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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】冷却用衣服および空冷ジャケット
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20250130BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20250130BHJP
   A41D 1/00 20180101ALI20250130BHJP
【FI】
A41D13/005 103
A41D13/002 105
A41D1/00 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024083495
(22)【出願日】2024-05-22
【審査請求日】2024-05-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.令和6年3月29日、株式会社山善のウェブサイト https://www.yamazen.co.jp/news/entry-2058.html
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595130034
【氏名又は名称】株式会社山善
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【弁理士】
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】俣野 剛志
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-110047(JP,A)
【文献】登録実用新案第3244984(JP,U)
【文献】特開2022-091683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/005
A41D 13/002
A41D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却用衣服であって、
表地と、
前記表地の裏面側の一部に備えられ、冷却面と、前記冷却面と反対面に放熱面を有するペルチェ素子ユニットを、前記冷却面が内側となる向きで取り付けるための素子取付孔を含む裏地とを備え、
前記表地と前記裏地とは、幅方向における異なる2つの位置にある拘束部で拘束されており、
前記2つの拘束部の間において、前記裏地の幅方向における長さは、対応する前記表地の幅方向における長さより短く設定されており、
前記裏地は伸縮性を有するとともに、
前記拘束部は袖口を含む、冷却衣服。
【請求項2】
前記2つの拘束部の間において、前記裏地の幅方向における長さ寸法は、対応する前記表地の幅方向における長さ寸法の95%未満から75%以上の数値範囲内である請求項1に記載の冷却用衣服。
【請求項3】
前記表地は、空気を内部に送るファンユニットを取り付けるためのファン取付孔を備える請求項1に記載の冷却用衣服。
【請求項4】
前記表地の、平面視において前記素子取付孔の少なくとも一部を含む領域であり、かつ着丈方向において前記ファン取付孔より上側の領域に、着丈方向に襟元まで延びる折り畳み部を備える請求項に記載の冷却用衣服。
【請求項5】
前記折り畳み部は、前記表地の幅方向における2つの異なる位置に、前記表地の幅方向における中心線に対して対称に備えられており、
前記2つの折り畳み部の幅方向における間に前記素子取付孔が含まれる請求項4に記載の冷却用衣服。
【請求項6】
前記裏地は、メッシュ生地である請求項1に記載の冷却用衣服。
【請求項7】
上着として構成され、
前記裏地は着丈方向における背中部分から襟元部分に掛けて備えられる請求項1に記載の冷却用衣服。
【請求項8】
請求項1に記載の冷却用衣服と、
前記素子取付孔に取り付けられる前記ペルチェ素子ユニットと、
を含む、空冷ジャケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却用衣服および空冷ジャケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から炎天下における屋外作業の際の暑さ対策として、送風機能付き衣服が知られている。送風機能付き衣服では、送風機能により衣服内に空気を取り込み襟元や裾から排気させることで、空気に衣服と身体との間を流通させ、着用者に冷却感を与える。また、送風機能だけでなく、さらにペルチェ素子を備えた送風機能付き衣服がある。
【0003】
特許文献1には、送風機能付き衣服において、衣服の着用者の首筋と接触する位置にペルチェ素子ユニットを設けるとともに、衣服の後身頃の裏地に一定の厚さを有するダブルラッセル生地を備え、一対の通路規制部により規制して空気の流路を形成した送風機能付き衣服が開示されている。
【0004】
送風機能付き衣服において、ペルチェ素子ユニットは、ペルチェ素子ユニットの冷却面を着用者の身体に接触させて用いられる。また、ペルチェ素子ユニットに、より冷却性能を発揮させるためには、効果的にペルチェ素子ユニットの冷却面と反対面にある放熱面の熱の除去を行う必要がある。ペルチェ素子ユニットを身体に接触させるためには、ペルチェ素子ユニットを備える表地を着用者の身体と接近させる必要がある。一方で、衣服の生地を着用者の身体と接近させると、送風機能による空気の流路が阻害される。このため、ペルチェ素子ユニットの放熱面の除熱が十分に行えず、ペルチェ素子ユニットの冷却性能が発揮されないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3244984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、ペルチェ素子ユニットの冷却面を着用者の身体面に密着させることが可能な空冷ジャケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る冷却用衣服は、冷却用衣服であって、表地と、前記表地の裏面側の一部に備えられ、冷却面と、前記冷却面と反対面に放熱面を有するペルチェ素子ユニットを、前記冷却面が内側となる向きで取り付けるための素子取付孔を含む裏地とを備え、前記表地と前記裏地とは、幅方向における異なる2つの位置にある拘束部で拘束されており、前記2つの拘束部の間において、前記裏地の幅方向における長さは、対応する前記表地の幅方向における長さより短い。
【0008】
本開示に係る空冷ジャケットは、前記冷却用衣服と、前記ファン取付孔に取り付けられるファンユニットと、前記素子取付孔に取り付けられるペルチェ素子ユニットと、を含む。
【0009】
本開示によれば、冷却用衣服は、ペルチェ素子ユニットを備えることで、裏地によりペルチェ素子ユニットの冷却板を着用者の身体面に対して密着させることができるため、ペルチェ素子ユニットの冷却能力を発揮させることが可能となる冷却用衣服を提供できる。また、冷却用衣服は、さらにファンユニットを備えることで、ペルチェ素子ユニットの冷却板を着用者の身体面に対して密着させつつ、ペルチェ素子ユニットの放熱面側にファンユニットからの空気を流通させるための流路を確保することができる。また、冷却用衣服に、ファンユニットおよびペルチェ素子ユニットを備えた空冷ジャケットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の第1実施例に係る空冷ジャケットの正面から観た内部を示す。
図2図2は、本開示の第1実施例に係る冷却用衣服の正面図である。
図3図3は、本開示の第1実施例に係る冷却用衣服の背面図である。
図4図4は、本開示の第1実施例に係る冷却用衣服の左側面図である。
図5図5は、本開示の第1実施例に係る冷却用衣服の正面から観た内部を示す。
図6図6は、本開示の表地および裏地の幅方向における長さを説明するための上面図である。
図7図7は、本開示の折り畳み部の構造を説明するための上面図である。
図8図8は、本開示の折り畳み部が展開した状態を説明するため上面図である。
図9図9は、本開示の第1実施例に係る空冷ジャケットを背面から観た空気の流れを示す。
図10図10は、本開示の第1実施例に係る空冷ジャケット内における空気の流れを示す。
図11図11は、本開示の第2実施例に係る空冷ジャケットの正面から観た内部を示す。
図12図12は、本開示の第2実施例に係る冷却用衣服の正面から観た内部を示す。
図13図13は、本開示の第2実施例に係る空冷ジャケット内における空気の流れを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施例>
以下、本開示の第1実施例に係る空冷ジャケットおよび冷却用衣服について、図1から5を参照して説明する。図1は、本開示の第1実施例に係る空冷ジャケットの正面から観た内部を示す。図2は、本開示の第1実施例に係る冷却用衣服の正面図である。図3は、本開示の第1実施例に係る冷却用衣服の背面図である。図4は、本開示の第1実施例に係る冷却用衣服の左側面図である。図5は、本開示の第1実施例に係る冷却用衣服の正面から観た内部を示す。以下の説明では、図1における左右方向を幅方向、上下方向を着丈方向と呼ぶことがある。
【0012】
なお、本実施の形態はあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。本実施例では袖のないベスト型の場合について説明するが、袖を有するものであっても同じ構成をとることができる。
【0013】
<空冷ジャケット>
図1から図5に示す空冷ジャケット1は、表地12、裏地40、ペルチェ素子ユニット44、ファンユニット54、および電源60を含む。空冷ジャケット1は、前面の中心にファスナー16cを有する。空冷ジャケット1の裾は、ほぼ全周に渡りギャザー38が設けられている。表地12の素材は、ナイロン生地が使用される。なお、表地12の素材はナイロン生地に限られず、薄手で、かつ空気を通しにくい生地であれば使用することができる。
【0014】
表地12は、構成として前身頃16、後身頃20、肩ヨーク22、細腹30および襟36を含む。表地12は、これらの構成同士を縫製して形成される。前身頃16は幅方向における端が、細腹30の幅方向における端と縫製される。後身頃20は着丈方向における上側が肩ヨーク22と縫製された、幅方向におけるそれぞれの端が、細腹30の幅方向における前身頃16と縫製されたのとは反対側の端と縫製される。肩ヨーク22と前身頃16とが肩の部分において縫製される。襟36は、前身頃16および肩ヨーク22の上端に縫製される。
【0015】
前身頃16は、冷却用衣服10の前側部分である。前身頃16は、右前身頃16a、左前身頃16b、およびファスナー16cとを含む。右前身頃16aと左前身頃16bとは対称形状を有する。右前身頃16aと左前身頃16bとは、幅方向における中心にあるファスナー16cを開け閉めして着脱可能に構成される。
【0016】
前身頃16は、着丈方向における中心より下側の位置にそれぞれポケット18を備える。右側のポケット18の内側には、さらに内ポケット18aとケーブル通し孔18bを有する。内ポケット18aには電源60が収納される。内ポケット18aの入口には面ファスナーを備える。ケーブル通し孔18bの端部はカン止めの処理がされる。
【0017】
前身頃16は着丈方向における上端で肩ヨーク22および襟36と縫製される。また、前身頃16は、幅方向におけるファスナー16cが取り付くのと反対側の端部は袖口32となっており、テープ材によりパイピング処理がされている。なお、前身頃16は複数の生地で構成されて縫製時に一体として形成されてもよい。
【0018】
後身頃20は、冷却用衣服10の背面における背中から裾に掛かる部分である。後身頃20はファン取付孔14およびタブ21を備える。ファン取付孔14は、後身頃20の、着用者が着用した場合における腰の位置に、2つが幅方向に並んで備えられる。タブ21は、テープ材をループ状にして面ファスナーで開閉できるようにしたものである。タブ21は後身頃20の裏側の孔14の横にそれぞれ備えられる。
【0019】
後身頃20は、着丈方向における上端において肩ヨーク22と縫製され、幅方向におけるそれぞれの端において、細腹30a、30bとそれぞれ縫製される。
【0020】
肩ヨーク22は、空冷ジャケット1の背面の背中から襟元に掛かる部分である。本実施例では、肩ヨーク22は後身頃20とは別の部材として説明したが、肩ヨーク22と後身頃20とは一体の部材であってもよい。
【0021】
肩ヨーク22は、着丈方向における上端において襟36と縫製され、着丈方向における下端において後身頃20と縫製される。肩ヨーク22は、幅方向におけるそれぞれの端の上側が、前身頃16と縫製されている。肩ヨーク22は、幅方向におけるそれぞれの端の下側は袖口32となっており、テープ材によりパイピング処理がされている。肩ヨーク22は、幅方向における中心線に対して対称の形状となっている。
【0022】
肩ヨーク22は、折り畳み部26を備える。折り畳み部26は、生地を幅方向に所定の幅で異なる方向に2回折り返した構造を有する。折り畳み部26の2回折り返し部分には、それぞれ折り山28が形成される。すなわち、折り畳み部26は、着丈方向からみた断面形状がZ字形状となっている。折り畳み部26は、肩ヨーク22の着丈方向における上端から下端にかけて備えられる。
【0023】
折り畳み部26は肩ヨーク22の幅方向における異なる2か所に、所定の間隔で備えられる。2つの折り畳み部26の幅方向における間隔は、ペルチェ素子ユニット44の放熱板44bの幅に合わせた寸法である。2つの折り畳み部26は、幅方向における中心線に対して対称に形成される。2つの折り畳み部26は、一対として機能する、いわゆるボックスプリーツである。
【0024】
2つの折り畳み部26は、空冷ジャケット1を背面側から観た平面視において、ペルチェ素子ユニット44を2つの折り畳み部26の間の中央に備える。すなわち、2つの折り畳み部26は空冷ジャケット1を着用した状態において、背面の幅方向における中央に、着丈方向において背中から襟元にかけて備えられる。
【0025】
折り畳み部26は、着丈方向における下から上に向かうに従って、2つの折り山28の間で折り返される部分の長さ(以下、「折返長さ」と称する。)が長くなるよう構成される。すなわち、折り畳み部26は、着丈方向の上側における折返長さが、着丈方向の下側における折返長さより長くなっている。
【0026】
細腹30は、空冷ジャケット1における両脇に備えられる。細腹30は、着丈方向における上端が袖口32の一部を形成している。細腹30の着丈方向における上端は、テープ材によりパイピング処理がされている。細腹30は、着丈方向における下端は裾の一部であり、ギャザー38が備えられる。細腹30の幅方向における一端は前身頃16と縫製され、幅方向における他端は後身頃20と縫製されている。細腹30には、幅方向における異なる2つの位置に折り畳み部34が備えられ、袖口32まで延びている。2つの折り畳み部34は、一対として機能する、いわゆるボックスプリーツである。
【0027】
襟36は、空冷ジャケット1の上端に備えられる。襟36は、生地が首回りを全周覆うように設けられ、前面には前身頃16からのファスナー16cを備える。襟36は、着丈方向における下端が、前身頃16および肩ヨーク22と縫製される。襟36は、背面の2つの折り畳み部26が、肩ヨーク22から連なって形成されている。
【0028】
裏地40は、肩ヨーク22の裏側に備えられる。裏地40は素子取付孔42を有する。裏地40は、略台形形状であって、台形形状における底辺の両端が円弧形状に抉り取られた形状をなす。素子取付孔42は、裏地40の幅方向および着丈方向における中央に備えられる。ここで、素子取付孔42は、直径約5cmである。
【0029】
裏地40の幅方向の寸法は、対応する肩ヨーク22の幅方向の寸法よりも小さく設定される。ここで、「対応する肩ヨーク22の幅方向の寸法」とは、裏地40と、裏地40が備えられる肩ヨーク22とを比べた場合に、着丈方向におけるそれぞれの位置において、裏地40の幅方向における寸法が肩ヨーク22の幅方向における寸法より短いということを意味する。すなわち、裏地40の幅方向における端の形状は、肩ヨーク22の幅方向における端の形状とほぼ同じであり、幅方向における長さ寸法のみ異なる。裏地40の幅方向の長さ寸法は、対応する肩ヨーク22の幅方向の長さ寸法の95%未満から75%以上の数値範囲内に設定される。好ましくは、裏地40の幅方向の長さ寸法は、対応する肩ヨーク22の幅方向の長さ寸法の90%以下から80%以上の数値範囲内に設定される。より好ましくは、裏地40の幅方向の長さ寸法は、対応する肩ヨーク22の幅方向の長さ寸法の88%以下から83%以上の数値範囲内に設定される。なお、表地12および裏地40の幅方向の長さ寸法は、幅方向の張力が掛かっていない状態における長さ寸法である。また、表地12および裏地40の幅方向の長さ寸法は、洗濯縮みを含む経年使用による縮みを考慮しない場合の長さ寸法である。
【0030】
裏地40の着丈方向の寸法は、肩ヨーク22の着丈方向における寸法より小さく設定される。裏地40の着丈方向における下端は、肩ヨーク22の着丈方向の下端の位置よりも上に位置する。すなわち、裏地40の着丈方向における下端よりも下に、肩ヨーク22の折り畳み部26の下端が位置する。
【0031】
裏地40はメッシュ生地でできている。ここで、裏地40のメッシュ生地は、メッシュ孔の大きさが、空気が自由に生地の一方の面から他方の面に通り抜けることができる程度に構成されている。
【0032】
裏地40は、少なくとも幅方向において伸縮性を有する。裏地40は、伸縮性を有するため、体形の異なる着用者が空冷ジャケット1を着用した場合でも、幅方法における所定の張力を生じることができる。
【0033】
裏地40は、表地12である肩ヨーク22と、幅方向における両端にある肩のラインでそれぞれ縫製される。また、裏地40の幅方向の両端におけるそれぞれの下側は、肩ヨーク22と縫製される。ここで、裏地40は、肩ヨーク22と共に前身頃16も一緒に縫製される。裏地40の幅方向の両端における下側は袖口32の一部となっており、裏地40の端末は肩ヨーク22の端末とともに、伸縮性のテープ材によりパイピング処理がされる。
【0034】
なお、裏地40は幅方向における異なる2つの位置で表地12に縫製されればよく、裏地40が表地12に縫製される位置は、幅方向における端に限られない。裏地40は、例えば、幅方向における端よりも内側で表地12と拘束されてもよい。
【0035】
裏地40の着丈方向における上端および下端は、他の生地と縫製されていない。裏地40の着丈方向における上端および下端は、テープ材によりパイピング処理されているのみである。すなわち、裏地40は着丈方向において、表地12に拘束されていない。
【0036】
ここで、裏地40は、肩ヨーク22と縫製された部分は、肩ヨーク22に対して面方向の移動が拘束される。裏地40が肩ヨーク22と縫製された部分を拘束部24と称する。裏地40は、幅方向の両端における着丈方向の上端から下端まで、拘束部24が形成されている。拘束部24においては、裏地40と肩ヨーク22とは、面方向において拘束される。一方、拘束部24以外の部分、すなわち、縫製されていない部分においては、裏地40は肩ヨーク22に何も拘束されない。このようにして、裏地40と、表地12である肩ヨーク22とは、幅方向における異なる2つの位置にある拘束部24で拘束される。
【0037】
<ファンユニット>
ファンユニット54は、外気を取り込んで空冷ジャケット1の内に送ることで、空冷ジャケット1内に空気の流れを生じさせる。ファンユニット54は、羽根車、回転モータ、ケーシングおよび電源ケーブル54aを含む。ファンユニット54は2つ備えられ、後身頃20に備えられるファン取付孔14に取り付けられる。
【0038】
羽根車は、回転することにより軸方向から空気を吸い込むとともに半径方向に押し出す。羽根車は斜流式の羽根車であり、軸周りに複数の羽根を有する。羽根車は、回転モータと接続しており、回転モータが回転することにより軸周りに回転する。
【0039】
回転モータは、直流電流により軸周りに連続回転する。回転モータは、電源60と接続するための電源ケーブル54aを備えている。
【0040】
電源ケーブル54aは、回転モータの駆動電力を電源60から供給する。電源ケーブル54aは、一端が回転モータに電気的に接続されており、他端は電源60に接続する。電源ケーブル54aは、2つのファンユニット54から出た電源ケーブル54aが合流し、1本のケーブルとして他端に延びる。
【0041】
電源ケーブル54aは、電源スイッチ54bを備えており、電源スイッチ54bを操作することにより、電源60の入切りの他、回転モータの回転数の切り替えを行うことができる。電源スイッチ54bは、図示しない表示灯を備えており、表示灯の点灯により運転状態を表示することができる。
【0042】
ケーシングは、中空構造を有し、外観形状は扁平した円筒形状である。ケーシングは、円筒部分の外周に、ファン取付孔14に取り付くためのフランジ部を有する。ケーシングは網構造となっており、ケーシングの内外を空気の流通が可能となっている。ケーシングは、内部に羽根車、回転モータおよび電源ケーブル54aを収容する。フランジ部は、生地を挟み込むことにより取り付けられる。
【0043】
<ペルチェ素子ユニット>
ペルチェ素子ユニット44は、接触して身体を冷却する。ペルチェ素子ユニット44は、図示しないペルチェ素子、冷却板44a、放熱板44b、電源ケーブル44cおよびケーシングを含む。ペルチェ素子ユニット44は、裏地40に備えられる素子取付孔42に取り付けられる。ここで、ペルチェ素子ユニット44は、冷却板44aが身体BS側となる向きで、素子取付孔42に取り付けられる。
【0044】
ペルチェ素子は、異なる金属同士が接合されて形成されており、接合面に電流を流すと、一方の金属の温度が上昇するとともに、他方の金属の温度が降下するという性質を有する。ペルチェ素子の温度が降下する側の面に金属製の板材が備えられる(以降、「冷却板44a」と称する。)。他方、ペルチェ素子の温度が上昇する側の面にも、金属製の板材が備えられる(以降、「放熱板44b」と称する。)。ここで、放熱板44bには、複数の孔が形成されている。冷却板44aおよび放熱板44bは、ケーシングにより保持され、ペルチェ素子ユニット44と一体として構成される。
【0045】
電源ケーブル44cは、ペルチェ素子の駆動電力を電源部から供給する。電源ケーブル44cは、一端側はペルチェ素子に電気的に接続されており、他端側はケーシングの外部に延在する。電源ケーブル44cの他端側には、電源60に接続するための接続端子が取り付けられている。電源ケーブル44cは、ペルチェ素子ユニット44の電源を入切りするための電源スイッチ44dを有する。
【0046】
ケーシングは、円筒形状をした中空構造であり、ペルチェ素子ユニット44の外殻を構成する。ケーシングは、円筒形状の外周にフランジ部を有する。ケーシングの円筒部分には、スリットが形成されている。ケーシングの円筒部分のスリットから入った空気は、放熱板44bに設けられた孔から出ることができる。ケーシング内部を空気の流通が可能に構成されている。
【0047】
ケーシングは、内部にペルチェ素子を収納するとともに、円筒形状の一方の底は冷却板44aにより構成され、他方の底は放熱板44bにより構成される。冷却板44aおよび放熱板44bは、それぞれ金属材料でできており、熱伝導性を有する。
【0048】
フランジ部は、ケーシングの円筒部分の放熱板44b側の外周に備えられる。ケーシングは、フランジ部で布地を挟み込むことにより取付けられる。ここで、フランジ部はケーシングの円筒形状の放熱板44b側にあるため、裏地40に取り付けられたペルチェ素子ユニット44は、冷却板44a側が裏地40から身体BS側に突出する。
【0049】
ペルチェ素子ユニット44は、放熱板側に排気ファンを有し、フランジ部はケーシングの円筒部分の冷却板44a側の外周に備えられてもよい。この場合、裏 40に取り付けられたペルチェ素子ユニット44は、冷却板44a側が裏地40から身体側に突出するとともに、放熱板44b側も裏地40から表地側に突出する。
【0050】
<電源部>
電源60は、供給する電力を蓄える。電源60は、バッテリーパックである。電源60は、二次電池、接続端子部、図示しない表示灯および制御部を有する。電源60は、5ボルト以上12ボルト以下の電圧の電力供給が可能に構成される。
【0051】
二次電池は、再充電可能な電池である。二次電池はリチウムイオン二次電池である。また、二次電池は、リチウムイオン二次電池に限られず、ニッケル・カドニウム畜電池などの充電式電池を用いることができる。電源60は二次電池に限られず、乾電池により構成されてもよい。
【0052】
接続端子部は3つの接続端子を備える。第1の接続端子は、ペルチェ素子ユニット44からの電源ケーブル44cと接続する。第2の接続端子は、ファンからの電源ケーブル54aと接続する。第3の接続端子は、充電用の端子であり、ACアダプタを介して商用電源と接続するためのものである。接続端子は、USB(Universal Serial Bus)端子である。また、接続端子は、USB端子に限られず、DCプラグであってもよい。
【0053】
図示しない表示灯は、電源60の稼働状態を表示する。表示灯は、LED(Light-Emitting Diode)である。表示灯は、電力を出力している状態および電力が入力されている状態で点灯するよう構成される。
【0054】
図示しない制御部は、電源60の稼働を制御するとともに、二次電池の残量を管理する。制御部は、第1の接続端子および第2の接続端子の少なくとも1方に接続された電源ケーブル44c、54aの電源スイッチ44d、54bが入に操作されたことを検出した場合には、所定の電圧の電力供給を開始する。また、制御部は、第3の接続端子に商用電源と接続されたACアダプタが接続された場合には、二次電池への充電を行い、二次電池の残量が所定の残量以上となったら、充電を終了する。
【0055】
<裏地の幅方向における長さについて>
以下に、裏地の幅方向における長さについて、図6を参照して説明する。図6は、本開示の表地および裏地の幅方向における長さを説明するための上面図である。
【0056】
前述したように、表地12である肩ヨーク22と裏地40とは、幅方向における異なる2つの位置にある拘束部24で拘束されている。2つの拘束部24間において、裏地40の幅方向における長さは、対応する肩ヨーク22の幅方向における長さより短くなっている。このため、空冷ジャケット1の着用時に全周方向に生じる張力により、裏地40は引っ張られた状態となる。これにより、裏地40に取り付けられたペルチェ素子ユニット44は着用者の身体BSに押し付けられて冷却板44aが接触する。一方で、2つの拘束部24間における肩ヨーク22には幅方向の張力が生じていないため、肩ヨーク22は、幅方向に長さが余剰した状態となっている。このため、ファンユニット54により空気が空冷ジャケット1内に送り込まれた際に、肩ヨーク22が外方向に張り出すことができ、裏地40と肩ヨーク22との間を空気が流通することができる。
【0057】
<折り畳み部について>
以下に、折り畳み部26について、図7および8を参照して説明する。図7は、本開示の折り畳み部の構造を説明するための上面図である。図8は、本開示の折り畳み部が展開した状態を説明するため上面図である。図7によると、2つの折り畳み部26は、折り畳まれた状態となっている。ここで、2つの折り畳み部26は、幅方向における中心にペルチェ素子ユニット44が位置するように備えられ、また、2つの折り畳み部26は、幅方向における中心線に対して対称に備えられている。
【0058】
図8は、2つの折り畳み部26が展開した状態を表している。外に膨らむ際には、それぞれの折り畳み部26の折り山28を基準として展開することができる。これにより、空気の流路を、ペルチェ素子ユニット44の放熱板44bと接する位置とすることができる。
【0059】
<ジャケット内における空気の流れ>
以下に、第1実施例に係る空冷ジャケット1内における空気の流れについて、図9および10を用いて説明する。図9は、本開示の空冷ジャケットを背面から観た空気の流れを示す。図10は、本開示の空冷ジャケット内における空気の流れを示す。
【0060】
図9によると、空冷ジャケット1の背面の後身頃20のファン取付孔14にはファンユニット54が取り付けられるとともに、裏地40の素子取付孔42にはペルチェ素子ユニット44が取り付けられている。空冷用ジャケット1は、前面のファスナー16cが閉じられるとともに、空冷ジャケット1の下端はギャザー38により表地12と着用者の身体BSとの隙間が閉じられている。
【0061】
まず、ファンユニット54により、空冷ジャケット1外の空気ACが空冷ジャケット1内に送り込まれる。空冷ジャケット1内に送り込まれた空気は、後身頃20の部位で着用者の身体BSと後身頃20と間の空間に拡散される。
【0062】
その後、空冷ジャケット1内の後身頃20の部位の空気は、ファンユニット54から次々に送り出される空気に押し出されて、着丈方向における上側に向かって移動する。
【0063】
空冷ジャケット1内の肩ヨーク22の部位において、表地12と着用者の身体BSとの間の風路は、裏地40を境として、裏地40の表地12側にある表側風路と、裏地40の身体BS側にある身体側風路に区画される。空冷ジャケット1内の肩ヨーク22との境の位置まで移動した空気は、一部が表側風路を流通し、他の一部が身体側風路を流通する。
【0064】
表側風路を流通する空気Afは、裏地40と表地12との間を着丈方向における上方に移動する。ここで、表側風路を流通する空気Afは、裏地40に備えられるペルチェ素子ユニット44の放熱板44bと接触しつつ移動する。すなわち、表側風路を流通する空気Afにより、ペルチェ素子ユニット44の放熱板44bが除熱される。
【0065】
身体側風路を流通する空気Abは、裏地40と身体BSと間の空間を上方に移動する。身体側風路を流通する空気Abは、ペルチェ素子ユニット44のケーシングのスリットからケーシング内に入り、放熱板44bの孔から出ることにより、ペルチェ素子ユニット44を除熱する。身体側風路を流通する空気Abの一部は、裏地40のメッシュ孔を通過して表側流路に移動し、表側流路を流通する空気Afと合流する。
【0066】
空冷ジャケット1内の裏地40の上端を過ぎると、表側風路を流通した空気Afと身体側風路を流通した空気Abとは合流し、襟元から空冷ジャケット1の外に流出する(空気AE)。
【0067】
<第2実施例>
以下、本開示の第2実施例に係る空冷ジャケットおよび冷却用衣服について、図11および12を参照して説明する。図11は、本開示の第2実施例に係る空冷ジャケットの正面から観た内部を示す。図12は、本開示の第2実施例に係る冷却用衣服の正面から観た内部を示す。第2実施例に係る冷却用衣服110は、ファン付孔114が細腹130に備えられており、また、背面の折り畳み部126が腰部付近まで延びている点で、第1実施例に係る冷却用衣服10と異なる。第2実施例に係る空冷ジャケット101は、細腹130に備えられるファン取付孔114にファンユニット54を備える。なお、第2実施例において第1実施例と重複する部分については説明を省略する。
【0068】
図11および12に示すように、後身頃120は、冷却用衣服110の背面における腰から裾に掛かる部分である。後身頃120は、着丈方向における上端において肩ヨーク122と縫製され、幅方向におけるそれぞれの端において、細腹130a、130bとそれぞれ縫製される。後身頃120はタブ121およびケーブル押さえ121aを備える。タブ121は後身頃120の裏側の幅方向におけるそれぞれの端付近に備えられる。ケーブル押さえ121aは、後身頃120および肩ヨーク122の裏側の幅方向における細腹130a側の端に、着丈方向に沿って複数備えられる。
【0069】
肩ヨーク122は、空冷ジャケット101の背面の腰から襟元に掛かる部分である。肩ヨーク122は、折り畳み部126を備える。折り畳み部126は、肩ヨーク122の着丈方向における上端から下端にかけて備えられる。すなわち、折り畳み部126は、背面における襟元から腰の部分まで延びる。
【0070】
細腹130a、130bは、空冷ジャケット101における脇にそれぞれ備えられる。細腹130a、130は、ファン取付孔114および折り畳み部134をそれぞれ備える。ファン取付孔114は、後身頃120の、着用者が空冷ジャケット101を着用した場合における腰の高さの位置に備えられる。
【0071】
細腹130a、130bは、幅方向における異なる2つの位置に折り畳み部134を備える。折り畳み部134は、生地を幅方向に所定の幅で異なる方向に2回折り返した構造を有する。折り畳み部134の折り返し部分には折り山が形成される。すなわち、折り畳み部134は、着丈方向からみた断面形状がZ字形状となっている。折り畳み部134は、着丈方向におけるファン取付孔114の位置から袖口132までそれぞれ延びる。2つの折り畳み部134は、細腹130a、130bの幅方向における中心に対して対称の形状に形成される。2つの折り畳み部134は一対として機能する、いわゆるボックスプリーツである。袖口132の細腹130a、130bの上端により構成される部分は、伸縮性を有しないテープ材によりパイピング処理がされる。
【0072】
袖口132の、2つの折り畳み部134と連なる部分には、それぞれ折り畳み構造が形成され、折り畳み部134と一体として機能する。すなわち、折り畳み部134が外方向に膨らむと、袖口132の折り畳み構造も外方向に膨らみ、折り畳み部134が折り畳まれた状態に戻ると、袖口132の折り畳み構造も折り畳まれた状態に戻る。袖口132の折り畳み構造が外に膨らむことで、着丈方向における断面積が広がる。
【0073】
<ジャケット内における空気の流れ>
以下に、第2実施例に係る空冷ジャケット101内における空気の流れについて、図13を用いて説明する。図13は、本開示の第2実施例に係る空冷ジャケット内における空気の流れを示す。
【0074】
図13によると、上述したように、空冷ジャケット101の脇の細腹130のファン取付孔114にはファンユニット54が取り付けられるとともに、背面の裏地140の素子取付孔142にはペルチェ素子ユニット44が取り付けられている。空冷用ジャケット101は、前面のファスナー116cが閉じられるとともに、空冷ジャケット101の下端がギャザー138により表地12と着用者の身体BSとの隙間が閉じられている。
【0075】
まず、ファンユニット54により、空冷ジャケット101外の空気CAが空冷ジャケット101内に送り込まれる。空冷ジャケット101内に送り込まれた空気は、細腹130と着用者の身体BSと間で拡散するとともに、一部が後身頃120と身体BSとの間の空間に拡散される。
【0076】
その後、空冷ジャケット101内の細腹130の部位の空気は、ファンユニット54から次々に送り込まれる空気に押し出されて、着丈方向における上側に向かって移動する。ここで、後身頃120の部位に移動した空気のその後の流れについては実施例1と同じである。
【0077】
空冷ジャケット101内の細腹130の部位の空気は、細腹132と身体BSとの間を着丈方向における上側に移動して、袖口132から流出する(空気UA)。ここで、ファンユニット54により送り込まれる空気の圧力により、細腹130の着丈方向の折り畳み部134が外に膨らむ。これにより、表地12と着用者の身体BSとの間の風路が拡大する。また、細腹130の折り畳み部134が外に膨らむことにより、折り畳み部134と連続する袖口132に形成される折り畳み構造も広がるため、袖口132の開口が広がる。これにより、細腹130と身体BSとの間を、より多くの空気が流通することが可能となるとともに、袖口132からより多くの空気UAを排気することが可能となる。
【0078】
〔第1の態様〕
本開示の第1の態様に係る冷却用衣服10は、冷却用衣服10であって、表地12と、表地12の裏面側の一部に備えられ、冷却板44aと、冷却板44aと反対面に放熱板44bを有するペルチェ素子ユニット44を、冷却板44aが表地12の裏面側となる向きで取り付けるための素子取付孔42を含む裏地40とを備え、表地12と裏地40とは、幅方向における異なる2つの位置にある拘束部24で拘束されており、2つの拘束部24の間において、裏地40の幅方向における長さは、対応する表地12の幅方向における長さより短い。
第1の態様により冷却用衣服10は、着用者が冷却用衣服40を着用することで2つの拘束部24間において、裏地40に幅方向における張力が生じさせる一方で、表地12に幅方向に余裕を持たせることができるので、裏地40の素子取付孔42にペルチェ素子ユニット44を備えた場合に、ペルチェ素子ユニット44の冷却板44aを着用者の身体BSに対して接触させることが可能となる。
〔第2の態様〕
本開示の第2の態様に係る冷却用衣服10は、第1の態様に係る冷却用衣服において、2つの拘束部24の間における裏地40の幅方向の長さ寸法は、対応する表地12の幅方向の長さ寸法の95%未満から75%以上の数値範囲内である。
第2の態様により冷却用衣服10は、裏地40に、2つの拘束部24間において、より裏地40に幅方向における張力を生じさせることができるので、裏地40の素子取付孔42にペルチェ素子ユニット44を備えた場合に、ペルチェ素子ユニット42の冷却板44aを着用者の身体BSに対して、より強く接触させることが可能となる。
〔第3の態様〕
本開示の第3の態様に係る冷却用衣服10は、第1の態様に係る冷却用衣服10において、裏地40が、伸縮性を有する。
第3の態様により冷却用衣服10は、裏地40が伸縮性を有するので、異なる体形の着用者が着用した場合でも、裏地40は幅方向において所定の張力を生じることができる。
〔第4の態様〕
本開示の第4の態様に係る冷却用衣服10は、第1の態様に係る冷却用衣服10において、表地12は、空気を内部に送るファンユニット54を取り付けるためのファン取付孔14を備える。
第4の態様により冷却用衣服10は、ファン取付孔14にファンユニット54を取り付けることで内部に空気の流れを生じさせるので、ペルチェ素子ユニット44の冷却板44aを着用者の身体BSに接触させつつ、表地12と裏地40との間に空気を流通させるための空間を設けることができるので、着用者に冷却感を与えるとともに、ペルチェ素子ユニット44の放熱板44bの除熱を行い、ペルチェ素子ユニット44の冷却能力を発揮させることが可能となる。
〔第5の態様〕
本開示の第5の態様に係る冷却用衣服10は、第1の態様に係る冷却用衣服10において、表地12の、平面視において素子取付孔42の少なくとも一部を含む領域であり、かつファン取付孔14より着丈方向において上側の領域に、着丈方向に襟元まで延びる折り畳み部26を備える。
第5の態様により冷却用衣服10は、折り畳み部26の折り山28を基準として、2つの拘束部24間における表地12が外方向に膨らむことができる。
〔第6の態様〕
本開示の第6の態様に係る冷却用衣服10は、第5の態様に係る冷却用衣服10において、折り畳み部26は、表地12の幅方向における2つの異なる位置に、表地12の幅方向における中心線に対して対称に備えられており、2つの折り畳み部26の幅方向における間に素子取付孔42が含まれる。
第6の態様により冷却用衣服10は、2つの折り畳み部26により、ペルチェ素子ユニット44を含むように風路を形成することができるので、ペルチェ素子ユニット44の放熱板44bを空気の流れに接触させることができる。
〔第7の態様〕
本開示の第7の態様に係る冷却用衣服10は、第1の態様に係る冷却用衣服10において、裏地40が、メッシュ生地である。
第7の態様により冷却用衣服10は、裏地40と身体BSとの風路を流通する空気Abと、裏地40と表地12との風路を流通する空気Afとが、裏地40のメッシュ孔を流通することができる。
〔第8の態様〕
本開示の第8の態様に係る冷却用衣服10は、第1の態様に係る冷却用衣服10において、上着として構成され、裏地40は着丈方向における背中部分から襟元部分に掛けて備えられる。
第8の態様により冷却用衣服10は、着用者が上着として着用することにより、背中部分から襟元において空冷の効果を得ることが可能となる。
〔第9の態様〕
本開示の第9の態様に係る空冷ジャケット1は、第1の態様に係る冷却用衣服10と、素子取付孔42に取り付けられるペルチェ素子ユニット44と、を含む。
第9の態様により空冷ジャケット1は、第1の態様に記載した効果を有することができる。
〔他の態様〕
本開示の他の態様に係る冷却用衣服10は、第3の態様に係る冷却用衣服10において、細腹30には、幅方向における2つの異なる位置に折り畳み部が備えられ、袖口32まで延びている。
第9の態様により冷却用衣服10は、2つの折り畳み部が外側に張り出して袖口32まで延びる空気の流路を形成することができるので、着用者に脇部においても冷却効果を生じさせることができる。
【符号の説明】
【0079】
1、101 空冷ジャケット
10、110 冷却用衣服
12、112 表地
14、114 ファン取付孔
16、116 前身頃
16a、116a 右前身頃
16b,116b 左前身頃
16c,116c ファスナー
18,118 ポケット
18a,118a 内ポケット
18b,118b ケーブル通し孔
20、120 後身頃
21、121 タブ
22、122 肩ヨーク
24、124 拘束部
26、126 折り畳み部
28 折り山
30、130 細腹
30a、130a 細腹
30b、130b 細腹
32、132 袖口
34、134 折り畳み部
36、136 襟
38、138 ギャザー
40、140 裏地
42、142 素子取付孔
44 ペルチェ素子ユニット
44a 冷却板
44b 放熱板
44c 電源ケーブル
44d 電源スイッチ
54 ファンユニット
54a 電源ケーブル
54b 電源スイッチ
60 電源
121a ケーブル押さえ
BS 着用者の身体の表面

【要約】
【課題】ペルチェ素子ユニットの冷却面を着用者の身体面に密着させるとともに、吸込ファンによる空気の流路を確保することが可能な空冷ジャケットを提供する。
【解決手段】冷却用衣服であって、表地と、前記表地の裏面側の一部に備えられ、冷却面と、前記冷却面と反対面に放熱面を有するペルチェ素子ユニットを、前記冷却面が内側となる向きで取り付けるための素子取付孔を含む裏地とを備え、前記表地と前記裏地とは、幅方向における異なる2つの位置にある拘束部で拘束されており、前記2つの拘束部の間において、前記裏地の幅方向における長さは、対応する前記表地の幅方向における長さより短い。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13