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特許7627550固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/627 20230101AFI20250130BHJP
   H04N 25/616 20230101ALI20250130BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20250130BHJP
【FI】
H04N25/627
H04N25/616
H04N25/76
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020102430
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021197618
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】521182560
【氏名又は名称】ブリルニクス シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 直行
(72)【発明者】
【氏名】張 光漢
(72)【発明者】
【氏名】眞田 慎吾
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-283557(JP,A)
【文献】国際公開第2011/052155(WO,A1)
【文献】特開2020-028117(JP,A)
【文献】特開2007-036916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30 - 5/33
H04N 23/11
H04N 23/20 -23/30
H04N 25/00
H04N 25/20 -25/61
H04N 25/615-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換を行う画素が行列状に配置された画素部と、
前記画素から信号線に電圧信号として読み出される画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換機能を有する読み出し回路と、を有し、
前記画素から読み出される前記画素信号は、
前記画素から順に読み出される読み出しリセット信号および読み出し信号を含み、
前記読み出し回路は、
前記信号線に読み出された前記画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号の信号レベルがあらかじめ設定された参照電圧を超えた場合、前記AD変換部の変換コードを通常の変換コードと異なるコードに変更させる画素信号監視部と、を含み、
前記画素信号監視部は、
リセット時の前記読み出しリセット信号の信号レベルに相当するレベルの第1の参照電圧と、
前記第1の参照電圧より大きいレベルの第2の参照電圧と、が設定可能であり、
信号入力部に入力される前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号と電圧設定部に設定される前記参照電圧とを比較する比較部を含み、
前記比較部は、
前記画素のリセット期間およびリセット解除後の前記読み出しリセット信号の読み出し開始時の所定期間に前記信号入力部の電位を前記第1の参照電圧に初期化し、当該初期化後、前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号と電圧設定部に設定される前記第2の参照電圧とを比較し、前記読み出しリセット信号の信号レベルが前記第2の参照電圧を超えた場合、前記AD変換部の変換コードを所定のコードに固定させ、
前記比較部は、
第1の比較器と、
サンプリングキャパシタと、
第1のリセット信号により接続状態と非接続状態が切り換え可能な第1のオートゼロスイッチと、
第1のリセット信号により接続状態と非接続状態が切り換え可能な第1の参照スイッチと、
前記第1のリセット信号と逆相の第2のリセット信号により接続状態と非接続状態が切り換え可能な第2の参照スイッチと、を含み、
前記第1の比較器は、
第1の入力端子が前記サンプリングキャパシタに接続され、前記サンプリングキャパシタを介して前記画素信号の供給ラインに接続され、
前記オートゼロスイッチが前記第1の入力端子と出力端子との間に接続され、

前記第1の参照スイッチが第2の入力端子と前記第1の参照電圧の供給ラインとの間に接続され、
前記第2の参照スイッチが前記第2の入力端子と前記第2の参照電圧の供給ラインとの間に接続されており、
前記比較部は、
前記第1の比較器の出力信号を処理する第2の比較器を含み
前記第1の比較器は、アクティブの第1のイネーブル信号により比較動作を行い、
前記第2の比較器は、前記第1のイネーブル信号より後にアクティブとなる第2のイネーブル信号により比較動作を行う
固体撮像装置。
【請求項2】
前記画素信号監視部は、
前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号の信号レベルがあらかじめ設定された参照電圧を超えた場合、前記AD変換部の変換コードを所定のコードに固定させる
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第2の参照電圧は、前記第1の参照電圧と高輝度光が入射したときの黒レベルに相当する電圧との間の電圧値に設定される
請求項1または2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記比較部は、
前記第1のイネーブル信号がアクティブとなり前記第1の比較器が比較動作に入った後、
前記第1のリセット信号が所定期間アクティブとなり、前記第1の比較器の前記第1の入力端子と前記出力端子が接続され、前記第2の入力端子に前記第1の参照電圧が供給され、前記第1の比較器がオートゼロ動作を行い、前記信号入力部に前記第1の参照電圧および前記第1の比較器のオフセット電圧が保持され、
前記第1のリセット信号が非アクティブとなり、前記オートゼロスイッチおよび前記第1の参照スイッチが非接続状態となり参照電圧が前記第1の参照電圧から前記第2の参照電圧に切り換わり、当該切り換わり後、前記第2のイネーブル信号がアクティブとなり前記第2の比較器が比較動作に入り、
前記読み出しリセット信号の信号レベルが前記第2の参照電圧を超えた場合、前記AD変換部の変換コードを所定のコードに固定させる
請求項1から3のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記画素信号監視部は、
前記比較部の出力信号のうち少なくとも前記読み出しリセット信号の信号レベルが前記第2の参照電圧を超えたことを検出した検出信号をラッチし、前記AD変換部の変換コードを所定のコードに固定させることを指示するフラグ信号を前記AD変換部に出力するラッチ部を含む
請求項1から4のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記読み出し回路は、
前記信号線を伝搬された前記画素信号を増幅して前記画素信号監視部および前記AD変換部に出力するアンプを含み、
前記第1の参照電圧は、前記アンプのオートゼロ時の出力電圧と等しい電圧値に設定される
請求項1から5のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記画素は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、
前記フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた利得をもって電圧信号に変換するソースフォロワ素子と、
リセット期間に前記フローティングディフュージョンを所定電位にリセットするリセット素子と、を含む
請求項1から6のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記画素信号の列読み出し系に、黒レベルを所定レベルにクランプするクランプ回路が配置されている
請求項1から7のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
光電変換を行う画素が行列状に配置された画素部と、
前記画素から信号線に電圧信号として読み出される画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換機能を有する読み出し回路と、を有し、
前記読み出し回路は、
前記信号線に読み出された前記画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号の信号レベルがあらかじめ設定された参照電圧を超えた場合、前記AD変換部の変換コードを通常の変換コードと異なるコードに変更させる画素信号監視部と、を含む、
固体撮像装置の駆動方法であって、
前記画素から読み出される前記画素信号は、
前記画素から順に読み出される読み出しリセット信号および読み出し信号を含み、
前記読み出し回路において、
前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号の信号レベルがあらかじめ設定された参照電圧を超えた場合、前記AD変換部の変換コードを通常の変換コードと異なるコードに変更させ、
前記画素信号監視部においては、
リセット時の前記読み出しリセット信号の信号レベルに相当するレベルの第1の参照電圧と、
前記第1の参照電圧より大きいレベルの第2の参照電圧と、を設定可能とし、
比較部において、
信号入力部に入力される前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号と電圧設定部に設定される前記参照電圧とを比較することが可能であり、
前記比較部においては、
前記画素のリセット期間およびリセット解除後の前記読み出しリセット信号の読み出し開始時の所定期間に前記信号入力部の電位を前記第1の参照電圧に初期化し、当該初期化後、前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号と電圧設定部に設定される前記第2の参照電圧とを比較し、前記読み出しリセット信号の信号レベルが前記第2の参照電圧を超えた場合、前記AD変換部の変換コードを所定のコードに固定させ、
前記比較部は、
第1の比較器と、
サンプリングキャパシタと、
第1のリセット信号により接続状態と非接続状態が切り換え可能な第1のオートゼロスイッチと、
第1のリセット信号により接続状態と非接続状態が切り換え可能な第1の参照スイッチと、
前記第1のリセット信号と逆相の第2のリセット信号により接続状態と非接続状態が切り換え可能な第2の参照スイッチと、を含み、
前記第1の比較器は、
第1の入力端子が前記サンプリングキャパシタに接続され、前記サンプリングキャパシタを介して前記画素信号の供給ラインに接続され、
前記オートゼロスイッチが前記第1の入力端子と出力端子との間に接続され、
前記第1の参照スイッチが第2の入力端子と前記第1の参照電圧の供給ラインとの間に接続され、
前記第2の参照スイッチが前記第2の入力端子と前記第2の参照電圧の供給ラインとの間に接続されており、
前記比較部は、
前記第1の比較器の出力信号を処理する第2の比較器を含み、
前記第1の比較器は、アクティブの第1のイネーブル信号により比較動作を行い、
前記第2の比較器は、前記第1のイネーブル信号より後にアクティブとなる第2のイネーブル信号により比較動作を行う
固体撮像装置の駆動方法。
【請求項10】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
光電変換を行う画素が行列状に配置された画素部と、
前記画素から信号線に電圧信号として読み出される画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換機能を有する読み出し回路と、を有し、
前記画素から読み出される前記画素信号は、
前記画素から順に読み出される読み出しリセット信号および読み出し信号を含み、
前記読み出し回路は、
前記信号線に読み出された前記画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号の信号レベルがあらかじめ設定された参照電圧を超えた場合、前記AD変換部の変換コードを通常の変換コードと異なるコードに変更させる画素信号監視部と、を含み、
前記画素信号監視部は、
リセット時の前記読み出しリセット信号の信号レベルに相当するレベルの第1の参照電圧と、
前記第1の参照電圧より大きいレベルの第2の参照電圧と、が設定可能であり、
信号入力部に入力される前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号と電圧設定部に設定される前記参照電圧とを比較する比較部を含み、
前記比較部は、
前記画素のリセット期間およびリセット解除後の前記読み出しリセット信号の読み出し開始時の所定期間に前記信号入力部の電位を前記第1の参照電圧に初期化し、当該初期化後、前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号と電圧設定部に設定される前記第2の参照電圧とを比較し、前記読み出しリセット信号の信号レベルが前記第2の参照電圧を超えた場合、前記AD変換部の変換コードを所定のコードに固定させ、
前記比較部は、
第1の比較器と、
サンプリングキャパシタと、
第1のリセット信号により接続状態と非接続状態が切り換え可能な第1のオートゼロスイッチと、
第1のリセット信号により接続状態と非接続状態が切り換え可能な第1の参照スイッチと、
前記第1のリセット信号と逆相の第2のリセット信号により接続状態と非接続状態が切り換え可能な第2の参照スイッチと、を含み、
前記第1の比較器は、
第1の入力端子が前記サンプリングキャパシタに接続され、前記サンプリングキャパシタを介して前記画素信号の供給ラインに接続され、
前記オートゼロスイッチが前記第1の入力端子と出力端子との間に接続され、

前記第1の参照スイッチが第2の入力端子と前記第1の参照電圧の供給ラインとの間に接続され、
前記第2の参照スイッチが前記第2の入力端子と前記第2の参照電圧の供給ラインとの間に接続されており、
前記比較部は、
前記第1の比較器の出力信号を処理する第2の比較器を含み
前記第1の比較器は、アクティブの第1のイネーブル信号により比較動作を行い、
前記第2の比較器は、前記第1のイネーブル信号より後にアクティブとなる第2のイネーブル信号により比較動作を行う
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、画素毎にフォトダイオード(光電変換素子)および浮遊拡散層(FD:Floating Diffusion、フローティングディフュージョン)を有するFDアンプを持ち合わせており、その読み出しは、画素アレイの中のある一行を選択し、それらを同時に列(カラム)方向へと読み出すような列並列出力型が主流である。
【0004】
ところで、CMOSイメージセンサの画素の構成としては、たとえば一つのフォトダイオード(光電変換素子)に対して、転送素子としての転送トランジスタ、リセット素子としてのリセットトランジスタ、ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタ、および選択素子としての選択トランジスタをそれぞれ一つずつ有する4トランジスタ(4Tr)構成の画素を例示することができる。
【0005】
転送トランジスタは、所定の転送期間に制御信号TGにより選択されて導通状態となり、フォトダイオードで光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFDに転送する。
リセットトランジスタは、所定のリセット期間に制御信号RSTにより選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFDを電源線の電位にリセットする。
選択トランジスタは、読み出しスキャン時に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタはフローティングディフュージョンFDの電荷を電圧信号に変換した列出力の読み出し信号Pixoutを垂直信号線LSGNに出力する。
【0006】
たとえば、読み出しスキャン期間において、リセット期間にフローティングディフュージョンFDがたとえば電源線の電位にリセットされた後、ソースフォロワトランジスタによりフローティングディフュージョンFDの電荷が電圧信号に変換されて、読み出しリセット信号(電圧)VRSTとして垂直信号線LSGNに出力される。
続いて、所定の転送期間に、フォトダイオードで光電変換され蓄積された電荷(電子)がフローティングディフュージョンFDに転送される。そして、ソースフォロワトランジスタによりフローティングディフュージョンFDの電荷が電圧信号に変換されて、読み出し信号(電圧)VSIGとして垂直信号線LSN1に出力される。
画素の出力信号は差分信号(VSIG-VRST)として処理される。
【0007】
ところが、このような画素を有するCMOSイメージセンサにおいて、非常に強い光(高輝度光)が1つ以上の画素に入射した際、画素出力が飽和することから、高輝度信号が低輝度信号として誤出力されてしまい、いわゆる反転ビデオノイズ(いわゆる太陽黒点)が出力されるという不利益がある。
【0008】
この課題について、図1図4に関連付けてさらに詳細に説明する。
図1は、画素から読み出される画素信号としての読み出しリセット信号および読み出し信号、並びに、高輝度光が入射した場合に黒つぶれ画像が形成される課題を説明するための図である。
図2は、画素に高輝度光が入射した場合に形成される黒つぶれ画像の一例を示す図である。
図3は、黒つぶれ画素の発生の要因となる黒レベル変動を抑止するクランプ回路が配置された画素信号読み出し回路系の構成例を示す図である。
図4は、クランプ回路により黒レベルの変動を抑止する原理を説明するための図である。
【0009】
CMOSイメージセンサにおいては、図1に示すように、画素信号Pixoutの読み出しリセット信号VRSTの黒レベルLB1と読み出し信号VSIGの信号レベルLSの差ΔV1で輝度情報を表す。
画素に高輝度光が入射すると、本来は黒レベルLB1付近である読み出しリセット信号VRSTに信号成分が漏れこんでしまう現象が発生する。
その結果として、図1に示すように、黒レベルLB1が黒レベルLB2に大きく変動し信号レベルSLと黒レベルLBの差分がΔV1からΔV2(ΔV1>ΔV2)に減衰し、図2に示すように、本来の輝度より暗い画像(黒つぶれ画像)となってしまう。
【0010】
そこで、この黒レベルLBの変動の影響を防止するために、図3に示すように、画素信号列(カラム)読み出し系に、黒レベルを所定レベルにクランプするクランプ回路を配置したCMOSイメージセンサが提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0011】
図3のクランプ回路1は、画素配列の各列(カラム)において画素信号Pixoutが読み出される垂直信号線SLGN1と電源電位VDDとの間にクランプトランジスタCTrが接続されて形成されている。
クランプトランジスタCTrのゲート電圧はクランプレベル生成回路2によるクランプ信号CTPにより制御されている。
【0012】
クランプ回路1は、図4に示すように、たとえば非常に強い光(高輝度光)が1つ以上の画素に入射した際、黒レベルLB1を黒レベルLB3クランプして、信号レベルSLと黒レベルLBの差分をΔV3(ΔV1≒ΔV3>ΔV2)に保持させて、差分がΔV1からΔV2(ΔV1>ΔV2)に減衰して変動することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2011-160046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、上述したCMOSイメージセンサでは、クランプ電圧を制御するための基準信号であるクランプ信号CLPを、クランプレベル生成回路2で生成した信号で全列(カラム)共通としていたために、列ごとの素子バラつき等によりクランプレベルもバラツキ、クランプがうまくかからない列が発生する。
この場合、クランプが所望のレベルになっていない列のデータもADC3によって変換されてしまうのでバラつきが最終出力まで伝搬してしまう。
その結果として高輝度光源の中心部が黒つぶれした画像(画像例図2参照)になってしまう。
【0015】
本発明は、列ごとの素子のばらつき等があったとしても確実に反転ビデオノイズの発生を防止することが可能で、ひいては高画質化を実現することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、光電変換を行う画素が行列状に配置された画素部と、前記画素から信号線に電圧信号として読み出される画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換機能を有する読み出し回路と、を有し、前記画素から読み出される前記画素信号は、前記画素から順に読み出される読み出しリセット信号および読み出し信号を含み、前記読み出し回路は、前記信号線に読み出された前記画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部と、前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号の信号レベルがあらかじめ設定された参照電圧を超えた場合、前記AD変換部の変換コードを通常の変換コードと異なるコードに変更させる画素信号監視部と、を含む。
【0017】
本発明の第2の観点は、光電変換を行う画素が行列状に配置された画素部と、前記画素から信号線に電圧信号として読み出される画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換機能を有する読み出し回路と、を有し、前記読み出し回路は、前記信号線に読み出された前記画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部を含む固体撮像装置の駆動方法であって、前記画素から読み出される前記画素信号は、前記画素から順に読み出される読み出しリセット信号および読み出し信号を含み、前記読み出し回路において、前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号の信号レベルがあらかじめ設定された参照電圧を超えた場合、前記AD変換部の変換コードを通常の変換コードと異なるコードに変更させる。
【0018】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、光電変換を行う画素が行列状に配置された画素部と、前記画素から信号線に電圧信号として読み出される画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換機能を有する読み出し回路と、を有し、前記画素から読み出される前記画素信号は、前記画素から順に読み出される読み出しリセット信号および読み出し信号を含み、前記読み出し回路は、前記信号線に読み出された前記画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部と、前記信号線に読み出された前記画素信号の読み出しリセット信号の信号レベルがあらかじめ設定された参照電圧を超えた場合、前記AD変換部の変換コードを通常の変換コードと異なるコードに変更させる画素信号監視部と、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、列ごとの素子のばらつき等があったとしても確実に反転ビデオノイズの発生を防止することが可能で、ひいては高画質化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】画素から読み出される画素信号としての読み出しリセット信号および読み出し信号、並びに、高輝度光が入射した場合に黒つぶれ画像が形成される課題を説明するための図である。
図2】画素に高輝度光が入射した場合に形成される黒つぶれ画像の一例を示す図である。
図3】黒つぶれ画素の発生の要因となる黒レベル変動を抑止するクランプ回路が配置された画素信号読み出し回路系の構成例を示す図である。
図4】クランプ回路により黒レベルの変動を抑止する原理を説明するための図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図6】本第1の実施形態に係る画素の一例を示す回路図である。
図7】本第1の実施形態における通常の画素読み出し動作時のシャッタースキャンおよび読み出しスキャンの動作タイミングを示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素部のカラム(列)出力の読み出し系の構成例を説明するための図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係るカラム読み出し回路の構成を説明するための図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係る増幅部としてのアンプの構成例を示す回路図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係る画素信号監視部の一構成例を示す回路図である。
図12】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素信号の読み出し処理について説明するためのタイミングチャートである。
図13】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置のカラム読み出し系を示す図である。
図14】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図5は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0023】
この固体撮像装置10は、図5に示すように、撮像部としての画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(列(カラム)読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、およびタイミング制御回路60を主構成要素として有している。
これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、カラム読み出し回路40、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し部70が構成される。
【0024】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10のカラム読み出し回路40は、後で詳述するように、画素部20の光電変換を行う画素から信号線に電圧信号として読み出される画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換機能を有する。
本第1の実施形態において、画素から読み出される画素信号は、画素から順に読み出される読み出しリセット信号VRST11および読み出し信号VSIG11を含む。
そして、カラム読み出し回路40は、垂直信号線に読み出された画素信号PIXOUTをアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部と、垂直信号線に読み出された画素信号の読み出しリセット信号VRST11の信号レベルがあらかじめ設定された参照電圧Vrefを超えた場合、AD変換部の変換コードを通常の輝度情報に応じた変換コードと異なるコードに変更させる画素信号監視部と、を含む。
【0025】
本第1の実施形態では、画素信号監視部は、垂直信号線に読み出された画素信号の読み出しリセット信号VRST11の信号レベルがあらかじめ設定された参照電圧を超えた場合、AD変換部の変換コードを所定のコードに固定させる。たとえばその期間のデータを全“1”に固定させる。
【0026】
画素信号監視部は、参照電圧と読み出された画素信号とを比較する比較部を有する。
比較部は、リセット時の読み出しリセット信号VRST11の信号レベルに相当するレベルの第1の参照電圧Vref1と、第1の参照電圧Vref1より大きいレベルの第2の参照電圧Vref2と、が設定可能であり、信号入力部に入力される垂直信号線に読み出された画素信号の読み出しリセット信号VRST11と電圧設定部に設定される参照電圧Vref1,Vref2とを比較する。
【0027】
比較部は、画素のリセット期間およびリセット解除後の前記読み出しリセット信号の読み出し開始時の所定期間に信号入力部の電位を第1の参照電圧Vref1レベルおよびオフセット電圧により初期化し、初期化後、垂直信号線に読み出された画素信号の読み出しリセット信号VRST11と電圧設定部に設定される第2の参照電圧Vref2とを比較し、読み出しリセット信号VRST11の信号レベルが第2の参照電圧Vref2を超えた場合、AD変換部の変換コードを所定のコードに固定させる。
【0028】
なお、本第1の実施形態において、第2の参照電圧Vref2は、第1の参照電圧Vref1と高輝度光が入射したときの黒レベルに相当する電圧との間の電圧値に設定される。
高輝度光が入射したときの黒レベルに相当する電圧とは、高輝度光入射時に(信号-黒レベル)が減少することで黒つぶれ現象が発生する、あるいは発生する可能性のあるレベルである。
【0029】
本第1の実施形態において、読み出し部70は、一つの読み出しスキャン期間に、リセット期間に続く第1読み出し期間に読み出しリセット信号VRST11(リセット電圧Vrst)を読み出す第1読み出しと、リセット期間に続く第1読み出し期間後に行われる転送期間後の第2読み出し期間において、光電変換素子の蓄積電荷に応じた読み出し信号VSIG11(信号電圧Vsig)を読み出す第2読み出しと、を行うことが可能に構成されている。
【0030】
通常の画素読み出し動作においては、読み出し部70による駆動により、シャッタースキャンが行われ、その後、読み出しスキャンが行われるが、第1読み出しと第2読み出しは、読み出しスキャン期間に行われる。
【0031】
以下、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要を説明した後、クリップ回路の構成、それに関連した読み出し処理等について詳述する。
【0032】
(画素部20および画素PXLの構成)
画素部20は、フォトダイオード(光電変換素子)と画素内アンプとを含む複数の画素がN行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
【0033】
図2は、本第1の実施形態に係る画素の一例を示す回路図である。
【0034】
この画素PXLは、たとえば光電変換素子であるフォトダイオード(PD)を有する。
このフォトダイオードPDに対して、転送素子としての転送トランジスタTG-Tr、リセット素子としてのリセットトランジスタRST-Tr、ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF-Tr、および選択素子としての選択トランジスタSEL-Trをそれぞれ一つずつ有する。
【0035】
フォトダイオードPDは、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷がホールであったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
また、本第1の実施形態は、複数のフォトダイオード間で、各トランジスタを共有している場合や、選択トランジスタを有していない3トランジスタ(3Tr)画素を採用している場合にも有効である。
【0036】
転送トランジスタTG-Trは、フォトダイオードPDとフローティングディフュージョンFD(Floating Diffusion;浮遊拡散層)の間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号TGにより制御される。
転送トランジスタTG-Trは、制御信号がハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPDで光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0037】
リセットトランジスタRST-Trは、電源線VRstとフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RSTにより制御される。
なお、リセットトランジスタRST-Trは、電源電圧VDDの電源線VddとフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RSTにより制御されるように構成してもよい。
リセットトランジスタRST-Trは、制御信号RSTがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFDを電源線VRst(または電源電圧VDDの電源線Vdd)の電位にリセットする。
【0038】
ソースフォロワトランジスタSF-Trと選択トランジスタSEL-Trは、電源電圧VDDの電源線Vddと垂直信号線LSGN11の間に直列に接続されている。
ソースフォロワトランジスタSF-TrのゲートにはフローティングディフュージョンFDが接続され、選択トランジスタSEL-Trは制御線を通じてゲートに印加される制御信号SELにより制御される。
選択トランジスタSEL-Trは、制御信号SELがHレベルの期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF-TrはフローティングディフュージョンFDの電荷を電圧信号に変換した列出力の読み出し電圧(信号)VSL(PIXOUT)を垂直信号線LSGN11に出力する。
これらの動作は、たとえば転送トランジスタTG-Tr、リセットトランジスタRST-Tr、および選択トランジスタSEL-Trの各ゲートが行単位で接続されていることから、1行分の各画素について同時並列的に行われる。
【0039】
画素部20には、画素PXLがN行×M列配置されているので、各制御信号SEL、RST、TGの制御線はそれぞれN本、垂直信号線LSGN11はM本ある。
図5においては、各制御信号SEL、RST、TGの制御線を1本の行走査制御線として表している。
【0040】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じてシャッター行および読み出し行において行走査制御線を通して画素の駆動を行う。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッター行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0041】
上述したように、通常の画素読み出し動作においては、読み出し部70の垂直走査回路30による駆動により、シャッタースキャンが行われ、その後、読み出しスキャンが行われる。
【0042】
図7は、本第1の実施形態における通常の画素読み出し動作時のシャッタースキャンおよび読み出しスキャンの動作タイミングを示す図である。
【0043】
選択トランジスタSEL-Trのオン(導通)、オフ(非導通)を制御する制御信号SELは、シャッタースキャン期間PSHTにはローレベル(L)に設定されて選択トランジスタSEL-Trが非導通状態に保持され、読み出しスキャン期間PRDOにはHレベルに設定されて選択トランジスタSEL-Trが導通状態に保持される。
そして、シャッタースキャン期間PSHTには、制御信号RSTがハイレベル(H)の期間に所定期間制御信号TGがハイレベル(H)に設定されて、リセットトランジスタRST-Trおよび転送トランジスタTG-Trを通じてフォトダイオードPDおよびフローティングディフュージョンFDがリセットされる。
【0044】
読み出しスキャン期間PRDOには、制御線RSTがハイレベル(H)に設定されてリセットトランジスタRST-Trを通じてフローティングディフュージョンFDがリセットされ、このリセット期間PR後の第1読み出し期間PRD1にリセット状態の画素読み出し信号VRST11(リセット電圧Vrst)が読み出される。
読み出し期間PRD1後に、所定期間、制御信号TGがハイレベル(H)に設定されて転送トランジスタTG-Trを通じてフローティングディフュージョンFDにフォトダイオードPDの蓄積電荷が転送され、この転送期間PT後の第2読み出し期間PRD2に蓄積された電子(電荷)に応じた画素読み出し信号VSIG11(信号電圧Vsig)が読み出される。
【0045】
なお、本第1の実施形態の通常の画素読み出し動作において、蓄積期間(露光期間)EXPは、図7に示すように、シャッタースキャン期間PSHTでフォトダイオードPDおよびフローティングディフュージョンFDをリセットして制御信号TGをLレベルに切り替えてから、読み出しスキャン期間PRDOの転送期間PTを終了するために制御信号TGをLレベルに切り替えるまでの期間である。
【0046】
カラム読み出し回路40は、画素部20の各カラム(列)出力に対応して配置された複数の列信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0047】
カラム読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路やADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)、アンプ(AMP,増幅器)等を含んで構成可能である。
【0048】
このように、カラム読み出し回路40は、たとえば図8(A)に示すように、画素部20の各列出力の読み出し信号VSLをデジタル信号に変換するADC41を含んで構成されてもよい。
あるいは、カラム読み出し回路40は、たとえば図8(B)に示すように、画素部20の各列出力の読み出し信号VSLを増幅する増幅部としてのアンプ(AMP)42が配置されてもよい。
【0049】
そして、本第1の実施形態のカラム読み出し回路40は、画素信号監視部(PMC)43を有する。
画素信号監視部43は、各カラムにおいて、垂直信号線LSGN11に読み出された画素信号VSLの読み出しリセット信号VRST11の信号レベルLVRSTがあらかじめ設定された参照電圧Vrefを超えた場合、ADC41のAD変換部の変換コードを所定のコードに固定させる。
なお、参照電圧Vrefを超えた場合とは、本第1の実施形態では、一例として読み出しリセット信号VRST11の信号レベルLVRSTが第2の参照電圧Vref2により低くなった場合をいう。
【0050】
ここで、画素信号監視部43の具体的な構成および機能の一例について、図8(B)のアンプ42を含むカラム読み出し回路40に関連付けて説明する。
【0051】
図9は、本発明の第1の実施形態に係るカラム読み出し回路の構成を説明するための図である。
【0052】
図9のカラム読み出し回路40Aは、増幅部としてのアンプ42A、ADC41A、および画素信号監視部43Aにより構成されている。
【0053】
アンプ42Aは、垂直信号線LSGN11を伝搬された画素信号VSL(PIXOUT)を増幅し、増幅した画素信号をアンプ出力AMPoutとしてADC41Aおよび画素信号監視部43Aに出力する。
【0054】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る増幅部としてのアンプの構成例を示す回路図である。
【0055】
アンプ42Aは、演算増幅器(以下、オペアンプという)421、サンプリングキャパシタ(入力キャパシタ:Cc)C421、帰還キャパシタ(フィードバックキャパシタ:Cf)C422、オートゼロスイッチ部SW421、出力ノードND421、および参照電位Vref1を含んで構成されている。
【0056】
オペアンプ421は、第1の入力端子、本第1の実施形態では反転入力端子(-)、および第2の入力端子、本第1の実施形態では非反転入力端子(+)の2つの入力端子を有し、第1の入力端子(-)への入力電圧VSLと第2の入力端子(+)への参照電位Vref1の差分をゲインA0倍して(増幅して)アンプ出力AMPoutを得る。
オペアンプ421の出力端子は、出力ノードND421に接続されている。
【0057】
アンプ42Aは、画素信号VSLの読み出しリセット信号VRST11が入力されてから所定期間(リセット状態時の画素信号を読み出す第1読み出し期間が開始されてから所定の期間)、制御信号AZ42がHレベルに設定される。
これにより、アンプ42Aのオートゼロスイッチ部SW421が導通状態となる。
これにより、アンプ42Aのオペアンプ421がリセット状態となる。
その結果、オートゼロ動作時のアンプ42Aのオペアンプ421の出力信号(アンプ出力)AMPoutは、参照電位Vref1となる。
【0058】
ADC41は、増幅部としてのアンプ42Aで増幅された画素部20の各カラム(列)出力であるSアナログ読み出しリセット信号VRST11および読み出し信号VSIG11をデジタル信号に変換(AD変換)する。
そして、本第1の実施形態のADC41は、画素信号監視部43Aにより、参照レベルを超える黒レベルが入力されたことを示すフラグ信号Col_detをたとえばアクティブのハイレベル(H)で受けるとAD変換コードを一定となるように処理する演算部411を含んで構成されている。
【0059】
本第1の実施形態において、演算部411は、画素信号監視部43Aにより、参照レベル(本例では第2の参照電圧Vref2を超える(低い)黒レベルが入力されたことを示すフラグ信号Col_detをアクティブのハイレベル(H)で受けるとAD変換コードを一定となるように、全“1”に固定する。
【0060】
画素信号監視部43Aは、垂直信号線LSGN11に読み出され、アンプ42Aで増幅された画素信号VSLの読み出しリセット信号VRST11の信号レベルLVRSTが第2の参照電圧Vref2により低くなった場合、ADC41のAD変換部の変換コードを所定のコードに固定させるように、フラグ信号Col_detをたとえばアクティブのハイレベル(H)でADC41Aの演算部411に出力する。
【0061】
図9の画素信号監視部43Aは、信号入力部IS43に入力される読み出しリセット信号VRST11と電圧設定部VS43に設定される参照電圧Vref(1,2)とを比較する比較部431、および比較部431の比較結果信号S431をラッチし、このラッチ期間中に、ADC41のAD変換部の変換コードを所定のコードに固定させるように、フラグ信号Col_detをたとえばアクティブのハイレベル(H)でADC41Aの演算部411に出力するラッチ部432を有する、1ビットコンパレートにより構成されている。
【0062】
より具体的には、比較部431は、参照電圧Vrefとしてセット時の読み出しリセット信号VRST11の信号レベルに相当するレベルの第1の参照電圧Vref1と、第1の参照電圧Vref1より大きいレベルの第2の参照電圧Vref2と、が設定可能である。
比較部431は、信号入力部IS43に入力される垂直信号線LSGN11に読み出された画素信号VSLの読み出しリセット信号VRST11と電圧設定部VS43に設定される参照電圧Vref1,Vref2とを比較する。
【0063】
本第1の実施形態において、第1の参照電圧Vref1は、アンプ42Aのオートゼロ時の出力電圧と等しい電圧値に設定される。
【0064】
画素信号監視部43は、比較部431を含み、画素のリセット期間PRおよびリセット解除後の読み出しリセット信号VRST11の読み出し開始時の所定期間に、信号入力部IS43の電位を第1の参照電圧Vref1のレベルに初期化し、初期化後、垂直信号線LSGN11に読み出された画素信号VSLの読み出しリセット信号VRST11と電圧設定部VS43に設定される第2の参照電圧Vrrf2とを比較し、読み出しリセット信号VRST11の信号レベルが第2の参照電圧Vref2を超えた場合、ADC41AのAD変換部の変換コードを所定のコード、たとえば全“1”に固定させる。
【0065】
なお、前述したように、参照電圧Vrefを超えた場合とは、本第1の実施形態では、一例として読み出しリセット信号VRST11の信号レベルLVRSTが第2の参照電圧Vref2により低くなった場合をいう。
また、第2の参照電圧Vref2は、第1の参照電圧Vref1と高輝度光が入射したときの黒レベルLBに相当する電圧との間の電圧値に設定される。
また、前述したように、高輝度光が入射したときの黒レベルに相当する電圧とは、高輝度光入射時に(信号-黒レベル)が減少することで黒つぶれ現象が発生する、あるいは発生する可能性のあるレベルである。
【0066】
図11は、本発明の第1の実施形態に係る画素信号監視部の一構成例を示す回路図である。
【0067】
図11の画素信号監視部43Aにおける比較部431は、第1の比較器4311、AC結合用キャパシタC431、第1のリセット信号RSTにより接続状態と非接続状態が切り換え可能なオートゼロスイッチSW431、第1のリセット信号RSTにより接続状態と非接続状態が切り換え可能な第1の参照スイッチSW432、第1のリセット信号RSTと逆相の第2のリセット信号RST_Bにより接続状態と非接続状態が切り換え可能な第2の参照スイッチSW433、および第1の比較器4311の出力信号S4311を処理する第2の比較器4312を含んで構成されている。
【0068】
なお、第1のリセット信号RSTは、画素のリセットトランジスタRST-Trの制御信号RSTと同相の信号である。
【0069】
第1の比較器4311は、第1の入力端子、本実施形態では反転入力端子(-)がAC結合用キャパシタC431に接続され、AC結合用キャパシタC431を介してアンプ42Aの増幅した画素信号であるアンプ出力AMPoutの供給ラインに接続され、オートゼロスイッチSW431が第1の入力端子(-)と出力端子との間に接続されている。
第1の比較器4311は、第1の参照スイッチSW432が第2の入力端子、本実施形態では非反転入力端子(+)と第1の参照電圧Vref1の供給ラインとの間に接続され、第2の参照スイッチSW433が第2の入力端子(+)と第2の参照電圧Vref2の供給ラインとの間に接続されている。
【0070】
比較部431において、第1の比較ステージ(stage1)を形成する第1の比較器4311はアクティブのたとえばハイレベル(H)の第1のイネーブル信号EN1により比較動作を行う。
第2の比較ステージ(stage2)を形成する第2の比較器4312は、第1のイネーブル信号EN1より後にアクティブのハイレベル(H)となる第2のイネーブル信号EN2により比較動作を行う。
【0071】
ラッチ部432は、たとえばD型フリップフロップDFF432により形成され、比較部431の出力信号となる第2の比較器4312の出力信号S4312をラッチ信号latchに同期してラッチし、ラッチ信号latchがハイレベル(H)になることで、比較部431の比較動作を確定し、フラグ信号Col_detをたとえばアクティブのハイレベル(H)でADC41Aの演算部411に出力する。
【0072】
本第1の実施形態において、比較部431は、第1のイネーブル信号EN1がアクティブのハイレベル(H)となり第1の比較器4311が比較動作に入った後、第1のリセット信号PSTが所定のリセット期間PRアクティブのハイレベル(H)となる。
これにより、第1の比較器4311は、オートゼロスイッチSW431が導通状態となり第1の入力端子(-)と出力端子が接続され、ボルテージフォロワ構成となる。その際、第2の入力端子(+)に第1の参照電圧Vref1が供給され、第1の比較器4311がオートゼロ動作を行い、信号入力部IP43に第1の参照電圧Vref1および第1の比較器の4311オフセット電圧Vofsが保持される。
第1のリセット信号RSTが非アクティブのローレベル(L)となり、第2のリセット信号RST_Bがハイレベル(H)となり、オートゼロスイッチSW431および第1の参照スイッチSW432が非接続状態となり、第2の参照スイッチSW433が導通状態となり参照電圧が第1の参照電圧Vref1から第2の参照電圧Vref2に切り換わる。
この切り換わり後、第2のイネーブル信号EN2がアクティブのハイレベル(H)となり第2の比較器4312が比較動作に入る。
比較部431の比較結果を示す第2の比較器4312の出力信号S4312はラッチ部432に出力される。
【0073】
ラッチ部432は、比較部431の出力信号のうち少なくとも読み出しリセット信号VRST11の信号レベルが第2の参照電圧Vref2を超えたことを検出した検出信号をラッチし、このラッチ期間中、ADC41AのAD変換部の変換コードを所定のコードに固定させることを指示するフラグ信号Col_detをたとえばアクティブのハイレベル(H)でADC41Aの演算部411に出力する。
【0074】
水平走査回路50は、カラム読み出し回路40のADC等の複数の列信号処理回路で処理された信号を走査して水平方向に転送し、図示しない信号処理回路に出力する。
【0075】
タイミング制御回路60は、画素部20、垂直走査回路30、カラム読み出し回路40、水平走査回路50等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0076】
以上、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要について説明した。
次に、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素信号の読み出し処理について図12(A)~(J)および図7に関連付けて説明する。
なお、以下では、通常輝度の光が入射する場合と高輝度の光が入射された場合について説明する。
【0077】
図12(A)~(J)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素信号の読み出し処理について説明するためのタイミングチャートである。
図12(A)~(J)は、高輝度の光が入射された場合の画素信号監視部43Aの動作を含めて示されている。
図12(A)は画素信号PIXOUTの読み出しレベルを、図12(B)は第1のリセット信号RSTを、図12(C)は第1のイネーブル信号を、図12(D)は第1の比較器4311の出力信号stage1outを、図12(E)は第2のイネーブル信号を、図12(F)は第2のリセットサンプル期間中RST_Bを、図12(G)は第2の比較器4312の出力信号stage2outを、図12(H)はラッチ信号latchを、図12(I)はフラグ信号Col_detを、図12(J)はADC41の出力信号(出力データ)ADCoutをそれぞれ示している。
【0078】
読み出しスキャン期間PRDOおいては、図7に示すように、画素アレイの中のある一行を選択するために、その選択された行の各画素PXLに接続された制御線への制御信号SELがHレベルに設定されて画素PXLの選択トランジスタSEL-Trが導通状態となる。
この選択状態において、図7に示すように、リセット期間PR1にリセットトランジスタRST-Trが、制御信号RSTがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFDが電源電位VDDにリセットされる。
このリセット期間PR1が経過した後(リセットトランジスタRST-Trが非導通状態)、転送期間PT1が開始されるまでの期間が、リセット状態時のリセット電圧Vrstを読み出す第1読み出し期間PRD1となる。
【0079】
上述したように、リセット期間PR1後の第1読み出し期間PRD1にリセット状態の画素読み出し電圧である読み出しリセット信号VRST11が垂直信号線LSGN11を通して読み出され、図示しないロード回路を介してカラム読み出し回路40に供給されて、AD変換処理後たとえば保持される。
【0080】
各カラムのカラム読み出し回路40に入力された読み出しリセット信号VRST11は、まず、アンプ42Aにおいて増幅され、そのアンプ出力AMPoutがADC41Aおよび画素信号監視部43Aに出力される。
アンプ42Aにおいては、画素信号VSLの読み出しリセット信号VRST11が入力されてから所定期間(リセット状態時の画素信号を読み出す第1読み出し期間が開始されてから所定の期間)、制御信号AZ42がHレベルに設定される。
これにより、アンプ42Aのオペアンプ421がリセット状態となる。
その結果、オートゼロ動作時のアンプ42Aのオペアンプ421の出力信号(アンプ出力)AMPoutは、参照電位Vref1となる。
【0081】
(通常輝度の光が入射する場合)
画素信号監視部43Aにおいては、第1のイネーブル信号EN1がアクティブのハイレベル(H)となり比較部431の第1の比較器4311が比較動作に入った後、第1のリセット信号PSTが所定のリセット期間PRアクティブのハイレベル(H)に保持される。
これにより、第1の比較器4311は、オートゼロスイッチSW431が導通状態となり第1の入力端子(-)と出力端子が接続され、ボルテージフォロワ構成となる。
その際、第2の入力端子(+)に第1の参照電圧Vref1が供給され、第1の比較器4311がオートゼロ動作を行い、信号入力部IP43に第1の参照電圧Vref1および第1の比較器の4311オフセット電圧Vofsが保持される。
これにより、カラム(列)ごとのバラツキがキャンセルされる。
次いで、第1のリセット信号RSTが非アクティブのローレベル(L)となり、第2のリセット信号RST_Bがハイレベル(H)となり、オートゼロスイッチSW431および第1の参照スイッチSW432が非接続状態となり、第2の参照スイッチSW433が導通状態となり参照電圧が第1の参照電圧Vref1から第2の参照電圧Vref2に切り換わる。
この切り換わり後、第2のイネーブル信号EN2がアクティブのハイレベル(H)となり第2の比較器4312が比較動作に入る。
そして、比較部431の比較結果を示す第2の比較器4312の出力信号S43112はラッチ部432に出力される。
【0082】
たとえばD型フリップフロップDFF432により形成されるラッチ部432では、比較部431の出力信号となる第2の比較器4312の出力信号S4312をラッチ信号latchに同期してラッチし、ラッチ信号latchがハイレベル(H)になることで、比較部431の比較動作が確定され、フラグ信号Col_detがたとえばアクティブのハイレベル(H)またはローレベル(L)でADC41Aの演算部411に出力される。
ここでは、通常輝度の光が入射することを前提としていることから、読み出しリセット信号VRST11の黒レベルLBは、第2の参照電圧Vref2のレベルを超えない(第2の参照電圧Vref2のレベルより高い)黒レベルが入力されている。
したがって、比較部431の第1の比較器4311および第2の比較器4312の出力信号はローレベル(L)となり、画素信号監視部43Aのラッチ部432からローレベル(L)のフラグ信号Col_detがADC41Aの演算部411に出力される。
【0083】
ADC41においては、増幅部としてのアンプ42Aで増幅された画素部20の各カラム(列)出力のアナログ読み出しリセット信号VRST11がデジタル信号に変換(AD変換)される。
そして、ADC41の演算部411においては、画素信号監視部43Aにより、参照レベルである第2の参照電圧Vref2のレベルを超えない(参照レベルより高い)黒レベルが入力されたことを示すフラグ信号Col_detをたとえばローレベル(L)で受ける。
したがって、通常輝度の光が入射された場合、AD変換コードは変換されたままのコードで図示しないメモリに保持される。
【0084】
(高輝度の光が入射する場合)
この場合、高輝度の光が入射されていることから、読み出しリセット信号VRST11の黒レベルLBは、第2の参照電圧Vref2のレベルを超える(第2の参照電圧Vref2のレベルより低い)黒レベルが入力されている。
したがって、比較部431の第1の比較器4311および第2の比較器4312の出力信号はハイレベル(H)となり、画素信号監視部43Aのラッチ部432からハイレベル(H)のフラグ信号Col_detがADC41Aの演算部411に出力され、イネーブル信号EN1がアクティブのハイレベル(H)の期間中保持される。
【0085】
ADC41においては、増幅部としてのアンプ42Aで増幅された画素部20の各カラム(列)出力のアナログ読み出しリセット信号VRST11がデジタル信号に変換(AD変換)される。
そして、ADC41の演算部411においては、画素信号監視部43Aにより、参照レベルである第2の参照電圧Vref2のレベルを超える(第2の参照電圧Vref2のレベルより低い)黒レベルが入力されたことを示すフラグ信号Col_detをハイレベル(H)で受ける。
したがって、通常輝度の光が入射された場合、AD変換コードは固定されたコード(全“1”に固定)で図示しないメモリに保持される。
【0086】
ここで、第1読み出し期間PRD1が終了し、転送期間PT1となる。
図7に示すように、転送期間PT1に転送トランジスタTG-Trが、制御信号TGがハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPDで光電変換され蓄積された電荷(電子)がフローティングディフュージョンFDに転送される。
この転送期間PT1が経過した後(転送トランジスタTG-Trが非導通状態)、フォトダイオードPDが光電変換して蓄積した電荷に応じた信号電圧Vsigを読み出す第2読み出し期間PRD2となる。
【0087】
上述したように、第1読み出し期間PRD1後に、所定期間、制御信号TGがHレベルに設定されて転送トランジスタTG-Trを通じてフローティングディフュージョンFDにフォトダイオードPDの蓄積電荷が転送され、この転送期間PT1後の第2読み出し期間PRD2に蓄積された電子(電荷)に応じた画素読み出し電圧である読み出し信号VSIG11が垂直信号線LSGN11に読み出される。
【0088】
各カラムのカラム読み出し回路40に入力された読み出し信号VSIG11は、まず、アンプ42Aにおいて増幅され、そのアンプ出力AMPoutがADC41Aおよび画素信号監視部43Aに出力される。
【0089】
ADC41においては、増幅部としてのアンプ42Aで増幅された画素部20の各カラム(列)出力のアナログ読み出し信号VSIG11がデジタル信号に変換(AD変換)される。
そして、読み出し信号VSIG11のAD変換コードは固定されたコードで図示しないメモリに保持される。
【0090】
そして、たとえば読み出し部70の一部を構成する読み出し回路40において、第2読み出し期間PRD2に読み出された読み出し信号VSIG11(信号電圧Vsig)と第1読み出し期間PRD1に読み出された読み出しリセット信号VRST11(リセット電圧Vrst)との差分(Vsig-Vrst)がとられてCDS処理が行われる。
この通常輝度時および高輝度時共に、画素出力が信号電圧Vsigとリセット電圧(黒レベル)Vrstの差分(Vsig-Vrst)の減少は極めては小さいことから、この差分が減少することで起きる黒つぶれ現象の発生を防止することが可能である。
【0091】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、画素信号監視部43は、比較部431を含み、画素のリセット期間PRおよびリセット解除後の読み出しリセット信号VRST11の読み出し開始時の所定期間に、信号入力部IS43の電位を第1の参照電圧Vref1のレベルに初期化し、初期化後、垂直信号線LSGN11に読み出された画素信号VSLの読み出しリセット信号VRST11と電圧設定部VS43に設定される第2の参照電圧Vrrf2とを比較し、読み出しリセット信号VRST11の信号レベルが第2の参照電圧Vref2を超えた場合、ADC41AのAD変換部の変換コードを所定のコード、たとえば全“1”に固定させる。
画素信号監視部43は、各カラムにおいて、垂直信号線LSGN11に読み出され、アンプ42で増幅された画素信号VSLの読み出しリセット信号VRST11の信号レベルLVRSTがあらかじめ設定された参照電圧Vrefを超えた場合(一例として読み出しリセット信号VRST11の信号レベルLVRSTが第2の参照電圧Vref2により低くなった場合)、ADC41のAD変換部の変換コードを所定のコードに固定させる。
【0092】
したがって、本第1の実施形態によれば、通常輝度時および高輝度時共に、画素出力が信号電圧Vsigとリセット電圧(黒レベル)Vrstの差分(Vsig-Vrst)の減少は極めては小さいことから、この差分が減少することで起きる黒つぶれ現象の発生を防止することが可能である。
このように、本第1の実施形態によれば、カラム(列)ごとの素子のばらつき等があったとしても確実に反転ビデオノイズの発生を防止(太陽黒点防止)することが可能で、ひいては高画質化を実現することが可能となる。
【0093】
(第2の実施形態)
図13は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置のカラム読み出し系を示す図である。
【0094】
本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Bが上述した第1の実施形態に係る固体撮像装置10と異なる点は、以下の通りである。
本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Bにおいて、各カラムの垂直信号線LSGN11に読み出された画素信号VSLの読み出しリセット信号VRST11の黒レベルLBRSTを所定レベルLBNにクランプするクランプ回路44が配置されている。
ここで、黒レベルの所定レベルとは、通常輝度時の黒レベルLBNMに相当する
【0095】
図13のクランプ回路44は、画素配列の各列において画素信号PIXOUTが読み出される垂直信号線SLGN11と、所定電源たとえば電源電位VDDとの間に、クランプトランジスタCLP-Trおよび選択トランジスタSL-Trが直列に接続されて形成されている。
各カラム(列)に対応して配置されたクランプトランジスタCLP-Trのゲート電圧はクランプレベル生成回路200によるクランプ信号CLPの供給ラインに共通に接続され、選択トランジスタSL-Trのゲート電圧はクランプ選択信号CSLの供給ラインに共通に接続されている。
【0096】
本実施形態においては、クランプ選択信号CSLは、読み出し部70により読み出しスキャンPRDOのリセット期間PRおよび第1読み出し期間PRD1にアクティブのHレベルに設定される。
【0097】
クランプ回路44は、図4に示すように、たとえば非常に強い光(高輝度光)が1つ以上の画素に入射した際、黒レベルLB1を黒レベルLB3クランプして、信号レベルSLと黒レベルLBの差分をΔV3(ΔV1≒ΔV3>ΔV2)に保持させて、差分がΔV1からΔV2(ΔV1>ΔV2)に減衰して変動することを防止する。
【0098】
ところが、上述したCMOSイメージセンサでは、クランプ電圧を制御するための基準信号であるクランプ信号CLPを、全列共通としていたために、列ごとの素子バラつき等によりクランプレベルもバラつき、クランプがうまくかからない列が発生し得る。
本第2の実施形態においては、このような状態が発生したとしても、カラム読み出し回路40は、比較部431およびラッチ部432を含み、画素のリセット期間PRおよびリセット解除後の読み出しリセット信号VRST11の読み出し開始時の所定期間に、信号入力部IS43の電位を第1の参照電圧Vref1のレベルに初期化し、初期化後、垂直信号線LSGN11に読み出された画素信号VSLの読み出しリセット信号VRST11と電圧設定部VS43に設定される第2の参照電圧Vrrf2とを比較し、読み出しリセット信号VRST11の信号レベルが第2の参照電圧Vref2を超えた場合、ADC41AのAD変換部の変換コードを所定のコード、たとえば全“1”に固定させる画素信号監視部43を有することから、以下の効果を得ることができる。
本第2の実施形態によれば、通常輝度時および高輝度時共に、画素出力が信号電圧Vsigとリセット電圧(黒レベル)Vrstの差分(Vsig-Vrst)の減少は極めては小さいことから、この差分が減少することで起きる黒つぶれ現象の発生を防止することが可能である。
【0099】
このように、本第2の実施形態によれば、カラム(列)ごとの素子のばらつき等があったとしても確実に反転ビデオノイズの発生を防止することが可能で、ひいては高画質化を実現することが可能となる。
【0100】
以上説明した固体撮像装置10は、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0101】
図14は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0102】
本電子機器300は、図14に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10が適用可能なCMOSイメージセンサ310を有する。
さらに、電子機器300は、このCMOSイメージセンサ310の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)320を有する。
電子機器300は、CMOSイメージセンサ310の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)330を有する。
【0103】
信号処理回路330は、CMOSイメージセンサ310の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路330で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0104】
上述したように、CMOSイメージセンサ310として、前述した固体撮像装置10を搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0105】
10,10B・・・固体撮像装置、20・・・画素部、30・・・垂直走査回路、40,40B・・・カラム読み出し回路、41,41A・・・ADC、411・・・演算部、42,42A・・・アンプ、43,43A・・・画素信号監視部、431・・・比較部、432・・・ラッチ部、4311・・・第1の比較器、4312・・・第2の比較器、SW431・・・オートゼロスイッチ、SW432・・・第1の参照スイッチ、SW433・・・第2の参照スイッチ、C431・・・サンプリングキャパシタ、Vref1・・・第1の参照電圧、Vref2・・・第2の参照電圧、44・・・クランプ回路、50・・・水平走査回路、60・・・タイミング制御回路、70・・・読み出し部、300・・・電子機器、310・・・CMOSイメージセンサ、320・・・光学系、330・・・信号処理回路(PRC)。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14