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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】車両駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20250129BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20250129BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20250129BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20250129BHJP
   B60K 1/02 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02K7/116
H02K11/33
B60L9/18 P
B60K1/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023551576
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2022036089
(87)【国際公開番号】W WO2023054437
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】P 2021162477
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100183689
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 華子
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 剛
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 公伸
(72)【発明者】
【氏名】森本 陽介
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 卓也
(72)【発明者】
【氏名】秋山 浩慶
(72)【発明者】
【氏名】大野 大
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-29059(JP,A)
【文献】特開2016-178778(JP,A)
【文献】特開2004-312925(JP,A)
【文献】特開2021-28184(JP,A)
【文献】国際公開第2020/195788(WO,A1)
【文献】特開2022-149925(JP,A)
【文献】特開2022-81020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02K 7/116
H02K 11/33
B60L 9/18
B60K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右方向に延びる回転軸を有するとともに前記左右方向に互いに離隔して配置され、前記車両の左右輪を駆動する左右のモータと、
前記左右のモータのトルクを増幅して前記左右輪の各々に伝達する歯車機構を内蔵し、前記左右のモータ間に挟装されるとともに、前記左右のモータの各モータハウジングと共に下方に窪んだ凹部を形成するギヤボックスと、
前記左右のモータ及び前記ギヤボックスの上方の搭載空間に配置され、電力を平滑化するコンデンサと複数のスイッチング素子を含む半導体モジュールとを有するインバータと、を備え、
前記インバータは、前記コンデンサ及び前記半導体モジュールを収容するトレイ部と、前記トレイ部に取り付けられ前記コンデンサ及び前記半導体モジュールを上方から覆う平板状のカバーと、を有し、
前記コンデンサは、前記カバーの下面に取り付けられるとともに前記凹部に配置され、
前記半導体モジュールは、前記カバーの前記下面に取り付けられるとともに、上面視で前記コンデンサ及び前記回転軸の各々と異なる位置に配置されている
ことを特徴とする、車両駆動装置。
【請求項2】
前記半導体モジュールは、前記左右のモータの各々に用いられる左右のモジュールを含み、
前記左右のモジュールは、いずれも前記凹部に配置され、前記コンデンサに対して前後方向のそれぞれに配置されている
ことを特徴とする、請求項1記載の車両駆動装置。
【請求項3】
前記半導体モジュールは、前記左右のモータの各々に用いられる左右のモジュールを含み、
前記ギヤボックスは、前記左右のモータハウジングに対して下方かつ前後方向のいずれか一方にオフセットして配置され、
前記左右のモジュールは、いずれも前記コンデンサに対して前後方向のいずれか前記一方に配置されている
ことを特徴とする、請求項1記載の車両駆動装置。
【請求項4】
前記半導体モジュールは、前記左右のモータの各々に用いられる左右のモジュールを含み、
前記ギヤボックスの左側に左の前記モータが配置され、前記ギヤボックスの右側に右の前記モータが配置されており、
前記コンデンサの左側に左の前記モジュールが配置され、前記コンデンサの右側に右の前記モジュールが配置されている
ことを特徴とする、請求項1記載の車両駆動装置。
【請求項5】
前記カバーは、前記トレイ部の周縁に取り付けられる平板部と、前記平板部から上方に向けて凸状に形成されて前記コンデンサが収容される凸部と、を有する
ことを特徴とする、請求項記載の車両駆動装置。
【請求項6】
前記カバーは、上下方向に直交する方向から視て前記凸部と重なるように前記平板部に形成され、前記半導体モジュールを冷却するための冷媒が流れる冷却通路を有する
ことを特徴とする、請求項5に記載の車両駆動装置。
【請求項7】
前記トレイ部は、前記ギヤボックスとは別体で設けられ、
前記トレイ部の内部空間を形成する側面部には、外部から配線が接続されるコネクタが設けられている
ことを特徴とする、請求項記載の車両駆動装置。
【請求項8】
前記コネクタは、細長い形状をなし、左右方向を向く前記側面部に設けられるとともに前後方向に対して長手方向が傾斜している
ことを特徴とする、請求項7に記載の車両駆動装置。
【請求項9】
前記インバータは、前記下面側から下方に向けてL字状に屈曲形成されるとともに前記左右のモータの一方から延出したバスバーに接続される端子を有する
ことを特徴とする、請求項記載の車両駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの電力で車両の左右輪を駆動する車両駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二つのモータ(電動機)で車両の左右輪を駆動する車両駆動装置が知られている。例えば、左右輪の各々に個別のモータを接続し、左右輪を互いに独立して駆動できるようにしたものが提案されている。このような車両駆動装置では、左右のモータの駆動力を相違させることで、左右輪に回転数差やトルク差を生じさせることができる。これにより、車両の旋回性能や旋回時の車体安定性が改善される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-184523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、減速機の収容空間とインバータの収容空間とを仕切る隔壁の上にインバータが設置されている。このため、インバータの収容空間内において、インバータの上方に余剰スペースが生じやすく、コンパクト化を図るうえで改善の余地がある。また、インバータにはコンデンサや半導体モジュール等の種々の構成部品が含まれるが、これらの構成部品の配置によっては、インバータをコンパクトに形成できない場合がある。例えば、インバータの構成部品を上下方向に重ねて配置した場合には、インバータの上下方向の寸法が大きくなりやすいという課題がある。よって、限られた空間にインバータをコンパクトに搭載できる車両駆動装置の開発が求められている。
【0005】
本件の目的の一つは、上記のような課題に照らして創案されたものであり、インバータをコンパクトに搭載できる車両駆動装置を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の車両駆動装置は、車両の左右方向に延びる回転軸を有するとともに前記左右方向に互いに離隔して配置され、前記車両の左右輪を駆動する左右のモータと、前記左右のモータのトルクを増幅して前記左右輪の各々に伝達する歯車機構を内蔵し、前記左右のモータ間に挟装されるとともに、前記左右のモータの各モータハウジングと共に下方に窪んだ凹部を形成するギヤボックスと、前記左右のモータ及び前記ギヤボックスの上方の搭載空間に配置され、電力を平滑化するコンデンサと複数のスイッチング素子を含む半導体モジュールとを有するインバータと、を備える。前記インバータは、前記コンデンサ及び前記半導体モジュールを収容するトレイ部と、前記トレイ部に取り付けられ前記コンデンサ及び前記半導体モジュールを上方から覆う平板状のカバーと、を有する。前記コンデンサは、前記カバーの下面に取り付けられるとともに前記凹部に配置され、前記半導体モジュールは、前記カバーの前記下面に取り付けられるとともに、上面視で前記コンデンサ及び前記回転軸の各々と異なる位置に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本件によれば、コンデンサ及び半導体モジュールをカバーにぶら下げるレイアウトとすることで空間を有効活用できるため、インバータをコンパクトに搭載できる車両駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例としての車両駆動装置の分解斜視図である。
図2図1に示す車両駆動装置の内部構造を説明するための断面図である。
図3図1に示す車両駆動装置の左側面図である。
図4図1に示す車両駆動装置が備えるインバータの部品配置を説明するための上面図である。
図5】インバータの部品配置の一変形例を説明するための上面図(図4に対応する図)である。
図6】インバータの部品配置の他の変形例を説明するための上面図(図4に対応する図)である。
図7図4に示すインバータの内部構造を説明するための分解斜視図であり、上下を逆転させて示す。
図8図4に示すインバータの冷却通路を説明するための上面図である。
図9図4に示すインバータの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.構成]
図1図4及び図7図9は、本適用例(実施形態)に係る車両駆動装置10の構成を説明するための図である。図中の前後,左右,上下は、車両駆動装置10が搭載される車両の運転者を基準として定められる方向を表す。図1に示すように、車両駆動装置10には、左モータ1,右モータ2,ギヤボックス3,インバータ4が設けられる。左右のモータ1,2(左モータ1,右モータ2)は、車両に搭載されるバッテリ(図示略)の電力を受けて車両の左右輪を駆動する電動機である。
【0010】
左右のモータ1,2は、左右方向(車幅方向)に延びる回転軸C(図面では、一点鎖線で示す回転軸の回転中心に符号Cを付す)を有し、同軸かつ左右方向に互いに離隔して配置される。左モータ1は、少なくとも左輪軸に繋がる動力伝達経路に接続される。同様に、右モータ2は、少なくとも右輪軸に繋がる動力伝達経路に接続される。左右のモータ1,2は、他の駆動用モータやエンジンが搭載される電気自動車やハイブリッド自動車においては、少なくとも左右輪の駆動力や制動力を増減させることで旋回力を発生させるヨーモーメント生成源として機能する。また、他の駆動用モータが搭載されない電気自動車においては、モータ1,2は、上記の機能に加えて、車両の駆動源としての機能を併せ持つ。
【0011】
本実施例の左右のモータ1,2は、互いに同様に構成される。各モータ1,2は、内部にステータ,ロータ,モータ軸等の電動機要素を内蔵した構造を持つ。これらの要素は、図2に示すように、各モータ1,2の外装をなす(各モータ1,2の電動機要素が内装される)左右のモータハウジング11,12(左モータハウジング11,右モータハウジング12)の中に収容される。なお、モータハウジング11,12は、有底筒状体の底部を左右方向のそれぞれ外側に向け、左右方向の中央側の開口にエンドベルが取り付けられて構成される。
【0012】
ステータは、例えば絶縁被膜がコーティングされた電磁鋼板を積層してなる積層鉄心にコイルを巻き付けた構造を持ち、各モータハウジング11,12に固定される固定子である。ロータは、例えば絶縁被膜がコーティングされた電磁鋼板を積層してなる積層鉄心に永久磁石を内挿した円筒状の回転子であり、ステータの中心軸と同心の状態でその内側に遊挿されて軸状のモータ軸に固定される。ステータに通電される交流電力の周波数を変更することで、ステータの内側における磁界の回転速度が変化し、ロータ及びモータ軸の角速度が変更される。モータ軸の一端は、ギヤボックス3に接続される。左モータ1はギヤボックス3の左側に配置され、右モータ2はギヤボックス3の右側に配置される。
【0013】
ギヤボックス3は、左右のモータハウジング11,12の間に挟装される駆動力伝達装置である。このギヤボックス3は、外装をなすギヤボックスハウジング13とこれに内蔵される歯車機構とを有する。歯車機構は、左モータ1及び右モータ2のトルクを増幅して左右輪に伝達する機構である。また、歯車機構には、左輪軸と右輪軸との間にトルク差を生じさせるための機構(例えば差動歯車機構や遊星歯車機構など)が含まれる。
【0014】
本実施例のギヤボックスハウジング13は、左右のモータハウジング11,12に対して下方にオフセットして配置される。具体的に表現すれば、図3に示すように、左右のモータ1,2の回転軸Cを基準として、側面視でギヤボックス3が下方かつ前方(左右のモータ1,2の径方向)に偏った位置に配置されるように、左右のモータハウジング11,12とギヤボックスハウジング13との位置関係が設定される。このようなレイアウトにより、ギヤボックス3は、下方に窪んだ凹部8をモータハウジング11,12と共に形成する。図2及び図3に示すように、凹部8は、左右のモータハウジング11,12の間において下方にへこんだ盆地状をなす。
【0015】
インバータ4は、直流回路の電力(直流電力)とモータ1,2側の交流回路の電力(交流電力)とを相互に変換する変換器(DC-ACインバータ)である。このインバータ4は、直流電力を交流電力に変換して左右のモータ1,2の双方に給電する機能を持つ。インバータ4は、左右のモータ1,2及びギヤボックス3の上方の搭載空間S(図2中の二点鎖線)に配置される。この搭載空間Sは、車両駆動装置10が搭載される位置において、車両駆動装置10と周囲の機器や車体との間に形成される空間であり、モータハウジング11,12間の凹部8と、モータハウジング11,12よりも上方の空間とを含んで前面視でT字状となっている。
【0016】
図3に示すように、本実施例では、モータハウジング11,12の上端がモータ1,2の回転軸Cの真上(上面視で回転軸Cと重なる部分)に位置する。このため、搭載空間Sのうちモータハウジング11,12よりも上方の部分(T字の横棒に相当する空間)は、回転軸Cの真上が最小となる。換言すれば、搭載空間Sは、上面視で回転軸Cと重なる位置よりも、この回転軸Cからずれた位置において、大きく確保されている。
【0017】
図1に示すように、インバータ4は、電力を平滑化するコンデンサ5と、複数のスイッチング素子を含む半導体モジュール6とを有する。コンデンサ5及び半導体モジュール6は、インバータ4の外装をなすインバータケース14に内蔵される。本実施例では、インバータ4の構成部品の一つである電流センサ7も、コンデンサ5及び半導体モジュール6と共にインバータケース14に内蔵されている。
【0018】
インバータケース14は、搭載空間Sに配置され、左右のモータハウジング11,12に対して固定される。また、インバータケース14は、コンデンサ5や半導体モジュール6を収容するトレイ部(インバータ下ケース)16と、コンデンサ5や半導体モジュール6を上方から覆う平板状のカバー(インバータ上ケース)15とを組み合わせて形成される。本実施例のトレイ部16は、ギヤボックス3(ギヤボックスハウジング13)とは別体で設けられている。ただし、トレイ部16は、ギヤボックス3と一体で(ギヤボックスハウジング13の一部として)設けられてもよい。
【0019】
コンデンサ5は、インバータ4の他の構成部品(半導体モジュール6や電流センサ7)と比べて厚み寸法(上下方向の寸法)が大きい電子部品である。本実施例では、一つのコンデンサ5が左右のモータ1,2の双方に用いられている。コンデンサ5は、電流制御型のインバータにおいては、半導体モジュール6で変換された交流電力の給電ラインに介装され、電圧制御型のインバータにおいては、直流電力の入力側に介装される。コンデンサ5は、言わば一種のフィルターとして機能して、モータ1,2に供給される電流を安定させる役割を担う。
【0020】
半導体モジュール6は、基板(電子回路用基板)上に複数のスイッチング素子やダイオードなどを含む三相ブリッジ回路を形成してなるパワーモジュールである。各スイッチング素子の接続状態を断続的に切り替えることで、直流電力が三相の交流電力に変換される。スイッチング素子には、サイリスタ,IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor),パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)などの半導体素子が用いられる。
【0021】
本実施例の半導体モジュール6は、左右のモータ1,2の各々に用いられる左右(一対)のモジュール6L,6R(左モジュール6L,右モジュール6R)を含む。左右のモジュール6L,6Rは互いに別体で設けられる。左モジュール6Lは左モータ1に専用の半導体モジュールである。左モジュール6Lで生成された交流電力は、左モータ1に給電される。一方、右モジュール6Rは右モータ2に専用の半導体モジュールである。右モジュール6Rで生成された交流電力は、右モータ2に給電される。
電流センサ7は、半導体モジュール6と同様に、左右のモータ1,2の各々に用いられる左右(一対)のセンサ7L,7R(左センサ7L,右センサ7R)を含む。左右のセンサ7L,7Rも互いに別体で設けられる。
【0022】
インバータ4の配置について説明すると、少なくとも、厚み寸法が最も大きなコンデンサ5が凹部8に(凹部8の内側又は凹部8の直上)配置される。さらに、上面視で、半導体モジュール6が、コンデンサ5とも各回転軸Cとも異なる位置に配置される。加えて、電流センサ7が、上面視で、コンデンサ5,半導体モジュール6及び回転軸Cのいずれとも異なる位置に配置される。したがって、上面視では、コンデンサ5が左右のモータハウジング11,12の間に位置し、半導体モジュール6及び電流センサ7の各々がコンデンサ5及び回転軸Cに対して前後方向や左右方向にずれて位置し、コンデンサ5及び回転軸Cとは重ならない。
【0023】
図4に示すように、本実施例では、左右のモジュール6L,6R及び左右のセンサ7L,7Rがいずれも凹部8に配置されている。すなわち、本実施例のインバータ4は、その全体が凹部8の内側又は凹部8の直上に配置されている。凹部8の内側では、左右のモジュール6L,6Rがコンデンサ5に対して前後方向のそれぞれ(前方及び後方)に配置され、左右のセンサ7L,7Rもコンデンサ5に対して前後方向のそれぞれ(前方及び後方)に配置される。
【0024】
本実施例では、左モータ1に専用の左モジュール6L及び左センサ7Lが、コンデンサ5の後方に配置され、右モータ2に専用の右モジュール6R及び右センサ7Rが、コンデンサ5の前方に配置されている。また、左センサ7Lが左モジュール6Lの右側に配置され、右センサ7Rが右モジュール6Rの左側に配置されている。ただし、半導体モジュール6及び電流センサ7の配置はこれに限定されない。例えば、左右のモジュール6L,6Rの位置が互いに入れ替えられてもよいし、左右のセンサ7L,7Rの位置が互いに入れ替えられてもよい。
【0025】
ここで、図5及び図6に、半導体モジュール6及び電流センサ7の配置の変形例を示す。なお、これら変形例において、コンデンサ5の位置は図4と変わらない。
図5に示すように、左右のモジュール6L,6R及び左右のセンサ7L,7Rが、コンデンサ5に対して前後方向のいずれか一方(前方又は後方)に配置されてもよい。上記のとおりギヤボックス3がモータハウジング11,12に対して前方にオフセットして配置される場合は、搭載空間Sが回転軸Cの後方よりも前方において大きく確保される。このため、図5に示す変形例では、左右のモジュール6L,6Rがいずれもコンデンサ5の前方に配置されている。なお、ギヤボックス3がモータハウジング11,12に対して後方にオフセット配置された構成では、回転軸Cよりも後方の搭載空間Sの方が広くなるため、図5に示す配置と逆に、左右のモジュール6L,6R及び左右のセンサ7L,7Rを、コンデンサ5よりも後方に配置してもよい。
【0026】
あるいは、図6に示すように、左モジュール6L及び左センサ7Lがコンデンサ5の左側に配置され、右モジュール6R及び右センサ7Rがコンデンサ5の右側に配置されてもよい。この場合に、左右のモジュール6L,6Rは、一方が回転軸Cよりも前方に配置され、他方が回転軸Cよりも後方に配置されることが好ましい。左右のセンサ7L,7Rも同様に、一方が回転軸Cよりも前方に配置され、他方が回転軸Cよりも後方に配置されることが好ましい。また、左モジュール6L及び左センサ7Lが、左モータ1の回転軸Cに対して前後方向のそれぞれ(前方及び後方)に分かれて配置され、右モジュール6R及び右センサ7Rが、右モータ2の回転軸Cに対して前後方向のそれぞれ(前方及び後方)に分かれて配置されることがより好ましい。
【0027】
図6に示す変形例では、左モジュール6Lが左モータ1の回転軸Cよりも後方に配置され、左センサ7Lが左モータ1の回転軸Cよりも前方に配置されている。また、右モジュール6Rが右モータ2の回転軸Cよりも前方に配置され、右センサ7Rが右モータ2の回転軸Cよりも後方に配置されている。このように、図6の変形例では、半導体モジュール6及び電流センサ7の前後の位置がコンデンサ5の左右で互いに入れ替えられた配置(対角配置)となっている。
【0028】
インバータケース14は、インバータ4の構成部品を収容可能となるように、コンデンサ5及び半導体モジュール6等の配置に応じた形状をなす。例えば、図5に示す変形例では、上面視でT字状であり、図6に示す変形例では、上面視で略正方形状となる。図1図4に示すように、本実施例では、コンデンサ5及び半導体モジュール6がいずれも凹部8に配置されることから、インバータケース14は、上面視で凹部8の形状に対応した形状、すなわち、上面視で前後方向に長い略矩形状をなす。
【0029】
図2及び図7に示すように、コンデンサ5,半導体モジュール6及び電流センサ7はいずれも、カバー15の下面17(以下、「カバー下面17」ともいう)に取り付けられる。カバー下面17は、カバー15がトレイ部16に取り付けられた状態でトレイ部16側(下側)を向く内面である。カバー下面17に取り付けられたコンデンサ5,半導体モジュール6及び電流センサ7は、カバー下面17から吊り下げられた状態でトレイ部16に収容される。
【0030】
図1及び図7に示すように、本実施例のカバー15は、トレイ部16の周縁に取り付けられる平板部34と、平板部34から上方に向けて凸状に形成されてコンデンサ5が収容される凸部31と、半導体モジュール6を冷却するための冷媒が流れる冷却通路30とを有する。凸部31は、カバー15の中央部(前後方向の中央)で上方に向かって膨出した形状をなす。コンデンサ5は、凸部31から吊り下げられた状態となるように、カバー下面17のうち凸部31に対応する位置に固定される。
【0031】
本実施例のカバー15は、凸部31の前後方向のそれぞれにおいて上方に向かって膨出した形状をなす二つの膨出部32,33を更に有する。各膨出部32,33は、凸部31と比べて上下方向の寸法(平板部34からの膨出量)が小さい凸状をなす。二つの膨出部32,33には、左右のモジュール6L,6Rをそれぞれ冷却する冷却通路(図示略)が内蔵され、各膨出部32,33の直下に左右のモジュール6L,6Rが配置される。左右のモジュール6L,6Rは、平板部34から吊り下げられた状態となるように、カバー下面17のうち膨出部32,33に対応する位置にそれぞれ固定される。
左右のセンサ7L,7Rは、左右のモジュール6L,6Rとそれぞれ隣接する位置でカバー15から吊り下げられた状態となるように、カバー下面17に取り付けられる。
【0032】
図1及び図8に示すように、冷却通路30は、カバー15と一体成形されており、平板部34から上方へ膨出した管状をなす。冷却通路30の内部には、冷媒の流通路となる中空部が設けられる。本実施例の冷却通路30は、前方の膨出部33内の冷却通路に接続された前供給路35及び前排出路36と、後方の膨出部32内の冷却通路に接続された後供給路37及び後排出路38と、前供給路35及び後排出路38どうしを繋ぐ接続路39とを含む。
【0033】
二つの供給路35,37及び二つの排出路36,38はいずれも左右方向に沿って延びている。前供給路35は、前方の膨出部33から左方へ延びており、前排出路36は、前方の膨出部33から右方へ延びている。一方、後供給路37は、後方の膨出部32から右方へ延びており、後排出路38は、後方の膨出部32から左方へ延びている。接続路39は、凸部31の左方に配置され、前後方向に沿って延びている。
【0034】
冷却通路30は、上下方向に直交する方向から視て凸部31と重なるように、平板部34に形成される。言い換えれば、冷却通路30の上下方向の位置は、凸部31の上下方向の位置と一致する(あるいは含まれる)ように設定される。本実施例では、二つの供給路35,37及び二つの排出路36,38の各々が前後方向から視て凸部31と重なり、接続路39が左右方向から視て凸部31と重なるように、冷却通路30が形成されている。
【0035】
インバータ4の外部から後供給路37に供給された冷媒は、後供給路37から後方の膨出部32内の冷却通路に供給され、図示しないヒートシンクを介して右モジュール6Rを冷却した後、後排出路38へと排出される。そして、この冷媒は、接続路39を通じて前供給路35に供給される。前供給路35に供給された冷媒は、前供給路35から前方の膨出部33内の冷却通路に供給され、図示しないヒートシンクを介して左モジュール6Lを冷却した後、前排出路36へと排出される。そして、前排出路36からインバータ4の外部に冷媒が排出される。
【0036】
このように、本実施例の冷却通路30は、後排出路38と前供給路35とが接続路39により直列に接続された構造をなす。これに代えて、冷却通路30は、前方の膨出部33内の冷却通路に接続された前供給路35及び前排出路36と、後方の膨出部32内の冷却通路に接続された後供給路37及び後排出路38とが、並列に接続された構造をなしてもよい。また、カバー15と一体成形された接続路39に代えて、カバー15と別体で形成されたチューブ(図示略)により、前供給路35及び後排出路38どうしが接続されてもよい。
【0037】
図7に示すように、本実施例のインバータ4は、カバー下面17側から下方に向くL字状に屈曲形成された端子9を有する。端子9は、左センサ7Lに隣接する位置に三つ設けられるとともに、右センサ7Rに隣接する位置にも三つ設けられている。左センサ7Lに隣接する三つの端子9は、左モータ1(左右のモータ1,2の一方)から延出したバスバー20に接続され、左モータ1に対する三相交流の給電ラインをなす。同様に、右センサ7Rに隣接する三つの端子9は、右モータ2(左右のモータ1,2の一方)から延出したバスバー20に接続され、右モータ2に対する三相交流の給電ラインをなす。
各端子9は、電流センサ7側から左右方向に延出する基部9aと、基部9aから下方に向けて(90度に屈曲して)延出する接続部9bとを有する。接続部9bは、上下方向に沿う姿勢で配置され、各モータ1,2から上方へ向けて延設されたバスバー20と連結される。
【0038】
図9に示すように、トレイ部16は、カバー下面17から吊り下げられたコンデンサ5や半導体モジュール6等を収容可能な内部空間を有する容器状に形成される。トレイ部16の内部空間を形成する側面部18には、端子9とバスバー20とを接続するための作業孔22と、外部から配線が接続されるコネクタ23とが設けられている。本実施例の作業孔22及びコネクタ23はいずれも、側面部18のうち、左右方向を向く左面部18L及び右面部18R(図2参照)に形成されている。
【0039】
作業孔22は、端子9の位置に対応するように、左面部18Lの前部と右面部18Rの後部とに貫設される。作業孔22は、端子9とバスバー20との接続箇所に設けられる締結具21を締め付ける際に、工具を挿入するための開口部である。本実施例では、矩形状の作業孔22を例示する。ただし、作業孔22の形状は特に限定されない。
端子9の接続部9bは、トレイ部16の内部空間において作業孔22に隣接する位置に配置される。また、バスバー20は、トレイ部16の底面部19に貫設された底孔(図示略)に通されたうえで、トレイ部16の内部空間において作業孔22に隣接する位置に配置され、端子9の接続部9bに重ね合わされる。端子9の接続部9bとバスバー20とは、作業孔22から挿入された工具を用いて、トレイ部16の内部空間で締結具21により互いに締結される。
【0040】
コネクタ23は、例えば低電圧信号用の配線の接続するための電気部品である。本実施例では、左面部18Lの後部と右面部18Rの前部との各々に、コネクタ23が二つずつ設けられている。各コネクタ23は、細長い形状をなし、その長手方向Dが前後方向及び上下方向のそれぞれに対して傾斜している。なお、コネクタ23の具体的な配置や個数は、ここで示すものに限定されない。コネクタ23は、左面部18L及び右面部18R以外の側面部18に設けられてもよいし、トレイ部16から省略されてもよい。
【0041】
[2.作用・効果]
(1)図4に示すように、上記のインバータ4では、コンデンサ5がカバー下面17に取り付けられるとともに凹部8に配置され、半導体モジュール6がカバー下面17に取り付けられるとともに上面視でコンデンサ5及び回転軸Cの各々と異なる位置に配置される。このように、インバータ4の構成部品のうち最も厚み寸法が大きいコンデンサ5を凹部8に配置することで、凹部8(モータ1,2間の空間)を有効活用しながらコンデンサ5をコンパクトに搭載できる。また、半導体モジュール6が上面視でコンデンサ5及び回転軸Cの各々と重ならないことで、インバータ4の上下方向の寸法をコンパクト化できる。
【0042】
さらに、コンデンサ5及び半導体モジュール6がいずれもカバー下面17に取り付けられる「ぶら下がりレイアウト」とすることで、空間を有効活用できるうえ、カバー15とは別体のベースプレートにコンデンサ5及び半導体モジュール6を取り付ける構造と比べて、ベースプレートを省略できる。言い換えると、ベースプレートの機能をカバー15に兼ねることができるため、部品点数を削減できるとともに、更なる省スペース化を図れる。したがって、車両駆動装置10によれば、限られた搭載空間Sにインバータ4をコンパクトに搭載できる。よって、車両駆動装置10の小型化を実現できる。
【0043】
なお、本実施例では、電流センサ7もカバー下面17に取り付けられるとともに上面視でコンデンサ5,半導体モジュール6及び回転軸Cの各々と異なる位置に配置されている。このように、インバータ4の構成部品の一つである電流センサ7が、上面視でコンデンサ5,半導体モジュール6及び回転軸Cの各々と重ならないことで、インバータ4の上下方向の寸法を更にコンパクト化できる。また、コンデンサ5及び半導体モジュール6に加えて電流センサ7もカバー下面17に取り付けられて「ぶら下がりレイアウト」とすることで、上記のとおり空間を有効活用しつつベースプレートを省略でき、更なる省スペース化を図れる。
【0044】
(2)左右のモジュール6L,6Rは、いずれも凹部8に配置され、コンデンサ5に対して前後方向のそれぞれに配置されている。このように、インバータ4の構成部品であるコンデンサ5及び左右のモジュール6L,6Rをいずれも凹部8に配置することで、車両駆動装置10の上下方向の寸法をよりコンパクト化できる。また、左右のモジュール6L,6Rでコンデンサ5を挟む配置とすることにより、左右のモータ1,2の各ユニット(モータハウジング11,12や半導体モジュール6L,6R等を含む組立品、及びモータ1,2からの配線)を共通化できる。このため、車両駆動装置10の組立作業の簡略化及びコスト削減に寄与する。
さらに本実施例では、インバータ4の全体が凹部8に配置されているため、車両駆動装置10の上下方向の寸法を一層コンパクト化できる。
【0045】
(3)ギヤボックス3が左右のモータハウジング11,12に対して下方かつ前方にオフセットして配置される場合には、搭載空間Sがモータ1,2の回転軸Cよりも前方において大きく確保される。このため、図5に示す変形例では、左右のモジュール6L,6Rがいずれもコンデンサ5に対して前方に配置されている。このように、モータハウジング11,12に対するギヤボックス3のオフセット方向に応じて左右のモジュール6L,6Rの配置を設定することで、搭載空間Sをより有効活用しながら左右のモジュール6L,6Rの配置容易性(姿勢の自由度)を高められる。また、インバータ4において、半導体モジュール6以外の部品(例えば電流センサ7)もコンデンサ5の前方に配置すれば、コンデンサ5よりも後方に部品を配置しなくて済むため、後方部分の小型化に寄与する。
【0046】
なお、ギヤボックス3がモータハウジング11,12に対して下方かつ後方にオフセットして配置される場合には、搭載空間Sがモータ1,2の回転軸Cよりも後方において大きく確保される。したがって、この場合には、左右のモジュール6L,6Rをいずれもコンデンサ5に対して後方に配置する(図5に示す変形例と前後を反転させた配置とする)ことで、上記と同様の作用及び効果が得られる。
【0047】
(4)一方、図6に示す変形例では、コンデンサ5の左側に左モジュール6Lが配置され、コンデンサ5の右側に右モジュール6Rが配置されている。このように、左モータ1に用いられる左モジュール6Lをコンデンサ5の左側に配置することで、左モジュール6Lを左モータ1とユニット化(アセンブリ化)できる。同様に、右モータ2に用いられる右モジュール6Rをコンデンサ5の右側に配置することで、右モジュール6Rを右モータ2とユニット化(アセンブリ化)できる。また、左右のモータ1,2の各ユニットを共通化すれば、車両駆動装置10の組立作業の簡略化及びコスト削減に寄与する。
【0048】
さらに、図6に示す変形例では、左モジュール6L及び左センサ7Lが左モータ1の回転軸Cに対して前後方向のそれぞれに配置され、右モジュール6R及び右センサ7Rが右モータ2の回転軸Cに対して前後方向のそれぞれに配置されている。このように、半導体モジュール6及び電流センサ7を回転軸Cに対して前後に分散させて配置することで、部品どうしの干渉回避が容易となる。
【0049】
加えて、図6に示す変形例では、半導体モジュール6及び電流センサ7の前後の位置がコンデンサ5の左右で互いに入れ替えられた配置となっている。具体的に言えば、コンデンサ5の左側(左モータ1のユニット)では、左センサ7Lが左モジュール6Lの前方(前後方向のいずれか一方)に配置され、コンデンサ5の右側(右モータ2のユニット)では、右センサ7Rが右モジュール6Rの後方(前後方向のいずれか他方)に配置されている。このように、左右のモータ1,2のユニットで半導体モジュール6及び電流センサ7を前後対称の配置とすることにより、左右のモータ1,2の各ユニットを共通化できる。よって、車両駆動装置10の組立作業の簡略化及びコスト削減に寄与する。
【0050】
(5)図1及び図7に示すように、上記のカバー15には、平板部34から上方に向けて凸状に形成されてコンデンサ5が収容される凸部31が設けられる。このように、厚み寸法の大きいコンデンサ5を収容する凸部31を平板部34から局所的に突出させることで、カバー15の全体の大型化を回避しつつ、コンデンサ5の収容性を確保できる。
【0051】
(6)また、図1及び図8に示すように、上記のカバー15の平板部34には、上下方向に直交する方向から視て凸部31と重なるように、半導体モジュール6を冷却するための冷却通路30が形成される。このように、上下方向において冷却通路30を凸部31と同じ位置(高さ位置)に配置することで、凸部31に対して上下方向と直交する方向に隣接するデッドスペースを有効活用できる。よって、車両駆動装置10の上下方向の寸法をよりコンパクト化しながら半導体モジュール6の冷却性能を確保できる。
【0052】
(7)上記のトレイ部16の側面部18には、外部から配線が接続されるコネクタ23が設けられているため、コネクタ23がカバー15に設けられる場合と比べてカバー15の形状を簡素化できる。
【0053】
(8)上記のコネクタ23は、細長い形状をなし、左右方向を向く側面部18(左面部18L及び右面部18R)に設けられるとともに前後方向に対して長手方向Dが傾斜している。コネクタ23をこのような傾斜姿勢とすることで、長手方向Dが前後方向と一致する水平姿勢の場合と比べて、トレイ部16の前後方向の寸法を縮小できる。したがって、インバータ4を前後方向において更にコンパクト化できる。よって、車両駆動装置10の更なる小型化に寄与する。
なお、本実施例のコネクタ23は、その長手方向Dが上下方向に対しても傾斜しているため、長手方向Dが上下方向と一致する直立姿勢の場合と比べて、トレイ部16の上下方向の寸法も縮小できる。
【0054】
(9)上記のインバータ4には、カバー下面17側から下方に向けてL字状に屈曲形成されるとともに左右のモータ1,2の一方から延出したバスバー20に接続される端子9が設けられている。このように、端子9を下方へ屈曲させてバスバー20を迎えに行くような形状とすることで、端子9が下方へ屈曲していない場合と比べて、端子9とバスバー20との接続構造をコンパクト化できる。したがって、インバータ4を更にコンパクト化でき、車両駆動装置10の更なる小型化に寄与する。
【0055】
[3.変形例]
上記の実施例及び変形例はあくまでも例示に過ぎず、本実施例及び変形例で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施例及び変形例の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、本実施例及び変形例の各構成は、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0056】
例えば、上述の実施例ではモータ1,2の回転軸Cを基準として、側面視でギヤボックス3が下方かつ前方に偏った位置に配置された車両駆動装置10を例示したが、ギヤボックス3が下方かつ後方にオフセットしていてもよい。少なくとも、ギヤボックスハウジング13が左右のモータハウジング11,12に対して下方にオフセットすることで、凹部8を利用したインバータケース14の配置が容易となり、インバータ4を搭載空間Sにコンパクトに収容しやすくなる。したがって、上記の実施例と同様の作用,効果を獲得することができる。
【0057】
左右のモジュール6L,6Rは一体化されてもよい。すなわち、半導体モジュール6は、コンデンサ5と同様に左右のモータ1,2に対して共通の一つが設けられてもよい。
上記のカバー15の形状は一例である。カバー15は、凸部31や膨出部32,33を有しない平板状に形成されてもよいし、冷却用の通路をカバー15とは別体で形成することで上記の冷却通路30を省略してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 左モータ
2 右モータ
3 ギヤボックス
4 インバータ
5 コンデンサ
6 半導体モジュール
6L 左モジュール
6R 右モジュール
8 凹部
9 端子
10 車両駆動装置
11 左モータハウジング
12 右モータハウジング
15 カバー
16 トレイ部
17 カバー下面
18 側面部
20 バスバー
23 コネクタ
30 冷却通路
31 凸部
34 平板部
C 回転軸
D 長手方向
S 搭載空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9