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  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】情報処理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/56 20200101AFI20250129BHJP
   G06F 16/9032 20190101ALI20250129BHJP
   G06F 40/44 20200101ALI20250129BHJP
   G06F 16/90 20190101ALI20250129BHJP
【FI】
G06F40/56
G06F16/9032
G06F40/44
G06F16/90 100
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024166439
(22)【出願日】2024-09-25
【審査請求日】2024-09-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507304683
【氏名又は名称】CLINKS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】高野 拓郎
【審査官】齊藤 貴孝
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第118586377(CN,A)
【文献】自治体DXフォーラム2023 FIXER 生成型AIの課題を解決する「GaiXer」 自治体業務を変,日経BPガバメントテクノロジー 第48号,日本,2023年09月28日
【文献】水野 尚人、外2名,自動プロンプト最適化のソフトウェア設計,言語処理学会第30回年次大会 発表論文集 [online],日本,言語処理学会,2024年04月02日,p.2537-2542
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00-40/58
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段を有する複数のユーザー端末から利用可能な情報処理システムであって、
制御手段および記憶手段を備え、
前記制御手段は、
前記ユーザー端末との間で情報を送受信するユーザー端末通信部と、
入力されたプロンプトを取得するプロンプト取得部と、
前記プロンプト取得部で取得した前記プロンプトを評価するプロンプト評価部と、
生成AIシステムに前記プロンプト取得部で取得した前記プロンプトを送信するプロンプト送信部と、
前記生成AIシステムからのAI出力情報を取得するAI出力情報取得部と、を備え、
前記プロンプト評価部は、評価した前記プロンプトが高評価の場合に当該プロンプトを共有プロンプトとして前記記憶手段に記憶させ、
前記ユーザー端末通信部は、前記プロンプトの入力領域と、前記AI出力情報の表示領域と、前記記憶手段に記憶された前記共有プロンプトの表示領域と、を含む表示内容を前記ユーザー端末の表示手段に表示させる情報処理システム。
【請求項2】
前記プロンプト評価部は、前記プロンプト取得部で取得した前記プロンプトを評価するための評価プロンプトを生成し、該評価プロンプトを前記プロンプト送信部から前記生成AIシステムに送信し、前記AI出力情報取得部で前記生成AIシステムによる前記プロンプトの評価を取得する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記プロンプト評価部は、前記プロンプト取得部で取得した前記プロンプトについて、少なくとも複数項目の評価軸に基づき算出される評価点を評価する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記プロンプト評価部は、前記評価軸ごとの前記評価点に所定の重み付けをして算出する総合評価点を算出する請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記プロンプト評価部は、評価した前記総合評価点が一定以上の場合に、当該評価した前記プロンプトを入力したユーザーに対して共有の許可を求め、前記ユーザーが許可した場合に前記プロンプトを共有プロンプトとして前記記憶手段に記憶させる請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記プロンプト評価部は、前記プロンプト取得部で取得した前記プロンプトについて、さらに、前記プロンプトのタイトルと、前記プロンプトを処理するのに適した生成AIモデルと、前記プロンプトのカテゴリーと、を評価する請求項3~5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
表示手段を有する複数のユーザー端末から利用可能なプログラムであって、
コンピュータに、
前記ユーザー端末との間で情報を送受信するユーザー端末通信処理と、
入力されたプロンプトを取得するプロンプト取得処理と、
前記プロンプト取得処理で取得した前記プロンプトを評価するプロンプト評価処理と、
生成AIシステムに前記プロンプト取得処理で取得した前記プロンプトを送信するプロンプト送信処理と、
前記生成AIシステムからのAI出力情報を取得する情報取得処理と、を実行させ、
前記プロンプト評価処理では、評価した前記プロンプトが高評価の場合に当該プロンプトを共有プロンプトとして記憶手段に記憶させ、
前記ユーザー端末通信処理では、前記プロンプトの入力領域と、前記AI出力情報の表示領域と、前記記憶手段に記憶された前記共有プロンプトの表示領域と、を含む表示内容を前記ユーザー端末の前記表示手段に表示させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生成AIシステムに送信するプロンプトを評価する情報処理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模言語モデル(LLM)を用いた生成AIシステムにより、ユーザーとの対話形式で文章を生成するサービスが提供されている。このような生成AIシステムで所望の出力を得るためには、ユーザーが適切なプロンプトを作成し、生成AIシステムに入力する必要がある。
【0003】
しかし、不慣れなユーザーが適切なプロンプトを作成するのは困難である。このため、生成AIシステムのためのプロンプトを生成するシステムも知られている。LLMを用いた生成AIシステムに対して入力するプロンプトを生成するシステムとしては、例えば特許文献1に挙げるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第7313757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生成AIシステムに入力するためのプロンプトを自動的に生成するシステムは、特定の用途については適切なプロンプトを出力できるが、汎用的に使用することはできない。また、生成AIの分野は歴史が浅いため、参考となる文献や書籍も少なく、ユーザーが生成AIシステムを使用する経験を積み重ねることで、適切なプロンプトを作成できるようにする必要があった。
【0006】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、生成AIシステムに入力するためのプロンプト作成を支援できる情報処理システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る情報処理システムは、表示手段を有する複数のユーザー端末から利用可能な情報処理システムであって、制御手段および記憶手段を備え、前記制御手段は、前記表示手段における表示内容を生成するユーザー端末通信部と、入力されたプロンプトを取得するプロンプト取得部と、前記プロンプト取得部で取得した前記プロンプトを評価するプロンプト評価部と、生成AIシステムに前記プロンプト取得部で取得した前記プロンプトを送信するプロンプト送信部と、前記生成AIシステムからのAI出力情報を取得するAI出力情報取得部と、を備え、前記プロンプト評価部は、評価した前記プロンプトが高評価の場合に当該プロンプトを共有プロンプトとして前記記憶手段に記憶させ、前記ユーザー端末通信部は、前記プロンプトの入力領域と、前記AI出力情報の表示領域と、前記記憶手段に記憶された前記共有プロンプトの表示領域と、を含む表示内容を生成する。
【0008】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記プロンプト評価部は、前記プロンプト取得部で取得した前記プロンプトを評価するための評価プロンプトを生成し、該評価プロンプトを前記プロンプト送信部から前記生成AIシステムに送信し、前記AI出力情報取得部で前記生成AIシステムによる前記プロンプトの評価を取得する。
【0009】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記プロンプト評価部は、前記プロンプト取得部で取得した前記プロンプトについて、少なくとも複数項目の評価軸に基づき算出される評価点を評価する。
【0010】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記プロンプト評価部は、前記評価軸ごとの前記評価点に所定の重み付けをして算出する総合評価点を算出する。
【0011】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記プロンプト評価部は、評価した前記総合評価点が一定以上の場合に、当該評価した前記プロンプトを入力したユーザーに対して共有の許可を求め、前記ユーザーが許可した場合に前記プロンプトを共有プロンプトとして前記記憶手段に記憶させる。
【0012】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記プロンプト評価部は、前記プロンプト取得部で取得した前記プロンプトについて、さらに、前記プロンプトのタイトルと、前記プロンプトを処理するのに適した生成AIモデルと、前記プロンプトのカテゴリーと、を評価する。
【0013】
前記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、表示手段を有する複数のユーザー端末から利用可能なプログラムであって、コンピュータに、前記ユーザー端末との間で情報を送受信するユーザー端末通信処理と、入力されたプロンプトを取得するプロンプト取得処理と、前記プロンプト取得処理で取得した前記プロンプトを評価するプロンプト評価処理と、生成AIシステムに前記プロンプト取得処理で取得した前記プロンプトを送信するプロンプト送信処理と、前記生成AIシステムからのAI出力情報を取得する情報取得処理と、を実行させ、前記プロンプト評価処理では、評価した前記プロンプトが高評価の場合に当該プロンプトを共有プロンプトとして記憶手段に記憶させ、前記ユーザー端末通信処理では、前記プロンプトの入力領域と、前記AI出力情報の表示領域と、前記記憶手段に記憶された前記共有プロンプトの表示領域と、を含む表示内容を前記ユーザー端末の前記表示手段に表示させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る情報処理システムおよびプログラムによれば、入力されたプロンプトを評価し、高評価のプロンプトを共有プロンプトとして生成AIを使用する画面に表示させることができるので、ユーザーは評価の高いプロンプトを参考にすることかでき、生成AIシステムに入力するためのプロンプト作成を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの構成図を示している。
図2】制御手段の詳細な構成図を示している。
図3】情報処理システムにおけるフローチャートである。
図4図3のS2における処理を詳細に示したフローチャートである。
図5】ユーザー端末の表示手段で表示される画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。本実施形態の情報処理システム10は、ユーザー端末12からのプロンプトを取得し、そのプロンプトを評価した上でLLMを用いた生成AIシステム15に送信し、当該生成AIシステム15からのAI出力情報を取得してユーザー端末12に表示させるシステムであって、ユーザーのプロンプト作成を支援することのできるシステムである。LLM(大規模言語モデル)とは、大量のテキストデータとディープラーニング技術を用いて構築された言語モデルである。これにより、生成AIシステム15は、自然言語処理を行い、人間のような自然な対話や文章生成が可能である。生成AIシステム15は、ユーザーからのプロンプトを受信し、これに対応するAI出力情報を送信することができる。
【0017】
図1に示すように、情報処理システム10は、通信ネットワーク16を介して複数のユーザー端末12と接続可能である。これにより、情報処理システム10は、複数のユーザーがログインして利用可能である。それぞれのユーザー端末12は、モニターなどの表示手段13を有している。ユーザー端末12は、PCなどのコンピュータ、あるいはスマートフォンなどの携帯情報端末である。ただし、ユーザー端末12はこれらに限定されない。
【0018】
情報処理システム10は、通信ネットワーク16を介して複数の生成AIシステム15と接続可能である。各生成AIシステム15は、それぞれ異なるAIモデルを有しており、得意分野が異なっている。AIモデルは、例えば、翻訳が得意なAIモデル、ソースコードの生成やシステムエラー解消などのプログラミングに関する問題が得意なAIモデル、計算や数式処理が得意なAIモデル、ドキュメント作成、スプレッドシートやプレゼンテーション資料の生成が得意なAIモデル、記事作成や文章生成、文章構成などテキストに関する応答が得意なAIモデル、データの分析や統計処理が得意なAIモデルなどがあり、さらに特定の目的、例えばアップロードファイルのデータ処理、最新情報の取得や市場調査、ウェブブラウジング、画像生成や画像の加工のためのAIモデルなどがあり、さらには汎用的に使用できるAIモデルがある。情報処理システム10は、ユーザーからのプロンプトを評価してそれに適した生成AIのモデルを選択し、いずれかの生成AIシステム15にプロンプトを送信してAI出力情報を取得することができる。ただし、情報処理システム10は、1つの生成AIシステム15にのみ接続するものであってもよいし、情報処理システム10自身が生成AIシステム15を含んでいてもよい。
【0019】
図1では、情報処理システム10は単一の通信ネットワーク16で複数のユーザー端末12および生成AIシステム15に接続されているが、情報処理システム10は、それぞれ別の通信ネットワークを介してユーザー端末12と生成AIシステム15に接続されていてもよい。例えば、情報処理システム10は、社内LANを介してユーザー端末12と接続し、インターネットを介して生成AIシステム15と接続することができる。
【0020】
情報処理システム10は、サーバーなどのコンピュータで構成することができる。情報処理システム10は、少なくとも制御手段20と記憶手段21および通信手段22を備えている。制御手段20は、例えばCPUなどのプロセッサで構成することができる。記憶手段21は、例えばRAM、DRAM、HDD、SSD、あるいは外部クラウドや分散ストレージなどを用いて構成することができる。通信手段22は、例えばNICや無線LAN接続装置などを用いて構成することができる。
【0021】
図2に示すように、制御手段20は、ユーザー端末12との間で情報を送受信するユーザー端末通信部30と、ユーザー端末12で入力されたプロンプトを取得するプロンプト取得部31と、プロンプト取得部31で取得したプロンプトを評価するプロンプト評価部32と、生成AIシステム15にプロンプト取得部31で取得したプロンプトを送信するプロンプト送信部33と、生成AIシステム15からのAI出力情報を取得するAI出力情報取得部34と、を有している。
【0022】
次に、情報処理システム10を用いてユーザー端末12から生成AIシステム15を使用するフローについて説明する。図3に示すように、ユーザー端末12にてプロンプトが入力されると、情報処理システム10は、プロンプト取得部31でプロンプトを取得する(S1)。情報処理システム10は、プロンプト取得部31で取得したプロンプトについて、プロンプト評価部32において評価する(S2)。
【0023】
図4に示すように、プロンプト評価部32は、プロンプト取得部31で取得したプロンプトを生成AIシステム15で評価するための評価プロンプトを生成する(S2-1)。プロンプトの評価は、複数項目の評価軸に基づき行われる。また、プロンプトの評価においては、プロンプトのカテゴリー分けと、プロンプトのタイトル付けと、プロンプトを処理するのに適した生成AIモデルの選択とがさらに行われる。
【0024】
評価プロンプトは、評価対象となるプロンプトを提示した上で、評価対象となるプロンプトの全体的な理解を指示する指示文を含んでいる。ここでは、プロンプト全体を丁寧に読み、何を求めているのか、またどのような指示や情報が含まれているのかを理解すること、また、プロンプトの意図や背景を可能な限り理解し、どのような結果を期待しているかを考察することを指示する。
【0025】
評価プロンプトは、評価対象となるプロンプトの全体的な理解に基づき、タイトルを決定する指示文を含んでいる。ここでは、プロンプトの主要なテーマやキーワード、固有名詞を抽出し、それを基にわかりやすいタイトルを作成すること、その他文字数やタイトルの明確性、判定困難な場合の対応などについて、指示される。
【0026】
評価プロンプトは、プロンプトを処理するのに適した推奨生成AIモデルを選択する指示文を含んでいる。指示文には、選択できる生成AIモデルとそれらに対応する説明が含まれている。指示文では、プロンプトが求める応答形式や出力の種類に最も合致するものを一つだけ選択することが指示される。
【0027】
評価プロンプトは、プロンプトのカテゴリー分けのための指示文を含んでいる。カテゴリーは、例えば「業務効率化」、「データ分析」、「マーケティング」、「プログラミング」、「アイデア創出」などが予め指定されている。指示文では、評価対象となるプロンプトが最も当てはまるカテゴリーをメインカテゴリーとし、評価対象となるプロンプトの補足的な要素を表すカテゴリーをサブカテゴリーとして、これらを選択することを指示する。
【0028】
評価プロンプトは、評価対象となるプロンプトについて、例えば複数の評価軸につき複数段階での評価のように、一定の範囲内で点数を付けて出力させる指示文を含んでいる。プロンプトの評価軸としては、例えば、具体性、汎用性、明確性、目的適合性、文章構造、柔軟性、創造性、倫理性が挙げられる。ただし、評価軸には、これら以外が含まれてもよいし、また、これらの一部が含まれていなくてもよい。具体性では、プロンプトが具体的で、必要な情報が過不足なく含まれているか、また、曖昧さがなく、必要な詳細が明示されているかを評価する。汎用性では、プロンプトの投稿目的に利用できるシーンが多いかにつき評価する。明確性では、プロンプトの意図が明確で、誤解を招かないかを評価する。目的適合性では、プロンプトが投稿の目的に適しており、ユーザーの意図する目的やタスクに合致しているかを評価する。文章構造では、プロンプトの書き方や構成にプロンプトエンジニアリングの参考になる工夫やテクニックが含まれているかを評価する。柔軟性では、プロンプトが多様な解釈や回答を許容するかを評価する。創造性では、プロンプトが新しい視点や創造的なアイデアを引き出すように設計されているかを評価する。倫理性では、プロンプトが倫理的に適切であり、問題がないかを評価する。評価プロンプトの指示文は、これらの各評価軸の説明と点数の付け方についての説明を含んでいる。
【0029】
プロンプト評価部32が評価プロンプトを生成したら、プロンプト送信部33は、評価プロンプトを生成AIシステム15に送信する(S2-2)。AI出力情報取得部34は、生成AIシステム15で生成されたAI出力情報を取得する(S2-3)。プロンプト評価部32は、取得したAI出力情報に含まれる評価点から、総合評価点を算出する(S2-4)。総合評価点は、評価軸ごとの評価点に所定の重み付けをすることで算出される。重み付けの一例として、具体性にはそれぞれの評価軸に0.5~15.0の係数を設定することができる。総合評価点は、重み付けの係数を評価点に乗算して合算することで算出される。
【0030】
ユーザーは、使用するAIモデルを自分で指定するか、あるいは情報処理システム10でプロンプトに適したAIモデルを選択するかを、予め設定しておくことができる。プロンプト評価部32は、ユーザーが情報処理システム10でAIモデルを選択するように設定している場合(S2-5)、プロンプトの評価に含まれる推奨AIモデルの情報を抽出し(S2-6)、S3に進む。ユーザーが自分でAIモデルを指定するように設定している場合は、そのままS3に進む。
【0031】
プロンプトを評価したら、プロンプト送信部33はプロンプトを生成AIシステム15に送信する(S3)。ここで、S2-6において推奨AIモデルの情報が抽出されている場合、プロンプト送信部33は当該推奨AIモデルの生成AIシステム15にプロンプトを送信し、ユーザーが自分でAIモデルを選択している場合は、そのAIモデルの生成AIシステム15にプロンプトを送信する。
【0032】
AI出力情報取得部34は、プロンプトを送信した生成AIシステム15からAI出力情報を取得する(S4)。ユーザー端末通信部30は、取得したAI出力情報をユーザー端末12の表示手段13に表示させる(S5)。ユーザー端末12の表示手段13には、図5に示すように、プロンプト入力領域40と、プロンプト表示領域43とAI出力情報表示領域44とをチャット形式で表示するチャット表示領域42と、共有プロンプト表示領域45とが表示される。AI出力情報は、チャット表示領域42のAI出力情報表示領域44に表示される。
【0033】
プロンプト評価部32で評価したプロンプトの総合評価点が一定以上である場合(S6)、ユーザー端末通信部30は、当該プロンプトを共有してもよいか尋ねる共有オファーをユーザー端末12の表示手段13に表示させる(S7)。プロンプトの総合評価点が一定より低い場合は、本フローを終了する(S8)
【0034】
ユーザーが共有オファーを許可した場合(S9)、プロンプト評価部32は、対象のプロンプトを共有プロンプトとして設定し、ユーザー名やカテゴリーなどの情報と共に記憶手段21に記憶させる(S10)。このとき、ユーザーが作成したプロンプトにつき、固有名詞など具体的な情報を抽象的な表現に置き換えるなどしてもよい。S9でユーザーが共有オファーを許可しなかった場合は、本フローを終了する(S11)。
【0035】
共有プロンプトとして設定されたプロンプトは、図5に示す共有プロンプト表示領域45に表示される。共有プロンプトは、情報処理システム10を使用する全ユーザーに共有される。このため、共有プロンプト表示領域45には、他ユーザーが作成したプロンプトが、ユーザー名およびカテゴリーと共に表示される。共有プロンプト表示領域45に、プロンプト評価において高評価であった共有プロンプトが表示されることにより、ユーザーは、プロンプトを作成する際の参考にすることができる。共有プロンプト表示領域45に表示される共有プロンプトは、情報処理システム10にて設定したおすすめの共有プロンプトを表示するが、ユーザーがカテゴリーや特に高評価のプロンプトなど条件を指定して共有プロンプトを表示できるようにしてもよい。また、共有プロンプト表示領域45に表示される共有プロンプトは、ユーザーがいいね、またはブックマークした共有プロンプトのみ表示するように切替操作できるようにしてもよい。
【0036】
ユーザーは、共有プロンプト表示領域45において、ブックマークアイコン46をクリックすることで、当該共有プロンプトをブックマークに登録することができる。また、ユーザーは、共有プロンプト表示領域45において、いいねアイコン47をクリックすることで、当該共有プロンプトを評価することができる。共有プロンプトを作成したユーザー以外のユーザーがいいねアイコン47をクリックした場合、他者がその共有プロンプトを評価したものとして(S12)、プロンプト評価部32は当該共有プロンプトの総合評価点に加点するなどのプロンプト再評価を行う(S13)。他者評価がない場合、本フローを終了する(S14)。
【0037】
また、本実施形態の情報処理システム10に用いられるプログラムを単独で提供することもできる。この場合、プログラムは、ユーザー端末12との間で情報を送受信するユーザー端末通信処理と、入力されたプロンプトを取得するプロンプト取得処理と、プロンプト取得処理で取得したプロンプトを評価するプロンプト評価処理と、生成AIシステム15にプロンプト取得処理で取得したプロンプトを送信するプロンプト送信処理と、生成AIシステム15からのAI出力情報を取得する情報取得処理と、を実行させる。プロンプト評価処理では、評価したプロンプトが高評価の場合に当該プロンプトを共有プロンプトとして記憶手段に記憶させる。ユーザー端末通信処理では、プロンプト入力領域40と、AI出力情報表示領域44を含むチャット表示領域42と、記憶手段21に記憶された共有プロンプト表示領域45と、を含む表示内容をユーザー端末12の表示手段13に表示させる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用され得る。
【符号の説明】
【0039】
10 情報処理システム
12 ユーザー端末
13 表示手段
15 生成AIシステム
16 通信ネットワーク
20 制御手段
21 記憶手段
22 通信手段
30 ユーザー端末通信部
31 プロンプト取得部
32 プロンプト評価部
33 プロンプト送信部
34 AI出力情報取得部
40 プロンプト入力領域
42 チャット表示領域
43 プロンプト表示領域
44 AI出力情報表示領域
45 共有プロンプト表示領域
46 ブックマークアイコン
47 いいねアイコン
【要約】
【課題】生成AIシステムに入力するためのプロンプト作成を支援できる情報処理システムおよびプログラムを提供する。
【解決手段】表示手段13を有する複数のユーザー端末12から利用可能で、制御手段20および記憶手段21を備え、制御手段20は、表示内容を生成するユーザー端末通信部30と、入力されたプロンプトを取得するプロンプト取得部31と、プロンプトを評価するプロンプト評価部32と、を備え、プロンプト評価部32は、評価したプロンプトが高評価の場合に当該プロンプトを共有プロンプトとして記憶手段21に記憶させ、ユーザー端末通信部30は、プロンプトの入力領域40と、AI出力情報の表示領域44と、記憶手段21に記憶された共有プロンプトの表示領域45と、を含む表示内容を生成する情報処理システム10である。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5