(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】車両用画像処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
H04N7/18 J
H04N7/18 U
(21)【出願番号】P 2020215332
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】内田 仁
【審査官】薄井 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-193427(JP,A)
【文献】特開2018-162030(JP,A)
【文献】特開2018-203245(JP,A)
【文献】特表2009-542505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲を捉えた周囲画像が入力される入力部と、
複数の白色ブロック領域が周期的に配列されてなる焦点調節支援図形が表された焦点調節支援画像を、前記周囲画像に合成してなる表示用画像を生成する合成部と、
前記表示用画像を表示する表示部と
を備え、
前記配列の周期が、前記表示部までの視距離が1メートルである場合の視角0.5度~1.5度の範囲に相当し、
前記白色ブロック領域の輝度が、前記周囲画像のピクセル輝度の1.2倍又は0.8倍であり、
前記焦点調節支援図形が、
前記焦点調節支援画像の上辺の近傍において前記焦点調節支援画像の水平方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第1ブロック群と、
前記焦点調節支援画像の下辺の近傍において前記焦点調節支援画像の水平方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第2ブロック群と、
前記第1ブロック群の左端と前記第
2ブロック群の左端との間、または前記第1ブロック群の右端と前記第
2ブロック群の右端との間において、前記焦点調節支援画像の垂直方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第3ブロック群と
を有し、
複数の前記白色ブロック領域はいずれも正方形であり、各辺の長さが隣り合う2つの前記白色ブロック領域の間隔に等しい、
車両用画像処理装置。
【請求項2】
車両の周囲を捉えた周囲画像が入力される入力部と、
複数の白色ブロック領域が周期的に配列されてなる焦点調節支援図形が表された焦点調節支援画像を、前記周囲画像に合成してなる表示用画像を生成する合成部と、
前記表示用画像を表示する表示部と
を備え、
前記配列の周期が、前記表示部までの視距離が1メートルである場合の視角0.5度~1.5度の範囲に相当し、
前記白色ブロック領域の輝度が、前記周囲画像のピクセル輝度の1.2倍又は0.8倍であり、
前記焦点調節支援図形が、
前記焦点調節支援画像の中心を通り前記焦点調節支援画像の水平方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第1ブロック群と、
前記焦点調節支援画像の中心を通り前記焦点調節支援画像の垂直方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第2ブロック群と
を有し、
複数の前記白色ブロック領域はいずれも正方形であり、各辺の長さが隣り合う2つの前記白色ブロック領域の間隔に等しい、
車両用画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、車両の後側方を撮影する撮像装置から出力される画像信号を画像処理して表示装置に画像処理後の画像を表示させる車載画像処理装置が記載されている。この車載画像処理装置は、前記車両の走行状態情報を取得する走行状態情報取得部と、前記走行状態情報に基づいて、前記表示装置に表示される前記画像の少なくとも一部にぼかし処理がされるように、前記撮像装置からの前記画像信号を画像処理する画像処理部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子ミラーの表示装置は、光学ミラーとは異なり、車室内に設けられる。車両前方と車室内の電子ミラーの表示装置との視距離の差は、車両前方と車室外の光学ミラーとの視距離の差に比べて大きいことから、電子ミラーを搭載した車両の運転者にとっては目への生理的負担が大きい。
【0005】
本発明は、電子ミラーを搭載した車両の運転者の目に対する生理的負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用画像処理装置は、車両の周囲を捉えた周囲画像が入力される入力部と、複数の白色ブロック領域が周期的に配列されてなる焦点調節支援図形が表された焦点調節支援画像を、前記周囲画像に合成してなる表示用画像を生成する合成部と、前記表示用画像を表示する表示部とを備える。前記配列の周期が、前記表示部までの視距離が1メートルである場合の視角0.5度~1.5度の範囲に相当し、前記白色ブロック領域の輝度が、前記周囲画像のピクセル輝度の1.2倍又は0.8倍である。前記焦点調節支援図形は、前記焦点調節支援画像の上辺の近傍において前記焦点調節支援画像の水平方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第1ブロック群と、前記焦点調節支援画像の下辺の近傍において前記焦点調節支援画像の水平方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第2ブロック群と、前記第1ブロック群の左端と前記第2ブロック群の左端との間、または前記第1ブロック群の右端と前記第2ブロック群の右端との間において、前記焦点調節支援画像の垂直方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第3ブロック群とを有する。複数の前記白色ブロック領域はいずれも正方形であり、各辺の長さが隣り合う2つの前記白色ブロック領域の間隔に等しい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子ミラーを搭載した車両の運転者の目に対する生理的負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】電子ミラーの表示装置の視距離を示す説明図である。
【
図5】調節支援画像をカメラ画像に重畳させてなる表示用画像を示す説明図である。
【
図7】調節支援画像のさらに別の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。
【0010】
車両の後方や後側方などを通常の運転姿勢をとった状態で目視確認するために、鏡(後写鏡)による反射像が用いられている。その一方で、車体の空気抵伉削減や、視野範囲の動的変更、暗視技術や物体検出技術との融合による安全性の向上を目的として、カメラとディスプレイ装置を組み合わせた電子ミラーが開発されている。
【0011】
図1に示すように、光学ミラー(右ドアミラー)Mが搭載された自車両1aの右後方に、他車両2が位置している。自車両1aの運転者が光学ミラーMにより他車両2を視認する際の視距離は、光学ミラーMによる他車両2の虚像2aまでの距離D1に等しい。
【0012】
図2に示す自車両1bには、電子ミラーシステムが搭載されている。この電子ミラーシステムは、車室外に設けられたカメラ11と、車室内(運転席周辺)に設けられカメラ(右ドアカメラ)11が捉えた画像が表示されるディスプレイ12とを備える。自車両1bの右後方に、他車両2が位置している。自車両1bの運転者がディスプレイ12により他車両2を視認する際の視距離は、ディスプレイまでの距離D2に等しい。この距離D2は、1メートル前後であり、
図1の距離D1よりも小さい。
【0013】
自車両1aの前方を視認する際の視距離(ほぼ無限遠相当)と距離D1との差に比べると、自車両1bの前方を視認する際の視距離と距離D2との差は大きい。そのため、電子ミラーシステムを搭載した車両の運転手にとって、目の焦点調節の負担が大きくなる。
【0014】
人間の目は、網膜上で結ばれた像のボケ具合と、絵画的な距離感を手掛かりとして、注視点に対して水晶体の厚みや両目の輻輳角を調節している。これに鑑み、以下の実施形態では、画像のボケを網膜上で知覚しやすくし、かつ絵画的な奥行き感をディスプレイ上で表現するための焦点調節支援図形がカメラ画像に重畳され、カメラ画像及び焦点調節支援図形がディスプレイに表示される。これにより、目の焦点調節機能が支援される。
【0015】
具体的には、以下の3要素を組み合わせた焦点調節支援図形がカメラ画像に重畳される。
(1)人間の目の空間周波数-コントラスト感度特性に合わせた幾何学図形の使用
人間の目は、視認対象に対して常に正確に焦点を合わせているわけではなく、ある程度の調節誤差が存在する。この調節誤差は、視認対象の画像の空間周波数に応じて定まる。そのため、ある程度細かく、かつエッジのボケを識別しやすい矩形波状の輝度変化が生じるような、例えばある程度の大きさを持った複数のブロック領域が周期的に配列されてなるブロック群が、焦点調節(ピント合わせ)の支援に適している。人間の目の空間周波数特性から、ブロック領域の配列周期が視角で0.5度~1.5度になることが望ましい。これは、視距離1メートル前後に置かれたディスプレイでは、10ミリメートル~25ミリメートル程度の配列周期に相当する。
【0016】
(2)低いコントラスト
画面上の明暗の差が大きい(コントラストが高い)場合、多少ピントがぼけていても明暗の境界が明瞭にわかるため、人間の目は調節を停止してしまう。このため、目のピント合わせ誤差と視認対象画像のコントラストとの間には、一定の関係がある。この関係を利用して、白色の調節支援図形が表示される表示領域内の各ピクセル輝度が、カメラ画像の対応するピクセル輝度の1.2倍程度となるような乗算処理または加算処理を行って、元のカメラ画像上に半透明状に焦点調節支援図形を描画する。
【0017】
(3)ディスプレイのパネル面を認識しやすくする意匠
ディスプレイ上に表示されるカメラ画像は、実際の風景であるため、絵画的な遠近感を有する。人間の目は、ビント合わせの手掛かりとして、画像から主観的に感じる遠近感を手掛かりとするため、「遠くにあるような画像」に対して目は遠くのものを見るような調節を行おうとする。
このための焦点調節支援図形としては、ディスプレイのパネル面を感じさせやすくするために、遠近を感じさせないよう、複数のブロック領域が間隔を置いて一方向に配列されてなるブロック群を、複数用意し、それらを直交するように組み合わせて、隣り合うブロック領域の間隔も画像内で一定であることが好ましい。
【0018】
図3に、自車両1bに搭載される電子ミラーシステム100を示す。電子ミラーシステム100は、先に述べたカメラ11及びディスプレイ12に加え、焦点調節支援画像生成部13と画像合成部14とを備えている。カメラ11と焦点調節支援画像生成部13とが画像合成部14の入力部に接続され、画像合成部14の出力部はディスプレイ12に接続される。
【0019】
カメラ11が捉えた自車両1bの周囲画像は、画像合成部14の入力部に送られる。また、焦点調節支援画像生成部13は、焦点調節支援図形が表された焦点調節支援画像を生成し、その焦点調節支援画像を画像合成部14に送る。以下、焦点調節支援図形及び焦点調節支援画像をそれぞれ、支援図形及び支援画像とも呼ぶ。
【0020】
なお、電子ミラーシステム100は、コンピュータシステムである。画像合成部14は、プロセッサと、メモリと、カメラ11、焦点調節支援画像生成部13、及びディスプレイ12との間で通信を行うための通信インタフェースとを有する。
【0021】
図4に、一例として支援図形が表された支援画像5を示す。この支援画像5は、矩形状であり、カメラ画像と同じサイズを有する。支援図形BFは、第1ブロック群B1と第2ブロック群B2と第3ブロック群B3とを有する。第1ブロック群B1は、支援画像5の上辺51の近傍において、支援画像5の水平方向に沿って周期的に配列された複数の白色ブロック領域BLを有する。第2ブロック群B2は、支援画像5の下辺52の近傍において、支援画像5の水平方向に沿って周期的に配列された複数の白色ブロック領域BLを有する。第3ブロック群B3は、支援画像5の左辺53の近傍において、第1ブロック群B1の左端と第2ブロック群B2の左端とを連結するように、支援画像5の垂直方向に沿って周期的に配列された複数の白色ブロック領域BLを有する。このように、支援図形BFは全体として略U字状である。
【0022】
白色ブロック領域BLはいずれも正方形であり、各辺の長さは、隣り合う2つのブロック領域BLの間隔に等しい。つまり、ブロック領域の配列周期Pは、各ブロック領域の一辺の長さの2倍である。そして、この配列周期Pは、視角で0.5度から1.5度の範囲にある。ディスプレイ12の視距離が1メートルの場合、配列周期Pは、約10ミリメートルから約25ミリメートルの範囲にある。このように、人間の目の空間周波数特性に応じた配列周期で白色ブロック領域が配列されている。
【0023】
白色ブロック領域BLの各ピクセル輝度は、カメラ画像の対応するピクセル輝度の1.2倍程度となるように定められ、白色ブロック領域BLが表示用画像において半透明に表される。すなわち、白色ブロック領域とそれ以外の領域とのコントラストが約20%となる。このように、コントラストを比較的低く設定するのは、コントラストが比較的高いと多少ピントがぼけていても人間の目は調節を停止してしまうという点を考慮したものである。
【0024】
また、支援図形は、ドライバーに遠近を感じさせないよう、複数のブロックが間隔を置いて一方向に配列されてなるブロック群を、複数用意し、それらが直交するように組み合わされてなる。そのため、ドライバーにとって、ディスプレイのパネル面が感じやすくなる。
【0025】
支援図形BFが表された支援画像5が、支援画像生成部13にて生成され、支援画像生成部13から画像合成部14へと送られる。画像合成部14は、カメラ11から送られたカメラ画像に支援画像5を重畳させてなる表示用画像を生成する。この表示用画像は、画像合成部14からディスプレイ12に送られ、ディスプレイ12に表示される。表示用画像の例を
図5に示す。
【0026】
以上のような実施形態によれば、目の焦点調節を支援する支援図形が表示用画像に含まれている。そのため、電子ミラーシステム搭載の車両のドライバーにとって、車内ディスプレイを視認する際の視距離の変動に伴う目の焦点調節の負担が軽減される。また、支援画像は静止画像であるため、その支援画像をマスク画像としてカメラ画像に重畳する処理(輝度成分の加算処理または乗算処理)は、計算負荷が比較的低く実装も比較的容易である。
【0027】
図4に示した支援画像5は、車両右側後方を捉えたカメラ画像に重畳される。車両左側後方を捉えたカメラ画像に重畳される支援画像は、
図4の支援画像5と左右対称に生成することができる。すなわち、車両左側後方を捉えたカメラ画像に重畳される支援画像における支援図形は、支援図形BFと同様、第1ブロック群B1及び第2ブロック群B2に加え、第3ブロック群(不図示)を有する。この第3ブロック群は、第1ブロック群B1の右端と第2ブロック群B2の右端との間において、画像垂直方向に複数のブロックが配列されてなる。
【0028】
支援図形が画像の上辺と下辺と左辺又は右辺とに沿った略U字状である場合、運転者が、略U字状の支援図形を窓枠であるかのように知覚し、その窓枠から遠くを見るような感覚を覚えることがある。これを避けるために、支援図形を略U字状ではなく略十字状(クロスカーソル状)に構成することもできる。その一例を
図6に支援画像7として示す。支援画像7における支援図形BF2は、第1ブロック群B21と、第2ブロック群B22とを有する。第1ブロック群B21は、支援画像7の中心を通って画像の上辺71の近傍から下辺72の近傍まで垂直方向に延びている。第2ブロック群B22は、支援画像7の中心を通って画像の左辺73の近傍から右辺74の近傍まで水平方向に延びている。
【0029】
雪道を捉えた場合などのように、カメラ画像全体が極端に明るく、平均輝度が極端に高いことがある。このような場合、重畳処理における輝度成分の乗算処理又は加算処理の後の輝度が表示上の上限に達してしまう可能性がある。これを避けるために、輝度成分の乗算処理又は加算処理に代えて、輝度成分の除算処理又は減算処理を行うことができる。
図7に矩形状の支援画像8を示す。支援画像8は、その中央に位置する矩形状の中央領域Cを有する。中央領域Cと支援画像8の中心は同じであり、中央領域Cの縦横比は支援画像8の縦横比と同じである。また、支援画像8における支援図形は、第1ブロック群B31と第2ブロック群B32と第3ブロック群B33と第4ブロック群B34とを有する。第1ブロック群B31は、上辺81と中央領域Cとの間において、支援画像8の中心を通る上下方向に沿って周期的に配列された複数の白色ブロック領域BLを有する。第2ブロック群B32は、下辺82と中央領域Cとの間において、支援画像8の中心を通る上下方向に沿って周期的に配列された複数の白色ブロック領域BLを有する。第3ブロック群B33は、左辺83と中央領域Cとの間において、支援画像8の中心を通る水平方向に沿って周期的に配列された複数の白色ブロック領域BLを有する。第4ブロック群B34は、右辺84と中央領域Cとの間において、支援画像8の中心を通る水平方向に沿って周期的に配列された複数の白色ブロック領域BLを有する。白色ブロック領域BL内の各ピクセルの輝度は、カメラ画像の対応するピクセル輝度の0.8倍程度となるような除算処理または減算処理を行うことができる。つまり、支援図形の輝度が、その他の領域の輝度よりも低くなる。
【0030】
輝度成分の乗算処理及び加減算処理の一例を以下に述べる。オーバーレイする白線の白色部分のピクセルデータを1とし、背景の黒色部分を0とする場合、合成モードの計算式は以下のようになる。
(1)輝度を+20%変化させる場合
乗算処理: カメラで撮った外界の映像のピクセル輝度×白線ピクセルデータ×1.2
加減算処理: カメラで撮った外界の映像のピクセル輝度+白線ピクセルデータ×(+0.2)
(2)輝度を-20%変化させる場合
乗算処理: カメラで撮った外界の映像のピクセル輝度×白線ピクセルデータ×0.8
加減算処理: カメラで撮った外界の映像のピクセル輝度+白線ピクセルデータ×(-0.2)
このような乗算処理及び加減算処理は、前述のとおり一例に過ぎない。
【0031】
画像合成部14においては、以下に示すように、カメラ画像及び支援画像の同一座標ピクセルのRGB値に対して、透明度αを用いたアルファブレンディング演算を行ってもよい。
R出力=R支援図形・α+Rカメラ画像・(1-α)
G出力=G支援図形・α+Gカメラ画像・(1-α)
B出力=B支援図形・α+Bカメラ画像・(1-α)
【0032】
ただし、R支援図形は、支援図形の当該ピクセルにおける赤色成分の輝度であり、Rカメラ画像は、カメラ画像の当該ピクセルにおける赤色成分の輝度であり、R出力は、表示用画像の当該ピクセルにおける赤色成分の輝度である。また、G支援図形は、支援図形の当該ピクセルにおける緑色成分の輝度であり、Gカメラ画像は、カメラ画像の当該ピクセルにおける緑色成分の輝度であり、G出力は、表示用画像の当該ピクセルにおける緑色成分の輝度である。さらに、B支援図形は、支援図形の当該ピクセルにおける青色成分の輝度であり、Bカメラ画像は、カメラ画像の当該ピクセルにおける青色成分の輝度であり、B出力は、表示用画像の当該ピクセルにおける青色成分の輝度である。
【0033】
これまでに説明した実施形態に関し、以下の付記を開示する。
[付記1]
車両の周囲を捉えた周囲画像が入力される入力部と、
複数の白色ブロック領域が周期的に配列されてなる焦点調節支援図形が表された焦点調節支援画像を、前記周囲画像に合成してなる表示用画像を生成する合成部と、
前記表示用画像を表示する表示部と
を備える車両用画像処理装置。
[付記2]
前記配列の周期が、前記表示部までの視距離が1メートルである場合の視角0.5度~1.5度の範囲に相当する、付記1に記載の車両用画像処理装置。
[付記3]
前記白色ブロック領域の輝度が、前記カメラ画像のピクセル輝度の1.2倍又は0.8倍である、付記1又は2に記載の車両用画像処理装置。
[付記4]
前記焦点調節支援図形が、
前記焦点調節支援画像の上辺の近傍において前記焦点調節支援画像の水平方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第1ブロック群と、
前記焦点調節支援画像の下辺の近傍において前記焦点調節支援画像の水平方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第2ブロック群と、
前記第1ブロック群の左端と前記第2ブロック群の左端との間、または前記第1ブロック群の右端と前記第2ブロック群の右端との間において、前記焦点調節支援画像の垂直方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第3ブロック群と
を有する、付記1~3のいずれか一項に記載の車両用画像処理装置。
[付記5]
前記焦点調節支援図形が、
前記焦点調節支援画像の中心を通り前記焦点調節支援画像の水平方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第1ブロック群と、
前記焦点調節支援画像の中心を通り前記焦点調節支援画像の垂直方向に沿って複数の前記白色ブロック領域が配列されてなる第2ブロック群と
を有する、付記1~3のいずれか一項に記載の車両用画像処理装置。
【0034】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
100 電子ミラーシステム
11 カメラ
12 ディスプレイ
13 焦点調節支援画像生成部
14 画像合成部
5 焦点調節支援画像
B1~B3 ブロック群
BL ブロック
BF 支援図形
P 周期