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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】ロール装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/56 20060101AFI20250129BHJP
   B29B 7/72 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B29B7/56
B29B7/72
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021054894
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152207
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】305014375
【氏名又は名称】NOKエラストマー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑中 俊治
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-042211(JP,A)
【文献】特開昭61-014909(JP,A)
【文献】特開平10-083201(JP,A)
【文献】特開2004-062652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/56
B29B 7/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重力方向と交差する第1方向に延在し、前記第1方向に沿う第1軸を中心に回転することにより、所定の領域に投入された材料を排出する第1ロール竿と、
前記第1ロール竿に隣接するように前記第1ロール竿と平行に配置され、前記第1方向に延在し、前記第1方向に沿う第2軸を中心に、前記第1ロール竿の回転方向に対して逆回転する第2ロール竿と、
前記第1方向に延在し、前記所定の領域から排出された前記材料を前記第1ロール竿の外周面に押し付ける押えローラーと、
前記第1ロール竿より下側の位置に設置される受け皿と、
前記第1ロール竿の外周面に巻き付けられたシート状の前記材料を所定の幅に裁断する刃と、
前記第1方向に延在し、前記刃が取り付けられたシャフトと、
を有し、
前記押えローラーは、
前記第1ロール竿までの距離が異なる第1状態及び第2状態に選択的に配置され、
前記第1状態に配置された場合、前記第1軸と前記受け皿との間の位置で前記第1ロール竿に隣接し、
前記第2状態に配置された場合、前記第1状態に配置された場合に比べて、前記第1ロール竿から離れた場所に位置し、
前記所定の領域から排出された前記材料を前記第1ロール竿に押し付ける場合に前記第1状態に配置され、
前記第1ロール竿、前記押えローラー及び前記シャフトの位置関係は、
前記押えローラーが前記第1状態に配置された場合、前記第1ロール竿と前記シャフトとの間に前記押えローラーが位置し、
前記押えローラーが前記第2状態に配置された場合、前記第1ロール竿と前記押えローラーとの間に前記シャフトが位置する、
関係である、
ことを特徴とするロール装置。
【請求項2】
前記押えローラーは、
前記第2状態に配置された場合、前記受け皿に格納される、
ことを特徴とする請求項1に記載のロール装置。
【請求項3】
前記第1方向に延在し、前記シャフトと前記受け皿との間の隙間を小さくする板をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のロール装置。
【請求項4】
所定の操作に応じて、前記押えローラーの配置を前記第2状態から前記第1状態に移す制御装置をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のロール装置。
【請求項5】
所定の操作に応じて、前記押えローラーの配置を前記第2状態から前記第1状態に移す制御装置と、
前記押えローラーと前記シャフトとの間に障害物が存在するか否かを検出するセンサと、
をさらに有し、
前記制御装置は、
前記押えローラーと前記シャフトとの間に前記障害物が存在することを前記センサが検出した場合、前記第1ロール竿と前記押えローラーとの距離が、前記押えローラーが前記第1状態に配置された場合の前記第1ロール竿と前記押えローラーとの距離より大きく、かつ、前記押えローラーが前記第2状態に配置された場合の前記第1ロール竿と前記押えローラーとの距離より小さくなるように、前記押えローラーを移動させる、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール装置は、例えば、ゴム生地等の生成に用いられる。例えば、特許文献1には、ゴム生地の混練り作業に用いられるロール装置が開示されている。この種のロール装置は、ゴム生地が巻き付けられるロールを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭63-144208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生地をロールに巻き付ける巻き付け作業が、作業者が生地をロールに押し付ける手作業により行われる場合、巻き付け作業の作業効率が低下するおそれがある。
【0005】
以上の事情を考慮して、本発明は、巻き付け作業の作業効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の一態様に係るロール装置は、重力方向と交差する第1方向に延在し、前記第1方向に沿う第1軸を中心に回転することにより、所定の領域に投入された材料を排出する第1ロール竿と、前記第1ロール竿に隣接するように前記第1ロール竿と平行に配置され、前記第1方向に延在し、前記第1方向に沿う第2軸を中心に、前記第1ロール竿の回転方向に対して逆回転する第2ロール竿と、前記第1方向に延在し、前記所定の領域から排出された前記材料を前記第1ロール竿の外周面に押し付ける押えローラーと、前記第1ロール竿より下側の位置に設置される受け皿と、を有し、前記押えローラーは、前記第1ロール竿までの距離が異なる第1状態及び第2状態に選択的に配置され、前記第1状態に配置された場合、前記第1軸と前記受け皿との間の位置で前記第1ロール竿に隣接し、前記第2状態に配置された場合、前記第1状態に配置された場合に比べて、前記第1ロール竿から離れた場所に位置し、前記所定の領域から排出された前記材料を前記第1ロール竿に押し付ける場合に前記第1状態に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るロール装置の概略的な構成の一例を示す斜視図である。
図2】押えローラーが第2状態に配置された場合のロール装置の一例を示す斜視図である。
図3】押えローラーの配置が第2状態から第1状態に移る途中のロール装置の一例を示す斜視図である。
図4】第1変形例に係るロール装置の概略的な構成の一例を示す斜視図である。
図5】第2変形例に係るロール装置の概略的な構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
[1.実施形態]
以下、本発明の実施形態を説明する。先ず、図1及び図2を参照しながら、実施形態に係るロール装置10の概要の一例について説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係るロール装置10の概略的な構成の一例を示す斜視図である。なお、本実施形態では、後述する押えローラー200を第1状態及び第2状態に選択的に配置可能である。例えば、図1は、押えローラー200が第1状態に配置された場合のロール装置10の一例を示す斜視図である。また、図2は、押えローラー200が第2状態に配置された場合のロール装置10の一例を示す斜視図である。第1状態及び第2状態については、押えローラー200について説明する際に説明する。
【0011】
本実施形態では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を有する3軸の直交座標系を導入する。以下では、X軸の矢印の指す方向は+X方向と称され、+X方向の反対方向は-X方向と称される。Y軸の矢印の指す方向は+Y方向と称され、+Y方向の反対方向は-Y方向と称される。また、Z軸の矢印の指す方向は+Z方向と称され、+Z方向の反対方向は-Z方向と称される。以下では、+Y方向及び-Y方向を特に区別することなく、Y方向と称し、+X方向及び-X方向を、特に区別することなく、X方向と称する場合がある。また、+Z方向及び-Z方向を、特に区別することなく、Z方向と称する場合がある。また、以下では、+Y方向を上側と称し、-Y方向を下側と称する場合がある。
【0012】
図1に示すように、ロール装置10は、例えば、ゴム生地等の材料MLの混練り作業に用いられる。例えば、ロール装置10は、ロール100及び102と、押えローラー200と、接続部材300と、シャフト400と、刃420(420a及び420b)と、板500と、受け皿600と、支持枠700とを有する。ロール100は、「第1ロール竿」の一例であり、ロール102は、「第2ロール竿」の一例である。刃420(420a及び420b)は、「材料を所定の幅に裁断する刃」の一例である。
【0013】
本実施形態では、ロール100及び102と、押えローラー200と、シャフト400とが、-Y方向と交差するZ方向に延在する円柱形である場合を想定する。なお、本実施形態では、-Y方向は、「重力方向」に該当する。すなわち、ロール100及び102と、押えローラー200と、シャフト400とは、重力方向(-Y方向)と交差するZ方向に延在する。Z方向は、「第1方向」の一例である。
【0014】
ロール100は、ロール102に隣接するように、ロール102と平行に配置される。そして、ロール100は、Z方向に沿う軸AX1を中心に、回転方向DR1(+Z方向から見た場合、反時計回り)に回転する。また、ロール102は、軸AX1に平行な軸AX2を中心に、回転方向DR2(+Z方向から見た場合、時計回り)に回転する。すなわち、ロール102は、ロール100に隣接するようにロール100と平行に配置され、Z方向に沿う軸AX2を中心に、ロール100の回転方向DR1に対して逆回転する。なお、例えば、軸AX1は、ロール100を+Z方向から見た場合にロール100の形状として把握される円形の中心を通る軸であり、軸AX2は、ロール102を+Z方向から見た場合にロール102の形状として把握される円形の中心を通る軸である。軸AX1は、「第1軸」の一例であり、軸AX2は、「第2軸」の一例である。
【0015】
このように、ロール100及び102は、互いに逆回転する。なお、図1では、図を見やすくするために、ロール100及び102を互いに逆回転させる回転駆動装置の記載を省略している。ロール100及び102を互いに逆回転させる回転駆動装置としては、例えば、既知のロール装置の回転駆動装置を採用することができる。
【0016】
互いに逆回転するロール100及び102の間の領域AR1に、材料MLが投入された場合、互いに逆回転するロール100及び102により混練りされた材料MLが、ロール100の外周面PRに沿って、ロール100及び102間の領域AR2に排出される。なお、領域AR1は、「所定の領域」の一例である。例えば、ロール100及び102間の領域のうち、ロール100及び102間の長さが最小となる部分より上側の領域が領域AR1であってもよい。また、例えば、ロール100及び102間の領域のうち、ロール100及び102間の長さが最小となる部分より下側の領域が領域AR2であってもよい。
【0017】
このように、ロール100は、重力方向(-Y方向)と交差するZ方向に延在し、Z方向に沿う軸AX1を中心に回転することにより、領域AR1に投入された材料MLを排出する。
【0018】
押えローラー200は、例えば、ロール100及び102間の領域AR1から領域AR2にロール100の外周面PRに沿って排出された材料MLを、ロール100の外周面PRに押し付ける。このように、領域AR1から排出された材料MLを押えローラー200がロール100の外周面PRに押し付けることにより、領域AR1から排出された材料MLがロール100の外周面PRに巻き付けられる。
【0019】
なお、押えローラー200は、例えば、X方向に沿って移動可能なシャフト400に、接続部材300により接続される。そして、押えローラー200は、ロール100までの距離が異なる第1状態及び第2状態に選択的に配置される。例えば、押えローラー200は、第1状態に配置された場合、軸AX1と受け皿600との間の位置でロール100に隣接する。また、例えば、図2に示すように、押えローラー200は、第2状態に配置された場合、第1状態に配置された場合に比べて、ロール100から離れた場所に位置する。すなわち、押えローラー200が第2状態に配置された場合のロール100と押えローラー200との距離である第2距離DIS2は、押えローラー200が第1状態に配置された場合のロール100と押えローラー200との距離である第1距離DIS1より大きい。
【0020】
押えローラー200は、図1に示すように、領域AR1から排出された材料MLをロール100に押し付ける場合に第1状態に配置される。このように、本実施形態では、押えローラー200を第1状態に配置することにより、領域AR1から排出された材料MLをロール100に巻き付けることができる。なお、押えローラー200は、Z方向に沿う軸AX3を中心に回転可能であってもよい。軸AX3は、例えば、押えローラー200を+Z方向から見た場合に押えローラー200の形状として把握される円形の中心を通る軸である。
【0021】
シャフト400には、例えば、ロール100の外周面PRに巻き付けられたシート状の材料MLを所定の幅に裁断する刃420a及び420bが、ねじ締結又は溶接等により取り付けられる。刃420a及び420bは、刃420a及び420bの間隔(所定の幅)を調整可能にシャフト400に取り付けられてもよいし、所定の間隔に固定されて取り付けられてもよい。
【0022】
ロール100、押えローラー200及びシャフト400の位置関係は、押えローラー200が第1状態に配置された場合と押えローラー200が第2状態に配置された場合とで異なる。例えば、押えローラー200が第1状態に配置された場合、ロール100とシャフト400との間に押えローラー200が位置する。また、例えば、図2に示すように、押えローラー200が第2状態に配置された場合、ロール100と押えローラー200との間にシャフト400が位置する。
【0023】
また、シャフト400には、図1に示すように、Z方向に延在し、シャフト400と受け皿600との間の隙間を小さくする板500が取り付けられる。本実施形態では、板500が設けられていない場合に比べて、シャフト400と受け皿600との間の隙間が板500により小さくなるため、シャフト400の下側に作業者の手が誤って侵入することを防止できる。すなわち、本実施形態では、板500が設けられていない場合に比べて、作業上の危険を低減することができる。この結果、本実施形態では、安全性を確保できる。
【0024】
受け皿600は、ロール100より下側の位置に設置される。そして、受け皿600は、例えば、ロール100から剥がされたシート状の材料MLを受ける。例えば、刃420a及び420bにより所定の幅に裁断され、ロール100から剥がされたシート状の材料MLが、受け皿600に送られる。なお、例えば、作業者は、受け皿600を使用せずに、ロール100から剥がしたシート状の材料MLを受け取り、ロール100から剥がしたシート状の材料MLを次工程へのベルトコンベアに送ってもよい。
【0025】
支持枠700は、ロール100、102、シャフト400及び受け皿600等を支持する枠である。なお、図1及び図2等では、図を見やすくするために、支持枠700の一部を図示している。支持枠700は、例えば、Z方向(シャフト400等の延在方向)と略直交する側面部SD(SD1及びSD2)と、側面部SDと略直交する前面部FTとを有する。なお、「略直交」とは、誤差を含む概念である。例えば、「略直交」とは、設計上直交であればよい。前面部FTは、例えば、側面部SD1及びSD2間に配置され、側面部SD1及びSD2のロール100より+X方向の端部に接続される。
【0026】
側面部SD1及びSD2間には、例えば、シャフト400等が配置される。例えば、側面部SD1及びSD2の各々には、シャフト400の移動をガイドするガイド溝720が設けられる。なお、図1の斜視図では、側面部SD2に設けられるガイド溝720が側面部SD2に隠れる方向(+Z方向と+X方向との間の方向)からロール装置10を見ているため、側面部SD2に設けられるガイド溝720は、図示されていない。
【0027】
ガイド溝720は、例えば、X方向に延在する溝である。例えば、シャフト400の一端が、側面部SD1に設けられたガイド溝720に挿入され、シャフト400の他端が、側面部SD2に設けられたガイド溝720に挿入される。これにより、シャフト400は、X方向に沿って移動可能に、支持枠700に支持される。
【0028】
例えば、シャフト400がガイド溝720の端部ED1に配置されることにより、押えローラー200は、ロール100に隣接する位置に配置される。すなわち、押えローラー200は、シャフト400がガイド溝720の端部ED1に配置されることにより、第1状態に配置される。また、図2に示すように、シャフト400がガイド溝720の端部ED2に配置されることにより、押えローラー200は、ロール100から離れた位置に配置される。すなわち、押えローラー200は、シャフト400がガイド溝720の端部ED2に配置されることにより、第2状態に配置される。
【0029】
ここで、ロール装置10から押えローラー200が省かれた構成を対比例として、本実施形態の効果を説明する。対比例では、例えば、材料MLをロール100に巻き付ける巻き付け作業を、作業者が手等で材料MLをロール100に押し付ける手作業により行う方法が考えられる。これに対し、本実施形態では、図1に示すように、押えローラー200を第1状態に配置することにより、巻き付け作業が押えローラー200により実行される。このため、本実施形態では、対比例に比べて、巻き付け作業時の手作業を減らすこと、及び、巻き付け作業の作業効率を向上させることができる。また、本実施形態では、対比例に比べて、巻き付け作業時の手作業を減らすことができるため、作業上の危険を低減することができる。すなわち、本実施形態では、対比例に比べて、安全性を確保できる。
【0030】
また、対比例では、例えば、押えローラー200に相当する補助治具をロール装置本体とは別に用意し、材料MLをロール100に巻き付ける巻き付け作業を補助治具を用いて行う方法が考えられる。ロール装置本体とは別に補助治具が使用される場合、ロール装置本体の近くに補助治具が設置されるため、作業スペースが狭くなり、作業効率が低下するおそれがある。また、対比例において、補助治具がロール装置本体とは別に用意され場合、補助治具を保管する場所を確保する必要がある。
【0031】
これに対し、本実施形態では、図2に示すように、押えローラー200は、第2状態に配置された場合、シャフト400より下側に位置し、受け皿600に格納される。すなわち、本実施形態では、押えローラー200を用いない場合、押えローラー200を第2状態に配置することにより、押えローラー200を受け皿600に格納することができる。この結果、本実施形態では、押えローラー200を保管する場所をロール装置10とは別に確保する必要がない。
【0032】
例えば、本実施形態では、ロール装置10の支持枠700にシャフト400を介して押えローラー200が支持されるため、押えローラー200を受け皿600に格納するために確保されるスペースを、補助治具を保管する場所の大きさに比べて小さくできる。従って、本実施形態では、ロール装置10が設置される工場等のスペースを有効に使用することができる。
【0033】
また、本実施形態では、ロール装置10の支持枠700にシャフト400を介して押えローラー200が支持されるため、ロール装置本体とは別に補助治具が使用される場合に比べて、作業スペースを広くできる。従って、本実施形態では、補助治具が使用される場合に比べて、作業効率を向上させることができる。
【0034】
なお、ロール装置10の構成は、図1及び図2に示す例に限定されない。例えば、所定の幅に裁断する前のシート状の材料MLのX方向に延在する2つの縁部のうち、+Z方向に位置する縁部の付近を裁断する必要がない場合等では、刃420bは省かれてもよい。この場合、刃420aが、「材料を所定の幅に裁断する刃」に該当する。あるいは、シート状の材料MLを所定の幅に裁断する必要が無い場合等では、刃420a及び420bは省かれてもよい。次に、図3等を参照しながら、押えローラー200の配置が第2状態から第1状態に移る過程の一例について説明する。
【0035】
図3は、押えローラー200の配置が第2状態から第1状態に移る途中のロール装置10の一例を示す斜視図である。押えローラー200の配置位置の移動(例えば、第2状態から第1状態への移動)は、手作業により行われてもよいし、図4に示す操作ボタンBT(BT1及びBT2)等の操作装置に対する操作に応じて自動的に実行されてもよい。
【0036】
押えローラー200が第2状態に配置されている場合、図2において説明したように、シャフト400は、ガイド溝720の端部ED2に配置され、押えローラー200は、シャフト400より下側の位置で受け皿600に格納されている。
【0037】
そして、押えローラー200の配置が第2状態から第1状態に移る場合、押えローラー200は、図3の2点鎖線の矢印で示すように、シャフト400より下側の位置からシャフト400より上側の位置に上げられる。図3に示す例では、押えローラー200は、シャフト400がガイド溝720の端部ED2に配置された状態で、シャフト400より上側の位置に上げられ、シャフト400より上側の位置に保持される。すなわち、本実施形態では、押えローラー200は、シャフト400を支点にして回転可能に、接続部材300によりシャフト400と接続される。例えば、シャフト400を+Z方向から見た場合にシャフト400の形状として把握される円形の中心を通り、Z方向に沿う軸を中心に、シャフト400が回転することにより、押えローラー200がシャフト400を支点にして回転してもよい。あるいは、押えローラー200とシャフト400とを接続する接続部材300が、シャフト400を支点にして回転可能であってもよい。
【0038】
次に、押えローラー200がシャフト400より上側の位置に保持された状態で、シャフト400は、図3の破線の矢印で示すように、ガイド溝720の端部ED2からガイド溝720の端部ED1に移動させられ、ガイド溝720の端部ED1に保持される。これにより、押えローラー200は、図1に示したように、ロール100に隣接する第1状態に配置される。
【0039】
なお、押えローラー200の配置が第2状態から第1状態に移る過程は、図3に示す例に限定されない。例えば、押えローラー200は、シャフト400がガイド溝720の端部ED1に移動した後に、シャフト400より下側の位置からシャフト400より上側の位置に上げられてもよい。この場合、シャフト400は、押えローラー200がシャフト400より下側の位置に保持された状態で、ガイド溝720の端部ED2からガイド溝720の端部ED1に移動させられる。また、例えば、押えローラー200の配置が第1状態から第2状態に移る過程は、押えローラー200の配置が第2状態から第1状態に移る過程と逆の過程になる。
【0040】
以上、本実施形態では、ロール装置10は、ロール100と、ロール102と、押えローラー200と、受け皿600とを有する。ロール100は、重力方向と交差するZ方向に延在し、Z方向に沿う軸AX1を中心に回転することにより、所定の領域AR1に投入された材料MLを排出する。ロール102は、ロール100に隣接するようにロール100と平行に配置され、Z方向に沿う軸AX2を中心に、ロール100の回転方向DR1に対して逆回転する。押えローラー200は、Z方向に延在し、所定の領域AR1から排出された材料MLをロール100の外周面PRに押し付ける。受け皿600は、ロール100より下側の位置に設置される。
【0041】
また、本実施形態では、押えローラー200は、ロール100までの距離が異なる第1状態及び第2状態に選択的に配置される。押えローラー200は、第1状態に配置された場合、軸AX1と受け皿600との間の位置でロール100に隣接し、第2状態に配置された場合、第1状態に配置された場合に比べて、ロール100から離れた場所に位置する。例えば、押えローラー200は、所定の領域AR1から排出された材料MLをロール100に押し付ける場合に第1状態に配置される。
【0042】
このように、本実施形態では、押えローラー200を第1状態に配置することにより、所定の領域AR1から排出された材料MLがロール100に押し付けられる。これにより、領域AR1から排出された材料MLがロール100に巻き付けられる。すなわち、本実施形態では、押えローラー200を第1状態に配置することにより、領域AR1から排出された材料MLをロール100に自動的に巻き付けることができる。従って、本実施形態では、材料MLをロール100に巻き付ける巻き付け作業が、作業者が手等で材料MLをロール100に押し付ける手作業により行われる場合に比べて、巻き付け作業の作業効率を向上させることができる。また、本実施形態では、巻き付け作業時の手作業(例えば、作業者が手等で材料MLをロール100に押し付ける手作業)を減らすことができるため、作業上の危険を低減することができる。
【0043】
また、本実施形態では、押えローラー200を使用しない場合、押えローラー200を第2状態に配置することにより、押えローラー200の配置位置をロール100から離れた場所にすることができる。これにより、本実施形態では、押えローラー200を使用しない作業(例えば、ロール100の清掃等)が行われる場合においても、押えローラー200が作業の妨げになることを、低減できる。すなわち、本実施形態では、押えローラー200が使用されない作業においても、作業効率が低下することを抑止できる。
【0044】
また、本実施形態では、押えローラー200は、第2状態に配置された場合、受け皿600に格納される。このため、本実施形態では、押えローラー200を保管する場所をロール装置10とは別に確保する必要がない。従って、本実施形態では、例えば、巻き付け作業に必要な装置全体の設置場所及び保管場所等のスペースが増加することを抑制できる。
【0045】
また、本実施形態では、ロール装置10は、ロール100の外周面PRに巻き付けられたシート状の材料MLを所定の幅に裁断する刃420(420a及び420b)と、Z方向に延在し、刃420が取り付けられたシャフト400とを、さらに有する。押えローラー200が第1状態に配置された場合、ロール100、押えローラー200及びシャフト400の位置関係は、ロール100とシャフト400との間に押えローラー200が位置する関係となる。また、押えローラー200が第2状態に配置された場合、ロール100、押えローラー200及びシャフト400の位置関係は、ロール100と押えローラー200との間にシャフト400が位置する関係となる。このように、本実施形態では、押えローラー200を使用しない場合に、ロール100とシャフト400との間隔に比べて、ロール100と押えローラー200との間隔を大きくすることができる。この結果、本実施形態では、押えローラー200を使用しない作業の効率が低下することを抑止できる。
【0046】
また、本実施形態では、ロール装置10は、Z方向に延在し、シャフト400と受け皿600との間の隙間を小さくする板500を、さらに有する。これにより、本実施形態では、シャフト400の下側に作業者の手が誤って侵入することを防止できるため、作業上の危険を低減することができる。この結果、本実施形態では、安全性を確保できる。
【0047】
[2.変形例]
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で併合してもよい。
【0048】
[第1変形例]
上述した実施形態において、ロール装置10は、図4に示すように、押えローラー200の配置を制御するローラー制御装置800をさらに有してもよい。
【0049】
図4は、第1変形例に係るロール装置10の概略的な構成の一例を示す斜視図である。なお、図4は、押えローラー200が第2状態に配置された場合のロール装置10の一例を示す斜視図である。図1から図3において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0050】
図4に示すロール装置10は、図1に示したロール装置10が有する要素の他に、押えローラー200の配置を制御するローラー制御装置800をさらに有する。なお、図4に示すロール装置10は、ローラー制御装置800を有することを除いて、図1に示したロール装置10と同様である。このため、図4では、ローラー制御装置800について説明する。ローラー制御装置800は、「制御装置」の一例である。
【0051】
ローラー制御装置800は、例えば、操作ボタンBT(BT1及びBT2)等の操作装置を有する。例えば、ローラー制御装置800は、操作ボタンBT1が作業者により押下された場合、押えローラー200の配置を第2状態から第1状態に移す。操作ボタンBT1の押下は、「所定の操作」に該当する。すなわち、ローラー制御装置800は、所定の操作に応じて、押えローラー200の配置を第2状態から第1状態に移す。また、例えば、ローラー制御装置800は、操作ボタンBT2が作業者により押下された場合、押えローラー200の配置を第1状態から第2状態に移す。
【0052】
なお、ローラー制御装置800は、例えば、操作ボタンBT1及びBT2を兼ねた1つの操作ボタンBTを有してもよい。この場合、押えローラー200が第2状態に配置された状態で、操作ボタンBTが押下された場合、ローラー制御装置800は、押えローラー200の配置を第2状態から第1状態に移してもよい。また、押えローラー200が第1状態に配置された状態で、操作ボタンBTが押下された場合、ローラー制御装置800は、押えローラー200の配置を第1状態から第2状態に移してもよい。あるいは、ローラー制御装置800が有する操作装置は、操作ボタンBTに限定されない。例えば、ローラー制御装置800が有する操作装置は、作業者による操作を受け付けるタッチパネル及び操作レバー等であってもよいし、操作ボタンBT、タッチパネル及び操作レバー等のうちの複数の組み合わせであってもよい。また、ローラー制御装置800は、ロール100及び102を互いに逆回転させる回転駆動装置の機能を有してもよい。
【0053】
以上、第1変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第1変形例では、操作ボタンBTの押下等の操作に応じて、押えローラー200が第2状態から第1状態、又は、第1状態から第2状態に、自動的に配置される。従って、第1変形例では、押えローラー200の配置を第2状態から第1状態に移すための手作業等を減らすことができるため、作業上の危険を低減することができる。
【0054】
[第2変形例]
上述した実施形態において、ロール装置10は、図5に示すように、押えローラー200とシャフト400との間に障害物が存在するか否かを検出するセンサ900をさらに有してもよい。
【0055】
図5は、第2変形例に係るロール装置10の概略的な構成の一例を示す斜視図である。なお、図5は、押えローラー200が第1状態に配置された場合のロール装置10の一例を示す斜視図である。図1から図4において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0056】
図5に示すロール装置10は、図4に示したロール装置10が有する要素の他に、センサ900をさらに有する。また、図5に示すロール装置10は、図4に示したローラー制御装置800の代わりにローラー制御装置800Aを有する。すなわち、図5に示すロール装置10は、センサ900を有すること、及び、ローラー制御装置800の代わりにローラー制御装置800Aを有することを除いて、図4に示したロール装置10と同様である。このため、図5では、ローラー制御装置800A及びセンサ900について説明する。ローラー制御装置800Aは、「制御装置」の別の例である。
【0057】
センサ900は、例えば、光を発する投光部、及び、光を受ける受光部を含む透過型センサである。図5に示す例では、ロール装置10は、2つのセンサ900を有している。例えば、各センサ900が有する投光部及び受光部の一方は、側面部SD1及びSD2の一方に設置され、センサ900が有する投光部及び受光部の他方は、側面部SD1及びSD2の他方に設置される。なお、図5の斜視図では、側面部SD2に設置されるセンサ900が側面部SD2に隠れる方向(+Z方向と+X方向との間の方向)からロール装置10を見ているため、側面部SD2に設置されるセンサ900は、図示されていない。また、センサ900は、側面部SD以外の場所に設置されてもよい。例えば、センサ900は、接続部材300等に設置されてもよい。図5の2つの点線の各々は、2つのセンサ900の各々(より詳細には、2つのセンサ900の各々が有する投光部)から発せられる光を示す。
【0058】
例えば、押えローラー200とシャフト400との間に手等の障害物が存在する場合、センサ900が有する投光部から発せられた光は、センサ900が有する受光部に到達することなく障害物により遮られる。従って、センサ900は、投光部から発せられた光を受光部が受けているか否かに基づいて、押えローラー200とシャフト400との間に手等の障害物が存在するか否かを検出する。例えば、ローラー制御装置800Aは、センサ900が有する投光部から発せられた光を受光部が受けない場合、押えローラー200とシャフト400との間に障害物が存在することをセンサ900が検出したと判定する。
【0059】
ローラー制御装置800Aは、押えローラー200とシャフト400との間に障害物が存在することをセンサ900が検出した場合に押えローラー200を移動させることを除いて、図4に示したローラー制御装置800と同様である。例えば、ローラー制御装置800Aは、作業者の手等の障害物が押えローラー200とシャフト400との間に存在することをセンサ900が検出した場合、作業者の手等がロール100に巻き込まれないように、押えローラー200を移動させる。具体的には、ローラー制御装置800Aは、ロール100と押えローラー200との距離が、第1距離DIS1より大きく、かつ、第2距離DIS2より小さくなるように、押えローラー200を移動させる。なお、第1距離DIS1は、図1において説明したように、押えローラー200が第1状態に配置された場合のロール100と押えローラー200との距離である。また、第2距離DIS2は、図2において説明したように、押えローラー200が第2状態に配置された場合のロール100と押えローラー200との距離である。
【0060】
すなわち、ローラー制御装置800Aは、作業者の手等が押えローラー200とシャフト400との間に侵入した場合、押えローラー200をロール100から離れる方向に移動させる。これにより、第2変形例では、作業者の手等が押えローラー200に引きずられてロール100に巻き込まれることを防止できる。なお、押えローラー200が+X方向に移動し過ぎると、押えローラー200が作業者の手等に当たるおそれがあるため、ローラー制御装置800Aは、好ましくは、押えローラー200の移動量が大きくなり過ぎないように、押えローラー200を移動させる。例えば、押えローラー200は、ロール100に巻き付けらる材料MLに接触しなくなるように、ロール100との間隔を確保できればよい。
【0061】
ここで、ローラー制御装置800Aは、押えローラー200をシャフト400を支点にして回転させることにより、押えローラー200をロール100から離れる方向に移動させてもよい。あるいは、ローラー制御装置800Aは、シャフト400を移動させることにより、押えローラー200をロール100から離れる方向に移動させてもよい。
【0062】
また、ローラー制御装置800Aは、押えローラー200とシャフト400との間に障害物が存在することをセンサ900が検出した場合、押えローラー200を移動させるとともに、押えローラー200が軸AX3を中心に回転しないよいうに固定してもよい。あるいは、ローラー制御装置800Aは、押えローラー200とシャフト400との間に障害物が存在することをセンサ900が検出した場合、押えローラー200を移動させるとともに、ロール100及び102の回転を停止させてもよい。
【0063】
以上、第2変形例においても、上述した実施形態及び第1変形例と同様の効果を得ることができる。さらに、第2変形例では、押えローラー200とシャフト400との間に障害物が存在することをセンサ900が検出した場合、ローラー制御装置800Aが押えローラー200をロール100から離れる方向に移動させる。これにより、第2変形例では、作業者の手等が押えローラー200とシャフト400との間に侵入した場合においても、作業者の手等が押えローラー200に引きずられてロール100に巻き込まれることを防止できる。この結果、第2変形例では、作業上の危険をさらに低減することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…ロール装置、100、102…ロール、200…押えローラー、300…接続部材、400…シャフト、420…刃、500…板、600…受け皿、700…支持枠、720…ガイド溝、800、800A…ローラー制御装置、900…センサ。
図1
図2
図3
図4
図5