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7626985ヘテロ凝集異形無機充填材の合成方法およびそれらを含有する医科歯科用ラジカル重合性硬化物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】ヘテロ凝集異形無機充填材の合成方法およびそれらを含有する医科歯科用ラジカル重合性硬化物
(51)【国際特許分類】
   A61K 6/76 20200101AFI20250129BHJP
   A61K 6/884 20200101ALI20250129BHJP
【FI】
A61K6/76
A61K6/884
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020072564
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021155394
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(73)【特許権者】
【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
(72)【発明者】
【氏名】渕上 清実
(72)【発明者】
【氏名】山本 健蔵
(72)【発明者】
【氏名】北田 直也
(72)【発明者】
【氏名】田口 佳成
(72)【発明者】
【氏名】田中 眞人
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-520509(JP,A)
【文献】特開平07-173410(JP,A)
【文献】第85回化学工学会年会研究発表講演要旨集,2020年03月02日,Abstract No.PC239
【文献】化学工学会第50回秋季大会研究発表講演プログラム集,2018年,Abstract No.PA218
【文献】化学工学会第47回秋季大会研究発表講演プログラム集,2015年,Abstract No.ZB2P31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マザーパーティクルにドウターパーティクルが融着した無機充填微粒子の製造方法であって、
マザーパーティクルを、含水アルコール溶媒下にて3-アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3-アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理する工程、
等電点以下のpHであるドウターパーティクルを含む懸濁液と、マザーパーティクルを含む懸濁液を混合させヘテロ凝集物を得る工程、
前記ヘテロ凝集物を含む懸濁物に、酸化アルミニウム粉末および/または酸化アルミニウムゾルを混合し酸化アルミニウム含有懸濁物を得る工程、
前記酸化アルミニウム含有懸濁物を100℃以下で加熱乾燥させる工程、
加熱乾燥した前記酸化アルミニウム含有懸濁物を700℃から900℃の範囲で加熱する工程、
酸化アルミニウムを風篩および/または水篩で分級除去する工程、
を含む無機充填微粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロ凝集異形無機充填材の合成方法およびそれらを含有する医科歯科用ラジカル重合性硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
医科歯科分野で骨や歯牙の欠損を修復するために金属補綴物や合成樹脂成型物などが用いられている。それらの生体硬組織への接着には、接着重合性モノマーを含有する接着剤が多用されている。同様に歯科分野では、所謂コンポジットレジンと呼ばれる硬化性組成物が日々臨床にて使用されている。これは未硬化体(ラジカル重合前)ペーストを、歯牙等の欠損部位に充填した後に光照射等の外的エネルギーを付与することでラジカル重合硬化体を得る。
【0003】
一般的にこれらの接着剤やコンポジットレジンには、メチルメタクリレートやトリエチレングリコールジメタクリレート、ウレタン系ジメタクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体モノマーが使用されている。これら(メタ)アクリル酸誘導体モノマー等のビニルモノマーのフリーラジカル重合(以下ラジカル重合と記す)では、炭素‐炭素の二重結合が解裂し単結合になることで高分子体を形成し硬化する。このコンポジットレジンにはビニルモノマーだけではなく、無機充填材が機械的強度向上の目的で添加される。一般的にそれらの無機充填材は重合性基を有するシランカップリング剤により表面処理され、濡れ性の向上や機械的強度向上が図られている。歯科分野では従来より、シランカップリング剤としてγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下KBM‐503と記す)が広く用いられている。該化合物で表面処理された粒子を用いた場合、疎水性が低いため加水分解が進行しやすく、材料の耐久性が低いという課題があった。また、その低い疎水性のため無機充填剤の充填率も低く十分な機械的強度が得られないと言う欠点も有していた。
【0004】
そのため、材料の耐久性や充填率を向上させるために、アルキル鎖の長いシランカップリング剤使用する方法(特許文献1、2、3)、フルオロアルキレン基を有するシランカップリング剤使用する方法(特許文献4)、重合性基を数多く有するシランカップリング剤使用する方法(特許文献5)が提案されている。さらに、無機充填材の形状を一般的な球状や破砕上ではなく、物理的篏合力を期待し複合化した無機充填材の製造方法等(特許文献6,7)も提案されている。しかしながら、これらの方法では、何れもマザーパーティクルの融点がドウターパーティクルの融点より低くせねばならず、汎用性および工業的に劣る。すなわち、該複合化無機充填材の製造には合成後に煩雑な再粉砕を必須としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平2-134307号
【文献】特開平3-70778号
【文献】特開2015-196682号
【文献】特開2007-238567号
【文献】特開2010-229054号
【文献】特許第6452677号
【文献】特開平7-173410号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~特許文献4に記載の方法を、歯科用修復材に適用した際には、機械的強度に改善の余地がある。また、特許文献5に記載の方法を歯科材料に適用した際には、耐水性が低く、材料の耐久性は不十分である。
また、無機充填材の形状を一般的な球状や破砕上ではなく、物理的篏合力を期待し複合化した無機充填材の製造方法等(特許文献6,7)も提案されている。しかしながら、これらの方法では、マザーパーティクルの融点がドウターパーティクルの融点より低くせねばならず、汎用性および工業的に劣る。すなわち、該複合化無機充填材の製造には合成後に再粉砕を必須としている。このように、従来技術でのシランカップリング剤を使用した材料の耐久性及び機械的強度の両立は不十分であり、更なる改良の余地があった。さらに、従来技術の複合化した無機充填材の製造方法等ではエネルギー効率が悪く、グリーンケミストリーの観点では環境負荷が高いと言わらずおえなかった。
【0007】
本発明は、ヘテロ凝集および溶融融着工程時に高融点の酸化アルミニウムを混在させる事で、マザーパーティクルやドウターパーティクルの融点に左右されず、効率的に無機充填材微粒子を合成する技術に関するもので、ラジカル重合性モノマーに対する高い親和性・篏合力を与え、これにより医科歯科用ラジカル重合性硬化物に用いた際に高い機械的強度、柔軟性及び耐久性を与える新規な医科・歯科組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者等の鋭意検討の結果、下記の組成項および製造工程で得られる新規な無機充填材微粒子を用いることで、ラジカル重合性モノマーに対する高い親和性・篏合力、柔軟性を与えられる事を発見した。これにより医科歯科材料に用いた際に高い機械的強度及び耐久性が得られた。
項1
医科歯科用ラジカル重合性硬化物用の無機充填材微粒子であって、マザーパーティクルにドウターパーティクルが溶融融着した無機充填材微粒子。
項2
マザーパーティクルの平均粒径が100nmから10μmの範囲であり、かつ、ドウターパーティクルの平均粒径が1nmから1μmの範囲であることを特徴とする項1記載の無機充填材微粒子。
項3
マザーパーティクルおよびドウターパーティクルがいずれも球状二酸化珪素であることを特徴とする項1~2記載のヘテロ凝集異形無機充填材。
項4
ドウターパーティクルがテトラエトキシシランおよび/またはトリメトキシシランをアルカリ性含水アルコール溶媒下にて加水分解・縮合させるゾルゲル法で得られる事を特徴とする項1~3記載のヘテロ凝集異形無機充填材。
項5
項1から項4記載のヘテロ凝集異形無機充填材の製造方法であって、以下の工程:
1.マザーパーティクルが含水アルコール溶媒下にて3-アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3-アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理されており、ドウターパーティクルを含む懸濁液が等電点以下のpHであり、それらを混合した際にヘテロ凝集を起こし、マザーパーティクル表面にドウターパーティクルが静電的に付着する工程。
2.前工程で得られた混合分散懸濁物に、酸化アルミニウム粉末および/または酸化アルミニウムゾルを添加し、これらの混合分散懸濁液を100℃以下で加熱乾燥させケーキを得る工程。
3.得られたケーキを700℃から900℃の範囲でマザーパーティクルにドウターパーティクルを融着させる工程。
4.酸化アルミニウムを風篩および/または水篩で分級除去する工程。
5.分離したマザーパーティクルにドウターパーティクルが溶融融着したヘテロ凝集異形無機充填材を乾燥する工程。
を含む項1~4記載のマザーパーティクルにドウターパーティクルが溶融融着したヘテロ凝集異形無機充填材の合成方法。
項6
項1~5記載のヘテロ凝集異形無機充填材、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤および/または重合促進剤を含む医科歯科用ラジカル重合性硬化物。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヘテロ凝集異形無機充填材を用いることで、ラジカル重合性モノマーに対する高親和性・篏合力を発現し、その結果として歯科材料に高い機械的強度、柔軟性及び耐久性を与える。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明におけるヘテロ凝集異形無機充填材の物理的形状構造は、球状マザーパーティクル平均粒径が100nmから10μmの範囲であり、かつ、球状ドウターパーティクルの平均粒径が1nmから1μmの範囲であることを特徴とする。また、ドウターパーティクルがテトラエトキシシランおよび/またはトリメトキシシランをアルカリ性含水アルコール溶媒下にて加水分解・縮合させるゾルゲル法で得られる事を特徴とする。なお、合成したヘテロ凝集異形無機充填材表面シラノール基を、末端ラジカル重合性基を有するシランカップリング剤またはエポキシ環を有するシランカップリング剤にてカップリング処理してもよい。さらに製造方法としては以下に記載する手順にて合成することが経済的・環境負荷的に好ましい。
1.マザーパーティクルが含水アルコール溶媒下にて3-アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3-アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理されており、ドウターパーティクルを含む懸濁液が等電点以下のpHであり、それらを混合した際にヘテロ凝集を起こし、マザーパーティクル表面にドウターパーティクルが静電的に付着する工程。
2.前工程で得られた混合分散懸濁物に、酸化アルミニウム粉末および/または酸化アルミニウムゾルを添加し、これらの混合分散懸濁液を100℃以下で加熱乾燥させケーキを得る工程。
3.得られたケーキを700℃から900℃の範囲でマザーパーティクルにドウターパーティクルを融着させる工程。
4.酸化アルミニウムを風篩および/または水篩で分級除去する工程。
5.分離したマザーパーティクルにドウターパーティクルが溶融融着した無機充填材微粒子を乾燥する工程。
を含む請求項1~4記載のマザーパーティクルにドウターパーティクルが溶融融着した無機充填材微粒子合成方法。
【0011】
本発明における医科歯科用ラジカル重合性硬化物で用いられるラジカル重合性モノマーは歯科分野で用いられている物を何ら制限なく用いる事が出来る。例えば、2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2‐ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とのウレタン反応により合成される7,7,9‐トリメチル‐4,13‐ジオキソ‐3,14‐ジオキサ‐5,12‐ジアザヘキサデカン‐1,16‐ジイルジメタクリレート(UDMA)や、HEMAやHEAと2,4‐トルイレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートまたはヘキサメチレンジイソシアネートの各々とのウレタン反応により合成されるラジカル重合性モノマー類や、脂肪族および/または芳香族ジイソシアネートとグリセロール(メタ)クリレートや3‐メタクリロール‐2‐ヒドロキシプロピルエステルとの反応によって得られるウレタンジアクリレート類や、1,3‐ビス(2‐イソシアナート,2‐プロピル)ベンゼンとヒドロキシ基を有する化合物とのウレタン反応物等が挙げられる。より具体的には、2,7,7,9,15‐ペンタメチル‐4,13‐ジオキソ‐3,14‐ジオキサ‐5,12‐ジアザヘキサデカン‐1,16‐ジイルジアクリレート、2,7,7,9,15‐ペンタメチル‐4,13‐18‐トリオキソ‐3,14,17‐トリオキサ‐5,12‐ジアザイコス‐19‐エニルメタクリレート、2,8,10,10,15‐ペンタメチル‐4,13,18‐トリオキソ‐3,14,17‐トリオキサ‐5,12‐ジアザイコス‐19‐エニルメタクリレート、2,7,7,9,15‐ペンタメチル‐4,13‐ジオキソ‐3,14‐ジオキサ‐5,12‐ジアザヘキサデカン‐1,16‐ジイルビス(2‐メチルアクリレート)、2,2’‐(シクロヘキサン‐1,2‐ジイルビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐((2‐(((1‐(アクリロイロキシ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)シクロヘキシル)メチルカルバモイロキシ)プロピルメタクリレート、2,2’‐(シクロヘキサン‐1,2‐ジイルビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、2,2’‐(ビシクロ[4.1.0]ヘプタン‐3,4‐ジイルビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐((4‐(((1‐(アクリロイロキシ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ビシクロ[4.1.0]ヘプタン‐3‐イル)メチルカルバモイロキシ)プロピルメタクリレート、2,2’‐(ビシクロ[4.1.0]ヘプタン‐3,4‐ジイルビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、7,7,9‐トリメチル‐4,13‐ジオキソ‐3,14‐ジオキサ‐5,12‐ジアザヘキサデカン‐1,16‐ジイルジアクリレート、7,7,9‐トリメチル‐4,13,18‐トリオキソ‐3,14,17‐トリオキサ‐5,12‐ジアザイコス‐19‐エニルメタクリレート、8,10,10‐トリメチル‐4,13,18‐トリオキソ3,14,17‐トリオキサ‐5,12‐ジアザイコス‐19‐エニルメタクリレート、7,7,9‐トリメチル‐4,13‐ジオキソ‐3,14‐ジオキサ‐5,12‐ジアザヘキサデカン‐1,16‐ジイルビス(2‐メチルアクリレート)、4,13‐ジオキソ‐3,14‐ジオキサ‐5,12‐ジアザヘキサデカン‐1,16‐ジイルジアクリレート、4,13,18‐トリオキソ‐3,14,17‐トリオキサ‐5,12‐ジアザイコス‐19‐エニルメタクリレート、4,13‐ジオキソ‐3,14‐ジオキサ‐5,12‐ジアザヘキサデカン‐1,16‐ジイルビス(2‐メチルアクリレート)、2‐(1‐(2‐((2‐(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)‐4,4‐ジメチルシクロヘキシル)エチルカルバモイロキシ)エチルメタクリレート、2‐(1‐(2‐((2‐(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)エチル)‐5,5‐ジメチルシクロヘキシルカルバモイロキシ)エチルメタクリレート、2‐(2‐(((1‐(メタクリロイロキシ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)‐2,5,5‐トリメチルシクロヘキシルカルバモイロキシ)プロパン‐1,3‐ジイルビス(2‐メチルアクリレート)、2‐(2‐(((1‐(メタクリロイロキシ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)‐2,5,5‐トリメチルシクロヘキシルカルバモイロキシ)プロパン‐1,3‐ジイルジアクリレート、2‐(2‐(((1‐(アクリロイロキシ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)‐2,5,5‐トリメチルシクロヘキシルカルバモイロキシ)プロパン‐1,3‐ジイルビス(2‐メチルアクリレート)、3‐(15‐(2‐(アクリロイロキシ)エチル)‐3,12,19‐トリオキソ‐2,13,18‐トリオキサ‐4,11‐ジアザヘニコス‐20‐エニル)ペンタン‐1,5‐ジイルジアクリレート、3‐(15‐(2‐(アクリロイロキシ)エチル)‐3,12,19‐トリオキソ‐2,13,18‐トリオキサ‐4,11‐ジアザヘニコス‐20‐エニル)ペンタン‐1,5‐ジイルビス(2‐メチルアクリレート)、2,2’‐(シクリヘキサン‐1,2‐ジイルビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐((2‐(((2‐(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)メチル)シクロヘキシル)メチルカルバモイロキシ)エチルメタクリレート、2,2’‐(シクリヘキサン‐1,2‐ジイルビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、2,15‐ビス(シクロヘキシルオキシメチル)‐4,13‐ジオキソ‐3,14‐ジオキサ‐5,12‐ジアザヘキサデカン‐1,16‐ジイルジアクリレート、2,15‐ビス(シクロヘキシルオキシメチル)‐4,13‐ジオキソ‐3,14‐ジオキサ‐5,12‐ジアザヘキサデカン‐1,16‐ジイルビス(2‐メチルアクリレート)、2,15‐ビス(シクロヘキシルオキシメチル)‐4,13,18‐トリオキソ‐3,14,17‐トリオキサ‐5,12‐ジアザイコス‐19‐エニルメタクリレート、1,18‐ビス(シクロヘキシルオキシ)‐5,14‐ジオキソ‐4,15‐ジオキサ‐6,13‐ジアザオクタデカン‐2,17‐ジイルジアクリレート、1‐(シクロヘキシルオキシ)‐17‐(シクロヘキシルオキシメチル)‐5,14,19‐トリオキソ‐4,15,18‐トリオキサ‐6,13‐ジアザヘニコス‐20‐エン‐2‐イルメタクリレート、1,18‐ビス(シクロヘキシルオキシ)‐5,14‐ジオキソ‐4,15‐ジオキサ‐6,13‐ジアザオクタデカン‐2,17‐ジイルビス(2‐メチルアクリレート)、7,7,9‐トリメチル‐4,13‐ジオキソ‐3,14‐ジオキサ‐5,12‐ジアザヘキサデカン‐1,16‐ジイルビス(2‐メチルアクリレート)、7,7,9‐トリメチル‐4,13‐ジオキソ‐3,14‐ジオキサ‐5,12‐ジアザヘキサデカン‐1,16‐ジイルジアクリレート、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メタクリレート)、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(3‐(((2‐(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)エチル メタクリレート、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(メチルアザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メタクリレート)、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(メチルアザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐((3‐((((2‐(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)メチル)ベンジル)(メチル)カルバモイロキシ)エチル メタクリレート、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(3‐(((2‐(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)プロピル メタクリレート、2‐(3‐(((1‐(アクリロイロキシ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)エチル メタクリレート、4,4’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビスオキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(4,1‐フェニレン)ビス(2‐メチルアクリレート)、4,4’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビスオキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(4,1‐フェニレン)ジアクリレート、4‐(3‐(((4‐(アクリロキシ)フェノキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)フェニル メタクリレート、4,4’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(ブタン‐4,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、4,4’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(ブタン‐4,1‐ジイル)ジアクリレート、4‐(3‐(((4‐(アクリロイロキシ)ブトキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)ブチル メタクリレート、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐フェノキシプロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐フェノキシプロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(3‐(((1‐(アクリロイロキシ)‐3‐フェノキシプロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)‐3‐フェノキシプロピル メタクリレート、2‐2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(フェニルアミノ)プロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、2‐2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(フェニルアミノ)プロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(3‐(((1‐(アクリロイロキシ)‐3‐(フェニルアミノ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)‐3‐(フェニルアミノ)プロピルメタクリレート、2,2’‐(1,3フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(フェニルチオ)プロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、2,2’‐(1,3フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(フェニルチオ)プロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(3‐(((1‐(アクリロキシ)‐3‐(フェニルチオ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)‐3‐(フェニルチオ)プロピル メタクリレート、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(ベンジルオキシ)プロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(ベンジルオキシ)プロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(3‐(((1‐(アクリロイロキシ)‐3‐(ベンジルオキシ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)‐3‐(ベンジルオキシ)プロピル メタクリレート、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(メタアクリロイロキシ)プロパン‐2,1‐ジイル)ジベンゾエート、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(アクリロイロキシ)プロパン‐2,1‐ジイル)ジベンゾエート、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(2‐フェニルアセトキシ)プロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、2,2’‐(1,3‐フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(2‐フェニルアセトキシ)プロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(3‐(((1‐(アクリロイロキシ)‐3‐(2‐フェニルアセトキシ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)‐3‐(2‐フェニルアセトキシ)プロピル メタクリレート2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2.2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メタクリレート)、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2.2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(2‐(3‐(2‐((2‐(アクリロイルオキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)プロパン‐2‐イル)フェニル)プロパン‐2‐イルカルバモイルオキシ)エチルメタクリレート、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(メチルアザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メタクリレート)、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(メチルアザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐((2‐(3‐(2‐(((2‐(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)プロパン‐2‐イル)フェニル)プロパン‐2‐イル)(メチル)カルバモイルキシ)エチル メタクリレート、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(2‐(3‐(2‐((2‐(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)プロパン‐2‐イル)フェニル)プロパン‐2‐イルカルバモイルキシ)プロピルメタクリレート、2‐(2‐(3‐(2‐((1‐(アクリロイロキシ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)プロパン‐2‐イルカルバモイルキシ)エチル メタクリレート、4,4’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(4,1‐フェニレン)ビス(2‐メチルアクリレート)、4,4’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(4,1‐フェニレン)ジアクリレート、4‐(2‐(3‐(2‐((4‐(アクリロイロキシ)フェノキシ)カルボニルアミノ)プロパン‐2‐イル)フェニル)プロパン‐2‐イルカルバモイルキシ)フェニルメタクリレート、4,4’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(ブタン‐4,1‐ジイル)ビス(2‐メタクリレート)、4,4’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(ブタン‐4,1‐ジイル)ジアクリレート、4‐(2‐(3‐(2‐((4‐アクリロイロキシ)ブトキシ)カルボニルアミノ)プロパン‐2‐イル)フェニル)プロパン‐2‐イルカルバモイルキシ)ブチルメタクリレート、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐フェノキシプロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メタクリレート)、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐フェノキシプロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(2‐(3‐(2‐((1‐(アクリロイロキシ)‐3‐フェノキシプロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)プロパン‐2‐イル)フェニル)プロパン‐2‐イルカルバモイルキシ)‐3‐フェノキシプロピル メタクリレート、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(フェニルアミノ)プロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メタクリレート)、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(フェニルアミノ)プロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(2‐(3‐(2‐((1‐(アクリロイロキシ)‐3‐(フェニルアミノ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)プロパン‐2‐イル)フェニル)プロパン‐2‐イルカルバモイロキシ)‐3‐(フェニルアミノ)プロピル メタクリレート、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(フェニルチオ)プロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(フェニルチオ)プロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(2‐(3‐(2‐((1‐(アクリロイロキシ)‐3‐(フェニルチオ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)プロパン‐2‐イル)フェニル)プロパン‐2‐イルカルバモイロキシ)‐3‐(フェニルチオ)プロピル メタクリレート、2‐2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(3‐(ベンジロキシ)プロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メチルアクリレート)、2‐2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(3‐(ベンジロキシ)プロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(2‐(3‐(2‐((1‐(アクリロイロキシ)‐3‐(ベンジルオキシ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)プロパン‐2‐イル)フェニル)プロパン‐2‐イルカルバモイロキシ)‐3‐(ベンジルオキシ)プロピル メタクリレート、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(メタクリロイロキシ)プロパン‐2,1‐ジイル)ジベンゾエート、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(アクリロイロキシ)プロパン‐2,1‐ジイル)ジベンゾエート、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(2‐フェニルアセトキシ)プロパン‐2,1‐ジイル)ビス(2‐メタクリレート)、2,2’‐(2,2’‐(1,3‐フェニレン)ビス(プロパン‐2,2‐ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3‐(2‐フェニルアセトキシ)プロパン‐2,1‐ジイル)ジアクリレート、2‐(2‐(3‐(2‐((1‐(アクリロイロキシ)‐3‐(2‐フェニルアセトキシ)プロパン‐2‐イルオキシ)カルボニルアミノ)プロパン‐2‐イル)フェニル)プロパン‐2‐イルカルバモイロキシ)‐3‐(2‐フェニルアセトキシ)プロピル メタクリレートなどが挙げられる。
【0012】
本発明の医科歯科用ラジカル重合性硬化物に含まれる重合開始剤としては、工業界で使用されている重合開始剤から選択して使用でき、中でも歯科用途に用いられている重合開始剤が好ましく用いられる。特に、光重合及び化学重合の重合開始剤を、単独又は2種以上適宜組み合わせて使用される。以下具体的には、本発明の医科歯科用ラジカル重合性硬化物に含まれる重合開始剤のうち光重合開始剤としては、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、水溶性アシルホスフィンオキサイド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α-ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α-アミノケトン系化合物などが挙げられる。また、それらの割合はラジカル重合性モノマーに対し、0.5wt%~5wt%が好ましい。0.5wt%より低い濃度では未重合のラジカル重合性モノマーが多くなるため機械的強度が低下する。また、5wt%より高い濃度では重合度が低下し、機械的強度が低下するためである。
【0013】
光重合開始剤として用いられるアシルフォスフィンオキサイド類を具体的に例示すると、例えば、2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6‐ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6‐ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6‐トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6‐トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6‐テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ-(2,6‐ジメチルフェニル)ホスホネートなどが挙げられる。ビスアシルフォスフィンオキサイド類としては、ビス-(2,6‐ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6‐ジクロロベンゾイル)‐2,5‐ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6‐ジクロロベンゾイル)‐4‐プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6‐ジクロロベンゾイル)‐1‐ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6‐ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6‐ジメトキシベンゾイル)‐2,4,4‐トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6‐ジメトキシベンゾイル)‐2,5‐ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、(2,5,6‐トリメチルベンゾイル)‐2,4,4‐トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0014】
光重合開始剤として用いられるチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩を具体的に例示すると、例えば、チオキサントン、2‐クロルチオキサンセン‐9‐オン、2‐ヒドロキシ‐3‐(9‐オキシ‐9H‐チオキサンテン‐4‐イルオキシ)‐N,N,N‐トリメチル‐プロパンアミニウムクロライド、2‐ヒドロキシ‐3‐(1‐メチル‐9‐オキシ‐9H‐チオキサンテン‐4‐イルオキシ)‐N,N,N‐トリメチル‐プロパンアミニウムクロライド、2‐ヒドロキシ‐3‐(9‐オキソ‐9H‐チオキサンテン‐2‐イルオキシ)‐N,N,N‐トリメチル‐プロパンアミニウムクロライド、2‐ヒドロキシ‐3‐(3,4‐ジメチル‐9‐オキソ‐9H‐チオキサンテン‐2‐イルオキシ)‐N,N,N‐トリメチル‐1‐プロパンアミニウムクロライド、2‐ヒドロキシ‐3‐(3,4‐ジメチル‐9H‐チオキサンテン‐2‐イルオキシ)‐N,N,N‐トリメチル‐1‐プロパンアミニウムクロライド、2‐ヒドロキシ‐3‐(1,3,4‐トリメチル‐9‐オキソ‐9H‐チオキサンテン‐2‐イルオキシ)‐N,N,N‐トリメチル‐1‐プロパンアミニウムクロライドなどが挙げられる。
【0015】
光重合開始剤として用いられるα-ジケトン類を具体的に例示すると、例えば、ジアセチル、ジベンジル、カンファーキノン、2,3‐ペンタジオン、2,3‐オクタジオン、9,10‐フェナンスレンキノン、4,4’‐オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。
【0016】
光重合開始剤として用いられるクマリン化合物を具体的に例示すると、例えば、3,3’‐カルボニルビス(7‐ジエチルアミノ)クマリン、3‐(4‐メトキシベンゾイル)クマリン、3‐チェノイルクマリン、3‐ベンゾイル‐5,7‐ジメトキシクマリン、3‐ベンゾイル‐7‐メトキシクマリン、3‐ベンゾイル‐6‐メトキシクマリン、3‐ベンゾイル‐8‐メトキシクマリン、3‐ベンゾイルクマリン、7‐メトキシ‐3‐(p‐ニトロベンゾイル)クマリン、3‐(p‐ニトロベンゾイル)クマリン、3‐ベンゾイル‐8‐メトキシクマリン、3,5‐カルボニルビス(7‐メトキシクマリン)、3‐ベンゾイル‐6‐ブロモクマリン、3,3’‐カルボニルビスクマリン、3‐ベンゾイル‐7‐ジメチルアミノクマリン、3‐ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、3‐カルボキシクマリン、3‐カルボキシ‐7‐メトキシクマリン、3‐エトキシカルボニル‐6‐メトキシクマリン、3‐エトキシカルボニル‐8‐メトキシクマリン、3‐アセチルベンゾ[f]クマリン、7‐メトキシ‐3‐(p‐ニトロベンゾイル)クマリン、3‐(p‐ニトロベンゾイル)クマリン、3‐ベンゾイル‐8‐メトキシクマリン、3‐ベンゾイル‐6‐ニトロクマリン‐3‐ベンゾイル‐7‐ジエチルアミノクマリン、7‐ジメチルアミノ‐3‐(4‐メトキシベンゾイル)クマリン、7‐ジエチルアミノ‐3‐(4‐メトキシベンゾイル)クマリン、7‐ジエチルアミノ‐3‐(4‐ジエチルアミノ)クマリン、7‐メトキシ‐3‐(4‐メトキシベンゾイル)クマリン、3‐(4‐ニトロベンゾイル)ベンゾ[f]クマリン、3‐(4‐エトキシシンナモイル)‐7‐メトキシクマリン、3‐(4‐ジメチルアミノシンナモイル)クマリン、3‐(4‐ジフェニルアミノシンナモイル)クマリン、3‐[(3‐ジメチルベンゾチアゾール‐2‐イリデン)アセチル]クマリン、3‐[(1‐メチルナフト[1,2‐d]チアゾール‐2‐イリデン)アセチル]クマリン、3,3’‐カルボニルビス(6‐メトキシクマリン)、3,3’‐カルボニルビス(7‐アセトキシクマリン)、3,3’‐カルボニルビス(7‐ジメチルアミノクマリン)、3‐(2‐ベンゾチアゾイル)‐7‐(ジエチルアミノ)クマリン、3‐(2‐ベンゾチアゾイル)‐7‐(ジブチルアミノ)クマリン、3‐(2‐ベンゾイミダゾイル)‐7‐(ジエチルアミノ)クマリン、3‐(2‐ベンゾチアゾイル)‐7‐(ジオクチルアミノ)クマリン、3‐アセチル‐7‐(ジメチルアミノ)クマリン、3,3’‐カルボニルビス(7‐ジブチルアミノクマリン)、3,3’‐カルボニル‐7‐ジエチルアミノクマリン‐7’‐ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、10‐[3‐[4‐(ジメチルアミノ)フェニル]‐1‐オキソ‐2‐プロペニル]‐2,3,6,7‐1,1,7,7‐テトラメチル1H,5H,11H‐[1]ベンゾピラノ
[6,7,8‐ij]キノリジン‐11‐オン、10‐(2‐ベンゾチアゾイル)‐2,3,6,7‐テトラヒドロ‐1,1,7,7‐テトラメチル1H,5H,11H‐[1]ベンゾピラノ[6,7,8‐ij]キノリジン‐11‐オン等の化合物などが挙げられる。
【0017】
クマリン化合物の中でも、特に、3,3’‐カルボニルビス(7‐ジエチルアミノクマリン)及び3,3’‐カルボニルビス(7‐ジブチルアミノクマリン)が好適である。
【0018】
光重合開始剤として用いられるアントラキノン類を具体的に例示すると、例えば、アントラキノン、1‐クロロアントラキノン、2‐クロロアントラキノン、1‐ブロモアントラキノン、1,2‐ベンズアントラキノン、1‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、1‐ヒドロキシアントラキノンなどが挙げられる。
【0019】
光重合開始剤として用いられるベンゾインアルキルエーテル類を具体的に例示すると、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0020】
光重合開始剤として用いられるα-アミノケトン類を具体的に例示すると、例えば、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルフォリノプロパン‐1‐オンなどが挙げられる。
【0021】
光重合開始剤の中でも、(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類及びその塩、α-ジケトン類、及びクマリン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、可視及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す組成物が得られる。
【0022】
本発明の医科歯科用ラジカル重合性硬化物に含まれる重合開始剤のうち化学重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。上記の化学重合開始剤に使用される有機過酸化物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどが挙げられる。
【0023】
化学重合開始剤として用いられるケトンパーオキサイドを具体的に例示すると、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びシクロヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。
【0024】
化学重合開始剤として用いられるハイドロパーオキサイドを具体的に例示すると、例えば、2,5‐ジメチルヘキサン‐2,5‐ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t‐ブチルハイドロパーオキサイド及び1,1,3,3‐テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。
【0025】
化学重合開始剤として用いられるジアシルパーオキサイドを具体的に例示すると、例えば、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びラウロイルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0026】
化学重合開始剤として用いられるジアルキルパーオキサイドを具体的に例示すると、例えば、ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3‐ビス(t‐ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及び2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)‐3‐ヘキシンなどが挙げられる。
【0027】
化学重合開始剤として用いられるパーオキシケタールを具体的に例示すると、例えば、1,1‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、1,1‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)ブタン、2,2‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)オクタン及び4,4‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)バレリックアシッド‐n‐ブチルエステルなどが挙げられる。
【0028】
化学重合開始剤として用いられるパーオキシエステルを具体的に例示すると、例えば、α‐クミルパーオキシネオデカノエート、t‐ブチルパーオキシネオデカノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、2,2,4‐トリメチルペンチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐アミルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシイソフタレート、ジ‐t‐ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタラート、t‐ブチルパーオキシ‐3,3,5‐トリメチルヘキサノエート、t‐チルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート及びt‐ブチルパーオキシマレリックアシッドなどが挙げられる。
【0029】
化学重合開始剤として用いられるパーオキシジカーボネートを具体的に例示すると、例えば、ジ‐3‐メトキシパーオキシジカーボネート、ジ‐2‐エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4‐t‐ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ‐n‐プロピルパーオキシジカーボネート、ジ‐2‐エトキシエチルパーオキシジカーボネート及びジアリルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。
【0030】
有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。
【0031】
重合促進剤を具体的に例示すると、例えば、アミン類、スルフィン酸及びその塩、ボレート化合物、バルビツール酸誘導体、トリアジン化合物、銅化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ハロゲン化合物、アルデヒド類、チオール化合物などが挙げられる。
【0032】
重合促進剤として用いられるアミン類は、脂肪族アミン及び芳香族アミンに分けられる。脂肪族アミンを具体的に例示すると、例えば、n‐ブチルアミン、n‐ヘキシルアミン、n‐オクチルアミン等の第1級脂肪族アミン;ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N‐メチルジエタノールアミン等の第2級脂肪族アミン;N‐メチルエタノールアミン、N‐エチルジエタノールアミン、N‐n‐ブチルジエタノールアミン、N‐ラウリルジエタノールアミン、2‐(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N‐メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N‐エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級脂肪族アミンなどが挙げられる。これらの中でも、組成物の硬化性及び保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、その中でもN‐メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンがより好ましく用いられる。
【0033】
芳香族アミンを具体的に例示すると、例えば、N,N‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)‐3,5‐ジメチルアニリン、N,N‐ジ(2‐ヒドロキシエチル)‐p‐トルイジン、N,N‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)‐3,4‐ジメチルアニリン、N,N‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)‐4‐エチルアニリン、N,N‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)‐4‐イソプロピルアニリン、N,N‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)‐4‐t‐ブチルアニリン、N,N‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)‐3,5‐ジ‐イソプロピルアニリン、N,N‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)‐3,5‐ジ‐t‐ブチルアニリン、N,N‐ジメチルアニリン、N,N‐ジメチル‐p‐トルイジン、N,N‐ジメチル‐m‐トルイジン、N,N‐ジエチル‐p‐トルイジン、N,N‐ジメチル‐3,5‐ジメチルアニリン、N,N‐ジメチル‐3,4‐ジメチルアニリン、N,N‐ジメチル‐4‐エチルアニリン、N,N‐ジメチル‐4‐イソプロピルアニリン、N,N‐ジメチル‐4‐t‐ブチルアニリン、N,N‐ジメチル‐3,5‐ジ‐t‐ブチルアニリン、4‐N,N‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4‐N,N‐ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、N,N‐ジメチルアミノ安息香酸‐n‐ブトキシエチルエステル、4‐N,N‐ジメチルアミノ安息香酸‐2‐(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4‐N,N‐ジメチルアミノベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ安息香酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、組成物に優れた硬化性を付与できる観点から、N,N‐ジ(2‐ヒドロキシエチル)‐p‐トルイジン、4‐N,N‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N‐ジメチルアミノ安息香酸‐n‐ブトキシエチルエステル及び4‐N,N‐ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0034】
重合促進剤として用いられるスルフィン酸及びその塩を具体的に例示すると、例えば、p‐トルエンスルフィン酸、p‐トルエンスルフィン酸ナトリウム、p‐トルエンスルフィン酸カリウム、p‐トルエンスルフィン酸リチウム、p‐トルエンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6‐トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6‐トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6‐トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6‐トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6‐トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6‐トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6‐トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6‐トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6‐トリエチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6‐トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6‐トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6‐トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6‐トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6‐トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6‐トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p‐トルエンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6‐トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0035】
重合促進剤として用いられるボレート化合物は、1分子中に1個のアリール基を有するボレート化合物を具体的に例示すると、例えば、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p‐クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p‐フロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(3,5‐ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、トリアルキル[3,5‐ビス(1,1,1,3,3,3‐ヘキサフロロ‐2‐メトキシ‐2‐プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキル(p‐ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m‐ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p‐ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(m‐ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(p‐ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m‐ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(p‐オクチルオキシフェニル)ホウ素及びトリアルキル(m‐オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn‐ブチル基、n‐オクチル基及びn‐ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩及びブチルキノリニウム塩などが挙げられる。
【0036】
また、1分子中に2個のアリール基を有するボレート化合物を具体的に例示すると、例えば、ジアルキルジフェニルホウ素、ジアルキルジ(p‐クロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p‐フロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(3,5‐ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、ジアルキルジ[3,5‐ビス(1,1,1,3,3,3‐ヘキサフロロ‐2‐メトキシ‐2‐プロピル)フェニル]ホウ素、ジアルキルジ(p‐ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m‐ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p‐ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m‐ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p‐ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m‐ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p‐オクチルオキシフェニル)ホウ素及びジアルキルジ(m‐オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn‐ブチル基、n‐オクチル基及びn‐ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩及びブチルキノリニウム塩などが挙げられる。
【0037】
さらに、1分子中に3個のアリール基を有するボレート化合物を具体的に例示すると、例えば、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリ(p‐クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p‐フロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(3,5‐ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリ[3,5‐ビス(1,1,1,3,3,3‐ヘキサフロロ‐2‐メトキシ‐2‐プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ(p‐ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m‐ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p‐ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m‐ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p‐ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m‐ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p‐オクチルオキシフェニル)ホウ素及びモノアルキルトリ(m‐オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn‐ブチル基、n‐オクチル基又はn‐ドデシル基等から選択される1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩などが挙げられる。
【0038】
さらに1分子中に4個のアリール基を有するボレート化合物を具体的に例示すると、例えば、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p‐クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p‐フロロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5‐ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5‐ビス(1,1,1,3,3,3‐ヘキサフロロ‐2‐-メトキシ‐2‐プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p‐ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m‐ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p‐ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m‐ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p‐ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m‐ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p‐オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m‐オクチルオキシフェニル)ホウ素、(p‐フロロフェニル)トリフェニルホウ素、(3,5‐ビストリフロロメチル)フェニルトリフェニルホウ素、(p‐ニトロフェニル)トリフェニルホウ素、(m‐ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p‐ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(m‐オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素及び(p‐オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩及びブチルキノリニウム塩などが挙げられる。
【0039】
これらアリールボレート化合物の中でも、保存安定性の観点から、1分子中に3個又は4個のアリール基を有するボレート化合物を用いることがより好ましい。また、これらアリールボレート化合物は1種又は2種以上を混合して用いることも可能である。
【0040】
重合促進剤として用いられるバビツール酸誘導体を具体的に例示すると、例えば、バルビツール酸、1,3‐ジメチルバルビツール酸、1,3‐ジフェニルバルビツール酸、1,5‐ジメチルバルビツール酸、5‐ブチルバルビツール酸、5‐エチルバルビツール酸、5‐イソプロピルバルビツール酸、5‐シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5‐トリメチルバルビツール酸、1,3‐ジメチル‐5‐エチルバルビツール酸、1,3‐ジメチル‐n‐ブチルバルビツール酸、1,3‐ジメチル‐5‐イソブチルバルビツール酸、1,3‐ジメチルバルビツール酸、1,3‐ジメチル‐5‐シクロペンチルバルビツール酸、1,3‐ジメチル‐5‐シクロヘキシルバルビツール酸、1,3‐ジメチル‐5‐フェニルバルビツール酸、1‐シクロヘキシル‐1‐エチルバルビツール酸、1‐ベンジル‐5‐フェニルバルビツール酸、5‐メチルバルビツール酸、5‐プロピルバルビツール酸、1,5‐ジエチルバルビツール酸、1‐エチル‐5‐メチルバルビツール酸、1‐エチル‐5‐イソブチルバルビツール酸、1,3‐ジエチル‐5‐ブチルバルビツール酸、1‐シクロヘキシル‐5‐メチルバルビツール酸、1‐シクロヘキシル‐5‐エチルバルビツール酸、1‐シクロヘキシル‐5‐オクチルバルビツール酸、1‐シクロヘキシル‐5‐ヘキシルバルビツール酸、5‐ブチル‐1‐シクロヘキシルバルビツール酸、1‐ベンジル‐5‐フェニルバルビツール酸及びチオバルビツール酸類、ならびにこれらの塩(特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属類が好ましい)が挙げられ、これらバルビツール酸類の塩としては、例えば、5‐ブチルバルビツール酸ナトリウム、1,3,5‐トリメチルバルビツール酸ナトリウム及び1‐シクロヘキシル‐5‐エチルバルビツール酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0041】
特に好適なバルビツール酸誘導体を具体的に例示すると、例えば、5‐ブチルバルビツール酸、1,3,5‐トリメチルバルビツール酸、1‐シクロヘキシル‐5‐エチルバルビツール酸、1‐ベンジル‐5‐フェニルバルビツール酸、及びこれらバルビツール酸類のナトリウム塩などが挙げられる。
【0042】
重合促進剤として用いられるトリアジン化合物を具体的に例示すると、例えば、2,4,6‐トリス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2,4,6‐トリス(トリブロモメチル)‐s‐トリアジン、2‐メチル‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐メチル‐4,6‐ビス(トリブロモメチル)‐s‐トリアジン、2‐フェニル‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(p‐メトキシフェニル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(p‐メチルチオフェニル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(p‐クロロフェニル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(2,4‐ジクロロフェニル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(p‐ブロモフェニル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(p‐トリル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐n‐プロピル‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(α,α,β-トリクロロエチル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐スチリル‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐[2‐(p‐メトキシフェニル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐[2‐(o‐メトキシフェニル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐[2‐(p‐ブトキシフェニル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐[2‐(3,4‐ジメトキシフェニル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐[2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(1‐ナフチル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(4‐ビフェニリル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐[2‐{N,N‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐[2‐{N‐ヒドロキシエチル‐N‐エチルアミノ}エトキシ]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐[2‐{N‐ヒドロキシエチル‐N‐メチルアミノ}エトキシ]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐[2‐{N,N‐ジアリルアミノ}エトキシ]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジンなどが挙げられる。
【0043】
上記で例示したトリアジン化合物の中で特に好ましいものは、重合活性の点で2,4,6‐トリス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジンであり、また保存安定性の点で、2‐フェニル‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(p‐クロロフェニル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、及び2‐(4‐ビフェニリル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジンである。上記トリアジン化合物は1種又は2種以上を混合して用いても構わない。
【0044】
重合促進剤として用いられる銅化合物を具体的に例示すると、例えば、アセチルアセトン銅、酢酸第2銅、オレイン酸銅、塩化第2銅、臭化第2銅などが挙げられる。
【0045】
重合促進剤として用いられるスズ化合物を具体的に例示すると、例えば、ジ‐n‐ブチル錫ジマレート、ジ‐n‐オクチル錫ジマレート、ジ‐n‐オクチル錫ジラウレート、ジ‐n‐ブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。特に好適なスズ化合物は、ジ‐n‐オクチル錫ジラウレート及びジ‐n‐ブチル錫ジラウレートである。
【0046】
重合促進剤として用いられるバナジウム化合物は、好ましくは4価及び/又は5価のバナジウム化合物類である。4価及び/又は5価のバナジウム化合物類を具体的に例示すると、例えば、四酸化二バナジウム(4価)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(4価)、シュウ酸バナジル(4価)、硫酸バナジル(4価)、オキソビス(1‐フェニル‐1,3‐ブタンジオネート)バナジウム(4価)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(4価)、五酸化バナジウム(5価)、メタバナジン酸ナトリウム(5価)、メタバナジン酸アンモン(5価)などが挙げられる。
【0047】
重合促進剤として用いられるハロゲン化合物を具体的に例示すると、例えば、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
【0048】
重合促進剤として用いられるアルデヒド類を具体的に例示すると、例えば、テレフタルアルデヒドやベンズアルデヒド誘導体などが挙げられる。ベンズアルデヒド誘導体としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、p‐メチルオキシベンズアルデヒド、p‐エチルオキシベンズアルデヒド、p‐n‐オクチルオキシベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、p‐n‐オクチルオキシベンズアルデヒドが好ましく用いられる。
【0049】
重合促進剤として用いられるチオール化合物を具体的に例示すると、例えば、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2‐メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸などが挙げられる。
【実施例
【0050】
本発明による高分子界面活性剤の製造方法および、それらを含有する歯科用硬化性組成物の調製方法・物理的特性について詳しく説明するが、本発明はこれらの説明に何ら限定されるものではない。
合成例1
表1に記した調合組成にてヘテロ凝集異形無機充填材を合成した。すなわち、電磁攪拌子を備えた2Lナスフラスコに球状二酸化珪素(HPS‐2000,東亜合成社製)50.0g、蒸留水1.0Lを秤量し、超音波発生装置(株式会社ソニックテクノロジー製 GSD150AT)にて十分に分散させた。その後、攪拌しながらオイルバスにて内温を75℃にし、3‐aminopropyl triethoxysilane:1.50gを10mL/hの速度で添加した。添加終了後、75℃にて2時間熟成させた。その後、遠心分離にて分離後、EtOH 0.50Lに分散させマザーパーティクルを得た。次に、電磁攪拌子を備えた3LナスフラスコにTEOS:375g、EtOH:1.0Lを秤量し、十分に攪拌混合した。その混合溶液に攪拌下にてNaOH:2.0g/蒸留水:0.50L溶液を500mL/hの添加速度で添加し2時間熟成した。次に、pH3になるまで1N‐HClを少しずつ加えた。その後、先に調製したマザーパーティクル懸濁液を加え、十分に攪拌した。得られたマザーパーティクルにドウターパーティクルがヘテロ凝集した懸濁液をエバポレーターにて溶媒がほぼ半量になるまで濃縮した。その濃縮物に平均粒径10nmのアルミナ粉末50g、エタノール1L分散懸濁液を添加・混合した。その混合懸濁液をジルコニア製の乾燥皿に移液し、50℃にて6時間乾燥した。得られたケーキ状固体を空気中900℃にて2時間焼成した。焼成後、室温まで冷却した。ケーキ状固体は指圧で容易に崩れる程度の強度であった。そのケーキを篩にてアルミナ粉末分離し、ヘテロ凝集異形無機充填材を得た。図1及び図2にそのヘテロ凝集異形無機充填材の走査電子顕微鏡写真を示す。
合成例2
表1に記した調合組成にてヘテロ凝集異形無機充填材を合成した。すなわち、電磁攪拌子を備えた2Lナスフラスコに球状二酸化珪素(HPS‐2000,東亜合成社製)50.0g、蒸留水1.0Lを秤量し、超音波発生装置(株式会社ソニックテクノロジー製 GSD150AT)にて十分に分散させた。その後、攪拌しながらオイルバスにて内温を75℃にし、3‐aminopropyl triethoxysilane:1.50gを10mL/hの速度で添加した。添加終了後、75℃にて2時間熟成させた。その後、遠心分離にて分離後、EtOH 0.50Lに分散させマザーパーティクルを得た。次に、電磁攪拌子を備えた3LナスフラスコにTEOS:375g、EtOH:1.0Lを秤量し、十分に攪拌混合した。その混合溶液に攪拌下にてNaOH:2.0g/蒸留水:0.50L溶液を400mL/hの添加速度で添加し2時間熟成した。次に、pH3になるまで1N‐HClを少しずつ加えた。その後、先に調製したマザーパーティクル懸濁液を加え、十分に攪拌した。得られたマザーパーティクルにドウターパーティクルがヘテロ凝集した懸濁液をエバポレーターにて溶媒がほぼ半量になるまで濃縮した。その濃縮物に平均粒径10nmのアルミナ粉末50g、エタノール1L分散懸濁液を添加・混合した。その混合懸濁液をジルコニア製の乾燥皿に移液し、50℃にて6時間乾燥した。得られたケーキ状固体を空気中900℃にて2時間焼成した。焼成後、室温まで冷却した。ケーキ状固体は指圧で容易に崩れる程度の強度であった。そのケーキを篩にてアルミナ粉末分離し、ヘテロ凝集異形無機充填材を得た。
合成例3
表1に記した調合組成にてヘテロ凝集異形無機充填材を合成した。すなわち、電磁攪拌子を備えた2Lナスフラスコに球状二酸化珪素(HPS‐2000,東亜合成社製)50.0g、蒸留水1.0Lを秤量し、超音波発生装置(株式会社ソニックテクノロジー製 GSD150AT)にて十分に分散させた。その後、攪拌しながらオイルバスにて内温を75℃にし、3‐aminopropyl triethoxysilane:1.50gを10mL/hの速度で添加した。添加終了後、75℃にて2時間熟成させた。その後、遠心分離にて分離後、EtOH 0.50Lに分散させマザーパーティクルを得た。次に、電磁攪拌子を備えた3LナスフラスコにTEOS:375g、EtOH:1.0Lを秤量し、十分に攪拌混合した。その混合溶液に攪拌下にてNaOH:2.0g/蒸留水:0.50L溶液を300mL/hの添加速度で添加し2時間熟成した。次に、pH3になるまで1N‐HClを少しずつ加えた。その後、先に調製したマザーパーティクル懸濁液を加え、十分に攪拌した。得られたマザーパーティクルにドウターパーティクルがヘテロ凝集した懸濁液をエバポレーターにて溶媒がほぼ半量になるまで濃縮した。その濃縮物に平均粒径10nmのアルミナ粉末50g、エタノール1L分散懸濁液を添加・混合した。その混合懸濁液をジルコニア製の乾燥皿に移液し、50℃にて6時間乾燥した。得られたケーキ状固体を空気中900℃にて2時間焼成した。焼成後、室温まで冷却した。ケーキ状固体は指圧で容易に崩れる程度の強度であった。そのケーキを篩にてアルミナ粉末分離し、ヘテロ凝集異形無機充填材を得た。
合成例4
表1に記した調合組成にてヘテロ凝集異形無機充填材を合成した。すなわち、電磁攪拌子を備えた2Lナスフラスコに球状二酸化珪素(HPS‐2000,東亜合成社製)50.0g、蒸留水1.0Lを秤量し、超音波発生装置(株式会社ソニックテクノロジー製 GSD150AT)にて十分に分散させた。その後、攪拌しながらオイルバスにて内温を75℃にし、3‐aminopropyl triethoxysilane:1.50gを10mL/hの速度で添加した。添加終了後、75℃にて2時間熟成させた。その後、遠心分離にて分離後、EtOH 0.50Lに分散させマザーパーティクルを得た。次に、電磁攪拌子を備えた3LナスフラスコにTEOS:300g、EtOH:1.0Lを秤量し、十分に攪拌混合した。その混合溶液に攪拌下にてNaOH:2.0g/蒸留水:0.50L溶液を500mL/hの添加速度で添加し2時間熟成した。次に、pH3になるまで1N‐HClを少しずつ加えた。その後、先に調製したマザーパーティクル懸濁液を加え、十分に攪拌した。得られたマザーパーティクルにドウターパーティクルがヘテロ凝集した懸濁液をエバポレーターにて溶媒がほぼ半量になるまで濃縮した。その濃縮物に平均粒径10nmのアルミナ粉末50g、エタノール1L分散懸濁液を添加・混合した。その混合懸濁液をジルコニア製の乾燥皿に移液し、50℃にて6時間乾燥した。得られたケーキ状固体を空気中900℃にて2時間焼成した。焼成後、室温まで冷却した。ケーキ状固体は指圧で容易に崩れる程度の強度であった。そのケーキを篩にてアルミナ粉末分離し、ヘテロ凝集異形無機充填材を得た。
合成例5
表1に記した調合組成にてヘテロ凝集異形無機充填材を合成した。すなわち、電磁攪拌子を備えた2Lナスフラスコに球状二酸化珪素(HPS‐2000,東亜合成社製)50.0g、蒸留水1.0Lを秤量し、超音波発生装置(株式会社ソニックテクノロジー製 GSD150AT)にて十分に分散させた。その後、攪拌しながらオイルバスにて内温を75℃にし、3‐aminopropyl triethoxysilane:1.50gを10mL/hの速度で添加した。添加終了後、75℃にて2時間熟成させた。その後、遠心分離にて分離後、EtOH 0.50Lに分散させマザーパーティクルを得た。次に、電磁攪拌子を備えた3LナスフラスコにTEOS:450g、EtOH:1.0Lを秤量し、十分に攪拌混合した。その混合溶液に攪拌下にてNaOH:2.0g/蒸留水:0.50L溶液を500mL/hの添加速度で添加し2時間熟成した。次に、pH3になるまで1N‐HClを少しずつ加えた。その後、先に調製したマザーパーティクル懸濁液を加え、十分に攪拌した。得られたマザーパーティクルにドウターパーティクルがヘテロ凝集した懸濁液をエバポレーターにて溶媒がほぼ半量になるまで濃縮した。その濃縮物に平均粒径10nmのアルミナ粉末50g、エタノール1L分散懸濁液を添加・混合した。その混合懸濁液をジルコニア製の乾燥皿に移液し、50℃にて6時間乾燥した。得られたケーキ状固体を空気中900℃にて2時間焼成した。焼成後、室温まで冷却した。ケーキ状固体は指圧で容易に崩れる程度の強度であった。そのケーキを篩にてアルミナ粉末分離し、ヘテロ凝集異形無機充填材を得た。
【0051】
実施例1‐5
合成例1~5にて合成したヘテロ凝集異形無機充填材とOX‐50(日本アエロジル社製)を用い医科歯科用コンポジットレジンの調製を行った。具体的な製造方法を以下詳細に記載する。表2に記載した量のヘテロ凝集異形無機充填材およびOX‐50を500mLナスフラスコに加えた。その後、アセトン200mLを加え電磁攪拌子を入れ10分間攪拌し、さらに28KHz‐150Wの超音波分散機にて5分間分散させた。分散終了後、表2記載のバインダー液(UDMA,2G)および光重合開始剤を加え十分に攪拌した後に、エバポレータにてアセトンを留去した。次に遮光下にてThinky社製Planetary Vacuum mixer ARV‐310にて1000rpm‐5KPa‐15minの条件下にて脱泡混練し歯科用コンポジットレジンを得た。この様にして得られた医科歯科用コンポジットレジンをISO4049に従い、硬化体を作製しインストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社製)を用い曲げ強度を求めた。なお、光重合照射器としては株式会社松風製GriplightIIを用いた。
比較実施例1‐5
HPS2000とOX‐50(日本アエロジル社製)を用い医科歯科用コンポジットレジンの調製を行った。具体的な製造方法を以下詳細に記載する。表3に記載した量のHPS2000およびOX‐50を500mLナスフラスコに加えた。その後、アセトン200mLを加え電磁攪拌子を入れ10分間攪拌し、さらに28KHz‐150Wの超音波分散機にて5分間分散させた。分散終了後、表3記載のバインダー液(UDMA,2G)および光重合開始剤を加え十分に攪拌した後に、エバポレータにてアセトンを留去した。次に遮光下にてThinky社製Planetary Vacuum mixer ARV‐310にて1000rpm‐5KPa‐15minの条件下にて脱泡混練し歯科用コンポジットレジンを得た。この様にして得られた医科歯科用コンポジットレジンをISO4049に従い、硬化体を作製しインストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社製)を用い曲げ強度を求めた。なお、光重合照射器としては株式会社松風製Griplight IIを用いた。
【0052】
実施例および比較合成例で作製された歯科用コンポジットレジンの曲げ強度試験結果を表4および表5に示す。これらの結果より明らかなように、本発明のヘテロ凝集異形無機充填材を含有する歯科用コンポジットレジンは比較合成例で合成した医科歯科用コンポジットレジンと比べて明らかに高い曲げ強度特性を有する。この実験事実は充填材の篏合力に起因すると考えるのが科学的である。すなわち、図1および2を見れば判るように、無機充填材の凹凸に入り込んだレジン(モノマー硬化体)が曲げ強度に影響を与えたと考えられる。その結果として歯科材料に高い機械的強度及び耐久性を与える結果となった。その結果として高い機械的強度を達成することが可能となった。以上の評価結果より明らかなように、従来技術では達し得なかった高い機械的強度・柔軟性を有する医科歯科材料の提供が可能となった。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【0059】
【産業上の利用の可能性】
【0060】
医科歯科用コンポジットレジンには、メチルメタクリレートやトリエチレングリコールジメタクリレート、ウレタン系ジメタクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体モノマーが使用されている。これら(メタ)アクリル酸誘導体モノマー等のビニルモノマーのフリーラジカル重合(以下ラジカル重合と記す)では、炭素‐炭素の二重結合が解裂し単結合になることで高分子体を形成し硬化する。このコンポジットレジンにはビニルモノマーだけではなく、無機充填剤が機械的強度向上の目的で添加される。一般的にそれらの無機充填剤は球状または破砕状を呈する。これらの無機充填材は篏合力が低く、高い物理的強度を得るには限界があった。また、従来技術の異形無機充填材の製造方法では、マザーパーティクルとドウターパーティクルの融点に制限があった。さらに、それらを合成するにあたり、工程数が多く非効率であった。すなわち環境負荷が高かった。本発明によるヘテロ凝集異形無機充填材を含有する医科歯科材料は、柔軟性を備えかつ、高い物理特性を有しているため、それらの課題を全て克服しており、産業上の利用の可能性は大きいと言える。