(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】難燃インテリアフィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20250129BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20250129BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20250129BHJP
E04F 13/07 20060101ALI20250129BHJP
E04F 13/18 20060101ALI20250129BHJP
C09J 7/24 20180101ALI20250129BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20250129BHJP
C09K 21/02 20060101ALI20250129BHJP
C09K 21/08 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B32B27/30 101
B32B27/18 B
B32B27/00 M
E04F13/07 B
E04F13/18 A
C09J7/24
C09J7/30
C09K21/02
C09K21/08
(21)【出願番号】P 2023534358
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 KR2021017494
(87)【国際公開番号】W WO2022124653
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0173819
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509286787
【氏名又は名称】エルエックス・ハウシス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LX HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】98, Huam-ro, Jung-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヨン ウン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ユ リ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ミン ソク
(72)【発明者】
【氏名】イ、ドン コン
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0060281(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0089717(KR,A)
【文献】特表2014-534909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
E04F 13/07
E04F 13/18
C09J 7/24
C09J 7/30
C09K 21/02
C09K 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着層、PVC基材層が順次積層された構造を有し、
前記PVC基材層は、アンチモン酸化物、ケイ酸系難燃剤及び金属水酸化物系難燃
剤を含み、
前記粘着層は、アクリル系樹脂
、アンチモン酸化物
、硬化剤、臭素系難燃剤及び粘着付与剤を含
み、
前記PVC基材層の前記アンチモン酸化物、前記金属水酸化物系難燃剤及び前記ケイ酸系難燃剤は、1:1~4.5:0.4~1.2の重量比率で添加され、
前記PVC基材層の前記アンチモン酸化物は、ポリ塩化ビニル100重量部に対して1~12.5重量部で含まれ、
前記粘着層は、前記アクリル系樹脂100重量部に対して、前記硬化剤0.1~2重量部、前記臭素系難燃剤10~20重量部、前記アンチモン酸化物1~10重量部及び前記粘着付与剤1~5重量部を含むことを特徴とする、難燃インテリアフィルム。
【請求項2】
前記アンチモン酸化物、前記ケイ酸系難燃剤及び前記金属水酸化物系難燃剤は、前記PVC基材層に含まれるポリ塩化ビニル100重量部に対して10~50重量部で含まれる、請求項1に記載の難燃インテリアフィルム。
【請求項3】
前記ケイ酸系難燃剤は
、ポリ塩化ビニル100重量部に対して1~12.5重量部で含まれ、前記金属水酸化物系難燃剤は、ポリ塩化ビニル100重量部に対して1~25重量部で含まれる、請求項1に記載の難燃インテリアフィルム。
【請求項4】
前記難燃インテリアフィルムは、
ISO 5660-1規定に準拠して、コーンカロリーメータ測定法によって測定された総放出熱量(THR、Total Heat Release)値が8.0MJ/m
2以下である、請求項1に記載の難燃インテリアフィルム。
【請求項5】
前記粘着層の光透過率が70%以上である、請求項1に記載の難燃インテリアフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着層、基材層が順次積層された難燃インテリアフィルムに係り、特に、透明粘着層を含みながらも粘着性及び難燃性に優れた難燃インテリアフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
インテリアシートは、デコレーション、看板、室内外装飾などの様々な用途に使用されている。デザインに拘らず、多様に製作が可能であるため、誰でも容易に様々なデザインを実現することができるという点、低コストで外観を大きく改善することができるという点で、インテリアフィルムの活用領域は増加し続けている傾向にある。
【0003】
インテリアフィルムは、粘着層や基材層などの多数の層を積層して製造され、コスト及び加工性の観点からポリマー素材が好まれている。特に、インテリアフィルム素材として広く使用されているPVC素材は、火がつく場合、火炎伝播速度が速く、火に燃えて有毒ガスを発生させるので、室内装飾に活用するためには難燃性を向上させることが必要である。
【0004】
一方、インテリアフィルムは、室内外の被着面に貼り付けられて外観を改善するために使用されるので、湿度、温度、光などの外部要因に常にさらされる。PVC基材層と粘着層は、互いに異なる膨張率と変形率を有するため、時間経過に伴って収縮、膨張を繰り返す。特に、PVC基材層は、製造工程上、延伸された状態でインテリアフィルムに製造されるので、粘着層に比べて収縮率が高く、これにより、インテリアフィルムを施工した後にはPVC基材層が収縮し、収縮率の相対的に小さい粘着層が外部に現出する。
【0005】
難燃インテリアフィルムの場合は、難燃性を強化するために、基材層だけでなく、粘着層にも難燃剤を添加することにより、粘着層が白色などの色を有し、上述したようにインテリアフィルムの施工後に基材層の収縮により有色の粘着層が露出すると、施工部分の外観を大きく損なうという問題点が発生する。
【0006】
特に、かかる問題点は、インテリアフィルムの端部が互いに重なり合うように施工する方法である重ね合わせ施工方法よりは、インテリアフィルムの端部が互いに重なり合わないように突き合わせて施工する方法である突き合わせ施工方法でインテリアフィルムを施工する場合に外観を害するという問題点がある。
【0007】
これに関して、特許文献1は、PVC発泡層に難燃剤を添加して発泡させた発泡層を含む難燃インテリアシートを開示している。ただし、難燃剤を添加して難燃性を付与したインテリアシートについては開示しているだけで、インテリアフィルムの施工後に基材層の収縮により有色の難燃粘着層が露出することによる外観低下の問題点については全く認識していない。
【0008】
特許文献2は、化粧シート用粘着剤組成物に関するものであって、(メタ)アクリル酸エステル共重合体と難燃剤を含むが、公知の各種難燃剤を含むことができることを開示しているだけで、難燃性及び粘着性に優れた透明粘着層の具体的な難燃剤成分と各成分の添加量及び組成比率については全く開示していない。
【0009】
特許文献3では、ポリ塩化ビニル系樹脂である熱可塑性樹脂シート、アクリル酸エステル共重合体、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン、粘着付与剤を含む粘着層を備えた不燃性化粧シートを開示しているが、難燃性及び粘着性に優れた透明粘着層を備える難燃インテリアフィルムの必要性と具体的な構成については開示していない。
【0010】
したがって、インテリアフィルムの難燃性を向上させながらも、粘着性に優れるうえ、透明粘着層を備えて突き合わせ施工後にも外観の損傷がない難燃インテリアフィルムに対する開発が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0070018号公報
【文献】特許第6526725号公報
【文献】特許第5271770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の難燃インテリアフィルムにおいて基材層の収縮によって粘着層が外部に露出する場合、有色の粘着層が現れて施工部位の外観を低下させる問題があったので、本発明は、前記問題点を解決することを発明の目的とする。
【0013】
本発明は、インテリアフィルムに透明粘着層を導入しながらも、良好な難燃性を有する難燃インテリアフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するための本発明による難燃インテリアフィルムは、粘着層、PVC基材層が順次積層された構造を有し、前記PVC基材層は、アンチモン酸化物、ケイ酸系難燃剤及び金属水酸化物系難燃剤よりなる群から選択された1種以上を含み、前記粘着層は、アクリル系樹脂及びアンチモン酸化物を含む。
【0015】
本発明において、前記PVC基材層は、アンチモン酸化物、前記ケイ酸系難燃剤及び前記金属水酸化物系難燃剤を含み、前記アンチモン酸化物、前記ケイ酸系難燃剤及び前記金属水酸化物系難燃剤は、前記PVC基材層に含まれるポリ塩化ビニル100重量部に対して10~50重量部で含まれてもよい。
【0016】
本発明において、前記PVC基材層は、アンチモン酸化物、前記ケイ酸系難燃剤及び前記金属水酸化物系難燃剤を含み、前記アンチモン酸化物、前記金属水酸化物系難燃剤及び前記ケイ酸系難燃剤は、1:1~5:0.2~3の重量比率で添加されてもよい。
【0017】
本発明において、前記アンチモン酸化物及び前記ケイ酸系難燃剤は、それぞれ独立して、ポリ塩化ビニル100重量部に対して1~12.5重量部で含まれ、前記金属水酸化物系難燃剤は、ポリ塩化ビニル100重量部に対して1~25重量部で含まれてもよい。
【0018】
本発明において、前記粘着層は、前記アクリル系樹脂100重量部に対してアンチモン酸化物を1~10重量部で含んでもよい。
【0019】
本発明において、前記粘着層は、臭素系難燃剤をさらに含み、前記粘着層は、アクリル系樹脂100重量部に対して臭素系難燃剤を10~30重量部で含んでもよい。
【0020】
本発明において、前記難燃インテリアフィルムは、ASTM D3330に準拠して測定された剥離力が1.80kg/in以上であってもよい。
【0021】
本発明において、前記難燃インテリアフィルムは、ISO 5660-1規定に準拠して、コーンカロリーメータ測定法によって測定された総放出熱量(THR、Total Heat Release)値が8.0MJ/m2以下であってもよい。
【0022】
本発明において、前記難燃インテリアフィルムの引張強さは15~30MPaであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明による難燃インテリアフィルムは、インテリアフィルムを突き合わせ施工する場合に基材層の収縮により粘着層が現れる場合にも粘着層が透明性を有するため、施工部位の外観を低下させないという利点を有する。
【0024】
本発明は、インテリアフィルムの施工後、経時的に発生する外観の低下を防止しながらも、難燃性が良好であるという効果を有する。
【0025】
本発明による難燃インテリアフィルムは、粘着層の粘着力及び難燃性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例による難燃インテリアフィルムの垂直断面模式図である。
【
図2】従来の難燃インテリアフィルムの基材層の収縮によって変形した様子を示す垂直断面模式図である。
【
図3】従来の難燃インテリアフィルムを突き合わせ施工した後、基材層の収縮によって変形した様子を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように本発明の各構成をより詳細に説明するが、これは一つの例示に過ぎず、本発明の権利範囲は次の内容によって限定されない。
【0028】
インテリアフィルムに難燃性を付与するために、インテリアフィルムを構成する各構成層に難燃剤を添加する。
【0029】
インテリアフィルムは、所望のデザインを基材層の上部に印刷し、基材層の下部には粘着層を備えることにより、インテリアフィルムを貼り付けようとする位置に貼り付けて審美感を付与することを目的として用いられる。
【0030】
インテリアフィルムを施工する方法としては、複数のインテリアフィルムの外周縁が互いに重なり合うようにして施工する方法である重ね合わせ施工と、インテリアフィルムの外周縁が互いに重なり合わないようにし、インテリアフィルムの端部が互いに突き合わせられるように施工する突き合わせ施工方法がある。
【0031】
難燃インテリアフィルムを構成する難燃性を有する粘着剤層は、透明ではなく、白色などの色を帯びるが、重ね合わせ施工の場合には、粘着層が外部に露出しないが、突き合わせ施工の場合には、室内の温度や湿度によってインテリアフィルムの各構成層が互いに異なる収縮率で収縮して粘着層のみが外部に露出して外観を損なうという問題点があった。
【0032】
具体的には、従来の難燃インテリアフィルムの基材層の収縮によって変形した様子を示す垂直断面模式図である
図2と、平面模式図である
図3を参照すると、PVC基材層は、カレンダリング工程によって延伸された状態で粘着層とラミネートされてインテリアフィルムに製造される。
【0033】
PVC基材層21は、カレンダリング工程によって延伸された状態で粘着層11とラミネートされて難燃インテリアフィルム101に製造された後、被着面1に施工される。施工後に時間が経過するにつれて、延伸されたPVC基材層21は収縮し、収縮したPVC基材層21’に変形する。
【0034】
相対的に収縮率が少なく、被着面1に粘着された状態で支持されている粘着層11は、元の形態から大きく収縮せずに維持されることにより、収縮したPVC基材層21’の下部の粘着層11が外部に露出する。
【0035】
難燃インテリアフィルム101を構成する粘着層11は、難燃剤を含むことにより有色を帯びるので、難燃インテリアフィルム101の施工後、PVC基材層21が収縮することにより、有色の粘着層11が観察されて審美感が低下するという問題が発生する。
【0036】
本発明は、上述した問題点を解決するためのもので、突き合わせ施工後に基材層の収縮などの変形により粘着層が露出しても、粘着層が透明に構成されてインテリアフィルムによる美観を損なわず、これと同時に、難燃インテリアフィルムとして、粘着層の粘着性及びインテリアフィルム自体の難燃性に優れた特性を有する難燃インテリアフィルムを提供する。
【0037】
以下では、本発明による難燃インテリアフィルムの各構成をより詳細に説明するが、これは本発明の技術的思想を理解するための一実施例に過ぎず、本発明の権利範囲は次の記載によって制限されない。
【0038】
PVC基材層
ポリ塩化ビニルを含むPVC基材層は、加工時にカレンダリング工程によって延伸された状態のフィルム状に製造され、延伸された状態で粘着層とラミネートされることにより、時間が経過すると、自然に基材層が収縮するという問題が発生する。延伸されたポリ塩化ビニル基材層が収縮すると、被着面に粘着された状態の粘着層が現れるという問題があり得る。
【0039】
上述のように延伸されたポリ塩化ビニル基材層と粘着層とを含むインテリアフィルムを突き合わせ施工方法で施工すると、施工当時は延伸された状態の基材層の端部が互いに突き合わせられるように貼り付けられるが、時間経過に伴って、或いは施工部分周辺の環境変化(温度、湿度など)に応じて、延伸されていた基材層が収縮し、下部の粘着層が外部に露出するという問題が発生する。
【0040】
難燃インテリアフィルムの難燃粘着層が有色を有することにより、基材層の収縮により、有色の難燃粘着層が露出して外観が大きく低下するという問題があった。
【0041】
これは、目的とするレベルの難燃性を確保するために難燃剤を過量で添加することにより、難燃粘着層が不透明になることに起因する。
【0042】
本発明は、かかる問題点を解決するためのものであって、上述したように、前記組成の粘着層を導入することにより、粘着性に優れ且つ難燃性が良好な透明粘着層を導入することにより、インテリアフィルムの突き合わせ施工時に発生する外観損傷問題を解決することを目的とする。
【0043】
具体的には、本発明において、前記PVC基材層は、ポリ塩化ビニル及び難燃剤を含む。基材層の形状と所定の強度を有する素材で製造するためにポリ塩化ビニルを含み、難燃性を付与するためにアンチモン酸化物、ケイ酸系難燃剤及び金属水酸化物系難燃剤よりなる群から選択された1種以上を含む。
【0044】
前記PVC基材層は、PVC基材層形成組成物を用いて層状に製造される。例えば、ポリ塩化ビニル、有機難燃剤、無機難燃剤、補助難燃剤、可塑剤、耐熱可塑剤、安定剤、加工助剤、衝撃強化剤などを含む基材層形成組成物を塗布して基材層を形成することができる。
【0045】
前記基材層は、50~150μm(マイクロメートル)の厚さを有することができ、好ましくは80~150μm(マイクロメートル)の厚さを有することができる。
【0046】
前記厚さよりも薄い場合には、難燃インテリアフィルムの強度が低下して、インテリアフィルムとしての使用に適さないという問題があり、前記厚さよりも厚い場合には、屈曲のある部位に施工し難いという問題がある。
【0047】
前記PVC基材層は、アンチモン酸化物、ケイ酸系難燃剤及び金属水酸化物系難燃剤を含み、前記アンチモン酸化物、前記ケイ酸系難燃剤及び前記金属水酸化物系難燃剤を、ポリ塩化ビニル100重量部に対して10~50重量部で含むものであり得る。
【0048】
前記含有量よりも過量で添加される場合には、基材層形成組成物の粘度が高くなり、組成物を用いて層状に加工することが難しいという問題があり、また、粘着層の透明性が低下して、外部に粘着層が露出する場合に外観を損なう従来の問題点をそのまま持つという問題がある。
【0049】
上述した難燃剤の総含有量の範囲を満たすとともに、それぞれの難燃剤は前記含有量の比率を満たすように添加される。
【0050】
より詳細には、前記アンチモン酸化物、前記金属水酸化物系難燃剤及び前記ケイ酸系難燃剤は、1:1~5:0.2~3の重量比率で添加されてもよい。
【0051】
好ましくは、1:1~4.5:0.4~1.2の重量比率で添加されてもよい。
【0052】
前記ケイ酸系難燃剤を前記比率よりも過量で添加する場合には、製造コストが上昇し、フィルムの強度が低下し、加工性が低下するという問題があり、前記比率よりも少量で添加する場合には、熱放出量が高いため難燃性能が低下するという問題点がある。
【0053】
一方、前記金属水酸化物系難燃剤を前記比率よりも過量で添加する場合には、PVC基材層形成用組成物の粘度が増加してフィルムに形成し難いという問題点があり、インテリアフィルムへの製作の際に温度変化に伴う基材層の収縮率が増加して、インテリアフィルムの品質が低下するという問題があり得る。前記金属水酸化物系難燃剤を前記比率よりも少量で添加する場合には、難燃性能が低下するという問題があり得る。
【0054】
一方、前記アンチモン酸化物は、具体的には、三酸化アンチモン(Sb2O3)、五酸化アンチモン(Sb2O5)などであってもよく、好ましくは、三酸化アンチモンであってもよい。
【0055】
三酸化アンチモンは、白色無臭の粉末であり、主にプラスチックなどの難燃剤として用いられ、ポリエステル重合触媒剤、ガラス製造工程の気泡除去用清澄剤に使用する。難燃剤用三酸化アンチモンは、プラスチックの種類に応じてハロゲン系難燃剤などと適切な比率で添加されて難燃効果を上昇させることができる。
【0056】
具体的には、アンチモン酸化物は、PVC基材層において形成されたクロリンラジカルがOH、Hラジカルをキャプチャして燃焼を阻止することができるように助ける役目をする。本発明のようにPVC樹脂を使用する場合、PVC基材層が燃焼することにより発生するクロリンラジカルが空気中に容易に飛散して難燃性能が低下することを防止することができるように、アンチモン酸化物がハロゲンラジカルを保持して難燃性能を維持又は強化させる役目をしてPVC基材層の難燃性が向上するという効果を有する。
【0057】
本発明において、前記アンチモン酸化物は、前記ポリ塩化ビニル100重量部に対して1~12.5重量部で含まれてもよい。
【0058】
前記ケイ酸系難燃剤は、シリケート化合物であって、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムなどのシリケート化合物を含むことができる。
【0059】
前記ケイ酸系難燃剤は、燃焼時に形成された炭化膜にガラス膜を形成することにより炭化膜を強固にして、脱物質に、燃焼を誘発する活性ラジカルが接触しないようにして、燃焼を阻止する役目をする。本発明において、前記ケイ酸系難燃剤は、前記ポリ塩化ビニル100重量部に対して1~12.5重量部で含まれてもよい。
【0060】
一方、前記金属水酸化物系難燃剤は、水酸化金属塩を意味するものであって、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの難燃剤を使用することができる。
【0061】
前記金属水酸化物系難燃剤は、燃焼時に水を発生させて燃焼部位の温度を下げることにより燃焼を防止し、これにより、難燃性能を向上させる。本発明において、前記金属水酸化物系難燃剤は、前記ポリ塩化ビニル100重量部に対して1~25重量部で含まれてもよい。
【0062】
ただし、前記PVC基材層に含まれる難燃剤の総含有量と添加比率を満たす範囲内で、各難燃剤種類別添加量は一つの例示に過ぎず、総含有量と添加比率を満たす範囲内で、実際添加量は前記比率範囲内に適切に添加されることができる。
【0063】
本発明は、上述した難燃剤を、同時に所定の含有量と比率を満足するように添加することにより、PVC基材層の難燃性能を最大化した難燃インテリアフィルムを提供する。
【0064】
前記PVC基材層は、難燃剤の他に、可塑剤や熱安定剤などのその他の構成成分をさらに含むことができる。
【0065】
その他の構成成分の場合、必要に応じて適切な量で添加できる。
【0066】
具体的には、前記可塑剤は、例えば、フタレート系(phtahlate)可塑剤、アジペート系(adipate)可塑剤、トリメリテート系(trimellitates)可塑剤、エステル系可塑剤などを使用することができる。
【0067】
熱安定剤は、Cd/Ba/Zn系熱安定剤、Cd/Ba系熱安定剤、Ba/Zn系熱安定剤、Ca/Zn系熱安定剤、Na/Za系熱安定剤、Sn系熱安定剤、Pb系熱安定剤、Cd系熱安定剤、及びZn系熱安定剤などを使用することができ、衝撃補強剤は、MBS衝撃補強剤、Acrylic衝撃補強剤などを使用することができる。各成分は、必ずしも1つの成分を使用すべきものではなく、必要に応じて適切な1種以上の成分を使用することができる。
【0068】
ただし、前記構成成分は、必須の構成成分ではないので、本発明の目的から逸脱することなく、必要に応じて他の追加成分を加えるか、或いは前記成分なしに基材層を形成することができる。
【0069】
ポリ塩化ビニル
前記ポリ塩化ビニルは、熱可塑性プラスチックの一つであって、加工性及び耐久性に優れるが、熱には弱い特性を有する。本発明では、前記ポリ塩化ビニルの他に難燃剤を添加して基材層を形成することにより、ポリ塩化ビニルの熱に弱い欠点を補う。
【0070】
一方、前記ポリ塩化ビニルは、塩化ビニルをモノマーとして重合された添加重合体であって、本発明では、重合度500~2000の範囲を有するポリ塩化ビニルを使用することが好ましい。より好ましくは、800~1200の重合度を有するポリ塩化ビニルを使用することができる。
【0071】
前記重合度よりも高い重合度を有するポリ塩化ビニルを使用する場合には、加工が難しく、あまり硬質であるという問題があり、前記重合度よりも低い重合度を有するポリ塩化ビニルを使用する場合には、耐久性及び加工安定性が低下するという問題がある。
【0072】
粘着層
前記粘着層は、アクリル系樹脂及びアンチモン酸化物を含む。粘着層に粘着性を付与するためにアクリル系樹脂を含み、難燃性を付与するために難燃剤を含むが、アンチモン酸化物を含む。
【0073】
前記粘着層は、粘着層形成組成物を用いて層状に製造される。例えば、アクリル系樹脂、難燃剤、溶剤、硬化剤、粘着付与剤を含む粘着層形成組成物を塗布して粘着層を形成することができる。
【0074】
前記粘着層は、20~60μm(マイクロメートル)の厚さを有することができ、好ましくは30~50μm(マイクロメートル)の厚さを有することができる。
【0075】
前記厚さよりも薄い場合には、粘着性が劣るという問題があり、前記厚さよりも厚い場合には、粘着層形成組成物を用いて層状に塗布する場合に、硬化が遅く、粘着層が十分な強度や粘着性を維持し難いという問題がある。
【0076】
前記粘着層は、前記アクリル系樹脂100重量部に対して、アンチモン酸化物1~10重量部を含むことができる。
【0077】
粘着層を形成するための粘着層形成用組成物は、前記アクリル系樹脂100重量部に対して、アンチモン酸化物1~10重量部、溶剤100~200重量部、硬化剤0.1~10重量部、及び粘着付与剤1~15重量部を含むものであり得る。
【0078】
具体的には、前記溶剤は、例えば、トルエン(Toluene)、キシレン(Xylene)、酢酸エチル(EAc)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)などであり、必要に応じて、適切な溶剤を互いに混合して得られた混合溶剤を使用することができる。
【0079】
一方、前記硬化剤は、前記粘着剤形成組成物が粘着層として形成できるようにし、アクリル系樹脂と反応して硬化剤として機能することができるものであれば、その種類に特に拘らずに様々な硬化剤を使用することができる。例えば、エポキシ系、キレート系、メラミン系、イソシアネート系、アジリジン系、オキサゾリン系硬化剤等であってもよく、必要に応じて1種以上の硬化剤を併用することができる。
【0080】
前記粘着付与剤は、前記粘着層の粘着力増進のために添加される成分であって、粘着力を向上させることができるものであり、当該技術分野で使用されるものであれば、特に限定されずに使用が可能である。例えば、ロジンエステル、テルペンンフェノール、石油系C6樹脂、石油系C9樹脂などであり、必要に応じて、適切な1種以上の粘着付与剤を併用することができる。
【0081】
本発明による難燃インテリアフィルムにおいて、前記粘着層は、光透過率が70%以上であり得る。好ましくは、75%以上であり得る。
【0082】
前記透過率よりも低い場合には、本発明が目的とするように、基材層の収縮により粘着層が露出した場合に、粘着層の色が著しく外観を損なうという問題点がある。
【0083】
これは、特に、上述したように突き合わせ施工でインテリアフィルムを施工した場合に粘着層の色に露出することにより、外観が大きく低下する問題を引き起こす可能性がある。
【0084】
アクリル系樹脂
前記アクリル系樹脂は、粘着層を形成することができるものであり、インテリアフィルムとして機能することができるように十分な粘着力を有するものであれば、特に制限されずに使用が可能である。
【0085】
前記アクリル樹脂は、アクリレートとメタクリレートモノマーを重合して得られた粘着剤を意味するものであって、例えば、前記アクリル系樹脂は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのように、ヒドロキシ基やカルボキシル基などの官能基を含有するか、或いは窒素を含有する(メタ)アクリル系エステルモノマーが共重合されたものであってもよい。
【0086】
前記アクリル系樹脂は、固形分の含有量が5~50%、好ましくは10~45%であり得る。
【0087】
前記含有量よりも固形分の含有量が過剰である場合には、粘着剤の粘度が大きく上昇して塗布し難いという問題があり、前記含有量よりも固形分の含有量が少量である場合には、これを用いて一定の厚さ以上の粘着層を形成し難いという問題がある。
【0088】
アンチモン酸化物
従来の難燃インテリアフィルムの粘着層に添加される難燃剤は、粘着層を不透明にして、外部の環境変化により基材層が収縮するか、或いは使用後のインテリアフィルムを除去するとき、不透明な粘着層が露出して外観を損なうという問題があった。
【0089】
主に不透明であるか或いは白色の色を有する粘着層は、無機難燃剤の含有量が過剰な場合に発生する問題や、無機難燃剤の含有量を大きく下げる場合には難燃性を十分に確保することができなくなるという問題があった。
【0090】
本発明は、このような問題を解決するために、粘着層の透明性を確保しながらも、難燃インテリアフィルム本来の機能を維持することができるように、粘着層の粘着性と難燃性を同時に確保することを発明の目的とする。
【0091】
これにより、本発明による難燃インテリアフィルムの粘着層には、粘着層の透明性を維持することができるようにアンチモン酸化物を所定の含有量で含み、PVC基材層にはアンチモン酸化物、ケイ酸系難燃剤及び金属水酸化物系難燃剤を所定の含有量で含むように構成することにより、透明な粘着層を有する難燃性に優れたインテリアフィルムを提供することができる。
【0092】
具体的には、アンチモン酸化物は、PVC基材層に添加されるアンチモン酸化物の構成を参照することができる。前記粘着層に含まれるアンチモン酸化物は、PVC基材層のアンチモン酸化物と同一でも異なっても構わない。
【0093】
前記粘着層は、アンチモン酸化物を含むことにより、粘着層の透明性と難燃性を同時に確保することができる。例えば、以外の無機難燃剤を使用する場合には、少量を添加するだけで十分な難燃性を確保し難いという問題があり、他の無機難燃剤を同量又は過量で使用する場合には、粘着層の透明性確保が困難であるか、或いは粘着層を形成するための粘着層形成用組成物の粘度が高いためコーティング性が低下するという問題がある。
【0094】
本発明による難燃インテリアフィルムの粘着層に含まれる前記アンチモン酸化物の含有量は、前記アクリル系樹脂100重量部に対して1~10重量部で含まれてもよい。好ましくは、2~8重量部で含まれてもよい。
【0095】
前記含有量よりも過量で添加される場合には、粘着層形成組成物の粘度が高くなり、組成物を用いて層状に加工することが難しいという問題があり、また、粘着層の透明性が低下し、外部に粘着層が露出する場合に外観を損なう従来の問題点をそのまま持つという問題がある。
【0096】
前記含有量よりも少量で添加される場合には、十分な難燃性を確保することができないという問題がある。
【0097】
その他の難燃剤
前記粘着層は、アンチモン酸化物の他に難燃性を向上させるために、その他の難燃剤を含むことができる。
【0098】
添加可能な難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤を含むことができる。好ましくは、臭素系難燃剤を添加することができる。
【0099】
前記臭素系難燃剤を添加する場合には、前記粘着層の粘着力が低下することなく、透明性を維持することができるという利点がある。
【0100】
前記その他の難燃剤は、公知の難燃剤であれば、特に制限されずに使用が可能であるが、本発明によるインテリアフィルムに含まれる粘着層は、難燃性及び粘着性に優れるうえ、透明性を有しなければならないので、これを低下させない範囲内で適切に添加できる。
【0101】
特に、前記その他の難燃剤は、粘着層に添加されるアンチモン酸化物を除く他の全ての難燃剤を意味するものであって、添加型難燃剤、反応型難燃剤、無機難燃剤、有機難燃剤などの区別なしに、本発明が目的する範囲内で適切に添加できる。
【0102】
例えば、有機難燃剤として、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、臭素系難燃剤などを含むことができる。ただし、無機難燃剤は、前記粘着層に添加されるアンチモン酸化物を除いた無機難燃剤をその他の難燃剤と称し、本発明の目的から逸脱しない範囲内で添加できる。
【0103】
詳細には、前記粘着層がその他の難燃剤として臭素系難燃剤をさらに含み、前記臭素系難燃剤は、前記アクリル系樹脂100重量部に対して臭素系難燃剤10~30重量部となるように添加できる。
【0104】
粘着層と同様に、前記PVC基材層も、難燃性を向上させることができるその他の難燃剤をさらに含むことができる。
【0105】
前記PVC基材層のその他の難燃剤は、公知の難燃剤であれば、特に制限されずに使用が可能であり、前記粘着層とは異なり、難燃性の他に透明性を満足しなければならないなどの制約がないので、種類の制約なしに本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜添加できる。
【0106】
したがって、前記PVC基材層のその他の難燃剤の場合、含有量は、特に制限されないが、基材層形成組成物の物性が低下して、カレンダリング工程で基材層を形成することができないか、或いは剛性が低下するというなどの基材層で要求される物性が低下しない範囲で多様に添加できる。
【0107】
前記その他の難燃剤は、前記PVC基材層の前記アンチモン酸化物、ケイ酸系難燃剤及び金属水酸化物系難燃剤を除いた他の全ての難燃剤を意味するものであって、添加型難燃剤、反応型難燃剤、無機難燃剤、有機難燃剤等の区別なしに、本発明が目的とする範囲内内で適切に添加できる。
【0108】
例えば、有機難燃剤としてリン系難燃剤や窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、臭素系難燃剤など、無機難燃剤として金属化合物や無機リン系難燃剤などを含むことができる。
【0109】
その他
本発明による難燃インテリアフィルムにおいて、本発明の目的から逸脱することなく追加層を備えることができる。印刷層や表面コーティング層などの追加層を多様に構成することが可能である。
【0110】
本発明が解決しようとする従来の難燃インテリアフィルムの突き合わせ施工後の問題点を解決し、難燃インテリアフィルム本来の機能として粘着性、難燃性を満たす範囲内では、追加層や添加剤などを付加することも可能である。
【0111】
具体的には、本発明による難燃インテリアフィルムは、ASTM D3330に準拠して測定された剥離力が1.80kg/in以上を満たすとともに、ISO 5660-1規定に準拠して、コーンカロリーメータ測定法によって測定された総熱放出量(THR、Total Heat Release)値が8.0MJ/m2以下を満たすことを特徴とする。
【0112】
前記剥離力は、インテリアフィルム製品として商用化するのに適したレベルの物性に相当し、前記防炎性能は、難燃インテリアフィルム製品として商用化するための規格を満たすものであって、本発明による難燃インテリアフィルムは、透明性を有する粘着層が十分な粘着性を満足し、難燃性を有することを特徴とする。
【0113】
また、本発明による難燃インテリアフィルムは、引張強さが15~30MPaであり得る。好ましくは、20~25MPaであり得る。
【0114】
上記の範囲を満たす場合に、インテリアフィルムとして要求される柔軟性と耐久性を有すると見なすことができ、当該物性は、インテリアフィルムのPVC基材層の物性に起因する特性を有する。
【実施例】
【0115】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように本発明の実施例について詳細に説明するが、これは一つの例示に過ぎず、本発明の権利範囲は次の内容によって限定されない。
【0116】
[製造例]
下記の表1及び表2に基づいてインテリアフィルムを製造した。
【0117】
基材層は、ポリ塩化ビニルを含む組成物を混合した後、カレンダリング方法によってフィルム状の延伸ポリ塩化ビニル基材層を100μm(マイクロメートル)の厚さに製造した。
【0118】
製造された基材層の一面に透明PVCフィルムをラミネートして積層体を製造した。
【0119】
ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート及びアクリル酸が共重合されたアクリル樹脂を、溶剤である酢酸エチルと混合し、難燃剤を添加した。
【0120】
前記組成物を剥離紙上にコーティングして110℃で3分間乾燥させ、難燃粘着層を製造した。乾燥後の厚さは約35μm(マイクロメートル)であった。
【0121】
製造された粘着層と前記積層体とをラミネートしてインテリアフィルムを製造した。
【0122】
【0123】
【0124】
[実験例]
製造されたインテリアフィルムについて、次のとおりに物性評価を行い、表3に示した。
【0125】
1.粘着層の光透過率試験
前記製造例で製造した粘着層を透明PET上にコーティングして粘着剤に対する透過率を測定した。
【0126】
Haze-gard plus(製造社:BYK Gardner GmbH/AB NEXO)を用いて波長550nmの光を照射して透過率を評価した。
【0127】
2.総熱放出量の測定
インテリアフィルムの防炎性能を評価するために、コーンカロリーメータ測定法(ISO-5660-1)に準拠して評価を行った。
【0128】
各インテリアフィルムを規格に合うサンプルとして用意した後、評価を行った。各インテリアフィルムに対する総熱放出量が8.0MJ/m2以下であれば「良好」、7.2MJ/m2以下であれば「優秀」と評価する。
【0129】
3.剥離力
ASTM D3330に準拠してインテリアフィルムをSUS基材に貼り付けた(2kg、5回往復)後、300mm/分の速度で剥離することにより、剥離力を測定した。
【0130】
4.引張強さ
引張強さ試験機(装置名、会社名)を用いて引張強さを測定した。
【0131】
【0132】
前記表3を参照すると、実施例の試片は、比較例に比べて、粘着層が透明であり、粘着層の粘着力に優れるうえ、インテリアフィルム自体の引張強さにも優れることを確認することができる。
【0133】
具体的に、比較例7及び11の場合は、粘着層の透明性が劣ることにより、本発明で解決しようとする問題点として、インテリアフィルムを突き合わせ施工した後、長時間にわたる施工環境の変化(温度変化や湿度変化など)によってPVC基材層が収縮することによる粘着層の露出時に、粘着層の不透明な色が外部に露出して外観を損なうという問題が発生する。
【0134】
一方、比較例1~4の場合は、粘着層の光透過率が高いことを確認することができるため粘着層が透明であることが分かるが、これに対し、インテリアフィルムの総熱放出量が高くて難燃特性は大きく劣ることを確認することができる。
【0135】
比較例5及び9の場合は、最も低い粘着力を有することが分かるが、これは、粘着層に硬化剤と粘着付与剤が過剰に添加されることにより、むしろ粘着性が劣ることによる。
【0136】
比較例6及び10の場合は、引張強さが低いことを確認することができるが、これは、基材層に固形分が過剰に添加されることにより、インテリアフィルムを構成する基材層の柔軟性が大きく劣ることによる。
【0137】
このように、実施例による難燃インテリアフィルムは、粘着層が透明であって突き合わせ施工への使用に適し、粘着層の粘着性及び難燃インテリアフィルム自体の難燃性に優れるうえ、インテリアフィルムとして要求される引張特性を満たすことを確認することができる。