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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】情報処理システム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20250130BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023024422
(22)【出願日】2023-02-20
(65)【公開番号】P2024118154
(43)【公開日】2024-08-30
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】396025447
【氏名又は名称】株式会社建設システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日向 亮介
(72)【発明者】
【氏名】山本 将史
(72)【発明者】
【氏名】川村 洋平
(72)【発明者】
【氏名】片山 佑樹
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-190953(JP,A)
【文献】特開2014-060507(JP,A)
【文献】大和田 泰伯 Yasunori OWADA,NerveNetによるネットワーク内情報蓄積共有プラットフォームを活用した平時/非常時アプリケーション A Demonstration of Applications Using In-network Information Caching and Distributing Platform of NerveNet in Case of Ordinary/Disaster Situation,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.112 No.405 IEICE Technical Report,日本,一般社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2013年02月15日,第112巻,p73-75
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの登録地域において自然災害が発生したことを検知する災害発生検知部と、
前記災害発生検知部により、前記ユーザの登録地域における前記自然災害の発生が検知された有事において、前記ユーザの安否確認を行う安否確認部と、
前記有事において、前記ユーザの避難を補助する避難補助部と、
前記災害発生検知部により、前記ユーザの登録地域における前記自然災害の発生が検知されていない平時において、前記ユーザに対して、前記有事における被害を低減するためのコンテンツを提供する平時コンテンツ提供部と、
前記平時コンテンツ提供部が提供するコンテンツの内容に対する、前記ユーザの状態に関する情報を取得する、ユーザ情報取得部と、
を備え、
前記ユーザ情報取得部が取得した前記ユーザの状態に関する情報に基づいて、前記避難補助部による前記ユーザの避難の補助の内容を変更する、
ことを特徴とする、情報処理システム。
【請求項2】
前記平時コンテンツ提供部が提供するコンテンツは、
前記ユーザの防災に対する知識レベルを高める防災教育コンテンツと、
前記ユーザの拠点および/または自宅における備蓄を管理する備蓄管理コンテンツと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記防災教育コンテンツは、
防災に関する情報を前記ユーザに提供する防災情報提供サービスと、
前記ユーザの防災に対する知識レベルの検定を行う防災検定サービスと、
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記備蓄管理コンテンツは、
前記ユーザの前記拠点および/または自宅において準備すべき備蓄の種類及び量についての情報を提供する準備情報提供サービスと、
前記ユーザの前記拠点および/または自宅において準備された前記備蓄の更新に関する
情報を提供する更新情報提供サービスと、
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記備蓄管理コンテンツは、
前記ユーザの前記拠点および/または自宅で使用することを前提とした備蓄使用品と、避難時に持ち出して使用することを前提とした持ち出し使用品とに分けて、備蓄を管理することを特徴とする、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記避難補助部は、
ハザードマップを提供するハザードマップ提供サービスと、
適切な避難所まで誘導する情報を提供する避難所誘導サービスと、
前記自然災害に関する情報を提供する災害情報提供サービスと、
を提供可能であり、
前記自然災害の種類に応じて、前記ハザードマップ提供サービス、前記避難所誘導サービス、及び前記災害情報提供サービスの少なくともいずれかの内容を変更することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記有事において、
前記避難補助部による前記ユーザの避難の補助と、
前記安否確認部による前記ユーザの安否確認と、
の両方を実行することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記自然災害の種類または程度に応じて、
前記避難補助部による前記ユーザの避難の補助と、
前記安否確認部による前記ユーザの安否確認と、
を実行するタイミングを変更することを特徴とする、請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記避難補助部は、
ハザードマップを提供するハザードマップ提供サービスと、
適切な避難所まで誘導する情報を提供する避難所誘導サービスと、
自然災害に関する情報を提供する災害情報提供サービスと、
を提供可能であり、
前記平時コンテンツ提供部が提供するコンテンツは、
前記ユーザの防災に対する知識レベルを高める防災教育コンテンツと、
前記ユーザの拠点および/または自宅における備蓄を管理する備蓄管理コンテンツと、
を含み、
前記平時コンテンツ提供部が提供するコンテンツの内容に対する、前記ユーザの状態は、前記ユーザの前記防災に対する知識レベルの高さおよび/または前記備蓄の完成度であり、
前記避難補助部による前記ユーザの避難の補助の内容は、前記ハザードマップ、前記適切な避難所まで誘導する情報、前記自然災害に関する情報の少なくともいずれかの内容であることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
ユーザの登録地域において自然災害が発生したことを検知する災害発生検知工程と、
前記災害発生検知工程において、前記ユーザの登録地域における前記自然災害の発生が検知された有事において、前記ユーザの安否確認を行う安否確認工程と、
前記有事において、前記ユーザの避難を補助する避難補助工程と、
前記災害発生検知工程において、前記ユーザの登録地域における前記自然災害の発生が検知されていない平時において、前記ユーザに対して、前記有事における被害を低減する
ためのコンテンツを提供する平時コンテンツ提供工程と、
前記平時コンテンツ提供工程において提供されるコンテンツの内容に対する、前記ユーザの状態に関する情報を取得する、ユーザ情報取得工程と、
を有しており、
前記ユーザ情報取得工程において取得された前記ユーザの状態に関する情報に基づいて、前記避難補助工程における前記ユーザの避難の補助の内容を変更する、
ことを特徴とする、情報処理方法。
【請求項11】
前記平時コンテンツ提供工程において提供されるコンテンツは、
前記ユーザの防災に対する知識レベルを高める防災教育コンテンツと、
前記ユーザの拠点および/または自宅における備蓄を管理する備蓄管理コンテンツと、
を含むことを特徴とする、請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記防災教育コンテンツは、
防災に関する情報を前記ユーザに提供する防災情報提供サービスと、
前記ユーザの防災に対する知識レベルの検定を行う防災検定サービスと、
を含むことを特徴とする、請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記備蓄管理コンテンツは、
前記ユーザの前記拠点および/または自宅において準備すべき備蓄の種類及び量についての情報を提供する準備情報提供サービスと、
前記ユーザの前記拠点および/または自宅において準備された前記備蓄の更新に関する情報を提供する更新情報提供サービスと、
を含むことを特徴とする、請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記備蓄管理コンテンツは、
前記ユーザの前記拠点および/または自宅で使用することを前提とした備蓄使用品と、避難時に持ち出して使用することを前提とした持ち出し使用品とに分けて、備蓄を管理することを特徴とする、請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記有事において、前記ユーザの避難を補助する避難補助工程をさらに有し、
前記避難補助工程においては、
ハザードマップを提供するハザードマップ提供サービスと、
適切な避難所まで誘導する情報を提供する避難所誘導サービスと、
前記自然災害に関する情報を提供する災害情報提供サービスと、
を提供可能であり、
前記自然災害の種類に応じて、前記ハザードマップ提供サービス、前記避難所誘導サービス、及び前記災害情報提供サービスの少なくともいずれかの内容を変更することを特徴とする、請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記自然災害の種類または程度に応じて、
前記避難補助工程における前記ユーザの避難の補助と、
前記安否確認工程における前記ユーザの安否確認と、
を実行するタイミングを変更することを特徴とする、請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記避難補助工程においては、
ハザードマップを提供するハザードマップ提供サービスと、
適切な避難所まで誘導する情報を提供する避難所誘導サービスと、
自然災害に関する情報を提供する災害情報提供サービスと、
を提供可能であり、
前記平時コンテンツ提供工程において提供されるコンテンツは、
前記ユーザの防災に対する知識レベルを高める防災教育コンテンツと、
前記ユーザの拠点および/または自宅における備蓄を管理する備蓄管理コンテンツと、
を含み、
前記平時コンテンツ提供工程において提供されるコンテンツの内容に対する、前記ユーザの状態は、前記ユーザの前記防災に対する知識レベルの高さおよび/または前記備蓄の完成度であり、
前記避難補助工程における前記ユーザの避難の補助の内容は、前記ハザードマップ、前記適切な避難所まで誘導する情報、前記自然災害に関する情報の少なくともいずれかの内容であることを特徴とする、請求項10に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然災害に対する防災に係る情報を処理するための情報処理システム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ある地域において例えば地震や大雨といった自然災害が発生した際に、携帯端末等を介してその地域におけるユーザの安否情報や位置情報を取得することが可能な情報処理システムが公知である。これらによって、ユーザの安否に関わる情報を、より確実、迅速に取得することが可能である(例えば、特許文献1または2参照)。
【0003】
上記の特許文献1及び2に示す技術は、主に自然災害発生時に当該技術のユーザによって利用される。しかしながら、上記の技術のみによっては、ユーザが自然災害によって受ける被害自体を抑制することは困難である。また、自然災害の発生時ユーザが、被害を抑制できる行動をとるためには、平時から自然災害の発生に備えることが効果的であり、例えば平時から自然災害に係る情報や知識を習得する、備品を揃えるといった対策を行うことが求められている。すなわち、自然災害の発生時(以下、「有事」ともいう)と平時の両方において防災に係る情報を処理することが可能な情報処理システムを利用することができれば、有事における被害をより効果的に低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6121673号公報
【文献】特許第5629282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件開示の技術は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、平時においては、自然災害の種類に応じた防災の準備を実行することを可能とし、有事においては、自然災害による被害を低減することを可能とする、情報処理システム、及び情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための本開示は、
ユーザの登録地域において自然災害が発生したことを検知する災害発生検知部と、
前記災害発生検知部により、前記ユーザの登録地域における自然災害の発生が検知された有事において、前記ユーザの安否確認を行う安否確認部と、
を備える、情報処理システムであって、
前記災害発生検知部により、前記ユーザの登録地域における前記自然災害の発生が検知されていない平時において、
前記ユーザに対して、前記有事における被害を低減するためのコンテンツを提供する平時コンテンツ提供部を、
さらに備えることを特徴とする、情報処理システムを含む。
【0007】
本開示による情報処理システムは、有事と平時の両方の場合において、利用登録済みのユーザであれば何人も利用可能である。情報処理システムにおける平時コンテンツ提供部が提供するコンテンツは、有事における被害を低減することを目的としたものであり、ユーザが当該コンテンツを利用することによって、自然災害に対する防災の意識が薄れやす
い傾向にある平時から、防災の知識や意識を取得し、有事に備えることが可能である。なお、災害発生検知部が自然災害の発生を検知する態様として、自然災害が発生したとする条件を数値設定し、当該数値をもって自然災害の発生を検知してもよい。例えば自然災害の種類が地震であれば、所定値以上の震度をもって地震が発生したことを検知してもよい。
【0008】
また、本開示においては、前記平時コンテンツ提供部が提供するコンテンツは、前記ユーザの防災に対する知識レベルを高める防災教育コンテンツと、前記ユーザの拠点および/または自宅における備蓄を管理する備蓄管理コンテンツと、を含むこととしてもよい。これによれば、平時から、ユーザの防災に対する知識を蓄積することで精神的な準備を進めることが可能であり、同時に、備蓄を進めることで自然災害発生時に対する物理的な準備を進めることが可能である。
【0009】
また、本開示においては、前記防災教育コンテンツは、防災に関する情報を前記ユーザに提供する防災情報提供サービスと、前記ユーザの防災に対する知識レベルの検定を行う防災検定サービスと、を含むこととしてもよい。これによれば、防災に対する知識を容易に取得することが可能であり、且つ知識レベルを客観的に評価することが可能である。
【0010】
また、本開示においては、前記備蓄管理コンテンツは、前記ユーザの前記拠点および/または自宅において準備すべき備蓄の種類及び量についての情報を提供する準備情報提供サービスと、前記ユーザの前記拠点および/または自宅において準備された前記備蓄の更新に関する情報を提供する更新情報提供サービスと、を含むこととしてもよい。これによれば、有事において必要な備蓄の種類及び量を容易に把握し、且つ、備蓄が使用期限前である状態を維持することが可能となり、備蓄の品質を適切に維持することが可能である。
【0011】
また、本開示においては、前記備蓄管理コンテンツは、前記ユーザの前記拠点および/または自宅で使用することを前提とした備蓄使用品と、避難時に持ち出して使用することを前提とした持ち出し使用品とに分けて、備蓄を管理することとしてもよい。これによれば、冷静な判断が困難となる傾向にある避難時において、備蓄として持ち出し使用品のみを持ち出して避難することが可能であり、無駄な持ち出しを防止することが可能である。
【0012】
また、本開示においては、前記有事において、前記ユーザの避難を補助する避難補助部をさらに備え、前記避難補助部は、ハザードマップを提供するハザードマップ提供サービスと、適切な避難所まで誘導する情報を提供する避難所誘導サービスと、前記自然災害に関する情報を提供する災害情報提供サービスと、を提供可能であり、前記自然災害の種類に応じて、前記ハザードマップ提供サービス、前記避難所誘導サービス、及び前記災害情報提供サービスの少なくともいずれかの内容を変更することとしてもよい。これによれば、自然災害の種類に応じて、ユーザは自身の安全をより確実に確保しつつ、避難所まで避難活動を実行することが可能である。
【0013】
また、本開示においては、前記有事において、前記ユーザの避難を補助する避難補助部をさらに備え、前記有事において、前記避難補助部による前記ユーザの避難の補助と、前記安否確認部による前記ユーザの安否確認と、の両方を実行することとしてもよい。これによれば、有事における、より確実なユーザの被害低減と、より確実なユーザの安否確認とを両立することが可能である。
【0014】
また、本開示においては、前記自然災害の種類または程度に応じて、前記避難補助部による前記ユーザの避難の補助と、前記安否確認部による前記ユーザの安否確認と、を実行するタイミングを変更することとしてもよい。ここで、タイミングとは、経過時間と順序の両方の概念を含む。これによれば、例えば、より緊急性の高い自然災害の場合には安否
確認より避難の補助を優先する等、自然災害の種類または程度に応じて、最適な安全対策を実行することが可能となる。
【0015】
また、本開示においては、前記平時コンテンツ提供部が提供するコンテンツの内容に対する、前記ユーザの状態に関する情報を取得する、ユーザ情報取得部をさらに備え、前記ユーザ情報取得部が取得した、前記ユーザの状態に関する情報に基づいて、前記避難補助部による前記ユーザの避難の補助の内容を変更することとしてもよい。これによれば、ユーザが平時において取得済みの防災に対する知識や意識のレベルに合わせ、有事においてより適切な安全対策を提供することが可能となる。
【0016】
また、本開示においては、前記避難補助部は、ハザードマップを提供するハザードマップ提供サービスと、適切な避難所まで誘導する情報を提供する避難所誘導サービスと、自然災害に関する情報を提供する災害情報提供サービスと、を提供可能であり、前記平時コンテンツ提供部が提供するコンテンツは、前記ユーザの防災に対する知識レベルを高める防災教育コンテンツと、前記ユーザの拠点および/または自宅における備蓄を管理する備蓄管理コンテンツと、を含み、前記平時コンテンツ提供部が提供するコンテンツの内容に対する、前記ユーザの状態は、前記ユーザの前記防災に対する知識レベルの高さおよび/または前記備蓄の完成度であり、前記避難補助部による前記ユーザの避難の補助の内容は、前記ハザードマップ、前記適切な避難所まで誘導する情報、前記自然災害に関する情報の少なくともいずれかの内容であることとしてもよい。これによれば、平時においてユーザがいかに防災に対する知識や意識を取得しているか、客観的にも明確となり、有事において、ユーザの知識や意識のレベルに合わせた安全対策を提供することが可能となる。
【0017】
また、上記の課題を解決するための本開示は、
ユーザの登録地域において自然災害が発生したことを検知する災害発生検知工程と、
前記災害発生検知工程において、前記ユーザの登録地域における自然災害の発生が検知された有事において、前記ユーザの安否確認を行う安否確認工程と、
を有する、情報処理方法であって、
前記災害発生検知工程において、前記ユーザの登録地域における前記自然災害の発生が検知されていない平時において、
前記ユーザに対して、前記有事における被害を低減するためのコンテンツを提供する平時コンテンツ提供工程を、
さらに有することを特徴とする、情報処理方法を含んでいてもよい。
【0018】
本開示による情報処理方法を、本開示による情報処理システム以外の他の情報処理システムに適用することによっても、自然災害に対する防災の意識が薄れやすい傾向にある平時から、防災の知識や意識を取得し、有事に備えることが可能である。
【0019】
また、本開示においては、前記平時コンテンツ提供工程において提供されるコンテンツは、前記ユーザの防災に対する知識レベルを高める防災教育コンテンツと、前記ユーザの拠点および/または自宅における備蓄を管理する備蓄管理コンテンツと、を含むこととしてもよい。これによれば、平時から、ユーザの防災に対する知識を備蓄することで精神的な準備を進めることが可能であり、同時に、備蓄を進めることで自然災害発生時に対する物理的な準備を進めることが可能である。
【0020】
また、本開示においては、前記防災教育コンテンツは、防災に関する情報を前記ユーザに提供する防災情報提供サービスと、前記ユーザの防災に対する知識レベルの検定を行う防災検定サービスと、を含むこととしてもよい。これによれば、平時コンテンツ提供工程において、防災に対する知識を容易に取得することが可能であり、且つ知識レベルを客観的に評価することが可能である。
【0021】
また、本開示においては、前記備蓄管理コンテンツは、前記ユーザの前記拠点および/または自宅において準備すべき備蓄の種類及び量についての情報を提供する準備情報提供サービスと、前記ユーザの前記拠点および/または自宅において準備された前記備蓄の更新に関する情報を提供する更新情報提供サービスと、を含むこととしてもよい。これによれば、平時コンテンツ提供工程において、有事において必要な備蓄の種類及び量を容易に把握し、且つ、備蓄が使用期限前である状態を維持することが可能となり、備蓄の品質を適切に維持することが可能である。
【0022】
また、本開示においては、前記備蓄管理コンテンツは、前記ユーザの前記拠点および/または自宅で使用することを前提とした備蓄使用品と、避難時に持ち出して使用することを前提とした持ち出し使用品とに分けて、備蓄を管理することとしてもよい。これによれば、平時コンテンツ提供工程において、有事における避難に向けての態勢を整え、冷静な判断が困難となる傾向にある避難時において、備蓄として持ち出し使用品のみを持ち出して避難することが可能であり、無駄な持ち出しを防止することが可能である。
【0023】
また、本開示においては、前記有事において、前記ユーザの避難を補助する避難補助工程をさらに有し、前記避難補助工程においては、ハザードマップを提供するハザードマップ提供サービスと、適切な避難所まで誘導する情報を提供する避難所誘導サービスと、前記自然災害に関する情報を提供する災害情報提供サービスと、を提供可能であり、前記自然災害の種類に応じて、前記ハザードマップ提供サービス、前記避難所誘導サービス、及び前記災害情報提供サービスの少なくともいずれかの内容を変更することとしてもよい。これによれば、避難補助工程において、自然災害の種類に応じて、ユーザは自身の安全をより確実に確保しつつ、避難所まで避難活動を実行することが可能である。
【0024】
また、本開示においては、前記有事において、前記ユーザの避難を補助する避難補助工程をさらに有し、前記有事において、前記避難補助工程における前記ユーザの避難の補助と、前記安否確認工程における前記ユーザの安否確認と、の両方を実行することとしてもよい。これによれば、有事における、より確実なユーザの被害低減と、より確実なユーザの安否確認とを両立することが可能である。
【0025】
また、本開示においては、前記自然災害の種類または程度に応じて、前記避難補助工程における前記ユーザの避難の補助と、前記安否確認工程における前記ユーザの安否確認と、を実行するタイミングを変更することとしてもよい。これによれば、自然災害の種類または程度に応じて、最適な安全対策を実行することが可能となる。
【0026】
また、本開示においては、前記平時コンテンツ提供工程において提供されるコンテンツの内容に対する、前記ユーザの状態に関する情報を取得する、ユーザ情報取得工程をさらに有し、前記ユーザ情報取得工程において取得された、前記ユーザの状態に関する情報に基づいて、前記避難補助工程における前記ユーザの避難の補助の内容を変更することとしてもよい。これによれば、ユーザが平時において取得済みの防災に対する知識や意識のレベルに合わせ、有事においてより適切な安全対策を提供することが可能となる。
【0027】
また、本開示においては、前記避難補助工程においては、ハザードマップを提供するハザードマップ提供サービスと、適切な避難所まで誘導する情報を提供する避難所誘導サービスと、自然災害に関する情報を提供する災害情報提供サービスと、を提供可能であり、前記平時コンテンツ提供工程において提供されるコンテンツは、前記ユーザの防災に対する知識レベルを高める防災教育コンテンツと、前記ユーザの拠点および/または自宅における備蓄を管理する備蓄管理コンテンツと、を含み、前記平時コンテンツ提供工程において提供されるコンテンツの内容に対する、前記ユーザの状態は、前記ユーザの前記防災に
対する知識レベルの高さおよび/または前記備蓄の完成度であり、前記避難補助工程における前記ユーザの避難の補助の内容は、前記ハザードマップ、前記適切な避難所まで誘導する情報、前記自然災害に関する情報の少なくともいずれかの内容であることとしてもよい。これによれば、平時においてユーザがいかに防災に対する知識や意識を取得しているか、客観的にも明確となり、有事において、ユーザの知識や意識のレベルに合わせた安全対策を提供することが可能となる。
【0028】
なお、上記の課題を解決するための手段は、可能な限り互いに組み合わせて用いることができる。
【発明の効果】
【0029】
本件開示の技術によれば、平時においては、自然災害の種類に応じた防災の準備を実行することが可能であり、有事においては、自然災害による被害を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、実施例に係る情報処理システムの利用手順について説明するための模式図である。
図2図2は、実施例に係る情報処理システムが有事において提供するコンテンツである、ユーザの安否確認を行うための回答フォームの一例を示す模式図である。
図3図3は、実施例に係る情報処理システムのハードウェア構成を示す模式図である。
図4図4は、実施例に係る情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施例に係る情報処理システムによって、平時において端末に提供されるコンテンツと、有事において端末に提供される有事向けコンテンツとの相関性を示す模式図である。
図6図6A乃至図6Cは、実施例に係る情報処理システムによって、平時において端末に提供されるコンテンツの端末における表示画面の一例を示す図である。
図7図7は、実施例に係る情報処理システムを用いた情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔実施例〕
以下、本発明の実施例に係る情報処理システム1、及び情報処理方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本開示の実施例に係る情報処理システム1、及び情報処理方法は、以下の構成に限定する趣旨のものではない。
【0032】
<相関図>
最初に、図1を用いて、実施例に係る情報処理システム1の利用手順について説明する。なお、情報処理システム1は、例えば会社等の組織(法人)を契約対象とすることが多く、本実施例においても、会社が契約者であることを仮定して説明を行う。そして、実際に情報処理システム1を実際に使用するユーザ2は、例えば契約者である会社の社員を想定している。なお、上記の通り、図1においては、自然災害に対する防災の準備状況や、有事における安否確認等の管理を会社内において可能とするため、会社員であるユーザ2が情報処理システム1を利用する例について説明するが、契約対象は複数人から構成されていれば会社以外の組織であってもよく、ユーザ2は会社員に限らない。また、ユーザ2は、自身が所有するスマートフォン等の持ち運び可能な端末21を介して情報処理システム1を利用可能であり、端末21は、ユーザ2が私的に用いるものであってもよく、会社から支給されたものであってもよい。また、図1には簡易的に一のユーザ2、及び端末2
1を示すが、当然に情報処理システム1を利用するユーザ2、及び情報処理システム1を利用する際に用いられる端末21は複数存在する。
【0033】
情報処理システム1の利用手順として、最初に契約管理者3が、情報処理システム1の運用や管理の主体である事務局4に利用申込みを行う。利用申込みに対して承認がされると、事務局4が情報処理システム1の利用に必要不可欠なアカウントを発行し、契約管理者3に提供する。ここで、契約管理者3は、例えば会社の組織の責任者(所謂、部長や課長等)や拠点の管理者(所謂、工場長やエリアマネージャー等)である。契約管理者3は、組織または拠点の少なくとも一方に紐付けしてユーザ2を登録する。これによって、ユーザ2の情報処理システム1の利用状況や利用率を管理しやすくなる。ここで、本実施例において、組織とは、会社全体における複数の人々を所定の共通目標に基づいてグループ分けした際の個々のグループを示し、拠点とは、関連会社を含む会社全体における個々の立地を示す。すなわち、組織に紐付けしてユーザ2を登録するとは、ユーザ2を所定のグループの中に位置付けることであり、拠点に紐付けしてユーザ2を登録するとは、ユーザ2を所定の立地の中に位置付けることである。組織または拠点の少なくとも一方に紐付けしてユーザ2が登録されると、事務局4からユーザ2の端末21に、平時または有事、あるいはその両方において利用することに向けたコンテンツをそれぞれ提供可能となる。
【0034】
なお、ユーザ2が紐付けされる拠点を端末21に設定するパターンとしては、以下の三つのパターンが挙げられる。一点目は、拠点そのものの住所を拠点として設定する方法である。例えば拠点の住所が静岡市であれば、静岡市を拠点とすることが可能である。これによって、ユーザ2が所属する拠点を特定することが容易であり、有事においては拠点を連絡先の目安とすることが可能である。二点目は、ユーザ2が手動で他の場所を拠点として設定する方法である。例えばユーザ2が現に拠点に存在する場合においても、拠点とは異なる自宅を拠点として設定することが可能である。これによって、拠点の設定の自由度を高めることが可能である。三点目は、自動で端末21の位置情報が示す現在地を拠点として設定する方法である。これによって、例えば出張等で他の地方に移動し、その地方で自然災害に巻き込まれた場合、拠点がその地方に自動で切り替わっているため、拠点を切り替える手間をかけずにユーザ2の現在地を登録することが可能である。なお、これら三つの設定パターンは切り替え可能であってもよい。
【0035】
<コンテンツ一例>
また、上記のコンテンツの一例を、図2を用いて説明する。図2は、情報処理システム1(より詳細には以下の図4に示す安否確認部16)が有事において提供するコンテンツである、ユーザ2の安否確認を行うための回答フォームの一例を示す模式図である。この回答フォームは、自然災害が発生したエリアにいる、あるいは当該エリアにいると判断されたユーザ2の端末21に提供される。回答フォームとしては、図2に示すような自然災害によるユーザ2の負傷度合いを回答するものの他、ユーザ2の現在地やユーザ2の家の損傷度合いを回答するものが挙げられる。このような回答フォームが、事務局4が設定した設問数(図2の例では三問)だけ提供されるが、この設問数は契約管理者3によって変更可能であってもよい。
【0036】
図2に示す回答フォームを提供する前提として、先ず自然災害が発生した旨の情報を端末21に自動配信するための条件を設定する。情報処理システム1(より詳細には以下の図4に示す災害発生検知部12)は、その条件をもって自然災害が発生したことを検知する。例えば自然災害の種類が地震であれば、所定値以上の震度を端末21に自動配信するための条件として設定し、所定値以上の震度をもって地震が発生した旨を示すことが可能である。なお、自然災害の種類としては、地震の他に、津波、噴火、台風、土砂災害、指定河川洪水、及び記録的短時間大雨等が挙げられる。以下、本実施例においては、自然災害の種類として地震を例示する場合がある。
【0037】
有事においては、自然災害の種類に応じて、ユーザ2の避難活動を支援するサービスを、図2に示す回答フォームと共に端末21に提供してもよい。このようなサービスの一例として、平時において登録した避難所までの経路を端末21の位置情報に基づいて提供するサービス等が挙げられる。また、回答フォーム、及びユーザ2の避難活動を支援するサービスを端末21に提供する順序については不問である。例えば、ユーザ2の避難活動を支援するサービスを提供した後に回答フォームを提供した場合であれば、まずユーザ2の安全を確実に保証してから安否確認を実施することが可能である。
【0038】
回答フォームが自動配信された後、ユーザ2が回答フォームに回答し、送信すると、その回答フォームは、契約管理者3の下に集約される。契約管理者3は回答結果を集計することやリスト化することが可能である。また、契約管理者3は、回答フォームに未回答のユーザ2の端末21にリマインドを送信することも可能である。なお、上記のコンテンツについて、具体的には以下の図4乃至図5に示す。
【0039】
また、安否確認については、有事のみならず、平時において実行してもよい。これによって、ユーザ2は、平時において、災害発生時の予行演習を行うことが可能となり、平時から防災に対する準備をすることが可能である。なお、平時においては、図2に示す、有事において提供される回答フォームと異なる回答フォームが提供されてもよい。また、平時においては、事前に回答フォームの配信対象(すなわち、複数のうちのいずれかの端末21)、回答内容、及び提供日時等を設定し、即時または予約した日時にその回答フォームを端末21に提供するようにしてもよい。
【0040】
<構成>
図3は、実施例に係る情報処理システム1のハードウェア構成を示す模式図である。上記の図1において説明した通り、事務局4が情報処理システム1の運用や管理を主体的に実行し、契約管理者3の利用申込みに対して承認がされると、ユーザ2及び契約管理者3が情報処理システム1を利用することが可能となる。情報処理システム1は、事務局4が所有する管理サーバ41において稼働する。なお、管理サーバ41は、事務局4自体が所有するものに限らず、クラウド上に設けられたものであってもよい。また、契約管理者3の所有する端末は、ユーザ2の所有する端末21と同等の構成を有するため、図3においては図示を省略する。
【0041】
ユーザ2用の端末21は、CPU211、RAM212、ROM213、SDカード等の補助記憶装置214、管理サーバ41の通信手段415に接続される通信手段215、タッチパネル等の操作手段216、及びディスプレイ等の表示手段217等を備えて構成される。通信手段215は、例えば、無線LANのアクセスポイント等を介して管理サーバ41にアクセスするためのNIC(Network interface controller)の他、LTE(Long Term Evolution)等の携帯電話通信網を介して管理サーバ41にアクセスする機能を有していてもよい。また、図1と同様、図3においても端末21は1台で例示しているが、端末21は、当然に複数台存在してもよい。
【0042】
一方、管理サーバ41は、CPU411、RAM412、ROM413、HDD等の補助記憶装置414、及び通信手段415等を備えて構成されるコンピュータである。管理サーバ41のハードウェア構成は、端末21のハードウェア構成と類似しているが、必ずしも操作手段216及び表示手段217を備える必要がない点で、端末21のハードウェア構成と相違する。CPU411は、中央処理装置であり、RAM412等に展開されたコマンド及びデータを処理することで、RAM412や補助記憶装置414等を制御する。RAM412は、主記憶装置であり、CPU411によって制御され、各種コマンドや
データが書き込まれ、読み出される。補助記憶装置414は、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムや、長期的な保存が求められるデータ等が記憶される。また、事務局4は、通信手段415、215を介して、管理サーバ41から端末21に上記のコンテンツを提供することが可能である。なお、通信手段215、415の間の共有や伝達は双方的であり、ユーザ2が、通信手段215、415を介して、端末21から管理サーバ41に情報伝達等が可能である。
【0043】
図4は、実施例に係る情報処理システム1の機能構成を示すブロック図である。図4を用いて、情報処理システム1の各々の機能構成の一例を順次説明する。位置情報取得部11は、端末21のGPS(Global Positioning System)を介して端末21の位置情報を取得する。災害発生検知部12は、気象庁5等の気象データを専門に扱う機関が発信する自然災害情報と、ユーザ2が情報処理システム1の利用に際して登録した地域(位置情報取得部11が取得した端末21の位置情報であってもよい)に基づき、その登録地域において自然災害が発生したことを検知する。災害エリア特定部13は、災害発生検知部12が検知した自然災害情報に基づき、自然災害が発生したエリアを特定する。これらの機能構成によって、情報処理システム1は、ユーザ2の登録地域を取得し、自然災害が発生したエリアにユーザ2が滞在中か否かを判断または推定し、滞在中と判断または推定した場合は、端末21の表示手段217に自然災害に係る情報を表示させることが可能である。
【0044】
情報処理システム1は、上記の通り、平時においても活用することが可能である。平時コンテンツ提供部14は、平時において、自然災害の種類や程度に応じた防災に係るコンテンツを端末21に提供可能である。このようなコンテンツは、具体的にはユーザ2の防災に対する知識レベルを高める防災教育コンテンツや、ユーザ2の拠点や自宅における備蓄を管理する備蓄管理コンテンツ等を含む。詳細は以下の図5乃至図6に示す。
【0045】
平時コンテンツ提供部14が提供したコンテンツは、ユーザ2が編集して登録することが可能である。例えば防災教育コンテンツであれば、防災に対する知識レベルを問う設問を解くことによって、学習状況や達成率を更新することが可能である。記憶部15は、このように編集して登録されたコンテンツをユーザ2の状態に関する情報として、管理サーバ41の補助記憶装置414に記憶する。これによって、平時においてユーザ2がいかに有事に向けての準備を実施しているかの度合いを測ることが可能である。この度合いは、管理サーバ41のCPU411による演算によって、具体的に数値化されてもよい。これによって、平時においてユーザ2がいかに有事に向けての準備を実施しているかを客観的に把握しやすくなる。
【0046】
災害発生検知部12、及び災害エリア特定部13によって、有事である旨が通知されると、安否確認部16は、上記の図2において説明した回答フォームを端末21に提供することによって、ユーザ2の安否確認を行う。安否確認によって取得されたユーザ2の安否に係る情報についても、ユーザ2の状態に関する情報として記憶部15が記憶する。また、安否確認部16は、位置情報取得部11が取得した端末21の位置情報も参照してユーザ2の安否確認を行ってもよい。
【0047】
避難補助部17は、安否確認部16と同様、災害発生検知部12、及び災害エリア特定部13によって、有事である旨が通知されると、位置情報取得部11が取得した端末21の位置情報も参照して、ユーザ2の避難を補助するサービスを端末21に提供する。このようなサービスは、具体的にはハザードマップを提供するハザードマップ提供サービスや、平時において登録した避難所まで誘導する情報を提供する避難所誘導サービスや、自然災害に関する情報を提供する災害情報提供サービス等を含む。ハザードマップ提供サービスは、例えば、各地方自治体から配信される自然災害に対する警戒区域を、日本全土の地
図に重ね合わせるサービスである。避難所誘導サービスは、例えば端末21のリアルタイムの位置情報を基準として、避難所までの最短かつ最も安全な経路を明示したマップを提供するサービスである。災害情報提供サービスは、例えばSNS(Social Networking Service)に投稿された自然災害に関する情報を厳選し、タイムライン形式によって表示すると共に当該情報の関係する位置を明示したマップを提供するサービスである。なお、これらのサービスのうちいずれかの内容は、自然災害の種類に応じて変更可能であってもよい。これによって、有事においてより適切にユーザ2の避難を補助することが可能である。
【0048】
上記の通り、有事においては、安否確認部16によるユーザ2の安否確認と、避難補助部17によるユーザ2の避難補助の両方が実行される。また、これらの有事向けのコンテンツ、あるいはこれら以外の有事向けのコンテンツが端末21に提供されるタイミングは、自然災害の種類や程度に応じて決定されてもよい。ここで、タイミングとは、経過時間と順序の両方の概念を含む。例えば自然災害の種類が地震の場合、防災に関する規定や注意事項等を示した防災取扱説明書、避難補助のサービス、及び安否確認のための回答フォームをこの順序で端末21に提供してもよく、自然災害の種類が指定河川洪水の場合、避難補助のサービス、防災取扱説明書、及び安否確認のための回答フォームをこの順序で端末21に提供してもよい。これによって、ユーザ2は、自然災害の種類や程度に応じて、最適な安全対策を実行することが可能となる。
【0049】
また、安否確認部16によるユーザ2の安否確認、及び避難補助部17によるユーザ2の避難補助は、共助を目的として、複数のユーザ2の間で情報を共有することが可能であってもよい。また、ユーザ2からユーザ2の家族を、情報処理システム1を稼働させるアプリケーションに招待することによって、ユーザ2とその家族との間で位置情報を共有可能とする機能や、ユーザ2とその家族との間でチャットを通じてコミュニケーションを取ることを可能とする機能が、情報処理システム1に備わっていてもよい。これによって、ユーザ2自身が気付かなかった自然災害に係る情報を第三者から取得することが可能となる。
【0050】
ユーザ情報取得部18は、平時コンテンツ提供部14が提供するコンテンツの内容等に対する、ユーザ2の状態に関する情報を記憶部15から取得する。ここで、ユーザ2の状態を測る指標としては、例えばユーザ2の防災に対する知識や意識のレベルの高さや、備蓄の完成度等が挙げられる。避難補助部17は、ユーザ情報取得部18が取得した、ユーザ2の状態に関する情報に基づいて、避難補助の内容を変更する。例えば、ユーザ2の状態に関する情報が、自然災害に対する防災の知識が乏しいというものであれば、何人も実践できるような避難活動の方法を提供し、対して、自然災害に対する防災の知識が豊富というものであれば、他人の救助や避難指導を含むなど、少し困難な避難活動の方法を提供する。これによって、ユーザ2が平時において取得済みの防災に対する知識や意識のレベルに合わせ、有事においてより適切な安全対策を提供することが可能となる。
【0051】
<相関図>
図5は、実施例に係る情報処理システム1によって、平時において端末21に提供されるコンテンツと、有事において端末21に提供されるコンテンツ(以下、「有事向けコンテンツ」という)との相関性を示す模式図である。平時コンテンツ提供部14が提供したコンテンツは、平時においてユーザ2によって編集して登録され、その際に得られた編集登録済みのコンテンツは、他のコンテンツの編集に活用され、または有事において有事向けコンテンツの作成に活用される。例えばステップS11において、平時においてユーザ2が避難所を登録すると、ステップS21において、有事においてユーザ2の家族の所有する端末21の位置情報に基づき、家族の避難状況を確認することが可能である。ユーザ2が設定した避難所と端末21の位置情報が近い位置にあることで、避難所に存在すると
いう情報を示すことができる。また、ステップS22において、有事においてユーザ2自身の位置情報に基づき、避難所までの経路を確認することも可能である。この避難所までの経路は、安全性を高める目的で、ハザードマップとして表示されるようにしてもよい。
【0052】
ステップS12においては、平時においてユーザ2が自然災害に対する防災に係る説明書を閲覧し、防災に対する知識を取得することが可能である。この知識に基づき、ステップS23において、例えばユーザ2が自宅にいる際に地震が発生したら揺れが収まるまで机の下に隠れるといった、適切なリスク回避を慌てず取ることが可能である。また、ステップS13においては、平時においてユーザ2が避難活動に必要な備蓄内容を把握することが可能であり、ステップS14において、平時において備蓄状況の確認や管理を実行することが可能である。備蓄は、ユーザ2が自身の拠点や自宅で使用することを前提とした備蓄使用品と、避難時に持ち出して使用することを前提とした持ち出し使用品に大別して管理することが可能であり、例えば地震が発生したら慌てず避難できるように、ステップS15において、ユーザ2が持ち出し使用品の確認や管理を実行することが可能である。これによって、ステップS24において、例えば地震が発生しても持ち出し使用品を即座に持ち出し、スムーズな避難活動を実行することが可能である。また、ステップS22において確認した避難所までの経路は、ステップS24においてスムーズな避難活動を実行する際に有用である。このように、平時から、ユーザ2の防災に対する知識を蓄積する等の手段によって精神的な準備を進めることが可能であり、同時に、備蓄を進める等の手段によって自然災害発生時に対する物理的な準備を進めることが可能である。
【0053】
<コンテンツ一例>
図6A乃至図6Cは、実施例に係る情報処理システム1によって、平時において端末21に提供されるコンテンツの端末21における表示画面の一例を示す図である。図6Aには、自然災害が発生した際の行動指針等を説明する防災取扱説明書を示す。図6Aにおいては、地震が発生した際に自宅のリビングやキッチンにいた場合に取るべき行動に関する説明を例示しており、これによって、平時から地震を含む自然災害に対する防災に係る知識を取得し、有事において慌てず避難活動を実行することが可能となる。ここで、図6Aに示すコンテンツは、本開示における防災情報提供サービスに相当する。
【0054】
また、図6Bには、ユーザ2の防災に対する知識や意識のレベルの検定を行うための設問を示す。これによって、防災に係る習熟度を測り、知識を付けることやリテラシーを向上させること、また、当該レベルを客観的に評価することが可能である。習熟度の指標としては、例えば検定の正答率が挙げられ、検定の正答率が高い程、ユーザ2の防災に対する知識や意識のレベルが高いといえる。ここで、図6Bに示すコンテンツは、本開示における防災検定サービスに相当する。また、図6Cには、避難活動に必要な備蓄を登録して管理することが可能なサイトを示す。図6Cにおいては、備蓄の例として水を例示しており、避難活動の際に必要な数量や豆知識等も併せて表示される。また、インターネットを介して即時に購入できるように、EC(Electronic Commerce)サイトに移るためのボタンが複数種類(図6Cの例では三種類)設定されていてもよい。他に、備蓄の品質を適切に維持することを目的として備蓄の賞味期限が近付いた際にアラートを鳴らす機能が備わっていてもよく、また、購入済みの備蓄を更新するためのリストが含まれており、リストに含まれる購入済みの備蓄が多い程、備蓄の完成度が高いと評価される機能が備わっていてもよい。ここで、図6Cに示すコンテンツは、本開示における準備情報提供サービス、及び更新情報提供サービスに相当する。
【0055】
図7は、実施例に係る情報処理システム1を用いた情報処理方法の手順を示すフローチャートである。本フローチャートでは、先ずステップS101において、位置情報取得部11が、情報処理システム1の利用登録済みのユーザ2が所有する端末21の位置情報を取得する。また、ステップS102において、災害発生検知部12がユーザ2の登録地域
において自然災害が発生したことを検知する。ここで、ステップS102は、本開示における災害発生検知工程に相当する。次にステップS103において、災害エリア特定部13が、ステップS102において検知した自然災害に基づき、自然災害が発生したエリアを特定する。自然災害が発生すると、有事である旨が通知され、ステップS104において、安否確認部16による安否確認、及び避難補助部17による避難補助が実施される。上記の通り、実施のタイミングについては、自然災害の種類や程度に応じて変更してよい。ここで、ステップS104は、本開示における安否確認工程、及び避難補助工程に相当する。
【0056】
また、ステップS105において、平時コンテンツ提供部14が、平時において利用可能なコンテンツを端末21に提供する。コンテンツとしては、上記の図6A乃至図6Cにおいて説明したような、防災情報提供サービスや、防災検定サービスや、準備情報提供サービス、及び更新情報提供サービス等が該当する。ここで、ステップS105は、本開示における平時コンテンツ提供工程に相当する。次にステップS106において、記憶部15が、ステップS105において提供されたコンテンツのうち、ユーザ2が編集して登録した編集登録済みのコンテンツを記憶する。次にステップS107において、ユーザ情報取得部18が、ステップS106において記憶された編集登録済みのコンテンツに基づき、ユーザ2の状態に関する情報を取得する。ここで、ステップS107は、本開示におけるユーザ情報取得工程に相当する。
【0057】
なお、ステップS107において取得した情報に基づき、ステップS104において、ユーザ2の避難補助の内容を変更してもよい。当該情報は、例えばユーザ2の自然災害に対する防災の知識が乏しいか豊富かを示す情報であり、上記の通り、乏しいか豊富かによって、ユーザ2に提供する避難活動の方法の理解の難易度を変更してもよい。ユーザ2の避難補助の内容を変更しない場合はステップS107の完了後、変更した場合はステップS104の完了後、一連のフローが終了する。
【符号の説明】
【0058】
1・・・・・情報処理システム
11・・・・位置情報取得部
12・・・・災害発生検知部
13・・・・災害エリア特定部
14・・・・平時コンテンツ提供部
15・・・・記憶部
16・・・・安否確認部
17・・・・避難補助部
18・・・・ユーザ情報取得部
2・・・・・ユーザ
21・・・・端末
211・・・CPU
212・・・RAM
213・・・ROM
214・・・補助記憶装置
215・・・通信手段
216・・・操作手段
217・・・表示手段
3・・・・・契約管理者
4・・・・・事務局
41・・・・管理サーバ
411・・・CPU
412・・・RAM
413・・・ROM
414・・・補助記憶装置
415・・・通信手段
5・・・・・気象庁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7