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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20250129BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20250129BHJP
   B02C 18/16 20060101ALI20250129BHJP
   B09B 101/17 20220101ALN20250129BHJP
【FI】
B09B5/00 Z ZAB
B09B3/35
B02C18/16 Z
B09B101:17
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022500240
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(86)【国際出願番号】 JP2020045691
(87)【国際公開番号】W WO2021161636
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2020022738
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510116196
【氏名又は名称】株式会社エムダイヤ
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 弘吉
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-79423(JP,A)
【文献】特開2004-202302(JP,A)
【文献】特開平10-94781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 5/00
B09B 3/00
B02C 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に電子部品が取り付けられた基板から前記電子部品を分離させるための基板処理装置であって、
前記基板の上面から前記電子部品を分離させる上面処理部を備え、
前記上面処理部は、前記基板を上流側から下流側へ搬送する上面処理用搬送部と、前記基板の上面から前記電子部品を分離させる上面用回転刃を有するものであり、
前記上面処理用搬送部が、前記上面用回転刃の下側に位置しかつ搬送方向に並ぶ上流側の第6ベルトコンベアおよび下流側の第7ベルトコンベアを有し、前記上面用回転刃の下流側部分が、前記第6ベルトコンベアと前記第7ベルトコンベアの間の隙間に対向していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記上面処理用搬送部が、前記第6ベルトコンベアの上側に位置する第4ベルトコンベアを有し、上側の前記第4ベルトコンベアと下側の前記第6ベルトコンベアで前記基板を挟んで搬送するものであり、前記上面用回転刃が、前記第4ベルトコンベアの下流側に位置していることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記上面処理用搬送部が、前記第7ベルトコンベアの上側に位置する第5ベルトコンベアを有し、上側の前記第5ベルトコンベアと下側の前記第7ベルトコンベアで前記基板を挟んで搬送するものであり、前記上面用回転刃が、前記第5ベルトコンベアの上流側に位置していることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
上面と下面に電子部品が取り付けられた基板の両面から前記電子部品を分離させるための基板処理装置であって、
前記基板の下面から前記電子部品を分離させる下面処理部と、前記上面処理部を備え、前記下面処理部と前記上面処理部の一方が基板の搬送方向の上流側に位置し他方が下流側に位置しており、
前記下面処理部は、前記基板を上流側から下流側へ搬送する下面処理用搬送部と、前記基板の下面から前記電子部品を分離させる下面用回転刃を有するものであることを特徴とする請求項1、2または3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記上面処理部が、前記下面処理部の下流側に位置するものであり、
前記下面処理用搬送部が、上側に位置する第1ベルトコンベアと、下側に位置しかつ搬送方向に並ぶ上流側の第2ベルトコンベアおよび下流側の第3ベルトコンベアを有し、上側の前記第1ベルトコンベアと下側の前記第2ベルトコンベアおよび前記第3ベルトコンベアとで前記基板を挟んで搬送するものであり、前記下面用回転刃が、前記第2ベルトコンベアと前記第3ベルトコンベアの間に位置していることを特徴とする請求項記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記下面処理用搬送部が、前記第1ベルトコンベアの内側に位置する調整ローラおよび2本の補助ロッドを有しており、
前記調整ローラは、前記下面用回転刃の上側に位置するものであって前記下面用回転刃に対する上下位置が調整可能であり、前記補助ロッドは、前記調整ローラの上流側と下流側に位置するものであって前記下面用回転刃に対する上下位置が固定されていることを特徴とする請求項記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記下面処理部の出口部と前記上面処理部の入口部の間において、前記基板の搬送高さが段違いになっていることを特徴とする請求項記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記第6ベルトコンベアが、下流側の端部が前記上面用回転刃の下側まで延びるものであって、その上面が下流側へ向けて上向きに傾斜するものであることを特徴とする請求項1、2または3記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC、抵抗やコンデンサなどの電子部品を取り付けたプリント基板から電子部品を分離するための基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン、携帯電話などに内蔵されるプリント基板には、種々の希少な金属が含まれており、近年、これらを回収して再利用する取り組みが盛んに行われている。希少金属は、基板自体と、基板上の電子部品の両方に含まれており、回収作業の初期段階として、基板と部品を精度良く分別することで、回収効率を高めることができる。従来、分別方法として、基板を加熱してはんだを溶融させる方法や、薬液により基板を溶融させる方法が知られている。しかし、それらの方法には、加熱のために多くのエネルギを消費する、薬液の処理に手間がかかるといった問題があった。そこで本願発明者は、特許文献1において、加熱処理や薬液処理を行うことなく基板上の部品を分離できる装置を提案している。この装置は、基板を上下から挟んで搬送するベルトコンベアと、基板に対して下側から接する回転刃を備えており、1度の動作で基板の下面から部品を分離するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6554454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置は、基板の上面から部品を分離することができなかった。そして、従来の装置を単に上下逆にするだけでは、基板から分離させた部品が基板と一緒にベルトコンベアで搬送されてしまうことになり、基板と部品を分別するには不都合であった。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みたものであり、加熱処理や薬液処理を行うことなく、基板の上面から部品を分離させられる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上面に電子部品が取り付けられた基板から前記電子部品を分離させるための基板処理装置であって、前記基板の上面から前記電子部品を分離させる上面処理部を備え、前記上面処理部は、前記基板を上流側から下流側へ搬送する上面処理用搬送部と、前記基板の上面から前記電子部品を分離させる上面用回転刃を有するものであり、前記上面処理用搬送部が、前記上面用回転刃の下側に位置しかつ搬送方向に並ぶ上流側の第6ベルトコンベアおよび下流側の第7ベルトコンベアを有し、前記上面用回転刃の下流側部分が、前記第6ベルトコンベアと前記第7ベルトコンベアの間の隙間に対向していることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記上面処理用搬送部が、前記第6ベルトコンベアの上側に位置する第4ベルトコンベアを有し、上側の前記第4ベルトコンベアと下側の前記第6ベルトコンベアで前記基板を挟んで搬送するものであり、前記上面用回転刃が、前記第4ベルトコンベアの下流側に位置しているものであってもよい。
【0008】
また、本発明は、前記上面処理用搬送部が、前記第7ベルトコンベアの上側に位置する第5ベルトコンベアを有し、上側の前記第5ベルトコンベアと下側の前記第7ベルトコンベアで前記基板を挟んで搬送するものであり、前記上面用回転刃が、前記第5ベルトコンベアの上流側に位置しているものであってもよい。
【0010】
また、本発明は、上面と下面に電子部品が取り付けられた基板の両面から前記電子部品を分離させるための基板処理装置であって、前記基板の下面から前記電子部品を分離させる下面処理部と、前記上面処理部を備え、前記下面処理部と前記上面処理部の一方が基板の搬送方向の上流側に位置し他方が下流側に位置しており、前記下面処理部は、前記基板を上流側から下流側へ搬送する下面処理用搬送部と、前記基板の下面から前記電子部品を分離させる下面用回転刃を有するものであってもよい。
【0011】
また、本発明は、前記上面処理部が、前記下面処理部の下流側に位置するものであり、前記下面処理用搬送部が、上側に位置する第1ベルトコンベアと、下側に位置しかつ搬送方向に並ぶ上流側の第2ベルトコンベアおよび下流側の第3ベルトコンベアを有し、上側の前記第1ベルトコンベアと下側の前記第2ベルトコンベアおよび前記第3ベルトコンベアとで前記基板を挟んで搬送するものであり、前記下面用回転刃が、前記第2ベルトコンベアと前記第3ベルトコンベアの間に位置しているものであってもよい。
【0012】
また、本発明は、前記下面処理用搬送部が、前記第1ベルトコンベアの内側に位置する調整ローラおよび2本の補助ロッドを有しており、前記調整ローラは、前記下面用回転刃の上側に位置するものであって前記下面用回転刃に対する上下位置が調整可能であり、前記補助ロッドは、前記調整ローラの上流側と下流側に位置するものであって前記下面用回転刃に対する上下位置が固定されているものであってもよい。
【0013】
また、本発明は、前記下面処理部の出口部と前記上面処理部の入口部の間において、前記基板の搬送高さが段違いになっているものであってもよい。
【0016】
また、本発明は、前記第6ベルトコンベアが、下流側の端部が前記上面用回転刃の下側まで延びるものであって、その上面が下流側へ向けて上向きに傾斜するものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上面処理部を備える装置であって、第6ベルトコンベアおよび第7ベルトコンベアを有し、上面用回転刃の下流側部分が第6ベルトコンベアと第7ベルトコンベアの間の隙間に対向しているものによれば、上面用回転刃により、基板の上面の部品が剥ぎ取られる。部品が剥ぎ取られる際、基板が第6ベルトコンベアによって保持され、さらに下流側に送られた基板は第7ベルトコンベアによって保持されるので、基板は水平向きの姿勢を維持し、部品の分離が確実に行われる。そして、基板は第7ベルトコンベアによって下流側に送られ、基板から分離された部品は第6ベルトコンベアと第7ベルトコンベアの間から落下するので、基板と部品のそれぞれをスムーズに回収できる。
【0018】
また、上面処理用搬送部が第6ベルトコンベアの上側に位置する第4ベルトコンベアを有するものであれば、上面用回転刃の上流側において基板が上下のベルトコンベアに挟まれるものであって、基板が水平向きの姿勢でしっかりと保持されたまま上面用回転刃へと進入するので、部品の分離がより確実に行われる。
【0019】
また、上面処理用搬送部が第7ベルトコンベアの上側に位置する第5ベルトコンベアを有するものであれば、上面用回転刃の下流側において基板が上下のベルトコンベアに挟まれるものであって、上面用回転刃を通過した基板が水平向きの姿勢でしっかりと保持されるので、部品の分離がより確実に行われる。
【0021】
本発明の下面処理部と上面処理部を備える装置によれば、下面処理部と上面処理部を備えていて、それらが上流側と下流側に位置しているので、1度の動作で基板の両面から部品を分離させることができる。
【0022】
また、下面処理用搬送部が上側に位置する上流側から下流側まで延びる第1ベルトコンベアを有するものであれば、より基板を安定して搬送できる。そして、下面処理部が上流側に位置することで、上下面とも未処理の分厚い基板を下面処理用搬送部でより安定して搬送できる。また、下面処理部が、下側の2つのベルトコンベアの間に下面用回転刃が位置するものであれば、下面処理部で分離された部品は、下側のベルトコンベアと下面用回転刃の間から落下するので、スムーズに回収できる。
【0023】
また、下面処理用搬送部が調整ローラおよび補助ロッドを有するものであれば、基板に取り付けられた部品が大きい場合などにおいて、下面用回転刃による部品の分離の際に上向きの衝撃力が生じても、固定された2本の補助ロッドがその力を受け止めるので、スムーズな処理が可能であって、上側の第1ベルトコンベアの損傷を防ぐことができる。
【0024】
また、上流側と下流側において基板の搬送高さが段違いになっているものであれば、基板が当該部分を通過する際に搬送速度が減速され、上面用回転刃による部品の分離がより確実に行われる。
【0026】
また、第6ベルトコンベアが、下流側の端部が上面用回転刃の下側まで延びるものであって下流側へ向けて上向きに傾斜するものであれば、上面用回転刃による部品の分離の際に基板が第6ベルトコンベアによって保持され、かつ傾斜によって基板が上面用回転刃に接近するように搬送されるので、上面用回転刃による部品の分離がより確実に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の基板処理装置の第1参考形態を示し、(a)は平面図(図の上側半分は上側のベルトコンベアを透過した状態を示す)、(b)は側面図である。
図2】下面処理部の拡大図である。
図3】上面処理部の拡大図である。
図4】回転刃の詳細を示し、(a)はロータの側面図(切断刃取付前)、(b)はロータの側面図(切断刃取付後)、(c)はロータの正面図、(d)は回転刃の正面図である。
図5】基板処理装置による基板の処理の流れの説明図である。
図6】基板処理装置の第2実施形態の上面処理部の拡大図である。
図7】基板処理装置の第3実施形態の上面処理部の拡大図である。
図8】基板処理装置の第4実施形態の上面処理部の拡大図である。
図9】基板処理装置の第5実施形態の下面処理部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の基板処理装置の具体的な内容について説明する。なお、以下においては、基板が搬送される上流側を前側、下流側を後側とし、左右は装置を前側から見たときの左右方向を示す。また、基板は略水平向きの状態で搬送されるものであり、その上面と下面に電子部品が取り付けられているものとする。図1に示すように、この基板処理装置の第1参考形態は、下面処理部100と、上面処理部200を備えており、上面処理部200は下面処理部100の後側(下流側)に位置している。下面処理部100と上面処理部200は、架台10の上に設置されている。架台10は、略直方体形の骨組構造体の上面に天板を設けたものである。
【0029】
まず、下面処理部100について説明する。下面処理部100は、基板の下面から電子部品を分離させるためのものである。図1および図2に示すように、下面処理部100は、上側の第1ベルトコンベア1と、下側の第2ベルトコンベア2および第3ベルトコンベア3と、下面用回転刃8を備えるものである。第2ベルトコンベア2と第3ベルトコンベア3は前後方向(基板の搬送方向)に並んでいて、第2ベルトコンベア2は第1ベルトコンベア1の前側部の下側に位置しており、第3ベルトコンベア3は第1ベルトコンベア1の後側部の下側に位置している。また、下面用回転刃8は第2ベルトコンベア2と第3ベルトコンベア3の間に位置している。そして、第1ベルトコンベア1と、第2ベルトコンベア2および第3ベルトコンベア3とで基板を挟んで搬送するものであり、第1ベルトコンベア1、第2ベルトコンベア2および第3ベルトコンベア3が、下面処理用搬送部101を構成している。
【0030】
第1ベルトコンベア1は、前後方向に延びる無端ベルト11と、無端ベルト11の内側の前後両端に設けた端部ローラ12,13を有する。端部ローラ12,13は、左右方向軸周りに回転するものであって、無端ベルト11と略同じ幅である。後側の端部ローラ13にはモータが内蔵されており、この後側の端部ローラ13が駆動することで無端ベルト11が循環するものであって、循環方向は、無端ベルト11の下面が後側に進む向き(図1(b)において反時計回り方向)である。また、第1ベルトコンベア1の左右には、前後方向に延びる桁材14が設けられており、前側の端部ローラ12の左右端部が桁材14に回転自在に支持されており、後側の端部ローラ13の左右端部が桁材14に取り付けられた板状の軸受部15に回転自在に支持されている。そして、軸受部15は、桁材14に対して前後方向に可動となっている。より詳しくは、軸受部15は桁材14にボルト止めされているが、そのボルト孔が前後方向に延びる長孔となっている。そして、桁材14の軸受部15前側に直方体形の支持体151が固定されており、ボルト152が支持体151に対して前側から螺合し、かつボルト152が支持体151を前後に貫通しており、ボルト152の先端(後端)が前側から軸受部15に当接している。このような構成により、ボルト152をねじ込むとボルト152が後側に進み、これにより軸受部15が後側へ移動する。すなわち、ボルト152をねじ込むことで、後側の端部ローラ13が後側へ移動して、無端ベルト11に前後方向の張力がかけられる(軸受部15を桁材14に固定するボルトを緩めた状態で移動させ、移動後にボルトを締め付ける)。そして、左右の桁材14は、前側部および後側部に設けた支柱16によって、架台10の上面に取り付けられている。
【0031】
第2ベルトコンベア2は、前後方向に延びる無端ベルト21と、無端ベルト21の内側の前後両端に設けた端部ローラ22,23を有する。無端ベルト21は、前後方向長さおよび左右方向幅が第1ベルトコンベア1の無端ベルト11と略同じであり、左右の支柱16の間に納まっていて、第1ベルトコンベア1の無端ベルト11の下面に第2ベルトコンベア2の無端ベルト21の上面が対向して当接している。ただし、第2ベルトコンベア2の前端は、第1ベルトコンベア1の前端よりも前側に位置しており、第2ベルトコンベア2の全長の略半分が前側に突出している。端部ローラ22,23は、左右方向軸周りに回転するものであって、無端ベルト21と略同じ幅で、第1ベルトコンベア1の端部ローラ12,13よりも小径である。後側の端部ローラ23にはモータが内蔵されており、この後側の端部ローラ23が駆動することで無端ベルト21が循環するものであって、循環方向は、無端ベルト21の上面が後側に進む向き(図1(b)において時計回り方向)である。また、第2ベルトコンベア2の左右には、前後方向に延びる桁材24が設けられており、前側の端部ローラ22の左右端部が桁材24に回転自在に支持されており、後側の端部ローラ23の左右端部が桁材24に取り付けられた板状の軸受部25に回転自在に支持されている。軸受部25の構成は、第1ベルトコンベア1の軸受部15と同様であり、軸受部25により、無端ベルト21に前後方向の張力がかけられる。そして、左右の桁材24は、前側部および後側部に設けた支持ダンパ26によって、架台10の上面に取り付けられている。支持ダンパ26は、スプリングダンパからなるものであって、スプリングの弾性力により、第2ベルトコンベア2を下側から第1ベルトコンベア1に押し付けている。なお、図1(b)および図2において、第2ベルトコンベア2の前側部分(一点鎖線より前側の部分)は、支持ダンパ26が縮んで第2ベルトコンベア2が下がった状態を表している。
【0032】
第3ベルトコンベア3は、前後方向に延びる無端ベルト31と、無端ベルト31の内側の前後両端に設けた端部ローラ32,33を有する。無端ベルト31は、前後方向長さが第1ベルトコンベア1の無端ベルト11の略1/3であり、左右方向幅が第1ベルトコンベア1の無端ベルト11と略同じであり、左右の支柱16の間に納まっていて、第1ベルトコンベア1の無端ベルト11の下面に第3ベルトコンベア3の無端ベルト31の上面が対向して当接している。ただし、第3ベルトコンベア3の前端は、第2ベルトコンベア2の後端と離隔しており、第3ベルトコンベア3の後端は、第1ベルトコンベア1の後端と略同じ前後位置である。端部ローラ32,33は、左右方向軸周りに回転するものであって、無端ベルト31と略同じ幅で、第2ベルトコンベア2の端部ローラ22,23と同径である。後側の端部ローラ33にはモータが内蔵されており、この後側の端部ローラ33が駆動することで無端ベルト31が循環するものであって、循環方向は、無端ベルト31の上面が後側に進む向き(図1(b)において時計回り方向)である。また、第3ベルトコンベア3の左右には、前後方向に延びる桁材34が設けられており、前側の端部ローラ32の左右端部が桁材34に回転自在に支持されており、後側の端部ローラ33の左右端部が桁材34に取り付けられた板状の軸受部35に回転自在に支持されている。軸受部35の構成は、第1ベルトコンベア1の軸受部15と同様であり、軸受部35により、無端ベルト31に前後方向の張力がかけられる。そして、左右の桁材34は、前側部および後側部に設けた支持ダンパ36によって、架台10の上面に取り付けられている。支持ダンパ36は、スプリングダンパからなるものであって、スプリングの弾性力により、第3ベルトコンベア3を下側から第1ベルトコンベア1に押し付けている。
【0033】
下面用回転刃8は、第1ベルトコンベア1の下側で、第2ベルトコンベア2と第3ベルトコンベア3の間に設けられている。下面用回転刃8は左右方向軸周りに回転するものであって、回転方向は、第2ベルトコンベア2および第3ベルトコンベア3と同様に、上面が後側に進む向き(図1(b)において時計回り方向)であり、上面が第1ベルトコンベア1の無端ベルト11の下面と僅かに離隔している。より詳しくは、下面用回転刃8は、中心に左右方向に延びる回転軸81を有しており、回転軸81の左右部が、架台10の上面の左右にそれぞれ固定された支持壁82により回転自在に支持されている。また、回転軸81の左右端が支持壁82よりも外側に突出しており、右端にプーリ83が取り付けられており、左端にカウンターウェイト84が取り付けられている。そして、架台10の内側の前側部にモータ85が設置されており、モータ85の駆動軸にもプーリ86が取り付けられていて、下面用回転刃8のプーリ83とモータ85のプーリ86に駆動ベルト87を渡し掛けられており、モータ85を駆動することで下面用回転刃8が回転する。
【0034】
さらに、下面用回転刃8の構成についてより詳しくは、回転軸81の、左右の支持壁82の間部分には、18枚のロータ80が左右に並んで取り付けられている。図4(a)に示すように、ロータ80は、板状のロータ本体801を備え、ロータ本体801の中心には回転軸81を通す挿通孔802が形成されおり、挿通孔802の縁部にはキー溝803が形成されている。そして、ロータ本体801の周縁部には、中心軸(挿通孔802)周りに90度間隔で切断刃用切欠部804が形成されていて、図4(a)、(b)に示すように、各切断刃用切欠部804に切断刃805が取り付けられている。この切断刃用切欠部804は、挿入した切断刃805の先端がロータ本体801の周縁部から突出する深さであって、さらに図4(c)に示すように、切断刃805の刃先が下面用回転刃8の回転方向に対して傾斜するように側壁面が傾斜している。そして、各切断刃用切欠部804の回転方向(図4(a)において時計回り方向)前方には、切断刃用切欠部804と連通して固定駒用切欠部806が形成されている。固定駒用切欠部806は、開口部側(外周側)に向けて広がった形状であり、切断刃用切欠部804に切断刃805を挿入した後、固定駒用切欠部806に略台形の固定駒807を挿入してロータ本体801にボルト止めすることで、切断刃805がロータ本体801に固定される。さらに、各ロータ80において、切断刃805の位置に対するキー溝803の位置(円周方向の角度)を異ならせてある。角度は3種類あり、さらにそれぞれについて左右対称なものがあり、計6種類を1組として、これが3組で18枚となっている。ロータ80を18枚合わせた左右方向幅は、第1ベルトコンベア1の無端ベルト11の左右方向幅よりもやや狭い。これらのロータ80が、図4(d)に示すように並べられ、切断刃805が波形に配置されており、キー808によって回転軸81と一体に回転するように固定されている。なお、回転軸81に対してロータ80を取り付ける順序を入れ替えることで、切断刃805の配置パターンを変更できる。
【0035】
また、第1ベルトコンベア1の無端ベルト11の内側の、第2ベルトコンベア2の後側の端部ローラ23の上側位置には、押さえローラ17が設けられている。押さえローラ17は、左右方向軸周りに回転するものであって、無端ベルト11と略同じ幅であり、左右端部が桁材14に回転自在に支持されている。そして、押さえローラ17は第1ベルトコンベア1の端部ローラ12,13よりも小径であって、中心軸が端部ローラ12,13の中心軸よりも下側にずれており、第1ベルトコンベア1の無端ベルト11の下面を、第2ベルトコンベア2の無端ベルト21の上面に押さえ付けている。
【0036】
さらに、図2に示すように、第1ベルトコンベア1の無端ベルト11の内側の、下面用回転刃8の上側位置には、調整ローラ18が設けられている。調整ローラ18は、左右方向軸周りに回転するものであって、無端ベルト11と略同じ幅であり、左右端部がそれぞれ桁材14に取り付けられた軸受部181に回転自在に支持されている。また、調整ローラ18は第1ベルトコンベア1の端部ローラ12,13と同径である。そして、軸受部181は、桁材14に対して上下動可能となっている。より詳しくは、図1および図2に示すように、左右の軸受部181には、それぞれ上側に向けて延びるネジ棒182が取り付けられており、ネジ棒182に斜歯歯車183が螺合している。斜歯歯車183の後側に、左右に延び左右方向軸周りに回転自在なシャフト184が設けられており、シャフト184の左右の斜歯歯車183に対応する位置にウォームギヤ185が取り付けられていて、斜歯歯車183とウォームギヤ185が噛み合っている。そして、シャフト184の右端部にハンドル186が取り付けられている。このような構成により、ハンドル186を回転させると、シャフト184および左右のウォームギヤ185も回転し、さらに斜歯歯車183も回転する。すると、左右の斜歯歯車183にそれぞれ螺合したネジ棒182が上下動するので、これにより軸受部181も上下動する。すなわち、ハンドル186を回転させることで、左右の軸受部181を上下動させて、調整ローラ18の下面用回転刃8に対する上下位置を調整し、これにより、第1ベルトコンベア1の無端ベルト11と下面用回転刃8の間の間隔を調整することができる。
【0037】
また、図2に示すように、第1ベルトコンベア1の無端ベルト11の内側の、調整ローラ18の前側および後側の位置には、補助ロッド19が設けられている。補助ロッド19は、左右に延びる丸棒状のものであって、左右の桁材14の下面に固定されている。すなわち、補助ロッド19は下面用回転刃8に対する上下位置が固定されている。また、補助ロッド19は、調整ローラ18や押さえローラ17よりも小径であって、無端ベルト11の下側の走行部に内側(上側)から当接している。
【0038】
次に、上面処理部200について説明する。上面処理部200は、基板の上面から電子部品を分離させるためのものである。図1および図3に示すように、上面処理部200は、上側の第4ベルトコンベア4および第5ベルトコンベア5と、下側の第6ベルトコンベア6および第7ベルトコンベア7と、上面用回転刃9を備えるものである。第4ベルトコンベア4と第5ベルトコンベア5は前後方向(基板の搬送方向)に並んでおり、第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7も前後方向(基板の搬送方向)に並んでいて、第6ベルトコンベア6は第4ベルトコンベア4の下側に位置しており、第7ベルトコンベア7は第5ベルトコンベア5の下側に位置している。また、上面用回転刃9は第4ベルトコンベア4と第5ベルトコンベア5の間に位置しておりかつ上面用回転刃9の後側部分が第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7の間の隙間に対向している。そして、第4ベルトコンベア4と第6ベルトコンベア6および第5ベルトコンベア5と第7ベルトコンベア7で基板を挟んで搬送するものであり、第4ベルトコンベア4、第5ベルトコンベア5、第6ベルトコンベア6および第7ベルトコンベア7が、上面処理用搬送部201を構成している。
【0039】
第4ベルトコンベア4と第5ベルトコンベア5は同じ構造であり、併せて説明する。第4ベルトコンベア4(第5ベルトコンベア5)は、前後方向に延びる無端ベルト41(51)と、無端ベルト41(51)の内側の前後両端に設けた端部ローラ42,43(52,53)を有する。無端ベルト41(51)は、前後方向長さが下面処理部100の第3ベルトコンベア3の無端ベルト31と略同じであり、左右方向幅が下面処理部100の第1ベルトコンベア1の無端ベルト11と略同じである。端部ローラ42,43(52,53)は、左右方向軸周りに回転するものであって、無端ベルト41(51)と略同じ幅で、下面処理部100の第2ベルトコンベア2の端部ローラ22,23と同径である。後側の端部ローラ43(53)にはモータが内蔵されており、この後側の端部ローラ43(53)が駆動することで無端ベルト41(51)が循環するものであって、循環方向は、無端ベルト41(51)の下面が後側に進む向き(図1(b)において反時計回り方向)である。また、第4ベルトコンベア4(第5ベルトコンベア5)の左右には、前後方向に延びる桁材44(54)が設けられており、前側の端部ローラ42(52)の左右端部が桁材44(54)に回転自在に支持されており、後側の端部ローラ43(53)の左右端部が桁材44(54)に取り付けられた板状の軸受部45(55)に回転自在に支持されている。軸受部45(55)の構成は、第1ベルトコンベア1の軸受部15と同様であり、軸受部45(55)により、無端ベルト41(51)に前後方向の張力がかけられる。そして、左右の桁材44(54)は、前側部および後側部に設けた支持ダンパ46(56)によって、架台10の上面に取り付けられている。支持ダンパ46(56)は、スプリングダンパからなるものであって、スプリングの弾性力により、第4ベルトコンベア4(第5ベルトコンベア5)を上側から後述の第6ベルトコンベア6(第7ベルトコンベア7)に押し付けている。
【0040】
第6ベルトコンベア6は、前後方向に延びる無端ベルト61と、無端ベルト61の内側の前後両端に設けた端部ローラ62,63と、両端部ローラ62,63の間に設けた中間ローラ67を有する。無端ベルト61は、前後方向長さが第4ベルトコンベア4の無端ベルトよりも長く、左右方向幅が第4ベルトコンベア4の無端ベルト41と略同じであり、左右の支持ダンパ46の間に納まっていて、第4ベルトコンベア4の無端ベルト41の下面に第6ベルトコンベア6の無端ベルト61の上面が対向して当接している。ただし、第6ベルトコンベア6の前端は、第4ベルトコンベア4の前端と略同じ前後位置であり、第6ベルトコンベア6の後端は、第4ベルトコンベア4の後端よりも後側に位置している。端部ローラ62,63および中間ローラ67は、左右方向軸周りに回転するものであって、無端ベルト61と略同じ幅で、下面処理部100の第1ベルトコンベア1の端部ローラ12,13よりも小径かつ下面処理部100の第2ベルトコンベア2の端部ローラ22,23よりも大径である。前側の端部ローラ62にはモータが内蔵されており、この前側の端部ローラ62が駆動することで無端ベルト61が循環するものであって、循環方向は、無端ベルト61の上面が後側に進む向き(図1(b)において時計回り方向)である。また、第6ベルトコンベア6の左右には、前後方向に延びる桁材64が設けられており、中間ローラ67の左右端部が桁材64に回転自在に支持されており、前側の端部ローラ62の左右端部が桁材64に取り付けられた板状の軸受部65に回転自在に支持されている。軸受部65の構成は、第1ベルトコンベア1の軸受部15と同様であって前後対称に配置されており、軸受部65により、無端ベルト61に前後方向の張力がかけられる。なお、桁材64の前後方向長さは無端ベルト61の前後方向長さよりも短いものであり、後側の端部ローラ63については、左右端部が架台10の上面の左右にそれぞれ固定された支持壁92に取り付けられた板状の軸受部68に回転自在に支持されている。軸受部68の構成は、第1ベルトコンベア1の軸受部15と同様であって90度回転した向き(ボルトをねじ込むと軸受部68が上側へ移動する向き)であり、軸受部68により、無端ベルト61に上下方向の張力がかけられる。それとともに、軸受部68は、後側の端部ローラ63が前側の端部ローラ62よりも上側に位置するように上下位置調整が可能であり、後側の端部ローラ63が前側の端部ローラ62よりも上側に位置することで、第6ベルトコンベア6の上面が、後側(下流側)へ向けて上向きに傾斜する。そして、左右の桁材64は、前後方向中央部に設けた支柱66によって、架台10の上面に取り付けられている。
【0041】
第7ベルトコンベア7は、前後方向に延びる無端ベルト71と、無端ベルト71の内側の前後両端に設けた端部ローラ72,73を有する。無端ベルト71は、前後方向長さおよび左右方向幅が第5ベルトコンベア5の無端ベルト51と略同じであり、左右の支持ダンパ56の間に納まっていて、第5ベルトコンベア5の無端ベルト51の下面に第7ベルトコンベア7の無端ベルト71の上面が対向して当接している。ただし、第7ベルトコンベア7の前端は、第5ベルトコンベア5の前端と略同じ前後位置であり、第7ベルトコンベア7の後端は、第5ベルトコンベア5の後端と略同じ前後位置である。端部ローラ72,73は、左右方向軸周りに回転するものであって、無端ベルト71と略同じ幅で、下面処理部100の第1ベルトコンベア1の端部ローラ12,13よりも小径かつ下面処理部100の第2ベルトコンベア2の端部ローラ22,23よりも大径である。後側の端部ローラ73にはモータが内蔵されており、この後側の端部ローラ73が駆動することで無端ベルト71が循環するものであって、循環方向は、無端ベルト71の上面が後側に進む向き(図1(b)において時計回り方向)である。また、第7ベルトコンベア7の左右には、前後方向に延びる桁材74が設けられており、前側の端部ローラ72の左右端部が桁材74に回転自在に支持されており、後側の端部ローラ73の左右端部が桁材74に取り付けられた板状の軸受部75に回転自在に支持されている。軸受部75の構成は、第1ベルトコンベア1の軸受部15と同様であり、軸受部75により、無端ベルト71に前後方向の張力がかけられる。そして、左右の桁材74は、前後方向中央部に設けた支柱76によって、架台10の上面に取り付けられている。
【0042】
なお、第1ベルトコンベア1の無端ベルト11の下面に対して、第6ベルトコンベア6の無端ベルト61の上面は、下側に位置している。すなわち、第1ベルトコンベア1と第3ベルトコンベア3の出口部と、第4ベルトコンベア4と第6ベルトコンベア6の入口部の間において、基板の搬送高さが段違いになっている(後側の方が低くなっている)。この段差は、第2ベルトコンベア2の端部ローラ22,23の半径以下である。また、第6ベルトコンベア6の無端ベルト61の上面に対して、第7ベルトコンベア7の無端ベルト71の上面は、上側に位置している(第6ベルトコンベア6の支柱66よりも第7ベルトコンベア7の支柱76の方が高い)。すなわち、第4ベルトコンベア4と第6ベルトコンベア6の出口部と、第5ベルトコンベア5と第7ベルトコンベア7の入口部の間において、基板の搬送高さが段違いになっている(後側の方が高くなっている)。この段差は、第2ベルトコンベア2の端部ローラ22,23の半径以下である。
【0043】
上面用回転刃9は、第4ベルトコンベア4と第5ベルトコンベア5の間に設けられており、第6ベルトコンベア6の後側の端部ローラ63の真上に対向している。また、上面用回転刃9の後側部分が、第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7の間の隙間に対向している。上面用回転刃9は左右方向軸周りに回転するものであって、回転方向は、第4ベルトコンベア4および第5ベルトコンベア5と同様に、下面が後側に進む向き(図1(b)において反時計回り方向)である。より詳しくは、上面用回転刃9は、中心に左右方向に延びる回転軸91を有しており、回転軸91の左右部が、架台10の上面の左右にそれぞれ固定された支持壁92により回転自在に支持されている(第6ベルトコンベア6の軸受部68の上側部分に取り付けられている)。また、回転軸91の左右端が支持壁92よりも外側に突出しており、右端にプーリ93が取り付けられており、左端にカウンターウェイト(図示省略)が取り付けられている。そして、架台10の内側の前側部にモータ95が設置されており、モータ95の駆動軸にもプーリ96が取り付けられていて、上面用回転刃9のプーリ93とモータ95のプーリ96に駆動ベルト97を渡し掛けられており、モータ95を駆動することで上面用回転刃9が回転する。上面用回転刃9自体のより詳しい構成については、図4に示す下面用回転刃8と同じであり、説明を省略する。
【0044】
また、架台10の内側には、上下に開口し下窄まり形状となった漏斗部301が設けられている。漏斗部301の上側の開口端部は、下面用回転刃8の下方から上面用回転刃9の下方まで広がっている。そして、漏斗部301の下側の開口部の下側には、回収箱300が設置されている。これらにより、下面用回転刃8および上面用回転刃9によって基板から分離された部品は、漏斗部301を経由して回収箱300に回収される。また、架台10の上側に載置された下面処理部100と上面処理部200の全体が、略直方体形のカバー(図示省略)で覆われている。カバーの前側面と後側面には、それぞれ基板の投入口と排出口が形成されている。
【0045】
続いて、このように構成した基板処理装置によって基板を処理する工程について、図5に基づき説明する。この基板処理装置は、IC、抵抗やコンデンサなどの電子部品が両面に取り付けられたプリント基板から電子部品を分離させるためのものである。作業者は、まず、全てのベルトコンベア(第1ベルトコンベア1~第7ベルトコンベア7)と回転刃(下面用回転刃8と上面用回転刃9)を駆動させ、カバーの投入口から処理対象の基板Bを投入する。この際、基板Bの両面のうち、より大きな部品Pが取り付けられた面を下側にする(図5の(1))。基板Bは、第2ベルトコンベア2の前端部に載り、第1ベルトコンベア1と第2ベルトコンベア2に挟まれて、後側へ搬送される(図5の(2))。この際、第2ベルトコンベア2は、支持ダンパ26により支持されているので、基板Bの厚さに応じて適宜上下動する。第2ベルトコンベア2の後端まで到達した基板Bは、続いて第1ベルトコンベア1と下面用回転刃8に挟まれ、後側へ搬送されつつ、下面用回転刃8により、下面の部品Pが剥ぎ取られる(図5の(3))。なお、下面用回転刃8の回転速度は、第1ベルトコンベア1の搬送速度よりも速い。分離された部品Pは、下面用回転刃8と第3ベルトコンベア3の間から落下し、漏斗部301を経由して回収箱300に回収される。部品Pが分離された基板Bは、第1ベルトコンベア1と第3ベルトコンベア3に挟まれて、後側へ搬送される(図5の(4))。この際、第3ベルトコンベア3は、支持ダンパ36により支持されているので、基板Bの厚さに応じて適宜上下動する。そして、第3ベルトコンベア3の後端まで到達した基板Bは、続けて第4ベルトコンベア4と第6ベルトコンベア6に挟まれて、さらに後側へ搬送される(図5の(5))。この際、第4ベルトコンベア4は、支持ダンパ46により支持されているので、基板Bの厚さに応じて適宜上下動する。第4ベルトコンベア4の後端まで到達した基板Bは、続いて上面用回転刃9と第6ベルトコンベア6に挟まれ、後側へ搬送されつつ、上面用回転刃9により、上面の部品Pが剥ぎ取られる(図5の(6))。なお、上面用回転刃9の回転速度は、第6ベルトコンベア6の搬送速度よりも速い。分離された部品Pは、第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7の間から落下し、漏斗部301を経由して回収箱300に回収される。部品Pが分離された基板Bは、第5ベルトコンベア5と第7ベルトコンベア7に挟まれて、後側へ搬送される(図5の(7))。この際、第5ベルトコンベア5は、支持ダンパ56により支持されているので、基板Bの厚さに応じて適宜上下動する。そして、第5ベルトコンベア5および第7ベルトコンベア7の後端まで到達した基板Bは、カバーの排出口から排出される(図5の(8))。このようにして、基板Bと部品Pとが分離される。基板Bと部品Pは、それぞれ適宜処理され、基板Bからは基板B上のパターンに用いられる金や銅などが回収され、部品Pからはタンタルなどのレアメタルなどが回収される。
【0046】
このように構成された本発明の基板処理装置の第1参考形態によれば、下面処理部100と上面処理部200を備えていてそれらが上流側と下流側に位置しているので、1度の動作で基板の両面から部品を分離させることができる。また、下面処理用搬送部101は上流側から下流側まで延びる1つの第1ベルトコンベア1を有するので、上下のベルトコンベアが何れも2つに分かれている上面処理用搬送部201と比べて、より基板を安定して搬送できる(上面処理用搬送部201は分離した部品を落下させるために下側のベルトコンベアを2つに分けざるを得ない)。そして、下面処理部100が上流側に位置しているので、上下面とも未処理の分厚い基板を下面処理用搬送部101でより安定して搬送できる。また、下面処理部100が、下側の2つのベルトコンベア(第2ベルトコンベア2、第3ベルトコンベア3)の間に下面用回転刃8が位置するものであるから、下面処理部100で分離された部品は、下側のベルトコンベアと下面用回転刃8の間から落下するので、スムーズに回収できる。また、上面処理部200において基板から部品が剥ぎ取られる際、基板が第6ベルトコンベアによって保持され、さらに下流側に送られた基板は第7ベルトコンベアによって保持されるので、基板は水平向きの姿勢を維持し、部品の分離が確実に行われる。さらに、上面用回転刃9の上流側と下流側において基板が上下のベルトコンベアに挟まれるものであって、基板が水平向きの姿勢でしっかりと保持されたまま上面用回転刃9へと進入し、かつ上面用回転刃9を通過した基板が水平向きの姿勢でしっかりと保持されるので、部品の分離がより確実に行われる。そして、下側の2つのベルトコンベア(第6ベルトコンベア6、第7ベルトコンベア7)の間の隙間に上面用回転刃9の後側部分が対向するものであるから、基板は第7ベルトコンベアによって下流側に送られ、基板から分離された部品は下側のベルトコンベア同士の間から落下するので、基板と部品のそれぞれをスムーズに回収できる。さらに、下面処理用搬送部101が調整ローラ18および補助ロッド19を有するものであるから、基板に取り付けられた部品が大きい場合などにおいて、下面用回転刃8による部品の分離の際に上向きの衝撃力が生じても、固定された2本の補助ロッド19がその力を受け止めるので、スムーズな処理が可能であって、第1ベルトコンベア1の損傷を防ぐことができる。なお、上面処理部200では、既に基板の下面が処理済みなので基板全体の厚さは薄くなっており、衝撃は小さいので補助ロッド19がなくても問題ない。また、第1ベルトコンベア1と第3ベルトコンベア3の出口部(下面処理部100の出口部)と第4ベルトコンベア4と第6ベルトコンベア6の入口部(上面処理部200の出口部)の間および第4ベルトコンベア4と第6ベルトコンベア6の出口部と第5ベルトコンベア5と第7ベルトコンベア7の入口部の間において、基板の搬送高さが段違いになっているものであるから、基板が当該部分を通過する際に搬送速度が減速され、上面用回転刃9による部品の分離がより確実に行われる。特に後者の部分では、上面用回転刃9の上流側と下流側部分において下流側が高くなっていることにより、当該部分を通過する基板が、後側が持ち上がる向きに傾斜するので、基板の上面に対して上面用回転刃9が確実に接触して部品が分離される。さらに、第6ベルトコンベア6の下流側の端部が上面用回転刃9の下側まで延びるものであって、かつ第6ベルトコンベア6の上面が下流側へ向けて上向きに傾斜するものであるから、上面用回転刃9による部品の分離の際に基板が第6ベルトコンベア6によって保持され、かつ傾斜によって基板が上面用回転刃9に接近するように搬送されるので、上面用回転刃9による部品の分離がより確実に行われる。
【0047】
次に、本発明の基板処理装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1参考形態と比較して、上面処理部200の上面処理用搬送部201の構成が異なるものであり、以下においては当該部分についてのみ説明する。図6に示すように、第2実施形態の上面処理用搬送部201は、上面用回転刃9の下側の第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7から構成される。この第6ベルトコンベア6および第7ベルトコンベア7は、第1参考形態のものと同じであり、第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7は前後方向(基板の搬送方向)に並んでいて、上面用回転刃9の後側部分が第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7の間の隙間に対向している。すなわち、第2実施形態の上面処理用搬送部201は、第1参考形態の上面処理用搬送部201から、第4ベルトコンベア4と第5ベルトコンベア5をなくしたものである。
【0048】
このように構成された本発明の基板処理装置の第2実施形態によれば、上面処理部200において基板から部品が剥ぎ取られる際、基板が第6ベルトコンベア6によって保持され、さらに下流側に送られた基板は第7ベルトコンベア7によって保持されるので、基板は水平向きの姿勢を維持し、部品の分離が確実に行われる。そして、下側の2つのベルトコンベア(第6ベルトコンベア6、第7ベルトコンベア7)の間の隙間に上面用回転刃9の後側部分が対向するものであるから、基板は第7ベルトコンベア7によって下流側に送られ、基板から分離された部品は下側のベルトコンベア同士の間から落下するので、基板と部品のそれぞれをスムーズに回収できる。その他、下面処理部100についておよび下面処理部100と上面処理部200を備えることについては第1参考形態と同じであり、同様の作用効果を奏する。
【0049】
次に、本発明の基板処理装置の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1参考形態と比較して、上面処理部200の上面処理用搬送部201の構成が異なるものであり、以下においては当該部分についてのみ説明する。図7に示すように、第3実施形態の上面処理用搬送部201は、上面用回転刃9の上流側の第4ベルトコンベア4および上面用回転刃9の下側の第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7から構成される。この第4ベルトコンベア4、第6ベルトコンベア6および第7ベルトコンベア7は、第1参考形態のものと同じであり、第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7は前後方向(基板の搬送方向)に並んでいて、第6ベルトコンベア6は第4ベルトコンベア4の下側に位置しており、上面用回転刃9の後側部分が第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7の間の隙間に対向している。すなわち、第3実施形態の上面処理用搬送部201は、第1参考形態の上面処理用搬送部201から、第5ベルトコンベア5をなくしたものである。
【0050】
このように構成された本発明の基板処理装置の第3実施形態によれば、上面処理部200において基板から部品が剥ぎ取られる際、基板が第6ベルトコンベア6によって保持され、さらに下流側に送られた基板は第7ベルトコンベア7によって保持されるので、基板は水平向きの姿勢を維持し、部品の分離が確実に行われる。さらに、上面用回転刃9の上流側において基板が上下のベルトコンベアに挟まれるものであって、基板が水平向きの姿勢でしっかりと保持されたまま上面用回転刃9へと進入するので、部品の分離がより確実に行われる。そして、下側の2つのベルトコンベア(第6ベルトコンベア6、第7ベルトコンベア7)の間の隙間に上面用回転刃9の後側部分が対向するものであるから、基板は第7ベルトコンベア7によって下流側に送られ、基板から分離された部品は下側のベルトコンベア同士の間から落下するので、基板と部品のそれぞれをスムーズに回収できる。その他、下面処理部100についておよび下面処理部100と上面処理部200を備えることについては第1参考形態と同じであり、同様の作用効果を奏する。
【0051】
次に、本発明の基板処理装置の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1参考形態と比較して、上面処理部200の上面処理用搬送部201の構成が異なるものであり、以下においては当該部分についてのみ説明する。図8に示すように、第4実施形態の上面処理用搬送部201は、上面用回転刃9の下流側の第5ベルトコンベア5および上面用回転刃9の下側の第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7から構成される。この第5ベルトコンベア5、第6ベルトコンベア6および第7ベルトコンベア7は、第1参考形態のものと同じであり、第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7は前後方向(基板の搬送方向)に並んでいて、第7ベルトコンベア7は第5ベルトコンベア5の下側に位置しており、上面用回転刃9の後側部分が第6ベルトコンベア6と第7ベルトコンベア7の間の隙間に対向している。すなわち、第4実施形態の上面処理用搬送部201は、第1参考形態の上面処理用搬送部201から、第4ベルトコンベア4をなくしたものである。
【0052】
このように構成された本発明の基板処理装置の第4実施形態によれば、上面処理部200において基板から部品が剥ぎ取られる際、基板が第6ベルトコンベア6によって保持され、さらに下流側に送られた基板は第7ベルトコンベア7によって保持されるので、基板は水平向きの姿勢を維持し、部品の分離が確実に行われる。さらに、上面用回転刃9の下流側において基板が上下のベルトコンベアに挟まれるものであって、上面用回転刃9を通過した基板が水平向きの姿勢でしっかりと保持されるので、部品の分離がより確実に行われる。そして、下側の2つのベルトコンベア(第6ベルトコンベア6、第7ベルトコンベア7)の間の隙間に上面用回転刃9の後側部分が対向するものであるから、基板は第7ベルトコンベア7によって下流側に送られ、基板から分離された部品は下側のベルトコンベア同士の間から落下するので、基板と部品のそれぞれをスムーズに回収できる。その他、下面処理部100についておよび下面処理部100と上面処理部200を備えることについては第1参考形態と同じであり、同様の作用効果を奏する。
【0053】
次に、本発明の基板処理装置の第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1参考形態と比較して、下面処理部100の下面処理用搬送部101の構成が異なるものであり、以下においては当該部分についてのみ説明する。図9に示すように、第5実施形態の下面処理用搬送部101は、下面用回転刃8の上側の第1ベルトコンベア1および下面用回転刃8の上流側の第2ベルトコンベア2から構成される。第1ベルトコンベア1は、下面用回転刃8よりも上流側から、下面用回転刃8の直上まで延びるものであり、前後方向に延びる無端ベルト11と、無端ベルト11の内側の前後両端に設けた端部ローラ12,13を有する。ただし、後側の端部ローラ13は、第1参考形態の調整ローラ18と同様に、左右端部が軸受部181によって支持されており、軸受部181は桁材14に対して上下動可能となっている。また、前側の端部ローラ12の左右端部が桁材14に取り付けられた板状の軸受部15に回転自在に支持されており、軸受部15は桁材14に対して前後方向に可動となっている。さらに、第1参考形態と同様に、第1ベルトコンベア1の無端ベルト11の内側の、第2ベルトコンベア2の後側の端部ローラ23の上側位置には、押さえローラ17が設けられている。第2ベルトコンベア2は、第1参考形態のものと同じであり、第2ベルトコンベア2は第1ベルトコンベア1の前側部の下側に位置している。すなわち、第5実施形態の下面処理用搬送部101は、第1参考形態の下面処理用搬送部101から、第3ベルトコンベア3をなくし、第1ベルトコンベア1を短くしたものである。そして、下面処理部100の第1ベルトコンベア1の下流側に、上面処理部200の第4ベルトコンベア4が位置し、下面処理部100の下面用回転刃8の下流側に、上面処理部200の第6ベルトコンベア6が位置する。
【0054】
このように構成された本発明の基板処理装置の第5実施形態によれば、下面処理部100の下面用回転刃8が、下側の2つのベルトコンベア(第2ベルトコンベア2、上面処理部200の第6ベルトコンベア6)の間に位置するものであるから、下面処理部100で分離された部品は、下側のベルトコンベアと下面用回転刃8の間から落下するので、スムーズに回収できる。その他、上面処理部200についておよび下面処理部100と上面処理部200を備えることについては第1参考形態と同じであり、同様の作用効果を奏する。
【0055】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、上面処理部が下面処理部の上流側に位置するものであってもよいし、下面処理部を有さず上面処理部のみ有するものであってもよい。また、各ベルトコンベアおよび各回転刃を支持する構造については、どのようなものであってもよい。さらに、回転刃の構造についても、一例を示したものであって、どのようなものであってもよい。また、上流側と下流側の上下のベルトコンベアの間における基板の搬送高さについて、上記とは異なる態様で段違いになっているものであってもよいし、段違いになっていないものであってもよい。なお、上記の実施形態の装置は、パソコンの基板を対象としたものであるが、たとえば、より小さい携帯電話の基板を対象とする場合には、回転刃のロータの数を少なくしたり、各ベルトコンベアの幅や長さを短くしたりするなど、上記の構成のまま全体を小さくすればよい。
【符号の説明】
【0056】
1 第1ベルトコンベア
2 第2ベルトコンベア
3 第3ベルトコンベア
4 第4ベルトコンベア
5 第5ベルトコンベア
6 第6ベルトコンベア
7 第7ベルトコンベア
8 下面用回転刃
9 上面用回転刃
18 調整ローラ
19 補助ロッド
100 下面処理部
101 下面処理用搬送部
200 上面処理部
201 上面処理用搬送部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9