(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】発光素子、材料選別方法及び表示パネル
(51)【国際特許分類】
H10K 50/12 20230101AFI20250129BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20250129BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20250129BHJP
H10K 50/18 20230101ALI20250129BHJP
H10K 71/70 20230101ALI20250129BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20250129BHJP
H10K 85/00 20230101ALI20250129BHJP
H10K 101/10 20230101ALN20250129BHJP
H10K 101/40 20230101ALN20250129BHJP
【FI】
H10K50/12
H10K50/15
H10K50/16
H10K50/18
H10K71/70
H10K59/10
H10K85/00
H10K101:10
H10K101:40
(21)【出願番号】P 2023519059
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 CN2021117824
(87)【国際公開番号】W WO2022127218
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】202011476865.7
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520032974
【氏名又は名称】云谷(固安)科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】高宇
(72)【発明者】
【氏名】劉孟宇
(72)【発明者】
【氏名】黄智
(72)【発明者】
【氏名】王曉文
(72)【発明者】
【氏名】劉俊哲
(72)【発明者】
【氏名】孫佳欣
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016788(JP,A)
【文献】特表2013-505565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト材料及びゲスト材料を含む発光層を有し、
キャリアが前記発光層に注入された時、前記ホスト材料と前記ゲスト材料との間に欠陥エネルギーEtを有し、前記欠陥エネルギーEtの絶対値が0.03eV以上であり、
前記欠陥エネルギーEtの絶対値の数値範囲は、0.03eV~0.08eVであり、
発光素子は、前記発光層の正孔注入側に設置されている正孔輸送層をさらに含み、
前記ホスト材料の活性化エネルギーと前記正孔輸送層の活性化エネルギーとの間に第1の活性化エネルギー差ΔEa
1を有し、前記第1の活性化エネルギー差ΔEa
1の絶対値
の数値範囲は0.1eV~0.3eVであり、
前記発光素子は、前記正孔輸送層と前記発光層との間に設置されている補償層をさらに含み、
前記発光層の正孔注入方向において、前記補償層の活性化エネルギーは前記正孔輸送層の活性化エネルギーと前記ホスト材料の活性化エネルギーとの間にある、
発光素子。
【請求項2】
前記発光層はリン光発光層であり、前記ゲスト材料はリン光発光材料であり、
前記発光層の発光色は赤色又は緑色のいずれかの色光の原色である、
請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記発光素子は、前記発光層の電子注入側に設置されている電子輸送層をさらに含み、
前記ホスト材料の活性化エネルギーと前記電子輸送層の活性化エネルギーとの間に第2の活性化エネルギー差ΔEa
2を有し、前記第2の活性化エネルギー差ΔEa
2の絶対値の数値範囲は0.1eV~0.3eVであり、
前記発光素子は、前記電子輸送層と前記発光層との間に設置されている正孔ブロック層をさらに含み、
前記発光層の電子注入方向において、前記正孔ブロック層の活性化エネルギーは前記電子輸送層の活性化エネルギーと前記ホスト材料の活性化エネルギーとの間にある、
請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項4】
緑色又は赤色の発光素子の発光層材料を選別する材料選別方法であって、
複数組の発光材料セットを配置し、各前記発光材料セットはホスト材料及びゲスト材料を含み、各二組の前記発光材料セットが含んでいる前記ホスト材料、前記ゲスト材料のうちの少なくとも一つが互いに異なるステップと、
各組の前記発光材料セットを発光層材料とし、それぞれ発光層を有する複数のシングルキャリア素子を作製するステップと、
各組の前記発光材料セットに対応する前記シングルキャリア素子において、前記ホスト材料と前記ゲスト材料との間の欠陥エネルギーEt
iを取得するステップと、
各組の前記発光材料セットに対応する前記欠陥エネルギーEt
iに基づいて、前記複数組の発光材料セットから目標発光材料セットを選別して、前記発光素子の発光層材料とするステップと、を含み、
各組の前記発光材料セットに対応する前記欠陥エネルギーEt
iに基づいて、前記複数組の発光材料セットから目標発光材料セットを選別して、前記発光素子の発光層材料とするステップは、
第1の基準欠陥状態エネルギーEt
aに基づいて前記目標発光材料セットを選別すること、を含み、
前記第1の基準欠陥状態エネルギーEt
aの絶対値の数値範囲は0.03eV~0.08eVであり、
前記シングルキャリア素子は正孔オンリー素子であり、前記シングルキャリア素子は前記発光層に積層設置されかつ前記発光層の正孔注入側に位置する正孔輸送層をさらに含み、各前記シングルキャリア素子の前記正孔輸送層は同じであり、
前記発光素子の正孔輸送層は各前記シングルキャリア素子の正孔輸送層と同じであり、
前記ホスト材料の活性化エネルギーと前記正孔輸送層の活性化エネルギーとの間に第1の活性化エネルギー差ΔEa
1を有し、前記第1の活性化エネルギー差ΔEa
1の絶対値の数値範囲は0.1eV~0.3eVであり、
前記発光素子は、前記正孔輸送層と前記発光層との間に設置されている補償層をさらに含み、
前記発光層の正孔注入方向において、前記補償層の活性化エネルギーは前記正孔輸送層の活性化エネルギーと前記ホスト材料の活性化エネルギーとの間にある、
材料選別方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光素子を含む、
表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年12月15日に提出された名称「発光素子、材料選別方法及び表示パネル」である中国特許出願第202011476865.7号の優先権を要求し、当該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、表示技術分野に関し、具体的には発光素子、材料選別方法及び表示パネルに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode、OLED)表示パネルはハイライト表示方向への発展傾向があるため、ハイライト表示状態での発光素子の発光効率を向上させる必要がある。一般的に、発光素子の開口面積を大きくして発光効率を向上させるには、代償として画素密度を犠牲にしなければならず、またそれに伴い表示パネルの消費電力が上昇し、それにより表示パネルの使用性能に影響を与え、使用コストを上昇させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、発光装置を提供し、発光装置は、ホスト材料及びゲスト材料を含む発光層を有し、ここで、キャリアが発光層に注入された時、ホスト材料とゲスト材料との間に欠陥エネルギーEtを有し、欠陥エネルギーEtの絶対値が0.03eV以上である。
【0005】
本願に係る発光素子は、ハイライト表示状態での発光効率は向上しても発光素子の動作電圧は低下し、表示パネルのハイライト状態での表示品質を保証すると同時に、表示パネルの全体の消費電力を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る材料選別方法は、緑色又は赤色の発光素子の発光層材料を選別することに用いられ、材料選別方法は、複数組の発光材料セットを配置し、各発光材料セットはホスト材料及びゲスト材料を含み、各二組の発光材料セットが含むホスト材料、ゲスト材料のうちの少なくとも一つが互いに異なるステップと、各組の発光材料セットを発光層材料とし、それぞれ発光層を有する複数のシングルキャリア素子を作製するステップと、各組の発光材料セットに対応するシングルキャリア素子において、ホスト材料とゲスト材料との間の欠陥エネルギーEtiを取得するステップと、各組の発光材料セットに対応する欠陥エネルギーEtiに基づいて、複数組の発光材料セットから目標発光材料セットを選別して発光素子の発光層材料とするステップと、を含む。
【0007】
本願に係る材料選別方法で選別された発光層材料は、発光素子がハイライト表示状態で発光効率を向上させて、消費電力を低下させることができ、表示パネルのハイライト表示状態での表示品質及び表示効果を保証し、同時に表示パネルの全体的な消費電力を減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願の一つの実施例における発光素子の発光層の正孔注入側の各機能層の活性化エネルギーのエネルギー準位の関係図である。
【
図2】本願の他の実施例における発光素子の発光層の電子注入側の各機能層の活性化エネルギーのエネルギー準位の関係図である。
【
図3】本願の1セットの比較実験における発光素子の発光効率と発光輝度との関係グラフである。
【
図4】本願の1セットの比較実験における発光素子の動作電圧と発光効率の関係グラフである。
【
図5】本願の一つの実施例における材料選別方法のステップフローチャートである。
【
図6】本願の他の実施例における材料選別方法のステップフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願をよりよく理解するために、以下に
図1~
図6を参照して本願の実施形態が提供する発光素子、材料選別方法及び表示パネルを詳細に説明する。
【0010】
発明者らは、鋭意研究により、表示パネルがハイライト表示の方向へ発展している状況において、発光素子はハイライト表示状態でそのロールオフ状況が深刻になることを発見した。一般的なロールオフ状況とは、発光素子は電流密度が持続的に増大する過程において、発光効率が徐々に最大値まで増大した後に低下する現象を指す。発光効率が低下する段階で、発光効率の低下速度が速いほど、ロールオフ状況が深刻になることを表す。ロールオフ状況が深刻になったことは、表示パネルのハイライト表示品質に影響を与えるだけでなく、低発光効率で表示パネルの消費電力を増大させ、表示パネルの使用性能及び寿命に影響を与える。
【0011】
一般的に、発光素子の画素開口面積を増加させることにより発光素子の実際の輝度を低下させて表示パネルの輝度を向上させ、上記方法は表示パネルの高画素密度を犠牲にしなければならず、全体的な発光素子の性能の向上を効果的に実現することが困難である。
【0012】
したがって、本願の一態様は発光素子を提供し、当該発光素子は、ホスト材料及びゲスト材料を含む発光層を有する。キャリアが発光層に注入された時、ホスト材料とゲスト材料との間に欠陥エネルギーEtを有し、欠陥エネルギーEtの絶対値が0.03eV以上である。
【0013】
本願の発光素子は、ハイライト表示状態での発光効率を向上させ、同時に発光素子の動作電圧を低下させ、さらに発光素子自体の電力消費を低減し、それにより表示パネル全体の消費電力の低減を実現することができる。
【0014】
一つの実施例において、発光素子の発光層はリン光発光層であり、ここで、ゲスト材料はリン光発光材料である。これらの実施例において、発光層の発光色は青色、赤色又は緑色などであってもよい。
【0015】
他の実施例において、発光素子の発光層はリン光発光層であり、ゲスト材料はリン光発光材料であり、ホスト材料はリン光発光ホスト材料であり、かつ発光層の発光色は赤色又は緑色のいずれかの原色である。
【0016】
発明者は緑色の発光素子及び赤色の発光素子を研究して、発光素子の発光層はホスト材料及びゲスト材料を含むことを発見した。一般的にゲスト材料はホスト材料にドープされ、発光素子が通電して発光するプロセスにおいて、電子及び正孔はそれぞれ電子注入方向及び正孔注入方向から発光層に注入され、ゲスト材料はホスト材料に対するキャリアトラップを形成するため、電子及び正孔は先にホスト材料に注入されにくくゲスト材料に直接注入されやすく、キャリアはゲスト材料に結合して励起子発光を形成する。上記キャリアトラップは、キャリアをトラップし、即ち正孔及び電子をトラップする能力を有するため、キャリアがホスト材料に注入される時に、キャリアトラップを克服する必要なエネルギーが欠陥エネルギーEtである。キャリアが発光層に注入されると理解される場合、ホスト材料とゲスト材料との間に欠陥エネルギーEtを有する。発明者は、研究した上で、欠陥エネルギーEtを一定の所定範囲内に制御することで、発光素子の発光効率を向上できると同時に、発光素子の全体の性能を保証できることが分かった。
【0017】
いくつかの選択可能な実施例において、欠陥エネルギーEtの絶対値の数値範囲は0.03eV~0.08eVである。
【0018】
本願の実施例において、第1の基準欠陥状態エネルギーEtaの絶対値範囲を取得することは以下のステップを採用することができる。
【0019】
S01、複数の試験単色発光素子を作製し、試験単色発光素子が単色発光層を試験し、各試験単色発光素子の発光層材料は互いに異なり、残りの機能層の構造及び機能層材料はいずれも同じである。
【0020】
各試験単色発光素子の発光層材料は、ホスト材料とゲスト材料とを含む。
【0021】
S02、各試験単色発光素子の試験パラメータを取得し、かつ第1の基準試験パラメータを利用して複数の目標試験単色発光素子を選別する。
【0022】
いくつかの実施例において、第1の基準試験パラメータは発光素子の発光効率パラメータである。
【0023】
S03、各目標試験単色発光素子において、キャリアを各目標試験単色発光素子の発光層に注入される時に各発光層のホスト材料とゲスト材料との間の欠陥エネルギーEtjを取得し、j≧1であり、jは整数である。
【0024】
第1の基準欠陥状態エネルギーEtaの絶対値範囲は、複数のEtjに基づいて決定される。
【0025】
ホスト材料とゲスト材料との間の欠陥エネルギーEtは以下の式に基づいて計算することができる。
Et=mkT 式(1)
m=logJ/logV 式(2)
【0026】
式(1)及び式(2)において、Etは欠陥エネルギーであり、Jは電流密度であり、Vはプリセットの電圧であり、kはボルツマン定数であり、Tはプリセットの温度である。
【0027】
いくつかの例において、発光素子の発光層を含むシングルキャリア素子を作製し、上記発光層はホスト材料及びゲスト材料を含む。そして、シングルキャリア素子に対して通電試験を行い、シングルキャリア素子のプリセットの温度でのI-V曲線、即ち電流-電圧曲線を取得する。電流-電圧曲線に基づいて、上記式(1)及び式(2)を用いてホスト材料とゲスト材料との間の欠陥エネルギーEtを計算する。
【0028】
いくつかの選択可能な実施例において、発光素子はさらに発光層の正孔注入側に設置されている正孔輸送層を含み、ホスト材料の活性化エネルギーと正孔輸送層の活性化エネルギーとの間に第1の活性化エネルギー差ΔEa1を有し、第1の活性化エネルギー差ΔEa1の絶対値の数値範囲は0.1eV~0.3eVである。
【0029】
図1を参照すると、ホスト材料の活性化エネルギーと正孔輸送層の活性化エネルギーとの間に第1の活性化エネルギー差ΔEa
1を有し、第1の活性化エネルギー差は、ΔEa
1>0eVを満たす。即ち、発光層の正孔注入方向において、ホスト材料の活性化エネルギーが正孔輸送層の活性化エネルギーよりも大きい。いくつかの例において、第1の活性化エネルギー差ΔEa
1の数値範囲は0.1eV~0.3eVである。これらの例において、ΔEa
1の値が上記合理的な範囲にある場合に、ΔEa
1の値が小さいと大量の正孔が発光層に蓄積して発光素子の発光性能に影響を与えることを回避し、ΔEa
1の値が大きいと正孔の移動に影響を与えることを回避する。
【0030】
これらの選択可能な実施例において、発光素子は、正孔輸送層と発光層との間に設置されている補償層をさらに含む。発光層の正孔注入方向において、補償層の活性化エネルギーは正孔輸送層の活性化エネルギーとホスト材料の活性化エネルギーとの間にある。補償層の活性化エネルギーは、正孔輸送層の活性化エネルギーとホスト材料の活性化エネルギーとの間にある。
【0031】
他の実施例において、発光層の正孔注入方向において、補償層の活性化エネルギーは正孔輸送層の活性化エネルギーと同じであり、かつ補償層と正孔輸送層の活性化エネルギーはいずれもホスト材料が有する活性化エネルギーより低い。又は、発光層の正孔注入方向において、補償層の活性化エネルギーは正孔輸送層の活性化エネルギーよりも高くホスト材料の活性化エネルギーよりも低い。又は、発光層の正孔注入方向において、補償層の活性化エネルギーは正孔輸送層の活性化エネルギーより高くかつホスト材料の活性化エネルギーと同じである。
【0032】
いくつかの選択可能な実施例において、発光素子は発光層の電子注入側に設置された電子輸送層をさらに含む。ホスト材料と電子輸送層の活性化エネルギーとの間に第2の活性化エネルギー差ΔEa2を有し、第2の活性化エネルギー差値ΔEa2の絶対値の数値範囲は0.1eV~0.3eVである。これらの例において、ΔEa2の値が上記合理的な範囲にある場合に、ΔEa2の値が小さいと大量の電子が発光層に蓄積して発光素子の発光性能に影響を与えることを回避し、ΔEa2の値が大きいと電子の移動に影響を与えることを回避する。
【0033】
いくつかの実施例において、発光層の電子注入方向において、ホスト材料の活性化エネルギーは電子輸送層の活性化エネルギーよりも高く、第2の活性化エネルギー差ΔEa2の数値範囲は0.1eV~0.3eVである。
【0034】
図2を参照すると、発光素子は電子輸送層と発光層との間に設置されている正孔ブロック層をさらに含む。発光層の電子注入方向において、正孔ブロック層の活性化エネルギーは電子輸送層の活性化エネルギーとホスト材料の活性化エネルギーとの間にある。
【0035】
正孔ブロック層の活性化エネルギーは、電子輸送層の活性化エネルギーとホスト材料の活性化エネルギーとの間にある。発光層の電子注入方向において、正孔ブロック層の活性化エネルギーは電子輸送層の活性化エネルギーと同じであり、かつ正孔ブロック層の活性化エネルギー及び電子輸送層の活性化エネルギーはいずれもホスト材料の活性化エネルギーより低い。あるいは、発光層の電子注入方向において、正孔ブロック層の活性化エネルギーは電子輸送層の活性化エネルギーよりも高くてホスト材料の活性化エネルギーよりも低い。あるいは、発光層の電子注入方向において、正孔ブロック層の活性化エネルギーは電子輸送層の活性化エネルギーより高くかつホスト材料の活性化エネルギーと同じである。
【0036】
本願において、活性化エネルギーとは、電子又は正孔が発光素子の異なる機能層の間に伝達して抗すべき障壁である。本願において、単層又は多層の機能層の活性化エネルギーは、電子(又は正孔)が陰極側(又は陽極側)から単層又は多層の機能層を流れて抗すべき障壁であると理解することができる。上記の機能層とは、発光素子におけるキャリア層及び発光層を意味する。発光素子におけるキャリア層は、電子輸送層、正孔ブロック層、補償層、正孔輸送層および正孔注入層などを含む。あるいは、本願における活性化エネルギーは、電子が陰極側から電子キャリアの機能層を流れる必要なエネルギー、正孔が陽極側から正孔キャリアの機能層を流れる必要なエネルギーであると理解することもできる。活性化エネルギー差は、キャリアが一定のキャリア流れ方向(例えば、電子注入方向または正孔注入方向)に一方の機能層から他方の機能層に流入する必要なエネルギーであると理解することができる。
【0037】
機能層が単一材料で構成される場合、当該材料の活性化エネルギーEaは当該機能層に対応する活性化エネルギーEaである。機能層が2種類又は2種類以上の材料で構成される場合、当該機能層の活性化エネルギーの計算方式は以下のとおりである。まず、各材料の活性化エネルギーと各材料に対応するモル質量分率の乗算値を取得し、次に、上記各乗算値を加算することにより、機能層の全体的な活性化エネルギーを取得し、加重平均活性化エネルギーとも呼ばれることができる。発光層がホスト材料及びゲスト材料を含む場合、ホスト材料の活性化エネルギーとは、発光層におけるホスト材料が有する活性化エネルギーを指す。
【0038】
活性化エネルギーは、アレニウス(Arrhenius)の式であるEa=E0+mRTを利用して算出することができ、ここで、Eaは活性化エネルギーであり、E0及びmは温度と無関係な定数であり、Tは温度であり、Rはモルガス定数である。即ち、上記公式から分かるように、活性化エネルギーは温度に関連する。また、計算式で得られた活性化エネルギーの単位はジュールJであり、簡単な換算式により上記活性化エネルギーの単位を電子ボルトeVに変換することができる。ここで、換算式は、1eV=1.602176565×10-19Jである。理解されるように、本願は、Eaを計算する基礎式を提供し、当業者は本願の提供する基礎アレニウス(Arrhenius)の式又は当該アレニウス(Arrhenius)の式の様々な変形を利用してEaを算出することができる。
【0039】
いくつかの例において、発光素子において発光層の正孔注入側に位置するキャリア層と発光層の活性化エネルギー、正孔注入側のキャリア層との間の活性化エネルギー差及び発光層と正孔注入側のキャリア層との間の活性化エネルギー差を計算することは、いずれも正孔オンリー素子を作製して正孔オンリー素子に通電試験を行うことにより得ることができる。正孔オンリー素子に通電試験を行い、正孔オンリー素子のI-V曲線(即ち、電流-電圧曲線)を得て、正孔オンリー素子を得るI-V曲線に基づいてアレニウス(Arrhenius)式又は該アレニウス(Arrhenius)式の様々な変形を採用して活性化エネルギーを得る。
【0040】
一つの具体的な例として、発光素子におけるホスト材料の活性化エネルギーと正孔輸送層の活性化エネルギーとの間の活性化エネルギー差ΔEaを計算する時、第1の正孔オンリー素子と第2の正孔オンリー素子を作製する。正孔輸送層を有する第1の正孔オンリー素子を作製し、第1の正孔オンリー素子に通電試験を行い、第1のI-V曲線を得て、アレニウス(Arrhenius)の式を用いて正孔輸送層のEa1を算出する。正孔輸送層及び発光層(ホスト材料を有する)を有する第2の正孔オンリー素子を作製し、第2の正孔オンリー素子に通電試験を行うことにより、正孔が正孔輸送層から発光層に流れ、第2のI-V曲線を得て、アレニウス(Arrhenius)の式を用いて正孔輸送層及び発光層(ホスト材料のみを有する)のEa2を算出する。差計算法を利用することができ、即ちΔEa=Ea2‐Ea1に基づいて、発光素子におけるホスト材料の活性化エネルギーと正孔輸送層の活性化エネルギーとの間の差ΔEaを算出する。
【0041】
いくつかの例において、正孔オンリー素子は正孔のみの通過を許可する。第1の正孔オンリー素子は、積層設置されている陽極と、第1の正孔輸送層と、電子ブロック層と、陰極とを含んでいてもよい。第2の正孔オンリー素子は、積層設置されている陽極、第2の正孔輸送層、発光層(ホスト材料のみを含む)、電子ブロック層および陰極を含んでいてもよい。第1の正孔輸送層と第2の正孔輸送層は同じであり、第1の正孔オンリー素子と第2の正孔オンリー素子は発光層(ホスト材料のみを有する)のみを単変量として通電試験を行う。また、電子ブロック層は、陰極により生成された電子が正孔オンリー素子での転送を堰き止めることができ、正孔オンリー素子が正孔輸送のみを許可するという目的を達成することができる。
【0042】
いくつかの実施例において、発光素子における発光層の電子注入側に位置するキャリア層と発光層の活性化エネルギー、電子注入側のキャリア層の間の活性化エネルギー差及び発光層と電子注入側のキャリア層との間の活性化エネルギー差を算出することは、いずれも電子オンリー素子を作製して電子オンリー素子に通電試験を行うことにより得ることができる。電子オンリー素子に通電試験を行い、電子オンリー素子のI-V曲線(即ち、電流-電圧曲線)を得て、得られた電子オンリー素子のI-V曲線に基づいてアレニウス(Arrhenius)の式又は当該アレニウス(Arrhenius)の式の様々な変形を採用して活性化エネルギーを算出する。
【0043】
一つの具体的な例として、発光素子におけるホスト材料と電子輸送層の活性化エネルギーとの間の差ΔEa’を計算する場合、第1の電子オンリー素子及び第2の電子素子を作製する。電子輸送層を有する第1の電子オンリー素子を作製し、第1の電子オンリー素子に通電試験を行い、第1のI-V曲線を得て、アレニウス(Arrhenius)の式を用いて電子輸送層のEa1’を算出する。電子輸送層及び発光層(ホスト材料のみを有する)を有する第2の電子オンリー素子を作製し、第2の電子オンリー素子に通電試験を行い、電子が電子輸送層から発光層に流れ、第2のI-V曲線を得て、アレニウス(Arrhenius)の式を用いて電子輸送層及び発光層(ホスト材料のみを有する)のEa2’を算出する。差計算法を利用し、即ちΔEa’=Ea2’-Ea1’に基づいて、発光素子におけるホスト材料の活性化エネルギーと電子輸送層の活性化エネルギーとの間の差ΔEa’を算出することができる。
【0044】
いくつかの例において、電子オンリー素子は電子のみの通過を許可する。第1の電子オンリー素子は、積層設置されている陽極と、正孔ブロック層と、第1の電子輸送層と、陰極とを含んでいてもよい。第2の電子素子は、積層設置されている陽極と、正孔ブロック層と、発光層(ホスト材料のみを有する)と、第2の電子輸送層と、陰極とを含むことができる。第1の電子輸送層は第2の電子輸送層と同じであり、第1の電子オンリー素子と第2の電子オンリー素子は発光層(ホスト材料のみを有する)のみを単変量として通電試験を行う。正孔ブロック層は陽極により生成された正孔が単電子素子での転送を堰き止めることができ、電子オンリー素子が電子転送のみを許可するという目的を達成する。
【0045】
他の実施例において、機能層の活性化エネルギーは熱重量分析の方法を採用して得ることができる。例えば、第1のキャリア層及び単色発光層の全体に対して熱重量分析を行い、熱重量分析結果に基づいて上記各機能層の活性化エネルギーを直接算出する。熱重量分析とは、プログラム制御の温度で、物質質量の温度(又は時間)に伴う変化関係を取得する方法を指すである。熱重量分析技術を利用して熱重量曲線を取得した後、差減微分(Freeman-Carroll)法又は積分(OWAZa)法などにより平均活性化エネルギーを算出する。
【0046】
一般的に最高占有エネルギー準位軌道HOMO及び最低占有エネルギー準位軌道LUMOを利用して発光素子における各機能層のエネルギー準位整合状況を判断る。しかしながら、HOMO準位及びLUMO準位はキャリアの注入効率のみを考慮し、機能層の間の界面要因及び温度等の要因はいずれも考慮されていない。HOMO準位及びLUMO準位のみで発光素子における各機能層を設計しかつ整合する場合に、完成品発光素子の性能パラメータと設計された発光素子は、予期の性能に対して大きな誤差がある。
【0047】
本願のいくつかの選択可能な実施例において、一方で赤色又は緑色発光素子を設計する時、発光層におけるホスト材料及びゲスト材料の間の欠陥エネルギーEtが発光素子のハイライト表示状態での発光効率に影響を与えることを発見した。発光層のホスト材料とゲスト材料との間の欠陥エネルギーEtを利用して発光素子における発光層のホスト材料とゲスト材料との間の整合関係を判断し、発光素子の発光効率をより効果的に向上させることができる。
【0048】
他方では、発光層のホスト材料とゲスト材料との間の欠陥エネルギーEtを考慮した上で活性化エネルギーEaの点に着手し、発光素子における各機能層の活性化エネルギーEaの準位整合関係を考慮する。活性化エネルギーの点に着手し、発光素子の実際の使用中の機能層の間のキャリアの注入、機能層の間のキャリアの輸送及び温度などの多方面の要因の、発光素子の全体の性能に対する影響を総合的に考慮することができる。
【0049】
いくつかの実施例において、発光素子は、キャリアが発光層に注入された時、ホスト材料とゲスト材料との間に欠陥エネルギーEtを有し、欠陥エネルギーEtの絶対値は0.03eV以上である。そして、ホスト材料の活性化エネルギーと正孔輸送層の活性化エネルギーとの間に第1の活性化エネルギー差ΔEa1を有し、第1の活性化エネルギー差値ΔEa1の絶対値の数値範囲は0.1eV~0.3eVである。
【0050】
発光素子は発光層の電子注入側に設置された電子輸送層をさらに含む。ホスト材料の活性化エネルギーと電子輸送層の活性化エネルギーとの間に第2の活性化エネルギー差ΔEa2を有し、第2の活性化エネルギー差ΔEa2の絶対値の数値範囲は0.1eV~0.3eVである。これらの実施例において、欠陥エネルギーEt及び活性化エネルギーEaの二つの点をいずれも考慮した発光素子は、ホスト材料とゲスト材料との間の欠陥エネルギーEtの絶対値が0.03eV以上であることのみを満たす発光素子に対して、その発光効率が0%~15%上昇し、発光寿命が0%~40%延長される。
【0051】
本願に係る発光素子がハイライト表示状態で発光効率を向上させる効果を示すために、以下の1セットの比較実験を設計する。比較実験は、比較例1及び実験例1を含む。比較例1は第1の赤色発光素子であり、当該第1の赤色発光素子の発光層においてホスト材料とゲスト材料との間の欠陥エネルギーEt1の絶対値は0.03eVより小さい。実験例1は第2の赤色発光素子であり、当該第2の赤色発光素子の発光層においてホスト材料とゲスト材料との間の欠陥エネルギーEt2の絶対値が0.03eVを超え且つ0.08eV未満である。当該比較実験において、赤色発光素子の発光層においてホスト材料とゲスト材料との間の欠陥エネルギーEtのみを変数として実験する。
【0052】
【0053】
表1におけるCIExは、色座標であり、赤色発光素子が発光する赤色光を指す。Lは第1の赤色発光素子及び第2の赤色発光素子の発光輝度である。nits(ニト)は発光輝度の単位であり、実験試験において第1の赤色発光素子と第2の赤色発光素子はいずれもハイライト表示状態にあり、輝度は6000nitsである。Vdは発光素子の動作電圧を表し、比較例1における第1の赤色発光素子の動作電圧は参照電圧値Vd0であり、実験例1における第2の赤色発光素子の動作電圧は比較例1における第1の赤色発光素子の動作電圧より低く、実験例1における第2の赤色発光素子の動作電圧は0.03V低く、それにより第2の赤色発光素子は第1の赤色発光素子よりも消費電力が低い。Eff.発光素子の発光効率を示し、表1から分かるように、第2の赤色発光素子の発光効率は第1の赤色発光素子の発光効率より10.2%高い。
【0054】
表1に示された比較実験結果に基づいて、本願の実施例の発光素子は、キャリアが発光層に注入された時、ホスト材料とゲスト材料との間に欠陥エネルギーEtを有し、かつ欠陥エネルギーEt>0.03eVであり、発光素子のハイライト表示状態での発光効率を向上させかつ発光素子の動作電圧を低下させることができ、発光素子の消費電力が低下し、さらに表示パネルの全体の消費電力を低下させる。
【0055】
図3は、比較実験における第1の赤色発光素子及び第2の赤色発光素子の試験過程における発光効率と発光輝度との関係曲線を示す。
図3から分かるように、発光素子の発光輝度の増大に伴って、第2の赤色発光素子の発光効率は常に第1の赤色発光素子の発光効率以上である。
【0056】
図4は、比較実験における第1の赤色発光素子及び第2の赤色発光素子の試験過程における動作電圧と発光効率との関係曲線を示す。
図4から分かるように、同じ発光輝度で、第1の赤色発光素子の動作電圧は第2の赤色発光素子の動作電圧より大きい。
【0057】
発光素子は、キャリアが発光層に注入された時に、ホスト材料とゲスト材料との間に絶対値が0.03eV以上の欠陥エネルギーEtを有し、且つ、第1の活性化エネルギー差ΔEa1の絶対値の数値範囲が0.1eV~0.3eVであり、及び/又は、第2の活性化エネルギー差ΔEa2の絶対値の数値範囲が0.1eV~0.3eVであることを満たす場合に、より優れた発光効果を有することをさらに説明するために、他の組の比較実験を行う。当該比較実験は、比較例2、実験例2、実験例3及び実験例4を有する。
【0058】
【0059】
表2の色座標値から分かるように、比較例2、実験例2、実験例3及び実験例4はいずれも赤色発光素子であり、発光素子は赤色光を発光する。LT97@6000nitsは、初期の発光輝度が6000nitsである場合、赤色発光素子の発光輝度が初期の発光輝度の97%まで減衰した時に経過した時間であり、LT97@6000nitsで当該発光素子の発光寿命を示す。
【0060】
比較例2における発光素子の発光寿命を参照値とし、実験例2の発光寿命が比較例2の発光寿命に対して23%上昇し、実験例3の発光寿命が比較例2の発光寿命に対して20%上昇し、実験例4の発光寿命が比較例2の発光寿命に対して40%上昇する。Vdは動作電圧であり、比較例2における動作電圧を参照値とし、実験例2の動作電圧は比較例2の動作電圧に対して0.11Vを低下し、実験例3の動作電圧は比較例2の動作電圧に対して0.10Vを低下し、実験例4の動作電圧は比較例2の動作電圧に対して0.32Vを低下する。動作電圧の低下により発光素子が発光中に消費電力を低下させ、表示パネル全体の表示電力消費を低下させることができる。しかしながら、発光素子の消費電力が低下すると同時に、実験例2の発光効率は比較例2よりも5%上昇し、実験例3の発光効率は比較例2よりも4%上昇し、実験例4の発光効率は比較例2よりも12.2%上昇する。
【0061】
上記データは、発光素子は、ホスト材料とゲスト材料との間に絶対値が0.03eV以上である欠陥エネルギーEtを有することを満たす上で、第1の活性化エネルギー差ΔEa1の絶対値の数値範囲が0.1eV~0.3eVであり、及び/又は、第2の活性化エネルギー差ΔEa2の絶対値の数値範囲が0.1eV~0.3eVである場合、発光素子の発光寿命がより長く、かつ動作電圧が低下し、消費電力が低下し、発光素子の発光効率がさらに向上することを説明した。
【0062】
本願の実施例は、材料選別方法をさらに提供し、それは緑色又は赤色発光素子の発光層材料を選別することに用いられ、
図5を参照し、
S10、複数組の発光材料セットを配置し、各発光材料セットはホスト材料及びゲスト材料を含み、各二組の発光材料セットが含むホスト材料、ゲスト材料のうちの少なくとも一つが互いに異なるステップと、
S20、各組の発光材料セットを発光層材料とし、それぞれ発光層を有する複数のシングルキャリア素子を作製するステップと、
S30、各組の発光材料セットに対応するシングルキャリア素子において、ホスト材料とゲスト材料との間の欠陥エネルギーEtiを取得するステップと、
S40、各組の発光材料セットに対応する欠陥エネルギーEtiに基づいて、複数組の発光材料セットから目標発光材料セットを選別して、発光素子の発光層材料とするステップと、
を含む。
【0063】
いくつかの選択可能な実施例において、ステップS30において、シングルキャリア素子は正孔オンリー素子であり、シングルキャリア素子は発光層に積層設置されかつ発光層の正孔注入側に位置する正孔輸送層をさらに含み、各シングルキャリア素子の正孔輸送層は同じである。いくつかの実施例において、発光素子の正孔輸送層は各シングルキャリア素子の正孔輸送層と同じである。
【0064】
他の選択可能な実施例において、シングルキャリア素子は電子オンリー素子であり、シングルキャリア素子は発光層に積層設置されかつ発光層の電子注入側に位置する電子輸送層をさらに含み、各シングルキャリア素子の電子輸送層は同じである。いくつかの実施例において、発光素子の電子輸送層は各シングルキャリア素子の電子輸送層と同じである。
【0065】
いくつかの例において、正孔オンリー素子における正孔輸送層は発光素子における正孔輸送層と同じである。一般的に、正孔輸送層は表示パネルで全体的に蒸着形成され、赤、緑及び青の三つの発光素子の動作性能を配合する必要がある。したがって、発光層材料を選別する時に、正孔オンリー素子に発光素子と同じ正孔輸送層を設置することにより、正孔輸送過程において正孔輸送層の、発光素子における発光層のホスト材料及びゲスト材料との間の欠陥エネルギーEtへの影響を考慮し、発光素子の効率を向上させる発光層材料をより正確に選別して得ることができる。
【0066】
いくつかの他の例において、電子オンリー素子における電子輸送層は発光素子における電子輸送層と同じである。一般的に、電子輸送層は表示パネルで全体的に蒸着形成され、赤、緑及び青の発光素子の動作性能を配合する必要がある。したがって、発光層材料を選別する時に、電子オンリー素子に発光素子と同じ電子輸送層を設置することにより、電子輸送過程において電子輸送層の、発光素子における発光層のホスト材料及びゲスト材料の間の欠陥エネルギーEtへの影響を考慮し、発光素子の効率を向上させる発光層材料をより正確に選別することができる。
【0067】
図6を参照し、S40ステップはステップS41を含む。
【0068】
ステップS41、第1の基準欠陥状態エネルギーEtaに基づいて目標発光材料セットを選別する。
【0069】
いくつかの実施例において、第1の基準欠陥状態エネルギーEtaの絶対値の数値範囲は0.03eV~0.08eVである。
【0070】
本願に係る材料選別方法で選別された発光層材料は、発光素子のハイライト表示状態での発光効率を向上させ、消費電力を低下させることができ、表示パネルのハイライト表示状態での表示品質及び表示効果を保証し、同時に表示パネルの全体的な消費電力を減少させる。
【0071】
本願に係る表示パネルは、上記発光素子を有する。本願の表示パネルは、ハイライト表示状態において、表示品質が向上するとともに、消費電力が低下する。