(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】シール可能な剥離可能なポリエステルフィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/36 20060101AFI20250128BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20250128BHJP
B65B 7/28 20060101ALI20250128BHJP
B65B 51/22 20060101ALI20250128BHJP
B65D 53/00 20060101ALI20250128BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
B32B27/36
B32B27/00 H
B65B7/28 D
B65B51/22 200
B65D53/00 100
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2024515514
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 IB2022058514
(87)【国際公開番号】W WO2023037309
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2024-03-08
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519399763
【氏名又は名称】マイラー スペシャルティ フィルムス ユーエス リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100202603
【氏名又は名称】宮崎 智史
(72)【発明者】
【氏名】リウ シェンシェン
(72)【発明者】
【氏名】パンテリッチ ネボイサ
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156441(JP,A)
【文献】特表2020-510708(JP,A)
【文献】特表2008-526570(JP,A)
【文献】特表2020-519512(JP,A)
【文献】特開2009-233969(JP,A)
【文献】特開2018-188181(JP,A)
【文献】特表2004-530000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65B 7/00-7/28、51/00-53/06
B65D 65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル基材層と、前記ポリエステル基材層の一方の表面上に配置されたヒートシール可能なポリマー層とを含むポリマーフィルムであって、前記ヒートシール可能なポリマー層が、W
Aの量のガラス転移温度Tg(A)を有するコポリエステルAと、W
Bの量のガラス転移温度Tg(B)を有するコポリエステルBとを含み、
(i)W
A>W
B、
(ii)W
Aは、前記ヒートシール可能なポリマー層の総重量の少なくとも50重量%であり、
(iii)W
Bは、前記ヒートシール可能なポリマー層の総重量の少なくとも10重量%であり、
(iv)Tg(A)>Tg(B)、
(v)Tg(B)は、-35℃~-10℃の範囲であり、かつ
(vi)Tg(A)は、-15℃~5℃の範囲にあ
る、前記ポリマーフィルム。
【請求項2】
前記ポリエステル基材層が配向され
ている、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項3】
基材層ポリエステルがポリエチレンテレフタレート(PET)またはPET系コポリエステルである、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項4】
前記Tg(B)が、前記Tg(A)よりも少なくとも5℃
低い、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項5】
前記Tg(A)が-10℃~0℃の範囲である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項6】
前記Tg(B)が-30℃~-15℃の範囲である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項7】
前記コポリエステルA及び前記コポリエステルBが、独立して、
芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びグリコールから誘導されるコポリエステルから選択され
る、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項8】
前記芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸であり、前記脂肪族ジカルボン酸が一般式C
n
H
2n
(COOH)
2
(式中、nは2~8である)を有し、前記グリコールがエチレングリコールである、請求項7に記載のポリマーフィルム。
【請求項9】
前記コポリエステルA中の芳香族ジカルボン酸が前記コポリエステルB中の芳香族ジカルボン酸と同じであ
る、請求項7に記載のポリマーフィルム。
【請求項10】
前記コポリエステルA及び前記コポリエステルBが、独立して、酸分画が芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを含有するコポリエステルから選択され、前記脂肪族ジカルボン酸が前記コポリエステルの全酸分画の10~90モル%
を構成し、残部が前記芳香族ジカルボン酸で構成されている、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項11】
前記コポリエステルAの脂肪族ジカルボン酸含有量が、前記コポリエステルBの脂肪族ジカルボン酸含有量よりも低い、請求項7に記載のポリマーフィルム。
【請求項12】
前記コポリエステルAの脂肪族ジカルボン酸含有量が、前記コポリエステルの全酸分画の50モル%以下
である、請求項7に記載のポリマーフィルム。
【請求項13】
前記コポリエステルBの脂肪族ジカルボン酸含有量が、前記コポリエステルの全酸分画の40モル%超
である、請求項7に記載のポリマーフィルム。
【請求項14】
前記コポリエステルAが、ヒートシール可能な層中の主なコポリエステルであり、前記ヒートシール可能なポリマー層の総重量の50~90重量%
の量W
Aで存在する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項15】
前記コポリエステルBが、ヒートシール可能な層中のより少ないコポリエステルであり、前記ヒートシール可能なポリマー層の総重量の10~50重量%
の量W
Bで存在する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項16】
前記ヒートシール可能な層が、前記フィルムの取り扱い特性を改善するために、1つ以上のブロッキング防止剤(複数可)をさらに含
む、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項17】
前記コポリエステルAの軟化点が、ASTM E28-18にしたがって測定して120~160℃
である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項18】
前記コポリエステルBの軟化点が、ASTM E28-18にしたがって測定して60~120℃
である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項19】
前記コポリエステルAの破断点引張強度が、ASTM D638-14にしたがって測定して少なくとも1000psi
(6894.76kPa)である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項20】
前記コポリエステルBの破断点引張強度が、ASTM D638-14にしたがって測定して少なくとも200psi
(1378.95kPa)である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項21】
前記コポリエステルAの破断点伸びが、ASTM D638-14にしたがって測定して少なくとも250%
である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項22】
前記コポリエステルBの破断点伸びが、ASTM D638-14にしたがって測定して少なくとも500%
である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項23】
前記ヒートシール可能なポリマー層が、
コーティングされたヒートシール可能なポリマー層である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項24】
前記フィルムの総厚が、5~250μm
である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項25】
前記フィルムのヒートシール剥離強度が、本明細書に定義されるように測定して、1秒の滞留時間、40psi(275.79kPa)の圧力、及び121~204℃の範囲の温度
でAPET-CPET共押出基材のAPET層にヒートシールした場合に、500~1400g/インチ
(500~1400g/25.4mm)の範囲である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項26】
請求項1~2
5のいずれかに記載のフィルムを含み、さらに金属箔層を含み、層順序が、金属箔層/ポリエステル基材層/ヒートシール可能なポリマー層である、蓋フィルム。
【請求項27】
前記金属箔層がアルミニウム箔層であり、及び/または前記金属箔層の厚さが
25~
50μmの範囲にある、請求項2
6に記載の蓋フィルム。
【請求項28】
前記蓋フィルムの最長寸法が70mm以下であ
る、請求項2
6に記載の蓋フィルム。
【請求項29】
前記金属箔層のポリマー基材層から離れた側に配置された紙または発泡体層をさらに含み、前記層順序が、紙または発泡体層/金属箔層/ポリエステル基材層/ヒートシール可能な層であ
る、請求項2
6に記載の蓋フィルム。
【請求項30】
前記層順序がパルプボード層/ワックス層/金属箔層/ポリマー基材層/ヒートシール可能なポリマー層であるように、パルプボード層及びワックス層をさらに含む、請求項2
6に記載の蓋フィルム。
【請求項31】
前記パルプボード層の厚さが50~1000μmである、請求項
30に記載の蓋フィルム。
【請求項32】
キャップライナーである、請求項2
6に記載の蓋フィルム。
【請求項33】
開口部を含む容器を密封する方法であって、前記方法が、
(i)請求項1~2
5のいずれかに記載のフィルムを提供または調製するステップと;
(ii)(a)紙または発泡体層/金属箔層/ポリエステル基材層/ヒートシール可能なポリマー層または(b)パルプボード層/ワックス層/金属箔層/ポリマー基材層/ヒートシール可能なポリマー層の層順序を有する請求項3
2に記載のキャップライナーを形成するために、ステップ(i)からの前記フィルムを金属箔、及び紙もしくは発泡体層もしくはパルプボード層及びワックス層のいずれかと積層するステップと;
(iii)容器を提供するステップと;
(iv)前記容器にキャップを提供するステップと;
(v)ステップ(ii)からの前記キャップライナーを前記キャップの内側に挿入するステップと;
(vi)前記キャップライナーの前記ヒートシール可能な層が前記容器に接触するように、前記容器の前記開口部の上に前記キャップを配置するステップと;
(vii)前記キャップを電磁誘導加熱に供し、それによって、前記キャップライナーを前記容器に密封するステップとを含む、前記方法。
【請求項34】
開口部を含む容器を密封する方法であって、前記方法が、
(i)請求項1~2
5のいずれか1項に記載のフィルムを提供または調製するステップと;
(ii)ステップ(i)からの前記フィルムを金属箔と積層して、請求項2
6に記載の蓋フィルムを提供するステップと;
(iii)容器を提供するステップと;
(iv)前記蓋フィルムの前記ヒートシール可能な層が前記容器に接触するように、ステップ(ii)からの前記蓋フィルムを前記容器の前記開口部の上に配置するステップと;
(v)前記蓋フィルムを電磁誘導加熱に供し、それによって、前記蓋フィルムを前記容器に密封するステップとを含む、前記方法。
【請求項35】
開口部を含む容器を密封する方法であって、前記方法が、
(i)請求項1~2
5のいずれか1項に記載のフィルムを提供または調製するステップと;
(ii)容器を提供するステップと;
(iii)前記フィルムの前記ヒートシール可能な層が前記容器に接触するように、ステップ(i)の前記フィルムを前記容器の前記開口部の上に配置するステップと;
(iv)前記フィルムを伝導熱及び任意選択で圧力に曝し、それによって前記フィルムを前記容器に密封するステップとを含む、前記方法。
【請求項36】
開口部を有する容器を含み、さらに請求項1~2
5のいずれかに記載のフィルムを含む密封容器であって、前記フィルムが、前記開口部の縁部の周りに密封され
る、前記密封容器。
【請求項37】
開口部を有する容器を含み、さらに請求項2
6に記載の蓋フィルム
を含む密封容器であって、前記蓋フィルムが、前記開口部の縁部の周りに密封され
る、前記密封容器。
【請求項38】
前記密封容器が、密封された前記開口部の上に配置されるキャップをさらに含む、請求項36又は請求項37に記載の密封容器。
【請求項39】
前記密封容器が、誘導密封容器である、請求項36又は請求項37に記載の密封容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コポリエステル組成物でコーティングされたポリエステル基材を含むシール可能な剥離可能なフィルム、及び包装における、特にキャップライナーフィルムとしてのそのようなフィルムの使用に関する。本発明のフィルムは、改善されたシール及び剥離特性を示す。
【背景技術】
【0002】
ヒートシール可能な剥離可能なフィルムは、消費者による最終使用の前に容器内で物品を密封して新鮮に保つために、食料品及び飲料の包装に長く使用されてきた。典型的には、ヒートシール可能な剥離可能なフィルムは、多層フィルムであり、基材層は、必要な強度を提供し、1つ以上の追加の層(複数可)は、ヒートシール可能な機能を提供する。このようなシーラント複合フィルムの例としては、ポリエステル(典型的にはポリエチレンテレフタレート(PET))の基材層を含み、その上にヒートシール可能な層が押出コーティングされているものが挙げられる。そのようなシーラントフィルムは、包装内容物の漏れを回避し、それらの鮮度を保持するために、容器に対して強いヒートシール接着を形成すべきであるが、剥離中にフィルムが割れるほど強くない。シーラントフィルムの有利な特徴は、それらが「清浄な剥離」を示すべきであり、すなわち、ヒートシール層またはキャップライナーの残留物が剥離後に容器上に残らないようにすべきであることである。
【0003】
シーラントフィルム用のそのような包装用途の1つは、キャップライナーである。キャップライナーは、容器の内容物を保存し、安全にし、漏れを回避するために、ボトルのような容器の上部に密封される装置である。キャップライナーは、食品、薬物、飲料、アルカリ、酸、油、有機溶媒、可燃性材料、粉末、ペレット、及び多くの他の製品と共に使用するのに適した不正開封防止密封シールを提供する。それらは、汚染、酸化、及び湿気を避けなければならない製品に対して特に有効である。容器を密封する前に、キャップライナーは、通常、典型的にはキャップ製造業者によって、適切なキャップまたは閉鎖装置に挿入される。
【0004】
キャップライナーは、製品のアイデンティティ及び意図される使用に応じて、ワンピースまたはツーピースであり得る。ワンピースライナーは、典型的には、紙または発泡体層、接着剤層、金属箔層、及びヒートシール可能なフィルムの順で本質的に構成される、発泡体裏打ちまたは紙裏打ちされた積層体である。ツーピースライナーは、典型的には、パルプボード層、ワックス層、金属箔層、及びヒートシール可能なフィルムをこの順で含む多層積層体である。そのようなキャップライナー中のヒートシール可能なフィルムは、典型的には、ポリマー基材層とヒートシール可能なポリマー層とからなり、そのような多層フィルムは、ポリマー基材層が金属箔層に隣接するようにキャップライナー中に配置される。このようなキャップライナーは、典型的には、まずポリマー基材層とヒートシール可能なポリマー層とを含む多層フィルムを製造することによって、典型的には2つの層の共押出によって、またはヒートシール可能なポリマーを予備成形ポリマー基材上にコーティングすることによって製造される。次いで、その多層フィルムを金属箔及び他の層と積層して、キャップライナーを提供する。
【0005】
キャップライナーを含むキャップで容器を密封する場合、製品を容器内に充填し、キャップを所定の位置に置き、次いで、充填された容器のキャップを熱に曝露し、キャップ内部のキャップライナーのヒートシール可能なポリマー層が容器の縁に接着する。ワンピースキャップライナーでは、ライナー全体が、ヒートシールプロセス後にキャップから剥離される。ツーピースキャップライナーでは、加熱プロセスによりワックスが溶融し、次いでワックスはパルプボードに吸収され、箔層から剥離され、箔のライナーが取り外された後の再密封を改善するために、パルプボード層がキャップの内側に残るようにする。したがって、使用時には、容器の内部に貯蔵されている内容物にアクセスするために、キャップライナー(または、ツーピースライナーの場合には、容器に密封されたままのその多層部分)を容器から剥がす。ワンピースキャップライナーは、典型的には、使い捨て製品または乾燥製品に使用され、一方、ツーピースキャップライナーは、典型的には、容器内に液体がある場合、または容器を再密封する場合に使用される。ツーピースライナーは、パッケージが再密封可能なマルチサービング容器として機能することを可能にする。任意選択で、容器に密封され、キャップを取り外した後に見えるキャップライナーの上面は、消費者向けの情報が印刷されていてもよい。
【0006】
容器へのキャップライナーの封止に使用される加熱ステップは、典型的には、誘導加熱によって行われる。シーリングヘッド内の誘導コイルにより磁場が生じ、この磁場が金属箔層に熱を発生させ、この熱がヒートシール可能なポリマー層に伝達され、これによりヒートシール可能なポリマー層と容器との間にヒートシール接着が生じる。誘導加熱ステップは通常、約120~約205℃の範囲のシール温度を生成する。
【0007】
現在市販されている従来のキャップライナーに関する1つの問題は、ヒートシール接着の強度がシール温度と共に大きく変化し得ることである。特に、シール温度の上昇に伴って接着強度が増加する。これが問題となるのは、従来の誘導加熱システムにおける磁場が、キャップライナーにわたって不均一な温度プロファイルを生成し、それによって、容器の縁の周りの異なる領域において異なる接着強度を有するヒートシール接着が形成され、すなわち、単一のキャップライナー内のヒートシール接着が一貫していないからである。キャップライナーヒートシール接着中のこれらの欠陥は、「部分的シール」または「過熱シール」と呼ばれ、以下の欠点:(i)液体内容物の漏れ;(ii)内容物の貯蔵寿命の短縮;(iii)剥離後に容器の縁に残る残留物(すなわち、きれいな剥離ではない);及び(iv)容器または箔の焦げ/褐変のうちの1つ以上を引き起こし得る。
【0008】
従来のキャップライナーに関するさらなる問題は、「シールされたサンプルの老化」と呼ばれる、時間の経過と共にヒートシール接着の強度が著しく増加し得ることである。これにより、誘導加熱システムのシール条件を最適化するプロセスが複雑になり、下流側での製品の品質管理が困難になる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、前述の問題の1つ以上に対処することである。特に、本発明の目的は、シール温度の変動に伴うヒートシール接着強度の変動が最小限に抑えられる、及び/または経時的なヒートシール接着強度の増加が最小限に抑えられるキャップライナーを提供することである。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、ポリエステル基材層と、前記ポリエステル基材層の一方の表面上に配置されたヒートシール可能なポリマー層とを含むポリマーフィルムが提供され、ここで、ヒートシール可能なポリマー層が、WAの量のガラス転移温度Tg(A)を有するコポリエステルAと、WBの量のガラス転移温度Tg(B)を有するコポリエステルBとを含み、ここで、
(i)WA>WB、
(ii)WAは、ヒートシール可能なポリマー層の総重量の少なくとも50重量%であり、
(iii)WBは、ヒートシール可能なポリマー層の総重量の少なくとも10重量%であり、
(iv)Tg(A)>Tg(B)、
(v)Tg(B)は、-35℃~-10℃の範囲であり、かつ
(vi)Tg(A)は、-15℃~5℃の範囲にあることが好ましい。
【0011】
ポリエステル基材層は、自己支持性フィルムまたはシートであり、これは、支持基材の非存在下で独立して存在し得るフィルムまたはシートを意味する。
【0012】
ポリエステル基材層は、好ましくは配向フィルム、好ましくは一軸または二軸配向、好ましくは二軸配向フィルムである。
【0013】
基材層は、半結晶性として記載され得る。本明細書で使用される場合、「半結晶性」という用語は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、典型的には50%以下、もしくは45%以下、もしくは40%以下の結晶化度を示すフィルムを指す。
【0014】
基材層のポリエステルは、好適には、結晶化可能な熱可塑性ポリエステルである。合成線状ポリエステルが好ましい。好適なポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸もしくは2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロ-テレフタル酸、1,10-デカンジカルボン酸、及び一般式CnH2n(COOH)2(式中、nは2~8である)で表されるもの(コハク酸、グルタル酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、またはピメリン酸など)を含む脂肪族ジカルボン酸などの1つ以上のジカルボン酸から誘導されるもの;ならびに1つ以上のグリコール、特に脂肪族もしくは脂環式グリコール、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、及び1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)などの1つ以上のグリコールから誘導されるものが挙げられる。
【0015】
基材層ポリエステルのジカルボン酸成分は、好ましくは少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸(好ましくはテレフタル酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸から選択され、好ましくはテレフタル酸である)を含み、任意選択で、好ましくは上記のジカルボン酸から、好ましくは芳香族ジカルボン酸(特にイソフタル酸)及び上記の脂肪族ジカルボン酸から選択される第2の異なるジカルボン酸をさらに含む。したがって、ポリエステルは、好ましくは芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸または2,6-ナフタレンジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸から誘導される。好ましくは、基材層ポリエステルのジカルボン酸成分は、1つの芳香族ジカルボン酸のみを含有し、これは好ましくはテレフタル酸または2,6-ナフタレンジカルボン酸であり、好ましくはテレフタル酸である。
【0016】
基材層ポリエステルのグリコール成分は、少なくとも1つの脂肪族ジオールを含むことが好ましく、その少なくとも1つはエチレングリコールである。好ましくは、基層ポリエステルのグリコール成分は、脂肪族ジオール、好ましくはエチレングリコールである。
【0017】
好ましい基材層ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)から選択され、またはPET系もしくはPEN系コポリエステルである。ポリエチレンテレフタレート(PET)またはそのコポリエステルが特に好ましい。好ましくは、基材層ポリエステルはPETである。
【0018】
フィルム形成ポリマー樹脂は、基材層の主成分であり、基材層の総重量の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より典型的には基材層の総重量の少なくとも98重量%、より典型的には少なくとも99重量%を構成する。
【0019】
基材層が製造されるポリエステルの固有粘度は、好ましくは少なくとも約0.60、好ましくは少なくとも約0.61、好ましくは少なくとも0.62、好ましくは少なくとも0.63、好ましくは少なくとも0.64、好ましくは少なくとも0.65、好ましくは少なくとも約0.70、好ましくは少なくとも約0.75である。好ましくは、基材層ポリエステルの固有粘度は0.85以下、好ましくは0.83以下である。
【0020】
ポリエステルの形成は、一般に約295℃以下の温度で、縮合またはエステル交換によって公知の方法で都合よく行われる。好ましい実施形態では、固相重合は、当技術分野で周知の従来の技術を用いて、例えば、窒素流動床や真空流動床などの流動床を用いて、回転真空乾燥機を使用して、ポリエステルの固有粘度を所望の値まで増加させるために用いられ得る。
【0021】
基材層は、ポリエステルフィルムの製造に従来から使用されている添加剤をさらに含むことができる。したがって、粒状充填剤、ブロッキング防止剤(またはスリップ添加剤)、防曇剤、加水分解安定剤、酸化防止剤、UV安定剤、架橋剤、染料、潤滑剤、ラジカル捕捉剤、熱安定剤、界面活性剤、光沢向上剤、分解促進剤、粘度調整剤、及び分散安定剤などのような剤を適宜組み込むことができる。
【0022】
特に有用なのは、粒状充填剤である。当技術分野で周知のように、粒状充填剤は、製造中の取り扱い性と巻き取り性を改善し(すなわち、ブロッキング防止剤として機能する)、及び/または光学特性を調整することができる。粒状充填剤は、典型的には、粒状無機充填剤(例えば、アルミナ、チタニア、タルク及びシリカなどの金属酸化物または半金属酸化物(特に沈殿または珪藻土シリカ及びシリカゲル)、焼成陶土及びアルカリ金属塩、例えばカルシウム及びバリウムの炭酸塩及び硫酸塩)である。粒状無機充填剤は、好ましくは細分化され、その体積分布中央粒径(全粒子の体積の50%に相当する等価球径であり、粒径に対する体積%を関係付ける累積分布曲線で読み取る。しばしば「D(v,0.5)」値と呼ばれる)は、好ましくは0.01~5μm、より好ましくは0.05~1.5μm、特に好ましくは0.15~1.2μmの範囲内にある。好ましくは、無機充填剤粒子の少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%が、体積分布中央粒径±0.8μm、特に±0.5μmの範囲内にある。充填剤粒子の粒径は、レーザー光回折によって適切に測定される。
【0023】
ブロッキング防止剤のさらなるクラスは、当技術分野で慣用されているように、脂肪アミド(エルカミド、ステアリルエルカミド、またはベンハミドなど)及びワックス(例えば、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、またはカルナバワックス)である。
【0024】
上述の従来用いられている添加剤は、従来の方法でポリマーに導入することができる。例えば、フィルム形成ポリマーが由来するモノマー反応物と混合することによって、あるいは成分は、タンブルもしくはドライブレンドによって、または押出機内で配合することによってポリマーと混合し、続いて冷却し、通常は粉砕して顆粒もしくはチップにすることができる。マスターバッチング技術も用いることができる。
【0025】
ヒートシール可能な層のポリマー材料は、加熱時に十分な程度まで軟化することができ、その粘度は、それが結合している表面に接着するのに十分な湿潤を可能にするのに十分に低くなる。ヒートシール可能な層は、本明細書ではコポリエステルA及びコポリエステルBと呼ぶ、少なくとも2つ(好ましくは2つのみ)のコポリエステルを含むコポリエステルブレンドから形成される。コポリエステルブレンド中の各コポリエステルは、コポリエステルブレンド中の他のコポリエステル(複数可)とは異なり、すなわち、コポリエステルAはコポリエステルBとは異なることが理解されるであろう。
【0026】
ヒートシール可能な層のコポリエステルは、非晶質または半結晶性であってもよい。
【0027】
コポリエステルAのガラス転移温度Tg(A)は、コポリエステルBのガラス転移温度Tg(B)よりも高い。好ましくは、Tg(B)は、Tg(A)より少なくとも5℃、好ましくは10~15℃低い。
【0028】
好ましくは、Tg(A)は-15℃~5℃の範囲、好ましくは少なくとも-10℃、好ましくは0℃以下であり、好ましくは-10℃~0℃の範囲である。
【0029】
好ましくは、Tg(B)は-35℃~-10℃の範囲、好ましくは少なくとも-30℃、好ましくは-15℃以下であり、好ましくは-30℃~-15℃の範囲である。
【0030】
ヒートシール可能な層の前記コポリエステルの各々は、少なくとも3つの異なるモノマー繰り返し単位から誘導され、好ましくは3つだけの異なるモノマー繰り返し単位から誘導され、ここで、モノマー繰り返し単位は、ジカルボン酸(複数可)及び上記のグリコール(複数可)から選択される。好ましいコポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びグリコールから誘導される。芳香族ジカルボン酸は好ましくはテレフタル酸であり、脂肪族ジカルボン酸は好ましくは一般式CnH2n(COOH)2(式中、nは2~8である)(コハク酸、グルタル酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、またはピメリン酸など)を有し、グリコールは好ましくは脂肪族ジオール、好ましくはエチレングリコールである。
【0031】
前記コポリエステルの各々における芳香族ジカルボン酸は、好ましくは同じであり、すなわち、コポリエステルAにおける芳香族ジカルボン酸は、コポリエステルBにおける芳香族ジカルボン酸と同じである。同様に、前記コポリエステルの各々におけるグリコールは、好ましくは同じであり、すなわち、コポリエステルAにおけるグリコールは、コポリエステルBにおけるグリコールと同じである。好ましい実施形態において、前記コポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸の同一性の点で異なり、すなわち、コポリエステルA中の脂肪族ジカルボン酸は、コポリエステルB中の脂肪族ジカルボン酸とは異なる。
【0032】
前記コポリエステル中の芳香族ジカルボン酸(Ar-di酸)と脂肪族ジカルボン酸(Al-di酸)とのモル比(Ar-di酸:Al-di酸)は、好ましくは90:10~10:90、好ましくは80:20~20:80、好ましくは70:30~30:70、好ましくは60:40~30:70、好ましくは60:40~40:60の範囲である。したがって、脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは、コポリエステルの全酸分画の10~90モル%、好ましくは20~80モル%、好ましくは30~70モル%、好ましくは40~60モル%を構成し、残部は芳香族ジカルボン酸で構成される。
【0033】
好ましくは、コポリエステルAの脂肪族ジカルボン酸含有量は、コポリエステルBの脂肪族ジカルボン酸含有量よりも低い。
【0034】
したがって、好ましくは、コポリエステルAの脂肪族ジカルボン酸含有量は、コポリエステルの全酸分画の50モル%以下、好ましくは10~50モル%、好ましくは20~50モル%、好ましくは30~50モル%、例えば40~50モル%である。
【0035】
好ましくは、コポリエステルBの脂肪族ジカルボン酸含有量は、コポリエステルの全酸分画の40モル%超、好ましくは45モル%超、好ましくは50モル%超、好ましくは55モル%超、好ましくは50~90モル%、好ましくは50~80モル%、好ましくは50~70モル%、例えば50~60モル%である。
【0036】
前記コポリエステルは、非晶質または半結晶性であってもよい。
【0037】
コポリエステルAは、ヒートシール可能な層中の主なコポリエステルであり、好ましくは、ヒートシール可能なポリマー層の総重量の少なくとも50重量%、好ましくは50~90重量%、好ましくは50~89重量%の量WAで存在する。
【0038】
コポリエステルBは、ヒートシール可能な層中のより少ないコポリエステルであり、好ましくは、ヒートシール可能なポリマー層の総重量の少なくとも10重量%、好ましくは10~50重量%、好ましくは10~45重量%の量WBで存在する。
【0039】
理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、コポリエステルAの主な機能は、シールされる容器に対するフィルムのシール強度を制御することであり、コポリエステルBの主な機能は、容器からのフィルムの剥離性能を制御またはバランスさせることであると考えている。
【0040】
好ましくは、ヒートシール可能な層は、フィルムの取り扱い特性を改善するために、1つ以上のブロッキング防止剤(複数可)をさらに含む。好ましくは、ブロッキング防止剤の総量は、ヒートシール可能なポリマー層の総重量の約5重量%以下、好ましくは約1~約5重量%である。好ましくは、ヒートシール可能な層は、上述のように、複数のブロッキング防止剤、例えば、シリカのブロッキング防止剤及び有機ブロッキング防止剤を含む。
【0041】
好ましくは、ヒートシール可能なポリマー層は、ヒートシール可能なポリマー層の総重量に対して、50~89重量%のコポリエステルA、10~45重量%のコポリエステルB、及び1~5重量%のブロッキング防止剤(複数可)を含む。
【0042】
任意に、ヒートシール可能な層は、上述したように、ポリエステルフィルムにおいて従来の1つ以上の他の添加剤(複数可)をさらに含み、特に前記層は、1つ以上の粘着付与剤(複数可)及び/または1つ以上の防曇剤(複数可)をさらに含んでいてもよい。ヒートシール可能な層中に存在する任意の粘着付与剤(複数可)の総量は、ヒートシール可能なポリマー層の総重量に対して約30重量%以下であるべきである。ヒートシール可能な層中に存在する任意の防曇剤(複数可)の総量は、ヒートシール可能なポリマー層の総重量に対して約10重量%以下であるべきである。粘着付与剤は、ヒートシール可能な層組成物に対して増加した粘着性を提供する。適切な粘着付与剤は、当該技術分野において周知であり、種々の天然及び合成樹脂を含み、典型的には、3つのカテゴリー、すなわち、炭化水素樹脂(C5脂肪族樹脂、C9芳香族樹脂、及びDCPDシクロ脂肪族樹脂を含む);ロジンエステル;及びテルペン樹脂(特に、ピネンに基づくポリテルペン、ならびにフェノール及びスチレン変性ピネンに基づくテルペン)に分類される。粘着付与樹脂は、液体、半固体から固体、または固体であり得、一般に、明確な融点を有さず、結晶化する傾向を有さない有機化合物の混合物の形態の複雑な非晶質材料を含む。そのような粘着付与樹脂は、水に不溶性であり得、植物または動物起源であり得るか、または合成樹脂であり得る。したがって、適切な粘着付与剤としては、パラ-クマロン-インデン樹脂、テルペン(スチレン化テルペンを含む)、芳香族炭化水素樹脂、芳香族/脂肪族炭化水素樹脂、ならびにそれらの部分的または完全に水素化された誘導体、ロジン及びロジンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。粘着付与剤としては、ブタジエン-スチレン樹脂やポリブタジエン樹脂を用いることもできる。「防曇剤」は、フィルムの表面上での水滴の形成を防止または遅延させる。適切な防曇剤は、当該技術分野において周知であり、例えば、水の表面張力を低減するように設計された界面活性剤、例えば、ソルビタン、脂肪エステル、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレイン酸、及び脂肪アルコールから選択することができる。
【0043】
コポリエステルA、コポリエステルB、前記好ましいブロッキング防止剤(複数可)、ならびに粘着付与剤(複数可)及び防曇剤(複数可)などの任意選択の従来の添加剤(複数可)の量(重量%)は、合計100%であるべきであることが理解されるであろう。
【0044】
コポリエステルAの軟化点は、ASTM E28-18にしたがって測定して、好ましくは120~160℃、好ましくは130~150℃である。
【0045】
コポリエステルBの軟化点は、ASTM E28-18にしたがって測定して、好ましくは60~120℃、好ましくは80~110℃である。
【0046】
コポリエステルAの破断点引張強度は、ASTM D638-14にしたがって測定して、好ましくは少なくとも1000psi(6894.76kPa)、好ましくは1500~5000psi(10342.14~34473.8kPa)である。
【0047】
コポリエステルBの破断点引張強度は、ASTM D638-14にしたがって測定して、好ましくは少なくとも200psi(1378.95kPa)、好ましくは250~1500psi(1723.69~10342.14kPa)、好ましくは1500psi(10342.14kPa)未満である。
【0048】
コポリエステルAの破断点伸びは、ASTM D638-14にしたがって測定して、好ましくは少なくとも250%、好ましくは500~2000%である。
【0049】
コポリエステルBの破断点伸びは、ASTM D638-14にしたがって測定して、好ましくは少なくとも500%、好ましくは1000~2500%である。
【0050】
複合フィルムの形成は、当該技術分野において周知の従来の技術によって行うことができる。好都合なことに、基材の形成は、以下に記載する手順にしたがって押出成形によって行われる。
【0051】
一般的に言えば、このプロセスは、約275~約300℃、好ましくは約290~295℃の範囲内の温度で溶融ポリエステルの層を押し出すステップと、押出物を急冷するステップと、好ましくは急冷された押出物を少なくとも1つの方向に配向するステップとを含む。フィルムは、一軸配向であってもよいが、機械的及び物理的性質の満足な組み合わせを達成するために、フィルムの平面内で互いに垂直な2つの方向に延伸することによって二軸配向されることが好ましい。配向は、配向フィルムを製造するための当技術分野で公知の任意のプロセス、例えば、管状フィルムプロセスまたはフラットフィルムプロセスによって行うことができる。二軸配向は、機械的及び物理的性質の満足な組み合わせを達成するために、フィルムの平面内で互いに垂直な2つの方向に延伸することによって行われる。管状プロセスにおいて、同時の二軸配向は、熱可塑性ポリエステル管を押出成形することによって達成され得、これは、続いて、急冷され、再加熱され、次いで、内部気体圧力によって膨張されて横方向配向を誘発し、そして縦方向配向を誘発する速度で引き抜かれる。好適な同時二軸配向プロセスは、EP2108673A及びUS2009/0117362A1に開示されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
好ましいフラットフィルムプロセスでは、フィルム形成ポリエステルは、スロットダイを通して押し出し、冷却したキャスティングドラム上で急速に急冷して、ポリエステルを確実に非晶質状態に急冷する。次に、急冷した押出物をポリエステルのガラス転移温度より高い温度で少なくとも1つの方向に延伸することによって、配向を行う。連続的な配向は、まず一方向、通常は縦方向、すなわちフィルム延伸機を通る順方向に、次いで横方向に、平らな急冷した押出物を延伸することによって行うことができる。押出物の順方向延伸は、1組の回転ロールの上または2対のニップロールの間で都合よく行われ、横方向延伸は、次にステンター装置で行われる。
【0053】
延伸は、一般に、延伸フィルムの寸法が延伸の方向または各方向において元の寸法の2~5倍、より好ましくは2.5~4.5倍となるように行われる。より好ましくは、延伸は、配向フィルムの寸法が、順方向延伸においてその元の寸法の3.0~3.3倍、側方延伸においてその元の寸法の3.3~3.9倍となるように行われる。一方向のみの配向が必要とされる場合、より大きな延伸比(例えば、約8倍まで)が使用され得る。延伸は、従来、基材層ポリエステルのTgより高い温度、好ましくはTgより少なくとも約5℃高い、好ましくはTgより少なくとも約15℃高い温度、好ましくは約Tg+5℃~約Tg+75℃、好ましくは約Tg+5℃~約Tg+30℃の範囲で行われる。したがって、典型的には、延伸は、約5~約155℃、好ましくは約5~約110℃の範囲の温度で行われる。機械方向及び横方向に等しく延伸する必要はないが、バランスの取れた特性が望まれる場合はこれが好ましい。
【0054】
延伸されたフィルムは、ポリマーの所望の結晶化を誘導するために、基材層ポリエステルのガラス転移温度より高いがその融解温度より低い温度で、寸法支持下でヒートセットすることによって寸法的に安定化され得、好ましくは寸法的に安定化される。ヒートセット中に、「トーイン(toe-in)」として知られる手順によって、横方向(TD)に少量の寸法緩和を行うことができる。トーインは、2~4%程度の寸法緩和を含み得る。当技術分野で知られているように、プロセスまたは機械方向(MD)における寸法緩和も可能である。実際のヒートセット温度及び時間は、フィルムの組成及びその所望の最終熱収縮によって異なるが、耐引裂性などのフィルムの靭性特性を実質的に劣化させるように選択すべきではない。これらの制約の範囲内で、好ましいフィルムは、基材層ポリエステルの融解温度より約80℃低い温度(すなわち、TM-80℃)~TMより約10℃低い温度(すなわち、TM-10℃)、好ましくは約TM-70℃~約TM-20℃の温度でヒートセットされる。したがって、ヒートセット温度は、適切には約130~約245℃、好ましくは約150~約245℃、好ましくは少なくとも180℃、好ましくは190~230℃の範囲である。ヒートセット後、フィルムは、ポリマーの所望の結晶化度を誘導するために、典型的には急速に急冷される。
【0055】
フィルムは、インライン緩和段階の使用を通じてさらに安定化され得る。あるいは、緩和処理は、オフラインで行うことができる。この追加のステップにおいて、フィルムは、MD及びTDの張力が大幅に低減された状態で、ヒートセット段階の温度よりも低い温度で加熱される。フィルムが受ける張力は低い張力であり、典型的にはフィルム幅の5kg/m未満、好ましくは3.5kg/m未満、好ましくは2.5kg/m未満、典型的には1.0~2.0kg/mの範囲である。フィルム速度を制御する緩和プロセスの場合、フィルム速度の低下(したがって、歪み緩和)は、典型的には0~2.5%、好ましくは0.5~2.0%の範囲である。熱安定化ステップの間にフィルムの横方向の寸法は増加しない。熱安定化ステップに使用される温度は、最終フィルムの所望の特性の組み合わせに応じて変化し得、温度が高いほど、より良好な、すなわち、より低い残留収縮特性が得られる。135~250℃の温度が一般的に望ましく、150~230℃が好ましく、170~200℃がより好ましい。加熱の持続時間は、使用される温度に依存するが、典型的には10~40秒の範囲であり、20~30秒の持続時間が好ましい。この熱安定化プロセスは、平面構成及び垂直構成、ならびに別個のプロセスステップとしての「オフライン」またはフィルム製造プロセスの継続としての「インライン」のいずれかを含む、様々な方法によって実施することができる。このようにして処理されたフィルムは、そのようなヒートセット後緩和の非存在下で製造されたものよりも小さい熱収縮を示す。
【0056】
ポリエステル基材層及びヒートシール可能な層を含むフィルムの形成は、好ましくは、ヒートシール可能層組成物を基材層にコーティングすることによって行われる。コーティングは、スプレーコーティング、ロールコーティング、スロットコーティング、メニスカスコーティング、浸漬コーティング、ワイヤバーコーティング、エアナイフコーティング、カーテンコーティング、ドクターナイフコーティング、直接または逆グラビアコーティングなどを含む任意の適切なコーティング技術を用いて行うことができる。コーティングは、「オフライン」、すなわち、基材層の製造中に使用される任意の延伸及びその後のヒートセット後に行うこともできるし、「インライン」で行うこともでき、すなわち、使用される任意の延伸操作(複数可)の前、最中、またはその間にコーティングステップが行われることもできる。二軸延伸フィルムのインラインコーティング操作は、典型的には、二軸延伸の順方向延伸と側方延伸との間で行われる(「インタードロー(inter-draw)」コーティング)。本発明において、コーティングは、オフラインで、すなわち基材層の製造後に行われることが好ましい。
【0057】
好ましくは、ヒートシール可能なポリマー層は、ヒートシール可能な層の成分をコーティングビヒクル、典型的には有機溶媒またはその混合物中に含むコーティング組成物をコーティングすることによって基材に塗布され、これは当該技術分野において従来のものであり、一般に溶液コーティングと呼ばれる。当技術分野で従来の任意の適切なコーティングビヒクルまたは溶媒、例えば、THF、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、ジオキソラン、シクロヘキサノン、キシレン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトンまたは塩素化溶媒、典型的にはTHFまたはトルエンを使用することができる。コーティング組成物中に存在するコーティングビヒクルの量は、典型的には、コーティング組成物の40~80重量%の範囲であり、コーティング組成物の残部は、前記コポリエステル、前記好ましいブロッキング防止剤、ならびに場合により前記粘着付与剤、防曇剤、及び本明細書で上述した他の従来の添加剤(複数可)から構成される。コーティング後、コーティングされた基材を乾燥させてコーティングビヒクルを除去し、ポリエステル基材層上にヒートシール可能なポリマー層のフィルムを提供する。
【0058】
フィルムの総厚は、好ましくは約5~約250μm、好ましくは約8~約125μm、好ましくは約8~約50μm、好ましくは約12~約26μmである。
【0059】
ヒートシール可能な層の厚さは、ポリマーフィルムの総厚に対して、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、好ましくは少なくとも2.5%、より好ましくは少なくとも5%、好ましくは約10%~約20%である。典型的には、ヒートシール可能な層の厚さは、約25μm以下、好ましくは約10μm以下、より好ましくは約5μm以下、好ましくは約2μm以下、好ましくは少なくとも0.5μm、好ましくは約0.5~約5μmの範囲である。好ましくは、ヒートシールポリマー層のコート重量は、約1~約5g/m2である。
【0060】
フィルムのヒートシール剥離強度は、本明細書に定義されるように測定して、すなわち、121~204℃の範囲の温度で、1秒の滞留時間及び40psi(275.79kPa)の圧力でヒートシールされる場合、好ましくは500~1400g/インチ(500~1400g/25.4mm)、好ましくは500~1200g/インチ(500~1200g/25.4mm)の範囲である。好ましくは、フィルムのヒートシール剥離強度は、本明細書に記載のように、121~204℃の範囲の任意の温度で、1秒の滞留時間及び40psi(275.79kPa)の圧力でヒートシールされる場合、500~1400g/インチ(500~1400g/25.4mm)、好ましくは500~1200g/インチ(500~1200g/25.4mm)の範囲である。そのようなヒートシール剥離強度により、漏れの危険性を伴わずに十分に強力なシールが提供され、剥離中にキャップライナーが細断されるリスクが低くなる。
【0061】
本発明の第1の態様のフィルムは、シーラントフィルムとして特に使用され、蓋フィルム及びキャップライナーフィルムを含む多くの用途において容器をシールするのに有用である。容器は、例えば、食品、薬物、飲料、アルカリ、酸、油、有機溶媒などの化学物質、可燃性材料、粉末、ペレットなどの製品の容器として機能する。
【0062】
本発明のフィルム、蓋フィルム及びキャップライナーは、密封シールを生成するのに特に有用である。
【0063】
容器は、様々な材料、特にプラスチック(特にポリエステル)またはガラスから作ることができる。容器は、ポリエステル材料から作ることができ、特に有用なのは、APET/CPETトレイである(ここで、APETは非晶質PETを指し、CPETは結晶性(または半結晶性)PETを指す)。
【0064】
蓋フィルムは、任意選択で第1の態様のフィルム上に配置された金属箔層を含んでいてもよく、その結果、層順序が、金属箔層/ポリエステル基材層/ヒートシール可能なポリマー層となる。
【0065】
本発明の第1の態様のフィルムは、金属箔層を有さない蓋フィルムとしても機能し得、このような蓋フィルムは、APET/CPETトレイ用のシーラントフィルムとして特に有用である。
【0066】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様のフィルムを含み、さらに金属箔層を含む蓋フィルムが提供され、層順序が、金属箔層/ポリエステル基材層/ヒートシール可能なポリマー層である。
【0067】
金属箔層は、当技術分野で使用される任意の適切な金属箔層であってよく、好ましくはアルミニウム箔層である。金属箔層は、当技術分野で従来通りの任意の適切な厚みであってよく、好ましくは約25~約50μmの範囲である。
【0068】
好ましくは、前記蓋フィルムはキャップライナーである。
【0069】
前記キャップライナーは、金属箔層のポリマー基材層から離れた側に配置された紙または発泡体層をさらに含むワンピースキャップライナーであってもよく、その場合、層順序は、紙または発泡体層/金属箔層/ポリエステル基材層/ヒートシール可能な層である。接着剤層は、キャップライナーの技術分野において従来のように、金属箔層と紙または発泡体層との間に配置されることが好ましく、任意の適切な接着剤を使用することができる。
【0070】
前記キャップライナーは、パルプボード層、ワックス層、金属箔層、ポリマー基材層、及びヒートシール可能なポリマー層をこの順で含むツーピースキャップライナーであってもよい。
【0071】
紙、発泡体、パルプボード及びワックス層は、キャップライナーの分野で公知であり使用されている任意の従来の紙、発泡体、パルプボード及びワックス層であってもよい。紙、発泡体、またはパルプボード層の厚さは、典型的には50~1000μmである。
【0072】
本発明の第2の態様のキャップライナーは、好ましくは、第1の態様において上述したように、まずポリマー基材層とヒートシール可能なポリマー層とを含むフィルムを製造し、次いで、前記フィルムを金属箔層及び前記他の層と積層してキャップライナーを提供することによって製造される。
【0073】
キャップライナーの最長寸法は、好ましくは70mm以下、好ましくは約65mm以下である。好ましくは、キャップライナーは円形であり、好ましくは70mm以下、典型的には約65mm以下の直径を有する。
【0074】
第1の態様の優先事項及び開示は、第2の態様に等しく適用可能である。
【0075】
本発明の第3の態様によれば、開口部を含む容器を密封する方法が提供され、前記方法は、
(i)本発明の第1の態様によるフィルムを提供または調製するステップ;
(ii)本発明の第2の態様によるキャップライナーを形成するために、ステップ(i)からのフィルムを金属箔、及び紙もしくは発泡体層もしくはパルプボード層及びワックス層のいずれかと積層するステップ;
(iii)容器を提供するステップ;
(iv)容器にキャップを提供するステップ;
(v)ステップ(ii)からのキャップライナーをキャップの内側に挿入するステップ;
(vi)キャップライナーのヒートシール可能な層が容器に接触するように、容器の開口部の上にキャップを配置するステップ;及び
(vii)典型的には、キャップと容器とのアセンブリを誘導コイルの下に通すことによって、キャップを電磁誘導加熱に供し、それによって、キャップライナーを容器に密封するステップを含む。
【0076】
前記キャップは、例えば、当技術分野で知られ使用されているような、任意のキャップまたは他の閉鎖装置であり得る。前記キャップは通常、ポリマー材料、例えばポリプロピレンまたはポリエチレンから作られる。適切なキャップは、平坦な上部と、平坦な上部から実質的に垂直に延びる側壁部とを有することが理解されるであろう。側壁部の内面は、その中に配置されたねじ山を示し得る。キャップは、好ましくは、実質的に円筒形であり、前記平坦な上部によって一端が閉じられる。
【0077】
前記容器は、例えば当技術分野で公知であり使用されている任意の従来の容器であってよく、そのような容器は、典型的にはプラスチック(特にポリエステル)またはガラス容器である。前記容器の開口部は、典型的には、円形断面を示す。前記容器は、好ましくは、本体部分と円筒形ネック部分とを含み、好ましくは、ネック部分は、ねじ山を示す。
【0078】
前記キャップライナーは、紙または発泡体またはパルプボード層がキャップの平坦な上部の内面に接触するように、かつヒートシール可能な層が露出して、シールされる容器に接触するために利用可能であるように、キャップに挿入される。
【0079】
第3の態様の方法は、好適には、前記フィルムまたは前記キャップライナーを、キャップの内部に挿入でき、その平坦な上部と並置できるように適切なサイズに切断するステップをさらに含むことが理解されるであろう。
【0080】
容器の開口部の上にキャップを配置する前に、前記方法は、適切には、前記容器に製品、例えば、食品、薬物、飲料、アルカリ、酸、油、有機溶媒、可燃性材料、粉末、ペレットなどを充填するステップを含むことが理解されるであろう。
【0081】
さらに、誘導加熱ステップ中、キャップは、容器が誘導コイルに対してよりも、誘導コイルに対して比較的近接していることが理解されるであろう。
【0082】
第1及び第2の態様の優先事項及び開示は、第3の態様に等しく適用可能である。
【0083】
本発明の第4の態様によれば、開口部を含む容器を密封する方法が提供され、前記方法は、
(i)本発明の第1の態様によるフィルムを提供または調製するステップ;
(ii)ステップ(i)からのフィルムを金属箔と積層して、本発明の第2の態様による蓋フィルムを提供するステップ;
(iii)容器を提供するステップ;
(iv)前記蓋フィルムのヒートシール可能な層が容器に接触するように、ステップ(ii)からの前記蓋フィルムを容器の開口部の上に配置するステップ;及び
(v)典型的には、蓋フィルムと容器とのアセンブリを誘導コイルの下に通すことによって、蓋フィルムを電磁誘導加熱に供し、それによって、蓋フィルムを容器に密封するステップを含む。
【0084】
本発明の第4の態様では、蓋フィルムの上に重なる追加のキャップまたは閉鎖装置がない。蓋フィルムは、キャップなしで容器の上に配置され、容器に誘導封止される。したがって、第4の態様の方法は、当技術分野において「直接適用」とも呼ばれる、キャップレス誘導シーリング方法である。
【0085】
第4の態様の方法は適切に、容器の開口部を覆い、かつ前記開口部の縁部にシールできるように、蓋フィルムを適切なサイズに切断するステップをさらに含むことが理解されるであろう。
【0086】
第1、第2、及び第3の態様の優先事項及び開示は、第4の態様に等しく適用可能である。
【0087】
本発明の第5の態様によれば、開口部を含む容器を密封する方法が提供され、前記方法は、
(i)本発明の第1の態様によるフィルムを提供または調製するステップ;
(ii)容器を提供するステップ;
(iii)前記フィルムのヒートシール可能な層が容器に接触するように、ステップ(i)からの前記フィルムを容器の開口部の上に配置するステップ;及び
(iv)フィルムを熱及び任意選択で圧力に曝し、それによってフィルムを容器に密封するステップを含む。
【0088】
本発明の第5の態様では、フィルムの上に重なる追加のキャップまたは閉鎖装置がなく、フィルム内に金属箔層が存在しない。フィルムと容器との間のヒートシール接着は、従来の伝導加熱によって行われ、すなわち誘導加熱によって行われるのではない。
【0089】
第5の態様の方法は適切に、容器の開口部を覆い、かつ前記開口部の縁部にシールできるように、フィルムを適切なサイズに切断するステップをさらに含むことが理解されるであろう。
【0090】
第1の態様の優先事項及び開示は、第5の態様に等しく適用可能である。
【0091】
本発明の第6の態様によれば、開口部を有する容器を含み、さらに、前記開口部の縁部の周りに密封された本発明の第1の態様によるフィルムまたは本発明の第2の態様による蓋フィルム(好ましくはキャップライナー)を含む密封容器が提供され、好ましくは、前記密封容器は、前記密封開口部の上に配置されるキャップをさらに含む。
【0092】
好ましくは、第6の態様の密封容器は、本発明の第3、第4または第5の態様によって製造され得る誘導密封容器である。
【0093】
第1、第2、第3、第4、及び第5の態様の優先事項及び開示は、第6の態様に等しく適用可能である。
【0094】
特性測定
以下の試験方法を用いて、ポリマーフィルムを特徴付けることができる。
【0095】
(i)ポリエステルの固有粘度(単位はdL/g)は、ASTM D5225-98(2003)にしたがって、ViscotekTM Y-501C相対粘度計(例えば、Hitchcock,Hammons & Yau,American Laboratory(1994年8月)“The dual-capillary method for modern-day viscometry”を参照)で、25℃でo-クロロフェノール中のポリエステルの0.5重量%溶液を使用して測定し、ビルマイヤーのシングルポイント法を使用して固有粘度を計算する。
η=0.25ηred+0.75(ln ηrel)/c
式中、
η=固有粘度(dL/g)、
ηrel=相対粘度、
c=濃度(g/dL)、及び
ηred=低減粘度(dL/g)、これは、(ηrel-1)/cに等しい(ηsp/cとしても表され、ここで、ηspは比粘度である)。
【0096】
(ii)ガラス転移温度(Tg)及び結晶融点(Tm)は、PerkinElmer HyperDSC 8500を用いて、示差走査熱量測定(DSC)により測定した。特に明記しない限り、測定は、以下の標準試験方法にしたがって、ASTM E1356-98に記載の方法に基づいて行った。サンプルを乾燥窒素雰囲気下でスキャンの持続時間の間維持した。流速20ml min-1及びAlパンを使用した。サンプル(5mg)を20℃/分で20℃から350℃まで加熱した。
【0097】
ASTM E1356-98に記載されているように、Tgの値を、DSCスキャンで観察されたガラス転移の外挿開始温度(温度(℃)に対する熱流量(W/g))として決定した。Tmの値を、DSCスキャンから、転移のピーク吸熱として決定した。
【0098】
(iii)軟化点は、ASTM E28-18にしたがって、環球式軟化点として測定した。
【0099】
(iv)Type Iサンプル構成を用いて、ASTM D638-14にしたがって、コポリエステルの破断点引張強度及び破断点伸びを測定した。
【0100】
(v)結晶化度は、上記のDSC分析から、次の方程式にしたがって計算された結晶化度(Xc)として測定した。
Xc=ΔHm/ΔHm
°
式中、
ΔHm=融解吸熱の積分から計算された実験的な融解エンタルピー;
ΔHm
°=対応するポリ(アルキレン-カルボキシレート)ホモポリマーの100%結晶化度での理論上の融解エンタルピー。したがって、文献に定義されているように、PET(またはPET系)ポリエステルの場合、ΔHm
°は、100%結晶性PETポリマーの理論上の融解エンタルピー(140J/g)であり、PEN(またはPEN系)ポリエステルの場合、ΔHm
°は、100%結晶性PENポリマーの理論上の融解エンタルピー(103J/g)である(B.Wunderlich,Macromolecular Physics,Academic Press,New York,(1976))。
【0101】
(vi)フィルムのヒートシール剥離強度を、APET-CPET共押出基材のAPET層(APET:非晶質PET;CPET:結晶性PET;基材の総厚は330μm)に対するコーティングフィルムのシール強度を測定することによって評価した。コーティングされたフィルムを、Sentinelヒートシーラー(Model 12、Packaging Industries Group Inc.製)を用いて、3つの異なる温度でAPET-coex-CPET基材にヒートシールした。ヒートシーラー温度(上顎)は、121℃(T1)、177℃(T2)、204℃(T3)であり、滞留時間は1秒、圧力は40psi(275.79kPa)であった。上顎温度を変化させた場合、下顎は約38℃であった。密封したサンプルをマークし、25mm幅のストリップに切断し、ヒートシール強度をThwing-Albert剥離試験機で測定した。顎を50mm離して設定した。上顎は密封サンプルのフィルム片を保持し、250mm/分の速度で上昇し、下顎は密封サンプルのAPET-coex-APET片を保持し、静止していた。各コーティングされたサンプルについて6つの密封サンプル片を測定し、2つのフィルム片を分離するのに必要な平均力(g/インチ)(g/25.4mm)を記録した。細断された密封サンプルについては、最低力を記録した。細断を示したサンプルでは、剥離強度がフィルムのいくつかの領域における凝集強度よりも大きくなるように、剥離強度がシール領域にわたって変化することが理解されるであろう。
【0102】
(vii)本発明のフィルムを組み込んだキャップライナーの誘導シール剥離強度は、ボトルネックの壁厚が2.2mmであるネック径38mmの白色PETボトル(Packaging Options Direct,US)に対するキャップライナーのシール強度を測定することによって評価した。シール強度は、固定下顎がPETボトルを保持し、上顎がボトルからキャップライナーを剥離した点以外は、上記の試験方法にしたがってThwing-Albert剥離試験機を用いて試験した。キャップライナーを白色38/400キャップ(SKS Bottle & Pkg,Inc.)に挿入し、ボトルの上部に誘導シールした。誘導シールは、Ifoiler Induction Sealer(Pillar Tech.LLC)上で、20lbf*in(ポンドフォース-インチ)(2.26Nm)のキャップトルク、1/8インチ(3.175mm)のエアギャップ(誘導シーラヘッドからボトルキャップまで)、及び60フィート/分(18.288m/分)のコンベヤライン速度を使用して行った。異なる誘導シール設定でのフィルムの性能を調べるために、誘導シールシステムの出力を変化させた。
【0103】
以下の実施例の試験には、アルミニウム箔層(厚さ25.4μm)にフィルムを積層し、続いて紙の層(厚さ127μm)に積層することによるワンピースキャップライナーの製造が含まれた。
【0104】
本発明を以下の実施例でさらに説明する。これらの実施例は単に例示目的のためのものであり、上述のように本発明を限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。本発明の範囲を逸脱しない範囲で、細部の変更が行われ得る。
【実施例】
【0105】
厚さ12.5μmの二軸延伸PETフィルム上にコーティング組成物をコーティングし、次いで乾燥させることによって、一連のコーティングフィルムを調製した。コーティング組成物の乾燥コート重量は2.3g/m2であった。コーティング組成物は以下の通りであった。
【0106】
比較例1
コーティング溶液は、コポリエステル1(532g)及びコポリエステル2(133g)を55℃でTHF(2,800g)に溶解し、続いてスリップ/ブロッキング防止成分(脂肪アミド10.5g;シリカ24.5g)を添加することにより調製した。コポリエステル1は、ジカルボン酸分画が45モル%のアゼライン酸を含み、本明細書で定義される通りに測定して、2700psi(18615.85kPa)の引張強度及び1000%の伸びを示すPET系コポリエステルであった。コポリエステル2は、ジカルボン酸分画が33モル%のイソフタル酸を含み、本明細書で定義される通りに測定して、11000psi(75842.36kPa)の引張強度及び5%の伸びを示すPET系コポリエステルであった。
【0107】
実施例1
コーティング溶液は、コポリエステル1(476g)及びコポリエステル2(203g)を55℃でTHF(2,800g)に溶解し、続いてスリップ/ブロッキング防止成分(脂肪アミド10.5g;シリカ10.5g)を添加することにより調製した。コポリエステル1は、ジカルボン酸分画が45モル%のアゼライン酸を含み、本明細書で定義される通りに測定して、2700psi(18615.85kPa)の引張強度及び1000%の伸びを示すPET系コポリエステルであった。コポリエステル2は、ジカルボン酸分画が58モル%のセバシン酸を含み、本明細書で定義される通りに測定して、1000psi(6894.76kPa)の引張強度及び1600%の伸びを示すPET系コポリエステルであった。
【0108】
実施例2
コーティング溶液は、コポリエステル1(476g)及びコポリエステル2(203g)を55℃でTHF(2,800g)に溶解し、続いてスリップ/ブロッキング防止成分(脂肪アミド10.5g;シリカ10.5g)を添加することにより調製した。コポリエステル1は、ジカルボン酸分画が45モル%のアゼライン酸を含み、本明細書で定義される通りに測定して、2500psi(17236.9kPa)の引張強度及び1200%の伸びを示すPET系コポリエステルであった。コポリエステル2は、ジカルボン酸分画が58モル%のセバシン酸を含み、本明細書で定義される通りに測定して、1000psi(6894.76kPa)の引張強度及び1600%の伸びを示すPET系コポリエステルであった。
【0109】
キャップライナー
フィルムをアルミニウム箔層(厚さ25.4μm)に積層し、続いて発泡紙層(厚さ127μm)に積層することによって、各フィルムをワンピースキャップライナーにした。キャップライナーを白色38/400キャップ(SKS Bottle & Pkg,Inc.)に挿入し、ボトルネックの壁厚が2.2mmであるネック径38mmの白色PETボトル(Packaging Options Direct,US)に誘導シールした。誘導シールは、Ifoiler Induction Sealer(Pillar Tech.LLC)上で、20lbf*in(ポンドフォース-インチ)(2.26Nm)のキャップトルク、1/8インチ(3.175mm)のエアギャップ(誘導シーラヘッドからボトルキャップまで)、及び60フィート/分(18.288m/分)のコンベヤライン速度を使用して行った。
【0110】
表1は、上述の試験方法にしたがって特徴付けられる、コポリエステル、それらを含有するフィルム、及びそれから作製されたキャップライナーの特性を示す。
【0111】
表1のデータは、121~204℃の温度範囲にわたるヒートシール剥離強度の変動が、比較例1ではるかに大きく、実施例1及び2では有利に小さいことを示す。したがって、本発明の実施例は、温度の変化に伴うヒートシール強度の変動がはるかに小さいことを有利に示す。温度は、誘導システムにおけるよりもヒートシールシステムにおいてより正確に制御され得、ヒートシール試験は、従来の誘導シールシステムにおける様々な温度条件を再現するために、異なる温度で行われたことが理解されるであろう。
【0112】
表1のデータはまた、老化後のヒートシール剥離強度の変動が、比較例1ではるかに大きく、実施例1及び2では有利に小さいことも示す。したがって、本発明の実施例は、経時的なヒートシール強度の増加がはるかに小さいことを有利に示す。
【0113】
同様の傾向が、表1の誘導シール剥離強度データでも観察された。老化後の剥離強度の変動は、各フィルムについて試験したすべての出力設定で観察された比較例1と比較して、実施例2(実施例1は試験されなかった)では有利にはるかに小さい。出力設定は、ヒートシール接着のシール強度を最適化するように調整された。比較例1では、最適な設定は、誘導シールシステムの潜在的な出力の48%であったが、実施例2では、最適な設定は、比較例1に匹敵する老化後剥離強度を提供するために、誘導シールシステムの潜在的な出力の32%であった。本発明の実施例はまた、驚くべきことに、適切なヒートシール接着を作るために使用されるエネルギーの低減を可能にし、それによってプロセスの経済性及び持続性を改善することも理解されるであろう。
【表1】
本開示は以下の実施形態を含む。
<実施形態1>
ポリエステル基材層と、前記ポリエステル基材層の一方の表面上に配置されたヒートシール可能なポリマー層とを含むポリマーフィルムであって、前記ヒートシール可能なポリマー層が、W
Aの量のガラス転移温度Tg(A)を有するコポリエステルAと、W
Bの量のガラス転移温度Tg(B)を有するコポリエステルBとを含み、
(i)W
A>W
B、
(ii)W
Aは、前記ヒートシール可能なポリマー層の総重量の少なくとも50重量%であり、
(iii)W
Bは、前記ヒートシール可能なポリマー層の総重量の少なくとも10重量%であり、
(iv)Tg(A)>Tg(B)、
(v)Tg(B)は、-35℃~-10℃の範囲であり、かつ
(vi)Tg(A)は、-15℃~5℃の範囲にあることが好ましい、前記ポリマーフィルム。
<実施形態2>
前記ポリエステル基材層が配向され、好ましくは二軸配向されている、実施形態1に記載のポリマーフィルム。
<実施形態3>
基材層ポリエステルがポリエチレンテレフタレート(PET)またはPET系コポリエステルである、実施形態1または2に記載のポリマーフィルム。
<実施形態4>
前記Tg(B)が、前記Tg(A)よりも少なくとも5℃、好ましくは10~15℃低い、実施形態1~3のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態5>
前記Tg(A)が-10℃~0℃の範囲である、実施形態1~4のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態6>
前記Tg(B)が-30℃~-15℃の範囲である、実施形態1~5のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態7>
前記コポリエステルA及び前記コポリエステルBが、独立して、少なくとも3つの異なるモノマー繰り返し単位、好ましくは3つの異なるモノマー繰り返し単位から誘導される、好ましくは芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びグリコールから誘導されるコポリエステルから選択され、好ましくは前記芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸であり、好ましくは前記脂肪族ジカルボン酸が一般式C
nH
2n(COOH)
2(式中、nは2~8である)を有し、好ましくは前記グリコールがエチレングリコールである、実施形態1~6のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態8>
前記コポリエステルA中の芳香族ジカルボン酸が前記コポリエステルB中の芳香族ジカルボン酸と同じであり、好ましくは前記コポリエステルA中のグリコールが前記コポリエステルB中のグリコールと同じであり、好ましくは前記コポリエステルA中の脂肪族ジカルボン酸が前記コポリエステルB中の脂肪族ジカルボン酸と異なる、実施形態1~7のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態9>
前記コポリエステルA及び前記コポリエステルBが、独立して、酸分画が芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを含有するコポリエステルから選択され、前記脂肪族ジカルボン酸が前記コポリエステルの全酸分画の10~90モル%、好ましくは20~80モル%、好ましくは30~70モル%、好ましくは40~60モル%を構成し、残部が前記芳香族ジカルボン酸で構成されている、実施形態1~8のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態10>
前記コポリエステルAの脂肪族ジカルボン酸含有量が、前記コポリエステルBの脂肪族ジカルボン酸含有量よりも低い、実施形態1~9のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態11>
前記コポリエステルAの脂肪族ジカルボン酸含有量が、前記コポリエステルの全酸分画の50モル%以下、好ましくは10~50モル%、好ましくは20~50モル%、好ましくは30~50モル%、例えば40~50モル%である、実施形態1~10のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態12>
前記コポリエステルBの脂肪族ジカルボン酸含有量が、前記コポリエステルの全酸分画の40モル%超、好ましくは45モル%超、好ましくは50モル%超、好ましくは55モル%超、好ましくは50~90モル%、好ましくは50~80モル%、好ましくは50~70モル%、例えば50~60モル%である、実施形態1~11のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態13>
前記コポリエステルAが、ヒートシール可能な層中の主なコポリエステルであり、前記ヒートシール可能なポリマー層の総重量の50~90重量%、好ましくは50~89重量%の量W
Aで存在する、実施形態1~12のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態14>
前記コポリエステルBが、ヒートシール可能な層中のより少ないコポリエステルであり、前記ヒートシール可能なポリマー層の総重量の10~50重量%、好ましくは10~45重量%の量W
Bで存在する、実施形態1~13のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態15>
前記ヒートシール可能な層が、前記フィルムの取り扱い特性を改善するために、1つ以上のブロッキング防止剤(複数可)をさらに含み、好ましくは、前記ブロッキング防止剤(複数可)の総量が、前記ヒートシール可能なポリマー層の総重量の約5重量%以下、好ましくは約1~約5重量%であり、好ましくは、前記ブロッキング防止剤が、シリカ、脂肪アミド、及びワックス、ならびにそれらの組み合わせから選択される、実施形態1~14のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態16>
前記コポリエステルAの軟化点が、ASTM E28-18にしたがって測定して120~160℃、好ましくは130~150℃である、実施形態1~15のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態17>
前記コポリエステルBの軟化点が、ASTM E28-18にしたがって測定して60~120℃、好ましくは80~110℃である、実施形態1~16のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態18>
前記コポリエステルAの破断点引張強度が、ASTM D638-14にしたがって測定して少なくとも1000psi、好ましくは1500~5000psiである、実施形態1~17のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態19>
前記コポリエステルBの破断点引張強度が、ASTM D638-14にしたがって測定して少なくとも200psi、好ましくは250~1500psi、好ましくは1500未満である、実施形態1~18のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態20>
前記コポリエステルAの破断点伸びが、ASTM D638-14にしたがって測定して少なくとも250%、好ましくは500~2000%である、実施形態1~19のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態21>
前記コポリエステルBの破断点伸びが、ASTM D638-14にしたがって測定して少なくとも500%、好ましくは1000~2500%である、実施形態1~20のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態22>
前記ヒートシール可能なポリマー層が、好ましくは1~5g/m
2の乾燥コート重量を有する、コーティングされたヒートシール可能なポリマー層である、実施形態1~21のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態23>
前記フィルムの総厚が、5~250μm、好ましくは8~125μm、好ましくは8~50μm、好ましくは12~26μmである、実施形態1~22のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態24>
前記フィルムのヒートシール剥離強度が、本明細書に定義されるように測定して、1秒の滞留時間、40psi(275.79kPa)の圧力、及び121~204℃の範囲の温度(好ましくは任意の温度)でAPET-CPET共押出基材のAPET層にヒートシールした場合に、500~1400g/インチ、好ましくは500~1200g/インチの範囲である、実施形態1~23のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
<実施形態25>
実施形態1~24のいずれかに記載のフィルムを含み、さらに金属箔層を含み、層順序が、金属箔層/ポリエステル基材層/ヒートシール可能なポリマー層である、蓋フィルム。
<実施形態26>
前記金属箔層がアルミニウム箔層であり、及び/または前記金属箔層の厚さが約25~約50μmの範囲にある、実施形態25に記載の蓋フィルム。
<実施形態27>
前記蓋フィルムの最長寸法が70mm以下であり、好ましくは前記蓋フィルムが円形であり、好ましくは70mm以下の直径を有する、実施形態25または26に記載の蓋フィルム。
<実施形態28>
前記金属箔層のポリマー基材層から離れた側に配置された紙または発泡体層をさらに含み、前記層順序が、紙または発泡体層/金属箔層/ポリエステル基材層/ヒートシール可能な層であり、好ましくは、接着剤層が、前記金属箔層と前記紙または前記発泡体層との間に配置される、実施形態25~27のいずれかに記載の蓋フィルム。
<実施形態29>
前記層順序がパルプボード層/ワックス層/金属箔層/ポリマー基材層/ヒートシール可能なポリマー層であるように、パルプボード層及びワックス層をさらに含む、実施形態25~27のいずれかに記載の蓋フィルム。
<実施形態30>
前記紙、前記発泡体、または前記パルプボード層の厚さが50~1000μmである、実施形態28または29に記載の蓋フィルム。
<実施形態31>
キャップライナーである、実施形態25~30のいずれかに記載の蓋フィルム。
<実施形態32>
開口部を含む容器を密封する方法であって、前記方法が、
(i)実施形態1~24のいずれかに記載のフィルムを提供または調製するステップと;
(ii)実施形態25~31のいずれかに記載のキャップライナーを形成するために、ステップ(i)からの前記フィルムを金属箔、及び紙もしくは発泡体層もしくはパルプボード層及びワックス層のいずれかと積層するステップと;
(iii)容器を提供するステップと;
(iv)前記容器にキャップを提供するステップと;
(v)ステップ(ii)からの前記キャップライナーを前記キャップの内側に挿入するステップと;
(vi)前記キャップライナーの前記ヒートシール可能な層が前記容器に接触するように、前記容器の前記開口部の上に前記キャップを配置するステップと;
(vii)前記キャップを電磁誘導加熱に供し、それによって、前記キャップライナーを前記容器に密封するステップとを含む、前記方法。
<実施形態33>
開口部を含む容器を密封する方法であって、前記方法が、
(i)実施形態1~24のいずれか1項に記載のフィルムを提供または調製するステップと;
(ii)ステップ(i)からの前記フィルムを金属箔と積層して、実施形態25~27のいずれかに記載の蓋フィルムを提供するステップと;
(iii)容器を提供するステップと;
(iv)前記蓋フィルムの前記ヒートシール可能な層が前記容器に接触するように、ステップ(ii)からの前記蓋フィルムを前記容器の前記開口部の上に配置するステップと;
(v)前記蓋フィルムを電磁誘導加熱に供し、それによって、前記蓋フィルムを前記容器に密封するステップとを含む、前記方法。
<実施形態34>
開口部を含む容器を密封する方法であって、前記方法が、
(i)実施形態1~24のいずれか1項に記載のフィルムを提供または調製するステップと;
(ii)容器を提供するステップと;
(iii)前記フィルムの前記ヒートシール可能な層が前記容器に接触するように、ステップ(i)の前記フィルムを前記容器の前記開口部の上に配置するステップと;
(iv)前記フィルムを伝導熱及び任意選択で圧力に曝し、それによって前記フィルムを前記容器に密封するステップとを含む、前記方法。
<実施形態35>
開口部を有する容器を含み、さらに実施形態1~24のいずれかに記載のフィルムまたは実施形態25~31のいずれかに記載の蓋フィルム(好ましくはキャップライナー)を含む密封容器であって、前記フィルム、前記蓋フィルムまたは前記キャップライナーが、前記開口部の縁部の周りに密封され、好ましくは、前記密封容器が、密封された前記開口部の上に配置されるキャップをさらに含み、好ましくは、前記密封容器が、誘導密封容器である、前記密封容器。