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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20250129BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250129BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
G03G15/00 480
G03G21/00 500
G03G21/16 109
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020099629
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021193434
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相川 憲稔
(72)【発明者】
【氏名】岩井 翔吾
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-42469(JP,A)
【文献】特開2008-236215(JP,A)
【文献】特開2014-221547(JP,A)
【文献】特開2015-96945(JP,A)
【文献】特開2018-5198(JP,A)
【文献】特開2021-107283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
シートを前記画像形成装置へ給送するシート給送装置と、を備えた画像形成システムであって、
前記シート給送装置は、
シートを積載する積載トレイと、
前記積載トレイに積載されたシートを搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されたシートの重送を検出する検出部と、
前記搬送部によるシート搬送方向において前記搬送部に対して下流側に設けられ、シートを収容する収容トレイと、
前記収容トレイに対して鉛直方向上方の位置であって前記収容トレイと間隔をあけて設けられ、前記搬送部により搬送されるシートを前記画像形成装置へ導く第1位置と、前記検出部により重送が検出されたシートを前記鉛直方向下方の前記収容トレイに導く第2位置とに移動することでシートの搬送経路を切り替える切替部材と、を有し、
前記画像形成装置は、前記鉛直方向において前記収容トレイと前記切替部材との間の空間において開閉可能であって、前記第2位置に位置する前記切替部材によって搬送経路が切り替えられたシートが当接可能な当接面を有し、該画像形成装置内のシートを取り除く際にユーザによって操作される扉部材を有する、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記シート給送装置は、
前記第2位置に位置する前記切替部材によって搬送経路が切り替えられたシートを前記当接面にガイドするガイド部材を有する、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記収容トレイは、前記シート搬送方向において前記積載トレイと前記画像形成装置との間に位置し、
前記収容トレイの前記画像形成装置に近い端部は、前記鉛直方向において前記扉部材の前記当接面に対して下側に位置している、
ことを特徴とする請求項又はに記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記収容トレイは、前記画像形成装置に近い端部が前記積載トレイに近い端部よりも前記鉛直方向下側に位置するように傾斜した傾斜面を有することを特徴とする請求項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記画像形成装置は、
前記画像形成装置内を搬送されるシートの搬送異常を検出可能な異常検出部を有し、
前記切替部材は、
前記異常検出部により前記搬送異常が検出された場合に前記第1位置から前記第2位置に切り替えられる、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記扉部材は、開状態において前記収容トレイの底部よりも前記鉛直方向において上側に位置する、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記収容トレイの底部は、底面と、前記扉部材に干渉しないように前記底面に対して凹む凹部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記シート給送装置は、装置の外観を構成する外装カバーであって、開放することで前記収容トレイにアクセス可能な外装カバーを有し、
前記外装カバーを開放した状態において、前記画像形成装置の扉部材に対してアクセス可能となる、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に知られている画像形成システムは、画像形成装置と、画像形成装置に並設された、シート搬送装置の一例であるシート給送装置と、を備える。シート給送装置は、画像形成装置にシートを供給できるように、複数のシートを収容する給送カセットを有する。特許文献1には、シート給送装置の上に退避トレイを設け、シートの重送などの異常が検知された場合、重なった複数のシートを退避トレイに排出するようにした画像形成システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-279168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成システムにおいては、退避トレイがシート給送装置の上部に配置されているため、退避トレイにシートを搬送する経路が長く、また、上方の退避トレイにシートを搬送するためのモータなどの駆動機構も必要であり、画像形成システムが大型化する問題があった。
また、特許文献1に記載の画像形成システムにおいては、画像形成装置とシート給送装置とが隣接して配置されている。これにより、画像形成装置の内部で搬送異常が発生した場合に、シート給送装置を画像形成装置から離間させなければ画像形成装置内のシートを除去できない場合があった。従って、画像形成装置内でシートの搬送異常が発生した場合にシートを取り出す際の作業性が低下してしまう恐れがあった。
【0005】
本発明は、画像形成システムを小型化し、画像形成装置とシート給送装置とを離間させずに画像形成装置内でシートの搬送異常が発生した場合にシートを取り出す際の作業性を向上させることができる画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成システムは、シートに画像を形成する画像形成装置と、シートを前記画像形成装置へ給送するシート給送装置と、を備えた画像形成システムであって、前記シート給送装置は、シートを積載する積載トレイと、前記積載トレイに積載されたシートを搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されたシートの重送を検出する検出部と、前記搬送部によるシート搬送方向において前記搬送部に対して下流側に設けられ、シートを収容する収容トレイと、前記収容トレイに対して鉛直方向上方の位置であって前記収容トレイと間隔をあけて設けられ、前記搬送部により搬送されるシートを前記画像形成装置へ導く第1位置と、前記検出部により重送が検出されたシートを前記鉛直方向下方の前記収容トレイに導く第2位置とに移動することでシートの搬送経路を切り替える切替部材と、を有し、前記画像形成装置は、前記鉛直方向において前記収容トレイと前記切替部材との間の空間において開閉可能であって、前記第2位置に位置する前記切替部材によって搬送経路が切り替えられたシートが当接可能な当接面を有し、該画像形成装置内のシートを取り除く際にユーザによって操作される扉部材を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成システムを小型化し、画像形成装置とシート給送装置とを切り離さずに画像形成装置内で搬送異常となったシートの取り出しを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る画像形成システムの説明図である。
図2】実施形態に係る画像形成システムの制御系を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る画像形成システムの要部の断面模式図である。
図4】実施形態に係るシート給送装置の動作のフローチャートである。
図5】実施形態に係るシート給送装置の動作を説明するための模式図である。
図6】実施形態に係るシート給送装置の動作を説明するための模式図である。
図7】実施形態において側壁部材が開状態である場合の画像形成システムの一部分の斜視図である。
図8】実施形態に係る収容トレイの斜視図である。
図9】実施形態に係るシート給送装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、実施形態に係る画像形成システム1000の説明図である。図1に示す画像形成システム1000は、画像形成装置100と、シート搬送装置の一例であるシート給送装置10と、を備える。画像形成装置100は、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機である。なお、画像形成装置100は、電子写真方式に限らず、インクジェット方式などの他の方式であってもよい。シートとしては、普通紙、薄紙、厚紙などの紙、プラスチックシートなどが挙げられる。
【0010】
画像形成装置100は、装置本体1001と、装置本体1001上に配置された、プラテンガラス14及びADF15を含む原稿読取部16と、を備える。装置本体1001は、外装カバー(筐体)52で覆われている。また、装置本体1001は、外装カバー52の内部に配置された、シートを給送するシート給送部18、給送されたシートを搬送する本体搬送部19、シートに画像を形成する画像形成部17、及びこれらを制御する制御部300を備える。
【0011】
制御部300は、通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部機器から取得した画像信号、又は原稿読取部16から取得した画像信号に応じて、画像形成部17を制御し、画像形成部17によりシートにトナー像(画像)を形成させる。
【0012】
シート給送装置10は、画像形成装置100に接続されており、画像形成装置100にシートPを給送する。画像形成装置100の画像形成部17は、シート給送装置10に給送されたシートPを取得し、そのシートPに画像を形成可能である。本実施形態では、シート給送装置10は、シート給送ユニット12と、シート収容ユニット13と、シート給送ユニット12及びシート収容ユニット13の各部を制御する制御部200と、を備える。
【0013】
シート収容ユニット13は、シート給送ユニット12と画像形成装置100との間に配置される。シート給送ユニット12は、シートPを給送するシート給送部36を備える。シート給送部36は、複数のシートPを積載した状態で昇降可能なスタックトレイ21と、スタックトレイ21に積載されているシート束のうちの最上位に位置するシートPに当接する繰り出しローラ31と、繰り出しローラ31に対しシート搬送方向の下流側に設けられた給送ローラ32及び分離ローラ33を含む分離給送部35と、を有する。シートPは、分離給送部35によって1枚ずつ分離されて給送される。
【0014】
シート収容ユニット13は、搬送部の一例として、シート給送部36から給送されたシートPを搬送可能な搬送ローラ対34を備える。また、シート収容ユニット13は、搬送ローラ対34により搬送されたシートPを画像形成装置100に搬送可能な下流側搬送ローラ対37を備える。また、シート給送装置10は、シートPの搬送経路PA中、搬送ローラ対34に対しシート搬送方向の下流側であって下流側搬送ローラ対37に対しシート搬送方向の上流側に配置された切替部材39を備える。切替部材39は、搬送ローラ対34に搬送されるシートPを、下流側搬送ローラ対37、即ち画像形成装置100に導く第1位置と、搬送ローラ対34に搬送されるシートPを下流側搬送ローラ対37、即ち画像形成装置100に導くのとは異なる下方に導く第2位置とに切り替えられる。
【0015】
スタックトレイ21は、シート給送装置10の起動と同時にスタックトレイ21上のシート束のうちの最上位のシートPが繰り出しローラ31によって給送可能な給送位置に上昇し、繰り出しローラ31は、シートPの給送を開始する。繰り出しローラ31によってスタックトレイ21から給送されたシートPは、給送ローラ32と分離ローラ33とでニップされ1枚ずつ分離されながら、搬送ローラ対34に向けて搬送され、搬送ローラ対34と下流側搬送ローラ対37によって画像形成装置100に向けて搬送される。また、スタックトレイ21は、繰り出しローラ31が所定枚数のシートを給送する毎に、最上位のシートPが給送位置に上昇するように制御される。
【0016】
シートPの給送動作において、スタックトレイ21の最上位のシートPが、1枚ずつ分離して給送され、搬送ローラ対34及び下流側搬送ローラ対37を介して画像形成装置100に連続搬送される。しかし、その際、複数枚のシートPが重なり合って給送される重送が生じる場合がある。これは、給送ローラ32や分離ローラ33の摩耗等による分離給送部35の分離性能の低下や、シート給送装置10内の温度又は湿度等の環境に起因するシート間の摩擦係数の変化、シートの端部の裁断バリによる密着などが影響していると考えられる。
【0017】
シートPの重送が生じると、1枚のシートを搬送するよりも、紙詰まり、即ちジャムの可能性が高くなる。また、重送したまま画像形成を終えたとしても、画像形成した成果物に白紙のシートが混在してしまい、例えばシートを製本する場合等に問題が発生してしまう。
【0018】
本実施形態では、シート給送装置10は、繰り出しローラ31から分離給送部35に向けて給送される、スタックトレイ21上の最上位のシートPの側面に向けて、一定の風量のエアーを吹き付ける送風機構40を備えている。送風機構40により、シート間の摩擦を低減させることで、シート間の密着状態を低減させることが可能となる。しかし、送風機構40を用いてもシートPの重送が発生してしまう場合がある。
【0019】
本実施形態では、シート給送装置10は、搬送ローラ対34に対しシート搬送方向の上流側に配置され、シート給送部36からシートPが複数枚重なって給送される重送を検知可能な重送検知部50を備える。
【0020】
図2は、実施形態に係る画像形成システム1000の制御系を示すブロック図である。画像形成装置100の制御部300は、CPU301、ROM302、RAM303及びI/O304を有している。CPU301は、ROM302に格納された制御手順を示すプログラムを読み出しながら、RAM302に格納された作業データやI/O304を介して入力された入力データ等のデータを参照して、画像形成装置100の各部を制御する。
【0021】
画像形成装置100は、異常を検知可能な異常検知部311を備える。異常検知部311は、例えばシート搬送経路におけるシートのジャムを検知可能なセンサであり、画像形成装置100のシート搬送経路に配置されたフォトインタラプタで構成される。CPU301は、シートが所定タイミングでフォトインタラプタを通過したか否かでシートのジャムが発生したかどうかを判断する。
【0022】
シート給送装置10の制御部200は、CPU201、ROM202、RAM203及びI/O204を有している。CPU201は、ROM202に格納された制御手順を示すプログラムを読み出しながら、RAM202に格納された作業データやI/O204を介して入力された入力データ等のデータを参照して、シート給送装置10の各部を制御する。本実施形態におけるCPU201の制御対象には、切替部材39及び搬送ローラ対34が含まれる。重送検知部50は、例えば超音波センサ又はフォトインタラプタなどで構成される。重送検知部50は、搬送経路PAのシートPに超音波又は光を照射し、搬送経路PAのシートPを通過した超音波又は光を受ける。CPU201は、搬送経路PAのシートPを通過した超音波又は光の減衰量から、シートPが一枚か複数枚であるかを判断する。
【0023】
図3は、実施形態に係る画像形成システム1000の要部の断面模式図である。切替部材39は、第1位置P1と、第2位置P2とに切り替え可能である。第1位置P1は、搬送ローラ対34に搬送されるシートPを、下流側搬送ローラ対37、即ち画像形成装置100に導く位置である。第2位置P2は、搬送ローラ対34に搬送されるシートPを下方に導く位置である。切替部材39は、第2位置P2において、シート搬送方向Sの上流側S1からシート搬送方向Sの下流側S2に向けてシートPを斜め下方、即ち図3中矢印Z1方向に導く。重送検知部50によってシートPの重送が検知された場合、又は異常検知部311によって画像形成装置100における異常が検知された場合は、切替部材39が制御部200によって第1位置P1から第2位置P2に切り替えられる。重送検知部50によってシートPの重送が検知されていない場合、及び異常検知部311によって異常が検知されていない場合は、切替部材39が制御部200によって第2位置P2から第1位置P1に切り替えられる。
【0024】
シート収容ユニット13は、切替部材39の下方に所定空間R1をあけて配置された収容トレイ38を有する。収容トレイ38は、第2位置P2に位置する切替部材39によって導かれたシートPを収容可能である。重送したシートPを収容トレイ38に収容することで、搬送動作を止めることなく、高い生産性を確保しながら給送動作を継続することができる。また、画像形成装置100がシートのジャム等の異常で画像形成動作を停止している場合にも、搬送経路PAにおいて切替部材39よりもシート搬送方向Sの上流側S1にシートが留まるのを防止することができる。
【0025】
画像形成装置100の外装カバー52は、所定空間R1を画成する部材の一部である側壁部材51を有する。所定空間R1は、シート収容ユニット13に含まれる部材と、画像形成装置100の外装カバー52に含まれる側壁部材51とで画成される。所定空間R1を画成するシート収容ユニット13に含まれる部材は、例えばシート給送装置10の外装カバー131の一部、搬送経路PAを形成する部材132の一部、収容トレイ38等を含む。
【0026】
側壁部材51は、第2位置P2に位置する切替部材39によって導かれたシートPに当接可能な当接面511を含む。当接面511は、本実施形態では垂直面である。シート収容ユニット13は、切替部材39に対しシート搬送方向Sの下流側S2に配置されたガイド部材54を有する。ガイド部材54は、第2位置P2に位置する切替部材39によって導かれたシートPを当接面511にガイドする。
【0027】
画像形成装置100の外装カバー52の一部である側壁部材51は、切替部材39の下方の所定空間R1を区画する部材であり、シート給送装置10に側壁部材を設けるのを省略することができる。シート給送装置10において、所定空間R1を画成するための側壁部材を省略することができるので、画像形成システム1000を小型化することができ、また、画像形成システム1000を小型化しながらも、所定空間R1を広くとることができ、収容トレイ38に多くのシートを収容することができる。また、シート給送装置10の内部において、シートを収容トレイ38へ案内する専用のエスケープパスを設ける必要がなく、画像形成システム1000の省スペース化及びコストダウンを図ることができる。
【0028】
図4は、実施形態に係るシート給送装置10の動作のフローチャートである。図5及び図6は、実施形態に係るシート給送装置10の動作を説明するための模式図である。以下、画像形成システム1000の画像形成ジョブにおける搬送ローラ対34及び切替部材39の制御について説明する。制御部200のCPU201は、画像形成装置100の制御部300から給送指示を受けた場合、搬送ローラ対34の動作を開始する(S101)。切替部材39は、第1位置P1に位置している。CPU201は、搬送ローラ対34の動作中、重送検知部50の検知結果に基づいて、シート給送部36から給送されたシートが重送しているかどうかを判断する(S102)。
【0029】
シート給送部36から給送されたシートが重送している場合(S102:YES)、CPU201は、図5に示すように、切替部材39を破線で示す第1位置P1から実線で示す第2位置P2へ切り替える(S103)。即ち、切替部材39は、重送検知部50によりシートの重送が検知された場合に、CPU201の制御により、第1位置P1から第2位置P2へ切り替えられる。これにより、重送しているシートは、画像形成装置100には向かわず、斜め下方である矢印Z1方向に搬送される。第1位置P1に対する第2位置P2への切替部材39の切り替え量、即ち切り替え角度は、搬送されるシートの坪量やサイズに応じて予め設定しておけばよい。
【0030】
搬送ローラ対34に搬送されるシートPは、図6に示すように、画像形成装置100の側壁部材51の当接面511に当接し、当接面511に沿って鉛直方向Z0の下方に案内され、収容トレイ38上に積載される。また、収容トレイ38に重送したシートPが積載された後、CPU201は、搬送ローラ対34の動作を停止させ(S104)、切替部材39を第2位置P2から第1位置P1に切り替える(S105)。CPU201は、切替部材39を第1位置P1に移動させた後、ステップS101に戻り、通常の給送動作を継続する。
【0031】
このように、シート給送装置10においてシートの給送動作中に、重送したシートPを収容トレイ38に収容することで、次のシートの給送動作を続けることができ、給送動作を止めることなく、高い生産性を確保することができる。
【0032】
シート給送部36から給送されたシートが重送していない場合(S102:NO)、CPU201は、画像形成装置100の異常を検知したかどうかを判断する(S106)。
【0033】
画像形成装置100の異常を検知した場合(S106:YES)、CPU201は、図5に示すように、切替部材39を第1位置P1から第2位置P2へ切り替える(S107)。即ち、切替部材39は、異常検知部311により異常が検知された場合に、CPU201の制御により、第1位置P1から第2位置P2へ切り替えられる。これにより、シート給送部36に給送されたシートPは、切替部材39の案内により、画像形成装置100には向かわず、搬送ローラ対34によって斜め下方である矢印Z1方向に搬送される。
【0034】
搬送ローラ対34に搬送されたシートPは、図6に示すように、画像形成装置100の側壁部材51の当接面511に当接し、当接面511に沿って鉛直方向Z0の下方に案内され、収容トレイ38上に積載される。また、収容トレイ38にシートPが積載された後、CPU201は、搬送ローラ対34の動作を停止させ(S108)、切替部材39を第2位置P2から第1位置P1に切り替える(S109)。CPU201は、異常が解消されたかどうかを判断し(S110)、異常が解消されなければ(S110:NO)、そのまま待機する。CPU201は、異常が解消された場合(S110:YES)、搬送ローラ対34の動作を再開する。
【0035】
ステップS110では、異常が解消されたかどうかとして、画像形成装置100の搬送経路にシートが留まっているかどうかが判断される。搬送経路にシートが留まっていれば、異常は解消されていないため、画像形成動作が停止される。本実施形態では、シート給送部36に給送され搬送途中のシートであっても、そのシートのシート搬送方向Sの先端部が切替部材39よりもシート搬送方向の上流側に位置していれば、重送したシートと同様、収容トレイ38に収容することができる。シート給送装置10において搬送経路PAのシートが収容トレイ38に送られるので、搬送経路PAにシートが留まるのが防止され、画像形成装置100においてシートがジャムするなどの異常が発生した際に、操作者が画像形成システム1000のシート給送装置10からシートを取り除く作業を削減することができる。
【0036】
シート給送部36において重送も検知されず、画像形成装置100において異常も検知されない場合(S106:NO)、CPU201は、搬送ローラ対34の動作を継続する。切替部材39は、第1位置P1に位置しているため、シート給送部36から給送されたシートは、搬送ローラ対34により画像形成装置100へ搬送されることになる。
【0037】
ところで、画像形成装置100の装置本体1001内においてシートのジャムが発生した場合、そのジャムしたシートを操作者が取り除く処理をする必要がある。以下、この処理をジャム処理という。側壁部材51は、画像形成装置100の装置本体1001内においてシートのジャムが発生した場合、ジャム処理するために操作者が装置本体1001内にアクセス可能となるように、装置本体1001に開閉可能に設けられている。即ち、側壁部材51は、装置本体1001に開閉可能に設けられた扉部材である。側壁部材51は、開位置と閉位置との間で移動可能である。図1図3図5及び図6においては、側壁部材51が閉状態である場合について図示している。図7は、実施形態において側壁部材51が開状態である場合の画像形成システム1000の一部分の斜視図である。
【0038】
画像形成装置100の扉部材である側壁部材51は、所定空間R1の側に開くことができる。よって、画像形成装置100からシート給送装置10を切り離さずに、画像形成装置100の内部にアクセスしてジャム処理をすることができる。
【0039】
側壁部材51は、開状態でガイド部材54と干渉しないように、開状態でガイド部材54の鉛直方向Z0下方に位置する。また、側壁部材51は、開状態で収容トレイ38と干渉しないように、開状態で収容トレイ38の底部381の鉛直方向Z0上方に位置する。側壁部材51の閉位置は、画像形成装置100が画像形成動作をしている場合に、操作者が画像形成装置100にアクセスすることを規制する規制位置である。側壁部材51の開位置は、画像形成装置100内でシートのジャムが発生した際に、操作者が画像形成装置100にアクセスすることを許容するジャム処理位置である。このように、側壁部材51を開いた際に側壁部材51がガイド部材54や収容トレイ38に干渉するのが防止され、画像形成装置100内のシートのジャム処理を容易に行うことができる。
【0040】
また、シート給送装置10は、外装カバー131の一部であって、シート給送装置本体に対して開閉可能であり、所定空間R1を開放可能な扉部材1311を有する。図7には、扉部材1311が開状態である場合を図示している。操作者は、扉部材1311を開くことで、収容トレイ38にアクセスすることができ、また、画像形成装置100の扉部材である側壁部材51を開閉操作することができる。
【0041】
図8は、実施形態に係る収容トレイ38の斜視図である。収容トレイ38の底部381は、シート搬送方向Sの上流側S1からシート搬送方向Sの下流側S2に向けて斜め下方、即ち矢印Z1方向に傾斜した底面3811と、開状態の側壁部材51に干渉しないように底面3811に対して凹む凹部3812と、を有する。
【0042】
図8に示すように底面3811が傾斜しているので、収容トレイ38に落下してきたシートは、傾斜した底面3811に沿って斜め下方にスライドし、収容トレイ38のシート搬送方向Sの下流側S2の側壁部385にシート端部が当接した状態で底面3811上に積載される。これにより、収容トレイ38におけるシートの積載性が向上し、また、操作者は収容トレイ38からシートを取り出すのが容易となる。
【0043】
底面3811におけるシート搬送方向Sの下流側S2の端部は、収容トレイ38において最も深い部分である。収容トレイ38における底面3811の水平面(床面)に対する傾斜角度は、図3に示すシート給送装置10のフレーム133に対して収容トレイ38を固定する位置で調整可能である。具体的には、フレーム133にスリット1331が形成されており、スリット1331を通じて収容トレイ38に螺合するねじ383により、収容トレイ38がフレーム133に固定される。スリット1331に対するねじ383の位置で、フレーム133に対する収容トレイ38の位置および傾斜角度を決めることができる。なお、収容トレイ38の底部381におけるシート搬送方向Sの下流側S2の端部、即ち収容トレイ38の最下端部が、床面に当接するように収容トレイ38をフレーム133に対して位置決めするのが好ましい。また、収容トレイ38におけるシート搬送方向Sの下流側S2の端部382を画像形成装置100の装置本体1001に当接するように収容トレイ38をフレーム133に対して位置決めするのが好ましい。
【0044】
図3に示すように、収容トレイ38におけるシート搬送方向Sの下流側S2の端部382は、閉状態の側壁部材51の当接面511に対し、下方に位置している。収容トレイ38の端部382が側壁部材51の当接面511よりも下方に位置することにより、当接面511に沿って鉛直方向Z0の下方に案内されるシートPの先端部が、収容トレイ38の端部382に引っ掛かり、シート詰まり等のジャムの発生を防止することができる。更に、収容トレイ38の端部382は、側壁部材51の当接面511に対し、シート搬送方向Sの下流側S2に位置している。つまり、収容トレイ38の端部382は、側壁部材51の当接面511に対し、シート搬送方向Sの下流側S2にオーバーラップして配置される。前述した通り、収容トレイ38は、スリット1331に対するねじ383の位置で、フレーム133に対する位置および傾斜角度を調整する事ができる。よって、側壁部材51と収容トレイ38の端部382との間には隙間が生じる可能性がある。側壁部材51と収容トレイ38との間に隙間があると、側壁部材51の当接面511に沿って落下してくるシートPがその隙間から装置外部へ飛び出しが生じる場合がある。それに対し、本実施形態における収容トレイ38の端部382は、側壁部材51の当接面511に対し、シート搬送方向の下流側にオーバーラップして配置される為、当接面511に沿って落下してくるシートPを確実に収容トレイ38に導く事ができる。
【0045】
端部382は、側壁部385の上端部である。収容トレイ38の側壁部385は、端部382からシート搬送方向Sの上流側S1に向けて斜め下方、即ち矢印Z2方向に傾斜した傾斜面3821と、シート搬送方向Sの上流側S1に向かって傾斜面3821と連続する側壁面3822と、を有する。また、仮想的な垂直面に対する傾斜面3821の傾斜角度は、仮想的な垂直面に対する側壁面3822の傾斜角度よりも大きい。傾斜面3821は、当接面511に対し、鉛直方向Z0の下方に位置するのが好ましい。これにより、当接面511に沿って落下してくるシートPは、収容トレイ38の傾斜面3821により収容トレイ38の底部381に導かれる。このため、当接面511に沿って落下してくるシートPが収容トレイ38の端部382に引っ掛かるのを効果的に防止することができる。言い換えると、傾斜面3821によって、収容トレイ38に向けて落下してくるシートPに、シート搬送方向Sの上流側S1に向かって移動する力を発生することができる。これにより、収容トレイ38に向けて落下してくるシートPを側壁部材51から引き離すことができ、収容トレイ38におけるシートPの積載性が向上する。
【0046】
図9は、実施形態に係るシート給送装置10の模式図である。前述した通り、側壁部材51は、装置本体1001に開閉可能に設けられた扉部材であるため、画像形成装置100の装置本体1001と、閉位置に位置している側壁部材51の鉛直方向Z0の上端部510との間には、隙間G0が生じる。ガイド部材54は、搬送ローラ対34によって搬送され切替部材39によって斜め下方に導かれたシートを、側壁部材51の当接面511に当接させるように、当接面511に向けてガイドする。具体的には、ガイド部材54は、搬送ローラ対34のニップ位置と側壁部材51の鉛直方向Z0の上端部510とを結ぶ破線で示す仮想直線(仮想平面)A1と重なる位置に配置されている。これにより、装置本体1001と側壁部材51の上端部510との間の隙間G0にシートの先端部が引っ掛かり、シートが詰まるのを防止することができる。
【0047】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
【符号の説明】
【0048】
10…シート給送装置(シート搬送装置)、17…画像形成部、38…収容トレイ、39…切替部材、51…側壁部材、100…画像形成装置、1000…画像形成システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9