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特許7627217シリンダー内の気体の空気力学的運動を発生する気体吸気管
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】シリンダー内の気体の空気力学的運動を発生する気体吸気管
(51)【国際特許分類】
   F02B 23/08 20060101AFI20250129BHJP
   F02F 1/42 20060101ALI20250129BHJP
   F02D 15/00 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
F02B23/08 C
F02B23/08 S
F02F1/42 A
F02D15/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021541680
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2020050715
(87)【国際公開番号】W WO2020151985
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】1900507
(32)【優先日】2019-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ゴートロト、 グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】リッター、 マーティン
(72)【発明者】
【氏名】レッカード、 クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シャルマソン、 セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】トロスト、 ジュリアン
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-105946(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0790398(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2787208(EP,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2902464(FR,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2923268(FR,A1)
【文献】仏国実用新案証公開第2780093(FR,A3)
【文献】独国特許発明第10128500(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 23/08 ~ 23/10
F02F 1/42
F02D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダーのための気体の吸気管であって、前記吸気管(2)は、前記シリンダー内において前記シリンダーの軸に略直交する軸の周りで前記気体の空気力学的運動を発生させるように前記気体を偏流させる偏流手段を備え、前記偏流手段は、前記吸気管の下側プロファイル(12)上の傾斜路の形状と、前記吸気管(2)の上側プロファイル(10)の凹形状とを備え、前記吸気管(2)の前記下側及び上側プロファイル(12,10)が前記吸気管(2)の使用位置で画定されている気体の吸気管において、
前記下側プロファイル(12)の前記傾斜路(6)の曲率半径R1は、20mmと30mmの間であり、前記上側プロファイルの前記凹形状は、曲率半径R3が100mmと130mmの間の範囲にある中間領域(8)と、曲率半径R2が60mmと70mmの間の範囲にある最終領域(5)とを含み、前記最終領域(5)は、前記下側プロファイル(12)の前記傾斜路の形状に向かい合うことを特徴とする吸気管。
【請求項2】
記下側プロファイル(12)前記傾斜路(6)の曲率半径R1は、25mmと27mmの間の範囲にある、請求項1に記載の吸気管。
【請求項3】
前記下側プロファイル(12)は、曲率半径R5が200mmと350mmの間の範囲にある凹形状の初期領域(11)を含む、請求項1又は2に記載の吸気管。
【請求項4】
前記傾斜路の形状(6)の弧長は、前記下側プロファイル(12)の前記初期領域(11)の前記凹形状の弧長の6%と9%の間の範囲にある、請求項に記載の吸気管。
【請求項5】
前記上側プロファイル(10)は、凸形状の初期領域(9)を含む、請求項1乃至のいずれか1項に記載の吸気管。
【請求項6】
前記上側プロファイル(10)の前記初期領域(9)の弧長は、前記上側プロファイル(10)の前記中間領域(8)と前記最終領域(5)の弧長の和に実質的に等しい、請求項に記載の吸気管。
【請求項7】
前記吸気管(2)の最小断面積に対する最大断面積の比は1と2の間の範囲にある、請求項1乃至のいずれか1項に記載の吸気管。
【請求項8】
前記気体を偏流させるための前記偏流手段は、前記吸気管(2)と較正部(4)の交点での前記下側プロファイルの接線と水平方向との間の角度βによって定められる、0°と45°の間の範囲にある前記吸気管(2)の傾きをさらに有する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の吸気管。
【請求項9】
前記吸気管(2)は、前記シリンダーの軸に平行な軸の周りでの、前記シリンダー内での前記気体の空気力学的な運動を発生させる手段を備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載の吸気管。
【請求項10】
内燃機関のシリンダー用の気体の吸気装置であって、請求項1乃至のいずれか1項に記載の吸気管(2)と、前記吸気管(2)内に配置された少なくとも1つの吸気弁(3)と、前記吸気管(2)の一端に配置されて前記シリンダーの触火面(FF)に向けられた、前記吸気弁(3)の少なくとも1つの較正部(4)とを備える吸気装置(1)において、
前記流路断面が実質的に矩形で角が丸められた形状を有し、前記吸気管(2)の前記下側プロファイル上において、前記吸気管(2)と前記吸気弁(3)の前記較正部(4)との交点(7)は、前記吸気管(2)と前記較正部(4)の間の交点(7)を通り前記シリンダーの前記触火面(FF)に平行な平面(F’F’)に対して5°と45°の間の範囲にある角度αをなす母線(YY)の上にあり、そのため前記吸気管の前記一端が捩れていることを特徴とする、吸気装置。
【請求項11】
前記角度αは、5°と20°の間の範囲にある、請求項1に記載の吸気装置。
【請求項12】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の少なくとも1つの吸気管(2)と、少なくとも1つの排気管と、燃料噴射手段とが備えられている少なくとも1つのシリンダーを備える内燃機関。
【請求項13】
ミラーサイクルまたはアトキンソンサイクルのため請求項1に記載の内燃機関使用する方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用の気体吸気管の分野に関する。特に本発明は、エンジンシリンダー内で空気力学的な気体運動を発生させることができる気体吸気管に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエンジンは、一般に、少なくとも1つのシリンダーと、このシリンダー内を往復直進運動で摺動するピストンと、酸化剤用の吸気手段と、燃焼ガス排出手段と、燃焼室と、燃料を噴射する噴射手段と、を備える。
【0003】
一般的に認識されているように、エンジンを設計する場合、性能と汚染物質排出の制約はますます高くなっているので、最終的なエンジン効率を高めるために新しい解決法を見出す必要がある。
【0004】
かくして燃焼効率を上げることは、同等かそれ以上の性能に対して排出を制限するための重要な点である。したがって、燃焼室内に存在する燃料の全てが、例えば、環境気圧の空気、過給された空気、または、(過給または非過給の)空気と再循環された燃焼ガスの混合物とを含む酸化剤によって使用されることが非常に重要である。
【0005】
実際、燃焼室内の燃料混合物(酸化剤/燃料)は、できるだけ均質である必要がある。
【0006】
さらに、良好な効率及び燃焼速度を確保するために、燃料混合物の点火のときとそれに引き続く燃焼時のときに、高い乱流レベル、より具体的には高い乱流運動エネルギーレベルを有することが望ましい。
【0007】
この高い乱流レベルは、特定の吸気空気力学、すなわちタンブル(tumble)(エンジンの長手方向軸の周りでのシリンダー内の気体の回転運動)、またはスワンブル(swunble)によって得ることができる。後者の型の空気力学は、燃料混合物の巨視的運動が、スワール(swirl)(シリンダー軸の周りでのシリンダー内の気体の回転運動)とタンブル(シリンダー軸に概ね直交するエンジンの長手方向軸の周りでの、シリンダー内の気体の回転運動)との組み合わせであることで特徴付けられる。
【0008】
シリンダー軸に共線的な軸の周りでの燃料混合物の巨視的な回転運動であるスワールは、吸気プロセス中の、より具体的にはピストンの上昇中の、良好な運動の保存によって特徴付けられる。それは、圧縮点火内燃機関に対して一般的に使用される空気力学的な巨視的運動であり、そのような内燃機関に対する、燃料混合物を均質化する良い方法である。
【0009】
タンブルも燃料混合物の巨視的な回転運動であるが、シリンダー軸に対して大域的には垂直な軸の周りでの巨視的な回転運動である。それは、ピストンが上昇するにつれて乱流を作り出す微視的な空気力学的運動に変化するという特有の特徴を有する。これは、火花点火内燃機関に対して一般的に用いられる空気力学的な巨視的運動であり、そのような内燃機関に対する、適切な燃焼速度を得る良い方法である。また、この運動は、最大リフト高さと同様に、広がりに関して、燃焼室形状とリフト則に非常に敏感である。
【0010】
スワンブルを使用することにより、圧縮期における、最良の現行の火花点火エンジンで観察されたレベルよりも高い乱流レベルのおかげで、上記に詳しく説明した2つの空気力学的構造の利点から、したがって優れた均質化とより良い燃焼速度から、利益を得ることができる。
【0011】
シリンダー内でこれらの乱流を達成するために種々の技術的解決策が開発されている。
【0012】
第1の解決策は、米国特許第6606975号明細書に特に記載されている。この解決策は、乱流を発生させるように吸気管内に配置したフラップを制御することからなる。この特許は、低負荷スワンブルという概念にさらに言及している。このような解決策は、シリンダー充填に関して複雑であって不利益をもたらす。
【0013】
第2の解決策は、米国特許第5056486号明細書に特に記載されている。このソリューションは、複雑な空気力学を生成することを可能にする非対称吸気管の定義を提供する。ただしこの解決策では、吸気弁の開弁の位相シフトを必要とし、そのような位相シフトは高負荷時に不利益をもたらす。
【0014】
第3の解決策は、独国特許発明第10128500号明細書及び欧州特許出願公開第1783341号明細書の特許出願に特に記載されている。この解決策は、吸気管内の受動的または能動的な付属物を用いることによって、複雑な空気力学を生成することを可能にする。いずれの場合もこれらの付属物は、気体によるシリンダー充填を制限する。さらに、能動的な付属物は、そのような解決策をより複雑にする制御システムを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許第6606975号明細書
【文献】米国特許第5056486号明細書
【文献】独国特許発明第10128500号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1783341号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これらの欠点を克服するために、本発明は、熱機関のシリンダーのための気体吸気装置に関する。管は、シリンダー内で気体のタンブル型の空気力学的運動を発生させるように気体を偏流させる手段を備える。偏流手段は、管の下側プロファイル(イントラドス(アーチの内輪))上の「傾斜路(tremplin)」の形状と、管の上側プロファイル(エクストラドス(アーチの外輪))の凹形状領域とを少なくとも備える。本発明の目標は、フラップが管内に配置されることなしで、吸気管の開口位相シフトなしで、かつ、吸気管内の受動的または能動的付属物なしで、シリンダー内の気体のタンブル型空気力学的運動を生成することである。「傾斜路(tremplin)」は、下側プロファイルからの気体流の分離を促進する要素であると理解される。この傾斜路形状とこの凹形状領域は、高速気体流を発生させるような寸法にされており、それは、引き続いて。欠陥のないタンブル型乱流を発生させることを可能にする。本発明に基づく管は、さらに、タンブル型空気力学的気体運動とシリンダー充填との間の興味深い妥協点を提供する。
【0017】
本発明はさらに、スワール(したがって、スワンブル)も発生する手段を備えたこのような吸気管に関する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、内燃機関のシリンダーのための気体吸気管であって、前記吸気管は、前記シリンダー内において前記シリンダーの軸に略直交する軸の周りで前記気体の空気力学的運動を発生させるように前記気体を偏流させる偏流手段を備え、前記偏流手段は、前記吸気管の下側プロファイル上の傾斜路の形状と、前記吸気管の上側プロファイルの凹形状とを備え、前記吸気管の前記下側及び上側プロファイルが前記吸気管の使用位置で画定されている気体吸気管に関する。前記傾斜路を形成する前記下側プロファイルの曲率半径は、40mm未満であり、前記上側プロファイルの前記凹形状は、曲率半径が50mmと150mmの間の範囲にある中間領域と、曲率半径が10mmと100mmの間の範囲にある最終領域とを含み、前記最終領域は、前記下側プロファイルの前記傾斜路の形状に対向する。
【0019】
一実施態様によると、前記傾斜路を形成する前記下側プロファイルの曲率半径は、20mmと30mmの間の範囲にあり、好ましくは25mmと27mmの間の範囲にある。
【0020】
一実現態様によると、前記中間領域の前記曲率半径は、100mmと130mmの間の範囲にある。
【0021】
一態様によると、前記最終領域の前記曲率半径は、60mmと70mmの間の範囲にある。
【0022】
一実施態様によれば、前記下側プロファイルは、曲率半径R5が200mmと350mmの間、好ましくは230mmと300mmの間、より好ましくは270mmと280mmの間の範囲にある凹形状の初期領域を含む。
【0023】
有利には、前記傾斜路の形状の弧長は、前記下側プロファイルの前記初期領域の前記凹形状の弧長の6%と9%の間の範囲にあり、好ましくは、前記下側プロファイルの前記初期領域の前記凹形状の弧長の13分の1に実質的に対応する。
【0024】
一実現形態によると、前記上側プロファイルは、凸形状の初期領域を含み、好ましくは、前記上側プロファイルの前記初期領域の曲率半径は、400mm以上である。
【0025】
好ましくは、前記上側プロファイルの前記初期領域の弧長は、前記上側プロファイルの前記中間領域と前記最終領域の弧長の和に実質的に等しい。
【0026】
有利には、前記吸気管の最小断面積に対する最大断面積の比は1と2の間の範囲にあり、1.5であることが好ましい。
【0027】
一態様によれば、前記気体を偏流させるための前記手段は、前記吸気管の出口に対する前記吸気管の交点での接線の角度βによって定められる、0°と45°の間の範囲、好ましくは5°と45°の間の範囲にある前記吸気管の傾きをさらに有する。
【0028】
特徴によれば、前記吸気管は、前記シリンダーの軸に平行な軸の周りでの、前記シリンダー内での前記気体の空気力学的な運動を発生させる手段を備える。
【0029】
本発明は、内燃機関のシリンダー用の気体吸気装置であって、上記の特徴のいずれか1つに基づく吸気管と、前記吸気管内に配置された少なくとも1つの吸気弁と、前記吸気管の一端に配置されて前記シリンダーの触火面に向けられた、前記吸気弁の少なくとも1つの較正部(calibration)とを備える吸気装置にも関する。前記吸気管の前記下側プロファイル上において、前記吸気管と前記吸気弁の前記較正部との交差部は、前記吸気管と前記較正部の間の交点を通り前記シリンダーの前記触火面に平行な平面に対して5°と45°の間の範囲にある角度αをなす母線の上にある。
【0030】
一態様によれば、前記角度αは、5°と20°の間、好ましくは8°と15°の間の範囲にある。
【0031】
さらに本発明は、上記特徴の1つによる少なくとも1つの吸気管と、少なくとも1つの排気管と、燃料噴射手段とが備えられている少なくとも1つのシリンダーを備える内燃機関に関する。
【0032】
さらに本発明は、ミラー(Miller)サイクルまたはアトキンソン(Atkinson)サイクルのための上記特徴の1つによる内燃機関の使用に関する。
【0033】
本発明による装置の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例によって与えられる、以下の明細書を読むことから明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態による吸気管をその動作位置で示す図である。
図2】本発明の一実施形態による吸気管のパラメータを、その動作位置で示す図である。
図3】本発明の第1及び第2の変形例による吸気装置のイントラドスを、それぞれその動作位置で示す図である。
図4】本発明の一実施形態による内燃機関のシリンダーを、その動作位置で示す図である。
図5】従来技術による吸気管と本発明に基づく管とに関する、タンブルと透過性との妥協関係のグラフである。
図6】本発明の第1の変形例による吸気装置及び本発明の第2の変形例による吸気装置に関する、標準則の文脈内でのタンブル数、乱流運動エネルギー(TKE)及びスワール数の曲線を示す図である。
図7】本発明の第1の変形例による吸気装置及び本発明の第2の変形例による吸気装置に関する、ミラー(Miller)則の文脈内のでのタンブル数、乱流運動エネルギー(TKE)及びスワール数の曲線を示す図である。
図8】吸気管入口に対する測定面の距離の関数として、吸気管断面の進展の曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、内燃機関のシリンダー用の気体吸気管に関する。このような吸気管は、気体が流れ込む入口と、気体が流れ出てシリンダーに入る出口とを備えている。
【0036】
本発明によれば、吸気管は、シリンダー内においてシリンダーの軸に実質的に垂直な軸の周りで気体の空気力学的な運動を発生させるように気体を偏流させる手段を備える。換言すれば吸気管は、シリンダー内の気体のタンブル型の空気力学的な運動を発生させる手段を備える。タンブルは、ピストンが上昇するにつれて乱流を作り出す微視的な空気力学的な運動に転換するという特有の特徴を有することが思い出される。タンブルは、火花点火-内燃機関に一般的に使われている空気力学的な巨視的運動であり、火花点火-内燃機関における適切な燃焼速度を得るための良い方法である。またこの運動は、最大リフト高さと同様に広がりに関して、燃焼室形状とリフト則に非常に敏感である。
【0037】
吸気管は、吸気管の動作位置において定義された下側プロファイル(イントラドス(intrados))と上側プロファイル(エクストラドス(extrados))から構成される。下側プロフィルと上側プロフィルは2つの側壁で連結されている。
【0038】
気体偏流手段は、吸気管の下側プロファイル(イントラドス)上の凹形状の「傾斜路(tremplin)」と、吸気管の上側プロファイル(エクストラドス)の凹形状とからなる。傾斜路形状は、気体のタンブル型の空気力学的運動を最大にするように、吸気管内の気体流の剥離を促進し、吸気管の上部、したがってシリンダーの上部に気体を送る。上側プロファイルの凹形状は、吸気管に対し、ガス速度増加を促進する収斂形状を与える。さらに、傾斜路形状と上側プロファイルの凹部とのこの組み合わせは、マスク型、フラップ型またはブレード型のなんらかの特定の付属物を伴わずに、タンブル型の空気力学的な気体運動を与える。
【0039】
下側プロファイルの傾斜路形状は、曲率半径が40mm以下である下側プロファイルの曲率を用いて達成される。上側プロファイルの凹部は、中間領域及び最終領域とそれぞれ呼ばれる、気体の流れの方向における2つの連続した凹部領域によって達成される。上側プロファイルの最終領域は、吸気管内で、下側プロファイルの傾斜路形状に向かい合う。この領域は、吸気管出口に配置されるため、最終と呼ばれる。最終領域の曲率半径は10mmと100mmの間の範囲にあり、中間領域の曲率半径は50mmと150mmの間の範囲にある。
【0040】
特定の寸法を有する、傾斜路形状と凹状領域の組み合わせは、高速気体流の生成を可能にし、それは引き続いて、欠陥のないタンブル型の乱流の生成を可能にする。さらに本発明による吸気管は、タンブルとシリンダー充填との間の良好な妥協点を提供する。
【0041】
有利には、最終領域の曲率半径は、中間領域の曲率半径よりも小さくすることができ、かくして断面積が減少するので、気体速度は、吸気管内で増加する。
【0042】
好ましくは、シリンダーの充填を制限することなく傾斜路の効果を改善するために、傾斜路形状の半径は、20mmと30mmの間の範囲とすることができ、より好ましくは、25mmと27mmの間の範囲とすることができる。実際のところ、傾斜路領域の曲率半径が小さいほど、吸気管は、シリンダー充填を犠牲にしてタンブル型の空気力学的な気体運動の発生を促進する。一方、傾斜路領域の曲率半径が大きいほど、吸気管は、タンブル型の空気力学的な気体運動の発生を犠牲にして、シリンダーの充填を促進する。
【0043】
有利には、上側プロファイルの中間領域の曲率半径は、100mmと300mmの間の範囲とすることができる。この範囲により、収斂効果の発生を最適化することができる。
【0044】
有利には、上側プロファイルの最終領域の曲率半径は、60mmと70mmの間の範囲とすることができる。この範囲によっても、収斂効果の発生を最適化することができる。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、吸気管の下側プロファイル(イントラドス)は、凹形状の初期領域を含むことができる。この領域は吸気管入口に近いため、初期と呼ばれる。下部プロファイルの初期領域は、管の一般的な形状を決定し、吸気管の充填や堅牢性のようなパラメータに影響する。初期領域には、傾斜路形状の領域が直接続いている。
【0046】
この実施形態の場合、下側プロファイルの初期領域の曲率半径は、200mmと350mmの間、好ましくは230mmと300mmの間、より好ましくは270mmと280mmの間の範囲とすることができる。これらの数値範囲により、吸気管の充填と堅牢性を最適化できる。
【0047】
さらに、この実施態様のために、傾斜路形状の弧長は、下側プロファイルの凹形状の初期領域の弧長の6%と9%の間の範囲とすることができ、好ましくは、傾斜路形状の弧長は、下側プロファイルの凹形状の初期領域の弧長の13分の1に実質的に対応させることができる。そして、下側プロファイルの弧長の間のこの比は、タンブル型の空気力学的気体運動の発生に関して理想的である。
【0048】
本発明の一実現形態によれば、吸気管の上側プロファイル(エクストラドス)は、(吸気管を通る気体の流れ方向において)凸形状の初期領域を含むことができる。この領域は、吸気管入口に近いので、初期と呼ばれる。上側プロファイルの凸状の初期領域は、吸気管の入口断面を決定する。好ましくは、上側プロファイルの初期領域は、下側プロファイルの初期領域と幾何学的に類似している。初期領域には中間領域が直接続き、中間領域それ自体は最終領域に直接続く。本発明のこの実現形態に関し、上側プロファイルは、はっきりと区別できる曲率半径を有する3つの領域を含む。
【0049】
本発明のこの実現形態に関し、上側プロファイルの凸形状の初期領域の曲率半径は、それが大きいように、400mmよりも大きくすることができる。
【0050】
さらに本発明のこの実現形態のために、凸形状の初期領域の弧長は、上側プロファイルの中間領域と最終領域の弧長の和に実質的に等しくすることができる。そして、この上限プロファイルの弧長の間の比は、タンブル型空気力学的な運動の発生に関して理想的である。
【0051】
本発明の一態様によれば、管の収斂、すなわち、吸気管の断面積の進展は、吸気管の最大断面積と吸気管の最小断面積との比が1と2の間の範囲にあるように選択することができ、かつ比は1.5であることが好ましい。かくして適切(propre)な渦状タンブルを形成することが可能である。
【0052】
本発明の一態様によれば、吸気管の通路断面は、角が丸くなっている略長方形の形状を有することができる。この場合、吸気管と弁の較正部との交差部は、4つの縁部、すなわち、イントラドス側にある1つの縁部、エクストラドス側にある1つの縁部、側方の2つの縁部からなる。
【0053】
本発明の特徴によれば、吸気管の断面の形状は、吸気管の動作位置において、その下側の領域にある水平な直線部を含むことができる。この形状は、スワンブル型の空気力学的な運動の発生を促進する。
【0054】
1つの例示的な態様によると、気体偏流手段は、吸気管の傾きをさらに含むことができる。この吸気管の傾きは、0°と45°の間の範囲、好ましくは5°と45°の間の範囲にある、較正部に対する吸気管の交点での接線の角度βによって定義することができる。この傾きはシリンダーの燃焼室上部の勾配と結合することができる。吸気管の傾きにより、シリンダーに流入する気体流を傾かせてタンブル型の空気力学的な気体運動を形成することができる。例えば、タンブル型の空気力学的な気体運動の最適化は、角度βと燃焼室上部の勾配の角度との間の接触(tangence)を用いて得ることができる。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、吸気管は、シリンダー内でのシリンダー軸に共線的な軸の周りでの空気力学的な気体運動を発生させる手段をさらに備えることができる。換言すれば吸気管は、スワール型の空気力学的な気体運動を発生させる手段を備えることができる。したがって、タンブル型の空気力学的な気体運動を発生させる手段と組み合わせて、この実施態様は、スワンブル型の空気力学的な気体運動を発生させることができる。
【0056】
吸気プロセスの間、より具体的にはピストンの上昇の間の、気体-燃料混合物の良好な保存によってスワールが特徴付けられることが思い出される。それは、圧縮点火型内燃機関において一般的に使用される空気力学的な巨視的運動であり、この種の内燃機関において、燃料混合物を均質化する良い方法である。
【0057】
タンブル型及びスワール型の2つの空気力学的構造の利点から、したがって、圧縮相の間において現行の最良の火花点火エンジンで観察されるレベルよりも高い乱流レベルのおかげによる優れた均質化とより良い燃焼速度とから、スワンブルを使用することは利益を得ることができる。
【0058】
さらに、本発明は、内燃機関のシリンダー用の気体吸気装置に関する。
【0059】
気体吸気装置は、
上述した変形例の組合せのいずれか1つに基づく、シリンダーに気体を供給する気体吸気管、すなわち、タンブル型のそして必要に応じてスワンブル型の空気力学的な運動を発生させる気体偏流手段を備える気体吸気管と、
吸気管に挿入された吸気弁であって、その弁を開けることによって気体がシリンダーに流れ込むようにする吸気弁と、
シリンダー側の吸気弁の端部に配置された吸気弁較正部であって、シリンダーの触火面に向けられており、弁が移動する実質的に円筒状の機械部品である較正部と、
を備える。
【0060】
触火面(face feu)または燃焼面(face combustion)は、(内燃機関の)シリンダーヘッドのシリンダー軸に直交する下側の面であると理解される。弁較正部は、シリンダーに気体を供給するように、シリンダーヘッドの下側の面に挿入される。
【0061】
本発明の一実施態様によれば、吸気装置は、前記吸気管のイントラドス(下側プロファイル)において、吸気管と弁較正部との交差部が、吸気管と弁較正部の間の交点を通り触火面に平行な平面に対して5°と45°の間の範囲にある角度αをなす母線の上にあるように形成される。吸気管のイントラドスは吸気管の下側の面であると理解される。これにより、弁較正部に対する吸気管の下側の面の交差部が、触火面に平行な平面に対して傾く。この傾きにより、気体を較正部の入口で、さらにシリンダーの入口で偏流させることができる。この気体の偏流は、シリンダー軸に平行な方向でシリンダー内で空気力学的な気体運動を発生させる。言い換えればスワール型の空気力学的な気体運動を発生させる。この傾きは、その端部で吸気管の回転をもたらすことができ(そのとき吸気管の端部はねじれる)、気体のスワール型の空気力学的な運動を促進する。さらにこの実施態様は、マスク型、フラップ型またはブレード型の何らかの特定の付属物なしに、スワール型の空気力学的な気体運動の発生を可能にする。さらに、これらの吸気装置の構造は、単気筒または多気筒内燃機関のシリンダーヘッド内での配置に対する追加の制約を伴わない。
【0062】
5°と45°の間の範囲にある角度αでの傾きにより、スワール型の空気力学的な気体運動を発生させることができる。5°未満では、シリンダー内の気体の空力運動に大きな影響を与えるには傾きが不十分である。45°を超えるときは、吸気管の幾何学的形状が複雑であって達成が困難であり、気体の空気力学が劣化する。
【0063】
タンブル型及びスワール型の空気力学的な気体運動を組み合わせることにより、本発明に基づく気体吸気装置は、シリンダー内の気体のスワンブル型の空気力学的な運動を与える。このこちは、最良の現行の火花点火エンジンで観察されたものよりも高い乱流レベルのおかげで、優れた均質化とより良い燃焼速度から、利益を得ることを可能にする。
【0064】
本発明の一実施態様によれば、角度αは、5°と20°の間、好ましくは8°と15°の間の範囲とすることができる。これらの角度範囲は、スワール型の空気力学的な気体運動を最適化することを可能にし、したがって、組み合わされたスワンブル型の空気力学的な気体運動を最適化することを可能にする。
【0065】
本発明の一実現形態によれば、較正部は、シリンダー内の気体を方向付け、したがって、気体の空気力学的な運動を促進するように、較正部出口を部分的に覆うマスクを備えることができる。
【0066】
気体は、酸化剤または燃料混合物(間接噴射)であり、環境圧力の空気、過給空気、または(過給されているまたはされていない)空気と燃焼ガスの混合物を特に含むことができる。
【0067】
図1は、非限定的な例として、本発明の一実施態様による、動作モード位置にある吸気装置を概略的に示している。図1は側面図である。吸気装置1は、吸気管2と、弁(図示せず)と、吸気弁の較正部4とを備える。
【0068】
吸気管2は、上側プロファイル10(エクストラドス)及び下側プロファイル12(イントラドス)を有する。上側プロフォイル10及び下型プロファイル12は、2つの側壁15によって連結されている。上側及び下側プロファイルの種々の領域が、点P1~P7を有する太線によって限定されている。
【0069】
下側プロファイル12は、吸気管出口において、点P1及び点P2で区切られた凹形状の傾斜路6を形成する領域を含む。この領域の曲率半径R1は40mm未満であり、例えば26mmに等しい。下側プロファイル12は、点P2及び点P3によって区切られた凹形状の初期領域11をさらに含む。この領域の曲率半径R5は200mmと350mmの間の範囲にあり、例えば275mmに等しい。
【0070】
上側プロファイル10は、吸気管出口において、点P4及び点P5で区切られた凹形状の最終領域5を含む。この最終領域5の曲率半径R2は10mmと100mmの間の範囲にあり、例えば65mmに等しい。上側プロファイル10は、点P5及び点P6によって区切られた凹形状の中間領域8をさらに含む。この中間領域8の曲率半径R3は50mmと150mmの間の範囲にあり、例えば115mmに等しい。上側プロファイル10は、付加的に、点P6及び点P7によって区切られた凸形状の初期領域9を含む。この初期領域の曲率半径R4は400mmより大きく、例えば500mmに等しい。
【0071】
図2は、本発明の一実施態様についての図1と同様の図である。この実施形態の場合、タンブル型の空気力学的な気体運動を発生させることを意図した気体偏流手段は、さらに、較正部4に対する吸気管2の交点での接線である方向線XXと水平方向線AAとの間の、角度βでの吸気管2の傾きを含む。この傾きは、気体のタンブル型の空気力学的な運動を促進する。
【0072】
図3は、非限定的な例として、気体吸気装置のイントラドス(下側の面)の図を概略的に示す。図3は、触火面に垂直な面内にある。左側の図は、気体のタンブル型の空気力学的な運動を発生させるための気体偏流手段のみを有する本発明の第1の変形例による装置に対応する。右側の図は、タンブル型の空気力学的な気体運動を発生させるための気体偏流手段と、スワール型の空気力学的な気体運動を発生させるための、イントラドスにおける吸気管と弁較正部との間の交差部の傾きとを備える、本発明の第2の変形例による装置に対応する。
【0073】
これらの図において線FFは、(不図示のシリンダーによって定義される)触火面の平面に属し、方向線F’F’は、吸気管2と吸気弁較正部4との交点を通る、触火面FFに平行な平面に属する線である。
【0074】
左側の図に図示された第1の変形例によれば、吸気管2と吸気弁較正部4との間の交差部7は、線F’F’と融合する。
【0075】
一方、右側の図に示す第2の変形例によれば、吸気管2と吸気弁較正部4との交差部7は、線F’F’に対して角度αで傾斜した軸YYの母線上にある。この角度αは、5°と45°の間の範囲にある。右側の図において、この傾きが、ほぼ矩形の断面を有する吸気管2のわずかな回転を、接続部に近接して発生させることが分かる。
【0076】
図8は、本発明の例示実施態様における、吸気管入口に対する断面の距離Dの関数として断面比RSを表す曲線である。断面比RSは、入口での吸気管の断面の面積に対して考慮される断面の面積に相当する。距離は正規化されており、距離0は吸気管の入口に対応し、距離1は吸気管の出口に対応する。この曲線は、初期の準不変性を示し、それから、特に傾斜路形状及び上側プロファイルの最終領域に起因する断面比の低下を示し、その後、吸気管出口での断面比の鋭い増加を示す。この例の場合、吸気管の最小断面に対する最大断面の比は約1.8である。
【0077】
本発明は、また、内燃機関のシリンダーと、上述の変形例または変形例の組合せの1つによる吸気装置とを備える組立体に関する。
【0078】
さらに、本発明は、シリンダーに気体を供給するための、上記の変形例または変形例の組合せの1つによるシリンダー-吸気装置組立体に関する。
【0079】
さらに本発明は、少なくとも1つのシリンダーを備え、各シリンダーが、
シリンダーに気体を供給するための、前述の変形例または変形例の組み合わせのいずれか1つに基づく少なくとも1つの吸気装置と、
シリンダーから燃焼ガスを排出する少なくとも1つの排気装置であって、排気弁を有利に備えている排気装置と、
(クランク軸の回転によって)燃焼から機械的エネルギーを発生させるためにシリンダー内で往復直進運動するピストンと、
燃焼を発生させるための燃料噴射手段と、
を備える内燃機関に関する。
【0080】
一実施態様によると、燃料噴射手段は直接噴射手段とすることができる。すなわち燃料噴射手段は、シリンダー内に直接配置される。
【0081】
あるいは燃料噴射手段は、間接噴射手段とすることができる。すなわち燃料噴射手段は、吸気装置内に配置される。
【0082】
本発明の一実現形態によれば、内燃機関は火花点火機関である。この場合、エンジンは、気体/燃料混合物の燃焼を発生させるための少なくとも1つのプラグをさらに備える。
【0083】
あるいは内燃機関は、圧縮点火機関である。この場合、エンジンは、気体/燃料混合物の燃焼を発生させるためのプラグを備えない。
【0084】
本発明の一態様によれば、シリンダーが2つの吸気管を備えるときは、これらの2つの管は同一であって、燃焼室の中央面に対して平行であることができる。
【0085】
一変形例では、サイアミーズ吸気装置を通してシリンダーに気体を供給することができる。
【0086】
内燃機関は、複数のシリンダー、特に3本、4本、5本または6本のシリンダーを含むことができる。
【0087】
シリンダーボアは、任意の寸法にすることができる。しかしながら本発明は、特に約75mmのシリンダー径に対して好適である。
【0088】
図4は、非限定的な例として、本発明の一実施態様による、動作モード位置にある内燃機関のシリンダーの部分図を概略的に示している。ピストン(図示せず)が移動するシリンダー13は、燃焼室14を備える。吸気装置1、特に弁較正部4は、燃焼室14内に開口する。排気装置(図示せず)も燃焼室14内に配置される。
【0089】
シリンダー13の軸方向をCCと表す。この図は触火面FFも示している。触火面FFは、軸CCに垂直であって、内燃機関のシリンダーヘッド(不図示)の下部に対応する。
【0090】
吸気装置1は、図1図2及び図3の吸気装置と同一であり、特に、吸気管2と、弁3と、弁較正部4とを備えている。
【0091】
さらに本発明は、ミラーサイクルまたはアトキンソンサイクルに関連した、上述した変形例または変形例の組合せの1つによる内燃機関の使用に関する。
【0092】
ミラーサイクルは、吸気相中において、ピストンの下死点前に吸気弁が閉じることを特徴とする熱力学サイクルである。これにより、吸気され充填されたものの冷却に加えて、仕事の回収が向上する。本発明による吸気装置は、気体のスワンブル型の空気力学的な運動の発生のおかげで、広い動作範囲にわたるいわゆるミラーサイクルでの使用に特に適している。
【0093】
アトキンソンサイクルは、特に可変内燃機関で使用される熱力学サイクルである。
【0094】
本発明による内燃機関は、道路、海上または航空輸送のような積載用途の分野、または発電装置のような固定設備の分野で使用することができる。
【実施例
【0095】
本発明による吸気管の特徴及び利点は、以下の適用例を読むことで明らかになるであろう。
【0096】
図5は、透過係数Cfの関数としてのタンブル係数のグラフである。タンブル係数は、クランクシャフトの角速度に対する、方向x(円筒軸に垂直な方向)における質量中心の周りの気体の角速度の比として定義され、透過係数は、利用可能な断面積に関して、空気流を通過させることを可能にする吸気管の能力に対応する。このように透過係数は、シリンダー充填に関係する。図中、市中で入手可能な従来技術に基づく吸気管AAは三角形で表され、本発明による吸気管INVは四角形で表される。本発明による吸気管INVが、従来技術AAからの解決策よりも、高タンブル係数と透過係数との間のより良い妥協点を与えることが明らかである。実際、同一の透過係数Cfに対して、本発明による吸気管で得られるタンブル係数は、従来技術による吸気管で得られるタンブル係数の2倍である。
【0097】
第2の実施例については、気体のタンブル型の空気力学的な運動(図3での左側に対応)のみを有する第1の変形例に基づく吸気装置を搭載した内燃機関の特性を、本発明の第2の変形例に基づく吸気装置を搭載し、気体のスワンブル型の空気力学的な運動(図3での右側に対応)を有する同一の内燃機関と比較する。この例では、角度αの値が15°である。
【0098】
図6は、吸気下死点(360°)から圧縮上死点(720°)までのエンジンサイクルの部分について、クランク角度°Vilの関数として、タンブル数Tの曲線(左上)、乱流運動エネルギーTKEの曲線(右上)、及びスワール数Sの曲線(左下)を示している。右下の図は、圧縮上死点(720°クランク角)後に起こる燃焼に近いクランク角度°Vilでの縮小した角度範囲領域に対する乱流運動エネルギーTKEを示している。方向xにおけるタンブル数は、クランクシャフトの角速度に対する、方向x(シリンダー軸に垂直な方向)における質量中心の周りでの気体の角速度の比として定義される。スワール数は、クランク軸の角速度に対する、質量中心の周りでの気体のシリンダー軸方向の角速度との比として定義される。タンブル数とスワンブル数は無次元数である。
【0099】
図6は標準サイクルに関する。これらの図において、第1の変形例に基づく吸気装置を搭載した内燃機関に対応する曲線をINV1、本発明の第2の変形例に基づく吸気装置を搭載した内燃機関に対応する曲線をINV2とする。
【0100】
乱流運動エネルギーTKEは、空気質量内に「取り込まれた」エネルギー量を表す。
【0101】
これらの図において2つの吸気装置は、タンブル型の空気力学的な運動を発生させることを可能にすることに留意されたい(高タンブル数T)。さらにスワール数Sは、第2の変形例による吸気装置INV2の方がはるかに高いことに留意されたい。したがって、吸気管と較正部との交差部の傾斜により、スワール型の空気力学的な運動を効果的に発生させることができる。かくして第2の変形例による装置は、スワンブル型(タンブル及びスワール)の空気力学的な運動を効果的に生成することを可能にする。さらに第2の変形例による吸気装置は、燃焼前にこの乱流エネルギーの増加を許容することによって、第1の変形例と比較して、乱流運動エネルギーTEKの利得を提供することに留意されたい。
【0102】
図7は、吸気下死点(360°)から圧縮上死点(720°)までのエンジンサイクルの部分について、クランク角度°Vilの関数として、タンブル数Tの曲線(左上)、乱流運動エネルギーTKEの曲線(右上)、及びスワール数Sの曲線(左下)を示している。右下の図は、圧縮上死点(720°クランク角)後に起こる燃焼に近いクランク角度°Vilでの縮小した角度範囲領域に対する乱流運動エネルギーTKEを示している。図7はミラーサイクルに関するものである。これらの図において、第1の変形例に基づく吸気装置を搭載した内燃機関に対応する曲線をINV1、第2の変形例に基づく吸気装置を搭載した内燃機関に対応する曲線をINV2とする。
【0103】
これらの図において2つの吸気装置は、タンブル型の空気力学的な運動を発生させることを可能にすることに留意されたい(高タンブル数T)。さらにスワール数Sは、第2の変形例による吸気装置INV2の方がはるかに高いことに留意されたい。したがって、吸気管と較正部との交差部の傾きにより、スワール型の空気力学的な運動を効果的に発生させることができる。かくして第2の変形例による装置は、スワンブル(タンブル及びスワール)型の空気力学的な運動を効果的に生成することを可能にする。さらに第1の変形例による吸気装置は、燃焼前にこの乱流エネルギーの増加を許容することによって、第1の変形例と比較して、乱流運動エネルギーTEKの利得を提供することに留意されたい。
【0104】
かくしてスワール型の空気力学的な気体運動の発生は、エンジンサイクルの吸気中において空気力学的運動に含まれるエネルギーのより良い保存を可能にする。したがって、燃焼を開始する乱流レベルは、特にミラーサイクル運転に適したリフト則に関して、純粋にタンブル型の管におけるものよりも高い。
【0105】
本発明による吸気装置を使用すると、著しい燃焼効率の向上が得られる。さらに、これらの吸気装置の構成は、単気筒または多気筒エンジンのシリンダーヘッド内の配置に対する追加の制約を伴わず、これは、スワンブルを発生させるための既存の解決策との比較において、大きな利点である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8