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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20250129BHJP
   F25B 41/20 20210101ALI20250129BHJP
   F24F 11/36 20180101ALI20250129BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20250129BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
F25B49/02 520M
F25B41/20 Z
F24F11/36
F25B13/00 104
F25B47/02 570Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023170458
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2024-07-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】福山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】中西 喬也
(72)【発明者】
【氏名】安野 将史
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 史雄
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-013339(JP,A)
【文献】特開平03-291467(JP,A)
【文献】特開平05-346258(JP,A)
【文献】特開2002-071192(JP,A)
【文献】特開2008-138954(JP,A)
【文献】国際公開第2020/261360(WO,A1)
【文献】特開2021-173441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00ー49/04
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調運転を行う冷凍サイクル装置(100)であって、
第1熱源ユニット(2)と、
複数の利用ユニット(1、1a、1b、1c)と、
前記第1熱源ユニットと前記利用ユニットとの間に設けられて、前記第1熱源ユニットと前記利用ユニットとの間を流れる冷媒の流れを切換える流路切換ユニット(3)と、
前記第1熱源ユニット、前記利用ユニット、及び前記流路切換ユニットを制御する制御部(8)と
を備え、
前記制御部は、
前記空調運転中に、複数の前記利用ユニットのいずれかにおいて前記冷媒の漏洩が検知され、かつ、前記冷媒の漏洩が検知された前記利用ユニットを除いた前記利用ユニットの容量の合計が、前記第1熱源ユニットの容量の所定割合(R)以上である場合に、
前記冷媒の漏洩が検知された前記利用ユニットへの前記冷媒の流入を前記流路切換ユニットで遮断するとともに、前記冷媒の漏洩が検知された前記利用ユニットを除いた前記利用ユニットの運転を継続する、第1制御を行
前記空調運転は、
前記第1熱源ユニットが有する熱源熱交換器の外表面に発生する霜を除去するデフロスト運転を含み、
前記所定割合は、
前記デフロスト運転を実行するのに必要な熱量を前記第1熱源ユニットが確保できる、前記第1熱源ユニットの容量に対する前記利用ユニットの容量の割合である、
冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記空調運転中に、複数の前記利用ユニットのいずれかにおいて前記冷媒の漏洩が検知され、かつ、前記冷媒の漏洩が検知された前記利用ユニットを除いた前記利用ユニットの容量の合計が、前記第1熱源ユニットの容量の所定割合未満である場合に、
前記冷媒の漏洩が検知された前記利用ユニットへの前記冷媒の流入を前記流路切換ユニットで遮断するとともに、前記冷媒の漏洩が検知された前記利用ユニットを除いた前記利用ユニットの運転を停止する、第2制御を行う、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記デフロスト運転を行う予定が無いと判断すると、
前記空調運転中に、複数の前記利用ユニットのいずれかにおいて前記冷媒の漏洩が検知され、かつ、前記冷媒の漏洩が検知された前記利用ユニットを除いた前記利用ユニットの容量の合計が、前記第1熱源ユニットの容量の所定割合未満である場合であっても、
前記第1制御を行う、
請求項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記利用ユニットは、
利用熱交換器(11、11a、11b、11c)を有し、
前記制御部は、
前記第1制御において、前記冷媒の流入が遮断された前記利用ユニットの容量に基づいて、運転を継続する前記利用ユニットの前記利用熱交換器における目標蒸発温度(Te)又は目標凝縮温度(Tc)を調整する、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1制御において、前記冷媒の流入が遮断された前記利用ユニットの容量に基づいて、保護制御を行う、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
第2熱源ユニット(2a)をさらに備え、
前記流路切換ユニットは、
前記第2熱源ユニットと複数の前記利用ユニットとの間に設けられて、前記第2熱源ユニットと複数の前記利用ユニットとの間を流れる前記冷媒の流れをさらに切換え、
前記制御部は、
前記第1制御を行う際に、前記冷媒の流入が遮断された前記利用ユニットの容量を補う運転を前記第2熱源ユニットに行わせる、
請求項1からのいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(国際公開第2016/129027号)は、複数の熱源機と室内機との間にそれぞれ設置され、冷媒配管を流通する冷媒の流れを遮断する複数の遮断装置と、各熱源機からの冷媒の漏洩をそれぞれ検出する複数の漏洩検出部と、複数の熱源機、室内機及び遮断装置の動作を制御する制御装置とを有する空気調和装置を開示している。
【0003】
当該空気調和装置の制御装置は、漏洩検出部において冷媒の漏洩が検出されたとき、冷媒が漏洩している熱源機に接続された遮断装置を作動させる。複数の遮断装置において、作動状態にある遮断装置と非作動状態にある遮断装置とが存在する場合、制御装置は、非作動状態にある遮断装置に接続された熱源機による運転を行った際の室内機における制限熱交換能力を求め、制限熱交換能力を上限として熱源機又は室内機の運転を制御する。これにより、特許文献1の空気調和装置は、冷媒の漏洩を遮断した場合であっても空調対象空間の快適性の悪化を最小限に抑えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用ユニット(室内機)で冷媒の漏洩が検出され、冷媒が漏洩している利用ユニットへの冷媒の流入が遮断された場合に、他の利用ユニットの運転を継続させるかをどのように判断するのかについては、検討の余地があった。
【0005】
本開示は、利用ユニットにおける冷媒の漏洩が検出され、利用ユニットへの冷媒の流入を遮断した場合であっても空調対象空間の快適性の悪化を最小限に抑えることができる冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の冷凍サイクル装置は、
冷凍サイクル装置は、空調運転を行う。冷凍サイクル装置は、第1熱源ユニットと、複数の利用ユニットと、流路切換ユニットと、制御部とを備える。
【0007】
流路切換ユニットは、第1熱源ユニットと利用ユニットとの間に設けられて、第1熱源ユニットと利用ユニットとの間を流れる冷媒の流れを切換える。制御部は、第1熱源ユニット、利用ユニット、及び流路切換ユニットを制御する。
【0008】
制御部は、空調運転中に、複数の利用ユニットのいずれかにおいて冷媒の漏洩が検知され、かつ、冷媒の漏洩が検知された利用ユニットを除いた利用ユニットの容量の合計が、第1熱源ユニットの容量の所定割合以上である場合に、冷媒の漏洩が検知された利用ユニットへの冷媒の流入を流路切換ユニットで遮断するとともに、冷媒の漏洩が検知された利用ユニットを除いた利用ユニットの運転を継続する、第1制御を行う。
【0009】
本冷凍サイクル装置によれば、冷媒の漏洩が発生した利用ユニットへの冷媒の流入を遮断した場合であっても、残りの利用ユニットの運転を継続できる。このため、本冷凍サイクル装置は、利用ユニットにおける冷媒の漏洩が検出され、利用ユニットへの冷媒の流入を遮断した場合であっても空調対象空間の快適性の悪化を最小限に抑えることができる。
【0010】
第2観点の冷凍サイクル装置は、第1観点の冷凍サイクル装置であって、制御部が、空調運転中に、複数の利用ユニットのいずれかにおいて冷媒の漏洩が検知され、かつ、冷媒の漏洩が検知された利用ユニットを除いた利用ユニット1の容量の合計が、第1熱源ユニットの容量の上述の所定割合未満である場合に、冷媒の漏洩が検知された利用ユニットへの冷媒の流入を流路切換ユニットで遮断するとともに、冷媒の漏洩が検知された利用ユニットを含めた全ての利用ユニットの運転を停止する、第2制御を行う。
【0011】
これにより、本冷凍サイクル装置は、所望の能力での運転が維持できないことに起因する快適性の低下を抑制する。
【0012】
第3観点の冷凍サイクル装置は、第1観点又は第2観点の冷凍サイクル装置であって、空調運転が、デフロスト運転を含む。所定割合は、冷凍サイクル装置がデフロスト運転を実行するのに必要な熱量を第1熱源ユニットが確保できる、第1熱源ユニットの容量に対する利用ユニットの容量の割合である。
【0013】
本冷凍サイクル装置は、利用ユニットへの冷媒の流入を遮断した場合における空調対象空間の快適性の悪化を抑制しながら、デフロスト運転を実行することができる。
【0014】
第4観点の冷凍サイクル装置は、第3観点の冷凍サイクル装置であって、制御部が、デフロスト運転を行う予定が無いと判断すると、空調運転中に、複数の利用ユニットのいずれかにおいて冷媒の漏洩が検知され、かつ、冷媒の漏洩が検知された利用ユニットを除いた利用ユニットの容量の合計が、第1熱源ユニットの容量の上述の所定割合未満である場合であっても、第1制御を行う。
【0015】
本冷凍サイクル装置は残りの利用ユニットの運転を継続させる。これにより、本冷凍サイクル装置は、利用ユニットにおける冷媒の漏洩が検出され、利用ユニットへの冷媒の流入を遮断した場合であっても空調対象空間の快適性の悪化を最小限に抑えることができる。
【0016】
第5観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第4観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、利用ユニットが、利用熱交換器を有する。制御部は、第1制御において、冷媒の流入が遮断された利用ユニットの容量に基づいて、運転を継続する利用ユニットの利用熱交換器における目標蒸発温度Te又は目標凝縮温度Tcを調整する。
【0017】
本冷凍サイクル装置は、運転を継続する利用ユニットが、冷媒の流入が遮断され、運転を停止した利用ユニットの出力低下を補うため、空調対象空間の快適性の悪化を最小限に抑えることができる。
【0018】
第6観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第5観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、制御部が、第1制御において、冷媒の流入が遮断された利用ユニットの容量に基づいて、保護制御を行う。
【0019】
本冷凍サイクル装置は、第1制御が実行されることに起因する機器の破損を抑制できる。
【0020】
第7観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第6観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、第2熱源ユニットをさらに備える。流路切換ユニットは、第2熱源ユニットと複数の利用ユニットとの間に設けられて、第2熱源ユニットと複数の利用ユニットとの間を流れる冷媒の流れをさらに切換える。
【0021】
制御部は、第1制御を行う際に、冷媒の流入が遮断された利用ユニットの容量を補う運転を第2熱源ユニットに行わせる。
【0022】
冷凍サイクル装置は、第1制御において、第2熱源ユニットが冷媒の流入が遮断され運転を停止した利用ユニットの出力低下を補うため、空調対象空間の快適性の悪化を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】冷凍サイクル装置100の概略構成図である。
図2】制御部8のブロック図である。
図3】冷媒漏洩時制御の制御フローを示すフローチャートである。
図4】変形例Aに係る冷凍サイクル装置100が行う冷媒漏洩時制御の制御フローを示すフローチャートである。
図5】変形例Dに係る冷凍サイクル装置100の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態>
(1)全体構成
冷凍サイクル装置100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことにより、空調対象空間における空調運転(具体的には、全冷房運転、全暖房運転、デフロスト運転、及び冷暖同時運転)を行う。空調対象空間は、例えば、オフィスビル、商業施設、住居等の建物内の空間である。なお、冷凍サイクル装置は、冷媒サイクル装置の一例に過ぎず、本開示の熱交換器は、他の冷媒サイクル装置、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、給湯器、床暖房装置等に使用されてもよい。
【0025】
図1に示されるように、冷凍サイクル装置100は、主として、3つの利用ユニット1と、1つの熱源ユニット2と、3つの流路切換ユニット3と、1つの液冷媒連絡管5と、1つの低圧ガス冷媒連絡管6と、1つの高圧ガス冷媒連絡管7と、1つの制御部8とを有する。なお、利用ユニット1及び流路切換ユニット3の数は、3つに限定されず、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0026】
液冷媒連絡管5、低圧ガス冷媒連絡管6、及び高圧ガス冷媒連絡管7は、利用ユニット1と、熱源ユニット2とを接続する冷媒連絡管である。冷凍サイクル装置100では、利用ユニット1と熱源ユニット2とが、液冷媒連絡管5、低圧ガス冷媒連絡管6、及び高圧ガス冷媒連絡管7を介して接続されることで冷媒回路9が構成される。
【0027】
冷凍サイクル装置100は、空調運転に加えて、複数の利用ユニット1のいずれかで冷媒の漏洩が検知された際に、空調対象空間の快適性の悪化を最小限に抑えながら冷媒のさらなる漏洩を抑制することを目的とした、冷媒漏洩時制御も行う。
【0028】
(2)詳細構成
(2-1)利用ユニット1
利用ユニット1は、それぞれ、主として、利用熱交換器11、利用ファン12、利用膨張機構13、液冷媒管14、ガス冷媒管15、及び冷媒センサ16を有する。
【0029】
以下では、3つの利用ユニット1及び各利用ユニット1が有する機器を区別する必要がある場合は、図1に示すように、利用ユニット1及び各利用ユニット1が有する機器の参照符号の最後に添え字a,b,cのいずれかを記載する。
【0030】
(2-1-1)利用熱交換器11
利用熱交換器11は、冷媒と利用ファン12の生成する気流により運ばれる空気との間で熱交換を行わせる。利用熱交換器11は、液側が液冷媒管14を介して液冷媒連絡管5に接続され、ガス側がガス冷媒管15を介して流路切換ユニット3に接続されている。
【0031】
(2-1-2)利用ファン12
利用ファン12は、利用熱交換器11へ空気を供給する。
【0032】
(2-1-3)利用膨張機構13
利用膨張機構13は、液冷媒管14を流れる冷媒の圧力や流量の調節を行う。利用膨張機構13は、液冷媒管14に設けられる。
【0033】
(2-1-4)冷媒センサ16
冷媒センサ16は、利用ユニット1の設置場所に設けられ、冷媒を検知する。言い換えると、冷媒センサ16は、空調対象空間における冷媒の漏洩を検知する。
【0034】
(2-2)熱源ユニット2
熱源ユニット2は、主として、圧縮機21、第1三方弁22、第2三方弁23、熱源熱交換器24、熱源膨張機構25、及び熱源ファン26を有している。
【0035】
(2-2-1)圧縮機21
圧縮機21は、吸入部21aを介して冷媒回路9から冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入し、図示しない圧縮機構で冷媒を圧縮して吐出部21bを介して冷媒回路9に吐出する。
【0036】
圧縮機21の吸入部21aは、低圧ガス冷媒連絡管6に接続され、吐出部21bは、第1三方弁22の第1ポート22a及び第2三方弁23の第1ポート23a(いずれも後述)に接続されている。
【0037】
(2-2-2)第1三方弁22及び第2三方弁23
第1三方弁22は、第1ポート22a、第2ポート22b、及び第3ポート22cの3つのポートを有する。第1三方弁22の第1ポート22aは、圧縮機21の吐出部21bに接続され、第2ポート22bは、熱源熱交換器24のガス側に接続され、第3ポート22cは、圧縮機21の吸入部21aに接続されている。
【0038】
第2三方弁23は、第1ポート23a、第2ポート23b、及び第3ポート23cの3つのポートを有する。第2三方弁23の第1ポート23aは、圧縮機21の吐出部21bに接続され、第2ポート23bは、高圧ガス冷媒連絡管7に接続され、第3ポート23cは、低圧ガス冷媒連絡管6及び圧縮機21の吸入部21aに接続されている。
【0039】
第1三方弁22及び第2三方弁23は、第1ポート22a、23aと第2ポート22b、23bとが連通すると同時に第3ポート22c、23cが閉鎖された状態と、第2ポート22b、23bと第3ポート22c、23cとが連通すると同時に第1ポート22a、23aが閉鎖された状態との間で変化可能である。
【0040】
(2-2-3)熱源熱交換器24
熱源熱交換器24は、内部を流れる冷媒と熱源(例えば、熱源ユニット2の設置場所の空気)との間で熱交換を行わせる。
【0041】
熱源熱交換器24は、ガス側が第1三方弁22の第2ポート22bに接続され、液側が熱源膨張機構25を介して液冷媒連絡管5に接続されている。
【0042】
(2-2-4)熱源膨張機構25
熱源膨張機構25は、内部を流れる冷媒の圧力や流量の調節を行う。熱源膨張機構25は、熱源熱交換器24の液側と液冷媒連絡管5とを接続する配管に設けられる。
【0043】
(2-2-5)熱源ファン26
熱源ファン26は、熱源である外部の空気を熱源熱交換器24に供給する。
【0044】
(2-3)流路切換ユニット3
流路切換ユニット3は、熱源ユニット2と各利用ユニット1との間に設けられ、第1熱源ユニットと利用ユニット1との間を流れる冷媒の流れを切換える。流路切換ユニット3は、第1分岐管31と、第2分岐管32と、第1遮断弁33、第2遮断弁34とを有する。
【0045】
以下では、3つの流路切換ユニット3を区別する必要がある場合は、図1に示されるように、対応する利用ユニット1に付された添え字a,b,cのいずれかを流路切換ユニット3及び流路切換ユニット3が有する機器の最後に記載する。
【0046】
(2-3-1)第1分岐管31及び第2分岐管32
第1分岐管31は、利用ユニット1のガス冷媒管15と低圧ガス冷媒連絡管6とを接続する配管である。第2分岐管32は、利用ユニット1のガス冷媒管15と高圧ガス冷媒連絡管7とを接続する配管である。
【0047】
(2-3-2)第1遮断弁33及び第2遮断弁34
第1遮断弁33は、第1分岐管31に設けられる開閉自在な電磁弁である。第2遮断弁34は、第2分岐管32に設けられる開閉自在な電磁弁である。
【0048】
第1遮断弁33が閉じることで、第1分岐管31を介した冷媒の流通が遮断される。また、第2遮断弁34が閉じることで、第2分岐管32を介した冷媒の流通が遮断される。
【0049】
(2-4)制御部8
制御部8は、冷凍サイクル装置100を構成する各種機器の動作を制御する。
【0050】
図2に示されるように、制御部8は、利用ファン12、利用膨張機構13、冷媒センサ16、圧縮機21、第1三方弁22、第2三方弁23、熱源膨張機構25、熱源ファン26、第1遮断弁33、及び第2遮断弁34に信号を送受信可能なように電気的に接続されている。制御部8は、利用ユニット1及び熱源ユニット2に設けられた図示しない各種センサと電気的に接続されていてもよい。制御部8は、冷凍サイクル装置100のユーザが操作する図示しないリモコンと通信可能であってもよい。
【0051】
制御部8は、コンピュータにより実現される。制御部8は、制御演算装置と記憶装置とを備える(いずれも図示省略)。制御演算装置は、CPU又はGPUといったプロセッサである。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の画像処理や演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりする。
【0052】
記憶装置は、各利用ユニット1の定格容量、第1熱源ユニット2の定格容量、所定割合R(後述)が記録されている。
【0053】
(3)冷凍サイクル装置100の動作
(3-1)空調運転
空調運転において、冷凍サイクル装置100の制御部8は、冷凍サイクル装置100を構成する各種機器を次に説明するように制御する。詳細な説明は省略するが、制御部8は、いずれの運転の間も、利用ファン12及び熱源ファン26の回転数を適宜制御する。
【0054】
(3-1-1)全冷房運転
全部冷房運転は、全ての利用ユニット1が冷房運転を行う運転である。
【0055】
全部冷房運転では、第1三方弁22は、第1ポート22aと第2ポート22bとが連通する。また、各流路切換ユニット3では、第1遮断弁33が開状態となり、第2遮断弁34が閉状態となる。
【0056】
なお、全ての第2遮断弁34が閉状態となることで、冷媒は、第2三方弁23をほとんど通過しない。このため、第2三方弁23の状態は、限定されない。
【0057】
圧縮機21が起動すると、圧縮機21から吐出した冷媒が、第1三方弁22を通過した後、熱源熱交換器24を流れる。熱源熱交換器24では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。熱源熱交換器24で凝縮した冷媒は、全開状態に設定された熱源膨張機構25を通過し、液冷媒連絡管5を流れて、各利用ユニット1へ分流する。
【0058】
全ての利用ユニット1では、冷媒が利用膨張機構13を通過する際に、低圧まで減圧されて、利用熱交換器11を流れる。利用熱交換器11では、冷媒が空調対象空間の空気から吸熱して蒸発する。その結果、利用ユニット1に対応する空調対象空間の冷房が行われる。利用膨張機構13は、図示しない温度センサ等で求められた冷媒の過熱度に応じて開度が調節される。
【0059】
各利用ユニット1を流出した冷媒は、各流路切換ユニット3の第1分岐管31をそれぞれ流れ、低圧ガス冷媒連絡管6で合流する。低圧ガス冷媒連絡管6で合流した冷媒は、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0060】
(3-1-2)全暖房運転
全部暖房運転は、全ての利用ユニット1が暖房運転を行う運転である。
【0061】
全部暖房運転では、第1三方弁22は、第2ポート22bと第3ポート22cとが連通し、第2三方弁23は、第1ポート23aと第2ポート23bとが連通する。また、各流路切換ユニット3は、第1遮断弁33が閉状態となり、第2遮断弁34が開状態となる。
【0062】
圧縮機21が起動すると、圧縮機21から吐出した冷媒が、第2三方弁23を通過した後、高圧ガス冷媒連絡管7を流れ、各流路切換ユニット3の第2分岐管32にそれぞれ分流する。各流路切換ユニット3を通過した冷媒は、対応する各利用ユニット1に流れる。
【0063】
全ての利用ユニット1では、利用熱交換器11において、冷媒が空調対象空間の空気へ放熱して凝縮する。その結果、利用ユニット1に対応する空調対象空間の暖房が行われる。利用熱交換器11で凝縮した冷媒は、利用膨張機構13を通過する。利用膨張機構13は、図示しない温度センサ等で求められた冷媒の過冷却度に応じて開度が調節される。
【0064】
各利用ユニット1を流出した冷媒は、液冷媒連絡管5で合流する。液冷媒連絡管5で合流した冷媒は、熱源膨張機構25を通過する際に、低圧まで減圧されて、熱源熱交換器24を流れる。熱源熱交換器24では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。熱源熱交換器24で蒸発した冷媒は、第1三方弁22を通過した後、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0065】
(3-1-3)デフロスト運転
デフロスト運転は、冬季等の外気温が低い環境において全暖房運転を行った場合に熱源熱交換器24の外表面に発生する霜を除去することを目的とする。デフロスト運転において制御部8は、熱源ファン26を停止させながら、全冷房運転と同様の冷凍サイクルを行う。この結果、熱源熱交換器24で凝縮した冷媒からの放熱により、熱源熱交換器24の外表面に発生した霜は除去される。デフロスト運転における冷凍サイクル装置100を構成する各種機器の動作は、熱源ファン26の動作を除いて全冷房運転と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0066】
(3-2)冷暖同時運転
冷暖同時運転は、一部の利用ユニット1が空調対象空間の暖房運転を行う一方、残りの利用ユニット1が空調対象空間の冷房運転を行う運転である。冷暖同時運転は、第1冷暖同時運転と、第2冷暖同時運転とを含む。
【0067】
(3-2-1)第1冷暖同時運転
第1冷暖同時運転は、暖房運転を行う利用ユニット1の数が冷房運転を行う利用ユニット1の数よりも多い暖房主体運転である。以下では、利用ユニット1a,1bが暖房運転を行い、利用ユニット1cが冷房運転を行う場合を例に説明する。
【0068】
第1冷暖同時運転では、第1三方弁22は、第1ポート22aと第2ポート22bとが連通し、第2三方弁23は、第1ポート23aと第2ポート23bとが連通する。また、利用ユニット1a,1bに対応する流路切換ユニット3a、3bでは、第1遮断弁33が閉状態となり、第2遮断弁34が開状態となる。さらに、利用ユニット1cに対応する流路切換ユニット3cでは、第1遮断弁33が開状態となり、第2遮断弁34が閉状態となる。
【0069】
圧縮機21が起動すると、圧縮機21から吐出した冷媒が、第1三方弁22と第2三方弁23とに分流する。第1三方弁22を通過した冷媒は、熱源熱交換器24で凝縮した後、所定開度に調節された熱源膨張機構25を通過して液冷媒連絡管5を流れる。一方、第2三方弁23を通過した冷媒は、高圧ガス冷媒連絡管7を流れ、利用ユニット1a、1bに対応する流路切換ユニット3a、3bの第2分岐管32に流れる。第2分岐管32を流出した冷媒は、対応する利用ユニット1に流れる。
【0070】
利用ユニット1a、bでは、利用熱交換器11において、冷媒が空調対象空間の空気へ放熱して凝縮する。その結果、利用ユニット1a、1bに対応する空調対象空間の暖房が行われる。利用熱交換器11で凝縮した冷媒は、利用膨張機構13を通過する。ここで、利用膨張機構13は、図示しない温度センサ等で求められた冷媒の過冷却度に応じて開度が調節される。利用ユニット1a,bを流出した冷媒は、液冷媒連絡管5で合流する。
【0071】
液冷媒連絡管5で合流した冷媒は、利用ユニット1cに流入する。利用ユニット1cに流入した冷媒は、利用膨張機構13を通過する際に低圧まで減圧された後、利用熱交換器11を流れる。利用熱交換器11では、冷媒が空調対象空間の空気から吸熱して蒸発する。その結果、利用ユニット1cに対応する空調対象空間の冷房が行われる。利用ユニット1cで空調対象空間の冷房に利用された冷媒は、利用ユニット1cに対応する流路切換ユニット3cの第1分岐管31を通過した後、低圧ガス冷媒連絡管6を流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0072】
(3-2-1)第2冷暖同時運転
第2冷暖同時運転は、暖房運転を行う利用ユニット1の数が冷房運転を行う利用ユニット1の数よりも少ない冷房主体運転である。以下では、利用ユニット1aが暖房運転を行い、利用ユニット1b、1cが冷房運転を行う場合を例に説明する。
【0073】
第2冷暖同時運転では、第1三方弁22は、第1ポート22aと第2ポート22bとが連通し、第2三方弁23は、第1ポート23aと第2ポート23bとが連通する。また、暖房運転を行う利用ユニット1aに対応する流路切換ユニット3aでは、第1遮断弁33が閉状態となり、第2遮断弁34が開状態となる。さらに、利用ユニット1b、1cに対応する流路切換ユニット3b、3cでは、第1遮断弁33が開状態となり、第2遮断弁34が閉状態となる。
【0074】
圧縮機21が起動すると、圧縮機21から吐出した冷媒が、第1三方弁22と第2三方弁23とに分流する。第1三方弁22を通過した冷媒は、熱源熱交換器24で凝縮した後、所定開度に調節された熱源膨張機構25を通過して液冷媒連絡管5を流れる。一方、第2三方弁23を通過した冷媒は、高圧ガス冷媒連絡管7を流れ、利用ユニット1aに対応する流路切換ユニット3aの第2分岐管32に流れる。第2分岐管32を流出した冷媒は、対応する利用ユニット1に流れる。
【0075】
利用ユニット1aでは、利用熱交換器11において、冷媒が空調対象空間の空気へ放熱して凝縮する。その結果、利用ユニット1aに対応する空調対象空間の暖房が行われる。利用熱交換器11で凝縮した冷媒は、利用膨張機構13を通過する。ここで、利用膨張機構13は、図示しない温度センサ等で求められた冷媒の過冷却度に応じて開度が調節される。利用ユニット1aを流出した冷媒は、液冷媒連絡管5へ流れる。
【0076】
液冷媒連絡管5へ流れた冷媒は、利用ユニット1b、1cに分流する。この冷媒は、利用膨張機構13を通過する際に低圧まで減圧された後、利用熱交換器11を流れる。利用熱交換器11では、冷媒が空調対象空間の空気から吸熱して蒸発する。その結果、利用ユニット1b、1cに対応する空調対象空間の冷房が行われる。利用ユニット1b、1cで空調対象空間の冷房に利用された冷媒は、流路切換ユニット3b、3cの第1分岐管31を通過した後、低圧ガス冷媒連絡管6で合流し、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0077】
(3-3)冷媒漏洩時制御
冷媒漏洩時制御において、制御部8は、冷凍サイクル装置100を構成する各種機器を次に説明するように制御する。
【0078】
制御部8は、空調運転中に、複数の利用ユニット1のいずれかにおいて冷媒の漏洩が検知され(言い換えると、冷媒センサ16が冷媒を検知し)、かつ、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の容量(定格容量)の合計が、第1熱源ユニット2の容量(定格容量)の所定割合R以上である場合に、第1制御を行う。
【0079】
第1制御において、制御部8は、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1への冷媒の流入を流路切換ユニット3で遮断するとともに、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の運転を継続する。
【0080】
また、制御部8は、空調運転中に、複数の利用ユニット1のいずれかにおいて冷媒の漏洩が検知され(言い換えると、冷媒センサ16が冷媒を検知し)、かつ、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の容量の合計が、第1熱源ユニット2の容量の所定割合R未満である場合に、第2制御を行う。
【0081】
第2制御において、制御部8は、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1への冷媒の流入を流路切換ユニット3で遮断するとともに、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を含めた全ての利用ユニット1の運転を停止する。
【0082】
所定割合Rは、冷凍サイクル装置100がデフロスト運転を実行するのに必要な熱量を第1熱源ユニット2が確保できる、第1熱源ユニット2の容量に対する利用ユニット1の容量(利用ユニット1が複数であれば容量の合計値)の割合である。冷凍サイクル装置100がデフロスト運転を実行するのに必要な熱量とは、外表面に発生した霜を熱源熱交換器24が除去するのに必要な熱量である。本実施形態では、所定割合Rは50%である。
【0083】
図3のフローチャートを参照して冷媒漏洩時制御について具体的に説明する。冷媒漏洩時制御は、冷凍サイクル装置100の起動とともに開始される。
【0084】
ステップS10において、制御部8は、複数の利用ユニット1のいずれかにおいて冷媒の漏洩が検知されたか否か、具体的には、冷媒センサ16により冷媒が検知されたか否かを判断する。制御部8は、冷媒が検知されたと判断する場合(はい)は、ステップS11にプロセスを進める。制御部8は、冷媒が検知されたと判断しない場合(いいえ)は、ステップS10にプロセスを進める。
【0085】
ステップS11において、制御部8は、冷媒が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の容量の合計値Paを算出し、ステップS12にプロセスを進める。ここで、合計値Paは、冷媒が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の定格容量(単位は、馬力等)を合計して算出される値である。
【0086】
制御部8は、冷媒が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の定格容量を合計して合計値Paを算出する。
【0087】
ステップS12において、制御部8は、合計値Paが第1熱源ユニット2の定格容量Ps(単位は、馬力等)の所定割合R(50%)以上であるか否かを判断する。制御部8は、合計値Paが第1熱源ユニット2の定格容量Psの所定割合R以上である場合(はい)は、ステップS13にプロセスを進める。制御部8は、合計値Paが第1熱源ユニット2の定格容量Psの所定割合R(50%)以上でない(所定割合R未満である)場合(いいえ)は、ステップS14にプロセスを進める。
【0088】
ステップS13において、制御部8は、第1制御を行い、冷媒漏洩時制御する。第1制御において、制御部8は、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1への冷媒の流入を流路切換ユニット3で遮断する。具体的には、制御部8は、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1に対応する流路切換ユニット3の第1遮断弁33及び第2遮断弁34を閉じる。これとともに、制御部8は、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の運転を継続する。
【0089】
例えば、利用ユニット1aの冷媒センサ16の冷媒検知をきっかけとして第1制御を行う場合、制御部8は、流路切換ユニット3aが有する第1遮断弁33a及び第2遮断弁34aを閉じる。この際、制御部8は、利用ユニット1aの運転を停止する。これとともに、制御部8は、利用ユニット1b及び利用ユニット1cの運転を継続する。
【0090】
ステップS14において、制御部8は、第2制御を行い、冷媒漏洩時制御を終了する。第2制御において、制御部8は、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1への冷媒の流入を流路切換ユニット3で遮断する。これとともに、制御部8は、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1含めた全ての利用ユニット1の運転を停止する。
【0091】
例えば、利用ユニット1aの冷媒センサ16の冷媒検知をきっかけとして第2制御を行う場合、制御部8は、流路切換ユニット3aが有する第1遮断弁33a及び第2遮断弁34aを閉じる。これとともに、制御部8は、利用ユニット1a~1cの運転を停止する。
【0092】
(4)特徴
(4-1)
冷凍サイクル装置100は、第1熱源ユニット2と、複数の利用ユニット1と、流路切換ユニット3と、制御部8とを備える。
【0093】
流路切換ユニット3は、第1熱源ユニット2と利用ユニット1との間に設けられて、第1熱源ユニット2と利用ユニット1との間を流れる冷媒の流れを切換える。制御部8は、第1熱源ユニット2、利用ユニット1、及び流路切換ユニット3を制御する。
【0094】
制御部8は、空調運転中に、複数の利用ユニット1のいずれかにおいて冷媒の漏洩が検知され、かつ、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の容量の合計が、第1熱源ユニット2の容量の所定割合R以上である場合に、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1への冷媒の流入を流路切換ユニット3で遮断するとともに、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の運転を継続する、第1制御を行う。
【0095】
冷凍サイクル装置100によれば、冷媒の漏洩が発生した利用ユニット1への冷媒の流入を遮断した場合であっても、残りの利用ユニット1の運転を継続できる。このため、冷凍サイクル装置100は、利用ユニット1における冷媒の漏洩が検出され、利用ユニットへの冷媒の流入を遮断した場合であっても空調対象空間の快適性の悪化を最小限に抑えることができる。
【0096】
(4-2)
制御部8は、空調運転中に、複数の利用ユニット1のいずれかにおいて冷媒の漏洩が検知され、かつ、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の容量の合計が、所定割合R未満である場合に、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1への冷媒の流入を流路切換ユニット3で遮断するとともに、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニットの運転を停止する、第2制御を行う。
【0097】
冷凍サイクル装置100は、所望の能力での運転が維持できないことに起因する快適性の低下を抑制する。
【0098】
(4-3)
空調運転は、デフロスト運転を含む。所定割合Rは、冷凍サイクル装置100がデフロスト運転を実行するのに必要な熱量を第1熱源ユニット2が確保できる、第1熱源ユニット2の容量に対する利用ユニット1の容量の割合である。
【0099】
冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1への冷媒の流入を遮断することで、利用ユニット1(具体的には利用熱交換器11)における吸熱量の合計値は、全ての利用ユニット1へ冷媒が流入する場合と比べて減少する。この結果、デフロスト運転において、熱源熱交換器24における放熱量が足りずに霜を十分に除去できない(言い換えると、冷凍サイクル装置100がデフロスト運転を実行できない)おそれがある。
【0100】
本実施形態では、制御部8は、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1への冷媒の流入を遮断した場合に、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の運転を継続するか否かを、所定割合Rに基づいて判断する。このため、冷凍サイクル装置100は、利用ユニット1への冷媒の流入を遮断しば場合でも、第1熱源ユニット2が必要な熱量を確保できればデフロスト運転を実行する。
【0101】
したがって、冷凍サイクル装置100は、利用ユニット1への冷媒の流入を遮断した場合における空調対象空間の快適性の悪化を抑制しながら、デフロスト運転を実行することができる。
【0102】
(5)変形例
(5-1)変形例A
空調運転にデフロスト運転が含まれる場合、制御部8は、冷房漏洩時制御において、冷凍サイクル装置100を構成する各種機器を次に説明するように制御してもよい。
【0103】
制御部8は、デフロスト運転を行う予定が無いと判断すると、空調運転中に、複数の利用ユニット1のいずれかにおいて冷媒の漏洩が検知され、かつ、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の容量の合計が、熱源ユニット2の容量の所定割合R未満である場合であっても、第1制御を行う。
【0104】
図4のフローチャートを参照して変形例Aに係る冷凍サイクル装置100が行う冷媒漏洩時制御について、図3に示されたフローチャートとの違いを中心に具体的に説明する。以下では、すでに説明したステップについての説明は省略する。
【0105】
図3に示されたフローチャートと、図4に示されたフローチャートとの主な違いは、図4に示されたフローチャートがステップS15を有する点である。
【0106】
ステップS12において、制御部8は、合計値Paが第1熱源ユニット2の定格容量Psの所定割合R(50%)以上であるか否かを判断する。制御部8は、合計値Paが第1熱源ユニット2の定格容量Psの所定割合R以上である場合(はい)は、ステップS13にプロセスを進める。制御部8は、合計値Paが第1熱源ユニット2の定格容量Psの所定割合R(50%)以上でない(所定割合R未満である)場合(いいえ)は、ステップS15にプロセスを進める。
【0107】
ステップS15において、制御部8は、冷凍サイクル装置100にデフロスト運転を行う予定があるか否かを判断する。制御部8は、冷凍サイクル装置100にデフロスト運転を行う予定があると判断する場合(はい)は、ステップS14にプロセスを進める。制御部8は、冷凍サイクル装置100にデフロスト運転を行う予定があると判断しない場合(いいえ)は、ステップS13にプロセスを進める。
【0108】
冷凍サイクル装置100にデフロスト運転を行う予定があるか否かの判断は、例えば、デフロスト運転の実行要否設定に基づいてなされる。デフロスト運転の実行要否設定は、例えばユーザが設定する。夏場等の比較的温度が高い時期は、霜の発生の可能性がほぼないため、ユーザがデフロスト運転を不要に設定する場合がある。このような場合には、制御部8は、デフロスト運転を行う予定がないと判断する。デフロスト運転の実行要否設定は、図示しない温度センサ及び/又は湿度センサの検出結果に基づいて制御部8が行ってもよい。
【0109】
デフロスト運転が予定されてない場合は、冷媒の漏洩が発生した利用ユニット1への冷媒の流入を遮断した場合であっても、デフロスト運転を実行するのに必要な熱量の確保について考慮する必要がない。このため、変形例Aに係る冷凍サイクル装置100は、デフロスト運転が予定されてない場合には、残りの利用ユニット1の運転を継続させる。変形例Aに係る冷凍サイクル装置100は、利用ユニット1における冷媒の漏洩が検出され、利用ユニットへの冷媒の流入を遮断した場合であっても空調対象空間の快適性の悪化を最小限に抑えることができる。
【0110】
(5-2)変形例B
制御部8は、第1制御において、冷媒の流入が遮断された利用ユニット1の容量に基づいて、運転を継続する利用ユニット1の利用熱交換器11における目標蒸発温度Te又は目標凝縮温度Tcを調整してもよい。
【0111】
例えば、制御部8は、運転を継続する利用ユニット1の利用熱交換器11における目標蒸発温度Teを、第1制御において停止する利用ユニット1の定格容量に基づいて減らすことができる。また、制御部8は、運転を継続する利用ユニット1の利用熱交換器11における目標凝縮温度Tcを、第1制御において停止する利用ユニット1の定格容量に基づいて増やすことができる。
【0112】
変形例Bに係る冷凍サイクル装置100は、運転を継続する利用ユニット1が、冷媒の流入が遮断され、運転を停止した利用ユニット1の出力低下を補うため、空調対象空間の快適性の悪化を最小限に抑えることができる。
【0113】
(5-3)変形例C
制御部8は、第1制御において、冷媒の流入が遮断された利用ユニット1の容量に基づいて、保護制御を行ってもよい。保護制御とは、利用ユニット1の一部について冷媒の流入が遮断されることによる冷媒回路9における冷媒圧の一時的な上昇から、冷凍サイクル装置100を構成する機器を保護する制御である。
【0114】
例えば、制御部8は、第1制御の間、保護制御として、圧縮機21の最大回転数を通常よりも低下させることができる。
【0115】
変形例Cに係る冷凍サイクル装置100は、第1制御が実行されることに起因する機器の破損を抑制できる。
【0116】
(5-4)変形例D
冷凍サイクル装置100が第2熱源ユニット2aをさらに備え、第1制御が行われる際に、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1の容量を補う運転を第2熱源ユニット2aが行ってもよい。
【0117】
図5に示されるように、変形例Dに係る冷凍サイクル装置100は、第2熱源ユニット2aをさらに備える。流路切換ユニット3は、第2熱源ユニット2aと複数の利用ユニット1との間に設けられて、第2熱源ユニット2aと複数の利用ユニット1との間を流れる冷媒の流れをさらに切換える。制御部8は、第1制御を行う際に、冷媒の流入が遮断された利用ユニット1の容量を補う運転を第2熱源ユニット2aに行わせる。
【0118】
具体的には、制御部8は、第1制御の間、記憶装置に記録された各利用ユニット1の定格容量を参照して、冷媒の流入が遮断された利用ユニット1の定格容量を補う運転を第2熱源ユニット2aにさせる。
【0119】
変形例Dに係る冷凍サイクル装置100は、第1制御において、第2熱源ユニット2aが冷媒の流入が遮断され運転を停止した利用ユニットの出力低下を補うため、空調対象空間の快適性の悪化を最小限に抑えることができる。
【0120】
(5-5)変形例E
流路切換ユニット3の態様は、対応する利用ユニット1ごとに別々の位置に設置される個別タイプに限定されない。流路切換ユニット3は、複数の流路切換ユニット3が有する第1分岐管31、第2分岐管32、第1遮断弁33、及び第2遮断弁34が1つのケーシングに収容された集合タイプであってもよい。
【0121】
(5-6)変形例F
所定割合Rは、50%以外であってもよい。また、所定割合Rは、冷凍サイクル装置100がデフロスト運転を実行するのに必要な利用ユニット1の容量の合計値の、第1熱源ユニット2の容量に対する割合以外に基づいて算出されてもよい。
【0122】
<むすび>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0123】
1、1a、1b、1c :利用ユニット
2 :第1熱源ユニット
2a :第2熱源ユニット
3、3a、3b、3c :流路切換ユニット
8 :制御部
11、11a、11b、11c :利用熱交換器
100 :冷凍サイクル装置
Tc :目標凝縮温度
Te :目標蒸発温度
R :所定割合
【先行技術文献】
【特許文献】
【0124】
【文献】国際公開第2016/129027号
【要約】
【課題】利用ユニットにおける冷媒の漏洩が検出され、利用ユニットへの冷媒の流入を遮断した場合であっても空調対象空間の快適性の悪化を最小限に抑えることができる冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】冷凍サイクル装置100は、第1熱源ユニット2と、複数の利用ユニット1と、流路切換ユニット3と、制御部8とを備える。制御部8は、第1熱源ユニット2、利用ユニット1、及び流路切換ユニット3を制御する。制御部8は、空調運転中に、複数の利用ユニット1のいずれかにおいて冷媒の漏洩が検知され、かつ、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の容量の合計が、第1熱源ユニット2の容量の所定割合R以上である場合に、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1への冷媒の流入を流路切換ユニット3で遮断するとともに、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット1を除いた利用ユニット1の運転を継続する、第1制御を行う。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5