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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-28
(45)【発行日】2025-02-05
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂製品製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/72 20060101AFI20250129BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20250129BHJP
   B29C 45/02 20060101ALI20250129BHJP
   B29C 31/04 20060101ALI20250129BHJP
   B29C 37/02 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B29C33/72
B29C45/14
B29C45/02
B29C31/04
B29C37/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024558165
(86)(22)【出願日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 JP2023000647
(87)【国際公開番号】W WO2024150378
(87)【国際公開日】2024-07-18
【審査請求日】2024-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000144740
【氏名又は名称】株式会社山城精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】岸川 健
(72)【発明者】
【氏名】桝本 巧
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 良雄
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-197571(JP,A)
【文献】特開平07-241868(JP,A)
【文献】特開昭61-148016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/72
B29C 45/14
B29C 45/02
B29C 31/04
B29C 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金型と、
前記複数の金型にワークを供給するワーク供給部と、
前記複数の金型に熱硬化性樹脂材料を供給する材料供給部と、
前記複数の金型で成形された製品を取り出す製品取り出し部と、
前記複数の金型で発生するバリを除去する清掃部と、
を備え
前記複数の金型は、直線状に並べられて配置され、
前記製品取り出し部と前記清掃部とは、一体で、前記複数の金型の鉛直上方において前記複数の金型が並べられている方向、及び、上下方向へ移動可能に構成され、前記複数の金型が並べられている方向及び前記上下方向に直交する方向へは移動せず、
前記清掃部から前記製品取り出し部へ向かう方向の先に製品搬出口が配置されている、熱硬化性樹脂製品製造装置。
【請求項2】
前記ワーク供給部と前記材料供給部とは、一体で、前記複数の金型が並べられている方向、及び、上下方向へ移動可能に構成されている請求項1に記載の熱硬化性樹脂製品製造装置。
【請求項3】
前記複数の金型のうちの少なくとも1つの前記金型を使用して、熱硬化性樹脂製品を製造可能な請求項1に記載の熱硬化性樹脂製品製造装置。
【請求項4】
前記複数の金型と、前記ワーク供給部と、前記材料供給部と、前記製品取り出し部と、前記清掃部とは、外郭を構成するカバー部材により覆われている請求項1に記載の熱硬化性樹脂製品製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂製品製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ICチップを載置した回路樹脂基板又はリードフレーム上に載置されたICチップを樹脂封止するため、又は、コネクタ、振動子等を樹脂封止するための、トランスファー成形機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-214629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のトランスファー成形機は、据え置き型であり、成形を行いたい場所へ搬送して、必要な数の金型を稼働して成形を行うことは困難であった。
【0005】
本発明は、必要な数の金型を可動させて、材料、及びワークを搬送し成形を行うことが可能な熱硬化性樹脂製品製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の金型と、前記複数の金型にワークを供給するワーク供給部と、前記複数の金型に熱硬化性樹脂材料を供給する材料供給部と、前記複数の金型で成形された製品を取り出す製品取り出し部と、前記複数の金型で発生するバリを除去する清掃部と、を備える、熱硬化性樹脂製品製造装置に関する。
【0007】
また、前記複数の金型は、直線状に並べられて配置されていることが好ましい。また、前記ワーク供給部と前記材料供給部とは、一体で、前記複数の金型が並べられている方向、及び、上下方向へ移動可能に構成されていることが好ましい。また、前記製品取り出し部と前記清掃部とは、一体で、前記複数の金型が並べられている方向、及び、上下方向へ移動可能に構成されていることが好ましい。
【0008】
また、前記複数の金型のうちの少なくとも1つの前記金型を使用して、熱硬化性樹脂製品を製造可能なことが好ましい。
【0009】
また、前記複数の金型と、前記ワーク供給部と、前記材料供給部と、前記製品取り出し部と、前記清掃部とは、外郭を構成するカバー部材により覆われていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、必要な数の金型を可動させて、材料、及びワークを搬送し成形を行うことが可能な熱硬化性樹脂製品製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置において側面の扉を開いた状態を示す側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置の構成を示す概略平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置のワーク供給部と材料供給部とを示す側面図である。
図5】本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置のワーク供給部と材料供給部とを示す正面図である。
図6】本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置の製品取り出し部と清掃部とを示す側面図である。
図7】本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置の製品取り出し部と清掃部とを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態による熱硬化性樹脂製品製造装置1について、図面を参照しながら説明する。ここで、説明の便宜上、後述の材料排出口から材料供給装置20に向かう方向を前方向Frと定義し、その反対の方向を後方向Rrと定義する。また、熱硬化性樹脂製品製造装置1における鉛直上方向(図2における上方向)を上方向Upと定義し、その反対の方向を下方向Dwと定義する。主要な図面には、これらの方向を示す矢印を図示する。
【0013】
熱硬化性樹脂製品製造装置1は、モーターを構成するワークとしてのロータやステータのマグネットを熱硬化性樹脂により封止したり、車両に組み込まれるワークとしてのECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)を熱硬化性樹脂により封止したりして熱硬化性樹脂製品を製造する装置である。熱硬化性樹脂製品製造装置1は、材料供給装置20と、8つの金型30(30-1~30-8)と、ワーク供給部40と、材料供給部50と、製品取り出し部60と、清掃部70と、を備えており、これらは、装置本体10に覆われて装置本体10の内部に収納されている。
【0014】
装置本体10は、直方体形状を有しており、熱硬化性樹脂製品製造装置1の外郭をなす筐体としてのカバー部材を構成する。装置本体10は、開閉可能な複数の扉11を有しており、扉11を開くことにより、装置本体10の内部に収納された金型30等を視認することが可能である。
【0015】
また、装置本体10の外面には、タッチパネル等により構成される操作パネル12を有している。操作パネル12を操作して、所定のパラメータ等の設定をすることにより、熱硬化性樹脂製品製造装置1による熱硬化性樹脂の成形を行うことが可能である。例えば、操作パネル12を操作して、8つの金型30(30-1~30-8)のうちの少なくとも1つの金型30を選択することにより使用して、当該選択した金型30のみにより熱硬化性樹脂の成形を行うことが可能である。
【0016】
装置本体10の上部の前部には、材料供給装置20が設けられている。材料供給装置20は、装置本体10の上面から上側へ突出するホッパ部21を有している。図示しないベルトコンベア等によってホッパ部21に供給された熱硬化性樹脂材料は、材料供給装置20により円柱形状等の所定の形状に固形化され、装置本体10の内部に配置された材料供給流路を通して、材料供給部50に供給されるように構成されている。
【0017】
装置本体10の後部の壁面には、図示しない製品搬出口が形成されている。図示しない製品搬出口には、図示しないベルトコンベア等が配置され、熱硬化性樹脂製品製造装置1による熱硬化性樹脂の成形が行われて製造された製品は、図示しないベルトコンベア等により、図示しない製品搬出口から搬出されるように構成されている。
【0018】
装置本体10の内部の側壁に沿った位置には、一対のガイドレール13が設けられている。ガイドレール13は、対向する一方の側壁と他方の側壁との両方に沿って、これらの前部から後部まで延びて設けられている。
【0019】
ガイドレール13の下側には、金型30が配置されている。8つの金型30(30-1~30-8)は、一対のガイドレール13の延びる方向へ一対のガイドレール13に沿って直線状に所定の間隔でそれぞれ4つずつ、奇数列側(金型30-1、30-3、30-5、30-7)と、偶数列側(金型30-2、30-4、30-6、30-8)と、に分かれて並べられて配置されている。
【0020】
金型30は、それぞれ上型311と下型312とを有している。上型311は、装置本体10の幅方向(図3における上下方向)に移動する図示しないスライドテーブルと一体で移動可能であり、金型30が開かれたときに、下型312に対して装置本体10の幅方向における装置本体10の内方へ移動する。このように上型311が移動をした位置には、上型クリーナ313が設けられている。上型クリーナ313は、このように移動をした上型311を、金型により成形が行われて金型30が開く毎に掃除して、硬化性樹脂成形において発生する特有のバリや、成形により発生したカスを除去する。
【0021】
ガイドレール13には、ワーク供給部40及び材料供給部50が設けられている。ワーク供給部40は、熱硬化性樹脂により封止等されるワークとしての、モーターを構成するロータやステータのマグネットや、車両に組み込まれるECUをチャックして保持して、ガイドレール13に沿ってガイドされて移動して、金型30へ供給する。
【0022】
より具体的には、図4図5に示すように、ワーク供給部40は、チャック部41と、支持部42と、駆動部43と、を有している。チャック部41は、開閉可能な一対の爪部411を有しており、一対の爪部411が開き、これらの間にワークを配置して一対の爪部411を閉じて、ワークをチャックする。
【0023】
支持部42は、柱状部421、423を有している。柱状部421の下端部は、チャック部41の上部に接続されており、柱状部421の上端部は、中間板状部422に接続されている。中間板状部422は、柱状部423の下端部に接続されており、柱状部423の上端部は、上部板状部424に接続されている。
【0024】
駆動部43は、シリンダを有する駆動部431を有している。駆動部431は、被ガイド板状部432に固定されており、シリンダ内を摺動するピストンと一体で駆動する駆動軸433の下他部は、上部板状部424に接続されている。駆動部431のシリンダにおいてピストンが駆動することにより、駆動軸433が上下に駆動して、チャック部41及び支持部42が上下するように構成されている。
【0025】
材料供給部50は、材料供給装置20により所定の形状に固形化された熱硬化性樹脂材料をチャックして保持して、ガイドレール13に沿ってガイドされて移動して、金型30へ供給する。
【0026】
より具体的には、材料供給部50は、材料保持部51と、支持部52と、駆動部53と、を有している。材料保持部51は、熱硬化性樹脂材料を配置して保持する。支持部52は、板状部522を有している。板状部522には、材料保持部51が接続されている。板状部522は、柱状部523の下端部に接続されており、柱状部523の上端部は、上部板状部524に接続されている。
【0027】
駆動部53は、シリンダを有する駆動部531を有している。駆動部531は、被ガイド板状部432に固定されており、シリンダ内を摺動するピストンと一体で駆動する駆動軸533の下他部は、上部板状部524に接続されている。駆動部531のシリンダにおいてピストンが駆動することにより、駆動軸533が上下に駆動して、材料保持部51及び支持部52が上下するように構成されている。
【0028】
被ガイド板状部432は、ガイドレール13に対して摺動可能に支持されており、ガイドレール13に沿ってガイドされて移動可能である。これにより、被ガイド板状部432は、チャック部41、支持部42、駆動部43、材料保持部51、支持部52、及び、駆動部53と一体で、ガイドレール13に沿ってガイドされて移動可能である。換言すれば、ワーク供給部40と材料供給部50とは、被ガイド板状部432により連結されて一体で、ガイドレール13に沿ってガイドされて移動可能である。また、被ガイド板状部432が駆動部53によって上下されることにより、ワーク供給部40と材料供給部50とは、被ガイド板状部432により連結されて一体で、上下方向へ移動可能である。
【0029】
また、ガイドレール13には、製品取り出し部60及び清掃部70が設けられている。製品取り出し部60は、金型30において成形されて熱硬化性樹脂により封止されたワークである成形品を、金型30が開いた状態の固定金型である下型312からチャックして保持して、ガイドレール13に沿ってガイドされて移動して、図示しない製品搬出口から搬出するための図示しないベルトコンベアに載置する。
【0030】
より具体的には、製品取り出し部60は、ワーク供給部40と同様に、チャック部61と、支持部62と、駆動部63と、を有している。チャック部61は、開閉可能な一対の爪部611を有しており、一対の爪部611が開き、これらの間に製品である成形品を配置して一対の爪部611を閉じて、成形品をチャックする。
【0031】
支持部62は、柱状部621、623を有している。柱状部621の下端部は、チャック部61の上部に接続されており、柱状部621の上端部は、中間板状部622に接続されている。中間板状部622は、柱状部623の下端部に接続されており、柱状部623の上端部は、上部板状部624に接続されている。
【0032】
駆動部63は、シリンダを有する駆動部631を有している。駆動部631は、被ガイド板状部632に固定されており、シリンダ内を摺動するピストンと一体で駆動する駆動軸633の下他部は、上部板状部624に接続されている。駆動部631のシリンダにおいてピストンが駆動することにより、駆動軸633が上下に駆動して、チャック部61及び支持部62が上下するように構成されている。
【0033】
清掃部70は、成形後に金型30を開いて成形品を取り出した後に、毎回、下型312の掃除をして、下型312に残っているバリやカスを除去する。より具体的には、清掃部70は、クリーナー部71と、支持部72と、駆動部73と、を有している。クリーナー部71は、下型312に当接して、下型312に残っているバリやカスを除去する。支持部72は、板状部722を有している。板状部722には、クリーナー部71が接続されている。板状部722は、柱状部723の下端部に接続されており、柱状部723の上端部は、上部板状部724に接続されている。
【0034】
駆動部73は、シリンダを有する駆動部731を有している。駆動部731は、被ガイド板状部632に固定されており、シリンダ内を摺動するピストンと一体で駆動する駆動軸733の下他部は、上部板状部724に接続されている。駆動部731のシリンダにおいてピストンが駆動することにより、駆動軸733が上下に駆動して、クリーナー部71及び支持部72が上下するように構成されている。
【0035】
被ガイド板状部632は、ガイドレール13に対して摺動可能に支持されており、ガイドレール13に沿ってガイドされて移動可能である。これにより、被ガイド板状部632は、チャック部61、支持部62、駆動部63、クリーナー部71、支持部72、及び、駆動部73と一体で、ガイドレール13に沿ってガイドされて移動可能である。換言すれば、製品取り出し部60と清掃部70とは、被ガイド板状部632により連結されて一体で、ガイドレール13に沿ってガイドされて移動可能である。また、被ガイド板状部432が駆動部53によって上下されることにより、製品取り出し部60と清掃部70とは、被ガイド板状部432により連結されて一体で、上下方向へ移動可能である。
【0036】
次に、上記の構成による熱硬化性樹脂製品製造装置1による成形品(製品)の製造について説明する。
先ず、装置本体10の操作パネル12を操作して、パラメータ等の設定をする。これにより、8つの金型30(30-1~30-8)のうちのいずれかの金型30が選択され、当該選択した金型30によって成形される成形品(製品)の個数等が設定される。
【0037】
次に、材料供給装置20のホッパ部21に熱硬化性樹脂材料を供給する。これにより材料供給装置20によって、供給された熱硬化性樹脂材料は、円柱形状等の所定の形状に固形化される。そして、固形化された熱硬化性樹脂材料は、装置本体10の内部に配置された図示しない材料供給流路を通して、装置本体10の前部に位置するガイドレール13の前端部の位置(初期位置)に配置された材料供給部50に供給される。
【0038】
また、図示しないベルトコンベアによって搬送されてきたワークを、ワーク供給部40のチャック部41はチャックして保持する。そして、熱硬化性樹脂材料が供給された材料供給部50と、ワークを保持しているワーク供給部40とが、被ガイド板状部432によって一体に連結された状態で、ガイドレール13に沿って移動して、操作パネル12により選択された金型30(例えば、金型30-1であり、以下、一例として金型30-1において成形を行う場合について説明する)の上側の位置において停止する。そして、ワーク供給部40及び材料供給部50は一体で下降して、ワーク供給部40は、ワークを金型30-1の下型312に配置させ、材料供給部50は、熱硬化性樹脂材料を下型312に供給する。その後、ワーク供給部40及び材料供給部50は一体で上昇する。
【0039】
次に、上型311を図示しないスライドテーブルと一体で下型312の方へ移動させて型締めを行い、金型30-1において、熱硬化性樹脂によるワークの封止をする成形を行う。この間に、被ガイド板状部432によって一体に連結されたワーク供給部40と材料供給部50とを、初期位置へ戻すとともに、被ガイド板状部632によって一体に連結された製品取り出し部60と清掃部70とを、成形が終わった金型30-1の上側の位置において停止させる。
【0040】
そして、金型30-1における成形が終わると、上型311を図示しないスライドテーブルと一体で下型312から離間させて移動させて型開きを行う。次に、製品取り出し部60及び清掃部70は、一体で下降して、製品取り出し部60のチャック部61は、製品としての成形品をチャックして保持する。また、清掃部70のクリーナー部71は、成形により発生したバリやカスを下型312から除去して掃除を行う。
【0041】
その後、製品取り出し部60及び清掃部70は、一体で上昇して、装置本体10の後部に位置するガイドレール13の後端部の位置(搬出位置)へ、ガイドレール13にガイドされて移動する。そして、製品取り出し部60のチャック部61は、装置本体10の後部の壁面の図示しない製品搬出口に配置されたベルトコンベアに、製品としての成形品を載置する。そして、成形品は、図示しないベルトコンベアにより、図示しない製品搬出口から搬出される。以上が、1つの金型30-1における成形品の製造工程である。操作パネル12により選択された他の金型30についても同様に成形が行われる。
【0042】
上記構成の本実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置1によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0043】
本実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置1は、複数の金型30と、複数の金型30にワークを供給するワーク供給部40と、複数の金型30に熱硬化性樹脂材料を供給する材料供給部50と、複数の金型30で成形された製品を取り出す製品取り出し部60と、複数の金型30で発生するバリを除去する清掃部70と、を備える。
【0044】
これにより、複数の金型30により熱硬化性樹脂の成形を行うことができるため、効率よく多数の成形品を成形して製造することが可能となる。また、必要な数の金型30を可動させて、材料、及びワークを搬送し成形を行うことが可能な熱硬化性樹脂製品製造装置1を提供することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置1では、複数の金型30は、直線状に並べられて配置されている。これにより、材料やワークの金型30への供給、及び、金型30からの成形品の取り出し、及び、金型30の掃除を当該直線状の動きと、上下方向との動きとにより行うことが可能となる。このため、成形の効率化と小スペース化を図ることが可能となる。
【0046】
また、本実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置1では、ワーク供給部40と材料供給部50とは、一体で、複数の金型30が並べられている方向、及び、上下方向へ移動可能に構成されている。これにより、ワーク供給部40と材料供給部50とを別々に制御する必要がなくなり、効率よくワークの供給と材料の供給とを行うことが可能となる。
【0047】
また、本実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置1では、製品取り出し部60と清掃部70とは、一体で、複数の金型30が並べられている方向、及び、上下方向へ移動可能に構成されている。これにより、製品取り出し部60と清掃部70とを別々に制御する必要がなくなり、効率よく成形品の取り出しと金型30の下型312の掃除とを行うことが可能となる。
【0048】
また、本実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置1では、複数の金型30のうちの少なくとも1つの金型30を使用して、熱硬化性樹脂製品を製造可能である。これにより、成形に費やすことが可能な時間と、形成する製品の数とを考慮して、適宜使用する金型30の数を選択することが可能となり、不要な金型30を使用せずに、所望の時間で所望の数の成形品を製造することが可能となる。また、複数の金型30の使用は選択可能であり生産数、及び金型30のメンテナンスに応じ熱硬化性樹脂製品の製造が可能である。
【0049】
また、本実施形態に係る熱硬化性樹脂製品製造装置1では、複数の金型30と、ワーク供給部40と、材料供給部50と、製品取り出し部60と、清掃部70とは、外郭を構成するカバー部材としての装置本体10により覆われている。これにより、熱硬化性樹脂製品製造装置1がコンパクトにまとめられ、比較的容易に移設することが可能となる。
【0050】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。
例えば、本実施形態においては、金型30は8つ設けられていたが、この構成に限定されず、複数の金型が設けられていればよい。また、金型30は2列で一対設けられていたが、この配置に限定されない。
【符号の説明】
【0051】
1 熱硬化性樹脂製品製造装置
10 装置本体
30 金型
40 ワーク供給部
50 材料供給部
60 製品取り出し部
70 清掃部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7