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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】熱利用発電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H10N 15/00 20230101AFI20250129BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
H10N15/00
H02N11/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019119041
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021005650
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-06-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390039929
【氏名又は名称】三桜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】梅 ▲ヒョウ▼
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直哉
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正樹
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038988(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/161926(WO,A1)
【文献】特開2002-042863(JP,A)
【文献】特開2005-251417(JP,A)
【文献】国際公開第2015/087388(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/007812(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/140856(WO,A1)
【文献】特開2018-019042(JP,A)
【文献】特開2009-009722(JP,A)
【文献】特開2010-251692(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161051(WO,A1)
【文献】特開2007-280665(JP,A)
【文献】特表平08-501409(JP,A)
【文献】特開平11-273753(JP,A)
【文献】特開2000-090989(JP,A)
【文献】特開2008-159399(JP,A)
【文献】特開2008-226728(JP,A)
【文献】特開2015-220103(JP,A)
【文献】特開2017-152632(JP,A)
【文献】特開2010-135619(JP,A)
【文献】特開2007-018909(JP,A)
【文献】特開2020-108315(JP,A)
【文献】特開2007-299709(JP,A)
【文献】特開平04-190572(JP,A)
【文献】国際公開第2010/100929(WO,A1)
【文献】特開2006-040636(JP,A)
【文献】国際公開第2001/071821(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/169488(WO,A1)
【文献】特開平09-107129(JP,A)
【文献】特開2008-227178(JP,A)
【文献】国際公開第2011/019078(WO,A1)
【文献】米国特許第05376184(US,A)
【文献】特開2018-113304(JP,A)
【文献】特開2004-193177(JP,A)
【文献】特開2003-092433(JP,A)
【文献】特開2009-194291(JP,A)
【文献】特開平06-060918(JP,A)
【文献】特開平06-151978(JP,A)
【文献】犬飼潤治,特集「二次電池と表面科学」企画趣旨,表面科学,2013年,第34巻,第6号,p. 286-289
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 15/00
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に沿って順に重なる第1熱電変換層及び第1電解質層を有する第1熱利用発電素子と、
前記積層方向において前記第1熱利用発電素子に重なり、前記積層方向に沿って順に重なる第2電解質層及び第2熱電変換層を有する第2熱利用発電素子と、
前記積層方向において前記第1熱利用発電素子及び前記第2熱利用発電素子の間に位置する第1集電極と、
を備え、
前記第1電解質層と前記第2電解質層とは、前記第1集電極を介して互いに対向し、
前記第1熱利用発電素子と、前記第2熱利用発電素子とは、互いに並列接続され、
前記第1熱電変換層は、前記積層方向において積層される第1電子熱励起層及び第1電子輸送層を有し、
前記第1電子熱励起層は、前記第1電子輸送層と前記第1電解質層との間に位置し、
前記第2熱電変換層は、前記積層方向において積層される第2電子熱励起層及び第2電子輸送層を有し、
前記第2電子熱励起層は、前記第2電子輸送層と前記第2電解質層との間に位置し、
前記第1集電極は、前記積層方向において前記第1熱利用発電素子側に位置すると共に前記第1電解質層に接する第1表面と、前記積層方向において前記第2熱利用発電素子側に位置すると共に前記第2電解質層に接する第2表面とを有し、
前記第1電解質層と前記第2電解質層とは、前記第1集電極のうち突出部の反対側に位置する縁にて互いに一体化しており、かつ、前記縁にて前記第1熱電変換層と前記第2熱電変換層とは互いに一体化していない、熱利用発電モジュール。
【請求項2】
前記第1熱電変換層に接する第3表面と、前記第2熱電変換層に接する第4表面とを有する第2集電極をさらに備え、
前記第1集電極と、前記第1熱利用発電素子と、前記第2熱利用発電素子と、前記第2集電極とは、前記第1集電極の長手方向に沿って延在すると共に巻回されている、請求項1に記載の熱利用発電モジュール。
【請求項3】
前記第1熱電変換層に接する第3表面と、前記第2熱電変換層に接する第4表面とを有する第2集電極をさらに備え、
前記第1熱電変換層と前記第2熱電変換層とは、前記第2集電極の縁にて互いに一体化している、請求項に記載の熱利用発電モジュール。
【請求項4】
前記第1熱電変換層と前記第2熱電変換層のそれぞれは、前記第2集電極の長手方向に沿って間欠的に設けられる、請求項2または3に記載の熱利用発電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱利用発電モジュールに関し、特に熱電変換機能を奏する熱利用発電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
地熱又は工場の排熱等を利用した熱利用発電として、ゼーベック効果を利用した方法が挙げられる。また、ゼーベック効果を利用しない熱利用発電として、下記特許文献1に開示される熱利用発電素子が挙げられる。下記特許文献1では、電解質と、熱励起電子及び正孔を生成する熱電変換材料とを組み合わせることによって、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することが開示されている。このような熱利用発電素子を電子部品の電源として用いることによって、例えば一般的な電池が劣化しやすい高温環境下(例えば、50℃以上)においても、当該電子部品に対して安定した電力を供給できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/038988号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような熱を利用した発電装置を実用化するためには、用途に応じて制約されたスペースで出力電流を増大することが求められる。
【0005】
本発明の一側面の目的は、用途に応じて制約されたスペースで出力電流を増大できる熱利用発電モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る熱利用発電モジュールは、積層方向に沿って順に重なる第1熱電変換層及び第1電解質層を有する第1熱利用発電素子と、積層方向において第1熱利用発電素子に重なり、積層方向に沿って順に重なる第2電解質層及び第2熱電変換層を有する第2熱利用発電素子と、積層方向において第1熱利用発電素子及び第2熱利用発電素子の間に位置する第1集電極と、を備え、第1電解質層と第2電解質層とは、第1集電極を介して互いに対向し、第1熱利用発電素子と、第2熱利用発電素子とは、互いに並列接続される。
【0007】
上記熱利用発電モジュールは、積層方向に沿って互いに重なる第1熱利用発電素子及び第2熱利用発電素子を備える。これにより、用途に応じて制約されたスペースで熱利用発電素子同士を効率的に配置できる。加えて、上記熱利用発電モジュールは、積層方向において第1熱利用発電素子及び第2熱利用発電素子の間に位置する第1集電極を備え、第1電解質層と第2電解質層とは、第1集電極を介して互いに対向し、第1熱利用発電素子と第2熱利用発電素子とは、互いに並列接続されている。したがって、熱利用発電モジュールが加熱されることによって第1熱利用発電素子と第2熱利用発電素子との両方から電流が出力されるので、熱利用発電モジュールの出力電流を増大できる。
【0008】
第1集電極は、積層方向において第1熱利用発電素子側に位置すると共に第1電解質層に接する第1表面と、積層方向において第2熱利用発電素子側に位置すると共に第2電解質層に接する第2表面とを有し、第1電解質層と第2電解質層とは、第1集電極の縁にて互いに一体化してもよい。この場合、例えば第1集電極に対して第1電解質層と第2電解質層とを同時に形成できる。これにより、熱利用発電モジュールの製造コストを低減できる。
【0009】
上記熱利用発電モジュールは、第1熱電変換層に接する第3表面と、第2熱電変換層に接する第4表面とを有する第2集電極をさらに備え、第1集電極と、第1熱利用発電素子と、第2熱利用発電素子と、第2集電極とは、積層方向に交差する長手方向に沿って延在すると共に巻回されてもよい。この場合、用途に応じて制約されたスペースで熱利用発電素子同士をより効率的に配置できる。
【0010】
第1熱電変換層と第2熱電変換層とは、第2集電極の縁にて互いに一体化してもよい。この場合、例えば第2集電極に対して第1熱電変換層と第2熱電変換層とを同時に形成できる。これにより、熱利用発電モジュールの製造コストを低減できる。
【0011】
第1電解質層と第2電解質層のそれぞれは、第1集電極の長手方向に沿って間欠的に設けられ、第1熱電変換層と第2熱電変換層のそれぞれは、第2集電極の長手方向に沿って間欠的に設けられてもよい。この場合、第1集電極及び第2集電極が巻回されるとき、第1熱利用発電素子及び第2熱利用発電素子の破損を抑制できる。
【0012】
第1熱電変換層は、積層方向において互いに積層される電子熱励起層及び電子輸送層を有し、電子熱励起層は、電子輸送層と第1電解質層との間に位置してもよい。この場合、電子輸送層を介して電子熱励起層から電子が良好に取り出されるので、熱利用発電モジュールの性能を向上できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一側面によれば、用途に応じて制約されたスペースで出力電流を増大できる熱利用発電モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1実施形態に係る熱利用発電モジュールを示す概略断面図である。
図2図2(a)は、単一の熱利用発電素子及び端子を示す概略断面図であり、図2(b)は、熱利用発電素子の発電機構を説明するための模式図である。
図3図3(a)は、第1集電極の概略斜視図であり、図3(b)は、図3(a)の平面図であり、図3(c)は、図3(a)の一部の断面図である。
図4図4(a)は、第2集電極の概略斜視図であり、図4(b)は、図4(a)の平面図であり、図4(c)は、図4(a)の一部の断面図である。
図5図5(a)~(c)は、熱利用発電モジュールの製造方法を説明するための図である。
図6図6は、第1実施形態の第1変形例に係る熱利用発電モジュールの一部を示す概略断面図である。
図7図7(a)は、積層体の巻回前状態を示す斜視図であり、図7(b),(c)は、積層体を巻回する状態を示す図である。
図8図8は、第2実施形態に係る熱利用発電モジュールを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
(第1実施形態)
図1を参照しながら、第1実施形態に係る熱利用発電モジュールの構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る熱利用発電モジュールを示す概略断面図である。図1に示される熱利用発電モジュール1は、外部から熱が供給されることによって発電する機能を示す部材(すなわち、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱発電体)の集合体である。熱利用発電モジュール1は、複数の熱利用発電素子2と、複数の第1集電極3と、複数の第2集電極4と、外電極5,6とを備える。熱利用発電モジュール1の形状は、特に限定されない。平面視における熱利用発電モジュール1の形状は、例えば矩形状等の多角形状でもよいし、円形状でもよいし、楕円形状でもよい。
【0017】
複数の熱利用発電素子2と、第1集電極3と、第2集電極4とは、所定の方向に沿って互いに重なっている。以下では、上記所定の方向を単に「積層方向」とする。また、本明細書における「同一」は、「完全同一」だけではなく「実質的に同一」も含む概念である。
【0018】
複数の熱利用発電素子2のそれぞれは、同一形状を呈する熱発電体であり、外部から熱が供給されることによって熱励起電子及び正孔を生成する。熱利用発電素子2による熱励起電子及び正孔の生成は、例えば25℃以上300℃以下にて実施される。十分な数の熱励起電子及び正孔を生成する観点から、熱利用発電モジュール1の使用時において熱利用発電素子2は、例えば50℃以上に加熱されてもよい。熱利用発電素子2の劣化等を良好に防止する観点から、熱利用発電モジュール1の使用時において熱利用発電素子2は、例えば200℃以下に加熱されてもよい。なお、十分な数の熱励起電子が生成される温度は、例えば「熱利用発電素子2の熱励起電子密度が1015/cm以上となる温度」である。
【0019】
第1実施形態では、複数の熱利用発電素子2のそれぞれは、積層方向に沿って互いに重なっており、且つ、互いに並列接続されている。複数の熱利用発電素子2の数は、熱利用発電モジュール1に対して求められる性能に応じて変化する。
【0020】
複数の熱利用発電素子2のそれぞれは、積層方向において互いに重なる熱電変換層12及び電解質層13を有する積層体である。また、熱電変換層12は、積層方向において互いに重なる電子熱励起層12a及び電子輸送層12bを有し、可撓性を示す層である。
【0021】
電子熱励起層12aは、熱利用発電素子2にて熱励起電子及び正孔を生成する層であり、電解質層13に接する。電子熱励起層12aは、熱電変換材料を含む。熱電変換材料は、高温環境下にて励起電子が増加する材料であり、例えば、金属半導体(Si,Ge)、テルル化合物半導体、シリコンゲルマニウム(Si-Ge)化合物半導体、シリサイド化合物半導体、スクッテルダイト化合物半導体、クラスレート化合物半導体、ホイスラー化合物半導体、ハーフホイスラー化合物半導体、金属酸化物半導体、金属硫化物半導体、有機半導体等の半導体材料である。比較的低温にて十分な熱励起電子を生成する観点から、熱電変換材料は、ゲルマニウム(Ge)でもよい。電子熱励起層12aの厚さは、例えば0.1μm以上100μm以下である。この場合、電子熱励起層12aは、良好な可撓性を示す。
【0022】
電子熱励起層12aは、複数の熱電変換材料を含んでもよい。電子熱励起層12aは、熱電変換材料以外の材料を含んでもよい。例えば、電子熱励起層12aは、熱電変換材料を結合させるバインダ、熱電変換材料の成形を補助する焼結助剤などを含んでもよい。電子熱励起層12aは、例えばスキージ法、スクリーン印刷法、放電プラズマ焼結法、圧縮成形法、スパッタリング法、真空蒸着法、化学気相成長法(CVD法)、スピンコート法等によって形成される。
【0023】
電子輸送層12bは、電子熱励起層12aにて生成された熱励起電子を外部へ輸送する層であり、積層方向において電子熱励起層12aを介して電解質層13の反対側に位置する。よって熱利用発電素子2においては、積層方向において電子輸送層12bと電解質層13との間に、電子熱励起層12aが位置する。電子輸送層12bは、電子輸送材料を含む。電子輸送材料は、その伝導帯電位が熱電変換材料の伝導帯電位と同じかそれよりも正である材料である。電子輸送材料の伝導帯電位と、熱電変換材料の伝導帯電位との差は、例えば0.01V以上0.1V以下である。電子輸送材料は、例えば半導体材料、金属材料、電子輸送性有機物等である。電子輸送層12bは、例えばスキージ法、スクリーン印刷法、放電プラズマ焼結法、圧縮成形法、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、スピンコート法等によって形成される。電子輸送層12bの厚さは、例えば0.1μm以上100μm以下である。この場合、電子輸送層12bは、良好な可撓性を示す。
【0024】
電子輸送材料に用いられる半導体材料は、例えば、電子熱励起層12aに含まれる半導体材料と同一である。金属材料は、例えば金属、合金、N型金属酸化物、N型金属硫化物、ハロゲン化アルカリ金属、アルカリ金属等である。N型金属は、例えばニオブ、チタン、亜鉛、錫、バナジウム、インジウム、タングステン、タンタル、ジルコニウム、モリブデン及びマンガンである。電子輸送性有機物は、例えば、N型導電性高分子、N型低分子有機半導体、π電子共役化合物等である。電子輸送層12bは、複数の電子輸送材料を含んでもよい。電子輸送層12bは、電子輸送材料以外の材料を含んでもよい。例えば、電子輸送層12bは、電子輸送材料を結合させるバインダ、電子輸送材料の成形を補助する焼結助剤などを含んでもよい。電子輸送性の観点から、半導体材料はn型Siでもよい。n型Siを含む電子輸送層12bは、例えばシリコン層にリン等をドーピングすることによって形成される。
【0025】
電解質層13は、熱利用発電素子2にて十分な数の熱励起電子が生成される温度にて、電荷輸送イオン対が内部を移動できる電解質を含む層であり、可撓性を示す。電解質層13内を上記電荷輸送イオン対が移動することによって、電解質層13に電流が流れる。「電荷輸送イオン対」は、互いに価数が異なる安定な一対のイオンである。一方のイオンが酸化または還元されると他方のイオンとなり、電子と正孔とを移動できる。電解質層13内の電荷輸送イオン対の酸化還元電位は、電子熱励起層12aに含まれる熱電変換材料の価電子帯電位よりも負である。このため、電子熱励起層12aと電解質層13との界面では、電荷輸送イオン対のうち、酸化されやすいイオンが酸化され、他方のイオンとなる。なお、電解質層13は、電荷輸送イオン対以外のイオンを含んでもよい。電解質層13の厚さは、例えば0.1μm以上100μm以下である。この場合、電解質層13は、良好な可撓性を示す。
【0026】
電解質層13に含まれる電解質は、特に限定されない。当該電解質は、例えば、液体電解質でもよいし、固体電解質でもよいし、ゲル状電解質でもよい。第1実施形態では、電解質層13は固体電解質を含む。固体電解質は、例えば、上記温度にて物理的及び化学的に安定である物質であり、多価イオンを含み得る。固体電解質は、例えば、ナトリウムイオン伝導体、銅イオン伝導体、鉄イオン伝導体、リチウムイオン伝導体、銀イオン伝導体、水素イオン伝導体、ストロンチウムイオン伝導体、アルミニウムイオン伝導体、フッ素イオン伝導体、塩素イオン伝導体、酸化物イオン伝導体等である。固体電解質は、例えば、分子量60万以下のポリエチレングリコール(PEG)またはその誘導体でもよい。固体電解質がPEGである場合、例えば銅イオン、鉄イオン等の多価イオン源が電解質層13に含まれてもよい。寿命向上等の観点から、アルカリ金属イオンが電解質層13に含まれてもよい。PEGの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量に相当する。
【0027】
電解質層13は、有機電解質層でもよいし、無機電解質層でもよい。有機電解質層は、例えば1又は複数の有機物を主な組成とする電解質層である。有機物は、低分子有機化合物及び高分子有機化合物の少なくとも一方を含む。無機電解質層は、例えば1又は複数の無機物を主な組成とする電解質層である。無機物は、単体でもよいし、無機化合物でもよい。有機電解質層に無機物が含まれてもよいし、無機電解質層に有機物が含まれてもよい。上述した有機物及び無機物のそれぞれは、電解質であってもよいし、電解質とは異なってもよい。例えば、電解質層13は、電解質を結合させるバインダ、電解質の成形を補助する焼結助剤などとして機能する有機物または無機物を含み得る。
【0028】
ここで、図2を参照しながら、熱利用発電素子の発電機構の概要について説明する。図2(a)は、単一の熱利用発電素子及び端子を示す概略断面図であり、図2(b)は、熱利用発電素子の発電機構を説明するための模式図である。説明のため、図2(a),(b)に示される電解質層13に含まれる電荷輸送イオン対を鉄イオン(Fe2+,Fe3+)とする。まず、高温環境下において、電子熱励起層12aが熱を吸収すると、電子熱励起層12aにて励起した電子eが生じる。この電子eは、電子輸送層12bに移動する。これにより、電子熱励起層12aには正孔hが生じる。この正孔hは、電子熱励起層12aと電解質層13との第1界面BS1にてFe2+を酸化する。すなわち、この正孔hが第1界面BS1にてFe2+の電子を奪う。これにより、第1界面BS1に位置するFe2+がFe3+になる。一方、電子輸送層12b内にて過剰になった電子eは、外部に移動し、抵抗R及び端子Tを通過して電解質層13に到達する。電解質層13に到達した電子eは、電解質層13と端子Tとの第2界面BS2にてFe3+を還元する。これにより、第2界面BS2に位置するFe3+がFe2+になる。そして、第1界面BS1にて酸化されたFe3+が第2界面BS2に向かって拡散されると共に、第2界面BS2にて還元されたFe2+が第1界面BS1に向かって拡散される。これにより、第1界面BS1と第2界面BS2との上記酸化還元反応が維持される。このような熱励起による電子の生成と、酸化還元反応とが発生することによって、熱利用発電素子2が発電する。なお、電子が抵抗Rを通過する際に発生する仕事が発電に相当する。
【0029】
図1に戻って、第1実施形態では、熱利用発電素子2は、熱電変換層12と電解質層13とが積層方向に沿って順に重なる第1熱利用発電素子11と、電解質層13と熱電変換層12とが積層方向に沿って順に重なる第2熱利用発電素子21とを有する。すなわち、第1熱利用発電素子11における電子熱励起層12a、電子輸送層12b及び電解質層13の積層順序と、第2熱利用発電素子21における電子熱励起層12a、電子輸送層12b及び電解質層13の積層順序とは、互いに異なる。加えて、積層方向において、第1熱利用発電素子11と第2熱利用発電素子21とは、交互に重なる。このため図1に示されるように、第1集電極3と、第1熱利用発電素子11と、第2集電極4と、第2熱利用発電素子21とが、積層方向において順に重なっている。
【0030】
第1集電極3は、熱利用発電素子2における正極及び負極の一方として機能する電極である。第2集電極4は、熱利用発電素子2における正極及び負極の他方として機能する電極である。第1集電極3と第2集電極4とのそれぞれは、例えば単層構造もしくは積層構造を有する導電板である。導電板は、例えば、金属板、合金板、及びそれらの複合板であり、可撓性を示す。第1集電極3と第2集電極4のそれぞれの厚さは、例えば0.1μm以上100μm以下である。この場合、第1集電極3と第2集電極4とは、良好な可撓性を示す。第1集電極3と、第2集電極4とは、積層方向に交差する方向(以下、単に「水平方向」とする)に沿って熱利用発電素子2から突出する突出部3a,4aをそれぞれ有する。外電極5,6の接触防止の観点から、突出部3a,4aは、互いに反対向きに突出することが望ましい。水平方向において突出部3aの反対側に位置する第1集電極3の縁は、熱電変換層12の縁と揃ってもよいし、電解質層13の縁と揃ってもよい。同様に、水平方向において突出部4aの反対側に位置する第2集電極4の縁は、熱電変換層12の縁と揃ってもよいし、電解質層13の縁と揃ってもよい。
【0031】
第1集電極3は、水平方向に延在する表面3b,3cを有する。表面3b(第1表面)は、積層方向において第1熱利用発電素子11側に位置すると共に、第1熱利用発電素子11に含まれる電解質層13に接する。表面3c(第2表面)は、積層方向において第2熱利用発電素子21側に位置すると共に、第2熱利用発電素子21に含まれる電解質層13に接する。このため、第1熱利用発電素子11に含まれる電解質層13と、第2熱利用発電素子21に含まれる電解質層13とは、第1集電極3を介して互いに対向する。一方、第2集電極4は、水平方向に延在する表面4b,4cを有する。表面4b(第3表面)は、積層方向において第1熱利用発電素子11側に位置すると共に、第1熱利用発電素子11に含まれる熱電変換層12に接する。表面4c(第4表面)は、積層方向において第2熱利用発電素子21側に位置すると共に、第2熱利用発電素子21に含まれる熱電変換層12に接する。このため、第1熱利用発電素子11に含まれる熱電変換層12と、第2熱利用発電素子21に含まれる熱電変換層12とは、第2集電極4を介して互いに対向する。
【0032】
熱利用発電モジュール1の性能を良好に発揮する観点から、第1集電極3及び第2集電極4の少なくとも一方は、高熱伝導性を示してもよい。例えば、第1集電極3及び第2集電極4の少なくとも一方の熱伝導率は、10W/m・K以上でもよい。熱利用発電モジュール1では温度差は不要であるため、第1集電極3と第2集電極4との両方が高熱伝導性を示すことが望ましい。
【0033】
外電極5は、熱利用発電モジュール1の正極及び負極の一方として機能する導電体であり、各第1集電極3に電気的に接続される。外電極6は、熱利用発電モジュール1の正極及び負極の他方として機能する導電体であり、各第2集電極4に電気的に接続される。このため、熱利用発電モジュール1では、各熱利用発電素子2は、互いに並列接続される。熱利用発電モジュール1の性能を良好に発揮する観点から、外電極5,6の少なくとも一方は、高熱伝導性を示してもよい。例えば、外電極5,6の少なくとも一方の熱伝導率は、10W/m・K以上でもよい。外電極5,6は熱利用発電素子2に対して離間しているので、外電極5,6は銅等を含んでもよい。熱利用発電モジュール1では温度差は不要であるため、外電極5,6の両方が高熱伝導性を示すことが望ましい。
【0034】
次に、図3図5を参照しながら、第1実施形態に係る熱利用発電モジュール1の製造方法の一例について説明する。図3(a)は、第1集電極の概略斜視図であり、図3(b)は、図3(a)の平面図であり、図3(c)は、図3(a)の一部の断面図である。図4(a)は、第2集電極の概略斜視図であり、図4(b)は、図4(a)の平面図であり、図4(c)は、図4(a)の一部の断面図である。図5(a)~(c)は、熱利用発電モジュールの製造方法を説明するための図である。
【0035】
図3(a)~(c)に示されるように、まず、水平方向に延在すると共に平面視にて帯形状を呈する第1集電極3を準備する。第1集電極3においては、表面3b上と表面3c上とのそれぞれに電解質層13が設けられている。各電解質層13は、第1集電極3の長手方向に沿って延在するように形成される。当該長手方向において、第1集電極3の縁と、各電解質層13の縁とは互いに揃っている。一方、第1集電極3の短手方向において、第1集電極3の縁と、各電解質層13の縁とは互いに揃っていない。具体的には、当該短手方向において、第1集電極3の突出部3aは、電解質層13から突出している。各電解質層13は、例えばスキージ法、スクリーン印刷法、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、ゾルゲル法、又はスピンコート法によって形成される。
【0036】
また、図4(a)~(c)に示されるように、平面視にて帯形状を示す第2集電極4を準備する。第2集電極4においては、表面4b上と表面4c上とのそれぞれに熱電変換層12が設けられている。熱電変換層12に含まれる電子輸送層12bが第2集電極4に接している。各熱電変換層12は、第2集電極4の長手方向に沿って延在するように形成される。当該長手方向において、第2集電極4の縁と、各熱電変換層12の縁とは互いに揃っている。一方、第2集電極4の短手方向において、第2集電極4の縁と、各熱電変換層12の縁とは互いに揃っていない。具体的には、当該短手方向において、第2集電極4の突出部4aは、熱電変換層12から突出している。なお、電解質層13が設けられた第1集電極3の準備と、熱電変換層12が設けられた第2集電極4の準備とは、同時に実施されてもよいし、異なるタイミングにて実施されてもよい。
【0037】
次に、図5(a)に示されるように、電解質層13が設けられた第1集電極3と、熱電変換層12が設けられた第2集電極4とを積層することによって、積層体31を形成する。このとき、各集電極の短手方向において、突出部3a,4aが延在する方向が互いに反対側になるように、第1集電極3と第2集電極4とが積層される。また、第1集電極3の長手方向と、第2集電極4の長手方向とが揃うように、第1集電極3と第2集電極4とが積層される。第1集電極3と第2集電極4とが積層されることによって、第1集電極3に設けられる一対の電解質層13の一方と、第2集電極4に設けられる一対の熱電変換層12の一方とが接する。これにより、第1集電極3と第2集電極4との間には、一対の電解質層13の一方と、一対の熱電変換層12の一方とを有する熱利用発電素子2が形成される。
【0038】
次に、図5(b)に示されるように、長手方向に沿って積層体31を巻回する。このとき、熱電変換層12と電解質層13とのそれぞれは、第1集電極3及び第2集電極4に追従して巻回される。これにより図5(c)に示されるように、第1集電極3に設けられる一対の電解質層13の他方と、第2集電極4に設けられる一対の熱電変換層12の他方とが接する。よって、一対の電解質層13の他方と、一対の熱電変換層12の他方とを有する熱利用発電素子2が形成される。引き続き積層体31を巻回することによって、第1集電極3と第2集電極4との積層方向において、第1熱利用発電素子11と第2熱利用発電素子21とが交互に設けられる。積層体31を巻回した後、第1集電極3の突出部3aを外電極5に接続すると共に、第2集電極4の突出部4aを外電極6に接続することによって、図1に示される断面を備える熱利用発電モジュール1を製造する。
【0039】
以上に説明した第1実施形態に係る熱利用発電モジュール1は、積層方向において互いに重なる第1熱利用発電素子11と第2熱利用発電素子21とを備える。これにより、用途に応じて制約されたスペースで熱利用発電素子2同士を効率的に配置できる。加えて、熱利用発電モジュール1では、第1熱利用発電素子11と第2熱利用発電素子21とは、互いに並列接続されている。したがって、第1熱利用発電素子11と第2熱利用発電素子21との両方から電流が出力されることによって、熱利用発電モジュール1の出力電流を増大できる。例えば、熱利用発電モジュールの設置スペースの制約が大きく、且つ、その小型化が望まれる用途においては、熱利用発電モジュール1の小型化と出力電流の増大とを容易に両立できる。
【0040】
第1実施形態では、熱利用発電モジュール1は、後に第1熱利用発電素子11に含まれる熱電変換層12に接する表面4bと、後に第2熱利用発電素子21に含まれる熱電変換層12に接する表面4cとを有する第2集電極4をさらに備え、第1集電極3と、第1熱利用発電素子11と、第2熱利用発電素子21と、第2集電極4とは、積層方向に交差する方向に沿って延在すると共に巻回される。この場合、熱利用発電素子2同士をより効率的に配置できる。例えば、熱利用発電モジュールの設置スペースの制約が大きく、且つ、その小型化が望まれる用途においては、熱利用発電モジュール1の小型化と、熱利用発電モジュール1の出力電流の増大とを良好に実現可能である。
【0041】
第1実施形態では、熱電変換層12は、積層方向において互いに積層される電子熱励起層12a及び電子輸送層12bを有し、電子熱励起層12aは、電子輸送層12bと電解質層13との間に位置する。このため、電子輸送層12bを介して電子熱励起層12aから電子が良好に取り出されるので、熱利用発電モジュール1の性能を向上できる。
【0042】
以下では、図6を参照しながら第1実施形態の第1変形例について説明すると共に、図7(a),(b)を参照しながら第1実施形態の第2変形例について説明する。
【0043】
図6は、第1実施形態の第1変形例に係る熱利用発電モジュールの一部を示す概略断面図である。図6に示されるように、積層体31は、折り畳まれながら巻回されてもよい。この場合、第1集電極3と熱利用発電素子2と第2集電極4との巻回体には角が設けられる。この角に起因した破損を抑制する観点から、積層体31に含まれる各構成要件は、良好な可撓性を示すことが望ましい。また、当該各構成要件の少なくとも一は、伸長性を示すことがより望ましい。このような第1変形例においても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0044】
図7(a)は、積層体の巻回前状態を示す斜視図である。第2変形例においては、図7(a)に示されるように、第1集電極3の各表面3b,3c上には、第1集電極3の長手方向に沿って各電解質層13が間欠的に設けられる。このため、第1集電極3のうち、長手方向において隣り合う電解質層13同士の間の領域には、電解質層13から露出される露出部3dが設けられる。同様に、第2集電極4の各表面4b,4c上には、第2集電極4の長手方向に沿って各熱電変換層12が間欠的に設けられる。このため、第2集電極4のうち、長手方向において隣り合う熱電変換層12同士の間の領域には、熱電変換層12から露出される露出部4dが設けられる。熱電変換層12と電解質層13とは、積層方向において互いに重なる。このため、露出部3d,4dは、積層方向において互いに重なる。
【0045】
図7(b),(c)は、積層体を巻回する状態を示す図である。図7(b),(c)に示されるように、積層体31Aは、露出部3d,4dが屈曲されることによって折りたたまれる。巻回体の外周側に位置するほど屈曲する部分が大きくなることから、長手方向に沿った露出部3d,4dの寸法は、一方側から他方側にかけて次第に大きくなってもよい。もしくは、第1集電極3と第2集電極4とのそれぞれは、伸長性を示してもよい。このような場合、熱利用発電素子2の屈曲を良好に防止できる。
【0046】
このような第2変形例においても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、積層体31Aにおいては、熱利用発電素子2の屈曲を防止できる。このため、熱利用発電素子2に含まれる構成要件が可撓性を示さない場合であっても、積層体31Aを巻回できる。
【0047】
(第2実施形態)
以下では、第2実施形態に係る熱利用発電モジュールについて説明する。第2実施形態の説明において第1実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第2実施形態に第1実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0048】
図8は、第2実施形態に係る熱利用発電モジュールを示す概略断面図である。図8に示されるように、熱利用発電モジュール1Aは、電解質層13Aが設けられる第1集電極3Aと、熱電変換層12Aが設けられる第2集電極4Aと、第1集電極3Aに接続される外電極5と、第2集電極4Aに接続される外電極6とを備える。水平方向において、第1集電極3Aのうち突出部3aの反対側に位置する縁3eは、電解質層13Aによって覆われる。よって第2実施形態では、第1実施形態と異なり、第1集電極3Aの表面3b上に設けられる電解質層と、第1集電極3Aの表面3c上に設けられる電解質層とは、縁3eにて互いに一体化しているといえる。同様に、水平方向において、第2集電極4Aのうち突出部4aの反対側に位置する縁4eは、熱電変換層12Aによって覆われる。よって第2実施形態では、第2集電極4Aの表面4b上に設けられる熱電変換層と、第2集電極4Aの表面4c上に設けられる熱電変換層とは、縁4eにて互いに一体化しているといえる。
【0049】
以上に説明した第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、第2実施形態によれば、第1集電極3Aに対して、表面3b上に設けられる電解質層と表面3c上に設けられる電解質層とを同時に形成できる。また、第2集電極4Aに対して、表面4b上に設けられる熱電変換層と表面4c上に設けられる熱電変換層とを同時に形成できる。これにより、熱利用発電モジュール1Aの製造コストを低減できる。
【0050】
本発明に係る熱利用発電モジュールは、上記実施形態及び上記変形例等に限定されず、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態及び上記変形例では、熱利用発電素子は熱電変換層及び電解質層を有しているが、これに限られない。熱利用発電素子は、上記2層以外の層を有してもよい。また、熱電変換層は、電子熱励起層及び電子輸送層を有しているが、これに限られない。熱電変換層は、上記2層以外の層を有してもよいし、電子熱励起層のみを有してもよい。
【0051】
上記実施形態及び上記変形例では、電解質層が設けられた第1集電極と、熱電変換層が設けられた第2集電極との積層体は巻回されているが、これに限られない。例えば、熱利用発電モジュールは、複数の上記第1集電極と、複数の上記第2集電極とを有し、これらの第1集電極と第2集電極とは交互に積層されてもよい。この場合、平面視における熱利用発電モジュールの面積を抑制しつつ、熱利用発電モジュールの出力電流を増大できる。加えて、熱利用発電素子及び各集電極は可撓性を示さなくてもよいので、熱利用発電モジュールの設計自由度を向上できる。なお、複数の上記第1集電極と、複数の上記第2集電極とが単に交互に積層される場合、積層方向における熱利用発電モジュールの端は、集電極にて形成可能である。
【0052】
上記実施形態及び上記変形例にて、熱利用発電モジュールは、保護材等によって覆われてもよい。この場合、熱利用発電モジュールの破損等を抑制できる。保護材は、熱利用発電モジュールの全体を覆ってもよいし、その一部を覆ってもよい。例えば、保護材は熱利用発電モジュールの側面のみを覆ってもよい。具体例としては、保護材は、熱利用発電素子において集電極及び外電極から露出する部分のみを覆ってもよい。熱発電効率の観点から、保護材は高熱伝導性を示すことが望ましい。保護材は、例えばSiを含む樹脂(Si伝熱樹脂)、セラミックス、高熱伝導性ガラス等である。保護材には、高熱伝導性を示す熱伝導部材が含まれてもよい。この熱伝導部材は、導電性を示してもよい。この場合、熱伝導部材は、絶縁体によって完全に被覆されている。
【符号の説明】
【0053】
1,1A…熱利用発電モジュール、2…熱利用発電素子、3,3A…第1集電極、3a…突出部、3b…表面、3c…表面、3d…露出部、3e…縁、4,4A…第2集電極、4a…突出部、4b…表面、4c…表面、4d…露出部、4e…縁、5,6…外電極、11…第1熱利用発電素子、12…熱電変換層、12a…電子熱励起層、12b…電子輸送層、13…電解質層、21…第2熱利用発電素子、31,31A…積層体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8