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特許7627298カップを包装材料に成形するための成形装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】カップを包装材料に成形するための成形装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 24/04 20060101AFI20250129BHJP
   B29C 51/08 20060101ALI20250129BHJP
   B29C 51/26 20060101ALI20250129BHJP
   B65B 47/02 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B21D24/04 Z
B21D24/04 C
B29C51/08
B29C51/26
B65B47/02
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023064708
(22)【出願日】2023-04-12
(65)【公開番号】P2023160760
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】22169284.1
(32)【優先日】2022-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521489539
【氏名又は名称】コッホ パック‐システム ジーエムビーエイチ
【氏名又は名称原語表記】KOCH Pac‐Systeme GmbH
【住所又は居所原語表記】Dieselstr.13 72285 Pfalzgrafenweiler Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン ドゥルカー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ゲッタート
(72)【発明者】
【氏名】デニス ヴァイセルト
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-271662(JP,A)
【文献】特開平08-309447(JP,A)
【文献】特開昭63-096062(JP,A)
【文献】特開2003-126919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 24/04
B65B 47/02
B29C 51/08
B29C 51/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのカップ(6)を包装材料(4)に成形するための成形装置(2)であって、
少なくとも1つの凹部(10)を有するダイ(8)と、
前記包装材料(4)を前記ダイ(8)の前記少なくとも1つの凹部(10)に成形するように構成されたパンチ(20)と、
前記ダイ(8)と共に、前記ダイ(8)の前記少なくとも1つの凹部(10)を囲む保持領域(14)において、前記ダイ(8)との間に前記包装材料(4)を受け入れるように構成された押さえ装置(12)と、を備え、
前記ダイ(8)は、前記保持領域(14)において、前記押さえ装置(12)に面する第1の軸受面(16)を有し、前記押さえ装置(12)は、前記保持領域(14)において、前記ダイ(8)に面する第2の軸受面(18)を有し、
前記第1の軸受面(16)は、少なくとも1つの第1の開口部(32)を有し、前記少なくとも1つの第1の開口部(32)は、第1の流体源(34)と流体連通し、及び/又は、前記第2の軸受面(18)は、少なくとも1つの第2の開口部(36)を有し、前記少なくとも1つの第2の開口部(36)は、前記第1の流体源(34)、又は第2の流体源(38)と流体連通し
前記第2の軸受面(18)は、複数のセグメント(44a-h)を有し、前記複数のセグメント(44a-h)のうちの少なくとも第1のセグメント(44a)への流体供給は、前記複数のセグメント(44a-h)のうちの少なくともさらなるセグメント(44b-h)への流体供給とは独立して調節可能である成形装置(2)。
【請求項2】
前記第1の軸受面(16)は、複数の第1の開口部(32)を有し、前記ダイ(8)は、前記少なくとも1つの凹部(10)を囲み、前記第1の軸受面(16)を有する第1の軸受部品(40)を有し、前記第1の軸受部品(40)は、前記複数の第1の開口部(32)を設けた多孔質材料から少なくとも部分的に形成された請求項1に記載の成形装置(2)。
【請求項3】
前記第2の軸受面(18)は複数の第2の開口部(36)を有し、前記押さえ装置(12)は、前記パンチ(20)を囲み、前記第2の軸受面(18)を有する第2の軸受部品(42)を有し、前記第2の軸受部品(42)は前記複数の第2の開口部(36)を設けた多孔質材料から少なくとも部分的に形成された請求項1に記載の成形装置(2)。
【請求項4】
前記第1の軸受面(16)は、複数の第1の開口部(32)を有し、及び/又は前記第2の軸受面(18)は、複数の第2の開口部(36)を有し、前記複数の第1及び/又は第2の開口部(32、36)は、複数の穴によって形成された請求項1に記載の成形装置(2)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の開口部(32)は、そこから現れる流体の流れが、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの凹部(10)の方向に向けられる流れ方向を有するように構成された請求項1に記載の成形装置(2)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第2の開口部(36)は、そこから現れる流体の流れが、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの凹部(10)の方向に向けられる流れ方向を有するように構成された請求項1に記載の成形装置(2)。
【請求項7】
少なくとも1つのカップ(6)を包装材料(4)に成形するための成形装置(2)と、前記少なくとも1つのカップ(6)に製品を充填するための充填装置(54)と、少なくとも1つの充填されたカップ(6)を閉じるための閉じ装置(56)と、を備える包装機であって、
前記成形装置(2)は、
少なくとも1つの凹部(10)を有するダイ(8)と、
前記包装材料(4)を前記ダイ(8)の前記少なくとも1つの凹部(10)内に成形するように構成されたパンチ(20)と、
前記ダイ(8)と共に、前記ダイ(8)の前記少なくとも1つの凹部(10)を囲む保持領域(14)において、前記ダイ(8)との間に前記包装材料(4)を受け入れるように構成された押さえ装置(12)と、を備え、
前記ダイ(8)は、前記保持領域(14)において、前記押さえ装置(12)に面する第1の軸受面(16)を有し、前記押さえ装置(12)は、前記保持領域(14)において、前記ダイ(8)に面する第2の軸受面(18)を有し、
前記第1の軸受面(16)は、少なくとも1つの第1の開口部(32)を有し、前記少なくとも1つの第1の開口部(32)は、第1の流体源(34)と流体連通し、及び/又は、前記第2の軸受面(18)は、少なくとも1つの第2の開口部(36)を有し、前記少なくとも1つの第2の開口部(36)は、前記第1の流体源(34)、又は第2の流体源(38)と流体連通し
前記第2の軸受面(18)は、複数のセグメント(44a-h)を有し、前記複数のセグメント(44a-h)のうちの少なくとも第1のセグメント(44a)への流体供給は、前記複数のセグメント(44a-h)のうちの少なくともさらなるセグメント(44b-h)への流体供給とは独立して調節可能である、包装機。
【請求項8】
成形装置(2)により少なくとも1つのカップ(6)を包装材料(4)に成形する方法であって、
包装材料(4)を前記成形装置(2)のダイ(8)と押さえ装置(12)の間に配置するステップと、
前記ダイ(8)と前記押さえ装置(12)の間の相対的な移動により、前記成形装置(2)を閉じるステップと、
前記包装材料(4)と前記押え装置(12)との間、及び/又は前記包装材料(4)と前記ダイ(8)との間に静圧気体軸受(28、30)を形成するステップと、
前記成形装置(2)のパンチ(20)により、前記包装材料(4)を前記ダイ(8)の少なくとも1つの凹部(10)へ成形するステップと、を含み、
前記静圧気体軸受(28、30)を形成するステップは、
前記ダイ(8)の第1の軸受面(16)と前記包装材料(4)との間に第1の流体クッションを生成し、それによって第1の静圧気体軸受(28)を形成すること、及び/又は、
前記押さえ装置(12)の第2の軸受面(18)と前記包装材料(4)との間に第2の流体クッションを生成し、それによって第2の静圧気体軸受(30)を形成すること、を含み、
前記ダイ(8)の前記第1の軸受面(16)及び/又は前記押さえ装置(12)の前記第2の軸受面(18)がそれぞれ複数のセグメント(44a-h)を有しており、前記静圧気体軸受(28、30)を形成し、
それぞれの前記複数のセグメント(44a-h)の第1のセグメント(44a)において、第1の圧力で流体を排出することと、
前記複数のセグメント(44a-h)のそれぞれの第2のセグメント(44b)において、第2の圧力で流体を排出し、前記第1の圧力と前記第2の圧力とが異なること、を更に含む、方法。
【請求項9】
更に、前記少なくとも1つのカップ(6)の形状に基づいて、前記少なくとも1つのカップ(6)の周囲の皺を最小限に抑えるために必要な摩擦力を決定するステップと、
決定された摩擦力に基づいて保持力を決定するステップと、
決定された前記保持力に基づいて、前記静圧気体軸受(28、30)を形成するステップと、を含み、
前記静圧気体軸受(28、30)が前記包装材料(4)に保持力を生じさせる請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の流体クッションを生成することは、前記第1の軸受面(16)を介して前記ダイ(8)と前記包装材料(4)との間に流体を供給すること、を含む請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の流体クッションを生成することは、前記第2の軸受面(18)を介して前記押さえ装置(12)と前記包装材料(4)との間に流体を供給すること、を含む請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記静圧気体軸受(28、30)を形成することは、前記ダイ(8)及び/又は前記押さえ装置(12)から出発して、前記包装材料(4)上に、前記ダイ(8)の前記少なくとも1つの凹部(10)の方向に前記包装材料(4)に沿って少なくとも部分的に向けられる少なくとも1つの流体の流れを形成することを含む請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのカップを包装材料に成形するための成形装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装は、例えば医療品や医薬品、あるいは食品や栄養補助食品用の包装から知られているように、製品を受けるための、包装材料に成形された少なくとも1つのカップをしばしば有する。このような包装は、例えば、射出成形によって少なくとも1つのカップを成形することによって、または少なくとも1つのカップを深絞り加工することによって、包装材料に成形することができる。
【0003】
深絞り加工では、特に包装材料と工具の間の摩擦を減らし、包装材料の皺を打ち消すために、ダイと押さえ装置の形態で使用される工具は、頻繁に加熱される。しかし、工具の加熱は、成形プロセスや包装材料に不利な影響を与えることがある。特に、繊維ベースの包装材料の場合は、一般に変形性を向上させるために湿らせて使用するが、加熱は、包装材料の変形性に悪影響を及ぼす可能性があるため、工具の加熱は、不利な影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、成形工程および包装材料に不利な影響を与えることなく、包装材料の良好な変形性を確保する、少なくとも1つのカップを包装材料に成形する成形装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によれば、少なくとも1つのカップを包装材料に成形するための成形装置は、少なくとも1つの凹部を有するダイと、前記包装材料を前記ダイの前記少なくとも1つの凹部内に成形するように構成されたパンチと、前記ダイと共に、前記ダイの前記少なくとも1つの凹部を囲む保持領域において、前記ダイとの間に前記包装材料を受け入れるように構成された押さえ装置と、を備える。前記保持領域において、前記ダイは、前記押さえ装置に面する第1の軸受面を有し、前記押さえ装置は、前記保持領域において、前記ダイに面する第2の軸受面を有する。前記第1の軸受面は、少なくとも1つの第1の開口部、好ましくは複数、を有し、前記少なくとも1つの第1の開口部は、第1の流体源と流体連通している。代替的にまたは追加的に、前記第2の軸受面は、少なくとも1つの第2の開口部、好ましくは複数、を有し、前記少なくとも1つの第2の開口部は、前記第1の流体源、又は第2の流体源と流体連通している。
【0006】
このようにして、第1または第2の軸受面と包装材料との間の流体供給が可能になり、それによって包装材料を成形装置内で空気静力学的に支持することができるようになる。これにより、成形中、特に深絞り加工中の包装材料とダイまたは押さえ装置との間の接触、ひいては摩擦を低減することができる。摩擦が低減することで、摩擦を低減するためのダイや押さえ装置の加熱が不要になり、包装材料や成形工程への熱の悪影響が避けられるという効果もある。ダイおよび押さえ装置を加熱するための連続的なエネルギー投入が不要となり、経済的および環境的な観点から有利となる。したがって、好ましい実施形態では、ダイと押さえ装置は、非加熱である。
【0007】
さらに、摩擦の低減のため、ダイと押さえ装置によって包装材料に作用する保持力を高めることができるので、包装材料の皺が少なくなり、包装の品質を高めることができる。
【0008】
原則として、成形装置は、少なくとも1つのカップを成形するように構成される。特に好ましくは、成形は、包装材料を深絞り加工することによって達成される。したがって、本明細書に記載されたすべての特徴および実施形態は、特に、少なくとも1つのカップが成形される包装材料の深絞り加工にも関連する。しかしながら、例えば、プレス成形などの他の工程も使用することができる。
【0009】
成形装置は、複数のカップを包装材料に同時に成形するように構成してもよい。この目的のために、ダイの少なくとも1つの凹部は、複数の凹部を有してもよい。成形装置は、複数のパンチを有してもよく、またはパンチは複数の突起を有してもよく、各突起は、包装材料をダイの複数の凹部のそれぞれの凹部に成形するように構成される。押さえ装置は、好ましくは、ダイの複数の凹部の各凹部を囲む。成形装置は、代表例として、1つの凹部と1つのパンチを有する場合が以下に説明されるが、これらの特徴は、複数の凹部、複数のパンチまたは突起、および対応する押さえ装置を有する実施形態に同様に適用される。
【0010】
包装材料は、金属、例えばアルミニウム、プラスチック、特に熱可塑性プラスチック、または繊維ベースの材料、例えば紙、厚紙または織物を含むグループから選択される材料によって成形することができる。包装材料は、全体が繊維ベースの包装材料からなることも、例えばプラスチックのコーティングを有することもできる。
【0011】
包装材料は、実質的に平坦な形状である。包装材料は、ウェブの形態で、すなわち包装材料ウェブとして、またはブランクとして、各場合に1つの包装として提供することができる。包装材料ウェブは、フィルムタイプの包装材料の場合に特に好適である。
【0012】
少なくとも1つの第1の開口部又は少なくとも1つの第2の開口部によって、ダイ、押さえ装置及び包装材料の間の保持領域内に流体を供給することが可能である。流体は、好ましくは気体であり、特に好ましくは空気である。第1および第2の流体源は、好ましくは、加圧された空気、すなわち圧縮空気を排出するように構成された圧縮空気源である。
【0013】
複数の第1の開口部はまた、好ましい実施形態を参照して以下でより詳細に説明されるように、複数の流体源と流体連通することができ、複数の第2の開口部は、それとは独立に、複数の流体源と流体連通することができる。しかしながら、第1の流体源および第2の流体源は、一体構造であることも可能である。
【0014】
流体の供給は、静圧気体軸受の形成を可能にする。ダイおよび/または押さえ装置は、結果として、保持領域において静圧気体軸受を形成するように構成される。一般に、静圧気体軸受は、第1の軸受パートナー、第2の軸受パートナー並びに第1の軸受パートナー及び第2の軸受パートナーを互いに分離するエアクッションを有する。第1の軸受パートナーは、ダイまたは押さえ装置とすることができる。第2の軸受パートナーは、包装材料である。
【0015】
本発明の別の態様によれば、また、ダイが、ダイと包装材料との間に第1の静圧気体軸受を形成するように構成され、および/または押さえ装置が、押さえ装置と包装材料との間に第2の静圧気体軸受を形成するように構成される、包装材料を備えた成形装置に関する。
【0016】
ダイと押さえ装置は、特に成形中に包装材料を固定するために、包装材料を支持し保持するために協働する。原則として、包装材料は、好ましくは、静圧気体軸受によって非接触で、したがって摩擦のない方法で支持される。好ましい実施形態では、ダイと包装材料との間、及び押さえ装置と包装材料との間に、それぞれの空気静圧軸受が形成される。ダイは、絞りブッシングとも呼ばれ、少なくとも1つの凹部を有している。少なくとも1つの凹部は、貫通開口として構成することができ、またはトラフ形状にすることができ、すなわち底部を有することができる。ダイは、少なくとも1つの凹部を囲むフランジを有することができ、このフランジは、押さえ装置と相互に作用して包装材料を保持領域内に保持する。第1の軸受面は、好ましくは、少なくとも1つの凹部を完全に囲み、保持領域において包装材料と平行に配置される。例えば、フランジは、第1の軸受面を形成する。ダイは、第1の軸受面と少なくとも1つの凹部との間、特にその間の移行部において、半径部を有することができる。
【0017】
ブランクホルダとも呼ばれる押さえ装置は、好ましくは、パンチを完全に囲む。押さえ装置とダイは、好ましくは、パンチの移動方向と平行なストローク方向に互いに相対的に移動することができる。第2の軸受面は、好ましくは、第1の軸受面と平行に配置される。第2の軸受面は、好ましくは、パンチを完全に囲み、少なくとも部分的にまたは完全に第1の軸受面と一致する。
【0018】
保持領域では、包装材料は、結果として第1の軸受面と第2の軸受面との間に受け入れられる。保持領域では、押さえ装置とダイが包装材料に保持力を及ぼし、成形中に包装材料に皺がつくのを軽減または防止する。
【0019】
パンチは、包装材料を成形するため、特に深絞り加工するために設けられる。パンチは、好ましくは、変形されていない包装材料に対して、または第1および第2の軸受面に対して実質的に垂直に配向された移動方向に移動可能である。この場合、パンチの自由端は、包装材料に係合し、これをダイの少なくとも1つの凹部内に引き込む。したがって、パンチの自由端および/またはダイの少なくとも1つの凹部は、好ましくは、成形されるカップの形状を有する。
【0020】
少なくとも1つのカップは、一般に、包装材料における窪み又は空洞であり、少なくとも1つの製品を受け入れるように構成される。少なくとも1つのカップのサイズ及び形状は、特に少なくとも1つの製品のサイズ及び形状を考慮して、所望に応じて選択することができ、特定のサイズ及び形状に限定されることはない。
【0021】
少なくとも1つの第1の開口部によって、流体、特に空気を第1の軸受面と包装材料の間に通過させ、(第1の)静圧気体軸受を形成することができる。これにより、第1の軸受面と包装材料との間に第1のエアクッションまたは第1のエアフィルムが形成され、ダイと包装材料との間の接触および摩擦が低減される。流体を包装材料にできるだけ均一に、できるだけ広い面積にわたって拡げるために、第1の軸受面は、好ましくは、複数の対応する第1の開口部を有する。
【0022】
少なくとも1つの第1の開口部は、例えば、スロット、穴又は孔によって形成することができる。一実施形態では、第1の軸受面は、好ましくはそれぞれの凹部を完全に囲むスロットを有するか、またはそれぞれの凹部を部分的に囲む複数のスロットを有している。追加、または代替案として、第1の軸受面は、好ましくはそれぞれの凹部の周囲に分布する複数の穴を有することができる。
【0023】
特に好ましい実施形態では、ダイは、少なくとも1つの凹部を有し、またはそれを囲み、第1の軸受面を有する、第1の軸受部品を備える。第1の軸受部品は、複数の第1の開口部を設けた多孔質材料、特に焼結材料から少なくとも部分的に形成されている。この場合、好ましくは、少なくとも第1の軸受面の領域は、多孔質材料から形成される。多孔質材料は、複数の孔を有するので複数の第1の開口部を有し、それによって、できるだけ均一な圧縮空気の分布を可能にするので(第1の)静圧気体軸受を均一に形成する。
【0024】
少なくとも1つの第2の開口部によって、流体、特に空気を第2の軸受面と包装材料の間に通過させ、(第2の)静圧気体軸受を形成することができる。これにより、第2の軸受面と包装材料との間に第2のエアクッションまたは第2のエアフィルムが形成され、押さえ装置と包装材料の間の接触および摩擦が低減される。流体を包装材料にできるだけ均一に、できるだけ広い面積にわたって拡げるために、第2の軸受面は、好ましくは、複数の対応する第2の開口部を有する。
【0025】
複数の第1の開口部及び複数の第2の開口部は、同一の流体源又は圧縮空気源と流体連通することも可能である。
【0026】
少なくとも1つの第2の開口部は、例えば、スロット、穴又は孔によって形成することができる。一実施形態では、第2の軸受面は、好ましくはそれぞれの凹部を完全に囲むスロットを有するか、またはそれぞれの凹部を部分的に囲む複数のスロットを有している。追加、または代替案として、第2の軸受面は、好ましくはそれぞれの凹部の周囲に分布する複数の穴を有することができる。
【0027】
特に好ましい実施形態では、押さえ装置は、パンチを囲み、第2の軸受面を有する、第2の軸受部品を備える。第2の軸受部品は、複数の第2の開口部を設けた多孔質材料、特に焼結材料から少なくとも部分的に形成されている。この場合、好ましくは、少なくとも第2の軸受面の領域は、多孔質材料から形成される。多孔質材料は、複数の孔を有するので、複数の第2の開口部を有し、それによって、できるだけ均一な圧縮空気の分布を可能にするので(第2の)静圧気体軸受を均一に形成する。
【0028】
包装材料に作用する保持力を成形中の包装材料の応力に局所的に適応させることができるようにするために、押さえ装置の前記第2の軸受面は、複数のセグメントを有し、複数のセグメントのうちの少なくとも第1のセグメントへの流体供給は、複数のセグメントのうちの少なくともさらなるセグメントへの流体供給とは独立して調節可能であることが好ましい。例えば、複数のセグメントの少なくとも第1の部分への流体供給は、複数のセグメントの第2の部分への流体供給とは独立して調節可能である。特に、複数のセグメントの各セグメントへの流体供給は、個々に調節可能であってもよい。特に好ましくは、流体が供給される圧力が調節可能である。これにより、複数のセグメントの各セグメントは、流体、例えば圧縮空気を用いて、ある圧力で作用または操作することができ、この圧力は、少なくとも他のセグメントの圧力とは異なるようにできる。流体の供給は、複数の第2の開口部から流体供給源への流体接続を介して行われる。
【0029】
第2の軸受面の複数のセグメントへの分割は、構造的にまたは機能的に達成することができる。構造的な分割は、例えば、第2の軸受部品が、それぞれが流体源に接続されている複数の軸受要素を有し、好ましくは、各軸受要素が複数のセグメントのセグメントを形成する、という点で効果的である。機能的な分割は、例えば、第2の開口部の第1の部分が第2の流体源に接続され、第2の開口部の第2の部分がさらなる流体源に接続される、という点で効果的である。代替的に、第2の開口部の第1の部分と第2の部分は、同じ流体源に接続することができ、圧力制限弁などの調整装置が、流体源への第2の開口部の第1の部分と第2の部分の流体接続に沿って、それぞれの場合に設けられる。これは、複数の軸受要素にも適用することができる。
【0030】
例えば、第1の圧力は、複数のセグメントの第1のセグメントに適用することができ、好ましくは第1の圧力と異なる第2の圧力は、複数のセグメントの第2のセグメントに適用することができる。第2の圧力は、好ましくは、第1の圧力の2倍から10倍、より好ましくは3倍から4倍である。1つの例示的な実施形態において、第1の圧力は、0.5バールから5バールの間、好ましくは1バールから2バールの間であり得、第2の圧力は、5バールから10バールの間、好ましくは6バールから8バールの間であり得る。しかしながら、第1の圧力が第2の圧力に対応していることも考えられる。
【0031】
同様の方法で、ダイの第1の軸受面は、好ましくは、複数のセグメントを有する。したがって、第2の軸受面の複数のセグメントに関して説明した特徴の全ては、第1の軸受面の複数のセグメントに対して同様に移すことができる。
【0032】
原則として、第1の流体の流れ、特に第1の空気の流れは、少なくとも1つの第1の開口部から現れ、包装材料上に向けられる。第2の流体の流れ、特に第2の空気の流れは、少なくとも一つの第2の開口部から現れ、同様に包装材料上に向けられる。
【0033】
深絞り加工工程では、ダイと押さえ装置との間に受け入れられた包装材料の多くが、深絞り加工中に凹部の方向に案内され得ることが望ましい場合がある。したがって、少なくとも1つの第1の開口部および少なくとも1つの第2の開口部は、好ましくは、そこから現れるそれぞれの第1または第2の流体の流れが、少なくとも部分的に凹部の方向に向けられる流れ方向を有するように構成される。すなわち、少なくとも1つの第1または第2の開口部からの出口におけるそれぞれの流れ方向は、凹部の方向において第1または第2の軸受面に垂直な方向成分と、第1または第2の軸受面に平行な方向成分とを有する。
【0034】
本発明の別の態様によれば、本発明は、上記のような成形装置を有する包装機に関する。包装機は、例えば、ブリスター機としてもよく、成形装置は、少なくとも1つのブリスターカップを成形フィルムまたは平坦な繊維ベースの包装材料に成形するように構成される。包装機は、少なくとも1つのカップに1つまたは複数の製品を充填するための充填ステーションと、少なくとも1つの充填されたカップを閉じるための閉じ装置とをさらに有してもよい。閉じ装置は、例えば、カバーフィルムなどのカバー材料を包装材料に封止するための封止ステーションとして構成してもよい。
【0035】
本発明の別の態様によれば、成形装置により少なくとも1つのカップを包装材料に成形する方法は、包装材料を成形装置のダイと押さえ装置の間に配置するステップと、ダイと押え装置の間の相対的な移動により、成形装置を閉じるステップと、包装材料と押さえ装置との間、及び/又は包装材料とダイとの間に静圧気体軸受を形成するステップと、成形装置のパンチにより、包装材料をダイの少なくとも1つの凹部へ成形するステップと、を含む。
【0036】
このように、包装材料は成形装置内で空気静力学的に支持されるため、成形時に包装材料とダイまたは押さえ装置との接触、ひいては摩擦を低減することが可能になる。摩擦の低減は、ひいては、この目的のためにダイや押さえ装置を加熱する必要がないという効果をもたらし、包装材料や成形プロセスへの加熱による悪影響を回避することができる。ダイや押さえ装置を加熱するための連続的なエネルギー投入が不要となり、経済的にもエコロジー的にも有利となる。また、摩擦の低減により、ダイと押さえ装置で包装材料に作用する保持力を高めることができるため、包装材料の皺が少なくなり、包装品質が向上する。
【0037】
本方法は、好ましくは、上述した成形装置又は包装機によって実施される。したがって、成形装置および包装機に関して説明された特徴のすべては、本方法に同様に移すことができ、その逆もまた然りである。
【0038】
本方法のステップは、好ましくは、示された順序で実施される。その結果、包装材料がダイと押さえ装置の間に正しく配置されたときに、成形装置は閉じられる。静圧気体軸受は、好ましくは、成形装置が閉じられるまで形成されない。静圧気体軸受が形成されると、包装材料の成形、特に深絞り加工が行われ、それによって包装材料への少なくとも1つのカップの成形が行われる。
【0039】
この方法は、複数のカップを包装材料に同時に成形するために提供されてもよく、パンチによって包装材料をダイの複数の凹部に成形するステップを含んでもよい。従って、ダイの少なくとも1つの凹部は、複数の凹部を有する。成形装置は、複数のパンチを有してよく、またはパンチは複数の突起を有してもよく、各突起は、包装材料をダイの複数の凹部のそれぞれの凹部に成形するように構成される。押さえ装置は、好ましくは、ダイの複数の凹部の各凹部を囲む。本方法は、代表的な例として、1つの凹部と1つのパンチに基づいて以下に説明するが、これらの特徴は、複数の凹部、複数のパンチまたは突起、および対応する押さえ装置を有する実施形態に同様に適用される。
【0040】
成形後、静圧気体軸受を解除し、ダイと押さえ装置の間の相対的な移動により成形装置を開くことができる。静圧気体軸受は、このように成形プロセス全体にわたって存在しますが、好ましくは、成形装置が閉じている間だけ存在する。
【0041】
ダイと押さえ装置との間の包装材料の配置は、包装材料の成形装置への挿入、又はウェブ状の包装材料の成形装置への導入若しくは通過を含んでもよい。
【0042】
成形装置を閉じることは、好ましくは、押さえ装置をダイの方向、特に成形中のパンチの移動方向と平行なストローク方向に移動させることを含む。しかし、ダイが押さえ装置の方向に移動することも可能であり、あるいはダイと押さえ装置が互いに向かって移動することも可能である。
【0043】
包装材料を成形するステップは、好ましくは、変形していない包装材料の実質的に平坦な成形に対して垂直に整列させることができる移動方向にパンチを移動させ、包装材料をパンチの自由端と係合させ、係合した包装材料をダイの少なくとも一つの凹部に引き込み、それによって、少なくとも一つのカップを成形するために包装材料を成形することを含む。
【0044】
成形中、包装材料は、特に製造されるカップのコーナー領域とそれに隣接する領域で、異なる範囲に引き伸ばされ、または圧縮される。深絞り加工では、包装材料に引張応力と圧縮応力が発生するためである。圧縮応力により、包装材料、特に押さえ装置とダイの間の保持領域で皺が形成されることがある。皺は、特に、成形されるカップの形状、特に半径の大きさとカップの深さに依存する。したがって、形状に基づいて、予想される皺の大きさを決定することが可能である。
【0045】
皺は、押さえ装置及びダイが保持領域において包装材料に及ぼす保持力によって打ち消すことができる。この保持力は、包装材料にかかる垂直力に相当する。この保持力は、包装材料と隣接する工具、すなわち押さえ装置とダイの間に摩擦力をもたらす。
【0046】
静圧気体軸受は、好ましくは、包装材料に保持力をもたらし、その結果生じる摩擦力は、深絞り加工中に材料に生じる引張力を打ち消す。したがって、予想される皺に応じて、必要な摩擦力を決定することが可能であり、それに基づいて、今度は、これに必要な保持力を決定することができる。
【0047】
静圧気体軸受の低い摩擦係数のおかげで、包装材料の降伏強度を超えることなく、保持力を大幅に増加させることができる。その結果、より複雑な形状のカップ、特に半径の狭い、または深さのあるカップを成形することができる。
【0048】
この方法は、好ましくは、以下のステップをさらに含む:少なくとも1つのカップの形状に基づいて保持領域における必要な摩擦力を決定する;決定された摩擦力に基づいて保持力を決定する;および決定された保持力に基づいて静圧気体軸受を形成する。
【0049】
保持力によって生じる摩擦力は、保持領域においてダイと押さえ装置との間に包装材料を確実に保持するために、引張力よりも大きくしてもよい。しかし、摩擦力は、深絞り加工時に包装材料の多くを凹部の方向に誘導できるようにするために、引張力よりも小さくしてもよい。摩擦力及び引張力は、包装材料の成形及び少なくとも1つのカップの成形が行われるように構成されるべきであることは自明である。
【0050】
静圧気体軸受は、好ましくは、包装材料とダイとの間、又は包装材料と押さえ装置との間に通される流体、好ましくは圧縮空気によって形成される。流体の圧力は好ましくは調節可能であり、それによって包装材料に及ぼされる保持力を変化させることができる。
【0051】
静圧気体軸受の形成は、成形装置に関連して上述したように、第1及び/又は第2の静圧気体軸受の形成を含んでもよい。原理的には、本明細書に記載された全ての実施形態において、第1の静圧気体軸受のみ又は第2の静圧気体軸受のみが設けられること、又は第1及び第2の静圧気体軸受が設けられることは可能である。特に記載しない限り、静圧気体軸受の全ての実施形態は、第1の静圧気体軸受と第2の静圧気体軸受との両方に適用される。逆に、第1及び第2の静圧気体軸受を有する実施形態が記載される場合であっても、1つの静圧気体軸受だけを提供することは常に可能である。
【0052】
第1の静圧気体軸受に関して、静圧気体軸受の形成は、ダイの第1の軸受面と包装材料との間に第1の流体クッションを生成することを含む。追加または代替案として、第2の静圧気体軸受の形成は、押さえ装置の第2の軸受面と包装材料との間に第2の流体クッションを生成することを含む。
【0053】
第1の流体クッションの生成は、順に、第1の軸受面を介して、特に少なくとも1つの第1の開口部によって、ダイと包装材料との間に流体を供給することを含んでもよい。第2の流体クッションの生成は、順に、第2の軸受面を介して、特に少なくとも1つの第2の開口部によって、押さえ装置と包装材料との間に流体を供給することを含んでもよい。
【0054】
ダイの第1の軸受面が複数のセグメントを有する場合、(第1の)静圧気体軸受の形成は、複数のセグメントの第1のセグメントにおいて第1の圧力で流体を排出するステップと、複数のセグメントの第2のセグメントにおいて第2の圧力で流体を排出するステップであって、第1の圧力と第2の圧力は異なるステップとを含む。
【0055】
押さえ装置の第2の軸受面が複数のセグメントを有する場合、(第2の)静圧気体軸受の形成は、複数のセグメントの第1のセグメントにおいて第1の圧力で流体を排出するステップと、複数のセグメントの第2のセグメントにおいて第2の圧力で流体を排出するステップであって、第1の圧力と第2の圧力は異なるステップとを含む。
【0056】
第2の圧力は、好ましくは第1の圧力の2倍~10倍、より好ましくは3倍~4倍である。
【0057】
第1及び第2の軸受面の両方が複数のセグメントを有する場合、第1の軸受面の第1及び第2の圧力は、第2の軸受面の第1及び第2の圧力と異なってもよく、又、対応していてもよい。後者の場合、圧力は、第1の圧力、第2の圧力、第3の圧力及び第4の圧力と呼んでもよい。
【0058】
流体によって上記のような静圧気体軸受を形成するために、流体の流れは包装材料上に導かれる。より正確には、第1の静圧気体軸受の形成は、ダイ又は第1の軸受面から出発して、包装材料上に、ダイの凹部の方向に包装材料に沿って少なくとも部分的に向けられる、少なくとも第1の流体の流れを生成することを含んでもよい。第2の空気静圧軸受の形成は、押さえ装置又は第2の軸受面から出発して、包装材料上に、パンチの方向に包装材料に沿って向けられる、少なくとも1つの第2の流体の流れを生成することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明による成形装置の一実施形態を包装材料とともに示す断面図である。
図2】本発明による成形装置の一実施形態を包装材料とともに示す断面図である。
図3図1及び図2による成形装置の詳細を示す図である。
図4】押さえ装置の軸受面または成形装置のダイの平面図である。
図5】包装機を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1および図2はそれぞれ、本発明に係る成形装置2の一実施形態の断面図を示し、包装材料4が成形装置2に挿入される。包装材料4は、ブランクとして、または成形装置2を通って延びる包装材料ウェブとして提供されてもよい。
【0061】
成形装置2は、例えば、成形フィルムにおけるブリスターカップの成形のための成形装置など、少なくとも1つのカップ6を包装材料4に成形するために使用される。この目的のために、成形装置2は、少なくとも1つの凹部10を有するダイ8を有する。さらに、成形装置2は押さえ装置12を有し、押さえ装置12とダイ8は、凹部10を囲む保持領域14において、それらの間に包装材料4を受け入れる。図示された実施形態と同様に、成形装置2は、複数のカップを成形するための複数の凹部10を有するダイ8を有してもよい。
【0062】
包装材料4は、実質的に平坦な形状であり、上側部4aと下側部4bを有する。ダイ8は、押さえ装置12及び包装材料4の下側部4bに面する第1の軸受面16を有し、例えば、ダイ8の凹部10を囲むフランジ17によって形成されている。第1の軸受面16から凹部10への移行部において、ダイ8は半径部19を有する(図3参照)。押さえ装置12は、ダイ8と包装材料4の上側部4aに面する第2の軸受面18を有する。保持領域14において、包装材料4は、結果として、第1の軸受面16と第2の軸受面18との間に受け入れられる。
【0063】
包装材料4を成形装置2に導入し、保持領域14においてダイ8と押さえ装置12の間に受け入れるために、ダイ8と押さえ装置12は、ストローク方向Hに互いに相対的に移動することができる。ストローク方向Hは、好ましくは、変形していない包装材料4の上側部4aに対して垂直な方向、または第1および第2の軸受面16、18に対して垂直に配向される。
【0064】
包装材料4を凹部10に成形するために、例えば深絞り加工するために、成形装置2はパンチ20をさらに有し、このパンチは好ましくは移動方向Bに移動可能である。 移動方向Bは好ましくは、変形していない包装材料の上側部4aに対して垂直に、または第1および第2の軸受面16、18に対して垂直に配向される。パンチ20は自由端22を有し、自由端22は包装材料4に面し、包装材料4に衝突して包装材料4を成形する。
【0065】
凹部10は、ダイ8においてトラフ形状またはカップ形状に成形することができ、または図示のように、貫通開口として成形することができる。トラフ形状又はカップ形状の凹部10は、好ましくは、製造されるカップに対応する形状を有し、特に、カップのネガを成形することになる。代替的に、例えば、図2に示されるように、パンチ20と協働して包装材料4を成形するカウンターパンチ24を設けてもよい。より明確にするために、カウンターパンチ24は、図2において包装材料4から短い距離で図示されている。カウンターパンチ24は、包装材料4の下側部4bに面する自由端26を有する。
【0066】
保持領域14において、ダイ8および押さえ装置12は、パンチ20による包装材料4の成形を可能にし、包装材料4における皺の形成を防止するために、包装材料4に対して保持力を及ぼしている。従来の成形装置においてこれを達成するために、包装材料は、保持領域においてダイと押さえ装置との間に機械的にクランプされる。
【0067】
検討中の成形装置2において、ダイ8および/または押さえ装置12は、図3を参照して後述するように、保持領域14において静圧気体軸受を形成するように構成される。静圧気体軸受によって、包装材料4は、成形中に実質的に接触せず、したがって摩擦もなく、少なくとも一方の側で支持される。
【0068】
図示の実施形態では、ダイ8と包装材料4との間に第1の静圧気体軸受28が形成され、押さえ装置12と包装材料4との間に第2の静圧気体軸受30が形成される。第1及び第2の静圧気体軸受28、30は、互いに独立して設けられ、設計されてもよい。特に、第1または第2の静圧気体軸受28、30のみが設けられることも可能である。
【0069】
第1の静圧気体軸受28は、例えば、第1の軸受面16と包装材料4、特に包装材料4の下側部4bとの間の第1のエアクッションを有し、これは図3において第1の軸受面16と包装材料4の下側部4bとの間の矢印によって示される。対応する態様において、第2の静圧気体軸受30は、第2の軸受面18と包装材料4、特に包装材料4の上側部4aとの間の第2のエアクッションを有してもよく、これは図3において第2の軸受面18と包装材料4の上側部4aとの間の矢印によって示される。
【0070】
第1及び第2の静圧気体軸受28、30又は対応するエアクッションは、包装材料4とダイ8又は押さえ装置12との間に流体、特に圧縮空気を供給することにより生成される。以下では、流体が空気または圧縮空気によって形成される好ましい実施形態について説明する。他の流体、特に気体も使用可能であることは自明である。
【0071】
流体を供給するために、ダイ8の第1の軸受面16は、少なくとも1つ、好ましくは、図示されているように、複数の第1の開口部32を有し、これは、第1の流体または圧縮空気源34と流体連通する。押さえ装置12の第2の軸受面18は、少なくとも1つ、好ましくは、図示されているように、複数の第2の開口部36を有し、これは、第2の流体または圧縮空気源38と流体連通する。複数の第1および第2の開口部32、36によって、圧縮空気をそれぞれの軸受面16、18と包装材料4との間に通過させ、均一に分散させることができる。複数の第1の開口部16及び複数の第2の開口部18は、ダイ8又は押さえ装置12に設けられた穴によって形成することができる。それぞれの場合において、凹部10を、好ましくは完全に囲む、ただ1つの第1または第2の開口部32、36を設けることが可能であることは自明である。そのような第1または第2の開口部32、36は、例えば、それぞれの軸受面16、18のスロットの形態としてもよい。
【0072】
代替的に、凹部10を囲み、第1の軸受面16を有するダイ8の図示された第1の軸受部品40は、複数の第1の開口部32を形成する複数の孔を有する多孔質材料から、特に焼結材料から形成してもよい。これとは無関係に、パンチ20を囲み、第2の軸受面18を有する押さえ装置12の図示された第2の軸受部品42は、複数の第2の開口部36を形成する多数の孔を有する多孔質材料から、特に焼結材料から形成してもよい。
【0073】
複数の第1の開口部32から現れる第1の空気の流れおよび複数の第2の開口部36から現れる第2の空気の流れは、第1および第2の静圧気体軸受28、30をそれぞれ形成するために、基本的に包装材料4上に向けられる。パンチ20による成形中に、より多くの包装材料4が半径部19の周りの凹部10に導かれることが望まれる場合、複数の第1および第2の開口部32、36は、図3に包装材料とダイ8または押さえ装置12の間の矢印によって示されるように、第1および第2の空気の流れがそれぞれ、少なくとも部分的に凹部10の方向に向けられる流れ方向を有するように構成されてもよい。
【0074】
図4は、押さえ装置12の第2の軸受面18の平面図を示す。第2の軸受面18は、複数のセグメント44a―44hを有してもよく、好ましくは、複数のセグメント44a―44hの少なくとも第1の部分への流体または圧縮空気の供給は、複数のセグメント44a―44hの第2の部分への流体または圧縮空気の供給とは独立して調節されてもよい。これにより、複数のセグメントのそれぞれの部分において包装材料4に作用する圧力、ひいては保持力を、必要に応じて調節することができる。例えば、図4に模式的に示されるように、第2の軸受面18の第1のセグメント44aは、第2の圧縮空気源38に接続される。第1のセグメント44aに隣接する第2のセグメント44b及び第3のセグメント44hは、第3の圧縮空気源46と流体連通し、第2の圧縮空気源38とは独立して調節されてもよい。第2および第3のセグメント44b、44hは、押さえ装置12およびそれに対応する凹部10のコーナー領域に配置することができる。ダイ8の第1の軸受面16は、好ましくは、同様の方法で複数のセグメントを有し、したがって、図4に関連して説明した特徴は、ダイ8にも同様に適用される。
【0075】
図5は、包装機48を斜視図で模式的に示している。包装機48は、包装材料4に少なくとも1つのカップを成形するための上述したような成形装置2を有している。この場合、包装材料4は、実質的にウェブ状の設計であり、供給ロール50上に提供され、以下に詳細に説明する包装機48の複数の処理ステーションを通過する。しかしながら、包装材料4は、平坦なブランクとして提供してもよく、このブランクは、個々の処理ステーションに挿入される。
【0076】
包装機48は、調整装置52をさらに有してもよい。包装材料4が、例えば、熱可塑性成形フィルムとして構成されている場合、調整装置52は、包装材料4を加熱する加熱ステーションとすることができる。一方、包装材料4が繊維ベースの包装材料である場合、調整装置52は、例えば、包装材料4を湿らせるために構成されてもよい。成形装置2は、好ましくは、調整装置52の下流に配置される。
【0077】
さらに、包装機48は、成形装置2によって包装材料4に成形された少なくとも1つのカップに少なくとも1つの製品を充填するための充填装置54を有している。少なくとも1つの製品で充填された少なくとも1つのカップを閉じるために、包装機48は、包装材料4にカバー材料(図示せず)を適用する閉じ装置56を有する。閉じ装置56は、例えば、カバー材を包装材料4に接着又は密封するように構成されてもよい。
【0078】
特に、ウェブ状の包装材料4が使用される場合、各々が少なくとも1つの、充填され、閉じたカップを有する個々のパッケージ58を製造したいという要望がある場合がある。この目的のために、包装機48は、任意に、パンチング装置60を有し、この装置は、好ましくは既にカバー材を備えている包装材料4から個々のパッケージ58をパンチ又は切断するように構成されている。
【0079】
特に好ましい実施形態では、包装機は、医療品や医薬品、消費財や化粧品、あるいは食品や栄養補助食品用のブリスターパックを製造するブリスター機として構成される。
【0080】
本発明による方法の例示的な実施形態を、図1図4を参照して以下に説明する。
【0081】
まず、図1に示されるように、包装材料4は、成形装置2のダイ8と押さえ装置12との間に配置される。好ましくは、包装材料の下側部4bはダイ8に面し、ダイ8の第1の軸受面16に載る。包装材料4の上側部4aは、結果として、押さえ装置12に面する。包装材料4は、好ましくは完全に凹部10を覆い、すなわち、凹部10全体の周囲でダイ8のフランジ17上に載る。
【0082】
包装材料が配置されると、ダイ8と押さえ装置12との間の相対的な移動により、成形装置2が閉じられる。図1では、成形装置2が閉じた状態で示されている。ダイ8と押さえ装置12との間の相対的な移動によって、例えば、押さえ装置12をストローク方向Hと平行に昇降させることによって、成形装置2は開閉される。
【0083】
成形装置2が閉じられると、図3に例示されている第1および第2の静圧気体軸受28、30を、今度は包装材料4と押さえ装置12またはダイ8との間に形成することができる。この目的のために、第1および第2の軸受面16、18と包装材料4との間に流体が通される。第1および第2の静圧気体軸受28、30のうちの一方であっても有利であり、必ずしも両方の静圧気体軸受28、30を設ける必要はないことは自明である。静圧気体軸受28、30によって、凹部10を囲む保持領域14の包装材料4には保持力が及ぼされる。
【0084】
次に、図2に示されるように、パンチ20によって、包装材料4をダイ8の凹部10に成形することができる。この目的のために、パンチ20は移動方向Bに移動され、自由端22によって包装材料4に係合する。パンチ20は、包装材料4を凹部10内に引き込み、それによって、包装材料4にカップ6を成形する。
【0085】
包装材料4の成形中に発生する力または応力は、特に包装材料4の特に応力のかかる領域において、皺(圧縮応力の場合)または破れ(引張応力の場合)につながることがある。これは、保持力によって打ち消すことができる。したがって、この方法は、好ましくは、予想される引張力を決定することと、決定された引張力に基づいて保持力を決定することとを含む。次いで、静圧気体軸受28、30は、決定された保持力に基づいて形成してもよい。特に、保持力は、静圧気体軸受28、30を形成するために供給される圧縮空気の圧力を調節することによって調節することができる。
【0086】
包装材料4の特に応力のかかる領域において、保持力を狙い通りに高めるために、図4に示されるように、第1および第2の軸受面16、18の少なくとも一方、好ましくは両方の軸受面16、18が、複数のセグメント44を有することが好ましい。そして、第1または第2の静圧気体軸受28、30の形成は、複数のセグメント44の第1のセグメント44aにおける第1の圧力での圧縮空気の吐出と、複数のセグメント44の少なくとも1つの第2のセグメント44b、44hにおける第2の圧力での圧縮空気の吐出とを含んでもよい。この場合、第1の圧力と第2の圧力は互いに異なる。
図1
図2
図3
図4
図5