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  • 特許-ゲートアソート装置 図1
  • 特許-ゲートアソート装置 図2
  • 特許-ゲートアソート装置 図3A
  • 特許-ゲートアソート装置 図3B
  • 特許-ゲートアソート装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ゲートアソート装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
B65G1/137 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021079349
(22)【出願日】2021-03-18
(62)【分割の表示】P 2020071942の分割
【原出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021155223
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】509323680
【氏名又は名称】株式会社タクテック
(72)【発明者】
【氏名】小原 憲雄
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210617(JP,A)
【文献】特開2014-162609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品間口と、
前記物品間口のそれぞれに配される円筒体であって、カムフォロアが取り付けられた環状体が設けられた円筒体と、
前記円筒体の中心軸と一致させた中心軸を持つ円筒カムであって、その一端に互いに点対称をなす一対のカム斜面が設けられた円筒カムと、
前記円筒体に配されるゲートと、
前記円筒カムの前記一端と対向する他端に接するように設けられ前記円筒体に直線駆動力を与える直線駆動手段と、
前記直線駆動手段によって与えられる直線駆動力を前記円筒体を回転させる回転力に転換する回転手段と
を備え、
前記回転手段は、前記直線駆動手段が前記円筒体に直線駆動力を与えると前記カムフォロアが前記カム斜面に沿って移動することで前記円筒体を回転させるものであり、
前記ゲートの俯仰動作範囲を、高い段位置にある第1の前記物品間口についてはそのゲートを第1の角度に開き、前記第1の物品間口より低い段位置にある第2の前記物品間口についてはそのゲートを前記第1の角度より大きな第2 の角度で開くように規制すべく前記円筒体に俯仰角度調整機構を有するストッパーを備えたことを特徴とするゲートアソート装置。
【請求項3】
前記ゲートは、表側は暗色、裏側は明色で施色した軽量で緩衝作用を有する材料を用いた残像効果機構を備えることで、人間工学的な残像機能を発揮し、仰角時の認識も容易となり、軽量で緩衝作用を有することで、ゲートに不用意にぶつかっても怪我を生じることがない請求項1もしくは2に記載のゲートアソート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収集した物品を配送先毎に仕分けを行う物品仕分け作業の誤作業を防止するゲートアソート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、複数の区画に区画され、各区画に指定された物品を投入するようにした物品仕分部と、前記物品を収容するトレーと、前記トレーを置くトレー載置台とを備えた物品仕分設備が存在する。すなわち、前記物品仕分部には、前記各区画の前面に設けられた開閉扉と、該開閉扉を開閉するアクチュエータとが備えられ、前記トレーの底には、前記指定された物品を投入する区画及び個数を指定するトレー情報が書かれたIDカードが置かれ、前記トレー載置台には、前記トレー情報を読むIDカードリーダーと、前記個数を表示する表示部と、前記開閉扉を閉じるときに押す投入完了スイッチ及び投入キャンセルスイッチと、前記アクチュエータ及び前記表示部を制御するコントローラとが備えられ、前記コントローラは、前記IDカードリーダーで呼んだ前記トレー情報で指定された区画の開閉扉を開かせるとともに前記個数を前記表示部に表示させ、前記投入完了スイッチ又は投入キャンセルスイッチが押されたときに前記開閉扉を閉じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4119861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1の場合、開閉扉は物品仕分け作業において、物品間口の開閉扉の俯仰位置が各段区画で変えられないため、人間工学な観点から認知対応に乏しい。しかも、物品仕分部の横幅サイズに応じて開閉扉の幅員を変えることはなされていない。また、開閉扉の開閉位置を特定する具体的な構成については、開示されていない。
【0005】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、上下方向へ物品間口の段数が多くなった場合に、各段の物品間口のゲートの俯仰位置を作業がし易い位置に設定することが可能となることで、特に低い段位置の物品開口への人間工学を利用した認知強化機構を付与し、さらに部品間口の横幅サイズに応じてゲートの幅員を変えることができるゲートアソート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、直線駆動手段によって円筒体を回動可能とした回動手段を、複数の物品間口のそれぞれに装着し、前記直線駆動手段への駆動力の付与によって所定の物品間口のゲートの俯仰動作をするもので、物品間口の中身が見える程度に物品間口上方の円筒体に板状のゲートが配されており、物品間口の幅サイズに応じて、ゲートの幅員を変更可能となるよう、円筒体に保持部材を設けており、高い段位置にある物品間口に比較し、低い段位置にある物品間口はゲートをより大きく開く、人間工学を利用した認知強化機構を付与可能にする。
【0007】
ゲートの俯仰動作範囲を規制すべく円筒体に俯仰角度調整機構を有するストッパーを備えた。
【0008】
ストッパーは、少なくともどちらか一つに、仰角時の上限を規制する突起を備えた仰角ストッパーか、俯角時の下限を規制する突起を備えた俯角ストッパーかのいずれかを有する。
【0009】
ゲートは、表側は暗色、裏側は明色で施色した軽量で緩衝作用を有する材料を用いた残像効果機構を備えることで、人間工学的な残像効果を発揮し、仰角時の認識も容易となり、軽量で緩衝作用を有することで、ゲートに不用意にぶつかっても怪我を生じることがない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上下方向へ物品間口の段数が多くなった場合に、各段の物品間口のゲートの俯仰位置を作業がし易い位置に設定することが可能となることで人間工学を利用した認知強化機構を付与し、部品間口の横幅サイズに応じてゲートの幅員を変えることができるゲートアソート装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】 本発明を実施するための一形態を示すゲートアソート装置を配した物品間口の正面図である。
図2】 ゲートアソート装置を示す拡大した正面図である。
図3A】 ゲートの回動手段のカムフォロア部の中心軸と垂直方向におけるカムフォロア取付環状体部分の断面図である。
図3B】 ゲートの回動手段のカムフォロア部の中心軸と垂直方向におけるストッパー部分の断面図である。
図4】 円筒カムの前後を中心軸を含む面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の一形態に係るゲートアソート装置1を詳細に説明する。
【0013】
本実施形態に係るゲートアソート装置1は、図1及び図2に示すように、縦方向フレーム3a、横方向フレーム、および横方向フレームの前面に設けた回動手段保持フレーム3c、および棚板で形成した、縦4段、横4列の物品間口5を備え、各物品間口5の上部に、回動手段保持フレーム3cに取り付けた回動手段11を装着している。
【0014】
また、物品間口5の中身が見える程度に物品間口5上方に配した円筒体13に板状のゲート7が配されている。前記回動手段11は、直線駆動手段40によって円筒体13を回動可能とし、複数の物品間口5のそれぞれに装着し、前記直線駆動手段40への駆動力の付与によって所定の物品間口5のゲート7の俯仰動作をする。
【0015】
図3A及び図4に示すように、円筒体13にはカムフォロア取付環状体17が設けられ、これにはカムフォロア18を装着し、前記円筒体13内に設けた円筒体13の軸方向への直線運動を行う円筒カム50から前記円筒体13を回転する駆動力をカムフォロア18によって与えている。
【0016】
円筒体13には円筒カム50が配され、これの後端部に直線駆動手段40の駆動軸42を結合し、回動可能に保持した円筒体13内に、円筒カム50の中心軸を前記円筒体13の中心軸とを一致させて配置している。そして、円筒カム50の軸方向の中心面との交点をとおり、先端部側に前記中心面と垂直な各区画面に垂直をなしたカム斜面52aと、前記カム斜面52aと円筒カム50の中心軸上の点を中心点とした点対称であるカム斜面52bを有している。また、前記直線駆動手段40には、前記円筒カム50の前記中心軸の周りの回転を防止する回転防止手段44を設けている。これにより円筒カム50の直線駆動に伴い前記カムフォロア18がカム斜面52a、52bに沿って移動しながら円筒体13は回転する。
【0017】
直線駆動手段40は、空気ピストンを備えたエアアクチュエーター、リニアモータアクチュエーター等を用いることができるが、構造が簡単なエアアクチュエーターを用いることが好ましい。また、駆動軸の回転防止機構が備わったエアアクチュエーターを用いた場合には、上記した回転防止手段44を装着しなくてもよい。
【0018】
このとき、物品間口5の横幅サイズに応じて、ゲート7の幅員を変更可能となるようにしている。すなわち、円筒体13の両端に取り付けた固定用環状体15に保持部材6が取り付けており、各ゲート7は、保持部材6の略コ字型の溝状部にはまり込んで、ネジ部材8によりねじ止めされている。ゲート7の幅員を変える場合には、このねじ止めされている部分を取り外し、物品間口5の横幅サイズに応じたゲート7に交換してねじ止めする。
【0019】
図2及び図3Bに示すように、円筒体13には、ゲート7の俯仰動作範囲を規制すべく円筒体13に俯仰角度調整機能を有する二つのストッパー(31a,31b)を備え、ストッパー(31a,31b)のうちどちらか一つが、仰角時の上限を規制する突起32aを備えた仰角ストッパー31aであり、他の一つが俯角時の下限を規制する突起32bを備えた俯角ストッパー31bである。このストッパー(31a,31b)の各突起(32a,32b)は、円筒体13の両端部を保持する略コ字型の支持体14に突き当たって円筒体13の回動を停止させる。この場合、支持体14の突き当て面には、弾性シート33が貼着され、ストッパー(31a,31b)が支持体14に突き当たっても、金属音が発生しないようになっている。
【0020】
例えば、固定用環状体15に隣接して、俯仰位置を特定する二つのストッパー(31a,31b)を装着している。それぞれのストッパー(31a,31b)を仰角時および俯角時のゲートの位置を個別に設定することができる。したがって、上下方向へ物品間口5の段数が多くなった場合には、各段の物品間口5のゲート7の俯仰位置を作業がし易い位置に設定することが可能となる。例えば、低い位置にある物品間口5はゲート7を大きく開き、高い位置にある物品間口5はゲート7を小さく開くという、人間工学的な開度調整を可能にしている。
【0021】
また、ゲート7は、表側は黒色、裏側は明色で施色した発泡ポリスチロール材のような軽量で緩衝作用を有する材料が好ましい。この施色により、人間工学的に残像効果機能を発揮し、仰角時にどの物品間口5に物品を投入するかという認識をさらに高めるとともに、作業員の手がゲート7に当ったとしても怪我を未然に防ぐことができる。
【0022】
次に、本実施形態において、各物品間口5への物品仕分け作業である場合を例にして説明する。
【0023】
図1において、物品を収納した物品容器20が配送されて来ると、作業者は物品容器識別情報21を読取手段24によって読み取ると、制御装置25は、読み取った物品容器識別情報21に対応する物品仕分け情報を受信して物品仕分け作業を開始する。
【0024】
次いで、物品容器20から取り出した物品22の物品識別情報23を読取手段24によって読み取ると、制御装置25は、物品仕分け情報に対応した物品間口5に装着した回動手段11を作動し、該当の物品間口5のゲート7を開く。このとき、仰角ストッパー31aの仰角時の上限を規制する突起32aが支持体14の突き当て面に備えた弾性シート33に当接する。
【0025】
作業者は、ゲート7が開いた物品間口5に対して物品22を投入し、フットスイッチ34を足で踏むことによって、制御装置25に対して、現在の物品間口5への投入完了の確認信号を送信する。
【0026】
また、作業の完了信号の入力後に、ゲート7を閉じるとともにスピーカ26から音声で「サンキュー」等と作業者に伝える。このとき、俯角ストッパー31bの俯角時の下限を規制する突起32bが支持体14の突き当て面に備えた弾性シート33に当接する。これにより作業者は、物品仕分け作業の進行状態を充分に認識することができ、より作業の誤りが生じにくい物品仕分け作業を行うことができる。
【0027】
物品間口5の横幅サイズに応じて、ゲート7の幅員を変えるには、円筒体13の両端に取り付けた固定用環状体15の保持部材6の略コ字型の溝状部にはまり込んでネジ部材8によりねじ止め固定されているゲート7を取り外し、物品間口5の横幅サイズに応じたゲート7に交換して再度ネジ部材8でねじ止めする。
【0028】
また、物品識別情報23の読取手段24として、手、指、あるいは身体の前面等に装着したウエラブル読取手段を用いることもできる。特に、物品が小さな場合には容器から物品22を片手で取り出して、もう一方の手、あるいは身体の前面に装着したウエラブル読取手段によって物品識別情報23を読み取ることで物品間口5の前面の任意の場所等において、物品仕分け作業の開始から完了までの作業が可能となるので、作業者が移動する距離も短くなり、作業効率を高めることも可能となる。
【符号の説明】
【0029】
1…ゲートアソート装置
3a…縦方向フレーム
3c…回動手段保持フレーム
5…物品間口
6…保持部材
7…ゲート
8…ネジ部材
11…回動手段
13…円筒体
14…支持体
15…固定用環状体
17…カムフォロア取付環状体
18…カムフォロア
20…物品容器
21…物品容器識別情報
22…物品
23…物品識別情報
24…読取手段
25…制御装置
26…スピーカ
31a,31b…ストッパー(仰角ストッパー、俯角ストッパー)
32a,32b…突起
40…直線駆動手段
42…駆動軸
44…回転防止手段
50…円筒カム
52a,52b…カム斜面
図1
図2
図3A
図3B
図4