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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/12 20060101AFI20250129BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B60C11/12 C
B60C11/03 300A
B60C11/03 300B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021101627
(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公開番号】P2023000674
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】林 信太郎
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-199911(JP,A)
【文献】実開平04-051805(JP,U)
【文献】特開2000-108615(JP,A)
【文献】特開2001-191739(JP,A)
【文献】特開2001-322408(JP,A)
【文献】特開2007-106314(JP,A)
【文献】特開2010-247708(JP,A)
【文献】特開2018-034692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/12
B60C 11/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延びる一対の周方向溝によって区画されたブロック群を備えるタイヤであって、
前記ブロック群は、タイヤ幅方向に延びる複数の幅方向溝によって区画された複数のブロックを含み、
前記複数のブロックの各ブロックは、タイヤ周方向に延びる周方向サイプとタイヤ幅方向に延びる複数の幅方向サイプとによって、複数の小ブロックに区画され、
前記複数のブロックの各ブロックでは、
前記周方向サイプが、ジグザグ状に延び、
前記複数の幅方向サイプのすくなくとも前記タイヤ周方向の最外側の幅方向サイプが互いに平行に延び
前記複数の小ブロックは、トレッド平面視で六角形の小ブロックを含む、タイヤ。
【請求項2】
タイヤ赤道線を挟んで配置されたタイヤ幅方向で最も外側に位置する一対の周方向溝で区画されたセンター部のみに前記ブロック群を備える請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記周方向サイプは、踏面側から底部分まで一定の溝幅を有し、
前記複数の幅方向サイプのそれぞれは、踏面側から底部分まで一定の溝幅を有する請求項1または請求項2に記載のタイヤ。
【請求項4】
タイヤ周方向に延びる一対の周方向溝によって区画されたブロック群を備えるタイヤであって、
前記ブロック群は、タイヤ幅方向に延びる複数の幅方向溝によって区画された複数のブロックを含み、
前記複数のブロックの各ブロックは、タイヤ周方向に延びる周方向サイプとタイヤ幅方向に延びる複数の幅方向サイプとによって、複数の小ブロックに区画され、
前記複数のブロックの各ブロックでは、
前記周方向サイプが、ジグザグ状に延び、
前記複数の幅方向サイプのすくなくとも前記タイヤ周方向の最外側の幅方向サイプが互いに平行に延び、
前記複数の小ブロックは、トレッド平面視で前記タイヤ周方向の両端部におけるブロック幅が中央部におけるブロック幅より広い小ブロックを含む、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接地面積が比較的小さいブロックを密集して配置したトレッドパターンが用いられるタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、氷雪路面の走行に適したウインタータイヤ(以下、タイヤ)において、接地面積が比較的小さいブロックを密集して配置したトレッドパターンを用いる方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
このような小ブロックを密集して配置したトレッドパターンは、一般的なサイズのブロックと比べて氷雪路面との接地性が良好であるため、氷雪路面での走行性能(以下、氷上性能)を向上し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-193202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、上述した従来のタイヤには、さらに、次のような改善の余地がある。具体的に、氷上性能、特に直進走行時の雪氷路上における制動性能の更なる向上が求められている。
【0006】
そこで、以下の開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、接地面積が比較的小さいブロックを密集して配置したトレッドパターンを用いる場合において、直進走行時の雪氷路上における制動性能を更に向上し得るタイヤの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るタイヤは、タイヤ周方向に延びる一対の周方向溝によって区画されたブロック群を備える。前記ブロック群は、タイヤ幅方向に延びる複数の幅方向溝によって区画された複数のブロックを含む。前記複数のブロックの各ブロックは、タイヤ周方向に延びる周方向サイプとタイヤ幅方向に延びる複数の幅方向サイプとによって、複数の小ブロックに区画される。前記複数のブロックの各ブロック内では前記周方向サイプが、ジグザグ状に延び、前記複数の幅方向サイプのすくなくとも前記タイヤ周方向の最外側の幅方向サイプが互いに平行に延びる。前記複数の小ブロックは、トレッド平面視で六角形の小ブロックを含む。
本発明の第二の態様に係るタイヤは、タイヤ周方向に延びる一対の周方向溝によって区画されたブロック群を備える。前記ブロック群は、タイヤ幅方向に延びる複数の幅方向溝によって区画された複数のブロックを含む。前記複数のブロックの各ブロックは、タイヤ周方向に延びる周方向サイプとタイヤ幅方向に延びる複数の幅方向サイプとによって、複数の小ブロックに区画される。前記複数のブロックの各ブロック内では前記周方向サイプが、ジグザグ状に延び、前記複数の幅方向サイプのすくなくとも前記タイヤ周方向の最外側の幅方向サイプが互いに平行に延びる。前記複数の小ブロックは、トレッド平面視で前記タイヤ周方向の両端部におけるブロック幅が中央部におけるブロック幅より広い小ブロックを含む。
【発明の効果】
【0008】
上述したタイヤでは、ブロック群に含まれる各ブロックがジグザグ状の周方向サイプと複数の幅方向サイプによって小ブロックに区画されている。この構成では、制動時に各小ブロックがタイヤ周方向に隣接する小ブロックと支えあうだけでなくタイヤ幅方向に隣接する小ブロックとも支えあうため、各ブロックのタイヤ周方向の曲げ剛性は高まる。このように曲げ剛性が高まることで、制動時におけるタイヤの接地性が向上する。
【0009】
このため、上述したタイヤによれば、接地面積が比較的小さいブロックを密集して配置したトレッドパターンを用いる場合において直進走行時の雪氷路上における制動性能を更に向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、空気入りタイヤ10のトレッドの一部平面展開図である。
図2図2は、トレッド20の一部拡大平面図である。
図3図3は、周方向サイプ120(幅方向サイプ130)を含むブロック100の、サイプ幅方向及びタイヤ径方向TRに沿った一部断面図である。
図4図4は、変更例1に係る空気入りタイヤ10Aのトレッドの一部平面展開図である。
図5図5は、変更例2(実施形態1)に係る空気入りタイヤ10Bのトレッドの一部平面展開図である。
図6図6は、変更例3(実施形態2)に係る空気入りタイヤ10Cのトレッドの一部平面展開図である。
図7図7は、変更例4(実施形態3)に係る空気入りタイヤ10Dのトレッドの一部平面展開図である。
図8図8は、変更例5に係る空気入りタイヤ10Eのトレッドの一部平面展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0012】
(1)タイヤの全体概略構成
図1は、基本形態に係る空気入りタイヤ10のトレッドの一部平面展開図である。
【0013】
基本形態の空気入りタイヤ10は、氷雪路面、具体的には、氷上路面及び積雪路面を走行することが可能な、いわゆるウインタータイヤであり、スタッドレスタイヤとも呼ばれる。また、空気入りタイヤ10は、非氷雪路面(ウェット路面及びドライ路面)と、氷雪路面とを走行することが可能なオールシーズンタイヤであってもよい。或いは、空気入りタイヤ10は、ウインタータイヤやオールシーズンタイヤではなく、一般的なサマータイヤであってもよい。
【0014】
また、空気入りタイヤ10が装着される車種は、特に限定されないが、主に乗用自動車(SUV及びミニバンが含まれてもよい)を対象としてよい。
【0015】
空気入りタイヤ10は、接地面積が比較的小さいブロックを密集して配置したトレッドパターンが用いられる。
【0016】
具体的に、空気入りタイヤ10は、図1に示すように、タイヤ周方向TCに延びるブロック列31,32,33、34、35を備える。具体的に、空気入りタイヤ10は、それぞれが、ブロック群であり周方向溝41,42,43,44の互いに隣り合う一対の周方向溝によって区画されたブロック列31,32,33と、周方向溝43,44とトレッド端とで区画されたブロック列34,35を備える。
【0017】
トレッド20は、路面と接する部分である。トレッド20には、空気入りタイヤ10の使用環境や装着される車両の種別に応じたトレッドパターンが形成される。
【0018】
トレッド20には、タイヤ赤道線CLを含む位置にブロック列31が設けられ、ブロック列31のタイヤ幅方向外側にブロック列32及びブロック列33が設けられる。
【0019】
また、ブロック列32のタイヤ幅方向外側にはブロック列34が設けられ、ブロック列33のタイヤ幅方向外側にはブロック列35が設けられる。
【0020】
ブロック列31は、タイヤ周方向TCに延びる一対の周方向溝、具体的には、周方向溝41と周方向溝42とによって区画される。
【0021】
ブロック列32は、周方向溝42と周方向溝43とによって区画される。ブロック列33は、周方向溝41と周方向溝44とによって区画される。なお、ブロック列34及びブロック列35は、トレッド20のショルダー領域に設けられるため、タイヤ幅方向外側に、周方向溝が形成されていない。
【0022】
(2)ブロックの形状
図2は、トレッド20に一部拡大平面図である。上述したように、トレッド20には、タイヤ周方向TCに延びる複数のブロック列が設けられ、当該ブロック列のそれぞれは、路面と接する複数のブロックを含む。
【0023】
具体的には、ブロック列は、タイヤ幅方向WDに延びる複数の幅方向溝によって区画された複数のブロックを含む。具体的には、ブロック列31はブロック100を含む。ブロック列32は、ブロック200を含む。ブロック列33は、ブロック300を含む。ブロック列34は、ブロック400を含む。ブロック列35は、ブロック500を含む。
【0024】
ブロック100は、幅方向溝61によって区画される。ブロック200は、幅方向溝62によって区画される。ブロック300は、幅方向溝63によって区画される。ブロック400は、幅方向溝64によって区画される。ブロック500は、幅方向溝65によって区画される。
【0025】
ブロック列31に含まれるブロック100のタイヤ周方向TCの幅は、すべてが同じ幅でなくてよい。本基本形態において、互いに平行に延びる幅方向溝61によって区画されるブロック100は、タイヤ周方向の幅が広いブロック1001とタイヤ周方向の幅が狭いブロック1003とが交互に配置されている。
【0026】
ブロック列32、ブロック列33は、ブロック列31と概ね同様の形状を有する。
【0027】
具体的に、本基本形態では、ブロック列32において、幅方向溝62で区画されたブロック200は、タイヤ周方向で、周方向の幅が広いブロックと周方向の幅が狭いブロックとが交互に配置されている。同様に、ブロック列33において、幅方向溝63で区画されたブロック300は、タイヤ周方向で、周方向の幅が広いブロックと周方向の幅が狭いブロックとが交互に配置されている。
【0028】
ブロック100は、タイヤ周方向TCに延びる周方向サイプ120と、タイヤ幅方向WDに延びる幅方向サイプ130とによって、複数の小ブロック101に区画される。
【0029】
具体的に、ブロック100は、2本の周方向サイプ120と、2本の幅方向サイプ130とによって、9個の小ブロック101に区画される。
【0030】
基本形態において、幅方向サイプ130のそれぞれの端部は、周方向溝の何れかに連通する。具体的に、幅方向サイプ130の端部は、周方向溝41及び周方向溝42に連通する。
【0031】
また、周方向サイプ120は、ジグザグ状に延びる。周方向サイプ120の両端は、ブロック100に隣接する幅方向溝61に連通する。
【0032】
さらに、本基本形態では、幅方向溝61および幅方向サイプ130がタイヤ幅方向WDに対して傾斜する。幅方向溝61と幅方向サイプ130とは、トレッド平面視で平行である。つまり、幅方向溝61のタイヤ幅方向WDに対する傾斜角度と、幅方向サイプ130のタイヤ幅方向WDに対する傾斜角度とは同一である。
【0033】
基本形態では、幅方向サイプ130と周方向サイプ120とが、ジグザグ状の周方向サイプ120が折れ曲がる部位で交差している。
【0034】
周方向サイプ120と幅方向サイプ130とによって区画された各小ブロック101のトレッド平面視での形状は、少なくとも四つの辺で囲まれた多角形であってよい。本基本形態では、小ブロック101は、四角形状である。具体的に、小ブロック101のタイヤ周方向TCは、互いに平行な複数の幅方向サイプ130、或いは幅方向サイプ130に平行に形成された幅方向溝61で区画されている。小ブロック101のタイヤ幅方向WDは、互いに平行な周方向サイプ120或いは周方向溝41,42で区画されている。このため、周方向溝41,42に隣接する小ブロック101がトレッド平面視で台形の柱状になっており、タイヤ幅方向WDの両端が周方向サイプ120で区画された小ブロック101が平行四辺形の柱状になっている。
【0035】
少なくともブロック200,300は、ブロック100と概ね同様の形状を有する。
【0036】
具体的には、ブロック200は、2本の周方向サイプ220と、2本の幅方向サイプ230とによって、9個の小ブロック201に区画される。
【0037】
幅方向サイプ230の端部は、周方向溝42及び周方向溝43に連通する。また、周方向サイプ120は、ジグザグ状に延びる。周方向サイプ220は、ブロック200に隣接する周方向溝42,43に直接連通することなく、両端部が、ブロック200に隣接する幅方向溝62に連通する。
【0038】
また、幅方向溝62と幅方向サイプ230とは、タイヤ幅方向WDに対して傾斜する。幅方向溝62と幅方向サイプ230とは、トレッド平面視で平行である。
【0039】
また、本基本形態では、幅方向サイプ230と周方向サイプ220とが、ジグザグ状の周方向サイプ220が折れ曲がる部位で交差している。
【0040】
ブロック300は、2本の周方向サイプ320と、2本の幅方向サイプ330とによって、9個の小ブロック301に区画される。
【0041】
幅方向サイプ330の端部は、周方向溝41及び周方向溝44に連通する。また、周方向サイプ120は、ジグザグ状に延びる。周方向サイプ320は、ブロック200に隣接する周方向溝41,44に直接連通することなく、両端部が、ブロック300に隣接する幅方向溝63に連通する。
【0042】
また、幅方向溝63と幅方向サイプ330とは、タイヤ幅方向WDに対して、幅方向溝61および幅方向サイプ130の逆方向に傾斜する。さらに、幅方向溝63と幅方向サイプ330とは、トレッド平面視で平行である。
【0043】
また、本基本形態では、幅方向サイプ330と周方向サイプ320とが、ジグザグ状の周方向サイプ320が折れ曲がる部位で交差している。
【0044】
図1に示すように、空気入りタイヤ10において、四角形の柱状の小ブロック101を有する平行四辺形状のブロック100を含むブロック列31、四角形の柱状の小ブロック201を有する平行四辺形状のブロック200を含むブロック列32、および四角形の柱状の小ブロック301を有する平行四辺形状のブロック300を含むブロック列33は、タイヤ赤道線CLを挟んで配置されたタイヤ幅方向で最も外側に位置する一対の周方向溝43,44で区画されたセンター部CTのみに設けられる。
【0045】
ブロック400は、1本の周方向サイプ420と、2本の幅方向サイプ430とによって、6個の小ブロック401に区画される。
【0046】
幅方向サイプ430のタイヤ幅方向内側の端部は、周方向溝43に連通し、周方向サイプ420の端部は、ブロック400に隣接して形成される幅方向溝64に連通する。
【0047】
トレッド端を含むブロック400に形成される周方向サイプ420は、タイヤ周方向TCに沿って直線的に延びている。また、ブロック400内に配置された幅方向サイプ430は周方向サイプ420との交差部分で折れ曲がっている。
【0048】
また、幅方向溝64と幅方向サイプ430とは、タイヤ幅方向WDに対して傾斜する。図1に示すように、幅方向溝64及び幅方向サイプ430の周方向溝43側の一部は、他の部分よりもさらに傾斜していてもよい。
【0049】
ブロック500も、1本の周方向サイプ520と、2本の幅方向サイプ530とによって、6個の小ブロック501に区画される。
【0050】
幅方向サイプ530のタイヤ幅方向内側の端部は、周方向溝44に連通し、周方向サイプ520の端部は、ブロック500に隣接して形成される幅方向溝65に連通する。
【0051】
トレッド端を含むブロック500に形成される周方向サイプ520は、タイヤ周方向TCに沿って直線的に延びている。また、ブロック400内に配置された幅方向サイプ530は周方向サイプ520との交差部分で折れ曲がっている。
【0052】
また、幅方向溝65と幅方向サイプ530とは、タイヤ幅方向WDに対して傾斜する。図2に示すように、幅方向溝65及び幅方向サイプ530の周方向溝43側の一部は、他の部分よりもさらに傾斜していてもよい。
【0053】
なお、図1に示すように、ブロック400とブロック500とは、点対称となる形状を有している。
【0054】
(3)周方向サイプ及び幅方向サイプの断面形状
図3は、周方向サイプ120あるいは幅方向サイプ130を含むブロック100のサイプ幅方向及びタイヤ径方向TRに沿った一部断面図である。
【0055】
なお、少なくともブロック200,300に形成された周方向サイプ220,320は、ブロック100に形成された周方向サイプ120と同様の断面形状を有する。また、幅方向サイプ230,330も、幅方向サイプ130と同様の断面形状を有する。
【0056】
図3に示すように、本基本形態では、周方向サイプ120は、路面側から底部分まで一定の溝幅GW1を有する。幅方向サイプ130も、路面側から底部分まで一定の溝幅GW1を有する。具体的に、周方向サイプ120および幅方向サイプ130のサイプ幅方向およびタイヤ径方向TRに沿った断面における断面形状は、サイプ壁面がタイヤ径方向TRに沿って直線状に延在し互いに略平行な溝壁面を有するように形成される。
【0057】
なお、サイプとは、ブロックの接地面内では閉じる細溝であり、非接地時におけるサイプの開口幅は、特に限定されないが0.1mm~1.5mmであることが好ましく、0.4mm~0.7mmがより好ましい。
【0058】
基本形態では、周方向サイプ120および幅方向サイプ130の深さD1は5.0mm程度、溝幅GW1は0.4mm程度に設定される。
【0059】
(4)ブロックの寸法及び曲げ剛性
上述したように、ブロック200,300が概ねブロック100と同様の形状を有するため、ここでは、ブロックの寸法及び曲げ剛性について、図2に図示されるブロック100を例に説明する。
【0060】
図2に示すように、ブロック100のタイヤ幅方向WDに沿った寸法W1は、ブロック100のタイヤ周方向TCに沿った寸法L1よりも長い。つまり、ブロック100は、横長である。
【0061】
また、タイヤ幅方向における小ブロック101の幅W2とタイヤ幅方向におけるブロック100の幅W1との比W2/W1は、0.25以上、0.50以下である。W2/W1は、0.30以上、0.45以下であることがより好ましい。タイヤ周方向TCにおける小ブロック101の長さL2と、タイヤ周方向TCにおけるブロック100の長さL1との比L2/L1は、0.1以上0.5以下、好適には0.15以上0.45以下が好ましい。L2/L1は、W2/W1よりも小さいことが好ましい。
【0062】
なお、幅W1、幅W2、長さL1、及び長さL2は、図2に示すように、タイヤ幅方向WD及びタイヤ周方向TCを基準としている。また、小ブロック101の幅W2は、小ブロック101における、タイヤ幅方向端から周方向サイプ120のジグザグ形状のタイヤ幅方向中心までの距離、或いは小ブロック101に隣接する2本の周方向サイプ120の前記中心間の距離を基準としてよい。
【0063】
ブロック100の高さ、つまり、ブロック100区画する周方向溝41、42及び幅方向溝61の深さは、一定でなくてもよいが、6mm~12mm程度である。
【0064】
小ブロック101単体の高さ方向を基準とした断面二次モーメントは、150(mm)以上、2200(mm)以下である。小ブロック101単体の幅W2及び長さL2の好ましい範囲は、幅W2=9~15mm、長さL2=6~12mmである。
【0065】
また、前記断面二次モーメントは、300~1500(mm)が好ましく、500~1000(mm)がより好ましい。ブロック100は、周方向溝41,42に隣接する小ブロック101のトレッド平面視の形状が台形の柱状であり、断面二次モーメントは、(式1)によって求められる。
【0066】
(式1) 断面二次モーメントI={(a+4ab+b)*h}/(36a+36b)
ここで、図2に示すように、トレッド平面視で台形である小ブロック101の上底の長さをa、下底の長さをb、幅方向サイプ130に垂直な方向の高さをhとしている。
【0067】
そして、周方向サイプ120によって両端が区画された小ブロック101のトレッド平面視の形状が平行四辺形の柱状であり、断面二次モーメントは、(式2)によって求められる。
【0068】
(式2) 断面二次モーメントI=(W2*L2)/12
小ブロック101単体の長さL2と幅W2との関係は、1.0≦W2/L2≦1.5であることが好ましい。W2/L2を1.0以上とすることで接地性が向上して氷上性能が向上する。また、W2/L2を1.5以下とすることで、路面Rの表面に発生する水を除水することができ、氷上性能が向上する。
【0069】
(5)作用・効果
上述した基本形態によれば、以下の作用効果が得られる。具体的には、ブロック100(他のブロックも同様)は、周方向サイプ120と幅方向サイプ130とによって複数の小ブロック101に区画される。周方向サイプ120および幅方向サイプ130は、踏面側から底部分まで一定の溝幅GW1を有する。
【0070】
つまり、タイヤ周方向TCとタイヤ幅方向WDについて、底部分まで一定の溝幅GW1を有する周方向サイプ120、幅方向サイプ130が延在するため、ブロック100のタイヤ周方向TCおよびタイヤ幅方向WDにおける端部のエッジ圧を確保できる。また、ブロック100のブロックエッジ部分は、周方向サイプ120によって分断(区画)されるため、ブロック100の踏面からの除水性能も確保できる。
【0071】
また、ブロック100のタイヤ周方向TCにおける端部を構成する小ブロック101では、上述したように、十分なエッジ圧が確保される。これにより、特に、氷雪路面への引っ掛りが強くなり、制駆動性能を効果的に高め得る。さらに、ブロック100のタイヤ周方向TCにおける端部を構成する小ブロック101の後方に設けられている他の小ブロック101は、路面にしっかりと接することができる。
【0072】
このように、複数の小ブロック101それぞれが、「接地性」、「エッジ効果」及び「除水(排水)」を狙うのではなく、上述したように、小ブロック101ごとに「接地性」、「エッジ効果」及び「除水(排水)」の役割を分担する。
【0073】
このように、空気入りタイヤ10によれば、接地面積が比較的小さいブロックを密集して配置したトレッドパターンを用いる場合において、氷上性能を向上し得る。
【0074】
また、本基本形態では、小ブロック101とブロック100とのサイズ比W2/W1は、0.25以上、0.50以下であり、ブロック100単体の高さ方向を基準とした断面二次モーメントは、150以上、2200(mm)以下である。
【0075】
このため、「接地性」、「エッジ効果」及び「除水(排水)」のそれぞれの性能を高い次元で達成し得る。W2/W1が0.25以上であることで、小ブロック101のサイズが小さ過ぎることなく、十分な接地性及びエッジ効果が発揮できる。また、W2/W1が0.50以下であることで、小ブロック101のサイズが大きくなり過ぎることないため、十分な接地性を発揮できる。
【0076】
空気入りタイヤ10によれば、W2/W1及びブロック100単体の曲げ剛性を上述した範囲とすることによって、氷雪路面だけでなく、ドライ路面も含めた制駆動性能、操縦安定性などの運動性能を高めることができる。すなわち、空気入りタイヤ10によれば、接地面積が比較的小さいブロックを密集して配置したトレッドパターンを用いる場合において、さらに高い運動性能を発揮し得る。
【0077】
基本形態では、小ブロック101(他のブロック及び小ブロックも概ね同様)は、トレッド平面視で四角形の柱状である。このため、隣接する小ブロック101が、周方向サイプ120及び幅方向サイプ130を介して効率的に支え合うことができる。特に、直進走行時の雪氷路上における制動性能は、制動時に各小ブロック101がタイヤ周方向TCに隣接する小ブロック101と支えあうだけでなく、タイヤ幅方向WDに隣接する小ブロック101とも支えあう構成になるため、各ブロック100のタイヤ周方向TCの曲げ剛性が高まる。このようにタイヤ周方向TCの曲げ剛性が高まることで、制動時におけるタイヤの接地性がさらに向上し得る。
【0078】
基本形態では、幅方向サイプ130の端部は、周方向溝41及び周方向溝42に連通し、周方向サイプ120の端部は、ブロック100に隣接して形成される幅方向溝61に連通する。これにより、ブロック100としての剛性(ブロック剛性)を確保しつつ、十分な除水性能を発揮し得る。
【0079】
基本形態では、ブロック100の幅W2は、ブロック100の長さL2よりも大きく、ブロック100は、横長である。これにより、ブロック100のタイヤ周方向TCにおける端部によるエッジ効果(エッジ成分と呼んでもよい)を高めることができ、特に、氷雪路面において重要となる制動性能を効果的に高め得る。
【0080】
基本形態では、幅方向溝61と幅方向サイプ130とは、タイヤ幅方向WDに対して傾斜し、かつ幅方向溝61と幅方向サイプ130とは、平行である。これにより、ブロック100の偏摩耗、及びブロック100が路面に接地する際に発生するノイズ(パターン加振音)を抑制できる。
【0081】
(6)その他の形
以上、基本形態について説明したが、当該基本形態の記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0082】
例えば、上述した空気入りタイヤ10のトレッドパターンは、次のように変更してもよい。図4は、変更例1に係る空気入りタイヤ10Aのトレッド20Aの一部平面展開図である。
【0083】
図4に示すように、空気入りタイヤ10Aは、それぞれがブロック群であるブロック列31A,32A,33Aを備える。ブロック列31Aはブロック100Aを含み、ブロック列32Aはブロック200Aを含み、ブロック列33Aはブロック300Aを含む。
【0084】
以下、ブロック100Aを例にして説明する。図4に示すように、ブロック100Aは、2本の周方向サイプ120Aと、2本の幅方向サイプ130Aとによって9個の小ブロック101Aに区画される。
【0085】
基本形態のブロック100と比較すると、変更例1では、トレッド平面視でブロック100Aのタイヤ幅方向WDの両端部が周方向サイプ120Aに平行なジグザグ状に形成されている点が異なる。変更例1おいて、小ブロック101Aは、周方向溝41A,42Aに隣接する小ブロック101もトレッド平面視で平行四辺形の柱状になっている。変更例1では、ブロック100Aの幅方向端部がジグザグ状であるため、トレッド20Aにおいて、この面を溝壁としてジグザグ状に延びる周方向溝41A,42Aを有する点も、周方向溝がストレート状に延びる基本形態のトレッド20と異なる。
【0086】
に示すように、空気入りタイヤ10Aにおいても、ブロック列31A、32A,33Aは、タイヤ赤道線CLを挟んで配置されたタイヤ幅方向で最も外側に位置する一対の周方向溝43A,44Aで区画されたセンター部CTAのみに設けられる。
【0087】
図5は、変更例2(実施形態1)に係るタイヤ10Bのトレッド20Bの一部平面展開図である。
【0088】
図5に示すように、空気入りタイヤ10Bは、それぞれがブロック群であるブロック列31B,32B,33Bを備える。ブロック列31Bはブロック100Bを含み、ブロック列32Bはブロック200Bを含み、ブロック列33Bはブロック300Bを含む。
【0089】
以下、ブロック100Bを例にして説明する。図5に示すように、ブロック100Bは、2本の周方向サイプ120Bと、4本の幅方向サイプ130Bとによって7個の小ブロック101Bに区画される。
【0090】
基本形態のブロック100と比較すると、変更例2では、小ブロック101Bが六角柱状(トレッド平面視で六角形)の小ブロックを含む点が異なる。
【0091】
具体的に、ブロック100Bは、図5に示すように、ジグザグ状に延びて両端が隣接する幅方向溝61Bに連通する周方向サイプ120Bと、少なくとも一端がブロック100B内で終端する複数の幅方向サイプ130Bによって区画されている。そして、小ブロック101B内で終端する幅方向サイプ130Bの端部は、周方向サイプ120Bが折れ曲がる位置で周方向サイプ120Bに連通している。
【0092】
なお、変更例2では、幅方向サイプ130Bの両端が、2本の周方向サイプ120Bのタイヤ幅方向で最も近い折れ曲がり位置に、或いは周方向溝41B,42Bと周方向サイプ120Bの周方向溝41B,42Bからタイヤ幅方向で最も近い折れ曲がり位置に連通することで各小ブロック101Bが六角柱状になっている。
【0093】
基本形態のブロック100と比較すると、変更例2では、タイヤ幅方向WD端に位置する小ブロック101Bが六角柱状であるため、トレッド20Bにおいて、ジグザグ状に延びる周方向溝41B,42Bを有する点も、基本形態のトレッド20と異なる。
【0094】
図5に示すように、空気入りタイヤ10Bにおいても、ブロック列31B、32B,33Bは、タイヤ赤道線CLを挟んで配置されたタイヤ幅方向で最も外側に位置する一対の周方向溝43B,44Bで区画されたセンター部CTBのみに設けられる。
【0095】
変更例2に係る空気入りタイヤ10Bによれば、コーナリング時に各ブロックがタイヤ幅方向WDに隣接する2つの小ブロック101Bと支えあうため、各ブロック100Bのタイヤ周方向TCの曲げ剛性だけでなく、タイヤ幅方向WDの曲げ剛性も高めることができる。
【0096】
図6は、変更例3(実施形態2)に係るタイヤ10Cのトレッド20Cの一部平面展開図である。
【0097】
図6に示すように、空気入りタイヤ10Cは、それぞれがブロック群であるブロック列31C,32C,33Cを備える。ブロック列31Cはブロック100Cを含み、ブロック列32Cはブロック200Cを含み、ブロック列33Cはブロック300Cを含む。
【0098】
以下、ブロック100Cを例にして説明する。図6に示すように、ブロック100Cは、2本の周方向サイプ120Cと、5本の幅方向サイプ130Cとによって8個の小ブロック101Cに区画される。
【0099】
基本形態のブロック100と比較すると、変更例3では、小ブロック101Cが、トレッド平面視でタイヤ周方向TCの両端部におけるブロック幅が中央部におけるブロック幅より広い形状の小ブロックを含む点が異なる。
【0100】
具体的に、各ブロック100Cは、図6に示すように、トレッド平面視で平行四辺形状に形成されている。そして、ブロック100Cは、ジグザグ状に延びて両端が隣接する幅方向溝61Cに連通する周方向サイプ120Cと、少なくとも一端がブロック100C内で終端する複数の幅方向サイプ130Cによって区画されている。小ブロック101C内で終端する幅方向サイプ130Cの端部は、周方向サイプ120Cが折れ曲がる位置で、周方向サイプ120Cに連通している。
【0101】
変更例3では、幅方向サイプ130Cの両端が、2本の周方向サイプ120Cのタイヤ幅方向で最も離れた折れ曲がり位置に、或いは周方向溝41C,42Cと周方向サイプ120Cの周方向溝41C,42Cからタイヤ幅方向で最も離れた折れ曲がり位置とに連通している。
【0102】
このため、変更例2のブロック100Bが六角柱状の小ブロック101Bを含むのに対し、変更例3のトレッド20Cに形成されたブロック列31Cのブロック100Cは、トレッド平面視で、タイヤ周方向TCの両端部におけるブロック幅が中央部におけるブロック幅より広い形状の小ブロックを含む。
【0103】
図6に示すように、空気入りタイヤ10Cにおいても、ブロック列31C、32C,33Cは、タイヤ赤道線CLを挟んで配置されたタイヤ幅方向で最も外側に位置する一対の周方向溝43C,44Cで区画されたセンター部CTCのみに設けられる。
【0104】
変更例3に係る空気入りタイヤ10Cによれば、小ブロック101C単体の高さ方向を基準とした断面二次モーメントが大きくなり、小ブロック101Cの倒れ込みを抑制し、氷上摩擦力を向上させることができる。
【0105】
図7は、変更例4(実施形態3)に係るタイヤ10Dのトレッド20Dの一部平面展開図である。
【0106】
図7に示すように、空気入りタイヤ10Dは、タイヤ赤道線CLを挟んで配置された一対の周方向溝41D,42Dで区画されたセンター部CT全体に、ブロック群31Dを備える。ブロック群31Dは、タイヤ幅方向WDに対して傾斜し周方向溝41Dに連通しつつ周方向溝42Dに連通しない複数の幅方向溝61Dと、タイヤ幅方向WDに対して幅方向溝61Dと逆方向に傾斜し周方向溝42Dに連通しつつ周方向溝41Dに連通しない複数の幅方向溝62Dとによって区画された複数のブロック100Dを含む。
【0107】
図7に示すように、周方向溝41D,42Dに隣接しないブロック100Dは、4本の周方向サイプ120Dと、4本の幅方向サイプ130Bとによって7個の小ブロック101Bに区画される。
【0108】
周方向溝41D,42Dに隣接するブロック100Dは、4本の周方向サイプ120Dと、7本の幅方向サイプ130Bとによって12個の小ブロック101Bに区画される。
【0109】
具体的に、ブロック100Dは、図7に示すように、周方向溝41D,42Dに隣接しない場合、周方向溝41D,42Dに隣接する場合のいずれの場合でも、ジグザグ状に延びて両端が隣接する幅方向溝61Dに連通する周方向サイプ120Dと、両端がブロック100D内で終端する複数の幅方向サイプ130Dによって区画されている。そして、小ブロック101D内で終端する幅方向サイプ130Dの両端は、それぞれが周方向サイプ120Dの折れ曲がり位置で、周方向サイプ120Dに連通している。
【0110】
変更例4では、幅方向サイプ130Dの両端が、2本の周方向サイプ120Bのタイヤ幅方向で最も近い折れ曲がり位置に連通することで各小ブロック101Dが六角柱状になっている。
【0111】
基本形態のトレッド20と変更例4のトレッド20Dとを比較すると、基本形態のトレッド20では、センター部CTに複数のブロック群(ブロック列31,32,33)が配置されていたが、変更例4のトレッド20Dでは、センター部CT全体に、単一のブロック群31Dが配置されている点が異なる。
【0112】
さらに、ブロック群31Dが互いに交差する複数の幅方向溝61D,62Dによって複数のブロック100Dに区画されている点も、互いに平行な幅方向溝61でブロック列31が複数のブロック100に区画されている基本形態のブロック列31,32,33と異なる。
【0113】
変更例4に係る空気入りタイヤ10Dによれば、コーナリング時に各ブロックがタイヤ幅方向WDに隣接する2つの小ブロック101Dと支えあうため、各ブロック100Dのタイヤ周方向TCの曲げ剛性だけでなく、タイヤ幅方向WDの曲げ剛性も高めることができる。
【0114】
図7に示すように、空気入りタイヤ10Dにおいても、ブロック群31Dは、タイヤ赤道線CLを挟んで配置されたタイヤ幅方向で最も外側に位置する一対の周方向溝41D,42Dで区画されたセンター部CTDのみに設けられる。
【0115】
さらに、変更例4に係る空気入りタイヤ10Dによれば、センター部CTに配置されたブロック群31Dが互いに交差する複数の幅方向溝61D,62Dを有するため、直進走行時における高い排水性を確保することができる。
【0116】
図8は、変更例5に係る空気入りタイヤ10Eのトレッド20Eの一部平面展開図である。
【0117】
図8に示すように、空気入りタイヤ10Eは、それぞれがブロック群であるブロック列31E,32Eを備える。ブロック列31Eはブロック100Eを含み、ブロック列32Eはブロック200Eを含む。
【0118】
図8の変更例5に示すように、空気入りタイヤ10Eは、基本形態の空気入りタイヤ10のブロック列33に含まれるブロック300に代えて、ブロック列33Eに、タイヤ周方向TCに対して平行に延びる周方向サイプ320Eと、互いに異なる方向に延びる第一幅方向サイプと第二幅方向サイプとを含む複数の幅方向サイプ330Eと、によって複数の小ブロック301Eに区画されたブロック300Eを設けてもよい。
【0119】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0120】
10,10A,10B,10C,10D,10E 空気入りタイヤ
20,20A,20B,20C,20D,20E トレッド
31~35,31A~33A,31B~33B,31C~33C,33E ブロック列(ブロック群)
31D ブロック群
41~44,41A~44A,41B~44B,41C~44C,41D,42D,41E,44E 周方向溝
61~65,61A~63A,61B~63B,61C~63C,61D,62D,63E 幅方向溝
100,200,300,100A,200A,300A,100B,200B,300B,100C,200C,300C,100D,300E ブロック
101,201,301,101A,201A,301A,101B,201B,301B,101C,201C,301C,101D,301E 小ブロック 120,220,320,120A,220A,320A,120B,220B,320B,120C,220C,320C,120D,320E 周方向サイプ
130,230,330,130A,230A,330A,130B,230B,330B,130C,230C,330C,130D,330E 幅方向サイプ
CL タイヤ赤道線
CT,CTA,CTB,CTC,CTD、CTE センター部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8