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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】車両の走行制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/02 20120101AFI20250130BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20250130BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20250130BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20250130BHJP
   B60W 10/188 20120101ALI20250130BHJP
   B60W 30/16 20200101ALI20250130BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20250130BHJP
   B60T 8/1755 20060101ALI20250130BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B60W30/02
B60W10/00 120
B60W10/06
B60W10/188
B60W30/16
B60T7/12 C
B60T8/1755 Z
G08G1/16 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021037377
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137732
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】江畑 達郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 拓
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-192842(JP,A)
【文献】特開2020-117065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 60/00
B60T 7/12 - 8/1769
8/32 - 8/96
F02D 29/00 - 29/06
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク要求に応じてエンジンを制御するエンジン制御手段と、ブレーキ要求に応じて制動力を制御するブレーキ制御手段と、路面勾配を検出する傾斜検出手段と、先行車を検出する先行車検出手段と、を備えた車両の走行制御装置であって、
前記先行車検出手段に検出された先行車が減速停止した場合に、所定車間距離を確保して減速停止する機能を有するとともに、自車両が停止する直前に制動力を一時減圧した後に増圧するピッチング抑制制御を実施するように構成されているものにおいて、
自車両が停止直前と判断される第1の車速となった時点で、前記傾斜検出手段に所定閾値以上の路面勾配が検出されている場合には、前記ピッチング抑制制御に合わせて、所定のトルク要求を行うように構成されており、前記第1の車速は、前記ピッチング抑制制御における制動力増圧時の車速より大きいことを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項2】
前記先行車が減速停止した場合は、自車両を減速停止させるべくトルク要求をゼロにするとともに所定のブレーキ要求を行い、自車両が停止直前と判断される前記第1の車速となった第1の時点で、前記傾斜検出手段に所定閾値以上の路面勾配が検出されている場合には所定のトルク要求を行い、それと同時または前記第1の車速より小さい第2の車速となった第2の時点で、前記制動力を一時減圧した後に増圧するピッチング抑制制御を開始するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【請求項3】
前記所定閾値以上の路面勾配が検出されている場合の前記トルク要求は、前記路面勾配に抗して車両を静止させるトルクに相当するトルク要求であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の走行制御装置。
【請求項4】
前記所定閾値以上の路面勾配が検出されている場合の前記トルク要求を、自車両が停止して所定時間経過後にゼロにするように構成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両の走行制御装置。
【請求項5】
前記所定閾値以上の路面勾配が検出されている場合の前記トルク要求後にブレーキペダルが操作された場合は、前記トルク要求をゼロにするように構成されていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の車両の走行制御装置。
【請求項6】
前記エンジンから駆動輪に至るトルク伝達経路にAMT方式の自動変速機を備え、
前記先行車が減速停止した場合に、前記トルク要求ゼロと同時に前記自動変速機のクラッチを解放し、前記第1の時点で前記傾斜検出手段に所定閾値以上の路面勾配が検出されている場合に、前記所定トルク要求と同時に前記クラッチを締結するように構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両の走行制御装置。
【請求項7】
前記所定閾値以上の路面勾配が検出されている場合の前記トルク要求を、自車両が停止して所定時間経過後にゼロにすると同時に前記クラッチを解放するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の車両の走行制御装置。
【請求項8】
前記所定閾値以上の路面勾配が検出されている場合の前記トルク要求後にブレーキペダルが操作された場合は、前記トルク要求をゼロにすると同時に前記クラッチを解放するように構成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の車両の走行制御装置。
【請求項9】
自車両が停止直前と判断される前記第1の車速となった時点で、前記傾斜検出手段の検出値が所定閾値未満の場合は、トルク要求をゼロに維持するように構成されていることを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の車両の走行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行制御装置に関し、さらに詳しくは、自動ブレーキ機能を有する車両の走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動ブレーキ機能を有する車両の走行制御装置、例えば、全車速域対応ACC機能を有する走行制御装置では、減速停止する先行車に追い付いた場合や、追従走行中の先行車が減速停止した場合には、自動ブレーキを作動させて減速停車する。このような減速停止時における揺り戻し(ピッチング振動)を抑制するために、停止直前にブレーキ圧を一時的に減圧する制御が公知である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平01-122764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、AMT方式の自動変速機を備えた車両では、自動ブレーキによる減速停車時にクラッチを解放してエンジンとドライブシャフト側とを切り離すことで、減速停車時のフィーリングを向上させることができる。しかし、この制御と先述のピッチング抑制制御を登坂路において併用すると、減圧後にブレーキ力が立ち上がるまでの間に停車位置で後方に微動するような感覚を受ける傾向が認められた。
【0005】
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、登坂路においても平坦路と同様の減速停車時のフィーリングを得ることができる車両の走行制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、
トルク要求に応じてエンジンを制御するエンジン制御手段と、ブレーキ要求に応じて制動力を制御するブレーキ制御手段と、路面勾配を検出する傾斜検出手段と、先行車を検出する先行車検出手段と、を備えた車両の走行制御装置であって、
前記先行車検出手段に検出された先行車が減速停止した場合に、所定車間距離を確保して減速停止する機能を有するとともに、自車両が停止する直前に制動力を一時減圧した後に増圧するピッチング抑制制御を実施するように構成されているものにおいて、
自車両が停止直前と判断される第1の車速となった時点で、前記傾斜検出手段に所定閾値以上の路面勾配が検出されている場合には、前記ピッチング抑制制御に合わせて、所定のトルク要求を行うように構成されており、前記第1の車速は、前記ピッチング抑制制御における制動力増圧時の車速より大きいことを特徴とする車両の走行制御装置にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両の走行制御装置は、上記のように、先行車に従って減速停止する際、所定閾値以上の路面勾配が検出されている場合は、制動力を一時減圧した後に増圧するピッチング抑制制御に合わせて、エンジンに所定のトルク要求が行われるので、登坂路においても後方に微動するような感覚を受けることなく平坦路と同様の減速停車フィーリングを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車両の走行制御システムを示すブロック図である。
図2】登坂路における車両の減速(a)および停止(b)を示す模式図である。
図3】本発明実施形態に係る走行制御を示すタイムチャートである。
図4】本発明実施形態に係る走行制御を示すフローチャートである。
図5】本発明実施形態に係る走行制御においてブレーキペダルが操作された場合の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1において、車両1は、内燃式のエンジン2、および、エンジン2から駆動輪(3)へのトルク伝達経路にAMT方式の自動変速機5を備え、エンジン2にトルク要求を行うエンジン制御手段としてのエンジンコントローラ10、および、自動変速機5をエンジン回転数とトルク要求に基づいて決定されるギヤ段への変速動作およびそれに連動したクラッチ開閉動作を制御するAMTコントローラ14を備えている。
【0010】
また、車両1は、左右前車輪3のブレーキ33および左右後車輪4のブレーキ44の制動力を個別に制御可能なブレーキ制御装置20(ブレーキコントローラとブレーキアクチュエータ(油圧アクチュエータ)を含む)、ブレーキペダル21、液圧センサ22、左右前車輪3の車輪速センサ23、および、左右後車輪4の車輪速センサ24を備え、ABS/車両挙動安定化装置を構成するブレーキシステムを備えている。
【0011】
さらに、車両1は、ACCコントローラ12とともにACCシステムを構成する先行車検出手段11を備えている。先行車検出手段11は、ミリ波レーダ、ステレオカメラ、LIDERなど、自車前方の先行車や物体(障害物、構造物)の存在を検知する機能を有するとともに、先行車や障害物と自車両との相対距離を測定可能な1つまたは複数の検出手段を用いることができる。
【0012】
ACCコントローラ12は、先行車検出手段11の検出情報と、車輪速センサ23、24の検出値から算出される車速に基づいて、運転者のアクセル/ブレーキ操作に代わり、エンジンコントローラ10およびブレーキ制御装置20に加減速指令を出し、全車速域対応アダプティブ・クルーズ・コントロール(定速走行/追従走行制御/減速停止・再発進制御)を実行するように構成されている。
【0013】
すなわち、ACCコントローラ12からの減速指令を受けたブレーキ制御装置20(ブレーキコントローラ)は、ブレーキアクチュエータにブレーキ要求(液圧要求)を出し、ブレーキ33,44の制動力を制御することで車速を制御する。また、ACCコントローラ12からの加減速指令(トルク要求)を受けたエンジンコントローラ10はトルク要求に応じてアクチュエータ出力(スロットル開度)を制御することで、エンジン2のトルクを制御し、車速を制御する。
【0014】
ACCコントローラ12の上記制御により、車両1は、先行車が無い場合は設定車速を維持して定速走行し、先行車に追いついた場合には、先行車の速度に合わせて、所定の車間時間(タイムギャップ=車間距離/自車速)に応じた車間距離を維持しながら先行車に追従走行する。さらに、車両1は、追従走行中に先行車が減速停止するか、または、減速停止する先行車に追い付いた場合には、所定の車間距離を確保して減速停車し、所定時間内に先行車が発進した場合は、それに合わせて再発進して追従走行を継続する。
【0015】
以上述べたエンジンコントローラ10、AMTコントローラ14、ブレーキ制御装置20のブレーキコントローラ、および、ACCコントローラ12は、何れも制御プログラムや設定データなどを格納するROM、演算処理結果を一時記憶するRAM、演算処理を行うCPU、通信I/Fなどからなるマイコン(MCU)で構成され、車載ネットワーク(CANなど)を介して、先行車検出手段11および以下に述べる傾斜センサ13を含むセンサ群とともに相互通信可能に接続されている。
【0016】
本発明実施形態に係る車両1は、路面勾配を検出する傾斜検出手段として傾斜センサ13を備えている。傾斜センサ13としては、重力加速度に基づいて車両1の前後方向の傾斜を検知する傾斜センサ、加速度センサ、多軸慣性センサなどを利用可能である。
【0017】
(改良された減速停止制御)
本発明に係る走行制御システムは、ACCコントローラ12により実施されるACC機能における減速停止制御を特徴としており、先行車検出手段11の検知情報に加えて傾斜センサ13に検出される路面勾配を考慮して減速停止制御を実行する。以下、改良された減速停止制御について、図2図4を参照しながら説明する。
【0018】
先ず、図2(a)に示されるように、先行車検出手段11に検出される先行車6を所定の設定車間時間Xgにて追従走行中に先行車6が減速停止するか、または、減速停止する先行車6に追い付いた場合、ACCコントローラ12から減速指令が出される。
【0019】
すると、図3に示されるように、ブレーキ要求によりブレーキ液圧が上昇し制動力が作用し始める一方、エンジン2のトルク要求がゼロになると同時に自動変速機5のクラッチが解放され、駆動軸に伝達される駆動トルクがゼロになり、車両1はブレーキ要求に応じた所定減速度で減速を開始する(図4、ステップ100)。
【0020】
その後、図2(b)に示されるように、車両1が先行車6との間に所定の車間距離Xdを確保して停止する直前に、傾斜センサ13に所定閾値(例えば3%)以上の路面勾配が検出されている傾斜路の場合(図4、ステップ101、YES)、路面勾配を補償するクリープトルク(路面勾配に抗して車両1を静止させるトルク)の要求値が算出される。
【0021】
次いで、車両1が停止直前の第1の車速Va(例えば3km/h)となった時点(図3のa点、図4、ステップ102、YES)で、上記要求値に基づいてエンジン2にトルク要求が出され(図4、ステップ103)、同時に、自動変速機5のクラッチに締結力が付加され駆動軸にトルクが伝達され始める。
【0022】
このようなトルク要求およびクラッチ締結と共にトルク伝達が開始されるが、ブレーキの制動力によりさらに減速し第2の車速Vb(例えば2km/h)となった時点(図3のb点、図4、ステップ104、YES)で、一時的にブレーキが減圧される(図3のb点、図4、ステップ105)。
【0023】
駆動トルクの上昇とブレーキの減圧により、車両1の減速が緩和され、車両1が実質的な停止状態と見做せる第3の速度Vc(例えば1km/h)となった時点(図3のc点、図4、ステップ106、YES)でブレーキを増圧し(図4、ステップ107)、車両1が完全に停車し(ステップ108、YES)、ブレーキの増圧が完了した後もブレーキ圧が保持される(ステップ109)。停車後所定時間経過した時点で、トルク要求がゼロになり、同時に自動変速機5のクラッチが解放される(図4、ステップ110)。
【0024】
一方、車両1が先行車6との間に所定の車間距離Xdを確保して停止する直前に、傾斜センサ13に検出される路面勾配が所定閾値(例えば3%)未満の平坦路の場合(図4、ステップ101、NO)は、所定車速Vd(例えば1.5km/h)となった時点(図4、ステップ111、YES)で一時的にブレーキが減圧され(図4、ステップ112)、その後、車両1が実質的な停止状態と見做せる第3の速度Vc(例えば0.5km/h)となった時点(図4、ステップ113、YES)でブレーキを増圧し(図4、ステップ107)、車両1を完全に停車させる(ステップ108~109)。
【0025】
なお、図4において、ステップ101で傾斜ありと判定されている場合の各ステップ123,125,127、あるいは、傾斜なしと判定されている場合の各ステップ122、124において、先行車6の発進などにより、ACCコントローラ12からの減速指令が停止された場合は、その時点で減速停止制御は終了し、ACC制御に戻る。また、減速停止後に先行車6が発進した場合は、アクセルペダルを踏むか、所定のボタン操作でACC制御に戻る。
【0026】
(減速停止制御中のブレーキ操作)
また、図5に示すように、図4のステップ103において、路面勾配に応じたトルク要求が出され、自動変速機5のクラッチが締結された後(例えば図3のb′点)、ドライバによりブレーキペダル21が踏まれ、ブレーキペダルON信号が検出された場合(ステップ131)、エンジンストールを回避するために直ちにトルク要求がゼロになると同時に自動変速機5のクラッチが解放される(ステップ110)。
【0027】
この場合、ACCコントローラ12による制御が、ドライバのブレーキペダル操作でオーバーライドされたものと判定し、HMI装置によりACC解除をドライバに通知して手動運転に移行するようにしても良いし、上述したのと同様に措定のボタン操作やアクセルペダル操作でACC制御が継続されるようにしても良い。
【0028】
(作用と効果)
以上詳述したように、本発明に係る走行制御システムでは、車両1が停止直前と判断される第1の車速Vaとなった時点で所定閾値以上の路面勾配が検出されている場合には、制動力を一時減圧した後に増圧する制御と並行して、所定のトルク要求を行うように構成されているので、減速停止時のピッチングを抑制しつつも、登坂方向にトルクを付加した状態で停止でき、登坂路においても後方に微動するような感覚を受けることなく平坦路と同様の減速停車フィーリングを得ることができる。
【0029】
特に、車両が停止直前と判断される第1の車速Vaとなった第1の時点での所定トルク要求の後、第1の車速Vaより小さい第2の車速Vbとなった第2の時点で制動力を一時減圧した後に増圧する制御を開始することで、制動力の一時減圧前に確実にトルクを付加した状態にして停止させることができる。
【0030】
また、AMT方式の自動変速機5を備えた車両1では、トルク要求と同時にクラッチの締結処理を行うが、制動力を増圧する直前にクラッチに締結力を付加し、駆動力(クリープトルク)を発生させる時間がごく短時間となるのでクラッチへの負担も小さく、発熱によるクラッチへの影響も生じない。
【0031】
所定閾値以上の路面勾配が検出されている場合のトルク要求は、路面勾配に抗して車両を静止させるトルクに相当するトルク要求であることが好ましい。しかし、厳密に平衡させる要求値である必要はなく、過大なトルク要求とならない範囲内で路面勾配に応じて補償トルク要求値が設定される。例えば、路面勾配に比例して補償トルクが大きくなるように設定され、路面勾配に対応する補償トルク要求値をルックアップテーブルとして用意しておくことが有利である。
【0032】
また、車輪速センサ23,24に検出される車輪速から車両1の加速度と車輪のスリップ率を求め、路面摩擦係数(路面μ)を推定し、路面状態に応じて補償トルク要求値(ルックアップテーブル)を切り替えるようにすることもできる。
【0033】
なお、上記実施形態では、エンジン2から駆動輪(3)に至るトルク伝達経路にAMT方式の自動変速機5を備えた車両1において、トルク要求ゼロと同時に自動変速機5のクラッチを解放し、トルク要求と同時にクラッチを締結する場合について述べたが、本発明は、傾斜と釣り合う力より弱いCVT方式など他の形式の自動変速機を備えた車両に実施することもできる。
【0034】
また、上記実施形態では、本発明を、ACC機能を有する車両1に実施する場合について述べたが、ACC機能を包含する自動車線維持機能(自動運転機能)を有する車両に実施することもできる。
【0035】
以上、本発明のいくつかの実施形態について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらに各種の変形および変更が可能であることを付言する。
【符号の説明】
【0036】
1 車両
2 エンジン
5 自動変速機
10 エンジンコントローラ
11 先行車検出手段
12 ACCコントローラ
13 傾斜センサ
14 AMTコントローラ
20 ブレーキ制御装置
21 ブレーキペダル
22 液圧センサ
23,24 車輪速センサ
33,44 ブレーキ
図1
図2
図3
図4
図5