積が占める第2割合よりも低い。
【0104】
フォルダブルディスプレイ1bによれば、満足できる程の衝撃耐性及び屈曲性を実現できる。
【0105】
図14は、実施形態3のフォルダブルディスプレイ1bを屈曲させた状態(折り畳んだ状態)を示す図である。
【0106】
図14に示すように、第1筐体2aの支持基板3b側の面と第2筐体2bの支持基板3b側の面とを対向するように配置し、第1筐体2aと第2筐体2bとの間の距離を近づけたフォルダブルディスプレイ1bを折り畳んだ状態、すなわち、可撓性表示パネル8bを屈曲状態にした第2状態においては、可撓性表示パネル8bはU字形状である。
【0107】
以上のように、実施形態3のフォルダブルディスプレイ1bにおいては、筺体ユニット2’’が第1筐体2aと、第2筐体2bと、第1筐体2aと第2筐体2bを連結するヒンジ部材2h4・2h5・2h6とで構成されている場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはない。例えば、筺体ユニットは、第3筺体と、第1筐体2a及び第2筐体2bの何れか一方と前記第3筺体とを連結する他のヒンジ部材とをさらに備えていてもよい。さらに、筺体ユニットは、N(Nは4以上の自然数である)個の筺体と、N-1個のヒンジ部材とを備えていてもよい。このように、複数の屈曲領域を備えているフォルダブルディスプレイについても上述した支持基板3bを適用することで、従来よりも衝撃耐性を向上しつつ、屈曲性に優れたフォルダブルディスプレイを実現できる。
【0108】
〔まとめ〕
〔態様1〕
ヒンジ部材と、前記ヒンジ部材を介して連結された第1筐体及び第2筐体とを含む筺体ユニットと、
可撓性表示層及び支持基板を含む可撓性表示パネルと、を備え、
前記支持基板は、前記可撓性表示層と前記筺体ユニットとの間に備えられ、
前記支持基板の第1の部分が前記第1筐体に固定され、前記支持基板の第2の部分が前記第2筐体に固定されて、前記可撓性表示パネルが前記筺体ユニットに固定されており、
前記第1筐体の前記支持基板側の面と前記第2筐体の前記支持基板側の面とを同一平面上に並ぶように配置し、前記可撓性表示パネルを非屈曲状態にした第1状態で、前記筺体ユニットは、前記同一平面に対して平坦である平坦部と前記同一平面に対して段差を有する一つ以上の段差部とを有し、
前記支持基板は、前記支持基板の前記第1の部分と前記第2の部分との間に第3の部分を有し、
前記支持基板の前記第3の部分は、前記第1状態で、前記段差部と重畳する第1領域と、前記平坦部と重畳する第2領域とを含み、
前記支持基板の前記第1領域における前記第1領域の体積に対して前記第1領域の開口群の開口の体積が占める第1割合は、前記支持基板の前記第2領域における前記第2領域の体積に対して前記第2領域の開口群の開口の体積が占める第2割合よりも低い、フォルダブルディスプレイ。
【0109】
〔態様2〕
前記開口群の前記開口のそれぞれは、前記支持基板の前記可撓性表示層側の面から前記支持基板の前記筺体ユニット側の面までを貫通する開口である、態様1に記載のフォルダブルディスプレイ。
【0110】
〔態様3〕
前記第1割合は、60%以下である、態様1または2に記載のフォルダブルディスプレイ。
【0111】
〔態様4〕
前記第2割合は、55%より大きく、75%以下である、態様1または2に記載のフォルダブルディスプレイ。
【0112】
〔態様5〕
前記第1領域と接する前記第2領域の一部は、複数の領域に分かれており、
前記複数の領域のそれぞれにおいては、各領域の体積に対して前記各領域の開口群の開口の体積が占める割合が異なり、
前記複数の領域のそれぞれにおいては、前記第1領域から遠くなる程、前記第1割合以上、前記第2割合以下の範囲において、前記複数の領域のそれぞれの前記割合が増加する、態様1から4の何れかに記載のフォルダブルディスプレイ。
【0113】
〔態様6〕
前記第1領域と接し、前記第1筐体に固定されている前記支持基板の前記第1の部分の一部は、複数の領域に分かれており、
前記複数の領域のそれぞれにおいては、各領域の体積に対して前記各領域の開口群の開口の体積が占める割合が異なり、
前記複数の領域のそれぞれにおいては、前記第1領域から遠くなる程、前記複数の領域のそれぞれの前記割合が減少する、態様1から5の何れかに記載のフォルダブルディスプレイ。
【0114】
〔態様7〕
前記第1領域と接し、前記第2筐体に固定されている前記支持基板の前記第2の部分の一部は、複数の領域に分かれており、
前記複数の領域のそれぞれにおいては、各領域の体積に対して前記各領域の開口群の開口の体積が占める割合が異なり、
前記複数の領域のそれぞれにおいては、前記第1領域から遠くなる程、前記複数の領域のそれぞれの前記割合が減少する、態様1から6の何れかに記載のフォルダブルディスプレイ。
【0115】
〔態様8〕
前記平坦部は、前記ヒンジ部材によって形成され、
前記段差部は、複数個であり、
前記複数個の段差部は、前記第1筐体と前記ヒンジ部材との間の隙間と、前記第2筐体と前記ヒンジ部材との間の隙間とを含む、態様1から7の何れかに記載のフォルダブルディスプレイ。
【0116】
〔態様9〕
前記複数個の段差部は、前記ヒンジ部材の一部に設けられた凹部をさらに含む、態様8に記載のフォルダブルディスプレイ。
【0117】
〔態様10〕
前記凹部には、接着剤が形成されており、
前記支持基板の前記第3の部分の一部は、前記接着剤によって前記ヒンジ部材に固定されている、態様9に記載のフォルダブルディスプレイ。
【0118】
〔態様11〕
前記凹部は、前記可撓性表示パネルの屈曲中心に沿って設けられている、態様9または10に記載のフォルダブルディスプレイ。
【0119】
〔態様12〕
前記複数個の段差部は、前記ヒンジ部材の一部に設けられた凸部をさらに含む、態様8から11の何れかに記載のフォルダブルディスプレイ。
【0120】
〔態様13〕
前記筺体ユニットは、前記第1筐体と、前記第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結する前記ヒンジ部材からなり、
前記第1筐体の前記支持基板側の面と前記第2筐体の前記支持基板側の面とを対向するように配置し、前記可撓性表示パネルを屈曲状態にした第2状態においては、前記可撓性表示パネルは滴形状である、態様8から12の何れかに記載のフォルダブルディスプレイ。
【0121】
〔態様14〕
前記平坦部は、前記第1筐体において前記支持基板の前記第1の部分が固定されている部分以外と、前記第2筐体において前記支持基板の前記第2の部分が固定されている部分以外とによって形成され、
前記段差部は、前記第1筐体と前記第2筐体との間の隙間を含む、態様1から7の何れかに記載のフォルダブルディスプレイ。
【0122】
〔態様15〕
前記筺体ユニットは、前記第1筐体と、前記第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結する前記ヒンジ部材からなり、
前記支持基板の一方の端部を含む領域が前記第1筐体の一方の端部を含む領域に固定され、前記支持基板の他方の端部を含む領域が前記第2筐体の一方の端部を含む領域に固定されて、前記可撓性表示パネルが前記筺体ユニットに固定されており、
前記平坦部は、前記第1筐体の前記一方の端部を含む領域以外の部分と、前記第2筐体の前記一方の端部を含む領域以外の部分とによって形成され、
前記段差部は、前記第1筐体と前記第2筐体との間の隙間を含み、
前記第1筐体の前記支持基板側の面と前記第2筐体の前記支持基板側の面とを対向するように配置し、前記可撓性表示パネルを屈曲状態にした第2状態においては、前記可撓性表示パネルはU字形状である、態様1から7の何れか1項に記載のフォルダブルディスプレイ。
【0123】
〔態様16〕
前記支持基板は、金属基板または、樹脂基板である、態様1から15の何れかに記載のフォルダブルディスプレイ。
【0124】
〔態様17〕
前記支持基板の厚さは、100μm以上、300μm以下である、態様1から16の何れかに記載のフォルダブルディスプレイ。
【0125】
〔態様18〕
前記可撓性表示パネルは、前記可撓性表示層と前記支持基板との間に、1層以上の樹脂層を含むクッション層をさらに備えている、態様1から17の何れかに記載のフォルダブルディスプレイ。
【0126】
〔態様19〕
前記クッション層は、第1粘着層と、第1フィルム層と、第2粘着層と、第2フィルム層と、第3粘着層とを、前記支持基板側からこの順に備えており、
前記第1フィルム層及び前記第2フィルム層は、それぞれ、樹脂層であり、
前記第1フィルム層の弾性率は、前記第2フィルム層の弾性率よりも高い、態様18に記載のフォルダブルディスプレイ。
【0127】
〔態様20〕
前記クッション層は、第1粘着層と、第1フィルム層と、第2粘着層と、第2フィルム層と、第3粘着層とを、前記支持基板側からこの順に備えており、
前記第1粘着層は、
25℃における剪断貯蔵弾性率が、5.0×104Pa以上、1.0×106Pa以下であり、
試験速度0.5mm/分、圧縮ひずみ40%の条件で測定した圧縮応力が、500KPa以上、1200KPa以下である、態様18または19に記載のフォルダブルディスプレイ。
【0128】
〔態様21〕
前記可撓性表示層は、量子ドットを含む発光層または有機発光層を含む、態様1から20の何れかに記載のフォルダブルディスプレイ。
【0129】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、フォルダブルディスプレイに利用することができる。
【符号の説明】
【0131】
1、1a、1b フォルダブルディスプレイ
2、2’、2’’ 筺体ユニット
2a 第1筐体
2b 第2筐体
2h1、2h2、2h3 ヒンジ部材
2h2’ ヒンジ部材
2h4、2h5、2h6 ヒンジ部材
2P 平坦部
2d1、2d2 段差部
2d3 凹部
2S1、2S2、2S3、2S4 ヒンジ部材間の隙間
3、3a、3b 支持基板
3d 開口
4 クッション層
5 可撓性表示層
6 機能層
7 可撓性カバー
8、8a、8b 可撓性表示パネル
9 第4粘着層
10 タッチパネル
11 第5粘着層
12 偏光板
13 第6粘着層
14 第1粘着層
15 第1フィルム層
16 第2粘着層
17 第2フィルム層
18 第3粘着層
19 筐体カバー
BR 支持基板の第3の部分
NBR1 支持基板の一方の端部を含む領域(第1の部分)
NBR2 支持基板の他方の端部を含む領域(第2の部分)
WA Y方向における開口と開口の間の支持基板材料の線幅
WB Y方向における開口の幅
WC X方向における開口と開口の間の支持基板材料の線幅
WD X方向における開口の幅
PIX、PIX’ 画素
RSP 赤色サブ画素
GSP 緑色サブ画素
BSP 青色サブ画素