(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】回転機器
(51)【国際特許分類】
H02K 9/06 20060101AFI20250129BHJP
H02K 5/173 20060101ALI20250129BHJP
H02K 5/20 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
H02K9/06 C
H02K5/173 A
H02K5/20
(21)【出願番号】P 2022544525
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2021030431
(87)【国際公開番号】W WO2022044970
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2020145023
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】岩田 仁
(72)【発明者】
【氏名】清水 道弘
(72)【発明者】
【氏名】大沢 直生
(72)【発明者】
【氏名】西方 俊之
(72)【発明者】
【氏名】加納 剛
(72)【発明者】
【氏名】山西 生馬
(72)【発明者】
【氏名】天城 雄太
(72)【発明者】
【氏名】千田 祐也
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-327123(JP,A)
【文献】中国実用新案第209930055(CN,U)
【文献】中国実用新案第201590719(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/06
H02K 5/173
H02K 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材と、
前記軸部材に対して回転可能な筒状の回転体と、
前記軸部材に対して前記回転体を支持する、1又は複数の軸受と、
径方向において、前記軸受と前記回転体との間に配置された連結部材、又は前記軸受と前記回転体との間に配置された複数の連結部材を備え、
前記連結部材が、前記回転体の内外を連通する通気路を有
し、
軸方向において、前記連結部材に隣接して、複数の羽根を有する羽根部材を備え、
前記羽根部材が有する羽根は傾斜しており、
前記羽根部材が、前記連結部材側に突出する突出部を有し、
前記突出部が、前記連結部材に嵌合する、回転機器。
【請求項2】
前記回転体を囲む筒状のハウジングと、前記回転体の内側にあるステータと、を備える、請求項1に記載の回転機器。
【請求項3】
前記連結部材は、複数の羽根を有し、
前記複数の羽根は、前記軸部材の軸方向に対して傾斜した方向に向いている、請求項1または2に記載の回転機器。
【請求項4】
前記軸部材の軸方向において、前記複数の軸受が、前記回転体の両端部乃至その近傍に設けられ、
前記複数の軸受と前記回転体との間に、前記複数の連結部材が配置され、
前記複数の連結部材の一方が、前記羽根を有する、請求項3に記載の回転機器。
【請求項5】
前記回転体の内部を、気体が軸方向に流れることができ、
前記気体の排出口側の連結部材が、前記羽根を有する、請求項4に記載の回転機器。
【請求項6】
前記複数の連結部材の他方が、径方向の内外に延在する複数のスポークを有する、請求項4または5に記載の回転機器。
【請求項7】
前記羽根部材が有する羽根は、前記軸部材の軸方向に対して傾斜した方向に向いている、請求項
1から請求項6のいずれかに記載の回転機器。
【請求項8】
前記連結部材が、径方向の内外に延在する複数のスポークを有する、請求項
1から請求項7のいずれかに記載の回転機器。
【請求項9】
前記複数の軸受が、前記回転体の軸方向の両端部乃至その近傍に設けられ、
前記複数の軸受と前記回転体との間に、前記複数の連結部材が配置され、
前記複数の連結部材の一方の、前記回転体の軸方向の外側に、前記羽根部材を備える、請求項
1から請求項
8のいずれかに記載の回転機器。
【請求項10】
前記回転体の内部を、軸方向に気体が流れることができ、
前記気体の排出口側の連結部材における、前記回転体の軸方向の外側に、前記羽根部材を備える、請求項
9に記載の回転機器。
【請求項11】
軸方向において、前記連結部材に隣接して、複数の羽根を有する羽根部材を備え、
前記羽根部材は、前記連結部材の前記通気路に繋がる通気路を有し、
前記回転体の内部を、軸方向の両方向に向けて気体が流れることができる、請求項1または2に記載の回転機器。
【請求項12】
前記軸部材の軸方向において、前記連結部材は、前記羽根部材の羽根に対向するベースを備えている、請求項
11に記載の回転機器。
【請求項13】
前記ベースには、前記通気路となる孔部が形成されている、請求項
12に記載の回転機器。
【請求項14】
前記回転体の外周面には、動翼が設けられている、請求項1から請求項
13のいずれかに記載の回転機器。
【請求項15】
前記動翼は、前記回転体の軸方向に並んだ複数の羽根部をそれぞれ有する複数の羽根を備え、
前記回転体の周方向において、前記動翼の複数の羽根のそれぞれは、当該羽根の隣の羽根と対向している、請求項
14に記載の回転機器。
【請求項16】
前記回転体の周方向において、前記動翼の複数の羽根のそれぞれの端部は、当該羽根の隣の羽根の両端部の間に位置している、請求項
15に記載の回転機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な用途や要求される性能に応じて、各種回転機器が開発・製造され、用いられてきた。その中で、回転機器としての基本的な性能である高速回転化等の性能向上の要求と、装置全体としてのより一層の小型化の要求とがあり、両要求のより高い次元での実現が求められている。
【0003】
一方、高速回転化によって、コイルやステータコアは、より一層高温になり易くなる。したがって、コイルやステータコア等の熱発生源を含むステータの冷却を図ることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、熱発生源の冷却性に優れた回転機器を提供することを目的の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明の回転機器は、軸部材と、
前記軸部材に対して回転可能な筒状の回転体と、
前記軸部材に対して前記回転体を支持する軸受と、
径方向において、前記軸受と前記回転体との間に配置された連結部材を備え、
前記連結部材が、前記回転体の内外を連通する通気路を有する。
本発明の回転機器において、前記回転体を囲む筒状のハウジングと、前記回転体の内側にあるステータと、を備えていてもよい。
【0007】
本発明の回転機器において、前記連結部材は、複数の羽根を有し、
前記複数の羽根は、前記軸部材の軸方向に対して傾斜した方向に向いていてもよい。
この場合に、前記軸部材の軸方向において、前記軸受が、前記回転体の両端部乃至その近傍のそれぞれに設けられ、
前記軸受と前記回転体との間のそれぞれに、前記連結部材が配置され、
前記連結部材の一方が、前記羽根を有していてもよい。
【0008】
また、この場合に、前記回転体の内部を、気体が軸方向に流れることができ、
少なくとも、前記気体の排出口側の連結部材が、前記羽根を有することが好ましい。
そして、前記連結部材の他方が、径方向の内外に延在する複数のスポークを有していてもよい。
【0009】
一方、本発明の回転機器においては、軸方向において、前記連結部材に隣接して、複数の羽根を有する羽根部材を備え、
前記羽根部材が有する羽根は傾斜していてもよい。
この場合に、前記羽根部材が有する羽根は、前記軸部材の軸方向に対して傾斜した方向に向いていてもよい。さらに、前記連結部材が、径方向の内外に延在する複数のスポークを有していてもよい。
【0010】
また、この場合に、前記羽根部材が、前記連結部材側に突出する突出部を有し、
前記突出部が、前記連結部材に嵌合するようにしてもよい。
また、この場合に、前記軸受が、前記回転体の軸方向の両端部乃至その近傍のそれぞれに設けられ、
前記軸受と前記回転体との間のそれぞれに、前記連結部材が配置され、
前記連結部材の一方の、前記回転体の軸方向の外側に、前記羽根部材を備えるようにしてもよい。
【0011】
そして、この場合に、前記回転体の内部を、軸方向に気体が流れることができ、
前記気体の排出口側の連結部材における、前記回転体の軸方向の外側に、前記羽根部材を備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明の回転機器においては、軸方向において、前記連結部材に隣接して、複数の羽根を有する羽根部材を備え、
前記羽根部材は、前記連結部材の前記通気路につながる通気路を有し、
前記回転体の内部を、軸方向の両方向に向けて気体が流れることができてもよい。
【0013】
この場合に、前記軸部材の軸方向において、前記連結部材は、前記羽根部材の羽根に対向するベースを備えていてもよく、前記ベースには、前記通気路となる孔部が形成されていてもよい。
【0014】
本発明の回転機器において、前記回転体の外周面には、動翼が設けられていてもよい。
この場合に、前記動翼は、前記回転体の軸方向に並んだ複数の羽根部をそれぞれ有する複数の羽根を備え、
前記回転体の周方向において、前記動翼の複数の羽根のそれぞれは、当該羽根の隣の羽根と対向していてもよい。また、前記回転体の周方向において、前記動翼の複数の羽根のそれぞれの端部は、当該羽根の隣の羽根の両端部の間に位置していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一例である第1の実施形態にかかる回転機器の透過斜視図である。
【
図2】本発明の一例である第1の実施形態にかかる回転機器の軸線xを含む、
図1におけるA-A断面の透過断面図である。
【
図3】本発明の一例である第1の実施形態にかかる回転機器から、羽根を有する連結部材(インナーインペラ)のみを抜き出した拡大斜視図である。
【
図4】本発明の一例である第1の実施形態にかかる回転機器から、スポークを有する連結部材(スペーサ)のみを抜き出した拡大斜視図である。
【
図5】本発明の一例である第1の実施形態にかかる回転機器から、ステータコア、軸受、インナーインペラ及びスペーサのみを抜き出した分解斜視図である。
【
図6】本発明の一例である第1の実施形態にかかる回転機器から、動翼のみを抜き出した斜視図である。
【
図7】本発明の一例である第1の実施形態にかかる回転機器から、動翼のみを抜き出し、軸方向上側a寄りから見た拡大斜視図である。
【
図8】本発明の一例である第1の実施形態にかかる回転機器において、ロータ内を冷却する気体の流れを説明する説明図である。
【
図9】本発明の一例である第2の実施形態にかかる回転機器の軸線xを含む断面の透過断面図である。
【
図10】本発明の一例である第2の実施形態にかかる回転機器から、
図9における上側aの羽根部材のみを抜き出した拡大斜視図である。
【
図11】本発明の一例である第2の実施形態にかかる回転機器から、
図9における下側bの羽根部材のみを抜き出した拡大斜視図である。
【
図12】本発明の一例である第2の実施形態にかかる回転機器から、
図9における上側a(下側b)の羽根部材及びスペーサのみを抜き出した拡大斜視図である。
【
図13】本発明の一例である第2の実施形態にかかる回転機器の分解斜視図である。
【
図14】本発明の一例である第2の実施形態にかかる回転機器から、ハウジングのみを除した斜視図である。
【
図15】本発明の一例である第2の実施形態にかかる回転機器において、ロータ内を冷却する気体の流れを説明する説明図である。
【
図16】本発明の一例である第3の実施形態にかかる回転機器の軸線xを含む断面の透過断面図である。
【
図17】本発明の一例である第3の実施形態にかかる回転機器から、
図16における上側a(下側b)のスペーサ及び羽根部材のみを抜き出した拡大斜視図である。
【
図18】
図17における軸線xを含むB-B断面にかかる断面斜視図である。
【
図19】本発明の一例である第3の実施形態にかかる回転機器から、スペーサ及び羽根部材のみを抜き出した分解斜視図である。
【
図20】本発明の一例である第3の実施形態にかかる回転機器から、動翼のみを抜き出した斜視図である。
【
図21】本発明の一例である第3の実施形態にかかる回転機器から、動翼のみを抜き出した分解斜視図である。
【
図22】本発明の一変形例にかかる回転機器の拡大斜視断面図である。
【
図23】本発明の一変形例にかかる回転機器の拡大斜視断面図である。
【
図24】本発明の一変形例にかかる回転機器の拡大斜視断面図である。
【
図25】本発明の一変形例にかかる回転機器の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態にかかる回転機器について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、回転機器として、送風(あるいは吸気)の目的で風を起こす、いわゆる送風機(あるいは吸気装置)の例を挙げて説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一例である第1の実施形態にかかる回転機器1の断面図であり、
図2は、回転機器1の軸線xを含む断面(
図1におけるA-A断面)の透過断面図である。
図1及び
図2において、ハウジング7が、想像線(二点鎖線)で描かれることで、透過状態で示されている。
【0018】
なお、第1の実施形態及び後述する第2の実施形態の説明において、上方乃至下方と云う時は、
図1及び
図2における上下関係を意味し、重力方向における上下関係とは、必ずしも一致しない。
また、軸線x方向(以下、「軸方向」ともいう。)において矢印a方向を上側aとし、矢印b方向を下側bとする。さらに、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから遠ざかる方向(矢印c方向)を外周側cとし、軸線xに向かう方向(矢印d方向)を内周側dとし、その両方向を径方向cdとする。そして、軸線xを中心とする円周方向(上側aから見た円周方向)の時計回りを周方向e、及び、反時計回りを周方向fとする。これら方向を示す矢印a~fや軸線を示すxについて、後述する第2の実施形態の説明においても同様である。
【0019】
また、本実施形態の説明において、回転機器1内で回転する部分を「回転側」と、当該回転側の部材を支持して、自らは回転せず固定される部分を「固定側」と、それぞれ称する場合がある。また、自らは回転せず固定される部分は回転する部分に対して相対的に静止しているので、自らは回転せず固定される部分を静止部と呼称する場合がある。これら呼称に関して、後述する第2の実施形態の説明においても同様である。
【0020】
本実施形態の回転機器1は、軸部材5と、軸部材5に対して回転可能な筒状の回転体であるロータ3と、ロータ3を囲む筒状のハウジング7と、ロータ3を軸部材5に対して回転自在に支持する軸受4と、ロータ3と軸受4との間に配置され両者を連結する連結部材81,82と、ロータ3の内側にあるステータ2と、ロータ3に設けられた複数の動翼6と、を備えた、アウターロータ型の回転機器である。
【0021】
ステータ2は、軸部材5に固定され、軸部材5を軸として外周側に放射状に延びる複数の磁極部23を有するステータコア21と、磁極部23に巻き回されたコイル22と、を含む。図示のステータ2は、第1軸受41とステータ2との間隙と、第2軸受42とステータ2との間隙とが等しくなるように、ハウジング7内に配置されている。
【0022】
また、ステータコア21は、珪素鋼板等の磁性体を積み重ねた積層体となっており、軸部材5を取り囲むように同軸上に配された円環部24と、円環部24から外周側へ向かって径方向に放射状に延びるように形成された複数の磁極部23と、を備える。
【0023】
ロータ3は、ステータ2の外周側で磁極部23と対向するマグネット31と、筒状の筒部材32と、を含む。筒部材32の内周面には、マグネット31が配置されている。筒部材32は、軸部材5の軸を中心とする円筒状であり、ステータ2を取り囲んだ状態になっている。筒部材32は、筒部材32内部からの磁界の漏れを防ぐ機能を併せ持ち、磁性体により形成されている。なお、筒部材32は、特性上問題がなければ、例えば、アルミニウムやプラスチック等の非磁性体で形成されていても構わない。
【0024】
マグネット31は、ステータ2と対向するように筒部材32の内周面に取り付けられている。マグネット31は環状の形状を有しており、N極に着磁された領域と、S極に着磁された領域とが円周方向に沿って一定周期(又は一定の間隔)で交互に設けられている。マグネット31は環状の一体成形物であってもよいが、複数のマグネットを筒部材32の内周面に並べて取り付けて筒状に配置しても構わない。
【0025】
軸受4は、軸部材5の軸方向において、ステータ2の両側に配置されており、上側aに位置する第1軸受41及び下側bに位置する第2軸受42の2つを有する。即ち、マグネット31とステータ2は、軸部材5の軸方向において、第1軸受41と第2軸受42との間に位置する。第1軸受41及び第2軸受42は、同一構成(形状、構造、大きさ、材質が同一)の部材を用いている。
【0026】
第1軸受41は、外輪41aと、内輪41bと、外輪41a及び内輪41b間に介在するベアリングボール41cと、を備える、いわゆるボールベアリングである。ベアリングボール41cが外輪41aと内輪41bとの間で転がることにより、内輪41bに対する外輪41aの回転抵抗が大幅に少なくなるようになっている。第1軸受41は、その機能から、例えば、鉄等の硬質の金属やセラミックス等の部材で形成されている。以上、第2軸受42についても同様である。
【0027】
第1軸受41の外輪41aと、筒部材32の上側aの端部の内周面との間には、連結部材(以下、「インナーインペラ」と称する。)81が配置されている。
図3に、インナーインペラ81のみを抜き出した拡大斜視図を示す。
図3に示されるように、インナーインペラ81は、内側のリング部(以下、「内リング部」と称する。)81aと、外側のリング部(以下、「外リング部」と称する。)81bと、内リング部81a及び外リング部81bの間を繋ぐ複数(本実施形態では3つ)の羽根81cと、を有する。
【0028】
インナーインペラ81において、内リング部81a及び外リング部81bの間は、羽根81cの位置を除いて気体が通過可能になっている。即ち、インナーインペラ81は、通気路81dを有している。
インナーインペラ81は、樹脂、アルミニウム、その他各種金属等、いずれの材料で成形しても構わないが、軽量化、低コスト化及び成形性の観点から、樹脂によって成形することが好ましい。
【0029】
図3に示されるように、複数の羽根81cは、軸線x方向(軸部材5の軸方向)に対して傾斜した方向に向いている。3つの羽根81cが、同じ角度で傾斜している。そのため、インナーインペラ81は、回転することによって、軸線x方向への気体の流れを生じさせる、いわゆるファンとして機能するようになっている。
【0030】
一方、第2軸受42の外輪42aと、筒部材32の下側bの端部の内周面との間には、連結部材(以下、「スペーサ」と称する。)82が配置されている。
図4に、スペーサ82のみを抜き出した拡大斜視図を示す。
図4に示されるように、スペーサ82は、内側のリング部(以下、「内リング部」と称する。)82aと、外側のリング部(以下、「外リング部」と称する。)82bと、内リング部82a及び外リング部82bの間を繋ぐ板状で複数(本実施形態では3つ)のスポーク82cと、を有する。
【0031】
スペーサ82において、内リング部82a及び外リング部82bの間は、スポーク82cの位置を除き、気体が通過可能な通気路82dになっている。
スペーサ82は、樹脂、アルミニウム、その他各種金属等、いずれの材料で成形しても構わないが、軽量化、低コスト化及び成形性の観点から、樹脂によって成形することが好ましい。
【0032】
図4に示されるように、スペーサ82において、複数のスポーク82cは、インナーインペラ81の複数の羽根81cとは異なり、軸線x方向に対してステータ2側に向いた側面(板面)が傾斜していない。
【0033】
インナーインペラ81の内リング部81aの内周面は、第1軸受41の外輪41aの外周面に固定されている。一方、スペーサ82の内リング部82aの内周面は、第2軸受42の外輪42aの外周面に固定されている。内リング部81a,82aの内周面と、外輪41a,42aの外周面との固定は、特に制限はなく、従来公知の方法で行えばよく、例えば、圧入、締り嵌め、接着剤による固定、係合等、あるいは、これらの複数の固定手段(固定要素)の組み合わせが挙げられる。
【0034】
図5に、本実施形態にかかる回転機器1における、ステータコア21、軸受4、インナーインペラ81及びスペーサ82のみを抜き出した分解斜視図を示す。
第1軸受41の外輪41aにインナーインペラ81の内リング部81aが固定された状態とする。また、第2軸受42の外輪42aにスペーサ82の内リング部82aが固定された状態とする。
【0035】
図5においては、コイル22の図示が省略されたステータコア21のみが描かれているが、実際には、ステータコア21の磁極部23にコイル22が巻き回されたステータ2を用意する。
図5に示されるように、第1軸受41及びインナーインペラ81の組、ステータ2、並びに、第2軸受42及びスペーサ82の順に並べて、中心軸xに軸部材5を挿入し嵌める。
【0036】
第1軸受41の内輪41b及び第2軸受42の内輪42bは、軸部材5に隙間嵌めされた後、接着剤により固定される。よって内輪41bと軸部材5との間、及び、内輪42bと軸部材5との間、の間隙には接着剤が充填される。あるいは、第1軸受41の内輪41b及び第2軸受42の内輪42bは、軸部材5に圧入されて固定されてもよい。
【0037】
以上の通り、第1軸受41の内輪41b及び第2軸受の内輪42bは、軸部材5に対して固定され、軸部材5とともに静止部となる。ここで、軸部材5とハウジング7は、ロータ3に対して(相対的に)静止した部材である。よって、これらを総称して静止部材(静止部)と呼称している。
【0038】
一方、インナーインペラ81の外リング部81bの外周面は、筒部材32の上側aの端部の内周面に固定されている。また、スペーサ82の外リング部82bの外周面は、筒部材32の下側bの端部の内周面に固定されている。外リング部81b,82bの外周面と筒部材32の内周面との固定も、特に制限はなく、従来公知の方法で行えばよく、例えば、圧入、締り嵌め、接着剤による固定、係合等、あるいは、これらの複数の固定手段(固定要素)の組み合わせが挙げられる。
【0039】
したがって、第1軸受41の内輪41b及び第2軸受42の内輪42bが、軸部材5の外周面に固定されるとともに、第1軸受41の外輪41a及び第2軸受42の外輪42aが、インナーインペラ81及びスペーサ82を介して、筒部材32の両端部の内周面に固定されている。これにより、軸部材5の軸線xを中心軸として、ロータ3が回転可能に構成されている。
【0040】
軸部材5は、軽量化のために、例えばアルミニウムで形成され、中空状態(より詳しくは円筒状態)になっている。本実施形態において、軸部材5は、固定側の部材である。ステータ2、ロータ3、軸受4及び動翼6をハウジング7に対して支持する機能を有する部材なので、当該機能に応じた剛性が求められる。
【0041】
軸部材5の途中(中間部)には、不図示の開口部が設けられており、コイル22に接続された不図示のリード線が、当該開口部から軸部材5内部の空洞に引き込まれ、軸部材5の不図示の端部開口から回転機器1の外部に引き出されるようになっている。
本実施形態にかかる回転機器1において、筒部材32は、その両端部に、第1軸受41及び第2軸受42、並びに、インナーインペラ81及びスペーサ82が存在するため、内部空間が孤立した状態になっている。筒部材32の当該孤立した内部空間内にあるステータ2のコイル22に対して、給電しなければならない。なお、ここでいう「孤立」とは、給電するためのリード線を外部から内部に配線し得る場所が、一見、存在しない状態を指す。
【0042】
本実施形態にかかる回転機器1では、軸部材5内部の空洞にリード線を通すことによって、孤立した筒部材32の内部空間内とその外部とを電気的に繋いでいる。そのため、当該リード線によって、筒部材32の内部空間内にあるステータ2のコイル22に給電できるようになっている。
【0043】
以上のように構成された回転機器1が有する複数の構成部材のうち、一部の構成部材(ステータ2、ロータ3、軸受4、インナーインペラ81、スペーサ82及び軸部材5)は、動翼を回転させる回転機構を形成している。また、この一部の構成部材について、軸部材5に固定されたステータ2に対して、ステータ2を取り囲むロータ3が回転可能となっており、いわゆるアウターロータ型のブラシレスモータを構成する。一般的なアウターロータ型のブラシレスモータでは、ロータに固定された軸部材が回転し、軸部材によって回転力が取り出されるようになっているが、本実施形態にかかる回転機器1では、軸部材5は固定側の部材であり、ロータ3から直接回転力が取り出されるように構成されている。
【0044】
ハウジング7は、円筒状の形状を有する部材であり、例えば、プラスチックあるいは金属等で形成されている。ハウジング7における軸方向の両端は、不図示ではあるが、開口部(以下、上側aの開口部を「上端開口部」、下側bの開口部を「下端開口部」と称する。)になっている。
【0045】
ハウジング7の内部には、回転機器1の構成部品の一部が収容されており、軸部材5が、ハウジング7の上端部及び下端部に固定されている。ハウジング7の上端部及び下端部は、それぞれ、ハウジング7の筒状の本体部(筒状部72)から連なる3本のスポーク部71aと該スポーク部71aが連結する円盤部71bと、を有し、円盤部71bに軸部材5が固定されている。
ハウジング7及び軸部材5は、固定側の部材を構成している。また、ハウジング7の上端部及び下端部には、上端開口部75と下端開口部76が設けられ、上端開口部75と下端開口部76は、それぞれ、円盤部71b及び軸部材5を囲んでいる。
【0046】
ロータ3の筒部材32の外周面には、筒部材32における軸方向(軸線x方向)のほぼ全体にわたって、動翼6が取り付けられている。動翼6について、
図6及び
図7を用いて説明する。
図6は、本実施形態にかかる回転機器1から、動翼6のみを抜き出した斜視図であり、
図7は、動翼6の軸方向上側a寄りから見た斜視図である。
【0047】
動翼6は、筒部材32の外周面に取り付けられた内筒61と、ハウジング7の内周面と離間して対向する外筒63と、内筒61及び外筒63の間に配された複数(本実施形態では5つ)の羽根62と、を備える。内筒61と外筒63との間は空洞64になっており、当該空洞に配された羽根62が、内筒61と外筒63とを連結した状態になっている。したがって、内筒61、羽根62及び外筒63で、一体の動翼6を形成している。
【0048】
羽根62は、軸部材5の軸線x方向に対して傾斜した方向に向いている。5つの羽根62は、周方向efに等間隔に並び、かつ、同じ角度で傾斜している。
動翼6は、内筒61の内周部(内孔)に、ロータ3の筒部材32を嵌挿させて、所定の位置で、接着剤等で固定することによって、筒部材32の外周面に取り付けられている。したがって、ロータ3の回転に伴って、動翼6は、ハウジング7内で回転する。
【0049】
動翼6は、ロータ3の回転に連れ回るようになっているため、ロータ3とともに回転し、動翼6の回転に応じて、軸線x方向への気体の流れが生じる。この空気の流れは、内筒61と外筒63との間の空洞64において、軸部材5の軸方向における上方向及び下方向のいずれかの方向に向けて、生じるようになっている。本実施形態の回転機器1においては、回転機器1を駆動させて動翼6を時計回りの周方向eに回転させることで、下端開口部76から取り込まれた空気が空洞64を通って、上端開口部75から吹き出すように構成されている。
【0050】
本実施形態にかかる回転機器1は、回転体であるロータ3の外周面に動翼6を設け、それを囲うように筒状のハウジング7を設けた構成にすることで、ハウジング7の両端開口部の一方を吸気口、他方を吐出口とし、ハウジング7の内部空間に動翼6を回転させる回転機構(回転機器1が有する複数の構成要素の一部)や動翼6を収納することができている。また、インナーインペラ81、スペーサ82の一方を吸引口、他方を排出口とすることができる。特に、空気が流れる流路(「風路」と呼称する場合もある。)に動翼6が位置するため、省スペース化でき、回転機器全体の小型化を実現することができる。
【0051】
また、本実施形態にかかる回転機器1では、上端開口部75から下端開口部76に連通する空間は、スポーク部71a以外の部材により空気の流れが阻害されないよう、空洞になっている。さらに、当該空間は、円柱状のモータが占める空間を除き、直管状なので、空気がまっすぐに流れる。そのため、動翼6を回転させることによって、空気を、上端開口部から下端開口部に向けて、まっすぐに送り出すことができる。したがって、本実施形態にかかる回転機器1によれば、空気を効率的に送り出すことができ、強風及び大風量(大吸込み量)の供給を実現することができる。
【0052】
また、回転する軸部材がモータから突出する従来のモータの構成による回転機器では、軸部材の一方側が支持されつつ回転し、突出した他端側から回転力を取り出すことになるため、回転のブレが生じやすいが、本実施形態にかかる回転機器1は、軸受4で支持されたロータ3自体が回転体として回転するため、ロータ3の回転が安定する。
【0053】
また、本実施形態にかかる回転機器1は、ロータ3の両端部に第1軸受41及び第2軸受42がそれぞれ固定されて、回転体となるロータ3が支持されているので、軸部材5に対してロータ3の回転が安定する。特に、回転体であるロータ3の構成部材であり、所定の重量を有するマグネット31が、軸部材5の軸方向において、ロータ3を回転可能に支持する第1軸受41と第2軸受42との間にあるので、軸方向におけるバランスが良好になり、ロータ3の回転が安定化する。
【0054】
なお、軸受の位置としては、本実施形態の如く、回転体の両端部であることがより望ましいが、回転体の両端部近傍であれば、軸部材に対する回転体の回転は十分に安定した状態になる。ここで云う「近傍」とは、回転体の両端部と中央部の間であって回転体の両端部寄りの位置であればよく、数値で明確に定義できるものではないが、例えば、回転体の軸方向における両端から20%の長さの領域、好ましくは両端から10%の長さの領域は、「両端部近傍」の概念に含まれる。
【0055】
また、本実施形態にかかる回転機器1においては、第1軸受41と第2軸受42とが同一構成の部材であるため、軸受4の一部である外輪41a,42aとロータ3とを含む回転部分の軸方向のバランスが良好になる。即ち、本実施形態にかかる回転機器1においては、回転機器1全体としての軸方向のバランスが良好になるため、かかる観点からも、ロータ3の回転が安定化する。
【0056】
以上のように、本実施形態にかかる回転機器1は、装置全体の小型化を実現できるとともに、ロータ3の回転にブレが生じ難く、高精度の安定化を達成することができる。
また、ロータ3の回転の安定化は、回転ムラが生じ難くなることを意味するため、回転機器1の高回転化や高トルク化を実現することもできる。即ち、本実施形態にかかる回転機器1によれば、小型化を実現しながら、回転機器としての特性に優れたものを提供することができる。
本実施形態では、軸部材5の上下両端部が、ハウジング7に固定されている構成を例に挙げているが、固定側の軸部材5が何らかの形でハウジング7に固定されればよいので、少なくとも一方の端部乃至軸部材5の一部分がハウジングに固定されていれば構わない。
【0057】
以上のように、本実施形態の回転機器1は、小型で高性能を実現することができるが、高性能であるがゆえに、例えば、高速回転化によって、コイル22やステータコア21は、より一層高温になり易くなる。そのため、コイル22やステータコア21等の熱発生源を含むステータ2の冷却を図ることが求められるが、そのための通気口を筒部材32に設けただけでは、十分な冷却性を確保することが困難な場合がある。また、通気口を設ける場所がそもそも確保しづらい。ステータ2の冷却のため、筒部材32に敢えて通気口を設けようとすれば、通気口を設ける場所を確保しなければならなくなり、回転機器1の小型化の障害となる場合がある。
【0058】
これに対して、本実施形態では、軸受4とロータ3との間に、ロータ3の内外を連通する通気路を有する連結部材(インナーインペラ81及びスペーサ82)を配置することで、ステータ2を効率的に冷却することを実現している。
図8に、本実施形態にかかる回転機器1において、ロータ3内を冷却する気体の流れを説明する説明図を示す。
図8においては、ハウジング7が省略されている。
【0059】
既述の通り、動翼6の作用によって、下端開口部76から取り込まれた気体が空洞64を通って、上端開口部75から吹き出すように気流が生じる。そのため、下端開口部76の下方、及び、上端開口部75の上方で、上側a向きの気流が生じていることから、当該気流に導かれて、インナーインペラ81及びスペーサ82の通気路においても、ロータ3の内外への気体の出入りが起こり、上側a方向への気流が生じる。
【0060】
さらに、
図8中の矢印h方向(時計回りe方向)へのロータ3の回転によりインナーインペラ81が回転し、羽根81cによって、空洞64内の上側a方向への気流が強化される。その結果、
図8中の矢印g方向に強い気流が生じ、当該気流によって、ロータ3の筒部材32内のコイル22やステータコア21等の熱発生源を含むステータ2が効率的に冷却される。
【0061】
特に、気体の排出口側である上端開口部75の連結部材が、羽根81cを有するインナーインペラ81であるため、多くの気体をロータ3の内部に取り込み、かつ、排出できる。したがって、本実施形態の回転機器1によれば、極めて効率的にコイル22やステータコア21等の熱発生源を冷却することができる。
【0062】
図8中の矢印gに示されるように、スペーサ82からインナーインペラ81に至る気流の経路には、コイル22、ステータコア21及びマグネット31が存在するのみであり、これら冷却対象の他に気流の流れに対する障害物はなく、これら冷却対象に効率的に気体が供給される。さらに、これら冷却対象に接触すること以外は、気体が軸線方向xに沿って流れる。したがって、本実施形態にかかる回転機器1によれば、冷却用の気体を冷却対象に効率的に供給することができる。
【0063】
また、本実施形態では、ロータ3の内外を連通する通気路を有する連結部材(インナーインペラ81及びスペーサ82)を、軸受4とロータ3との間に配置しているため、気体を取り入れて排出するための通気口を筒部材32に設けなくても構わない。即ち、軸線x方向の長さを長くすることなく通気路を有する連結部材を配することができるので、回転機器1の小型化を実現することができる。
【0064】
特に、筒部材32(さらには、動翼6の内筒61)の周面(側面)に通気口を設けた場合に、当該通気口の近傍にインナーインペラを配置することが望まれる。したがって、その場合には、軸線x方向の長さを伸ばさざるを得ず、回転機器全体の軸方向における長さが長くなってしまうが、本実施形態では回転機器全体の軸方向における長さが長くなることを抑止できる。
【0065】
また、筒部材32(さらには、動翼6の内筒61)の周面に通気口を設けた場合には、空洞64内の動翼6による気流から気体を取り込み、かつ、当該気流に気体を戻すことになるため、空洞64内の気流を乱すことに繋がる。しかし、本実施形態では、冷却用の気体の取入口(スペーサ82)と排出口(インナーインペラ81)は、空洞64内の動翼6による気流とは独立しているため、動翼6による気流の乱れを抑止して、送風装置(あるいは吸引装置)としての強風及び大風量(大吸込み量)の供給を実現することができる。
【0066】
なお、本実施形態においては、2つの連結部材のうち、気体の排出口側である上側aの連結部材を、羽根81cを有するインナーインペラ81としているが、気体の取入口側である下側bの連結部材についても羽根81cを有するインナーインペラとしても構わないし、排出口側である上側aの連結部材をスペーサに、取入口側である下側bの連結部材をインナーインペラに入れ替えても構わない。排出口側と取入口側の少なくとも一方をインナーインペラとすることで、ロータ3へ多くの気体を取り込むことができ、冷却効率の一層の向上を図ることができる。特に、本実施形態のように、連結部材として羽根81cを有するインナーインペラ81を設けているので、連結部材を介してロータ3の内部にあるステータ2へ気体を流してステータ2を冷却したり、回転機器1から放出する風量を増加させたりすることができる。
【0067】
動翼6は、筒部材32の外周面に取り付けられた内筒61と、外筒63と、内筒61及び外筒63の間に配され、内筒61及び外筒63の間を連結する複数の羽根62と、を備える。動翼は、複数の羽根62を囲む外筒63を備えているので、回転機器1から効率良く気体を送風することが可能になる。よって、動翼6を収納するハウジング7を備えてなくても、気体の送風が可能である。
【0068】
[第2の実施形態]
本発明の一例である第2の実施形態にかかる回転機器について説明する。
図9は、第2の実施形態にかかる回転機器201の軸線xを含む断面の透過断面図である。第2の実施形態にかかる回転機器201は、第1の実施形態にかかる回転機器1とは、上下の軸受周辺の構成、並びに、動翼の構造が異なっている。
【0069】
第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の機能及び構造の部材乃至部品については、第1の実施形態と同一となる符号を本実施形態にかかる各図面に付して、その詳細な説明は省略することにする(ただし、特に説明を加えている場合は、この限りではない。)。
【0070】
第1軸受41の外輪41aと、筒部材32の上側aの端部の内周面との間には、連結部材(以下、「スペーサ」と称する。)281が配置され、第2軸受42の外輪42aと、筒部材32の下側bの端部の内周面との間にも、連結部材(以下、「スペーサ」と称する。)282が配置されている。これらスペーサ281,282については、第1の実施形態におけるスペーサ82と同様の形状となっている。
【0071】
本実施形態にかかる回転機器201は、軸線x方向におけるスペーサ281の外側(上側a)に隣接して、複数の羽根(後に説明する符号291b)を有する羽根部材291を備えている。また、本実施形態にかかる回転機器201は、軸線x方向におけるスペーサ282の外側(下側b)に隣接して、複数の羽根(後に説明する符号292b)を有する羽根部材292を備えている。
【0072】
図10に、回転機器201から、
図9における上側aの羽根部材291のみを抜き出した拡大斜視図を示す。
図10に示されるように、羽根部材291は、リング部291aと、リング部291aから中心軸方向に延びる複数(本実施形態では6つ)の羽根291bと、羽根291bのぞれぞれのリング部291aとの連結部側から下方に突出する突出部291cと、を有する。
【0073】
図11に、回転機器201から、
図9における下側bの羽根部材292のみを抜き出した拡大斜視図を示す。
図11に示されるように、羽根部材292は、リング部292aと、リング部292aから中心軸方向に延びる複数(本実施形態では6つ)の羽根292bと、羽根292bのぞれぞれのリング部292aとの連結部側から下方に突出する突出部292cと、を有する。
【0074】
羽根部材291と羽根部材292は、上下反転して配置されるものの、実質的には、同一形状及び同一構成の部材である。
羽根部材291,292は、樹脂、アルミニウム、その他各種金属等、いずれの材料で成形しても構わないが、軽量化、低コスト化及び成形性の観点から、樹脂によって成形することが好ましい。
【0075】
図10及び
図11に示されるように、複数の羽根291b,292bは、軸線x方向(軸部材5の軸方向)に対して傾斜した方向に向いている。6つの羽根291b,292bが、同じ角度で傾斜している。そのため、羽根部材291,292は、回転することによって、軸線x方向への気体の流れを生じさせる、いわゆるファンとして機能するようになっている。
【0076】
図12に、回転機器201から、
図9における上側aのスペーサ281及び羽根部材291のみを抜き出した拡大斜視図を示す。
図9における下側bのスペーサ282及び羽根部材292についても、上下反転している他、同様の形状乃至構造なので、
図12においては、括弧書きでスペーサ282及び羽根部材292としての符号も付しておく。
【0077】
また、
図13に、本実施形態にかかる回転機器201の分解斜視図を示す。
図13においては、ハウジング7の図示は省略されている。
図12及び
図13に示されるように、羽根部材291,292は、突出部291c,292c側がスペーサ281,282に向くように、スペーサ281,282と重ね合わせられている。
【0078】
スペーサ281,282は、内側のリング部(以下、「内リング部」と称する。)281a,282aと、外側のリング部(以下、「外リング部」と称する。)281b,282bと、内リング部281a,282a及び外リング部281b,282bの間を繋ぐ板状で複数(本実施形態では3つ)のスポーク281c,282cと、を有する。
スペーサ281,282は、連結部材としての精度や、強度を容易かつ低コストで確保すべく、シンプルな穴開き形状としている。
【0079】
スペーサ281の内リング部281aの内周面は、第1軸受41の外輪41aの外周面に固定されている。また、スペーサ282の内リング部282aの内周面は、第2軸受42の外輪42aの外周面に固定されている。内リング部281a,282aの内周面と、外輪41a,42aの外周面との固定は、特に制限はなく、従来公知の方法で行えばよく、例えば、圧入、締り嵌め、接着剤による固定、係合等、あるいは、これらの複数の固定手段(固定要素)の組み合わせが挙げられる。
【0080】
また、スペーサ281,282の外リング部281b,282bの外周面は、筒部材32の軸線x方向の上下両側abの端部の内周面に固定されている。外リング部281b,282bの外周面と筒部材32の内周面との固定も、特に制限はなく、従来公知の方法で行えばよく、例えば、圧入、締り嵌め、接着剤による固定、係合等、あるいは、これらの複数の固定手段(固定要素)の組み合わせが挙げられる。
【0081】
スペーサ281,282において、内リング部281a,282a及び外リング部281b,282bの間は、スポーク281c,282cの位置を除き、貫通した貫通部281d、282dとなっており、気体が通過可能な通気路になっている。また、スポーク281c,282cは、スペーサ281,282の厚み方向(軸線x方向)の略中央において内リング部281a,282a及び外リング部281b,282bと接続している。そのため、スペーサ281,282において、スポーク281c,282cの位置は、内リング部281a、282a及び外リング部281b、282bのステータ2側の端面より内部にある。これらスポーク281c,282cと内リング部281a、282a及び外リング部281b、282bとで、軸線x方向に窪んだ段差部を形成している。
【0082】
羽根部材291,292の突出部291c,292cは、スペーサ281,282における貫通部や段差部に嵌合して、
図12に示されるように、一体化されるようになっている。そして、軸部材5の上側aの端部近傍には、板バネ250が取り付けられて、羽根部材291や軸受41を上側aから付勢している。板バネ250の付勢力によって、羽根部材291とスペーサ281とが安定的に一体化している。
また、軸部材5の下側bの端部近傍には、板バネ251が取り付けられて、羽根部材292や軸受42を下側bから付勢している。板バネ251の付勢力によって、羽根部材292とスペーサ282とが安定的に一体化している。
【0083】
既述の通り、スペーサ281,282は、ロータ3の筒部材32の内周面に固定されている。
したがって、スペーサ281,282を介してロータ3の筒部材32に固定された羽根部材291,292は、ロータ3の回転に連れられて、回転するようになっている。
【0084】
次に、動翼206について、
図14を用いて説明する。
図14は、本実施形態にかかる回転機器201から、ハウジング7のみを除した斜視図である。
図14に示されるように、ロータ3の筒部材32の外周面には、筒部材32における軸方向(軸線x方向)の7割程度の長さにわたって、動翼206が取り付けられている。
【0085】
動翼206は、筒部材32の外周面に取り付けられた、軸線x方向に等間隔に並ぶ3つの環状の固定部261a,261b,261cと、これら3つの固定部261a,261b,261cを橋渡すように軸線x方向に対して斜めに固定された複数(本実施形態では6つ)の羽根262と、を備える。
【0086】
羽根262は、軸部材5の軸線x方向に対して傾斜した方向に向いている。6つの羽根262は、周方向efに等間隔に並び、かつ、同じ角度で傾斜している。
動翼206は、3つの固定部261a,261b,261cのリングに、ロータ3の筒部材32を挿入して嵌め、所定の位置で、接着剤等で固定することによって、筒部材32の外周面に取り付けられている。したがって、ロータ3の回転に伴って、動翼206は、ハウジング7内で回転する。
【0087】
動翼206は、ロータ3の回転に連れ回るようになっているため、ロータ3とともに回転し、動翼206の回転に応じて、軸線x方向への気体の流れが生じる。この空気の流れは、ロータ3とハウジング7との間の空洞277において、軸部材5の軸方向における上方向及び下方向のいずれかの方向に向けて、生じるようになっている。本実施形態の回転機器201においては、回転機器201を駆動させて動翼206を時計回りの周方向eに回転させることで、下端開口部76から取り込まれた気体が空洞277を通って、上端開口部75から吹き出すように構成されている。
【0088】
本実施形態にかかる回転機器201は、第1の実施形態と同様、回転機器全体の小型化、強風及び大風量(大吸込み量)の供給、ロータ3の回転の安定化、高回転化や高トルク化、を実現することができ、回転機器としての特性に優れたものを提供することができる。
【0089】
そして、本実施形態においても、軸受4とロータ3との間に、ロータ3の内外を連通する通気路を有する連結部材(スペーサ281,282)を配置することで、ステータ2を効率的に冷却することを実現している。
図15に、本実施形態にかかる回転機器201において、ロータ3内を冷却する気体の流れを説明する説明図を示す。
【0090】
既述の通り、動翼206の作用によって、下端開口部76から取り込まれた空気が空洞277を通って、上端開口部75から吹き出すように気流が生じる。そのため、下端開口部76の下方、及び、上端開口部75の上方で、上側a向きの気流が生じていることから、当該気流に導かれて、スペーサ281,282の通気路においても、ロータ3の内外への気体の出入りが起こり、上側a方向への気流が生じる。
【0091】
さらに、
図15中の矢印h方向(時計回りe方向)へのロータ3の回転により羽根部材291,292が回転し、羽根291b,292bによって、筒部材32内の上側a方向への気流が強化される。その結果、
図15中の矢印g方向に強い気流が生じ、当該気流によって、ロータ3の筒部材32内のコイル22やステータコア21等の熱発生源を含むステータ2が効率的に冷却される。
【0092】
特に、上端開口部75と下端開口部76の両側に、羽根291b,292bを有する羽根部材291,292を備えているため、多くの気体をロータ3の内部に取り込み、かつ、排出できる。したがって、本実施形態の回転機器201によれば、極めて効率的にコイル22やステータコア21等の熱発生源を冷却することができる。
【0093】
図15中の矢印gに示されるように、スペーサ282からスペーサ281に至る気流の経路には、コイル22、ステータコア21及びマグネット31があり、これら冷却対象の他に気流の障害物となるものはないので、これら冷却対象に効率的に気体が供給される。さらに、これら冷却対象に接触すること以外は、気体が軸線方向xに沿って流れる。したがって、本実施形態にかかる回転機器201によれば、冷却用の気体を冷却対象に効率的に供給することができる。
【0094】
また、本実施形態では、ロータ3の内外を連通する通気路を有する連結部材(スペーサ281,282)を、軸受4とロータ3との間に配置しているため、気体を取り入れて排出するための通気口を筒部材32に設けなくても構わない。即ち、軸線x方向の長さを長くすることなく通気路を有する連結部材を配置することができるので、回転機器201の小型化を実現することができる。
【0095】
また、筒部材32の周面に通気口を設けた場合には、空洞277内の動翼206による気流から気体を取り込み、かつ、当該気流に気体を戻すことになるため、空洞277内の気流を乱すことに繋がる。しかし、本実施形態では、冷却用の気体の取入口(羽根部材292及びスペーサ282)と排出口(スペーサ281及び羽根部材291)は、空洞277内の動翼6による気流とは独立しているため、動翼6による気流の乱れを抑止し、送風装置(あるいは吸引装置)としての強風及び大風量(大吸込み量)の供給を実現することができる。
【0096】
なお、本実施形態においては、2つの連結部材(スペーサ281,282)の両方に隣接して、羽根291b,292bを有する羽根部材291,292を備えた例を挙げているが、排出口側と取入口側の少なくとも一方に羽根部材を備えることで、ロータ3へ多くの気体を取り込むことができ、冷却効率の一層の向上を図ることができる。排出口側に羽根を有する羽根部材を設けて、回転機器から送風する風量を向上させたり、風圧を向上させたりしても構わない。
【0097】
動翼206が、環状の固定部261a,261b,261cを備えることで、ロータ(回転体)3と接触する領域(面積)を低減させることができ、その結果、ロータ3の外周側面における気体に露出する領域(面積)を増大させることができるため、ロータ3の放熱性を向上させることができる。
【0098】
本実施形態では、連結部材自体をインナーインペラ81としている第1の実施形態とは異なり、連結部材(スペーサ281,282)と筒部材32内に気流を生じさせる羽根部材291,292とを分離している。
そのため、本実施形態では、連結部材としての形状の自由度が高く、第1の実施形態の場合に比して、連結部材における通気路の断面積の拡大を図ることができるとともに、連結部材としての強度向上を図ることができる。
また、連結部材としての形状の自由度が高いことから、軸受4側のサイズの制約が大幅に軽減される。
【0099】
羽根部材無しで、回転機器の組立ができ、その状態で形にすることができるので、例えば、形状や大きさ、厚み等が異なる、用途や目的に応じた羽根部材を複数種類用意しておき、都度、これらから選択することができる。つまり、羽根部材無しの状態の回転機器を大量生産等しておき、これに適宜、用途や目的に応じた羽根部材を組み合わせることで、幅広いニーズに対応することができるとともに、コスト的にも極めて有利になる。
【0100】
[第3の実施形態]
本発明の一例である第3の実施形態にかかる回転機器について説明する。
図16は、第3の実施形態にかかる回転機器301の軸線xを含む断面の透過断面図である。第3の実施形態にかかる回転機器301は、第1の実施形態にかかる回転機器1や第2の実施形態にかかる回転機器201とは、上下の軸受周辺の構成、並びに、動翼の構造が異なっている。
【0101】
第3の実施形態において、第1の実施形態や第2の実施形態と同一の機能及び構造の部材乃至部品については、第1の実施形態または第2の実施形態と同一となる符号を本実施形態にかかる各図面に付して、その詳細な説明は省略することにする(ただし、特に説明を加えている場合は、この限りではない。)。
【0102】
第1軸受41の外輪41aと、筒部材32の上側aの端部の内周面との間には、連結部材(以下、「スペーサ」と称する。)381が配置され、第2軸受42の外輪42aと、筒部材32の下側bの端部の内周面との間にも、連結部材(以下、「スペーサ」と称する。)382が配置されている。
【0103】
本実施形態にかかる回転機器301は、軸線x方向におけるスペーサ381の外側(上側a)に隣接して、複数の羽根(後に説明する符号391c)を有する羽根部材391を備えている。また、本実施形態にかかる回転機器301は、軸線x方向におけるスペーサ382の外側(下側b)に隣接して、複数の羽根(後に説明する符号392c)を有する羽根部材392を備えている。
【0104】
図17に、回転機器301から、
図16における上側aのスペーサ381及び羽根部材391のみを抜き出した拡大斜視図を示す。また、
図18に、
図17における軸線xを含むB-B断面にかかる断面斜視図を示す。さらに、
図19に、スペーサ381及び羽根部材391の分解斜視図を示す。
【0105】
なお、
図16における下側bのスペーサ382及び羽根部材392についても、上下反転して配置されているものの、実質的には、同一形状及び同一構成の部材である。したがって、
図17~
図19においては、括弧書きでスペーサ382及び羽根部材392としての符号も付しておく。以下の説明においては、上側aのスペーサ381及び羽根部材391を中心に説明するが、下側aのスペーサ382及び羽根部材392についても同様である。
【0106】
図17~
図19に示されるように、羽根部材391は、内側のリング部(以下、「内リング部」と称する。)391aと、外側のリング部(以下、「外リング部」と称する。)391bと、内リング部391a及び外リング部391bの間を繋ぐヘリカル状で複数(本実施形態では3つ)の羽根391cと、を有する。内周側と外周側の双方に、リング部(内リング部391a及び外リング部391b)を有しているため、羽根391cが補強され、羽根部材391としての強度が向上する。
【0107】
羽根部材391,392は、樹脂、アルミニウム、その他各種金属等、いずれの材料で成形しても構わないが、軽量化、低コスト化及び成形性の観点から、樹脂によって成形することが好ましい。
図17~
図19に示されるように、3つの羽根391cは、軸線x方向(軸部材5の軸方向)に対して傾斜した方向に向いている。この3つの羽根391cは、同じ角度で傾斜して、ヘリカル状になっている。3つの羽根391cの相互の間には、空洞391dが形成されている。
【0108】
羽根部材391は、周方向efのいずれかに回転することによって、空洞391d内で、
図17及び
図18における両矢印kのいずれかの方向に気体が動かされ、結果、軸線x方向への気体の流れを生じさせる。即ち、羽根部材391は、いわゆるファンとして機能するようになっている。
【0109】
図18に示されるように、内リング部391aは、断面形状が上側aから下側bに広がった傾斜面を有し、下方で肉厚となる円錐筒部391eを備える。また、内リング部391aは、円錐筒部391eの底部391gで円錐筒部391eにおける最外周から下側bに延びる円筒状の突出部(以下、「円筒突出部」と称する。)391fと、を有する。
【0110】
また、
図18に示されるように、外リング部391bは、断面形状が上側aから下側bにやや広がった傾斜面を有し、下方で僅かに肉厚となる円錐筒部391iと、下側bの端部の外周の角が切り欠かれて凹んでおり(切り欠かれた箇所を凹部としての「切り欠き391k」とする。)、内周側から下側bに延びる円筒状の突出部(以下、「円筒突出部」と称する。)391hと、を有する。
軸線x方向において、円筒突出部391f及び円筒突出部391hの長さは、円筒突出部391fの方が長くなっており、下側bの端部(下端)は同じ位置になっている。
【0111】
スペーサ381は、羽根部材391の3つの羽根391cに対向する円環状のベース381cと、ベース381cの内周側に連なり、軸線xの上下方向abに延びる筒状のリング部(以下、「内リング部」と称する。)381aと、ベース381cの外周側に連なり、軸線xの上下方向abに延びる筒状のリング部(以下、「外リング部」と称する。)381bと、を有する。軸線x方向において、外リング部381bよりも内リング部381aの方が長くなっている。
スペーサ381,382は、連結部材としての精度や、強度を容易かつ低コストで確保すべく、シンプルな穴開き形状としている。
【0112】
スペーサ381の内リング部381aの内周面は、第1軸受41の外輪41aの外周面に固定されている。また、スペーサ382の内リング部382aの内周面は、第2軸受42の外輪42aの外周面に固定されている。内リング部381a,382aの内周面と、外輪41a,42aの外周面との固定は、特に制限はなく、従来公知の方法で行えばよく、例えば、圧入、締り嵌め、接着剤による固定、係合等、あるいは、これらの複数の固定手段(固定要素)の組み合わせが挙げられる。
【0113】
また、スペーサ381,382の外リング部381b,382bの外周面は、筒部材32の軸線x方向の上下両側abの端部の内周面に固定されている。外リング部381b,382bの外周面と筒部材32の内周面との固定も、特に制限はなく、従来公知の方法で行えばよく、例えば、圧入、締り嵌め、接着剤による固定、係合等、あるいは、これらの複数の固定手段(固定要素)の組み合わせが挙げられる。
【0114】
スペーサ381において、ベース381cには、円弧を描いた長円状の3つの孔部381dが形成されている。孔部381dは、気体が通過可能な通気路になっている。また、ベース381cは、スペーサ381,382の厚み方向(軸線x方向)のやや下側bにおいて内リング部381a及び外リング部381bと接続している。そのため、スペーサ381において、ベース381cの位置は、内リング部381a及び外リング部381bのステータ2側の端面より内部にある。これらベース381cと内リング部381a及び外リング部381bとで、軸線x方向に窪んだ段差部を形成している。
【0115】
羽根部材391の円筒突出部391f及び円筒突出部391hは、スペーサ381における段差部に嵌合して、
図18に示されるように、一体化されるようになっている。即ち、円筒突出部391f及び円筒突出部391hの下端が、ベース381cの上側aの面に接触し、内リング部381aの上端が円錐筒部391eの底391gに接触し、外リング部381bの上端が円錐筒部391eの切り欠き391kと接触し、羽根部材391とスペーサ381とが嵌合して一体化するようになっている。
【0116】
スペーサ381と一体化した羽根部材391における空洞391dは、スペーサ381の通気路に相当する孔部381dにつながって、羽根部材391の通気路を形成する。即ち、
図17及び
図18において両矢印kで示される空洞391d内の気体の流れは、
図18において両矢印mで示される孔部381dでの気体の流れと連なって、全体として、ロータ3の内外を連通する通気路となる。
【0117】
図16に示されるように、軸部材5の上側aの端部近傍には、板バネ250が取り付けられて、羽根部材391や軸受41を上側aから付勢している。板バネ250の付勢力によって、羽根部材391とスペーサ381とが安定的に一体化している。
また、軸部材5の下側bの端部近傍には、板バネ251が取り付けられて、羽根部材392や軸受42を下側bから付勢している。板バネ251の付勢力によって、羽根部材392とスペーサ382とが安定的に一体化している。
【0118】
既述の通り、スペーサ381,382は、ロータ3の筒部材32の内周面に固定されている。
したがって、スペーサ381,382を介してロータ3の筒部材32に固定された羽根部材391,392は、ロータ3の回転に連れられて、回転するようになっている。
【0119】
次に、動翼306について、
図20及び
図21を用いて説明する。
図20は、本実施形態にかかる回転機器301から、動翼306のみを抜き出した斜視図である。また、
図21は、動翼306の分解斜視図である。
図16に示されるように、動翼306は、ロータ3の筒部材32の外周面における、筒部材32における軸方向(軸線x方向)の中心領域に取り付けられている。
【0120】
動翼306は、円筒状の筒363と、筒363の内周面に斜めに固定された複数(本実施形態では5つ)の羽根362と、を備える。
羽根362は、軸部材5の軸線x方向に対して傾斜した方向に向いている。5つの羽根362は、周方向efに等間隔に並び、かつ、同じ角度で傾斜して、ヘリカル状になっている。
【0121】
図20及び
図21に示されるように、動翼306は、3つの動翼部材306a,306b,306cが、軸線x方向に並んで重ねられて形成される。動翼部材306a,306b,306cは、ぞれぞれ、筒部363a,363b,363cと、その内面から内側に突出した5つの羽根部362a,362b,362cと、を備える。これら5つの羽根部362a,362b,362cは、内面において、軸x線に向けて延在したリブとして形成されている。
【0122】
3つの動翼部材306a,306b,306cが、軸線x方向に重ねられることで、筒部363a,363b,363cが軸線x方向に並んで連なり、1つの筒363が形成される。同様に、3つの動翼部材306a,306b,306cが、軸線x方向に重ねられることで、それぞれの5つの羽根部362a,362b,362cが軸線x方向に並んで連なり、5つの羽根362となる。
【0123】
ロータ3の軸方向(軸線x方向)または周方向efにおいて、羽根部362a,362b,362cのそれぞれの端部は、他の羽根部の端部と対向している。詳しくは、軸線x方向または周方向efにおいて、羽根部362bの上側aの端部は羽根部362aの下側bの端部と対向し、羽根部362bの下側bの端部は羽根部362cの上側aの端部と対向している。
【0124】
羽根部362a,362b,362cのこの対向している端部同士、及び、筒部363a,363b,363cの対向している上下端部同士、のいずれかまたは全てを接着剤等の固定手段(固定要素)で固定することで、一体化した動翼306を得ることができる。なお、固定手段(固定要素)としては、接着剤による固定に限定されず、種々の固定手段(固定要素)を適宜採用することができる。
【0125】
ロータ3の軸方向(軸線x方向)または周方向efにおいて、動翼306の5つの羽根362のそれぞれについて、1つの羽根362と、この1つの羽根362の隣の羽根362とが対向している。
図20における羽根362-2を代表させて説明すると、羽根362-2の側面は、下端362-2g側で、時計回りの周方向eまたは軸線x方向において、隣の羽根362-3と対向している。また、上端362-2p側で、反時計回りの周方向fまたは軸線x方向において、隣の羽根362-1と対向している。
【0126】
軸線x方向または周方向efにおいて、動翼306の5つの羽根362のそれぞれの端部は、羽根362の隣の羽根362の両端部の間に位置している。
図20における羽根362-1を代表させて説明すると、羽根362-1の下端362-1gは、軸線x方向または羽根362-1の時計回りの周方向eにおいて、隣の羽根362-2の両端部362-2p,362-2gの間に位置している。また、
図20における羽根362-3を代表させて説明すると、羽根362-3の上端362-3pは、軸線x方向または羽根362-3の反時計回りの周方向fにおいて、隣の羽根362-2の両端部362-2p,362-2gの間に位置している。
【0127】
軸線x方向において、動翼306の5つの羽根362のそれぞれの端部は、羽根362の隣の羽根362の両端部の間の一部分(側面)に対向している。言い換えれば、動翼306の5つの羽根362の一部分が、軸線x方向において、互いに重なっている。このため、軸線x方向または周方向efにおいて、隣り合う2つの羽根362の側面の間に形成された通路を気体が通過していく。
【0128】
本実施形態における動翼306の如く羽根362同士の周方向ef位置が重なり合う形状の場合には、そのままでは成形が比較的に困難である。しかし、本実施形態においては、動翼306が3つの動翼部材306a,306b,306cに分かれている。したがって、個々の動翼部材306a,306b,306cは成形性が良好で、一般的な金型でも容易に成形することができる。そのため、これらの動翼部材306a,306b,306cを重ね合わせることにより、比較的に複雑な形状の動翼306を、容易または低コストで、形成することができる。
【0129】
それぞれの動翼部材306a,306b,306cの羽根部362a,362b,362cの開き角度(軸線x方向の一方側(例えば上側a)から見た際における、軸線xを中心とする羽根部に沿った円周上の、隣り合う羽根部相互間の円弧の円周角)は、180°/m(mは正の整数;羽根部の数)であり、羽根部は5つ(m=5)なので、1つの開き角度は36°になっている。
【0130】
それぞれの動翼部材306a,306b,306cの筒部363a,363b,363cの外周面には、位置合わせ用の溝364が、中心角36°の間隔で、そのうちの半分が、上側aの内周側に羽根部362a,362b,362cがある場所と一致するように設けられている。この位置合わせ用の溝364を、上側aの内周側に羽根部362a,362b,362cがある場所と無い場所とが交互になるように合わせて、3つの動翼部材306a,306b,306cを重ね合わせることで、羽根部362a,362b,362cが繋がり、ヘリカル状の羽根362が形成される。
【0131】
動翼306は、5つの羽根362における径方向の軸線x側の端部を、ロータ3の筒部材32の所定の位置に、接着剤等で固定することによって、筒部材32の外周面に取り付けられている。したがって、ロータ3の回転に伴って、動翼306は、ハウジング7内で回転する。
【0132】
動翼306は、ロータ3の回転に連れ回るようになっているため、ロータ3とともに回転し、動翼306の回転に応じて、軸線x方向への気体の流れが生じる。この空気の流れは、ロータ3とハウジング7との間の空洞377において、軸部材5の軸方向における上方向及び下方向のいずれかの方向に向けて、生じるようになっている。
【0133】
図16に示すように、本実施形態の回転機器301においては、回転機器301を駆動させて、動翼306を時計回りの周方向eに回転させると、矢印i方向への気流が生じ、下端開口部76から取り込まれた気体が空洞277を通り、上端開口部75から吹き出される。一方、動翼306を反時計回りの周方向fに回転させると、矢印j方向への気流が生じ、上端開口部75から取り込まれた気体が空洞277を通り、下端開口部76から吹き出される。
【0134】
本実施形態にかかる回転機器301は、第1の実施形態や第2の実施形態と同様、回転機器全体の小型化、強風及び大風量(大吸込み量)の供給、ロータ3の回転の安定化、高回転化や高トルク化、を実現することができ、回転機器としての特性に優れたものを提供することができる。
そして、本実施形態においても、軸受4とロータ3との間に、ロータ3の内外を連通する通気路を有する連結部材(スペーサ381,382)を配置することで、ステータ2を効率的に冷却することを実現している。
【0135】
既述の通り、時計回りe方向または反時計回りf方向へのロータ3の回転により動翼306が回転し、下端開口部76または上端開口部75から取り込まれた空気が空洞377を通って、上端開口部75または下端開口部76から吹き出すように気流(矢印i方向または矢印j方向)が生じる(
図16参照)。
【0136】
また、時計回りe方向または反時計回りf方向へのロータ3の回転により羽根部材391,392が回転し、羽根391c,392bによって、筒部材32内の上側a方向または下側b方向への気流が強化される。その結果、ロータ3の筒部材32内の強い気流によって、コイル22やステータコア21等の熱発生源を含むステータ2が効率的に冷却される。
【0137】
特に、上端開口部75と下端開口部76の両側に、羽根391c,392bを有する羽根部材391,392を備えているため、多くの気体をロータ3の内部に取り込み、かつ、排出できる。したがって、本実施形態の回転機器301によれば、極めて効率的にコイル22やステータコア21等の熱発生源を冷却することができる。
【0138】
上下に設けられたこの羽根部材391,392は、上下対称のヘリカル状の羽根391c,392bを有しているため、回転機器301の駆動を反転させて、ロータ3の回転方向を反転させることにより、上下両方向(矢印i方向及び矢印j方向)への気流を生じさせることができる。
【0139】
また、ロータ3の回転方向(時計回りe方向または反時計回りf方向)に応じて切り替わる羽根部材391,392の回転による気流の方向(下方向または上方向)は、同様に切り替わる動翼306の回転による気流の方向(矢印i方向及び矢印j方向)と、同一方向となる。したがって、総風量を向上させることができる。
【0140】
筒部材32内の気流の経路に、冷却対象の他に気流の障害物となるものがない点、気体を取り入れて排出するための通気口を筒部材32に設ける必要がない点は、第2の実施形態と同様であり、第2の実施形態と同様に、効率的に熱発生源を冷却することができ、回転機器301の小型化を実現することができる。
【0141】
本実施形態において、動翼306は、5つの羽根362の軸線x側の端部がロータ3の筒部材32の外周面と接触して固定されているため、ロータ(回転体)3と接触する領域(面積)を低減させることができる。その結果、ロータ3の外周側面における気体に露出する領域(面積)を増大させることができるため、ロータ3の放熱性を向上させることができる。
【0142】
本実施形態では、第2の実施形態と同様、連結部材(スペーサ381,382)と筒部材32内に気流を生じさせる羽根部材391,392とを分離している。そのため、本実施形態では、連結部材としての形状の自由度が高く、連結部材における通気路の断面積の拡大を図ることができる点、連結部材としての強度向上を図ることができる点、軸受4側のサイズの制約が大幅に軽減される点は、第2の実施形態と同様である。
また、羽根部材無しで、回転機器の組立ができることによる作用並びに効果についても、第2の実施形態と同様である。
【0143】
以上、本発明の回転機器について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の回転機器は上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、以上説明した実施形態では、連結部材の一方がインナーインペラ81である例(第1の実施形態)や、上端開口部75と下端開口部76の両側に、羽根部材291,292あるいは羽根部材391,392を備えている例(第2の実施形態及び第3の実施形態)を挙げて説明しているが、ロータ内の冷却用の気流を生じさせる羽根を何ら備えない構成であっても構わない。
【0144】
即ち、第1の実施形態において、インナーインペラ81をスペーサ82に置き換えた状態や、第2の実施形態や第3の実施形態において、羽根部材291,292あるいは羽根部材391,392を取り外した状態であっても、回転体(ロータ3)の内外を連通する通気路を有する連結部材を備えているため、本発明における作用乃至効果を期待することができる。
【0145】
ロータ内の冷却用の気流を生じさせる羽根を備えていなくても、動翼6,206,306の作用によって、下端開口部76または上端開口部75から取り込まれた空気が筒部材32内を通って、上端開口部75または下端開口部76から吹き出すように気流が生じている。そのため、下端開口部76の下方、及び、上端開口部75の上方で、上側a向きまたは下側b向きの気流が生じていることから、気流に導かれて、羽根を備えていない連結部材の通気路においても、ロータ3の内外への気体の出入りが起こり、上側a方向または下側b方向への気流が生じる。
【0146】
以上説明した実施形態では、軸部材5の上下両端部が、ハウジング7に固定されている構成を例に挙げているが、固定側の軸部材5が何らかの形でハウジング7に固定されればよいので、少なくとも一方の端部乃至軸部材5の一部分がハウジングに固定されていれば構わない。
【0147】
以上説明した実施形態では、ハウジング7の円盤部71bに軸部材5が固定されている構成を例に挙げているが、本発明の回転機器は、
図22~
図24に示す変形例のように、ハウジング407と、軸部材405,405’,405”とが、接続部材410,410’,410”を介して固定されていてもよい。接続部材410,410’,410”は、樹脂、アルミニウム、その他各種金属等、いずれの材料で成形されていてもよい。
【0148】
図22~
図24に示す変形例において、接続部材410,410’,410”は、筒状部410a,410a’,410a”と、円環状のフランジ部410b,410b’,410b”と、を備える。筒状部410a,410a’,410a”の内周面は、軸部材405,405’,405”の上側aの端部において、軸部材405,405’,405”の外周面に固定されている。フランジ部410b,410b’,410b”は、筒状部410a,410a’,410a”の外周面から外周側cに突出している。フランジ部410b,410b’,410b”の上側aの面は、筒状部410a,410a’,410a”の上側aの面よりも下側bに存在する。軸部材405,405’,405”の軸方向において、フランジ部410b,410b’,410b”の上側aの面と、筒状部410a,410a’,410a”の上側aの面との間には、筒状部410a,410a’,410a”の一部がある。この筒状部410a,410a’,410a”の一部の外周面にハウジング407の円環部471bの内周面が接触し、フランジ部410b,410b’,410b”の上側aの面とハウジング407の円環部471bの下側bの面とが接触し、接続部材410,410’,410”とハウジング407とが係合して固定されている。
【0149】
図22に示す変形例においては、軸方向において、接続部材410の筒状部410aが、第1軸受441の下側bの端部まで延在している。筒状部410aは、径方向において、軸部材405と、第1軸受441との間にある。第1軸受441の内輪441bは、フランジ部410bに対して下側bにある筒状部410aの他の一部に固定されている。
筒状部410aには、軸方向に貫通する円形の貫通孔410cが、周方向に並んで等間隔に複数形成されている。複数の貫通孔410cそれぞれは、軸方向において、筒状部410aの上側aの端部から下側bの端部まで延在している。
図22に示す変形例においては、コイル22に接続された複数(例えば3本)のリード線483が、貫通孔410cの1つまたは複数を介し、回転機器の外部に引き出されるようになっている。
【0150】
図23に示す変形例においては、接続部材410’の筒状部410a’の下側bの面、およびフランジ部410b’の下側bの面は一平面を形成している。軸部材405’の軸方向において、筒状部410a’の下側bの面、およびフランジ部410b’の下側bの面は、第1軸受41の上側aの面と対向しており、第1軸受41の上側aの面から所定の間隔だけ離れている。
軸部材405’は軸方向において一部または全部が中空となっており、上側aに開口している。軸部材405’には、軸方向において、第1軸受41よりも下側bに複数(例えば3つ)の開口部405a’が設けられている。なお、開口部405a’は1つであってもよい。
図23に示す変形例においては、コイル22に接続された複数(例えば3本)のリード線483’が、開口部405a’から軸部材405’の内部に引き込まれ、軸部材405’の端部開口から回転機器の外部に引き出されるようになっている。
【0151】
図24に示す変形例においては、接続部材410”の筒状部410a”の下側bの面、およびフランジ部410b”の下側bの面は一平面を形成している。軸部材405,405’,405”の軸方向において、筒状部410a’の下側bの面、およびフランジ部410b’の下側bの面は、第1軸受41の上側aの面と対向しており、第1軸受41の上側aの面から所定の間隔だけ離れている。
軸部材405”の外周面には、軸方向において、上側aの端部から下側bに直線状に延びる凹部405a”が、放射状かつ等間隔に複数(例えば3つ)形成されている。それぞれの凹部405a”は、第1軸受41よりも下側bまで延在している。なお、凹部405a”は1つであってもよい。
図24に示す変形例においては、コイル22に接続された複数(例えば3本)のリード線483”が、凹部405a”の1つまたは複数を介し、回転機器の外部に引き出されるようになっている。
【0152】
図22~
図24に示す変形例によれば、部品数を最小限に留めつつ、リード線を回転機器内から無理なく引き出すことができる。
なお、
図22~
図24に示す変形例においては、接続部材410,410’,410”が回転機器の上側aの端部に設けられている構成を例に挙げているが、接続部材410,410’,410”は回転機器の下側bの端部に設けられていてもよく、両端部に設けられていてもよい。また、
図23に示す変形例においては、軸部材405aが上側aに開口している構成を例に挙げているが、軸部材405’が下側bに開口していてもよい。さらに、
図24に示す変形例においては、軸方向において、凹部405a”が軸部材405”の上側aの端部から下側bに延びるように形成されている構成を例に挙げているが、凹部405a”が軸部材405”の下側bの端部から上側aに延びるように形成されていてもよい。すなわち、
図22~
図24に示す変形例においては、リード線を回転機器の上側aから引き出す構成を例に挙げているが、リード線を回転機器の下側bから引き出す構成としてもよい。
【0153】
また、第1の実施形態では、スペーサ82の内リング部82aおよび外リング部82bが共に円筒状である構成を例に挙げているが、本発明の回転機器は、
図25に示す変形例のように、スペーサ582の内リング部582aが、下側bの端部において、内周側dに突出する円環状の突出部582aaを有していてもよい。また、スペーサ582の外リング部582bが、下側bの端部において、外周側cに突出する円環状の突出部582baを有していてもよい。ここで、突出部582aaは、軸方向において、第2軸受42の内輪42bの下側bの端部に係合し、突出部582baは、軸方向において、筒部材32の下側bの端部に係合する。
【0154】
図25に示す変形例によれば、突出部582aaおよび突出部582baがストッパとなり、スペーサ582、ロータ3および第2軸受42の位置決めが容易になる。また、スペーサ582、ロータ3および第2軸受42が軸方向に互いにスライドすることによる位置ずれを防止できる。
なお、
図25に示す変形例においては、下側bの連結部材の下側bの端部において内周側dおよび外周側cに突出部を設ける構成を例に挙げているが、上側aの連結部材の上側aの端部において、内周側dおよび外周側cに突出部を設けてもよいし、その両方であってもよい。突出部を有する連結部材は、スペーサであってもよいし、インナーインペラであってもよい。
【0155】
また、上記実施形態においては、動翼6,206,306が設けられた送風機乃至吸引機を例に挙げているが、本発明の回転機器は、回転力を動翼の回転以外の目的に用いても構わない。その場合には、動翼は必須ではなく、回転力を目的の対象に伝達するためのギアやシャフト等の伝達機構が設けられたり、回転体に直接、目的の対象物を作用させたりするように構成させればよい。
【0156】
また、上記実施形態の回転機器について、気体の代わりに水、オイルなどの液体を用いても構わない。よって、上記実施形態における回転機器では、気体や液体を含む流体に適用させることができる。
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の回転機器を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0157】
1…回転機器、2…ステータ、3…ロータ(回転体)、4…軸受、5…軸部材、6…動翼、7…ハウジング、21…ステータコア、22…コイル、23…磁極部、24…円環部、31…マグネット、32…筒部材、41…第1軸受(軸受)、41a,42a…外輪、41b,42b…内輪、41c,42c…ベアリングボール、42…第2軸受(軸受)、61…内筒、62…羽根、63…外筒、64…空洞、71a…スポーク部、71b…円盤部、72…筒状部、77…空間、81…インナーインペラ(連結部材)、81a,82a…内リング部、81b,82b…外リング部、81c…羽根、82…スペーサ(連結部材)、82c…スポーク、201…回転機器、206…動翼、261a,261b,261c…固定部、262…羽根、277…空洞、281,282…スペーサ(連結部材)、281a,282a…内リング部、281b,282b…外リング部、281c,282c…スポーク、291…羽根部材、291a…リング部、291b…羽根、291c…突出部、292…羽根部材、292a…リング部、292b…羽根、292c…突出部、301…回転機器、306…動翼、306a,306b,306c…動翼部材、362,362-1,362-2,362-3…羽根、362a,362b,362c…羽根部、362-1g,362-2g…下端、362-2p,362-3p…上端、363…筒、363a,363b,363c…筒部、364…位置合わせ用の溝、377…空洞、381,382…スペーサ(連結部材)、381a,382a…内リング部、381b,382b…外リング部、381c,382c…ベース、381d,382d…ベース、391…羽根部材、391a…内リング部、391b…外リング部、391c…羽根、391d…空洞、391e…円錐筒部、391f…円筒突出部、391g…底、391h…円筒突出部、391i…円錐筒部、391k…切り欠き、392…羽根部材、392a…リング部、392b…外リング部、392c…羽根、392d…空洞、392e…円錐筒部、392f…円筒突出部、392g…底、392h…円筒突出部、392i…円錐筒部、392k…切り欠き、405,405’,405”…軸部材、405a’…開口部、405a”…凹部、407…ハウジング、410,410’,410”…接続部材、410a,410a’,410a”…筒状部、410b,410b’,410b”…フランジ部、410c…貫通孔、441…第1軸受(軸受)、441a…外輪、441b…内輪、441c…ベアリングボール、471b…円環部、483,483’,483”…リード線、582…スペーサ(連結部材)、582a…内リング部、582b…外リング部、582c…スポーク、582aa,582ba…突出部