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特許7627225連続創成研削中の自動プロセス監視のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】連続創成研削中の自動プロセス監視のための方法
(51)【国際特許分類】
   B23F 1/02 20060101AFI20250129BHJP
   B24B 53/00 20060101ALI20250129BHJP
   B24B 53/075 20060101ALI20250129BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20250129BHJP
   B23F 5/04 20060101ALI20250129BHJP
   B23Q 17/09 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B23F1/02
B24B53/00 A
B24B53/075
B24B49/10
B23F5/04
B23Q17/09 G
B23Q17/09 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021556214
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2020056862
(87)【国際公開番号】W WO2020193228
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】374/19
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】599172531
【氏名又は名称】ライシャウァー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイツ,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】エゲル,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】グラーフ,ヨルグ
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-039659(JP,A)
【文献】特開2003-039240(JP,A)
【文献】国際公開第2018/210607(WO,A1)
【文献】特開2019-034345(JP,A)
【文献】特開2017-071048(JP,A)
【文献】特開2018-108640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 1/00、5/02、9/02、19/02、23/12
B24B 53/00、53/075
B24B 49/10、49/12、49/18
B23Q 17/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創成研削盤(1)を用いた予備歯付きワークピース(23)の連続創成研削における自動プロセス監視のための方法であって、
前記創成研削盤(1)は、ツールスピンドル(15)及び少なくとも1つのワークピーススピンドル(21)を備え、1つ以上のウォームスレッドを備えるウォーム型形状を有する砥石(16)が、前記ツールスピンドル(15)上にクランプされ、前記砥石(16)は、ツール軸(B)を中心に回転可能であり、前記ワークピース(23)は、前記少なくとも1つのワークピーススピンドル(21)上にクランプされるように構成されており、
前記方法は、
前記創成研削盤(1)を用いて前記ワークピース(23)を機械加工することであって、前記機械加工のために、前記ワークピース(23)は、前記少なくとも1つのワークピーススピンドル(21)上にクランプされ、続いて前記砥石(16)との創成係合に移る、機械加工することと、
前記ワークピース(23)の前記機械加工中に、少なくとも1つの測定変数を監視することと、
前記少なくとも1つの監視された測定変数から、許容できないプロセス偏差についての警告指標(W)を決定することと
を含み、
前記警告指標(W)は、前記砥石(16)の砥石ブレークアウト(51)の可能性についての警告指標であり、
前記警告指標(W)が砥石ブレークアウト(51)の可能性を示す場合、前記砥石(16)は、砥石ブレークアウト(51)について自動的に点検される、方法。
【請求項2】
前記創成研削盤(1)は、ドレッシングツール(33)を有するドレッシングデバイス(30)を備え、砥石ブレークアウト(51)についての前記砥石(16)の前記自動的な点検は、
前記砥石(16)の先端領域の上で前記ドレッシングツール(33)を移動させることと、
前記先端領域の上の前記移動中に、前記ドレッシングツール(33)と前記砥石(16)の前記先端領域との接触を示す接触信号を決定することと、
前記接触信号を分析することによって、砥石ブレークアウト(51)が存在するかどうかを示すブレークアウト指標(A)を決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記創成研削盤は、前記ドレッシングツール(33)と前記砥石(16)との係合を音響的に検出するための音響センサ(18)を備え、前記接触信号は、前記音響センサ(18)を用いて決定された音響信号(V)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ドレッシングデバイス(30)は、前記ドレッシングツール(33)がクランプされたドレッシングスピンドル(32)を備え、前記接触信号は、前記先端領域の上の前記移動中の前記ドレッシングスピンドル(32)の消費電力を示す先端ドレッシング電力信号を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記ブレークアウト指標(A)は、前記砥石(16)の少なくとも1つの前記ウォームスレッドに沿った、前記砥石ブレークアウト(51)の位置を示す、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、
前記ブレークアウト指標(A)が、砥石ブレークアウト(51)の存在を示す場合、前記砥石(16)をドレッシングすること
を含む、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記創成研削盤(1)は、ドレッシングツール(33)を有するドレッシングデバイス(30)を備え、砥石ブレークアウト(51)についての前記砥石(16)の前記自動的な点検は、少なくとも1回のドレッシングストロークで前記砥石(16)をドレッシングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
前記ドレッシング中に、前記ドレッシング中のドレッシングスピンドル(32)又はツールスピンドル(15)の消費電力を表す、ドレッシング電力信号を決定することと、
前記ドレッシング中に、前記ドレッシング電力信号の経時変化を分析することによって、前記砥石ブレークアウトの少なくとも1つの特徴を反映する、ブレークアウト測度(M)を決定することと、
前記ブレークアウト測度(M)次第で、前記砥石(16)の前記ドレッシングを繰り返すことと
を含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記ドレッシング電力信号の前記経時変化の前記分析は、
変動変数を決定することを含み、前記変動変数は、少なくとも1つの前記ウォームスレッドに沿った前記ドレッシング電力信号の大きさの局所的変化を示す、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
記少なくとも1つの監視される測定変数は、
各ワークピースの前記機械加工前の前記ワークピース(23)の上方歯厚誤差に関する偏差指標(Pb)、及び/又は、
前記ワークピーススピンドル(21)の回転速度(n)と、結果として生じる各ワークピース(23)の回転速度(n)との間の回転速度差、及び/又は、
前記ワークピース(23)の前記機械加工後の前記ワークピーススピンドル(21)の角度位置と、対応する前記ワークピース(23)自体の角度位置と、前記ワークピースの前記機械加工前の前記ワークピーススピンドル(21)の角度位置と、対応する前記ワークピース自体の角度位置との、比較によって決定される角度偏差の、少なくとも一つを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記創成研削盤は、前記少なくとも1つのワークピーススピンドル(21)上にクランプされたワークピース(23)の角度位置を非接触で決定するための歯合せプローブ(24)を備え、前記ワークピース(23)の前記偏差指標(Pb)、前記回転速度、及び/又は前記それぞれの角度位置は、前記歯合せプローブ(24)を用いて感知される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
創成研削盤(1)を用いた予備歯付きワークピース(23)の連続創成研削における自動プロセス監視のための方法であって、
前記創成研削盤(1)は、ツールスピンドル(15)及び少なくとも1つのワークピーススピンドル(21)を備え、1つ以上のウォームスレッドを備えるウォーム型形状を有する砥石(16)が、前記ツールスピンドル(15)上にクランプされ、前記砥石(16)は、ツール軸(B)を中心に回転可能であり、前記ワークピース(23)は、前記少なくとも1つのワークピーススピンドル(21)上にクランプされるように構成されており、
前記方法は、
前記創成研削盤(1)を用いて前記ワークピース(23)を機械加工することであって、前記機械加工のために、前記ワークピース(23)は、前記少なくとも1つのワークピーススピンドル(21)上にクランプされ、続いて前記砥石(16)との創成係合に移る、機械加工することと、
前記ワークピース(23)の前記機械加工中に、少なくとも1つの測定変数を監視することと、
前記少なくとも1つの監視された測定変数から、許容できないプロセス偏差についての警告指標(W)を決定することと
を含み、
前記警告指標(W)は、前記砥石(16)の砥石ブレークアウト(51)の可能性についての警告指標であり、
前記少なくとも1つの監視される測定変数は、各個々のワークピース(23)の前記機械加工中の瞬時金属切削電力を示す切削電力信号を含み、
前記警告指標(W)は、前記機械加工中の前記切削電力信号におけるパルス状の増加の発生によって決定される、
方法。
【請求項13】
前記切削電力信号は、ワークピース(23)の前記機械加工中の前記ツールスピンドル(15)の瞬時消費電力(I)の測度である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
創成研削盤(1)を用いた予備歯付きワークピース(23)の連続創成研削における自動プロセス監視のための方法であって、
前記創成研削盤(1)は、ツールスピンドル(15)及び少なくとも1つのワークピーススピンドル(21)を備え、1つ以上のウォームスレッドを備えるウォーム型形状を有する砥石(16)が、前記ツールスピンドル(15)上にクランプされ、前記砥石(16)は、ツール軸(B)を中心に回転可能であり、前記ワークピース(23)は、前記少なくとも1つのワークピーススピンドル(21)上にクランプされるように構成されており、
前記方法は、
前記創成研削盤(1)を用いて前記ワークピース(23)を機械加工することであって、前記機械加工のために、前記ワークピース(23)は、前記少なくとも1つのワークピーススピンドル(21)上にクランプされ、続いて前記砥石(16)との創成係合に移る、機械加工することと、
前記ワークピース(23)の前記機械加工中に、少なくとも1つの測定変数を監視することと、
前記少なくとも1つの監視された測定変数から、許容できないプロセス偏差についての警告指標(W)を決定することと
を含み、
前記警告指標(W)は、前記砥石(16)の砥石ブレークアウト(51)の可能性についての警告指標であり、
前記方法は、前記ツール軸(B)に沿った前記砥石(16)と前記ワークピース(23)との間での連続的又は非連続的なシフト移動を実行することを含み、
前記少なくとも1つの監視される測定変数は、各ワークピース(23)についての切削エネルギー指標(Iav)を含み、
前記切削エネルギー指標(Iav)は、前記それぞれのワークピース(23)が前記創成研削盤(1)を用いて機械加工された間の、前記砥石(16)の積分金属切削電力についての測度を表し、
前記警告指標(W)は、1つの製造バッチのうちの複数のワークピース(23)の製造にわたって、前記切削エネルギー指標(Iav)がどのように変化するかによって決定される、
方法。
【請求項15】
前記切削エネルギー指標(Iav)は、個々のワークピース(23)の前記機械加工中の前記ツールスピンドル(15)の消費電力の積分値の測度である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上のウォームスレッドを備えるウォーム型形状を有する砥石(16)をクランプすることが可能であり、ツール軸(B)を中心に回転するように駆動されるように構成された、ツールスピンドル(15)と、
ワークピース軸(C1)を中心に回転させる予備歯付きワークピース(23)を駆動させるための少なくとも1つのワークピーススピンドル(21)と、
機械コントローラ(40)と
を備え、
前記機械コントローラ(40)は、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、
創成研削盤(1)。
【請求項17】
請求項16に記載の創成研削盤(1)の機械コントローラ(40)に、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法を実施させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創成研削盤を用いた連続創成研削中の自動プロセス監視のための方法に関する。本発明は、こうした方法を実行するように構成された創成研削盤、及びこうした方法を実行するためのコンピュータプログラムにも関する。
【背景技術】
【0002】
連続創成研削において、ウォーム型形状を有する砥石(研削ウォーム)との回転係合により、歯車未加工品が機械加工される。創成研削は、多様な同期化された精密な個々の動きに基づく、非常に要求の厳しい創成機械加工方法であり、多数の境界条件の影響を受ける。連続創成研削の基本に関する情報は、例えば、非特許文献1に見ることができる。
【0003】
連続創成研削中の歯面形状は、理論的には、研削ウォームのドレッシングされた輪郭形状及び機械の設定データによってのみ決定される。しかしながら実際には、研削結果に決定的な影響を与える理想的な状態からの偏差が、自動化生産において頻繁に生じる。上記の詳細が、非特許文献2及び非特許文献3に記載されている。
【0004】
創成研削法を使用して生成される歯車の品質は、従来、多様な測定変数に基づく研削盤の外(オフライン)での歯車測定により、機械加工の終了後まで評価されていない。この状況では、どのように歯車を測定するか、及び測定結果が許容差基準内であるか基準外であるかをどのように点検するかに関して、様々な基準が存在する。基準は、測定結果と歯車の使用特性との間の関係に関する指標も与える。こうした歯車測定の概要は、例えば非特許文献4に見ることができる。
【0005】
手動操作の間にオペレータが自分の経験に基づいて機械加工プロセスにおける基準からの偏差を見つけるか、又は後続の歯車の点検中に偏差が検出される。その後オペレータは、変更した設定を用いて、機械加工プロセスを再度安定範囲内へと調節する。しかしながら、機械加工を自動化するために、プロセス監視は自動的な安定化様式に関与することが望ましい。
【0006】
ここまで、従来技術では、連続創成研削に関するプロセス監視のための適切なストラテジについての初歩的な詳細のみを開示してきた。
【0007】
例えば、非特許文献5は、一般的な金属切断機ツール上のツールを監視するための様々な手段を記載している(3頁)。ツールの監視は、有効電力、切断力、又は音響放射の測定によって金属切断動作中にプロセス内で行うことができる(7頁)。これは、特に、ツール破壊及びツール摩耗を検出する働きをする(9~14頁)。ツールの監視の目的のための様々な測定タスクに利用可能な、多様なセンサが存在する(31~37頁)。有効電力は、電流を測定することによって決定可能である(28頁)。このための対応する電流センサが既知である(37頁)か、又は、電流の監視は、CNCコントローラからのデータに基づいて、センサ無しで実施可能である(40頁)。本提示は、歯車を機械加工するとき、特に、歯車ホビング(41及び42頁)、ハードスカイビング(59頁)、及びホーニング(60頁)のときに関連する、多数の簡単な方法例も含む、様々な金属切断機械加工法における適用例を特徴付けるものである。ドレッシング方法もカバーされている(92頁)。これに対して、連続創成研削は、わずかに述べられているのみである(例えば、3及び61頁)。
【0008】
(円筒)研削及びドレッシングに関する情報は、非特許文献6にも見ることができる。しかしながら、連続創成研削はここでも詳細にはカバーされていない。
【0009】
ドレッシング可能なビトリファイドボンド砥石が、創成研削に頻繁に使用される。こうした研削ウォームを用いる場合、砥石の1つ以上のウォームスレッドにおける局所的ブレークアウトは非常に破壊的な問題である。砥石ブレークアウトによって、機械加工されるべき歯車の歯面は、ブレークアウトの領域内にある砥石と係合されている場合、それらの全長にわたって完全に機械加工されなくなる。砥石は、砥石の依然として未使用の領域をワークピースと引き続き係合させるために、バッチの製造中、その長手軸に沿ってシフトされる(いわゆるシフティング)ため、通常、1つのバッチのすべてのワークピースが、砥石ブレークアウトによって同程度まで影響を受けるわけではない。砥石の無傷な領域によってのみ機械加工されたワークピースは、通常、欠陥を示さない。
【0010】
これにより、砥石ブレークアウトによる機械加工不良を検出することがより困難になる。通常、歯車の点検においては、単なる標本管理が実施されるため、砥石ブレークアウトによる機械加工不良は検出されないことが多いか、又は、歯車の点検中、かなり遅くにのみ検出される。こうした不良は、しばしば、トランスミッションへのワークピースの取り付け後の最終ライン検査でのみ明らかになる。これは必然的に、コストのかかる取外しプロセスを伴う。加えて、同じ機械加工不良は、その間に、多数の更なるワークピース上で既に発生した可能性がある。これは、特定の環境下で、製造バッチのかなりの部分をNOK部分(NOK=「OKではない」)として廃棄しなければならない状況につながる可能性がある。したがって、検出されない一つの砥石ブレークアウトであっても、結果として非常に高いその後のコストを生じさせる可能性がある。したがって、自動プロセス監視の範囲内で、砥石ブレークアウトを確実に検出すること、或いは防止することが望ましい。
【0011】
砥石ブレークアウトに加えて、他の現象も、1つの製造バッチにわたって製造される歯車の品質に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、すべての未加工品を同じように前加工できないことが多いこと、又は、未加工品の歯面上に硬度及び/又は硬化歪みにおける差が生じることが知られている。研削ウォームの組成における小さな差が、異なる研削又はドレッシング挙動につながる可能性もある。ドレッシングにおける不適切な品質は、完成した歯車の品質低下の別のよくある原因である。加えて、ドレッシング中、研削ウォームの半径はそれぞれのドレッシング量によって常に減少する。したがって、製造バッチの機械加工中、創成研削中の係合状態は大幅に変化する可能性があり、しばしば悪化する可能性もある。機械加工の開始時に選択される設定は、その後変更しなければならない。一定の機械加工品質を保証するためのすべての予防措置にもかかわらず、機械加工中、各ワークピース上に個々の差が生じることは避けられない。
【0012】
したがって、1つの製造バッチの自動創成研削の場合、機械加工の前に、設定、ツール、クランプ手段、並びに測定及び自動化技術を定義しなければならない。機械加工の開始時に、オペレータはプロセスを監視し、不良品なしの製造が達成された後、製造バッチは更に準自動的に機械加工される。このプロセスは、以下の2つの重要な影響によって、不安定になるか、又は妨げられる可能性がある。すなわち、
第1に、ツールによって、特にブレークアウトによって又はドレッシング後のより悪い係合状態によって、
第2に、前加工からの機械加工不良を有する可能性のあるワークピースによって、
である。
【0013】
その後、プロセス監視はこれらの影響を捕捉し、自動化仕上げのための手段を開始するものとする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【文献】H.Schrieferら、「Continuous Generating Gear Grinding」、Reishauer AG、Wallisellen 2010、ISBN978-3-033-02535-6、第2.3章(「Basic Methods of Generating Grinding」)、121~129頁
【文献】H.Schrieferら、「Continuous Generating Gear Grinding」、Reishauer AG、Wallisellen 2010、ISBN978-3-033-02535-6、第6.9章「Practical Know-How for Statistical Individual Deviation Analysis」、531~541頁
【文献】H.Schrieferら、「Continuous Generating Gear Grinding」、Reishauer AG、Wallisellen 2010、ISBN978-3-033-02535-6、第6.10章「Analysing and Eliminating Gear Tooth Deviations」、542~551頁
【文献】H.Schrieferら、「Continuous Generating Gear Grinding」、Reishauer AG、Wallisellen 2010、ISBN978-3-033-02535-6、第3章「Quality Assurance in Continuous Generating Gear Grinding」、155~200頁
【文献】https://www.nordmann.eu/pdf/praesentation/Nordmann_presentation_ENG.pdfから2019年2月25日に検索された2017年10月5日バージョンのcompany presentation「NORDMANN Tool Monitoring」
【文献】Klaus Nordmann、「Prozessueberwachung beim Schleifen und Abrichten[Process monitoring during grinding and dressing]」、Schleifen+Polieren 2004年5月、Fachverlag Moeller、Velbert(ドイツ)、52~56頁
【発明の概要】
【0015】
したがって本発明の目的は、連続創成研削中のプロセス監視のための方法を特定することであって、この方法を用いて、早期にプロセス偏差を検出すること及び/又は防止することが可能である。
【0016】
本目的は、請求項1に記載の方法を用いて達成される。更なる実施形態は、従属項に記載されている。
【0017】
よって、創成研削盤を用いた予備歯付きワークピースの連続創成研削中にプロセス監視するための方法が特定される。創成研削盤は、ツールスピンドル及び少なくとも1つのワークピーススピンドルを備える。ウォーム型形状を有し1つ以上のウォームスレッドを備える砥石が、ツールスピンドル上にクランプされ、ツール軸を中心に回転可能である。ワークピースは、少なくとも1つのワークピーススピンドル上にクランプされ得る。この方法は、
創成研削盤を用いてワークピースを機械加工することであって、機械加工のために、ワークピースは、少なくとも1つのワークピーススピンドル上にクランプされ、続いて砥石との創成係合に移る、機械加工することと、
ワークピースの機械加工中に、少なくとも1つの測定変数を監視することと、
少なくとも1つの監視された測定変数からのプロセス偏差について、警告指標を決定することと
を含む。
【0018】
本発明に従い、プロセス監視は、創成研削盤における機械加工プロセスのその通常動作からの許容できない偏差に関する情報を、初期の段階で取得するため、及び、当該情報から警告指標を導出するために、使用される。警告指標は、最も単純な場合には、例えば、プロセス偏差の疑いが存在するか否かを2値様式で指定する2値ブール変数とすることができる。また、警告指標は、例えば、算出されるプロセス偏差の確率が大きいほど高くなる数値、あるいは、追加として、プロセス偏差の疑いが存在すること、又は検出された起こり得るプロセス偏差のタイプに基づいて、測度を示すベクトル変数とすることもできる。警告指標の多くの他の実装も考えられる。
【0019】
特に、検出されるべきプロセス偏差は、砥石ブレークアウトであり得る。それに応じて、警告指標は、起こり得る砥石ブレークアウトを示す警告指標である。導入部で既に述べたように、未検出のままの砥石ブレークアウトは、製造バッチの大部分をNOK部分として退けなければならない状況につながる可能性があり、したがって、プロセス監視が、起こり得る砥石ブレークアウトを示す警告指標を出力するように構成される場合、特に有利である。
【0020】
警告指標に基づいて、異なるアクションを自動的に始動させることができる。したがって、警告指標に基づいて、最後に機械加工されたワークピースがNOK部分として排除されるか、又は特別な後点検に送られることを、自動的に決定することができる。警告指標に基づいて、創成研削盤のオペレータに砥石の視覚検査を実行するように促すための、光又は音の警告信号を発生させることも可能である。
【0021】
有利なことには、警告指標が砥石ブレークアウトを示す場合、警告指標は、砥石ブレークアウトについての砥石の自動点検を始動させる。
【0022】
自動点検は様々なやり方で実施可能である。例えば、点検のために光センサ又はデジタルカメラを使用すること、及び、例えばデジタルイメージ処理方法を使用して、砥石ブレークアウトが存在するかどうかを自動的に検出することが考えられる。このために、クーラントジェットが砥石に衝突するときに生じる砥石の音響放射を点検すること、及び、クーラントジェットを介して音響放射が音響センサに伝達されることも考えられる。いずれの場合にも創成研削盤において多くの場合に存在するような、ドレッシングツールを備えるドレッシングデバイスは、有利には、自動点検に使用される。この状況では、砥石を点検するために、目標とされるやり方で研削ウォームスレッドの先端領域のみの上を移動すること、又は、砥石の通常のドレッシングの場合にも実施されるような完全なドレッシングストロークが実施できることの、いずれも可能である。
【0023】
先端領域のみの上を移動する場合、警告指標が砥石ブレークアウトを示すとすぐに、具体的に下記のステップが実行可能である。
砥石の先端領域の上でドレッシングツールを移動するステップ、
先端領域の上を移動中に接触信号を決定するステップであって、接触信号は、ドレッシングツールと砥石の先端領域との接触を示す、接触信号を決定するステップ、及び、
接触信号を分析することによってブレークアウト指標を決定するステップであって、ブレークアウト指標は砥石ブレークアウトが存在するかどうかを示す、ブレークアウト指標を決定するステップ。
【0024】
接触が、研削ウォームスレッドの特定の領域内で生じなかった場合、これは砥石ブレークアウトが実際に存在することの強力な指標である。これは、ブレークアウト指標によって示される。
【0025】
機械加工プロセス中の測定変数の監視中に未検出のままの砥石ブレークアウトを検出することもできるようにするために、ドレッシングツールを用いた先端領域の上の移動は、警告指標の値とは無関係に、例えば所定数のワークピースの機械加工後に、規則的な間隔で実施することもできる。
【0026】
ブレークアウト指標は、最も簡単な場合には、ここでも、ブレークアウトが存在するか否かを2値様式で示す2値ブール変数とすることができる。一方で、ブレークアウト指標の更により複雑な実装も考えられる。特にブレークアウト指標は、好ましくは、砥石上の少なくとも1つのウォームスレッドに沿った砥石ブレークアウトの場所も示す。
【0027】
砥石の先端領域とのドレッシングツールの接触は、様々なやり方で検出することができる。例えば創成研削盤は、係合中に生じた構造伝搬音響放射に基づいて、砥石とドレッシングツールとの係合を音響的に検出するために、音響センサを備えることができる。接触信号は、その後、音響センサを使用して測定された音響信号から導出される。ドレッシングツールが、モータによって回転可能に駆動されるドレッシングスピンドル上にクランプされる場合、接触信号は、代替的に又は追加的に、先端領域の上を移動中のドレッシングスピンドルの消費電力を表す電力信号から導出することができる。
【0028】
ブレークアウト指標が砥石ブレークアウトの存在を示す場合、この方法は、砥石ブレークアウトを更に特徴付けるため、及び/又は除去するために、砥石が完全にドレッシングされることを含んでもよい。
【0029】
また、既に述べたように、ブレークアウトについて砥石を点検するために、完全なドレッシング動作を直接実施することも考えられる。この場合、ブレークアウトについての砥石の点検、及びブレークアウトの特徴付けは、このドレッシング動作を監視することに基づいて実施される。
【0030】
ドレッシング動作を監視するため、及び砥石ブレークアウトをより詳細に特徴付けるために、ドレッシング中に、ドレッシング中のドレッシングスピンドル及び/又はツールスピンドルの消費電力を表すドレッシング電力信号を測定することが可能であり、ドレッシング中のドレッシング電力信号の経時変化を分析することによって、ブレークアウト測度を決定することができる。ブレークアウト測度は、砥石ブレークアウトの少なくとも1つの特徴、例えば、砥石ブレークアウトがどこに位置しているか、及び/又は、影響を受ける研削ウォームスレッドが半径方向にどの程度深く損傷しているかを、反映する。
【0031】
その後、ブレークアウト測度を使用して、1回以上のドレッシング動作によって、砥石ブレークアウトを適切に除去できるかどうかを自動的に決定することができる。除去できない場合、砥石を交換すべきであるという旨の信号をユーザに出力することができるか、又は、研削ウォームの損傷していない領域のみを用いて更なるワークピースが機械加工されるように、更なる機械加工を制御することができる。
【0032】
ブレークアウト測度を決定するためのドレッシング電力信号の経時変化の分析は、変動変数を決定するステップを含むことができ、変動変数は、少なくとも1つのウォームスレッドに沿ったドレッシング電力信号の大きさの局所的変化を示す。例えば、この変動変数は、砥石ブレークアウトの半径深さに関する直接的な結果を導き出すことを可能にする。
【0033】
既に述べたように、本明細書で提案されるプロセス監視において、起こり得るプロセス偏差の指標を早期に取得するために、プロセス偏差についての、特に砥石ブレークアウトについての、警告指標が決定される。この警告指標を決定するために、様々な測定変数を監視することができる。
【0034】
特に、監視される測定変数は、機械加工前のワークピースの歯厚誤差に関する偏差指標を含むことができる。偏差指標が、歯厚誤差が許容可能値を超えること、又は、他の前加工不良が存在することを示す場合、砥石に対する損傷を回避できるように機械加工を中断するために、これに応じて警告指標が設定される。適切であれば、その後、先行ワークピースの不適切な前加工によって起こり得るブレークアウトについて砥石の検査をすることができる。
【0035】
有利なことに本明細書では、偏差指標は、歯合せプローブを用いて決定される。歯合せプローブは、機械ツール内に既に存在している可能性があり、それ自体が既知であり、また、ワークピーススピンドル上にクランプされたワークピースの歯溝を非接触で測定するように設計されている。その後、歯厚測定は較正ワークピースを用いて較正可能であり、歯合せプローブの信号が許容可能であるとみなされるべき歯厚誤差について満たさなければならない制限値が定義可能である。例えば、非接触で動作する誘導性センサ又は容量性センサを、歯合せプローブとして使用することができる。したがってこの場合、歯合せプローブは、一方では機械加工の開始時の歯合せのために使用され、他方では歯厚誤差を決定する働きをするという、二重の機能を果たす。また、歯合せプローブの代わりに、歯厚を決定するために別のセンサ、例えば、高い回転速度の場合に好ましい可能性のある別の光センサを使用することも可能である。
【0036】
監視される測定変数が、ワークピーススピンドルの回転速度と、結果として生じるワークピースの回転速度との間の回転速度差を含むという事実により、砥石ブレークアウトのリスクの早期指標も既に取得可能である。こうした差が存在する場合、これは、ワークピースがワークピーススピンドル上に正しくクランプされていないこと、したがって、当該スピンドルによって正しく回されていないこと(滑り)を示す。これは、研削ウォームとの係合に移動するときにワークピースが正しい角度位置に位置せず、研削ウォームスレッドをワークピースの歯溝内に正しく沈めることができないといった状況につながる可能性がある。こうした状況では、ワークピースは正しく機械加工されず、高い機械加工力が生じる可能性があり、研削ウォームが著しく損傷するほどこの力が大きい可能性がある。ワークピーススピンドル及びワークピースの回転速度を監視することによって、こうした状況を検出し、理想的にはワークピースが研削ウォームとの係合に入るよりも前に機械加工プロセスを停止することが可能である。砥石ブレークアウトもまた、場合によっては回避可能である。回転速度偏差が検出された場合、警告指標はそれに応じて設定される。適切であれば、砥石は、警告指標に基づいて損傷について検査される。
【0037】
更なる関連する測定変数は、ワークピーススピンドル、及び、機械加工の前後にその上にクランプされるワークピースの、回転角度位置、及び/又は、機械加工中のこれらの回転角度位置における変化である。特に、監視される測定変数は、ワークピースの機械加工後のワークピーススピンドルの角度位置と、対応するワークピース自体の角度位置と、ワークピースの機械加工前のワークピーススピンドルの角度位置と、対応するワークピース自体の角度位置との比較によって決定される、角度偏差を含むことができる。この角度偏差が、ワークピーススピンドル及びワークピース自体の、機械加工後の角度位置と機械加工前の角度位置との間の角度差が互いに異なることを示す場合、これは、ワークピースがワークピーススピンドルによって正しく回されていないことを示す。次にこれは、それに応じて警告指標を設定するため、及び、適切であれば、安全のために損傷について砥石を検査するための理由となる。
【0038】
ここでワークピースの回転速度及び/又は角度位置はまた、有利なことには、既に述べた歯合せプローブを用いて決定される。ここでも、歯合せプローブは、一方では機械加工の開始前の歯合せのために使用され、他方では実際の機械加工プロセスを監視する働きをするという、二重の機能を果たす。また、歯合せプローブの代わりに、ワークピースの回転速度及び/又は角度位置を決定するための別のセンサ、例えば、高い回転速度において好ましい可能性のある別の光センサを使用することも可能である。
【0039】
歯合せプローブは、有利なことには、ワークピースの砥石とは反対側に配置することができる。このように、砥石と歯合せプローブとの間に衝突は生じず、ワークピースを取り扱うために並行して横方向に配置される把持顎のための十分な空間が残っている。
【0040】
監視される測定変数は、個々のワークピースの各機械加工処理中の瞬時金属切削電力を示す、切削電力信号を含むこともできる。この場合、警告指標は、ワークピースの機械加工にわたる切削電力信号の経時変化に依存してもよい。特に、機械加工中の切削電力信号におけるパルス状の増加の発生は、砥石ブレークアウトを生じさせる可能性のある、ワークピースと研削ウォームスレッドとの衝突の指標とすることができ、それに対応して警告指標はこれを示すことができる。切削電力信号は、特に、ツールスピンドル上の電流測定によって決定することができ、この点において、ワークピースの機械加工中のツールスピンドルの瞬時消費電力の測度とすることができる。
【0041】
警告指標を決定する更なる可能な方法は、損傷した砥石を用いてワークピースを機械加工する間、砥石ブレークアウトの領域内で除去される材料の量は、砥石の無傷な領域内よりも小さいという考慮事項から生じる。シフト移動の過程で、ワークピースは砥石ブレークアウトの領域内に、及び/又はこの領域の外に、次第に移動する。これに対応して、ワークピース当たりの除去される材料の量は、最初は相応に減少し、その後再度上昇することになる。これは、ワークピースごとの印加される金属切削エネルギーに、すなわち、経時的な金属切削電力の積分値に、直接反映される。
【0042】
この点で、この方法は、ツール軸に沿った砥石とワークピースとの間での連続的又は非連続的なシフト移動の実行を含むことができる。その後、監視される測定変数は、各ワークピースについての切削エネルギー指標を含むことができ、切削エネルギー指標は、それぞれのワークピースが創成研削盤を用いて機械加工された間の、砥石の積分金属切削電力についての測度を表す。次いで警告指標は、1つの製造バッチのうちの複数のワークピースの製造にわたって、すなわち、ワークピースごとに、切削エネルギー指標がどのように変化するかに依存してもよい。
【0043】
切削エネルギー指標は、特に、個々のワークピースの機械加工中の、ツールスピンドルの消費電力の積分値とすることができる。また、切削エネルギー指標は、代わりに、個々のワークピースの機械加工にわたって、ツールスピンドルの消費電力から導出された別の特徴値とすることもでき、例えば、適切に決定された消費電力の最大値とすることができる。
【0044】
さらに分析を遡って実施できるようにするために、監視された測定変数及び/又はそこから導出された変数、特に警告指標が、データベース内のそれぞれのワークピースの一義的な識別子と共に記憶される場合、有利である。これらのデータは、その後いつでも、例えば、同じタイプのワークピースのその後の機械加工の範囲内で、再び読み出すことができる。
【0045】
本発明は、上記で説明した方法を実行するように設計された創成研削盤にも関する。このために創成研削盤は、
1つ以上のウォームスレッドを備えるウォーム型形状を有する砥石をクランプすることが可能であり、ツール軸を中心に回転するように駆動可能な、ツールスピンドルと、
ワークピース軸を中心に回転させるために、一度に1つの予備歯付きワークピースを駆動させるための少なくとも1つのワークピーススピンドルと、
上記で説明したタイプの方法を実行するように設計された、機械コントローラと
を備える。
【0046】
創成研削盤は、様々な方法との関連において上記で述べたような更なる構成要素を備えることができる。
【0047】
特に、創成研削盤は、処理されるべきワークピースの歯厚の上方偏差を決定するために、偏差決定デバイスを備えることができる。既に述べたように、寸法決定デバイスは、特に、歯合せプローブからの信号を受信及び評価することができる。
【0048】
創成研削盤は、ワークピーススピンドルの回転角度を決定するための第1の回転角度センサ、及び、ワークピース軸を中心とするワークピースの回転角度を決定するための第2の回転角度センサも備えることができる。既に述べたように、歯合せプローブは、第2の回転角度センサとして働くことができる。対応する回転角度は、回転角度センサの信号から回転角度決定デバイスによって決定可能であり、対応する回転速度は、回転速度決定デバイスによって当該信号から導出可能である。
【0049】
創成研削盤の機械コントローラは、追加として、上記で説明した切削電力信号を決定するための切削電力決定デバイスと、ワークピースの機械加工中に切削電力信号が経時的にどのように変化するかを分析するように設計された分析デバイスとを、備えることができる。機械コントローラは、各ワークピースについて切削エネルギー指標を算出するための切削エネルギー決定デバイスと、製造バッチのワークピース間で切削エネルギー指標がどのように変化するかを分析するように設計された更なる分析デバイスとをも、備えることができる。これらのデバイスは、例えば、前述のタスクを実行するようにプログラミングされたマイクロプロセッサを備える機械コントローラによって、ソフトウェアを使用して実装可能である。切削電力決定デバイスは、例えば、ツールスピンドルを作動させるための軸モジュールから電力信号を読み出すように設計可能であり、切削エネルギー決定デバイスは、ワークピースの機械加工にわたってこれらの信号を積分するように設計可能である。
【0050】
機械コントローラは、上記で述べたデータベースも備えることが可能であり、データベースには、測定変数と、適切であればそれらから導出される変数とを、それぞれのワークピースの一義的な識別子、及び適切であれば更なるプロセスパラメータと共に、記憶することができる。また、データベースは、ネットワークを介して機械コントローラに接続された別のサーバ内に実装することもできる。
【0051】
機械コントローラは、追加として、例えば、警告信号をデジタルの形でダウンストリームに接続されたデバイスに発するためのインターフェース、警告信号を表示するためのディスプレイ、音響出力デバイスなどの、警告信号を出力するための出力デバイスを有することができる。
【0052】
創成研削盤は、有利なことには、前述のドレッシングデバイスを備えることもでき、機械コントローラは、前述の接触信号及び/又はドレッシング電力信号を決定するために、並びに、信号の経時変化から前述のブレークアウト指標又はブレークアウト測度を決定するために、ドレッシングスピンドル及びドレッシング監視デバイスを制御するためのドレッシング制御デバイスを備えることができる。これらのデバイスは、ソフトウェアを使用して実装することができる。加えて、機械コントローラは、ブレークアウト指標又はブレークアウト測度を出力するために、出力デバイスを備えることができる。
【0053】
ドレッシングツールと砥石との接触を検出するために、創成研削盤は、既に述べた音響センサを備えることができる。創成研削盤は、ドレッシングスピンドルの消費電力を測定するための電力測定デバイス、及び/又は、ツールスピンドルの消費電力を測定するための対応する電力測定デバイスを備えることもできる。このために、対応する電力測定デバイスは、例えば、ドレッシングスピンドル及び/又はツールスピンドルを作動させるための軸モジュールから電流信号を読み出すように設計することができる。
【0054】
プロセス監視を実施するために、創成研削盤は、相応に構成された制御デバイスを備えることができる。後者は、特に、既に述べた寸法決定デバイス、回転角度決定デバイス、回転速度決定デバイス、切削電力決定デバイス、切削エネルギー決定デバイス、分析デバイス、ドレッシング監視デバイス、電力測定デバイス、及び出力デバイスを備えることができる。
【0055】
本発明は、コンピュータプログラムを利用することもできる。コンピュータプログラムは、上記で説明したタイプの創成研削盤内の機械コントローラ、特に、機械コントローラの1つ以上のプロセッサに、上記で説明した方法を実行させる、命令を備える。コンピュータプログラムは、適切なメモリデバイス、例えば、サーバを備える別の制御デバイス内に記憶可能である。特に、コンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読媒体も提案される。媒体は、不揮発性媒体、例えばフラッシュメモリ、CD、ハードディスクなどとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1図1は、創成研削盤を示す概略図である。
図2図2は、図1からの拡大した細部を領域IIに示す図である。
図3図3は、図1からの拡大した細部を領域IIIに示す図である。
図4図4は、1つ以上のウォームスレッド内にブレークアウトを伴う砥石の4枚の写真を示す図である。
図5図5は、損傷した歯車の写真を示す図である。
図6図6は、例として、2つのワークピースの良好な前加工及び不良な前加工(上方歯厚誤差の変動)の場合の、歯合せプローブの特徴信号を示す図である。
図7図7は、(a)には作業回転速度まで上げる間のワークピーススピンドルの回転速度の経時変化を、(b)にはワークピースが不完全に回される場合の結果的に生じる歯合せプローブの信号を、示す図である。
図8図8は、砥石が正しい角度位置にないワークピースと接触するように移動する場合における、ワークピースの機械加工中のツールスピンドルの消費電力の経時変化を示す図である。
図9図9は、砥石にブレークアウトのない及び大きなブレークアウトのある、ワークピースの機械加工中のツールスピンドルの消費電力の経時変化を示す図である。
図10図10は、大きなブレークアウトを伴う砥石を用いる製造バッチにわたるワークピースの機械加工中のツールスピンドルの平均消費電力の経時変化を示す図である。
図11図11は、例として、ブレークアウトを伴う砥石の先端ドレッシング中の音響信号の経時変化を示す図である。
図12図12は、(a)ブレークアウトのない砥石について、及び(b)ブレークアウトを伴う砥石について、ドレッシングスピンドルの消費電力の経時変化を示す2つの図である。
図13図13は、ブレークアウトを伴う砥石のドレッシング中の、(部分(a))ドレッシングスピンドルの、及び(部分(b))ツールスピンドルの、消費電力の経時変化を示す2つの図である。
図14図14は、砥石ブレークアウトを早期に検出するための、プロセス監視のための方法を示すフローチャートである。
図15図15は、砥石ブレークアウトの検出後の更なるプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら下記に記載する。図面は、単なる説明としての役割を果たし、限定的に構成されるものではない。
【0058】
創成研削盤の例示的設計
【0059】
図1は、例としての、創成研削盤1を示す。研削盤は、送り込み方向Xに沿って移動可能なようにツールキャリア12が誘導される、機械ベッド11を有する。ツールキャリア12は、ツールキャリア12に対して軸方向Zに沿って移動可能なように誘導される、軸キャリッジ13を担持する。研削ヘッド14が軸キャリッジ13上に取り付けられ、処理されるべき歯車のらせん角度に適合させるために、それは、X軸に対して平行に伸びる旋回軸(いわゆる、A軸)を中心に旋回することができる。研削ヘッド14はシフトキャリッジを担持し、この上でツールスピンドル15は、研削ヘッド14に対してシフト軸Yに沿って移動可能である。ウォーム形状を有する砥石16がツールスピンドル15上にクランプされている。砥石16は、ツールスピンドル15によってツール軸Bを中心に回転するように駆動される。
【0060】
機械ベッド11は、少なくとも3つの位置の間で軸C3を中心に旋回可能な、回転タワー形の旋回可能ワークピースキャリア20も担持する。互いに対極にある2つの同一のワークピーススピンドルが、ワークピースキャリア20上に取り付けられ、図1ではそのうちの1つのワークピーススピンドル21のみを、関連するテールストック22と共に見ることができる。図1で見ることができるワークピーススピンドルは、クランプされたワークピース23が砥石16を用いて機械加工可能な、機械加工位置にある。180°のオフセットで配置された他方のワークピーススピンドル(図1では見ることができない)は、ワークピース変更位置にあり、この位置で、完全に機械加工されたワークピースをこのスピンドルから取り外し、新しい未加工品をクランプすることができる。ドレッシング(ツルーイング)デバイス30が、ワークピーススピンドルに関して90°のオフセットで取り付けられている。
【0061】
創成研削盤1のすべての駆動軸は、機械コントローラ40によってデジタル様式で制御される。機械コントローラ40は、創成研削盤1内の多様なセンサからセンサ信号を受信し、これらのセンサ信号に従って創成研削盤1のアクチュエータに制御信号を発する。機械コントローラ40は、特に、出力において、それぞれ1つの機械軸に対する(すなわち、例えばサーボモータなどの、それぞれの機械軸を駆動させるために働く少なくとも1つのアクチュエータに対する)制御信号を使用可能な複数の軸モジュール41を備える。機械コントローラ40は、更に、オペレータ制御パネル43と、制御コンピュータを備える制御デバイス42とを備える。制御デバイス42は、オペレータ制御パネル43及び軸モジュール41と情報をやり取りする。制御デバイス42は、オペレータ制御パネル43からの動作命令、及びセンサ信号を受信し、それらから軸モジュールに対する制御命令を算出する。また、それは、センサ信号に基づいて、表示用の動作パラメータをオペレータ制御パネル43に出力する。
【0062】
サーバ44が、制御デバイス42に接続されている。制御デバイス42は、各ワークピースについての一義的な識別子及び選択された動作パラメータ(特に、測定変数及びそこから導出された変数)を、サーバ44に転送する。サーバ44は、その後、関連する動作パラメータが各ワークピースのために取り出し可能なように、このデータをデータベースに記録する。サーバ44は、機械内部に配置されてもよいし、機械から離れて配置されてもよい。後者の場合、サーバ44は、ネットワークを介して、特に企業内LANを介して、WANを介して、又はインターネットを介して、制御デバイス42に接続され得る。サーバ44は、好ましくは、単一の創成研削盤からのデータを受信及び管理するように設計されている。複数の創成研削盤が使用されるとき、一般に第2のサーバが使用される。このようにすることで、記憶されたデータへの中央アクセス及び大量のデータのより良好な取り扱いが実施可能となる。更に、このデータは、第2のサーバ上でより良く保護することができる。
【0063】
図2は、図1の細部IIの拡大図を示す。砥石16がクランプされたツールスピンドル15を見ることができる。測定プローブ17が、ツールスピンドル15の固定部分に旋回可能に取り付けられている。この測定プローブ17は、任意選択として、図2の測定位置と待機位置との間で旋回可能である。測定位置では、測定プローブ17を使用して、接触様式でワークピーススピンドル21上のワークピース23のかみ合わせを測定することができる。これは、「インライン」で、すなわち、ワークピース23が依然としてワークピーススピンドル21上に位置する間に行われる。結果として、機械加工不良を早期に検出することができる。待機位置では、測定プローブ17は、ワークピーススピンドル21、テールストック22、ワークピース23、及びワークピースキャリア20上の更なる構成要素との衝突から保護される範囲内にある。ワークピースの機械加工中、測定プローブ17は待機位置にある。
【0064】
歯合せプローブ24が、ワークピース23の砥石16とは反対側に配置されている。本例において、歯合せプローブ24は、WO2017/194251A1の記載に従って構成され及び配置されている。歯合せプローブの機能及び配置の方法に関して指定された文書が、明示的に参照される。特に歯合せプローブ24は、従来技術から周知のように、誘導的又は容量的に動作する近接センサを備えることができる。また、歯合せ動作のために、例えば、当該歯車がワークピース軸C1を中心に回転しているときに、測定するべき歯車上に光ビームを誘導し、そこから反射した光を検出するか、又は、測定するべき歯車による光ビームの遮断を検出するといった、光学的に動作するセンサを使用することも考えられる。更に、例えば米国特許第6,577,917(B1)号に提案されているように、ワークピース上のプロセスデータを直接獲得することができる、1以上の更なるセンサが歯合せプローブ24上に配置されることも考えられる。こうした更なるセンサは、例えば第2の歯車のための第2の歯合せセンサ、温度センサ、更なる音響放射センサ、空気圧センサなどを含むことができる。
【0065】
更に、図2には、単に象徴的な様式で音響センサ18が示されている。音響センサ18は、ワークピースの研削加工中、及び砥石のドレッシング中に発生する、ツールスピンドル15の構造伝搬音を拾う働きをする。実際には、音響センサは、通常は(図2に示されるように)ハウジング部分上には配置されず、むしろ、例えば音の効率的な伝導を保証するために、ツールスピンドル15の駆動モータの固定子上に直接配置される。指定されるタイプの音響センサ又は構造伝搬音センサは、それ自体周知であり、創成研削盤において日常的に使用されている。
【0066】
クーラントノズル19は、クーラントジェットを機械加工ゾーン内へ誘導する。このクーラントジェットを介して伝わる雑音を記録するために、更なる音響センサ(図示せず)が設けられ得る。
【0067】
図3は、図1の細部IIIの拡大図を示す。ここでドレッシングデバイス30を、特によく見ることができる。ディスク型のドレッシングツール33がクランプされたドレッシングスピンドル32が、軸C4を中心に旋回できるように、旋回ドライブ31上に配置されている。代替又は追加として、特に、当分野では先端ドレッシングデバイスとして知られる、固定ドレッシングツールが設けられ得る。これらは、砥石のウォームスレッドの先端領域をドレッシングするために、これらの先端領域とのみ係合するように設けられ得る。
【0068】
ワークピースバッチの機械加工
【0069】
まだ機械加工されていないワークピース(未加工品)を機械加工するために、ワークピースは自動ワークピースチェンジャによって、ワークピース変更位置にあるワークピーススピンドルにクランプされる。ワークピースの変更は、機械加工位置にある他方のワークピーススピンドル上の別のワークピースの機械加工と同時に実施される。新規に機械加工するべきワークピースがクランプされ、他方のワークピースの機械加工が終了すると、ワークピースキャリア20がC3軸を中心に180°旋回され、新規に機械加工すべきワークピースを備えるスピンドルは機械加工位置に移動する。旋回プロセスの前及び/又は間に、対応する歯合せプローブを使用して、歯合せ(心立て)動作が実施される。これを行うために、ワークピーススピンドル21は回転され、ワークピース23の歯溝の位置が、歯合せプローブ24を使用して測定される。回転角度は、これに基づいて決定される。加えて、上方歯厚誤差の過度な変動及び他の前加工不良に関する指標は、機械加工の開始前であっても、歯合せプローブを使用して導出可能である。これは、図6に関して下記でより詳細に説明する。
【0070】
機械加工するべきワークピース23を担持するワークピーススピンドルが機械加工位置に達したとき、X軸に沿ってワークピースキャリア12を移動させることによって、ワークピース23は、衝突なしに、砥石16との係合に移動される。その後、ワークピース23は、砥石16によって回転係合で機械加工される。この間に、ツールスピンドル15は、砥石16のまだ使用していない領域を機械加工中に継続的に使用できるようにするために、シフティング軸Yに沿って連続的にゆっくりとシフトされる(いわゆる、シフティング移動)。ワークピース23の機械加工が終了するとすぐに、任意選択として、ワークピースは測定プローブ17を使用してインラインで測定される。
【0071】
機械加工と同時に、完全に機械加工されたワークピースは他方のワークピーススピンドルから取り外され、更なる未加工品がこのスピンドルにクランプされる。ワークピースキャリアがC3軸を中心に旋回するごとに、旋回の前又は旋回期間内に、すなわち時間中立的に、選択された構成要素が監視され、機械加工プロセスは、定義された要件すべてが満たされるまで再開されない。
【0072】
特定数のワークピースの機械加工後、砥石の切れ味がかなり悪くなる、及び/又は、歯面形状が不正確になるまで、砥石16の使用が進行した場合、砥石はドレッシングされる。このために、ワークピースキャリア20は±90°旋回され、ドレッシングデバイス30は砥石16に対面する位置に移動することになる。そして、砥石16は、ドレッシングツール33を用いてドレッシングされる。
【0073】
砥石ブレークアウト
【0074】
砥石ブレークアウトは機械加工中に発生する可能性がある。図4は、研削ウォーム上の様々な形の砥石ブレークアウト51を示す。部分(a)では、単一のウォームスレッドが、特定の角度範囲にわたってほぼ完全に剥離している。対照的に、部分(b)では、先端領域内の多数の様々なポイントにおいて、複数のウォームスレッドが局所的に損傷している。部分(c)でも、複数の局所損傷域が存在するが、これらは部分(b)よりも深い。部分(d)では、砥石は2つの領域においてかなり損傷しており、これらの領域内では複数の近接するウォームスレッドがほぼ完全に剥離している。損傷のすべての事例が実際に発生し、ワークピースの機械加工中に異なる影響を及ぼす可能性がある。
【0075】
図5は、不正確に機械加工された歯車を示す。歯車が不正確な角度位置で砥石と係合して配置され、砥石スレッドが歯車の歯溝内で正しく係合できないため、すべての歯52はその先端領域において損傷している。かみ合い動作が不正確に実施された場合、又は、ワークピーススピンドルがその動作回転速度まで回転を上げる間に、歯車が正確に回されていなかった場合、こうした状況が生じる可能性がある。この状況はしばしば、歯車に損傷を与えるのみならず、砥石の深刻な砥石ブレークアウトにもつながる。この状況も、できる限り早期に検出及び防止されなければならない。
【0076】
プロセス監視を介した起こり得る砥石ブレークアウトの指標
【0077】
砥石ブレークアウトをできる限り防止するため、又は、発生したブレークアウトを早期に検出できるようにするために、製造バッチの機械加工中に様々な動作パラメータが継続的に監視される。加えて、パラメータ又はそこから導出される変数は、後の分析を実行可能にするためにデータベースに記録される。本コンテキストにおいて、ツールスピンドル、ワークピーススピンドル、及びドレッシングスピンドルの、回転速度、角度位置、及び消費電力値、ワークピース自体の回転速度及び角度位置、歯合せプローブの信号、機械の直線軸の位置は、特に重要である。図1から図3の例示的実施形態において、制御デバイス42は監視のために働く。特に、下記で論じられる創成研削盤の動作パラメータが監視される。
【0078】
(a)歯合せプローブを使用した前加工不良の決定
【0079】
図6は、歯合せプローブ24から受信されるような模式的な信号を示す。これらは、歯合せプローブの前に歯の先端領域が位置するときに論理値1を示し、歯合せプローブの前に歯溝が位置するときに論理値0を示す、2値信号である。導出される歯合せプローブの信号のパルス幅Pb及び/又はパルスデューティー比は、歯厚についての測度、したがって、測定された厚みと要求される厚みとの間の偏差についての測度(「偏差指標」)である。図6の部分(a)では、パルス幅Pbは小さく、小さな(場合によっては負の)偏差を示すが、部分(b)では、パルス幅Pbは大きく、大きな(場合によっては過度に大きな)偏差を示す。パルス幅Pbの変動は、ここでは例示の目的で意図的に誇張された形で示されている。
【0080】
したがって、直接の結論は、各歯の偏差に関する歯合せプローブ24の信号パターンから導き出すことができる。ここから、過度に大きな偏差又は不規則な偏差などの、前加工不良に関する指標を導出することができる。
【0081】
制御デバイス42は、歯合せプローブの信号を受信し、そこから、前加工不良に関する指標が存在するかどうかを示す、警告指標を導出する。指標が存在する場合、砥石16に対する損傷を防止するために、ワークピース23と砥石16との間に接触が生じる前に、機械加工は停止される。加えて、警告指標は、先行するワークピースによる損傷についての砥石の点検を始動させることができる。
【0082】
(b)ワークピーススピンドル及びワークピースの回転速度の監視
【0083】
図7は、ワークピーススピンドル21の回転速度nと、その上にクランプされるワークピース23の結果として生じる回転速度とが、互いにどのように比較されるかを示す。ワークピーススピンドル21の回転速度nは、機械コントローラから直接読み出すことができる(図7の部分(a))。これに対して、ワークピースの回転速度は、歯合せプローブ24を使用して決定される。この点において、図7は部分(b)に、歯合せプローブ24によって受信されるような模式的な信号を示す。本例において、ワークピーススピンドルが既に所望の回転速度に達している一方で、信号は連続的に減少する周期長さPdを有する。したがって当該信号は、ワークピーススピンドル21が既にその所望の回転速度に達している一方で、ワークピース23は依然として加速していることを示す。したがって、本例において、ワークピース23はワークピーススピンドル21上で正しく回されていない。
【0084】
こうしたケースは、ボア面及び平面などのワークピースクランプベースの前加工において、許容誤差を超える場合に生じる可能性がある。ワークピースが回されることは、一般に、定義された摩擦係合において生じる。すなわち、摩擦トルクが、コレットチャックの拡大を介してワークピースボア上で作用し、半径方向摩擦力が、軸方向接触押圧によって2つの平面上に生じる。しかしながら、ワークピースボアが大きすぎる場合、及び/又は、平面が傾き過ぎている場合、この摩擦係合は減少し、臨界値を超え、ワークピーススピンドルとワークピースとの間に滑りが生じる。
【0085】
ワークピースの回転速度とワークピーススピンドルの回転速度との間の偏差が検出された場合、砥石16に対する損傷を防ぐために、更なる機械加工を即時に停止することが適切である。砥石16に対して既に損傷が発生している可能性を排除できないため、追加として、損傷について砥石16を検査することが適切である。
【0086】
この目的で、制御デバイス42は、歯合せプローブ24の信号、及び、割り当てられた軸モジュール41からのワークピーススピンドルの回転速度信号を監視する。偏差がある場合、制御デバイス42は警告指標を設定する。ワークピース23と砥石16との間の接触が生じる前に、警告指標に基づいて、機械加工は停止される。加えて、警告指標は、先行するワークピースによる損傷について砥石の点検を始動させることができる。
【0087】
(c)ワークピーススピンドル及びワークピースの回転角度の監視
【0088】
回転速度の比較の代替又は追加として、機械加工の前後に実施されるべき、ワークピーススピンドルと関連するワークピースとの回転角度の比較も可能である。ここでの偏差の存在も、滑りが存在することを示し、起こり得る損傷について砥石16を検査することが適切である。それに応じて、制御デバイス42はこの場合にも警告指標を設定する。
【0089】
(d)瞬時金属切削電力の監視
【0090】
起こり得る砥石ブレークアウトを早期に検出する更なる可能なやり方が、図8に示される。図は、測定曲線61において、個々のワークピースの機械加工中のツールスピンドルの消費電力Iを時間の関数として示す。ツールスピンドルの消費電力(電流消費)Iは、瞬時金属切削電力の直接指標である。この点において、これは切削電力信号の一例とみなすことができる。
【0091】
本例では、曲線61は、機械加工の開始時に、この消費電力における突然の急増及び後続の急落を示す。これは、ワークピースの歯の1つと砥石16のウォームスレッドとの衝突が起こったことを示す。この場合、更なる機械加工を即時に停止すること、及び起こり得る損傷について砥石16を検査することも、適切である。制御デバイス42は、この場合も、対応する警告指標を設定する。
【0092】
(e)ワークピース当たりの金属切削エネルギーの監視
【0093】
起こり得る砥石ブレークアウトの検出(比較的遅いが)の更なる可能性は、各ワークピースの金属切削機械加工に使用されてきたエネルギー(「金属切削エネルギー」)を監視することである。このエネルギーは、それぞれのワークピースの機械加工中の、材料の切削量の測度である。ブレークアウトによって損傷を受けた研削ウォーム領域による機械加工中の材料の切削量は、一般に、損傷を受けていない研削ウォーム領域による機械加工中の量よりも少ない。したがって、ワークピース当たりの金属切削エネルギーを監視することによって、起こり得る砥石ブレークアウトの指標を取得することが可能である。
【0094】
これは、図9及び図10により詳細に示されている。図9は、測定曲線62において、損傷を受けていない研削ウォームによる個々のワークピースの機械加工中のツールスピンドルの消費電力Iを時間の関数として示す。他方で、測定曲線63は、大きなブレークアウトを伴う領域内の研削ウォームによる機械加工中の消費電力の経時変化を示す。ブレークアウトにより、金属切削電力、したがってツールスピンドルの消費電力は、大きく減少している。個々のワークピースを機械加工するために必要な時間期間中の消費電力の積分値(すなわち、それぞれの測定曲線の下の面積)は、ワークピースに使用された全金属切削エネルギーの、すなわち、ワークピース当たりの材料の切削量についての、測度である。砥石ブレークアウトの領域による機械加工中では、この積分値は、砥石の損傷を受けていない領域による機械加工中の値よりも小さい。
【0095】
消費電力の積分値の代わりに、他の変数、例えば平均値、最大値(適切であれば、見かけの値を除去するための平滑化処理後)、又は電流の経時変化の所定関数へのフィッティングの結果といった値を、総金属切削エネルギーの測度として使用することも可能である。総金属切削エネルギーの測度は、本コンテキストでは切削エネルギー指標とも呼ばれる。
【0096】
図10は、砥石が損傷している場合、機械加工中にツールスピンドルの平均消費電力Iavが、N個のワークピース間でどのように変化するかを示す。大きな中央ブレークアウトを有する砥石を用いて機械加工が開始するとする。機械加工サイクルの開始時に、ワークピースは、第1の砥石の損傷を受けていない端部で機械加工される。機械加工の過程において、砥石は連続的にシフトされ、ブレークアウトを伴う領域が次第に機械加工に使用されることになる。サイクルの終わりに向かって、同じく損傷を受けていない砥石の反対側の端部が、ワークピースとの係合に入る。それに対応して、ツールスピンドルの平均消費電力Iavは、初め減少し、次にサイクルの終わりに向かって再度増加する。この結果として、1番目のワークピースからN番目のワークピースへと、平均消費電力Iavの特徴的な経時変化が生じる。
【0097】
ポイント65でその都度サイクルは終了し、砥石がドレッシングされ、新規サイクルが開始される。ドレッシングの間に損傷を受けたウォームスレッドは徐々にレストアされるため、平均消費電力Iavの変化は後のサイクルになるほど徐々に小さくなる。
【0098】
図10において例として示されるような電流の経時変化64は、したがって砥石ブレークアウトの指標として評価することができる。ブレークアウトが実際に存在するかどうかを点検するために、ここでは、機械加工を停止すること、及び起こり得る損傷について砥石を検査することも適切である。このために制御デバイス42は、この場合、対応する警告指標も設定する。
【0099】
ブレークアウトについての砥石の自動点検
【0100】
起こり得る損傷についての砥石の点検は、ドレッシングツールがそのウォームスレッドの先端領域で砥石の上を移動し、砥石とドレッシングツールとの間の接触が検出される、という事実によって、自動的に実施可能である。
【0101】
接触の検出は、図11に示すように音響的に実施可能である。例えば、ドレッシングツールが意図的にウォームスレッドの先端領域のみと接触させられるドレッシングプロセス中、例えば図2に示される音響センサ18によって特定可能なように、音響信号Vの経時変化は、測定曲線71として例示される。この信号は、ドレッシングデバイスが先端領域と係合するように、及び当該領域との係合から外れるように、移動する場合を示す。砥石が損傷していない場合、周期的な信号が期待される。他方で、信号が、図11のギャップ72のようなギャップを有する場合、これはウォームスレッド内のブレークアウトを示す。
【0102】
あるいは、ドレッシングの場合であっても、砥石ブレークアウトが存在するかどうかを確実に検出することができるようにするため、ドレッシングプロセスは、下記で説明するように、自動的に直接開始することも可能である。しかしながら、ドレッシングの場合、大幅に低い砥石回転速度を使用しなければならず、したがってこの制御手段のために非生産時間が幾分長くなることは不利である。
【0103】
損傷について砥石を自動的に点検するための、他の方法も考えられる。例えば、光センサを用いて損傷について砥石を検査することが可能である。また、クーラントノズル19からのクーラントジェットが砥石に衝突するときの当該クーラントジェットによって生じる雑音を利用して、損傷について砥石を検査することが可能である。クーラントジェットを用いた構造伝搬音の測定自体は、知られている(例えば、Klaus Nordmann、「Prozessueberwachung beim Schleifen und Abrichten[Process monitoring when grinding and dressing]」、Schleifen+Polieren 2004年5月、Fachverlag Moeller、Velbert(ドイツ)、52~56頁を参照)。しかし、砥石ブレークアウトの検出にはこれまで使用されていない。
【0104】
砥石ブレークアウトの更なる特徴付け
【0105】
このようにしてブレークアウトが確実に確認された場合、研削ウォームを完全にドレッシングすること、及び同時に、ブレークアウトの更なる特徴の決定を行うこと、及び/又は、ブレークアウトを除去することが適切である。これは図12及び図13に示されている。
【0106】
図12は、ドレッシング中の電流の測定によってどのように砥石ブレークアウトのさらなる特徴付けが可能であるかを示す。図12は、部分(a)では、砥石が均一に摩耗していかなるブレークアウトも有しない場合の、ドレッシングスピンドルの消費電力Iの模式的な経時変化を、砥石のドレッシング中の時間の関数として示す、測定曲線81を示す。測定曲線81は常に、下方のエンベロープ曲線82の上にある。部分(b)では、単一の深いブレークアウトを伴う砥石について、消費電力Iの経時変化が示されている。ドレッシングツールが砥石ブレークアウトの領域内で動作する時間期間において、消費電力Iは強い変動、特に強い下落を示す。
【0107】
最も単純な場合では、こうした変動は、消費電力の値が下方のエンベロープ曲線82より下に下落するかどうかが監視されるということによって検出可能である。このような場合の領域では、砥石ブレークアウトが存在すると結論付けることが可能である。またもちろん、消費電力の変動を検出するためのより改良された方法を使用することも可能である。例えば、消費電力の平均値83が算出可能であり、この値から下方向への偏差(ここでは、最小値84の場合)及び/又は、上方向への偏差(ここでは、最大値85の場合)が、特定の許容差範囲内にあるかどうかを監視することが可能である。各々の場合において、変動の検出がどのように行われるかにかかわらず、それぞれのウォームスレッドに沿ったブレークアウトの位置は、変動が起こる時間又は回転角度に基づいて結論付けることができる。ウォームスレッドの損傷の度合いは、変動の大きさから推測可能である。
【0108】
図13は、ドレッシングスピンドルの消費電力のみならず、ツールスピンドルの消費電力も使用して、砥石ブレークアウトの特徴付けが可能であることを示す。部分(a)には、ドレッシングスピンドルの消費電力Iの経時変化が示され、部分(b)には、ブレークアウトを伴う砥石のドレッシング中の、ツールスピンドルの消費電力Iの経時変化が示されている。ドレッシングスピンドルの消費電力のみならず、ツールスピンドルの消費電力も、ブレークアウトの領域内でドレッシングが行われる時間期間において、変動を示すことが明らかである。しかしながらこれらの変動は、ドレッシングスピンドルの消費電力の場合において、より顕著であり、一般に、砥石ブレークアウトを特徴付けるための測定変数としては、ツールスピンドルの消費電力よりもドレッシングスピンドルの消費電力の方が好ましい。
【0109】
このようにして特徴付けられる砥石ブレークアウトは、場合によっては繰り返されるドレッシングを介して除去することができる。ブレークアウトが非常に大きく、ドレッシングによってこれを除去するためにはかなり多くの時間が必要である場合、更なるドレッシングプロセスを省き、代わりに、損傷した砥石を交換するか、又は、ワークピースの更なる機械加工のために、その損傷を受けていない領域のみで研削ウォームを使用することも適切であり得る。
【0110】
自動プロセス制御のための方法の例
【0111】
図14及び図15は、例として、前述の概念を実装する自動プロセス制御のための可能な方法を示す。
【0112】
機械加工プロセス110において、ワークピースバッチのワークピースは、創成研削盤を用いて連続的に機械加工される。各ワークピースの機械加工111の前及び間に、とりわけ、上記で説明した測定変数が決定され、監視ステップ112において監視される。特に、前加工不良が存在するかどうかを判別するために、歯合せプローブの信号のパルス幅Pbが監視される。加えて、ワークピーススピンドルの回転速度nとワークピースの回転速度nとの間の差の絶対値が、(小さな)閾値nよりも大きいかどうかが監視される。更に、ワークピーススピンドルの角度の変化Δφと、ワークピースの角度の変化Δφとの間の差の絶対値が、機械加工の過程において、(小さな)閾値Δφよりも大きいかどうかが監視される。加えて、ツールスピンドルの消費電力I(t)の経時変化が、各ワークピースについて監視され、N個のワークピース間における平均スピンドル電流Iav(N)の変化が監視される。ステップ113において、これらの監視動作の結果から、警告指標Wが継続的に決定される。
【0113】
警告指標に基づいて、判定ステップ114において下記の判定が自動的に行われる。
1. 警告指標がいかなる問題も示さない場合(例えば、閾値Wよりも低い限り)、ワークピースの機械加工は正常に続行される。
2. 警告指標が起こり得る問題を示す場合、ワークピースの機械加工は一時的に停止される。警告指標に基づいて、ワークピースが即時除去されるかどうか(例えば、警告指標が、前加工不良、又はワークピースのクランプ接続の滑りを示す場合、これが適切である)、又は、まず砥石の点検が実施されるかどうかが、決定される。
【0114】
続いてステップ120において、起こり得るブレークアウトについて砥石が点検される。本例ではこのために、ステップ121で、ドレッシングツールが研削ウォームスレッドの先端領域の上で移動させられる。ステップ122で、音響測定又は電力測定によって、ドレッシングツールと研削ウォームとの間に接触があるかどうかが判別され、それに応じて接触信号が出力される。ステップ123で、接触信号の経時変化からブレークアウト指標Aが決定される。判定ステップ124において、ブレークアウト指標Aが所定の閾値Aを超えたかどうかが点検される。
【0115】
閾値Aを超えない場合、ワークピースの機械加工は続行される。この場合、適切であれば、後続のワークピースにおいて起こり得る問題を警告指標が示す確率を下げるために、切削電力は低減させられる。
【0116】
他方で、ブレークアウト指標が閾値を超える場合、プロセス130において、砥石ブレークアウトはより詳細に特徴付けられ、適切であれば、除去される。このために、砥石は一般に、複数のドレッシングストロークでドレッシングされ(ステップ131)、ドレッシング中、各ドレッシングストロークについてドレッシング電力信号が決定される(ステップ132)。各ドレッシングストロークにおいて、ドレッシング電力信号からブレークアウト測度Mが決定される(ステップ133)。判定ステップ134において、ブレークアウトが適切に除去できることをブレークアウト測度Mが示すかどうかが点検される。適切に除去できることを示さない場合、判定ステップ136において、それにもかかわらず砥石の損傷を受けていない領域を用いて機械加工が依然として実行可能である程度に、ブレークアウトが砥石の十分に小さな領域に限定されるかどうかが点検される。どちらも適切に可能でない場合、ステップ137で、オペレータは砥石を交換するように指示される。他方で、ブレークアウト測度Mが、ドレッシングによってブレークアウトを適切に除去できることを示す場合、判定ステップ135において、最後に実施されたドレッシングプロセスが既にブレークアウトを除去するのに十分であったかどうかが点検される。除去するのに十分であった場合、機械加工は続行される(ステップ138)。十分でなければ、ブレークアウトが十分に除去されたことをブレークアウト測度Mが示すまで、特徴付け及び除去プロセス130が繰り返され、機械加工が再度続行される。
【0117】
したがって全体として、機械加工が実行可能であるかどうか、又は疑わしい場合は、実施されてきた機械加工を別途に点検するべきかどうかに関して、各ワークピースについて自動的に、即時に、及び確実に、判別することが可能である。
【0118】
変形例
【0119】
以上、好ましい例示的実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明はこれらの例に決して限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変形が可能である。例えば、当業者であれば周知のように、創成研削盤は、前述の例とは異なるように構築することも可能である。説明した方法は、もちろん、監視及び判定するための他の手段も含むことができる。
【0120】
更なる考慮事項
【0121】
要約すると、本発明は下記の考慮事項に基づく。
【0122】
創成研削中の複雑さにもかかわらず、できる限り中断なく即時に必要な品質を提供する堅固なプロセス制御が、自動化生産の目的である。加えて、自動化様式で生成される各歯車の機械加工及び最終品質に関して、各歯車の付属文書に割り当てることが適切である。「ボタンを押す」時点でのすべての関連生産ステップの確実なトレーサビリティのために、並びに、プロセス最適化の一般化及び/又は効率の向上のために、オンラインデータを使用可能にすべきである。
【0123】
したがって本発明は、プロセス偏差の指標、特に様々な大きさのブレークアウトが検出可能であり、警告信号が出力されることを保証するための手段を使用する。警告信号は、特に、歯合せプローブの信号に基づいて、又はツールスピンドルの電流値の測定によって、決定することができる。
【0124】
警告信号は、機械加工を即時に停止することが可能であり、完全に又は部分的に機械加工されたワークピースは、適切であれば、取り扱いデバイスを用いてNOK部分として自動的に除去され、制御デバイスは、欠陥品である場合、研削ウォームのシフト位置(Y位置)を決定し、任意選択として記憶する。その後、砥石はブレークアウトについて点検される。このために、研削スピンドルの作業回転速度において、最小絶対値の研削ウォームの先端領域がドレッシングデバイスを用いてドレッシングされ、同時に、ブレークアウトを確実に検出するために、音響信号の電流及び/又は信号が感知される。あるいは、別の方法を用いて、例えば、光学的に、クーラントジェットによる音響的に、又は完全なドレッシングストロークにより、ブレークアウトについての点検が実施される。このプロセスは、このようにして、不正確に機械加工されたワークピースの結果として発生したものではない、研削ウォーム上の相対的に小さなブレークアウトを検出することが可能であるため、定義された間隔において、かつ警告信号なしで、歯合せプローブによっても実行可能である。この測定がブレークアウトを検出した場合、制御デバイスは下記の事項を決定する。
製造バッチを更に機械加工すること、及び、更なる機械加工を防ぐために研削ウォーム上の損傷領域を遮断すること、
研削ウォームをドレッシングすること、及びその後、場合によっては、減少した金属切削値を用いて更なる機械加工を実行すること、又は、
研削ウォームを交換すること、及び、新規の研削ウォームを用いて製造バッチの機械加工を完了すること。
【0125】
砥石のドレッシング中、最初のドレッシングストロークは、通常、製造バッチについての設定で実行されることに留意されたい。大きなブレークアウト及び非常に大きなブレークアウトの場合、長いドレッシング時間が必要になる可能性がある。この状況では、適応ドレッシング又は自己学習ドレッシングは大幅な時間の節約をもたらすことが可能であり、時間のかかる研削ウォームの交換を回避することもできる。
【0126】
また、警告信号が決定されている場合であっても、この測定が研削ウォーム上のブレークアウトを検出しない場合、制御デバイスは下記の事項を決定する。
減少した金属切削値を用いて、製造バッチの更なる機械加工を実行すること、又は、
製造バッチの機械加工を停止し、オペレータに通知すること。
【0127】
このため、研削及びドレッシング中の製造バッチの自動プロセス監視は、接続されたサーバを伴う別の制御デバイスを使用して、ワークピースの移送のための周辺自動化技術を用いるCNC創成研削盤によって、実施可能である。制御デバイスは、好ましくは創成研削盤のすべてのセンサデータ、対応する設定、及び機械加工値、好ましくは、ツールスピンドル、ワークピーススピンドル、及びドレッシングスピンドルにおける電力値、並びに歯合せプローブの信号が、連続的に感知され、製造バッチの各ワークピースについてサーバに記憶されるように、構成される。この場合、任意選択として、各々自動的に実行されるワークピース変更において、時間中立的な構成要素監視を実行することが可能であり、異議がなければ監視が機械加工をクリアする。とりわけ、切削電力信号及び切削エネルギー指標も決定され、信号及び指標は、制御デバイスにおいて他のデータと関連付けられ、最初のワークピースの機械加工の後、サーバ内に記憶されたデータとも関連付けられる。その後、早期に警告指標を出力することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 創成研削盤
11 機械ベッド
12 ツールキャリア
13 軸キャリッジ
14 研削ヘッド
15 ツールスピンドル
16 砥石
17 測定プローブ
18 音響センサ
19 クーラントノズル
20 ワークピースキャリア
21 ワークピーススピンドル
22 テールストック
23 ワークピース
24 歯合せプローブ
31 旋回デバイス
32 ドレッシングスピンドル
33 ドレッシングツール
40 機械コントローラ
41 軸モジュール
42 制御デバイス
43 CNCオペレータ制御パネル
44 サーバ
51 砥石ブレークアウト
52 歯
61~63 測定曲線
64 電流の経時変化
65 ドレッシング時間
71 測定曲線
72 ギャップ
81 測定曲線
82 エンベロープ曲線
83 平均値
84 最小値
85 最大値
110 機械加工プロセス
111 ワークピースの機械加工
112 監視
113 Wの決定
114 判定ステップ
120 ブレークアウト検出プロセス
121 移動
122 接触信号の決定
123 Aの決定
124 判定ステップ
130 特徴付け/除去
131 ドレッシング
132 ドレッシング電力の決定
133 Mの決定
134~136 判定ステップ
137 砥石の交換
138 更なる機械加工
a.u. 任意の単位
A ブレークアウト指標
ブレークアウト指標の閾値
B ツール軸
C1 ワークピース軸
C3 ワークピースキャリアの旋回軸
C4 ドレッシングデバイスの旋回軸
av ツールスピンドルの平均消費電力
ドレッシングスピンドルの消費電力
ツールスピンドルの消費電力
M ブレークアウト測度
ワークピース回転速度
回転速度差の閾値
ワークピーススピンドルの回転速度
N バッチ内のワークピースの数
Pb かみ合い信号/歯のパルス幅
Pd かみ合い信号/歯の信号周期の期間
t 時間
音響信号
W 警告指標
警告指標の閾値
X 送り込み方向
Y シフティング軸
Z 軸方向
Δφ ワークピースの角度の変化
Δφ 角度の変化の差の閾値
Δφ ワークピーススピンドルの角度の変化

図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図4(d)】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15