(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】イーサネット接続による制御を提供する照明、音響、画像又は効果技術の装置用の内蔵モジュール
(51)【国際特許分類】
H04L 12/46 20060101AFI20250129BHJP
【FI】
H04L12/46 100B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023203521
(22)【出願日】2023-12-01
【審査請求日】2023-12-04
(32)【優先日】2023-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501016102
【氏名又は名称】ノイトリーク・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ゼーネル
(72)【発明者】
【氏名】フローリアーン ブルッチャー
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-147202(JP,A)
【文献】特開2022-147204(JP,A)
【文献】国際公開第2021/219541(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第113852529(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既製の物理的コンポーネントとして装置(14、15、16)に内蔵するために構成された、照明、音響、画像又は効果技術の制御可能な装置(14、15、16)用のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)であって、
前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)を前記装置(14、15、16)のハウジング(6)に内蔵できるようにするための固定措置(8)、特にそれぞれ前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)を装置(14、15、16)のハウジング(6)に固定するための固定手段を受容するために設けられた孔と、
それぞれ直列にイーサネット接続された複数の前記装置(14、15、16)のチェーンに前記装置(14、15、16)を統合するためのイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)、即ちイーサネットケーブルコネクタ(17)を前記装置(14、15、16)に内蔵された状態で差し込むための、共通フランジ部材によって提供された2つの外側スロット(3A、3B)を備えるデュアル機器コネクタ(2)と、
2つの前記外側スロット(3A、3B)の一方のスロットを介して供給されるデータ供給信号、特に電力供給信号を、2つの前記外側スロット(3A、3B)の他方のスロットと回路基板(30)のイーサネット接点インターフェース(9)とに分配するように構成された、前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)の回路基板(30)上に配置された分配器(10)であって、前記回路基板(30)の導体トラック(31)を介してイーサネット接点インターフェース(9)と接続されており、前記イーサネット接点インターフェース(9)は、前記装置(14、15、16)を制御する
ために回路基板(30)と前記装置(14、15、16)の制御エレクトロニクスとの装置内接続のための機械的処理又ははんだ付けによって接触可能な接点(32)を有する、分配器(10)と、
を有するイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項2】
前記外側スロット(3A、3B)、前記回路基板(30)のイーサネット接点インターフェース(9)、及び前記分配器(10)は、PoE又はPoDL技術で動作するように設計されている、請求項1に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項3】
前記外側スロット(3A、3B)、前記回路基板(30)のイーサネット接点インターフェース(9)、及び前記分配器(10)は、IEEE規格802.3の1つに従って動作するように構成されている、請求項1に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項4】
前記外側スロット(3A、3B)、前記回路基板(30)のイーサネット接点インターフェース(9)、及び前記分配器(10)は、異なるタイプの前記装置(14、15、16)の制御を提供するイーサネットプロトコルに従って動作するように構成されている、請求項1に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項5】
前記異なるタイプの1つは、照明、音響、画像及び効果技術の4つの分野の1つに属する第1の装置タイプであり、前記異なるタイプの別の1つは、照明、音響、画像及び効果技術の4つの分野のうち第1の装置タイプの分野とは異なる分野に属する第2の装置タイプである、請求項4に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項6】
前記外側スロット(3A、3B)は、それぞれRJ45又はSPEプラグソケットを有する、請求項1に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項7】
前記外側スロット(3A、3B)はそれぞれ、機械的にロック可能なプラグ接続が、相手部材として前記スロット(3A、3B)に適合されて各スロット(3A、3B)のハウジング(23)の差込み口(24)に導入可能なそれぞれのケーブルコネクタ(17)で正確に嵌入するように構成されており、ここで、前記スロット(3A、3B)はそれぞれ各ハウジング(23)内に配置されたプラグソケット(25)を有し、前記ハウジング(23)の前部、即ち前記ケーブルコネクタ(17)がそれぞれの前記差込み口(24)に接近できる側に面した部分は、プラグソケット(25)の少なくとも一部を一定距離をおいて取り囲んでいる、請求項1に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項8】
前記回路基板(30)の前記イーサネット接点インターフェース(9)は、RJ45又はSPEコネクタを有する、請求項1に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項9】
前記回路基板(30)は、前記装置(14、15、16)の制御ユニットに差し込むように構成されていて、ケーブル、特にFCC又はFPCケーブルを介して前記外側スロット(3A、3B)と接続されている、請求項1に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項10】
PCBプラグモジュールを有しており、これはケーブル、特にFCC又はFPCケーブルを介して前記回路基板(30)の前記イーサネット接点インターフェース(9)と接続されていて、前記装置(14、15、16)の制御ユニットに差し込むように設計されている、請求項1に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項11】
前面(4)を有しており、これは前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)が前記装置(14、15、16)に内蔵された状態で、前記装置(14、15、16)の前記ハウジング(6)のハウジング外面(5)の一部を形成するために設けられており、この前面(4)には2つの前記外側スロット(3A、3B)の各々について、それぞれの前記外側スロット(3A、3B)に導入可能なケーブルコネクタ(17)を受容するためのそれぞれ1つの差込み口が配置されている、請求項1に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項12】
共通取付け板と、前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)が前記装置(14、15、16)に内蔵された状態で前記装置(14、15、16)の内部に配置されるように設けられた別のハウジング部分を有しており、前記共通取付け板は、特に取付け板を前記装置(14、15、16)の前記ハウジング(6)に固定するための固定手段を受容する前記固定措置(8)を、特に孔の形態で備えている、請求項1に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項13】
前記デュアル機器コネクタ(2)の共通フランジ部材は、前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)の取付け板を提供するように構成されている、請求項12に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項14】
2つの前記外側スロット(3A)の一方の接点要素は、モジュール内で前記分配器(10)の信号入力(11)と接続されており、
前記信号入力(11)とは異なる前記分配器(10)の第1の信号出力(12)は、モジュール内で2つの前記外側スロット(3B)の他方の接点要素と接続されており、
前記信号入力(11)及び前記第1の信号出力(12)とは異なる前記分配器(10)の第2の信号出力(13)は、モジュール内で前記回路基板(30)の前記イーサネット接点インターフェース(9)と接続されている、請求項1から13のいずれか1項に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【請求項15】
電力入力信号を受信して、前記分配器(10)に電力を供給するための電力出力信号を提供する、前記分配器(10)と接続された電源部(27)を有しており、
前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)は更に、前記電源部(27)に前記電力入力信号を供給する外部電源を接続するために、前記電源部(27)と接続された別個の電力接続インターフェース(28)を有し、及び/又は
モジュール内で前記分配器(10)の前記信号入力(11)と接続されている、2つの前記外側スロットの一方のスロット(3A)は、更に前記電源部(27)と接続されていて、2つの前記外側スロットの一方のスロット(3A)を介して供給される入力信号が、データ伝送を提供するデータ信号成分(29A)と、前記電源部への電力供給を提供する電力信号成分(29B)とに分割され、前記電力信号成分(29B)は前記電源部(27)に供給され、データ信号成分(29B)は前記分配器(10)の前記信号入力(11)に供給されるように構成されている、請求項14に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明、音響、画像又は効果技術の切替え可能な装置用の、特に装置を複数の直列接続された装置のチェーンに統合するためのイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
照明、音響、画像又は効果技術の装置は、例えば電気・電子機器及び設備の形態で、舞台や劇場での上演、映画やテレビの制作、見本市やコンサートなどのイベントの実施のために中心的な役割を果たす。
【0003】
照明技術は、例えば印象的で変化に富んだ舞台像を作り上げたり、表現された雰囲気を効果的に強調したりするために、照明状況に影響を与える技術的方策を含む。切替え可能な照明技術の装置は、例えばスポットライト、ランプ、レーザー、LEDパネルなどの照明ユニットを含み、これらはしばしばチェーン状に相互に接続される。照明ユニットは、典型的には適応照明、例えばシーンに応じた照明のためのプログラム可能な照明システムの一部である。適応照明は、通常は例えばいわゆるコンソールを介して操作可能な照明コントローラーによって提供され、様々な照明ユニット(例えばステージスポットライト)の動作状態(例えばスイッチのオン/オフ、色の選択、強度)を制御する。
【0004】
音響技術は、音響信号を変換、処理、記録、再生するための技術の装置を含む。切替え可能な音響技術の装置は、例えばアンプやスピーカー、マイクロフォン、サウンドコントローラー、特殊な音響効果を発生させる装置、例えば残響装置を含む。画像技術は、プロジェクターやスクリーンなど画像を視覚的に表示するための技術の装置や、画像若しくは映像データを処理及び記録するための技術の装置を含む。様々な電気信号(例えばオーディオ、ビデオ)は、例えばミキシングコンソールを介して組み合わされ制御される。
【0005】
効果技術は、物理的又は化学的なプロセスを用いて特殊効果を生み出すための技術的装置を含む。頻繁に使用される効果装置は、例えば霧や煙や風の発生装置である。別の構成形態は、例えば火工装置、又は香りの要素を発生させる装置を含む。
【0006】
照明、音響、画像及び効果技術の種々の装置は、例えばそれぞれ中央分配器(いわゆるハブ)を介して個別に制御することができる。この種の設備及び制御は、固定設備によく使われる。
【0007】
装置は、直列に接続された複数の装置のチェーンの形態でも接続及び制御することができる。これは例えば「デイジーチェーン接続」とも呼ばれる(英語:Daisy Chain=ヒナギクの花輪)。この場合、最初の装置は、例えばコンピュータやバスなどの計算機と直接接続されている。それ以外の装置はそれぞれ先行又は後続の装置と直列に接続されていて、各装置間の信号伝送はその先行装置を介して計算機まで提供される。複数の装置の直列接続は、それによってケーブルの数を減らすことができるため、例えば仮設セット(コンサート、イベント、見本市など)によく用いられる。
【0008】
例えば回り舞台でプラグ接続を頻繁に外したり再び差し込んだりすることに加えて、装置に電力を供給したり、装置を制御装置に接続したりするためのプラグ接続も、動作中にしばしば強い機械的負荷にさらされる。例えば舞台上演では時間的プレッシャーが強く、可変性が求められるので、出演者やセット担当者はしばしば装備を乱暴に取り扱う。そのためセット担当者が、既に差し込まれているケーブルプラグ接続のハウジングに体重をかけたり、接続ケーブルを引っ張ったりすることはごく普通に行われる。それゆえ、ケーブルプラグ接続は通常、差し込んだ状態でも差し込んでない状態でも機械的作用と環境的影響に耐えられるよう特別に設計されている。更に、コネクタは誤って引き抜かれるのを防ぐためにしばしばロックされている。
【0009】
装置の制御は、通常はコマンド信号と、必要に応じて追加の電力信号を受信するためのアナログ接続によって行われる。このために、例えばいわゆるXLRコネクタ(キャノンコネクタとも呼ばれる)がよく使用される。XLRコネクタは、国際規格IEC61076-2-103で標準化されており、3ピン、4ピン及び5ピン仕様のXLRコネクタは、データ伝送の他に端末装置の電力供給にも提供できる。
【0010】
照明技術や効果装置の制御には、例えば5ピンXLRコネクタ用のいわゆるDMX(「デジタルマルチプレックス」)プロトコルがよく使われる。
【0011】
XLRコネクタは、例えば直列接続された装置のチェーンへの電力供給と、最大512又は1024の異なる制御チャンネルの伝送を可能にする。しかしながら、複雑に切替え可能な装置、例えば複数の異なる調光及び調色設定を有するステージスポットライトやLEDパネルの場合、及び/又は多くの直列接続された装置を使用する場合、XLRコネクタによるデータ及び電力伝送の可能性は、制御チャンネルの数が少なすぎるため制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
それゆえ、本発明の課題は、照明、音響、画像又は効果技術の切替え可能な装置の改良された制御を提供することである。
【0013】
特別な課題は、照明、音響、画像又は効果技術の多数の直列接続された装置のチェーンの改良された制御を提供することである。
【0014】
別の課題は、従来の照明、音響、画像又は効果技術の装置を複数の直列接続された装置チェーンに統合するために、これらの装置の制御を改良するための容易に実施できる拡張装備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題は、独立特許請求項の特徴の少なくとも一部を実現することによって解決される。本発明を代替的に又は有利に発展させる特徴は、独立特許請求項及び従属特許請求項のその他の幾つかの特徴に見て取ることができる。
【0016】
本発明によれば、より複雑な制御は、イーサネットを経由する信号伝送、及び必要に応じて電力供給によって提供される。イーサネットを経由する電力供給は、ネットワーク対応機器にイーサネットケーブルを介して電力を供給し、同時に同じイーサネットケーブルを介してネットワーク接続性を提供することを可能にする。したがって例えばデータとエネルギー供給のための電力を1本のケーブルで装置に伝送することができる。これによりそれぞれ装置の動作状態を制御/適応させる複雑な回路用に構成されている多数の装置の直列接続が可能になる。
【0017】
本発明は、既製の物理的コンポーネントとして装置に内蔵するために構成された、照明、音響、画像又は効果技術の制御可能な装置用のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールに関する。内蔵モジュールは、イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールを装置のハウジングに内蔵できるようにするための固定措置、例えばそれぞれイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールを装置のハウジングに固定するためのネジやピンなどの固定手段を受容するために設けられた孔を有する。更に、イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールは、直列にイーサネット接続された複数の装置のチェーンに装置を統合するためのイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール、即ちイーサネットケーブルコネクタを装置に内蔵された状態で差し込むための、共通フランジ部材によって提供された2つの外側スロットを備えるデュアル機器コネクタをそれぞれ有する。イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの回路基板上に配置された分配器は、2つの外側スロットの一方のスロットを介して供給されるデータ信号を、2つの外側スロットの他方のスロットと回路基板のイーサネット接点インターフェースに分配するように構成されている。特に、分配器は、2つの外側スロットの一方のスロットを介して供給されるデータ及び電力供給信号を、2つの外側スロットの他方のスロットと回路基板のイーサネット接点インターフェースとに分配するように構成することもできる。
【0018】
分配器は、回路基板の導体トラックを介してイーサネット接点インターフェースと接続されており、イーサネット接点インターフェースは、装置の制御(即ちデータ信号の伝送、及び特に電力供給)のために回路基板と装置の制御エレクトロニクスとの装置内接続のための機械的処理又ははんだ付けによって接触可能な接点を有する。
【0019】
照明、音響、画像若しくは効果技術は、それぞれ冒頭に記載したような技術的装置を指す。例えばイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールは、スポットライト、レーザー、LEDパネルなどの(例えばDMXで制御可能な)照明ユニットアクティブスピーカーやオーディオレコーダーなどの(例えばDante技術に基づく)オーディオ装置、ビデオウォール(LEDウォールなど)などの(例えばDante技術に基づく)ビデオ装置、アクティブスピーカーやオーディオレコーダーなどのオーディオレコーダー(Dante技術に基づくものなど)、ビデオウォール(例えばLEDウォール)、ビデオレコーダー、ビデオ処理装置などの(Dante技術に基づく)ビデオ装置、又は煙や霧や風の発生装置などの効果装置に内蔵するために構成されている。
【0020】
例えば外側スロット、回路基板のイーサネット接点インターフェース、及び分配器は、PoE又はPoDL技術で動作するように設計されている。
【0021】
PoEは、“Power over Ethernet”の略で、8線式イーサネットケーブルを介してネットワーク対応機器に電力を供給できる方法を指す。IEEE802.3で標準化された、それぞれ下位互換性のある変形の他に、幾つかの独自の方法や、シンプルな受動的変形がある。
【0022】
SPEとPoDLは、それぞれ“Single Pair Ethernet”と“Power over Data Line”の略で、1対のツイストペア線のみによるイーサネットベースのデータ及び電力伝送を表している。既存のSPE及びPoDLソリューションも、同様にIEEE802.3で標準化されている。PoE技術が少なくとも2対又は4対のワイヤペアを使用するのに対し、SPE若しくはPoDL技術は1対のワイヤペアのみで電気エネルギーの伝送を可能にする。PoDLには、例えばIEC61156に準拠した2心ケーブルが適している。
【0023】
一実施形態では、外側スロット、回路基板のイーサネット接点インターフェース、及び分配器は、IEEE規格802.3の1つ、例えば802.3、802.3af、802.3at、802.3bt、802.3buに従って動作するように構成されている。
【0024】
別の実施形態では、外側スロット、回路基板のイーサネット接点インターフェース、及び分配器は、異なるタイプの装置の制御(即ちデータ信号の伝送、及び特に電力供給)を提供するイーサネットプロトコルに従って動作するように構成されている。
【0025】
特に、異なるタイプの1つは、照明、音響、画像及び効果技術の4つの分野の1つに属する第1の装置タイプであり、異なるタイプの別の1つは、照明、音響、画像及び効果技術の4つの分野のうち第1の装置タイプの分野とは異なる分野に属する第2の装置タイプである。言い換えれば、イーサネットプロトコルは、照明、音響、画像及び効果技術の4つの分野から少なくとも2つの(異なる)分野間の接続性を提供する。例えばイーサネットプロトコルは、1つ以上のアクティブスピーカーと1つ以上のスポットライトを同じデイジーチェーンに統合して制御することを提供するように構成されている。
【0026】
別の実施形態では、外側スロットはそれぞれRJ45又はSPEプラグソケットを有する。
【0027】
広く使われている8ピンプラグは、専門家の間では「RJ45」プラグとして知られている。若干の用途では、標準化されたRJ45プラグは損傷及び故障しやすい。例えば誤って差し込むと接点が簡単に曲がったりずれたりするため、繰り返し挿抜するには適していない。プラスチック製ラッチ(スプリングアーム)が疲労して折れることがあり、その結果プラグがソケットにしっかり固着しなくなる。ケーブル自体は、ケーブルがプラグソケット内に進入する箇所でキンクが繰り返さると障害が生じやすくなる。更に、ケーブルは長手方向の負荷によってもプラグから引きちぎられることがある。プラグハウジングはプラスチックから成形されていて、例えば誤って踏んでしまうと、簡単に変形したり破損したりする。ここに挙げた欠点は、光ファイバーケーブルや電源ケーブル、及び他の多くのケーブル接続にも当てはまる。
【0028】
ステージ及びイベント技術、又はプラグ接続が過酷な条件にさらされる他の分野、例えば野外又は軍事分野では、そのために特別に設計されたケーブルと装置のプラグコネクタ装置が使用されて、例えば敏感なRJ45ケーブルと装置の接続、若しくは一般的に(例えば独自の設計で)接点要素を保護する。例えばノイトリックグループ(Neutrik Group)は、組立済みのRJ45ケーブルプラグ用のケーブルコネクタ保護具をNE8MCという名称で販売している。
【0029】
例えば本発明の意味で使用されるケーブルコネクタは、ハウジングと、半径方向に圧縮可能なクランプ部と、キンクプロテクターとを有する。ハウジングは多くの場合、スロットと、その相手部材としてスロットに適合されてスロットのハウジングの差込み口に導入可能なケーブルコネクタとの間に、機械的にロック可能なプラグ接続が提供されるように構成されている。クランプ部はハウジング内に収容され、(ケーブルに沿った)軸方向引張力に抗してハウジングと固定されており、ここで、半径方向に圧縮可能なクランプ部がケーブルを周囲から把持し、ケーブルを圧縮された状態でハウジング内に締め付けて固定している。この構成により、ケーブルコネクタ又はスロットと接続されたケーブルに作用する引張力の緩和が達成される。例えばクランプ部は半径方向に圧縮可能なクランプスリーブを有しており、これはユニオンナット又はクランプナットによって半径方向に圧縮される。キンクプロテクターは、ケーブルコネクタのハウジングの後部領域(ケーブルに向かって差込み口から離れた位置)に取り付けられてケーブルを安定化させ、ケーブルがキンクするリスクを最小限に抑える。例えばキンクプロテクターは、ケーブルを囲む硬質ゴム又はプラスチック製の補強材として形成されている。
【0030】
別の実施形態では、スロットはそれぞれ、機械的にロック可能なプラグ接続が、その相手部材としてスロットに適合されて各スロットのハウジングの差込み口に導入可能なそれぞれのケーブルコネクタで正確に嵌入するように構成されている。スロットはそれぞれ各ハウジング内に配置されたプラグソケットを有し、ハウジングの前部、即ちケーブルコネクタがそれぞれの差込み口に接近できる側に面した部分は、プラグソケットの少なくとも一部を一定距離をおいて取り囲んでいる。
【0031】
別の実施形態では、回路基板のイーサネット接点インターフェースは、RJ45又はSPEコネクタを有し、例えばRJ45又はSPEコネクタはケーブルで回路基板と接続されている。これは、例えば装置が既に対応する入力端子を備えている場合に有利である。
【0032】
代替的な実施形態として、回路基板は、装置の制御ユニット(例えばPCB)に差し込むように構成されていて、ケーブル、例えばFCC又はFPCケーブル(FCC:フレキシブルフラットケーブル、FPC:フレキシブルプリントケーブル)を介して外側スロットと接続されている。
【0033】
別の代替的な実施形態では、イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールは、PCBプラグモジュール(PCB:Printed Circuit Board)を有し、これはケーブル、例えばFCC又はFPCケーブルを介して回路基板のイーサネット接点インターフェースと接続され、装置の制御ユニット(例えばPCB)に差し込むように設計されている。
【0034】
基本的な実施形態では、回路基板のイーサネット接点インターフェースは単に、装置の制御ユニット、例えばピン、はんだ接合部、ケーブル端部に接続される(例えばはんだ付けされる又は締め付けられる)接点としてのみ提供される。接点は、例えばミリメートル未満の範囲の幅を有する(よく使用されるトラックは35μmの幅を有する)導体トラックとは対照的に、接点の手作業、機械的処理又ははんだ付けによる接触を可能にするように寸法設定されている。例えば接点は1つの空間方向に少なくとも1~2ミリメートル延びている。
【0035】
別の実施形態では、イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールは、前面を有しており、これはイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールが装置に内蔵された状態で、装置のハウジングのハウジング外面の一部を形成するために設けられており、この前面には2つの外側スロットの各々に対して、それぞれの外側スロットに導入可能なケーブルコネクタを受容するためのそれぞれ1つの差込み口が配置されている。例えばイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの前面の形状及び大きさは、装置に設けたイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの設置開口部に適合されていて、内蔵後に前面が装置のハウジングのハウジング外面を共に(例えば継ぎ目なく)形成するようになっている。
【0036】
共通取付け板は、取付け板を装置のハウジングに固定するための固定手段、例えば、ねじを受容する固定措置を、例えば孔の形態で備えている。
【0037】
別の実施形態では、デュアル機器コネクタの共通フランジ部材は、イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの取付け板を提供するように構成されている。したがって共通フランジ部材は、例えば装置のハウジング開口部に受容されるのに必要な形状を有することができ、ハウジング開口部に内蔵後にフランジ部材の外側は装置のハウジングのハウジング外面を装置のその他の形状に従って共に形成する。
【0038】
別の実施形態では、2つの外側スロットの一方の接点要素は、モジュール内(即ちイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの内部)で分配器の信号入力と接続されている。更に、信号入力とは異なる分配器の第1の信号出力は、モジュール内で2つの外側スロットの他方の接点要素と接続され、信号入力及び第1の信号出力とは異なる分配器の第2の信号出力は、モジュール内で回路基板のイーサネット接点インターフェースと接続されている。
【0039】
別の実施形態では、イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールは、電力入力信号を受信して、分配器に電力を供給するための電力出力信号を提供する、分配器と接続された電源部を有する。イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールは、例えば電源部に電力入力信号を供給する外部電源と接続するために、電源部と接続された別個の電力接続インターフェースを有する。代替として、又は別個の電力接続インターフェースと組み合わせても、モジュール内で分配器の信号入力と接続されている、2つの外側スロットの一方のスロットは、更に電源部と接続されていて、2つの外側スロットの一方のスロットを介して供給される入力信号が、データ伝送を提供するデータ信号成分と、電源部への電力供給を提供する電力信号成分とに分割され、電力信号成分は電源部に供給され、データ信号成分は分配器の信号入力に供給されるように構成されている。
【0040】
本発明によるイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールを、以下に図面に概略的に示す実施形態によって全く例示的に詳細に説明する。図面中、同一の要素には同一の参照符号が付されている。説明される実施形態は、一般に縮尺通りに示されておらず、また、発明を制限するものとして理解されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、本発明によるイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、2つの外側スロット、内部イーサネット出力インターフェース、及び分配器の例示的な内部接続の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明によるイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールを、直列にイーサネット接続された複数の装置のチェーンに装置を統合するために応用する例を示す図である。
【
図4】
図4は、照明、音響、画像及び効果技術の4つの分野の異なる分野に属する装置を、直列にイーサネット接続された複数の装置の同一のチェーンに統合できるようにするための本発明によるイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの別の応用例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明によるイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールと共に使用するケーブルコネクタの例示的な実施形態を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明によるイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの2つの外側スロットの1つとして使用するスロットの例示的な実施形態を示す図である。
【
図7】
図7は、外部電源を接続するために電源部と接続された電力接続インターフェースによって、本発明による分配器に電力を供給するための電源部の回路の概略図である。
【
図8】
図8は、本発明による分配器に電力を供給するための電源部の別の回路の概略図であり、入力スロットを介して供給される入力信号はデータ信号成分と電力信号成分に分割される。
【
図9】
図9は、本発明によるイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの回路基板上の分配器の概略的な配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明によるイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール1の例示的な実施形態を示している。イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール1は、2つの外側スロット3A、3Bを提供するデュアル機器コネクタ2を有する。図示の例では、デュアル機器コネクタ2のフランジ部材は、イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール1の共通の取付け板を提供し、装置に内蔵された状態でフランジ部材の外面4が装置のハウジング6のハウジング外面5の一部を形成するように形成されている。イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール1は、更に別のハウジング部分7を有しており、これらは内蔵モジュール1を装置に内蔵した後で装置の内部に配置されている。デュアル機器コネクタ2のフランジ部材は、固定措置としてフランジ部材を装置のハウジング6にねじ止めするための孔8を有する。
【0043】
図示の例では、フランジ部材/取付け板の形状及び大きさは、装置のハウジング6に設けたイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの取付け開口部に適合されていて、フランジ部材/取付け板の外面4(イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの前面)は、内蔵後に装置のハウジング6のハウジング外面5を継ぎ目なく形成する。
【0044】
2つの外側スロット3A、3Bは、イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール1の回路基板のイーサネット接点インターフェース9に接続されており、これは装置を制御するためにイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール1と装置の制御エレクトロニクスとの装置内接続のための内部イーサネット出力インターフェースを提供する。2つの外側スロット3A、3Bと回路基板の(内部)イーサネット接点インターフェース9との間には分配器(図示せず、
図2参照)が接続されており、これは2つの外側スロット3A、3Bの一方のスロットを介して供給されたデータ及び電力供給信号を、2つの外側スロット3A、3Bの他方のスロットと内部イーサネット接点インターフェース9とに分配するように構成されている。分配器は、例えばPoE又はPoDLスイッチとして設計されている。
【0045】
図2は、
図1のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール1の概略図と、2つの外側スロット3A、3Bと回路基板のイーサネット接点インターフェース9と分配器10との例示的な内部接続を示している。
【0046】
2つの外側スロットの一方のスロットは入力スロット3Aとも呼ばれ、モジュール内で分配器10の信号入力11と接続されている。信号入力11とは異なる分配器10の第1の信号出力12は、出力スロット3Bとも呼ばれる、2つの外側スロットの他方のスロットとモジュール内で接続され、信号入力11及び第1の信号出力12とは異なる分配器10の別の信号出力13は、モジュール内で回路基板のイーサネット接点インターフェース9と接続されている。
【0047】
本発明によるイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールを装備された装置は、例えば劇場やコンサートイベントで使用され、
図3及び
図4に概略的に示すように、多数の装置を直列にイーサネット接続された装置チェーンに統合するために用いる。
【0048】
図3は、イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールが、照明、音響、画像及び効果技術の4つの分野の同じ分野に属する、直列にイーサネット接続された装置のチェーン、ここでは例えば照明ユニット14のチェーンを形成するための接続性を提供する実施形態を示している。イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールのイーサネットベースの構造は、多数の複雑な切替え可能な装置、例えばそれぞれ調光や調色設定のための多数の切替え可能な構成可能性を有するステージスポットライトやLEDパネルの直列制御を可能にする。
【0049】
図4は、イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールが、照明、音響、画像及び効果技術の4つの分野の異なる分野に属する装置間の接続性を提供する別の実施形態を示す。図示の例では、イーサネット機器コネクタ内蔵モジュールは、照明ユニット14、オーディオ装置15、ここではスピーカー、及び効果装置16、ここでは風発生器の直列にイーサネット接続されたチェーンを提供するために構成されている。
【0050】
図5は、本発明によるイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールと共に使用するケーブルコネクタ17の例示的な実施形態を示している。ケーブルコネクタ17は、ここでは既製のRJ45ケーブルコネクタ18のためのケーブルコネクタ保護具として設計されており、スロットのプラグソケット(
図6参照)に差し込むために設計されたハウジング19を有する。RJ45ケーブルプラグ18は、プラグ構成を組み立てた状態でハウジング19の内部に収容され、クランプ部によって固定されている。この場合、クランプ部は半径方向に圧縮可能なコレットチャックを有しており、これがケーブルを周囲から把持し、圧縮された状態でケーブルをコレットチャック内で締め付けて固定する。組み立てられた状態でハウジング19とクランプ部とケーブルは互いに締め付けて、ケーブルの心線に作用する引張力の緩和を生み出す。
【0051】
ハウジング19の後端、即ちケーブル側には、更にいわゆるキンクプロテクター20が取り付けられていて、ケーブルコネクタ17に差し込まれたケーブルを安定化させ、ケーブルがキンクするリスクを最小限に抑える。
【0052】
更に、ハウジング19は、典型的にはケーブルコネクタ17がスロットから意図せず引き抜かれるのを防止するためのロック機構の一部を備えている。図示の例では、このためにハウジング19は、ケーブルコネクタ17をスロットから取り外し可能に接続するためのスナップラッチ若しくはスプリングラッチ相手部材21を有する。例えばスロットのスプリングラッチは、固定のためにハウジング19の外側からスナップラッチ若しくはスプリングラッチ相手部材21によって提供された凹部に進入して係合する。スナップラッチ若しくはスプリングラッチ相手部材、又はアンダーカットのために別途設けられた切欠き部は、ケーブルコネクタの上側に配置されていることが好ましい。
【0053】
機器コネクタと堅牢かつロック可能に接続するためのこのようなケーブルコネクタの公知の例は、ノイトリックグループがNE8MCという商品名で販売している、既製のRJ45ケーブルコネクタ用のケーブルコネクタ保護のためのプラグ構成である。
【0054】
図6は、単一の機器コネクタ22の例示的な実施形態を示しており、これは本発明の意味におけるデュアル機器コネクタのそれぞれのスロット3A、3Bと実質的に同じ特徴を有する。この機器コネクタは、相補的なケーブルコネクタ(
図5参照)用の差込み口24を有するハウジング23を含む。プラグソケット25、ここでは例示的に既製のRJ45は、ハウジング23内に配置されており、ハウジング23はプラグソケット25を前部、即ちケーブルコネクタが差込み口24に接近する側で一定距離をおいて取り囲んでいる。更に、ハウジング23には、機器コネクタ22に差し込まれたケーブルコネクタが意図せず引き抜かれるのを防止するためのロック機構の作動要素26が配置されている。
【0055】
例えば、ケーブルコネクタをロックするためにケーブルコネクタに配置されたラッチ相手部材(
図5参照)に進入係合して閉鎖位置に付勢されたロックアームは、作動要素26によってロック解除される。作動要素26は、例えば操作タブでハウジング23の差込み端を越えて前方に突出しており、使用者が容易に掴んで操作できるようになっている。作動要素26(及び典型的にはそれと協働するロック機構)は、機器コネクタ22の上側に配置されていることが好ましい。
【0056】
図7と
図8は、分配器に電力を供給するための電源部27の2つの可能な回路の概略図を示しており、2つの外側スロット3A、3B、回路基板のイーサネット接点インターフェース9、及び分配器は
図2と同様に配置されている。
【0057】
図7に示す実施形態では、イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール1’は、電源部27に電力入力信号を供給するための外部電源を接続するために、電源部27と接続された別個の電力接続インターフェース28を有する。例えばイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール1’を装備される装置は固有の電源を有し、電力接続インターフェース28は装置の装置内電力出力と接続されている。別の実施形態では、電力接続インターフェース28は、例えばイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール1’が装置に内蔵された状態で外部から接近可能であり、それによって装置からも独立した電源接続の可能性を提供する。
【0058】
図8に示すイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール1”の実施形態では、入力スロット3Aは、モジュール内で分配器の信号入力11、及び電源部27と接続されている。入力スロット3Aを介して供給される入力信号は、データ信号成分29Aと電力信号成分29Bとに分割され、電力信号成分29Bは電源部27に供給され、電源部27によって分配器10に電力を供給するために使用される。
【0059】
図9は、本発明によるイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの回路基板30上の分配器10の配置を概略的に示しており、分配器10は回路基板30の導体トラック31を介してイーサネット接点インターフェース9と接続されている。このイーサネット接点インターフェース9は、回路基板30と装置の制御エレクトロニクスとの装置内接続のための機械的処理又ははんだ付けによって接触可能な接点32を提供する。図示の例では、イーサネット接点インターフェース9の接点32は、基本的に機械的処理又ははんだ付けによる接続を(「手作業で」)確立するための接点として設計されている。接点32は厚さ数マイクロメートルの薄い導体トラック31とは対照的に、例えば少なくとも2×4mmの矩形の形状を有している。
【0060】
別の実施形態(図示せず)では、イーサネット接点インターフェース9は、接点32が導体トラック31と接続されたRJ45又はSPEコネクタによって提供されるように構成されている。代替的に、イーサネット接点インターフェース9はケーブルを介して、装置の回路基板に差し込むためのPCBプラグモジュールと接続されているか、又はイーサネット機器コネクタ内蔵モジュールの回路基板9自体が、装置の回路基板(例えば装置のメインPCB)に差し込むためのプラグモジュールとして設計されている。
【0061】
これらの示された図は、可能な実施例を概略的に表現したに過ぎないことを理解されたい。種々の方策は互いに組み合わせたり、従来技術の方法と組み合わせたりすることも可能である。
本明細書に開示される発明は以下を含む。
[態様1]
既製の物理的コンポーネントとして装置(14、15、16)に内蔵するために構成された、照明、音響、画像又は効果技術の制御可能な装置(14、15、16)用のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)であって、
前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)を前記装置(14、15、16)のハウジング(6)に内蔵できるようにするための固定措置(8)、特にそれぞれ前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)を装置(14、15、16)のハウジング(6)に固定するための固定手段を受容するために設けられた孔と、
それぞれ直列にイーサネット接続された複数の前記装置(14、15、16)のチェーンに前記装置(14、15、16)を統合するためのイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)、即ちイーサネットケーブルコネクタ(17)を前記装置(14、15、16)に内蔵された状態で差し込むための、共通フランジ部材によって提供された2つの外側スロット(3A、3B)を備えるデュアル機器コネクタ(2)と、
2つの前記外側スロット(3A、3B)の一方のスロットを介して供給されるデータ供給信号、特に電力供給信号を、2つの前記外側スロット(3A、3B)の他方のスロットと回路基板(30)のイーサネット接点インターフェース(9)とに分配するように構成された、前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)の回路基板(30)上に配置された分配器(10)であって、前記回路基板(30)の導体トラック(31)を介してイーサネット接点インターフェース(9)と接続されており、前記イーサネット接点インターフェース(9)は、前記装置(14、15、16)を制御するために回路基板(30)と前記装置(14、15、16)の制御エレクトロニクスとの装置内接続のための機械的処理又ははんだ付けによって接触可能な接点(32)を有する、分配器(10)と、
を有するイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様2]
前記外側スロット(3A、3B)、前記回路基板(30)のイーサネット接点インターフェース(9)、及び前記分配器(10)は、PoE又はPoDL技術で動作するように設計されている、態様1に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様3]
前記外側スロット(3A、3B)、前記回路基板(30)のイーサネット接点インターフェース(9)、及び前記分配器(10)は、IEEE規格802.3の1つに従って動作するように構成されている、態様1又は2に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様4]
前記外側スロット(3A、3B)、前記回路基板(30)のイーサネット接点インターフェース(9)、及び前記分配器(10)は、異なるタイプの前記装置(14、15、16)の制御を提供するイーサネットプロトコルに従って動作するように構成されている、態様1から3のいずれか一つに記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様5]
前記異なるタイプの1つは、照明、音響、画像及び効果技術の4つの分野の1つに属する第1の装置タイプであり、前記異なるタイプの別の1つは、照明、音響、画像及び効果技術の4つの分野のうち第1の装置タイプの分野とは異なる分野に属する第2の装置タイプである、態様4に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様6]
前記外側スロット(3A、3B)は、それぞれRJ45又はSPEプラグソケットを有する、態様1から5のいずれか一つに記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様7]
前記外側スロット(3A、3B)はそれぞれ、機械的にロック可能なプラグ接続が、相手部材として前記スロット(3A、3B)に適合されて各スロット(3A、3B)のハウジング(23)の差込み口(24)に導入可能なそれぞれのケーブルコネクタ(17)で正確に嵌入するように構成されており、ここで、前記スロット(3A、3B)はそれぞれ各ハウジング(23)内に配置されたプラグソケット(25)を有し、前記ハウジング(23)の前部、即ち前記ケーブルコネクタ(17)がそれぞれの前記差込み口(24)に接近できる側に面した部分は、プラグソケット(25)の少なくとも一部を一定距離をおいて取り囲んでいる、態様1から6のいずれか一つに記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様8]
前記回路基板(30)の前記イーサネット接点インターフェース(9)は、RJ45又はSPEコネクタを有する、態様1から7のいずれか一つに記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様9]
前記回路基板(30)は、前記装置(14、15、16)の制御ユニットに差し込むように構成されていて、ケーブル、特にFCC又はFPCケーブルを介して前記外側スロット(3A、3B)と接続されている、態様1から7のいずれか一つに記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様10]
PCBプラグモジュールを有しており、これはケーブル、特にFCC又はFPCケーブルを介して前記回路基板(30)の前記イーサネット接点インターフェース(9)と接続されていて、前記装置(14、15、16)の制御ユニットに差し込むように設計されている、態様1から7のいずれか一つに記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様11]
前面(4)を有しており、これは前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)が前記装置(14、15、16)に内蔵された状態で、前記装置(14、15、16)の前記ハウジング(6)のハウジング外面(5)の一部を形成するために設けられており、この前面(4)には2つの前記外側スロット(3A、3B)の各々について、それぞれの前記外側スロット(3A、3B)に導入可能なケーブルコネクタ(17)を受容するためのそれぞれ1つの差込み口が配置されている、態様1から10のいずれか一つに記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様12]
共通取付け板と、前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)が前記装置(14、15、16)に内蔵された状態で前記装置(14、15、16)の内部に配置されるように設けられた別のハウジング部分を有しており、前記共通取付け板は、特に取付け板を前記装置(14、15、16)の前記ハウジング(6)に固定するための固定手段を受容する前記固定措置(8)を、特に孔の形態で備えている、態様1から11のいずれか一つに記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様13]
前記デュアル機器コネクタ(2)の共通フランジ部材は、前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)の取付け板を提供するように構成されている、態様12に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様14]
2つの前記外側スロット(3A)の一方の接点要素は、モジュール内で前記分配器(10)の信号入力(11)と接続されており、
前記信号入力(11)とは異なる前記分配器(10)の第1の信号出力(12)は、モジュール内で2つの前記外側スロット(3B)の他方の接点要素と接続されており、
前記信号入力(11)及び前記第1の信号出力(12)とは異なる前記分配器(10)の第2の信号出力(13)は、モジュール内で前記回路基板(30)の前記イーサネット接点インターフェース(9)と接続されている、態様1から13のいずれか一つに記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。
[態様15]
電力入力信号を受信して、前記分配器(10)に電力を供給するための電力出力信号を提供する、前記分配器(10)と接続された電源部(27)を有しており、
前記イーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)は更に、前記電源部(27)に前記電力入力信号を供給する外部電源を接続するために、前記電源部(27)と接続された別個の電力接続インターフェース(28)を有し、及び/又は
モジュール内で前記分配器(10)の前記信号入力(11)と接続されている、2つの前記外側スロットの一方のスロット(3A)は、更に前記電源部(27)と接続されていて、2つの前記外側スロットの一方のスロット(3A)を介して供給される入力信号が、データ伝送を提供するデータ信号成分(29A)と、前記電源部への電力供給を提供する電力信号成分(29B)とに分割され、前記電力信号成分(29B)は前記電源部(27)に供給され、データ信号成分(29B)は前記分配器(10)の前記信号入力(11)に供給されるように構成されている、態様14に記載のイーサネット機器コネクタ内蔵モジュール(1、1’、1”)。