(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】二軸同軸式オーガ転用杭引抜き装置
(51)【国際特許分類】
E02D 11/00 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
E02D11/00
(21)【出願番号】P 2021102773
(22)【出願日】2021-05-12
【審査請求日】2024-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000177416
【氏名又は名称】三和機材株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐介
(72)【発明者】
【氏名】行木 和彦
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-303570(JP,A)
【文献】国際公開第01/051716(WO,A1)
【文献】特開2002-188146(JP,A)
【文献】特開2011-026936(JP,A)
【文献】特開2002-081285(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2012-0004274(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00-13/10
E21B 7/00
E21B 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)内側オーガと外側オーガとを有し、前記内側オーガを取り外しできるセパレート式二軸同軸式オーガから前記内側オーガを取り外されて、前記外側オーガを回転駆動部として利用する、
(ロ)前記外側オーガの外側出力軸に、外側オーガ用のケーシングに代えて、タイコフランジ及びケーシングカップリングを介して、杭抜き用のケーシングが接合される、
(ハ)前記外側オーガの回転軸上の中空部に台座を介してスイベル装置が装着されるとともに、前記スイベル装置から水配管が前記杭抜き用のケーシングの外側を通して前記杭抜き用のケーシングの先端までライン配置される、
(イ)、(ロ)、(ハ)からなる、
セパレート式二軸同軸式オーガの外側オーガ転用杭引抜き装置。
【請求項2】
(ニ)内側オーガと外側オーガとを有し、前記内側オーガを取り外しできない一体式二軸同軸式オーガの前記内側オーガから内側スクリューを取り外されて又は取り付けないで、前記外側オーガを回転駆動部として利用する、
(ホ)前記外側オーガの外側出力軸に、外側オーガ用のケーシングに代えて、タイコフランジ及びケーシングカップリングを介して、杭抜き用のケーシングが接合される、
(ヘ)前記外側オーガの外側出力軸内に、前記内側オーガの内側出力軸上に既設のスイベル装置の水配管から前記外側出力軸用に水配管を変換するためのスイベル装置が装備されるとともに、前記外側出力軸内のスイベル装置から水配管が前記杭抜き用のケーシングの外側を通して前記杭抜き用のケーシングの先端までライン配置される、
(ニ)、(ホ)、(ヘ)からなる、
一体式二軸同軸式オーガ転用杭引抜き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に打ち込まれた既設杭引抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の既設杭引抜き方法として、先端にビットと水配管からの吐出口を取付けた杭抜きケーシングを、水を吐出しながら既設杭の周囲にこれを包み込むように回転貫入し、既設杭と地盤との摩擦力をカットしたうえで、杭抜きケーシングを引き抜き、その後クレーンで既設杭を引き抜く方法が知られている。(特許文献1参照)
【0003】
しかしながら、従来技術ではアースオーガには回転力と推進力とを掘削スクリューやケーシングに伝える出力軸に軸継手が突設してあるが、杭引抜ケーシング内径が抜き取り予定の既設杭の外径より大きいことが一般的であり、6角柱状の軸継手外径と杭引抜ケーシング外径と差は大きく、6角柱状の軸継手と杭抜きケーシングとの接続部に、杭抜きケーシングの曲げ荷重が掛かった場合、曲げ応力が軸継手部に集中し、軸継手部の変形や破損に至るといった問題があった。
【0004】
そこで、二軸同軸式オーガの一種であり、内側オーガを取り外せるセパレート式二軸同軸式オーガの外側オーガを杭引抜き装置に転用できれば、杭抜きケーシングとの接続部の外径の差が緩和されると考えたが、杭抜きケーシングに水を送るためのスイベル装置を備えていないため、直接の転用はできなかった。
【0005】
また、出力軸径がアースオーガ出力軸径より大きい二軸同軸式オーガの外側出力軸を杭引抜き装置に転用できれば,杭抜きケーシングとの接続部の外径の差が緩和されると考えたが、外側出力軸を使用する場合は、装備されている杭抜きケーシングに水を送るためのスイベル装置が内側出力軸用になっており、このままでは転用できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの問題を解決し、二軸同軸式オーガの一種であるセパレート式二軸同軸式オーガの外側オーガ及び二軸同軸式オーガを既設杭引抜き装置として転用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決する手段として本発明(1)は、
(イ)内側オーガと外側オーガとを有し、前記内側オーガを取り外しできるセパレート式二軸同軸式オーガから前記内側オーガを取り外されて、前記外側オーガを回転駆動部として利用する、
(ロ)前記外側オーガの外側出力軸に、外側オーガ用のケーシングに代えて、タイコフランジ及びケーシングカップリングを介して、杭抜き用のケーシングが接合される、
(ハ)前記外側オーガの回転軸上の中空部に台座を介してスイベル装置が装着されるとともに、前記スイベル装置から水配管が前記杭抜き用のケーシングの外側を通して前記杭抜き用のケーシングの先端までライン配置される、
(イ)、(ロ)、(ハ)からなる、
ことを要旨とする。
【0009】
また、本発明(2)は、
(ニ)内側オーガと外側オーガとを有し、前記内側オーガを取り外しできない一体式二軸同軸式オーガの前記内側オーガから内側スクリューを取り外されて又は取り付けないで、前記外側オーガを回転駆動部として利用する、
(ホ)前記外側オーガの外側出力軸に、外側オーガ用のケーシングに代えて、タイコフランジ及びケーシングカップリングを介して、杭抜き用のケーシングが接合される、
(ヘ)前記外側オーガの外側出力軸内に、前記内側オーガの内側出力軸上に既設のスイベル装置の水配管から前記外側出力軸用に水配管を変換するためのスイベル装置が装備されるとともに、前記外側出力軸内のスイベル装置から水配管が前記杭抜き用のケーシングの外側を通して前記杭抜き用のケーシングの先端までライン配置される、
(ニ)、(ホ)、(ヘ)からなる、
ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明(1)によれば、セパレート式二軸同軸式オーガの外側オーガの外側出力軸径は従来のアースオーガの出力軸径に比べて大きく、杭抜きケーシングとの接続部の外径が最大外側軸径まで大きく取れることから、外側オーガの外側出力軸と杭抜きケーシングとの接続部の外径差が緩和され、この接続部の変形や破損を防止することができる。
本発明(2)によれば、一体式二軸同軸式オーガの外側オーガの外側出力軸径は従来のアースオーガの出力軸径に比べて大きく、杭抜きケーシングとの接続部の外径が最大外側軸径まで大きく取れることから、外側オーガの外側出力軸と杭抜きケーシングとの接続部の外径差が緩和され、この接続部の変形や破損を防止することができる。
【0011】
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】セパレート式二軸同軸式オーガの側面図である。
【
図2】本発明のセパレート式二軸同軸式オーガ転用時の一実施例を示す側面図である。
【
図3】本発明のセパレート式二軸同軸式オーガ転用時のスイベル装置を取り付ける台座の一実施例を示す上面図である。
【
図4】本発明の二軸同軸式オーガ転用時の一実施例を示す側面図である。
【
図5】従来のアースオーガによる杭抜き装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
図2及び
図3は、二軸同軸式オーガの一種であるセパレート式二軸同軸式オーガ転用時の一実施例を示すものであり、セパレート式二軸同軸式オーガ1は、内側オーガが取り外された形で使用され外側オーガ3の外側出力軸9と杭抜きケーシング2とは、タイコフランジ4下部のケーシングカップリング13を介して接合される。タイコフランジ4の上側は、外側オーガ3の外側出力軸径に合わせてあり、タイコフランジ4の下側は、ケーシングカップリング13のフランジ外径に合わせてある。水配管6は、外側オーガ3上部にスイベル装置5を搭載した台座8を設け、そこからタイコフランジ4を介し、杭抜きケーシング2の外側を通り杭抜きケーシング2の先端までライン配置される。尚、水配管6は、タイコフランジ4を介さず、杭抜きケーシング2に配管してもよい。
【0014】
図4は、二軸同軸式オーガ転用時の一実施例を示すものであり、二軸同軸式オーガ7の外側出力軸9と杭抜きケーシング2とは、タイコフランジ4下部のケーシングカップリング13を介して接合され、タイコフランジ4の上側は、二軸同軸式オーガ7の外側出力軸径に合わせてあり、タイコフランジ4の下側は、ケーシングカップリング13のフランジ外径に合わせてある。外側出力軸9の内部には、二軸同軸式オーガ7の内側回転軸用スイベル装置5aの水配管から外側回転軸用に水配管を変換するためのスイベル装置5bが装備されている。このスイベル装置5bから水配管6がタイコフランジ4を介し、杭抜きケーシング2外側を通り杭抜きケーシング2の先端までライン配置される。尚、水配管6は、タイコフランジ4を介さず、杭抜きケーシング2に配管してもよい。
【0015】
図4は従来のアースオーガによる杭引抜き装置の側面図であり、アースオーガ11の出力軸12と杭抜きケーシング2とを軸継手10を介し接続すると共に、アースオーガ11側のスイベル装置5から水配管6を杭抜きケーシング2に接続し、既設杭(図示略)の外周を掘削していくようになっている。この接続部径が杭抜きケーシング径と比し小さいことが接続部の変形や破損に繋がっていた。
【実施例1】
【0016】
次に上記実施形態の作用を
図2、
図3、
図4を参照して説明する。
【0017】
請求項1の場合、引抜き予定の既設杭(図示せず)上に、内側オーガが取り外されたセパレート式二軸同軸式オーガ1の外側オーガ8に、外側出力軸9と杭抜きケーシング2とをタイコフランジ4下部のケーシングカップリング13を介して接合したケーシングオーガを設置する。尚、タイコフランジ4の上側は、外側オーガ3の外側出力軸径に合わせてあり、タイコフランジ4の下側は、ケーシングカップリング13のフランジ外径に合わせてある。水配管6は、外側オーガ3上部に設けた台座8上のスイベル装置5からタイコフランジ4を介し、杭抜きケーシング2の外側を通り杭抜きケーシング2の先端までライン配置される。尚、水配管6は、タイコフランジ4を介さず、杭抜きケーシング2に配管してもよい。そして、水を供給吐出しながらセパレート式二軸同軸式オーガ1の外側オーガ3を駆動し、回転掘削を行う。
【0018】
次に、既設杭長より深くまで掘削が行えた段階で、セパレート式二軸同軸式オーガ1の駆動と水供給を停止する。そして、この時、杭抜きケーシング2の外側から杭抜きケーシング2の先端に水を供給が行われていたことで、杭抜きケーシング2と内外側地盤との摩擦力はカットされており、杭抜きケーシング2を外側オーガ3と共に引き抜く。
【0019】
その後クレーンで既設杭を引き抜く。
【実施例2】
【0020】
請求項2の場合は、外側出力軸9に、杭抜きケーシング2を装備した
図4の二軸同軸式オーガ7を設置し、二軸同軸式オーガ7の内側回転軸用スイベル装置5aから外側回転軸用スイベル装置5b経由させ杭抜きケーシング2の先端への水配管6を通じ、水を供給吐出しながら二軸同軸式オーガ1を駆動し、回転掘削を行う。
【0021】
次に、既設杭長より深くまで掘削が行えた段階で、実施例1と同操作を行って既設杭を引き抜く。
【符号の説明】
【0022】
1 セパレート式二軸同軸式オーガ
2 杭抜きケーシング
3 外側オーガ
4 タイコフランジ
5 スイベル装置
6 水配管
7 二軸同軸式オーガ
8 台座
9 外側出力軸
10 軸継手
11 アースオーガ
12 出力軸
13 ケーシングカップリング